スーパープリキュア大戦Z (216)

プリキュアオールスターズのSSです。
オリキャラ出ます。TV本編、オールスターズの設定は踏まえていません。
ご了承ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392469709

―――メイジャーランド

アフロディテ「……」

「どうかなさいましたか、アフロディテ様」

アフロディテ「なにやら不穏な空気を感じるのです……」

「不穏な空気?」

アフロディテ「ええ。なにか良からぬことが起きそうな……」

「気のせいですよ、大音楽会で周りの空気が緊張しているだけです。リラックスしてください」

アフロディテ「……そうですね」

アフロディテ(気のせいならいいのだけれど……)

「もうすぐ出番です。ご準備を」

アフロディテ「ええ」



「我がメイジャーランドの女王、アフロディテ様のご登場!」

パチパチパチパチ!!

アフロディテ「皆様、本日はメイジャーランド大音楽会へようこそ。次は恒例の曲・幸せのメロディーをお聞きください」
 
アフロディテ「この楽譜は遠い昔からメイジャーランドに伝わる伝説の楽譜です。これに書かれている幸せのメロディーの力によって、世界の平和と人々の幸せは守られているのです」
 
アフロディテ「では今年から新たに、この幸せのメロディーを歌う歌姫を紹介しましょう。歌の妖精ハミィ!」

ハミィ「にゃぷ~」

アフロディテ「伝説の楽譜の音符は、今のように1年経つと楽譜から浮き上がってきて、いつかは飛び去って行ってしまいます」

アフロディテ「1年に1度選ばれた歌の妖精が、楽譜通りに幸せのメロディーを歌うことで魔法の力が生まれ、音符はまた1年楽譜に染み込んで、世界を平和にするパワーを放つのです」

アフロディテ「今日はそのための大事な儀式なのよ、頑張ってねハミィ」

ハミィ「分かりましたニャ、アフロディテ様。ハミィがんばるニャ!」

ドガアアアアン!!

ハミィ「ニャッ!?」

メフィスト「ハーッハッハッハッハァ!幸せのメロディーなど歌わせはしないぞ!」

アフロディテ「なっ……メフィスト!?」

メフィスト「伝説の楽譜は、我がマイナーランドがいただく! 楽譜を不幸のメロディーに書き替えこの世界すべてを不幸のドン底に陥れてやる!!」

アフロディテ「何をするのかと思えば……楽譜を書き換えたところでそれを歌う歌姫がいなければ意味がないわ。そしてハミィは、そんな歌を歌いません」

アフロディ「誰か! 兵の者はメフィストから楽譜を取り返すのです!」

メフィスト「それはどうかな? 来いッ! 我が歌姫セイレーン!!」

アフロディテ「セイレーンですって!?」

セイレーン「はい、メフィスト様」

ハミィ「ニャニャッ! セイレーンだニャ! 久しぶりだニャ~、今までどこで何してたニャ?」

セイレーン「フンっ、相変わらずねハミィ。これから何が始まるか分かってるの?」

ハミィ「ニャ?」

セイレーン「わたしは今から不幸のメロディーを歌うのよ。そして世界に不幸をばら撒き世界を闇へと陥れる」

ハミィ「そんなことよりセイレーン、久しぶりに会ったんだしこの後一緒にご飯でも食べるニャ」

セイレーン「あんた人の話聞いてたの!? ……まぁいいわ、もうすぐご飯がどうとか言えない状況になるんだから」

メフィスト「歌えセイレーンよ!! 楽譜はすべて書き換えた!!」

セイレーン「はっ!」

アフロディテ「くっ……!」

ドガアアアアアアッ!!

アフロディテ「今度は何事!?」

メフィスト「な、なんだ!?」

ハミィ「ニャニャッ!? 大きな地震だニャ!」

セイレーン「一体なにが起きたの! まだわたしは歌ってもないのに……」

ハミィ「セイレーン! 危ないから机の下に隠れるニャ!」

セイレーン「机なんてどこにあるのよ!」

ゴゴゴゴゴッ!!

アフロディテ「こ、この揺れは一体」

セイレーン「ああっ! 音符たちが!?」

アフロディテ「!!」

メフィスト「なにッ!? 今の衝撃で音符たちが飛び出してしまったのか……クソッ!」

メフィスト「セイレーン! 早く音符たちを捕らえろ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

セイレーン「で、ですが今立っているのも精一杯で……」

ハミィ「セイレーン! 危ないからハミィにつかまるニャ!」

セイレーン「っ……うるさい! わたしに触るな!」

アフロディテ(一体なにが起ころうとしているの……!)

メフィスト「うおおおおっ!? 揺れがますます強くなっていく!!」

―――数時間前、私立アリア学園中学校

スイーツ部員A「ねえ南野さん、プリキュアって知ってる?」

奏「プリキュア?」

スイーツ部員A「隣の四つ葉町に現れる、神出鬼没の悪を退治する正義の味方」

スイーツ部員B「あっ、私も知ってる。なんか最近四つ葉町では変な怪物が現れてるんだけど、プリキュアがその怪物を倒してくれてるんだよね」

奏「そういえばニュースで見たような気が」

スイーツ部員A「一体どんな女の子なのかしらね。私、一度でいいから直接見てみたいわ」

奏「プリキュアかぁ……って、はっ!!」

響「そぉ~……」

奏「こら響!! また勝手につまみ食いして!!」

響「へへーん、ごちそーさまー!」

奏「あっ、待ちなさい!!」

スイーツ部員A「二人とも相変わらずね」

スイーツ部員B「うんうん」

奏「もう響ったら……」

スイーツ部員A「ほんと、仲良いわね」

奏「どこが! 私と響は今ずっと喧嘩してる最中なの……」

スイーツ部員B「あれ、そうなの?」

奏「そうなの!」

奏(響ったら……いつもいつも……)

スイーツ部員B「あっ、そうだ。なら仲直りできる方法知ってるかも」

奏「え?」

スイーツ部員B「四つ葉町の外れにね、すごく当たるって噂の占い屋形があるの。もしよかったらそこに行って仲直りのアドバイス貰ってきたら?」

奏「占い……」

…………

和音「ひーびきっ」

響「和音」

和音「今日ひま?」

響「うん。部活の助っ人もないし暇だけど」

和音「よかった。この後一緒に四つ葉町に行かない?」

響「四つ葉町?」

和音「噂のプリキュア、見てみたいの」

響「プリキュア……?」

―――四つ葉町郊外

??「目標地点へ到着。キュアローズマリー、作戦開始まで待機する」

『りょーかい。あとはこっちに任せて』

ローズマリー「……」

??「いよいよ始まるのね……」

ローズマリー「キュアストック……」

ストック「この作戦で世界は大きく変わる。私たちが望む永遠の平和……それを手に入れるための第一歩」

ローズマリー「……」

ストック「……ねえ、作戦が終わってひと段落ついたら、一緒に美味しいケーキでも食べに行かない?」

ローズマリー「ケーキ?」

ストック「うん、ここ最近ずっと休みがなかったでしょ? たまにはいいかなって思って」

ストック「美味しいお店見つけたの、きっとローズマリーも気に入……」

ローズマリー「それは女王様から下された命令?」

ストック「ち、違うけど」

ローズマリー「ならわたしが行く理由はない。一人で行ってきて」

ストック「……」

ローズマリー「そろそろキュアルピナスが動き出す。作戦に集中して、ミスのないように」

ストック「え、ええ……」

―――四つ葉町

ラブ「うーん! やっぱりカオルちゃんの作るドーナツは最高だね!」

美希「食べすぎよ。それもう五個目じゃない」

ラブ「だって美味しくて止まらないんだもーん」

祈里「ふふっ」

ラブ「カオルちゃんおかわりー!」

美希「って、言ってるそばからまたおかわり……」

カオル「はいはーい、成長期なんだからジャンジャン食べてグングン大きくなるんだよ。グハっ」

奏「すみませーん、ドーナツ一つください」

カオル「はいよ。おっ、見かけない子だね」

奏「私、隣町の加音町から来て。噂に聞いたこの町のドーナツ屋さんのドーナツ、一度食べてみたかったんです」

カオル「それは光栄光栄。よしっ、じゃあせっかく隣町から来てくれたんだからサービスでドーナツ一個おまけにつけちゃおうかな」

奏「本当ですか? ありがとうございます!」

美希「加音町って、確かあの音楽の町よね」

奏「え?」

ラブ「こんにちは! あたし桃園ラブ、このお店の常連です!」

美希「なによその自己紹介」

祈里「こんにちは」

奏「こ、こんにちは」

ラブ「カオルちゃんのドーナツならこれがオススメだよ! あっ、でもこっちも美味しいんだよねぇ」

美希「あたしは蒼乃美希」

祈里「わたしは山吹祈里です」

奏「南野奏です」

美希「南野さんか……ねえ、南野さんって加音町から来たのよね」

奏「そうですけど」

美希「よかったらドーナツ一緒に食べるついでに加音町のこと聞かせてくれない? あたしあの町好きなんだけど、まだ数回しか行ったことなくて」

ラブ「こっち来て一緒に食べよ! あっ、ちなみにあたし達全員中学二年生だよ」

奏「あっ、じゃあ私と同じだ」

ラブ「ほんと!?」

祈里「南野さんは、この町にドーナツを食べに来たの?」

奏「ドーナツはついでなんだけど……実はこの町の郊外にある占い屋さん目当てで来たの」

美希「占い屋?」

ラブ「せつなの所だ!」

奏「知ってるの? ……って、当然よね、この町に住んでいるんだし」

ラブ「あたしの友達がやってるんだよ!」

奏「そうなの? じゃあよかったら、後で占い屋さんまで案内してもらってもいい? 私だけじゃ道に迷いそうだし」

ラブ「オッケー! 任せて!」

美希「それはそうと、加音町のことを聞きたいんだけど」

奏「あ、うん」



響「すみませーん!ドーナツくださーい!」

カオル「はいよー」

奏「!!」

響「いやー、おなかペコペコになっちゃって……って奏!?」

奏「響!! どうしてここに!?」

カオル「知り合いかな?」

響「あたしは、プリキュアを見にこの町まで……」

ラブ「!!」

響「でも一緒に来るはずの和音が急遽卓球部の助っ人に連れて行かれて、しょうがないから一人でこの町に来たんだけど……そういう奏こそどうしてここに!」

奏「私は占い屋さんに……」

響「……その人たちは?」

奏「え?」

響「……ふーん、あたしの知らない友達がこの町にいたんだ。まぁいいけど」

響「ドーナツ買ったらすぐに奏の前から消えますよーだ。邪魔ですもんね」

奏「なっ……なによその言い方!」

祈里「仲悪いのかしら」

美希「ていうか今プリキュアって……」

カオル「まぁまぁ、二人とも。友達なら喧嘩せず仲良くドーナツでも……」

響「奏なんか!」

奏「響なんか!」

響・奏「友達じゃない!!」

ドガアアアアアンッ!!

ラブ「!!」

響「な、なに」

奏「今の音……」

ナケワメーケ「ナーケワメーケ!!」

響「!?」

奏「か、怪物!!」

イース「行けっ、ナケワメーケ! この町を不幸のどん底へと叩き落すのだ!」

ラブ(あれは……イース!)

奏「本当にあんな怪物が現れるんだ……け、けどどうししたら」

響「プリキュア! プリキュアがやって来てくれるはずだよ!」

ナケワメーケ「ナーケワメーケー!!」

奏「プリキュアが来る前に私たち襲われちゃうわよ!」

ラブ「二人とも早く逃げて!」

奏「でも、桃園さんたちは……」

美希「私たちのことは心配しないで早く!」

祈里「カオルちゃん、南野さんたちをお願い!」

カオル「任せた!」

ウエスター「プリキュア!」

サウラー「今日こそ決着をつけさせてもらうよ」

美希「ウエスターにサウラーまで」

祈里「三人一斉に来るなんて……」

ラブ「みんな、行くよ!!」




??(よしよし、扇動通り三人とも来たわね)

ルピナス「こちらキュアルピナス、ラビリンスの三幹部はこっちに来たわ。作戦実行してちょうだい。あたしもすぐそっちに行くから」

ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」

ベリー「ブルーのハートは希望のしるし! つみたてフレッシュ、キュアベリー!」

パイン「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」

ピーチ「レッツ、プリキュア!」

ウエスター「今日の俺たちは一味違うぞ!」

サウラー「なぜなら、君たちの弱点の情報を事前に手に入れたからね」

ピーチ「弱点?」

ウエスター「ふふふ。このナケワメーケをよく見てみろ!」

ピーチ「えっ」

ナケワメーケ「ナーケワメーケ!」

ピーチ「!!」

ニンジンナケワメーケ「ニンジンくえー!」

ピーチ「に、ニンジンのナケワメーケ!?」

サウラー「そしてさらにもう二体!」

ベリー「タ、タコのナケワメーケですって!?」

パイン「フェレットのナケワメーケ……!?」

ウエスター「ふははは! どうだ、お前たちの苦手なものを用意してやったぞ!」

ピーチ「な、なんであたし達の苦手なもの知ってるの!?」

…………

響「……」

奏「……」

響「……あの子たち、大丈夫かな」

奏「え?」

響「ちゃんと逃げられたかな……」

奏「大丈夫よ……たぶん」

響「でも、あたし達のことを逃がすためにあの子達……」

響「……あたし、ちょっと行ってくる」

奏「行くって……どこに!?」

響「さっきのところ!」

奏「危ないわよ!!」

響「もしかしたらプリキュアだって来てるかもしれないし!」

奏「ちょっ、響!!」

カオル「二人とも! ……ありゃりゃ、行っちゃった。追いかけた方がいいかな、大人として」

―――占い館

ローズマリー「システム制圧完了、いつでも行ける」

ルピナス「おまたせ。どう?」

ストック「大丈夫よ。なにも問題ないわ」

ルピナス「これでラビリンスの中枢まで直接行けるのね。楽で助かるわ。あの三人騙すのも簡単だったし」

ローズマリー「ここからはそう簡単にはいかない。敵の本拠地へ攻めるのだから」

ルピナス「分かってるって。早く行きましょ」

ストック「……始まるのね」

ルピナス「怖気づいたんだったら帰れば?」

ストック「怖気づいてなんかない!」

ローズマリー「敵本拠地に到着したら作戦プランを予定通り進める。確認はできてる?」

ルピナス「おっけー」

ローズマリー「なら行こう。全ては女王様のために」

ストック「……」

――――ラビリンス

ドガアアアンッ!!

クライン「なんだ貴様たちは!!」

ローズマリー「キュアストック、敵の陽動を!」

ストック「分かったわ!」

ローズマリー「行くぞルピナス!」

クライン「待て!!」

ストック「ここは通さないわ!」

ドガアアアアンッ!!

ルピナス「この部屋ね!」

ローズマリー「ルピナス、ウイルスデータを」

ルピナス「分かってるって。にひひっ、王国特製のウイルスでここのシステム滅茶苦茶にしちゃうんだから」

ローズマリー「わたしはシステムの中枢部まで行ってくる。後のことはプラン通りだ」

ルピナス「はいはーい。いってらっしゃーい。気をつけてね」

ローズマリー「ああ。お前もミスがないように」

ルピナス「……ふふっ、分かってるって」

…………

ローズマリー「ここがシステム中枢部……」

メビウス「貴様たち! 一体何者だ!!」

ローズマリー「総統メビウス……お前の作ったシステムはわたし達に必要だが、お前の存在そのものは必要ない。ここで機能停止させてもらう」

ドガアアアアアアアンッ!!

ローズマリー「爆発!? これは一体……」

メビウス「ふふふ……残念だったわね」

ローズマリー「なにをした総統メビウス!」

メビウス「メビウス? メビウスなんてもういないわ。天才のキュアルピナスちゃんがシステムを書き換えたんだら」

ローズマリー「!!」

メビウス(ルピナス)「ふふっ」

ローズマリー「ルピナス、システムを掌握できたのか。けどこの爆発は……」

メビウス(ルピナス)「キュアローズマリー、悪いけどあんたにはここで消えてもらうから」

ローズマリー「!!」

メビウス(ルピナス)「小規模だけど、パラレルワールドを接続する次元力をその部屋で開放するわ」

メビウス(ルピナス)「どういうことか分かる? 簡単に言えば、あんた次元の空間に飲み込まれて消滅しちゃうのよ」

ローズマリー「なにを……キュアルピナス、錯乱でもしたか!」

メビウス(ルピナス)「錯乱? ハァ?」

メビウス(ルピナス)「あたしはアンタのことが昔から気に入らなかったのよ!! 女王様のお気に入りだからって調子に乗っちゃってさ!!」

ローズマリー「なにっ……!?」

メビウス(ルピナス)「あんたは不運な事故に巻き込まれて行方不明、ってことで女王様に伝えておいてあげる。ばいばい、キュアローズマリー。二度とそのむかつくツラを見れなくなると思うと、あたしは幸せよ」

ローズマリー「待て!! キュアルピナス!!」

ドガアアアアアアアッ!!

ローズマリー「!?」

メビウス(ルピナス)「うふふふ……」

――――四つ葉町

ピーチ「ど、どうしよう……」

ベリー「どうしようって……」

パイン「追い込まれちゃったね……」

イース「これまでだプリキュア! 覚悟!!」

響「まてー!!」

イース「!!」

響「そこまでよ悪党達!」

ピーチ(あの子は……!)

イース「貴様、何者!」

響「あたしは北条響! 私立アリア学園中等部の二年生よ!!」

イース「……なに?」

奏「響ー!!」

響「か、奏。なんで来てるの!?」

奏「なんでって、響が勝手なことするから心配して来たんじゃない!!」

響「え……心配?」

奏「それより早く逃げるわよ!」

響「待って、さっきの子たちは!」

奏「見渡してもどこにもいないわ、きっと逃げたのよ!」

響「そっか……よかった。あっ、そうだプリキュア!」

奏「え?」

ピーチ「あはは……」

パイン「ど、どうも」

奏「す、すごい。あれが本物のプリキュア?」

響「今プリキュアがピンチだったんだよ、助けなきゃ!」

奏「助けるってどうやって!?」

響「そりゃもちろん……応援! あたし達にできるのは応援しかないでしょ!」

奏「応援って……」

響「がんばれー! がんばれプリキュアー!」

ピーチ「あの子、あたし達のこと……」

イース「ええい騒がしい! ナキワメーケ、あいつらを潰してしまえ!」

ニンジンナキワメーケ「ナーキワメーケー!」

響「!!」

ピーチ「ベリー、パイン!」

ベリー「分かってる!」

パイン「うんっ!」

ピーチ「行くよ! はあああああ!!」

ドガアッ!!

イース「なにっ!?」

響「プリキュア!」

イース「バカな、苦手なものの前では動けなくなっていたのに!」

ピーチ「あたし達のことを助けてくれた子……その子は絶対に傷つけさせない!」

ベリー「苦手だからって、目の前で人が傷つくのを黙って見ていられないよ」

パイン「たとえ怖くても、わたし達は大切な人たちを守るためならその恐怖だって乗り越えてみせる!」

イース「くっ……!」

ピーチ「行くよみんな! 悪いの悪いの……」

ドガアアアアアアアッ!!

ピーチ「わわっ!?」

イース「なんだこの地響きは!?」

ウエスター「おのれプリキュア! 爆弾でも仕掛けたのか!?」

ピーチ「あたし達はなにも……」

ベリー「これは……地震?」

パイン「で、でもなんだか様子が変……周りの空気まで震えてる」

キュィィイイイイイン

響「な、なにこれ」

奏「この光は一体……」

ピーチ「みんな気をつけて!!」

響「プリキュア!」

ピーチ「響ちゃ……きゃあああああ!!」

ドガアアアアアアンッ!!

