ミカサ「消えた私の英雄」アルミン「露る皆の殺人鬼」包帯男「改」(483)



捏造話。

オリキャラあり。

約一名ポテンシャル高。



847年、トロスト区兵士訓練所――――


ミカサ「………」モキュモキュ


アルミン「…やあミカサ」

ミカサ「…アルミン」


ミカサ「…座る?」ガタタッ

アルミン「ありがと」ガタッ


ミカサ「…」モキュモキュ

アルミン「…」



アルミン「…僕たちも今日から訓練兵だね」

ミカサ「……うん」


アルミン「……こんな僕が兵士かぁ。人並みに運動も出来ないのに……」


ミカサ「問題ない。鍛えれば良いこと。……それにアルミンはアルミンにしかない武器を持っている」

アルミン「……うん、わかってるよ」




アルミン「……エレンもよく言ってくれてたからね…」

ミカサ「!!」ビクッ



アルミンの言葉にドキリとしてしまう。

そうして私はいつもの様にアルミンの顔を恐る恐る窺う………。


アルミン「……また何か誤解してるから言うけどね、ミカサ」


アルミン「……僕はミカサのことなんか責めてないよ」


ミカサ「………でも」


アルミン「………あの時の真実なんて誰にも分からない」 ・・・・・・

アルミン「……そして、誰にもどうにも出来なかった」


ミカサ「………」


アルミン「……君とエレンに、何が起きたかなんて分からないよ」



ミカサ「………それでも、割り切れるものではない」


アルミン「……今でもかい」

ミカサ「……うん」

アルミン「………けど、それでも生きるんだろう」

ミカサ「うん」


ミカサ「カルラおばさんのために」


ミカサ「……エレンのために」


ミカサ「………私は生きる」


……あれは、数年前のことだった。


私の家に、招かれざる客が来た。

客は武器を持った男三人。


客たちは私の父と母を殺し、更に私は…………。



 さ ら わ れ た


拐われた私は無気力だった。

私は全てを一瞬でなくしてしまった。

父に母、暖かい家、平穏…………。


真っ当な人間として生きていくにはどれもこれも必要なモノばかり。


それらをなくして、どうして人間が生きられようか。


………だけど、この後私は唯一無二のモノを手に入れる。


……もっとも、直ぐにまたなくしてしまったのだが。


人さらいA「…馬鹿野郎!母親の方が純血で価値があったんだぞ!」


人さらいB「わ、悪い。抵抗してきたからよ………」


人さらいC「まぁ殺しちまったもんはしょうがねぇ。俺は上に行ってるぞ」スタスタ


ミカサ「…」グッタリ




人さらいたちを目の前にしても私は何も感じなかった。

恐怖も怒気もなければ、嘆きもしない。


私にあったのは寒さ。………心の底から感じる寒さだった。


このまま売られるのか、殺されるのか。

……そんなことすら頭に出てこない。



………正確に言うと、考える暇もなかったと言うのが正しいかもしれない。


…ソレが、私が得た“唯一無二のモノ”だったんだ………。



コン コン


人さらいAB「「!!?」」

人さらいB「だ、誰か来たのか」

人さらいA「……一応出ろ。怪しまれるのはマズい」

人さらいB「あ、あぁ…」




人さらいB「だ、誰だ……?」ガチャ…


少年「あ、あの……」

人さらいA「! ガキ!?」



人さらいB「な、なんだ子供か……」ホッ

人さらいB「どうしたんだ坊主」


少年「み、道に迷っちゃって……」

人さらいB「そうか、それは大変だな」

人さらいB「よし、おれがつれてってやるよ」


人さらいA「お、おい!」

人さらいB「大丈夫だよ、追っ払うだけだ」



少年「………から」サクッ


人さらいB「え………?」


少年「いいからさっさと死んじまえよ」グイッ

人さらいB「」コプッ



人さらいB「」ドサッ


ミカサ「…」


人さらいA「なっ!!」

人さらいA「このガキぃっ!!!」


エレン「」ギイッ…


バタン


人さらいA「待てクソガキ!!」


エレン「」バァン!


人さらいA「え…」

エレン「うぉぉぉぉぉ!!」



人さらいA「ぎゃあぁぁ!」グサッ


エレン「死ね!死んじまえ!!この悪魔ども!!!」ザクッザクッザクッ


―――――――

―――――

―――




エレン「……ケガはないか?」シュルシュル

ミカサ「…」

エレン「お前、ミカサだろ?おれはエレン。いつも診察に来るイェーガー先生の子供だよ」シュルシュル


エレン「よし、縄は解けた」


ミカサ「………三人」

エレン「え?」

ミカサ「三人、いたはず……」

エレン「……三人?」


エレン「……まさか」バッ


人さらいA「」

人さらいB「」


エレン「二人しかいな………」


「……なんだこりゃ」

エレン「!!!」

ミカサ「!」


人さらいC「お前がやったのか……?」


エレン「ナイフを……!」バッ



人さらいC「」ビッ

エレン「ぐぁ!」ドカッ

人さらいC「信じらんねぇ…!!お前が俺の仲間を殺したのか!?」

エレン「ぐぅっ…」ギリリ

人さらいC「殺してやる…!!」



ミカサ「え、エレン!」

エレン「………え」

ミカサ「え?」


エレン「……戦え」

エレン「…戦え!!」

エレン「勝てば、生きる!」

エレン「戦わなければ………勝てない!!」

ミカサ「」ハッ



ミカサ「……ナイフ」カチャ


ミカサ(……このナイフで、奴の背中を…………)

ミカサ(……)フルフル


ミカサ「………む、無理」フルフル

ミカサ「………できない」フルフル


エレン「っ…」ギリリ

人さらいC「死ねぇ!」


ミカサ「……え?」

ミカサ(………死?)



ミカサ(……死)

ミカサ(…そうだ、そうだった)


ミカサ(………この世界は)


ミカサ(………残酷なんだ)





ミカサ「……もう、大丈夫」

ミカサ「………わたしは自分の身体を、100%支配できるんだ」





………いける。



ミカサ「フッ!」ダッ


エレン(! よし!)ギリリ

人さらいC「!!」


人さらいC「テメェから死にてぇのか!?」クルッ



ミカサ「え」

エレン「!! よけろミカサぁ!」







ドスッ

ミカサ「がっ」


エレン「」




人さらいC「し、しまった!東洋人を……」



ミカサ「………ぇ……ん」


エレン「み、ミカサ……?」




ミカサ「え………レン」

ミカサ「」ドサァッ



………………サ


(………)


…………ミカサ


(……?)


…………ミカサ!











ミカサ「………ぅ」

「ミカサ! よかった……」



ミカサ「……イェーガー先生」

グリシャ「まだ動いてはダメだ、ナイフで刺されてたんだよ」


ミカサ「………はい」


ミカサ「………」チラッ



人さらいA「」

人さらいB「」



ミカサ「……………エレン?」

グリシャ「っ!」



ミカサ「…イェーガー先生、エレンは…」


グリシャ「………今は寝ていなさい」


ミカサ「!?」


グリシャ「君には療養が必要だ」


ミカサ「………まさか、そんな」




………エレン

……結果的に、エレンは見つからなかった。

どこへ行ったかも不明。生死も不明。




……私はまた失った。




…―私の救世主。





―――――英雄を。



ミカサ(……そして今に至る、か)



ミカサ(…アルミンはエレンとの約束を果たす為に兵士になった)

ミカサ(……私も、エレンとアルミンの夢を手伝うために兵士に)


ミカサ「………」



アルミン「……そろそろ就寝時間だね」


ミカサ「………うん」




ミカサ(……そういえば、外で走ってる女の子、大丈夫だろうか………?)

ジャン「お、おい、黒髪の人!」

ミカサ「………あ」

アルミン「? ミカサ、知り合いかい?」


ミカサ「さっき話しかけてくれた人」

ジャン「じゃ、ジャン・キルシュタインだ、よろしくな」



ジャン(平常心!平常心!)フーッフーッ


アルミン「…? アルミン・アルレルトだよ、よろしく」

ミカサ「……ミカサ・アッカーマン」



アルミン「……それで、どうかしたのかい?」


ジャン「あ、あぁ。知っておいて欲しいことがあってな……」

アルミン「知っておいて欲しいこと?」

ミカサ「…」



ジャン「…通過儀礼の時によ、声をかけられなかった奴がいたろ?」


アルミン「…居たね、何人か」

ミカサ「……私も何も言われなかった」



アルミン「1人」

ミカサ「…」


アルミン「2人」

ソバカス女(…そろそろ行くか)ガタッ


アルミン「ここには居ないようだけど…………後4人くらいいたよね」



ジャン「あぁそうだ」


ジャン「…その4人の中に一人、ヤベェ奴がいるらしい」


ミカサ「!」

アルミン「…もしかして、顔にグルグルの包帯を巻いてた人?」

ジャン「あぁ」



アルミン「誰から聞いたんだいそんなこと」

ジャン「……さっき教官たちが話してるのを聞いたんだ」

ジャン「ココに来るまでに色々やらかしてるんだってよ」

アルミン「………そんな人もいるんだ」

ミカサ「……色々、とは?」

ジャン「あ、あぁ(やっべ、めっちゃ緊張する//)」



ジャン「……人を殺してるんだってよ」


ミカサ「!!」

アルミン「えぇっ!!?」



ジャン「しかも1人なんてもんじゃない、何人もだ」



アルミン「……変だね」


ジャン「え?」

ミカサ「うん」

ジャン「えぇ?」クルッ


アルミン「いくらなんでも殺人の罪を負った人が兵士になれるわけがないよ」

アルミン「しかもそれは中々、公に知られているようだし」


アルミン「何か理由があるんじゃないかな」


ジャン「………成る程な。そんな風には考えてなかったぜ」

アルミン「視点や観点をちょっとズラせばいい話だよ」



ジャン「………まぁ、お前らも気をつけるんだぞ」

ミカサ「……」


アルミン「………えーっと、ジャン、一つ聞いていいかい?」

ジャン「あ?何だ?」


アルミン「…何で僕らにそんなことを言ってくれるの?」



ジャン「そそそそそそりゃお前!!!」

アルミン(ドモりすぎ)

ジャン「き、決まってるじゃねぇかよ…」チラ

アルミン(…あ、察し)

ミカサ「…?」


ジャン「と、とにかく気をつけるんだぞ」


アルミン「うん。ありがとうジャン」


アルミン「ほら、ミカサも」


ミカサ「…ありがとう」



ジャン「い、いいってことよ!///」



ジャン(アルミンとやら、ナイスだ)



立体機動訓練場―――――――。



「……さて、大したこともなく1日が終わって良かったな」

「うん」

「…他の連中は色々あった奴がいたけどね」


「あー、芋を食べてた女の子とか…」

「敬礼を逆でやった坊主頭とか………………か?………アニ」

…見てて呆れたよ、ホント。

アニ「アンタたちはあんなことしないでよ…………ライナー、ベルトルト」

ライナー「するわけないだろ」

ベルトルト「…ライナーはともかく僕はしないよ」

ライナー「おい!?」

ライナー「じゃあ今後の予定を話すぞ」

ベルトルト「うん」

アニ「…」



…私たちはとりあえず、二年前にウォール・マリアを破壊することに成功。

その時に仲間を1人死なせてしまったこと以外は、全て上手くいっている。

…コイツらも相当堪えてたけど、もう大丈夫だろう。



…大丈夫。大丈夫さ………。



ライナー「まずはこれから三年間、訓練を受ける」

ライナー「その中では危険人物を探すぞ」


ベルトルト「危険人物?」

アニ「後々厄介になる奴に目をつけようって話だろ」


ライナー「そうだ。そしてソイツからは極力離れよう」

ベルトルト「僕たちのことを悟られないためかい?」

ライナー「…それもあるが………いや、そうだな」


ベルアニ「?」


ライナー(俺が心配なのはその危険人物にコイツらが思い入れをすることだ。いざというときに咄嗟に動けなくなるからな)

ライナー(……だが、コイツらならそんな心配はいらんだろう……。………どちらかというならマズいのはアニだが)


…何か失礼なことを思われた気がする。



ライナー「基本的に訓練では手を抜かないことだ。特に立体機動でな」

アニ「…しかし、よくあんなヘンテコな機械を思いつくもんだね」


ワイヤーとガスを使って空を飛ぶ。…………どこのファンタジーさ。


ライナー「ま、そうだな。…しかし、俺たちもアレを使うことになるんだからな」

ベルトルト「便利なのは良いんだけどね」



ライナー「……後、今のところの危険人物をあげてくか」

ベルトルト「……誰かいるの?」

ライナー「まずはキース教官だ」

アニ「は?」


ライナー「キース教官は前調査兵団団長だったらしい」


ベルトルト「え」

アニ「…めんどくさいね」


ライナー「あぁ。今のところは一番に気をつけるべき人間だろう」



ライナー「……それから、天使だな」

ベルトルト「」


……頭壊れたかな、既に。



ライナー「ベルトルトも見ただろう、あの天使を」

ベルトルト「え、いや、まぁ……」


ライナー「あれこそ!俺たちが最も警戒すべき存在!」

ライナー「天使の誘惑に!!俺は負けん!!」







…反応に困るんだけど。



ベルトルト「…えーっと、僕は別にいないかな」

…あ、シカトした。

ライナー「……ベルトルト、人の話はちゃんと聞け」


ベルトルト「アニはどう?」クルッ

ライナー「」グスン



……………ふぅ。





アニ「………居るよ、1人」

ベルトルト「!」

ライナー「何!?」バッ



アニ「どうしたんだい、急に真面目ぶって」

ライナー「お前は警戒心が強い」

ベルトルト「そのアニが警戒するんだもの、かなりの危険人物じゃないか」


……そんなに言われたくはないんだけど。


アニ「……まぁいいか」


アニ「私が警戒するのは、包帯男だね」



ライナー「あぁ、アイツか」

ベルトルト「あのヤバそうな奴だね?」


アニ「うん」

アニ「あの目は危険だ」

アニ「まるで、全てを憎むかのような目をしてる」


ライナー「うぅむ…」

ベルトルト「確かに、通過儀礼でも教官に声を掛けられなかったしね」



アニ「…さっき、奴と目が合ったよ」

アニ「…震えたね、久々に」



…こんな感じは、二年前以来だ。



ライナー「お前がそこまで言うほどとは…………………わかった。まずはその包帯男を第一の警戒に当てよう」

ベルトルト「…もしかしたら、僕たちと同じ部屋かもね」

ライナー「それなら弱点を見つけてやるだけだ」


アニ「……ライナー、ベルトルト」


ライナー「ん?」

ベルトルト「何だい、アニ」



アニ「………生きて帰ろう」




………私たちの故郷へ


ライナー「!! ……おう!」

ベルトルト「うん」

ベルトルト「おやすみ、アニ」

ライナー「気をつけて戻るんだぞ!」

アニ「うん、おやすみ」


…全く、心配性なんだから。

…でも、わからないでもない。

その包帯男って奴は個人………たった1人だ。

組織らしくない兵団や、ただ闇雲に襲ってくる巨人とはわけが違う。


アニ「………」

……そろそろ戻ろうかな。










「………よぉ」

アニ「!!!!!」



居る!!後ろに何かが!!

早く振り向け!!急げ!!

殺される前に!!!



アニ「」クルッ


アニ「っ!!!!」




「…何だ、顔色悪いぜお前」




…包帯男!!!



アニ「……何か用かい」

包帯男「……あぁ、まぁな」

包帯男「女が1人で外を出歩くなんざ、何かあると思っただけだ」


包帯男「………危険人物、ねぇ」



アニ「!!!」

マズい、話を聞かれた!!?



包帯男「俺が危険人物………か」

包帯男「確かにそうかもしれねぇが………………」




包帯男「………お前らの方が“危険人物”な気がするなぁ」ニタァ


アニ「」ゾクッ



包帯男「今すぐ殺してやってもいいんだが………」

アニ「!! ちぃっ!!」バッ

包帯男「生憎、簡単に人を殺すなと言われてるんだ…」

アニ「…なに?」


こんな見るからに『自分は孤独』なんて言ってるような奴に、指図する人間がいる…………?


包帯男「だからまぁ………そうだな」



包帯男「………遊ぶか」


アニ「………一体何が目的?」



包帯男「……愚問だな」


包帯男「殺せねぇなら……」


包帯男「力を誇示する。それだけだ」


包帯男「対人格闘をやるぞ」



アニ「…対人格闘って、訓練の?」



包帯男「そうだ。もちろんナイフはお前が持て」ヒュン


アニ「これ………本物じゃないか」パシッ


包帯男「そうだ」



包帯男「殺す気で来いよ」ザッ



アニ「私に人殺しになれってかい?」

包帯男「ハッ。お前らどうせ既に殺してんだろ?」


アニ「…」

包帯男「それに俺は………お前なんぞに殺される程弱かねぇよ」



包帯男「かかってこいよ。今すぐにてめぇの敵を1人消せるんだぜ?」



…確かに、今は殺すにはこれ以上ないほどの好状況だ。



………よし。

アニ「……殺すかどうかは別だから」

包帯男「……敗者の命は勝者のモノだ。お前が勝ったらどうとなりと好きにするんだな」


……中々潔い奴じゃないか。



アニ「…じゃあ」





アニ「いくよ!!!」

包帯男「殺ってみろ!!!」



アニ「」ザッ…


包帯男「! へぇ…」

包帯男(蹴り主体の構えだな。ナイフを逆手で持って、下半身を前方に少し出してる)


包帯男(上半身は両手できっちりガード。迂闊に飛び込んだら蹴りが来るな…)


包帯男(ナイフを逆手に持ってるってことはナイフをトドメ用にするってことだ。………間違いない)


包帯男(…コイツは、ナイフのような武器が何であるかをよく理解している)


包帯男(ナイフはリーチがない。ナイフを大振りしたって隙を衝かれて殺られるに決まってる)


包帯男(自分の体術や兵法で相手を崩し、ナイフでトドメを刺す)



包帯男(ナイフを持つ人間の理想的な闘い方だ)


アニ「……どうかしたのかい」

アニ(……コイツ、油断ならないね)

包帯男「………いや、……ただ」


包帯男「久しぶりに当たりが来たと思っただけだ」ニッ


アニ「………フン」



アニ「」グッ…


包帯男「!! (来る!)」





アニ「シッ!」ビッ

包帯男「良い蹴りだ!」ヒョイ

包帯男(まずは下段狙いか!どうやら相当几帳面な性格をしてるらしいな)

アニ(余裕綽々だね。………が)


アニ「逃がさない」グン!


