ミサト「シンジ君の寝顔って可愛いのね……」(145)

ミサト「あっ……んっ……ああっ」

シンジ「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」パンパン

ミサト「んんん……ふぅっ、んあっ」

シンジ「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」パンパン

ミサト「いや……ぁあっ、そんっ……」

シンジ「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」パンパン

ミサト「きて……ああっ、んんんっ! ……あんっ!」

シンジ「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」パンパン



シンジ「あああああっ!!」ドピュ

ミサト「んんんんんっっ!!」ビクビク

ミサト「その日の仕事は夜遅くまであってね」

ミサト「帰るのが深夜になってしまったの」


ミサト「シンジ君も、アスカも、当然寝てしまっていて」

ミサト「電気は点いていない」

ミサト「出迎えてくれるのは暗闇だけ」


ミサト「寂しさ……なのかしら」

ミサト「これも、本当に久しぶり」

ミサト「電気をつけても、まだ自分が闇の中で孤立しているような」

ミサト「……そんな気分になってしまったの」

ミサト「お酒を飲んだり」

ミサト「作り置きされていた、冷めたご飯を温め直したり」

ミサト「それすら出来なくて」

ミサト「気付いたら、シンジ君の部屋の扉に、手をかけていた」


ミサト「ひとつ、言っておきたいのだけれど」

ミサト「その時はね、そんなことするつもり、これっぽっちもなかったのよ」

ミサト「顔を見て、安心したかったの」

ミサト「私は、一人ではない……ってね」

ミサト「シンジ君はぐっすりと眠っていたわ」

ミサト「とても可愛らしい寝顔」

ミサト「忘れていたけれど、本当に顔立ちの整った子なのね」

ミサト「そんなことを思って」


ミサト「……同時に、頭に過ったの」

ミサト「ああ、私の家には、男がいるんだな」

ミサト「中学二年生の子に対してよ?」


ミサト「酔っても、いないのにね」

ミサト「シンジ君の部屋に足を踏み入れて」

ミサト「かかっていたシーツをはぎ取って」

ミサト「下半身をまさぐって」


ミサト「すぐに彼は目を覚ましたわ」

ミサト「信じられないものを見るような目つきをしていた」

ミサト「でも、その目に、微かな欲望があるのを、私は感じ取った」

ミサト「だから、私は言ったの」


ミサト「ねぇ、シンジ君……私と気持ちいいこと、しましょうか?」

ミサト「だいたい、そんな感じかしらね」

リツコ「……」

ミサト「その後は、語るまでもないでしょ?」

リツコ「……」

ミサト「ただ、さすが中学二年の男の子ね。どれだけやっても、し足りないみたいで」

リツコ「……」

ミサト「後始末が大変だったわ」

リツコ「……」

リツコ「……それで、私になんて言わせたいの?」

ミサト「さぁ? 思ったことをご自由に?」

リツコ「なら、言わせてもらうけど……軽蔑するわ」

ミサト「それは予想の範囲内」


リツコ「保護者失格とかいう話じゃないわよ。れっきとした犯罪だもの」

ミサト「シンジ君を預かる際、その手の書類に目を通したことを思いだしたわ」

