紅の夜叉 THE CRIMSON SAGA ──幻想殺しと紅の夜叉── (33)



 最弱にして最強の「ただの人間」、紅開心・通称クリムはひとりの「戦士(ウォリアー)」と出会う。

 ──上条当麻。右手に幻想を殺す力を持つ戦士。



──紅の夜叉と幻想殺し(イマジンブレイカー)は

──果たして

──世界を越えることが出来るのだろうか

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act.〈ソラリス〉


「……どういうことか説明くらいは欲しいね」

 学園都市第七学区にそびえ立つ、窓のないビル。その内部にて学園都市統括理事会の最高責任者であるアレイスター=クロウリーは忌々しそうに告げた。
 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見えるその『人間』は今、誰から見ても「不快」と取れる表情をしていた。

『簡単なことですよ、アレイスター=クロウリー』

 と、パネルの中から返事が帰ってくる。まだ声変わりしていないボーイソプラノの少年の声だ。しかしその声には妙な威圧感と寒気が混合していた。

『「我々の邪魔はしないで頂きたい」それだけです』
「それが理解できないと言ってるのがわからないのか若造」

 そう言うとアレイスターは手元に置いてあった画面を指差した。

「 こ・ れ・を見せておいて言うことが「邪魔するな」?ふざけるのもほどほどにしてくれ」
『ふざけてなどいませんよ。ただ我々の目的の邪魔をして欲しくないだけです』
「……」

 手元に浮かんだ画面を一目するとアレイスターは先ほどの表情から一転、「フッ」と不敵な笑いを浮かべた。

「まぁいいだろう。考えてみれば邪魔する理由もない。……だが一つだけ教えてくれないか?」
『なにを、と聞くのは野暮でしょうか』
「……あれはなんだ?魔神か?」
『魔神などという生半可なものではありませんよ。アレは……言うとなれば「ちから」でしょうか』
「力……?」



『どんな理不尽な 力(ちから)だろうと
どんな理不尽な 権力(ちから)だろうと
どんな理不尽な 知識(ちから)だろうと
どんな理不尽な 魔法(ちから)だろうと
どんな理不尽な 超能力(ちから)だろうと
どんな理不尽な 能力(ちから)だろうと
見境なく
一片の慈悲もなく
区別なく
握り
蹴り
擦り
砕き
壊す
そんな
一番理不尽なちから』



「……」
『それが〈ソラリス〉が求めるものです。これでよろしいでしょうか?』
「……ああ。ありがとう」

 途端に画面が暗黒に変わる。

「さて……」


「君はどうでる?幻想殺し……」

?





「──くそッ!ちくしょー!まーたなんでこんなことになるんだよ毎回俺はーっ!!」

 深夜の路地裏を走り抜けながら|紅《くれない》|開心《かいしん》ことクリムは叫び声をあげる。
 最初に言っておくが、別にクリムは海賊王やポケモンマスターを目指しているわけでもなければ、体は子供・頭脳は大人に主人公でも、錬金術が使える義手・義足の主人公でも無い。数箇所を除けば極々どこにでもいるようなただの少年である。
 だから両目に特殊な能力が宿ってるわけでも、右手があらゆる異能を打ち消すわけでも、滅竜魔法が使えるわけでもない。ようするにただの虚弱貧弱無知無能な人間なのだ。
 だから不良の集団に追われたところで『逃げる』という方法しかないのだ。
 後ろを振り返ると残り人数は2人。
 2人なら迎え打てるなどと考えれば絶対返り討ちにある。クリムは彼らと同じ高校生だが、こっちは腕力と体力の無さなら自信がある。勝てるわけなどない。

「これも全部あの不幸馬鹿の所為……帰ったら部屋に押しかけてぶん殴ってやる」

 悔しい。あの上条当麻にいいように使われた自分がクリムは悔しかった。
 彼の、一つだけ『異常』と呼べる力も、ただの不良相手ではなんの効果もうまないし、ましてや女の子に好かれたりも、成績が上がることもない。

「こんのぉ…待てこのクソガキ!!さっさとボコらせろこの虚弱貧弱野郎が!!」

「うるせぇよチンピラ!返り討ちに合わないだけ嬉しく思いやがれ畜生!!」

 とうとう1人になったボサボサ髮にジャージにジーンズの不良からの罵声にクリムはこっちも罵声で返してやる。
 勿論やり合えば恐らくこちらが返り討ちに合うだろうがそんなことは知ったこっちゃない。
 と、そこで後ろの不良に異変が起きる。

「う、うぎゃぁぁぁぁぁ!?」
「!?」

 突如バチン、と青白い火花の音が響いたかと思うと不良がぷすぷすと煙を上げながら倒れていた。後ろを振り返ったクリムは思わずギョッとする。
 そこには女の子が立っていた。灰色のプリーツスカートに半袖のブラウス。それにサマーセーターという、何の変哲もない中学生くらいの女の子が。
 が、一見何の変哲もなさそうなこの少女。クリムにとっては今まで自分を追いかけ回していた不良よりかもよっぽど恐ろしい存在だった。

「おまえか……御坂」

「まったく…なにこんなところで油売ってるのよ」
      
 御坂美琴。学園都市にも七人しかいな
 レベル5
い 超能力 の第三位の少女だ。

一日最低一回更新を目指します!

とりあえず今日はここまでで。

クロスオーバーか知らないが、とりあえず元ネタを書いといてくれると助かるんだが

オリ主かな?

本人だったらまーた例の問題児かよ

>>8
クロスオーバーではありません。オリキャラですので。

>>9
その通りです。

>>10
問題児扱いは……仕方ないですね(遠い目

では投下します

2.





