櫻子「たんじょばない!」(81)

櫻子「にっちよっうおっでかっけたっのしっいな~♪」ルンルーン

向日葵「ちょっと櫻子。中学生にもなってスキップなんてやめなさいな、みっともない……」

櫻子「向日葵と一緒じゃなけりゃもっと楽しい!」

向日葵「置き去りにしますわよ」

櫻子「そしたら私が迷子になっちゃうだろ!!」キィッ

向日葵「逆ギレ!? 少しは自分で道を覚える努力をしたらどうなんですの!?」

櫻子「そうしなくて済むために向日葵がいるんじゃん」

向日葵「無限ループって怖くありません……? あ、見えてきましたわよ櫻子。あれが吉川さんのお宅ですわ」

櫻子「おー! 普通だ!」

向日葵「どんな家を期待してたのよ……」

櫻子「赤と白のしましま」

向日葵「近隣住民との諍いが絶えませんわね!?」

ピーンポーン♪

インターホン『』ガチャッ

インターホン『はい、どちら様ですかー』

向日葵「古谷と申します。ちなつさんはご在宅でしょうか?」

インターホン『あ、向日葵ちゃん! 今開けるから待ってて!』

インターホン『』ガチャッ

櫻子「ちなつちゃんだったのか」

向日葵「電話越しとかの声って雰囲気違って聴こえますわよね」

櫻子「向日葵の声ならお利口ぶっててキモいからすぐ分かるのになー」

向日葵「そういう櫻子の声こそいつ聞いてもバカみたいですぐ分かりますわ」

...タッタッタッ ガラッ パーン!

ひまさく「「!?」」ビクッ



ちなあか「「向日葵ちゃん、誕生日おめでとーっ!」」


 

