コナン「連続殺人……?」服部「暗号やと?」 (81)

・これは『名探偵コナン』の事件ものSSです。

・事件現場の描写等で若干グロ表現があります。苦手な方は回避して下さい。

・事件関係者としてオリキャラが多数登場します。

・時系列としては、原作82巻の赤バッジ事件の後を想定しています。

・更新は基本週一と亀ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

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――夏休み・新大阪駅――

蘭「じゃあお父さん、四日後には私達も東京に帰るから」

小五郎「おぅ」

服部「こいつの面倒は俺らで見るさかい。毛利のおっちゃんは、安心して仕事に精出してや♪」ワシャワシャ

コナン(人の頭で遊ぶんじゃねーよ)ムッ

小五郎「お前ら、服部本部長達に迷惑掛けるんじゃねーぞ?」

コナン「はぁーい……」

コナン(……つーか、俺が服部に迷惑掛けられることの方が多いんだけどな)ハハ…

和葉「あ、そろそろ発車時刻やない?」

小五郎「ん? おっと、いけねぇ」

小五郎「んじゃ、俺は行くからな」

蘭「うん。最近ほとんど猛暑日だけど、クーラーで事務所の中を冷やしすぎないようにしてよ?」

小五郎「わーってるよ、ったく……日ごとに英理に似てきやがって」

蘭「いいから、早く乗って。もう出ちゃうよ?」

小五郎「へいへい……」ヒョイ


Prrrr……

『発車いたします。ご注意下さい』

……ガタン……ガタン



蘭「さ、お父さんも帰っちゃったし、みんなで遊びに行きましょ♪」

和葉「賛成~♪」

グウゥゥ…

蘭・和葉「「あ……」」ピタ

服部「遊びに行く前に、昼飯にした方がええみたいやな」ククッ

和葉「わ、笑わんといてくれる?」ムゥ…

服部「すまんすまん」

コナン「平次兄ちゃん、どっかオススメのお店ある?」

服部「そうやのぉ……こないだ食べ損ねた、お好み焼き屋はどうや?」

和葉「ええねぇ。ここからも近いし」

蘭「じゃあ、そこに行きましょうか。二人とも、案内してくれる?」

服部「おぅ。付いてきいや」

???「あの……服部平次君ですよね? 関西で有名な、高校生探偵の」

服部「そやけど、あんたは……?」

遥菜「藤宮遥菜と言います」ペコ

遥菜「服部君に、ある連続殺人事件の犯人探しと、暗号の解読を依頼したくて」

コナン「連続殺人……?」キラーン

服部「暗号やと?」

遥菜「とりあえず、お話だけでも聞いてもらいたいんですが……」

服部「あぁ、構へんで。こいつらも連れてってええか?」

コナン「えへへ~♪」ニコッ

遥菜「え、あ……はい」

――駅近くにある料理店の個室・昼食後――

服部「ごちそーさん♪ 食った食った~」ポンポン

コナン「それで、平次兄ちゃんに依頼したい事件って?」

遥菜「……この新聞に出てる事件、知ってるかしら」スッ

服部「あぁ。一週間前、京丹波町で起きたやつやろ?」

服部「山ん中にある神社の神主が、自宅で何者かに殺されたっちゅう……」

コナン「被害者は、高川孝太郎さん(56歳)。第一発見者は息子夫婦と、その友人夫婦」

服部「死因は出血多量による失血性ショック……」

服部「遺体には、心臓を貫通するぐらい深い刺し傷が残されとったそうやな」

蘭「でも、その事件……目撃者や有力な手がかりが得られなくて、中々捜査が進展しないって聞いたよ?」

和葉「せやせや。ほんで一昨日、同じ家でまた事件があったとか、ワイドショーで言いよったわ」

蘭「今度は、そこのおじいさんが殺されちゃったんだよね」

遥菜「実は、最初の事件の第一発見者である息子夫婦は……私の大学時代の同期で、親友なの」

遥菜「あの日は、私達夫婦で会いに行く約束をしてて……」

コナン「じゃあ一緒に遺体を発見した友人夫婦って、遥菜さんと、遥菜さんの旦那さん?」

遥菜「ええ」

コナン(おっしゃ! この事件、気になってたんだよな~!)

服部(まさか第一発見者から話が聞けるとはのぉ。こいつはラッキーやで、工藤!)