――――横浜

あゆみ「はぁ……」

あゆみ(今日も誰にも話しかけることができなかった……。転校してしばらく経つのに、一人も友達ができない)

あゆみ(もう……学校に行くのも嫌になっちゃう)

あゆみ「……あれ?」

あゆみ(なんだろう……なにか砂浜に打ち上げられてる)

あゆみ「……!?」

あゆみ(ひ、人!? 人が倒れてる!!)

??「……」

あゆみ(し、死んじゃってるの……? 警察呼ばなきゃ!! それとも救急車!?)

あゆみ(ああっ!! そういえば携帯の電池切れてるんだった!!)

??「うう……」

あゆみ「!?」

??「ぐ……っ……」

あゆみ(あれ……生きてる……?)

??「……」

あゆみ(ど、どうしよう……)

今日はここまでです。
スパロボやってたら影響されて勢いで書いてしまいました。
しばらくして書き溜めができたらまた投下します。失踪しないように気をつけます。

――――ラビリンス

ストック「う…そ…」

ルピナス「本当よ。ローズマリーは……爆発に巻き込まれて……」

ストック「嘘よ!! あの子が簡単に死ぬわけないじゃない!!」

ルピナス「あたしだって必死に探したよ!! それでも見つからなくて……」

ストック「っ……」

ストック「探してくる! きっと生きてるはずだから!!」

ルピナス「あっ、待ってストック!」

ルピナス「……」

ルピナス(バカな子。あいつが生きてるわけないじゃない)

ルピナス(次元の狭間に飲み込まれてこの世から消えちゃったんだからさ)

ザザ……ザザー……

ルピナス「!!」

ルピナス(通信……?)

??『……聞こ……る……?』

ルピナス「ちょっと待っててください。ちゃんと受信できるように今調整しますから」

ルピナス「はいできた」

ストレリチア『こちらキュアスレリチア。状況はどう?』

ルピナス「ばっちり……と言いたいところなんですが」

ストレリチア『どうかしたの?』

ルピナス「ローズマリーが……作戦中の事故で行方不明に……」

ストレリチア『なんですって!』

ルピナス「今ストックが探しに行ってます……だけどもうきっと……。あの爆発じゃ生きてない……」

ストレリチア『そんな……まさかあの子が……』

ルピナス「あたしがついていたのに……ごめんなさい。ぐずっ……あたしのせいで」

ストレリチア『……あなたのせいではないわルピナス。彼女だって覚悟はしていたはずよ』

ルピナス「……」

ストレリチア『大勢いたプリキュアも……今は私たち三人だけになってしまったみたいね』

ストレリチア『だけど、いなくなった彼女達のため……彼女達の意思を引き継ぐため、私たちにはやるべきことがある』

ストレリチア『泣いている暇はないわ。今だけは気持ちを強く持ちなさい』

ルピナス「はい……あたし、がんばります!」

ストレリチア『それでいいのよルピナス。それじゃあ始めてちょうだい、パラレルワールドの転移を』

ルピナス「りょーかいですっ」

ルピナス(ラビリンスの三幹部とフレッシュプリキュアはまだ戦闘の真っ最中かな。戦いの水差して悪いけど、まずは手始めにこの世界と……こっちの世界を転移させちゃおっと)

ルピナス(あたし達の国の科学力とラビリンスの科学力、二つあわせるとこんなことができるなんてね……ふふ。ほんとハートがドキドキしちゃう)

――――トランプ王国

ドガアアアアアンッ!!

マーモ「どうやらここまでのようね、王女様」

マリー「くっ……」

マーモ「さぁ、あなたもキングジコチュー様にその魂を捧げなさい」

ソード「待ちなさい!!」

マリー「キュアソード!」

マーモ「プリキュア……! ?」

ソード「大丈夫ですか、王女様」

マリー「ええ。来てくれたのですね」

マーモ「今さらなによ。あなた一人で何ができるっていうの! この王国は滅びる運命うなのよ!」

ソード「王国は何度でもよみがえる……あたし達が希望を捨てない限り!」

マリー「キュアソード……!」

ソード「王女様、行きます!」

シュンッ

マーモ「しまった!?」

ベール「どうした」

マーモ「遅いわよベール! 王女達が鏡の中に逃げちゃったじゃない!」

ベール「フンッ……逃がすものか」

――――鏡の中

ババババババッ!!

ソード「この攻撃は!?」

マリー「うぐっ……きゃあっ!」

ソード「王女様!!」

マリー「ッ……逃げなさいキュアソード! あなただけでも!!」

ソード「あきらめちゃダメです王女様!! 手を離さないで!!」

マリー「地球へ……」

ソード「王女様!!」

マリー「地球へ行くのですキュアソード。そこで、こころの大樹のプリキュア達と協力して……」

ソード「待って!! 王女様!!」

マリー「大丈夫、私も後から必ず追いかけます。ですからあなたは……!」

ソード「王女様!! 王女様!!」

ソード「王女様あああああああああああ!!」

――――――――――――
――――――――
――――

真琴「……ハッ!」

ダビィ「起きた?」

真琴「ダビィ……」

ダビィ「ずいぶんうなされていたみたいだけど、大丈夫?」

真琴「ええ……ちょっと悪い夢を見てて」

ダビィ「大丈夫? 疲れてるのなら……」

真琴「大丈夫よダビィ。仕事は休んだりしないわ」

ダビィ「……バッグの中に水が入ってるから、飲んでおきなさい。もうすぐクローバータワーに着くわ」

真琴「うん」

真琴(王女様……今一体どこで何を)

真琴(それにこころの大樹のプリキュア……一体どんなプリキュアなんだろう)

…………

バスガイド「まもなく、東京クローバータワーへ到着いたします」

マナ「もうすぐ着くんだって! 六花!」

六花「聞いたってば。マナったらはしゃぎすぎ」

マナ「だって楽しみなんだもーん! 早く頂上からの景色見てみたいなぁ」

六花「……」

マナ「六花?」

六花「なに?」

マナ「なんか朝から様子変だよ。体調でも悪い?」

六花「ううん、大丈夫よ。朝ちょっと変な夢見ちゃって、それが気になってて……」

マナ「夢?」

六花「確か……キュアムーンライトって女の人が出てきて」

マナ「!!」

マナ「その夢、あたしも見た!!」

六花「え!?」

マナ「キュアムーンライトって人が戦ってて、その人が負けちゃう夢」

六花「私も、同じ夢……」

マナ「すっごい偶然だね、同じ夢見ちゃうなんて!」

六花「けどなんで同じ夢を見たのかしら。夢は確か記憶の整理とかで、もし昨日私とマナが同じ行動をしていたら……」

マナ「そんな小難しいことはいいじゃん。同じ夢を見るってことは、仲が良いって証拠だよ」

六花「それはそれで悪い気はしなけど……。でもやっぱり疑問が残るわ」

六花「あの夢、一体なんだったのかしら」

マナ「そんなことより六花! 着いたよ!」

六花「え?」

マナ「クローバータワー!」

今日はここまでです。

ハピチャは出るの?

――――クローバータワー

つぼみ「おっ……大きい」

えりか「はぇ~、すっごいね。てっぺん見えないよ」

つぼみ「全高999メートル、世界で一番高い塔とされていそうです。四葉財閥がオーナーで……」

えりか「そんなパンフばっか見てないで、タワーの中さっさと入ろうよ」

つぼみ「あっ、待ってくださいえりか!」

えりか「けどさ、うちの学校も気前いいよね。できたばかりのタワーに社会科見学で連れてってくれるなんて」

つぼみ「なんでも生徒会長のご実家と四葉財閥は縁があるんだそうです。それで特別にうちの学校を招いてくれたとか」

えりか「へー」

ももか「あら、えりかじゃない」

えりか「!!」

つぼみ「ももかさん!?」

ももか「はぁい、こんにちはつぼみちゃん」

えりか「なっ、なんでももネェがここにいるの! 仕事サボって遊びに来たとか!?」

ももか「仕事しに来たに決まってるでしょ……。言わなかったっけ、今日クローバータワーで撮影あるって」

えりか「そうだったっけ。朝寝ぼけていたから聞いてなかったかも」

「キャー! カリスマモデルの来海ももかさんよ!」
「本当だ! かっこいい!」

つぼみ「相変わらずすごい人気ですね」

ももか「ま、さすがにこれだけ人が大勢いると道も歩けないぐらいで困るのよね。二人はこれからタワー上るの?」

つぼみ「はい」

えりか「けどエレベーターに行列ができてて待ち時間長そうなんだよね~」

ももか「よかったら、関係者専用のルート使う? そこからならすぐに上に行けるわよ」

つぼみ「えっ、いいんですか!?」

ももか「ここで会ったのも何かの縁ってね。遠慮しないで」

えりか「さすがももネェ、気が利く! 愛してる!」

ももか「はいはい。こっちよ、ついて来て」

えりか「持つべきものは優しいお姉ちゃんだね」

ももか「まったくこういう時だけ……。あっ、そうだ。後でゆりにお土産でも買っておいてあげなきゃ」

えりか「ゆり?」

ももか「学校の友達よ」

えりか「ももネェ友達いたんだ、よかった」

ももか「ちょっ、なによそれ。まるで私が友達が一人もいない子みたいじゃない……」

「きゃー!!」

えりか「あっ、またももネェファンかな?」

ももか「ううん、あれは……」



ダビィ「すみません、通してください!」

真琴「……」

えりか「まこぴー!? 今人気ナンバーワンのアイドルじゃん!」

ももか「彼女もここに来てたのね。初めて生で見るけど、やっぱり可愛いわね」

コフレ「えりかっ!」

えりか「わっ!?」

ももか「ん? 今誰かあんたの名前呼ばなかった?」

えりか「えっ、き、気のせいじゃない?」

ももか「そう? まぁいいか」

えりか「ちょっとコフレ、何よ急に。ちゃんとカバンの中に隠れてないとダメじゃない」ヒソヒソ

コフレ「それよりえりか、あの子ですっ!」

えりか「あの子? まこぴーのこと? どうかしたの、サイン欲しいとか?」

コフレ「違うですっ! あの子からプリキュアの力を感じるですっ!」

えりか「え……!?」

ももか「あっ、そういえばえりか」

えりか「わわっ!?」ガバッ

コフレ「むぎゅっ!?」

えりか「な、なにももネェ?」

ももか「つぼみちゃんの姿……見当たらないんだけど」

えりか「……あれ!? いつの間にいなくなったの!!」

…………

つぼみ「うう……人ごみ飲まれていつの間にかえりか達とはぐれてしまいました……」

つぼみ「探そうにもこんなに大勢の人の中、一体どうすれば……」

ドンッ

つぼみ「きゃっ!?」

「あっ、ごめんなさい」

つぼみ「い、いえ。私も余所見をしていてつい……すみませんでした」

つぼみ「……はぁ」

シプレ「つぼみ、どうするですぅ?」

つぼみ「どうしましょうか……」

マナ「あの、お困りですか?」

つぼみ「きゃっ!?」

マナ「あっ、ごめんなさい。いきなり声かけちゃって。なんだか困ってるように見えたから」

つぼみ「い、いえ……こちらこそすみません」

つぼみ(制服……同じ中学生でしょうか)

マナ「困っているのなら、力になりますよ!」

つぼみ「えっと……」

マナ「もしかして迷子ですか?」

つぼみ「は、はい。友達とはぐれちゃいまして……」

マナ「じゃあ、あたしも一緒にそのお友達を探します」

つぼみ「ええっ!? わ、悪いですよいきりそんな」

マナ「いいんですよ、気にしないでください。実はあたしも友達とはぐれちゃって探してるところなんです」

つぼみ「そ、そうなんですか。でも……」

マナ「だからせっかくだし一緒に探しましょ、同じ迷子同士で。あたしも誰かと一緒の方が安心するし」

つぼみ「……」

マナ「どうかしました?」

つぼみ「い、いえ」

つぼみ(なんかこの人……すごく頼りがいのあるオーラであふれています。まさに温柔敦厚)

マナ「あっ、そういえば自己紹介がまだだっけ。あたし、相田マナって言います。大貝第一中学校の中学二年生」

つぼみ「は、花咲つぼみです。明堂学園の中学二年生です」

マナ「中学二年生……じゃあ、あたしと同い年なんだ!」

つぼみ「そうみたいですね」

マナ「制服着てるみたいだけど、今日は社会科見学かなにかで来たの?」

つぼみ「はい」

マナ「そっか、うちの学校もそうなんだ。それにしてもすごいよね、このタワー。まるで宇宙まで届きそうなぐらい高い」

つぼみ「宇宙ですか……ふふっ、相田さんおもしろい表現しますね」

マナ「マナでいいよ」

つぼみ「え?」

マナ「同い年なんだしさ。あたしもつぼみって呼んでいい?」

つぼみ「は、はい。えっと……マナ、さん」

マナ「さんはいらないってば」

つぼみ「じゃあ……マナ」

マナ「うんっ、それでよしっ!」

つぼみ(なんだか、えりかの時のを思い出します)

マナ「じゃあ探しに行こっかつぼみ」

つぼみ「はいっ、マナ」

シフレ(あれ……なんだかシフレたちと同じような気配がするですぅ。それに何か悪い気配も……)

…………

??「聞こえたシャル?」

??「ジコチューの闇の鼓動ケル」

??「それとはべつに、なにか感じるでランス~」

??「この感覚……シャルルたちと同じでシャル」

??「ということは、まさかトランプ王国の生き残りがここにいるケル?」

??「それもあるかもしれないけど……もしかしたら」

??「こころの大樹のプリキュアがいるかもしれないでランス」

??「こころの大樹のプリキュア……話では聞いたことはあるけど、本当にいるケルか?」

??「とにかく、気配のする方へ行くシャル」

??「分かったでランス~」

…………

マナ「ほら、あそこにお母さんがいるよ」

美智子「ママ!」

母「美智子!」

マナ「よかったね美智子ちゃん、お母さんと会えて」

美智子「おねえちゃんありがとう」

母「どうもありがとうございます」

マナ「いえいえ。これからタワーの上まで行くんだっけ?」

美智子「うん!」

マナ「そっか。楽しんでってね」

美智子「ありがとう、ばいばーい!」

マナ「ばいばーい!」

つぼみ「……すごいですね」

マナ「なにが?」

つぼみ「あんな風に知らない子でもちゃんと面倒をみてあげられるなんて。同い年なのにマナって私よりもしっかりしてますね」

マナ「そんなことないよ、あたしも結構ドジすることもあるし。友達には愛を振りまきすぎだ、とか言われて注意もされちゃうしね」

つぼみ「愛を振りまきすぎ……マナにはぴったりな言葉かもしれませんね」

マナ「そうかな。えへへ」

マナ「うーん、それよりあたし達の友達は見つからないね」

つぼみ「やっぱりこの人ごみの中じゃ無理でしょうか……」

マナ「大丈夫だって! きっと会えるよ」

つぼみ「マナ……」

マナ「向こうだってあたし達のこと探してるんだろうし、あたし達も諦めずに探そう!」

つぼみ「そうですね……諦めちゃダメですよね」

岡田「そこのお嬢さんたち」

マナ「はい? あたし達ですか?」

岡田「そう、君達だよ。君達に似合いそうなアクセサリーがあるんだけど、よかったら見ていかないかい?」

つぼみ(イ、イケメンさん……!)

マナ「アクセサリーかぁ……うーん、でも今人を探してる途中で」

岡田「ん……キミ!」

つぼみ「はい!?」

岡田「キミは……まさか!」

つぼみ「な、なんでしょうか! あの……えっと……」

岡田「そうか……キミは。こんなところで会えるなんて」

つぼみ「あのぅ……」

つぼみ(もしかしてこれ……ナンパとかだったり……)

岡田「ああいや、失敬。レディに対していきなり失礼だったね」

つぼみ「レ、レディだなんてそんな……えへへ」

マナ「……あれ?」

つぼみ「どうしました?」

マナ「なんかこのアクセサリー、あたしを呼んだような……」

つぼみ「アクセサリーがマナのことを……?」

岡田「それはキュアラビーズっていうんだ」

マナ「キュアラビーズ……」

岡田「それが気になるのかい?」

マナ「いえ……偶然目にとまっちゃっただけですよ」

岡田「偶然か……。もしかしたらそれは運命かもしれないよ」

マナ「え?」

岡田「今君たちが二人一緒にいるのも、ここに来たのも、そして君がキュアラビーズを手にしたのも。全ては運命かもしれない」

マナ「運命……」

岡田「そのキュアラビーズ、タダであげるよ」

マナ「ええっ、悪いですよ」

岡田「いいんだ。ラビーズが君を選んだのかもしれないしね。ぜひ貰っていってほしい」

マナ「でも……」

ピキーンッ

マナ「!?」

マナ(なに……? 急に光って)

マナ「……」

岡田「ふふっ、気に入ってくれたみたいだね。引き止めちゃったみたいで悪いね、この辺にしておくよ。人を探しているんだよね?」

マナ「あ、はい」

岡田「友達かい? 見つかるといいね」

マナ「ありがとうございます」

シフレ「つぼみ……」ヒソヒソ

つぼみ「どうしました?」

シフレ「あのキュアラビーズっていうの、なんだか不思議な力を感じるですぅ」

つぼみ「不思議な力?」

シフレ「それに……はわっ!?」

つぼみ「ど、どうしたんですか?」

シフレ「邪悪な気配がするですぅ!」

つぼみ「邪悪な気配……まさかここにデザトリアンが!」

シフレ「違うですぅ! この気配は……」

ドガアアアアアンッ!!

つぼみ「!?」

マナ「な、なに今の!?」

カニジコチュー「ジコチュー!」

マナ「えぇーっ!?」

つぼみ「あれは……なに!?」

シフレ「わかんないですぅ!」

…………

カニジコチュー「ジコジコチュー! 横入り横入り!」

ももか「な、なんなのよあれ! いつも街で暴れてるやつ!?」

コフレ(違うですっ。あれはデザトリアンじゃないですっ……!)

えりか(とにかくプリキュアに変身して戦わないと!)

「逃げろおおおお!!」
「きゃー!!」

ももか「ああっ……えりか!」

えりか「ももネェ!?」

えりか(人が押し寄せきて……このままじゃももネェとはぐれちゃう!)

ももか「えりか! えりかも早くこっちに!」

えりか(でも、変身するならこっちの方が都合良いかも)

えりか「ももネェ! 先に逃げて!」

ももか「何言ってるのよ! あんたも早く!!」

えりか「あたしは別の道から逃げるから!」

ももか「ちょっとえりか、待って! すみません、通して……」

「助けてー!!」

ももか「えりか! えりかー!」

えりか「よしっ、ここなら大丈夫かな」

コフレ「えりか!」

えりか「分かってる!」

えりか「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」

マリン「海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!」

コフレ「早くあのおっきなカニさんの暴走を止めるですっ!」

マリン「おっけー! デザトリアンじゃなくても、人を困らせるような悪者はこのキュアマリンが退治しちゃうんだから!」

六花「うう……逃げる途中で足くじいちゃった……」

イーラ「あははは! いいぞジコチュー、もっとやれ!」

カニジコチュー「ジコジコジコチュー!」

六花(な、なんなのよあれ……怪獣!?)

イーラ「あん? あんなところに人間が……。おいジコチュー、あいつを踏み潰しちゃえ!」

カニジコチュー「ジコチュー!」

六花「!?」

マリン「待ちなさーい!」

イーラ「誰だ!?」

マリン「誰だか知らないけど、これ以上の悪さはこのキュアマリンが許さないわよ!」

イーラ「なっ……プリキュアだと!?」

六花(な、なにこの女の子!?)

