上条「完現術…?」(175)

ブリーチの完現術って…何か相性良さそう……


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↑何故か「?」があるけど気にしないで下さい。




上条「いつもこんな思いさせてたんだな……」


インデックスは気にしないで、と言ってたが
気に病まずにはいられなかった。


だが今回の事で、怪我をさせてしまった罪悪
感を初めて理解した。


こんなにも不安で、心苦しい思いをいつもさせてたんだなと気付くと、今までの行いが恥ず
かしくなってくる。


上条「はぁ…今更気付くとは、やっぱ俺ってバカだな…」



(こんな思いもうさせたくない。誰にも)



絶対に…………させたくない。


(でも不幸体質な自分が争いに巻き込まれるのはこれからも変わんないだろうな)


なら、せめて、怪我をしないように



上条「もっと、もっと強くなりてぇな…」



静かに、力強く決意した。


(とは言ったものの、どうすっかなぁ…)


自分には幻想殺しがある。
だが、それだけだ。


体は一般人と変わらない。



能力が発現する事もない。


だが、能力なしには怪我ないなんて無理だ。

そんな日常を送ってる自負がある



何か、何かないだろうか…





上条(駄目だ、なんにも思いつかん…)



上条「とりあえず、格闘技でも覚えとくか…」


たいした解決策も思い付かないまま、とりあえず帰ることにした。

とまぁ、こんな感じでやってきます

とりあえず書き溜めしてきます。


寮に帰宅後、上条は余り物を食べながら何と なくテレビを見ていた。

胡散臭い霊能番組がやっているが、どうでもいい。



とにかく無音が辛かった。

上条(あんな穀潰しでもいないと寂しいもんだな…)


―――日本には古来から――八百万――があ りますが―――


上条(あの先生のおかげでたった1週間で退院出来るけど、 長いな…)


――――どんなもの――神―宿っている ―――魂がこもった――


上条(…格闘技、誰から習おうか)


上条(土御門、黄泉川先生、……あと災呉、 はな
いなうん)


上条「身近なのはこのくらいか…とりあえ ず、明日聞いてみるか。…あ、明日能力判定 だ……」

上条だって人間だ。発現しないのが分かって いても能力に憧れない訳がない

上条「俺も何か派手な能力ありぁなぁ…… まぁいいや。片付けよっと」


そういって立ち上がると、食器を洗いに流し 台に移動する。




上条家の食器は全て貰い物だ。
買う金が無いので、とにかく丁寧に扱ってい
る。


そのため、割ったことなど1度もない。



…もっとも、一年くらい前までしか覚えてな いのだが



上条「さてと、洗いましょうかね」

そうして茶碗に手をかけたその時、



---チカッ--



上条「っ!!?」


指から光がでた。





カッシャー?ン!!!!!!

上条「あぁっ!! 俺の茶碗がっ!!」

手を滑らせてしまい、とにかく大事にしていた茶碗を割ってしまった。

また?でた…すいません…


不幸だ……ごめんな……とブツブツ呟きながらとりあえず片付ける。
食器1枚割って今にも泣きそうになる高校生はそうはいないだろう。


だが内心、上条はパニクっていた。


上条(…………光ったよな!!いま絶対なんか光った!!何でだ!?)



そう、指が光ったのだ。


正しくは指から光が出たのだかどうでもいい。

人体がなんにもなく光る訳がない。



だが、幻想殺しのせいで能力はあり得ないはず…

もう訳が分からなかった。



しかし現に光が出た

…しかも右手から。


いくら考えても、上条のスカッスカの頭では理解出来なかった



上条「見間違い、じゃなかったしな………
あぁぁあぁ!!!!くそっ分からん!!!!」


もう考えるのをやめ、とっとと寝ることにした

―――――――――――――
変な夢を見ていた。


辺り一面から声が聞こえてくる。


不思議と恐怖はない。

安らぎと、安心感と、なぜか感謝があった



上条(妙にリアルだな…)


そう思いながら歩き始めた。



何故だか、行くべきところが分かる。



そうして大きな門の前にたどり着いた。


上条「これは…鍵?」

大きな門の前には小さな鍵が浮いている。


取ろうとしたその時、

頭の中にはっきりとした声が響いてきた。

『上条当麻』

『…お前の護りたい幻想は何だ』



声が訪ねてきた




幻想を殺す者が抱く幻想…



何故かそんな考えが頭を縛る。



答えられなかった。

大事な人まで幻想(コロ)してしまいそうで…



答え―ら――れなか―――っ――――――



目が覚めた 。

夢の内容ははっきり覚えている。

たかが夢なのだが、どうしてもそんな風に思えなかった。


上条「護りたい幻想、か」



久しぶりに寝たベッドから起き上がり、時計を見る。

時刻は7:40

眠い目を擦りながら、朝日を浴び…て…?