包帯男「!? 踏み込んで…」


アニ「ハァッ!!」ビュッ ビュッ ビュッ


包帯男「グッ!」ガッ ガッ ガッ



包帯男(三連打の高速突き! 一発ずつは軽いが…………これは………)



アニ「」ギラッ


包帯男(やはりガードさせる為か!)

アニ(側面に回り込んで脚払いをして体制を崩す!そして………トドメだ!)


アニ「」スッ



包帯男「!?(いつの間にか俺の横に!?)」


アニ「喰らいな!!」グォッ






包帯男「」パッ


アニ「へ…」スカッ



アニ(消えた!?)



アニ(前後左右、下方…………何処にもいない)

アニ「………………上か!」バッ

包帯男「」グォッ

アニ「!! ちっ!」バッ


ドォン!



アニ「!?」


包帯男「ちっ、勘の良い野郎だ」ザッ


アニ(じ、地面が抉れた)

アニ(もし避けられなかったら………私の首が抉られてた)
アニ(コイツ、身体能力はバケモノだね……)


包帯男「次は逃がさねぇ」

アニ「……やってみな」



After few minutes・・・.

―――The Angel SIDE.


サシャ「神ぃぃぃぃぃ」ムシャムシャ

クリスタ「……私は、‘いいこと’なんか…」

ユミル「……まぁいいか」



ザッ………


ユミル「………ん?誰だありゃ」


クリスタ「え………?」クルッ


だ、誰かが森から出てくる………。



「……」ザッ… ザッ…



ユミル「! コイツ、包帯男……!」

クリスタ「………あ」


あの人、顔から血が……。


包帯男「………ん?」ザッ


サシャ「おいひぃですぅ~」ムシャムシャ


包帯男「………卑しいなおい」

ユミル(同感)



クリスタ「あ、あの」



包帯男「ア゙?」ギロッ


ヒィッ!!! ……こ、怖いけど………我慢しなきゃ…



クリスタ「か、か、か………」プルプル


包帯男「………蚊?」

クリスタ「ち、違います!」


包帯男「カカオ?」

クリスタ「ち、違いますよぉ……」


包帯男「………わかった。嬶天下だな」

クリスタ「だから違うってぇ……」グスン

ユミル(コイツこの外見で天然かよ。包帯に天然は……………ギリイケるかな)



包帯男「まどろっこしいな。早く言え」


クリスタ「………顔から血が出てますよ」

包帯男「あ?」



クリスタ「切り傷ですね。けっこう大きい………」


包帯男「あぁ、これか」

包帯男「中々出来る奴にやられてな」ゾリッ


ユミル「出来る奴………?」


包帯男「」ニヤッ

―――――――
―――――
―――





アニ「はぁっ、はぁ………」


アニ「………負けた。負けたのか、私……」



包帯男『最後のは中々良かったぜ』

包帯男『……だが、トドメのつもりで振った一撃で相手を倒せなかったらその時点でお前の負けだ』



包帯男『…敗者の命は勝者のモノ』

包帯男『お前の命は俺が預かる。…また挑んで来い。お前の秘密は黙っといてやる』

包帯男『さっきお前と話していた奴らもだが、お前も誰にも何も言わないことだ』



包帯男『…最後に名を聞いておく。名乗れ。拒否権はねぇ』

包帯男『………そうか、アニ・レオンハートか。……因みに俺は名乗らないぞ』


包帯男『知りたかったら俺を殺してみろ』ニヤッ



アニ「……くそっ」ダン!

アニ「初日にこんな失態をするなんて………」


アニ「……包帯野郎。アイツは普通じゃなかった」


アニ「何者なんだ………」



アニ「………それにしても、疲れた………」バタッ



包帯男「ま、良い遊び相手が出来たって感じだ」


ユミル「……殺し合いが遊びなのか?」


クリスタ「そ、それよりも早く手当てをしないと!」


包帯男「あぁ?こんなもん放っときゃ治る」

クリスタ「だ、ダメですよ!その包帯も血で汚れちゃったから替えて洗わないと…」

包帯男「…いや、だから」

ユミル「言うことくらい聞いとけ」

包帯男「何で俺がお前らの言うことを聞かなきゃいけねぇんだよ」

ユミル「見てて心臓に悪い。早くしろ」


包帯男「ぐっ……」


包帯男「……悪いけど、この包帯は人前では外したくないんだ」

ユミル「んな設定どうでもいいから、ほら」グイッ

包帯男「てめっ、やめろっての!」

ユミル「大体お前、切られたか何かは知らんが、そのせいで包帯も切れて目の回りが少しみえてるぞ」


包帯男「げ」


クリスタ「今新しい包帯持ってきますから、ちょっと待っててください!」タタッ

包帯男「ちょっ……」


ユミル「……諦めろ。あの天使は筋金入りの良い子ちゃんだから」ポン



包帯男「…」

包帯男「………良い子、か」


ユミル「……あれ?」

包帯男「あ?」


サシャ「」スピー


ユミル「……いつから寝てた?コイツ」

包帯男「知らねぇ」


ユミル「………ま、いっか」


ユミル「よっ……と」ボスッ

サシャ「ぐぇぎゅう…」スピー


包帯男「……蛙が潰れたような声出したぞ」


ユミル「良いんだよ別に」



ユミル「………お前さ、何で包帯なんかしてるんだ?」


包帯男「さぁな」

ユミル「……ものすごい傷があるとか」

包帯男「ねぇよ。因みにガンメンもらったのはアレを始めてからは初めてだ」

ユミル「(アレ?)……じゃあ不細工なだけか」

包帯男「お前失礼過ぎねぇかオイ」イラッ

ユミル「…じゃあ、いつからつけてるんだ?」

包帯男「……この兵団に入ると決めてからだな」

ユミル「……ふーん」


タッタッタッ


ユミル「お、戻ってきたな」

クリスタ「包帯もらってきましたよ!」

包帯男「………おい」


クリスタ「! な、何ですか………?」オドオド


包帯男「………お前と俺は年頃が同じくらいだろ、敬語なんて使うな」



クリスタ「え………」


ユミル「! ほう…」




クリスタ「………うん!」パァッ


包帯男「……俺は手当ては自分でやる。向こう向くからな」クルッ

クリスタ「あ、じゃあコレ…」つ包帯

包帯男「おう」パシッ

シュルシュル…


ユミル「……しっかし、おかしな奴だなお前」


包帯男「……まぁな」シュルシュル

クリスタ「……そういえば、もうすぐで女の子が二人来るよ」

ユミル「あ?何でだ?」

クリスタ「この娘のことを心配してたみたい……………って!あなた、何でその娘の上に乗ってるの!?」


ユミル「良いところに椅子が居たからな」

サシャ「」スピー

包帯男(うるせぇ……)シュルシュル

「やぁ、その娘は大丈夫かい?」

「…」

クリスタ「あ、来たみたい」

ユミル「ん………」クルッ

ユミル「………」ジーッ

「……え、どうかした?」

「……?」

ユミル「………女の子が二人?」

クリスタ「え?うん」

ユミル「……金髪の方は男だろ」

クリスタ「え゙」

「」

「……その通り。アルミンは男の娘」

アルミン「字が違うから!!!ミカサ!!」

包帯男「…」シュルシュル


アルミン「み、皆が僕を女の子と間違えるんだ………」ウルウル


クリスタ「ご、ごめんなさい!!」


アルミン(て、天使が謝っても………コレばっかりは、コレばっかりは!!)



アルミン「ウワァァァァァァン!!!!」ダッ


ミカサ「あ、アルミン!」

ミカサ「…」

ミカサ「……その娘は大丈夫?」クルリ


クリスタ「え?」

ユミル「……まぁ、大丈夫だろ」

サシャ「パァン…」スピー


ミカサ「……そう」

ミカサ「…なら、いい……」


クリスタ「う、うん」

ユミル(コイツは独特な喋り方をするな…)


ミカサ「………。………?」

包帯男「…」シュル…シュル…

ミカサ「…」


ミカサ「………まぁいい」

ミカサ「先に部屋に行っている」

ユミル「あぁ、同室の奴かお前」

クリスタ「うん、後でね」

ミカサ「うん」


ミカサ「………アルミン、待って…」タッ


ユミル「……行ったか」

クリスタ「私たちもそろそろ戻ろう」

サシャ「」スピー


包帯男「……俺も手当てが終わった」ギュッ

包帯男「そろそろ寝るからな、じゃあな」


ユミル「おい、何処行くんだよ」

クリスタ「寮はあっちだよ?そっちは森だよ……」


包帯男「寮だぁ?そんなトコで寝るかよ、危なっかしい」

ユミル(……危なっかしい?)

クリスタ「じゃあ何処で寝るの?」


包帯男「森の中の木の上だ。高いトコが好きなんだ…」

ユミル「高いトコって……………ガキかお前は」

包帯男「ケッ」

クリスタ「高い場所はちょっと怖いかなぁ……」

ユミル「おいおい、立体機動訓練とかどうすんだよ」

クリスタ「どうしよう……」テヘヘ

ユミル「ったく…」


包帯男「………じゃあな」

クリスタ「じゃあな、じゃないよ」

包帯男「?」

クリスタ「おやすみ、だよ」


包帯男「………おやすみ」

クリスタ「うん!おやすみ」

ユミル「……プッ。おやすみ」プププ


包帯男「」イラッ


翌朝―――――――


クリスタ「………んぅ」モゾモゾ


クリスタ「……ふゎぁぁあ~」ノビー


ユミル「おっ、おはようクリスタ」

クリスタ「うん………おはようユミル」


「クリスタ、おはよう!昨日は盛り上がったねー!」


クリスタ「ミーナ、おはよう。うん、楽しかったね」


ミーナ「でも今日から訓練かー。ちゃんと皆についていけるかな………」

クリスタ「大丈夫だよ!一緒に頑張ろ!」

ミーナ「…うん!」



ユミル「」チラッ


ミカサ「」キュッ

アニ「……」zzz・・・

サシャ「今日の朝ごはん何ですかねー」


ユミル「皆起きたな………約一名を除き」


ミーナ「えーっと………ほら、起きてアニ!」


アニ「…………ん」モゾモゾ



包帯男『俺を殺してみろ』



アニ「」ガバッ!


ミーナ「へっ!?」


アニ「…」

ミーナ「おはようアニ。………ど、どうかした?」


ユミル「…怖い夢でも見たんじゃねぇか?」


アニ「………フン」パサッ


ミーナ「あ、待ってよアニ!私も顔洗いに行くから!」




ユミル「……何だアイツ?」

クリスタ「何かあったのかな…」



クリスタ「………あれ?」


ミカサ「」シュルシュル


クリスタ「ミカサ」

ミカサ「何?クリスタ……」

クリスタ「ミカサ、昨日もそのマフラーを着けてたよね?今は別に寒い時期ではないけど……………どうして?」



ミカサ「………これは忘れ形見」


クリスタ「え?」



ミカサ「私に残された唯一のモノ」



ミカサ「………それだけ。そしてそれが全て」



クリスタ「……マフラーが、全て?」


ミカサ「…この話は話すと長い。また今度」

クリスタ「……うん」


サシャ「あ、あの…」

クリスタ「サシャ、どうかした?」

サシャ「き、昨日はありがとうございました」

クリスタ「あ、うん。どういたしまして」

ユミル「そんな礼なんざいらねぇよ。恩義で返してくれりゃあな」


ユミル「……例えば、水汲みの当番を代わってくれるとかな」ニヤァ


サシャ「え」

クリスタ「ゆ、ユミル!?」

ユミル「女神だって対価は要求するんだ、私らだって要求してもいいだろう?」

サシャ「うぅ……わかりましたよ」


クリスタ「サシャ、別にそんなことは………」

ユミル「良いんだよ、ほら行くぞクリスタ」グイッ

クリスタ「でも…」



ユミル「甘やかしたらアイツの為にならんだろ」ヒソヒソ

クリスタ「!」


ユミル「人に優しくするのと人を甘やかすのとは違う。人に優しくしたいんだったら覚えとけ」 ・・・・・・・・



クリスタ「………うん」


食堂――――――――


ユミル「さて、けっこう人が居るな」

クリスタ「皆早起きなんだね」

サシャ「まだ配分は始まってないですね…」


ホットイテモイイダロ デモヨー


ユミル「………ん?」

クリスタ「…あの人、確か………アルミンだっけ?」

ユミル「何だアイツら、眉間に皺寄せて………………ムサいな」

サシャ「何か困ってるようですね」


クリスタ(困ってる?)ピコーン



クリスタ「………声かけてみよ!」タッ

ユミル「おい、またかよ!」


クリスタ「おはようアルミン!」


アルミン「あ、クリスタ」

ライナー(き、昨日の天使!//)

ジャン(うお、女神!?//)

ベルトルト(そういえば昨日ライナーが何か言ってたっけ)

マルコ「え、えーと………初めまして//」

コニー「お、初めて見る顔だな!」



クリスタ「どうしたの?こんなに大勢で集まって……」

ユミル(わざわざ声なんかかける必要なんかないってのに)

サシャ(パァンまだですかね~)


アルミン「…僕らの部屋は七人部屋なんだけど、昨日寝るとき六人しかいなかったんだ」

クリスタ「え?」


アルミン「それで残りの一人を捜すかどうかで話し合いになってね………」

ジャン「別に放っとけば良いだろ」

ライナー「何を言う、規則は守るべきだ」

アルミン「……と、まぁこんな感じに」


クリスタ「………それって」

ユミル「放っとけ」


アルミン「え?」

ユミル「ソイツは昨日森で寝てた筈だ。……しかも本人の希望で」


アルミン「ど、どの人?」

ユミル「……えーっと、まだ来てないんじゃねぇか?」

クリスタ「うん、いないみたいだね」


ミカサ「おはようアルミン」

アルミン「ミカサ。おはよう」

ジャン「あ、き、昨日の……///」

ミカサ「…確か………ジャン?」

ジャン「!! そ、そうだ! おはようミカサ!!///」



ジャン(っしゃあ、ミカサとのおはようキターーーー!!!!////)


ミカサ「………どうかしたのアルミン、こんな所で」

アルミン「……ちょっとね」



……ガチャ



クリスタ「……あ!」

ユミル「…来たみたいだぜ」


包帯男「…」ザッ

ザワッ…


ジャン(……アイツは!!!)

アルミン(昨日ジャンが言ってた……)

ミカサ「……包帯男」ボソリ


包帯男「…」スタ…スタ…

アルミン(……何て人だ)

アルミン(あの人が室内に入っただけで緊張感が走った)

アルミン(…異様な容姿からか)

アルミン(はたまた、彼が発する威圧感からか)


ミカサ「…」

アニ「…」ギリ


クリスタ「あ、おーい!」


アルミン「へ!?」

ジャン「なっ…」


ユミル「何1人でしんみりやろうとしてんだ。さっさと来いよ!」


ザワッ…



包帯男「………アホ共め」スタスタ




ジャン(な、何考えてんだコイツら!どう考えてもヤベェだろ!)

アルミン(彼の事実を知らなかったとしても、彼を恐れないのはおかしいでしょ!)


包帯男「」ザッ


ジャン(き、来やがった!)

ジャン(………いや!逆にドンと構えてりゃ良い話だ!後々嘗められないためにもな!)

ライナー(…コイツ、確かアニが言ってたヤツじゃ……)

ベルトルト(……なんて目だ。…いや、けどこの目はどこかで………)

アルミン(まさか同じ部屋だなんて!………いや、仲良く出来たら別に良いんだけど)


クリスタ「…えっと、紹介するね?」


包帯男「しなくていい」ボソッ

ユミル「黙ってな」


クリスタ「えーっと、この人はね……」




・・・・・・。




クリスタ「………この人はね…」




・・・・・・。




クリスタ「………そういえば、私、名前知らない」


一同「「「「「」」」」」


クリスタ「名前、何ていうの?」

包帯男「…ねぇよ」

クリスタ「え?」


包帯男「名前はない。もうないんだ…」


ユミル(…………もう?)



クリスタ「………そっか」

クリスタ「……じゃあ私がつけてあげる!」







包帯男「は」

ライナー(天使に名付けられるだと!?うらやましい!妬ましいぃ!!)