向日葵「え、あっ……誕、生日?」ポカーン

ちなつ「あれ? もしかして自分の誕生日忘れてた?」

向日葵「いえ、それは覚えてますけど……吉川さん達に教えましたっけ? と」

あかり「櫻子ちゃんから聞いたんだよぉ」

向日葵「櫻子から?」チラッ

櫻子「私から?」ヘケッ

向日葵「本人が首かしげてますけど!?」

ちなつ「さすが櫻子ちゃん、期待通り向日葵ちゃんにバラすことなく忘れてくれてたみたいね!」グッ

櫻子「うむ、よく分からないけど流石私! 見事ちなつちゃんの期待に応えたぞ、褒めていいよ向日葵!」グッ

向日葵「櫻子ェ……」

あかり「ちなつちゃんも何気にひどいよぉ……」

~リビング~

櫻子「うおー! すっごい飾り付けされてる!」

向日葵「素敵ですわ……これ、全部お二人で?」

ちなつ「んーん、飾り付けはあかりちゃんがやってくれたの」

向日葵「赤座さんが?」

あかり「うんっ。頑張っちゃったよぉ」

櫻子「あかりちゃんすげー!」

ちなつ「私も手伝うって言ったんだけどね」

あかり「ち、ちなつちゃんはほら、会場貸してくれたから」ビクッ

ちなつ「でもお料理ぐらい手伝わせてくれても良かったのに」

あかり「き、キッチン貸してくれたから!」ビクビクッ

向日葵「(赤座さん、少しやつれて……?)」

ちなつ「というわけで、これがあかりちゃんお手製のケーキでーす!」ジャジャーン

櫻子「すげー! これ本当にあかりちゃんが作ったの!?」

あかり「く、クリーム塗ってイチゴ乗っけただけだけどね」テレテレ

向日葵「それでもすごく丁寧で可愛らしくて、なんてお礼を言ったらいいか……」

あかり「ううん、あかりも楽しかったし気にしないで? 誕生日おめでとう、向日葵ちゃんっ」ニコッ

向日葵「……はいっ」ニコッ

櫻子「そんなことより早く食べよう! 食べ食べよう!」

向日葵「櫻子……あなたって本当に……」

櫻子「ちなつちゃん! その『向日葵ちゃん お誕生日おめでとう』って書いてあるチョコプレートが乗ってるとこちょーだい!」

ちなつ「ここを!? 櫻子ちゃんに!?」ギョッ

櫻子「そう! 向日葵に気付かれない内に!」

向日葵「本当に最低のクズですわね!!!」

ワイワイ モグモグ ワイワイ モグモグ

櫻子「ケーキもぐし! クッキーもぐし! お団子もぐし!」

あかり「櫻子ちゃんそれあかりの髪!」ギャー

向日葵「……それにしても、パーティーのお誘いとわかっていればもっとちゃんとした格好で来ましたのに……」ソワソワ

ちなつ「えー? 先に言ったらサプライズにならないじゃない」

向日葵「けど……」

ちなつ「大体、今日の格好も充分大人っぽいよ?」

向日葵「そ、そうですか?」

ちなつ「うんうん。ねーあかりちゃん?」

あかり「うんっ。流石はお姉さんだよぉ」

櫻子「!」ピクッ

向日葵「お姉さん?」

ちなつ「そっか、向日葵ちゃんって私達の中じゃ一番誕生日早いんだ」

櫻子「!?」ガタッ

向日葵「ああ、そういう意味ですのね」

あかり「ちなみに次はあかりの7月だよぉ」エヘヘ

ちなつ「あかりちゃんが二番目なんて生意気」

あかり「ひどいっ」ガーン

向日葵「吉川さんは何月ですの?」

ちなつ「11月ー」

向日葵「あら、櫻子が9月ですから吉川さんが最後になりますわね」

ちなつ「私が末っ子かぁ」

あかり「えへへ、あかりお姉さんですよ~」ナデナ...

ちなつ「」ベシッ

あかり「ひどいっ!」ガガーン

櫻子「……」

……

…………

………………

~夜・大室家~

ガチャッ

向日葵「お邪魔しますー」

トテトテトテ

楓「おねえちゃーん」ダキッ

向日葵「楓。お手伝いは終わりましたの?」

楓「うんっ! がんばったから早く見てほしいの」

向日葵「まあ……偉いですわね楓」ナデナデ

楓「えへへ~」

~リビング~

楓「おねえちゃんきたのー」

向日葵「キマシタワー」

撫子「お、ひま子いらっしゃい」

花子「いらっしゃいだし」

櫻子「……」

向日葵「こんばんは撫子さん、花子ちゃん。あと櫻子。本日はお招きいただいて――」

撫子「あーいいっていいって。今更そんな堅苦しい挨拶とかいらないでしょ」

花子「そうだし。ひま姉にそこまでされたら花子達の立つ瀬がないし! 櫻子的な意味で」

撫子「そうそう、櫻子的な意味で」

向日葵「そうでしょうか……そうですわね。櫻子的な意味で」クスッ

櫻子「……」

撫子「とにかく今日は楽しんでいってよ。買ってきたもの並べただけで悪いけどさ」

向日葵「いえそんな、こうしてお祝いしてもらえるだけでとっても嬉しいですわ」

撫子「相変わらずいい子だねぇひま子は……」

花子「楓も頑張って飾り付け手伝ってくれたからいい子だし!」

撫子「ん、そだね。古谷家は手のかからない子ばっかりで羨ましいよ」ナデシナデシ

楓「えへへへ~」

向日葵「それで撫子さん」

撫子「なに?」

向日葵「えっと……」チラッ

櫻子「……」

向日葵「……あの大室家の手のかかる子は何をしてますの? ていうか何かしましたの?」

撫子「してない」

向日葵「え?」

撫子「何もしてない。会場メチャクチャにされても料理つまみ食いされても困るから何もさせてない」

向日葵「櫻子ェ……」

花子「けどひま姉の誕生日に何もしないのもダメだから、開会の挨拶だけ任せてるし」

向日葵「おお、もう……」

撫子「何にせよそろそろ始めたいね。楓、櫻子にマイク持って行ってくれる?」

楓「わかったのっ」ピョコン

トテテー

楓「櫻子お姉ちゃんっ」

櫻子「ん」

楓「はいマイク、お仕事の時間なの」スッ

櫻子「んー」パシッ

花子「なんだかいつになく大人しくて不気味だし」

撫子「昼間なにか変なものでも食べた?」

向日葵「いいえ、特に心当たりは……」

櫻子「――」スッ

撫子「お、始まるみたいだよ」

櫻子「テステス。ただいまマイクのテスト中」

向日葵「おもちゃのマイクですけどね」

櫻子「えー、本日はお日柄もよく……」

花子「夜だし」

櫻子「っあーもーうるさいそこ! 私が喋ってるだろ今!」

楓「いつもの櫻子お姉ちゃんなの!」

向日葵「いいから早く進めなさいな。料理が冷めますわよ?」

櫻子「ぐぬっ……うー……向日葵!」ビシッ

向日葵「なんですの?」

櫻子「いいか、これから私が言うことをよーく聞いとけよ!」

向日葵「だからなんですのってば」

櫻子「えー、今日は! 皆さんご存知向日葵の誕生日!」

櫻子「……では!!」

櫻子「ありませーーーん!!!」









 

あれ、改行ミスってた

 









櫻子「ありませーーーん!!!」









 

ませーーん マセーン マセーン...

