マスオ「父さんは?」サザエ「15年前に死んだわよ」2 (157)

http://maoyuss.blog.fc2.com/blog-entry-1416.html
作者じゃありませんが、未見の方は上のURLまで

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390881243

カタカタカタ・・・

カツオ「・・・・・・・・・」

カタカタカタ・・・

カツオ(・・・もうそろそろだな)

カタカタカタ・・・

カタカタ・・・

バンッ!!!

カツオ「カチャッ!」

???「おいおいおい、ちょっと待っておくれよカツオくぅ~ん。そんなもの向け」

カツオ「・・・・・・」バンッ!

???「うわっ!危ないじゃないかカツオくっん!」

カツオ「・・・何しに来たんだよ、アナゴ」

アナゴ「何しにって・・・ひどいなぁ。僕と君の仲なら、突拍子に来ても、何もおかしくないだろぉ~?」

カツオ「サブちゃんに秘密を語る尻軽男の事なんて、覚えてないね」

アナゴ「しっかり覚えてるじゃないか・・・。その節は悪かったよぉ。でも、サブちゃんも丸め込んだんだし良いじゃないか。」

カツオ「これからは僕一人でやるよ。アナゴは早く帰ってくれるか死んでくれないかな?」

アナゴ「まぁまぁ、僕も長年、君をサポートした人間なんだから、そんな事言わずに進めようじゃないか。」

アナゴ「タイムマシン開発・・・後、一息なんだろぉう?」

―公園―

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ(もう・・・あの家には帰れないな)

実の家にも、花沢不動産で借りた家も、サザエに特定されてしまい、行き場を失ったマスオは今、ホームレスとなっていた。

マスオ(ちょくちょく、電線見つけてはタイムマシンの充電に使わせてもらってるけど・・・)

マスオ「電気食いすぎだろこれ!溜まるかこんなもん!!」

マスオを、タイムマシンを投げ捨てようとして、ピタリと思いとどまった。

マスオ(しかし・・・このままだといけない事くらい、僕だって分かってるよなぁ・・・)

マスオ(それに、アナゴくんと約束したじゃないか・・・犯人を見つけるって・・・)

マスオは、腕輪マシンを大人しく腕に装着した。

タラオ「あれぇー?パパじゃないですかー?」

マスオ「・・・っ!タッ・・・タラちゃん!!」

タラオ「こんな所で何してるですかー?早くおうちに帰ろうですー」

タラオの笑顔は、いつも見た子供のような無邪気な笑顔だった。

マスオ(だけど・・・何だ、この違和感は・・・タラちゃんは・・・こいつは・・・!)

マスオ「ごっ・・・御免よぉタラちゃん。パパは、まだお仕事があるから帰れないんだぁ。」

タラオ「そうなんですかぁ~・・・。ママァー!」

ガサッ

マスオ「!!!」

公園の茂みから、血まみれのサザエが包丁を咥えて充血した目で僕を見ていた。

タラオ「パパ、見つかったです~」

サザエ「コッロゥス!コッロゥス!コッロゥス!」

マスオ「サッサッザッエ!?」

怪物と化したサザエの横で、タラオが邪気な笑顔で僕を見た。

タラオ「僕、パパのおもちゃが欲しいです~☆」

マスオ「…はぁ!はぁ!はぁ!!」

どのくらいまで走ったのだろうか。

どのくらいまで、逃げただろうか。

遠くで、まだサザエの「コッロゥス!」コールが聞こえる。まだ近くに居るようだ。

マスオ(そして・・・タラちゃんが持っていたあの紙・・・)

マスオ「あれは・・・タイムマシンの説明書だった。」

マスオ(どうしてタラちゃんが・・・あっ!)

マスオ「そうだ・・・!一発ヌイた時に、ティッシュが無かったから・・・代わりに!!あの紙で!!そしてゴミ箱に!!!」

マスオ「クソッ!どうして僕はいつもこうなんだ!!クソックソッ!!」

サザエ「そこに居たのね?」

マスオ「うわぁあああああああああ!!!」

タラオ「もう逃げられないですぅ~☆」

マスオ(しまった・・・!大声を出したから居場所が・・・っ!)

タラオ「さぁパパ、そのおもちゃを僕にくれるですぅ☆」

マスオ「だっ・・・ダメだ!これは僕の・・・アナゴくんの・・・いや、」

マスオ「タッタラちゃんはタイムマシンなんかに興味があるのかな!?過去に戻ってもなぁんにもする事なんか無いんじゃないかと」

タラオ「理由なんか無くても欲しいです~☆パパなんか泥遊びでもしてれば良いんです~☆」

マスオ「でっでもこれは百万円するんだよぉ!?タラちゃんが全部払えるっていうのかなぁ?」

タラオ「何言ってるですかぁ?お金はパパが払うですぅ~。だってそれは、パパが僕にくれるものなのですから」

マスオ「そっそんないい加減な事が・・・!」

タラオ「黙って寄越すです」

マスオ「っ・・・・・・!」

マスオは考えた。
どうすれば、この状況から脱出できるかを。

タイムマシンで過去に逃げる事も考えたが、ちょくちょく充電して結構溜まっているものの

マスオ(85%・・・ダメだ!こんなんじゃとてもタイムスリップなんて出来ない!!)

そこで、マスオが出した決断は

マスオ「・・・・・・っ!!波ぁッ!!!」

サザエ「!」

手から波動砲を出すことだった。

サザエ「・・・・・・」

タラオ「・・・・・・・・・・・・」

サザエ「・・・・・・何も起こらないじゃない」

マスオ「今だ!!」

このスキに、マスオは全速力で逃げ出した。

サザエ「あっ!てめっ!!」

マスオ「自転車!!ラッキィー!!」キコキコキコ

タラオ「追いかけるデス!!地の果てまで!!地獄の果てまで追い詰めてやるデス!!」

ジャイアン「ああ!のび太の自転・・・俺の自転車が無ぇ!!」

マスオ(考えろ・・・考えるんだ!)

マスオ(どこに逃げれば安全か・・・どこまで逃げれば安全か・・・!)

マスオ(・・・・・・)

マスオは考えた。Xのビデオでどのビデオでヌこうか考えるよりも考えた。

そして、10分経過

マスオ(・・・そろそろ、見えなくなった頃だろう)チラ

マスオ「!!!?」

そこには、猛スピードでマスオに追いかけてくる大型トラックの姿があった。

サザエ「待ちなさーい!!あなたぁあああああああ!!!コロスぁあああああ!!」

タラオ「やれやれぇー!!パパが帰ってからまだ二日しか経ってない今なら、パパを轢き殺せるですぅー☆」

マスオ「じょ・・・冗談じゃない!!充電も終わってないのにあれを喰らったら・・・洒落じゃ済まないぞ!!」

マスオは、考える力をも全て、脚の力に送った。

そこで、マスオは大型蓄電装置を見つけた。

そこの蓄電器、そしてトラック、タイムマシン・・・それらを組み合わせれば

マスオ「・・・・・・やるしか・・・無い」

マスオは、蓄電器の前まで停輪した。

サザエ「えっ!!ちょっと待っ!!」

タラオ「んな!なんて所で止まるんですかぁああああああ!!!」

そして、案の定、トラックは僕を轢き、大型蓄電器に突っ込んだ。

巨大な放電と衝撃、充電とタイムスリップするには、最高の条件だった。

―15年前―

気がつけば、マスオは青空の下に居た。

先ほどまで夜だったのが嘘みたいな、軽やかに清々しい空だった。

マスオ「そうか・・・成功したんだな・・・」

マスオ(正直・・・本当に駄目かと思ったんだけど・・・何とかなるもんだな)

今、生きている事に感謝して、マスオは涙を流した。

???「あれぇー?おじさん泣いてるの?」

マスオ「ん?あっいやいや、別に大したこと・・・・・・」

マスオ「・・・ア・・・アナゴくん・・・?」

そこには、まだ小学生なのか、まだ鼻水臭い子供のたらこ唇の少年が居た。

今と顔がほとんど変わっていない為、この少年が今は亡きアナゴだという事にすぐ気がついた。

アナゴ「んんー?確かに俺、アナゴだけど。おじさん誰ぇなんだぃ?」

まだ声変わりもしていないが、その声は確かにアナゴの片鱗を残している。

思わず、また泣き出してしまいそうになり、抱きしめそうになったが、グッと我慢した。

マスオ「・・・いや、君の顔によく似た友達が居るんだ。まさか名前まで似てるなんて、ビックリだよ。」

アナゴ「そうなの?へぇー。不思議な事もあるんだねぇ。おじさん名前は?」

マスオ「僕?僕の名前はねぇ、マスオ。フグ田マスオって言うんだ。」

アナゴ「ふぅん・・・。」

特に興味のなさそうな声で、アナゴは走り去っていった。

アナゴ「じゃ!お婆ちゃん待たせてるから行くね!」

マスオ「あっ・・・」

まだ、もう少し語りたかったが、そういうわけにも行かないようだ。

そうだ、僕もそろそろ行かなきゃ。

僕は涙を拭い、すぐに磯野家へと向かった。

波平「おっ、君はいつぞのマスオ君じゃぁ無いか。」

フネ「心配したんですよ。イキナリ逃げるものですから。」

マスオ「ははは・・・いやぁ」

サザエ「あの時は気持ち悪かったね。おじさん!」

マスオ(こいつっ・・・!)

波平「これサザエ、さてマスオくん。君もお腹を空かしているだろう?御飯を食べていきなさい。」

マスオ「あっいえ、そこまで用は・・・」

ぐぅ~・・・

しばらくホームレス生活だったマスオの腹は、極限まで減り下がっていた。

マスオ「・・・・・・」

フネ「ふふっお腹は正直ですね。」

マスオ「びゃぁああああ!美味ぃいいいいい!!」

マスオは、減らし尽くしたお腹の中身を、フネの料理で満たしていった。

波平「はっはっは。そこまで急がなくても、ご飯は逃げんよマスオ君。」

マスオ「だって、もうお腹減ってお腹減って」モグモグ

波平「口に物を入れて語るのは止しなさい」

サザエ「キャハハハ!おじさん子供みたぁ~い!」

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ(このガキ・・・今殺したら、僕は自由になれるのかな?)

フネ「どうしたんです?サザエを睨んだりして」

マスオ「あっいえ!面白い事言うな~なんて」

サザエ「面白かったの?じゃぁ私、女優さんになれるのかなぁ?」

マスオ「ブッブフォ!!ブピュプピュピャァァアアア!!!」

波平「うぉお!汚ぁっ!」

サザエ「まだ何も面白い事言ってないよ」

マスオ「ゴホッゴホッ!おえ!!」気管に入った

マスオ「ふぅ~食べた食べた。ごちそうさまでした!!」

フネ「まぁ一つ残らず食べて・・・良い食べっぷりですね。」

波平「わしらの口にほとんど入らなかったがな。確かに良い食べっぷりだ。わしらのご先祖様のようだ。」

マスオ「ああ、おはぎを30個食べて、お殿様に褒められた方ですよね?」

波平「ああ・・・何故、君がそれを知っている?」

マスオ「えっ・・・(しまった!)」

マスオ「いえいえ、たまたまですよ!僕、歴史とかに興味あって、たまたま!その事が書かれてたんです!」

波平「そうかそうか。実に誇らしいご先祖さまだ。」

フネ「貴家の自慢になりますね。お父さん。」

波平「左様」

マスオ「あははは・・・(あっぶねぇええええええええ!!)」

波平「・・・ところでマスオくん。前に言ったな?」

マスオ「はい、何をですか?」

波平「わしに・・・恨みを持たれた事が無いか・・・とな」

マスオ「はぁ・・・えっ!?という事はもしかして!!」

波平「いや、恨みを持たれた事は無いのだが、今朝・・・新聞受けにこんな物が入っていてな」

それは、二枚の紙だった。一枚はコピー用紙に印刷された文字、もう一枚はメモ帳に走り書きされたもの。

この、ワープロも存在しない世界では、ありえない文字で書かれていた。

マスオ「フォントも・・・見た事無いもの・・・」

波平「ふぉんと・・・?なんじゃ、それは」

マスオ(そして・・・書かれている内容は・・・・・・)

【のりすけ と  接触 して  殺せ】

【マスオ は 知っている筈だ】

―研究所―

カツオ「・・・今、何て言ったんだい?」

アナゴ「やれやれ、聞こえなかったのかい?カツオ君。君はもうすぐ・・・消される」

カツオ「・・・イクラちゃんにか?」

アナゴ「おっ察しは悪くない。このままやすやすと殺されるつもりは無いんだね」

カツオ「当たり前じゃないか。これは僕の希望なんだ。奪われちゃたまらないよ。」

アナゴ「ふむ・・・ところでカツオくん。タイムトラベルじゃなくて、タイムリープはもう良いのかい?」

カツオ「タイムリープマシンは、やろうと思えば三日で作れるよ。だけど、タイムリープじゃぁメリットが大きすぎるんだ。」

アナゴ「まぁ、2010年に出来たと噂されたくらいだからねぇ。意外といけるんじゃないかなぁ?今の技術なら」

カツオ「そもそも、どうしていきなりタイムリープの話題に移ったのさ。」

アナゴ「ははっカツオくぅーん」

アナゴ「僕が、未来から来たって言ったら笑うかぁ~い?」

―15年前―

マスオ「僕が・・・何かを知っている??」

波平「・・・その様子なら、何も知らないようだな。」

そう言って波平は、僕から紙を奪い取り、ビリビリに破いた

マスオ「あっ!!あああ・・・何てことするんですか!」

波平「君が、何も知らないという事でこの紙の信用は無かろう。気にしなくても良い」

僕が何も知らないわけでは無い。だって、僕は今”タイムマシン”を持っているのだから。

それを今、お義父さん達に黙っているのだから。

フネ「でも、ノリスケさんを殺せだなんて、不謹慎極まりないですねぇ。」

波平「ノリスケはまだ9歳だぞ?一体どこの誰がこんな事を・・・」

マスオ(そういえば、ノリスケくんはまだ、この時代だと9歳なんだな・・・)

波平「この事は、なぎえに連絡しておくべきだな。フネさん。筆と紙を」

マスオ(間違いなく、この手紙は未来から来ている・・・だけど、あれ?)

