春香「プロデューサーさんって弱いよね」(80)

千早「春香?」

春香「前から不思議だったんだ。なんであんなに弱いのかな?」

千早「……急にどうしたの?」

春香「いや、だから、弱いなーって」

千早「確かに、プロデューサーは少し頼りないかもしれないわ」

千早「だけど、私たちを力強く支えてくれてること、春香も知ってるでしょ?」

春香「え!? ち、違うよ、千早ちゃん!」

千早「何が違うの? プロデューサーは雑草よ」

春香「雑草!?」

千早「あっ、今のはその、力強さの例えで……」

春香「もう、びっくりさせないでよ…」

千早「それは私のセリフだと思うわ」

春香「あのね、私が言ってるのはジャンケンのことだよ、ジャンケン」

千早「じゃんけん?」

春香「そうそう。帰る前に、よくプロデューサーさんとジャンケンするよね?」

千早「プロデューサーが運試しって言ってるあれのこと?」

春香「うん。千早ちゃんって、プロデューサーさんに負けたことある?」

千早「プロデューサーに?」

春香「うん。私、一度も負けたことないんだ」

千早「……私もないわね」

春香「やっぱり。いつも私たちが勝つんだよ。不思議じゃない?」

千早「言われてみればそうね。プロデューサーは運がないのかしら?」

春香「うーん、特に不運なイメージないけど……」

千早「ぷふっ、は、春香、今のうーんって、ふふふっ」

春香「ダジャレじゃないよ! 心外だよ! 本当にやめて!!」

千早「はぁはぁ……でも、運のない人にプロデュースされるのは考えものね」

春香「実力だけの世界じゃないから、少し不安になっちゃうね」

千早「ふふ、心配する必要はないわ。プロデューサーの運の無さは、ジャンケンに限ったことだから」

春香「えっ、どうして?」

千早「プロデューサー、この前、商店街の福引きでお米を当てたみたいよ。高槻さんが喜んでたわ」

春香「へー。そういえば、懸賞によく応募してるね。この前も、自転車が当たって喜んでたし」

千早「それなのに、ジャンケンが弱いってことは」

春香「負け癖が染み付いてるのかな?」

千早「きっと、小さい時から弱かったのよ」

春香「あれだけ弱いと、一種の才能だね」

千早「まったくうらやましくないわね」

春香「……プロデューサーさん、ちょっとかわいそうかも」

千早「どうして? ジャンケンで負けて損することなんてあるかしら?」

春香「今はないのかもしれないよ? でも子供のころなら、ジャンケンの弱さは致命的だよ」

千早「……確かにそうね。ジャンケンで何かを決めることは多かったと思うわ」

春香「ジャンケンより公平な手段はないからね」

春香「ジャンケンで決めることって何があったかな?」

千早「すぐに思いつくのは給食のおかわりね」

春香「あっ、わかるわかる! 学校休んだ子がいた時のデザート戦争だね!」

千早「人気のおかずが余ってる時もジャンケンしてたわ。私は参加したことないけど」

春香「プロデューサーさんは参加しただろうね! でも、何も得られずがっかりしながら席に戻るんだよ……」

千早「小学生のプロデューサー……」

春香「千早ちゃん?」

千早「え? ええ、確かに気の毒ね」

春香「……そうだ!」

千早「どうしたの?」

春香「プロデューサーさんは、ジャンケンで負けて損をしてません!」

千早「えっ? 何?」

春香「ほら、ジャンケンが弱いことをポジティブに解釈してあげるんだよ!」

千早「……時々、春香の言ってることがわからないわ」

春香「えっ、わからない? たとえば……」

春香「プロデューサーさんは、給食を食べ過ぎず、健康的な食生活を送れました! とか?」

千早「なるほど。プロデューサーがスリムでいられるのも、ジャンケンが弱いおかげってことね!」

春香「そういうこと!」

千早「プロデューサーがジャンケン弱者でよかったわ!」

春香「本当だね!」

千早「他にジャンケンで決めることといえば……」

春香「あ、思い出したよ!」

千早「何?」

春香「えっとね、私のクラスはジャンケンで学級委員を決めてたんだ」

千早「それはいいのかしら?」

春香「良くないかもしれないけど、誰も立候補しない時は仕方ないからって」

千早「誰かが手を挙げるまで、黙って待ってるのは苦痛よね」

春香「さすがに全員でジャンケンはしなかったよ。まずは何人か推薦されて」

千早「そのあとで決めるのね。プロデューサーは、人がいいから推薦されたでしょうね」

春香「そしてジャンケンに負け、晴れて学級委員に!」

千早「ふふふ、嫌々ながらも、なってしまった以上はちゃんと働いたと思うわ」

春香「そして、いつの間にか責任感とリーダーシップを手に入れるんだよ!」

千早「その時の経験が、今のプロデュース業にもいかされてるのかしら?」

春香「プロデューサーが敏腕でいられるのも、ジャンケンが弱いおかげだね!」

千早「ジャンケンが弱い星の下に生まれたことを、プロデューサーは感謝すべきね!」