ちょっと待て、今何時だった?

もう一度時計を見る。

7:41


登校完了まで約15分



はい遅刻コース決定ー(笑)


上条「…なんて、ふざけてる場合じゃねぇっ!!」


久しぶりのベッド、気持ちよすぎて寝過ごしてしまった。



上条「メシ食う時間ねぇし、弁当も作っねぇ!!!!
あぁもう不幸だーー!!!!」


いや自業自得だろう



とにかく急いで着替え、部屋を飛び出す。

ただいまの時刻7:48



彼は今日も元気である。




―――――――


上条「ま、間に合った…だと?」


なんと間に合ってしまった。


上条「絶対遅刻確定だったのに…俺スゲェ」


無我夢中で走ったので何も覚えてないが、とにかく間に合った

最短ラップを更新しているだろう


人間、頑張れば何でもできるのだ!!

その調子で勉強もやればいいのに…




土御門「…カミやん、ホントに走って来たのかにゃー?」

青ピ「汗ほとんどかいてないやん…」


上条「お、ホントだ。毎日不良と追いかけっこした成果ですかねぇ」


土御門「…毎日?つまり、毎日フラグ建設してるってことかにゃー?♪」ニコニコニコニコ


上条「いやだからフラグってなんだよ毎回。
…てゆうか土御門?なんでそんなにニコニコしているのでせうか?」

青ピ「いやそんなことあらへんよカミやん?僕らいつも通りやで?」ニコニコニコニコ


上条「青ピもか!?二人して怖いんですけど!?」


土御門「いや、いつも通りぃ」

青ピ「カミやんと話してぇ」

土青「ぶん殴るっ!!!!!!!!」

上条「なぜに!?」




今日も平和であった…


その後吹寄に頭突きされ、教室に来たのに静かにならず涙目の小萌先生を慰めた上条はグダーっとしている。




今は昼休み。
購買で買ってきたパンを食べながら三バカで集まって話している


上条「あーうめーなぁ。
朝食べれなかったからおかしくなりそうでしたよ」ハハハ

土御門「まったくカミやんは相変わらずだにゃー」


妹特製の弁当を食べているゴキゲンな土御門。
かなりうまそうだが、どうせ分けてくれないので黙っておく


土御門「ん?カミやん、どうしてさっきからこっちチラチラみてるぜよ?」ニヤニヤ

上条「…いやお前分かって言ってるだろ」イラ

土御門「まぁまぁ怒るなぜよ。少し弁当分けてやるからにゃー」

上条「」
青ピ「」

土御門「二人とも何で固まってるぜよ?