マスオ(だとすれば、どうしてここでノリスケくんの名前が出てくるんだ?)

マスオ(もしかすると・・・ノリスケ君は、何かを知っている?)

波平「マスオ君」

マスオ「あっああはい!!」

波平「君も用心したまえよ。昨日来た楽市という人も、最近物騒だと言っていたからな。」

マスオ「らくい・・・?(誰だろう、聞き覚えが無いなぁ。)」

マスオ(それに・・・昨日だって?タイムマシンも、時間軸がリアルタイムで動いてるわけじゃないのか・・・?)

時間軸という言葉で思い出し、時計に目を向けると

後数分で、3時間が経とうとしていた。

マスオ「ンミャァアアアアアアア!!」

波平「!?マスオくん!?」

パァン!!

一瞬、乾いた音が響いた。

マスオ「―――――、――」

発狂して走ったマスオが、波平の盾になり、銃弾を受けた。

その銃弾の衝撃で、マスオは元の時代に戻る――――

―研究所―

カツオ「アナゴが未来から来たぁ?ははははは!寝言は寝て言いなよ。まだタイムマシンが作られてないのに、どうやって来るってのさ!」

アナゴ「完成したのさ。現に、僕がここに居るのが証拠さ。」

カツオ「じゃぁ、僕が消えるのも、未来から来たから分かったってわけ?」

アナゴ「ん―・・・そう言えば、そういう事かな?」

カツオ「だったらおかしいよ、僕が消えるって事は因果律で消えるって事でしょ?だったら「未来から来た」事で、僕の消滅を知ってるのはおかしいよね?」

アナゴ「そう、つまり今、ここはまだ”奴が因果律を変える前の世界線”なんだ」

カツオ「つまりアナゴは、世界線を超えたって事なのかい?それこそ無茶苦茶だよ」

アナゴ「いやぁ、正しくは違う。僕は奴が未来を変える前にここに現れたのさ。」

カツオ「そうか分かった。イクラちゃんが僕を消す何て事を口走った後に、すぐさまアナゴはタイムマシンに乗ったんだね。それなら信じられるよ」

アナゴ「飲み込みが早くて助かるよ、カツオくぅ~ん。」

カツオ「それで、僕にどうしろって言うの?」

アナゴ「ああ、君がやることはただ一つ、フグ田くぅんの記憶を消すことだよぉ」

カツオ「・・・・・・え?」

アナゴ「そうだなぁ、どのくらい前が良いかなぁ、因果律が来る前に記憶をいじれば、因果律に囚われない可能性が出現するから、今すぐが良いかなぁ。」

カツオ「ちょっ・・・ちょっと待ってよアナゴ!」

カツオ「マスオ兄さんは・・・殺されたじゃないか。姉さんに」

―公園―

元の時代に戻り、マスオは定位置であるダンボールハウスに戻っていた。

マスオ「・・・・・・・・・」

今回は、大きな収穫があった。

二枚の紙、ノリスケの関係、そして明らかにお義父さんを狙った銃弾

マスオ「ノリスケくん・・・君は・・・いや、君も・・・」

マスオ(・・・お義父さんと同じ、狙われてるのかい?)

僕は、大型トラックの窃盗と蓄電器壊した罪で連行されて暴れるサザエと

警察に連れて行かれながらギャピィイと泣き叫ぶタラオの姿を見て、いい気味になりながら

それをオカズにしてヌイた後、眠りについた。

タイコ「あらマスオさん、どうしたの?こんな時間に」

マスオ「いっいやぁ、ノリスケくん居ないかなぁーって、」

タイコ「あら、ノリスケさんに御用でしたの。もう少し待っててくださいね。」

タイコ「貴方ぁー!マスオさんがいらしたわよー!」

ああ、何て清楚で良い奥さんなんだ。うちのサザエとは大違いだ。

ノリスケ「あぁ!マスオさん!久しぶりですねー。ここで話すのもなんですから、中に入って入って」

マスオ「では遠慮なく・・・」スッ

ノリスケ「あっ!靴は脱いで!」

マスオ「あっ!ごめんよノリスケくん」ゴソゴソッ・・・

ノリスケ「ほぉーらイクラ、マスオさんにご挨拶は?」

イクラ「ハーイ!!」

ノリスケ「おぉ!よく言えたなぁー偉い偉い。」

子供も良い子に育っていて何て幸せそうな家庭だろう。僕も・・・こんな家庭を築きたかったなぁ。

ノリスケ「あっ、ところでマスオさん。こんな所で話すのもなんですから、ファミレス行きませんか?」

マスオ「・・・僕の金で?」

ノリスケ「当たり前じゃないですかぁ!ささっ、行くぞイクラァ。」

イクラ「バーブ!」

マスオ(なっ・・・何て野郎だ!何でこんな奴が・・・こんな家庭を・・・!!)

―ファミレス―

ノリスケ「ビッグハンバーグフォアグラ乗せのキャビアソースエビフライトッピング一つと、フォアグラのサラダ二人分で、後、飲み物は・・・」

マスオ「のっのりすけくん?たのみすぎじゃないのかなぁ?」

ノリスケ「ははっまだまだぁ!マスオさんの太っ腹な所、見せてくださいよ!」

マスオ(こいつ・・・クズだ!アナゴくんよりも・・・数倍!いや数十倍!!!)

一通り頼み終えたノリスケは、ウェーターにメニューを下げてもらっていた。

ノリスケ「ふぅー。それで?何かお話があるんでしたっけ?」

マスオ「えっ?あっ!はぁ・・・」

マスオ「・・・その、君・・・十五年前に・・・」

ノリスケ「一五年前?ええと・・・その時僕は・・・小学三年生でしたね。それがどうしました?」

マスオ「お義父さ・・・磯野波平さんに何か、言われなかったかい?」

ノリスケ「・・・ああ!言われた言われました!僕を[ピーーー]なんて手紙が来たから用心しろってね!さすがに純粋な子供だった僕はその手紙のせいで怯えきってましたよぉ!」

ノリスケ「んで、手紙が届いてた日には、波平おじさんが死んでたもんだから本当に殺されるんじゃないのかって怖くて怖くて・・・」

―ファミレス―

ノリスケ「ビッグハンバーグフォアグラ乗せのキャビアソースエビフライトッピング一つと、フォアグラのサラダ二人分で、後、飲み物は・・・」

マスオ「のっのりすけくん?たのみすぎじゃないのかなぁ?」

ノリスケ「ははっまだまだぁ!マスオさんの太っ腹な所、見せてくださいよ!」

マスオ(こいつ・・・クズだ!アナゴくんよりも・・・数倍!いや数十倍!!!)

一通り頼み終えたノリスケは、ウェーターにメニューを下げてもらっていた。

ノリスケ「ふぅー。それで?何かお話があるんでしたっけ?」

マスオ「えっ?あっ!はぁ・・・」

マスオ「・・・その、君・・・十五年前に・・・」

ノリスケ「一五年前?ええと・・・その時僕は・・・小学三年生でしたね。それがどうしました?」

マスオ「お義父さ・・・磯野波平さんに何か、言われなかったかい?」

ノリスケ「・・・ああ!言われた言われました!僕を消すなんて手紙が来たから用心しろってね!さすがに純粋な子供だった僕はその手紙のせいで怯えきってましたよぉ!」

ノリスケ「んで、手紙が届いてた日には、波平おじさんが死んでたもんだから本当に殺されるんじゃないのかって怖くて怖くて・・・」

作者じゃないのにその貼ってるURLの作品を勝手に続き書いてるの?

マスオ「!」ガタッ

ノリスケ「あれ?どうしました?」

マスオ「おっお義父さんは殺されたっていうのかい!?殺されるのを庇われたんじゃなくて!」

ノリスケ「殺され?お義父さん?・・・ああ、サザエと結婚したんでしたっけね。マスオさん。」

そこで、ノリスケが汚い鼠を思い出すような表情で答えた。

ノリスケ「おじさんが死んだ日以来、サザエは変わりましてねぇ。会うたびに僕を虐めてたんですよぉ。んで、今は留置所でしたっけ?ぶはははは!!!」

ノリスケ「よっよっ良くやってくれましたよマスオさぁん!僕、そこで見直しましたもん!もぅ笑いが止まらなくって!ぎゃははははは!!」

ノリスケ「あぁ――ッマスオさんがサザエと結婚してくれて良かったって、初めて思いました!!大好きですよマスオさん!」

マスオ「あ・・・ああ。」

マスオ(・・・正直に言うと、僕もあのサザエにはウンザリしていたからなぁ。)

マスオ(身内の不幸とは言え、僕の所業をここまで喜んでくれるから、憎めないんだよなぁ。)

>>27
勢いで書いた。後悔はしている

ノリスケ「しかし、波平おじさんも良い人だったんですがねぇ。まさか、婚約者と二人、サザエが居ない時に自殺だなんて・・・」

マスオ「じっ自殺ぅ!!」ガタッ

ノリスケ「ちょっとマスオさん。何度も立ち上がらないでくださいよ。見てますよ、周りの客」

クスクス・・・

マスオ「あっすっすみません・・・・・・」ガタリ

ノリスケ「どうしたんですかマスオさん。さっきからおじさんの話ばかり引き出そうとして」

マスオ「えっと・・・その、一五年前に死んだ事を・・・つい最近知ったもんだから。」

ノリスケ「うーん・・・僕も表面上しから知らないから分かりませんけど、一五年前の丁度この頃、ファミレスの近くにデパートがあった事は知ってます?」

マスオ「デパート?それならここの窓から西の方角に・・・」

マスオが指差した方向には、

デパートなんてものは無かった。

代わりにそこは、廃材置き場となっていた。

ノリスケ「出来たばかりのデパートの上で、飛び降りたんですよ。遺書を残して」

―研究所―

カツオ「そうか・・・。死ぬ前のマスオ兄さんの記憶をいじって・・・」

アナゴ「そそ、タイムリープだよカツオくぅん。記憶だけを過去に飛ばす。これを応用するのさぁ。」

カツオ「でも、記憶だけを過去に飛ばしても意味無い・・・だったら」

カツオ「過去の記憶を未来に飛ばす・・・つまり、”消す”というよりは”無かった事にする”方が正しいね。」

アナゴ「いや、消すで間違いは無いよカツオくぅん。今の技術で出来るのは、”過去の意志”を”未来の意志”に上書きする事だから、記憶はあったものになるんだからさ」

カツオ「それも間違って無いけどさ・・・。大体、当時のマスオさんの記憶を消してどうするのさ。あんまり意味無いじゃん」

アナゴ「いやいや、意味は大アリだよカツオくぅん。カツオ君が消える。それはどんな事が起こってからだい?」

カツオ「ええと、過去の僕が殺される事・・・」

アナゴ「ノンノン。そんな事はしないさぁ。もし、万が一でも君が生きてたら、君は覚えてる筈だからねぇ。イクラが不利になる。」

カツオ「・・・じゃぁ、父さんや母さんが殺される事・・・?」

アナゴ「そう。その方が確実だろうねぇ。」

カツオ「そんな!それじゃぁワカメも!」

アナゴ「死んじゃうだろうねぇ・・・。勿論」

カツオ「・・・それと、マスオ兄さんの記憶を消すのと、何の関係があるのさ」

アナゴ「やれやれ、ちょっと頭に血が上り始めたからか、思考が止まってるよ?カツオくぅん。」

アナゴ「決まってるじゃないか。君の姉さんがマスオ君に出会うまで、マスオくんは何をしていた?」

―磯野家―

遺書【この度わしたちは、多くの方に迷惑をかけてきた。
   れいも言えずにこの世を去ることを許して欲しい。
   いつも世話になっている方々へ、どうや許して欲しい。
   じつにくだらない理由で他界するが、どうか聞いて欲しい。
   ようやくすれば、借金におわれていた者を助けようとして
   うなずいてしまったのだ。保証人に。すれば彼は逃げ、
   千を超える借金だけが残った。
   さいあくな人生の幕開けだ。サザエには言えない。
   くやんでも悔やみきれない。誰か、娘を救ってくれ。
   すぐにでも死んでしまおう、さようなら。
   るく日も来る日も、私のことを思い出さないように
   なぁ、マスオくん?】

ノリスケ「あれぇー?よく見たら、最後にマスオさんの名前が書いてありますね、どう言う事ですか?」

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ(どう言う事も何も、これは・・・・・・)

マスオ(わかり易すぎる・・・縦読みじゃないか・・・)

これいじようせんさくするなぁ、マスオくん?

