駅につくと何故か気だるさが増した

家に引き返そう
そんな気持ちが芽生えそうになるが次の電車に乗ってくる友人を思うとギリギリ踏みとどまれた

次の電車まであと10分弱

暇つぶしのアプリをしようにもさっき全てのスタミナを使ってしまった

そうなると手段はひとつしかない
俺は慣れた手つきでそいつに電話をかける

世の中は便利になった
今ではアプリでメールも電話もできるのだから

ﾋﾟﾛﾘﾝ

耳に当てた携帯から鳴った音は着信拒否の際なる音だった

【おい】

電話をかけた相手からはその一言だけメールがきた

これは、こいつがよく使う言葉だ

俺が電話をかけると決まってこうかえしてくる
向こうはあまり電話が好きではないのは知っている
だが、押しにも弱いことも知っている

【ちょっｗｗｗｗｗｗ】

テンションの高いメール。
これもこいつとのメールで俺がよく使う言葉だった。

【友達と遊ぶんだろ？】

【電車がこないｗｗｗｗｗｗ】

【ゲームやってろよ( ˘•ω•˘ )】

とてもムカつく顔文字である

【スタミナ切れてて】

俺はその言葉だけ送るとまた通話ボタンを押した

ﾋﾟﾛﾘﾝ

また通話拒否の音がした

【5分だけ！】

はたからみたらキモいやつだろう
でも、そんなことを気にする仲じゃない

もう一度電話をかける

『もしもし？』

やっぱり押しに弱いやつだった

『なに？ｗｗｗｗ電車こないの？ｗｗｗｗ』

女にしては低い声
こいつが俺をバカにしてるときはテンションが高い

「そうだよ、マジでだるい」

『あはは、これから遊びいくんでしょ？楽しんできな』

「いやぁなんかめんどくなってきた」

『おい、お前企画者だろ』

普通女子との電話なんてもっと楽しいものなのだろう
甘えた声で脳内がとろけるような電話はなく現実は冷たく、辛辣な言葉のほうが大半だ

まあ、俺とこいつの関係を考えれば妥当なのかもしれない

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ

電車到着の合図がなる

『そろそろだね』

「ああ、じゃあな」

『カラオケ中メールしてきても全部シカトするから』

そういってあいつは通話を終了させた

絶対に送ってやる…！
天邪鬼の俺にはあいつの言葉は火をつける結果になった