上条「つ、土御門が…弁当くれるだと?」
青ピ「つっちー、どうしたんや?」

土御門「何言ってんだにゃー二人とも。
こんなの心の広い土御門さんにとって当たり前なんだぜぃ?」

上条「いや、今まで絶対くれなったお前が…まさか…!」



上条さんの不幸センサーが反応している

絶対何かある…と身構えると


土御門「まぁ午後の能力判定頑張れ♪っていうオレなりのエールだぜぃ」ワラ



上条「単にバカにしただけかよ!!
てゆうかお前らもだろうが!!」

青ピ「まぁ確かになぁ…ちょっと面倒や?」

土御門「さっさと終わらせて帰りどっかよろうぜぃ…」


憂鬱なのは三人とも同じみたいだ…



そうして能力判定。

会場となる体育館やグラウンドには様々な機械が運び出されている。

上条は測定の最後に体育館でスキャンを受けることになっていた。


小萌「は?い上条ちゃ?ん準備はいいですか??」


上条「えぇバッチこーいですよー」

小萌「じゃあいくですよ?♪」



楽しげな小萌の声が響いてくる。



この機械は生徒のAIM拡散力場を見るものだ。

高位能力者になるほど、より強力な力場が観測される。



しかし上条には意味がない。

なぜか。幻想殺しのせいだ。



その右手のせいで、開発を受けた全ての人から出るはずのAIM拡散力場が観測されないという、ある意味珍しい人間なのである。


今回もそうなる……はずだったのだが、




小萌「…あれ?なんですかこれ……」



上条「小萌先生?」


いつもと違う、困惑した小萌の声が聞こえてくる。

小萌「あの、上条ちゃん?悪いんですけど、もう一度測定してもいいですか?」

上条「?…まぁいいですけど」



そうしてもう一度測定。



小萌「やっぱり…」

上条「あのー小萌先生?どうしたんでせう?」

小萌「上条ちゃん、ちょっと来てくだい」

明らかに変な小萌先生のそばに行く。

測定結果が表示されモニターがある。



上条はいつも見てないので分からなが、様々な文字が表示されている。


小萌「とりあえず説明しますね?よく聞いてください」

そう言って上条に説明を始めた。



小萌「まず、これが大体な人の結果です」

上条「はぁ…」

見せていいのか?と思ったが名前を見て納得する


土御門 元春‐ツチミカド モトハル‐
 強 度:0.024
 範 囲:0.004
 タイプ:肉体強化系
―――――――――――――
 Lv.0



小萌「そしてこれがいつもの上条ちゃんです。」


上条 当麻‐カミジョウ トウマ‐
 強 度:0
 範 囲:0
 タイプ:不明
――――――――――――
 Lv.0


うん、我ながら見事な0だ、と変なところで感心している上条。


小萌「この機械はAIM拡散力場からその人の大まかな能力を数値で表示します。
ちなみにLv.5は全て1000以上の数値となるんです」


土御門の結果と比べるとどれだけ凄いかが分かる


上条「…で、これが何か…?」


小萌「はい、これが今回の上条ちゃんの結果です…」


モニターに上条の結果が表示される。


上条 当麻‐カミジョウ トウマ‐
 強 度:taj2btat5dtgtap.rwjua
 範 囲:tjt2atdxmwdujatasata
 タイプ:********
――――――――――――――
 Lv.UNKNOWN


上条「………は?」


バカな自分でも分かった。

これは異常だ。


どうやら半角記号が原因みたいです。見にくくてごめんなさい…


その後吹寄に頭突きされ、教室に来たのに静かにならず涙目の小萌先生を慰めた上条はグダーっとしている。


今は昼休み。
購買で買ってきたパンを食べながら三バカで集まって話している


上条「あーうめーなぁ。
朝食べれなかったからおかしくなりそうでしたよ」ハハハ

土御門「まったくカミやんは相変わらずだにゃー」

妹特製の弁当を食べているゴキゲンな土御門。
かなりうまそうだが、どうせ分けてくれないので黙っておく


土御門「ん?カミやん、どうしてさっきからこっちチラチラみてるぜよ?」ニヤニヤ

上条「…いやお前分かって言ってるだろ」イラ

土御門「まぁまぁ怒るなぜよ。少し弁当分けてやるからにゃー」

上条「」
青ピ「」

土御門「二人とも何で固まってるぜよ?


上条「つ、土御門が…弁当くれるだと?」
青ピ「つっちー、どうしたんや?」

土御門「何言ってんだにゃー二人とも。
こんなの心の広い土御門さんにとって当たり前なんだぜぃ?」

上条「いや、今まで絶対くれなったお前が…まさか…!」



上条さんの不幸センサーが反応している

絶対何かある…と身構えると


土御門「まぁ午後の能力判定頑張れ♪っていうオレなりのエールだぜぃ」ワラ

上条「単にバカにしただけかよ!!
てゆうかお前らもだろうが!!」

青ピ「まぁ確かになぁ…ちょっと面倒や…」

土御門「さっさと終わらせて帰りどっかよろうぜぃ…」


憂鬱なのは三人とも同じみたいだ…



そうして能力判定。

会場となる体育館やグラウンドには様々な機械が運び出されている。

上条は最初に体育館でスキャンを受けることになっていた。


小萌「はーい上条ちゃーん準備はいいですかー?」


上条「えぇバッチこーいですよー」

小萌「じゃあいくですよー♪」



楽しげな小萌の声が響いてくる。



この機械は生徒のAIM拡散力場を見るものだ。

高位能力者になるほど、より強力な力場が観測される。



しかし上条には意味がない。

なぜか。幻想殺しのせいだ。



その右手のせいで、開発を受けた全ての人から出るはずのAIM拡散力場が観測されないという、ある意味珍しい人間なのである。


今回もそうなる……はずだったのだが、




小萌「…あれ?なんですかこれ……」



上条「小萌先生?」


いつもと違う、困惑した小萌の声が聞こえてくる。

小萌「あの、上条ちゃん?悪いんですけど、もう一度測定してもいいですか?」

上条「?…まぁいいですけど」



そうしてもう一度測定。



小萌「やっぱり…」

上条「あのー小萌先生?どうしたんでせう?」

小萌「上条ちゃん、ちょっと来てくだい」

上条「……機械が壊れt」

小萌「今までずっと正常でしたし、メンテナンスもちゃんとしてます。それはありえないです。」



全部言う前に言われた…


いつもの小萌先生ならありえないことだった。




話を聞いたところ、

数値の文字化けは故障してようが絶対ない、ということ

Lv.UNKNOWNなんてないということ


らしい。



小萌「とりあえず考えられるのは2つです。」

小萌「1つ、機械の故障。決して可能性0という訳ではありませんが、それでも限りなく低い可能性です」


上条「ちなみにどのくらいの確率ですか?」




もしかしたら不幸のせいかもしれない、そう思ったが、



小萌「650000分の1の確率です。
2回測定して同じだったので1300000分の1ですね」




あぁ、さすがにこれは不幸が原因ではない




小萌「そして2つ目ですが、」



――――何故だか

――

―――――――――――胸騒ぎがスる―――




――――――――チカッ ッ!!カシャーン!!アァ!!