マスオ「これは・・・お義父さんが書いた物じゃない。書かされたものなんだ。」

ノリスケ「ぇえー!?それは新事実!どうしてそんな事分かるんですかぁ?」


マスオ「これを見てくれ。当時の人間には区別出来ないが、これは墨汁じゃなくてインクで書かれてるよ」

マスオ「それに・・・この紙は和紙じゃなくてコピー用紙で書かれている。お義父さんなら紙と筆で書くはず。これは偽物だよ」

ノリスケ「確かに・・・でもあれ?だとすればこれはインクジェットで印刷されたものですよね?でも、僕はちゃんとこの目で遺書を見ましたよ?」

ノリスケ「当時のままと変わらないから、それは間違い無いと思うんだけど、当時は謄写版印刷だった筈だしなぁ。」

ノリスケ「あっ!もしかしてこの紙は偽物で、いつの間にかすり替えられていたとか!」

マスオ「いや、それは有り得ないよノリスケくん。だってこの自殺は・・・」

マスオ(・・・いや待て、偽物・・・?)

マスオが一つの答えに行き着きそうになった瞬間、ノリスケは爆散した。

マスオ「のっノリスケくん!!」

ノリスケの臓物がマスオに襲いかかった。その後に見えた光景は

マスオ「ばっ・・・馬鹿な!君は!!」




タラオ「もう逃げられないデース☆」

―研究所―

カツオ「真っ直ぐで優しい僕の義兄さんだった・・・そっそうか!」

アナゴ「逆に、姉さんに出あった後、マスオくぅんはどうなった?」

カツオ「間違い無く・・・人が変わったかのように狂い始めた・・・。」

アナゴ「ニコッ」

アナゴ「そうそうそう。ようやく分かったようだねぇカツオくぅん。」

カツオ「ありがとうアナゴ。これから僕はタイムリープの研究に没頭する!そして、僕の目標をマスオ兄さんに託すんだ!」

そう言ってカツオは、目の前の研究に没頭した。

アナゴ「じゃぁ、これで僕の役目は終わったから。頑張れよ。カツオくん」

アナゴは、そうカツオに伝えたあと、研究室から出て行った。

アナゴ「・・・・・・・・・」

アナゴ「これで・・・良かったんだろう?」

???「・・・・・・・・・ああ。」

アナゴ「イクラくぅん。」

―磯野家―

マスオ「どっどうしてここに!?」

タラオ「全部ママがやった事にしたら、すぐに釈放されたでぇーす☆あと、子供だからでぇーす。」

タラオ「子供だから、パパのおもちゃを殺して横取りしても、大した罪にならないでーす」

マスオ「ひっひぃいいいいいいい!!」

タラオ「コラー!待てー!待つですーー!!」

マスオ「はぁ・・・はぁ・・・いや、待たないよ。タラちゃん」

マスオ(だって・・・君一人なら僕一人でも撒けるだろうし、万が一襲いかかってきても倒せる!)

マスオ(・・・だったら何で僕は逃げてるんだ?)

タラオ「待つですぅー待つですぅー!」ニヤニヤ

マスオ(そうだ・・・あの邪気しか感じない顔が怖いからだ・・・!)

マスオ「僕は走りっ」

瞬間、マスオはバイクに跳ねられた

マスオ「サッ・・・」

サザエ「・・・・・・」

マスオ「サザ・・・エ・・・・・・?」

強烈な衝撃を受けた筈だが、タイムスリップはしていない。

当然だ。だって充電は、半分以下も無いのだから・・・

タラオ「きゃははー!やっぱり充電も完全じゃ無かったですかぁ!当然デス~。まだ一日も経ってないデスから」

マスオ「ぐほっ!!ぐはぁ!ぐはぁ!!」

マスオ(みっ・・・右足とアバラを何本かやられた・・・!これでは逃げられない!!)

タラオ「どうしてママがここに居るか知りたいですかぁ?」

タラオ「ママが皆殺しちゃったからですぅ。そして、白バイでここまで来たんですぅ☆」

マスオ「かはっ!こっ・・・殺し・・・?」

サザエ「しょうがないじゃない。だって邪魔するんですもの。」

マスオ「きっ・・・君は!警察を殺したのか!?」

サザエ「しょうがないじゃない。貴方が本当に恨めしいんですもの。」

マスオ「はっはっ・・・花沢さんに続いて!国家権力も・・・!お義父さんも・・・!弟も!妹も!!そして・・・僕も!!」

サザエ「・・・・・・・・・」

サザエは、哀れな目で僕を見下ろしていた。

タラオ「それじゃ、タイムマシーンは貰っていくです~☆」

タラオ「23%・・・ちぇっ、もう少し充電しとけ!デスッ!」ゲリッ!

マスオ「ぐえっ!まっ・・・待ってくれ・・・たっタイムマシーンで・・・」カヒューカヒュー

サザエ「貴方を殺しに行くわ。過去の貴方をね・・・」

マスオ「!」

タラオ「ですぅ☆」

マスオ「そっそんな事したら・・・分かってるのか!?」

サザエ「何が」

マスオ「そんな事したら・・・そこに居るタラちゃんだって居なくなっちゃうんだぞ!?」

タラオ「ははは。大丈夫デスよ~パパ~。だって」

タラオ「お前は、本当のパパじゃ無いデスからね」

―研究所 廊下―

アナゴ「しかし・・・驚いたよイクラくぅん。僕の知ってるタラオくぅんは、茶髪で鼻筋が整ったBボーイだったけど」

アナゴ「本当は黒髪の刈り上げ頭の団子鼻のちんちくりんなんだって?」

イクラ「そうだ。それが本来・・・マスオとサザエの間に生まれる子供だ」

アナゴ「それじゃぁ・・・僕の知ってるタラオくんは、一体誰なんだい?」

―路地裏―

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ(何だ・・・最初から分かっていた事じゃないか)

マスオ(どうして・・・僕から生まれる子供が、僕に似ていないんだろうって・・・思ってたじゃないか)

マスオ(僕とサザエが団子鼻なのに、鼻筋が通った子供が生まれてくるなんて、絶対おかしいじゃないか。そうだ、そうだよ。はは、はははは・・・)

マスオ「結局僕は・・・ピエロだったんだ・・・最初から・・・・・・何も・・・かも・・・・・・」

マスオ(疲れたな・・・・・・生きている事に・・・・・・)

マスオ(・・・・・・・・・)

マスオ(・・・・・・このまま・・・寝てしまおうか・・・)

マスオ(・・・・・・)

マスオ(こんなクソッタレな世界から・・・お別れを・・・・・・告げて・・・・・・)

マスオ(・・・・・・さようなら・・・)

マスオ(・・・ファッキン・・・ワールド・・・・・・)

マスオ(・・・・・・・・・)

マスオ(・・・・・・)

    ・・・

マスオ《サザエ~、僕は君を[ピーーー]つもりだね?うんうん。しょうがないよねぇ。だって僕、君をもう愛してあげられないんだもの。》

マスオ《君は、僕に飽きて浮気してたんだろう?》

マスオ《僕は、売女と結婚していたわけさぁ~。だから、別に良いだろう?》

マスオ《僕が、君を裏切ってもさぁ?》

マスオ《サザエ~、僕は君を刺すつもりだね?うんうん。しょうがないよねぇ。だって僕、君をもう愛してあげられないんだもの。》

マスオ《君は、僕に飽きて浮気してたんだろう?》

マスオ《僕は、売女と結婚していたわけさぁ~。だから、別に良いだろう?》

マスオ《僕が、君を裏切ってもさぁ?》

ロロロロロロロ・・・

キィィィイイイイ!!

サブ「・・・・・・マスオさん。」

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ「さ・・・・・・サブちゃん。・・・・・・それは・・・!」

サブ「これですか?見覚えあるでしょう。タイムマシンです。」

マスオ「・・・どっ・・・どうして君が・・・タイムマシンを・・・!」

サブ「これは、アナゴさんからお譲りを受けたものですよ。」

マスオ「!!っ・・・・・・アナゴくんから・・・?」

サブ「ええ。・・・とは言っても、旧型の旧型で、ほとんど出来損ないのような物ですけどね。」

マスオ「えっ・・・それじゃぁ・・・タイムトラベルは・・・」

サブ「それはできますよ。ただ・・・一つ問題が。」

サブ「これを使って、過去には戻れるんですけど・・・、過去にしか・・・行けないんです。」

マスオ「・・・・・・つまり、」

マスオ「これを使えば、それっきり・・・て事かぁ。」

サブ「ええ、その代わり移動するのに大きな衝撃は要りませんけどね。」

マスオ「はは・・・。それだけで大助かりなものだよ・・・。三郎くん。そもそも、最初は僕も戻らないつもりで使ってたものさぁ。」

サブ「そうですか。」

そう言って三郎は、アナゴくんに貰った腕輪よりも一回り大きい腕輪を見せつけた。

サブ「マスオさん。僕、アナゴさんの事好きだったんですよ。」

マスオ「奇遇だね・・・。僕も、アナゴくんみたいに頼れる友達・・・好きだったなぁ。」

サブ「そうだったんですか・・・知ってます?アナゴさんのお尻って咥えたら離さないんですよ。」

マスオ「ああ・・・・・・え?」

サブ「それに、アナゴさんのアレが僕の中に入った時の感触、知ってます?お腹の中のモノが掻き回されてバターになるようで・・・」

マスオ「三郎くん。君は一体何の話をしているんだい?」

サブ「・・・ははは。知ってますよ、マスオさんがアナゴの事、そっちの好きじゃない方の好きだって事くらいは・・・ね。」

マスオ「どうして今、アナゴくんの事を呼び捨て・・・。まっまさか君っ嘘だろぉ?」

サブ「マスオさん・・・。これを貴方が渡す代わりに」

三郎は、おもむろに服を脱ぎ始めた

サブ「アナゴさんの代わり・・・なってくれませんかね?」

マスオ「あっ・・・ああ・・・・・・あああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

マスオは、精一杯の残りの力を振り絞って脚を動かした。

折れている方の脚も、折れている事を忘れてるかのように、マスオは走る

が、そこでこける。

半裸の三郎が、膨張した下半身をぶら下げながら歩み寄ってくる

マスオ「来るなぁ!来るなぁぁああああああああああああ!!」

そんなマスオを見て、三郎は小さく微笑んだ。

サブ「冗談ですよ。」

マスオ「え?」ヘナヘナ

マスオ「・・・よっ良かった~。アナゴくんの事、そう思う辺りから僕どうしようかと・・・」

サブ「アナゴさんと寝たのは本当ですよ」

マスオ「え」

サブ「あの時の激しい夜は、今でも忘れられません。」

マスオ「」

サブ「さて・・・このタイムマシンなのですが。取引をしませんか?マスオさん。」

マスオ「なっ何がだぁい?もしかして・・・僕の処女を貰うつもりじゃ・・・」

サブ「ノンケな人をホイホイ食べちゃうような酷い男じゃありませんよ。僕は」

サブ「ただ、アナゴさんとの思い出を渡すわけですから、相当な代価を頂きたいのですよ。」

マスオ「おっお金の事かい・・・?」

マスオ「・・・生憎だけど、通帳はサザエが持ってるだろうし、アナゴ君に渡すお金も、払いきれてないし・・・」

サブ「その必要はありませんよ。」

三郎が指パッチンすると、不満そうな顔で中島君が歩いてきた。

マスオ「中島君・・・?」

サブ「契約書の中、当然知ってますよね?中島君?」

中島「・・・ちっ。勝手に死んでんじゃねぇーよ!あのタラコ唇!!五割貰う約束だっただろーがクソが!!」ドガァン!!

サブ「ゴミ箱を蹴っちゃいけないよ。掃除する人が大変じゃないか。」

中島「うるせぇんだよ!!この金は渡さねえからな!!そもそもタラコ唇が居なくなった今!この金は俺の物だ!!誰にも渡さねえ!!」

サブ「でも契約書には、アナゴさんが死んだら、支払いもクーリング・オフになると書かれていたよね?」

マスオ「えっ?」

中島「んなこと知らねえんだよ!美味しい話があるからって言うからわざわざ俺が働いてたんだろうが!クズが!!」

サブ「でも君は、お金が欲しいが為に一気に大金を貰うよう、マスオさんに嘘をついたよね?「来月には全て払って欲しい」って」

中島「はぁ!?ちっ違ぇーよ!アナゴがそう言ったんだよ!!マッマジデ!!」

サブ「嘘はいけないなぁ・・・。嘘をついたら君、どうなるか分かってる?」

中島「・・・・・・うっ・・・・・・」

中島「うるせぇんだよぉおお!!おらぁああああああああ!!!」ブンブンブンブン!!