包帯男「何言ってるんだよ?」


クリスタ「だって名前がないと不便でしょ?」

包帯男「……いや、そりゃそうかもしれないけど………」

クリスタ「だったら名前は要るよ!!」

包帯男「……………もうなんでもいい。勝手にしろ」


クリスタ「うん!」パァッ





包帯男「………負けた」

ユミル「フッ」ポン


“女神”クリスタ「………と、いうわけで包帯男の名前を募集するよ!>>1が気に入った奴、またはある特定の名前が出たら、その名前に決定するからね!よろしく!」



ユミル「どうしたんだクリスタ?」

クリスタ「ううん、別に♪」クルッ

ユミル(天使)ホッコリ

“女神”クリスタ(危なかった…)




包帯男(………名前、か)



ミカサ(………)



今回はここまでにします。

ありがとうございました。


包帯男の名前は本当に募集します。

皆さん、いくらでも候補をくださって構いません。

よろしくお願いします。


このSSは別の掲示板で書いていたモノですが、事情があってそちらでは書けなく、というより書きたくなくなり、こちらの掲示板に移りました。

というわけですので、宜しくお願いいたします。

皆様、ご協力ありがとうございました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






クリスタ「えーと………」


クリスタ「イリアなんてどう?」

包帯男「女かよ。却下」

クリスタ「……じゃあ、ニック!」

包帯男「下衆な感じがする。却下」


クリスタ「後は………」ンー

包帯男「………」

ユミル「文句が多いぞお前」

包帯男「こっちは頼んでねぇんだよお節介が」





クリスタ「………じゃあ、エレンとかは!?」









ミカサ「!!」ガタッ

アルミン「え」

ジャン「?」

クリスタ「…ミカサにアルミン、どうかした?」

ミカサ「…」

アルミン「う、ううん!何でもないよ……」



ユミル「それも女の名前だろ。別のにしとけ」

クリスタ「………ユミル」

ユミル「コイツが断る前に言っただけだ、なぁ?」


包帯男「…」

包帯男「……あぁ、却下だ」





クリスタ「………じゃあ、ヴァンは?」


ユミル「お、良いんじゃねぇか?」

クリスタ「だよね!?どう?ヴァン!」


包帯男「………もう決定してんじゃねぇか」


クリスタ「本当!?」


包帯男「……はぁ」




ライナー「……何か話がトントン拍子に進んでるんだが、何がどうなってるんだ?」

ジャン「……警戒はしとけよ」ヒソヒソ

マルコ「え?」

ベルトルト「?」

ジャン「…アイツ、相当危険らしいぜ」


クリスタ「じゃあ、改めて紹介するね」

クリスタ「この人はヴァン。私とユミルも昨日知り合ったばかりなの」

ヴァン「……フン」

クリスタ「あ、私はクリスタ・レンズだよ。よろしく」ニコッ

ライナー(天使……)

ベルトルト(確かに可愛い)

クリスタ「この長身の娘はユミル。ほらユミル、挨拶しないと」

ユミル「……チッ。ユミルだ」


コニー「ぶあいそうだなーお前」


クリスタ「そういえばヴァン」

ヴァン「…………なんだよ」


クリスタ「名字も要る?私の名字あげようか?」

ライナー「!!!」

ユミル「バッカ、それじゃまるで夫婦だろうが!!?」

クリスタ「え?家族っていうのもあると思うんだけど………」

ユミル「あ」




ヴァン「………名字はある」

クリスタ「え!?」

アルミン「………な、何で名字だけなんだい?」オドオド

ジャン(!? 何やってんだアルミン!!)


ヴァン「」ギロ

アルミン「」ビクッ

ミカサ「アルミンを苛めるな」

ヴァン「…苛めてねぇよ」

ヴァン「……不本意ながら、名字だけもうもらってた」

ユミル「へぇ。何て言うんだよ」

ヴァン「…」







ヴァン「………ブレチェンスカ」

>>108
うるさい氏ね

1です。

誠に申し訳ありませんが、このスレでの書き込みはこれで終わりとさせていただきます。

別のしたらばの掲示板で続きを書かせて頂きます。

ありがとうございました。

ミカサ「消えた私の英雄」アルミン「露る皆の殺人鬼」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1399986900/)

すみませんどうも。

ネット上なんで信じてはもらえないとは思いますが、1です。

>>109>>110は1ではないのでご了承ください。

自分は今、別のスレを書き終えようと必死になっています。

ちなみにエレン「…何だコレ?楽器?」アニ「…」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.m.shitaraba.net/b/i.cgi/internet/14562/1396780301/)です

もう少しで書き終える予定なので、お待ちくださってる方々、もう少しだけお待ちいただいてもよろしいでしょうか?

何卒よろしくお願いいたします。



ウォール・ローゼ上、トロスト区方面――――――。



「…」



ヒュウウゥゥゥ……。



「……風が強いのう」




「ピクシス司令!こちらに居られましたか!」


ピクシス「おお、リコか」


リコ「…墓参り、ですか」



ピクシス「…うむ。二年前に逝った奴らのじゃ」


リコ「…では、私も」ザッ




リコ「…」

ピクシス「…」

リコ「……しかし、汚い字ですね」

ピクシス「全くじゃ。墓石に彫った字とはとても思えんわい」



リコ「……『俺の恩人 ここに眠る』、ですか」


ピクシス「……では、奴の好きな酒でも振るってやるかのう」キュポン


リコ「…」


ピクシス「……奴は最後まで兵士として立派に尽くした」コポコポコポ…


ピクシス「巨人襲来をはずれの村まで報せに行き、最後は己の命を捨ててでも一人の少年の命を救った」キュッ


ピクシス「…奴みたいな兵士が増えてほしいものだのう」



リコ「」スッ


ピクシス「…何じゃ、またか?」


リコ「…はい」


リコ「…弟を救った、お礼をもう一度」

何で深夜に来たの?
大人しく進撃BBSでやれば良いのに

>>115 深夜と進撃BBSとを往復するのが手間だったこと、元々は深夜でSSを書いていたこと、それから進撃BBSは子供が多いことが理由です。

余り自分も年齢は変わらないかもしれませんが、向こうよりは幾分増しな筈ですから。



ピクシス「……弟ではなく、義弟の間違いではないか?」

リコ「…それでも、私の弟に違いありませんから」


ピクシス「…奴は上手く入団したかのう」

リコ「大丈夫ですよ、ちゃんと教育しましたからね」ドヤァ

ピクシス(…ただ甘やかすだけが教育なら誰でも出来るわい)


ピクシス「…まぁ、キースにも奴のことは言ってある。問題はなかろう」

リコ「はい」


リコ「…では、もう一つの墓も」


ピクシス「…その墓はあまり意味がないような気がするんじゃが」

リコ「…いえ、そんなことはありません」

リコ「…あの子が生きている限り、この墓は意味を為すのですから」


ピクシス「…」


ピクシス「……『845年』」





…『最低で最悪な少年

  エレン・イェーガー

  ここに眠る』



立体軌道の適性審査も終わり、次の訓練へ。


その訓練が…………走り込み。



ただただひたすらに走る。

ぶっ倒れるか、夕食の時間まで走るか、どちらかしかない。

勿論倒れたら倒れたでキツい訓練は更に増やされる。


……地獄だよ。簡単に言ってるけどキツいよ?コレ……。



……尚、僕の幼馴染みは依然トップで軽そうに走っている。


……馬並みの体力だ。



ジャン「はぁ、はぁ……」タッタッタッ


ジャン(くそ、かれこれ5時間は走ってるぜ!昨日の芋女と同じくらいじゃねーか)タッタッタッ


ジャン(そろそろ日も暮れるし、もうすぐ終わるはずなんだが…………クソッ!)タッタッタッ


ジャン(……ていうか何でトップ連中はあんなに走れるんだよ!ミカサやあの金髪なんて女だぞ!?)タッタッタッ



キース(今期は女が強いのか………)



ミカサ「」タッタッタッ


ミカサ(…直ぐ後ろに二人、更に後ろに二人。他は見えないけど…………アルミンは大丈夫だろうか?)




アニ「………で」タッタッタッ

ヴァン「で?」タッタッタッ

アニ「何でアンタは私についてきてんのさ」タッタッタッ

ヴァン「オレがこんくらいのペースで走ってるだけだろ」タッタッタッ


アニ「……私たち、昨日殺しあったんだよね?」タッタッタッ

ヴァン「そうだったな」タッタッタッ



アニ「…意味わかんない」

ヴァン「オレもお前が何言ってるかわかんねぇよ」



ライナー「…」タッタッタッ

ベルトルト「……あの二人、仲が良いの?」タッタッタッ


ライナー「…いや、そんな訳ないだろ。アニはアイツのことを警戒してるんだろ?」タッタッタッ


ベルトルト「…うーん」タッタッタッ



ライナー「…しかし奇妙な奴だぞ、奴は」タッタッタッ

ベルトルト「ヴァン・ブレチェンスカ、だっけ?」タッタッタッ



ライナー「あぁ。生い立ちも話を聞く限りはよくわからんし……」タッタッタッ

ベルトルト「『名前はもうない』みたいなこと言ってたよね」タッタッタッ



ライナー「あぁ。……普通ではないことは確かだ」タッタッタッ

ベルトルト「他の兵士にはない鋭さも見えるよ。要注意だね」タッタッタッ







マルコ「先頭の5人軽そうだなぁ…」タッタッタッ


コニー「ヒャッホー!」ピョイン

サシャ「ワウワゥー!」ダッ



マルコ「……あの二人はバカなだけか」タッタッタッ


夕食時――――――――

ミーナ「」グッタリ

ユミル「…死んでるな」

サシャ「じゃあミーナのパンは頂きますね」

ユミル「待て」

サシャ「ワウッ!」ピタッ

ユミル「…」


クリスタ「……あれ?」


ヴァン「」スタスタ

クリスタ(ヴァンったら、一人で食べる気だ……)


ライナー「…ちょっといいか?」

クリスタ「え?はい」



ライナー「い、一緒に夕食でも食べないか?………交友の為に」

クリスタ「はい、いいですよ?」

ライナー(よしっ)

ベルトルト「」アキレ



ユミル「おいコラ。何勝手にクリスタとメシ食おうとしてんだ」


ライナー「勝手にではないだろう。クリスタも許可をくれたんだし」

ユミル「……私も一緒に食うからな、クリスタ」

クリスタ「うん、もちろん!」

ライナー「……ならベルトルト、お前もどうだ?」

ベルトルト「……」

ライナー(…頼む!)

ベルトルト「…じゃあそうさせてもらうよ」



クリスタ「じゃあミーナとサシャも………」

ユミル「……アイツも誘う気か?」

クリスタ「? うん」



ユミル「……おい、包帯野郎!」


ヴァン「あ?」

ユミル「こっち来いよ、メシ食うぞ」


ヴァン「…断る」

ユミル「来ねぇなら無理矢理引っ張ってくぞ」

ヴァン「……ハァ」



ヴァン「………ン」


アニ「」モソモソ


ヴァン「……」ニヤッ スタスタ




アニ「………何か用?」

ヴァン「お前も来い」

アニ「は?」

ヴァン「拒否権はねぇ。…バラすぜ?」
            ・・・



アニ「……ちっ」ガタッ

ヴァン「良い子だ」ナデナデ

アニ「触るな」バシッ





ミカサ(……あの一角、とても人が集まっている)


ミカサ「…アルミン」

アルミン「」

ミカサ「……疲れてるの?」

アルミン「」コクリ

ミカサ「…じゃあ、無理矢理連れていく」

アルミン「ぇ」


ミカサ「行こう」グイッ

アルミン(抵抗力ゼロ)ズルズル


ジャン「なぁミカサ!オレも良いかな………」


ミカサ「…良いけど私たちは向こうで食べる」


ジャン「お、おう!///」

ジャン(ミカサに近づく良い機会だぜ……)

ジャン「あ、そうだ オレのダチも連れてくぜ」


ミカサ「…うん」




アルミン(…春だなぁ)

ライナー(………おかしい …オレとベルトルトとクリスタとあのユミルって奴だけでの夕食の筈だったんだが……)


クリスタ「サシャ、まだダメだよ」

サシャ「」グッタリ

コニー「死んでんじゃねえのか?」

ユミル「待てが長いから腹空かしてまいってるだけだ」

ベルトルト「え?僕?」

ミーナ「うん!私はミーナ!あなたは?」

アルミン「…ご飯食べれるかなぁ」

ミカサ「…頑張って」

ヴァン「ンっだよ」

アニ「もう少し向こう行きな」グイッ

ジャン(…ミカサが遠いなぁ)

マルコ「ここだけ凄い人多いね」


ライナー「カオス」



ライナー「……えーと、じゃあ………」


ライナー「初日の訓練、お疲れ様だ!」


ライナー「一日目の訓練とはいえとてもキツかったな!」

ライナー「だがしかし!! この程度でヘコたれるような奴はこんな場所には来ないだろう!」


ライナー「皆何か……目的があって来た筈だ …強固な意思を携えて!」


ライナー「その目的を達成する為にも! オレたちは下を向くわけにはいかん! 前を見続けなければならない!」



ライナー
「…オレたちは、兵士だからな」ニカッ



ライナー「まずは初日を乗り切り、メシを食えることに感謝しよう!つーわけでいただきます!」パン


クリスタ「いただきます!」パン







ライナー「やらないのかよお前ら!!」


サシャ「お腹空いてたんで」ガフガフ

コニー「話なげぇ」モグモグ



ライナー「食事のマナーを守ろうとは思わんのか!?」


ユミル「テメェ以外は全員挨拶したよ クリスタは二回目だ」


クリスタ「ちょっと、ユミル!?」ヒソヒソ



ライナー「…何かすまん、クリスタ」

クリスタ「え、いや全然そんなことないよ…」アセアセ



ミカサ「しっかり食べないと明日も走れない アルミン 食べて」

アルミン「頑張って食べてるよ…」モソモソ


ヴァン「…」モグモグ

アニ「…何」モソモソ

ヴァン「…さぁな」モグモグ



ライナー「…さて、これだけ人が居るんだ」

ライナー「決起集会でもやるか?」



マルコ「これからの意気込みをここで言うってこと?」

ライナー「あぁ …言ったからにはもう後に退けなくなる」


ジャン「…成る程」

サシャ「もうやるしかないってことですね」ガフガフ


ベルトルト(…さて、設定はなんだっけ?憲兵だったかな?)

アニ(あのバカ、めんどくさいことを…)



…無駄なことだ、決起なんざ


どうせ続かないし、実行すら出来ない

んな決起だのあーだのこーだの言ってるうちに動くしかねぇんだよ


そうすりゃ守れるんだ、何もかも


果たせなかった約束

永久の平和

全てを奪われた少女



…………



ミカサ「………ねぇ」


ヴァン「…ン」

ミカサ「あなたの番」


ヴァン「…あぁ」




…考え事してるうちに自分の番になったらしい


いつの間にか勝手に参加させられてるし



ヴァン「」ガタッ


シーン…




……何だよ、何で黙るんだって

しかもお前らとか関係ないだろ、別の話してたじゃねーか



…見られてる、食堂中の連中から


…物好きな奴らだな



ヴァン「…兵士とは、人を守る者だ」

ヴァン「だからオレは兵士になりにきた」

ヴァン「人の守り方を学びにな」



皆意外そうな顔してやがる

当たり前か、こんな意味不明な出で立ちした奴が至極真っ当なこと言ってんだからな



ヴァン「………そして、ここにはオレの守りたい人が居る」


ヴァン「ならやるこたぁ一つ」

ヴァン「そいつを守るだけだ」


…シーン



ヴァン「…こんなんでいいのか、金髪マッスル」

ライナー「……あ、あぁ」


ヴァン「……じゃあ寝る」スタスタ

アルミン「へ」






ミカサ「…待ちなさい」


ヴァン「…何だ」


ミカサ「……何から守るの」

ヴァン「あ?」


ミカサ「私はあなたが誰を守るというのにも興味はある」

ミカサ「けど、それよりも何からその人を守るのかが気になる」

ミカサ「…差し支えなければ教えて欲しい」


真っ直ぐと自分を見る彼女の目は深い黒に染まっている

何者に妨げられても変わらない黒

しかし、言い換えると誰とでも交わる色だ


…故に、危うい



ヴァン「…全てだ」


ミカサ「…全て?」

ヴァン「そうだ」

ヴァン「そいつを生かすことがオレの義務だとオレは勝手に思っている」


ミカサ「…その人はそのことを知っているの?」


ヴァン「…知らないだろうな、反応からして」


アルミン(…反応からしてって、既にその人にはそのことを言ったってことだよね)

アルミン(ヴァンって人と喋った人の誰かってこと…………いや、違うか この場で皆聞いちゃってるからわかんないかも)



ヴァン「…だが、それで良い…………」


ヴァン「…というより知らないで欲しい」



ミカサ「…どういうこと」


ヴァン「オレはそいつに合わせる顔がないってことさ」


ユミル「……じゃあお前ただのチキンじゃねーか」

ヴァン「言い方はムカつくがその通りだ」



ヴァン「…もういいだろ、オレは寝る」

ヴァン「それと………マフラー似合ってねぇぞそれ」


ミカサ「なっ」

アルミン(!)


アルミン(ミカサにマフラーの悪口はタブーだよ!? だって、あのマフラーは……)




ミカサ「このマフラーを侮辱するな!!!!」バァン!






シンと静まり返る食堂

さっきから皆はミカサとヴァンのやり取りにハラハラしてるようだ



ヴァン「…知ってるよ」

ミカサ「……何を」






ヴァン「…エレン・イェーガーのだろ、そのマフラー」



ミカサ「なっ…?」


ミカサは明らかに驚いている

当たり前だ、その事実を知る者はそうはいない

…いや、それよりも………


アルミン「…どうして、エレンの名を知って……………?」






ヴァン「……奴のことは何でも知ってる」



アルミン「え…」

ミカサ「」



ライナー「…完全に蚊帳の外だな、オレたち」ヒソヒソ

クリスタ「…二人とも固まっちゃってるけど、どうしたんだろう」ヒソヒソ

ユミル「……何者なんだ、ヴァンってのは」ヒソヒソ




ヴァン「あんなクズの物をつけるな お前が汚れる」



ミカサ「」ダッ


ヴァンの言葉の意味がわからなかった

クズ? どういうこと? 彼は何を知ってるんだ?