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春香「……ということです、プロデューサーさん!」

P「どういうことだよ。近づいてきたと思ったら急に漫才始めて」

千早「えっ、漫才ですか?」

P「二人はあるあるネタでM-1にでも出るのか? 正直、一回戦突破も難しいぞ」

春香「違いますよ! 私はともかく、千早ちゃんは芸人じゃありません!」

P「別に春香も芸人じゃないから」

P「で、なんなんだ? 目の前でいきなり、弱者とか雑草とか言われた俺はどうすればいい?」

春香「ジャンケンで負けることの素晴らしさ、わかってもらえましたか?」

千早「もう悩まなくていいんですよ。プロデューサー」

P「悩んでないから。悪いけど、俺はジャンケン弱くないぞ」

春香「またまた~」

千早「恥ずかしがらなくてもいいんですよ」

P「いや本当だって。それで、話は終わりか?」

春香「ふっふっふ。ジャンケンの弱いプロデューサーさんに、朗報ですよ、朗報!」

千早「来週、お休みありましたよね?」

P「ああ、例の765プロ設立記念日だろ?  社長が急に休みにするって」

春香「そう、ジャンケンで負けるとアイドルとその日にお出かけできるんです!」

千早「良かったですね!」

P「……アイドルってお前たちか?」

千早「当然です」

春香「嬉しいですか?」

P「世間的にはそうかもな。だが、俺は給料日前だから出費は控えたいんだ」

春香「私は今月の電話代が大変なことになってますけど、頑張ります!」

千早「私はもっと食費を切り詰めれば、いえ、食事しなければなんとか」

P「あ、コレは奢らされるわ」

春香「では、代表して、天海春香いきます!」

P「ジャンケンからは逃れられないのね」

春香「ふふ、サクッと負けちゃってください! 準備はいいですか?」

P「はいよ」

春香「せーのっ、じゃーんけん……ぽんっ!」

春香「って、私の勝ちに決まって……」




春香「え?」

P「よしっ、俺の勝ちだな?  じゃあ、この話は無かったことに」

春香「ま、待ってください!」

P「ん?」

春香「プロデューサーさんには、負けてもらわないと困るんですっ!」

P(俺が勝てば解決じゃないのか?)

春香「千早ちゃん!」

千早「ええ、わかってるわ、春香。プロデューサー、私の相手をお願いします」

P「……いいけどさ、負けたら挑戦権ないからな?」

千早「ええ、チャンスは一度で十分です」

P「そうか、じゃあいくぞ?」

千早「はい。では、じゃんけん……ぽんっ!」

千早「くっ、そんなはずは……」

P「残念だったな。じゃあ俺は仕事の続きを」

春香「ど、どうしよう、千早ちゃん!」

千早「ええ。このままでは、プロデューサーはトラウマに苦しめられたままね」

春香「こうなったら……」

千早「最後の手段ね……」



千早「コホン、あー悔しいわ! ジャンケンに勝つと、プロデューサーとデートできたのに!」

P「千早!?」

 ガタッ ガタガタッ ガタッ

真美「真美参上! 兄ちゃん、真美にもジャンケンする資格あるよね!」

P「いや、えっと……おい千早!」

千早「ふふ、困りましたね、プロデューサー」

美希「ハニー、ショッピングに行こ? ミキは指輪が見たいの!」

貴音「あなた様をお連れしたいらぁめん屋があります」

真「プロデューサー自転車持ってましたよね? サイクリングに行きましょうよ!」

雪歩「や、焼肉が食べたいですぅ!」

やよい「うっうー! もやし祭りに招待しちゃいますっ!」

響「じ、自分は、えーっと、どうしよう? 勝ってから決めるぞ!」

春香「はーい、一列に並んで下さーい」

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P「はい、お疲れさん」

美希「み、ミキが負けるはずないの…」

真美「ザコキャラの兄ちゃんはどこ行っちゃったの!?」

真「うーん、油断したかなぁー」

雪歩「焼肉……」

やよい「残念でしたっ!」

P(正直、負けても問題なさそうなのもあったが、ひいきはダメだよな)

P「あはは、今日は運がいいのかもな。さて、資料作りを」

 ガチャ

竜宮組「ただいま戻りました!」

P「おう、お疲れ様」

伊織「……いったい何の騒ぎ?」

春香「えへへ、実はね!」

P「あっ、まずい」

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P「危なかった……」

亜美「兄ちゃんは弱いって真美から聞いてたのに~!!」

あずさ「あら~、惜しかったわ~」

伊織「私に勝つなんて……なかなかやるわね♪」

律子「うーん、ちょっとデータが足りなかったか。お見事です、プロデューサー殿!」

P「あはは……」

P(竜宮組は完全に運だった…)