マスオ「なっ中島君!そんな物振り回したら危なっ」

中島「僕の金だぁ!!これは僕の金だぞぉおお!!うわぁああああああああ!!!」

サブ「ふんっ!」グシャァ

中島「ミュッ」

三郎くんの回し蹴りは、見事に踵の部分から中島の股間にジャストヒットした。

睾丸の一つくらいは潰れているだろう。トマトを潰す音が聞こえた。

中島は、股間を抑えたまま、硬直し倒れた。

サブ「これでよし・・・と、お金はもらっていくね」

中島の呼吸は止まっていた。心臓の鼓動音も徐々に小さくなっている。

サブ「アナゴさんがもらうはずだったお金・・・今、ここで貰います。これで取引は終わりです。」

マスオ「えぇ、でもそれ・・・たかだか10万円しか入っていないよぉ?」

サブ「お金の問題じゃないんです。僕は・・・アナゴさんの受け取るはずだったお金が欲しいだけですから。」

マスオ「さっ・・・三郎くん・・・」

スッ

サブ「さぁ、マスオさん。歴史を変えてください。そして・・・アナゴさんを取り戻してください。」

サブ「それが・・・残りのお金の”代価”です。」

マスオ「・・・・・・ああ。約束するよ。」

マスオ「お義父さんも、お義母さんも、ノリスケくんも、カツオくんも!ワカメちゃんも!そして・・・アナゴくんも」

マスオ「絶対!絶対に取り戻してくる!!そしてまた・・・アナゴくんと一緒に安い居酒屋で楽しく猥談するんだ!!」

マスオ「その時は・・・サブちゃんの話も聞かせてくれ。」

三郎は、ニコリと微笑み、タイムマシン(プロトタイプ)をマスオに渡した。

僕はその腕輪を装着して、三郎くんに背を向けて歩き出した。

時間を設定して起動したところ、衝撃は要らないが、タイムラグがあるらしい。

過去に移動するまで数分間、それまで待つしか方法が無い。

僕は、チラリと三郎くんの方へ振り向いた。

サブ「あぁ――!!良い!アナゴさん!!良いよぉおおおおお!!ああぁッ――イクゥゥゥウウウ!!」

三郎くんは、僕の受け取った10万円を肛門にねじ込んでいた。

中島は身体が白くなっていた。

僕は前を向き、過去に戻るまで時間を待った・・・・・・。

―研究所 廊下―

イクラ「そして、その子供が産まれてからだ、マスオが狂ったのは」

アナゴ「しかし、にわかに信じがたいな。つまり、僕がその話を信じれば」

アナゴ「タラちゃんには、何か大きな”秘密”があるんじゃないのかい?」

イクラ「ああ。そしてその事実を、マスオはタラちゃんが産まれた後に知っている。」

イクラ「そこからマスオは狂いだし、波平おじさんを殺したんだ。」

―15年前―

マスオ「・・・・・・ここは・・・」

マスオ「・・・戻って来れたんだ・・・・・・」

マスオ「・・・・・・これで・・・元の時代には戻れなくなったなぁ・・・。」

マスオ「・・・ええと・・・そうだ!戻れなくなったなら、ずっとお義父さんの近くに行って・・・」

マスオ「自殺の誘発・・・いや、デパートの屋上から守れば、お義父さんは死なないぞ!」

マスオ「では早速、お義父さ・・・波平さん!!僕ですマスオです!今ここに戻りっ・・・・・・」

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ「居ない」

マスオ「まさかっ!!!」

―デパート―

サザエ「汽車ポッポー汽車ポッポッポー」

波平「はっはっは。やはりここの景色はいい眺めだわい。」

フネ「ええ、本当ですねぇ波平さん。」

波平「・・・・・・時にフネさん。わしは一度、妻を亡くしておる。」

フネ「はい。存じ上げております。」

波平「・・・そっそれでだな。もし・・・もしよかったら。」

フネ「・・・・・・もし、なんですか?」

波平「わっわしの・・・妻の代わりに・・・なってもらえぬだろうか?」

フネ「・・・・・・」

フネ「・・・ふふふ。」

フネ「そんな事だろうと思いましたよ。お父さん。」

波平「・・・!それでは・・・」

フネ「ええ・・・。私の答えは・・・・・・」




ガタン!!

マスオ「波平さん!!」

僕が声を荒げ、叫んだ扉の向こうには

誰も、いなかった・・・。

マスオ「ここは・・・クソッ!屋上まで後一階上だった!!」

マスオは、屋上まで続く階段を上り、波平達を探す・・・

サザエ「きゃっ!」

波平が目を離している間に、サザエは脚をつまづき転びそうになった。

???「おっと!危ない!」

サザエ「ふぃ~・・・」

???「大丈夫かい?」

サザエ「うっ・・・うん。貴方こそ大丈夫?」

???「僕は平気さ。これでも結構鍛えてるからね。」

サザエ「それにしては細・・・ところで貴方、名前は何ていうの?」

???「僕?いや、その前に君の名前を教えてくれないかな?」

サザエ「私・・・?私の名前は、磯野サザエ。それで、貴方の名前は?」

???「サザエって言うのかぁ、僕の名前は・・・」

幼マスオ「フグ田マスオって言うんだ。」

ザクッ




マスオ「うっ!!」

マスオ(きゅっ・・・急に脚の辺りに激痛が・・・走りすぎたからか?)

マスオ「くっ・・・クソっ・・・!こんな所で・・・諦めて・・・・・・たまるか!!」

僕は、思い切り大きく、扉を開いた。


叫び声と共に、僕は人の雪崩に飲み込まれていった。

幼サザエ「・・・・・・えっ」

サザエ「・・・・・・・・・」

九歳のサザエが見たのは、包丁で脚を刺した女の姿だった。

目は充血し、息遣いの荒いそいつは、最早人ではなく獣に見えた。

脚を刺されたマスオは、死んではいないもののショックで気絶していた。

波平「なっ・・・何をしているんだ!貴様!」

サザエ「・・・・・・ギロリ」

サザエ「・・・なんだ。お父さんかぁ」

波平「お父さん・・・?わしは、貴様の事なんか知らんぞ!」

タラオ「それは当然ですぅー☆だって僕たち、未来から来たんですぅー☆」

幼サザエ「・・・未来?」

そこで、サザエは思い出した。

前に、マスオから聞いた あの言葉を

マスオ『結婚してから僕を奴隷のように扱い休日なんかも家族サービスでぶっ潰されて癒すどころか毎日傷つけられている』

マスオ『この間なんかバットで足を殴られたり、髪の毛を引っ張られたり眼鏡を隠されたりもした』

マスオ『これが君の未来だよ!!!9歳の癖に夢見ちゃいけないなぁ!現実見ろよ!!』




バンッ!

マスオ「お義父さん!!!」

マスオ「!!さっ・・・サザエ!?」

サザエ「・・・ああ、貴方ぁ?もう良いわ。もうすぐ消えるから」

9歳のサザエは思い出した。脚を刺された男の子。

この子の名前は・・・フグ田、マスオ

目の前の女が、私の未来・・・

幼サザエ「・・・いっ・・・いやぁ・・・・・・」

幼サザエ「いやぁぁぁああああああああああああああああ!!!!」

―研究所 廊下―

イクラ「だから、俺とカツオ兄さんの仲が悪いことにしておけば、ヤツにとっても都合が良いのさ。」

イクラ「そう思わせておけば、こっちもやりやすい。」

アナゴ「なるほどぉ、しかし・・・結局ヤツとは誰の事なんだぁい?」

イクラ「・・・それは、この計画を進めているうちに分かる事さ。」

アナゴ「ふぅーん・・・。もしかして、タラちゃんかな?」

イクラ「いや、それは有り得ない。・・・だが、黒幕は”三人目のタイムマシン設計者”だ。」

アナゴ「つまり・・・今まで話した計画の中に、もう黒幕は出てるって事なんだねぇ?」

イクラ「ああ。僕の読み通りなら98%ヤツが犯人だ。」

イクラ「ただ・・・どうしてこんな事をするのか、俺も理解に苦しむ」

アナゴ「・・・・・・」

イクラ「ここから先は、行ってから確かめてくれ。きっと分かる筈だから。」

アナゴ「・・・そうさせてもらうよ。イクラくん。」

―15年前―

マスオ「そっそれは・・・過去の僕・・・!?」

マスオ(どうして・・・!過去の僕がこんな所に・・・!?)

マスオ(うっ・・・頭が・・・・・・!)ズキィ

タラオ「今からパパ・・・じゃないデスゥ。パパモドキを[ピーーー]だけデスゥ。」

マスオ「過去の僕の足から血が流れてる・・・ましゃか!!」ガバァ!

マスオ「!!・・・刺されたあとの・・・痣!」

サザエ「なんだ・・・これで確信したわ。この子は間違いなく、マスオの過去ね」

マスオ「そんな・・・なんだこれ・・・なんだこれ・・・!そもそも・・・・」

マスオ(そもそも、24%からの充電なら、後最低二日は充電期間が必要な筈!なのに・・・何故)

マスオ(・・・そうか!僕が使っているのは初期型だから!!だからラグの影響がここにも!!)

サザエ「それじゃぁ、刺すわね」ザク

マスオ「ぐぁああああああああ!!」

サザエ「いーち、にぃーい、さぁーん」ザクッザクッザク

波平「止めろ・・・止めんかぁ!!」ガバァ

サザエ「どきなさいよ、今更アンタなんか殺しても、もうすぐポックリなんだから、邪魔でしかないのよ!!」バン!!

波平「うわぁ!!」

フネ「お父さん!!」

マスオ「うぉおおおおおおおお!!」ダッ!

サザエ「!!」ガグン!!

マスオ「おらおらおらおらおらろあらおおあらおらろあろあおら!!!」ガンッガンッガンッガンッ!!

サザエ「ぐへぇ!ぐは!おえ!!」ボコボコボコ

マスオはサザエに騎乗位の状態で顔を殴り続けていた。

タラオ「うわぁーん!パパがDVに目覚めたデスゥー!」

サザエ「何すんのよ!!離しなっ」ガシッ

マスオ「誰が離すものか!!僕は!!ずっと我慢してきたんだぞ!!ずっと!!・・・ずっと!!」

マスオ「僕に嫌がらせばかりして・・・!それにタラちゃんの面倒まで押し付けて・・・!なのにもっと仕事しろ!!家族サービスしろ!!もっと金稼げなんて!!僕はお前の奴隷じゃない!!」