…わかったのは次の瞬間、ミカサがヴァンに殴りかかったということだけだった




ミカサ「エレンを…侮辱するなァ!!!」グォッ



ヴァン「単調だな」ヒョイ

ミカサ「!」スカッ


ヴァン「素晴らしいスピードだ 人間のレベルを軽く越えてる」

ミカサ「クッ!」バッ


ヴァン「…だが、動きはトーシロだな」


ミカサ「」ダン


ジャン「跳んだ!?」



ミカサ「うああああぁぁぁぁ!!!!」ゴォッ

アルミン(あんなに必死なミカサは二年ぶりだ… やっぱり、君の心にはエレンがいるんだね…)


ヴァン「勿体ねぇな」パシッ


ミカサ「グッ!?」


ヴァン「お前は輝く原石だな」


ヴァン「これから間違いなく強くなれる」



ガチャ…

一同「っ!!!!」


キース「…今しがた大声が聞こえたのだが………説明してもらおうか」


アルミン(ミカサの声だ…!)




ヴァン「オレです」



アルミン「へ?」

ミカサ「!?」



キース「…ブレチェンスカ、後で私の部屋に来い」

ヴァン「…」

ギイッ………

バタン


ミカサ「…何故」


ヴァン「…オレがお前を吹っ掛けたからだ」スタスタ

ミカサ「…」



ヴァン「おい」

クリスタ「…私たち?」

ユミル「バカな奴だな包帯野郎」

ヴァン「うるせぇよ ………またな」

クリスタ「!!」パァッ

ユミル「…またなじゃなくておやすみだろ」


クリスタ「うん! またね!」

ユミル「おいコラ天使」



ギイッ… バタン



アルミン「…ミカサ、大丈夫?」

ミカサ「…アルミン、私は強くなる」


アルミン「え?」

ミカサ「強くなって、エレンを侮辱したことを謝らせる」


アルミン「…うん …それに、もう一つ聞きたいことがあるしね」

ミカサ「え?」



アルミン「…もしかしたら、彼はエレンが今何処にいるかってことも知ってるかもしれない」



教官室―――――――


――コンコン


教官室のドアが誰かの来客を告げる。

―が、誰かは既にわかっている。

漸くヤツと話す場を設けることができたのだ。


キース「……入れ」


ガチャ



ヴァン「失礼します」



キース「来たか」

ヴァン「ハッ」


キース「…先程の件だが、アレは別に構わん ……アッカーマンだろう?」

ヴァン「…返答はしかねます」


律儀な奴だ。…だが、そこが奴の魅力なのかもしれん。



キース「アッカーマンに関しては少しのコトは黙認するつもりなのでな 奴の才能はこちらも重々承知している」


たった2日だけでもわかる。
彼女は普通ではない。
そう遠くない未来、重宝される兵士だ。



ヴァン「…ありがとうございます」

キース「…本題はアッカーマンのことではない ……お前のことだ」



ヴァン「それは」スッ

ヴァン「…必要なことですか……?」



キース「……」


凄まじい威圧感を感じる。
若干12歳にこれほどまでの殺気を感じるとは………。

……こちらは才能ではなく、努力の塊か。



キース「…そうだ ドット・ピクシス司令から話は伺っている」

キース「お前がここにいる理由もな」


ヴァン「…」


キース「……私はお前の父親を知っている」

ヴァン「!」

キース「…旧知の仲だ」


キース「私は友人の息子が気掛かりなだけだ ……他意はない」


とりあえず言葉にしなければ奴は応じてくれない。
まずは話し合い、自分の内面を曝け出すことだ。

…そうでもしなければ警戒する人間と分かち合うことはできない。
これは経験則だ。



キース「…その包帯を取ってはくれないか お前の顔を見たい」

ヴァン「…」


ヴァン「…わかりました」





シュルシュル パサ



???「…」


キース「…余り父親似ではないな」


キース「…これからは更に辛い訓練が始まるだろう 時には逃げ出したくなる時もあるはずだ」


???「…」


キース「そんな時、新兵たちは安心の場へ帰る…………………家族の元へ」

キース「だが、お前にはそれがいない」


キース「…たまにならば相手をしてやる 父親の代わりになれるかはわからんがな………」



???「……お心遣いありがとうございます」

???「しかし、自分は逃げ出したりなどはしません」


キース「!………そうか…」


そういえばピクシス司令の話の中に、彼は異常な精神力を持っている、と有ったな………。


???「……自分は守る側の人間です」

???「人を守る人が先に逃げ出しては、兵士もクソもないでしょう」


キース「……それを実行出来る人間が少ないのもまた事実なのだ」


人間は賢い。
だが、その知能の高さ故に、逃げることを本能ではなくロゴス………理性で考え、甘い道を辿ってしまう。

それが人間、人間は弱い生き物なのだ。

こやつは、賢いながらも逃げることを考えない。

強い奴なのかもしれん……。



???「これでお話が終わりなら…………」シュルシュル…


ヴァン「下がっても?」ギュッ


せっかちな奴だ。
まだ少しも話していないというのに……。

キース「…その包帯を取って訓練に臨めと言えば… ヴァン「叶いません」…返答が早い」



ヴァン「…自分はこの顔をさらけ出すわけにはいきません」

ヴァン「これは自分の罪であり、それに対する償いでもあります」


キース「…奴らも喜ぶぞ」



ヴァン「……アイツらが喜ぶかどうかなんて関係ない」

キース「!」


先程の丁寧な口調から一転、奴の口からは荒々しい言葉が出てくる。

まるで隠すのが面倒くさい、とでも言う風に。


ヴァン「オレはアイツらが生きていればそれで良い」

ヴァン「それ以外のことなんてオレには全く関係ないことだ」




キース「……それは、義務か?」

キース「……それとも意志か?」



ヴァン「…心底にある、望みだ」


重みある言葉。
包帯から垣間見える強い金色。

全てが彼の意思の強さを現していた。



キース「…ならば言うことはない 存分に励め」


ヴァン「…えぇ」

ライナー「オラァ!!!!俺のちんぽ舐めて綺麗にしろやぁ!!!!」

ミーナ「ふぐぅ..!」

ライナー「ほら...俺の鎧の巨人はもう限界なんだよ...!!」

ミーナ「んん...///」ペロペロ

ライナー「ほら!!チンカスも全部綺麗に食べろよ!」

ミーナ「ら...ライナーぁ...//」ペロペロペロペロ

ライナー「うぅっ...!出るっ...!」ドピュドピュ

ミーナ「美味しいよ...//」ペロペロ

ライナー(可愛い...)

ライナー「ミーナ!付き合ってくれ!!!」

ミーナ「>>18

すまん。誤爆



104期訓練兵団が結成されてから一週間が経った。
徐々にそれぞれの優劣が目立ってきた頃だ。

私、ミカサ・アッカーマンはどうやら期待されているらしく、教官たちの私への待遇はかなり贔屓モノだろう。


だからといって私がすることに変わりはない。

ただ訓練をし、身体を鍛え、アルミンを守れるようになる。
それだけのこと。


…ただここ最近、強くなりたいと願う動機が増えたことは確かだ。

>>185 次からは気をつけて


…私はここ数年、私の英雄、エレン・イェーガーを捜してきた。

私を助けてくれた彼は、その直後に行方を眩ましてしまっている。


拐われた?出て行った?それとも………。


最悪のパターンだけは考えないようにしていた。
きっと彼は生きている。

そう信じていた………。



そして先週、漸く手掛かりが見つかった。


それこそがヴァン・ブレチェンスカその人だ。



“素性、謎”。


この二言だけで彼のことを説明できる。

とにかく何もかもが分からない人だ。


わかっていることは………。


・男である
・殺人を犯したことが何度もあるらしい
・体力はトップクラス
・以前は別の名前があったらしいが現在は“ヴァン”
・エレンのことについて何か知っている



後、もうひとつ彼について分かったことがある。



……強い。


突きはいなされ、蹴りはかわされ……。

私が体術の素人だということもあるかもしれないが、それでも彼は強い。


何より彼は私の拳を恐れていない。

私の拳は常人なら簡単に骨を折ることも出来るレベルなのに。



もしかしたら彼は訓練を受けたことがあるのかもしれない。

立体機動も何故か楽々こなすし、馬術もお手のモノだ。


……ただ、座学はそこまでではない。

アルミンの方が遥かに勝っている。



彼は何者なのだろうか。

エレンの何を知っているのだろうか。


それらを知る為には強くならなければならない。

ヴァンの口から真実を吐き出させなければならない。


私はやり遂げて見せる。



私に残された、最後の手掛かりなんだ―――――。



クリスタ「―ミカサ?」


ミカサ「」ハッ


クリスタ「どうしたの?ぼーっとして………眠いなら横になった方が良いよ?」

ミカサ「…」


ミカサは自分が思いに耽っていた場を寝室だと思い出した。

目の前のクリスタがこちらを覗いている。

他を見渡すと、サシャは既に夢の中へ、ミーナは髪をとかし、ユミルはこちらを見ている。

…そうだ、もうすぐ就寝だ。



よく見るとこの部屋にいない人物のことに気がついた。……アニだ。


ミカサ「…そういえば、アニはどこに?」

クリスタ「アニなら一時間くらい前に出ていったよ」

ユミル「ここ一週間ずっとこの時間帯にはいないな。何かしているんじゃねぇか?」


ミカサ「……そう」



……特訓でもしているのだろうか。

真面目そうな性格にはあまり見えなかったけれど………。



同時刻、近場の森にて――――――。


ヴァン「」バシャバシャ

ヴァン「……ふぅ」ギュッ



ヴァン「…で、そこで何してんだお前は」


アニ「アンタを見てる」


ヴァン「オレの裸体なんざ見て楽しいか?」

アニ「こっちに身体向けたら蹴るよ」



ヴァン「じゃあお前が見なきゃ良いだろ」

アニ「私が見たいのはアンタの身体じゃなくて顔だ」

アニ「包帯を取った素顔が見たくてね、顔だけこちらに向けてくれないかい?」

ヴァン「やなこった」

アニ「ケチだね」


ヴァン「うるせェ、大体なんでオレの顔が見たいんだよ」


アニ「普段顔を隠してる奴なら逃走の時等で上手くいくだろ」

アニ「素顔を晒せばね」



ヴァン「後々オレを緊急時に逃さない為に、か」

アニ「大体はそんな感じかな。……逃がしゃしないよ、アンタは知ってはいけないことを知ったんだ」

ヴァン「…フン」バシャ




ヴァン「……ところで、今日も挑みに来たのか」イソイソ



アニ「当たり前」

ヴァン「ここ一週間ずっとだな」イソイソ

アニ「勝つまでやるさ」

ヴァン「何故だ?」イソイソ

アニ「アンタが秘密を知っているからだよ。アンタの行動次第では壁の中の人類の未来が変わるような秘密を」

アニ「アンタを殺せるようになるまで、私は挑み続ける」







ヴァン「……それだけじゃねぇだろう」


アニ「!!」



ヴァン「本当にオレに死んでほしかったらあの体格の良い二人に言って、三人掛かりでオレに不意討ちでもすりゃいいだろうが」イソイソ

ヴァン「その方がよっぽど確実だ」イソイソ



アニ「……まだアンタを殺すと決めたわけじゃない」


ヴァン「そんなことを言うタマかよテメェら。壁の中の人類全員が関わるようなことをする奴らがたった一人のちっぽけな命を気にするか?」イソイソ


アニ「…」




ヴァン「…恐らく、お前がオレに挑み続けるのには他に理由がある筈だ」



ヴァン「…しかも個人的な理由なんだろうな。あのマッチョとノッポにも言ってないんだし」イソイソ


アニ「…アンタ、私のことを監視してるの?」

ヴァン「まさか、マッチョとノッポの方に決まってんだろう。同じ男だから監視しやすいしな」イソイソ





アニ「…良かった、私より強い上に変態じゃなくて。発狂するとこだったよ」

ヴァン「誰が変態だゴラ」ピキ



ヴァン「じゃ、やるか」ギュッ


アニ「」



こちらを振り向いた奴は、普通の服装を身に纏っていた。

どこにでもありそうなシャツにズボン。

靴も履いて、模範的な少年だった。


…………そう、シャツとズボンと靴と下着。彼が身に付けているのは、それらだけだった……。





アニ「…あ、アンタ…………包帯は……」



ヴァン「あ?別にお前には顔見られてもいいからな」


そう告げる彼は、こちらに「何言ってんだコイツ」と言いたげだ。



…綺麗な顔をしていた。

傷があるわけでもなく、何かできものがあるわけでもない。

顔が醜いというわけでもない。

ただの色白な肌に、ただの真っ黒な髪。

少し人と違うのは、その意志の強そうな目。


アニ「……ヘテロクロミアだね。初めて見たよ」


ヴァン「…まぁな」



文字通りの金銀妖瞳。
黄と青ではなく、金と銀。

見ていて飽きない色組み合わせ……。


ヴァン「ただ、オレは虹彩異色症じゃない、オレのは後天的なモノだ」


アニ「…それは、つまり…」



ヴァン「……貰い物、っつうこった」


そう言って銀目を撫でる彼は、嬉しくもあり、だが悲しくもあり……といった表情で、複雑な顔をしていた。



……どうやら、今更ながらただ者ではないらしいね、コイツ。

これ見てる人いるの?

>>207 いないかもね



アニ「…」


ヴァン「…なんだ、お前………辛気くせぇ面しやがって。そんな顔も出来るのか」

ヴァン「…やっぱりお前もただの人じゃねぇか」ニヤッ


彼は笑う。その笑みに、初日に感じた得体の知れない恐怖は感じなかった。


ただ、嬉しい。


そんな、子供のような笑顔だった………。

前スレでも思ったけど、この作者のスレ自演と読んでないのに書き込むヤツ多過ぎ
ハイスペック系エレンみたい

>>217 誰が自演だと? 今までレスしてくれた人たちに謝罪した方が良いぞ



アルミン「…それからしばらくして、あの日がやって来た。……そう、あの日」

アルミン「ヴァンの紹介で、駐屯兵団に行ったあの日」



アルミン「…真実へと、一歩、踏み入れたあの日が…………」



ミカサ「…」

アルミン「…ミカサ、戻らないのかい」


ミカサ「…」

アルミン「ヴァンとまた言い争って、食堂の雰囲気を悪くしたからって………。皆心配してるよ?」

アルミン「仲裁役のライナーとクリスタも、気になんかしてないって言ってたし」




ミカサ「…」

ミカサ「…分かっている」


アルミン「…」



ミカサ「私が悪いってことくらい、分かっている」

ミカサ「…でも、割りきれない」


アルミン「…ミカサ」


ミカサ「エレンを侮辱する奴が、憎らしくてたまらない…」ギリ


アルミン「…」

アルミン「…とりあえず戻ろう。ね?」


ミカサ「…」



食堂に戻ると、おかえりーと言う皆。

その奥の方に、クリスタとユミル。
……それからなんと、ヴァンを視界に認めた。

何故か今日はまだ食堂に居る。

いつもミカサと何かあったらさっさと寝床に行くのに。


…でも、これはチャンスだ。

前スレからちゃんと読んでるっぽいヤツにまで喧嘩売ってどうすんだよ…
>>217はどちらかと言えば荒らし多い事についてフォローしてくれてる発言っぽいんだけど

どうも、>>1です。

何かギクシャクしてきたんで、少し謝罪を含めたコトをお伝えしましょう。

自演のことについて。

自分がSSを書き始める前、自演があったSSをけっこう読んできました。

その自演があったSSは大抵、荒らされたり、乗っ取られたりして、最後まで完結しませんでした。

そのことがあって「自演」って言葉自体に敏感になってるんです。

というより、ネット上のスレによるSS作者にとっては誰でもそうなんじゃないですかね?

だから少し口調が強くなってしまった、と思います。

>>217さん、どうもすみませんでした。

これからは発言する前には、投げ掛けられた言葉をよく咀嚼して、考えようと思います。

ですよね、>>224さん?



ヴァン「よぉ…ちょっと良いか」


なんと!彼から話しかけてきた。

これは願ったり叶ったりだ。

ていうか初めて話しかけられたんだけど。


アルミン「う、うん。ほら、ミカサ…」

ミカサ「…」



ヴァン「…いや、お前ら二人に用があるんだ」



アルミン「へ?」

ミカサ「……何」


ヴァン「…知りたいんだろ、エレン・イェーガーのことが」

ミカサ「!!!!」

アルミン「も、もしかして…」



ヴァン「…明日の休日、ウォール・ローゼに行くぞ」

ヴァン「少しだけ教えてやる」



ミカサ「…どういう風の吹き回しなの」

アルミン「そうだよ!何で…」


ヴァン「…あの男に言われたんだ」クィッ


ミカサ「あの男……?」




ジャン「…」チラッ


アルミン(ジャン…!)


ヴァン「食堂の雰囲気が悪くなる一方だからどうにかしろってな」



アルミン(ミカサの為か!ありがとう、ジャン……)



ヴァン「正直言ってオレはどうでも良いんだが………まぁ、毎日コイツと責め合うのも疲れるからな」


ミカサ「…礼は……」

ヴァン「要るか。似合わねぇ真似をするな」


ヴァン「…ただ、何があっても取り乱すなよ」


ミカサ「…」

ヴァン「その時点で説明終了。強制帰還だ、良いな?」


ミカサ「…分かった」

アルミン「うん…!」



エレンのことを知ることが出来る。

漸く一歩近づける……!