…………

マナ「大変……!」

つぼみ(このままじゃ大勢の人が……)

シフレ「つぼみ!」

つぼみ「はい! マナ、先に逃げてください!」

マナ「ええっ、でもつぼみは!?」

つぼみ「私は大丈夫です、それよりも早くここから離れて!」タタタッ

マナ「ま、待ってつぼみ!」

つぼみ(ごめんなさいマナ……。けど、変身するところを見られるわけにはいかないんです)

つぼみ「よしっ、ここなら大丈夫」

シフレ「つぼみ、変身するですぅ!」

つぼみ「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」

ブロッサム「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!」

マナ「ええっ!? つぼみが変身しちゃった!!」

ブロッサム「はい! 実は私プリキュアで……ってえええ!?」

マナ「ごめん、追いかけてきちゃった」

ブロッサム「追いかけてきたって……今の見ちゃったんですか?」

マナ「うん」

ブロッサム「変身するところ……」

マナ「うん、見ちゃいました」

ブロッサム「ど、どうしましょー!!」

シフレ「大変ですぅ!」

マナ「それよりつぼみ!」

ブロッサム「は、はい!?」

マナ「これからどうするの? まさかあの暴れてる怪獣を止めるとか?」

ブロッサム「そ、そのつもりなんですけど……」

マナ「分かった、ならあたしも協力するよ!」

ブロッサム「ええっ!? あ、危ないですよ!」

マナ「大丈夫! 大貝第一中学生徒会長、相田マナに不可能はない!」

ブロッサム(マ、マナ……なんかよく分からないけどすごい)

…………

イーラ「なんなんだお前! お前みたいなプリキュア見たことないぞ!」

マリン「それはこっちのセリフよ! あんたは何者なの!」

イーラ「ふんっ……僕ちは、ジコチューさ」

マリン「ジコチュー!?」

イーラ「そうだ。黒く染まった人間のプシュケーを抜き取り怪物を生み、この世界を滅ぼすのが僕達ジコチューさ」

マリン「要するにあんた達も砂漠の使徒と同じ悪党ってわけね」

イーラ「砂漠の使徒? なんだそりゃ」

マリン「悪さをするならあたしがこらしめてやるわ! かかって来なさい!」

イーラ「よく分からねえけど、お前がプリキュアだっていうなら相手になってやる。やれジコチュー!」

カニジコチュー「ジコチュー!」ダダダッ

イーラ「っておい!? どこ行くんだよ!」

カニジコチュー「どけどけー! 順番なんて無視だー!」

イーラ「くそっ、僕の命令も聞かないで……自己中なやつ! おい待て!」

マリン「上行っちゃった……」

コフレ「なにやってるですかマリン! 早く追いかけるですっ!」

マリン「分かってる!」

六花「いたっ……!」

マリン「!!」

六花「うう……」

マリン「大丈夫!?」

六花「は、はい。ちょっと足をくじいちゃっただけで……」

マリン「大変……! ちょっと待って、何か布で固定するから」

六花「大丈夫ですってほんと。それより……助けてくれてありがとうございました」

マリン「なんのなんの。礼には及ばない、ってね」

六花「あなたは……一体……」

六花「!!」

マリン「どうしたの?」

六花「マ、マナが……」

マリン「まな?」

六花「マナが今! 階段を上っていったんです!!」

マリン「ちょ、ちょっとどういうこと?」

六花「私の友達です! 今、向こうであなたみたいな女の子と一緒に階段を上るところを見ました!」

マリン「あたしみたいな子ってことは、まさか……」

コフレ「ブロッサムですっ!」

六花「しゃべった!?」

マリン「ブロッサム、あのジコチューってやつ追いかけたんだ。あたしも早く合流しないと」

六花「っ……ま、待って!」

マリン「なに?」

六花「私も連れてってください!」

マリン「ええっ!? ダメだよ、危ないんだから!」

六花「マナを一人にはできないんです! お願いです、邪魔にはならないようにしますから私も連れてってください!!」

マリン「……分かった」

六花「本当ですか!?」

コフレ「マリン!?」

マリン「ここまで頼まれちゃったら、断るわけにはいかないでしょ。あたしがそのマナって子のところまでおぶって連れてってあげる」

六花「ありがとうございます!」

…………

マナ「ハァ……ハァ……」

マナ(急がなきゃ。展望台には美智子ちゃんがいる……絶対に助けなきゃ)

ブロッサム「大丈夫ですか?」

マナ「大丈夫!」

ブロッサム「私、先に行ってます! マナは無理せずに危険だと思ったらすぐに逃げてくださいね!」

マナ(すごいな、プリキュア……あんなに走れるなんて。もしあたしもプリキュアだったら、つぼみみたいにすぐに助けに行けるのに……)

ブロッサム(変身もせずにここまで一緒に来れるなんて……マナはなんて強いんでしょう。そうまでしてあの子のことを……)

ブロッサム(……私もあんな風に強い人間だったら)

シフレ「ブロッサム! もうすぐ展望台ですぅ!」

ブロッサム「は、はい!」

――――展望台

カニジコチュー「順番なんて無視だー!」

「きゃああああ!!」

カニジコチュー「どけどけー! この景色は俺のもんだー!」

美智子「ママー! ママー!」

母「美智子、危ない!!」

美智子「!?」

カニジコチュー「どけどけどけー!!」ドドドッ

美智子「きゃああああ!!」

ブロッサム「たぁーーっ!!」ガバッ

カニジコチュー「ジコッ!?」

美智子「うう……」

ブロッサム「大丈夫?」

美智子「!!」

ブロッサム「怪我とか、痛いところはありませんか?」

美智子「おねえちゃんがたすけてくれたの?」

ブロッサム「はいっ」

母「美智子!!」

美智子「ママ!」

ブロッサム「ここは私に任せて、早く避難を!」

母「は、はい」

美智子「ありがとうおねえちゃん!」

イーラ「くそっ、また知らないプリキュアかよ! お前もさっきのやつの仲間か!?」

ブロッサム「あなたは……!?」

イーラ「やれジコチュー! あいつをぶちのめせ!!」

カニジコチュー「ジコチュー!!」

ブロッサム「くっ……!!」

マナ「待ちなさーい!!」

カニジコチュー「!?」

ブロッサム「マナ!」

マナ「お待たせつぼみ! 美智子ちゃんは!?」

ブロッサム「大丈夫です、ちゃんと避難しました」

マナ「そっか、よかった……。そこのあなた!」

カニジコチュー「お、おれ?」

マナ「ダメじゃない横入りなんて! ちゃんとルールを守ってみんな並んで待ってるんだから」

マナ「それなのにこの景色を独り占めしようなんて、そんなワガママ言っちゃダメ! この景色はみんなのものだよ!」

マナ「それに一人で見るよりみんなと一緒に見た方が楽しいよ?」

カニジコチュー「う、うう……」

ブロッサム(あ、あの怪物を……説得してる?)

マナ「分かったら次からはみんなと一緒に並んでから見ましょ。ね?」

カニジコチュー「うう……ジコー!!」

マナ「!!」

ブロッサム「危ないマナ!」

マリン「マリン・シュート!!」

ドガーンッ!!

ジコチュー「ジコオオ!?」

イーラ「ジコチュー!!」

マリン「大丈夫ブロッサム!」

ブロッサム「マリン!」

六花「マナ!!」

マナ「六花!? どうしてここに!」

六花「どうしてじゃないでしょ! いつも危ないことに首突っ込んで!」

ブロッサム(あの子がマナの言っていた……)

マリン(友達かな)

イーラ「くそーっ! プリキュアめー!!」

ブロッサム「マリン!」

マリン「ブロッサム! 一気に決めちゃおう!」

ブロッサム「はいっ!」

ブロッサム「集まれ、花のパワー! ブロッサムタクト!」

マリン「マリンタクト!」

ブロッサム「花よ!」

マリン「輝け!」

ブロッサム「プリキュア・ピンクフォルテウェーーイブ!!」

マリン「プリキュア・ブルーフォルテウェーーイブ!!」

バシシュウウウウウッ!!

ブロッサム・マリン「はああああああああ!!」

カニジコチュー「ぽわわわわわ~ん」

イーラ「なにっ! 浄化された!?」

マナ「すごい……」

六花「あれは一体なんなの……」

イーラ「くっ……そおおお!! よくも僕のジコチューを浄化したな! 許さないぞ!!」

ブロッサム「あの男の子は何者なんですか」

マリン「あいつらはジコチューって言って、この世界を支配しようとする悪いやつらよ」

ブロッサム「つまり砂漠の使徒の仲間ですか!?」

イーラ「だから砂漠の使徒ってなんなんだよ!」

ドガアアアッ!!

ブロッサム「きゃああああ!?」

マリン「ブロッサム!!」

マナ「つぼみ!」

カニジコチュー「ジコチュー!」

マリン「新しいジコチュー!?」

イーラ「あのジコチューは……!」

マーモ「あなたはいつも仕事が雑なのよイーラ」

イーラ「マーモ!!」

カニジコチュー「ジコチュー!」

ブロッサム「うぐ……」

マーモ「まさか……私たちの知らないプリキュアが地球にいたなんてね」

イーラ「マーモ! さてはお前僕のジコチューが倒されるまで隠れて見てたな!? 自己中なやつ!」

マーモ「うふふ」

マリン「ブロッサム!」

ブロッサム「大丈夫です……マリン」

マーモ「さてと……話を聞かせてもらおうかしら。あなた達は一体何者? トランプ王国のプリキュアは、キュアソードで最後だったはずよ」

ブロッサム「トランプ王国……?」

マリン「キュアソードって、誰よ」

マーモ「知らないの? それともとぼけてるつもりかしら。なら話したくなるまで痛めつけてあげる! いけジュコチュー!」

ブロッサム「!!」


「閃け! ホーリーソード!」

ドガアアアアンッ!!

マーモ「なにっ!?」

ジコチュー「ラブラブラ~ブ」

マーモ「しまった! ジコチューが!?」

イーラ「やーい、やられてやんの」

マーモ「お黙り!!」

ブロッサム「あれは……!」

ソード「……」

マリン「プリキュア!?」

コフレ「間違いないですっ! プリキュアですっ!」

シフレ「けどあんなプリキュア知らないですぅ!」

ブロッサム「あ、あの……」

ソード「……あなた達が、こころの大樹のプリキュアね」

ブロッサム「え?」

マーモ「キュアソード! ようやく現れたわね!」

ブロッサム(キュアソード……この人が)

マナ「プリキュアがまた増えた!」

六花「ね、ねえプリキュアって一体なんなのよ」

マーモ「今日こそ王女様の居場所を吐いてもらうわよ!」

ソード「あなた達に教えることなんてない!」

イーラ「おい、さすがにこれじゃあ分が悪くねえか? 向こうはプリキュアが三人もいるんだぞ」

マーモ「くっ……」

??「お困りのようなら助けてあげるわよぉん」

マーモ「誰!?」

サソリーナ「うっふふ……」

マリン「あれは……!」

ブロッサム「サソリーナ!」

サソリーナ「騒がしいから来てみたら、なんだか今日は賑やかなことになってるじゃない。プリキュア」

イーラ「なんだこのおばさん」

サソリーナ「誰がおばさんですって!? 失礼ね!!」

マーモ「一体何者よ」

サソリーナ「あたしは砂漠の使徒の三幹部の一人、サソリーナよぉん」

イーラ「砂漠の使徒……あの知らないプリキュアが言ってたやつらか」

マーモ「その砂漠の使徒が一体なんの用事?」

サソリーナ「なにって決まってるじゃない。プリキュアはあたし達の敵なの。そしてどうやらあんた達の敵でもある」

イーラ「だからなんだよ!」

サソリーナ「だったらここは手を組んで一緒あいつらを倒してあげてもいいって言ってんのよ」

マーモ「手を組むですって?」

イーラ「なにがしてあげてもいいだ、むかつく言い方しやがって」

ソード(砂漠の使徒……あれがこの地球を支配しようとする悪)

サソリーナ「戦うの戦わないの、どっちなのよ」

マーモ「……分かったわ、一緒に戦ってあげてもいいわよ」

イーラ「マジかよ!?」

マーモ「考えてみればこれはチャンスよ。ここで邪魔者はまとめて排除する」

サソリーナ「分かればいいのよ。……戦ってあげてもいいなんて言い方はむかつくけど」

ソード「くっ……!!」

サソリーナ「いけっ! スナッキー!」

スナッキー「キー!」

ソード「はあっ! たあっ!!」

ドガッ! バキッ

スナッキー「キーッ!?」
スナッキー「キキーッ!?」

サソリーナ「甘いわよ」

ソード「!?」

サソリーナ「ほぉら!!」

ドガァッ!!

ソード「きゃあああっ!?」

イーラ「あいつなかなかやるじゃねえか」

マーモ「私たちも行くわよ」

ブロッサム「キュアソード!」

イーラ「おっとここは!」

マーモ「通さないわよ!」

マリン「くぅっ……!!」

マナ「ど、どうしよう……プリキュアがピンチに」

六花「待ってマナ! なにをする気!?」

マナ「なにって、助けに行かなきゃ!」

六花「助けるって……なにができるのよ!」

マナ「でも助けなきゃ!!」

スナッキー「キキー!!」

マナ「!?」

六花「マナ危ない!!」

ソード「はあっ!!」

ドガンッ!!

スナッキー「キー!?」

マナ(キュ、キュアソード……助けてくれた)

ソード「はぁ……はぁ……」

マナ「あ、ありがとう……」

ソード「早く逃げて!」

サソリーナ「他人を助けてる余裕なんてあるのかしら?」

ドゴオッ!!

ソード「きゃああああ!!」

マナ「キュアソード!!」

サソリーナ「うっふふ……ここまでみたいね」

ソード「う……うう……」

マナ(どうしよう……あたしのせいであの子が)

サソリーナ「さぁ、これでトドメよぉん!」

ソード「くっ……!?」

マナ(お願い神様……あたしに勇気を、力をください)

マナ(あの子を助ける、勇気と力を……!!)

カアッ!!!!

サソリーナ「なに!?」

マーモ「この輝きは……!?」

ソード「キュアラビーズの……輝き……」

六花「マ、マナ。それなんなの……?」

マナ「これ……さっきお兄さんがくれた……」

シャルル「ようやく見つけたシャル!」

マナ「!」

六花「ま、また喋る珍獣!?」

マナ「あなたは……?」

シャルル「わたしはトランプ王国から来た妖精、シャルルだシャル」

マナ「あ……どうも、相田マナです」

六花「なに普通に自己紹介してるの!?」

シャルル「わたしの力を使うシャル!」

マナ「え?」

シャルル「あなたなら、きっとあのプリキュア達を助けられるシャル!」

マナ「あたしが……」

シャルル「マナ! そのキュアラビーズをセットしてこう叫ぶシャル! プリキュア、ラブリンク!」

シャルル「そして変身するシャル!」

マナ「分かった!」

六花「えええっ!?」

マナ「プリキュア、ラブリンク!!」

イーラ「この光は……!!」

ハート「みなぎる愛! キュアハート!」

六花「マナが……」

ブロッサム「変身した!」

ソード「キュア……ハート……」

ハート「愛をなくした悲しいサソリさん、このキュアハートがあなたのドキドキ取り戻してみせる!」

サソリーナ「だれがサソリさんよ!!」

マリン「ブ、ブロッサム! あれって間違いなくプリキュアだよね!?」

ブロッサム「は、はい」

シフレ「けどココロの種を使わずに変身するなんて」

コフレ「僕たちの知らないプリキュアですっ!」

六花「もうなにがなんだか……」

サソリーナ「ふんっ……変身したからって、所詮は新人でしょ? あたしの敵じゃないわ!」

ハート「!!」

シャルル「キュアハート! 敵が来るシャル!」

ハート「大丈夫!」

ドガッ!! ドガアアアッ!!

サソリーナ(なっ、こいつ……!?)

ハート「はああああっ!!」

ドガアアンッ!!

サソリーナ「きゃあっ!?」

ハート(すごい……あたしの体、キュンキュン動く!)

マーモ「なにやってんのよ!」

サソリーナ「うるさいわね黙ってなさい!!」

ハート「大丈夫?」

ソード「あなたは……」

ハート「ごめんね、あたしのせいで。けどもう大丈夫、これからはあたしも一緒に戦うよ!」

ソード「……」

サソリーナ「やっちゃいなさいスナッキーたち!!」

スナッキー「わわっ!? たくさん来た!」

シャルル「必殺技を使うシャル!」

ハート「必殺技……!」

ピカッ!!

ハート「キュアラビーズが光ってる! これならいけるかも!」

スナッキー「キーーッ!!」

ハート「あなたにとどけ! マイスイートハート!!」

スキッキー「キキッ!?」

シュワアアアア!!

スナッキー「キーーーッ!?」

サソリーナ「あ、あんなにいたスナッキーが……!?」

ハート「できた……よかったぁ」

サソリーナ「くっ……」

イーラ「おいおい、まずいんじゃないか」

マーモ「また形勢が逆転されたじゃない!」

ソード「逃がさないわ!」

マーモ「!!」

ソード「閃け! ホーリーソード!」

ドババババッ!!

イーラ「うわっ!?」

サソリーナ「くっ……このままじゃ不味い、撤退よ! 覚えてなさい!!」

マーモ「なによあいつ!? ちっとも役に立たないじゃない!! 私たちも逃げるわよ!」

イーラ「クソッ! 覚えてろよプリキュア!!」

ハート「行ってくれた……はぁ」

六花「マナ!」

ハート「六花!」

六花「一体なんなのよこれ、なにが起きてるの! なんでマナが変身しちゃってるの!?」

ハート「落ち着いて落ち着いて……」

ブロッサム「マナ……いえ、キュアハート!」

ハート「!!」

ブロッサム「お疲れ様です」

マリン「凄いじゃん、初めて変身してあんなに戦えるなんて」

ハート「そっか……あたし、プリキュアに変身したんだよね。本当に……」

ハート「あっ、そうだ! キュアソード!」

ソード「……」

ハート「えっと……とりあえず。はじめまして、あたしキュアソードって言います。よろしくお願いします」

ブロッサム「私はキュアブロッサムです」

マリン「あたしキュアマリン。よろしくね!」

ソード「……あなた達は」

ハート「え?」

ゴゴゴゴゴゴッ!!



ハート「!?」

マリン「な、なに!? この揺れ!!」

ブロッサム「地震ですか!?」

ソード「これは一体!?」

ピカアアアッ!!

ハート「強い光が……あたり一面に!」

ブロッサム「な、なんですかあれは!」

シフレ「分からないですぅ!」

六花「マナ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

ハート「六花!! きゃあああああっ!?」

――――――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――





――――???

ピーチ「う……」

ベリー「な、なにが起きたの……」

パイン「分からないわ……いきなり強い衝撃が来たかと思ったら……」

ピーチ「みんな、無事?」

ベリー「ええ、一応大丈夫だけど」

イース「くっ……」

ピーチ「イース!」

イース「なんだ……何が起きた。……!?」

イース「ウエスター! サウラー! どにへ行った!?」

ベリー「ウエスターとサウラーが」

パイン「いつの間にかいなくなってる……」

イース「くっ……貴様たちの仕業か!」

ピーチ「あ、あたしたちは何も」

ベリー「ね……ねえ見てあれ!!」

ピーチ「え?」

ベリー「あれよあれ! あの塔みたいなやつ!!」

ピーチ「!!」

パイン「なにあのタワー……あんなの四ツ葉町にあったかしら」

ピーチ「待って! 空からなにか落ちてくる!」

ヒュウウウウウンッ

ブロッサム「きゃああああああ!!」

マリン「わわわわわわ!?」

ピーチ「ええ!?」

ズドンッ!!