幼サザエ「・・・・・・・・・」

マスオ「それに!!タラちゃんは僕の子じゃないらしいじゃないか!!なのに!!僕を咎める理由があるのか!?ええ!?」

サザエ「男のくせにガタガタうるさいわねぇー。ペッ!!」

マスオ「・・・」ビチャ

サザエ「そんなもん決まってるでしょ?私は浮気しても良いけど、私の物が私を裏切ったら許さないに決まってるでしょ!?そんな事も分からないの!?貴方は!!」

サザエ「あんた何様なの!?私を縛り付けておくつもり!?ばっかじゃない!!身の程わきまえなさいよクズが!!」

フネ「・・・クズは、貴方様じゃありませんか」

サザエ「あ?」

フネ「少なくとも、彼は我慢してくれたらしいでは無いですか。それは・・・貴方にちゃんと愛があったから、貴方の傍に居てあげられた。」

フネ「貴方を少しでも信じてくれていたから、彼は頑張っていたのでは無いのですか?それを貴方は自分勝手な理由をペラペラペラペラと」

フネ「よくも恥ずかし気もなく言えたものですねぇ。マスオさんの言う通り、貴方にマスオさんを咎める理由なんてありませんよ。」

サザエ「うるさいなぁー義母さん。実の娘にそんな口聞くつもり?」

フネ「・・・義母さん?」

サザエ「そもそもさぁー、私を置いて行ったのはアンタ達じゃん。それからずっと、私どうしてたか分かる?一人ぼっちよ?」

サザエ「波野のおじさんに出会うまでずっと一人よ?一人だったのよ!?その優しいおじさんのち○ぽ舐めたり、ヴァギナにズッコンバッコンしたり」

サザエ「おじさんの友達全員の肉棒を一夜で全部満足してあげた事もあった。そうすれば、皆私の事大好きって言ってくれたし!何でも言う事を聞いてくれた!!」

サザエ「お金も沢山貰えたし奪った!!言いなりもできた!!美味しい物も食べられた!!それがどんな不幸か、こんな男と結婚するハメになったのよ!?」

幼サザエ「・・・・・・・・・」

マスオ「サザエ・・・昔の君も見ているんだ。そんな事は・・・」

サザエ「だ・ま・れ!!!だーまーれ!!だーまーれ!!だーまれ!!」

マスオ「・・・それに、波野のおじさんは、君のお父さんの妹の夫・・・」

サザエ「分かるぅー!?お父さん!お義母さん!!これがアンタの娘の人生なのよ!」

サザエ「今、目の前であほ面してるアンタの娘がこれから送る運命なのよぉおおおおおおおおおお!!!」

マスオ《いやぁ~お義父さん。ごぶ沙汰してます~。》

マスオ《え?今焼いてるのって?いやだなぁ~お義父さん。お義父さんが一番大好きな物ですよ。》

マスオ《そう、お義母さんの肉ですよ~、これが美味しいんですよ~肉が柔らかくて~、あ!でも安心してくださいお義父さん、お義母さんにはすぐ会えますよ。》

マスオ《後ろで    が、スタンバイしてますからね》

僕の脳裏に、グロテスクな光景が移った。

どこか懐かしくも思い、どこか悲しくも思った、不思議な記憶だ。

そんな記憶を横目に、幼いサザエが走り出すのが見えた。

幼いサザエは、フェンスの鍵を壊し、身を乗り出して

屋上から、身体を外に出して、落ちていった・・・



ぐしゃり

サザエ「あんぎゃぁぁああああああああああああああ!!あああ!!あああああああああああ!!!」

サザエの身体が、有り得ない方向に曲がっている。

頭が潰れ、眼球が飛び出し、脳みそが耳から流れている。

そして徐々に、徐々に身体が薄くなって床の溝が見える。

身体の穴という穴から血を噴水のように湧き出し、その血も半透明になっていき、だんだんと消えていく。

過去の身体に僕の身体が傷つくと、今の僕に傷が残るように、過去のサザエが無様に死んだら、

今、ここに居るサザエも無様に、そして苦痛の末に死ぬそうだ。

サザエ「が・・・あ・・・キ・・・・・・サ・・・・・・マァ・・・・・・マァァ・・・・・・」

サザエは、苦しそうに、そして悔しそうに、恨めしそうに僕を睨みつけていた。

顔はぐちゃぐちゃだったから分からないが、僕はその表情が読み取れたのだ。

僕は汚物を見るような目でサザエを睨みつけてやった。

そして、完全にサザエの身体は消えた。

最後の最後まで、苦痛と憎しみに満ちた表情だった。

マスオ「・・・・・・」

しかし、ここで一つ問題が現れた。

波平「ああ・・・サザエ・・・サザエ・・・!」

それは、元からあって、これで終わるはずの問題だった。

マスオ「サザエは・・・亡くなった。今、ここで、この時間のサザエが。」

マスオ「なのに・・・」

タラオ「デスゥ?」

マスオ「なのに・・・どうしてお前が残ってるんだ!!タラちゃん!!!」

―海山商事―

アナゴ「んんー!!これでぇ、今日のノルマは達成だなぁぁ。」

アナゴ「さてさてぇっと。今日はマスオ君に呼ばれてるんだったなぁあ。」

アナゴ「最近出来た、キチク花の屋でも行って、くるかぁ。」

未来アナゴ「ちょぉっと待ったぁ。」

アナゴ「うわぁあ!なんだぁ?このクチビルお化けはぁ?」

未来アナゴ「失敬なぁ。これでも、未来から来た僕なんだぞぉ?」

アナゴ「未来から来たぁ?何を馬鹿な事を言ってるんだい。これからマスオくんに呼ばれて」

未来アナゴ「キチク花の屋にでも行くんだろぉ?」

アナゴ「えっ・・・何でその事を?」

未来アナゴ「だから・・・僕は君の未来だって言ったじゃぁないかぁ。」

アナゴ「いやぁゴメンゴメン。てっきり目の前にイケメンが現れたものだから、つい動揺しちゃって・・・。」

未来アナゴ「まぁ、そんなこったろうと思ったよぉ。」

未来アナゴ「それはそうと、これを着けて欲しいんだぁ」スッ

アナゴ「なんだぁい?これはぁ。なかなかイケてるじゃぁないかぁ。」

未来アナゴ「これはぁ、タァァイムムァスィィィインなんだよぉ。過去の僕ぅぅ。」

アナゴ「なっなぁんだってぇえ?」

未来アナゴ「これを今、ここで着けて欲しいんだぁ。」

アナゴ「それは別に・・・構わないけどぉ」カチリ

アナゴ「僕はぁ、この道具の使い方は知らないしぃ、別に過去にも未来にも興味は無いよぉ?」

未来アナゴ「興味無くたって良いさぁ、今からマスオ君が殺されるから、それを阻止して欲しいだけなのさぁ。」

アナゴ「え?」

未来アナゴ「じゃぁ、GO・TO・過去!」ドンッ

アナゴ「いやちょっとマスオ君に何が・・・・・うわああああぁぁぁ!!」ヒュゥゥゥゥゥゥ

グシャァ!!

バチバチ・・・ズキュン!

未来アナゴ「ふぅーい・・・これでよしっと。後は・・・」チラ

未来アナゴ(若干不良品のタイムマシンと、一応正規ナンバー入のタイムマシン・・・か。)

未来アナゴ(マスオ君には、正規ナンバーのタイムマシンを渡さないとな。)

未来アナゴ(不良品の方は、一回でも使えばすぐにおじゃんだろうが・・・正規の方は三回は持つだろう。四回目は・・・)

未来アナゴ(・・・全く、僕もお人好しがすぎるなぁ。)

未来アナゴ「こうなったら、マスオくぅんにお金をせびるしかないなぁ。幾らが良いかなぁ・・・100万円だなぁ。」

未来アナゴ「生き残れたら、そのお金でパァーっとお祝いパーティーするのも良いねぇ。はっはぁ。ビール飲み放題だぁ。」

未来アナゴ「おっと、こうしちゃいられない。マスオくんを待たしちゃってるぞぉ~」タッタッタ・・・

―デパート屋上―

マスオ「君は・・・僕の子供でもない。そして・・・サザエの子供でも無い・・・」

マスオ「それじゃぁ・・・君は一体・・・誰なんだい・・・?」

タラオ「何を言ってるデスかぁ~?僕はタラオですよ」

マスオ「いや・・・サザエの子でも、僕の子でも無いお前は・・・タラちゃんの筈がない!!」

マスオ「本物のタラちゃんをどこへやったんだ!?答えろ!答えろよ!!」

タラオ「・・・・・・」

タラオ「僕は、タラちゃんですぅ。だって」

タラオ「パパが、そう名づけてくれたじゃないですかぁ」

マスオ「・・・・・・!まさか!」

マスオ「入れ替わっていた・・・と言うのかい?赤ん坊が・・・!」

タラオ「さすがの僕も、初めて気づいた時はビックリしたですぅ☆」

タラオ「パパとママの血液からして、僕は産まれる筈の無い血液型で生まれ、髪の色まで違う」

タラオ「それをパパはおろか、ママまで気づいて無かったんですから~」

マスオ「そんな・・・そんな事・・・一体誰が・・・!?」

カチャリ

マスオ「・・・っ!」

???「・・・それは、貴方が一番知っている筈ですよ。マスオさん。だって」

???「赤ん坊をすり替えたのは、フグ田マスオ。貴方なのですから。」

マスオ「きっ・・・君は・・・」

???「・・・・・・・・・」

???「・・・ちゃーん!」

マスオ「イクラちゃん!?」

タラオ「イクラちゃんですかぁ?とっても大きくなったですぅ☆」

―研究所 廊下―

イクラ「・・・・・・・・・」

イクラ(そうだ、タラオと俺の間には大きな”秘密”がある)

イクラ(だが、タラオが黒幕なんて事は有り得ないんだ。)

イクラ(だって・・・俺の知ってる限り、タラオは・・・)

イクラ「この世に・・・居ないんだから・・・・・・」


―デパート 屋上―

???「違うよ。僕はイクラじゃない。」

タラオ「えー?違うですかー?」

マスオ「あっ・・・きっ君は!前にお義父さんの家に訪ねてきた楽市・・・さん!」

???「はい。確かに僕は楽市と名乗らせていただきました。だけど、本当の名前は違うんです。」

マスオ「ええー!?じゃぁ、一体君は誰なんだい?」

???「・・・言っても、信じられるか分かりませんが」

???「僕の名前は・・・磯野・・・タラオ」

タラオ「は?」

磯野タラオ「貴方の、本当の子供なんですよ。お父さん。」

マスオ「・・・・・・え?」

マスオ「ちょ」

マスオ「ちょっと待ってくれぇ!!僕に身に覚えが無い!」

磯野タラオ「身に覚えが無いのは・・・しょうがない。でも、確かに僕は貴方の子供なのです。」

マスオ「でも・・・でも!本当の僕の息子なら!サザエが死んだ時点で、君は死んで」

マスオ《僕は、売女と結婚していたわけさぁ~。だから、別に良いだろう?》

マスオ《僕が、君を裏切ってもさぁ?》

マスオ(・・・・・・!)

マスオ(また・・・この記憶・・・だと!)

マスオ(一体・・・一体僕の身に何が起こっているんだ・・・!?)