そう思って楽しみにしてた。明日が待ち遠しかった。

きっと、ミカサは僕以上に楽しみにしてただろう。


けどそこで、ふとヴァンのいないベッドを見やると、少し思うこともあった。


…そういえば、ヴァンは「エレンに会える」なんて一言も言ってないなぁ、って。



翌日――――――。

朝早くに出発した僕らは、ウォール・ローゼに向かって歩き出した。


街中ではヴァンの容姿はとても目立つ。

まぁ、そのおかげで人混みの中はぐれることがなかったんだけど…。


アルミン「…そういえば、少し良いかな?」テクテク

ヴァン「…何だよ」スタスタ

ミカサ「…」スタスタ


アルミン「ウォール・ローゼの……上に、行くんだよね?」テクテク

ヴァン「そうだな」スタスタ

アルミン「つまり、駐屯兵団の許可が要る」テクテク

ヴァン「そうだな」スタスタ

アルミン「…今、許可が下りているってことだよね?」テクテク

ヴァン「そうだな」スタスタ



アルミン「……君は何者なんだ?」テクテク


ヴァン「…」スタスタ

アルミン「駐屯兵団が、訓練外で訓練兵にそんな許可を出すなんて……」テクテク


ヴァン「…」スタスタ

ミカサ「……?」スタスタ


ヴァン「…オレは訓練兵団に入る前は、駐屯兵団に居た」スタスタ



ヴァンから告げられた事実に驚いた。

駐屯兵団を経て訓練兵団に移籍した人間なんて初めて聞いた!


ミカサ「…どういうこと?」スタスタ

アルミン「駐屯兵団に所属していた、ってことかい!?」テクテク


ヴァン「所属していた訳じゃない、規定違反になるだろうが」スタスタ

ヴァン「正確に言うと、面倒を見られていたということになる」スタスタ


アルミン「…もしかして、二年前の…」


ヴァン「……ウォール・マリアが破られた、あの日からな」


この人も僕らと同じなんだ……。

あの日安寧をなくし、故郷を追われたんだ…。


ヴァン「その間に教わることは教わった。立体軌道は駐屯兵団の精鋭班に教わったし、馬術もツテを使って調査兵団に教わった」スタスタ


ヴァン「技巧や座学はからっきしだったがな」スタスタ


ミカサ「……対人格闘は?あなたが素人だとは思えない」スタスタ

ヴァン「対人格闘は習ってねぇ。独学だな」スタスタ



……独学?


そういえば、ジャンが忠告してたっけ。

相当“ヤバい”殺人鬼で、かなり殺してる人だって。

もしかしたらその間に対人格闘もどきの技術が確立していったのかもしれない。

…でも、そうなると少し話が拗れてくる。


もし先程のヴァンの話、それからジャンの話が正しかったとすると、
ヴァンはいつの間“殺人鬼”だったんだろうか。

ヴァンが駐屯兵団に入る前?

だとすると、10歳以前の話になる。


…一体、どういうことなんだろうか……。



ヴァン「…着いたぜ」ザッ

アルミン「あっ…」

ミカサ「…!」


考え事をしてたらいつの間にか着いちゃっていたみたいだ。

目の前には、大きな、大きな壁。

ずっと見上げていると首が疲れそう。


ヴァン「向こうにリフトがある。それに乗るぞ」



駐屯新兵「~♪」バサッ


ヴァン「おい」

駐屯新兵「? 何だお前ら」

ミカサ「?」

アルミン(この人、ヴァンを知らない…?)

ヴァン「新入りか。…まぁ良い」


ヴァン「リフトを使う。準備しろ」



駐屯新兵「はぁ?訓練でもないのに訓練兵が壁の上なんざ行けるわけないだろう」

ヴァン「…チッ」


アルミン「正式な許可書はないの?」ヒソヒソ

ヴァン「あるわけねぇだろう」


ヴァン「…面倒くせぇ、勝手に使わせてもらう」


駐屯新兵「…はぁ!?ちょっと待てお前!」ガタッ




ヴァン「…あ゙ぁ?」ギロ

ネット上なんで信じてはもらえないとは思いますが、>>1です。

今とても混乱しています。私は今日はこの書き込みが最初です。

酒場の>>183さんが言うように、私は酒場には書き込んでいません。

荒されるような行為は一切した覚えもありませんので、感想以外のコメントは控えて頂けるとありがたいです。

続きはまた改めて投下します。

>>249 酒場に書き込んでますよね?

>>249 なんで嘘をつくんですか?


ヴァン「…」ザッ ザッ


アルミン「ちょ、ちょっと!?」

ヴァン「黙らせる」


駐屯新兵「へ」

アルミン「!? 止めてよミカサ!」


ミカサ「……これでエレンのことがわかるなら…」


アルミン「ミカサ!?」

アルミン(ミカサってエレンについてはこんなに優先度が高かったのか!?)

いや、マジでもうそういうの良いから
大人しく進撃BBSに帰るか淡々と投下してさっさと完結させろよ



ヴァン「」ギロッ



駐屯新兵「ヒッ」


アルミン「だ、ダメだよ…!」

ミカサ「…」



駐屯新兵「ウ、ウワァ…」ガタガタ






「リフトの用意が出来た。早く乗れ」

>>255 後者に了解


アルミン「え?」クルッ

アルミン(だ、誰だ?)

ヴァン「!」

ミカサ「…」

ヴァン「…行くぞ」スタスタ

ミカサ「…」スタスタ


アルミン「あ、ちょっ………。……あの」

駐屯新兵「へ?」

アルミン「す、すみませんでした」ペコリ

アルミン「」タッタッタッ

駐屯新兵「…」



「…ふう」スタスタ



ヴァン「動かすぞ」

ミカサ「…」

アルミン「」ゴクッ



「おい待て」タッタッタッ


ミカサ「さっきの…」

ヴァン「チッ」



「私も行く。駐屯兵が最低一人はついていないといけないんだ」



ゴウン ゴウン…


ヴァン「…」

ミカサ「…」

アルミン(……この人は一体…)



「………で?何故久しぶりに会った姉に何も言ってくれないんだ?」



ミカサ「姉って……コイツの?」

ヴァン「……義姉だ、間違えんな」

「別に血など繋がらなくとも家族は家族だろう?」


ミカサ「…」



ミカサ「…確かにその通り」

ヴァン「あぁ?」

アルミン「…ミカサ」


ミカサ「…」




グリシャ『どうだい、家に来ないか。エレンならきっと喜ぶよ』

カルラ『何時になったら戻って来るのかしらね、うちのバカ息子は。その時はあなたもおかえりって言ってあげてね?』




ミカサ「…」

「ほら、ミカサ・アッカーマンもこう言ってるし!」


アルミン「…何でミカサの名前を……」


「君の名前もわかるぞアルミン・アルレルト」


アルミン「…何処で知ったんですか?」

「…」



ヴァン「ハンネスさんからでも聞いたんだろう」

「…あぁ! そうだった!」

アルミン「そっか、ハンネスさんがいた」

ミカサ「ここ二年会ってないから忘れていた…」




アルミン「…」



「自己紹介くらいはさせてもらうか。私はリコ・ブレチェンスカ。見ての通り駐屯兵だ」


ヴァン「…んなもんしなくていい」

リコ「何を言う。名は大切だぞ」



ミカサ「……ヴァン、まだ?」

ヴァン「もう少しだ」





リコ「………ヴァン?」



アルミン「あぁ、彼の名前です。同期の子につけてもらってました」



リコ「……そうか」


ヴァン「…余計なこと言うなよ」

リコ「既に去年以前からの駐屯兵全兵にそう伝えてある。心配するな」




リコ「…しかし、その包帯には慣れんな」



ヴァン「慣れろ」

リコ「後で包帯取ってくれないか?」

ヴァン「断る」




アルミン「…」

ミカサ「…アルミン?」

アルミン「…あぁ、なんでもないよ」



アルミン(……今の会話で大分わかったことが増えたぞ)

アルミン(恐らく、僕の推測が正しければ……)



ゴウンッ…

ヴァン「着いたぞ」

ミカサ「」バッ

リコ「よし」スタスタ



アルミン「……ここが、壁の上…」ザッ


アルミン(所々に街が見える。二年前まではあそこにも人が住んでいたんだなぁ…)



アルミン「…そして向こうが、シガンシナ区か…」

ミカサ「…」


リコ「…そうか、お前たちはシガンシナ区に住んでいたんだったな」



リコ「…まぁ物思うこともあるだろう、ゆっくりしていけ。私は皆にお前が来たことを伝えに行く」

ヴァン「…あぁ」

リコ「余計なことは言わんさ、お前の名がヴァンと改名されたことと、お前が友を連れて来たことを知らせるだけだ」

ヴァン「それが余計なことなんだよ」

リコ「では」タッタッタッ

ヴァン「…逃げた」





ミカサ「…ヴァン」



ミカサ「早くエレンのことを教えて」

ヴァン「…」

ミカサ「ここまで来たのには何か理由があると思われる。早く」


ヴァン「…こっちだ」スタスタ

ミカサ「」タッタッタッ



アルミン「あ…」

アルミン(…ようやく、だね)タッタッタッ



壁の上を歩く僕ら。


ヴァンは表情は読めないがさっさと歩いていってる。

ミカサは時々ヴァンにぶつかりそうになって、スピードを緩め、またぶつかりそうになる、の繰り返し。

僕は時々小走りになる。そうでもないと二人の速さについていけそうにない。



…そして遂に、ヴァンが歩みを止めた。



ヴァン「…着いた」


ミカサ「……これは、お墓。何でこんな所に……」

アルミン(……まさか)


ヴァン「オレが願い出た。この二人だけはここで、ってな」

ヴァン「墓をよく見てみろ」




ミカサ「」ジッ…

ミカサ「…文」



アルミン「……何て書いてあるんだい、ミカサ」

アルミン(嘘だ、嘘であってくれ…!)



ミカサ「」


アルミン「…ミカサ?」



ヴァン「…そこにはこう書いてある」




ヴァン「『845年

     最低で最悪な少年

     エレン・イェーガー

     ここに眠る』」



ヴァン「…ってな」





アルミン「…」

ミカサ「ッ…!!!」



ミカサ「…エレンは」

ミカサ「…エレンは、どうやって死んだの……?」


ヴァン「…」

ヴァン「…二年前」


ヴァン「壁が破られたあの日」

ヴァン「アイツはウォール・ローゼの外側の、ある辺境の村にいた」


ヴァン「たまたま寄った村だった」


ヴァン「…そこは、特殊な村でな」

ヴァン「ある部類の人間が集まる村だった」


アルミン「…?」


ヴァン「人拐い集団」

ミカサ「!」


ヴァン「数も50を越え、とてもじゃないが酒飲み暮らしの憲兵団じゃあ敵わないくらいで、ずっと放置されていた」

ヴァン「そこにアイツは行った。…まぁ、たまたまってのは嘘かもな」


アルミン(…何かおかしな話だな)



ヴァン「アイツは何をしに行ったんだろうな。仲間になりに行ったのか、潰しに行ったのか………もう理由なんざ忘れたがな」
アルミン(…? やっぱり何か変だ)


ヴァン「そんな時に、ヤツは有り得ないモノを見た」

ヴァン「ソレは壁の外に居る筈のモノ。ソレが目の前に居るってことは人類が敗北したことを示すモノ」



ヴァン「…巨人だ」



ヴァン「巨人どもはどんどんやって来て、愚図な馬鹿はどんどん喰われた」

ヴァン「アイツも3m級くらいならなんとかなったが、それ以上は無理だった」

ヴァン「アイツ以外は全滅じゃないかと思われ、自分も覚悟した時…………ある駐屯兵がやってきた」


アルミン「…駐屯兵?」

ヴァン「そこの墓の隣のヤツさ」


ヴァン「…今はもう死んでる」



ヴァン「駐屯兵はその村に知らせに来たのさ」

ヴァン「ウォール・マリアが破られた、逃げろ、って………。馬鹿だよな、人拐い集団の連中なんかを助けようとするなんて」

ヴァン「…けど、素晴らしい兵士だったとオレは思う。人を守る兵士だった」

ヴァン「その駐屯兵がエレン・イェーガーを助けようとしたのさ」



アルミン「…じゃあなぜ、彼らは今二人とも………?」



ヴァン「馬でエレン・イェーガーを連れ、ウォール・ローゼに向かったが……途中で15m級に襲われた」

ヴァン「その時に駐屯兵は死に、エレン・イェーガーは致命傷並びに片目を損失」


ヴァン「エレン・イェーガーは駐屯兵の残った顔だけを持って、ウォール・ローゼに到着するも………壁の上で力尽きた」



ヴァン「…結局、二人とも死んじまったんだ」


ミカサ「…」



アルミン(……おかしい)

アルミン(そんな話が有り得る筈がない……!)



ヴァン「…オレは言うことは言い終わった」


ヴァン「…このあとどうするかはお前ら次第だが……」

ヴァン「…馬鹿な真似だけはしてくれるな」

ミカサ「……馬鹿な………真似…」


ヴァン「…アイツの後を追う、とかな。随分ご執心の様だが……」


ミカサ「…アルミン、私は先に帰る」


アルミン「え?」

ミカサ「……一つだけ教えて欲しい、ヴァン」

ヴァン「…なんだ」

ミカサ「…ハンネスさんは、このことを知っていたの………?」



ヴァン「……知っていた」

ヴァン「その日に知った訳じゃなく、お前らを開拓地に送り届けた後だがな」

ヴァン「…だが、ハンネスさんはお前らの為に黙っていたんだ」

ヴァン「だからこの二年、お前らに会わなかったんだろう。お前らのエレン・イェーガーを待ち続ける姿を見たくなかったんだよ」



ヴァン「だが今は分別が効く12歳。だからハンネスさんはオレがお前らにエレン・イェーガーのことを告げることを許可した」

ミカサ「…」

アルミン「…」



ヴァン「…誰が悪いわけでもない」ザッ

ヴァン「…強いて言うなら…悪いのはこの世界だ……」スタスタ


ミカサ「…」

ミカサ「…」スタスタ


アルミン「…」



アルミン「…何だろう、この違和感は……」



「…アルミン」



アルミン「……ハンネスさん」

ハンネス「…」



ハンネス「…少し、良いか……?」



ミカサ「」ザッ



…ヒュウウウウゥゥゥゥ………


ミカサ「…」





『…いつか、壁の向こうへ。エレンと、そう約束したんだ…』

『…お前、ミカサだろ?オレは……』




ミカサ「……エレン」


ミカサ「」ドサッ


ミカサ「…」


ミカサ「……どうして…」ツ-

ミカサ「…どうしてぇ……?」ポロッ


ミカサ「…っぐ、……ふっ……ぐ…!」ポロポロ







ヴァン「…」



ヴァン「…」


ヴァン「」クルッ


リコ「…良いのか、声をかけなくて」



ヴァン「…」







ミカサ「…うっ、うぇっぅ……」ポロポロ



ヴァン「…オレは言いたいことは全部言った」


リコ「…だが、言わなければいけないことは言ってはいまい」




ヴァン「…」


リコ「今彼女を救えるのはこの世界でお前だけなんだぞ、弟よ」


ヴァン「…義弟だって言ってんだろ」



ヴァン「…オレは、アイツが生きてりゃそれで良い」

ヴァン「…」





『……君は、生きろ…!』

『ぐふっ!!………ハァ、ハァ…』

『…やら、なけ………れば!……な…らない、ことが…………あるだろう!?』

『……そうだ、ろう……』

グパァ…


『…………―――君!!!』



グシャ!


ハンネス「…恨んでるか、俺のことを」

アルミン「…いえ。納得出来る理由でしたから」


ハンネス「……そうか」



アルミン「…それに、僕はまだ諦めてはいません」

ハンネス「…!」バッ

ハンネス「アルミン、お前…!?」



アルミン「何かまだ隠してることがあるんでしょう? けど、まだ話すつもりはない」


アルミン「……いや、もしかしたら一生話す気がないのかもしれない」



アルミン「…解いてみせる、この矛盾を」

アルミン「エレンとヴァンが、隠した事実を」


ハンネス「……俺からは何も話せねぇぞ。本人の希望に沿ってはいるんだからな」


アルミン「…十分です。先程のヴァンの話で大分解けてきた…!」

アルミン「今のあなたの言動からもね、ハンネスさん」

ハンネス「おいおい…! 俺は二言くらいしか話してねぇぞ!?」


ハンネス(…流石はアルミン、ってか)



アルミン「…今日はこれで失礼します、ハンネスさん」

アルミン「次に会うときは、真実が全てわかったときだ」

アルミン「…その時のために、謝罪文を考えておいてくださいね?」ニコッ



ハンネス「あ、あぁ…」



ハンネス(…コイツ、既に八割は読めてるんじゃねぇか?)



翌日、ミカサもヴァンもちゃんと訓練には出ていた。

昨日はそれぞれ1人で寮に戻ってきたらしかったけど、一番心配だったミカサが戻ってきてくれたことに安堵した。

…けど、ミカサは気持ちが全く入っていない。

目も虚ろで、今までの訓練の中で最低の成績を出してしまっている。


何とか僕やクリスタがサポートしているけど、放っておくと、動く気配すらなくなってしまう有り様だ。



…やはり、僕が出した結論を告げるべきなんだろうか。



けど、僕の結論に確証はない。

推測の部分が100%だ。

…少しでも確証が得られれば、ミカサにも話すし、すぐにでもヴァンに問い詰めるんだけど。

このままミカサに話してもぬか喜びさせるだけだし、ヴァンに話しても「推測に過ぎねぇだろ」ってきっと弾かれる。


証拠がいる。そうすれば…………!