遥菜「息子夫婦……美代ちゃんと孝助君は大学にいる頃から付き合ってて、卒業した後すぐに一緒になったの」

和葉「へ~」

蘭「素敵ですねぇ」

服部「まぁ、ようあるパターンやな」

遥菜「私も昨年、職場結婚をして、二ヶ月前に式を挙げたんだけど……」

遥菜「美代ちゃんが子供を産んだばかりで、招待できなくてね」

遥菜「事件が起きた日は、二人の赤ちゃんがまだ小さくて外出しづらいだろうからって」

遥菜「私達の方から二人を訪ねていったのよ」

遥菜「美代ちゃん達は孝助君の実家で、孝助君のご両親やおじい様と一緒に住んでたんだけど」

遥菜「孝助君の家までは道が少し入り組んでるから、二人に近くまで出てきてもらったの」

遥菜「合流して私達の車で家に向かい、入ってすぐ、赤ちゃんの泣き声に気付いて……襖を開けたら」

服部「……そこの親父さんが、殺されとったっちゅーわけか」

遥菜「ええ。それも、身体中をメッタ刺しにされて……」

コナン・服部「「!!」」

服部「ちょお待て! 被害者の遺体がメッタ刺しにされとったなんて、聞いてへんで!?」

コナン「シ―――ッ!! 平次兄ちゃん、声が大きい!」

服部「お、おう……すまん」

コナン「そのこと、どうして公表されてないの?」

遥菜「あまりにも凄惨な現場だったんで、これ以上マスコミが囃し立てないように、警察が伏せてるのよ」

遥菜「小さな町だし、報道関係者が入ってくるのはいい顔をしないからね」

遥菜「それに司法解剖で詳しく調べた結果、生活反応があったのは、心臓まで達する刺し傷じゃなく」

遥菜「体中をメッタ刺しにした傷の方だったそうなの」

コナン「……ってことは」

遥菜「ええ……犯人は、孝助君のお父様をメッタ刺しにして殺害した後」

遥菜「心臓まで貫通するほど深く、遺体に刃物を突き立てた……」

遥菜「この検死結果を聞いた孝助君のお母様は、ショックで今も寝込んでるわ」

コナン「一昨日殺された、孝助さんのおじいさんの事件も?」

遥菜「お父様と同じ殺され方だったそうよ」

遥菜「マスコミには、心臓まで達する刺し傷があったことしか公表してなかったのに」

遥菜「同じ殺害方法だったって事は、同一犯の犯行と見て間違いないって、警察も……」

服部「えげつない犯人やのぉ……」

遥菜「貴方達も知っての通り、捜査は手詰まりの状況でね」

遥菜「立て続けに身内を殺されて、今度は自分の番じゃないかって怯える二人を見ていられなくて」フゥ

服部「……そら、怯えるんも無理もないやろな」

コナン「高川さん一家が、誰かに狙われる心当たりはある?」

コナン「暗号の解読を一緒に依頼したいって言ってけど、それが事件と何か関係あるの?」

遥菜「関係あるかどうか、まだハッキリとは分からないんだけど……祝詞って分かるかしら」

和葉「神社でお祭りがある時とかに、神主さんが読み上げるやつやろ?」

遥菜「ええ。ああいうのって、かなり古い言葉が使われているから」

遥菜「普通の人が聞いても、意味なんて分からないものなんだけど……」

遥菜「高川家が神主を務める神社の祝詞は、少し変わっているらしくてね」

蘭「変わってる?」

遥菜「代々の神主に口伝で伝えられる祝詞が」

遥菜「秘伝の宝物の在りかを指し示す、暗号文になってるそうなの」

コナン・服部・蘭・和葉「「「「秘伝の宝物……?」」」」

遥菜「トレジャーハンターの間では、それが秀吉の隠し財宝だとか、徳川の埋蔵金だとか」

遥菜「色々と言われてるらしいんだけど」

コナン(……何か、前にも)

服部(似たような事件があった気ィが……)