向日葵「……」

撫子「……」

花子「……」

楓「……」

櫻子「」キリッ



撫子「ひま子、誕生日おめでとう」

花子「おめでとうだし」

楓「おめでとうなの」

向日葵「皆さんありがとうございますわ」



櫻子「うおーい!?」

撫子「さ、料理食べよっか」

向日葵「そうですわね」

櫻子「ねーちゃんも向日葵も聞いてんの!?」

花子「楓、好きなもの取ってあげるし」

楓「おにく食べたい~」

櫻子「花子も楓も無視すんなー! 今日は向日葵の誕生日でもないんだからパーティもなし! ノーカンなのノーカン!」

向日葵「! このからあげ冷めててもおいしい……! どちらで買われたんですの?」ギラリ

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

撫子「えっと、最近新しく出来たお弁当屋さん……ひま子目が怖い」タジッ

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

楓「あ。花子お姉ちゃん、お口のまわりが汚れてるの。ふいてあげるからじっとしてて?」ゴシゴシ

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

花子「えっ!? ちょ、や、やめ、恥ずか、わぷっ」カァァァ

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

撫子「この後ケーキもあるからね。今年は期待していいよ」

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

向日葵「そ、そうなんですの……?」ゴクリ

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

花子「駅前にある流行りのお店から買ってきたし!」

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」( ゚∀゚)o彡

楓「楓もいっしょに選んだのっ」

櫻子「ノーカン! ノーカン! ノ、げほっ! げほっ!」

櫻子「はー、喉痛くなっちゃった。ジュース飲も」グビグビ

櫻子「っぷは! 沁みるー♪」

櫻子「さて、気を取り直して……」コホン

櫻子「はいっ、ノーカ」


撫子「くどい」バキッ


櫻子「ンゴォ!?」グハッ

~で~

櫻子「……」セイザァ

撫子「さて、じゃあキリキリ吐いてもらおうか?」ジロッ

櫻子「……実はー向日葵がー」

向日葵「私が?」

櫻子「おっぱいをードッキングしていたのでー」

楓「どっき……?」キョトン

花子「……もしかしてドーピングのことかし」

櫻子「そうそれ!……ので! 今年の向日葵の誕生日は中止でーす!」



撫子「ひま子」

向日葵「えーい」ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ

櫻子「ひァだだだだだだだだだだだだだだだ!!? すんません言います! 本当のこと言いますからガガガガガガガガガガ!!?」

撫子「ほら、はよ」

櫻子「……って……ちゃうから……」ボソボソ

向日葵「え? なんですって?」

櫻子「ッ!」



櫻子「――だって! 向日葵が13歳になっちゃうから!!」キィッ



向日葵「………………はぁ?」

櫻子「はぁじゃないよ! なっちゃうでしょ13歳!」

向日葵「はぁ、そうですわね。なっちゃいますわね。誕生日ですものね」

櫻子「誕生日だもんね! だから中止!」

向日葵「………………………………………………はぁ???」

櫻子「私を差し置いて13歳になるとかずるい! しかも誕生日だからって料理サボるし!」

櫻子「よく考えたら向日葵の誕生日なんて私になんのメリットもないじゃん!!」

櫻子「だから中止! 向日葵の誕生日しゅーりょーーーーー!!!」

りょー リョー リョー...