ブロッサム「いたた……」

マリン「な、なんなのよもう……」

ピーチ「うう……」

ブロッサム「ああっ、ごめんなさい! 押しつぶしちゃって……」

ピーチ「だ、大丈夫大丈夫……」

ブロッサム「え……? あれ!? ここどこですか!!」

マリン「あたし達、さっきまでクローバータワーの上で戦ってたんじゃ」

パイン「クローバータワー……?」

ベリー「あんた達、誰!?」

マリン「うわぁ!? また新しいプリキュア!」

イース(くっ……一体なんなんだ、何が起きているというのだ。……ひとまず撤退して態勢を立て直さなければ)

ピーチ「新しい……」

ブロッサム「プリキュア……!?」

今日はここまでです
>>38
出ません
まだ始まったばかりなので出せないですね

――――――???

ストレリチア「クイーンカトレア、たった今最初の転送が終わりました。転送されてきたプリキュアは、データによると九人のようです」

カトレア「作戦は無事成功したようですね」

ストレリチア「はい。ですが少々問題も……」

カトレア「問題とは?」

ストレリチア「当初はプリキュアと彼女達の住む街、メイジャーランド等のプリキュアと深い因果で結ばれた土地のみの転送が目的でした」

ストレリチア「しかし同時にラビリンスの三幹部、砂漠の使徒、ジコチューなども共に転送されてしまったようなのです」

カトレア「その者たちは転送の対象に入ってなかったのでは」

ストレリチア「はい。ですが彼らもまたプリキュアと深い因果で結ばれています。恐らくその因果の力によってこちらの世界に引っ張られてしまったのでしょう」

カトレア「……」

ストレリチア「どうなさいますかクイーン? 作戦を一旦取りやめ、もう一度計画を練り直しますか?」

カトレア「……いいえ。作戦は続行しなさい」

ストレリチア「では悪の力を持つ者たちもこの世界に受け入れると」

カトレア「それについては後で対処できます。今はプリキュアを集めることが優先事項です」

ストレリチア「かしこまりました。ルピナスにもそのように伝えておきます。それと……」

カトレア「ええ、分かっています」

ストレリチア「……ローズマリーのことは私も心を痛めています。ですが彼女も最後はクイーンのために命を捧げることができ幸せだったことでしょう」

カトレア「……」

ストレリチア「どうかお気に病まずに」

カトレア(……ローズマリー)

――――――ラビリンス

ルピナス(作戦は続行ね。おっけー。次に転送する世界は……ここにしよっと)

ストック「……」

ルピナス「!!」

ルピナス「……ストック、いつの間に戻ってきたの。びっくりしたじゃない」

ストック「いないの……ローズマリーがどこにもいないの……」

ルピナス「ストック……あたしもパラレルワールドを転送するついでにあちこちのモニター確認してみたけど、あの子の姿はどこにもなかったわ。残念だけど……」

ストック「ウソよ!! 絶対……こんなのって……っ」

ルピナス「……ストック」

ストック「うう……うわああああああああん」

ルピナス「……」

…………
――――――エターナル

ブンビー「アナコンディさん、報告書を持ってきました」

アナコンディ「ご苦労様です。そこへ置いておいてください」

ブンビー「はい、ここですね」

ブンビー(はぁ……なんとか再就職できたものの、仕事は雑用ばかり。これじゃあナイトメアにいた頃と大して変わらな……)

アナコンディ「ブンビーさん」

ブンビー「は、はい!」

アナコンディ「館内の清掃は終わりましたか?」

ブンビー「はいっ! 朝のうちに全館ピカピカにしました!」

アナコンディ「そう。ならいいのです」

ブンビー(くそぅ……私は清掃員じゃないんだぞ)

アナコンディ「なにか?」

ブンビー「い、いえ何も! あはは……」

アナコンディ「もうすぐお客様が来ます。お迎えの準備をしておいてください」

ブンビー「え? あ、はい!」

ブンビー(お客……誰だ?)

アナコンディ「……」

アナコンディ(伝説の戦士プリキュア……ナイトメアの一件以来姿を消したと聞いていたが、また現れるとは。しかもよりにもよってローズパクトまで持っているなんて)

アナコンディ(フローラ……これも全てあなたの企み? あなたさえいなければ……)

コンコンッ

ブンビー「アナコンディさん、お客様をお連れしてきました」

アナコンディ「どうぞ」

ガチャッ

アナコンディ「……」

ジョーカー「初めましてアナコンディさん、バッドエンド王国から来たジョーカーと申します。どうぞよろしく」

アナコンディ「初めましてジョーカーさん。アナコンディです。どうぞそちらへおかけになってください」

ブンビー(バッドエンド王国……? なんかの資料で読んだことあるような)

アナコンディ「ブンビーさん、お客様にお茶を」

ブンビー「あ、は、はいただいま!」

ジョーカー「ん~……噂に聞いたとおり素晴らしい博物館ですねぇ。目にするものどれも貴重で価値の高いものばかり。おまけに保存状態も大変良い。ホコリひとつも被ってないなんて徹底した管理ですねぇ」

ブンビー「あっ、私が掃除したんですよ。あはは」

アナコンディ「……」

ブンビー「……す、すみません。お茶いれますはい」

アナコンディ「それで、今日はお話があって来たのでは?」

ジョーカー「はい。わざわざ私なんかのためにお時間を取っていただき真にありがとうございます」

アナコンディ「前置きは結構です。こちらは時間がありませんので」

ジョーカー「ンフフフ……」

ブンビー(な、なんか不気味だなぁ……この人。ねちっこい感じとかちょっとカワリーノに似てて好きになれん)

ジョーカー「話というのはですね……実はプリキュアについてのことなんです」

アナコンディ「プリキュア?」

ジョーカー「ええ。あなた達もよく知っているでしょう? 確かローズパクトとかいうものをめぐってプリキュアと戦っているとか」

アナコンディ「……お詳しいようですね」

ジョーカー「ちょ~っと調べさせてもらいましたよ。ンフフフ……」

アナコンディ「あなたはプリキュアと何の関係があるというのですか?」

ジョーカー「実はですね……我がバッドエンド王国もプリキュアと戦っているんですよ」

アナコンディ「はて……そのような情報は入ってないのですが」

ジョーカー「それもそうです。私たちが戦っているプリキュアはあなた達が戦っているプリキュアとは違うのですから」

アナコンディ「……!!」

ジョーカー「ンフッ……」

アナコンディ「他にもまだプリキュアがいると……?」

ジョーカー「ええ、そうです。その名も、スマイルプリキュア」

アナコンディ「スマイルプリキュア……」

ブンビー(ス、スマイル……?)

アナコンディ「ブンビーさん」

ブンビー「は、はい!」

アナコンディ「あなたは確かプリキュアについて詳しかったですよね。スマイルプリキュアという名に心当たりは?」

ブンビー「いえ、私もそんな名前初めて聞きました!」

ジョーカー「当然です。なぜならつい最近五人揃って結成されたばかりなんですから」

アナコンディ「五人……私たちが戦っているプリキュアと同じですね」

ジョーカー「私たちバッドエンド王国は人間からバッドエナジーという負のエネルギーを集めるために地球に来ているのですが……彼女達がそれを邪魔してくるのです」

アナコンディ「……」

ジョーカー「同じプリキュア同士です、いずれあなた達が戦っているプリキュアとも合流する可能性があるでしょう。その時は……」

アナコンディ「つまりバッドエンド王国は二つのプリキュアを潰すために、私たちエターナルと協力関係を結びたいと言いたいんですか?」

ジョーカー「理解がお早いようで助かります」

アナコンディ「……ブンビーさん」

ブンビー「え? は、はい」

アナコンディ「あなたはどう思いますか?」

ブンビー「私ですか?」

アナコンディ「あなたはプリキュアとの戦闘経験も豊富です。プリキュアへの対策について、この先どのように動けばいいかあなたの意見を聞かせてください」

ブンビー「そ、そうですね……えっと」

ジョーカー「確かブンビーさんは以前、ナイトメアに所属していらしたんですよね?」

ブンビー「あ、はい。……ってなんで知ってるんですか!?」

ジョーカー「当然あなたのことも調べてありますよ。それにナイトメアとは元々、我がバッドエンド王国から派生された組織なんですから」

ブンビー「な、なんですって!?」

ジョーカー「ナイトメアは我が国の皇帝、ピエーロ様から絶望の力を借り世界を闇に包むことを目的に動いていました」

ジョーカー「それなのにデスパライアは私欲に走り不老不死などというくだらないものを求め組織を勝手に動かし、最後はプリキュアに懐柔され自ら封印されたというじゃないですか。全く情けない」

ブンビー「……」

ジョーカー「あなたならお分かりでしょう? あの仮面が持っていた絶望の力を」

ブンビー「はい……それはもう十分に」

ジョーカー「あれはピエーロ様の持つほんの一部の力です。つまり私たちの力がどれほどのものか理解できますよね?」

ブンビー(あ、あの力がほんの一部……!?)

ジョーカー「そして幸いなことに、なんとピエーロ様の復活が近づいているのです。復活すれば世界はすぐにバッドエンドを迎えるでしょう」

アナコンディ「……」

ジョーカー「ご安心を。あなた達の仕事の邪魔をしたりは決してしません。財宝等には手を出さないつもりです」

アナコンディ「……分かりました」

ジョーカー「では……」

アナコンディ「今日はここまでにしましょう。今回のことは館長に相談しますので、返答はまた後日に」

ジョーカー「……いい返事を期待していますよ、アナコンディさん。ンッフフフ……」

アナコンディ「……」

…………

アナコンディ「……」

ブンビー「あの~……一応言っておきますけどナイトメアの絶望の力は凄まじかったですよ。あれが戦力になるのなら相当有利になるかと……」

アナコンディ「そうですか」

ブンビー(リアクション薄っ。意見求めてたくせに)

アナコンディ「スコルプさんは?」

ブンビー「ローズパクトを奪いにプリキュアの元へ」

アナコンディ「今日こそプリキュアを倒せるといいんですけどね。そうすればあんな連中とも手を組む必要もなくなりますし」

ブンビー「えっ、協力したくないんですか?」

アナコンディ「いくら強い力を持っていようと、信用できる相手でないと意味はありません。あんな男が信用できると?」

ブンビー「まぁ確かに……私も苦手なタイプです」

アナコンディ「とりあえず私は今の話を館長に報告してきます。最終決定は館長が下しますから」

――――――バッドエンド王国

ジョーカー「ウルフルンさん」

ウルフルン「ああん? んだよジョーカー」

ジョーカー「今日のご予定はどうなさるおつもりですか?]

ウルフルン「ケッ、うるせえな。プリキュア達をぶッ倒しに行くに決まってんだろ。おめえに言われなくても分かってんだよ」

ジョーカー「なら今日は相手を変えて少し気分転換とでもいきましょうか」

ウルフルン「あ?」

ジョーカー「この街へ行ってきてください」

ウルフルン「なんだここ」

ジョーカー「ここである方がプリキュアと戦うはずです。あなたにはその手助けをして欲しいんです」

ウルフルン「ある方って誰だよ」

ジョーカー「それは行ってからお楽しみですよ」

ウルフルン「ああ……?」

――――――ふしぎ図書館

みゆき「サイン会! 行こう?」

あかね「サイン会?」

やよい「誰の?」

みゆき「それはもちろん童話作家の夢原勉さんのサイン会だよ!」

なお「……知ってる?」

あかね「知らん」

やよい「わたしも」

れいか「ごめんなさい、私も存じ上げないです」

みゆき「ええーっ!? 有名な人だよ! この人の書いた童話全部おもしろいんだから!」

あかね「みゆきがそこまで言うなら、そうとう凄い人なんやろうな」

みゆき「そう、凄いの! だからサインもらいに行っちゃおー!」

キャンディ「サインってなにクル?」

やよい「名前のことだよ。色紙に有名人の名前を書いてもらってそれを記念にするの」

キャンディ「それもらえるとうれしいクル?」

みゆき「もちろん! もうほんと、ウルトラハッピーって感じ!」

キャンディ「キャンディもほしいクル!」

みゆき「よーしっ、じゃあ一緒にもらいに行こー!!」

キャンディ「クルー!」

やよい「そのサイン会ってどこで開かれるの?」

みゆき「えっとね、電車で四駅目で降りて乗り換えてそこから三駅目で降りてまた乗り換えてそこから……」

なお「結構遠そうだね。一人で行ける?」

キャンディ「キャンディがいっしょについてるクル!」

あかね「あかん、余計心配や」

みゆき「なんか一人で辿り着ける気がしなくなってきたかも……」

れいか「でしたら本棚を利用してみてはどうでしょう」

みゆき「え?」

れいか「ふしぎ図書館の本棚なら行きたいところを思い浮かべればすぐに目的地まで行けるじゃないですか」

みゆき「あっ、そっか! その手があったんだ! ありがとうれいかちゃん」

みゆき「そうと分かれば早速、目的地までしゅっぱーつ!」

キャンディ「しゅっぱつクルー!」

なお「二人とも気をつけてね」

みゆき「はーい、いってきまーす! えーっと、本棚の本を動かして……」

ガシッ、ガシッ……ピカッ!!

みゆき「それじゃあ行こっか」

キャンディ「クル!」

あかね「……ん? なぁ、本棚から溢れてる光がいつもより強ない?」

やよい「確かに……すごく眩しいかも」

なお「ていうか、光がどんどん強くなってるような気が」

れいか「……なにか様子が変です」

あかね「みゆき! ちょっと待ったほうがええで……ってもう行ってもうたし!?」

なお「ちょ、ちょっと……あたし達まで本棚に吸い寄せられてる……!?」

やよい「どうなってるの!?」

れいか「み、みなさん落ち着いて……きゃあ!?」

あかね「おわっ!? うちらまで本棚の中に!!」

――――――サンクルミエール学園 図書館

みゆき「あれ……?」

キャンディ「サイン会はどこでやってるクル?」

みゆき「ていうかキャンディ、ここわたしが思い浮かべた場所と違うんだけど」

キャンディ「クル?」

みゆき「こんなところ全然思い浮かべてないのに……。図書館? どこのだろう」

「わぁぁぁああああ~!!」

みゆき「へ?」

ドスンッ!!

みゆき「ぎゃふんっ!」

あかね「あてて……」

なお「な、なんであたし達まで……」

みゆき「うう……」

あかね「あっ、みゆきすまん。下敷きにしてもうた」

みゆき「だ、大丈夫大丈夫……。って、なんでみんなも来てるの?」

れいか「それが本棚が急に強い光を放ったかと思えば、私たちまで本棚の中へ吸い寄せられてしまって」

やよい「ここ、どこ……?」

こまち「あなた達、どうかしたの?」

今日は以上です。

みゆき「あ……」

こまち「……? あなた達、ここの生徒? どうして制服を着てないの?」

なお「せ、制服?」

こまち「だってここ学校よ。私服じゃ入ってこれないはずなんだけど……」

あかね(ここ、学校なんか……)

やよい(それにしてはここの……図書館? かな。広すぎな気が……)

れいか(あの制服は確か……)

みゆき「ご、ごめんなさい! 実はふしぎ図書館の本棚を使ったらなぜかここに来ちゃって……」

こまち「ふしぎ図書館?」

かれん「一体何を騒いでいるの」

のぞみ「こまちさ~ん、国語の参考書どこにあるんですか」

こまち「あっ、かれん」

かれん「あら……? その子達は?」

みゆき「え、えへへ……」

かれん「……見かけない顔ね。ここの生徒じゃないわね。どうして部外者が学校の図書館に?」

みゆき「だから、えっと……ふしぎ図書館で……」

かれん「?」

あかね「そんな言い訳、向こうが分かるわけないやろ」ヒソヒソ

みゆき「え、ええっと……なんていうか……」

のぞみ「こんにちはっ」

みゆき「へ!?」

のぞみ「あたし夢原のぞみ。あなたの名前は?」

みゆき「え、えと、星空みゆき、です」

のぞみ「みゆきちゃんって言うんだ。よろしくねっ」

みゆき「……! うんっ、よろしく!」

かれん「のぞみ……なにを挨拶しているの」

のぞみ「だってまずは挨拶が基本じゃないですか」

かれん「それはそうだけど……」

れいか「思い出しました!」

なお「な、なにを?」

れいか「あの制服、サンクルミエール学園のものです」

みゆき「サンクルミエール?」

あかね「あのでっかくて有名な学校か!」

なお「ああ、そういえばサッカー部の試合で対戦したことのあるような……」

やよい「そっか、どおりでこの図書館も普通より大きいわけだね」

かれん「……なんの話をしているの?」

あかね「あっ、いえ。こっちの話です……あはは」

かれん「……とにかく、事情があるのならきちんと話してもらおうかしら。生徒会長として、黙って見過ごすわけにもいかないしね」

れいか「この学園の生徒会長なのですか……!」

かれん「あなたは?」

れいか「申し遅れました。私は七色ヶ丘中学校生徒会の副会長を務めている青木れいかといいます」

かれん「七色ヶ丘中学校……」

れいか「この度は勝手にこの学校へ入ってしまい申し訳ありませんでした。少々事情がありまして……」

かれん「その事情って?」

のぞみ「分かった! 探している本があるとか?」

こまち「確かにここの図書館は他には置いていない本とかもたくさんあるけど」

れいか「いえ、そうではなく……」

あかね「そうなんですよ! 実はうちら読みたい本があって、それを探してたらいつの間にかここまで辿り着いちゃって……」

なお(う、嘘ついたらダメでしょ)ヒソヒソ

あかね(せやかてしゃーないやろ。他になんて言えばええねん)

かれん「いつの間にか……? なんだかますます怪しいわね」

のぞみ「でもあたしも買い物に行ってたらいつの間にか遊んでたことあるし」

みゆき「あっ、わかるわかる」

のぞみ「ねー」

かれん「それとこれとは全然違うわよ……」

かれん「まぁ……いいわ、分かった。読みたい本があるのならここの図書館を利用してもいいわよ。ただしここの生徒じゃないから貸し出しはできないけどね」

かれん(悪い子達じゃなさそうだし……といってもまだ怪しいけど)

みゆき「いいんですか!?」

あかね「ありがとうございまーす!」

れいか(なんだか騙している気がして申し訳ないです)

よやい(仕方ないよこんな状況だし。それよりこれからどうしよう)

なお(そういえばみゆきちゃんはサイン会に行くんじゃ……)

みゆき「ねえ見て見て! ここに珍しい絵本たくさんあるよ!!」

あかね「みゆきいつの間に……」

こまち「ここは図書館だから、なるべく静かにね?」

みゆき「あっ、は、はい。ごめんなさい」

のぞみ「みゆきちゃん絵本が好きなの?」

みゆき「うんっ、大好きだよ~」

のぞみ「へぇ~。あたしもよく読んだりするんだよ」

みゆき「本当に!?」

あかね(なんか仲ようなっとる……)

やよい「あれ、そういえばキャンディは……?」

…………

シロップ『ここはどこロプ……?』

??『シロップ……シロップ……』

シロップ『!!」

??『シロップ……』

シロップ『待ってロプ! シロップを置いていかないでロプ!』

シロップ『イヤだロプー!シロップを一人にしないでロプーッ!』


――――――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――

――――――サンクルミエール学園 学食

コージ「シロップ、シロップ!」

シロー「はっ……!」

コージ「こんな所で寝ていたら風邪を引くよ」

シロー「寝てた……? 夢だったのか……」

コージ「どうしたんだい?」

シロー「……なんでもない」

シロー(あれは……あの夢に出てきた女性はフローラ……?)