服部「そんなん、作り話とちゃうんか? 今時、隠し財宝や埋蔵金て……」

遥菜「一部では、まだ信じて宝探しを続けてる人がいるのよ」

遥菜「一ヶ月くらい前にも、四、五人のトレジャーハンターのグループが」

遥菜「『この神社の祝詞が、宝の在りかに繋がる暗号に違いないから教えてほしい』って」

遥菜「かなりしつこく迫ってきたらしいし」

コナン「高川さん一家は、財宝の話は信じてないの?」

遥菜「ええ。彼らは神主の仕事の一つとして、祝詞を伝えてるだけだもの」

遥菜「神社で保管されている古文書の記述で分かってるのは」

遥菜「あの神社が徳川将軍家を含む、いくつかの大名家から寄進を受けたことぐらいよ」

遥菜「財宝伝説と祝詞の暗号を結びつけるものなんて、それ以外には……」

服部「うーん……聞いた限りやと」

服部「神主さんが祝詞を教えへんことにカッとなったトレジャーハンターが」

服部「衝動的に殺してしもたとは、とても思われへんなぁ」

服部「犯人がホンマにお宝目当てで、祝詞の暗号を解くつもりやったんなら」

服部「口伝の祝詞を知っとる神主さんを殺すんは最悪の手ェや」

コナン「あぁ。それに、手口があまりにも残忍すぎる。しかも二件連続……」

コナン「孝助さんの父親と祖父に相当強い恨みを持つ何者かが、現場に凶器を持ち込み」

コナン「計画的に犯行に及んだと見て、まず間違いないだろうな」

遥菜「それは警察も指摘していたわ」

遥菜「単なる絞殺や刺殺だったら、何らかのトラブルの末に殺害したと考えたけど、って……」

コナン「……となると、やはり怨恨の線が濃厚……」ハッ

コナン「ってことだよね、平次兄ちゃん♪」

服部「お、おぅ……」

服部(ったく……子どもの演技、忘れんなや)ジロッ

服部「事件の資料とか、見せてもらえたらええんやけどなぁ」

和葉「大阪やったら大滝はんに頼めるけど……今回は現場が京都やし、難しいんと違う?」

遥菜「あ、そうだった! 現場写真と検死結果なら、この封筒にコピーが……」ゴソゴソ

コナン(おい……)

服部(それなら、はよ出さんかい!)

コナン「遥菜さん、どうやってこんな資料を? 警察やマスコミの人には見えないけど……」

遥菜「大学の後輩が、事件が起きた地区の所轄にいてね」

遥菜「本当はダメなんだけど、こっそりコピーしてもらったの」

服部「ま、バレへんかったら別にええやろ。とにかく見せてくれへんか」

遥菜「はい、どうぞ」

遥菜「あ……現場写真は、あんまり見ない方が良いかも……」

服部「大丈夫や。グロいんは慣れとるから」

コナン「百聞は一見にしかずって言うしね♪」

遥菜「いや、コナン君は見ちゃダメでしょ……」

蘭「ちょっと、コナン君……!」

コナン「いーからいーから。大丈夫だって」

蘭「もう……そういう問題じゃないってば……」

ピラ

コナン・服部「「…………ゲッ!!」」

服部「……予想以上やな。俺が今まで見た現場の中でも、指折りのエグさや」

コナン「俺もだ……写真で気分が悪くなったのは久しぶりだぜ」

遥菜(だから言ったのに)ハァ…

コナン「でも、ここまで話を聞いちゃったら……」

服部「依頼を受けんと、男が廃るっちゅーもんやな」

蘭「やっぱり……」ハァ

和葉「……まぁ、話を聞くって言うた時点で、こうなるとは思てたけどな」アハハ…

遥菜「ありがとう、助かるわ。もう京都府警はアテにならなくて」

コナン「地元の刑事さん達、そんなに頼りないの?」

遥菜「所轄から報告を受けて、府警本部が早い段階から乗り出してきたんだけど」

遥菜「変な警部さんのせいで、ヒンシュク買っちゃってね」

服部「変な警部やと?」

遥菜「シマリスを連れた、綾小路とかいうヒョロッとした警部さんよ」

遥菜「『事件の捜査にペットを連れてくるなんて不謹慎だ!』って、みんな怒っちゃって」

コナン「あぁ……あの公家出身の警部さんね」

服部「確かにアレは、そういう反応されてもしゃーないやろなぁ……」ハハ…

遥菜「コナン君って、怪盗キッドの暗号も解いたことがあるんだよね?」

遥菜「事件の方は服部君に頼むから、コナン君は暗号の解読を手伝ってくれる?」

コナン「うん!」ニッコリ

遥菜「お願いね」

コナン(へへっ。事件の方も関わる気満々だけどな♪)ウキウキ

遥菜「でも良かったぁ……本当は新一君に頼もうと思ってたんだけど」

遥菜「彼は今どこに居るか分からなくて、困ってたの」

コナン(……え!?)

蘭「新一君?……それって、工藤新一のことですか?」

遥菜「ええ、そうよ」

和葉「工藤君と知り合いなん?」

服部「名前で呼ぶぐらい親しいっちゅうことは……昔の女とかか?」ニマッ

蘭「え!?」ギョッ

コナン(んなわけねーだろ!)ジロッ

遥菜「違うわよ、そんなんじゃないって。親同士が知り合いなの」

服部「……親同士?」

遥菜「私の父・壮一郎は定年まで大学館に勤めていてね。工藤優作先生を担当する編集の一人だったの」

コナン「大学館の……?」

遥菜「私が高校生の頃、母が病気で入院してたんだけど」

遥菜「私を家で一人にするのは危ないからって、父が優作先生の家に連れてってくれて」

遥菜「それで新一君にも会ったことがあるのよ。当時、彼はまだ小学生だったわ」

遥菜「優作先生の担当は、五年前、父から他の人に交代しちゃったけどね」


コナン(藤宮壮一郎……あぁ思い出した、あの丸メガネの人だ!)

