エレン「…何だコレ?楽器?」アニ「…」(532)



エレアニ注意。



その日はたまたま屋内の訓練場が修理される日だった。

ミカサとアニがやり過ぎて壊してしまったからだっけか。

しかし屋外の訓練場は前日の雨のせいで水浸しだ。

しかも休日で、座学もなかった。

よって例のごとく休日も訓練にうちこむ筈だった俺の予定は、ことごとく打ち砕かれたわけだ。



アルミンは皆とトランプ。

ミカサは皆とがーるずとーくとかいうのをやるらしい。



普段の休日は独りで訓練をしていた俺は、どちらにも混ざる気になれなかった。



だから、街に繰り出すことにした。


……久しぶりの買い物に。



ワイワイ ガヤガヤ

エレン「…ふーん」

結構賑わってるな…。

というか、暗い顔した奴が誰もいない。

エレン「…のんきな奴らだな」

いつ壁が巨人に壊されるか分からないのに。

エレン「…けど、今の俺に言えることじゃないな」

買い物なんてしてるんだからな。



しかも、たった独りで。



俺は、ミカサとアルミンといない時は大抵一人でいる。

そんな俺を気遣ってか、クリ………、クリ……?なんだっけか。クリなんたらって奴が時々声を掛けてくれることもあるが、大抵一人だ。



エレン「…独り、か」


別に苦しくはない。

ただ………どうにもやりきれない時はある。


そうした時は、やっぱり訓練にうちこむんだ。…………独りで。



エレン「………はぁ」

エレン「………ん?」



俺が目をつけたのは、たった一つの路地だった。



その路地だけは何故か、誰も人が行かない。

他の路地には、例え小汚ない奴だろうが誰だろうが入るのに。

………まぁ、その路地が極端に狭く、人が一度に一人しか通れないってのもあるかもしれないが。



エレン「………まるで、俺みたいな路地だな」


素直にそう思った。

誰も寄りつかない。

入れるのも、たった1人で、俺みたいに特定の誰かしか受け入れそうにない。


……なんて自虐的だ、馬鹿馬鹿しい。




……でもやっぱり気になって、俺はその路地に入った。




エレン「…」


昨日が大雨だったから、今日はその反動で晴天だ。布団だってよく乾く、洗濯日和。

…だがその路地は極端に狭かった為、日光が両側の家の上の部分にしか当たっていない。

所々が黒ずんでおり、カビ臭い。


……そんな路地を少し心地よいと感じた俺は、陰気くさいのだろうか。


…少し歩いていくと、直ぐに行き止まりにぶつかる。


…路地の一番奥には人がたった1人、居るだけだった。

エレン「…アンタ、露商か?」

「……いや」

エレン「…けど、物を売ってる様に見えるぜ」

「……いや」

エレン「…じゃあ、ここでなにしてんだよ」

俺は少し警戒した。

…自分からやって来て警戒するなんて変な話だが。


「……待ってるのさ」

エレン「…誰を?」


「……お前のような奴を、さ」



エレン「…俺のような奴?」

「……この路地に近づく奴は殊の他少ない」

エレン「!」


男が、同じ調子で話していく。

「……こんな狭い路地では悪党も寄りつかない。……奥にはマシなねぐらなんざないと入り口でわかるからな」

「……この路地に近づく奴は物好きばかりだ。……しかも、何かしらのモノを背負っている」

「……お前さんも、そうじゃないのか?」



エレン「…そんな路地に居着く、アンタはどうなんだ」

「……まぁ、ワシも似たようなもんだ」


……相当食えないジイさんだな。

エレン「…で、俺みたいな奴を待ってどうするんだ?」

「……お前さんに受け取ってもらいたいものがある」

エレン「…目の前にある、その大層なやつか?」

「……そうだ」

エレン「…何だそれ」

「……楽器さ」



エレン「……ヴァイオリン、ってやつか?」

「……そうだ、よく知ってるな」


…一度、アルミンの祖父の本で見たことがある。

確か、弦楽器ってやつだった筈……。


「……内地の人間は大抵コレを弾ける」

エレン「……へぇ。じゃあアンタも弾けるんだな」

「」ピク

エレン「……この辺の奴らが、そんな大層な楽器持ってる訳ねぇよ。持ってたとしても、直ぐに売るぜ」

「……成程。これは一本取られたな」



エレン「…で、なんで俺にくれるんだ、それ」

……俺がヴァイオリンなんて弾ける訳がない。いや、ここら辺の奴らは誰もそんなもの弾ける筈がない。

「……この楽器は、お前さんのような奴に程、弾いて欲しい」


エレン「…見てわかんねぇのか。俺は訓練兵だぞ」

「……合間合間で良いさ。……弾いてくれ。……いい気分転換になるぞ」


エレン「…アンタに聞かせりゃ良いのか?」

「……いや。……お前さんが弾いてくれりゃそれで良いさ」

エレン「…」

…どうせ聞く奴もいない。自分の為に、か……。

エレン「…わかった。貰うぜ」

……何が出来るかは知らないがな。


「……ヴァイオリンと弓、予備の弦の糸、弾き方の説明書、それから一曲の楽譜をやろう」

…一曲だけで充分だ。


エレン「…この曲の名前は?」

「……名前はない」

エレン「え?」

「……娘が作った曲でな、名前はないんだ」

エレン「……どんな曲なんだ?」

「……聞けばわかるが、恋慕の曲だ」



エレン「な……」

「……お前さんにそういう相手はいるか?」

エレン「……いや」

「……だろうな、お前さんにいるとは思えん。……居たら、こんな所にも来ないだろう」

…余計なお世話だ。

「……さぁ、受けとれ」

エレン「……娘さんは」

「……死んだよ。……想いを告げることもなく、曲を聴かせることもなく、な」

………当然か。



エレン「……ん?コレは……」

「……その部分にはよく彫刻が彫られる。……天使やライオンといったやつがな」

エレン「……コレは、自由の翼か?」

「……そうだ。……娘は調査兵団だったんだ」

エレン「…」

「……お前さんは、どの兵団に行く?」

エレン「……調査兵団さ」

「……何たる偶然だ」



「……ヴァイオリンを持った英雄が凱旋する日を、楽しみにしているぞ………」


エレン「…」スタスタ


………高い、買い物をしたかもな。

金は払ってはいないが、親子の想いを託されたような気がする。


エレン「……ん?」

「……何だ、アンタか」

エレン「…何だって何だよ」


……そういえば、コイツもクリなんたらって奴と同じ例外だ。時々俺と訓練をする。

ミカサとアルミン以外では一番話す奴じゃないだろうか。

アニ「…何だい、そんなジロジロ見て」

エレン「いや、別に」

アニ「……アンタ、背中のそれ、何だい?」

エレン「…コレか 楽器だよ」

アニ「は?」

エレン「お前、1人で来たのか?」

アニ「そうだけど…」

………そういえばコイツも誰かとつるむような奴じゃなかったな。ミーナと居ることはたまに見るけど…。


エレン「…用事は?」

アニ「…済んだよ」


エレン「じゃあ一緒に帰ろうぜ」

エレン「………ということだ」

アニ「…ふーん」

アニに歩きながら説明する。何故か街中の連中から見られるのは気のせいじゃない。

アニ「……アンタ、ヴァイオリン?か何か知らないけどさ、弾けるの?」

エレン「無理」

アニ「……バカだね」

エレン「……まぁ、な」


…やるだけやるさ。


アニ「…それよりさ」

エレン「ん?」



アニ「……それ、どうすんの?」

エレン「何が?」

アニ「……だからさ」



アニ「………教官や皆に、説明するの?」


エレン「…」


………しまった。考えてなかった。

エレン「……教官に言ったら」

アニ「許しはくれないだろうね」

エレン「…だよな」

あのキース教官が訓練以外のことで話が通じるとは思えない。


エレン「……じゃあ、誰にも言えないな」

火のない所には煙は立たない、って言うしな。不安要素は消しておこう。


アニ「………私は?」

エレン「…黙秘してもらうぜ」



エレン「俺たち二人の秘密だ」



アニ「…ふぅ」

ミーナ「あ、アニおかえりー」

アニ「…ミーナ」


ミーナ「ごめんねー今日着いていけなくて! 皆がガールズトークしたいって言うから…」


クリスタ「アニも参加したら良かったのに………」

ユミル「ムチャ言ってやんなよクリスタ 氷の女がこういうのをやるわけねーだろ」

クリスタ「ちょっとユミル!」

ミカサ「……だから、エレンはかわいい」

サシャ「ほー、なるほど!」

アニ「…アンタも大概だと思うよ」

ユミル「ケッ そうかい」

クリスタ「ねぇ、アニもお話しようよー!」

アニ「…もう寝るから」

クリスタ「えー…」

ミーナ「……アニ」

アニ「……何?」



ミーナ「………何か良いことあった?」



アニ「えっ」

クリユミ「「?」」

ミーナ「機嫌良いじゃん 何かあったでしょ」

アニ「…」

アニ「………別に」



アニ「……おやすみ」

ミーナ「おやすみー」



サシャ「…そんなに機嫌良かったですか?」

ミーナ「うん。普段だったらユミルのからかい言葉に反応したりしないよ」

ミーナ「雰囲気も柔らかだったし。それに………」

クリスタ「……それに?」



ミーナ「…ほんの少し、口元が緩んでた」



ミーナ「あの顔を見るのはエレンと訓練し始めた日以来かな」

ミカサ「………」



ユミル「…そういやそうか」

ミーナ「ユミルもよく人を見てるよねー」

クリスタ「私はその頃エレンを知らなかったかな…」

ユミル「お前は周りの対応に精一杯だったからな、モテまくりで」

クリスタ「うぅ…」

サシャ「エレンですかー。…そういえば、アニの本命は誰なんですかね?」



ミカサ「………まさか」

ミーナ「まぁ、有り得なくはないね」



ミーナ「アニが一番仲が良い男子はエレンだろうし」

ミカサ「エレンが一番仲が良い女子は私」

サシャ「………それは、アルミンとの三人で仲が良いんじゃないんですか?」


ミカサ「………サシャ?」


サシャ「ごめんなさい」



クリスタ「でも、二人は仲良しだよね!?」

ユミル「目が輝いてんぞクリスタ」



ミカサ「……此れからはアニを見張るべきか………」


ユミル「この前はクリスタが見張られてたからな、余計にエレンに気に掛けるから」

クリスタ「けっこう辛かったよぅ…」

ミカサ「クリスタはただエレンと仲良くしたかっただけとわかった。安心して良い」

クリスタ「うん…」


ユミル(本当かどうかまだわからないんだがな…)




ミーナ「…まぁ、些細なきっかけで急接近するような二人だね、今は」



アルミン「………またライナーがドベなの?」

ジャン「ダウト弱すぎだぜライナー…」

コニー「おれは面白いからいいんだけどなー」

マルコ「…じゃあ、罰ゲームをどうぞライナー」


ライナー「…俺は!クリスタと結婚する!!」


ベルトルト「…」

コニー「じゃあ次行こうぜ次ー」

ライナー「………お前ら、やらせといて酷くないか」



アルミン「ライナーはもう分かりきってるからね」

ジャン「後はコニーやマルコ、ベルトルトだな」

マルコ「アルミンもでしょ」

コニー「ライナーとジャンしか負けてないからなー」

ベルトルト(しかも九割ライナー。…………というかコニーってダウトは勝てるのか)

ジャン「じゃ、次やろうぜ次」






エレン(………なにしてんだコイツら)



エレン(…アホらしい。……まぁ、そのおかげで気づかれてないんだがな)

エレン(………今のうちにベッドの下に隠しておこう)



アルミン「………あ、エレン帰ってたんだ」


エレン「………あぁ、ただいま」


アルミン「おかえり」


エレン(間一髪…)

アルミン「エレンもやる?ダウト」

エレン「………いや、いいわ」

エレン「おやすみ」

アルミン「うん、おやすみ」


コニー「…なぁ、エレンって誰が好きなんだろ」


マルコ「……ミカサじゃないかな」

ジャン「ふざけんな」

マルコ「でも普通に考えたらそうだよ」


ライナー「そうか?俺から見たらベクトルはミカサからエレンにでてるぞ。なぁベルトルト」

ベルトルト「うん」

ジャン「……クリスタはどうだ?最近クリスタは死に急ぎ野郎に声掛けてたぜ」

ライナー「あれは天使故の行動だ、勘違いするな」

ベルトルト(…少し悲しいよ、ライナー)

コニー「じゃあサシャ!」

マルコ「コニーとエレンとサシャとで同じくらい仲良いよ」

ジャン「バカトリオだな」


アルミン「ミーナはどうかな?同じ班だよ」

マルコ「君も同じ班でしょ。アルミンが気づかないわけないよ」

アルミン「…そっか、忘れてた」


ベルトルト「………ユミルとか」



マルコ「大穴で、かい?」

ライナー「アイツはどっちかというと一歩身を引くタイプだぞ。お前と同じだベルトルト」

アルミン「引目のエレンが引目のユミルに惹かれるってのはあまり考えられないかな…」


マルコ「……というか、サシャやユミルよりももっと可能性の有る人が居るでしょ」


ジャン「…アニか?」


ライナー「………有り得なくはないな」

ベルトルト(いや、有り得ないでしょライナー)

アルミン「ミカサ以外では最も可能性の高い1人だね」



マルコ「二人ともそれなりに接点あるしね」

ライナー「アニが特定の男子と仲良くしてんのはエレンだけだな」


コニー「……あれは仲が良いのか?よくアニがエレンを蹴ってるぞ?」


ライナー「照れ隠しだろ」

ベルトルト(…それはある)

ジャン「俺はミカサ以外の女があの死に急ぎとくっつくならそれで良い」


ライナー「………正直俺から言わせてもらうと、フランツとハンナとはまた別の男女の距離があるぞ、あの二人」


アルミン「……うーん、エレンが動くとは思えないけどね」



今回はここまでにします。

コメントをくださった方々、ありがとうございます。

突発的に書いた物なので、許容部分を持っていただけると有り難いです。



アニ「…」

アニ(………また休日がやってきた)

アニ(…けど、今日は訓練場が使える。早速行こう)



アニ(……独りで)



エレン「……あれ、アニじゃん」



アニ「………またアンタか」

エレン「何だよ、悪いか?」

アニ「…別に」

エレン「…おはよう、アニ」

アニ「…」


アニ「…おはよう」


アニ(…最近、コイツとよく顔を合わせる)

アニ(…いや、顔を見かけると言った方が正しいかもしれない)

アニ(対人格闘でもペアを組む。休日の自主訓練でも鉢合わせる)


アニ(………おかしい)


アニ(……そんな程度ではよく顔を見かけるとは言わない)


アニ(………でも、私はよくコイツの顔を見かける)