――カミジョウトウマ―――――――

        ―――



小萌「上条ちゃんが」
 
――ャオョロズノ――――――


       ―――――――

――――――――――――ミギテ――



―――――――
――



――マモリタィ幻想ハナンダ?
 




「何か

      《能力ではない何か》


   に目覚めたという可能性です」





とまぁこんな感じで。書き溜めしてきます

滝壺「かみじょうの拡散力場が…消えた…?」

麦野「元々ないでしょーに」

――――――

土御門「……」


土御門が真剣な顔して何か考えている。




能力判定のあと、

上条は土御門を連れ出し先程の結果を見せた。



最初は
「愛の告白かにゃー?」とか「オレは妹一筋だぜぃ」
とか言っていたが、

小萌先生からもらった紙を見せると、たちまち魔術師の顔になる。



何だかんだで土御門は博識だ。

もしかしたら、何か分かるかもしれないと思ったが…



土御門「ダメだカミやん。オレにもさっぱり分からねぇ」

上条「そうか…」


土御門「小萌先生は何て言っていたんだ?」


上条「可能性は2つ。1つは機械の故障。だが可能性は限りなく低い。オレの不幸でも流石にありえねぇ低さだ。」


土御門「……」

上条「2つ目が…俺が何か新しい力に目覚めたか、らしい」



土御門「なるほど…だが2つ目はありえねぇはずだ。それはカミやんは一番理解しているはずだろ」





土御門の言うことも最もだ。

上条の能力を知っているなら100%そう思う




土御門もそう考えていて、何かどこかで妨害が…もしくは……などと考えていた。



上条「あぁ…だが土御門、オレは2つ目のほうが可能性が高いと思ってる」




土御門「!?……それはどうしてだ?」





…………

上条は昨日起きたことを話した。


自分の《右手》から光が発生したこと、

よく分からない不思議な夢を見たこと、


土御門は上条が嘘をついてるとは思えず、珍しく驚いていた。


土御門(これはオレも見間違いでないと思うが…だがどうしてだ?)




上条「あと今思えば、学校に遅刻しなかったのもおかしい」


土御門「あのとき全力出したって言ってたのにほとんど汗かいてなかったな」

土御門「ちなみに何分位で着いたんだ?」


上条「んーと、…10分くらいだな」

土御門「はぁっ!?カミやん、そりゃオレでも無理だぜ…」




寮から学校までは土御門でも20分はかかる。


上条の10分というのは無能力者には不可能だ。



土御門(こりゃ確定だな…)