コナン(確かに、娘さんを何度か連れてきたことがあったな。それがこの人だったのか)

服部「工藤の奴、ガキの頃から生意気だったんと違うか?」ニシシ

遥菜「生意気とは思わなかったけど……ちょっと変わった子だったのは確かね」

遥菜「私は専ら、奥様の有希子さんに話し相手になって頂いてたんだけど」

遥菜「新一君は、有希子さんに邪魔されず読書を堪能できると思ったみたいで」

遥菜「部屋の端にあるソファーで、ず~っと本を読み耽ってたわ」

遥菜「それも推理小説ばっかり、漢和辞典で読めない字を調べながら」

遥菜「『まだ小学二年生なんだし、漫画とか他の本も読まないの?』って聞いたら……」


~回想・九年前~

新一『よ、読まないわけじゃねーって。今はたまたまこの本を読んでんだよ!』

遥菜『そうなの……でも偉いわね。ちゃんと分からない字を調べてるなんて』

新一『字を読み間違えたら、推理も間違えるかもしれねーじゃんか』

新一『読み方が解決のヒントになってる事件もあるんだからよ』

遥菜『……もしかして、前に間違えちゃったことがあるの?』

新一『う……うっせーな、あんたには関係ねーだろ! あっち行ってくれよ!』

~回想終了~



遥菜「……なーんて、新一君、何だかムキになってたのよねぇ」クスッ

服部「ほーぉ……」ニヤニヤ

和葉「何ていうか、工藤君らしいなぁ」フフッ

蘭「ねー」クスクス

コナン(……くそぉ。女ってのは、どうしてこういう下らねーことを覚えてんだ……)

※筆者注:原作55巻の「怒りを鎮めよ」→「おこりをちんめよ」の黒歴史のせいです

遥菜「じゃあ、私の父の実家に行きましょうか」

遥菜「高川家と同じ京丹波町だし、離れもあるから」

遥菜「みんなでそこに滞在してくれれば、ホテル代もかからないわ」

服部「そら助かるわ」

遥菜「移動は京都駅まで電車で、その後は車になるけど……良いかしら」

服部「おう。ほな、すぐに準備してくるよって。JR梅田駅で待っといてくれや」

遥菜「ええ。ここのお会計と向こうでの必要経費、依頼料代わりとして私が持つわね」

服部「おおきに。せや、携帯の番号を教えとくわ」ゴソゴソ

遥菜「あ、はいはい」ピコ

コナン「それじゃ、また後で」

遥菜「ええ」

今回はここまでです
>>27で書いたことは原作55巻の「工藤新一少年の冒険」を参照して下されば分かりますよ

次回は来週末に更新予定です

>>13を一部訂正

× 服部「……そら、怯えるんも無理もないやろな」

○ 服部「……そら、怯えるんも無理ないやろな」


>>23を一部訂正

× 蘭「新一君?……それって、工藤新一のことですか?」

○ 蘭「新一君? ……それって、工藤新一のことですか?」

前作見たことないから教えて欲しい

>>14を一部訂正

× コナン「暗号の解読を一緒に依頼したいって言ってけど、それが事件と何か関係あるの?」

○ コナン「暗号の解読を一緒に依頼したいって言ってたけど、それが事件と何か関係あるの?」


>>38
前作はこちらです。よろしければご覧下さい
右京「江戸川コナン……?」
右京「江戸川コナン……?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388160048/)

まだ次回up分の修正が済んでいませんので、今夜は訂正レスのみで失礼いたしますm(_ _)m

――京丹波町・藤宮邸の離れ――

遥菜「ここが離れよ。間取りは2DK」

遥菜「トイレ、ユニットバス、冷蔵庫、簡易キッチン、TVもあるから。不自由は無いと思うわ」

遥菜「一部屋は服部君とコナン君、もう一部屋は毛利さんと遠山さんが使ってね」

コナン「ありがとう、遥菜さん」

蘭「すみません……私達まで押しかけちゃって」

和葉「ホンマにええんですか?」

遥菜「気にしないで。大勢の方が頼もしいし」

服部「なぁ。事件の話、高川さん達に聞けるやろか?」

遥菜「孝助君のお母様は無理だと思うけど、美代ちゃん夫婦なら……」

コナン「孝助さん達、今はどこに?」

遥菜「赤ちゃんやお母様と一緒に、美代ちゃんの実家にいるはずよ」

服部「ほな、会えるかどうか聞いてくれや」

遥菜「分かったわ。連絡してみる」

―― 一時間後・美代の実家・リビング――

孝助「高川孝助です。こちらが妻の美代」

美代「どうも……」ペコ

孝助「母の典子は、まだ伏せっとって……すみません」

服部「こっちが無理言うて来たんやし、構へんて」

服部「早速やけど、事件の話を詳しゅう聞かせてくれへんか」

孝助「はい。あの時は……」

ピーンポーン

???「ごめんください。京都府警どす」

蘭・和葉「「ん?」」

コナン・服部((あの声は……))