コージ「疲れているのなら、今日は早めに帰って休んだほうがいいんじゃないか。顔色が良くないみたいだけど」

シロー「……なんでもねえよ。ほっといてくれ」

メルポ「メー!」

シロー「どうしたメルポ? 手紙が来たのか?」

メルポ「メー! メー!」

シロー「どれどれ、差出人……って、フローラから!?」

コージ「なんだって!」

シロー「フローラから……ロイヤルクイーン宛て? 誰だ、ロイヤルクイーンって」

コージ「ロイヤルクイーン?」

シロー「知ってるのか?」

コージ「ああ、確かメルヘンランドの女王だ。実際に会ったことはないけど……名前は聞いたことあるよ。有名な人さ」

シロー「メルヘンランド……」

コージ「でも聞いた噂によるとメルヘンランドには今危機が迫っているらしい。そういえば最近ポップに全然会ってないな……」

シロー「まぁいいや、とりあえずメルヘンランドに行けばいいんだな」

シロー(そのロイヤルクイーンって人に会えば、フローラのことも何か分かるかもしれない。そうすればキュアローズガーデンにも……)

うらら「シロップー! ココー! こっちに来て一緒にホットケーキ食べませんかー?」

シロー「ホットケーキ……!」

りん「お昼たくさん食べたでしょ。それなのにまだこんなに食べるの?」

うらら「りんさんだって食べてるじゃないですか」

りん「ま、まぁ……甘いものは別腹って言うし。あはは」

シロー「食べたい……けど仕事が入っちゃったからなぁ」

うらら「お手紙が来たんですか?」

シロー「ああ。すぐにこれ届けに行って戻ってくるからホットケーキは残しておけよ」

りん「はいはい」

うらら「そういえばのぞみさん達は?」

りん「今日は図書館で勉強するんだってさ」

うらら「もったいないですねぇ」

キャンディ「おいしそうなにおいがするクル~」

うらら「ですよねー。やっぱりできたてホヤホヤの時に食べるのが一番おいしいですよね」

キャンディ「クルー!」

りん「うんうん……って誰!?」

キャンディ「クル? キャンディのことクル? キャンディはキャンディクル」

りん「キャ、キャンディ……?」

うらら「うわーかわいいー! はい、ホットケーキどうぞ」

キャンディ「ありがとうクルー!」

りん「なに普通にホットケーキあげてんの……」

コージ「キャンディ! キャンディじゃないか!」

キャンディ「クル?」

コージ「僕だよ!」

ポンッ

ココ「ココッ!」

りん「ちょっ、こんなところで変身解かないでよ!? 今は周りに誰もいないからいいものの……」

ココ「覚えてないココ?」

キャンディ「クルー……?」

ココ「……しょうがないココ。覚えてないのも無理ないココ。ココがキャンディに会ったのはキャンディが生まれて間もない頃だったココ」

ココ「ココはパルミエ王国の住人ココ。キミのお兄さんのポップとは友達ココ」

キャンディ「おにいちゃんのともだちクル!?」

ココ「そうココ」

シロー「なぁ、誰なんだよそいつ」

ココ「この子の名前はキャンディココ。メルヘンランドの住人ココ」

シロー「メルヘンランドの!?」

うらら「メルヘンランド……ってなんですか?」

りん「さぁ。パルミエ王国みたいな国じゃないの?」

ココ「でもどうしてキャンディがここにいるココ?」

キャンディ「みゆきといっしょにふしぎとしょかんの本だなにはいったら、なぜかここにきたクル。そしたら、おいしいそうなにおいがしたからここまできたクル」

りん「なんかイマイチよく分からない説明ね……」

うらら「そのみゆきさんっていうのは?」

キャンディ「みゆきはキャンディのともだちクル!」

りん「みゆきって子は今どこにいるの?」

キャンディ「本がたくさんおいてあるへやクル!」

りん「図書室のことかな……。とりあえずこの子の話を聞くより、みゆきって子の話を聞いたほうが早いかもね」

シロー「……まぁいいや。俺はメルヘンランドに行ってくるよ」

キャンディ「クル! メルヘンランドにいくクル?」

シロー「ああ。ロイヤルクイーンに手紙を渡さなくちゃいけないからな」

キャンディ「ロイヤルクイーンクル!?」

ココ「そういえばロイヤルクイーンは今どうしてるココ? 最近まったく話を聞かないココ」

キャンディ「クル……じょうおうさまは今いないクル」

ココ「ココッ!?」

シロー「い、いないってどうしてだよ!」

キャンディ「バッドエンド王国のピエーロのせいで……じょうおうさまは……」

ココ「バッドエンド王国……?」

――――――学園内

みゆき「キャンディー! キャンディーどこ行ったのー!

れいか「見つかりませんね……」

みゆき「うん……。確かに図書館までは一緒に来てたはずなんだけど」

なお「一体どこに行ったんだか」

れいか「あかねさんとやよいさんは別のところを探しに行きましたけど……見つけられたでしょうか」

のぞみ「みゆきちゃん!」

みゆき「のぞみちゃん!?」

のぞみ「あたしも、そのキャンディって子一緒に探すよ!」

みゆき「えっ、でものぞみちゃん勉強の途中なんじゃ……」

のぞみ「勉強は後でもできるから。今はみゆきちゃんの友達を探すほうが大事だよ」

みゆき「のぞみちゃん……! ありがとう!」

のぞみ「ねっ、かれんさん達も一緒に探しましょうよ!」

かれん「もう……仕方ないわね。ふふっ」

れいか「ありがとうございます」

こまち「そのキャンディっていう子はどういう子なの?」

なお「えっ……なんていうか……小さくて」

みゆき「羊みたいな妖精です!」

かれん「羊みたいな……」

こまち「妖精?」

なお「よ、妖精って言うか、なんていうか!」

のぞみ「そっか、その子妖精さんなんだね。わかった!」

なお「……へ?」

のぞみ「よーし、みんなでキャンディを探すぞー! けってーい! じゃあ、あたし達向こう探してくるね!」

みゆき「うん、お願い!」

なお(……納得してくれた)

れいか(妖精だってこと、信じてくれたのでしょうか……)






かれん「……ねえこまち」

こまち「なぁに?」

かれん「妖精が友達って、まさかあの子達……」

こまち「なんだか不思議な感じがするわね。もっとちゃんとお話してみたいわ」

かれん「……そうね」

――――――サンクルミエール学園 学食

ココ「まさかそんなことが……」

シロー「じゃあ、その皇帝ピエーロと戦ったせいでロイヤルクイーンは封印されて、今は会えないってことか?」

キャンディ「そうクル……」

シロー「そんな……せっかくロイヤルクイーンにフローラのことが聞けると思ったのに」

キャンディ「フローラ……ってなにクル?」

うらら「わたし達もよく分からないんですけど……キュアローズガーデンってところに住んでて、わたし達にプリキュアの力を与えてくれた人です」

キャンディ「プリキュアクル!?」

ココ「そうココ。うららとりんはプリキュアココ。ちなみにあとまだ三人いるココ」

キャンディ「みゆきたちもプリキュアクル!」

りん「え?」

キャンディ「みゆきとあかねと、あと……」

ココ「ココッ!? なんか出たココ!!」

うらら「なんか出たって……」

りん「まさか……!?」

スコルプ「そう、そのまさかだよ」

りん「エターナル!!」

キャンディ「クル……なんだかこわいクル」

スコルプ「今日は二人だけかい? まぁいい。いつもみたいに五人で来られるとこちらが不利だからな」

ココ「キャンディ! 隠れるココ!」

りん「いくようらら!」

うらら「はいっ!」

「「プリキュア・メタモルフォーゼ!」」

ルージュ「情熱の赤い炎! キュアルージュ!」

レモネード「はじけるレモンの香り! キュアレモネード!」

キャンディ「クル……キャンディの知らないプリキュアクル」

スコルプ「さぁ、今日こそローズパクトを渡してもらうぞ!!」

ルージュ「誰があんたなんかに!」

レモネード「渡すもんですか!」

ドガアアアーンッ!!


ルージュ「くっ……!!」

スコルプ「どうした! 二人ではそんなものか!!」

レモネード「きゃあっ!?」

ルージュ「レモネード!!」

スコルプ「フフ……たいした事ないな。これならようやく私のノルマも達成できそうだ。さぁ、これ以上痛い目にあいたくなかったらローズパクトを出すんだ」

ルージュ「だ、誰が……!」

キャンディ「クル……」

スコルプ「ん? 見かけない顔だな」

キャンディ「クル!?」

スコルプ「なぁ君、どうやったらプリキュア達が私にローズパクトを渡してくれると思う?」

キャンディ「キャ、キャンディはしらないクル……」

スコルプ「そうか。実は今いい案を一つ思いついたんだ。例えば……君もプリキュア達と同じ目に合わせればローズパクトを渡してくれるんじゃないかってね」

キャンディ「!!」

ココ「やめるココ!! キャンディは関係ないココ!!」

スコルプ「なら痛めつける相手は君でもいいのだよ、パルミエ王国の王子様」

ルージュ「それ以上はさせない!!」

スコルプ「フンッ、そんなボロボロな状態で!!」

ルージュ「ぐっ!?」

スコルプ「私に立ち向かうなんて無駄なのだよ!!」

ドゴッ!!

ルージュ「ぐあっ!?」

スコルプ「全く、よくあんな小さいやつらを守ろうと思えるな。あんな弱くて自分では何もできないようなやつらを」

ルージュ「友達を守ろうとするのは当たり前でしょ!!」

レモネード「そうです! ココもシロップも、今さっき出会ったばかりだけどキャンディも一緒にホットケーキを食べた友達なんです!」

キャンディ「ともだち……」

ルージュ「友達は、絶対に傷つけさせない!!」

スコルプ「ふんっ、口ではなんとでも言えるさ! だがなっ!!」

ルージュ「!?」

スコルプ「現実とは厳しいものなのだよプリキュア!!」

キャンディ「クルッ……!!」

スコルプ「そこで大切な友達が傷つけられる姿を見ているがいい!!」

ルージュ「やめっ――」

キャンディ「みゆきーーーっ!! たすけてクルーーー!!」

キランッ……!

スコルプ「!?」

「てやあああああ!!」

スコルプ「なんだっ!? 空からプリキュアが……ぐわっ!!」

ドガアアアアンッ!!

ルージュ「な、なに今の……」

レモネード「ピンク色の姿が見えましたけど、まさかドリームですか!?」

スコルプ「くっ……誰だ!?」

ハッピー「キャンディ、大丈夫!?」

キャンディ「ハッピー!」

ルージュ「ドリーム……じゃない!?」

キャンディ「キュアハッピークル!!」

ココ「キュアハッピー……新しいプリキュアココ……!?」

ハッピー「もー、探したんだからねキャンディ! 勝手に出歩いちゃダメだよ」

レモネード「ルージュ、あの子は一体誰なんでしょう……?」

ルージュ「まさか、あのキュアハッピーっていうのがみゆきちゃんじゃ……」

スコルプ「また増えたのかプリキュア!?」

ハッピー「あなたは誰! バッドエンド王国の人なの!?」

スコルプ「バッドエンドだがなんだか知らんが……仕事の邪魔をするのなら容赦はせんッ!!」

ハッピー「!」

スコルプ「貴様もあいつらのように!!」

ビューティ「お待ちなさい!」

スコルプ「なにっ!?」

マーチ「これ以上の好き勝手は許さないよ!」

ルージュ「また新しいの出てきた!」

スコルプ「な、なんだ……何がどうなっているんだ」

マーチ「キャンディを探してここまで来たけど……」

ビューティ「あちらにいるお二方は……もしやプリキュア?」

ハッピー「キャンディ、一体どうなってるの?」

キャンディ「そりは……」

ハッピー「そりは?」

キャンディ「キャンディもわからないクル」

ハッピー「や、やっぱり」

ルージュ「ねえあなた達!」

ハッピー「は、はい!」

ルージュ「あなた達もプリキュアなの?」

ハッピー「はい! スマイルプリキュアって言います! 本当はあと二人いるんですけど……」

レモネード「スマイルプリキュア……なんだか楽しそうな名前ですね!」

ルージュ「だったらお願い、一緒に戦って! あいつ悪いやつなの!」

マーチ「確かに……見るからに悪人だね」

ビューティ「キャンディを襲おうとしましたね!」

スコルプ「クソッ……とんだ誤算だ。これではいつもと変わらんではなないか!」

ハッピー「二人とも、行くよ!」

マーチ「うんっ!」

ハッピー「プリキュア・ハッピィィシャワーッ!!」

マーチ「プリキュア・マァァァチシュートッ!!」

ドゴオオオオッ!!

スコプル「うおっ……だがこれしきの攻撃!! 当たりはしない!!」

レモネード「ああっ! 外れちゃいました……」

ハッピー「はぁ……はぁ……」

マーチ「まずい……もう体力が……」

ルージュ「ってええええええ!? なんでもう疲れちゃってんの!!」

ハッピー「ひ、必殺技使うと、一気に体力を消耗しちゃうんです……」

ルージュ「だったらいきなり使っちゃダメでしょ!? ここぞって時に使わないと!!」

ビューティ「マーチ、大丈夫?」

マーチ「ど、どうしよう……」

スコルプ「フフフ……あーっははははは!! 同じプリキュアでもどうやら貴様達は大したことないみたいだな! 全くの役立たずだ」

ハッピー「うう……」

キャンディ「ハッピー! がんばるクル!」

ビューティ「ここは私が!」

スコルプ「どけィ!!」

ビューティ「させません!」

ドガッ!!

スコルプ「なにッ!?」

ビューティ「ハァッ!」

スコルプ「くっ……貴様は少しはやるみたいだな。だがしかし、この程度では!」

ビューティ「!!」

スコルプ「私の敵ではない!!」

ルージュ「レモネード、あたし達も行くよ!」

レモネード「はいっ!!」

スコルプ「無駄無駄ァ!!」

ルージュ「こいつっ……!」

スコルプ「そこだ!!」

ルージュ「きゃあ!!」

レモネード「プリキュア・プリズムチェーンッ!!」

ガシッ!

スコルプ「なッ!」

レモネード「動きを止めました! 今です!」

ビューティ「ここぞという時……それは今っ! プリキュア・ビューティブリザードッ!!」

スコルプ「ぐおおおおおおっ!?」

ドガアアアアアンッ!!

マーチ「やった!」

ルージュ「ま、待って! あいつの姿がない!」

ハッピー「ええっ!? どうして!」

レモネード「プリズムチェーンで縛ったはずなのに……ああっ!? チェーンが切れてます!」

ビューティ「いつの間に……!?」

「フンッ……いつもの面子じゃねえが、こいつらもプリキュアか」

ルージュ「あ、あいつは!?」

レモネード「オオカミさんが喋ってます!」

ハッピー「ウルフルン!!」

ウルフルン「そしててめえが、ジョーカーの言ってたやつか」

スコルプ「貴様……何者だ。エターナルの者ではないようだが」

ウルフルン「俺様の名前はウルフルン! バッドエンド王国三幹部の一人だ!」

ルージュ「バッドエンド王国……!?」

ココ「ココ……!」

ルージュ「あいつがエターナルを助けたの!?」

ウルフルン「別に助けたつもりはねえよ。てめえは下がってな。ジョーカーは協力しろなんて言ってたがその必要はねえ。プリキュアは俺様一人で倒す!」

スコルプ「いきなり出てきて勝手なことを!」

ルージュ「まずい……これじゃあまたピンチじゃない」

ビューティ「っ……私もさっきの攻撃で体力が」

ウルフルン「ヘッ、どうやらもうボロボロみてえだな。そのまま諦めて楽になりな」

ハッピー「諦め……ない……」

ウルフルン「ああン?」

ハッピー「絶対に……諦めない!!」

ルージュ「キュアハッピー……」

ウルフルン「馬鹿がッ! そんな状態でなにができるってんだ!!」

ハッピー「気合だ気合だ気合だアアアアアーッ!!」

ウルフルン「!!」

ハッピー「プリキュアァァアア!! ハッピィィイイシャワァァアアア!!」

ウルフルン「うおあああああ!?」

……プスッ

ハッピー「……出ませんでした」

ウルフルン「だあっ!? び、ビビらせんじゃねえ! いや別にビビってねえけど……」

ハッピー「ち、力が出ない……」

ウルフルン「まぁいい! ともかくこれで終わりだ!!」

ハッピー「!!」

ガシッ!!

ハッピー「うう……あ、あれ?」

ウルフルン「なにッ!?」

ルージュ「悪いけど、この子には指一本触れさせないよ……!」

ハッピー「あ、えっと……」

ルージュ「あたしはキュアルージュ。自己紹介が遅れたわね」

ハッピー「キュアルージュ……」

ルージュ「なんかあんたを見てるとさ、あたしの友達を思い出すよ」

ハッピー「友達……?」

ルージュ「その子とあんた、気が合うかも……ねっ!!」

ドゴッ!!

ウルフルン「ぐわっ!!」

ルージュ「どりゃあああ!!」

ドガアアアアンッ!!

ウルフルン「ぐああああっ!? このっ……キュアサニーのパチモンがァ!!」

ルージュ「あたしはキュアルージュだって言ってんでしょ! 覚えておきな!!」

ウルフルン「グッ……」

スコルプ「フンッ、威勢よく出てきた割には大したことないじゃないか。バッドエンド王国とやら」

ウルフルン「うるせえ!!」

ルージュ「う……っ……」

ハッピー「大丈夫!?」

ルージュ「大丈夫よ……。そっちこそ、怪我とかない?」

ハッピー「ごめんなさい……あたしのせいで」

ルージュ「なに言ってんの。同じプリキュアなんだから、助け合わなきゃ」

ハッピー「っ……!」

スコルプ「だが、それもここまでだ」

ルージュ「!!」

スコルプ「そろそろトドメを刺してやる! プリキュアァ!!」

ルージュ「まずい……!」

レモネード「二人とも逃げて!!」

スコルプ「うおおおおおッ!!」

「ちょっとまったーッ!!」

スコルプ「今度はなんだ!?」

アクア「プリキュア・サファイア・アローッ!」

ミント「プリキュア・エメラルド・ソーサーッ!」

ドガアアアアンッ!

レモネード「あれは……!」

ドリーム「お待たせ、みんな!」

ルージュ「ドリーム!」

ハッピー「ドリーム……?」

ドリーム「あ、あれ!? あたし達以外のプリキュアがいる!?」

ハッピー「あっ、は、初めまして! あたしキュアハッピーって言います!」

マーチ「キュ、キュアマーチです」

ビューティ「キュアビューティと申します」

ドリーム「キュ、キュアドリームです! 初めまして!」

アクア「……まさか、あなた達さっき図書館で会った……みゆきさん達?」

ハッピー「な、なんで分かるんですか!?」

マーチ「ていうかひょっとしてあなた達は……!」

アクア「やっぱりね。なんだか色々怪しかったから……。けど私たちと同じプリキュアだったなんて、今の今までは思わなかったけど」

マーチ「まさに運命ね。私はさっき会った秋元こまちよ」

アクア「そして私が水無月かれん」

ドリーム「はいはーい! 夢原のぞみでーすっ!」

ハッピー「ええええええっ!! のぞみちゃん達もプリキュア!?」

ビューティ「これは奇跡の出会いですね」

ハッピー「すごーい! のぞみちゃんもプリキュアだなんてウルトラハッピー!」

ドリーム「えへへ」

ウルフルン「くそッ……ごちゃごちゃと増えやがって! こうなったら!」

ドリーム「!!」

ウルフルン「世界よ! 最悪の結末、バッドエンドに染まれ! 白紙の未来を黒く塗り潰すのだ! 」

アクア「何をする気なの!」

ウルフルン「出でよアカンベェ!!」

アカンベェ「アカンベェエエエ!!」

ココ「ココッ!? 邪悪な気配が広がっているココ!!」

スコルプ「これがバッドエンド王国とやらの……!?」

スコルプ(この絶望が辺りを包み込むような空気は一体……)

ウルフルン「ウルッフッフッフ……さぁ行けアカンベェ!」

ハッピー「っ……」

ドリーム「大丈夫だよ」

ハッピー「え?」

ドリーム「きっと大丈夫」

ハッピー「……っ! ……うんっ!!」

ウルフルン「ほざきやがれえええええええ!!」

サニー「でりゃああああ!!」

ピース「たぁーーーっ!!」

ドガアアアアンッ!!