上条には何かが目覚めかけている。

土御門でさえ分からない《何か》が。




土御門「……確認しておくが、嘘はついてないんだよな?」


上条「そんなの、お前がよく分かっているはずだろ。」

土御門「ははっ確かにそうだ!」


土御門は天邪鬼だ。

故に嘘を見破るのは得意中の得意。


上条の目は、言葉は、動きは、

まったく嘘をついていなかった




土御門「ふぅ…だが分からねぇ。なぁ、カミやんの見た夢ってどんなのなんだ?」


上条「やっぱ関係あるのか?」


土御門「その可能性は高い。夢ってのは魔術でも重要視されるからな」

上条「そうなのか…………気が付いたらだだっ広い場所にいて、周りからたくさんの声が聞こえてきた。でも、不思議とこわくはなかったな」



上条「そんでオレはそこを歩いてた。知らない場所なのに足は勝手に動いた。まるで、目的地があるみたいな…」


上条「そうして歩いてると、なんかデカイ門にたどり着いた。」

土御門「門?」

上条「あぁ、そんでその前に小さい鍵が浮いていて、それを取ろうとしたら声が響いてきた。」


土御門「誰かは分かるか?」


上条「いや、少なくとも知り合いではないな。でも他人って感じもしなかった」


土御門「……それで?」

上条「そんで質問されたんだ。お前の護りたい幻想は何だ?って」

土御門「何かカミやんを皮肉った質問だな」


上条「俺もそう思った」ハハハ

上条「でも答えられなかった。何にも思い付かなかったんだ。……そこで目が覚めたな」



土御門「なるほど…とりあえずカミやん、その夢は聞く限りかなり重要だ。多分もう一度見るはずだ」

土御門「そして二度目も同じ質問をされるはずだ。カミやんはこれに必ず答えろ……あと、夢の中では絶対嘘はダメだ。ありのままを答えろ、分かったか?」


分からないと言いながらもこれだけアドバイスが出来る土御門はすごい。

上条は「あぁ分かった」と頷いた。



土御門「ところで、インデックスには聞かなかったのか?」



上条「あ…それも言おうとしてたんだ。実は昨日階段から落ちてな、入院してるんだ」


土御門「なっ!?…カミやん、そうことは早く言ってくれよ……」オイオイ



上条「わりぃ、いろいろ動転しててな、遅れちまった。とりあえず骨折して1週間は安静だとさ」



そういう上条の顔は辛そうだった

どうせ自分のせいで…とか思っているのだろうと土御門は考える。



上条当麻とはそういう人間なのだ。







土御門「とりあえず分かったぜぃ。カミやんはこのまま病院かにゃー?」


上条「あぁ。お前はどうするんだ?」


土御門「オレはとりあえず帰って調べてみるぜぃ。何か分かったら報告するぜよ。それじゃ、カミやんまたなー」

上条「わりぃな、よろしく頼む。じゃあな」





辺りは薄暗くなり始めていた……

――――――
コンコン

―――ハ,ハーイナンダヨッ!!


ガラッ


上条「よぅインデックス、元気か?」



イン「あっ、とうま!やっときてくれたんだよ!!」



インデックスは思いのほか、元気なようだ。

無邪気な笑みを見て少し気が楽になる。




上条「ははっごめんな。ちょっといろいろあったんだ」

イン「そうなの?…またなにか巻きこまれたの?」

上条「いや、今回はちげーよ。ただ、ちょっとインデックスに聞きたい事もあってな」

イン「そうなんだ…ちょっと安心したんだよ」フフ

上条「それでもちょっとだけなんですね……」


上条「ところで、具合はどうだ?痛くないか?」


イン「うん!不自由だけど別にいたくはないよ?」



上条「そっか、そりゃよかった……」

上条の顔が曇るのを見逃さない。




イン「とうま?また、自分のせいで…とかおもってるでしょ」



上条「まぁ…な。……でも今回のことでよく分かったよ」



イン「?」


上条「俺が怪我する度にお前も、御坂もいろんな奴がこんな思いしてたんだよな………ごめんな?いつも」


イン「…そっか、やっと気付いてくれたね。」

イン「その『ごめん』はしっかり受けとるんだよ。」




上条「あぁ、ありがとな…………多分、これからもトラブルには巻き込まれると思う。でも…なるべく怪我しないようにするから…俺、もっともっと強くなるから」


実に彼らしいことば。


イン「…うん」



上条「それで…許してくれ」



イン「なにいってるの、許すも何も、わたしは最初からとうまを信じてるんだよ!」

イン「だからとうまは必ず帰ってきてね?」



上条「…あぁ、分かった」フッ






その後、しばらく二人は話していた。

ギプスを付けたインデックスの姿は痛々しかったが相変わらずな様子で、




上条の心配は怪我から入院費(しょくひ)にシフトしていた





イン「そういえばとうま、わたしな聞きたい事ってなに?」

上条「あぁ、そうだっな。実は……」



さっき土御門にした話をもう一度する



案の定、インデックスは驚いていたが

終わる頃には何だか別の理由で驚いているようだった。


――まるで、そんなのありえないとでも言うように。



話終わってから、数分たった。



そうして、インデックスは、告げる。


イン「とうま、それはきっとね、 完現術《フルブリング》 なんだよ。」



前置き長くてごめんなさい。そろそろ動かします。

上条「完現…術?何なんだ?それ」



イン「うん、完現術っていうのはね、

   《物質の魂を引き出して使役する力》

   なんだよ」



……はい?