波平「いっ・・・一体・・・何が起こっているんじゃ・・・?」

タラオ「ぷーくすくす。一体何を言っているですかー☆」

タラオ「タラオは僕ですー☆それとも、お前はタイムマシンで未来から来た僕なのですかー?」

磯野タラオ「確かに、僕は未来から来たタラオだ。だけど」

磯野タラオ「君は磯野タラオ・・・じゃないよ。これだけは断言できる。」

タラオ「黙れですぅ!!僕が!僕こそが磯野タラオですぅ!!新参が!!しゃしゃり出て来んなですぅ!!!」

磯野タラオ「違うよ。君は磯野家の子供じゃない。」

磯野タラオ「本来の磯野タラオは、刈り上げ頭でおかっぱの、団子鼻の少年なんだ。」

タラオ「そんな格好悪いのが僕なわけないですぅ!!ぎゃぴぃいいいい!!!」

磯野タラオ「・・・もう、よさないか。本当は君は、僕より年上なんでしょ。」

磯野タラオ「・・・・・・そうだろう?」

磯野タラオ「タイムリープしてきた・・・未来の父さん」

―マスオ・ヘッダー・イン・ワールド―

マスオ《サザエ~君にはガッカリだよぉ。え?何がガッカリなのかって?》

マスオ《それを含めてガッカリだよ~。だって君は》

マスオ《不倫してたんだろぉ~?僕に黙って。》

マスオ《まぁ、血の繋がってない息子を見てから、すぐに分かった事だけどさぁ~》

マスオ《カツオくんがタイムマスィンを作るって言うから、ずっとここまで待ってあげてたんだけど》

マスオ《もう、その必要も無いみたいだね~。》

マスオ《んん?僕の腕についてるこれは何かって?》

マスオ《これは・・・タイムリープマシンだよぉ。タイムマシンじゃ無い所がミソね。》

マスオ《え?ああ、この腕についてる血の事を言っていたのかい?なぁんだ。そうなら早く言いなよぉ。》

マスオ《これは、お義父さんとお義母さんを料理したときについた血だよぉ。夕飯も君と一緒に食べたじゃないかぁ。》

マスオ《あぁ――!吐くなんて僕とお義父さんとお義母さんに失礼だと思わないのかい!?》

マスオ《んん~?何だい?その目は。君が悪いんじゃないかぁ。ふふふふ。》

マスオ《サザエ~、僕は君を刺すつもりだね?うんうん。しょうがないよねぇ。だって僕、君をもう愛してあげられないんだもの。》

マスオ《君は、僕に飽きて浮気してたんだろう?》

マスオ《僕は、売女と結婚していたわけさぁ~。だから、別に良いだろう?》

マスオ《僕が、君を裏切ってもさぁ?》

マスオ《僕は、タイムリープマシンで生まれたばかりの僕の身体までタイムリープするんだぁ。》

マスオ《そうなれば、僕の身体は蛻の空になって死んでしまう筈だからねぇ。》

マスオ《タイムマシンの作り方は、もう頭に叩き込んだからね!知識さえあればいつでも作れるよ!》

マスオ《だって、イクラちゃんのお墨付きなんだからねぇ。》

マスオ《あれから20年かぁ。長かったなぁ。》

マスオ《ようやく僕も、磯野家の婿養子まで漕ぎ着けたわけだぁ。》

マスオ《後は・・・赤ん坊をすり替えるだけだね。》

マスオ《イクラと・・・タラオにっと。》

マスオ《おっと、イクラちゃんゴメンネ。》プス

マスオ《脳にタイムリープマシンの、座標チップを埋めさせて貰ったよ。》

マスオ《これで未来の僕が君にタイムリープする事は確実になったから、次に目覚めた時に君は、僕になっているはずだからね。》

マスオ《あとタラちゃんは・・・もう顔も見たくないから》

マスオ《あの甲斐性なしのノリスケ君に育てられると良いよ!バイバーイ!》

マスオ《いやー因果って怖いね!カツオくんとイクラ・・・いや、タラちゃんはまたタイムマシンを作るって言うんだもん!》

マスオ《これは何か、運命的な何かを感じるね!》

マスオ《そうだよね?三週目の僕?》

タラオ《そうです~☆なんだか楽しくなり始めたです~☆》

マスオ《そうでしょぉ?これから、もっと楽しくなるよぉ!》

マスオ《知りたい?知りたい?今からぁ、僕はぁ、カツオ君のタイムマシンを使ってぇ、》

マスオ《お義父さんとお義母さんを、15年前に遡って殺してしまおうと思いまぁす!!》

―デパート 屋上―

タラオ?「・・・・・・」

マスオ「・・・ぇえー!?タラちゃんが・・・未来から来た僕だと言うのかい!?」

磯野タラオ「正しくは、未来の父さんの記憶が入ってるだけなんですけど。」

タラオ?「・・・いつから気づいてたですかー?」

磯野タラオ「気づいてたんじゃなくて、知ってたんだ。僕は、全てを知った上でタイムトラベルを繰り返した。」

磯野タラオ「まず、僕は波野家でイクラとして育てられてきた。」

磯野タラオ「そこで、カツオ兄さんがタイムマシンを作ると言い始めたんだ。これは」

磯野タラオ「崩壊した磯野家の真相を知る為だった。」

タラオ?「その崩壊した理由が、お母さん・・・いや、サザエの浮気だった事を知った時は、さぞかしビックリしただろうねぇ~☆」

磯野タラオ「確かに、サザエは浮気していたし不倫もしていた。だって、それが出来る理由があったからだ。」

マスオ「・・・・・・・・・」

磯野タラオ「だって、浮気しても不倫しても、サザエはバレない自信があったんだよ。」

タラオ「でも、結果的にバレたです~☆それはお前が証明してるです~☆」

磯野タラオ「それは、確かに真実だけど誤解なんだ。」

磯野タラオ「だって、サザエ母さんは子供が出来ない身体なんだからね。」

―研究所―

カツオ「・・・しかし、僕も驚いたよなぁ。」

カツオ「イクラちゃんとタラちゃんの血の繋がりが実は濃かったなんて」

カツオ「”嘘”だったって事が」

カツオ「そりゃそうか、赤ん坊を交換した時点で、血の繋がりなんか可能性もクソも無い。」

カツオ「更に、タラちゃんには波野家にも磯野家にも、誰の血の繋がりも無い事も」

カツオ「あれは・・・姉さんが孤児院から拾ってきた子供だったんだ。」

―デパート 屋上―

タラオ「・・・あの膨らんだお腹は、どう説明するつもりだい?」

磯野タラオ「水風船に腹巻を巻いただけだよ父さん。それを、家族全員が騙してたんだ。」

タラオ「そう、それを知って僕は、磯野家に嫌気が刺したんだったね・・・」

マスオ「ええ!?そうだったのかい!?」

タラオ「イクラの身体を借りた僕と、天涯孤独の身の君と。」

タラオ「どちらも、磯野家には関係の無い身分だったのにさぁ~」

タラオ「こぉんな事に巻き込まれちゃって、散々だったよね~☆」

磯野タラオ「・・・だけど、一つ分からない事がある。」

タラオ「ん~?」

磯野タラオ「僕がイクラに成りすまして計画を進めた目的は、貴方を止めるため。だけど」

磯野タラオ「貴方が磯野家を崩壊させる理由が、未だに分からない。」

磯野タラオ「貴方は・・・波平さんを殺して、磯野家を崩壊させようとして、何がしたかったんだ?」

タラオ「・・・・・・・・・」

―マスオヘッダー・イン・ワールド―

マスオ《いやぁ~サザエにも裏切られて、磯野家にも裏切られて》

マスオ《僕はもう、世界がなんなのか分からなくなっちゃったよ~。》

マスオ《もう、壊しちゃおっか!二週目のマスオくん!》

タラオ《ですぅ~☆でも、どうやって壊すですか?》

マスオ《簡単さぁ~☆まず、僕がタイムトラベルして波平をぶっ[ピーーー]!》

マスオ《そうすれば因果律で消されるタイムマシン設計者のカツオ君は、何らかのアクションを起こすだろう。》

マスオ《僕が良いお兄さんの時、正しくは一週目の僕の演技していた時は良き理解者だった。》

マスオ《今の僕の記憶を消して、真っさらで誠実なマスオくんにして、》

マスオ《全てを僕に託す!そんなおめでたい事してくれる筈さぁ~》

マスオ《そして、純情なエンジェルだった時の僕なら、お義父さんを助けようと奮闘して》

マスオ《バッタリ、僕たちと鉢合わせになるだろうねぇ~☆》

―デパート 屋上―


パァアアン・・・

波平「・・・・・ぐふっ!」

フネ「・・・おっ・・・」

フネ「お父さん!!」

マスオ「ああああ!!すっかり忘れてたよ!」

磯野タラオ「だっ・・・誰だ!?誰がお爺ちゃんを殺したんだ!?」

タラオ「・・・・・・・・・」

???「チャラッチャッチャチャ・チャチャッチャッチャチャ・チャチャッチャッチャチャッチャ・デン↓☆」

マスオ「!?」

???「チャラッチャッチャチャ・チャチャッチャッチャチャ・チャチャッチャッチャチャッチャ・デン↑☆」

???「来るよ・来る・よ~☆」

オスマ「マスオが来るっよ~☆」

大きな空を、眺めた・ら~♪

フネ「マッ・・・マスオさんが二人っ!?」

磯野タラオ「ばっ・・・馬鹿な!こんな・・・こんなことが!」

オスマ「初めまして~☆一週目の僕~☆」

マスオ「ばっ・・・馬鹿・・・な・・・!?」

磯野タラオ「三人も・・・三人も同じ人間が鉢合わせするなんて事は・・・」

磯野タラオ「タイムパラドックスどころじゃ済まないぞ!?」

オスマ「ははは~☆何を言ってるんだいタラちゃぁ~ん。」

オスマ「それが目的なんじゃないか~」

磯野タラオ「まっ・・・まさかお前は!」

磯野タラオ「この世界を崩壊させる為に!ここまでの事をしたって言うのか!?」

マスオ「ぇえー?!世界が崩壊するって言うのかい!?」

ゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴ

フネ「なっ何ですか!?地震?」

磯野タラオ「莫大なタイムパラドックス・・・!因果律を極限にまで歪めると、僕たちの居る三次元が、五次元の干渉領域に達し」

磯野タラオ「本来存在する特異点が崩壊。巨大なブラックホールが発生する・・・」

マスオ「あ!あの黒いのがそうなのかい!?タラちゃん!!」

磯野タラオ「ブラックホールが発生する前に父さんを元の時代・・・くそっ!遅かったか!!」

オスマ「ははっはは~!素晴らしいと思わないかい!?タラちゃぁん!」

オスマ「こんなクソったれな世界、一から作り直せるんだよぉおおおお!?」

磯野タラオ「・・・・・・・・・!」

磯野タラオ「・・・・・・っ」

磯野タラオ「そっ」

磯野タラオ「そんな事しなくても・・・カツオ兄さんは望んでいた。」

タラオ「ですぅ?」

磯野タラオ「磯野家の問題を終わらせる為に!カツオ兄さんは研究をしていた!!カツオ兄さんが!磯野家を救ってくれる筈だったんだよ!父さん!!」

オスマ「でもこぉんな危険な事、カツオくんにやらせるわけにはいかないよぉ~☆」

磯野タラオ「違う!!こんなやり方を望んでたんじゃない!!」

オスマ「でもやっぱり君とカツオくんは、仲違い同士じゃなかったんだねぇ。」

磯野タラオ「・・・・・・・・・」

オスマ「知ってたけどね。全部演技だって。」

オスマ「そもそも、カツオくんは磯野家の問題を終わらせる為に研究していたんじゃないんだよぉ?」

マスオ「え?どういう・・・」

オスマ「カツオ君は、元の時間軸に戻るために研究していたのさぁ☆」

磯野タラオ「・・・!もしかしてカツオ兄さんは・・・!」

オスマ「そう、別の世界線の人間だよ。そして僕は」

オスマ「ただ、カツオ君の目標を僕が目指してるだけさ。」

磯野タラオ「・・・・・・」

オスマ「さて、僕はここでのんびりと世界の崩壊を眺める事にするよ。」

タラオ「楽しみですぅ~☆」

ゴゴゴゴゴゴッゴ

タラオ「あっ!見てみてパパ~。人がゴミのようにブラックホールに吸い込まれるですぅ~☆」

オスマ「本当だ!まるで掃除機みたいだねぇ~タラちゃん☆」

タラオ「ルンバですぅ~☆」

磯野タラオ「だとしても・・・こんな結末・・・間違って・・・」

マスオ「うわぁぁあああああああああ!!」

磯野タラオ「!」

マスオ「吸い込まれるぅぅううううううううう!!」

磯野タラオ「父さん!!」

タラオ「あっはははははは!!バカパパが吸い込まれていくですぅ~☆」

オスマ「あれにもう用は無いから、ゴミと同じだもんね!」

タラオ「掃除機に吸い込まれて行くですぅ~☆」

磯野タラオ「父さん手を・・・ああ!!」

マスオ「いっ嫌だぁ!!いやぁあああああああ!!」

ああああああああ・・・

ああああ・・・

ああ・・・

・・・

タラオ「見えなくなったですぅ~☆」

オスマ「残念☆もうちょっと見ていたかったな~☆なんて」

「あはははははははは!!」

カッ!

ブゥゥゥゥン・・・

タラオ「あれ?何か飛んでいったですぅ?バイクですぅ」

タラオ「あんな格好良い飛び込み方で飲み込まれるなんて・・・なんだか癪に触るですぅ!!」

磯野タラオ「・・・あれは・・・アナゴ?」

―???―

マスオ「・・・・・・」

マスオ「・・・・・・ここは・・・」

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ「この・・・真っ白の空間・・・」

マスオ「・・・そうか。」

マスオ「僕は・・・今度こそ死んだのか・・・」

マスオ「・・・・・・はぁ。」

マスオ(もう・・・良いか。)

マスオ(なんだか、わけの分からない事に巻き込まれていて)

マスオ(話も正直、二割も理解できなかったよ。)

マスオ(にっちもさっちも、意外だらけでさ、もう何も驚けなくなってきたし。)

マスオ(・・・もう、良いや。)

マスオ(寝よう・・・・・・。)

《こらぁ~!カツオ待ちなさ~い!》

《勘弁してよ姉さ~ん。ぼた餅食べたのは悪かったからさぁ~》

《あー!ひっどーいお兄ちゃん!私のぼた餅も食べちゃってるじゃなぁい!》

《僕のもですぅ。》

《ぶわっかもぉおおん!カツオ!お前は当分おやつ禁止だ!》

《カツオ、あんまりいやしいと信用が無くなりますよ。》

《ニャー》

《ははは。カツオくんも災難だったね~》


マスオ(・・・あれ?これは・・・)

マスオ(磯野家・・・僕の知ってる磯野家だ。)

マスオ(そうだ・・・僕も最初はこんなに大家族の中で生活してきたんだ。)

マスオ(楽しかったなぁ・・・あの時は・・・。あれ?でも・・・)

マスオ(カツオ君も、違う時間軸から来たと言っていた・・・。)

マスオ(・・・じゃぁ、カツオくんはどうやってここまで来たんだ?)

マスオ(それは、僕もこの時間軸の記憶を持っている事に)

マスオ(何か、理由があるんじゃないか?)

マスオ(・・・・・・タラちゃん)

マスオ(そうだ、タラちゃんはこんな顔だった。)

マスオ(ちゃんとした、僕とサザエの子は、こんな顔だったんだ。)