アニ「………?」



エレン「…アニ?」

アニ「えっ」

エレン「何で黙り込んでるんだよ」

アニ「………別に」

エレン「……まぁいいか」


アニ「……アンタ、それがヴァイオリンって奴かい?」

エレン「ん?あぁ…」

アニ「……今日、やるの?」

エレン「まぁな。せっかくもらったし………」


エレン「………それに」

アニ「?」

エレン「…俺に弾いて欲しい、なんて言われたらなぁ………」



アニ「………ふぅん」

エレン「………まだ早朝だし、誰もいないだろう」

アニ「ここに居るよ」


エレン「だからお前は良いんだよ、アニ」


アニ「………そういう言い方、止めた方が良いよ」


エレン「何で?」

アニ「何でも」



エレン「………じゃあ、どこで弾こうかな………」

アニ「………ねぇ」

エレン「ん?」


アニ「……良いトコ、連れてってあげようか………?」


エレン「えっ………」



ザッザッザッ…

エレン「ここは………」


アニ「裏山だよ」


エレン「あぁ、寮のすぐ側にあるのに使われないやつだろ」

アニ「木々が低くて立体機動装置も使えないしね」

エレン「………まさか」

アニ「あぁ」



アニ「………ここで弾きなよ」



アニ「ここなら誰も来ない。時間を気にする必要もない………」

エレン「…」

アニ「……後、頂上に小屋がある」

エレン「………何で?」


アニ「私が建てたから」

エレン「は」

アニ「物が置けるくらいだけどね」


エレン「………お前、何時からここに通ってるんだ?」

アニ「入団当時からだから…………半年ぐらいかな」



アニ「小屋の近くに少し広い場所があってね………自主訓練くらいはできる」

アニ「…よく使うんだ」

アニ(……どうしても一人になりたいときに、ね)


エレン「………お前さ」

アニ「…」


エレン「何でここまでしてくれるんだ?」


アニ「…」


エレン「……とっておきの場所まで教えてくれて」



アニ「…」


アニ「………アンタ、その楽器もらったの一週間前だよね」

エレン「………あぁ」


アニ「………もらった日の前の休日、アンタは何をした?」

エレン「?覚えてないけど、多分自主訓練だろ」

アニ「……その更に前の休日は」

エレン「……自主訓練」

アニ「……もうひとつ前は」

エレン「……自主訓練」


アニ「……入団の日まで遡ってもほぼすべての休日を、アンタは自主訓練に当てている、って答えるだろうね」

エレン「…」


アニ「……アンタはヴァイオリンを弾き続けてもこう言うだろう」

アニ「『……俺、ヴァイオリンなんて弾いてて良いのかな』」

アニ「………ってさ」

エレン「………アニ」


アニ「……ここまで言ってまだわかんないのかい?」


アニ「…肩の力抜きなよ、“死に急ぎ”」

アニ「………壊れるよ」



エレン「…」

エレン「………悪い」

アニ「謝るくらいなら礼を言いな」


エレン「…ありがとう、アニ」

エレン「こんなに気遣ってくれて………感謝する」


アニ「!」

アニ(……気遣う?)

アニ(…本当だ、私、コイツのこと気遣ってる)

アニ(………何でだろ)



エレン「………?」

アニ「………とにかく、そういったトコを気をつけな」

エレン「…あぁ」



エレン「………じゃあ、弾いてみるか」ガチャ

アニ「………何だい、その構え」

エレン「ヴァイオリンを肩に乗せて、それで左腕と肩と顔で支えて………って書いてあったんだよ、説明書に」

アニ「………説明書、ね」

アニ(……楽器に弾き方の説明書なんかあったっけ)

エレン「………じゃあ、弾くぞ」

アニ「…うん」

エレン「………」スッ



エレン「」ギィ~


アニ「」


エレン「…」

アニ「…」

エレン「………あれ?」

アニ「下手くそ」

エレン「おかしいな………」ギィ~

アニ「…」

アニ「………私、頂上で自主訓練してるから」

アニ「……じゃあね」スタスタ


エレン「……」

エレン「………まぁ、しょうがないか」


エレン「…」

エレン(……少しだけ、見てて欲しかったかな)

エレン「………なぁんて、な」



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

応援してくださる方々、ありがとうございます。



アニ「………ふぅ」

アニ「……何時の間にか夕方か。お昼ご飯食べ忘れちゃったね…」

アニ「…」

アニ(………アイツ、どうしたんだろう)

アニ(ここなら音も聞こえるはずだけど…………全く聞こえない)

アニ(………諦めたのかな)


アニ(……ちょっと様子を見に行くかな)スタスタ

アニ「」スタスタ


………~

アニ「…?」


………~♪

アニ「!」


~♪~~♪

アニ「………へぇ」

アニ(良い音色じゃないか)



エレン「」~♪

エレン「……ふぅ、ようやくか」

アニ「………音、出るようになったんだね」

エレン「……アニ。……まぁな」

エレン「全く………。手本がいりゃ楽なんだけど………生憎、そんな気の効いた奴なんかいねぇか」

アニ「………ねぇ」

エレン「ん?」



アニ「…もう一度、聴かせて」



エレン「あ、あぁ……」

エレン(コイツが溜めてモノを言うと…………絵になるな)

エレン(……少し、触れ難い)


エレン「」スッ


アニ「…」

サシャ「こっこまっでおいで!です!」

コニー「俺のパンを返せサシャ~!!」

コニー「とぅ!」バッ

サシャ「甘い!」ヒョイ

サシャ「………ぅん?」

コニー「なんの!」パシッ

コニー「ってあれ?……取り返せた?」

サシャ「………コニー、聞こえませんか?」

コニー「はぁ?」



サシャ「………鳥でしょうか。綺麗な音です……」

ユミル「…」

ユミル(………これは、ヴァイオリンか?)

ユミル(一音を出してるだけだが………こんな所にヴァイオリンなんかを弾く奴が居るのか)



クリスタ「ユミル~!」タッタッタッ

ユミル「…クリスタ」

クリスタ「どうしたの?」

ユミル「………このヴァイオリン奏者とお前が二人で奏であったら…」

クリスタ「え?」

ユミル「………絵になるなぁ」ヨシヨシ

クリスタ「……ユミルが変。…いや、いつも通りなのかな」



アルミン「…綺麗だね」

ミーナ「何だろう、これ………」

ミカサ「…」ユラ…ユラ…♪

ジャン(音の波に揺れるミカサ……絵になるぜ)

ライナー「…」

ライナー(………いつかこんな音も聞こえなくしてしまうのか、俺たちは)

ベルトルト(…)

マルコ「…この音、確かどこかで」



エレン「」~♪

エレン「……ふぅ」

エレン「……一応、音出てるよな」

アニ「……あぁ」

アニ(……一応、なんてもんじゃないけどね)

エレン「……うし、次からは曲に入るか」

アニ「……帰る?」

エレン「おう」

アニ「…じゃあ、まず小屋に行こうか」

エレン「え?」








アニ「この小屋にヴァイオリンや関係物を置いておきな」ギイッ…

エレン「立派な小屋だな…」

アニ「雨漏りとかもないからね」

エレン「何から何まで悪いな、アニ」

アニ「……ふん」


エレン「」ガチャガチャ バタン

エレン「………今度こそ帰ろうぜ、アニ」



アニ「…」スタスタ

エレン「…」スタスタ

エレン(………おかしい)

エレン(……普通こんなだんまりとした空気なら気まずく感じるんだが…)

エレン(……心地良い)



エレン(………こんな感じが、いつまでも続いたら良いのに……)


エレン(…いや、何を言ってるんだ俺は!)

エレン(しゃっきりしろエレン!お前は巨人を駆逐するんだろうが!!)


アニ「…」スタスタ

アニ(……良い音色だった、本当に)

アニ(アレが曲になると思うと………………)

アニ(………楽しみが、一つ増えたかな)

アニ(………それに、コイツと居たあの雰囲気。……今もまだ少しある)



アニ(………こんな生活が、いつまでも続いたら良いのに……)


アニ(……いや、何を考えてるんだ)

アニ(……結局は私の望みを、私自身の手で終わらせてしまうのに)

アニ(……………私の望み?何だ………?)



次の休日――――――――


アニ「………」モグモグ

エレン「おはよう、アニ」

アニ「………ん」ガタッ

エレン「………」

アニ「………どうした、座らないのかい?」

エレン「え、あ、いや………」

エレン「…座らせてもらうさ、ありがとう」ガタタッ

エレン(………?)



アニ「………今日も行くの?」モグモグ

エレン「…まぁな。ようやくこれからって所だしな」

アニ「……じゃあ、行こうか」


アニ「………あ、でもその前に街に行こう」

エレン「街?」

アニ「あぁ、必要なモノがあるんだ」

エレン「…了解」




ミーナ「………」


ワイワイ ガヤガヤ

エレン「………相変わらずだな」

アニ「つい二週間前に来たばかりだろう」

エレン「………そういやそうか」


エレン(………こんなに頻繁に街に来るのは初めてか)


アニ「……さて、何が食べたい?」




エレン「………サシャに毒されたのか?」

アニ「蹴るよアンタ」



エレン「…いや、朝飯食ったばかりなのにそんなこと言うから………」

アニ「バカ、お昼ご飯の話だよ」


エレン「昼飯?」

アニ「前の休日、お昼食べ損ねただろ」

エレン「……ん、そうだったかも」


エレン(………あれ?)


エレン「アニはあの日、昼飯はどうしたんだ?」


アニ「………………」



アニ「…………………………から」ボソッ

エレン「え?」

アニ「……食べ損ねたよ」

エレン「何だ、アニもか」

エレン(………最初、アニの奴何か言ったような………?)



アニ「…」

アニ(………“アンタが食べようとしなかったから”、食べに行かなかった)

アニ(………なんて、死んでも言えない)



アニ「………さて、じゃあ何にするか…」

エレン「…お、アレなんて良いんじゃないか?」

アニ「うん?………何、アレ?」

エレン「……パンで干し肉と野菜を挟んでるな」

アニ「……これ、一度にパンと肉と野菜を食べられるってこと?」

エレン「………らしいな」


エレアニ「「………」」




エレアニ「「…すみません、コレ二つください」」



エレン「うまそうだな、コレ」

アニ「………今食べないでよ」

エレン「食べるかよサシャじゃあるまいし」

アニ「………」

エレン「………どうした?」

アニ「………いや」


アニ(………弁当持って、二人で山に行く)


アニ(………コレ、ピクニックとかデートとかって呼ばれるモノじゃ……?)


アニ(……コイツは何とも思ってなさそうだけど)チラッ



エレン「よし、着いた…」

アニ「はい、コレ」ガチャ

エレン「サンキュ」

エレン「…じゃあ行くか。この前の所で練習してるからな」

アニ「あ………!ちょっと、お弁当は?」

エレン「アニが持っててくれよ、後で食べに来る」

アニ「え…」


エレン「よしっ、やるか!」タッ


アニ「…」

アニ(……一緒にお弁当食べようってことで間違いないよね?)

~♪

~♪~♪


アニ(あ………聞こえてきた)

アニ(…まだ曲の序盤辺りかな)

アニ(………)


アニ「………分かってる」

アニ「…アイツが、“死に急ぎ野郎”だってことくらい」

アニ「………けど」



アニ(………一抹の望みくらい持ったって良いじゃないか)



アニ(でも、それすら本当は望みを持ってはいけない)

アニ(……今、アイツと二人でこんな所に居ることでさえ…………ダメだということも)

アニ(………でも)


アニ「………アイツはそんなことを知らんと言うばかりに、ヅカヅカと入ってくるんだ」


アニ(………私の領域に、ね)

~♪

~♪~♪

アニ「………それにしてもこの曲、恋慕というよりは、戦いとか英雄とかの方がピッタリなんだけど」



アニ「」バッ バッ

アニ「………ふぅっ、もうお昼時か…」

アニ「……曲がもう聞こえない。そろそろ戻る頃か」


アニ「………いつもよりリラックスして自主訓練が出来た」


アニ「……アイツの曲を聞いてるからかな」


アニ「…音楽で癒されてる。……いや」


アニ(……アイツに、かもしれない…)



エレン「…よっと」ザッ

アニ「……戻ってきたね」

エレン「メシ食う為にな」

アニ「当たり前だろ、そんなこと」




アニ「………曲の調子はどうだい?」モキュモキュ

エレン「上手く行ってるぜ、今のところ」モグモグ



アニ「……アンタが弾いてる曲ってさ、本当に恋慕の曲?」

エレン「…ん、あぁ。そうだと思うぜ」

エレン「最初は戦いとかそうゆう曲調だが………後の楽譜を見るとまた曲調が変わるらしい」

アニ「…ふーん」


アニ「アンタ、楽譜読めたんだね」

エレン「まーな、適当に」


アニ「………適当?」



エレン「大体こんな感じかなーって」

アニ「………呆れて物が言えないよ」


アニ(………どんな物事にも感覚派や論理派が居る)

アニ(物事を物理的に考え、全てを理詰めに考える論理派)

アニ(感受性を豊かにし、人間の第六感を頼りに動く感覚派)

アニ(………コイツはどちらかというと感覚派。サシャやコニーと同じタイプだ)

アニ(……音楽なら、私は感覚派が奏でる方が好きだ)

アニ(理屈じゃなく、カンだけで自分の求める音楽を作れる)


アニ(………コイツ、内地に行って、音楽家にでもならないかな。そうしたら…………)

×一抹の望み ○一縷の望み かなぁと
良いですねぇー
支援

>>96 一抹の不安はあるけど一抹の望みはないか………。訂正ありがとうございます。




アニ「………そうしたら、アンタが死ぬことはない」

エレン「は?いきなり何言ってんだ」

アニ「!! い、いや何でも………!」

アニ(しまった、声に………)


エレン「………お前も俺が“死に急ぎ野郎”だ、とか思ってんのか?」


アニ「………まぁ」

エレン「………やっぱりおかしいと思うか?」

アニ「え……?」

エレン「………巨人を殺したい、なんてさ」

アニ「……あぁ」

アニ(…わざわざ死にに行くようなものだね。………私やライナー達のように“力”を持っていたとしても、とても危険だ)


エレン「………俺からしたら、お前らの方がおかしいんだ」

アニ「!」

エレン「……二年と半年前、100年破られなかった壁が破壊された」

エレン「……超大型巨人に鎧の巨人、奴らはまだ死んでねぇし、どこにいるかすらもわからねぇ」


エレン「…いつかまた、壁が壊されるのは明白だ」

エレン「………だからこそ、怯えてる場合じゃない」

エレン「前へ進まなくちゃいけないんだ」


エレン「……俺は壁の外に行く」


エレン「巨人を殺してやるんだ」





アニ「………おかしくないかい?」

エレン「…」

アニ「…人類が前へ向く。それは良いんだろうね」

アニ「…けど、アンタが巨人を殺す理由にはならないよ、アンタが、ね」

エレン「巨人が、憎い」

アニ「!」

エレン「…」

母さんを殺したアイツらが。

気味悪い顔を浮かべて人を喰らうアイツらが。

俺たちの日常を奪ったアイツらが。

我が物顔をして街を歩くアイツらが。

似たような“人”の癖して敵であるアイツらが。

俺たちの知らない世界を歩けるアイツらが――――――――。



エレン「憎い」

アニ「…」

エレン「………俺、練習に行ってくる」

アニ「…あぁ」

エレン「悪いな、辛気臭い話して……」スタスタ

アニ「…」

アニ(………分かってたことさ。………何も驚くことはない。………なのに)


アニ「………どうしてこんなに、胸が苦しい………?」


アニ「………教えてよ」



―――――――――死に急ぎ。



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

コメントしてくださる方、ありがとうございます。

誤字脱字、文法的ミス等がございましたらご指摘ください。

よろしくお願いします。

訓練時―――――――

エレン「………よし」

エレン(ヴァイオリンだけじゃなくて訓練も頑張らねえとな!)