リツコ「あなたねぇ」

ミサト「ふふっ」

リツコ「……はぁ」

ミサト「あら、もう終わり?」

リツコ「もういいわ。だって、あなた、叱られたがってるでしょ?」

ミサト「……」

リツコ「本当に責任を感じているなら、他人に感情の発散を任せないでちょうだい」

ミサト「それが、一番身に堪える……か」

リツコ「話を聞くくらいはするけれど、悩むのは貴方が負わなくてはならない罪よ」

ミサト「……」

リツコ「で、その後のシンジ君とはどうしてるの?」

ミサト「朝、ちょっと話して……それっきり」

リツコ「まさか、今日は家に帰らないつもり?」

ミサト「このまま明日になるまで相手してよ」

リツコ「嫌よ。仕事に支障が出たら―――」

ミサト「……お願い」


リツコ「……」

ミサト「……」


リツコ「……今夜、だけよ?」

ミサト「ありがと」

リツコ「どうするかは決まってるんでしょ?」

ミサト「お互い、あの夜のことは忘れましょ……って言うつもり」

リツコ「賢明な判断ね。多少のしこりは残るでしょうけど」


ミサト「はぁ……なんであんなこと、しちゃったんだろ」

リツコ「加持君とよりを戻したら、少しは寂しさも薄まるんじゃない?」

ミサト「……もう、あの人に逃げるのは、嫌」

リツコ「シンジ君に手を出していたら本末転倒じゃない」

ミサト「……」

リツコ「ほら、飲みなさい。明日は決戦よ」

ミサト「使徒との戦いの方が、百倍マシだけどね」

リツコ「調子、出てきた?」

ミサト「ちょっちね」

リツコ「そう」

ミサト「……」



ミサト「…………」

ミサト「……ただいまー」

シンジ「―――あ、お帰りなさい、ミサトさん」


ミサト「え、ええ、ただいま」

シンジ「もう、ご飯出来てますよ。すぐに食べますか?」

ミサト「そうね、頂こうかしら」

シンジ「分かりました。準備しますから、座って待ってて下さい」

ミサト「ええ」

ミサト(いつも通りの、シンジ君)

ミサト(まるで、なにもなかったみたい)


ミサト(……でも、私は覚えている)

ミサト(彼の体の温もり、私の体の猛り、行為を終えた後の、むせ返るような部屋の匂い)

ミサト(感触も、感覚も……全てが、あの夜の現実から逃がさないと言っているよう)


ミサト「夢だったなんて、あるわけないのよね」ボソッ


ミサト(もしも夢なら、どんなに……)

ミサト「アスカ、ただいま」

アスカ「おかえり。昨日はどこ行ってたのよ?」

ミサト「リツコと、お酒」

アスカ「うげっ、家でも飲んで、外でも飲んで……アル中かっていうの」

ミサト「アスカも大人になれば分かるわよ」

アスカ「分かりたくな~い!」

アスカ「バカシンジもなんとか言ってやりなさいよ」

シンジ「駄目ですよ、ミサトさん。体は大切にしてくださいね」

ミサト「分かってるわよ……だから、ビールいただくわね?」


アスカ「分かってないじゃない!」

ミサト「やーん。だって、飲まないと手先が震えてきちゃう」

アスカ「かんっぜんに! 中毒になってるじゃない!」

ミサト「じょーだん、じょーだん」

シンジ「あはは」

ミサト(美味しいご飯)

ミサト(楽しい食卓)


ミサト(味のしないご飯)

ミサト(他人の顔を窺う食卓)


ミサト(私は、ちゃんと笑っていたのかしら)

ミサト(あの子は、ちゃんと笑っていたのかしら)


ミサト(……誰も、教えてくれない)

