海未「私もですよ」 (12)

「だーいすき!!」

「私もですよ」

女の子二人を、私が遠くから眺めてる

あれは誰?

知らない人

知らない人なのに

女の子同士なのに

どうしてこんなに胸が苦しいの?

どうしてこんなに悲しい気持ちになるの?

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音楽室

「真姫、起きてください
そろそろ下校時刻ですよ」

そう言いながら誰かが私の肩を揺らす

「…いつの間にか寝てたのね、私」

大きなあくびが出そうになるのを堪えて、時計に目を移す
短い針が6を指している
私、随分寝ていたのね…

「その、悪かったわね…」

私の記憶が正しかったら、確か海未と新しい曲について話し合っていたはずだけど…

「いえ、気にしないでください
真姫は普段から頑張りすぎですからね
たまには力を抜くのも悪くないですよ
明日はお休みですし、ゆっくり休んでください」

海末は私に微笑みかける
怒ってくれた方が気が楽なのに
これが年上の余裕ってやつなのかしら

「…どうして起こしてくれなかったの?」

余裕を見せられたことが気に入らなくて、ついつい悪態をついてしまう
私はまだまだ子供ね…

「ふふっ、ごめんなさい
真姫の寝顔が可愛くてつい」

「なによそれ!!
意味わかんない!!」

もう、なんなのよ!!
どうしてそんなことがサラッと言えるの!?
信じらんない!!

「冗談です
それより真姫ー」

冗談でも海末にそう言われたことが恥ずかしくて
海末にそう言われたことが冗談なのが悲しくて

「…なに?」

ついぶっきらぼうに返事をしてしまう

sageとsagaを間違えてますよ~

sageてるだけで間違えてはないでしょ

てす

ついぶっきらぼうに返事をしてしまう

けど、そんな私を真剣な眼差しで見つめる海未
そんな凛とした表情が、少し格好良く見える

「なにか、つらいことでもあったのなら私が力になりますから」

「いきなりなによ…?」

「頬、涙の跡があります」

たいした洞察力だわ、本当
けど何か理由があって涙を流したわけじゃな…、さっき見た夢が原因かしら…?
あまりはっきりとは思い出せないけど、私にとってはつらい夢だったみたい

「…あまり覚えてないわね
きっと寝起きだからだわ」

覚えていないんだから大したことじゃない
まるでそう自分に言い聞かせるように

「しかし、こんな短時間で乾くとは…」

「もう!!そんなのいいから早く帰るわよ!!」

「え?あ、待ってください、真姫!!」

話を無理やり終わらせて、音楽室を出る
夢のせいだなんてそんな恥ずかしいこと、真姫ちゃんが言えるわけないじゃない
泣くわけ、ない、じゃない…

二人きりの帰り道
冬の澄んだ空気が心地良い

「ねぇ、海末」

「どうしたんですか?」

ふと、疑問に思うことがある

「海末はどうやって歌詞を考えてるの?」

今まで何度も聞こうとは思っていたが、なかなか口に出す機会がなかった
どうせ話題もないし、今なら聞けるかなと思って
正直海末には作詞の才能があると思う
私自身、海末の作った歌詞に感動を覚えたことも少なくはない

「ほら、海末って歌詞を考えるペースがすごく早いじゃない
どうしてあのレベルの歌詞があんなに出てくるのか気になったのよ」

素直に良い歌詞だと言えないあたりがすごく私らしいと思う

つまりほのまきか

期待
ちょいちょい海末になってるね

「ふふっ、真姫に褒められてしまいました」

そう言いながら空を仰ぎ見て

「なんというか、ですね
μ'sのみんなのことを考えていると、自然と歌詞が出てくるんです
ありのままのμ'sを書けば、文字になって現れるんです」

海未は語る

「それでも、十分すごいわよ…
その…、これでも感謝してるんだからね?」

「わかっていますよ
ありがとうございます」

そう言って海未は私に笑顔を見せる

「真姫もいつも素敵な曲をありがとうございます
初めて私の書いた歌詞に曲がつけられた時は感動しました」

「それ、今は感動してないってこと?」

今度は私が海未をからかう番
海未が見せる笑顔とは違う、いたずらっぽい笑みを浮かべる私

うみまきいいね

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