エレン(………そういや、アニの様子がこの前からおかしいな)

エレン(どうしたんだ…………?)

ジャン「………おい」

エレン(俺が辛気臭い話したからかな………)

ジャン「…おい」

エレン「………アニ」



ジャン「聞いてんのか死に急ぎ野郎!!!!」



エレン「え?あぁ……」

ジャン「ケッ、余裕ぶりやがって…」

ジャン「今から立体機動の訓練だぞ、何ボーッとしてやがる!」

エレン「…わかった。…………ん?」


エレン「ジャン、わざわざ声かけてくれたのかお前」


ジャン「」


エレン「お前にも思い遣りって気持ちがあったんだな…」


ジャン「………死ね」



ジャン「…」

ジャン(………コイツ、言動をよく見聞きしてやがる)

ジャン(余裕ぶってる、じゃねぇ。…………本当に余裕が出来てるんだ)

ジャン(何だ?何がコイツを変えた……?)


エレン「うし、やるか…」

アニ「…」

アニ(………いつもの憂鬱な気分じゃない)

アニ(…こんな訓練時でも、耳にはあの曲が流れてる)

アニ(そして、思い出されるのはアイツの顔)

アニ(……ダメだと分かっていても、その顔に………考えさせられる)

アニ(……どうにかして、アイツを助けられないかって)


ミーナ「アニ」

アニ「……ミーナ」

ミーナ「…」


ミーナ「………良いね!」

アニ「え………」

ミーナ「いつものアニはまさに孤独!みたいな顔してるけどさ」

アニ「……ちょっと」

ミーナ「だけど、今のアニは違う」


ミーナ「ミカサやクリスタみたいな顔が出来てる」


アニ「は?」


ミーナ「だからぁ………」



ミーナ「恋する乙女!ってこと!」



アニ「なっ………」

ミーナ「! やばっ、そろそろ始まる」

ミーナ「行こっ、アニ!」


アニ「………」


アニ「…もし、ミーナの言う通りだとしたら、尚更私は、この気持ちに蓋をしなければならない」

アニ「………叶わない、望みなんだから」



ジャン「」ギュルルル

ジャン(クソッ、相変わらずミカサは速い!)ギュルルル

ジャン(! 見えた、巨人模型だ)ギュルルル


ジャン(よし、一気にうなじを…)ギュルルル



ギュルルルルル!


ジャン(!? 後方から誰かが…)ギュルルル


ミカサ「!?」ギュルルル



エレン「」ギュルルルルル

ジャン「は」ギュルルル

ミカサ「エレン!」ギュルルルル

エレン「」バシュ

ジャン(速い! ミカサに並んだ!?)

エレン「勝負だ、ミカサ!」ギュルルルルル

ミカサ「! うん」ギュルルルルル

ジャン(ミカサもスピードを上げた!)



ザシュザシュ!



ジャン「! おいおい…」ギュルルル

ジャン(斬撃の深さまで互角かよ…)ギュルルル

ジャン(一体、アイツに何が起きてるんだ!?)ギュルルル

ミカサ「……エレン」ギュルルルルル

エレン「何だ?」ギュルルルルル

ミカサ「動きに無駄がなく、力もまんべんなく行き渡っている」ギュルルルルル

ミカサ「エレン、上手」ギュルルルルル

エレン「………おう」



ミカサ「…」ギュルルルルル

ミカサ(エレンには力がある)ギュルルルルル

ミカサ(その力をいつも全力で使ってしまうから、エレンの作業効率は悪い)ギュルルルルル

ミカサ(筋力等でも私の方が上だけど、私は作業効率はかなり良くしてる。だから私は良い成績がとれる)ギュルルルルル

ミカサ(エレンにはそうゆう部分が足りないと思っていたけど…)ギュルルルルル

エレン「…」ギュルルルルル

ミカサ(………全力なエレンも良いけど、落ち着きのある大人なエレンも良いかも…)



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

コメントくださった方、ありがとうございます。

夕食時―――――――

アニ「」モキュモキュ


エレン「…隣、良いか」

アニ「………ん」ガタッ

エレン「サンキュ」

アニ「…いちいちお礼なんか言わなくたって良いよ」

エレン「お前だって礼言うだろ?」

アニ「…」




アルミン「」



マルコ「エレンとアニが同じテーブルについてる………」

ジャン(しかも二人きりかよ………。………チッ、死に急ぎ野郎め)

アルミン「ど、どうしたんだろう…」

ミーナ「……そういえば、この前の休日ぐらいも一緒のテーブルに居たね」

アルミン「え」

ミカサ「」ゴゴゴゴゴゴゴ…



ミーナ「“今最も成長してるコンビ”だね」

アルミン「え?」

ジャン「………どういうことだ?」

ミーナ「エレンは今日の立体機動の訓練で成績良かったんだってね」

マルコ「…うん」

ミーナ「何でだと思う?」

アルミン「………?」


ミカサ「それは簡単」


ミカサ「今日のエレンはとても落ち着いていたから」

マルコ「え?」

ジャン「技術が伸びただけじゃねぇのか?」



ミカサ「うん」

ミーナ「…やっぱり」

アルミン「………本当だ」

ジャン「何がだ?」

アルミン「1ヶ月くらい前のエレンと全然違う」

アルミン「あの頃のエレンはピリピリして、周りを寄せ付けないようにしてた」

アルミン「誰もエレンに近づこうとしないし、エレンも誰にも近づこうとしない」


アルミン「まさしく“孤独”って言葉を体現してるような感じだったんだけど……」


ミカサ「今のエレンは違う」



ミーナ「アニも変わってきてるんだ」

アルミン「どんな風に?」

ミーナ「前は仏頂面が多かったんだけどさ、最近は目を閉じて楽しそうにしてるの」

ミーナ「しかも時々鼻歌を歌ってるんだよ」



マルコ「…失礼だけど、本当にそれアニ?」

ミーナ「失礼過ぎ」

アルジャン((いや、マジでそれアニ?))

ミカサ「……そういえば、最近は私たちの会話にも時々入ってきてくれる」



ジャン「か、会話って………どんな会話なんだ?」

ミカサ「………皆のバストアップ法とか」

ジャン「」ブッ

ミーナ「ミカサ、ガールズトークは男子には言っちゃダメだから」

ミカサ「……そうなの?」

ミーナ「そうなの」


アルミン「あのアニがそんな砕けた会話を?」

マルコ「へぇ……」



ミーナ「エレンもアニも兵士としては力があるんだろうね」

ミーナ「けど、協調性がなかった。アニは特にね」


マルコ「……でも、今の二人にはそれが出来始めているってこと?」

ミーナ「うん。……集団で動く兵士としてはとても良い成長だと思うよ」


アルミン「……あのさ」


ミーナ「うん?」


アルミン「協調性が出始めて、二人が成長するのは良いことだと思うんだけど……」


ミーナ「うん」



アルミン「………何で?」



ミーナ「…」

ミカサ「…」

マルコ「…さぁ………」

ジャン「…ん?」



ライナー「よぉ、お前ら」

アルミン「ライナー、何か用かい?」

ライナー「明日の休日暇か?」


ミカサ「………何か明日あるの?」

ライナー「あぁ、まぁな」



エレン「…アニ、明日の休日も一緒に行くか?」

アニ「もはや日課のようだからね、行くよ」

エレン「じゃあ最初に街に………」





サシャ「エレン、アニ!」

エレン「何だ、パンはやらねぇぞ」

アニ「…」

サシャ「違いますよ!いや、出来ることなら欲しいですが………」


エレン「じゃあ何だよ」



サシャ「ライナーが呼んでるんです。話があるって…」

エレン「誰に?」

サシャ「お二人に、ですよ!」

アニ「………私もかい?」

サシャ「えぇ。早く行きましょう!」

エレン「しょうがねぇな……」ガタッ



アニ(作戦以外のことでは余り関わらないように決めた筈…。一体何だろう…)ガタッ



エレン「ライナー、…………何だ、皆いるじゃねぇか」

ベルトルト(…余り皆と休日を過ごさないアニとエレンもいる)


ライナー「よく集まってくれたな、お前たち」


ユミル「偉ぶらないで早く用件を話せ」

ライナー「あぁ」




ライナー「……お前たち、『鳥の歌声』を知ってるか?」



アニ「?」

エレン「何だそれ」


ライナー「……いや、お前たちは元々期待してなかった」


アルミン「知ってるよ。今かなり噂になってるよね」

コニー「なんでエレンたち知らねぇんだ?」


エレン(…コニーが知ってるってことはかなり有名なんだな)


マルコ「最近の休日によく聞こえてくるんだ」


エレン「え」


サシャ「綺麗な曲ですよ」


エレン「………きょ、曲?」

ミーナ「うん。その音はこの宿舎だと少ししか聞こえないんだけどね、よくよく聞くとそれが曲だっていうことが分かったんだ」



ジャン「音源が何かってのは分からないんだがな」

ユミル(まず間違いなくヴァイオリンだろうが…………まぁ、言う必要はねぇな)

クリスタ(…言ったらシーナの出身だってバレちゃう)


サシャ「最初は戦いのように………勇気づけられる曲調です」

ミーナ「そうしてたらいきなり曲調が変わって…………語りかけるような感じになる」

クリスタ「一つ一つの音が丁寧に………それらを全て聞いてると、とても切ない気持ちになるの」

ミカサ「まだ続きはあるらしいけど………そこからは聞こえない」



ライナー「綺麗な音から、『鳥の歌声』って言われてるんだ」



エレン「………で?」

ライナー「ん?」

エレン「お前はその歌声とやらをどうしたいんだ?」


ライナー「………ここまでくれば分かるだろう」





ライナー「明日、皆でその『鳥の歌声』を探しに行かないか?」



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

エレンの引いてる曲は実際に存在するものですか?元ネタとかあるなら教えてください。
支援

ベルトルトがエレンとアニのこと休日皆と過ごさないって言ってるけど、実際ベルトルトもライナー以外とは過ごさなそう


エレン「は」

アニ「!」



ミーナ「良いねそれ!」

マルコ「間近で聴きに行くってことかい?」


ライナー「あぁ。休日に出かけても問題ない成績上級者を集めようと思うんだが…………どうだ?」


アルミン「頑張れば何とでもなるよ」

ミーナ「うん、大丈夫!」

ユミル「問題ねぇな。………どうするクリスタ」

クリスタ「私も……聴きに行きたいな」



ライナー「よし、決まりだな」


ライナー「他の連中も良いな?」


ベルトルト「うん」

コニー「音を聴きに行くんだろ?楽しそうだぜ!」

マルコ「音じゃなくて曲だよコニー」

ジャン「……退屈しのぎにはなるか」

サシャ「綺麗な曲を聴きながら美味しいパァンを食べる…………。…良いですね」



ミカサ「…どうするの、エレン」



どうするもこうするも…………どうするべきだ?


裏山に皆と一緒に行ったらいわゆる『鳥の歌声』って奴は見つからない。当たり前だ。


ただ、間違いなく小屋が見つかる。頂上にあるとはいえ、あんな目立ってるんだ。


となると、ヴァイオリンが見つかる。そうしたら訓練兵の中に奏者がいるってのはすぐに分かる………。


……皆に言ってしまうか?……ダメだ、誰も教官にバラさないとは限らない。


……どうしたもんかな…。



ミカサ「………エレン?」

エレン「え、えーっとだな……」


ライナー「何だ、都合でも悪いのか?」



アニ「あぁ、悪いね」

エレン(!! アニ?)

ミカサ「…」

ミカサ「…何があるというの?アニ………」






アニ「……私たち、明日デートに行くから」



アルミカ「「」」

ライナー「は」

ベルトルト()

マルコ「え」

ジャン「けっ」

クリスタ「え?」

ユミル「プッ」

サシャ「へ」



コニー「そーなのか、そりゃ残念だな」


アニ「あぁ、残念だね」



エレン「」



ミーナ「………デート?」

アニ「うん」

ミーナ「………いってらっしゃい」

アニ「うん。……ほら、明日の予定決めよ」グイッ

エレン「あっ、おい……」ズルズル





ライナー「…」



ライナー「…今、何が起きた?」



アルミン「………明日、ウォール・ローゼが破壊されるんじゃないかな」

ジャン「そうか、じゃあ早く逃げねぇとな」

アルミン「…現実逃避しないでよ、ジャン」

ジャン「だってあの死に急ぎ野郎と氷の女だぜ!?一番そういうモノから離れてる奴らだろうが!!」


クリスタ「………デートかぁ」

ユミル「クククッ………」

クリスタ「どうしたの?ユミル」

ユミル「いや、面白いコトもあるもんだとな」


ミカサ「エレンが……………私のエレンが………」



エレン「お、おい!」

アニ「何?」

エレン「どういうことだよ、で、デ………」


アニ「デート?」


エレン「! そ、そうだ!」


アニ「まぁ見てなよ」


エレン「え?」

アニ「私たちが一体どんな人間なのかってことが分かるから」



ミーナ「…ライナー」

ライナー「ん?」

ミーナ「…私、明日行かないから」


ライナー「え?」




ミーナ「私、エレアニ観察するから!!!!」



ライナー「」



今回はここまでにします。

ありがとうございました。


>>136 元ネタはありません。自分のイメージの曲を組み合わせたという感じです。

>>138 ベルトルトはライナーが皆に頼られているのを一歩下がって見てる、というイメージを持っているので、一応皆といると思ってください。



ミーナ「あの二人がデートだよ!?気になるじゃん!」

ライナー「いや、それはそうかもしれんが………」


ミーナ「………それに」

ライナー「?」


ミーナ「あのアニが………デートだなんて」


ミーナ「特別な誰かと仲良くするわけでもなく、友達以上の関係を誰とも持たなかった、あのアニが…………」



ミーナ「幸せの道を歩もうとしてる」

ミーナ「ちょっと大袈裟かもしれないけどね」テヘヘ


ライナー「………ミーナ」

ベルトルト「…」



ミーナ「私は見守りたいの」

ミーナ「アニが幸せになるのを」


ライナー「………そうか」

ベルトルト(………アニの幸せ、か)


ミーナ「……ま、初々しい二人を見たい、ってのもあるけど」



ミカサ「…私もエレンを見守りに行く」


ジャン「なっ……!!おい、ミカサ!?」



ミカサ「エレンが危険に晒されそうになったら助けに出られるようにする」


アルミン(……危険ってどんな危険なのさ)


クリスタ「…私も行こうかな」

ユミル「おいクリスタ。まだあの死に急ぎ野郎に気ぃかけてんのか?」


クリスタ「……うん」


クリスタ(エレンみたいな人には幸せになって欲しい。……まるで、私みたいな生き方をしてるような人には、ね…)


ユミル「……よし、私も行くか…」

ライナー「………」

ライナー「………もしかして、お前ら全員………」


ジャン「…ミカサが行くからな」

アルミン「根源不明の正体よりもエレンの幸せかな」

サシャ「街には美味しい食べ物もありますしね!」

コニー「エレンとアニを見に行くのか!?良いかもしんねぇな!」

マルコ「……皆が行くなら、行くかな」

ベルトルト(……僕らにここでの幸せはあるのか。見せてくれよ、アニ)


ライナー「…」


ライナー「………仕方ないなお前ら」



ライナー「『鳥の歌声』探しは中止!明日はエレンとアニのデートを見守りに行くぞ!!!」


「「「「「イェーイ!!!!」」」」」


ナー ナニモッテイク? パァンデスネ エンソクジャナイヨ!