綾小路「……服部君と遠山さん? それに、毛利さんの所の……」

コナン「こんにちは、綾小路警部」

服部「忙しそうやのぉ、警部はん。シマリスは置いてきたんか?」

綾小路「――――困りますな、高川さん。部外者に、事件のことを勝手に話されては」

遥菜「孝助君が呼んだんじゃありません!」

遥菜「私が彼らに依頼したんです。犯人を見つけて、祝詞の暗号を解いてほしいって」

綾小路「フン……どうせ私が言うても、事件のことを調べ回るんでしょ?」

綾小路「それやったら、一緒に話聞いてくれはりますか」

服部「おう。そうさせてもらうわ」

綾小路「あんたらにも伝わってる情報はあると思うけど、一応事件の概要から話しときます」

綾小路「まず、高川孝太郎さんが殺害された第一の事件……」

綾小路「孝助さんと美代さんが、藤宮さん夫婦の迎えに出たのが十二時半」

綾小路「典子さんは、その少し前……十二時十五分頃から、社務所へお守り作りに行っとって」

綾小路「家の中の大人は、孝太郎さんと、その父親の玄一郎さんの二人だけやった」

綾小路「赤ん坊の面倒は孝太郎さんが見てはったそうどす」

コナン「孝太郎さんが?」

孝助「親父は、いわゆるイクメンやって……僕らが赤ん坊の頃も、面倒を見てくれとったから」

コナン「へー……」

綾小路「藤宮さん夫婦と一緒に、お二人が戻ってきたのが午後一時半」

綾小路「その後、すぐに孝太郎さんの遺体を発見……」

綾小路「この時、玄一郎さんは犯人に背後から殴られて、隣の部屋で気絶してはりました」

服部「殴られた……? いつ頃や?」

綾小路「所轄が話を聞いた時、『正確な時間は覚えてへん』と話しとったそうどす」

綾小路「孝太郎さんの遺体を見つけた美代さんは、慌てて典子さんを呼びに行き」

綾小路「残った孝助さんが警察に通報。記録では、それが一時三十五分や」

服部「犯行に使えた時間は、たった一時間か……えらい手際がええ犯人やのぉ」

服部「ニュースでも言うてたけど、凶器は、神社の神事で使う短刀やったな?」

孝助「はい。普段は鍵を掛けた鑑賞用のケースに入れてるんやけど……」

コナン「……犯行時には、ケースの鍵が開いていたんだね?」

孝助「そうや」

孝助「鍵は親父と祖父がそれぞれ持ってたから、たぶん祖父を気絶させた時に、犯人が奪ったんやと思う」

綾小路「凶器は遺体のすぐ側に放置されとったけど、高川さん一家以外の指紋は検出できへんかった」

綾小路「それに、現場の自宅周辺が森やったこともあって、犯人に関する目撃証言は少ないんや」

綾小路「人相や年齢、背格好はおろか、現場に侵入・逃走した経路もよう分かってへん」

コナン「玄一郎さんが殺された、第二の事件は?」

綾小路「犯行時刻は、一昨日の夕方五時前後や」

綾小路「伏せったままの典子さんの代わりに、孝助さん夫婦が葬儀屋さんと」

綾小路「孝太郎さんの納骨までの法要をどないするか、相談してた間のことどす」

コナン「相談の時間は、どのぐらい掛かったの?」

孝助「午後四時から、二時間ほどや」

孝助「ウチは神道やから、四十九日やのうて五十日で忌み明けなんやけどな」

孝助「世間は四十九日が主流やから、そっちにせえへんかって葬儀屋さんがしつこうて」

孝助「それで、話がかなり長引いてしもたんや」

コナン「玄一郎さんの殺害現場も高川さんの自宅だったって、ニュースでやってたけど」

コナン「何しに行ってたの?」

孝助「その日の朝、警察の現場検証が一通り済んで規制を解くっちゅう連絡があったから」

孝助「『親父の遺品を整理しに行く』って、お袋と美代のお母さんに言うてたそうや」

服部「その間、典子さんはどこに居ったんや?」

美代「お義母様は一日中、この家で休んでました」

綾小路「この事件も、凶器は神社で保管してた刀……第一の事件とは別のやつや」

服部「それも最初の事件と同じ様に、遺体の側に放置されてたんか?」

綾小路「そうや。こっちも犯人に繋がる手がかりは、一切無しやった」

和葉「この事件、怨恨の線が強いらしいけど……容疑者の目星は付いてないん?」

綾小路「捜査線上に挙がった人物は、何人か居てる」

コナン「どんな人達なの?」