撫子「……」

花子「……」

楓「……」

櫻子「」フンスッ



「「「(めんどくさい……!)」」」



撫子「(今日はまた一段とこじらせてるな櫻子のやつ……)」

花子「(バカもここまで来ると清々しいし……)」

楓「(かわいそう以外にかける言葉が見つからないの……)」

撫子「(……まあでも。こういう場合は――)」


向日葵「……」


撫子「(――専門家に任せとけば間違いないか)」

向日葵「……櫻子」

櫻子「なんだよ! 言っとくけどちょっと年上になったからって偉そうになんてすんなよな!」

向日葵「偉そうにされるのが嫌なんですの?」

櫻子「当たり前じゃん! ただでさえいっつもいっつも私のこと子供扱いするのに本当に歳が離れたら――」


向日葵「だったら、追いついてみなさいな」


櫻子「――、へ?」

向日葵「悔しかったら追いつけばいい、と言いましたわ」

櫻子「……なにそれ? どういう?」

向日葵「あなたは確かにおバカなお子様……けど、れっきとした私のライバルですわ」

向日葵「私のライバルなら、一歳差のハンデぐらいものともしないはず」

向日葵「12歳のあなたでも、13歳の私に負けないぐらい頑張って、すぐに私に追いつけるはずですわ」ニコッ

櫻子「ひ、向日葵……」ジーン



撫子「(……?????????????????????????????)」

撫子「(え? なに? 全然分からない)」

撫子「(今のどこに「ひ、向日葵……」ってなる要素があったの?)」

撫子「(分からない分からない。まるで分からない)」

撫子「(……けど……)」

向日葵「もっとも、こんなことでヘソを曲げるようならやっぱり私の勝ちかしらね?」クスッ

櫻子「む、な、ちげーし! 別にヘソ曲げてなんかねーし! だから負けねーし!」キィッ

撫子「……ま、いっか」

~で~

櫻子「ピザもぐし! チキンもぐし! 牛乳ぐびし!」

花子「櫻子それ花子の牛乳だし!」ギャー

撫子「はい注目。そろそろプレゼントの時間だよ」パンパン

楓「はぁい」

花子「はいだし。ほら櫻子も用意しろし」

櫻子「……」

花子「櫻子?」

櫻子「………………」

花子「………………まさかだし?」

櫻子「……ぷれ……ぜんと……?」

花子「お姉ちゃーん!! 櫻子がプレゼント用意するの忘れてるしぃー!!!」

撫子「は!?」

櫻子「バッ、花子声大きい! 向日葵に聞こえちゃうだろ!」シーッ

向日葵「いや聞こえてますけどね? 目の前にいますしね?」

櫻子「ぬ、盗み聞き反対!」

撫子「いやそれよりも……マジなの櫻子? マジで誕生日プレゼント用意してないの?」

櫻子「ぷ、プッキーでも買ってくればいいかーと思って、それで」

楓「それすら忘れたの?」

櫻子「ウィッス」

楓「こわぁ……」ヒキッ

櫻子「恐れられた!!?」

楓「こっわぁ……」コソコソッ

花子「櫻子、楓を怖がらせんなし!」ギュー

櫻子「好きで怖がらせてねーし!」

撫子「それよりどうすんの櫻子。流石にプレゼントナシはありえないでしょ」

向日葵「あの、私は気にしませんけど……櫻子ですし」

櫻子「どういう意味だ」

向日葵「言葉通りの意味ですわよ」

撫子「ひま子が気にしなくてもこっちがするの。日頃あれだけお世話になってるんだから」

向日葵「そ、そうでしょうか」

櫻子「むー……あ、わかった! じゃあ今からプレゼント用意すればいいでしょ!」

向日葵「今から?」

撫子「出来るの?」

櫻子「よゆーよゆー! さあ花子、飾り付けで余ったチラシをよこせ!」

花子「ほらよし」ポイッ

櫻子「楓! クレヨンをくれよん!」

楓「さむぅ……」スッ

櫻子「よし! これでこれにこうして……」カキカキ

撫子「(チラシの裏にクレヨンで何か書いてる……)」ゴクリ

向日葵「(これはまさか……中学生にもなって……まさか……?)」ゴクリ

櫻子「出来た! はい向日葵、誕生日おめでとう!」スッ

向日葵「あ、ありがとう……」ピラッ



[ちちたたき券]