アニ「…どうやらバレずにすみそうだね」
エレン「何でそんなに俺らが気になるんだ………?」



アニ「……相変わらずそっち方面は鈍いね」

エレン「あ?」

アニ「………説明なんかしないよ。アンタが自分で学びな」

エレン「……何で教えてくれないんだ?」


アニ「……女の子にとって、それを教えることは恥ずかしいことなのさ」

アニ「勇気が要ることなんだよ、とてもね」



エレン「………ありがとよ」

アニ「え?」

エレン「………嘘ついてくれて、さ」



アニ「…」

エレン「ここまでしてくれて、感謝してるよ」

アニ「…アンタのためだけじゃないよ」

エレン「え?」

アニ「……見られたくないんだ」

エレン「………お前が1人で自主訓練してる所をか?」

アニ「…」

アニ「…………いや」

アニ「アンタの…………ヴァイオリンを…」



エレン「! へぇ……」

アニ「………何が‘へぇ…’なのさ」

エレン「いや、ヴァイオリンを見られたくないなんて………」

エレン「確かに珍しいが……変わってるなぁって」

アニ「………」



アニ「………もういいよ」

エレン「え」


アニ「…」スタスタ

エレン「お、おい!待てよアニ!」タッ



エレン「何だってんだよ、なぁ…」

アニ(……この脳筋め)

アニ(……アンタは何もわかっていない)

アニ(私はヴァイオリンなんかどうだっていいんだ)

アニ(………ただ)

アニ(あの“死に急ぎ野郎”が訓練以外に熱中する所を)

アニ(あの“死に急ぎ野郎”の知られざる意外な一面を)

アニ(……見られたくないんだよ、私は)

アニ(……私だけが、知っていたい)



アニ(………そして願わくは)

アニ(アンタがヴァイオリンを弾く姿と、アンタが弾く曲を――――――)







エレン「アニ」

アニ「!!」

エレン「どうしたんだよ、そんな顔して」

アニ「………別に」



アニ「…」

エレン(………まただ)

エレン(………コイツ、またしてやがる)             ・・・・・

エレン(………一体、何をそんなに…)





アニ「あ、そうだ。私は嘘ついた訳じゃないからね」

エレン「は?」


アニ「明日、本当にデート行くから」

アニ「訓練兵の服じゃなくて、私服で来なよ」スタスタ



エレン「…」



エレン「………マジで?」



今回はここまでにします。

コメントをくださる方々、ありがとうございます。

こうしてSSを書いていると、次から次へと書きたいコトが出てきます。

現在執筆を止めているSSもあるので、そちらもいつか書いていきたいです。



翌日――――――――

アニ「………」

アニ(………あまり眠れなかった)

アニ(…普段ならまだマシなんだけど、皆に見られるって所がね…)


アニ(…大分マシな格好で来た筈。大丈夫)


アニ(女の子らしくスカートも履いてみたし、その為に普段の印象を解こうと、髪もくくらなかった)


アニ(……もうすぐ待ち合わせの噴水だ)



アニ(…アイツ、マシな格好してるよね………?)



アニ「……いた」


アイツはボケッと突っ立っていた。

訓練や巨人のことさえ関わらなきゃ顔付きも優しいものだ。


服装は至って簡単なモノだった。

…それはいいんだけど、やはりコイツは死に急ぎだと思う部分が一つ。


……首に自由の翼を模した飾りが掛けられている。



何時どこでも、壁外に行くことを考えているんだ…。



アニ「………早いね」

エレン「…」

アニ「……ちょっと、聞いてるの?」


エレン「……あぁ、アニか」


アニ「…は?」


エレン「いや、何でもない。行こうぜ」スタスタ




アニ「………何アイツ」


エレン(………良いな、あの格好)


アニ「他の連中は?」

エレン「さっきアルミンとミーナ、それからベルトルトと目が合ったぜ」


アニ「……全員居そうだね」

エレン「あぁ」


ワイワイ ガヤガヤ


エレン「………やっぱり、人が多いな」

アニ「……だね」


アニ「…少し息苦しいよ」



エレン「でもさ、この前街に1人で居なかったっけ?」
アニ「あれはあれ、これはこれ」

エレン「…」


子供「お兄ちゃん、待ってよー!」

少年「何してんだ、ほら、行くぞ!」グイッ

子供「わーい!」

少年「何がうれしいんだか………」


エレン「…」

アニ「……仲の良い兄妹だね」

エレン「………ん」スッ

アニ「…バカにしてんの?」

エレン「はぐれないようにだよ」

アニ「…………もうちょっと気の効いた言葉は出ないのかい」ギュッ

ドゴッ ガタッ キラーン!

エレン「……何の音だ?」

アニ「…」



アニ「……で、どこ行く?」

エレン「そりゃいつものトコだろ」

アニ「あぁ、あそこね……」



(い、いつものトコだと!?)

(よく来てるらしいね……)



アニ(………ジャマな奴らだね)



エレン「後は適当にブラブラして………それから、行きたい所があるんだ。その後、裏山に行こう」

アニ「………バレるよ?」

エレン「撒こうぜ」



アニ「……了解」

エレン「ほら、ついたぞ」


エレン「おばちゃん!」

おばちゃん「おや、アンタたちかい!いつもので良いかい?」

エレン「あぁ、頼むぜ」

おばちゃん「あいよ!」





(店員に顔を覚えられてるぞ!)

(それだけ常連ってことか……)

(美味しそうです!!)



…えぇっと………どうも、こんにちは。

アルミン・アルレルトです。

本日は僕の親友、エレン・イェーガーと、ザ・クールビューティーな女の子、アニ・レオンハートのデートを見守り(邪魔をさせないよう)に来ました。

まずはエレンが寮を出てから行動開始。

僕ら男子組と女子組とが合流し、エレンに気づかれないように先回りします。

途中で今にも飛び出しそうなミカサを説得するのでまず一疲れ。



エレンの様子を観察しながらアニが来るのを待ちます。

ボケッとしてアニを待つエレン。

いつもの目付きが緩和されている為、少し絵になっていました。

クリスタが見惚れてしまうくらいです。………まぁ、カルラおばさんも美人だったし、当然といえば当然の話。

……羨ましいよ、エレン。



そうこうしてる内に、1人の女の子がエレンに近づいていきます。

…どこかで見たことのある女の子だな。


少し伸ばしたくらいの金髪に、碧い眼。

体躯は小さいけれども、スカートの下には程よく鍛えられた細い足が見える。


………もしかしてあれは。



ミーナ「アニだね、あれ」

皆「え゛」



………やっぱり。




ライナー「あ、あれがアニだと!?」

ユミル「化けたな、アイツ」

マルコ「あんなに女の子らしいアニは初めて見たよ」

ベルトルト「………」

クリスタ「アニ、可愛いなぁ……」


エレンとアニが向かい合う。

エレンも少々面をくらってるようだ。


………お願いだからミカサ、飛び出さないでね。



エレンがいきなり歩き出し、アニもそれに続く。

僕らも二人を追うために尾行開始。


一度に十一人もの大人数で動いたら流石にバレる。

……ていうかさっきエレンと目が合ったし。

なのでグループを3つに分けてエレンたちの後ろを歩く。

今日も街には人がたくさん居るので二人の邪魔をしてしまうようなことにはならないだろう。………こっちから何かをしない限り。


………あ、二人が手を繋いだ。


ミカサ「っ!!!」ドゴッ

ベルトルト「」ガタッ

クリスタ「わぁ!」キラーン!



ミカサが壁を砕き、ベルトルトがそこらのテーブルに躓き、クリスタが目を輝かす。



…三人共、尾行の意味分かってるのかな。


アニ「……で、どこ行く?」

エレン「そりゃいつものトコだろ」

アニ「あぁ、あそこね……」



ジャン「い、いつものトコだと!?」

クリスタ「よく来てるらしいね……」



二人が立ち寄ったのは………小さなパン屋。



エレン「おばちゃん!」

おばちゃん「おや、アンタたちかい!いつもので良いかい?」

エレン「あぁ、頼むぜ」

おばちゃん「あいよ!」




コニー「店員に顔を覚えられてるぞ!」

マルコ「それだけ常連ってことか……」

サシャ「美味しそうです!!」



……サシャ、まだ食べに出ないでよ。



二人はまた歩き出す。

そのすぐ後にサシャとコニーがパン屋に走り出して店員のおばちゃんに注文するが、僕らは知らんぷり。

サシャとコニーにいちいちついていったら時間がいくらあっても足りない。



エレンとアニは歩いていく。

……ただ、二人とも歩く姿が少しおかしい。


アニはぎこちなさを隠せず、ひたすら前を向いている。

エレンは歩き方がおかしい。……って思ったらいつもより歩幅が小さいことに気づいた。……アニに歩幅を合わしてるんだ。

…やるね、エレン。



エレンがアニに声をかけ、何かを指さす。


二人はそのままそちらの方に歩く。何か見つけたんだろうか。


ジャン「アイツら、デートってよりは用事を済ませてる感じだな」

ミーナ(……残念ながらそうかも)


二人は暗くて細い路地に入っていく。



………え、路地?


その路地は全く人気がない。

二人以外は誰も入らないし、入れそうにもない。入り口の間隔が人一人分くらいしかないからだろうか。


……そんな路地に、二人は何しに行ったんだろう…。



今回はここまでにします。

まだまだ結末までが見えてきません。

コメントをくださる方々、ありがとうございます。

ありがとうございました。



アルミン「……どうする?」

ライナー「…アイツらを追うかどうかか?」

ミカサ「追う。早く行こう」


ユミル「いや、ちょっと待て」

クリスタ「ユミル?」


ユミル「こんな細い路地だぞ。パッと見、奥には光が届いてない。間違いなく行き止まりだ」


……成る程。確かにそうかも。

ユミル「しかも何かが出来るような幅も広さもない。つまり、アイツらがこの路地ですることなんざほとんどねぇってこった」


ユミル「テメェが心配するようなことなんざ起きねぇよ、ミカサ」


ミカサ「……しかし」



ユミル「それに加えて、この路地には出入り口はたった一つ。…ここだけだ」


ユミル「待ってりゃそのうち出てくる。態々行くことはねぇ。」

ジャン「ま、そうだな…………ん?」

イナカッタナ・・・ サァネ.ダレノコトダイ


ジャン「!! アイツら、もう戻って来やがった!」


ミーナ「早くかくれよう!!」



エレン「……いなかったな」

アニ「さあね、誰のことだい?」

エレン「あぁ…………それは……」


エレン「………今ここに誰かいなかったか?」

アニ「………さぁ」

アニ(…………下手くそな尾行だね)


エレン「…俺にヴァイオリンをくれた人だよ」

アニ「……あんな小汚ない路地にいたの?」

エレン「あぁ、元は内地にいたらしいがな…」



エレン「時間があったら挨拶ていうか、近況報告でもしようかってな……」

アニ「………私を連れて?」

エレン「ん、まぁな。別に良いだろ?」

アニ「………まぁ、別に良いよ」



アニ(……気分的には、挨拶に連れてかれる彼女だね)


アニ(…一生モノの)



アニ「………そういえばアンタさ」

エレン「ん?」

アニ「今、曲は半分くらい弾けるんだよね」

エレン「よく知ってるな」

アニ「アンタの音はよく聞こえるんだよ」

エレン「ヴァイオリンの音、じゃなくてか?」

アニ「うるさい」


アニ「……いつぐらいに全部弾けるようになるの?」


エレン「……そうだなぁ」



エレン「後二三週間もしたら全部弾けるだろ」

アニ「……そっか」

エレン「………?」

アニ(………後、二三回しか一緒に街に行ったり裏山に行ったり出来ないのか)

アニ(…………あれ?)


アニ(…今、残念だと思った自分がいる)


アニ(たかだか一緒に歩いたり、一緒にお昼ご飯食べたり………)



アニ(そんな些細なことを幸せだと思ってしまった自分がいる)


アニ(………………何で……?)



エレン「…」

アニ「…」

エレン「…………また、だな」

アニ「え………」

エレン「……いや、なんでもねぇ。……それより」

アニ「………あぁ、連中のこと。そろそろ鬱陶しくなってきた?」

エレン「うっとうしいっていうか………落ち着かねぇというか……」

アニ「………そろそろ行くかい?」

エレン「………行くか」



ミーナ「み、みんな隠れたよね?」

ベルトルト「隠れたは良いけど……」

ライナー「二人から大分離れちまったな」

マルコ「これじゃあ二人の声が聞こえないね……」

ジャン「なんだよマルコ。お前もやっぱ模範的優等生な癖して気になるんじゃねぇか」

マルコ「まぁね……」


クリスタ「………あれ、サシャとコニーは?」

ユミル「どっか行った。さっきのパン屋で足止めされたんだろ」



ミカサ「とにかくこのままでは二人の会話が聞こえない」

アルミン「うん。早く二人の近くに……………」



アニ「行くよ!」ダッ

エレン「おう!」ダッ




アルミン「えっ!!?」

ミーナ「あっ!」

ミカサ「」ダッ



ミカサ「くっ!」

ミカサ(人が多すぎて上手く前に進めない……!)