P「でも、これでみんな終わったな? 今度こそ仕事を」

小鳥「……あ、あの~」

P「……音無さん、まさか」

小鳥「いやー、私もお願いしちゃったりして」

P「いや、しかし……」

亜美「いいんじゃない? どうせ兄ちゃんの勝ちっしょ」

貴音「本日のプロデューサーは、圧倒的な強さを誇っています」

やよい「不公平はいけませんよ!」

P「うっ……わかりました。では、じゃーん、けーん……」

小鳥「ぽんっ!」

P小鳥「「あっ」」

      ,r=ヽ、            r';;;:;:;;:::;;;;;;;;;;;;ヽ、
     j。 。゙L゙i     rニ二`ヽ.   Y",,..、ーt;;;;;;;;;;;)
 r-=、 l≦ ノ6)_   l_,.、ヾ;r、゙t   lヲ '・=  )rテ-┴- 、
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  にー `ヾヽ'":::::::::::: ィ"^゙iフ  _,,ノ ,  ゙tフ ゙ゞ''"´   ゙ifrミソヘ,
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春香「プロデューサーさんの勝ちですか? なんだ、本当に強かったんですね!」

響「ち、違う! 勝ったのはぴよ子だぞ!?」

春香「えっ!? ど、どうしてプロデューサーさんが負けちゃうんですか!」

P「今日の春香はどうしちゃったんだ? 言ってることが無茶苦茶じゃないか?」

小鳥「ええっと……どうしましょう?」

P「いいですよ、約束ですから。それに、音無さんと出かけるのは、なんだか楽しそうですね」

小鳥「ピヨッ!? ……でも、ピンチなんですよね? ご馳走していただくわけには……」

P「では、カッコ悪いですけど、今回だけは割り勘でもいいですか?」

小鳥「ふふ、気を使っていただかなくても大丈夫ですよ……って、あら? 今回っていうのは…」

P「ええ、それとは別の日に、あらためてご馳走したいと思ったんですけど……ダメですか?」

小鳥「ぜ、ぜひっ!!」

春香「……」ポカーン

千早「ねえ、春香」

春香「……何?」

千早「私、ジャンケンは運だけでなく、駆け引きも重要だとわかったわ」

春香「そっか。そうだね。プロデューサーさんは駆け引き上手だね」

千早「もう、落ち込まないの。春香にはまだ、大事な仕事が残ってるでしょ?」

春香「あ、そうだった! メインヒロインのお仕事が残ってたんだ!」

      rfニ、ヽ
      l。 。 f9i
      t≦_ノゝ、            ,,....,,,,__        ,rrテ≡==-、
      `ブ´,,:: -- ::、       ,r''"''''''ヽ:::`ヽ.     (〃彡三ミミ::`ヽ

      ,rニュf::r-‐t::::::::ヽ     f´,,..、 r"::::::::::i      /"~´   i三ミ::::i,
     /,,, Y.. -‐ ヾ::::::::l      ノ゙ f・=  7:::::::::::l.    f:、 ‐-:、 (ミミ:::::::l
      ム゚゙゙' く、'゚`  ゙'"):::l    ヽ''    ゙'⌒リ:ノ    ノ゚ヲ ''・=  リ::r-、リ
     l=,,;;:. l=、  ..::" ,)ヽ、   j⌒    ト'"fノ     l (-、ヽ'"   ゙'´ノ),)
    /`ゝ-''^ヽ''"  ,/: : : :\  ヽ、: : : '" ノ^i,     lィー-、    ノ-イ 
    /rf´ i′  ,f^ヽノ:,. - - 、 ヽ,,. -テ) ,/  `ヽ、   t_゙゙   _,,.. :: "  l、
   ゙'゙  l   l: : j :f´: : : : : ヽ,/   '''"´  ,,.: -  ヽ    `ユ゙"    ,ノ::ゝ、
      !   /: :ノ l: : : : : : : ノ,      ,:'"   ゙ヽ i,.r‐(´::::〉   ,.ィ":::::/::::::
      /-‐-/: :/: l: : : : : : ,/ /     /      ,f´:::,::ヽfト--テ:::::::::ノ:::::::::
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、..、く´_,,∠"ィ''"´ /   ,>     /\、   ,ノ:::/::::::://://::::::::::::::::::::::::::::::::
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ーフ´ > ヽ`ー、/    /く _,,..ィ''"゙'  _,,:ィf-:、::::::!::/`゙゙ブ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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春香「えー、コホン。アイドルマスターをご覧のみなさん! 今週は小鳥さんエンドという誰得な展開でしたね……」

春香「次回はもっと頑張りますっ! メインヒロイン天海春香の活躍を楽しみに待っててください!」

春香「よーっし、では、張り切っていきますよ~?」

春香「じゃん!けん!ぽん……ってうわあぁ!!」

ドンガラガッシャーン

千早(……あざとい)


終わり

以上です。あとがき代行がいるとかいないとか

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

春香「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
小鳥「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」
律子「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
響「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」
千早「・・・ありがと」ファサ
では、

春香、千早、小鳥、響、律子、俺「皆さんありがとうございました!」



春香、千早、小鳥、響、律子「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

畜生、改変が足りなかった

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