向日葵「ドラァ!!」バキィッ

櫻子「はぴばっ!」グハッ

撫子「……」ボーゼン

花子「……」アングリ

楓「……」ポカーン

櫻子「いったいなー! 誰が私を叩いていいっつった!? 叩くのはこの櫻子様だッ! 依然変わりなくッ!」

向日葵「叩いていいのは叩かれる覚悟のあるやつだけですわよこのおバカ!」

ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャー

楓「あああ、お姉ちゃんたちが……」オロオロ

花子「なにも誕生日までケンカすることないし……」

撫子「花子の言うとおりだね。……しかたない」スッ

花子「お姉ちゃん?」

撫子「ちょっと待ってて。すぐ戻ってくるから」トテトテ

花子「?」

ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャー

トテトテ

撫子「櫻子」ヒョイッ

櫻子「んぁ? っわ」キャッチ「なにこれ?」

撫子「プレゼント」

櫻子「マジで!? やったーねーちゃんありがとー! 中身なにかな~?」ゴソゴソ

撫子「アホか」ゴチーン

櫻子「ぐえー!?」

撫子「アホかぁ……」

櫻子「二度も言うな! しかも二度目はしみじみと!」

撫子「この流れでどうして自分にプレゼントがもらえると思うのか、そう考えるとしみじみもするよ……」ハァァァ

向日葵「撫子さん、やっぱり苦労されてますわね……」ホロリ

花子「」ホロリ

楓「」ホロリ

櫻子「え、じゃあこれ、向日葵へのプレゼント?」

撫子「そういうこと」

櫻子「でも、そしたら結局ねーちゃんから向日葵に渡すのと変わらないんじゃないの?」

撫子「違うよ。全然違うよ」

向日葵「どうしてですの?」

撫子「それ、櫻子が買ったやつだから」

「「はぁ?」」

向日葵「これを? 櫻子が? いつ?」

櫻子「知らない。まったく覚えてない。いつ?」

撫子「今年の正月」

「「は!?」」

撫子「金欠でバタバタする前に買っておけって言って買わせて、今日まで私が預かっておいたの」

向日葵「用意周到すぎでは!?」

花子「撫子お姉ちゃんすごいし!」キラキラ

楓「できる女はちがうの!」キラキラ

撫子「ちなみに中身選びにも付き合ったから、開けてガッカリとかは心配しなくていいよ、多分」

向日葵「何から何まですみません……」

撫子「というわけで櫻子。ひま子にプレゼントしてあげな」

櫻子「う、うん」

スッ

櫻子「向日葵、これ……誕生日、おめでと」

向日葵「あ、はい……ありがとうございますわ」

撫子「」ウム

向日葵「開けてみても?」

櫻子「いいよ。つか私も中身知りたい」

向日葵「じゃあ……」ゴソゴソ...パカッ「!」



向日葵「ネックレス……」


 