ライナー「3つのグループに別れて追うんだ!」

ユミル「逃がすかよ!」


ベルトルト「……ここまですることかなコレ」

ジャン「成り行きだろ」



ミーナ「…どうしたのアルミン。考え事?」

アルミン「あ、うん」


アルミン「ちょっとね……」




ライナー「どこに行った!?」

マルコ「あの二人、凄い体捌きだったね」

ライナー「対人格闘が出来る二人だからな。身体も細いし、人ごみを駆け抜けるなど簡単だろう」


ベルトルト「………ねぇ」

ライナー「何だ、ベルトルト。お前も早くエレンとアニを………」



ベルトルト「……帰らない?」


ライマル「「えっ!?」」



ライナー「いや、何でだよベルトルト!」

ベルトルト「……僕らさ、何で二人のデートを見に来たんだっけ?」


マルコ「…」

ライナー「…」


ライマル「「………あれ?」」



ベルトルト「僕は可能性を見出だしたかった」


マルコ「……可能性?」

ライナー「まさか、お前…」ハッ



ベルトルト「こんな僕らにも、幸せはあるのかなって…」


マルコ「? そりゃいくら兵士でも幸せくらい………」


ライナー「………違うのさマルコ」

マルコ「え?」



ライナー「……兵士としてじゃないんだ…………」

マルコ「……?」

ベルトルト「…」



ベルトルト「………結果は、アニを見れば一目瞭然さ」

ライナー「………そうだな」


マルコ「…」


ベルトルト「……というわけで、僕は用は済んだのだけど」

ライナー「…俺もだ」


ライナー「今回は、お前に動かされたよ、ベルトルト」


ベルトルト「いつもと逆だね」アハハ



ライナー「…で、マルコは?」


マルコ「…」



ベルトルト「そういえば、マルコは何で来たんだい?」


マルコ「…」


マルコ「…いやライナーが、皆で見守りに行くぞ!って言ったからだけど」



ライナー「…」

ベルトルト「……結局はライナーだね」

マルコ「皆の兄貴、ライナーニキだからね」


ライナー「……いや、スマン」



ミカサ「二人はどこへ!?」

アルミン「この人混みだからね、ちょっとわからないな…」

ジャン(アルミンさえいなければ二人っきり…)

ミカサ「エレン、あの女狐に何もされてないだろうか…」

アルミン「……ミカサ、ちょっと良い?」

ジャン(何とかしてアルミンをどかさねぇと……)

ミカサ「何、アルミン?用件は手短に」

アルミン「……アニが何をすると思ってるの?」

ジャン(…力ずくでどかすか……)



ミカサ「………」

アルミン「…ミカサは最初の頃、アニがエレンを押し倒した辺りから、アニが危険だって思ったんじゃない?」

ジャン(まずアルミンを簀巻きにして…)

ミカサ「…うん」

アルミン「でもあれは訓練だったんだよ?アニも悪気があったわけじゃないさ」

ジャン(ならロープと藁がいる…)

ミカサ「…でも」

アルミン「……ミカサは、エレンをどうしたいの?」

ジャン(ロープはどこだ?)キョロキョロ

ミカサ「…」

アルミン「護りたいの?………それとも」



アルミン「…愛したいの?」


ミカサ「!!」



アルミン「どうなんだい、ミカサ」

ミカサ「………アルミンには隠し事はできない」

ジャン(ロープ発見!)パシッ

アルミン「…じゃあ」

ミカサ「……開拓地にいた頃、私たちは三人だった」

ジャン(…え、ミカサの過去話?)クルッ

アルミン「…うん」

ミカサ「三人で、助け合って生きてた」

ジャン(聞く価値は100?sの塩にも勝るぜ!)


ミカサ「…あの頃は、三人しかいなかった」


アルミン「!」

訂正>>224
ジャン(聞く価値は100キログラムの塩にも勝るぜ!)
―――――――――――――――――――
ミカサ「――今、私には女友達というものがたくさん出来た」

アルミン「ミカサは人気だからね、カッコいい!って」

ジャン(当然だな)ウンウン

ミカサ「アルミンにも、アルミンを慕うたくさんの友達が出来た」

アルミン「…主に座学が元だけどね」

ジャン(俺も時々頼りにしてるぜ)

ミカサ「………けどエレンには、たくさんの友達は出来なかった」

アルミン「…」

ジャン(アイツだけは俺はお断りだ)



ミカサ「………ただ、たった1人、私たちに近しいような友が出来た」

アルミン「………うん」

ジャン(そんな奇特な奴いたか?)

ミカサ「………だけどソイツは今、友人という立場から2つ上の関係になろうとしてるかもしれない」

アルミン「……それはエレンにとっても、アニにとっても嬉しいことじゃないの?」

ジャン(アニ!?あの氷の女が!?)

ミカサ「……エレンが女狐と話し、共に訓練する頃から、エレンの私に対する態度が変わってきた」

アルミン「……確かに。少しずつ鬱陶しがられてたね」

ジャン(そうか、だから今奴らはデートを……)



ミカサ「そう………エレンのあの女狐との仲が良くなるに連れて」

アルミン「…」

ジャン(…死に急ぎめ)

ミカサ「……なのに、これ以上エレンと女狐が仲良くなってしまったら」







ミカサ「………いつか、エレンが私に目もくれなくなってしまうかもしれない…!!!!」ギュッ

アルミン「……ミカサ」

ジャン(…幸せ者だ)


ジャン(欲張り野郎め…)



アルミン「…だからって、それは…」

ミカサ「アルミン………あなたに分かる?」


ミカサ「一度、全てを失うということが」


アルミン「っ!!!」


ミカサ「家族を亡くし、温もりを失くし…………」



ミカサ「寒さに晒された子供」





ミカサ「…だけどそこに、唯一の救いが現れる」



ミカサ「……ならば」

ミカサ「その子供が、唯一の救いの、その男の子を…………」


ミカサ「手離すと思う?」


アルミン「…」


ミカサ「……だから私は、離したくない」




ミカサ「エレンを、ずっと傍に居させたい」


アルミン「………でも」



ジャン「おいミカサ」

ミカサ「?」

アルミン「ジャン…」


ジャン「…間違ってんのはお前だぜ、ミカサ」



アルミン「!」




ミカサ「…」


ミカサ「…私とエレンの絆を侮辱するの?ジャン…」



ジャン「………何で邪魔をするんだ?」

ミカサ「…さっきも言ったように………………」

ジャン「違う」


ジャン「何で真っ正面から行かないんだ?」

ミカサ「!!!」



ジャン「真っ正面から行ってアプローチかけた方が効果的だろうが」


アルミン(………ジャン)


アルミン(……君は良い奴だよ、本当に)

ミカサ「……それは」

ジャン「アイツらがイチャついてんのが目につくんだったら、死に急ぎ野郎に近づいてもっとイチャつきゃいい話だろうが」

ジャン「…本当はそれは困るんだがな、俺が」ボソッ


ミカサ「…?」


ジャン「!! と、とにかく!他人の邪魔をしに横槍いれんのはお前らしくないぜ、ミカサ!」

ジャン「もっと前を向け!アニには真っ正面から向かってやれ!」

ジャン「今は死に急ぎ野郎が少しお前からは離れてるかもしれないが………」



ジャン「だったらお前から近づいて!前より近くにいりゃ良い話だろうが!」


ジャン「違うか!?」



ミカサ「…」


ミカサ「………帰ろう、ジャン、アルミン」


ジャン「お」

アルミン(ミカサ!)パァッ


ミカサ「帰って、エレンとの仲を家族以上のモノにする作戦を考える」クルッ

ミカサ「私は、エレンに離れて欲しくないんじゃない………」



ミカサ「私が、エレンと一緒にいたいんだ!」クルッ

ジャン「…へっ」

アルミン(ジャン………ありがとう)



ジャン「……それによ」

ジャン「死に急ぎ野郎がダメなら……………お、お…」


ミカサ「?」



ジャン「お………………俺」



ミカサ「え?」



ジャン「お、俺とかは………ど、どうだ!?///」


アルミン(……今ここでいくの!?)



ワイワイ ガヤガヤ

ミカサ「………ごめん、何か言った?」

ジャン「」

アルミン「い、いや! 何でもないよ!?」

ミカサ「………そう」

アルミン「……ドンマイ、ジャン」ポン

ジャン「」














ミカサ「…ふぅ」ドキドキ



ミカサ「そうとなればすぐ戻る!」ダダダッ


アルミン「………とりあえず落ち着けるね」

ジャン「………」ズーン



アルミン「……ジャン」


アルミン「……ミカサのキモチ、分かるかい?」


ジャン「あ………?」


アルミン「……きっと、ミカサのキモチを理解出来る人はこの世にほとんどいないよ」



アルミン「ミカサは全てを失ったんだ」

アルミン「家族に平穏、そして、『普通』というものを…」


アルミン「…僕も、家族を皆亡くしてる」


ジャン「なっ」



アルミン「…エレンも、母親を亡くし、父親は行方不明……」



アルミン「………けど、僕やエレンでも、ミカサの心境を理解することはできない」



ジャン「……どういうことだ?」



アルミン「……僕の家族がウォール・マリア奪還作戦に連れていかれた時……………………僕の横には、エレンとミカサがいた」


ジャン「…」


アルミン「エレンがお母さんを目の前で巨人に喰べられた時は、エレンにはミカサと僕。それから、『巨人を一匹残らず駆逐する』という目標があった」



アルミン「僕とエレンには夢もあったかな」ハハハ





アルミン「……けど、ミカサの両親が殺害されたとき、ミカサには何もなかった」


ジャン「!!! まさか…」



アルミン「………『失う』、それは日常的に、連続的に起こり得ることだよ」


アルミン「……けど、ミカサは一瞬で全てを失った」


アルミン「……想像がつかないよ、そんなこと」

アルミン「僕だったら自殺するかもしれない…」




アルミン「…そんな中、一筋の光がさし込まれた」



アルミン「……顔、挙げちゃうでしょ?」

アルミン「……光に、泣いちゃうでしょ?」



アルミン「だからミカサはエレンと居たいのさ…」


ジャン「…成る程」



ジャン「…なら、話は簡単だな」

アルミン「え?」

ジャン「俺がミカサの一番になるには、エレンを越えりゃいいんだろ」


アルミン(え、エレン?)


ジャン「やってやる」

ジャン「俺はミカサが好きだ」

ジャン「ミカサを守りたい」

ジャン「今、心の底から思えるぜ!!」

ジャン「うおおおぉぉぉ!!!」ダダダッ

アルミン(……何で走るんだろ)


アルミン「……でも、良かった」

アルミン「エレンも、ミカサも」



アルミン「……何が異端」

アルミン「……何が悪ガキ」


アルミン「今の“死に急ぎ野郎”や“化け物”には…………」





……対等に扱ってくれる仲間がいる。



アルミン「……何て幸せ」

アルミン「勿論、僕も、ね………」

ミーナ「何処行ったのかな~?」

クリスタ「……ミーナ」

ミーナ「なぁにクリスタ」

クリスタ「…もしかして、真剣には………」

ミーナ「探してないよ」

クリスタ「やっぱり!何で?」

ミーナ「だってエレンとアニだよ?」

クリスタ「だから二人をしっかり見守らないと!」


ミーナ「逆よ」

クリスタ「え?」



ミーナ「エレンとアニだからこそ………なの」



ミーナ「エレンはさ、言ってることおかしいでしょ?」

クリスタ「え? ………あー、うん」


クリスタ(…少しだけ、共感出来る部分もあるけどね)

ミーナ「それはつまり、世間に流されず自分の意思を明確に持って、自分で考えているということ」


クリスタ「…うん」


ミーナ「アニも実はそうなの」


ミーナ「別に言うことは普通よ。けど………自分の考えを持ってる」


ミーナ「この前は、『幸せの在り方』とか、『良い人と悪い人』とかを話してくれた」


クリスタ「へー…」

ミーナ「二人共が自分で考えられる能力を持っているんだよ?」

ミーナ「ミカサが心配するようなことなんか起きないよー」アハハ


クリスタ「……そっか」


クリスタ「私はただカップルのデートを見に来たかっただけなんだけどな…」

ミーナ「別に二人は付き合ってないよ?多分」

クリスタ「え゛」

ミーナ「そこら辺はあの二人だからねー、やっぱり心配してないし期待もしてないんだよ」ハッハッハ


クリスタ(ひどい……)









クリスタ「………そういえばユミルがいないなぁ」

ミーナ「え゛、今更?」



ユミル「………クリスタたちとはぐれた」

ユミル「チックショウ………チビは素早いな」

ワイワイ ガヤガヤ


ユミル「人も多いし………見つかりそうにねぇな」



ユミル「………ん?」


ユミル「……何だあの路地は」



誰も寄り付かない…………。

そんなことがあるのか?

いくら狭いからって………。


ユミル「………」


ユミル「………ヒマだし、いってみるか」スタスタ



ユミル「………暗いな」スタスタ


………不気味だな。


奥を確認したらさっさと帰るべきかもしれねぇ。



ユミル「………ん?」



「……………」



ユミル「……人が来たらいらっしゃいくらい言いな」



「……言わないさ」


ユミル「…何?」


「……‘いらっしゃい’。……それは人を歓迎するときに使う言葉」


「……ワシはお前さんを歓迎していない。……よって言う言葉は、‘早く家にかえれ’だ」


ユミル「……成る程」

ユミル「…じゃあ帰らせてもらうぜ」クルッ



「……いや、待て」

ユミル「あ?」



「……お前さん、訓練兵だな」

ユミル「……あぁ、まぁな」

「……そうか。……あの少年が居るトコロか」


ユミル「少年………?」




「……少女よ」

ユミル「……何だよ」

「……お前さん、この路地に入ってどうだった?」


ユミル「………何?」



「……いや、少しな」

ユミル「………まぁ、良い気分ではねぇな」


「……やはりな」

ユミル「……何だ、何が言いたい」

「……お前さんがこの路地にいるべきではないということを再確認しただけだ」


「……少女よ、頼みがある」

ユミル「………聞くだけ聞いてやる」



「……お前さんの訓練兵団に、目ツキの悪い少年がいるだろう」

ユミル「目ツキの悪い奴なんざいくらでもいる」

「……黒髪だ。……顔は整っていた」


ユミル(………何だ、死に急ぎ野郎か)


ユミル「アイツがどうかしたか」


「……いつか、もう一度ココに連れてきて欲しい」

「……そして、その時の気分を訊いてくれ」



ユミル「……さっき私にアンタが訊いたようにか?」

「……そうだ」

「……そして、気分が悪くなったと言えば…………」

「……それで良い。……その時はもう二度とココに連れてくる必要はない」


ユミル「…気分が悪いと言うまで連れてこい、と?」


「……あぁ」



「……この路地に平然と入れる人間は何か重大なモノを背負っている」

ユミル「……重大なモノ?」

「……負の感情」

「……常人が耐えられない程の、な」

「……お前さんも何かしらを背負っているのかもしれん」

「……だが、この路地に居心地の悪さを感じるならば問題ない」


「……つまり、この路地に入れない人間は、通常の感覚を持っているということだ」


ユミル「通常………」



「……少年は言動が中々おかしいんじゃないか?」

ユミル「あぁ」


「……間髪入れず、か。……それもまた悲しいな」


「……そういう類いの人間は必ず壊れる」

ユミル「!?」


「……いないのだ、味方が」


「……私の娘もそうだったよ」

ユミル「…」



「……もう娘のような人間を出したくないのだ」


「……だから私は、あの少年に楽器をやったのだ……」

ユミル(……楽器?)