ジャン「おい、アルミン!聞いてんのか!?」

アルミン「え? あぁ、考え事してたんだ、ゴメン」

ジャン「全く。じゃ、もっかい聞くぞ」


ジャン「ミカサの奴、どうかしたのか?今日1日様子がおかしかったが…」

ライナー「どうも訓練に身が入っていないな。アレじゃあいつか取り返しのつかん怪我をするぞ」


アルミン「…ジャン、ライナー」



アルミン「…今、ミカサの生きる目的の一つが潰されかけているんだ」

ジャン「はぁ?」

ライナー「そんな大事なのか?」


アルミン「…うん」

ジャン「おいおい、何とかならねぇのかそれ!いや、それより何があったんだよ」

アルミン「……それは……ちょっと」

ライナー「止めておけジャン。誰にでも踏み入られたけない部分がある」

ライナー(オレたちのようにな……)

>>305 訂正

ライナー「止めておけジャン。誰にでも踏み入られたくない部分がある」



サシャ「うーん…」ムシャムシャ

クリスタ「…大丈夫かな、ミカサ」

ユミル「…まぁ、アレは異常だな」



ミカサ「…」ポツン



ユミル「いつもアルミンと飯食ってんのに今日は1人ってのも異常だ…」

クリスタ「ご飯もほとんど食べてないね…」

サシャ「いらないんですかね、夕食…」ギラリ

ユミル「マジでブレないなお前」



ヴァン「…」モグモグ

アニ「…で?」

ヴァン「…あー?」


アニ「あんたが何かしたの?アレ…」

ヴァン「まぁ、な」







ミーナ(なにこの面子)



ミーナ(包帯君とアニ、アニと私だったら有り得るのに)

ミーナ(私と包帯君が同席してるから凄い変なんだけど…)

ミーナ(私!?私がどけば良いの!?)



ヴァン「…まぁ気にするな。その内元に戻る」

アニ「…アレじゃあ訓練中に死ぬのがオチだよ」

ヴァン「それはないな」

アニ「…何故」





ヴァン「…オレが居るからな」

アニ「意味わからないんだけど」


ガチャ…

一同「!!!!」


教官「」ザッ


アニ「教官…」

ヴァン「おいおい、今日はまだオレとミカサは喧嘩してねぇぞ」




教官「…ブレチェンスカ、アッカーマン」

ヴァン「!!」

ミカサ「」


教官「…両名は、前へ」



ヴァン「」ガタッ


アニ「」クイックイッ

ヴァン「ん?」

アニ「アレ」チラッ

ヴァン「……あぁ、アレな」スタスタ




ベルトルト(…アニ、危険人物じゃなかったの?)



ヴァン「」ザッ

ミカサ「」

ヴァン「」スー…









パァン!

ミカサ「!!?」ビクッ



ミーナ(ね、猫だましって………なんか似合わない)


ヴァン「教官に呼ばれたぞ」

ミカサ「え?」チラッ


教官「…」


ミカサ「!」ガタッ


アルミン(…)



ミカヴァン「」ザッ


教官「…」

教官「……お前たち二人はとても優秀だ」





アルミン「?」

ジャン「何だ、いきなり」ヒソヒソ

マルコ「さぁ…」ヒソヒソ

教官→キース


キース「まだ数ヵ月しか見ていないが、お前たちは歴代最高の成績を叩き出すと予想出来る」


キース「1人は才能の為に」

ミカサ「…」


キース「1人は二年間の努力の為に」

ヴァン(余計なことを…)


キース「…その歴代最高が、たった1人ならば彼らが動くことはない」

ライナー「…彼ら、だと?」


キース「まぁ嘗て1人だけ、彼らを動かした男がいるが………奴は色々な意味で規格外だったのでな」



キース「…だが、今ここに、彼らを動かした二人が居る」

ミカサ「…」

ヴァン「…?」


キース「…入って来い」



「失礼します」ガチャ

「…」

「ヤッホー!」



アルミン「!?」

ジャン「…誰だ、あの人たち」



「調査兵団団長、エルヴィン・スミスだ」

「…兵士長のリヴァイだ」

「分隊長が1人、ハンジ・ゾエだよ!よろしく未来明るき訓練兵たち!」




一同「」



アルミン(調査兵団! ってことは、彼らの目的は………)



エルヴィン「…さて。君らがミカサ・アッカーマン、並びにヴァン・ブレチェンスカだね?」

ミカヴァン「ハッ」



エルヴィン「…単刀直入に言おう。今すぐ調査兵団に入らないか」



ミカサ「」

ヴァン「」




アルミン(やっぱり、ミカサとヴァンの勧誘!)



エルヴィン「本来ならば、訓練兵は三年の期間を使って、訓練を行う」

エルヴィン「そして、後に入る兵団でそれぞれに特化した訓練を受ける」

エルヴィン「そう、三年とは後々の訓練の為でもあるのだ」


エルヴィン「だが、君らならばその三年がなくとも、我々調査兵団の訓練に耐え、壁外調査にも出られるだろう」

エルヴィン「それに君らは希望兵団は調査兵団だそうじゃないか」



ヴァン(入団時のアンケートか!やられた……)

ヴァン(…いや、それよりなに口滑らしてんだアンタ)チラッ

キース(…酒の席での話だったからな)



エルヴィン「君らも調査兵団を希望している。調査兵団も君らを希望している」

エルヴィン「…君らが調査兵団に入る条件はクリアされている。どうだい、アッカーマン、ブレチェンスカ」


ミカサ「…」

ヴァン「…」




ジャン「おいおい、どうなるんだよコレ………」ヒソヒソ

ライナー「…待て、その前にミカサは今まともに返答出来ない状態だぞ」ヒソヒソ



アルミン(…ミカサ)



ミカサ「…お気持ちは嬉しいですが、お断り致します」

ヴァン「!」


エルヴィン「…ほう、何故かな?」


ミカサ「私はアルミンを守ると決めました」

ミカサ「これから先私がアルミンから離れることはありません。私はアルミンと一緒に調査兵団に入ります」

エルヴィン「…アルミンとは、同じ訓練兵のことかね?」

ミカサ「ハッ」


エルヴィン「ならば同じくアルミン君を調査兵団に入団させよう!それならどうかな?」


アルミン(なっ…!そこまでするか!)



ミカサ「それは無理です。アルミンの筋力、技術では調査兵団には通用しません」

エルヴィン「…ふーむ、そうか」


ミーナ(…ミカサ、何気に酷い)



リヴァイ「…オイ、ガキ」


ミカサ「…」

ジャン(ミカサをガキ呼ばわりかよ!いや、確かにまだ12歳だが…)


リヴァイ「俺たちがやってるのは友情ごっこじゃねぇぞ」


ミカサ「理解しています。コレは私の意志です」



リヴァイ「…」

エルヴィン「ではヴァン・ブレチェンスカ。君はどうかな?」

ヴァン「お断り致します」



ザワッ…


ハンジ「即答かー。理由は?」


ヴァン「アッカーマンと同じく、守らなければならない者がおります故に」



ハンジ「…因みに誰?」



アルミン(キタ!チャンス到来!)

アルミン(この答え次第で、彼の人物像が浮かんでくるかもしれない!)





ヴァン「…ミカサ・アッカーマンです」











ミカサ「……………は?」



ハンジ「そっか、じゃあ駄目だね…」

ヴァン「申し訳ありません」





一同「」



アルミン(どう、いう………こと?)チラッ



ミカサ「」

アルミン(もれなく絶句中)


エルヴィン「だが、我々は引く気はないよ」

エルヴィン「説得させてもらおう…」チラッ

リヴァイ「…」ザッ


ヴァン「ッ!」

ミカサ「」ハッ

ヴァン(不味い、正面衝突では分が悪い…!)






「待ってください!」


ヴァン(! ライナー・ブラウン…)

ベルトルト(ライナー、何の真似だ!)

ライナー「ヴァンもミカサも現時点での入団を拒否しています。それだけで十分でしょう!?」

クリスタ「…! そ、そうですよ!本人たちの意志を尊重なさってください!」

ユミル(バッカ、テメェ…!んなことをしてもコイツらは揺るがねぇぞ!?)




エルヴィン「…彼等は?」

キース「共に成績優秀者だ」

エルヴィン「…ほう、そのような二人を失うことになるとは………」



ヴァン「チィッ…!」

アルミン(除隊処分にする気か…!)

マルコ(調査兵団は本気だ、多少の犠牲は厭わないという目をしている…)


リヴァイ「簡単な話だ。俺たちが狙っているそこのガキどもはお前ら二人とは比べものにならんほどの奴ってことだ」



ミカサ「…」

今回の件からお前が得るべき教訓は、事が起こってからではなく事が起こる前に対処すべきだということだ
お前は荒れはじめてから外野を無視するんじゃなく、荒れる前に無視しておくべきだった

それともうひとつ言っておこう。もし身に覚えがないのなら、深夜ss酒場の原稿スレの過去ログを見てみるといい
そのうえで釈明すればちょっとはマシになる

>>340 もう遅いですよ…


アルミン(まずい、このままじゃあライナーとクリスタまで……!)

アルミン(………待てよ、それなら逆に……!)


アニ(…仕方ないね)



アニ「私も反対です」


「!!!!」

ベルトルト「ちょっ…」

ミーナ(あのアニまで…)

エルヴィン「…まさか彼女も」

キース「成績優秀者だ」



エルヴィン「……そうですか、ならば………」


アルミン「僕も反対します!」ガタッ


リヴァイ「…」

ハンジ「ちょっと、コレはもしかして…」


キース「奴は座学においては無類の発想力を発揮している。エルヴィン、お前に並ぶ程だ」


エルヴィン「…」



サシャ「…私も反対……します」ガタッ

リヴァイ「チッ…」

サシャ(これでいいんですよね……アルミン)

アルミン(いいぞサシャ、よく気付いてくれた!)


サシャ(コニーもですよ!気づいてください!)ジッ

コニー「ん?……………………………………………………あぁ、そういうことか」

コニー「オレも反対します!」ガタッ



マルコ「じ、自分も反対します!」ガタッ

ジャン「…自分もです。反対します」ガタッ

マルコ(ジャン…!)

ジャン(……ミカサの為だ。好きな女の為に身体一つくらい張らねぇとな…)




キース「…今反対を推した者たちは全て成績優秀者だ。10位以内を狙える者共ばかりだな」

キース「教官として言わせてもらうと………こんなにも成績優秀者たちが除隊処分されるのは、厳しいな……」


リヴァイ兵士長の目は少し険悪に、ハンジ分隊長の顔は少し笑顔に。

…しかし、エルヴィン団長は顔色を一切変えなかった。


ヴァン(流石は調査兵団団長、ってか…)


エルヴィン「…ふむ」

エルヴィン「このままでは双方が望まない結果になってしまうな…」

エルヴィン「しかし、双方共に譲る気はない…。…さて、どうしたものかな……?」


未来の成績優秀者を10名弱、除隊処分。
こんなことを非公式なこの場でしてしまえば調査兵団に向かう飛び火は相当なモノだろう。
これはエルヴィン団長もどうしようもない筈…………なんだが。

どうも、エルヴィン団長の顔に笑みが浮かんでいるように見える。
何をしでかす気だ……?


エルヴィン「…ふむ、ならばこうしよう」


エルヴィン「…勝負をしないか?彼らの調査兵団入団を賭けて」



「!!!!?」




ライナー「…そんなの!…断るに決まって………!?」

アルミン「…いや、待ってくれライナー」

クリスタ「あ、アルミン…?」

アルミン「…」


エルヴィン「…言っておくが、私は本気だ」

ミーナ「本気…?」


エルヴィン「もし勝負を断るならばこの場で104期兵団というものを半壊させてでも二人は連れて行く」


マルコ「そ、そんなことをしたら…」

エルヴィン「…まず間違いなく私の首は飛ぶだろう」

エルヴィン「…だから何だ、という話なんだよ」


ジャン(…まさかこの人は、自分の首に代えてでも二人を手に入れるつもりなのか……?)


エルヴィン「彼ら二人は必ず大成する。これから2 3年リヴァイの下で訓練を積めば、リヴァイ以上の兵士が誕生するかもしれない」

エルヴィン「その為ならば、私の首などは軽いモノだ。私の代わりなどいくらでもいる」



シーン…


アルミン(覚悟。いや、違う)

アルミン(何が何でも巨人たちを倒すという、信念…!!)


エルヴィン「さぁどうする、アッカーマン、ブレチェンスカ…!」

ミカサ「…」





ヴァン「…受けます」



ザワッ…


ヴァン「自分たちの勝手で104期訓練兵団を壊滅させるわけにはいかない。だが、現時点での調査兵団入団も厭わしい…」

ヴァン「ならば選択肢などもとより一つしかない」

ヴァン「…オレはそう思うが………どうする?ミカサ・アッカーマン…!」



ミカサ「…受けます」




エルヴィン「…決まりだな」


エルヴィン「では、勝負内容を説明しようか」

エルヴィン「勝負は全部で三戦。内容は訓練から出す」


アルミン(内容は訓練から?座学が出れば僕もミカサの力になれるかもしれない…!)

エルヴィン「勝負内容は立体機動、馬術」


エルヴィン「…そして、対人格闘だ」



アルミン「た、対人格闘…?な、なぜ対人格闘なのですか!調査兵団には対人格闘なんて必要ない筈…」

エルヴィン「座学では何かと不正が出来る。…それに観客もいるんだ、座学勝負を見ても観客は楽しめないだろう?」



アルミン「ぐぅっ…」

ヴァン(…違うな。そんなことが理由じゃない)

ヴァン(アルミンが居るからだろう。さっきのキース教官の発言通りだとしたら座学では勝てないかもしれないと踏んだんだ)

ヴァン(勝てる勝負を選んだ。エルヴィン団長がやってることは間違っちゃいねぇ……。だが、オレたちは勝ちにくくなっちまったな…)


エルヴィン「出場者は四人。立体機動に一人、馬術に一人、対人格闘に二人だ。………尚、ここで制限をつけさせてもらう」


アニ「…」

エルヴィン「ミカサ・アッカーマンとヴァン・ブレチェンスカの出場を禁止させてもらおう」

サシャ「え?」

ミカサ「」ギリッ

エルヴィン「いわば景品とも言える彼らが、出場者として勝負に参加するのはおかしいと思わないか?」

クリスタ「そ、そんな…」

ヴァン「…はい、思います」

クリスタ「ヴァン!?どうして…」

ヴァン「…この勝負でオレたちは異議を唱えてはならない」ボソッ

クリスタ「え?」

アルミン「…そんなことをしてしまった時点で僕たちは調査兵団に攻撃を受け、二人は連れていかれる」ヒソヒソ

アルミン「譲歩しているのは彼らであり、不利なのは僕らなんだ…!」


エルヴィン「勝負は一週間後。場所は訓練兵団の訓練場を借りよう。宜しいですね?」

キース「…うむ」



ハンジ「…じゃ、今日はコレでおいとまかな…」ガチャ

リヴァイ「…おい。今すぐ来い、お前らを血ヘドが出なくなるまで鍛えてやる」

ヴァン「…出来れば三年後にお願いしたいですね」

リヴァイ「…楽しみにしてろ」スタスタ


エルヴィン「…では、コレで…」ギィッ…




…バタン



…嵐は去った。

他の連中は何があったんだと放心状態。

とりあえず飯を食い、風呂に直行。



その後、アルミンがオレとミカサ、それから成績優秀者と主な関係人物を集めた。

作戦会議、だな。



…そういえばその間、キース教官がオレとミカサに謝ってきた。

事の発端は自分にある。軽率だった、と。

…まぁ遅かれ早かれこうなっただろうと気にはしなかったが。



男子寮―――――――


サシャ「初めて入りましたよ男子寮」キョロキョロ

ミーナ「なんか男くさーい…」

男子寮の一室には関係者たちが集まっていた。……女子も含めて。


ライナー「アルミン、何で男子寮にしたんだ?教官に言って食堂でも借りれば良かったじゃないか」

アルミン「…キース教官が味方がどうかがわからない」


「!」

アルミンの言葉が部屋に響く。アルミンの意図が皆わかったようだ。

アルミン「教官は前調査兵団団長だったとも聞いたことがある。当然エルヴィン団長たちとも知り合いな筈。教官がどちらに味方しているかわからない以上、話を聞かせるわけにはいかない…!」


…アルミンの言うことは正しい。



ライナー「…そうか、わかった」

アルミン「うん、ありがとう。………さて」

アルミン「…何から話そうか……?」


皆が少し下を向く。

相手は百戦錬磨の先輩たち。
奇人変人の集まりの調査兵団。
人類最強の兵士……。

そしてこちらは訓練を始めてたかが数ヶ月の訓練兵。

かなり分が悪い。不安になるのは当たり前だ。





ミカサ「……まず、私からお礼を言わせて欲しい」


ミカサが皆の注目を集める。

…もう吹っ切れたのだろうか。


ミカサ「…私たちのわがままを聞いてくれてありがとう」


クリスタ「わがままだなんてとんでもないよ!」

ライナー「そんなことを言ってくれるな。オレたちは仲間を守ろうとしているだけだ」

クリスタとライナーが即座に反応する。
他の連中もそうだそうだと頷く。

…それでも、ミカサは申し訳なさそうに続けた。



ミカサ「…アルミンの傍を離れるわけにはいかなかった」

ミカサ「…私はもう二度と、大切な人をなくしたり、大切な人と離ればなれになったりしたくないから…」

アルミン「ミカサ……」


…どうやら、まだ吹っ切れたわけではなかったようだ。

それは当然とも言える。

命の恩人だと思って探し求めた人が、既に死んだと説明されたのだから。

…自分も似たような経験をしたことがあるが、哀しみは想像を絶していた。



ミーナ「…なら、尚更勝負には負けられないよ!」

確か、ミーナと言ったか。
彼女がミカサを元気づけるように声をかける。

ジャン「そ、そうだぞミカサ!オレもやれることはやってやる!」

少し気恥ずかしそうに発言するジャン。


ミカサ「…ありがとう、ミーナ、ジャン」

―――――――

―――――

―――



アルミン「…それじゃあ、作戦会議を始めようか」

アルミンがこの場を取り仕切って行く。

この中では一番頭が回る筈、当然だ。


アルミン「…まず、絶対に勝てない勝負が1つある」

ジャン「立体機動だな?」


ジャンの言葉にアルミンは肯定し、説明を続けていく。

アルミン「こちらはまだ操作方法を覚えたくらいに対し、調査兵団は最低で三年、長くて数十年、立体機動装置を扱っているんだ。……敵うわけがない」



コニー「じゃあどうするんだ?」

アルミン「…他の二つの勝負、馬術と対人格闘を確実に取るしかない」

マルコ「……それしかないね」

方針は決まった。後は出場者だ。


アルミン「…まず馬術の出場者は……」


クリスタ「わ、私が出る!」


訓練所の中で、密かに天使と呼ばれ始めている少女が声をあげた。



クリスタ「この中では私が一番馬と関わってる期間が長いと思う!私が馬術の勝負に出るよ!」

確かにクリスタは馬術の成績はいつも一位だ。
彼女が馬術で失敗したことを未だに見たことはない。



アルミン「…そうだね。じゃあクリスタが馬術の…………」






ユミル「…ちょっと待てや、参謀アルミン」


アルミン「…ユミル?」




…ユミル。

何時もクリスタと共にいて、何時もクリスタのことを気にかけている。

口は悪いが、根は優しい奴だと勝手に自分は思っている。


ユミル「…クリスタ。食堂での話もそうだが、今、何で勝負に出るって言った?」

ユミル「『いい人』を演じようと思ったからか?それとも、純粋にコイツらを助けようと思ったからか?」



…何の話だ?