綾小路「まず最初に挙がったんは、この家を飛び出してしもた高川祐二さん(24歳)。孝助さんの弟どす」

孝助「神主の仕事を手伝う気がなかった祐二は、中学の頃から親父と喧嘩ばっかりで」

孝助「三年前、勘当同然で家を出たきり音沙汰無しや。親父の葬式にも来んかったし……」

綾小路「祐二さんは現在、東京で就職して、アパートで一人暮らし」

綾小路「事件当時のアリバイを調べた結果、一件目の時は、友人と北海道を旅行しとって」

綾小路「二件目の時は、勤め先で仕事中やってな。祐二さんはシロと分かったんや」

コナン「距離的にも、現場に来るのは無理だね……」

服部「ほんで、他には?」

綾小路「二人目は、孝太郎さんと典子さんにお金を借りとった江本昭彦さん(57歳)」

綾小路「高川さんの家の近所に住んではって、孝助さん達とも仲のええ方なんやけど」

綾小路「三ヶ月ぐらい前から借金の返済が滞っとるとか……」

コナン「……何の借金なの?」

美代「そのお金は、江本さんが事業を始める時に出資したもので」

美代「まだ二千万近くが未返済のままやと、お義母様から聞いとります」

綾小路「江本さんも、事件当時は一応アリバイがあるんや」

服部「どんなアリバイや?」

綾小路「一件目の時は、十時頃から夕方まで、近所の仲間と公民館で囲碁をやっとって」

綾小路「二件目の時は、親族の葬儀に参列しとったことが、スタッフの証言で分かっとる」

コナン「ねぇ。さっき『一応』って言ってたよね。それってどういう意味?」

綾小路「囲碁仲間の証言やと、江本さんは十一時半から一時過ぎまで、自宅へ昼食に帰っとってな」

綾小路「その間のことは裏が取れてないんや」

蘭「……最初の事件の犯行時間は、十二時半から一時半までの間なんでしょ?」

蘭「だったら、江本さんにも犯行は可能のように思えるけど……」

コナン「無理だよ。可能だったとしても、かなり難しいね」

和葉「どうして?」

服部「少し考えたら分かるやないか」ハァ…

服部「たったそんだけの時間で、現場へ行って孝太郎さんを殺害し」

服部「その上、返り血の処理までして、公民館へ何食わぬ顔で戻って来るんは厳しいやろ」

蘭・和葉「「あ、そっか……」」

綾小路「私らも、犯行の手口から見て、江本さんに犯行は難しいんと違うかと判断してます」

綾小路「まぁ……江本さんが何らかのトリックを使って犯行に及んだなら、話は別ですが」

服部「せやな。でも、トリックが見抜けんことには追及もできへんで」

綾小路「最後に、三人目の容疑者……と言うべきかは分からんけど」

綾小路「祝詞のことをしつこく聞いとった、トレジャーハンターの一味どすな」

蘭「え?」

和葉「その人ら、犯人と違うって判断したんやなかったん?」

綾小路「確かに最初は、私らもそう思とったんや」

綾小路「行きずりの連中が、あないな殺し方をするとは、とても考えられへん……てな」

綾小路「でも所轄の人らと一緒に聞き込みして、色々情報を集めた結果」

綾小路「外国で前科持ちの連中やと分かったんや」

蘭「前科持ちって……一体、何をやったんですか?」

綾小路「前はキューバを拠点にして、カリブ海で宝探しをしてたらしいんやけど……」

綾小路「キューバ政府から『博物館で展示するから、これは売らへんように』と」

綾小路「念を押されとった財宝を、勝手に闇で捌いとったそうどす」

綾小路「現地スタッフに対する暴行容疑での逮捕歴もあったし」

綾小路「一緒に宝を発見した人に分け前を渡さへんとか、同業者の作業を妨害するとか」

綾小路「トラブルを起こすことも多くて、あの業界内ではかなり評判が悪いそうや」

蘭「……ずるいことを平気でやる人達なんですね」

綾小路「あの一味は、ここら辺で宝探しをやってたから、目撃証言自体は結構あるんやけど」

綾小路「地元住民と必要以上に接触せんようにしてたこともあって」

綾小路「今回起きた二件については、明確なアリバイは無いままなんや」

服部「そいつら、まだこの町に居るんか?」

綾小路「昨日の夜を最後に目撃情報が途絶えとるから、もう町を出てる可能性もあるけど」

綾小路「所轄や県警本部の協力を得て周辺をパトロールしながら、奴らを探してるんや」