「……少女よ」


「……あの少年の味方で居てくれ……」






ユミル「…」



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

コメントをくださる方々、ありがとうございます。



エレン「……ふうっ」

アニ「……誰も着いてきてない。上手く撒けたようだね」

エレン「あぁ」



……サァァァ………


エレン「……結局ここに戻って来るんだな」

アニ「結局ね」

エレン「まぁ、この裏山は心地良いからいいけどな……」


アニ「………」


エレン「……普段は緑生い茂るなかでじっと居るなんて出来ねぇからなぁ」

アニ「………立体機動のことかい。いつでも頭には訓練のことしかないんだね」



エレン「そりゃそうだろ」


エレン「…俺にはそれしかないんだからな」

アニ「は?」







アニ「………何だって?」

エレン「え?」



アニ「アンタには訓練しかないだって?」


エレン(…げっ!)

エレン(コイツ、キレてる…)

エレン(話すときに一瞬のタメが無い)

エレン(普段は一拍置いて話すのに…)

エレン(……何より、顔がマジギレしてるよ)












エレン(…あれ、おれけっこうアニのことをよく見てるな)



エレン「……何だよ、何怒ってるんだ?」



アニ「…アンタが救いようのないおおバカ野郎だからに決まってるだろ」


エレン「え…」


アニ「……アンタは何も分かってない」

アニ「アンタがその楽器をもらった意味も」

アニ「その人に弾いてくれと願われた意味も」


アニ「全部」



エレン「………」


アニ「……本当だったらケリの一発や二発を入れてやりたいもんだけど」

アニ「今のアンタにはそんなことよりも、考える時間が要る」



アニ「……私は今日は帰るよ」スタスタ

エレン「あ、おい……」




エレン「…」


エレン「………ふぅっ」ドサッ



エレン「………」

エレン「……あんなアニは初めて見たな」


エレン「……アニにあんな風に悪態つかれたのも初めてだ」


いつものアニなら、呆れてモノも言えないって感じで『バカだね…』って言うはずだ。


……けど、今回は違った。



………今回は、怒れて仕方がないって感じだった。



エレン「…俺、何か変なこと言ったかなぁ」



ライナー「アルミン、コニー」


アルミン「ライナー」

コニー「どうかしたか?」

ライナー「先週のアレ、行かないか」
        ・・

アルミン「あぁ、アレね。僕は良いよ。コニーは?」


コニー「止めといた方が良いんじゃねーの?」


ライナー「? 何故だ?」



コニー「雲行きがあやしいぞ。一雨来るんじゃねぇかな……」


ライナー「! 本当か?」



アルミン「雨が降るのかい? まいったな………」

コニー「なんかあるのか?」

アルミン「エレンが外出しちゃったんだ。どこに行ったかも分かんないし…」


ライナー「エレンも子供じゃないんだ、大丈夫だろう」

コニー「それにそんなに降る雨でもなさそうだぜ」



アルミン「……なら良いんだけど」

アルミン「最近のエレンはおかしかったでしょ? だからちょっとね………」



一方、裏山――――――――


エレン「もう少しで小屋だな」ザッザッ

エレン(……今日はいつものトコにいなかったな…………アニ)ザッザッ

エレン(……意味……か)ザッザッ


エレン「俺に在るモノ………俺が持っているモノ」ザッザッ


エレン「……アニは俺を待っているのかな」ザッザッ


エレン「…さっさと気付いて、アニと元に戻るか!」ザッザッ


エレン(………ん? 元に戻る?)


エレン(……そういえば、俺とアニの関係って何だ?)



エレン「…友達」

エレン「…仲間」


エレン「………んー……?」



エレン「親友、家族、ライバル、師弟…………」



エレン「しっくりこねぇなぁ…………仲間やライバルではある筈なんだけどなぁ………」


エレン(つーか家族はミカサだろ)



エレン「………まさか、恋仲………?」



エレン「………恋仲ぁ?」

エレン「何か違うような気が……」ンー


エレン「………でも、アルミンの言ってた条件には当てはまってる………」


―――――――

―――――

―――



アルミン『いいかいエレン。君には今からカップルとは何ぞやを教えるからね』

アルミン『え? なんでかって? …うん、まぁね…』ハハハ

アルミン『(ミカサとアニが争うと死人が出るから、まずは元凶を抑えようなんて言えないや…)』ハハハ



アルミン『じゃあ元きょ――――もといエレン。よく覚えておいてね』


アルミン『まず、カップルていうのは仲が良い男女のことを指します』

アルミン『けど、仲が良いって言っても色んな仲の良さがあるからね』


アルミン『例えば、僕とエレン、ジャンとエレン、フランツとハンナの三組ではそれぞれ仲の良さの種類が違うんだ』


アルミン『え? 君とジャンは仲良くなんかないって?』


アルミン『……喧嘩するほど何とやら、って奴さ』



アルミン『エレンとジャンの仲は分類としては“喧嘩友達”だね』


アルミン『僕とエレンは普通に仲の良い“友達”だよ』

アルミン『え? “友達”じゃなくて“親友”だって?』

アルミン『……うん、そうだよね』テレッ

アルミン『(こういうことをミカサやアニに言えば良いのに……。……いや、ミカサに言ったら調子に乗るし、アニに言ったら照れ隠しの蹴りが来るか)』

アルミン『(………あれ、エレンじゃなくてミカサとアニに問題がある気がしてきた)』


アルミン『え? 次?』

アルミン『あぁゴメンゴメン』



アルミン『……で、最後にフランツとハンナだけど』

アルミン『あの二人こそ真に“カップル”!更に細かく分類すると“バカップル”だね!』

アルミン『え? “バカップル”って何かって? ……うーん、周りが見てて「うわぁ……」ってなる人達…………かな?』


アルミン『ま、とにかく、夫婦の一歩手前みたいなものなんだ、“カップル”は』


アルミン『“カップル”にもたくさんの種類があるよ。けど、全てのカップルに共通してるのは………“お互いに好き”ってことじゃないかな?……たまに例外もいるけど』

アルミン『言っとくけど、この“好き”は“恋愛的な好き”だからね!そこは勘違いしないように』



アルミン『“恋愛的な好き”っていうのはね、相手と一緒に居たいとか、相手に自分を見てほしいとか………』

アルミン『相手のことを想ったら胸が痛くなる、動悸が起こる………。………病気じゃないからね、言っとくけど』


アルミン『…たまの休みに二人で外出したり、ご飯食べに行ったり』



アルミン『“カップル”ってのはそういうモノさ』



エレン「………アニのことを考えると、胸が苦しい………?」


エレン「………苦しくはねぇが、モヤモヤする」

エレン「………アニは、俺のことどう思ってんのかな」




エレン「…………ん?」



…………ザァァァァ…



エレン「げっ、雨か!?」


エレン「雨宿りしねぇと…………!ここからなら小屋が一番近い!」ダッ



タッタッタッ…

エレン「あった、小屋だ!」タッタッタッ

ガチャ バタン!



エレン「ふぅ、危なかった…」ポタ…ポタ…

「………」



エレン「………ん? …………あ」



アニ「………」


エレン「アニ…………」



今回はここまでにします。

ありがとうございました。

コメントをくださった方々、ありがとうございます。


このSSもそろそろ終わりが見えてきました。


これとは別に書いているSSもあるので、それを今度こちらの掲示板に移したいと思います。

エレン「お、お前、何で………」

アニ「……………遅刻」

エレン「へ?」


アニ「今日、アンタが遅刻した。15分待って来なかったから先に行った」

アニ「……文句、ある? ていうか、遅刻したことすら判ってなかったんだね」


エレン「え……」


……そういえば日がいつもより高かった気がする。何で気づかなかったんだ……。


アニ「…」

アニ「……ふーん」

エレン「?」



アニ「……何か、最近考え事をしてたからじゃないの?」



エレン「!!」


アニ「……ま、何を考えてたかなんてのは明白か」

アニ「私が考えさせたんだからね」




エレン「………なんだよ」

アニ「?」


エレン「……怒ってないのか?」

アニ「…」



アニ「はぁ?」



アニ「私が? 何に? アンタが遅刻したことにかい?」

アニ「確かに怒ってはいるけど、アンタだからね。どうせ他事に囚われてる状態じゃあアンタが満足に事を成せないのは自明のことなんだ」

アニ「当然予想はしてた。だから別に…………」


エレン「…そうじゃねぇよ」



エレン「……先週のことだ。……お前さ、帰り際に怒ってなかったか?」


アニ「……」



アニ「………何言ってんだい。別に怒ってなんかなかったよ」

エレン「…いや、怒ってたって」

アニ「私がアンタに怒る理由がないね」

エレン「……? ……そうかよ」


……おかしいな。先週のアニは間違いなく怒ってた。アニの奴、もしかして無意識かよ………。



アニ「…で?」


アニ「……意味、わかったの?」



エレン「……まだわかんねぇよ」

アニ「……」



アニ「…だろうね」

エレン「え?」

アニ「たかが一週間でわかるわけないよ」



エレン「………んだよ、まったく」

アニ「それはこっちのセリフさ。早く色々気づきなこの死に急ぎ」

エレン「あ? 色々?」

アニ「…」



エレン(色々って………?)

エレン「…」


…ザァァァァ………

アニ「……まだ雨が降ってる。けど、直ぐには止まないにしてもしばらくしたら止むだろうからね」

アニ「アンタ、今どのくらい弾けるの? ヴァイオリン……」


エレン「……ん。全部弾けるぜ、多分」

アニ「! そう…」

アニ(……集中力、いや、精神力か)

アニ(コイツの訓練への根源かもね、これは……)



エレン「…」

アニ「…」






…ザァァァァァァ………






エレン「…」

アニ「…」

……雨は止まない。

俺たちの間は1mもない。

その1mには沈黙。アニも話さないし、俺も話さない。


…こんな感じは前にもあった。

心地よい静寂。その場にいて、ずっとそうして居たいと思えるような空気。


…けど、今日は前とは少し違う。


少し落ち着かない。

向かい合っているからか、時々アニの方を向くとお互いの視線が絡み合い、気恥ずかしくなって目を逸らす。

そしてまたアニを見て、また目が合って、また顔を背けて……………。





…………そんなことを何度か繰り返す内に、俺とアニはいつの間にか抱き合ってた。



エレン「…」

アニ「…」


抱き合うと今度は目が合わなくなった。

二人して明後日の方を向いている。

……いや、アニはわからないけど、少なくとも俺はそうだった。


……どちらから近づいたのかはわからなかった。

それに、正直どうでもいいことだった。


……アニはいつも対人格闘訓練で組む相方だけど、その時改めて思った。




……アニって小さくて、柔らかくて………………可愛らしい。

良い香りもするし、何より安心できる。何でかな………。


エレン「………あ」

アニ「………止んだね」


……。


エレン「…おれ、曲の仕上げに行くわ」スッ
アニ「あ……」



エレン「……じゃあ」ガチャ

アニ「………うん」



エレン「…………つか」ボソ


アニ「え?」



エレン「………いつか、また…」



アニ「………また、ね」

エレン「…あぁ」


タッタッタッ…



アニ「………いつか、か」



アニ「……その“いつか”は、いつまで続くんだろう」

アニ「いつまで続けられるんだろう」


アニ「……ダメだな、私は」





……“いつか”終わる、なんて言ってる時点で諦めてるじゃないか……。

タッタッタッ…

エレン「はぁっ、はぁっ………」


エレン「…………ふぅ」バク バク


………何考えてんだ、俺は。

抱き合ったことも、いつか、なんて言ってしまったことも。


いつか、なんて要らない。

そんなことは言うまでもない。

…何で言ってしまったんだろう。

……あのアニの眼のせいかもしれない。


アニは表情を余り出さない。…怒ってないとき以外は。

けど時々皆を見ては、何か悟ったような眼をする。


…まるで、今から消えてしまいそうな眼を。



だから俺は不安になったんだ。

アニが消えて、どこかにいなくなってしまいそうで。


そんなことは有り得ないとは思う。

でも、アニはそんな眼だった。


まだ半年しか一緒に過ごしてないけど、わかる。






……何悩んでんだ、俺らしくない。

エレン「…曲だ」

エレン「漸く全部弾けるようになったんだ」


……そうでもしてないと、恥ずかしさと不安感に呑まれそうだ。



エレン「…」スッ


……♪


――♪―――♪♪



…今日なら、全部弾けそうだ。



……最初は、戦い。

どこか、もしかしたら壁外での戦いだ。


時々聞いてて嫌な固まりが入ってくる。まるで仲間が殺されたような音。



少ししたら、曲調ががらりと変わる。

英雄。まさしく、その言葉が似合う曲調だ。

人々の歓声が聞こえてくる。…その中になぜか、時々胸がモヤモヤするような曲調が聞こえてくる。何だコレ?


……次はとても静かになってゆく。

その中にもやはり胸がモヤモヤするような曲調があるんだ。

……ここでは2つに音程がハッキリ分かれる場所がある。

1つの音程は低くたくましい。他方は高くてたどたどしい。



最後の音はモヤモヤしかしない。それしかない。

自分で弾いてると心苦しいくらいだ。

……けど、止める気がしない。



…一回はまず弾き終わる。

けど、そこからだ。

どうしても上手くいかねぇ。

本物の曲は聞いたことはない。

けど、俺が弾く曲と、理想の曲とでは何かが違う。決定的な何かが。



何度も何度も弾いてみる。……けど、理想に近づけない。

エレン「……上手くいかねぇな」


何度やっても結果は同じだった。納得できない音しか流れてこない。


エレン「…」


エレン「…でも、やるんだよ」

あのじいさんの為にも、俺の為にも。

エレン「……じゃあ、もう一曲……………………」











「……エレン」


エレン「!!?」クルッ



「……何、してるの?こんなところで………」



エレン「………み、ミカサ………?」

ミカサ「…答えて」

エレン「……」



「おーい、こっちだ!!」


エレン「!! ライナーか!?」

エレン(ミカサとライナーってことは……………上位陣か!!)