クリスタ「…」

ユミル「さっきの食堂の話なんかは自殺行為に過ぎねぇ。アルミンや芋女が続けて声をあげなきゃ今頃開拓地送りになってたかもしれねぇんだぞ?」

ユミル「…自分を犠牲にしてまで助けたいのかよ」

クリスタ「…私は……」







ヴァン「…自分の守りたいモノを自分を犠牲にして守ることの何が悪い」

「「「「!!!!!」」」」



ユミル「あぁ?」



…オレは話を続けていく。

ヴァン「確かに自分を犠牲にするということは本末転倒かもしれねぇ。…だが、自分が守りたいモノを守るっていうことは、守りたいモノの為でもあり、自分の為でもあるんだ」

ヴァン「守りたいモノが存在し続けていて欲しいから。自分のプライドを守りたいから。……何かを守るなんてことの理由はそんなもんだ」


ヴァン「…オレは、自分の命を捨ててまでして、自分の守りたいモノを守りきった人を知っている」

ヴァン「…オレは、そんな人生の生き方もアリだとは思う」



…そう、あの駐屯兵のように、オレも守りたいモノを守る。絶対に、だ。



ヴァン「……ん」


…場がシン…と鎮まりかえる。


ヴァン「…何だ、外見に似合わない話をしたのがそんなに意外か?」

ユミル「そんなことはねぇが………。………そうだな」

ユミル「…今の話、自分が助かりたいから話したんじゃなくて、自分の本心からの意見なんだよな?」

ユミルの眼光が鋭く光る。

どうも疑っているというよりは、確認しているという風に見てとれる。



ヴァン「…どちらにとってくれても構わねぇ。どうせどう返事してもお前は信用しないだろう」

ユミルはオレの返事よりも、オレが動揺するかどうかとかしか見てないだろう。

口先よりも態度を見て推察するような奴だ。


ユミル「…一応信じといてやる」

ヴァン「そいつぁどうも」


…一段落だな。



アルミン「…えっと、とりあえずクリスタが馬術の出場者で良いんだよね?」

クリスタ「…うん」


クリスタは少し腑に落ちてなさそうだ。

ユミルの質問に結局答えられてないんだからな。

……少し安心しているように見えたのは気のせいだと思いたい。


ミカサ「…ヴァン」

ヴァン「…何だよ」

ミカサ「…あなたはさっき食堂で、私を守ると言った」

ヴァン「…言ったな」


…やっぱり突っついてきやがった。



ミカサ「…なぜ?なぜ私なの?」

ミカサ「エレンに頼まれたから?それともハンネスさんに?…それとも、今は行方不明のグリシャおじさん?」

ミカサ「…理由を聞かせてほしい」


ヴァン「…どれも違う。………ただ」

ミカサ「…ただ?」


オレは慎重に、1つ1つ言葉を選んで発言する。

…ボロが出ないように、慎重に、慎重に……。


ヴァン「…エレン・イェーガーがお前を守りたがっていたのは事実だ」



ミカサ「!!!……エレンが、私を……」


普段は表情の変化が読み取りづらいミカサだったが、その時ミカサが喜んでいるのは誰の目から見ても明らかだった。

それほどまでに、あからさまにミカサの顔は緩んでいた。


オレはミカサの喜ぶ顔を見て嬉しく思い、少し浮かれていた。

…そのせいで、アルミンの明らかな疑いの目線に気づけなかった。

今思えば、この時既に、アルミンは真実を九割方は推測出来ていたんだろう。


アニ「…アルミン、話、続けたら」

アルミン「あ、うん」

ヴァン「…そういえば、お前も食堂で反対の声をあげてくれたな」

アニ「…悪い?」


少しムスッとした顔をするアニ。

何を思って今この場にいるかは分からないが、頼もしくはある。


ヴァン「…ありがたいと思っただけだ」

アニ「…あんたが調査兵団で巨人に食われるのが困るだけ。私はまだあんたに対人格闘で勝てていない」

ヴァン「…素直じゃねぇな」

アニ「勝手に言ってな」


ミーナ「本当にアニって素直じゃないよねー」

ヴァン「全くだ」

ミーナ「コニーを見習って欲しいくらいだよ」

コニー「オレって素直なのか?」

ミーナ「世間一般から見たらそうでしょ」

ヴァン「少なくとも穢れた大人よりかはな」



アニ「…あんたたち、仲良かったっけ?」

ミーナ「今日初めて話したよ」

ヴァン「あぁ」


少し当惑した感じのアニ。

…まぁ、馬が合ったってことだな。


アルミン「…話を進めるよ」

アルミンが痺れを切らしたという風に話し続ける。

アルミン「次は対人格闘に出る二人を決める」


…対人格闘。

成績としての点数は低く、真面目に取り組む者は少ない。

対人格闘訓練の時間を休憩時間程度にしか捉えていない奴らにはもちろん期待できないし、少しかじった程度の奴らでは歯が立たないだろう。



……と、いうわけで。


ヴァン「オレはアニ・レオンハートを推薦する」


「「「「え?」」」」

アニ「!!!」

面食らう一同。驚くアニ。

当然といえば当然だ。


サシャ「あ、アニですか?アニは身体も小さいですし、体格の大きいライナーがいいのでは……」

ライナー「…いや。オレもアニを推薦する」

サシャ「ライナー!?」



ヴァン「アニの実力はオレのお墨付きだ。オレが保証する」

アニ「…あんたの保証なんて信用されないんじゃないのかい」

ヴァン「本気で言ってんのか、全敗中のアニ」

アニ「…冗談だよ」


アルミン「…一人目はアニだね」

アルミンはオレたちの会話を聞いて決めたようだ。




ライナー「…だが、後一人をどうするか、だな」


アルミン「…後一人、か」

ミーナ「じゃあサシャの言う通り、ライナーか……それかベルトルト、かな?…………どう、ベルトルト?」

ベルトルト「え、うん。…僕は良いけど…………その…」


…コイツ、居たのか。

一度も発言してなかったからいないと思った。


マルコ「二人が体格が大きいのは飽くまでも訓練兵の中での話だよ。調査兵団が相手となると別だ」

アルミン「二人はまだ13歳。とてもじゃないけど、体格で圧倒できるわけじゃない」



…仰る通り。だから困ってるんだがな。



クリスタ「でも、それじゃあアニもそうじゃないかな?」

ヴァン「アニには技術がある。技術があれば体格差なんざ関係ないからな」

…だが、他にアニ並みの技術を持つ奴なんかいない。

どうしたものかな…。


ジャン「…ならよ、ライナーかベルトルトあたりが一人を抑えて、アニがもう一人を倒すってのはどうだ?ライナーとベルトルトは対抗くらいなら出来るんだろ?」

ユミル「…それも無理だろうな、最悪のパターンの場合」

ジャン「…最悪のパターン?」



…そうだ、あの人のことを忘れてた。



アルミン「人類最強の兵士、リヴァイ兵士長が対人格闘に出てくる可能性がある」

ミカサ「!!!」

コニー「何でそう思うんだ?」

アルミン「立体機動は誰が出ても勝てる。それは調査兵団もわかってる筈だ。そしてリヴァイ兵士長が馬術が特別得意だと聞いたこともない」

ユミル「それでもってあの調査兵団団長なら、手を抜くことはない。これらのことから考えると…………対人格闘にリヴァイ兵士長が出てくるのは十分有り得る」



リヴァイ兵士長をたった1人で速攻で倒す、又はリヴァイ兵士長をたった1人で抑える。

…どちらも不可能だ。


ジャン「そ、そうか……」

コニー「じゃあどうすりゃいいんだ……?」

コニーの言葉に皆が頭を悩ます。

このままでは良くても一勝二敗で負けてしまうだろう。


アルミン「…くっ、万事休すか……」

…どうやら他にうつ手はないらしい。

……仕方ない、少しズルいが小細工でもするしかねぇか。



ヴァン「…二人目は………」

アルミン「……二人目は………?」

皆がオレに注目する。

何か打開策が出たのだろうか、と。

…打開策は打開策だがバレたら失格ものだけどな。



ヴァン「…二人目は、オレの知り合いを連れてくる」



アルミン「し、知り合い?」

ヴァン「心配すんな、ちゃんと104期の訓練兵だ」

…そう、この言葉に間違いはない。


マルコ「…対人格闘での技術がそこまで優れてる人なんか居たっけ………?」

ユミル(その前に、コイツに私ら以外で104期に知り合いがいたことが驚きだ)

ヴァン「おい、何か今失礼なこと思っただろ」

ユミル「き、気のせいだって」


…絶対嘘だ。



アニ「…強いのかい、そいつ」

ヴァン「オレ並みだ」

アニ「! …期待できそうだね」



アルミン「…じゃあ、その人によろしくね」

ヴァン「おう」



…ふぅ、乗り切った。

後は………まぁ調査兵団にバレさえしなきゃいい。



アルミン「…後は立体機動の出場者か。一応決めておかないとね。……誰が出る?」



………誰も名乗りでない。

これも、当然といえば当然の話だ。

負けるとわかっている勝負。誰が態々恥をかくと知って出たがるだろうか。



ライナー「…オレが出よう」

…おっと、一名居たようだ。



アルミン「…良いのかい、ライナー」



ライナー「負け犬の役くらいは負うさ。何もしないのも嫌だからな」




ジャン「いや、ちょっと待てよライナー」

ライナー「…何だ、ジャン」

ジャン「…お前、負けるために出る気かよ?」

ライナー「…そうだが?」



…どうやら一悶着ありそうだ。



ジャン「馬鹿言ってんじゃねぇよ。負けるかもしれないけどよ、0.1%くらいは勝つ可能性があるだろ?」

ライナー「…まぁ、そうだな」

ジャン「ならその0.1%を0.2,0.3%にする為にやるべきことはやらなきゃいけないだろうが」

ミーナ「…えーと、つまり……?」




ジャン「オレが立体機動の勝負に出る。ライナーよりかはまだオレの方が立体機動が上手い筈だ」



「「「!!!!」」」



マルコ「ジャン…」

ジャン「…意外かよ、マルコ」

マルコ「…そんなことはないさ」

ジャン「オレ自身でも…よくわかってねぇんだよ、なぜここまで自分がするかが。オレはどっか変になっちまったのかな…………」チラ

ミカサ「…?」





マルコ「…他人なんて関係ないさ。それがジャンの本心なんだ」

ジャン「…そう、だと………良いな」



ジャン「つーわけだ、良いよなライナー」

ライナー「…あぁ」






ヴァン「ダメだ」




「「「「は」」」」

ジャン「な、何でだよ!!ライナーも良いって言っただろうが!」



ヴァン「万が一があった時、ライナーの方が良い」

ライナー「万が一…………事故を起こしたときか?」

ジャン「!」

ヴァン「そうだ。ライナーの方が身体的に筋肉質だからな。何かあった時に致命傷になりにくい」

ジャン「そんなの、事故を起こさなきゃ良い話だろうが!」



ヴァン「それこそ馬鹿言うなよ。立体機動をナメてんのか?」


ヴァン「お前らは立体機動の訓練を始めてたったの数ヶ月しか経ってない。ようやく浮遊感に慣れてきたくらいだろ」

ヴァン「そんなんじゃ、いつ事故を起こしてもおかしくない。そして、そういう時に生き残れる可能性が高いのは間違いなくライナーの方だ」

ヴァン「…一年に数人から十数人の訓練兵は立体機動の訓練で死んでる。その数人に入りたいのかよ」


ジャン「…」



…まだ不服そうな顔をしてるな。



アルミン「……ジャン」

ジャン「…何だよ」

アルミン「きっと、ヴァンは自分の為にジャンに死んで欲しくないんだよ。素直じゃないだろうからこんな風に言ってるだけであって」


ヴァン「…オイ、何を勝手に言ってるんだ」

アルミン「…勝手に、って……。本当のことでしょ?」

ヴァン「…知ったような口を………」

アルミン「…知ってるさ」


…何だと?


アルミン「君がそういう奴だっていうことを、僕は知ってる」


…どういう意味だ、オイ。


ヴァン「…まぁいい。ここまで言っても聞かないなら好きにしろ。大体、本当は立体機動の勝負は棄権してもいいとも思ってるしな」


馬術と対人格闘で二勝すればいい話だからな。


ライナー「…いや、それでもオレは出るぞ。調査兵団の連中に逃げたなんて思われたくはない。…それで良いな、ジャン」


ジャン「…おう」

ヴァン「…勝手にしろ」



アルミン「…じゃあ、出場者はこれで全員決まったね」


皆が頷く。

気合いを入れようとするクリスタ、
どっしり構えるライナー、
更に目が鋭くなるアニ。

…勝てる。

いや、勝たねぇと、ミカサが…………。






アルミン「…後は、何かあるかな?」


ヴァン「…知っても仕方ないかもしれないが、一応言っとく。馬術の勝負の調査兵団の出場者は………恐らくネスさんだ」


サシャ「ネス………さん?」

ヴァン「ディータ・ネス。愛馬を可愛がっていてな………何度か馬術を教わったことがある。後輩や新人に優しいベテランだ」

アルミン「そういえば、ツテを使って調査兵団の人に馬術を教わったことがあるって言ってたね」


ヴァン「あぁ。…愛馬はシャレットっていう大分若い馬だ。付け入る隙があるとしたらそこぐらいか」

クリスタ「じゃあ、こっちは大型のお馬さんだったら………」

ヴァン「…いけるかもしれねぇが、危険だ。………どうする」


クリスタ「大丈夫!何度か大型のお馬さんには乗ったことがあるし、まだ一週間もあるよ!頑張って練習する!」

ヴァン「…悪いな」

ユミル「クリスタ、私も練習手伝うぜ」

サシャ「私もです!馬術ならサポートできるかもしれません!」

クリスタ「うん、二人共ありがとう!」




コニー「…なぁ、ちょっと良いか?」

ヴァン「…何だ、オレか?」

コニー「おう、ちょっとな…」


…何だ?


コニー「ヴァンはさ、ここの訓練所に入る前に、二年間訓練をしてたんだよな?」

サシャ「え?そんなこと言ってましたか?」

コニー「さっき食堂で教官が言ってたじゃねぇか」


……確かに言ってた。

ヴァン「よく言動を見聞きしてる奴だな………」

コニー「へへ、まぁな!……それでよ、今は調査兵団の人に馬術を教わったことがある、って言ったよな?」


ヴァン「…そう…………だな」



コニー「そう考えるとよ………ヴァンって何者なんだ?って思ってさ」


……バカって怖い。
何でこんなどストライクな質問をぶっ込めるんだ?