綾小路「こないだの事情聴取で、まだ聞きたいことあったのに、さっさと帰ってしまいよったから」

服部「一連の犯行が複数犯によるものやとしたら、犯行時間は短くて済むかもしれんけど……」

コナン「……凶器が一つしか使われていないってのが、ネックだね」

綾小路「それなんや。遺体を調べても、短刀で付けられた以外の傷はほとんど見当たらんかった」

綾小路「もしトレジャーハンターの一味が、手持ちのナイフか何かで被害者を刺したんなら」

綾小路「短刀とは形状の違う刺し傷が、遺体に残るはずやからな」

綾小路「……とまぁ、概要からして物騒な事件やし」

綾小路「今回も正直、あんたらには引っ込んどいてもらいたいんやけど……」

綾小路「我々警察も、暗号云々に関してはサッパリや」ハァ…

綾小路「服部君、そこだけでも知恵を貸してくれはるか?」

服部「構へんで。ただし、このボウズも一緒な♪」

綾小路「――――仕方あらへんな。ほんなら、暗号のことはそっちに頼みますえ」

コナン「うん!」ニコニコ

綾小路「……これ以上は、現場で話しましょうか」

孝助「美代、大丈夫か?」

遥菜「真っ青だよ。……水を持ってくるね」

美代「す……すみません」

服部「あ、いや……こっちこそ遺族の前やのに、すまんかった」

蘭「そういえば、綾小路警部はどうしてこちらに?」

綾小路「典子さんから話を聞きたかったんやけど……まだ無理どすか?」

孝助「はい。相変わらずで……」

綾小路「ほな、また来ますよって」

コナン「高川さんの家は、ここからどう行くの?」

綾小路「心配いらへん。私と部下の車で、案内します」

遥菜「私も同行しますよ」

綾小路「ん?」

遥菜「服部君達は、ウチで滞在してもらうことになってますから」

遥菜「現場から帰る時に困っちゃうし」

綾小路「……どうぞ」

今回はここまでです
次回は17日か18日の夜に更新予定です

当方の体調不良により、更新の予定を日曜にずらします
本当にすみませんm(_ _)m

――三十分後・高川邸・玄関前――

ブロロォ……キキィ!

ガチャ…バタン! バン!

綾小路「……ここが、高川さんのお宅どす」

和葉「へ~」

蘭「結構大きな家なんですね」

綾小路「玄関を入ってすぐ右手に居間と台所、その奥にトイレや浴室」

綾小路「左手に二間続きの和室があって、手前側は玄一郎さんの寝室」

綾小路「奥の方は孝太郎さんと典子さんの寝室として使ってはったそうや」

綾小路「それと……孝太郎さんらの部屋の、廊下を挟んだ向こう側に」

綾小路「神社についての古文書とか、凶器に使われた短刀が置かれとった部屋がある」

コナン「孝助さん夫婦と、赤ちゃんの部屋は?」

綾小路「二階や。そこにも二間続きの和室と、フローリングの洋室が二つあってな」

綾小路「美代さんと赤ん坊は、洋室の方で寝起きしとったって聞いてる」

綾小路「ま、とにかく中に入りましょうか」

服部「……そうやな」

綾小路「藤宮さんは、どないします?」

prrrr…prrrr…

遥菜「あ……すみません、電話が……」

ピッ

遥菜「はい、私だけど……うん。そう……あ、ちょっと待って」

遥菜「ごめんなさい。私は電話の後で、中に入っても良いですか?」

綾小路「分かりました。ほな、先に行ってますよって」

遥菜「はい」

遥菜「もしもし? ……それで、向こうは何て?」スタスタ



服部「俺らも行こか」

コナン「あぁ」

ガラガラ…ピシャン!



遥菜「ええ……分かったわ。私は引き続き、“彼”を見張ってるから」ヒソ…

遥菜「そっちはお願いね。また後で連絡するわ」

ピッ

――第一の事件の現場・孝太郎夫婦の寝室(十畳間)――

綾小路「ここが孝太郎さんの殺害現場や」

蘭「うわ……」

和葉「これ全部、血の跡なん?」

服部(……ったく。せやから和葉も毛利の姉ちゃんも来ん方が良いって言うたのに)

コナン(『だって私達も事件のことが気になるもん』とか抜かしやがって……)

服部「……畳の上、すごい血だまりやな」

コナン「襖にも飛沫血痕が残ってるね」

服部「さすがに、天井までは飛んでないみたいやけど……」

コナン(……やはり、室内を物色した形跡は無いか)