ミカサ「……皆、ここに来る」

エレン「…」


ミカサ「……その時、事情を説明してもらう」


エレン「お前らに言う必要なんかあるのか!?」


ミカサ「ある。私は休日にはいつもエレンがいなくて心配していた。それに対する納得のいく説明が欲しい」


エレン「っ…」


ミカサ「……もうすぐ、来る」

ザッザッザッ……

ライナー「よし、ついにあの正体が…………!?」


エレン「…」

ライナー「え、エレン!? 何でこんな所に………」

エレン「…こっちのセリフだそれは」




ミーナ「……ふぅ、疲れた」ザッ

クリスタ「大丈夫? ミーナ」ザッ

ユミル「お前こそ平気なのかよ」ザッ

コニー「うぉぉぉ、良い空気だな!」ザッ

サシャ「故郷が懐かしいですねー」ザッ

ジャン「待てよミカサ!」ザッ

マルコ「走ると転ぶよジャン」ザッ

ベルトルト「………あれ?」



ベルトルト「エレンじゃないか、どうしてここに?」


「「「「「え?」」」」」


エレン「……説明しろミカサ。何しに来たんだ?」



ミカサ「……『鳥の歌声』を探しに来た」


エレン「!!」


ライナー「先週の際にはある事情があって探しに行けなかったがな、今日は雨が止んだら行けそうだとわかったんだ」

エレン「それで来てみたらオレがいた、と?」


ライナー「まぁそうなる」

エレアニ(;´Д`)ハァハァ

(ヤベェ…何かガチで変なのが沸いてる)

そんなことより>>1

エレアニスレは最初っからエレアニ(;´Д`)ハァハァで埋まるジャン?
まさか本気で(;´Д`)ハァハァしながら全裸で読んでるとでも思ってたのかw

いやだから嫉妬乙もそれと同じで誰も本気で嫉妬してるなんて思ってないと思う

あぁ、あんまり他の進撃スレ読んだ事がないんだな

外野が煩い→嫉妬乙は去年の夏頃によくみた定番の流れ
進撃の恋愛系に多かった
元は外野のレスが多いSSに自分のSSでレス貰えない作者が嫉妬して外野が煩いって言ってんだろ?
みたいな書き込みだったと思う
これはガチだったっぽい



アルミン「ま、待ってよ、皆……」ハァ ハァ

コニー「あ、そういやアルミン忘れてたな」


アルミン「何気に酷い……………。ってあれ?エレンじゃないか」ハァ ハァ


エレン「お、おう」


アルミン「………エレン」





アルミン「その手に持ってるモノって何だい?」


エレン「!!!」


エレン(しまっ……)



クリスタ「あ、ヴァイオリン?」

ユミル「ぶふっ!お前がヴァイオリンなんか弾くのか!?」ププッ

クリスタ「ユミル、人を笑うのは良くないよ!ダメ!」



ジャン「………ヴァイオリン?なんだそりゃ」

マルコ「不思議な形だね…」



アルミン「…確か、楽器だよ」



エレン「…」



サシャ「…楽器って笛のことですか?」

ユミル「アホか」

サシャ「え?」

ユミル「楽器っつっても色々あるんだよ。ヴァイオリンは弦楽器の類いだな」

クリスタ「楽器は一概に笛のことを表すだけの言葉じゃないの」



ミカサ「……エレン、もしかして弾けるの?」




エレン「…まぁ」



ミーナ「え?じゃあ、『鳥の歌声』って…………もしかして?」


エレン「……あぁ」


エレン「俺だろう、多分」




コニー「ん?エレンが歌ってたのか、あのキレイなのを!」

マルコ「いや、鳥の歌声って比喩だから」

コニー「ん?んん?」



エレン(………バレたな)

エレン(…これで教官とかにバラされたら開拓地行きか?)

エレン(…何やってんだ俺)



アルミン「何か曲を弾けたりするのかい?」

エレン「……一曲だけな」

マルコ「へぇ、どんな曲なんだい?」








エレン「……恋慕の曲」



一同「「「「「」」」」」



ジャン(…キャラに合ってねぇ。全く)

ユミル(…誰かそう言ってやれよ。…無理か)

ライナー(言ったらミカサに殺られるからな)











クリスタ「…………す……素敵」キラキラ

ユミル「へ」



クリスタ「すごい!!エレンって恋の曲を弾けるの!?」

エレン「……まぁ」

クリスタ(ここら辺の人がヴァイオリンを弾けるだけでもすごいのに恋の曲まで弾けるなんて……)



ユミル「……あのー、クリスタ?」


クリスタ「? どうしたのユミル」

ユミル「……何がそんなに凄いんだ?」


クリスタ「……え、だって…」


クリスタ「…ラブソングとか、恋の曲とか……それらを歌ったり弾いたりするのは誰でも出来るよ。……表面上だけならね」


ユミル「表面上だけなら…?」

クリスタ「うん。けど、本当にラブソングや恋の曲で相手にその気持ちを伝えるのはとても難しいんだよ」


クリスタ「歌や曲よりも、直接伝えた方が伝わるしね」


クリスタ「だから、歌や曲で相手にその気持ちを伝えられる人……………ラブソングや恋の曲を本当に弾ける人は私はとても尊敬出来る」



ライナー「…いや、でも待ってくれ。まだエレンが曲で相手に“好きだ”って言えるかわからんだろう」


クリスタ「え、だってエレンだよ?」


クリスタ「あんなに訓練に一生懸命になれるんだもの、恋愛にもとても一生懸命になれると思うな」フフッ



エレン(……何か話が勝手に進められてるな)

エレン(……そういえば、俺が弾いてる曲って恋慕の曲だったんだよなぁ……)



エレン(……ん? 何だろう)

エレン(何か今引っ掛かった)

エレン(心の奥底で、何かが)


クリスタ「エレン」

エレン「…」

クリスタ「その曲を弾いてると、何かモヤモヤしたりしない?」

エレン「……する」

クリスタ「…やっぱり」


ジャン「…何がやっぱり、なんだ?」

クリスタ「…エレンが最近悩んでた理由がわかっちゃった、ってこと」


サシャ「あぁ、そういうことだったんですか?」

ミーナ「にひひ、やっぱりねー」

ユミル「つうか一目瞭然だったろ」


ベルトルト「?」

ライナー「どういうことだ?」

アルミン「…何となくわかったよ」




ミカサ「…」グッ

ジャン(…ミカサ)


エレン「…なんだっていうんだよ」

ミーナ「鈍いねー、エレン」

ミーナ「恋の曲なんだから、弾いたら恋の気持ちがキュンキュンするでしょ!」


エレン「…いや、さっぱりわからねぇ」

ミーナ「もー、全く!」


ミーナ「さっき、エレンはその曲を弾いてるとモヤモヤするって言ったよね?」

エレン「…あぁ」


ミーナ「…つまり!エレンは誰かに恋をしてるのよ!!!」バァン!



エレン「………」




コニー「エレンには好きな奴がいるってか?」

ミーナ「その通り!」ビシッ



エレン「………」



ライナー「そうか…………エレンがなぁ。……………ん?」

クリスタ「……エレン?」



エレン「………」



エレン「…」

……誰かに向けて弾くのが、恋慕の曲。

……ならば、俺は誰に向かって弾く。



……俺は、誰を想って弾くんだ――――。






クリスタ「ねぇエレン!私、エレンが弾く曲を聞いてみたいの」

マルコ「僕も。お願いしていいかな?」



エレン「…………まぁ、良いけど」


サシャ「おお!」

ユミル「じゃ、ヴァイオリニストエレンの演奏を静聴させてもらうかね…」







エレン「」スッ


一同「…」シーン






…ホントウニ、イイノカコレデ



エレン「…」


…わかってる。本当は駄目だってことくらい。

けど、俺の本来の目標は壁外。

それを忘れてはいけない。

あの日から巨人を駆逐するために、今日まで生きてきたんだ。

……今更、曲げられねぇ。



…コレデイインダ





「…本当に、ソレで良いの?」



アルミン「?ミカサ?」

ジャン「…」



エレン「…何だって?」

ミカサ「…エレン、あなたはわかってる」

ミカサ「エレンのその気持ちに嘘はなく」

ミカサ「また、その気持ちは封じるべきではないということが」




エレン「…嘘じゃない、か。それはそうかもな」


エレン「……だが、それを肯定しきってしまうと、俺はまた嘘をついちまうんだよ。……とてもでかい嘘をな」



これだけは…………譲れねぇんだよ!


エレン「その嘘をつくと!!俺は今までの俺を否定することになる!!!」


エレン「開拓地で二年過ごして!訓練兵団に入団して!!」


エレン「俺は壁外に行き!!巨人どもを駆逐することに総てを費やしてきた…!!!」


全てはあの日、母さんを食われ、あの平穏を無くした日から!!

平和神話が崩れた日から!!



エレン「それらが全部!!!嘘だったっていうのか!!」




エレン「俺の今までは!!!何だったんだってなっちまうだろうがぁ!!!!!」


ミカサ「嘘なんかではない!!!」

エレン「はぁ!?」



ミカサ「両方とも偽りのないあなたの願い!!!」


エレン「!!!」





ミカサ「一つはあなたが求めた、切望のモノ」

ミカサ「また一つはあなたに与えられた、偶然の産物」


ミカサ「そして、二つの想いは共通するモノがある」

ミカサ「それはエレン、あなたに必要だということ」



エレン「…」


ミカサ「…もういいの、エレン」

エレン「……?」



ミカサ「…自分を追い詰める必要なんてない」



エレン「なっ…」

アルミン「…!!」




ミカサ「おばさんが死んだのはあなたのせいじゃない」

ミカサ「あの場では、誰にも何も出来なかった」



ミカサ「…もう自分を許してあげて、エレン」

ミカサ「あなたは自分のしたいように生きれば良い」



エレン「…」



ジャン「……ここまで言われてまだ動かねぇのか、馬鹿野郎」



ジャン「とっとと行け!!その曲を聴かせなきゃいかない奴がいるだろうが!!!」



エレン「……」

エレン「……悪い、クリなんたら、マルコ」



マルコ「え?」

クリスタ「クリなんたら!?」





エレン「…曲はまた今度だ!」ダッ



ミーナ「あ、エレン!」

マルコ「…そっか、じゃあ仕方ないなぁ」


クリスタ「…私、まだエレンに名前覚えて貰えてなかったんだ」

ユミル「代わりに私が一生忘れないからな、安心しろ」


ベルトルト「……どうする、ライナー」

ライナー「……決まってるさ」

ベルトルト「……うん」


ミカサ「…」

ジャン「…泣きたかったら胸貸してやるぜ」

ミカサ「…またエレンのトコに行くからいい」

ジャン「…チッ」



コニー「おい、エレンの奴走ってどっか行っちまったぞ?」

サシャ「良いんですよそれで」

コニー「ん?何でだ?」

サシャ「…コニーに分かる日が来るのでしょうか、この命題は」



アルミン「…そう、これで良かったんだよ」


アルミン「…頑張ってね、エレン」



アニ「……騒がしくなってきたね」


……恐らく、ライナーたちだ。先週、エレンもとい『鳥の歌声』を探しに行くって言ってたし。まだ諦めてなかったんだ…。


アニ「…じゃあ、もうバレたんだ」


…少し残念。一つ、私の秘密をとられてしまった。



今頃、アイツは皆と楽しくやってるんだろうな……。



アニ「…」



…私は、使命の為にここに来た。


その使命の為には、壁内の人間と仲良くしてはいけない。

いざというときに何も出来なくなるから。

私は正直、情をうつしてしまった相手を、躊躇わずに殺すなんて出来ない。





……エレン。



アンタはいつか、俺には訓練しかないんだ、なんて馬鹿げたこと言ってたね。

……けど、違うよ。

今のアンタならわかってる筈さ。


アンタにはミカサとアルミンがいる。


小うるさい猿に食いしん坊の芋女、一番女の子っぽい少女。

ライバル?の馬面に、優しい指揮官。

お節介焼き、いや、お人好しの少女とそれを守護する女騎士。



……そして、頼れる兄貴分が二人。



……けど、エレンの傍には私はいない。


ライナーとベルトルトは大丈夫だ、アイツらは戦士なんだから。


……私は違う。





……私はエレンを殺すことなんて出来ない。



…………何で?


何でアイツなんだ。


ライナーでも、ベルトルトでもいいじゃないか。

お父さんでもよかった。あの村の人間なら誰でも。




何で、相手が兵士なんだ――――――。



しかも、エレンは壁内で一番と言ってもおかしくないほどの巨人嫌い。




―――私たちの敵。






……けど、私はそんなアイツが好きになってしまった。


……いっそ消えてしまおうか。この想いと共に。


……どうせ叶わぬ想いだ。


アニ「…」


アニ「…」ザッ… ザッ…


アニ「…」ザッ… ザッ…










「アニィ!!!!!!」

……あぁ



アニ「………何だい、騒がしいね」



……何故


エレン「わ、悪ィ……」ハァ ハァ


……何故、来てしまったんだ


エレン「…直ぐにでも聴いてほしくてさ」ハァ ハァ


……早く逃げよう



アニ「……何を」



……今ならまだ間に合う―――――


エレン「…曲を…………いや、それだけじゃねぇな」


エレン「……俺が弾くこの曲は、恋慕の曲なんだ」


アニ「…」


エレン「自分の気持ちを曲にのせて、伝えたい相手に聞かせる。そうすることで初めて成立する曲なんだ」



アニ「…!」



エレン「……言いたいこと、わかるだろ?」

エレン「だけど、これ以上言葉は要らない。後は………」



エレン「曲で語らう」



エレン「」スッ



…エレンが構えた。もう手遅れだろう。


……曲を聴く前からもう答えなんて決まってる。

エレンが私と同じ気持ちなんだって、それだけで悦んでいるのに。



……ゴメン、ライナー、ベルトルト。


私はコイツに隠し事をしたまま向き合えはしない。

全てをさらけ出して、コイツに向き合いたい。コイツに嘘なんかつきたくない。



―――♪


―――♪――――♪♪





サシャ「……聞こえますね」

ミーナ「ドッキドキのラブソングみたいなのじゃなくてシリアスな感じだね。二人にぴったり」

ベルトルト「……そうだね」

ミーナ「エ゙」

ミーナ(…ベルトルトに返答されたの初めてかも)

ベルトルト(……)



ミカサ「…?」

ジャン「ん?どうしたミカサ」

ミカサ「……誰か来る」



アルミン「え?…………っ!! あ、あなたは………」



サシャ「ひぃっ!! 私は盗み食いなんてしてませんん!!!」


「…まだ何も言ってないんだがな、ブラウス」



ライナー「キース教官……」



キース「……何だブラウン、私が出歩いてはいかんのか」


ライナー「!! い、いえ……」



キース「……なに、懐かしい曲が聞こえたものだったからな」

コニー「ん?」

アルミン「キース教官はこの曲をご存知なのですか!?」

キース「あぁ」



キース「……今は亡きある新米の調査兵が弾いていた曲だ」


アルミン「…そんな人の曲をなぜエレンが……」


キース「………奴は強かった」

キース「技術的にではなく、人間として、女として………」

キース「……強かった」




『キース団長!
 私は諦めません!
 壁外への道も、あの人への想いも!

 私は、全部叶えてみせます!』





キース「……そんな奴が、時々休憩がてらに練習してたのがあの曲だ」

キース「自作だったらしく、自慢していた」


キース「いつか想い人に気持ちを告げる時に弾いてやるのだ、と息巻いていた」


クリスタ「…」

ミーナ「………さっき、その人は今は死んでいるって……」


キース「……三年前の壁外調査で死んでしまった。想い人と共に」

マルコ「…」

キース「……私が死なせてしまったようなものだ」



キース「…更にその日にウォール・マリアが破られた」


ベルトルト「…!!!」

ライナー「…」


キース「……まるで、奴と想い人の怨念のような気がしたのだ。…これからの幸せを邪魔された奴らのな」



サシャ「それは……つまり………?」


キース「…不謹慎なことに、壁外調査の真っ最中に想いが通じ合ったらしい」


キース「貴族と奴隷。かつて全く立場の違う子供だった二人が……」



ユミル「……貴族だった?」

キース「…女の方はな。…兵士になる際に縁を切ってきたらしいが」



キース(……しかし父親はそれでも娘のことを気にかけていた。娘の戦死を報せれたら財産を全て譲って居なくなってしまったと聞く)


キース(……彼にも悪いことをした。…………私の罪はまだ消えぬな……)



キース「…ところで、この曲を弾いているのはイェーガーだな?」ギロリ


クリスタ「えっ!?」

アルミン(あ)




アルミン『…そんな人の曲をなぜエレンが……』            ・・・




アルミン(しまったあああぁぁぁ!!!)




