男「わたくしは死亡代行人」 (15)

俺「なんだお前」

俺「今から自殺するのに現れて」

俺「邪魔しようってのなら無駄だぞ」

俺「今回はちゃんと死ねるように準備したからな」

男「さすがですね、しっかりロープが天井からぶら下がっている」

男「しかも足がギリギリつかない高さだ」

男「あなた本気ですね」

俺「そうだ本気だ。だから邪魔しないでくれ」

男「分かりました、邪魔はしません」

男「ですがなぜ自殺するのか教えていただけないでしょうか?」

死亡動機の人?

俺「そうやってやめさせようとするんだな」

俺「みんなそうだったんだ。カウンセラーや精神科医もみんな何とかしてやめさせようとする」

男「勘違いしないでください。私はあなたが死ぬのを止めようとは思いません」

男「むしろあなたに死んで欲しいのです」

俺「失礼なやつだ。いいだろう邪魔をしないというなら話してやろう」

俺「俺は見ての通り顔が特別いいってわけじゃない」

俺「むしろ悪い方だ」

俺「この社会だと顔が悪いってのがどうにも許せないらしくてな」

俺「俺は職場でいじめられたんだ」

俺「軽度のいじめなら慣れていたが、社会人ともなると陰湿だ」

俺「俺は耐え切れなくなりうつ病になり会社をやめた」

俺「その結果自殺未遂を繰り返し、今に至るといったところか」

>>2
それは知らない別の人

男「なるほど人間関係が原因ですね」

男「ちょうどいいですね」

俺「人が自殺するのにちょうどいいとは何だ」

男「気に触ったなら申し訳ありません」

男「仕事柄あなたのような方が顧客となりますのでついつい」

俺「仕事とはなんだ?死亡代行人とか言ったな」

男「左様でございます。わたくしは死亡代行人」

男「死亡する方の代わりに死ぬことが仕事です」

俺「そんな仕事があったのか、驚いた」

男「知らないのも当然です」

男「死亡代行を行った方は皆様別の人生を歩んでおられます」

男「その際に大概の方は性格や記憶の一部が変わってしまう方が多くわたくしのようなもののことを忘れてしまうのです」

俺「つまりお前に俺の代わりに死んでもらう」

俺「そうすると俺は別の人間として人生を歩むというわけか」

俺「しかし顔やら見た目はどうするんだ?自殺したはずの人間が外を歩いていたら皆びっくりするぞ」

男「その点は大丈夫です」

男「死亡を代行したあとわたくしはあなたの顔になり、あなたの顔は別人の顔になります」

俺「なら安心だ」

俺「人間関係が変わるのなら俺も新しい人生をやり直せるかもしれない」

俺「俺の自殺を代行してくれるか?」

男「もちろんでございます」

男「わたくしはそのために来たのですから」

男「では早速作業にとりかかりましょう」

男「まずこの薬をあなたに注射します」プス

俺「この薬は何だ?」

男「容姿を変える薬でございます。眠気があると思いますがそのまま寝てしまって構いません」

俺「寝て起きたら新しい人生か、悪くない…」スヤスヤ

男「ではわたくしは自殺させていただきます」クビツリー

男「グッ」

男「」チーン

数時間後

俺「ん…」ムクッ

俺「おや、寝てしまいましたか」

俺「仕事に行きましょう」



女(は~人生ってこんなにつまらないものなのかな…)

女(街行く人々の顔が眩しい)

女(みんな私を見て嘲笑してる)

女(こんな人生ならいっそ自殺して)

女(新しい人生を歩みたい)

俺「ちょっとお嬢さん」

女「は、はい!なんですか?!」

俺「あなた自殺したいと思ってませんか?」

女「初対面の相手に自殺したいかって聞きますか?失礼な人です」

俺「大変申し訳ありません」

俺「わたくし死亡代行人と申します」


終わり

短くて申し訳ありませんがこれで終わりです

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