コンコン


ミサト「シンジ君? 入っても良い?」


『はい、どうぞ』


ミサト「失礼するわね」


ガラッ



ミサト「……」

シンジ「……」

ミサト「昨日はごめんなさいね。なんの連絡もなしに」

シンジ「ああ、いえ、別に」

ミサト「ご飯、作っちゃってた?」

シンジ「はい。でも、お弁当のおかずにしましたから」

ミサト「そっか」

シンジ「アスカは、残り物なんて! って怒ってましたけど」

ミサト「ふふっ」


ミサト「……」

シンジ「……」

ミサト「それでね」

シンジ「はい?」

ミサト「この前のこと、なんだけど」

シンジ「……はい」


ミサト「なかったことに、出来ないかしら」

シンジ「……」

ミサト「体のいい言い訳だとは思うけれど」

シンジ「……」

ミサト「そっちの方が、お互いのために……なると思うから」

シンジ「……」

ミサト「……」

シンジ「……」

ミサト「……シンジ君、あの―――」


シンジ「わかってます!」


ミサト「……え?」

シンジ「それがいいんだって、それが正しいんだって、僕は分かってますから!」

ミサト「……」

シンジ「誰にも言いませんし、今まで通りにします。ミサトさんに迷惑はかけません」

ミサト「……」

シンジ「だ、大丈夫ですよ。僕はこれでもエヴァのパイロットで、秘密とかには慣れてますし!」

ミサト「……シンジ君」

シンジ「他の人よりは少しくらい、大人のことが分かるように、なったと思いますし……」

ミサト「シンジ君!!」


シンジ「は、はい?」

ミサト「……涙、が」


シンジ「……っ!!」ゴシゴシ

ミサト「……」

ミサト「ごめんなさい、ね」ギュッ

シンジ「ミ、ミサトさん!?」


ミサト「まだ14歳の男の子に、こんな決断をさせるなんて、ほんとに私って駄目ね」

シンジ「そんな、別に……」

ミサト「でも、あなたのおかげで、私も救われたわ……ありがとう」

シンジ「……」

シンジ「……ミ、ミサトさん、離れてもらえませんか?」

ミサト「え?」

シンジ「あの、あんなことがあったばかりだから、その……」

ミサト「……あ」


シンジ「す、すみません」

ミサト「いいのよ。男の子だもの。しょうがないわ」

シンジ「うう……」

ミサト「……」

ミサト(この子は、こんな私を許してくれる)

ミサト(こんな私を、分かってくれる)

ミサト(こんな私を、求めてくれる……)


ミサト(それがすごく嬉しくて)

ミサト(嬉しくて、嬉しくて)


ミサト(出来るのなら、もっと……もっと!)

ミサト(感情が、膨らんで)

ミサト「……ねぇ、シンジ君」

シンジ「はい?」

ミサト「直接するのはもちろん駄目だけど……でも、そういう風になったのは私の責任だから……」

シンジ「……」





ミサト「手で、してあげるわね?」

ミサト「んんっ……シンジ君、はぁっ……」チュッチュッ

シンジ「ミサトさん……」

ミサト「ん……なぁに?」

シンジ「もっと、名前、呼んでもらえませんか?」

ミサト「ふふっ……シンジ君……ああっ、シンジ君……」


シンジ「ミサトさん……ミサトさんっ!」パンッパンッ

ミサト「シンジくん、シンジくぅん!!」

シンジ「ミサトさん、ミサトさんっ!!」パンッパンッ

ミサト「はっ、はぁっ、あっあっあっ……」

ミサト(……あれ)

ミサト(なんで、こんなこと、してるんだっけ)


ミサト(手でしてあげるだけって)

ミサト(そう、言って)

ミサト(それで……?)


ミサト(……)


ミサト(まぁいっか、どーでも)

ミサト(気持ちいいし……)