イン「ごめん、とうまにはちょっと難しかったかな?」


上条「へっ!?いや、そんn「かおにでてるんだよ」…はいすいません……」





……………………………グスン




上条当麻は今にも泣きそうだ…





イン「大丈夫?説明始めるよ?」


上条「……はい大丈夫ですよろしくお願いいたします」



いじける上条さん、ガキかお前は。




イン「?…まぁいいや」


たいして気にもせず説明を始めた




イン「とうま、八百万神(ヤオヨロズノカミ)って知ってる?」



上条「あぁ、そのくらいは…
確か、『全てのモノには神が宿っている』って考え方だよな」


イン「そう、そんな感じ。完現術も似たようなもので『全てのものには魂がある』って考えるの」



イン「そして、その魂に術者の力を注ぎこんで大きな力を生み出す
………て感じなんだけど……分かった?」


上条「何となく……」




つまり、モノの持つ特性を極限まで引き出す力 らしい


アスファルトの『反発力』を引き出して跳躍したり、


水の『流動性』を引き出して好きな形にしたりその上に立ったり、


紙の『鋭利さ』を引き出して刃にしたり




………かなりすごいな


他にもたくさんあるだろう。
発想さえあればなんだって出来る。






上条の率直な感想だった。








上条「でも、なんで俺に発現したんだ?幻想殺しがあるのに」


そうだ、最大の謎はそこだ。



イン「それは魂だからだよ」


…………はい?


イン「だから魂だからだよ。モノの魂が消せるのなら、とうまの右手に触れれば全てのものが消えちゃうんだよ」



なるほど、そうゆうことか
あっさり解決してしまった。



概要を何となく理解したところでインデックスに質問する

上条「そういえば、さっき何であんなに驚いていたんだ」

イン「あぁ、えと、…実は完現術を使える人ってね、いないことになってるの…





…………………………はい?


上条にはさっぱり分からなかった。



イン「完現術の発現条件はね《生まれる前に親が幽霊に襲われてること》っていう特殊な条件なんだよ」


ちなみに幽霊のことを虚(ホロウ)と言うらしい



イン「あとは宗教上の問題でね、かなり除け者にされてる力なの」



イン「とうまは…そんな力でも欲しい?」



インデックスの言いたい事が分かった。


疎まれるかもしれないし、
第一、その希少さゆえに利用される可能性もある

…………………でも

上条「大丈夫だ。インデックス」


………力が欲しかった



上条「さっき約束したじゃねぇか」



……………………みんなを護る力が


上条「何があっても必ず帰るってさ」




…………みんなが笑ってられるように



上条「心配すんな」





それが、上条の護りたい幻想《モノ》





イン「うん……結局とうまはとうまだね」

イン「分かった。頑張ってね、とうま!」



上条「あぁ!!」








幻想殺しは命を与える力を得た。




上条当麻―――カミジョウトウマ―――Lv.ー


――――――――『幻想殺し』
――――――――――『完現術者』





病院からの帰り道


上条「はぁぁぁぁー…」



上条は公園でため息をついていた


上条(インデックスにはあぁ言ったけどさー)



上条の新たな力が何なのかは分かった

だが、根本的には解決していないことに気が付いた




つまり、

上条「完現術って…どうやって身に付けんだー?」



その力の扱い方である



元々稀少な能力ゆえに特訓方法などはない


というか、上条の知能じゃ思い付く訳がない


しかも、散々カッコつけておきながら
今頃気づくあたり、本物のおバカさんである





上条「うーん…」


時刻は6時。日は沈みはじめている



上条「んー…とりあえず明日だなぁ」


考えても埒があかず、とりあえず帰ることに。


なんだかつい先日も同じようなことを言っていたな、コイツ。




とりあえずベンチから立ち上がり、歩き始めた



上条「ん?」


公園からでると、道路の向こうには知り合いがいた



上条(あれは…御坂妹か?)



そこには、軍用ゴーグルに制服、胸には猫を抱き抱えた変な格好の少女が



なんだかボーッと、上を見上げて突っ立っている


上条「なにやってんだ、アイツ…」



なんだか考え事でもしているのだろうか…



そのため御坂妹は気がつかなかった

自身の手元から猫が脱走したことに



上条「あ」
御坂妹「…あ」



少し遅れて猫を捕まえようと道路に飛び出す



…まだボーッとしていたのか、

御坂妹は気がつかなかった



―――前方からは車がきていたことに







上条「ッ!!」


ヤバイ。



そう思ったときにはもう体は動いていた








――上条は《アスファルトを蹴りあげ》、
一気に《加速》する――





無意識だった




御坂妹「え……?」


ガシッ


ギリギリのところで御坂妹を掴み、

そのまま歩道に飛び込む


ズザザザッー!!!!