アカンベェ「アカンベェ!?」

ウルフルン「なっ、アカンベェ!?」

サニー「遅れて悪いな、ハッピー」

ピース「おまたせっ」

ハッピー「サニー! ピース!」

スコルプ「まだいるのか!?」

サニー「いやー、えらい迷うたわこの学校。キャンディ探すどころかうちらが迷子になってもうた。まったくこんな無駄に広く作る必要ないのになぁ」

アクア「……無駄に広くて悪かったわね」

サニー「えっ」

ピース「あれっ!? プリキュアがいつもより増えてる!!」

ルージュ「やっぱそういうリアクションしちゃうわよね……」

サニー「な、なにがどうなってんねん」

ビューティ「単刀直入に言えば、先ほど私たちが出会ったのぞみさん達はプリキュアだったのです」

サニー「なんやて!? うちら以外のプリキュアがおったのか! しかもさっき会ったって……」

ピース「ええと、今何人いるんだろう……」

ミント「合わせたらちょうど10人ね」

レモネード「すごいです! 今日で一気に倍になっちゃいました!」

マーチ「こんなにプリキュアがいたなんて……!」

ハッピー「これだけいればもう無敵だね!」

ドリーム「プリキュアが10人も集まれば、100人力だね!」

ハッピー「えっ、10人なのに100人?」

ドリーム「え? あれ?」

ルージュ「あーそこそこ……ボケ合わないの」

サニー「まさかこの子、のぞみか。ほんま気が合うみたいやな」

ウルフルン「くそッ! オイどんだけいるんだよこいつら!?」

スコルプ「私に聞くなッ!」

スコルプ(しかしこれではまずいな……一度撤退したほうがいいかもしれん)

ウルフルン「ええいッ全員ぶっ潰してやる! やれアカンベェ!」

アカンベェ「アカンベェ!!」

ドリーム「みんな行くよ!」

「「「「イエスッ!」」」」

レモネード「プリキュア・プリズムチェーンッ!」

ルージュ「プリキュア・ファイヤーストライクッ!!」

ミント「プリキュア・エメラルドソーサーッ!!」

アクア「プリキュア・サファイアアロォーッ!!」

ドリーム「プリキュア・シューティングスターッ!!」

ドガアアアアアアンッ!!

アカンベェ「アァ……カンベ……ェ……」シュウウウ

ウルフルン「ああっ!? やられちまった!!」

ハッピー「す、すごい……」

サニー「うちらとはまるで違うな……」

ウルフルン「クッ……ソオオオオ!! 10人は卑怯だろ!?」

スコルプ「フンッ……後は一人でやってろ」

ウルフルン「なにっ!?」

スコルプ「またプリキュアの報告書を書かなければ……」

スコルプ(そしてバッドエンド王国のことも……)シュンッ

ウルフルン「逃げやがった!?」

ハッピー「ウルフルン!」

ビューティ「これでもまだ戦いを続けますか?」

ウルフルン「くっ……覚えてろチクショウ!!」シュンッ

ハッピー「はぁ……疲れた」

キャンディ「ハッピー、おつかれクル」

ハッピー「おつかれ~」

ドリーム「ハッピー」

ハッピー「!!」

ドリーム「あたしキュアドリーム。改めて、よろしくね」

ハッピー「うんっ! よろしく!」

サニー「しっかしまぁ……なんか不思議な状況やな」

マーチ「本当だよ。とりあえず……どうしよっか」

ドリーム「とりあえず……」

ぐぅ~

ドリーム「お腹すいちゃった」

ルージュ「もう……こんな時に」

ドリーム「えへへ」

ミント「そうだ、お茶会でも開きましょうか」

ルージュ「ええっ、今からですか?」

ミント「私たち、お互いに事情を話し合う必要もあるし。それなら、ケーキとか食べながらした方がいいじゃない」

アクア「そうね。私たちも、あなた達のことをもっと知りたいし」

ドリーム「よぉーし、みんなでお茶会だー! けってーい!」

ハッピー「けってーい!」

アクア「ドリームはその後勉強があるのを忘れないでね」

ドリーム「あう……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!

ドリーム「!!」

ハッピー「わわっ!? 地震!?」

ピース「つ、机の下に隠れなきゃ!」

レモネード「おへそも隠さないと!」

サニー「それカミナリやろ!」

ルージュ(あたし以外にもツッコんでくれる子いた……よかった)

アクア「みんな落ち着いて! なんだか様子が……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!

キャンディ「クル~っ!!」

ココ「これはなにが起きてるココ!?」

シロー「な、なんなんだ一体!」

ハッピー「わわわわっ!!」

ドリーム「気をつけてみんな!!」

ハッピー「ど、どうなっちゃうの~!?」


――――――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――

今日は以上です

――――ラビリンス

ピピッ

ルピナス「……! 王国からの連絡よ。移転してきたプリキュアの誘導をしろだってさ」

ストック「……」

ルピナス「あたしはここでまだプリキュア集めなきゃいけないから、あんたが行ってきてストック」

ストック「……分かってるわ」

ルピナス「……」

ストック「……ルピナス。作業が終わったら、すぐにでもラビリンスの住人を解放してあげて。システムに支配された世界なんて、そんなのは存在してはいけない」

ルピナス「分かってるわよ。あんたも早く行って来なさい」

ストック「……」

ストック(……この世の悪は全て根絶する。あの子ができなかった分まで……プリキュアとして、私が。強くならなきゃ……)

ルピナス「……真面目ちゃんはこれだから」

――――???

バルデス「……!!」

バルテス「なんだ……これは。一体何が起きてるというのだ」

バルデス「世界が……まるで元の姿に……」

ゴーヤーン「お気づきですかな、世界の異変に」

バルデス「!!」

バルデス「……貴様、何者だ。なぜここに入ってこられた」

ゴーヤーン「休養中のところ申し訳ありません。私、ダークフォールのゴーヤーンと申すものです」

バルデス「ダークフォール……?」

ゴーヤーン「はい。アクダイカーン様が支配する滅びの国です。あなた達ドツクゾーンと同じく闇の世界の住人でございます」

バルデス「……そのダークフォールが一体なんの用だ」

ゴーヤーン「本日はご挨拶をと思いまして。聞くところによるとあなた方は以前“伝説の戦士プリキュア”と戦っていたそうではないですか。そしてその戦いに敗れ今は……」

バルデス「……」

ゴーヤーン「おっと失敬。余計なことを言ってしまいましたね」

バルデス「フンッ……」

ゴーヤーン「実はですね、私共も今そのプリキュアに手を焼いているのですよ」

バルデス「……」

ゴーヤーン「しかも彼女たちあなた方が戦った光の園のプリキュアではなく泉の郷のプリキュア。そう、新しいプリキュアなんです」

ゴ-ヤーン「つまり、緑の郷……おっと、あなた方が言うには虹の園でしたね。そこにはプリキュアがなんと4人もいることになります」

ゴーヤーン「この状況がお分かりですか……?」

バルデス「4人ではない」

ゴーヤーン「!」

バルデス「プリキュアは……光の戦士は他にもまだ存在する。別次元の世界にな」

ゴーヤーン「ほうほう」

バルデス「その様子だと貴様も気づいているようだな。ドツクゾーン、そして光の園と虹の園……全てに今異変が起きてると」

ゴーヤーン「……」

バルデス「……フッ、まぁいい、ダークフォールの用件はなんだ」

ゴーヤーン「来る日の時は……是非とも共にプリキュアと戦いたく」

バルデス「我々と手を組もうと?」

ゴーヤーン「私たちの目的は世界樹を手に入れ世界を滅ぼすこと。そのためには緑の郷にある太陽の泉が必要なのです」

ゴーヤーン「もちろん協力というわけですから、ドツクゾーンの目的にも我々は力添えさせていただきます」

バルデス「……」

ゴーヤーン「ドツクゾーンは何をお望みで?」

バルデス「……ジャアクキングの復活だ」

――――夕凪中学校

咲「はぁ……はぁ……」

「咲ー! あと一人だよー!」

咲「はぁ……はぁ……!」

咲「でぇえええい!」ビュンッ

バスッ

『ストライークッ! バッターアウトッ! ゲームセット!』

咲「やっ……たー!」

仁美「咲ー! ナイスピッチング!」

優子「やったね咲!」

咲「日向咲、本日も絶好調ナリー!」

…………

篠原「みんな今日の練習試合お疲れ。帰りは気をつけるんだよ」

咲「はーい、先生」

舞「咲!」

咲「舞!」

舞「お疲れ様。のど渇いてない? はいこれ」

咲「わぁっ、ありがとう舞!」

舞「……ふふっ」

咲「どうしたの?」

舞「ううん。咲ってばあれだけ運動した後なのにまだ元気そうだから」

咲「あれぐらいなんてことないって。なんならもう一試合やったっていいぐらいなんだから」

ぐぅ~

咲「あ……」

舞「ふふっ、もう咲ったら。お腹すいてるの?」

咲「あはは……やっぱあれだけ運動しちゃうとねー」

フラッピ「フラッピもお腹すいたラピ!」

咲「いきなり出てこないの」

フラッピ「お腹すいたラピお腹すいたラピお腹すいたラピ!」

咲「あーもう、うるさーい」

チョッピ「チョッピもお腹がすいたチョピ」

舞「そういえばもうお昼すぎてるわね」

咲「えっと、ミックス・コミューン使えばフラッピたちのごはん出てくるんだっけ?」

フラッピ「早く食べさせるラピ!」

咲「わーかってるわよ」

舞「あっ、そうだ」

咲「なに?」

舞「今日町の広場でイベントがあるらしいの」

咲「イベント?」

舞「うんっ。それでね、出店とかもたくさん開かれてるんだって」

咲「出店ってことは……食べ物たくさん食べれるのかな! 焼きそばとか、たこ焼きとか!」

舞「たぶんね」

咲「マジ!? 行こ行こっ! 広場に!」

舞「うんっ」

フラッピ「咲ー! ごはん早くするラピー!」

咲「はいはい。今やるってば」

チョッピ「チョピ……?」

舞「どうしたのチョッピ?」

チョッピ「……ううん。なんでもないチョピ。気のせいチョピ」

舞「そう……?」

チョッピ(なんだか一瞬……変な気配がしたチョピ……)

――――光の園

クイーン「その時が来たようです……」

長老「クイーン……」

クイーン「心配することはありません。原始の姿、遠い昔にあった元の姿に戻るだけなのです」

ウィズダム「そんな……」

クイーン「先の戦いの時……ジャアクキングが断末魔の際に放ったものにより私は大きな痛手を受けました」

クイーン「私は元の姿に戻ります。ですが…」

長老「どうなさいました、クイーン」

クイーン「……間もなく、光の園と虹の園は大きな試練を迎えます。来たるべき日が迫っているのです」

ウィズダム「大きな試練とは……?」

クイーン「……光と闇の戦争です」

ウィズダム「せ、戦争!?」

クイーン「ですがよく聞いてください。心を強く持つのです。未来を……全てあなた達に託します」

クイーン「光の園、虹の園、そしてあらゆる世界を照らしだす光の意思を受け継ぐのです。伝説の戦士と共に、みんなの心がつながれば……」

クイーン「私は必ずあなた達の元に再び現れることができるでしょう」

ウィズダム「クイーン……」

クイーン「いいですか、決して心の光を失わないように。そして闇に……いえ、混沌に飲まれてはいけません」

長老「混沌……」

クイーン「さぁ、もうここから離れなさい」

クイーン(プリキュア……これから過酷な運命があなた達を待ち受けます。ですが心と命の強さを決して忘れてはいけません)

クイーン(そうすればあなた達の未来は、きっと切り開かれるでしょう)

クイーン(そして、カトレア……あなたにもどうか本当の幸せが訪れんことを)

――――海原市夕凪

ほのか「わぁ……! すごーい! 見て見てなぎさ、海がとても綺麗よ」

なぎさ「……ぐがー」

ほのか「……もう」

アカネ「あははっ。ま、仕方ないよ。朝早くからの出発だったからねー。それにしても今日はありがとうね、お店の手伝いしてくれて」

ほのか「いえ。私も一度この町に来てみたかったんです。自然が豊かって聞いてて」

アカネ「確かに豊かだよねー。なんだか優しい町って感じがするよ。あっ、もうそろそろ着くよ」

ほのか「なぎさ、起きて。もう着くんだって」

なぎさ「う……う~ん?」

アカネ「ほら起きな。着くよ」

なぎさ「んん~……ん? うわっ、なんか潮の匂いがする!?」

ほのか「だからもう着いたんだってば」

なぎさ「うわ~っ! すごいよほのか! 海超キレイ!!」

ほのか「もうなぎさってば……ふふっ」

今日は以上です

――――広場

アカネ「よしっ、じゃあ早速店開くよ。なぎさ、テーブルの設置お願い」

なぎさ「はーい。それにしても良い天気だよねー、絶好のたこ焼き日和って感じ」

ほのか「ねえ、なぎさ。お店終わったら海行かない?」

なぎさ「行く行く! メップル達も……あっ」

ほのか「ミップル達は……」

なぎさ「そうだったね……戦いが終わって、永遠の眠りについたんだよね。それなのにあたしってばうっかり」

なぎさ「いたらいたで鬱陶しいだけなのにさ、いなくなるとなんだか……」

ほのか「寂しくなっちゃうわね」

なぎさ「ほのか……」

ほのか「私もたまにうっかりミップルに話しかけちゃったりするの。癖になっちゃってるのかな」

なぎさ「あははっ。あたしも」

アカネ「あーーーーっ!!!」

なぎさ「な、なにアカネさん!?」

ほのか「どうしたんですか?」

アカネ「しまったぁ……あたしとしたことが。……青ノリ切らせちゃってる」

なぎさ「ええっ!?」

アカネ「なんてことだよ全く。とんだ失態だよ……はぁ」

なぎさ「ど、どうするんですか」

ほのか「買ってきましょうか? スーパーとかなら手に入ると思いますし」

アカネ「ああ、頼むよお願い」

なぎさ「あたしも一緒に行くよほのか」

アカネ「ところで……スーパーの場所分かるの?」

ほのか「来る途中に見かけましたから。たぶん大丈夫です」

アカネ「流石ほのか、助かるよ。じゃあお願いね。はいこれお金、なるべくたくさん買ってきて」

ほのか「なぎさ、荷物持ちお願いね」

なぎさ「まっかせて」

…………

咲「出店出店♪ 最初は何食べよっかな。焼きそばにしようかな、それともたこ焼きにしようかな」

舞「咲、楽しそうね」

フラッピ「食べ物のことになるとまるでお子様ラピ」

咲「なんですってー! あんたに言われたくないわよ!」

チョッピ「……」

舞「チョッピ?」

チョッピ「チョピ?」

舞「どうしたの? さっきからなんだか様子が変よ」

チョッピ「……さっき、一瞬だけ嫌な気配がしたチョピ」

咲「まさか、またあのカレハーンとかいうやつが来るの!? 勘弁してよ、せっかくの出店が台無しになるじゃない」

チョッピ「違うチョピ。ダークフォールの気配じゃなかったチョピ」

舞「じゃあ一体なんの……」

チョッピ「チョピ!?」

フラッピ「ラピ! 今度はフラッピも感じたラピ!!」

咲「な、なにを!」

フラッピ「なにか来るラピ!」

咲「だからなにが!?」

チョッピ「気をつけるチョピ!」

舞「っ……!?」

ザケンナー「ザァァアアケンナァァアアア!!」

咲「なっ……ザケンナー!?」

舞「って何!?」

ザケンナー「ザァァアケンナァァアー!!」

咲「こっち来る!?」

フラッピ「変身するラピ!」

咲「舞!」

舞「う、うん!」

「「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」」

ブルーム「輝く金の花、キュアブルーム!」

イーグレット「煌めく銀の翼、キュアイーグレット!」

「「ふたりはプリキュア!」」

イーグレット「聖なる泉を汚す者よ!」

ブルーム「アコギな真似はお止めなさい!」

ザケンナー「ザケンナーーーッ!!」

ブルーム「あれって……ウザイナーの親戚?」

イーグレット「まさかあれもダークフォールの……?」

フラッピ「違うラピ!」

チョッピ「あれはダークフォールじゃないチョピ!」

ブルーム「じゃ、じゃあ何なのよ」

フラッピ「分かんないラピ! とにかく戦うラピ!」

ドガアアアアアアアアアンッ!!

ザケンナー「ザァァケンナァァアア!!」

ブルーム「もーっ! あんた何なのよ一体! せっかくこれから舞と出店回ろうと思ってたのに!!」

イーグレット「たあっ!」

ドガッ!!

イーグレット(蹴りが効かない……!?)

ザケンナー「ザァアアケンナアアアアッ!!」

ゴガアッ!!

イーグレット「きゃあっ!?」

ブルーム「イーグレット!」ガシッ

イーグレット「あ、ありがとうブルーム」

ブルーム「こうなったら、一気に決めよう!」

イーグレット「うんっ……!」

ザケンナー「ザケンナーーーッ!!」

ブルーム「大地の精霊よ……!」

イーグレット「大空の精霊よ……!」

イーグレット「今、プリキュアとともに!」

ブルーム「奇跡の力を解き放て!」

「「プリキュア!ツイン・ストリィィイイムッ…スプラーーーッシュ!!」」

ザケンナー「ザァアアケンナァアー……!?」

シュウウウウ……

ブルーム「はぁ……はぁ……」

イーグレット「や、やったの……?」

ゴメンナー「ゴメンナー」

ブルーム「わわっ!?」

ゴメンナー「ゴメンナーゴメンナー」

イーグレット「な、なんなのあれ……。今倒したのが、分裂して小さくなった?」

ブルーム「どこかに行っちゃった……」

イーグレット「チョッピ、さっき言ってたけど今のはダークフォールじゃないの?」

チョッピ「違うチョピ。ダークフォールとは似ていたけど、別の力を感じたチョピ」

フラッピ「けどあれも間違いなく邪悪な力ラピ!」

ブルーム「そ、そりゃ見るからに悪そうなやつだったけど。でも別の力ってことは……」

イーグレット「ダークフォールとは違う組織が現れたってことよね」

ブルーム「か、勘弁してよ~。ダークフォールでさえ苦労してるのに」

イーグレット「新しい敵も、太陽の泉を狙っているのかしら……」

長老「太陽の泉……はて、どこかで聞いたことのある言葉じゃのう。なんじゃったろうか……」

ブルーム「太陽の泉っていうのは、えーっと、確か世界中を支える七つの泉の一つで……って誰いきなり!?」

長老「ほっほっほ」

ブルーム「いや、ほっほっほじゃなくて!」

イーグレット「だ、誰なんですか……?」

長老「おおっと失敬失敬。ワシは長老、光の園からやって来た者じゃ」

フラッピ「光の園!?」

ブルーム「な、なに? 知ってるの?」

フラッピ「フラッピ達が住んでいた泉の郷と同じ、自然が豊かな妖精の世界ラピ!」

チョッピ「けどチョッピ達は行ったことがないチョピ」

フラッピ「大昔に光の園と泉の郷は一つだったと聞いたラピ。けど、ある事件がきっかけ世界は二つに分かれてしまいそれ以降繋がりをもたなくなったそうラピ」

チョッピ「こんなところで光の園の住人に会えるなんて嬉しいチョピ~」

フラッピ「でもどうしてここに光の園の住人がいるラピ?」

長老「うーむ、実は人探しをしてる途中で仲間とはぐれてしまってのう」

ブルーム「人探し?」

長老「そうじゃ、伝説の戦士プリキュラを探しておるんじゃ」

イーグレット「えっ……!?」

ブルーム「プリキュ……ラ? ア、じゃなくて?」

長老「ん? おーそうじゃそうじゃ、プリキュアじゃプリキュア。どこにいるか知らんか?」

イーグレット「あの……私たち一応」

ブルーム「そのプリキュアなんですけど」

長老「……はて?」

ブルーム「……」

イーグレット「……」

長老「おおっ! 確かに光の力を感じる! だが、おぬし達もプリキュアなのか?」

ブルーム「だからそう言ってるじゃない」

イーグレット「『も』?」

長老「ふむふむ、どことなくあのふたりにも似ておるのう。しかしあのふたりに以外にもプリキュアがいたとは……これは驚いた」

イーグレット「あの……」

長老「なんじゃ?」

イーグレット「ひょっとして、私たち以外にもプリキュアっているんですか?」

長老「おるぞ」

ブルーム「本当に!?」

長老「ああ。その名も……ヨシコさんとケイコさんじゃ」

ブルーム「ヨシコさんと……」

イーグレット「ケイコさん?」

長老「それよりも急いだほうが良い。急いであのふたりに会わないと……」

ブルーム「え?」

長老「彼女達に危険が迫っておるのじゃ」

…………

なぎさ「これぐらい買っておけば十分かな」

ほのか「一人でその袋持てる?」

なぎさ「大丈夫だってこのぐらい」

ほのか「ふふっ、頼りになるわね」

なぎさ「……」

ほのか「どうしたのなぎさ?」

なぎさ「いや、あの子がこっちを見てると思って…」

ほのか「え?」



ひかり「……」

ほのか「誰かしら……知り合い?」

なぎさ「いや、知らないけど」

ほのか「だとしたらこの地域の子かしら」

なぎさ「ってあれ!? ちょっと目を離したらいなくなっちゃった!」

ほのか「どこにもいない……」

なぎさ「なんか気味悪いなぁ……早くアカネさんのところに戻ろ」

ほのか(さっきの子は一体……)

ドガアアアアンッ!!