キース「あやつめ……」


アルミン(え、エレンが開拓地行き!?)

ミカサ(それだけは何としてでも阻止しなければ!!)



キース「イェーガーに伝えておけ!」




キース「……訓練だけは疎かにするな、とな」



…そう言うキース教官の顔はとても穏やかなモノだった。



鬼教官キース・シャーディス。


…彼もまた、人間なんだ………って。



Couple SIDE・・・


―♪

―――――♪♪―♪






――――――――

――――



―――なぁ

――――何だい

―――お前さ、夢とかないのか

――――…唐突過ぎて答えられないね

―――アニはオレの夢とか目標とかは知ってるだろ

――――…まぁ適当に

―――なのにオレはアニの夢を知らない

――――アンタはよく目立つからだろ



――――本当にどうしたんだい、急に

―――オレ、よく考えたらアニのこと何にも知らねぇなぁって思っただけさ

―――何故かアニのことを知りたくなってな

――――…ふーん

――――いつか教えてあげるよ

―――本当か

――――私の夢……いや、目標も

――――私の故郷も

――――私の兵士の志望理由も

――――全部



―――今じゃあ駄目なのか

――――今じゃあ……駄目だね

――――まだ覚悟が決まらない

――――この決断は人生に関わるんだ

―――お前の人生に、か

――――私だけじゃないさ

――――故郷の連中も

――――この壁内の連中も

――――全員ね

――――それはアンタも例外じゃないよ



―――なんだそりゃ

――――私は至って真面目さ

―――…じゃあ待ってやるよ

―――お前がその気になるまで

―――オレは待つ


――――何かアンタ乙女みたいだね

―――うるせ!



エレン「……さぁ行くか」

アニ「………うん」



アニ「……あ、そうだ」

アニ「……曲、良かったよ」



エレン「……それはOKと受け取って良いんだな?」

アニ「………態々聞かなきゃわからないのかい」


エレン「………へへっ」ギュッ

アニ「………気持ち悪い笑い方しないでよ」ギュッ



エレン「良いんだよ!」ニカッ

アニ「……バーカ」







~Fin~



ありがとうございました。

まだもう一つ書いているSSがありますが、暇が出来たら後日談も書きます。

それと、もう一つのSSの話なんですが、オリキャラは出さないことにしました。

…分かる人には分かるでしょう、私の真意が。


…最後に宣伝加えました、すみません。




―――数年後、ウォール・ローゼ近辺

―――トロスト区にて






ワイワイ ガヤガヤ ザワザワ

ガヤガヤ ワイワイ



「おい、押すなっての!」

「無茶を言わないでくれ!」

「トロスト区の人間だけじゃない、人類が全てこの場にいるってくらいの数が居るんだぞ!? 彼らの凱旋の道を確保するので精一杯だ!」







カラーン カラーン




「「「!!!!!!」」」



「……か、帰ってきた」

「帰って…………きたぞ」




「…か、開門だ―!!!!」





…ギギギギギ………!!!



ザッ


「……調査兵団」


「調査兵団が、帰って来たぞー!!!!」






ワァァァァァァァァァァァァァァァ…!!!



「おかえりなさい、エルヴィン団長!」

「今回の壁外調査は如何でしたか!?」

「今回も巨人はいなかったんですよね!!」



エルヴィン「………」ザッ






「あ…」

「え、エルヴィン団長から、お話かな…………」




シーン…



エルヴィン「…今回の目的、シガンシナ区への物資調達」


エルヴィン「その目的は、巨人に邪魔をされることもなく、事故が起きることもなく」


エルヴィン「無事……果たせられました!」



オォ…



エルヴィン「今回の壁外調査は成功です!今回のことで、ウォール・ローゼからの脱却、即ち、ウォール・マリア付近への移住への道を、更に! 進むことが出来たでしょう!!!」


ワァァァァァァァァァァァ…

エルヴィン「…」


「演説は終わったか」

エルヴィン「…リヴァイか」

エルヴィン「…あぁ。いつもの場所に行こう。そろそろ……彼女も痺れを切らす頃だ」バッ

リヴァイ「いつもの…アレだな」

エルヴィン「…まぁな」




「調査兵団が歩み始めたぞ、道を開けろー!」

「先頭はエルヴィン団長と人類最強の兵士、リヴァイ兵長だぁ!」


「その後ろは………調査兵団の奇行種!」

「ハンジ分隊長ー!!」




モブリット「は、ハンジ分隊長!手ぐらい振りかえしてあげては…」

ハンジ「私はやく帰っていつものアレ見たいんだけどなー」

モブリット「今手を振ろうが振らまいが早く広場に着くことには関係ないじゃないですか!」

ハンジ「じゃあ振らなーい」

モブリット「あぁ言えばこう言う…」シクシク



「お、おい!」

「アイツらは………104期兵だ!!!」



「未だに死者数ゼロの……104期兵」

「今話題の巨人兵って奴らが、巨人たちがまだたくさんいた頃に全力で守護したんだろ?」

「あぁ…」

「104期兵はスター揃いだ」

「巨人兵に女王様、そして…」

「“ヴァイオリンの英雄”か…」


「おいおい、何言ってんだよ!?104期兵はソイツらだけじゃないぜ!?」

「見ろ!分隊長のミカサ・アッカーマンだ!」

「アルミン参謀長もいるぞ!」

「ジャン分隊長も一緒だ!」



コニー「良いよなーお前らは人気で」

サシャ「そうですよねー。私たちはただの班長ですからねー」

ジャン「ハッ、実力だ実力」

ミカサ「羨ましいなら代わる。正直鬱陶しい」

アルミン「はは…。それに、コニーたちもあながち人気ではないってわけじゃないよ」チラッ


「サシャのお姉ちゃーん!!」

「コニー!今日もいい頭してんなぁ!」



アルミン「ほら」

コニー「おう!オレは今日も坊主だー!」

サシャ「はーい、サシャお姉ちゃんですよー!」ブンブン


ジャン「…現金な奴らだな」

ミカサ「…ジャンやエレンは最初は恥ずかしがっていた」ボソッ

ジャン「それを言わないでくれ!」


ミカサ「…」チラッ



「…きたぞ」

「アレが“ヴァイオリンの英雄”か…」

「本当にヴァイオリン背負ってるぞ…」



「オルオさん、もうそろそろ嫌なんですけど…」

オルオ「慣れろ。兵長やオレみたいになりてぇだろう?」

「いや、オルオさんはいいです」キッパリ

オルオ「何だとてめ゙ッ」ガチッ

エルド「もはやこれはパターンだな…」

グンタ「オルオも良い歳なんだから落ち着きを持って欲しいんだがなぁ…」

ペトラ「死ねば良いと思うわ」


オルオ「い、今なんつったペドッ」ガチッ

ペトラ「…私の名前が特殊な性嗜好になったんだけど」

グンタ「オルオって……そうだったのか?」ヒキッ

エルド「今ならまだ間に合う。憲兵団の所へ…」

オルオ「」ピクピク

エルド「…死んでるな」



「……オレ、先に行ってます!」ダッ

ペトラ「あっ、ちょっと馬は!?」

「何とかしといてくださーい!」ダダダッ

グンタ「…早く彼女に会いたいんだろう。大目に見てやれ」



エルド「いや、この前聞いたが別に付き合ってる訳じゃないらしいぞ」

ペトラ「えっ!?あんなにムードを出しておいて!?」

グンタ「あんなにオレたちに見せつけておいて!?」

オルオ「」ピクピク



「悪いミカサ、先に行くわ!」ダダダッ

ミカサ「っ! エレン、私も…」

アルミン「駄目だよミカサ。アレが許されるのはエレンだけだから」

ジャン「…いつかオレもミカサに…」ボソッ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月15日 (火) 03:57:51   ID: 5UMicUMf

この雰囲気好きだわぁ。
続き期待します。

2 :  SS好きの774さん   2014年04月27日 (日) 08:58:39   ID: S_5TV--I

まだー?

3 :  進撃の巨人   2014年04月28日 (月) 17:06:22   ID: gx23dPDV

超絶期待

4 :  アニに勝る美人   2014年04月28日 (月) 21:57:33   ID: 81Dkq4EP

期待

5 :  SS好きの774さん   2014年04月29日 (火) 20:23:50   ID: bljT6fS5

神作

6 :  毛玉   2014年04月30日 (水) 13:41:09   ID: PDF8iG9T

続きはよ頼みます!!

7 :  SS好きの774さん   2014年04月30日 (水) 23:33:06   ID: JXrMUC4A

キャラが保たれてておもしろい!!!

8 :  SS好きの774さん   2014年05月03日 (土) 16:09:28   ID: lMGCUoww

つづききたい!

9 :  SS好きの774さん   2014年05月05日 (月) 00:39:42   ID: IKmFLv8P

いい感じ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

10 :  SS好きの774さん   2014年05月09日 (金) 22:51:03   ID: fDlxahIT

めっちゃ、おもしろいです!!

頑張ってください!!

11 :  SS好きの774さん   2014年05月14日 (水) 13:22:02   ID: orxHYQqS

期待

12 :  SS好きの774さん   2014年05月16日 (金) 15:01:48   ID: F5i8dkjz

期待してます!

13 :  SS好きの774さん   2014年05月18日 (日) 09:41:12   ID: sdKHuGfb

待機待機

14 :  SS好きの774さん   2014年05月23日 (金) 20:35:19   ID: RBFDQ31i

はよ

15 :  SS好きの774さん   2014年05月24日 (土) 19:51:21   ID: 3N1IK8Im

期待!
早く続きが見たい!

16 :  SS好きの774さん   2014年05月29日 (木) 10:52:58   ID: mxSN4Sug

おいおい、こういう良スレにcp争いやめよーぜ!主様!期待!

17 :  SS好きの774さん   2014年05月31日 (土) 12:12:26   ID: TS-dUPDO

どーなるんだろー!
待機待機

18 :  SS好きの774さん   2014年06月09日 (月) 19:34:26   ID: 8CRXZKuP

続き早くー!

19 :  SS好きの774さん   2014年06月12日 (木) 06:08:29   ID: J8aUkGfx

ミカサうぜぇな

20 :  SS好きの774さん   2014年06月15日 (日) 10:09:19   ID: m2W8lrVX

待機

21 :  SS好きの774さん   2014年06月17日 (火) 21:02:35   ID: kMQZOiRA

面白い!!!!

22 :  SS好きの774さん   2014年06月27日 (金) 22:38:29   ID: rB8CuG0E

続きってありますか!?
超期待!!

23 :  SS好きの774さん   2014年06月29日 (日) 01:39:23   ID: PmjW_XpX

超絶期待!!!!

24 :  SS好きの774さん   2014年06月30日 (月) 20:52:33   ID: 3Ll48r51

続き期待!

25 :  SS好きの774さん   2014年07月03日 (木) 12:11:11   ID: 3Q2N2Swk

所々「?」の使い方が気になったけど期待!!!

26 :  SS好きの774さん   2014年07月06日 (日) 16:29:58   ID: uf_tKaVX

期待です!

27 :  SS好きの774さん   2014年07月07日 (月) 22:28:26   ID: c6oqIAid

期待します!!!

28 :  ~!@#$%^&()   2014年08月08日 (金) 06:52:14   ID: yWUxV7j_

奥瀬緻密津は背背巣日背は竹間湯世手利間手津ぬぬ見、布毛稚拙決故知ねつてと待つ手、、津、津地租ぬ祖ぬ祖祖ぬ祖ぬ祖ぬせはちつこつけおつえけきけいしおみてみとむ。わ。み日無と無と無と無と無無湯湯湯津祖質背ケチケチけちそつ眞子艶と手は待つ津コツ来ぬ津祖地毛や手無津子小間無ラメを目故知背おら津寺や手真澄

29 :  ~!@#$%^&()   2014年08月08日 (金) 06:56:44   ID: yWUxV7j_


本当にすいません
荒らしではありません パソコンの調子が悪いんです

後、期待です!

30 :  SS好きの774さん   2014年08月28日 (木) 18:01:00   ID: TODHRNMY

すごく面白いです。続き期待してます

31 :  SS好きの774さん   2014年08月30日 (土) 07:14:57   ID: GgvADNHV

あんま勘違いさせてやんな

32 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 08:00:20   ID: Qn9Z4XGE

臭いコメばっかww

33 :  SS好きの774さん   2014年09月08日 (月) 01:16:46   ID: WxXzAgF4

ここでも自演お疲れ様です。ホント笑わせてくれる道化だよ。
どう考えてもクソでしょこのSS。
好き嫌い以前の話。これを面白いと思う奴は総じて頭がおかしいか、>>1か、ロクに本も読まない中二病まっさかりの痛い奴だろJK

34 :  SS好きの774さん   2014年10月21日 (火) 14:06:04   ID: iS1IeGYJ

おもしろかった!!

35 :  SS好きの774さん   2014年11月01日 (土) 02:37:41   ID: 4kRmN_2C

<<33 もう少し言い方考えたらどうですかね?

あ、あと僕もこの話の雰囲気好きです。何か、程良く重みを伴いつつ凛として冷たくそしほの暖かい、冬の晴れの日のような透明感のある雰囲気って言うのかな?凄く素敵でした。

36 :  SS好きの774さん   2016年03月31日 (木) 02:02:50   ID: 4x8Sw2Re

よかった

37 :  SS好きの774さん   2016年05月28日 (土) 13:19:20   ID: axNuwFxd

久しぶりに見たけど、すげーよかったわ

38 :  SS好きの774さん   2016年08月21日 (日) 16:48:44   ID: 1VIP3o7X

こういう自分に酔った感じの内容は微妙だな・・・。
寒い。

39 :  SS好きの774さん   2019年07月17日 (水) 21:33:08   ID: fnBTtaRp

19»ア?どういうことですか??
ミカサを侮辱?ミカサファンと
キルシュタイン君に
謝ってこい
今すぐ(^†^)⊃爆弾

40 :  SS好きの774さん   2019年07月17日 (水) 21:35:12   ID: fnBTtaRp

35»文字自体を直せば大丈夫です

41 :  SS好きの774さん   2019年07月17日 (水) 21:40:00   ID: fnBTtaRp

33»ss見すぎで頭が狂ったか…
病院で脳内改造してもらって
コメント見ようか
心から謝罪しろ申し訳ありませんでした死んでお詫びますと言っとけ

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