上条「ぐぬぅ…!」
御坂妹「あぅ…!」



すぐ後ろを車が駆け抜けて行く


なんとか間に合ったようだ




上条「……あっぶねー」

御坂妹「…もしかしてミサカは今ヤバかったのですか、とミサカは内心パニクりながら質問します…」

上条「轢かれるとこだったぞお前…ってかやっぱ気づいてなかったのか」

御坂妹「少し考え事をしていたもので……とミサカは説明します」


御坂「それにしても車に気づけないとは…とミサカは自身の不甲斐なさを悔やみます……」

上条「まぁこうして助かったんだし気にすんな。次から気を付けろよ?」

御坂妹「はい、ありがとうございました、とミサカは素直にお礼を言います」


とりあえず無事なようだった

一安心した上条だったが


御坂妹「あの、さすがにこのままだと恥ずかしいのですが、とミサカは頬を赤らめます」///

上条「ん?…あ゙っ!!」




歩道に飛び込んでからそのままだったため、今の二人は抱き合っている状態だ

しかも、公衆の面前で


ホント、今まで気づかないとかこの男はなんなんだ




上条「わ、わりぃ!!すぐ離れるから!!」バッ

御坂妹「いえ、気にしないで下さい、とミサカは逆に礼をしたいくらいです」///

上条「? 礼ならもうしなくてもいいぞ?」

御坂妹「いえ、そうではなくて…やっぱもういいです、とミサカは面倒なのではぐらかします」ハァ

上条「?…まぁいっか」



相変わらずの鈍感さにあきれていた御坂妹だったが

ある程度頭が回るようになり、ある疑問が浮かんだ




御坂妹「ところで、」






御坂妹「あなたは一体どうやって私を助けたんですか?」




それは至極シンプルな疑問


だがシンプルゆえに分からない


一言で言えば『ありえない』のだから




先程の上条と御坂妹の距離は数十メートルはあった

しかも、御坂妹が飛び出したときには車はもうすぐそこまで来ていた


そこから走ったところで無能力者の彼が間に合うはずがないのだ



なのに、こうして助かった






上条「…………ごめん、オレもよく分かんねぇんだ」



顔を見たら分かる。彼の言葉は明らかに嘘だ


御坂妹「……そうですか、なら仕方ありません」



だが問い詰めるのは止めた

なんだか聞いてはいけない気がしたから




御坂妹「では、ミサカはこれで失礼します」

御坂妹「この度は本当にありがとうございました、とミサカは再度お礼を言います」ペコリ



そういうと、御坂妹は去っていった



上条「……」


先程の自分の限界をはるかに上回る力


無意識だったが、感覚的に覚えている



上条(これが……完現術)


これをものにできれば、自分はもっと強くなれる


上条(全て理解した訳じゃないけど感覚は分かった)


上条「よしっ、絶対身に付けてやる…!」




上条は久しぶりの高翌揚感に浸っていた




そんなとき


「ねぇ」



うしろから声をかけられた


上条「ん?」

「アンタよアンタ!さっさとこっち振り向きなさいよ!」

上条「すいません…」




強気な少女がそこにいた




上条「で、なんか用か?」

「なにその態度……まぁいいわ」



少女は尋ねる





「単刀直入に言うわ」




「アンタ、完現術者?」







場所は変わってとある喫茶店



上条「……どうしてこうなった?」






テーブルの上にはケーキやドーナツなどが大量に置かれていた

見てるだけでも胃がもたれそうである

無論、上条にそんなものを買う余裕はない

すべて、先程声をかけてきた少女が注文したものだ



「なによ、アンタもなんか頼めばいいじゃない」

上条「上条さんにはそんなお金はないんですよ!」

「アンタの懐事情なんて知らないわよ」

上条「うぐぐっ!」


好き放題言われている上条、情けない


上条(なんだか御坂に似てんなー…)