ミサト「あんっ……あっあっ、はぁっ、はぁっ……」

シンジ「ミサトさんっ……!」

ミサト「んっ……もう出そうなの……ね……?」

シンジ「す、すいません……はぁっ」

ミサト「いいわよ、このまま、奥に……」

シンジ「でも……!?」

ミサト「いいから……っ!」ガシッ


シンジ「あ、あああっ!」ビクビク

ミサト「んんっ!!」ビクビク

ミサト「結局、またしちゃったわね」

シンジ「すいません……」

ミサト「なんでシンジ君が謝るの?」

シンジ「それは……」

ミサト「まぁ、中に出したのはマズいと思うけどね」

シンジ「そ、それはミサトさんが!」

ミサト「ふふっ」

シンジ「……ミサトさん」

ミサト「なに?」

シンジ「僕、嬉しかったんです」

ミサト「……?」


シンジ「ミサトさんが、形はどうあれ、僕を頼ってくれたことが」

ミサト「……」

シンジ「エヴァに乗ってるとき以外で、そんなこと、初めてだったから」

ミサト「……」

ミサト「シンジ君は色んなこと、立派にやってるわよ?」

シンジ「……でも、明確な何かが、僕は欲しかったんだと思います」

ミサト「そっか」

シンジ「すいません……こんなの、言われたってどうしようもないですよね」

ミサト「ううん、そんなことないわ」

シンジ「……」


ミサト「これからも頼らせてもらって、いい?」

シンジ「……! はい!!」

リツコ「……アフターピル?」

ミサト「ええ」

リツコ「ということは、そういうことなのね」

ミサト「まぁ、その……そうなるわね」


リツコ「……」

ミサト「……」


リツコ「はぁ……じゃあ、これね」

ミサト「え?」

リツコ「効果も確実ではないのだから、避妊はしっかりなさい」

ミサト「ずいぶん物わかりがいいのね」

リツコ「正直、こういう展開も予想しないではなかったもの」

ミサト「そうなの?」

リツコ「むしろ、こっちが本命ね」

ミサト「流石リツコというか、なんというか……」

リツコ「ただ、一つ言っておくことがあるわ」

ミサト「なに?」

リツコ「……今日のテスト、あなたは参加しなかったわよね?」

ミサト「ええ、他にやることあったから」


リツコ「シンジ君のシンクロ率が、大幅に減少していたわ」

ミサト「……!」

ミサト「それ……って」

リツコ「貴方との行為が関係あるのかは分からないけれど、タイミング的にはバッチリね」

ミサト「ストレス、とかは?」

リツコ「そういう類のものではなさそうね。原因不明という言葉がしっくりくる結果だった」

ミサト「……」


リツコ「そして、その原因になり得るものを、私とあなたは唯一知っている」

ミサト「……」

リツコ「このことを、どう捉えるかはあなた次第よ」

ミサト「……」

ミサト「リツコは、なにも言ってくれないのね」

リツコ「同じ言葉を言わせる気?」

ミサト「いいえ。……質問を変えるわ。あなたなら、どうする?」

リツコ「男をとるわ」

ミサト「……意外な答えね」

リツコ「見た目に反した激情を身に宿す人は少なくないわ」

ミサト「私は違うと思うけれど」

リツコ「なら、見た目通りなんじゃない?」

ミサト「……」

リツコ「私は、もう何も言わないわ。あなたの好きなようにしなさい」

ミサト「……」

リツコ「でも、シンジ君がエヴァに乗れなくなったNERV……ひいては世界がどうなるか、そこまで考えて結論を出しなさい」

ミサト「……」

リツコ「もちろん、ただの思いすごしであるのなら、それが一番なのだけれど」

ミサト「……」

リツコ「いいわね?」


ミサト「……ええ」

ミサト(NERV)

ミサト(エヴァ)

ミサト(世界)


ミサト(大げさな話になってるわね)

ミサト(男と女が、愛し合っただけなのに)


ミサト(……いえ、愛し合ってもいないわね)

ミサト(お互いが、体を求めあっているだけ)


ミサト(私が誰でもいいように、彼も、きっと)

ミサト(こんな関係、よくないのは分かってる)

ミサト(天秤にかけるまでもないような選択)


ミサト(それでも)

ミサト(それでも、私は)



ミサト(シンジ君を選んでしまった)


ミサト(……自分を、選んでしまった)

ミサト(あれから何度も体を求めあった)

ミサト(朝も夜も関係なかった)

ミサト(体が限界を迎えるまで、何度も、何度も)


ミサト(……シンジ君のシンクロ率は、どんどん下がっていった)

ミサト(もうすぐ、エヴァに乗れなくなるらしい)


ミサト(私のせい……?)

ミサト(でもね、やめられないの)

ミサト(だって、すごく気持ちいいんだもの)


ミサト(ねぇ、知ってる?)

ミサト(悪いことって、すごく気持ちがいいのよ)

ミサト(悪いことしてると、すごく幸せな気分になれるの)


ミサト(うふふ)