なぎさ「な、なに!?」

ほのか「この感じは……!?」

ウザイナー「ウザイナアアアア!!」

ほのか「う、ウザイナー!?」

なぎさ「ってなに!?」

カレハーン「ククク……ようやく見つけたぞ」

なぎさ「!!」

カレハーン「貴様たちが話に聞いた光のプリキュアか。ふんっ、あいつらと同じく普通の人間だな」

ほのか「あなたは誰!? まさか、ドツクゾーンの……!!」

カレハーン「俺の名はカレハーン、ダークフォールの幹部の一人。カレッチと呼んでもいいぞ」

なぎさ「な、なに言ってんのこいつ……」

ほのか「ダークフォール……。あなた達の目的はなに!?」

カレハーン「ふんっ、貴様たちがあいつらと同じプリキュアだというのなら……放っておくわけにはいかないのだ!」

ウザイナー「ウザイナアア!!」

なぎさ「ダークモールだかショッピングモールだか知らないけど……」

ほのか「モールじゃなくてフォールよ」

なぎさ「ここはひとまず……逃げるよほのか!」

ほのか「ま、待ってなぎさ!」

カレハーン「追え! ウザイナー!!」

ウザイナー「ウザイナアアアアア!!」

なぎさ「光と闇の戦いが終わったっていうのに、なんでまたこんなことに巻き込まれるわけ!?」

ほのか「ね、ねえ。さっきあの人、あいつらと同じプリキュアとかって言ってたわよね?」

なぎさ「ええ? な、なにそれ」

ほのか「確かにそう聞いたわ。まさか、ひょっとして……」

ウザイナー「ウザイナー!!」

なぎさ「と、とにかく今は逃げるよ!!」

カレハーン「そう簡単に逃げられると思うな!」

ドガアアアンッ!!」

ほのか「きゃあっ!?」

カレハーン「どうした、いつまで逃げているつもりだ。早くプリキュアに変身してみせろ」

なぎさ「そんなこと言われたって……」

なぎさ(メップルとミップルがいない今、あたし達が変身することなんて……)

カレハーン「戦う意思がないというのなら、これで終わらせてやる!」

なぎさ「!!」

カレハーン「ゆけっ!! ウザイナー!!」

ポルン「プリキュラをイジメちゃダメポポー!!」

カレハーン「なんだ!?」

なぎさ「ポ、ポルン! どうしてここに!?」

ウィズダム「ポルンだけではありません!」

ほのか「ウィズダムまで!」

ウィズダム「探しましたぞ、お二人とも!」

なぎさ「一体どういうこと!? ポルンはメップルたちと一緒に永遠の眠りについたんじゃ……」

ポルン「ポルンにもわからないポポ。きがついたらおきていたポポ」

ウィズダム「実は今光の園では大変なことが起きているのです! クイーン様が消えてしまって……」

なぎさ「ええっ!?」

ウィズダム「クイーン様が仰られていました、これから光と闇の戦争が始まると。どうやら戦いはまだ終わってないようなのです」

ほのか「光と闇の……戦争……!?」

なぎさ「もう!! 一体なんなのよ次から次へと!!」

カレハーン「くっ……何がなんだか分からんが、これでトドメだ!」

なぎさ「!!」

イーグレット「そうは……」

ブルーム「させないんだから!!」

ドガアアッ!!

カレハーン「なにっ!?」

なぎさ「なっ……!」

ほのか「まさか、このふたり……!?」

イーグレット「大丈夫ですか!」

ブルーム「あなた達がヨシコさんとケイコさんですね! あたし達が来たからにはもう大丈夫!」

なぎさ「あ、ありがとう……って誰よヨシコさんとケイコさんって!?」

ブルーム「え?」

なぎさ「あたしはなぎさ! それでこっちはほのか!」

ブルーム「なぎさ、さんと……」

イーグレット「ほのかさん?」

ほのか「この間違え方ってひょっとして……」

長老「おお、無事じゃったかふたりとも!」

ウィズダム「長老! 一体どこに行っていたんですか!?」

長老「すまんすまん。ちょっと美味しそうな匂いにつられてしまってのう」

ほのか「あなた達、プリキュアなの……?」

イーグレット「え? は、はい」

なぎさ「うそっ!? あたし達以外にもプリキュアがいたなんて!」

ブルーム「実は最近プリキュアになったばかりで……。あたしはキュアブルーム!」

イーグレット「キュアイーグレットです」

フラッピ「フラッピラピ!」

チョッピ「チョッピチョピ!」

なぎさ「……」

ほのか「……」

長老「驚くのも無理はない。このふたりは光の園とは違う、泉の郷のプリキュアなんじゃからな」

ほのか「泉の郷……?」

カレハーン「現れたな! いつものプリキュア!!」

ブルーム「カレーパン! またあんたの仕業なのね!」

カレハーン「カレハーンだ!」

イーグレット「二人は下がって後は私たちに任せてください!」

なぎさ「わ、分かった」

ほのか(あれ、ポルンが目覚めているってことはまさか……)





???(フンッ、やっと二組のプリキュアが揃ったか。なら少しは手を貸してやるか)

???「ゆけっ! ザケンナーよ!」

ドガアアアンッ!!

イーグレット「な、なに!?」

ザケンナー「ザケンナアアアア!!」

ブルーム「さっきのやつ、また出たの!?」

なぎさ「ザケンナーまで!」

カレハーン「こいつは……。なるほど、ゴーヤーンが話していたやつか」

ウザイナー「ウザイナアアアアッ!!」

ザケンナー「ザアアアアケンアアアアッ!!」

イーグレット「そんな、二体も相手に……」

ドガアアアアッ!!

イーグレット「きゃあっ!?」

ブルーム「ああっ!!」

なぎさ「ブルーム!」

ほのか「イーグレット!?」

カレハーン「フハハハ! 勝てる、これなら勝てるぞ!」

ブルーム「ぐ……」

ブルーム(さっきの戦いの疲れがまだ……)

イーグレット「うう……」

フラッピ「ブルーム!」

チョッピ「イーグレット!」

カレハーン「今日こそ貴様たちの最後の日だ! プリキュア!!」

カレハーン「ゆけウザイナー! トドメをさすんだ!!」

ブルーム(まずい、このままじゃ……!!)

なぎさ「待ちなさーい!!」

カレハーン「ん?」

ほのか「これ以上、この二人を傷つけるのは許さないわ!」

ブルーム「なぎさ……さん」

イーグレット「ほのかさん……」

カレハーン「なんだお前達。変身もできないくせにそんなやつらを守るつもりか?」

なぎさ「そんなの関係ない! これ以上誰かが傷つくのを黙って見ていることなんてできないわ!!」

ほのか「そうよ! 変身できなくて戦えなくても、私たちの心はプリキュアであることには変わりない!!」

なぎさ「このふたりはあたし達のことを守ってくれた。だから今度はあたし達がこの二人を守る番よ!!」

カレハーン「フンッ、愚かな……。無力な貴様たちに何が守れるというんだ。四人とも消えてしまうがいい、ウザイナー!!」

なぎさ「!!」

「誰かを守りたいと思う気持ち……優しい心。それが、プリキュアの力……」

なぎさ「えっ……」

ほのか「この声は、クイーン……?」

ポルン「ポポッ!?」



ひかり「……」

カレハーン「なんだ、また何か現れたのか!?」

ほのか「あの子はさっきの!」

なぎさ「どうしてここに……!?」

ひかり「わたしは……一体……」

ひかり「ここは……?」

ポルン「ポポーッ!!」

ひかり「!!」

ピカッ!!

カレハーン「な、なんだこの光は!?」

ポルン「なんだかちからがあふれてくるポポッ!」

チョッピ「チョピ……」

イーグレット「どうしたの?」

フラッピ「不思議な感じラピ。なんだか、懐かしいような……」

ひかり「あなたは……?」

ポルン「ふたりでちからをあわせてプリキュラをたすけるポポ!」

ひかり(一体なんのこと……わたしはどうしてここに。それにわたしは誰……?)

ひかり(あの優しい声、あの声に導かれてここに……あれは一体……)

ひかり「……」

ひかり(でもなぜだろう……あそこにいるふたりのことを、わたしは知っている……?)

「あなたが呼び寄せたのです」

ひかり「!!」

ひかり(さっきの声!!)

「あなたがみんなを呼び寄せたのです。あなたが、必要としている人たちを」

ひかり「わたしが……必要としてる人を……?」

「そしてあなたにはあるはずです。あなたにしか、できないことが……」

ひかり「わたしにしか、できないこと……」

ひかり(わたしは……わたしがやるべきことは……!)

ポルン「手をかざすポポ!」

ひかり「ルミナス、シャイニングストリーム!!」

カレハーン「なっ……!?」

ルミナス「輝く命、シャイニールミナス! 光の心と光の意志、総てをひとつにするために!」

なぎさ「うそ……」

ほのか「変身した……」

ブルーム「あ、あの子もプリキュアなのかな」

イーグレット「分からない。でも、なんだろう……。あの子から発せられてる光……すごく温かい」

ルミナス「……」

カレハーン「ぐっ……な、なんだこの不快な光は! ええいやってしまえ!!」

ザケンナー「ザケンナアアアア!!」

ウザイナー「ウザイナアアアア!!」

ルミナス「!!」

ブルーム「あ、危ない!」

イーグレット「たああっ!!」

バアアアンッ!!

カレハーン「くっ、まだ立ち上がる力が残ってたか!!」

ブルーム「大丈夫?」

ルミナス「……」

イーグレット「どうしたの?」

ルミナス「……来る」

ブルーム「えっ、来るって何が……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!

カレハーン「な、なんだこの揺れは!?」

なぎさ「ちょ、ちょっと! こんな時に地震!?」

ルミナス「違います。これは……全てが一つになるとき時。そして、再生の力が……」

ブルーム「な、なにそれ……!?」

ほのか「全てが、一つ……?」

イーグレット「一体なんのことなの!?」

ルミナス「わたしは……わたしは……!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!

なぎさ「揺れが強くなる!!」



???(始まるか……とうとうこの時が)

???(全てが一つに。いや……元に戻るのだ。カオスによって……)


ほのか「なぎさ!」

なぎさ「ほのか、つかまって!!」

ブルーム「イーグレット、こっち!!」

イーグレット「ブルーム!!」

ルミナス「……!!」


キュィィイイイイインッ……!!



――――――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――

――――???

なぎさ「うう……」

ほのか「な、なにが起きたの……」

なぎさ「ほのか……大丈夫?」

ほのか「ええ、なんとか」

ブルーム「ぐっ……」

イーグレット「今の揺れは一体……?」

ブルーム「あ、あれ? さっきの子は?」

なぎさ「いない……いつの間に」

イーグレット「待って、カレハーンもいないわ!」

ブルーム「えっ、な、なんで!?」

ほのか「これは一体……それにここは」

ドガアアアアアンッ!!

なぎさ「!!」

ニンジンナケワメーケ「ナーケワメーケー!」

なぎさ「あ、あれは……!」

ブルーム「ニンジンの化け物!?」

ほのか「なんでニンジンなのかしら」

ウエスター「くそっ、プリキュアめ!! 一体何をしたんだ!?」

ブルーム「!!」

ウエスター「ん? なんだお前達は。そのヒラヒラ、まさか……コスプレというやつか!」

ブルーム「は、はあ?」

ウエスター「おのれ、プリキュアっぽいコスプレをするなんて……許せん!」

ブルーム「これはコスプレじゃなくて!」

イーグレット「私たちは正真正銘のプリキュアです!」

ウエスター「なにィ!? プリキュアだと! だ、だが俺の知っているプリキュアとは違うぞ」

ウエスター「ええいイース、サウラー、どこに行ったんだ!!」

なぎさ「な、なんなのあの人……」

ウエスター「くそぉ、わけがわからんがお前たちがプリキュアだと言うのなら俺の敵だ! やれナケワメーケ!!」

ニンジンナケワメーケ「ナーケワメーケー!」

ドガアアッ!!

ブルーム「くっ!」

イーグレット「こんな、いきなりなんて……きゃあっ!?」

ほのか「まずいわ、あの二人相当疲れているみたい」

なぎさ「くっ……! ちょっとあんた、いきなり襲ってくるなんて卑怯じゃない!!」

ウエスター「なんだ、お前達もプリキュアか!」

なぎさ「だったらなんだっていうのよ! 今は変身できないけど……あたし達もプリキュアよ!!」

ウエスター「だったらお前達も俺の敵だあああ!!」

なぎさ「!!」

ストック「そうはさせない!!」

ドガアアッ!!

ウエスター「なにィっ!?」

ニンジンナケワメーケ「!?」

イーグレット「あなたは……」

ストック「足は止めた! 今のうちに!!」

ブルーム「……! 行ける? イーグレット!」

イーグレット「大丈夫よブルーム!」

ブルーム「大地の精霊よ……!」

イーグレット「大空の精霊よ……!」

イーグレット「今、プリキュアとともに!」

ブルーム「奇跡の力を解き放て!」

「「プリキュア!ツイン・ストリィィイイムッ…スプラーーーッシュ!!」」

ニンジンナケワメーケ「ナーケワメーケエエエエエ!!」

ドガアアアアアアンッ!!

なぎさ「これがあのふたりの力……」

ほのか「なんだか私たちに似ているわね」

ストック(凄い……私一人じゃこんな強い力は出せない。これが異世界のプリキュアの力……)

ウエスター「な、なんだこの凄まじい力は……!? くそー!! とりあえず今は見逃してやる、覚えてろよー!!」

ブルーム「行っちゃった……。はぁ、とりあえずこれでなんとかなったのかな」

イーグレット「一日に何度も戦うなんて……疲れちゃったわ」

ストック「四人とも、怪我はありませんか?」

ほのか「え、ええ」

なぎさ「ありがとう、助けてもらっちゃって」

ストック「助けるのは当たり前です。私だってプリキュアの一人なんだから」

なぎさ「えっ!?」

ブルーム「プ、プリキュアって……」

ストック「そう、私もプリキュア。名はキュアストック」

ストック「そしてこの世界には今、様々なパラレルワールドから来たプリキュアが集まっています」

イーグレット「ど、どういうことなの?」

ほのか「この世界って……?」

ストック「とりあえず、私についてきてください。詳しいことは王宮で話します」

――――ラビリンス

ルピナス「システムの誤差で転移された地点がバラバラになってるところもあるみたいね……」

ルピナス「まぁいいわ、転移できてることには変わりないんだし。さて、次はどの世界を……」

ノーザ「そこまでよ、お嬢さん」

ルピナス「!?」

ノーザ「まったく、好き勝手やってくれたものね」

ルピナス「なっ……!? お前は!!」

メビウス「これ以上の勝手はさせんぞ、異世界のプリキュア」

ルピナス「メビウス!? お前は確か消去したはずじゃ……!!」

メビウス「愚か者め、あの程度で倒される私ではない」

ノーザ「クライン、あなたがいてどうしてこんな小娘の侵入を許したの」

クライン「……返す言葉もない」

ノーザ「まぁいいわ。さぁ、大人しくすることね。システムに何をしたのか話してもらうわよ」

ルピナス「くっ……」

ルピナス(こんな状況、まともにやりあったら勝てるわけがない……)

ルピナス(だったらせめて……)ピピピッ

ドガアッ!!

ルピナス「きゃあっ!?」

ノーザ「黙ってちゃ分からないじゃない。ラビリンスに何をしたか言いなさい!!」

ルピナス「あ……うぅ……」

ルピナス(血……傷? あたしの顔に……!?)

ルピナス「こっ、この……よくも……よくもおおおおおお!!」

ルピナス「クソックソッ!! お前達は絶対に許さない、覚えてろよラビリンス!!」

ドシャアアアアンッ!!