上条「はぁ…」

「なによ、人の顔見てため息つかないでくれる?」

上条「はいはいすいませんねー。てかお前、そんなに甘いもの食って大丈夫かよ」

「別に、夜ご飯なんだし問題ないわよ」

上条「これが晩飯って…」

「アタシは甘いものさえ食べれれば生きていけるのよ」

上条「どういう理屈だよそれ…」



そうこうしているうちに彼女は夜ご飯を食べ終えたようだ



上条「で、お前は一体誰なんだ?」



「あぁ、そう言えばまだ言ってなかったっけ」


「アタシは毒ヶ峰リルカ。完現術者よ」


上条「………」

リルカ「で、アンタは?」

上条「え?あ、あぁオレは上条当麻だ」

リルカ「そう…で、なんでそんなに驚いてんのよ。なんか腹立つわね」

上条「いや、だって完現術者って珍しいんだろ?まさか会えるとは思わなくて」

リルカ「まぁ珍しい能力ではあるけど、そこまで驚くもんじゃないでしょ」

上条「そうか?でもオレ、能力目覚めたの昨日だからさ、やっぱ驚くよ」

リルカ「はぁ!?だってアンタ、さっきおもいっきり能力使ってたじゃない!」

上条「え、マジでか?」

リルカ「無意識でやるとか……アンタバカね!」

上条「出会って数時間でバカと言われた!?」



リルカは食後の紅茶を飲む

少し温くなっていたがこれくらいがちょうどいい



リルカ「はぁーまったく、こんなとこに完現術者がいたと思ったら能力の使い方も知らないバカだったなんて…時間損したわ」

上条「酷い言い草だなコノヤロウ…」


これ以上バカにされたくないので話を変える



上条「そういえば、完現術者ってまだ何人かいるのか?」

リルカ「少し前まで完現術者で少数の組織作ってたけど今はもうなくなったわ。そんで、アタシはこうしてここに観光に来たってわけ」

上条「へぇーそうなのか。でもなんで解散しちまったんだ?」

リルカ「あんたに話す義理はないわ」


リルカはなにくわぬ顔で再び紅茶を啜った


上条「……?」


よく分からなかったが、無理に聞き出す程の仲ではない。

それになんだか触れてはいけないような、そんな感じがした



上条「…まぁいっか。ところでさ、完現術者って事はリルカも完現術使えるんだよな」


リルカ「んなもん当たり前じゃない、バカじゃない?」

上条「一応確認だよ。でさ、オレにも完現術教えてくれないか?」

リルカ「イヤよ、メンドクサイ」

上条「頼む!なんとか!!この通り!!!」バッ!!


女の子に頭を下げる男。周りからみると大層無様である


が、そんな事は上条にはどうでもよかった

不幸な自分に珍しくラッキーな出来事が起きたのだ

おそらく、これを逃せば二度と機会は来ないであろう予感がしていた




リルカ「……何度も言わせないでくれる?イヤよ、メンドくさい」




上条「……そっか」

リルカ「そうよ。……それに」







リルカ「アンタは、完現術を身につけないほうがいいわ」








上条「はぁ?…どうしてだよ?」

リルカ「アタシの直感。何となくアンタは完現術を身につけないほうがいい、そんな気がするのよ」

上条「なんだそりゃ…」

リルカ「それにアンタはその右手があれば充分じゃない。それで我慢しなさいよ」


確かに、右手は今まで幾度も彼を救い、上条に力を与えてくれた。

だが、右手の事が広まるにつれ相手も戦法を変え始めている。

今や能力だけでゴリ押ししてくる奴もほとんどいなくなり、銃口を向けられることも増えてきた

そもそも、右手で打ち消すことすら出来ないこともある

今は《受け流す》ことで何とか対処しているが、それも看破されるのに時間はかからないだろう

だからこそ、上条には力が必要であった



上条「……でも、それじゃ変わらないんだよ。何も」

リルカ「アンタの都合なんて知らないわ。とにかく、アタシは教えないから」


やはりリルカには教える気はないらしい

その目は既に上条に向けられていなかった

リルカは残り少なくなった紅茶を飲み干すと立ち上がる


リルカ「とりあえずこの話は終わり。アタシはもう行くわ。それじゃ」

上条「あ、おい!…行っちまった……」


そういってリルカは足早に出て行った




辺りはもう暗くなっている


そこには、上条と、すっかり冷えてしまった紅茶があるだけだった





――――

一人取り残された上条はまだ店にいた


流石に何も頼まずに長居するのは申し訳なく、つい先程頼んだコーヒーを飲みながら1日を振り返っていた


上条(なんか……長い1日だったなぁ)


普段の生活でも十分濃い1日を送っている彼だが、今日はその中でも特に濃密な1日であった


レベルは不明になり、
インデックスに聞いたらそれは完現術だと分かり、
その力を無意識に使い、
偶然、同じ完現術の少女に会い、
修行を頼んだら断られ、

そして今に至る


上条「結局、教えてくれなかったか…」


頑なに完現術を教えてはくれなかったリルカの事を思い出しながらコーヒーを啜る

少し背伸びをして頼んだブラックコーヒーは、口の中に苦味をダイレクトに伝えてきた

砂糖を入れる気にはなれず、顔をしかめながらその液体を少しずつ減していく



上条「オレは身につけないほうがいいって言ってたけど…どういうことだ?」


店内にはパラパラと客がいた。落ち着いた雰囲気の店内は落ち着きを与えてくれ、ついつい長居したくなってしまう


上条「でも、そういう訳にもいかねぇよな」


コーヒーを飲み干し、決意を新たに上条はテーブルを離れた




完現術者から教えてもらえたら最高だったが

そうじゃなくてもどうにでもなるだろう


上条「やってやるさ」









そうして上条は名残惜しくも 店 から出て行った










上条「……あれ?そう言えばあいつ、右手のこと知ってたんだ?………まぁいっか」




上条「あれ、そう言えば、何であいつ右手のこと知ってたんだ?……」

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