櫻子「おお、綺麗」ホホー

花子「櫻子にしてはまあまあのセンスだし」

楓「向日葵お姉ちゃんに似合いそうなのっ」

撫子「……ひま子?」



向日葵「……っ」ポロポロポロ



櫻子「ぅええ!? なに泣いてんの向日葵!?」ギョッ

向日葵「、え? あれ、うそ、私、なんで涙なんて」ポロポロ

櫻子「質問してんのは私だっつーの! せっかくプレゼントあげたのに! もっと喜べよ!」

向日葵「よ、喜んでますわよ。けど、どんな形であれ、こんな素敵なものを櫻子からもらえるなんて、思ってなかった、から……っ」グスッ

櫻子「な、なんだよもー……向日葵の泣き虫。お姉さんのくせに」ナデナデ

向日葵「……ありがとう、櫻子」

櫻子「ん……」ナデナデ

撫子「櫻子、そのネックレスひま子につけてあげたら?」

櫻子「ヴぇ!? ななななんで私が!?」

撫子「そのくらいしてもバチは当たらないって。そもそもプレゼント忘れてたんだし」

花子「お姉ちゃんのファインプレーが留まるところを知らないし!」

楓「今日のMVPは決まったも同然なの!」

櫻子「ぐ、ぐぬぬ……あ、でも向日葵は? 向日葵は私につけられても嬉しくないよね!?」

向日葵「え? えと、その……せっかくのプレゼントですから、つけてもらえたら、うれしい……かも」モジモジ

櫻子「」

撫子「決まりだね。じゃあ私達は一旦外に出ようか」

花子「なんでだし?」

撫子「ネックレスをつけるってすごく危険な行為なんだ。どんな事故が起きるか分からないんだよ」

花子「マジかし! 楓、さっさと避難するし!」

楓「うん。花子お姉ちゃんは可愛いよ」

花子「照れるし///」

撫子「(この子今日頭悪いな……)」

撫子「じゃ、つけたら見せてね」

バタン

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「あ、あの!」

向日葵「は、はいっ」

櫻子「……し、仕方ないから、つけてあげる」

向日葵「はい……お願いします」

櫻子「ぅ……恥ずいから目、閉じてて……」スッ

向日葵「わかり、ました……」ソッ

櫻子「……」

向日葵「……」

「「――」」

~廊下~

花子「爆発するのかし? 爆発するのかし?」ソワソワ

楓「花子お姉ちゃん、体を乗り出したら危ないの」

撫子「ふー……」

撫子「(ガラにもなく世話ばっか焼いちゃったな、今日は)」

撫子「(けどまあ、これをきっかけに少しでも昔みたいな関係に戻ってくれたら)」

撫子「(……うん。そうなれたら、きっといいことだよね)」





ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

向日葵「いやああああああああああ櫻子ー!!?」





撫子「!?」

ガチャッ

撫子「ひま子!? なに今の音、一体どうし」














                 _

               ´     `  .、
           /  ,ィ    ,、ヘ    ` 、
            ィ´./ l イ / ヘ.}. _ l    ヘ
         ,/ ,イ '`'ヽ辷' '''''斗イ´_L、l== ハ
        ,イ r.'、 ̄ ̄¨`ニ三ニ、¨ ̄  ,ィ.、l==ヘlヘ  ←櫻子 ブラジル→ 
        .ム ,゙‐个― ´三三 ` ‐ 个‐' l  ヘ ヽ     床 
      ,ィ ,ィ.j    ,、 ,.、 , 、, 、,. 、    ノ /  i j  ,   ↓
      〉 .} i.   / `´ ´    .ヘ  ヽ./ .、ノ `彳
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



撫子「本当に何が!!?」

花子「うわっ櫻子が垂直に埋まってるし!」

楓「櫻子お姉ちゃんはどうしてこうなっちゃったの?」

撫子「ひま子……?」ジトッ

向日葵「仕方なかったんです! だって櫻子が、目をつぶれば櫻子がネックレスですごく近くって! だから私……私……っ!」ワッ

撫子「駄目だこりゃ」








花子「おーい、生きてるしー?」ツンツン

楓「床の修繕費はどっち持ちなの?」ツンツン
                 _

               ´     `  .、
           /  ,ィ    ,、ヘ    ` 、
            ィ´./ l イ / ヘ.}. _ l    ヘ
         ,/ ,イ '`'ヽ辷' '''''斗イ´_L、l== ハ
        ,イ r.'、 ̄ ̄¨`ニ三ニ、¨ ̄  ,ィ.、l==ヘlヘ    チュウシダ...タンジョウビナンテ、ヤッパリチュウシ...ガフッ
        .ム ,゙‐个― ´三三 ` ‐ 个‐' l  ヘ ヽ
      ,ィ ,ィ.j    ,、 ,.、 , 、, 、,. 、    ノ /  i j  ,
      〉 .} i.   / `´ ´    .ヘ  ヽ./ .、ノ `彳
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

             _  _                                  _

.          . . : ´: ;.r=====x`: : .、                             ´     `  .、
.        /: : : :ィ'"´ ̄ ̄ ̄``: : :`:‐.、                      /  ,ィ    ,、ヘ    ` 、      
       .イ: : : : : : : : :,、:ヽ: : : : : : : : :、: : : :ヽ                     ィ´./ l イ / ヘ.}. _ l    ヘ
      /:/: : : : : : :,ィ/ ヽ:ヽ: : :.l: j\:ヘ: : : ヘヽ                ,/ ,イ '`'ヽ辷' '''''斗イ´_L、l== ハ  
     /:./: : : : : ://.`¨二二´: : :.l/¨二\: : : ハ                ,イ r.'、 ̄ ̄¨`ニ三ニ、¨ ̄  ,ィ.、l==ヘlヘ
    ,': :l: : : : : : レ ''''TllllllT リ、:l'  'Tllllt i: : N ┼ヽ  -|r‐、. レ |   ム ,゙‐个― ´三三 ` ‐ 个‐' l  ヘ ヽ
    , :l:.l:l: : : : l:l  .弋llllリ   .'  弋llリ i: ハ d⌒) ./| _ノ  __ノ  ,ィ ,ィ.j    ,、 ,.、 , 、, 、,. 、    ノ /  i j  ,
    l:.l: l:l: : : : ll u  .`´       .¨  ヘ: :i              〉 .} i.   / `´ ´    .ヘ  ヽ./ .、ノ `彳
                                            
向日葵ちゃん誕生日おめでとうございました

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