コニー「あんまり勝負とは関係ないけどよ………興味があるんだ」

ミーナ「あ、私も興味あるー」

マルコ「うん、僕も興味あるなぁ」



ヴァン「…」



ヴァン「…そうだな。一応助けてもらう身なんだ。…何も面白くねぇ話で良いのなら、……少しだけ話してやる」

…そう、本当に少しだけ。多く話しても半分くらいだ。

真実を話す義理もねぇし、話したくもねぇ。



……それから、この前ミカサとアルミンに話してやった話を、その場にいた12人に聞かせてやった。

…ただし、エレン・イェーガーの話は抜いたが。


ライナー「…つまり、二年前の壁が破壊された時に駐屯兵団に入り、二年間訓練を受けていた、というわけか」

ヴァン「厳密に言えば駐屯兵団に所属していたわけじゃねぇ。駐屯兵団全体の息子か弟くらいに捉えられている。……まぁ、駐屯兵団に育てられたって感じだ」

クリスタ「…そして、その時に名字をもらったってこと?」

ヴァン「……不本意ながらそうなるな」




ユミル「じゃあお前、駐屯兵団に居た時は何て呼ばれてたんだよ」



…本日の爆弾二つ目。



ヴァン「……忘れた」

ユミル「……絶対嘘だろ」ボソッ

ヴァン「…」


…これ以上喋るとボロが出ちまう。




ジャン「………そうか、じゃああの噂はデマだったんだな」フゥ


ヴァン「…噂?」



アルミン「あぁ、あの噂かい?」

ミカサ「…ジャンが初日に話してくれた、あの?」

ジャン「あぁ。……いや、教官たちがお前の話をしてんのをたまたま聞いたんだよ」


ヴァン「……どんな?」


ジャン「お前が今まで何人も人を殺してるって噂だよ。いや、今のお前の話からすると噂は所詮、噂に過ぎないってことだな」



…その話か。ピクシスのじいさんが教官に話しちまったのかな。

ヴァン「…別にその噂は間違っていない」

ジャン「……え?」

ヴァン「本当だ。二年前、壁が壊される前まで…………約一年間、ずっと人を殺してた」




…皆の唖然とした様子が見える。

それもその筈、同じ訓練兵の中に殺人鬼がいたんだ。

普通は怯える。



コニー「……じゃあよ、どんな奴を殺してたんだ?」

ミーナ「ちょ、ちょっとコニー…」

コニー「教えてくれ」


…コニー・スプリンガー。
ただのバカかと思ってたけど、どうも違うらしい。

真っ直ぐな目をしている。

普通はそんな質問をこんな状況で聞けるわけないんだがな……。






ヴァン「…オレが殺してたのは、悪(クズ)だ」



コニー「クズ?」


ヴァン「どうしようもない悪ばかりだ。更正しようともしない、クズども」

ヴァン「猟奇的殺人鬼、強姦魔、ヤクの売人……………人さらい等々だ」


ミカサ「っ…」ズキッ

アルミン「だ、大丈夫ミカサ」

ミカサ「…大丈夫」



ヴァン「…悪い」

ミカサ「え」

ヴァン「…」

…まずい、口が滑った。

ヴァン「……まぁとにかく……そういうことだ」


コニー「…じゃあお前、悪い奴ではないんだな」

マルコ「一応、正義の為……なんでしょ?」


ヴァン「はぁ?何言ってやがる。人殺しに正義だなんだなんてねぇよ」



ヴァン「正義の為、大義の為とか言って人を殺す奴と普通の人殺しと何が違うんだよ」

ヴァン「どちらにしろ、人を殺したことに代わりはない!その罪は、一生背負っていかなきゃいけねぇんだよ…!」

ベルトルト「っ…」

ライナー「…」

アニ「…」





ヴァン「…だがオレは、罪は背負うが……………恥はしない」

「「「「!?」」」」


ヴァン「あの悪どもは人の皮を被ったケダモノだ。オレはソイツらをぶっ殺した…!」

ヴァン「ソイツらを殺しきる。……二年前まではそう思ってた…」

コニー「…じゃあ、今はどう思ってるんだ?」





ヴァン「…ソイツらを殺すより、ソイツらから守りたいモノを守る方が良いって思うようになったんだ。オレを守ってくれた人を見てな…」


悪を殺すよりも、守りたいモノを守る。
罪を重ねるよりも、罪を償う。

…その人は身を以て教えてくれた。



ヴァン「……悪い、話が逸れたな。質問への回答はこれでいいか、コニー」

コニー「…おう。…オレ、ヴァンとは友達になれそうだ」ニカッ


そう言って笑うコニーの顔は、とてもまぶしたかった。

他の連中のほとんども、似たような顔をしてたのは…………気のせいじゃなかった、って思いたい。

アルミン「…じゃあ僕からも一つ」

ライナー「何だ?」

アルミン「キース教官から勝負内容の説明を聞いてきたんだ」

ユミル「お前、先にそれを言わなきゃ駄目だろうが!」クワッ

ジャン「内容によっては有利不利が出るだろうが!」クワッ


…あぁ、おっちょこちょいなアルミン・アルレルト。

お前のおかげで少し空気が柔らかくなったよ。

アルミン「う、ゴメン。けど特殊なのは対人格闘だけだから…」アセアセ

アニ「……説明して」

アルミン「うん。…立体機動と馬術の勝負は普通にレース方式だよ。ここまでは良いね?」

ライナー「あぁ」

クリスタ「うん」


アルミン「それで、対人格闘なんだけど………立体機動訓練場の森でやるんだ」

ヴァン「森?」

ミカサ「…もしかして、木々の上で」

アルミン「うん。木の枝を足場にして勝負するんだって。…あの辺りは、大体20mくらいの高さの木がある」

アニ「…」

アルミン「想定の場としては、壁外の巨大樹の森。ガスを節約したいとき、ガスを使わずに身体捌き一つでどこまで動けるか、っていうことが勝負の題目」


…成る程。少しはまともだな。

アルミン「立体機動装置をつけて、木々の上に着いたら勝負開始だ。…それとこの勝負、敗けの条件はあっても勝ちの条件はない」

サシャ「へ?じゃあどうやって勝つんですか?」

クリスタ「…その敗けの条件で相手を敗けさせるんじゃないかな」

アルミン「それしかないね。敗けの条件は、『木々に登ってから地面につく』『木々に登ってから立体機動装置を使う』……これらだよ」

アニ「…要するに木々から落とせば良いんだね?」

アルミン「うん。二人とも落ちるとそちらのチームの敗北が決まる」

アニ「…フン」

ミーナ「…悪そうな顔」

ヴァン「全くだ」

アニ「アンタにだけは言われたくないよ」


アルミン「後はもう何もないね?」

アルミンが最終確認をする。

後は一週間後に向けて訓練を進めるくらいだな。


ヴァン「…悪いな、お前ら」

ミカサ「皆………ありがとう」


そうオレとミカサが言うと、やっぱり連中は、気にすることはない、と言ってくれる。

…どうやらオレとミカサはとても仲間に恵まれたようだ。



アルミン「それじゃあ、就寝時間も近いし、解散!」



ミーナ「急いで女子寮に戻ろう!教官にバレないように、早く!」

ミーナの言葉で女子たちは早々に部屋を出ていく。

…よし、今だな。


ヴァン「おい、ジャン」

ジャン「何だよ」

ヴァン「ちょっと来い」

ジャン「はぁ?」

ヴァン「時間がない、早く出るぞ」ダッ

ジャン「今からは就寝だけだろうが!」ダッ



ドタドタ


クリスタ「あれ、ヴァンとジャンが部屋から出てきたよ」スタスタ

ミーナ「二人とも外に出てくみたいだね、何かあるのかな?」

アニ「…」

アニ(……何かあるね)ダッ







サシャ「……あれ、アニはどこに行きました?」

ユミル「あー?放っとけ、なんかあるんだろ」

ミカサ「…」



ジャン「な、何だよこんな所に連れてきやがって」ハァ ハァ

ヴァン「…辺りには誰もいなさそうだな」

ジャン「……誰か居るとまずいのか?」

ヴァン「あぁ。………悪かったな、立体機動の勝負の話の時」

ジャン「何がだ?」

ヴァン「お前の出場の邪魔をして、な」

ジャン「…気持ち悪いな、態々そんなことを言いに連れてきたのか?」

ヴァン「ハッ、誰がそんな気持ち悪い真似するか。…ちゃんと別の話がある」

ヴァン「…さっきオレがお前を止めた時。……オレが言った理由は本当だが………もう二つ、別に理由があった」

ジャン「は?」

ヴァン「…当日、お前にはやってもらうことがある。誰にも言うんじゃねぇぞ」

ジャン「……そりゃお前、ズルって奴じゃねぇのか」

ヴァン「バカ言うな。……バレなきゃズルはズルじゃねぇんだよ」ニヤッ

ジャン「…ヘっ。……で、何だ?」

ヴァン「おう。実はな……」

―――――――

―――――

―――




ジャン「あぁ?お前、それバレるんじゃねぇのか?」

ヴァン「心配いらねぇ。調査兵団の連中が帰るまえにハンジ分隊長から先に内容を聞いておいたんだがな、どの勝負も観客と出場者は50mは離れるらしい」

ジャン「…不正が出来ないように、か」

ヴァン「まぁな。…50mも離れてりゃ誰が誰なんて分からんだろう。第一オレにはコレがある」グイッ

オレは包帯を引っ張って見せた。

成る程、と納得したようだ。



ジャン「…よし、わかった。手を貸すぜ」

ヴァン「あぁ、よろしく頼む。一週間後までに必要なものを用意しておいてくれ」

ジャン「あぁ。じゃあな」タッタッタッ

ヴァン「おう」


…ふぅ、ジャンの野郎が手を貸してくれて良かったぜ。

……後は…………。





ヴァン「…出てこいよ、居るんだろ?」



アニ「…」ジャリッ


アニ「…何で?」

ヴァン「オレは殺人鬼をやってた時に周りが敵だらけだったからな、敏感なんだ」



アニ「…今の話からすると……」

ヴァン「…まぁ、そういうことになる。誰にも話すなよ。…………で、何しに来たんだ?」


アニ「…立体機動の勝負の話の時。ライナーの方が致命傷になりにくい、って言ったよね」

ヴァン「…」

アニ「…さっき、ジャンよりもライナーの方が良いって言った最後の理由、当ててあげようか」

ヴァン「…」



アニ「……ジャンに死なれるよりも、ライナーが死んだ方が都合がいいから………………だろう?」

ヴァン「…何当たり前のことを言ってやがる。お前らは自分たちが何者なのか忘れたのか?」

ヴァン「お前らは言うなれば、壁の中の人類の敵。そんな奴らがオレの手を下すまでもなく死ぬ。願ったり叶ったりじゃねぇか」

アニ「っ…」




ヴァン「……けど、何だろうな。最近はそんな風には思えなくなってきた」

アニ「…え」



ヴァン「ライナーとベルトルトを見ていても、普通に兵士として過ごしているようにしか見えない。アニ、お前についても同様だ」

アニ「…ただの演技だよ」

ヴァン「あれが演技なら劇団でも開け。まるで本当のことのようだ、って大人気だ」

アニ「…」


辛そうな顔をしている。
…これはマジだな。

敵である筈だったのに、いつの間にか心地好さを感じてしまったんだろう。


アニ「…がう」ボソッ

ヴァン「?」

アニ「違う、私は戦士だ…!」

アニ「私はあんたたちの敵で、あんたたちを殺す戦士なんだ…!」


ヴァン「…」


アニ「私は、私は………!」


ヴァン「…」シュル

ヴァン「」シュルシュル…パサッ



ヴァン「…おい」グイッ

アニ「…!? あんた、包帯を…」

ヴァン「言ってみろ」

アニ「え?」

ヴァン「オレの目を、顔を見て、もう一回同じことを言ってみやがれ」ガシッ

アニ「…!」

ヴァン「…言え」

アニ「…」



ヴァン「………言え!!!」


アニ「……………う……あ…ぅ」フルフル


ヴァン「…」

アニ「……ゎ、わたしは…」

ヴァン「…」

アニ「…わたし………は……」


アニ(…わたしは……………何だ?)




ヴァン「…ほら見ろ」

ヴァン「…やめちまえ、戦士なんざ」パシッ



アニ「…」


ヴァン「どうせ直ぐには答えなんざ出ねぇ」シュルシュル

ヴァン「今はまだ“兵士のフリをした戦士”で良い。………だが」シュルシュル

ヴァン「………いつか、決断はしてもらう」ギュッ

アニ「…!」



ヴァン「その時まではオレたちは“仲間”だ」

アニ「…仲間…」



ヴァン「そこからオレがお前たちを仲間として扱うかどうかはお前たち次第だ」

アニ「…」



ヴァン「ほら、切り替えろ!第二の作戦会議始めるぞ!」

アニ「…第………二?」

ヴァン「あぁ。オレとお前だけの作戦会議だ。…対人格闘の勝負についてな」

アニ「…あぁ、そうだったね………」


ヴァン「お前にはオレとミカサを助けてもらわなきゃいけないんだからな…!しっかり聞いとけよ」

アニ「…」



アニ(…わからない)

アニ(…もう、判断がつかない)

アニ(何で食堂の時に、仕方ない、何て思った?何で作戦会議の時、推薦を断らなかった?)



アニ(…………もう、いい)

アニ(戦士か兵士かなんて関係ない)

アニ(…今だけ。今だけ、“仲間”だ…!)

女「えー、スレタイなんですが」

男「きっと主要登場人物全部出てますね」

女「はい、痛いです!」

男「カッコつけようとして派手に失敗したタイプ!」

女「こーれーはー痛いっ!」

男「えー、>>1も前書きがひどいですね!」

女「書かなくていいと何度(ry」

男「こういう短文系も気取ってる感じで嫌です!」

女「キモいっすね!!!!」

男「進撃読みたくねー!!!!!」

誤爆スマソ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月19日 (火) 17:37:21   ID: GlbaMd5E

期待

2 :  SS好きの774さん   2014年08月19日 (火) 19:20:23   ID: B2o_O9F8

遅い…

3 :  SS好きの774さん   2014年08月21日 (木) 22:29:31   ID: WB5DqMPu

めちゃくちゃ面白い(T-T)
超絶期待です!!

4 :  SS好きの774さん   2014年08月24日 (日) 22:05:35   ID: LF3A3kBE

巨人3人組を味方にするのは無理矢理過ぎる。最後まで敵対しておけよ。
エレアニでも目指してんのか?

5 :  SS好きの774さん   2014年08月29日 (金) 16:10:26   ID: Qtr1gpZw

続き期待してます

6 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 18:50:45   ID: ooBOAdB3

面白い続き期待してます

7 :  SS好きの774さん   2014年09月06日 (土) 01:40:05   ID: djYxTCxI

4黙れそして死ねそんなの作者の自由だろ気に入らないなら見るな
期待しています

8 :  SS好きの774さん   2014年09月08日 (月) 01:12:57   ID: WxXzAgF4

死ねは言い過ぎだわ自演野郎。
ほら、自演したことも含めて早く誤ッテ!

9 :  SS好きの774さん   2014年09月10日 (水) 23:27:29   ID: Ie_N58Qs

言い争いすんな、見苦しい。不満があんなら見んな。
期待してます。

10 :  SS好きの774さん   2014年09月14日 (日) 14:49:28   ID: 1Au-iuh_

つまんね
>>1は死ねよ糞ガキ

11 :  SS好きの774さん   2014年09月22日 (月) 05:59:48   ID: CBZHrD_y

>>10は死ね!
こんな良い!SSを侮辱するなど許せん!謝って貰おうか!

12 :  SS好きの774さん   2014年09月23日 (火) 09:08:02   ID: QiPPvG87

>>11
釣り、だよな? 正気じゃ言えない台詞だ

13 :  SS好きの774さん   2014年09月28日 (日) 07:44:14   ID: n3uqQEmt

続き期待

14 :  SS好きの774さん   2014年10月01日 (水) 18:53:13   ID: 4arT4h9i

続き!期待!

15 :  SS好きの774さん   2015年02月15日 (日) 21:12:43   ID: vIRv1QqZ

お前ら全員死ね

16 :  SS好きの774さん   2015年03月17日 (火) 09:13:48   ID: Mu4R1iS3

>>15と一緒ならいいよ

17 :  SS好きの774さん   2015年06月23日 (火) 21:40:30   ID: 0NRmdzDa

4は叩かれ安いのか?

18 :  SS好きの774さん   2015年07月21日 (火) 23:10:57   ID: oz-Xmpvz

続き無いんですか?

19 :  SS好きの774さん   2015年10月12日 (月) 22:36:12   ID: 01KzIPHi

続けてください とても面白いです このss書いてくれたことを感謝します

20 :  SS好きの774さん   2016年01月06日 (水) 21:01:22   ID: EiI217fx

私は続けてほしいと思う。
不満があるのはそれぞれに感情があるから仕方ない事だもん。
だからって作者さんにケチをつけたり、侮辱するのはよくないと思うよ。
文句載せるのはやめてもらいたいな。
客観的に見て凄く引き寄せられるし。
続き、頑張ってくださいね!

21 :  SS好きの774さん   2016年02月02日 (火) 09:10:59   ID: oqXvzR5X

期待

22 :  SS好きの774さん   2016年02月02日 (火) 09:13:06   ID: oqXvzR5X

ほれ、皆荒らすな荒らすな!気長にまとうや。

23 :  SS好きの774さん   2016年03月11日 (金) 17:50:35   ID: aUVACafM

まってる

24 :  SS好きの774さん   2016年10月07日 (金) 02:05:58   ID: Dtzja-zD

つまんない。
まぁどのみち放置っぽいからどうでもいいけど。

25 :  SS好きの774さん   2018年09月23日 (日) 15:01:16   ID: vJRnaHxj

期待ですね

26 :  SS好きの774さん   2019年07月23日 (火) 10:37:53   ID: P5a4Fi1a

期待しています。

27 :  SS好きの774さん   2019年09月17日 (火) 22:44:51   ID: ZOhPBjbw

面白い!
でも遅いよ~
でも期待しています!
頑張って下さい!

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