服部「なぁ、警部はん。さっき事件の概要を言うてくれた時から、気になっとったんやけど」

服部「犯人の侵入・逃走経路が分からんて、どういうことなんや?」

コナン「足跡とか、残ってなかったの?」

綾小路「……畳敷きの部屋やし、室内に下足痕が無かったんは、まぁ仕方ないと思えるんやけど」フゥ

綾小路「高川家の敷地から玄関に来るまでの間にも、家の中にも、犯人らしい下足痕は無かったんや」

コナン「――――じゃあ、内部犯の可能性も十分あるってことだよね?」

和葉「えっ?」

蘭「ど、どうして……?」

服部「侵入した形跡だけやのうて、逃走した形跡もあらへんのやったら」

服部「最初から家の中に居った者の犯行と考えるのが自然や」

コナン「凶器に使われた短刀も、鍵さえあれば、誰でも持ち出せるようになってたみたいだからね」

コナン「家族なら、何か適当な理由を付けて、孝太郎さんや玄一郎さんから鍵を借りることもできるし」

コナン「彼らの目を盗んで、合鍵を作ることだって簡単だよ」

綾小路「……その辺のことは、我々も分かっとる」

服部「さっきは孝助さんらの手前、よう言わんかったんやな?」

綾小路「『身内が犯人かもしれへん』と伝えづらいんは確かや」

綾小路「孝助さんはもちろん、美代さんにもショックが大きすぎる話やろうし」

綾小路「さっきも言うたけど、江本さんとトレジャーハンターの一味についても」

綾小路「まだ裏が取れてない部分があるから、完全に内部犯の犯行とは断定できへんしなぁ」

蘭「でも、本当に内部犯だったら……」

和葉「孝太郎さんを殺したんは、玄一郎さんか、典子さん?」

コナン「そういうことになるね」

服部「もしそうやったとしても、分からへんことはまだあるで」

服部「刃物を使うた犯行の場合、犯人が特に処分に困るんは凶器と返り血や」

服部「凶器はこの家にあったモンを使うて、犯行後はその辺に放ってあったそうやけど……」

コナン「……返り血の処理をどうしたのか……だろ?」

服部「あぁ。こんだけでっかい血だまりができるぐらい、何度も被害者を刺したんなら」

服部「犯人は、かなりの返り血を浴びとるはずやからな」

コナン「孝太郎さんの遺体を見つけた時、誰の服も血で汚れてなかったんでしょ?」

綾小路「そうや」

コナン「この家の中から、被害者の血痕が付いた衣服は見つかってないんだよね?」

綾小路「ここのお宅、隅々まで家宅捜索をさせてもろたけど、全然やった」

綾小路「水回りからも、ルミノール反応は出ぇへんかったし」

コナン「隠し部屋とか、隠し扉みたいなものは?」

綾小路「現時点では、そないなもん見つかってへん」

服部「せやけど……腑に落ちんなぁ」

蘭「え?」

和葉「何が?」

服部「この連続殺人が内部犯の犯行やったら、犯人は孝助さん、美代さん、典子さんの誰かっちゅうことになる」

コナン「三人の内、二件とも明確なアリバイがある孝助さんと美代さんは除外すると……」

和葉「ほ、ほな……」

蘭「やっぱり、犯人は典子さん?」

コナン「でもそれだと、二件目の犯行は説明が付かなくなると思うよ」

蘭・和葉「「え?」」

服部「二件目の時、典子さんが美代さんの実家で休んどったっちゅう話、裏は取れてるんやろ?」

綾小路「それは確かや。美代さんの母親と、彼女の隣に住んでる人らも証言しとった」

コナン「どんな証言?」

綾小路「その隣人は、『午後四時五十分頃、美代さんの実家の、窓際の部屋で』」

綾小路「『ボンヤリと外の景色を見てる典子さんの姿を見た』と言うてる」

綾小路「隣人夫婦には毎日、夕方散歩に行く習慣があって、行きと帰りに美代さんの実家の前を通るんやけど」

綾小路「その帰りの時に、典子さんを目撃したそうや」

コナン「美代さんの実家からこの家までは、車で三十分……」

服部「二件目の犯行時刻は午後五時前後」

服部「たった十分やそこらで、典子さんが現場に行くんは無理や」

和葉「……そうなると」

蘭「二件目は、別の誰かの犯行ってこと……?」

服部「そう考えた方が辻褄は合うな」

コナン「その場合、二件目の犯人も探し出して、早く捕まえないと」

コナン「孝助さん達の身に危険が及ぶ可能性が高いけどね……」

コナン(連続殺人か、別人による犯行か……いずれにせよ、まだ情報が足りねぇのは確かだな……)

コナン(しかし、何なんだ? 胸の奥で何かが燻ってるような、この嫌な感じ……)


カラ…パタン

遥菜「お待たせしました」



コナン「……………………」チラッ

コナン(まさか――――)

コナン(…………落ち着け、今は推理に集中するんだ)フルフル


服部「ん?」

服部(工藤……?)



コナン「ねぇ、綾小路警部。第二の事件の現場って、この隣の部屋?」

綾小路「そうや」

服部「ほんなら、そっちも見てみよか」

コナン「あぁ」

今回はここまでです
次回は来週末に更新予定です

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