ノーザ「なにっ!?」

クライン「消えた……逃げられたのか。あらかじめ脱出ルートを作っておいてあったとは、用意周到だな」

ノーザ「だがまだこの建物内にいるはずよ!」

クライン「無駄だ。センサーにも反応がない。どうやらすぐに別世界へ転移したみたいだな……こんなすぐさま転移できるとは」

ノーザ「チッ……」

クライン「おまけにシステムに何をしたのかさえ分からなくなってしまっている。記録を消去された。短時間でこんなことまでするなんて……よほど手馴れているみたいだな」

ノーザ「……?」

クライン「どうした?」

ノーザ「これは一体……」

クライン「なんだこれは……!? パラレルワールドが、混合している……?」

ノーザ「メビウス様!」

メビウス「……」

メビウス(私の関知しないところで何かが起きている……? 一体なにが)

クライン「どうやらイース達もこの世界に飛ばされてしまっているようです」

メビウス「すぐにあの三人に連絡を取れ。まずは正確な状況を把握するのだ」

遅れましたが今回の投下はこれで終わりです

・・・・・・

なぎさ「なっ、なにこれ……!?」

咲「街の中に大きな壁が……」

ストック「これは外壁です。中に入れば、私たちが住む国、カルミア王国があります」

咲「か、かる…?」

舞「王国って、この壁の中に国が?」

ほのか「なんだか異様な光景ね……。街の中にこんな大きな外壁があるなんて。街の人もこんなものを気にしてない様子だし……」

なぎさ「ていうかここ、あたしたちが住んでる街じゃない!? どういうことなの、さっきまで海原市にいたのに!」

咲「あっ、そういえば今日はお祭りだったのに!」

舞「咲、そういう場合じゃ……」

ストック「安心してください、海原市もこの世界に転移されています」

なぎさ「て、転移ってなんなのよ」

ストック「……話の続きは王宮で。中へどうぞ」

ほのか「……」

――――カルミア王国

咲「うわ~……」

舞「外壁の中は別世界ね。まるでファンタジーの王国みたい……」

なぎさ「な、なんなのよこれ、どうなんってんの。なんで街の真ん中にこんなところが……」

ストック「王宮はこっちです。ついてきてください」

なぎさ「ちょっと、もう少し詳しい話を聞かせてよ! 一体何が起きてるわけ!」

ほのか「成り行きであなたについて来ましたけど、私たちをどうするつもりなんですか?」

ストック「それは……」

ストレリチア「そのことについては私から話をします」

ストック「ストレリチア……!」

ストレリチア「はじめまして異世界のプリキュアのみなさん。私の名前はキュアストレリチア、カルミア王国のプリキュアの一人です」

なぎさ「プリキュアって……」

ほのか(また私たち以外のプリキュア……)

ストレリチア「現状に混乱するのも無理はありません。ですが一つだけ信じて欲しいことがあります」

ストレリチア「私たちはあなた達の味方です。決して手荒なまねをするつもりはありません」

なぎさ「……」

ほのか「……」

ストレリチア「……フフ。無理やり連れてこられて、こんなことを信じろなんていうのは無理があるかしら」

咲「い、いえ」

舞(なんだろう、この人。不思議な雰囲気がする……)

ストレリチア「問答無用で連れてきたことについては謝るわ。けど私たちはあなた達を歓迎しているのよ」

舞「歓迎……ですか?」

ストレリチア「ええ。あなた達は我が国カルミア王国……この世界の救世主となるのだから」

なぎさ「きゅ、救世主って……」

ストレリチア「フフッ、あなた達には思わせぶりなことばかり言ってしまってるわね。ここで話すより、王宮の中で話しましょう。そこにはあなた達と同じく異世界から来たプリキュア待っているわ」

ほのか「プリキュアって、まだいるんですか?」

ストレリチア「ええ。世界の数だけプリキュアも存在するわ。そして私たちは、この世界を救うためにそれぞれの世界からプリキュアを集めた」

ストレリチア「この世界には今、あなた達の希望の力が必要なの。正確にはそういう状況に陥ってしまったと言ったほうがいいかしら」

なぎさ「希望の……」

ほのか「力……」

ストレリチア「今の話を聞いて私たちのことを信用してくれるのなら、このままついて来てほしい。そしてまずは私たちの話を聞いてもらえないかしら。私たちはそれを望んでいるわ」

なぎさ「……」

ほのか「……」

――――王宮

ガチャッ

ストック「中へどうぞ」

ガヤガヤ

えりか「あーっ! また新しい人きた!」

なぎさ「!!」

咲(こ、ここにいる子達全員プリキュア……!?)

舞(思っていたよりも多い……)

りん「今度は四人組?」

かれん「二人組みが二つじゃないかしら」

ほのか「……すごい数ね。ざっと見ても20人近くはいるんじゃないかしら」

なぎさ「う、うん」

ストレリチア「ここにいる者以外でもプリキュアの存在は確認されているわ。今はとりあえず集められるだけ集めてこの人数だけれどね」

なぎさ「まだいるんだ……」

ストレリチア「クイーンが来るまで、お互い交流を深めておくといいわ。なにせ私たちはこれから目的と行動を共にする仲間となるのだから」

ストレリチア「ストック、私はクイーンを迎えに行ってくる。この場は頼むわね」

ストック「は、はい」

なぎさ「えっと……交流を深めるって言ってもね」

ほのか「まずは自己紹介からしましょうか。私は雪城ほのか」

なぎさ「あたしは美墨なぎさ。中学三年、ふたりでプリキュアだよ」

のぞみ「中学三年……かれんさん達と同じですね!」

ほのか「あなたは?」

のぞみ「あたしは夢原のぞみって言います! 中学二年生でーす!」

りん「夏木りん。あたしものぞみと同じ中学二年生です。ちなみにのぞみとは幼馴染」

のぞみ「えへへ」

うらら「春日野うららですっ。わたしはこの中で唯一の中学一年です!」

こまち「秋元こまちです」

かれん「水無月かれんよ。私とこまちは中学三年生なの」

のぞみ「それで、あたし達は五人で一緒にプリキュア5やってます!」

なぎさ「プリキュア5……五人で一チームなんだ」

ほのか「随分と大所帯なのね」

咲「あたしは日向咲、夕凪中学ソフトボール部の二年生! こっちは友達の美翔舞」

舞「よ、よろしくお願いします」

咲「あたし達もなぎささん達と同じで、ふたりでプリキュアやってます!」

ほのか「私たち四人は同じ世界から来たの。て言っても、お互いがプリキュアだって知ったのはついさっきのことなんだけどね」

つぼみ(そういえば、今日出会ったキュアハートってプリキュア……どこにいるんだろう。あの子も同じプリキュアだったらこの世界に来ているんじゃ)

えりか「つぼみ、あたし達も自己紹介しなくていいの?」

つぼみ「あっ、は、はい! は、はは花咲つつつぼみっていいます!私はまだプリキュアになったばっかりで、その、こんなに先輩方がいたなんて……きょ、恐縮です!」

咲「あはは、そんな固くならなくっていいって。あたしと舞だって最近プリキュアになったんだし」

えりか「あたしは来海えりか! 中学二年生でファッション部の部長やってます! ファッションのことで悩みがあったらあたしにジャンジャン相談してね!」

えりか「そしてあたし達ふたりで、ハートキャッチプリキュアやってます!」

なぎさ「ハートキャッチ……心臓わしづかみ?」

ほのか「そんな物騒な意味じゃないと思うけど」

なぎさ「なんかプリキュアにも色々いるんだね。結構カルチャーショックだよ」

ラブ「はいはーい! 次はフレッシュプリキュアの紹介しまーす!」

ラブ「あたしは桃園ラブ! 中学二年生、ダンスとハンバーグが大好きです!」

美希「蒼乃美希よ。ラブと同じく中学二年生、読モもやってて将来の夢は世界的に有名なファッションモデルになること」

祈里「山吹祈里です。わたしも同じく中学二年生で、将来は獣医を目指しています」

ラブ「あたし達三人でプリキュアもやってるけど、ダンスユニットも組んでるんだ」

舞「ダンスユニット?」

ラブ「うんっ。ユニット名はクローバーっていうの。まだ結成したばかりなんだけどね」

咲「ダンスかぁ、なんかかっこいいなぁ」

えりか(三人ともスラッとしててうらやましい)

あかね「みゆき、うちらもそろそろ自己紹介するで」

みゆき「えっ、あ、あたしから?」

あかね「当たり前やろ。ほら、はよ」

みゆき「ええっと……」

みゆき(すごい緊張する……!)

みゆき「ほ、ほっ……ほしっ」

あかね「ちゅうもーく!」

みゆき「!!」

あかね「うちらスマイルプリキュアの自己紹介しまーす! まずはリーダーの星空みたろう!」

みゆき「星空みたろうですっ!よ、よろしくお願いします!」

舞「たろう?」

ほのか「女の子にしては、珍しい名前ね……」

みゆき「え? ……はっ!!」

みゆき「ち、違います! みたろうは間違いです!」

あかね「あははっ、うちの冗談につられてどうすんねん。緊張しすぎや」

みゆき「だって、こんなにプリキュアがいるとなんだかすごくて」

やよい「みゆきちゃんファイトっ」

みゆき「よ、よぉ~し……!」

みゆき(でも今ので緊張がほぐれた。ありがとうあかねちゃん)

みゆき「星空みゆきですっ! 中学二年生、好きなものは絵本とウルトラハッピーなことです!」

つぼみ「ウルトラハッピーって……なんですか?」

みゆき「それはすごくハッピーなことです! ハッピーってこう、なんかこのへんがキラキラしてて……」

みゆき「とにかく! ウルトラハッピー! って感じのことなんです!」

つぼみ「は、はあ」

美希(なんか……すごく独特な子ね)

かれん(今までに見たことのないタイプだわ……)

あかね「うちは日野あかね。バレー部所属で、好きなものはお好み焼きとお笑い!」

やよい「黄瀬やよいです。えっと、絵や漫画を描くのが一応……趣味です」

舞「あなたも絵を描くの?」

やよい「は、はいっ」

舞「私も絵を描くのが好きなの。よろしくね」

やよい「よ、よろしくお願いします」

やよい(よかった、同じ趣味の人がいて)

なお「あたしは緑川なお。サッカー部に入ってるよ」

れいか「青木れいかです。学校では生徒会の副会長をやっており、弓道部にも入っています」

みゆき「以上、あたしたち五人がスマイルプリキュアです!」

えりか「こっちも五人。これまた大所帯だね」

つぼみ「それにしても、世界には本当に色々なプリキュアがいるんですね……びっくりです」

のぞみ「ねえ、あなたは?」

ストック「え?」

のぞみ「この国のプリキュアなんだよね? 自己紹介聞かせて欲しいな」

咲「端っこにいないでこっちにおいでよ」

ストック「……私は、キュアストック。年齢は14です」

ラブ「本名は?」

ストック「本名がストックなんです。私たちの世界の事情は、あなた達とは違うから……」

なぎさ「じゃあ、さっきの綺麗なお姉さんの人も……」

ストック「はい、ストレリチアが本名です。私たちは生まれつきのプリキュアで、特にあの人はこの世界の歴代のプリキュアの中でも最も優秀なプリキュアと言われています」

みゆき「生まれつきの、プリキュア……?」

ストック「それより、あなた達の妖精も自己紹介したがってそうですけど」

咲「ああそっか。プリキュアの数だけ妖精もいるんだもんね」

えりか「こりゃ自己紹介だけでも結構時間かかりそうだね~」

ストレリチア「申し訳ないけど、一旦自己紹介の時間は中止にさせてもらってもよろしいかしら?」

ストック「ストレリチア……!」

ストレリチア「クイーンを連れてきたわ。どうぞお入りください」

今日は以上です

カトレア「……」

のぞみ(この人がこの国の女王様……)

みゆき(綺麗……。でもなんだろう、どこか悲しそうな感じがする……)

カトレア「……まず一言、お礼を。私達の申し出に従いこの場に集まってくれたことを感謝します。異世界のプリキュアのみなさん」

なぎさ「ど、どうもです」

カトレア「まだ現状に混乱している者もいるでしょう。固くならず、どうぞ楽な姿勢になってください」

カトレア「私はクイーンカトレア。この世界の女王です」

つぼみ(カトレア……まさにその名の通りの容貌です)

カトレア「まずあなた達には……」

りん「女王様、一つ質問いいですか?」

カトレア「なんですか? 夏木りんさん」

りん(あ、あたしの名前もう知ってる……)

りん「この世界は一体どうなってるんですか。なんでこんなに滅茶苦茶に」

カトレア「滅茶苦茶とは?」

りん「だから……」

かれん「話に聞いたところ、この世界は様々なパラレルワールドが複合された世界だと聞きました。なぜこんな世界にしたのですか? そもそも、どうやってこの世界を形成したのですか?」

カトレア「そうですね……まずはその説明からした方がよさそうですね。そのためには始めにこの世界の歴史を知ってもらわなければいけません」

ほのか「……」

カトレア「この世界は有史以来一万年以上が経ちました」

りん「いっ、一万!?」

カトレア「その一万年以上の間、私たちは戦ってきたのです」

かれん「誰とですか?」

カトレア「悪とです」

ほのか「悪……?」

なぎさ「悪、ってそんな漠然と言われても」

カトレア「漠然……あなた達も同じではないのですか? プリキュアは悪と戦い続けていたはずです」

ストレリチア「この世界では、プリキュアの歴史も一万年以上続いている。その間ずっと……一万年以上もずっとこの世界のプリキュアは、平和を守るために戦い続けてきた」

こまち「つまり、一万年間コワイナーやホシイナーみたいなのと戦っていたんですか?」

ラブ「一万年もナケワメーケと戦い続けるなんて……想像できない」

カトレア「そう。その戦いの規模はこの世界の全てを巻き込んで行われました。戦いが続けば続くほど悪の勢力は力を伸ばし、それに対抗しようと私たちも力を拡大させて……」

カトレア「命は紡がれ、プリキュアの力も世代から世代へと受け継がれ、いつしかは何万人のプリキュアが誕生した時代もありました」

ほのか「この世界では、プリキュアになれる人は生まれつき決まっていると聞きました」

ストレリチア「そうよ。この世界は少し特殊でね、光の力に包まれているの。今はその力が弱まったせいでプリキュアの力を持って生まれる子がいなくなってしまっているけれどね」

ストレリチア「そして長く続きすぎた戦いの代償は大きい……。私たちは近年になってようやく戦い続けてきた悪を撃退することに成功したのだけれど、その戦いで大勢の命が消えてしまった」

みゆき「それって……」

カトレア「そうです。戦いの中その多くの命の灯火が悪の手によって散っていきました。そして今残っているのが……三人。ストレリチアとストック、今はまだこの場にいませんがもう一人」

ストック「……」

つぼみ「そ、そんな……」

カトレア「消えていった命は元には戻りません。過ぎ去った過去も。ですが大切なのはこれより先……未来」

カトレア「その未来に、是非ともあなた達の力を貸してもらいたいのです」

カトレア「先ほどお話したとおりに、この世界の光の力は弱まっています。しかしあなた達異世界のプリキュアがこの世界に現れたことによって状況は変わります」

カトレア「あなた達の力が集結したことによって、弱まった光の力も徐々に回復していくのです」

かれん「具体的には私たちにどうしろと?」

カトレア「この世界に存在してくれるだけでいいのです。あなた達が日常を幸せに過ごし、プリキュアに変身する度に……それだけで光の力は溜まっていきます」

かれん「存在するだけって……」

カトレア「もちろん永遠にこの世界に留まってもらうわけではありません。ある程度光の力が溜まればあなた達とあなた達の世界全てを元に戻すことを約束します。予測では、力が溜まるまでに約一年かかるそうです」

えりか「い、一年間も」

こまち「けど、私たちの世界もそのままこの世界に存在しているってことは、私たちの生活は今までどおりほとんど何も変わらないってことになるのかしら」

カトレア「その通りです」

なぎさ「そんなこと言われても、すんなり受け入れられるわけないよ」

咲「だいたい私たちと一緒にこの世界に来た普通の人だって混乱するはずじゃ……」

ストレリチア「その心配はないわ」

咲「え?」

ストレリチア「光と闇の力を持たない者は、自分の世界に何が起きたのか分からないままこの世界に転移してきた」

ストレリチア「つまり一般市民にとってこの世界は生まれてきたときから存在している世界だと頭の中に上書きされているのよ。そしてこの世界の歴史も」

ほのか「そ、そんなことができるんですか」

カトレア「これも光の力の影響です。弱まったとはいえ、この程度は造作もないことです」

なぎさ「ありえない……」

ストレリチア「心配しなくてもあなた達の生活はほとんども変わらない。変わるとしたら、仲間が増えたということかしら」

のぞみ「仲間……」

ストレリチア「そう。これからはこの場にいる者全員が力を合わせてそれぞれの悪に立ち向かうのよ」

みゆき「ここにいるみんな……ここにいるプリキュア全員で!?」

あかね「なんや、すごい話になってきたな……」

やよい「すごーい! まるでヒーローが全員集合する映画みたいだね!」

なぎさ「ダメだわ……あたしまだいまいちピンとこない」

りん「あたしもです……」

りん(大体、いくらなんでもやり方が強引過ぎる)

ほのか「世界を転移させたのも、光の力なんですか?」

カトレア「いいえ。それは私たちの世界の科学技術によるものです。もっとも、私たちの技術だけではなく他の力も借りましたが」

ほのか「他の力というのは?」

カトレア「それは……」

突如、外から大きな地響きが聞こえた。
その場にいた者全員がその音に反応する。

ストレリチア「女王様」

カトレア「さっそく招かれざる客人が来たようですね」

――――カルミア王国市内

クモジャキー「一体何が起こったぜよ。いきなり大きな揺れが起きたと思えばこんな見たこともない街が現れるとは……」

クモジャキー「まぁええ。軽く様子を見に来るだけのつもりじゃったが、ここに住んでいる人間のこころの花は皆枯れているものばかり。デザトリアンを生み出すにはうってつけの場所じゃけえのう」

市内では巨大なデザトリアンが暴れまわっていた。
建物は破壊され、人々は突如現れた怪物に驚き逃げ惑っている。

えりか「クモジャキー!!」

クモジャキー「プリキュア……!! 貴様らもここにいたか!!」

えりか「それはこっちの台詞よ! あんたたちまでこの世界に来てたなんて!」

美希「あれはなに?」

つぼみ「デザトリアンです。枯れたこころの花から生み出された怪物です!」

えりか「あの赤毛のボサボサ頭が人の心から花を奪って怪物にしてるのよ!」

咲「と、とにかく悪いやつなんだね!」

クモジャキー「なんじゃお前らゾロゾロと。お前らもプリキュアの仲間か?」

あかね「せや! ここにいる全員プリキュアや!」

クモジャキー「なにぃ……? お前ら全員プリキュアだと!?」

ストック「こんなことをして許されると思うな!! この街に住んでいる人たちはみんな戦いが終わったと安心しきっていたのに、また被害を広げるような真似をして!!」

クモジャキー「フンッ。この街に住んでいる人間は皆こころの花が枯れた軟弱者じゃきい、デザトリアンにされるのも当然のことじゃ。弱いやつはこの世に必要ない、貴様らを倒しこの街の人間全員デザトリアンにしてやる!」

のぞみ「そんなの弱いものイジメしたいだけじゃない! 絶対に許さない!」

クモジャキー「弱いものイジメじゃと!? 俺は弱いものを排除したいだけぜよ!」

のぞみ「みんな、いくよ!」

咲「ご、ごめん。フラッピたちがもうふらふらみたいで……変身できない」

みゆき「あたしたちも、体力が……」

のぞみ「ええっ!?」

ほのか「ここに来る前に戦ったばかりだものね……疲れが溜まっているんだわ」

なぎさ「メップルミップルがいないから、あたし達も変身できないし……」

ストレリチア「戦える者だけが戦えばいいわ。それ以外の者は下がりなさい、無理にこの場に留まれば余計な怪我をするだけよ」

ストレリチア「ストック、あなたも下がりなさい」

ストック「どうして!? あんなやつ、ほっとけるわけない!!」

ストレリチア「あなたにも疲労が溜まっているはずよ。肉体的にも、精神的にも」

ストック「!」

ストレリチア「戦えない者は私について来なさい。避難所まで誘導するわ」

舞「は、はい」

ストレリチア「図々しいお願いを重ねてしまっているけど……どうかこの街を守ってはもらえないかしら」

のぞみ「任せてください!」

ラブ「あたし達もまだ戦えるよ、のぞみちゃん!」

美希「む、無茶よ! さっきまで戦っててボロボロなのに……」

ラブ「でもこのままじゃ街の人たちが!」

美希「そうだけど……」

のぞみ「大丈夫だよ、ラブちゃん。無理はしないで」

ラブ「のぞみちゃん……」

りん「ここは戦い慣れているあたし達に任せてちょうだい。伊達に一年以上もプリキュアを続けているわけじゃないわ」

うらら「あんな怪物一体ぐらいなんとかしてみせます!」

こまち「みんなの分まで、きちんとこの街は守ってみせるから」

かれん「だから遠慮しないで、ここは早く逃げて!」

ラブ「……ごめん。頑張ってね、みんな!」

のぞみ「うんっ!」

えりか「あたし達もいくよつぼみ!」

つぼみ「えっ、でもわたしも疲れてて……」

えりか「砂漠の使徒はあたし達の世界の敵なんだから、こんなところでほっとけるわけないでしょ! 気合よ気合!」

つぼみ「は、はぃ~」

今日は以上です

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