                、、
「成る程な…おまえに絡んでいた不良を上条は助けようとして追われていたのか…」

「そういうことよ。しかしあんたも災難だったわね」

「まったくだ」

 クリムと御坂は都心部から2キロほど離れている川沿いを歩いていた。
 御坂美琴。
 学園都市に住む中学生の少女。常盤台中学2年生。学園都市第3位の超能力者。能力名の「超電磁砲(レールガン)」は通り名でもあり、「(常盤台の)超電磁砲」と呼称される。また、「常盤台のエース」と呼ばれることもある。住居は第7学区・『学舎の園』外部にある常盤台中学女子寮208号室。実家は神奈川県にある。特徴的な口調や語尾は特にない。
 …と、クリムが彼女について知っているのはそれくらいである。
 ちなみにこんなにも詳しく知っているのはクリムが彼女のファンだから…ではなく。単に世界一の情報収集能力を持つ知り合いが身近にいるからだ。
 そんなことでクリムは御坂のことを色々と知っているが、結局御坂とは知り合い以上友人未満の間止まりだ。
 というのも元々知り合った理由が上条当麻なのだから仕方ない。

「この際だ。上条をボコボコにしてくれ。責任は俺が取る」

「……あんたら友人なのよね?」

「まぁ一応」

「…」

 最弱にして最強の「ただの人間」、紅開心・通称クリムとジゲン団のメンバーによる世界を巡る旅が始まり一ヶ月…。

 仲間とはぐれたクリムは3人の「戦士(ウォリアー)」と出会う。

 ──「絶望」を「希望」に変え、その身に精霊の力を宿した戦士。

 ──振るわれる二刀流と、その漆黒の纏から「黒の剣士」と呼ばれた戦士。

 ──あらゆる「不可能」を「可能」にし、「哿」と呼ばれた戦士。



──紅の夜叉と戦士達(ウォリアーズ)は

──果たして

──世界を越えることが出来るのだろうか

──永遠に続く幸せなど 存在しない──
──どんな幸せだろうと いつかはヒビが入り 脆く 崩れてしまうだろう──










英雄【えいゆう】
1才知、武勇、胆力にすぐれ、ふつうと人にはできないような大事業を成しとげる人。ヒーロー。
2証のこと。
【明鏡国語辞典より引用】










 一瞬、地面が崩れ落ちたかのかと思った。
 彼がそう感じた次の瞬間、脳に、何かを強打したかのような激痛が走る。
 そして彼は何かを脳に直接叩き込まれるような感覚に陥った。
──これは……何だ!?



 3匹の、巨大な龍の「創造」。

 「蟲の王」の名を取る生物と巨神の兵。

 1人の赤い目の少女と、髪にいる蛇。

 その姿を持たない、魂の集合体。

 寂しげな表情を浮かべた精霊達。

 無限の空に浮かぶ巨大浮翌遊城。

 無数の敵に立ち向かう 英雄ヒーロー達。

 謎の模様が彫ってある、大きな扉。

 輝く、7つの 宝石エメラルド。

 星を思わせる棒ロッドと剣、そして 王冠クラウン。

 壁を破壊し、人を喰らう巨大な巨人。

 街を駆け、巨大な化け物に立ち向かう巨兵。

  星スター型の生物と共に佇む女性。

 3つの兵器。

 焦土に立つ白い夜叉。

 緑の龍。

 9匹の神獣と、1人の少年。

 紅い龍と、1人の少年。

 金色の悪魔。

 犬耳の半妖。

 片目を隠した妖怪。

 天空を貫くドリル。

 「神」の名を取る食材。

 超能力と魔法が混合した都市。

 黒いコートの医者。

 三つ目の小さな少年。

 心を持った優しきロボット。

 異世界の住人と異能力者の闘い。

 金色の、3つの三角形を組み合わせた形の秘宝。

 3種の神器を纏った天使。

 空に浮かぶ大陸に住まう天使。





 それらの映像が脳に流れては消え、また流れてくる。
 上下左右の感覚がまったく掴めない。宇宙にいけばこういうことになるのだろうか。まず、ここが宇宙かどうかですら分かりもしないが。



──やめろ……
──やめろ!!
──これ以上見たくない!!
──やめてくれ!!
──お願いだ!!
──これ以上……











──ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!




 視覚が完全にシャットアウトし、浮翌遊感と僅かな吐き気を催しながらーー彼の意識はここで途絶えた。









『じゃあな。あばよ』

勝手に上げるのやめてください。

いやマジで

なんか酷い言われようですけど…なんか心当たりがあるから反論できないわ。アハハハ…ハハ………

 と言っても学園都市第三位にしつこく狙われる上条にクリムは同情だけしておく。
 そういえば一つだけ気になることが。

「なんで御坂って上条を狙ってんだ?なんかされたのか?」

「簡単よ。私は自分より強い『人間』が存在するのが許せないのよ。それだけあれば理由は十分よ」

 明日殴るのはやめておこう。と、考えたクリムだった。
 いや、こんな闘争心の塊のような少女にあの右手を不用意に使った上条も上条だが、それにしたって不条理すぎる。
 今まであの不幸馬鹿がこの子に何らかの不始末を起こしたかと思っていたが、これだったら確かに「不幸だ」と言うのもうなづける。

「あいつも色々大変だな……」

「ん?今なに言って──あ!いたわね。それじゃあボコりに行ってくるわ!」

「あ、ああ。程々にな~」

 この時クリムは先ほど「存分にやれ」と言ったことを思い出し──一応手だけは合わせておいた。

(頑張れ当麻)

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