カツオ「そうだよ。これが僕が帰ろうとした世界線なんだ。」

マスオ「あれ?君は・・・」

背広のスーツと白衣を来た坊主頭の青年が立っていた。

マスオ「もしかして・・・カツオくん?」

カツオ「うん。因果律の法則に囚われた者は、どうやらここに辿り着くみたい。」

カツオ「お久しぶり。マスオ兄さん。」

マスオ「・・・カツオくん。大きくなったねぇ。」

カツオ「マスオさんこそ、僕がこの世界線で見たマスオさんとは大違いだ。」

マスオ「そうだね。この世界線・・・いや、全ての僕に、何があったのか分からないなぁ。」

カツオ「僕はおおかた知ってる。教えてあげようか?」

マスオ「・・・カツオくんは、やっぱり物知りだなぁ。」

カツオ「僕が、こんなに離れた時間軸にたどり着いたのは、一つの発明品のせいなんだ。」

マスオ「タイムマシン・・・だよね?」

カツオ「そう。でも、僕達の世界でタイムマシンを作ったのは、僕でもイクラ・・・タラちゃんでもマスオ兄さんでもない。」

カツオ「ノリスケおじさんなんだ。」

《でも、それはタイムマシンというにはお粗末な物で、力だけが強かった。》

《そして作動した瞬間、巨大なワームホールが発生し、僕とマスオ兄さんはそれに飲み込まれた。》

《その後の事は分からない。だけど、運が良いのか悪いのか、僕とマスオ兄さんはある世界線にたどり着いた。それがこの世界線だ。》

《まだ幼かった僕の身体は、記憶だけでこの身体を支配できていた。》

《僕はこの日から、元の世界に戻るためにタイムマシンの開発を行った。そして15年後にプロトタイプが完成したんだ。》

《自分の身で実験してみた所、実験は成功。まずは、タイムマシンの開発者だったノリスケおじさんに脅迫をかけてみた。》

《お父さんに脅迫の手紙を渡すのは気が引けたよ。【ノリスケを殺せ】なんて内容を出すなんてさ。》

《元の時代に戻っても、何も起こらなかった。そこからもっとこの世界を調べたんだけど、ノリスケおじさんはタイムマシンなんて作ってなかった。》

《タイムマシンを作っていたのは、僕一人だったんだ。その時はね。》

《別の世界線の家庭事情に興味無かった僕だが、ここの家庭事情も大分わかるようになった。》

《タラちゃんが家の子じゃない事も、マスオさんがお父さんとお母さんを殺した事も。》

《そこで僕はタイムリープを行った。最初の自分に戻ったんだ。》

《それでも悲劇は止められなかったけれど、》

《だけど一つ、違う事があった、イクラ・・・タラちゃんもタイムマシンを作ろうとしているんだ。》

《一つ、解決策を見つけた。飛ばされたマスオ兄さんを探せば良いんだ。》

《飛ばされたマスオ兄さんは幸いにも、あの気狂いのマスオ兄さんの奥深くの記憶の層に閉じ込められている事を知った。》

《マスオ兄さんの記憶をタイムリープの応用で消そうとした・・・だけど、》

《誰かに気づかれたのか、因果律で僕は消される寸前まであった。》

《その消される寸前、僕はマスオ兄さんの記憶を消した・・・。》

《全てを思い出したマスオ兄さんに、全てを託すために・・・》

カツオ「まさか、マスオ兄さんが数回ループしていたとは予想外だったけどね。」

マスオ「・・・いくらなんでも、知りすぎじゃないかい?カツオくん」

カツオ「ここは因果律の世界。情報ならいくらでも入ってくるんだよ。こんな風にね」

ブゥン

マスオ「うわぁ・・・」

何も無い所から、画面だけが現れ、その画面からは現世の光景が映されている。

マスオ「・・・本当に、カツオ君の言う通りだったんだねぇ。」

カツオ「この因果律の中から探せば、僕の元居た時代に戻れるんじゃないかと思い探したんだけど」

カツオ「無限大獄に近い数の世界線から元居た世界を探すのは、やはり無謀に近いよ。」

マスオ「本当にすごい数だからねぇ。」

カツオ「それに、もうこのモニターも全て使えなくなる。」

マスオ「・・・あれぇ!?画面がだんだんブラックアウトしてくよぉ!?」

カツオ「タイムパラドックス。それによって因果律が崩壊し、世界の崩壊がここまで来るようになった。」

カツオ「ここから行き着く先は”無”だよ。マスオ兄さん・・・」

マスオ「なっなんだってぇ――!?」

ブラックアウトは更に広がり、白い空間が徐々に闇に染まってゆく・・・

マスオ「逃げよう!カツオ君!」

僕は、カツオ君の手を握り、まだ闇に染まっていない方へと走った。

カツオ「・・・無駄だよ。世界が崩壊した今、蓋をして隠していた無に吸い込まれて」

カツオ「11次元の世界全てが、無に戻る」

マスオ「何を言ってるか全然分からないよぉ!!カツオくぅん!!」

だが、カツオの言葉が真理かのように、闇はマスオ達に向かって広がり続ける・・・

マスオ「ぜぇはぁ・・・!だっ・・・ダメだ!ぐぼはぁッ!僕の足じゃぁ・・・オエッ!すぐに追いつかれちゃう!!」

カツオ「まだ100mも走ってないじゃないか・・・。運動不足が仇になったね。マスオ兄さん。」

闇のスピードには叶わず、既にマスオの視界には闇の割合が多くなっていた。

カツオ「だけど、もう良いんだよマスオ兄さん。全ては僕が悪かったんだ。」

カツオ「こんな腐りきった磯野家に戻りたくない。姉さんの浮気を黙認してマスオ兄さんを苦しめる家庭が嫌だ」

カツオ「だから僕は、タイムマシンを作って逃げ出そうとしたんだ。」

マスオ「だとすれば!僕も!同罪!だ!」ハアハア

最早、光がマスオの視界にはピンポン玉程の大きさにしか映らない。

マスオ「だって!!僕も!帰りたかった!!!元の家族に!みんなが!みんなが笑って食卓を囲むあの家族に!!」オエッ

マスオ「カツオくんの望みが罪なら、僕の望みも罪じゃないかぁ!!」ブヘァブヘァ

カツオ「顔すごいよ。マスオ兄さん」

マスオ「何を言われても!!何を犠牲にしても!!刑務所に入れられても!!例えこの先手足がもがれても!!」

マスオ「僕は取り戻してやる!!足掻いて!足掻いて!それでもダメだったとしても!!死ぬまで足掻いてやるさぁああああ!!」

アナゴ「よく言った!マスオくぅん!!」

マスオ「だって!!僕も!帰りたかった!!!元の家族に!みんなが!みんなが笑って食卓を囲むあの家族に!!」オエッ

マスオ「カツオくんの望みが罪なら、僕の望みも罪じゃないかぁ!!」ブヘァブヘァ

カツオ「顔すごいよ。マスオ兄さん」

マスオ「何を言われても!!何を犠牲にしても!!刑務所に入れられても!!例えこの先手足がもがれても!!」

マスオ「僕は取り戻してやる!!足掻いて!足掻いて!それでもダメだったとしても!!死ぬまで足掻いてやるさぁああああ!!」

アナゴ「よく言った!マスオくぅん!!」

光の向こうからエンジンが排気ガスを吐き出す音が聞こえた。

猛スピードでバイクに跨った

マスオ「アナゴくん!!?」

アナゴ「フグ田くぅぅん!事情は全部この世界で聞いた!!」

アナゴ「タイムマシンは持ってるねぇ!?」

マスオ「持ってるけど・・・一体何をするつもりなんだぁい!?」

ニヤッ・・・

アナゴ「最後の時間旅行だ・・・これに全てを駆ける!」

カツオ「バッ馬鹿な!!既に因果律は崩壊している!!なのに時間跳躍だと!?」

アナゴ「因果律が崩壊しているからこそだよ!僕たちはこれに全てを賭ける!!!」

不思議な気分だった

マスオ「ああ、覚悟はできてるよアナゴくん!!」

君になら、全てを賭けても良いと思ったんだ。

カツオ「正気なの!?マスオ兄さん!!身体と脳に深刻なダメージを負って、千切れ飛ぶよ!?幸い生き残っても・・・[ピーーー]ない身体のまま苦痛に生きるかもしれないんだよ!?」

マスオ「さっき言っただろう!?カツオくん!!」


マスオ「僕は・・・死ぬまで足掻くつもりだよぉお!!」






ドゴォッ!  バチバチバチ・・・キュィーン・・・・・・




―1と0の狭間―

マスオ《・・・・・・》

マスオ《ここは、・・・そうか。》

マスオ《なんて・・・気持ちの良い場所なんだろう・・・》

マスオ《上も下も・・・横も奥も目の前も無い・・・》

マスオ《つまり・・・ここは空間の移動と、時間の移動が一度に出来る場所なんだ・・・》

マスオ《タイムマシンは、その機械で時間跳躍を設定し、タイムスリップ出来る代物》

マスオ《僕こそが・・・タイムマシンになれたんだ・・・。》

タラ「リカちゃんの脳みそ、気持ち良いですぅ~☆」

マスオ《あれは・・・タラちゃんがリカちゃんの頭を砕いて肉棒を突っ込んでいる・・・》

マスオ《いけないなぁ、タラちゃん・・・でも》

マスオ《あれは…タラちゃんじゃなくて、良く見たら。イクラちゃんだな…》

タラ「カツオお兄ちゃん、[ピーーー]ですぅ~☆」

マスオ《あれは・・・タラちゃんがカツオくんを殺そうとしている。いけないなぁ・・・。》

タラ「今日の晩御飯は、僕のうんこですぅ☆」ビチビチブリィ

マスオ《あれは・・・タラちゃんが一家の主になって、やりたい放題やってる・・・》

マスオ《・・・なんだか、タラちゃんばっかりだなぁ。》

マスオ《・・・そうか、僕は会いたいんだ。》

マスオ《本当の家族のタラちゃんに。血の繋がった、本当のタラちゃんに。》

波平「こらぁマスオくん!!いい加減靴を脱ぐ習慣をつけんかぁ!!!」

マスオ《僕が・・・父さんに怒られてる。》

マスオ《・・・そうか。これは、僕が記憶を無くす前に見た光景だ・・・。》

マスオ《過去を遡って、干渉をしているんだ・・・。》

マスオ《どこから・・・どこからこの家族は間違ってたんだろう・・・。》




サザエ「きゃっ!」

???「おっと!危ない!」

サザエ「ふぃ~・・・」

???「大丈夫かい?」

サザエ「うっ・・・うん。貴方こそ大丈夫?」

???「僕は平気さ。これでも結構鍛えてるからね。」

サザエ「それにしては細・・・ところで貴方、名前は何ていうの?」

???「僕?いや、その前に君の名前を教えてくれないかな?」

サザエ「私・・・?私の名前は、磯野サザエ。それで、貴方の名前は?」

???「サザエって言うのかぁ、僕の名前は・・・」

幼マスオ「フグ田マスオって言うんだ。」

幼マスオ「・・・・・・・・・」

幼マスオ「・・・~っ!?・・・・・・っ!!っ!」

幼マスオ(・・・何だ?急に世界の中に入れたぞ?)

サザエ「マスオって言うんだぁ。ふぅ~ん。」

幼マスオ「・・・・・・(過去サザエ か・・・)」イラッ

幼マスオ「・・・・・・何か、悪いか?」

サザエ「ううん。素敵な名前だと思う!」

サザエ「ねぇ、一緒に回りましょう!私、このデパート遊園地の事、結構顔が広いんだから!」

幼マスオ「えっ・・・あ、うん。」

サザエ「どこからが良いかなぁ~、コーヒーカップ・・・いや、空中ブランコが良いかなぁ」

幼マスオ「・・・・・・」

サザエ「決めた!コーヒーカップにしましょ!お父さん以外で乗るの初めて!」

幼マスオ(・・・・・・)

幼マスオ(・・・ああ・・・)

幼マスオ(忘れてた・・・忘れてたよ・・・!)ポロポロ

サザエ「どうしたの?コーヒーカップ嫌だった?」

幼マスオ「・・・ううん、目にゴミが入っただけ・・・。僕、コーヒーカップ・・・大好きなんだ!」

サザエ「そうか!良かったぁ!!」

幼マスオ(サザエとは、お見合い結婚した夫婦だったけど・・・)

幼マスオ(この時から・・・僕は出会っていて・・・)

幼マスオ(すっかり忘れてたけど・・・僕は・・・)

マスオ「この時から君の事が・・・好きだったんだ!!」

マスオ「・・・!ああ・・・ああああああ!!」オオ

マスオ「待ってくれ!!まだ!まだ離れないでくれ!!」オオオオオ

マスオ「まだ・・・まだ僕は・・・!!サザエ・・・!!!サザエェ!!!」オオオオオオオオ

マスオ「忘れてはいけない・・・!この事だけは・・・!!」オオオオオオオオオ

マスオ「この事だけはぁ!!!!」


―15年前―

キキィーーー!!ガシャァァアン!!

ビリビリ・・・バチィ

マスオ「・・・・・・・・・」

マスオ「ここは・・・そうか。アナゴ君が死んだ時に車に轢かれて」

マスオ「・・・また、僕はこの時代に来る。」

マスオ「その前に・・・伝えなきゃ。この事を・・・」

マスオ「・・・そうだ、紙・・・紙・・・あった。メモ帳」

【マスオ は 知っている筈だ】

マスオ「・・・駄目だ。僕が僕世界の因果律から来た人間だからか、サザエの事を書き残せない・・・!」

ガララララ・・・

マスオ「はっ!まずい!!」キャピィン

波平「それでは行ってくるよ・・・ん?」

フネ「どうしたんですか?お父さん」

波平「いや・・・誰か居たような気がしてな・・・」







マスオ《・・・・・・》

マスオ《向こうの世界では、崩壊しきっているのだろうか。》

マスオ《それとも、僕がこの世界にいる限り、崩壊を観測できないから、まだ現存出来ているのだろうか。》

マスオ《それは・・・もう僕にも分からない。》

マスオ《今が、何分何秒何時間経っているかすら分からない。》

マスオ《もし神が居るとしたら・・・毎日こんな感覚を感じてるのだろうか。》

マスオ《だとすれば、僕は神を心底尊敬するだろう。》

マスオ《・・・》

マスオ《・・・・・・》

マスオ《・・・僕は》

マスオ《これから、何をすれば良いんだろう・・・》




アナゴ《何を辛気臭い顔してるんだい、マスオくぅん》

マスオ《あっ・・・アナゴくん!?》

アナゴ《もう、ここでギブアップかぁい?死ぬまで足掻くんだろぉ?》

マスオ《・・・・・・でも》

マスオ《ここから、どうすれば良いか分かんないんだ・・・》

アナゴ《ぶるるるぅぅ・・・そうだなぁ。》

アナゴ《君は、どんな世界に戻りたいんだぁい?》

マスオ《・・・そんなの、決まってるじゃないかぁ。》

マスオ《元の平和で楽しく、愛に溢れたあの磯野家に戻りたい・・・それだけだよぉ。》

アナゴ《それじゃぁ、この世界でその原因はなんだぁい?》

マスオ《・・・それは・・・・・・サザエの浮気・・・》

アナゴ《ンノンノン。違うさぁマスオくぅん。》

アナゴ《君がやるべき事はただ一つ。奥さんを愛してやることさ》

マスオ《そんなの・・・いつも通りじゃ・・・》

マスオ《・・・いや、違う!》

マスオ《そうか!ありがとうアナゴ君!!今の僕ならできるよぉ!!》

アナゴ《ふふ・・・ようやく分かったみたいだねぇ。》

アナゴ《存分に奥さんを愛してやったら・・・また一杯やろうじゃぁないかぁ。》

マスオ《ああ・・・!今度は僕の奢りでね!!》

アナゴ《楽しみにしてるよぉ。マスオくぅん》

アナゴ《マスオクゥン・・・スオクゥン・・・クゥン・・・ゥン・・・ン・・・》

―結婚式場―

マスオ「・・・・・・・・・」

サザエ「いよいよ結婚ね、あなた」

マスオ「・・・・・・・・・」

サザエ「これから先、私達はどうなるのかしら」

マスオ「・・・・・・・・・」

サザエ「父さん達もいい加減よねぇ。お見合いでしかも周りの目が気になるから結婚しろだなんて。」

マスオ「・・・・・・・・・」

サザエ「マスオさんは、もしかして迷惑だったり・・・するかしら?」

マスオ「・・・・・・サザエ」

サザエ「ん?」

マスオ「覚えてるかい・・・?13年前、僕たちはデパートの上で出会ってたんだ。」

サザエ「あら?そうだったかしら~」

マスオ「そこで、君は僕を振り回して一日中遊んでたよね。」

サザエ「そんな事あったかしら・・・子供の頃だから、覚えて無いかもね~」

マスオ「お義父さんに怒られて、僕まで泣いちゃったよね。」

サザエ「あ!思い出したわ!貴方・・・あの時の!」

マスオ「僕は、その時から君の事が好きだったんだ。」

マスオ「ずっと、ずっと。あの日の事を忘れることなんて無かった。」

サザエ「・・・・・・」

マスオ「だから僕は、これからも君を愛し続ける自信があるよ。」

マスオ「子供が生まれて、お婆ちゃんになっても、ずっと、ずっと・・・」

マスオ「サザエ、結婚式をしている今まで君の告白を聞いていない。」

マスオ「聞かせてくれないか?君の答えを。」

サザエ「・・・・・・」

サザエ「馬鹿ね。マスオさんったら。」

サザエ「この10秒間で、私を本気で惚れさせるんだから。この10秒の代価は一生分よ。」

サザエ「一緒に、幸せになりましょうね。」

マスオ「ああ・・・・・・!」

マスオ「約束するよ。これからは・・・今度こそ!ずっと一緒だ!」





世界が、再構築されていく。


闇に包まれた世界が、再び光に包まれていった。



オスマ「なっなんだぁ!?これは!!」

タラオ「こんなのふざけるなですぅ!!ぎゃぴぃ!!ぎゃぴぃぃいいい!!」

オスマ「やばいよタラちゃん!殺そう!!あいつを!!」

タラオ「やっぱりあの時撃ち落とすべきだったのですぅ!あのクチビルお化け!!」

―因果律―

カツオ「闇が・・・晴れていく・・・」

カツオ「・・・ああ!アナゴ!身体が透けてますよ!?」

アナゴ「それはカツオくんも同じだろぉ?」

カツオ「え?あ!本当だ・・・僕も存在が消え始めている・・・」

カツオ「戻れるんだ・・・!あの家族の元へ・・・!」

アナゴ「やったな・・・マスオくん。」




パァァァアアアアアア

マスオ《再構築された世界から・・・磯野家が・・・!》

マスオ《僕以外の皆が・・・幸せそうにあんな・・・!》

マスオ《帰って来れたんだ・・・!僕はこの世界に・・・!》

マスオ《もう、何も迷わない!帰ろう!》

マスオ《ずっと待ち焦がれていた、そして、やっと帰ってきた・・・あの家族へ!!》



タラオ「そんな事、させないですぅ☆」

マスオ「なっ・・・タラちゃん!?」

ガシィ!!