ミサト「あはは」


ミサト「……私は、悪い子」

アスカ「―――ミサト」

ミサト「……!!」


アスカ「……」

ミサト「あ、あら、アスカ、いたの?」

アスカ「……」

ミサト「学校、遅刻なんじゃないの?」

アスカ「……」

ミサト「アスカ?」

アスカ「学校、か」

ミサト「……?」

アスカ「バカシンジは、今頃学校についた頃かしら」

ミサト「そうだと思うけど」

アスカ「がっこう……」

ミサト「……」


アスカ「あんなことしてるくせに、他の生徒と一緒に、学校?」

ミサト「……!」

アスカ「きたない……きたないきたないきたないっ!!」

ミサト「……」

アスカ「バカシンジも、ミサトも、汚いのよ!!」

ミサト「アスカ……」


アスカ「近づかないで!!」

ミサト「……」

アスカ「あんなことして、あんな、あんな……!!」

ミサト「……」

アスカ「どうしてあんなこと、しているの……?」

ミサト「……」

アスカ「私がいること、分かってるでしょ? それもバカシンジと……」

ミサト「……」


アスカ「そんなの、大人がすることじゃないでしょ……?」

ミサト「……!」

ミサト「大人……?」

アスカ「え?」

ミサト「大人って、なに……?」

アスカ「それは」


ミサト「大人って、なによ!!」バンッ

アスカ「!」ビクッ

ミサト「誰が決めたのよ、私が大人って」

ミサト「歳をとったから? 体が大きいから? 仕事をしているから?」

ミサト「そんなの知らない! 生きていたら勝手にそうなっただけ!!」


ミサト「私はただの人間……ただの女……」

ミサト「なんで、大人なんて言葉で縛られないといけないの……?」

ミサト「子供はなんでもしてよくて、どうして大人はしちゃいけないの……?」


ミサト「私は、そんなものになりたいなんて言ってない!!」

ミサト「シンジ君はね」

ミサト「シンジ君は……私のこと、認めてくれるわ」

ミサト「私のこと、褒めてくれるの」


ミサト「大人だからじゃないの」

ミサト「葛城ミサトだから、褒めてくれるのよ」


ミサト「頭を撫でてくれて」

ミサト「いっぱいキスしてくれて」

ミサト「いっぱい気持ち良くしてくれるの」


ミサト「だから、私も求めてしまうの」

ミサト「ねぇ、アスカ?」

アスカ「……なによ?」

ミサト「アスカには、こんな気持ち、分からないでしょ?」

アスカ「当り前でしょ」

ミサト「ふふっ、そうよね、それはそうよ」


ミサト「だって、アスカはシンジ君に求められていないもの」

アスカ「……っ!」

アスカ「……」ギリッ

ミサト「……」

アスカ「……ちっ」

ミサト「……」


アスカ「……今日から、しばらくNERVで暮らすから」

ミサト「ええ、そうね。その方がいいと思うわ」

アスカ「……」

ミサト「……」

アスカ「……」

ミサト「……」

アスカ「……」

ミサト「……」





アスカ「―――気持ち悪い」



バタン

ミサト(扉が閉まった)




ミサト(……)

ミサト(……)




ミサト(色んなものが、終わったような気がした)

エピローグ


シンジ「ただいま」

ミサト「おかえりなさい、シンジ君」

シンジ「ミサトさん、大丈夫ですか?」

ミサト「なにが?」

シンジ「今日、NERVを無断欠席したって」

ミサト「……ああ、なんかどうでもよくなっちゃって」

シンジ「そうですか」

ミサト「ええ」

シンジ「ミサトさん」

ミサト「ん?」


シンジ「エヴァに乗れなくなりました」

ミサト「……」

シンジ「シンクロ率、0%です」

ミサト「……」

ミサト「どうでもいいことね」

シンジ「やっぱり、そう思いますか?」

ミサト「ええ」

シンジ「実は僕も、特に感じるものがなくて」

ミサト「でしょ?」

シンジ「あ、でも、このまま、ここに暮らすことは出来るのかな……」

ミサト「出来なかったら、どこか遠くの山の中で暮らしましょうか」

シンジ「なに言ってるんですか」

ミサト「ふふっ」

ミサト「大丈夫よ」

シンジ「え?」

ミサト「私たちは、ずっと一緒だから」

シンジ「……ホントですか?」

ミサト「ええ、ずっと……ずーっと一緒」

シンジ「そうだと、嬉しいな」


ミサト「だから……ね、気持ちいいこと、しましょうか?」

シンジ「……はい!」

ミサト(私たちがこうしている間も、世界は回る)

ミサト(使徒の襲来は続いている)


ミサト(これは私の勘で、本当にそうなるのかは分からないけれど)

ミサト(きっと、人類は負ける)

ミサト(シンジ君なしでは、きっと使徒には勝てない)


ミサト(でもね、どうでもいいの)

ミサト(気持ちいいこと以外は、どうでもいい)

ミサト(私たちは、ずっと一緒)

ミサト(いつまでも、どこまでも……)






ミサト(墜ちて、一緒に死にましょうね?)ニコッ





シンジ「……?」ニコッ




終劇

オワタ
記念すべき10個目のエヴァSSがこんなんやけど、ええんかな。
まぁええか。

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