オスマ「この世界に行くのは、僕たちだよぉ☆」

マスオ「ぐっ!離せ!!やっと!やっと帰れるんだ!!」

オスマ「いやー、見れば見るほど平和そうな世界だねー。でも、ここまでかなぁ。」

タラオ「早く行きたいでーす☆楽しみでぇーす☆」

マスオ「やっやめてくれぇ!!僕の家族には・・・何もしないでくれぇ!!」

オスマ「はっはは。何を言ってるんだよ三週目の僕ぅ。」

オスマ「約束しただろぉ?世界を作り直すってさ☆」

タラオ「一から作り直して、僕たちが主の世界を作るですぅ☆」

マスオ「そんなこと・・・させない!!絶対に!!させない!!」

オスマ「はっはっはぁ!無駄無駄無駄ぁ!!無駄なのさマスオくぅん!」

タラオ「パパ~、いっせーので飛ぶですぅ☆」

オスマ「良いね~☆じゃぁ、いっせーので行こうか!」

タラオ「はーい!いっせーのー」

「でっ!!!」

バイン

タラオ「うわぁあああああ!!!」

オスマ「うひゃぁああああああ!!!」

タラオ「なっ・・・なんで入れないですかぁー!?」

カツオ《無駄だよマスオ兄さん達》

タラオ「!?」

カツオ《君たちは違う世界線の住民、この世界に入る事は愚か、触れることもできない。》

カツオ《僕たちこの世界が、貴方達を拒絶し続ける限りね》

オスマ「はぁ?はぁぁあああああああ!?なんじゃそりゃぁ!なんっじゃっそりゃぁああああ!!!」

タラオ「ふざっけんな!!!!!とっとと入らせろやぁボケェ!!カスゥ!!ハゲェ!!!」

アナゴ《全く・・・無駄だと言っているのが分からないのかい?マス・ボーイズ》

アナゴ《君たちを拒絶しているのは僕たちじゃなくて、この世界なのだよ》

オスマ「!?」

アナゴ《しかし、なんとも馬鹿なタイミングで飛び込んだものだねぇ。再構築したての因果律に飛び込むだなぁんて。》

アナゴ《穴が無くなった因果律は、最早既に閉じられて元の世界に戻れなくなっている。》

アナゴ《つまり、君たちは永遠に因果律の中で彷徨い続けるのさ・・・永遠にね。》

マスオ「ええー!?そんなぁー!!」

カツオ《マスオ兄さんは別だよ・・・。》

オスマ「!?なっ・・・なんだぁい!?これは!!」ヒュゥゥウウウウウ

タラオ「闇に吸い込まれて行くですぅううう!!!」

アナゴ《お迎えが来たようだな・・・。神さんに会ったら、よろしく言っといてくれ》

ガシッ

マスオ「!?」

オスマ「こうなったら、お前も道連れだぁああああ!!」

タラオ「僕たちと一緒に、絶望に飲まれるでーす!!!」

マスオ「いっいやぁあああああああ!!!」

カツオ《マスオ兄さん!!》

アナゴ《くっ!ここからだと干渉しか出来ない・・・!》

ぶぁっかもぉおおおおん!!!

タラオ「!?」

オスマ「あっ」スル

オスマ「うわああああああぁぁぁぁ・・・」ヒュゴォォォオ

タラオ「パパァァァァア!!」

マスオ「今の声・・・父さん!?」

貴様らがやった所為を、反省もせずに巻き添えを食らわし、押し付けるとは何事だぁ!!

タラオ「黙れですぅ!!ぼっ僕は!世界を作り直して!!直したかっただけなんだ!!」

そんな事を言うマスオくんなんか、こうだ!!

ぶわぁっかもぉぉおおおおおおん!!!!

タラオ「効かないですぅう!!結局はただの声・・・」ガシャン!

タラちゃんが付けていたタイムマシンに異変が起こった。

タラ「ががぁっ!!エディ!!ガガァアア!!!」グシャッグシャッグシャ

マスオ「かっ身体が・・・どんどん潰れていく!」

三週目のマスオの身体に、タイムミリットの代償として今までの衝撃が一気に訪れた。

それは一瞬では無かった。異空間だからか、死ぬのに難しかったからか

タラ「グガガッガガガガガガガガガ・・・ガッ・・・」ギュシャグシャギュ

苦痛と悲鳴が混ざった声を発したまま、手は潰れ、僕の身体から離れた。

タラちゃんだったものは、グニャグニャのまま闇に飲み込まれていった。

マスオ「父・・・・・・さん?」

マスオくん。後ろを振り向くな。前を向け。

マスオ「前へ・・・サっサザエ!」

何を怯えてるの?マスオさん。

言ったでしょう。ずっと、私を愛し続ける自身があるって。

マスオ「・・・ああ。言った。言ったさ。紛れもない事実だ・・・!」

良く言った。マスオくん。

これからの、これから先の磯野家を、よろしく頼むぞ・・・マスオくん。

マスオ「・・・はい。お義父さんも、お元気で!」

うむ。元気でな。マスオくん

カツオ《マスオ兄さん!早く!マスオ兄さんまで因果律に飲まれちゃう!!》

マスオ「・・・ああ、大丈夫だカツオくん。今行くよ」





光に包まれた先で、手に暖かい物が触れた。

本物のタラちゃんの右手を、僕が左手で持って、

本物のタラちゃんの左手を、サザエが右手で持って

光の向こうへと、僕達は歩いて行った・・・。





―磯野家―

チュンチュンチュン

ピピッピピッピピ

ガララララ

カツオ「ただいま~」

フネ「おかえり。おやつが用意してありますよ」

カツオ「うわぁーい!やったぁー!おっ、今日は羊羹かぁー」

サザエ「カツオー!ちゃんと手を洗った後に食べなさい!!」

カツオ「分かってるよ。姉さんはいっつも僕が手を洗おうとする前にそう言うんだから~」

サザエ「おべっか言うんじゃないの。そう言ってもしない日の方が多いじゃないの。だいたいカツオは・・・」

カツオ「説教している間に手は洗ったよ。頂きまーす!」

サザエ「ちょっと!全くしょうがないわねぇ」

ワカメ「ぅわぁ~い!今日は羊羹だぁ~」

タラオ「いただきますですぅ~」

マスオ「・・・・・・」

マスオ「さて、今日は土曜日。会社は休みだし何しようかな~」

ガラララララ

ノリスケ「こんにちは~!」

サザエ「あら、ノリスケさん。」

ノリスケ「ちょっと上がらせていただきますねー」

ノリスケ「おっ!羊羹かぁ~。美味しそうだねぇカツオくん」

カツオ「あげないよ」

ノリスケ「たはぁ~。言う前に拒否するなんてなぁ~」

フネ「あらあら、こんな昼間に一体どうしたんですか?ノリスケさん。」

ノリスケ「いやぁ~実は、電話と電子レンジを一つにまとめようとして、色々改造してみたところ、凄い物ができちゃいましてねぇ。」

サザエ「どうして電話と電子レンジを一つにまとめる必要があるのよ~」

ノリスケ「ちょっと失敗しちゃったんですけど、その代わりものすごいものが完成したっぽいんですよ!!」

カツオ「すごいもの?一体何が出来たっていうのさ。」

ノリスケ「どうしよっかなぁ~、教えよっかなぁ~」

カツオ「うぅ~・・・、羊羹一口あげるから勿体ぶらずに教えてよ!」

ノリスケ「お!話が分かるじゃないかカツオくぅん。」

マスオ「あれぇ?どうしてノリスケくんがここにぃ?」

ノリスケ「あ!マスオさん!ごぶ沙汰してます!」

カツオ「一口って言ったのに・・・」

ノリスケ「マスオさぁん。僕、もしかしたらノーベル賞取れるかもしれないんですよ!」

マスオ「ぇえー!?酷いなぁノリスケくん。発明好きの僕を差し置いてぇ・・・」

ノリスケ「ははは、まずはこれを見てください。」

ノリスケ「まず、電子レンジのスイッチを入れます。すると」

ガガガガガガガガガガガガガガ

サザエ「あらぁ?変な音が鳴り出したわ?」

ノリスケ「ええ!この音が鳴り出した後!凄いんですよ~」

マスオ「ノリスケくん。まずこれが一体何かを教え・・・(ドクン)」

マスオ「・・・・・・(ドクンドクンドクンドクンドクン)」

マスオ「・・・・・・!」

ノリスケ「まぁまぁ見ててください。この音がピークに達した頃・・・」

マスオ「あっ!カツオくん!そこに蛇居る蛇!!」

全員「ぇええ!?」

マスオ「マスオサン・キィィィック!!!」

ガシャァアアアン!!

ノリスケ「ああああああああ!!!ちょっと何するんですかマスオさぁあああああん!!!」

マスオ「ゴメン。蛇を蹴り倒そうかと思って・・・」

ノリスケ「蛇と全然違う方向にあったじゃないですかぁああ!!!」

カツオ「マスオ兄さん。これタラちゃんの玩具だよ」

マスオ「ぇえー!?それはまいったなぁ。あっはっはっはっはっは!」

ノリスケ「参ったじゃないですよ・・・もう。」

マスオ「ゴメンゴメン。今度新しく出来た居酒屋。奢るからさ。」

ノリスケ「本当ですか!?絶対ですよ!!」

マスオ「・・・・・・ふぅ。」

マスオ「ノリスケくんも行ったか。」

マスオ「居酒屋の奢りかぁ・・・。世界が変動するよりは安い買い物だな。」

カツオ「全く、マスオ兄さんは横着なんだからさぁ。」

マスオ「ははは。カツオくんに言われたら、何も言えないなぁ。」

カツオ「でも、これできっと世界は救われたと思うよ。マスオさん」

マスオ「・・・ああ。きっとこれで大丈夫だ。きっとね。」

カツオ「父さんと姉さん、きっとビックリするぞ~。これから先、テストは100点しか取らなくなるからねぇ!僕!」

マスオ「それは凄いなぁ。将来はタイムマシンでも作るつもりかい?」

カツオ「それは無いよマスオ兄さぁ~ん」

「はははははははは・・・・・・」

波平「これ、御飯できたから早く中に入りなさい。」

カツオ「父さん!」

波平「うん・・・?どうした、カツオ」

カツオ「・・・なんでもない。いただきまーす!お父さん!!」

波平「これ!ちゃんと手は洗わんか!」

マスオ「お義父さんも、体には気をつけて。」

波平「はっはっは。まだまだ、くたばりはしないよ。マスオくん。」

マスオ「はっは・・・おっと、」スッ

マスオ「ちゃんと、靴は脱がないと・・・」

タラオ「パパ~。早くですぅ~」

マスオ「はい。今行くよタラちゃん。」

―キチク花の屋―

アナゴ「珍しいねぇ~。マスオくぅんが誘って、更に奢ってくれるだぁなんて。」

ノリスケ「ごっつあんです!マスオさぁん!」

三郎「遠慮なく、奢らされてもらいます!」

マスオ「いやいや、皆じゃんじゃん飲んでくれ。」

アナゴ「なぁにか、良い事でもあったのかい?マスオくぅん。」

マスオ「・・・ああ。あったさ。今も、これまでも。良い事づくめさ。」

アナゴ「ははは。そして、これからも・・・だろぉ?」

マスオ「うん。そうだねぇアナゴくん。」

アナゴ「ニコッ」

アナゴ「ご帰還、おめでとうマスオくぅん。」

マスオ「うん・・・ただいま。」

「乾杯!!」カァァン








―終―



思ったより長かった…。見てくれてる人がもし居たら、ありがとうございますと言わせてください。

そして、原作者様にも感謝の言葉を送りたいです。

あんな面白い作品を作ってくれて…ありがとうございます。

本当の続編を、私は今でも心待ちにしております。そしていつまでも…

原作は特にアナゴさんが格好良いです。完結こそしていませんが、間違いなく名作ですので
皆さん、是非読んでみてください。

一人のファンから、でした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月11日 (金) 22:11:58   ID: K6ms_4Ga

普通のSSとしてならおもしろい

2 :  SS好きの774さん   2017年11月03日 (金) 17:32:29   ID: 04lmiSS1

ましゃか!!で笑ってしまう

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom