P「雪歩と孤独じゃないグルメ」 (62)

-とある日 事務所-

      ガチャッ

雪歩「こんにちは。お疲れ様です」

      シーン

雪歩「あれ、鍵空いてるのに誰もいない……お手洗いかな?」 スタスタ

雪歩「ふぅ。今日も疲れちゃった。こんな時はお茶でも飲んで一息つきますぅ」

雪歩「ふぅー……落ち着きます」 ズズ...

雪歩「時間もあるし、何か読もうかなぁ。でもヤンアニもモーニングも今月分は読んじゃったし……」 ゴソゴソ

雪歩「……あれ? こんな本あったかなぁ?」

雪歩「……『孤独のグルメ』?」 パラッ...

-数分後-

P「ふぅー。スッキリしたぁ……」 ガチャッ

雪歩「……」 ペラッ

P「なんだ。雪歩帰ってきてたのか。お疲れさん」

雪歩「……」 ペラッ

P「なんか集中してて気付いてないな。……ん? あの本は――」

雪歩「……」 ペラッ

P「おーい、雪歩。おいってば」

雪歩「ひゃぅいっ!!? ぷっぷぷぷプロデューサーですか。お、脅かさないで下さい」 ビクビク

P「んな驚くこと無いだろ……。それよりもその本は――」

雪歩「えっ? あ、あの。これココに置いてあって、見慣れなかったものだったのでつい……ご、ゴメンなさい!」

P「ん? あぁ、いや別にいいんだ。それ俺が持ってきたやつだから」

雪歩「? プロデューサーが?」

P「おう。こいつのドラマを見せたら是非みたいつった奴がいてな」

雪歩「ドラマ? ドラマにもなってるんですか?」

P「おうよ。今ちょうどDVDに入ってる……っと、こいつだ」 ピッ

ゴロー「お肉なのに……お刺身」

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雪歩「はぅっ!」 グゥ

P「ん? 今の音って……」

雪歩「はわわ。な、なんでもないですぅ!///」

P「……いやぁ。今腹がなったような」

雪歩「な、鳴ってません!」 アセアセ

P「……」 ピッ

ゴロー「美味い! 肩、太もも……しっかりとした筋肉の味。マル――ハナマルだ!」

http://i.imgur.com/PX029I0.png

雪歩「はうぅぅぅぅぅ~……」 グゥー

P「……腹減ったんだな?」

雪歩「そ、それは……。うぅ! わ、私はしたない子ですぅ。埋まってますぅ!」 ザックザック

P「お、落ち着け雪歩! 腹が虫が騒ぐくらい人間誰にだってあるさ!」 アワワ

雪歩「で、でもぉ……」

P「デモもストライキもない。それに俺しか聞いてなかったし、別に気に病むことじゃないだろうに」

雪歩「そ、その一番聞かれたくなかった人に聞かれたのが問題なんですよぅ」 ボソボソ

P「ん? 何か言ったか?」

雪歩「……なんでおなかの音は聞こえるのに、こういう事は聞こえないんだろう」

P「しかし、今の時間に焼肉のシーンなんて見るもんじゃないな。腹が減っていかん」

雪歩「焼肉……。そういえば最近食べてないなぁ」 ポツリ

P「あれ、雪歩そうなのか?」

雪歩「はい? 私が何か……?」 キョトン

P「え? あ、いや。なんでもないよ。……無意識に口にしてたのか……」

雪歩(無意識に口に……? も、もしかして私何かとんでもないコト口走っちゃったんじゃ……) サーッ

P(そういえば最近雪歩に無理ばかりさせてきてるしなぁ。ここらで一つ労ってやるべきか)

雪歩(もしかしてプロデューサーへの気持ちを……。も、もしそうだったらどうしよう!?) アワアワ

P(でも甘やかすのも為にならないし……。あ、でも最近貴音や真に特別扱いしたばかりだしなぁ) ウーン

雪歩(いや、でもさっきみたいに聞こえてなかったり、そもそも思い違いの可能性も……)

P「んー……」 ジーッ

雪歩(でもさっきからずっとこっちを見てるし……。想いがバレちゃってたら……うぅ)

P「よし、決めた!」 ガタッ

雪歩「な、なんですか。そそそそんな、決めたってその返事なんてあわわわ……」 ビクッ

P「なに慌ててるんだ……? まぁいい。雪歩。今夜は俺と付き合え」

雪歩「つっ! つつつ付き合うっ……!? 今夜って……!」 ヨロッ

P「最近無理なスケジュールを組んでたしな。ここらでちょっとは精を付けなきゃ」

雪歩「せ、精って……そんな、私はそのぅ」 グルグル

P「大体雪歩の方も(ストレスが)溜まってるんじゃないのか? 多感な時期なんだし」

雪歩「たまっ……そんなことありません!」 カアァァ

P「そうか? でも俺も最近ご無沙汰だしさ。どうせだし一緒にやりにいこうぜ!」

雪歩「一緒にヤるって……ぽ、ぽえぇぇぇぇぇぇ!!」 ブンブン

P「うおっ! 危ない! こら雪歩、落ち着け! スコップ振り回すな!」

雪歩「ダメですぅ! ちゃんと順序を踏むべきですぅ! すっ飛ばしちゃ嫌ですぅ!」 ブンブン

P「だから落ち着けって! それに飯食いに行くのに順序って何だ!」

雪歩「ぽぇ……? お食事……?」 ピタッ

P「だから夜付き合えって言ってるじゃないか。なに言ってるんだ」 ハァ...ハァ...

雪歩「……」

P「まったく。一体どんな思い違いをしたのか――」

雪歩「ふ……」

P「ふ?」

雪歩「ふえぇぇぇぇぇん! 埋まってますぅ!!」 ザクザク

P「だー! だから落ち着けって!」

雪歩「私はえっちな子なんですぅ! 変なことを妄想しちゃうイケナイ子なんですぅ!」 ポェェ

P「そんなことないって! っていうか大声でその台詞はヤバい!」

P「ふぅ……。落ち着いたか?」

雪歩「ハイ……。ご迷惑をかけてすいませんでした」

P「別にいいさ。それにこっちこそ悪かったな、急に食事なんかに誘って」

雪歩「いえ、それは私が勝手に勘違いしてただけで……」

P「考えれば雪歩は男が苦手だったんだもんな。その男と2人で夜に食事とは俺も無神経だったよ」

雪歩「えっ?」

P「俺もプロデューサーとしてずっと傍にいたから、少し調子付いてたのかもな。悪かった、この通りだ」 ペコリ

雪歩「ち、違います! 私は、その――」

P「あぁ、別に俺に気を使わなくてもいいんだぞ。嫌なら嫌って遠慮なんてせずに言って――」

雪歩「そんなことありません!!」 ガタン

P「うおっ! び、ビックリした」

雪歩「全然嫌じゃありません! ぷ、プロデューサーはずっと私たちの為に頑張っててくれて、辛い時には傍にいてくれて」

雪歩「男の人だけど怖くなんてないし、むしろ優しくて、傍にいてくれるだけで安心させてくれて……」

雪歩「それに、それに私プロデューサーのこと――」

P「あ、あぁ。わかった、わかったよ。その、一旦落ち着こう、な?」

雪歩「あ――。今、私捲くし立てて……」 カァァ

P「まぁ……雪歩の気持ちは分かったよ。俺のことをそこまで信頼してくれて、その、光栄だよ」 ポリポリ

雪歩「私、わたし――」 スチャッ

P「なぁ雪歩。天丼ネタって知ってる?」


     ポエェェェェェ...    オチツケ ユキホ-!!


.

P「まったく。あがり症なのは相変わらずだなぁ」 ポンポン

雪歩「うぅ……。ごめんなさいぃ」 トボトボ

P「まぁそんなションボリするな。せっかくの食事なんだし、いつまでも引き摺ることじゃないぞ」

雪歩「食事……。そ、そういえばこれプロデューサーと2人きりのお食事会なんですよね」

P「? そらそうだよ。そのために事務所早くあがったんじゃないか。何かあったのか?」

雪歩「い、いえ。なんだかそう思っちゃったら緊張してきちゃって……」 ガチガチ

P「? 今更緊張するような仲じゃないだろうに。……それともやっぱ男とふた……」

雪歩「それはありません! ……本当です」

P「んん。そうだったな。悪い。でも折角の会食なんだ。もっと気軽に行こうぜ」

雪歩「うぅ、頑張りますぅ。……ところで今日はどちらまで?」

P「んー? もうすぐそこの店だよ。ホラ、あの看板出てる店」

雪歩「えっ? わぁ……。すごくお洒落なお店。なんだかバーみたい」

P「と、思うだろ? まぁ、入ってみなよ」

雪歩「はい。じゃあお先に失礼して……」 ガラガラ

- 店内 -

店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。ご予約はされておりますでしょうか?」

雪歩「えっ? はわわ……えっと、その」 ビクッ

P「いえ、予約じゃありません。2名ですが空いてますか?」

店員「かしこまりました。2名様ですね? こちらへどうぞ」

雪歩「えっと……」 キョロキョロ

P「ん? 何だ。まだ察しがつかないのか? ちょっと意外だな。微かに薫ってくるだろう」

雪歩「においですか? ……あっ!」 クンクン

P「そ。まぁ最近はこういう風なタイプの店舗も多くあるんだよってことで」

店員「どうぞこちらへ」 ガラッ

雪歩「ロースターがある……。ここは焼肉屋さんですぅ!!」 ギュッ

P「ふふふ、ご名答。じゃあ飲み物先選んで、何か頼むか決めようぜ。腹が減っていけない」

雪歩「でも、こんなお洒落な焼肉屋さんって……初めてですぅ」 キョロキョロ

P「焼肉つったらおばちゃんのやってる食堂的なイメージが強いけど、老若男女から好まれる食い物だしな」

P「女性客も気軽に利用できる洒落た焼肉店や、接待にも利用できる高級焼肉店だってできてる」

P「一見、洒落たヘアサロンやら洋風店に見える店でも、その実看板見たら焼肉屋だったりするし」

P「最近じゃあ形式に囚われない店が増えてるってことだな。この店もそうだ。どうだ? お前から見てこの店は」

雪歩「臭い避けシーツ有り、照明は薄暗め、店内煙なし、月曜休業、ロースターが煙吸出しを兼ねているのかな」 ブツブツ

P「あれ? お、おーい。どうした雪歩」

雪歩「え? あ、ハイ。とてもムーディーでいいお店だと思いますぅ」 ニコッ

P「そ、そうなのか。ここが俺の知る中で一番良い店だったからな。気に入ってくれたら嬉しいが……」 ハハハ...

雪歩「備え付けは爪楊枝と紙ナプキンだけかぁ。あ、ロースターは炭火とガス両方いけるんだ」 キョロキョロ

P(あぁ、そうか。雪歩って焼肉が好物な分、目も肥えているのか。お眼鏡に敵えばいいが……) アワアワ

雪歩「メニューにはハラミと……へぇ、タレ無しで出せるんだ。カルビも4種類以上……ふぅん」

P「ゆ、雪歩~。見るのもいいが、そろそろ飲み物来るし、早いとこ決めてしまわなきゃ……」

雪歩「はい? あ、す、スイマセン! メニューをどうぞ!」 サッ

P「ありがとう。じゃあ最初は何を頼もうかなー……」

雪歩「……」 ジーッ

P「ん? どうした雪歩。お前は決めないのか?」

雪歩「いえ、私はもう決めましたので。プロデューサーはゆっくりどうぞ」

P「(早っ!) そ、そうなのか。じゃあゆっくり決めさせて貰うよ」

雪歩「~♪」 ニコニコ

P(想像以上に焼肉慣れしてるな……。これは下手な注文なんてできんぞ)

P(いや、いっそここは雪歩の顔を立てて、全部雪歩に決めてもらうとか……) ンー

P(いやいや何考えてるんだ俺は! 今日の食事は俺が誘ったんだろ!) ブンブン

P(雪歩を元気付ける食事会を雪歩に任せるなど言語道断! ここは俺の焼肉力を魅せる時!) ゴゴゴ

雪歩(プロデューサー随分と真剣に悩んでるなぁ)

P「よし決めた! 雪歩、勝負だ!」

雪歩「勝負? えっ? えっ?」 オロオロ

P「あ、いやなんでもない。こっちの話だ……ところで雪歩。ちょっと提案があるんだが」

雪歩「? なんですか?」

P「どうせだからお互い何を頼むのか秘密にして、それを2人で分け合う形にしようぜ。そっちの方が面白そうだ」

雪歩「えぇっ? でも被ったりしたら……」

P「平気平気。ここの店の肉は全部美味いから、被ったとしても問題なんてないよ。それに――」

雪歩「それに?」

P「正直な話、欲望のままに雪歩の(選んだ焼肉)を食べてみたいんだよ」

雪歩「ぽぇっ!?」 ビクッ

雪歩(い、今『欲望のままに雪歩を食べてみたい』って言った!? そ、そんなまさか)

P「けど、できるなら俺だけの力(焼肉力)でお前を喜ばせてやりたいしな」 キリッ

雪歩「悦ばせっ……はわわわ」 カァァァァッ

P「せっかく2人きりなんだから、こういう機会を重宝したいし」

雪歩(ちょ、『調教したい』って、調教されちゃうんだ、私……) ハァッ...ハァッ...

P「で、どうだ? 俺に乗らないか?」

雪歩「えっと……私、初めてですから、乗るよりも下で優しくしてほしいというか……」 ドキン ドキン

P「は? 下? 何のことだ?」

雪歩「えっ?」

P「えっ?」

雪歩「……」

P「……」

-数分後-

P「というわけで俺の一品目来たな」

雪歩「プロデューサーの一皿目は……あ、タンですか」

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P「俺も学生時代、先輩に焼肉屋で何度もご馳走になったからな。多少の進行はできるぜぇ」 キラン

P「網を汚さないよう脂の少ないタンから入る! これ王道!」

P「それにタンはレモンで食べるのが基本だが、白い飯とレモンは合わない!」

P「なので飯が来る前、胃のスターター用として最初の方で頼むのが正解なのだ!」 ガタン

P「――と、いうことなんだが……どうだ?」 チラッ

雪歩「はい、色も霜降り模様も綺麗ですぅ。とっても上等なお肉だと一目で分かっちゃいました」 パァ

P「……」

雪歩「? どうかしましたかぁ?」

P「いや。なんでもない……。じゃあ早速火を入れて焼いていこう」

雪歩「あ、でもその前に……私の一皿目が来るので、そっちを頂いてからにしませんか?」

P「ん? タンより先に食べるものあるのか?」

雪歩「えっと、おなかに溜まらない程度のものなので……あ、来ましたぁ」

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P「これは……キャベツと長芋の千切り? キャベツはともかく長芋はメニューにあったっけ?」 ペラペラ

雪歩「いえ。でも長芋のキムチがあったので、先ほど可能かどうか聞いておいたんです」

P「ん? 確かにキムチはメニューにあるけど……。あぁそっか。長芋って漬物にできないんだ」

雪歩「そうなんです。なのでキムチと言っても基本はマリネ、和え物なんです」

雪歩「当然丸一日漬ける店もありますが、ここは経営方針からその場で和えていると思ったんです」

雪歩「ビンゴでしたぁ。お肉を食べる前はお野菜か胃に優しいものを入れておいたほうがいいですぅ」 ギュッ

P「(く、詳しい……) でもそれなら普通のキムチでもいいなじゃないか? ホラ、脂肪燃焼とか美肌とか」

雪歩「んー……。こういうお店のキムチって、本格的に作る傾向があって、大抵がものすごく辛いんですよ」

雪歩「辛すぎるとお水が欲しくなっておなかを膨らませちゃうし、味覚もちょっと麻痺しちゃいますし……」

雪歩「決してそれが悪いって訳じゃないですけど……。折角の上等なお肉なのに、それじゃ勿体無いですぅ」

P「し、しかし何故山芋とキャベツを?」

雪歩「えーっと、これはあくまで好みの問題なんですけど……」

雪歩「キャベツと山芋って塩ダレと相性が良くて、タレに力を入れているお店だとすごく美味しくいただけちゃうんですよ」

P「え? この店、タレに力を入れているって言ったっけ?」

雪歩「違いましたか?」

P「いや……。ここは漬けダレも美味いよ。独自で作り上げた自家製って聞いてる。でも何で分かったんだ?」

雪歩「このお店は備え付けのタレを置いてません。火の近くに置いておくと味の劣化が早いからしょうね」

雪歩「それにタレをずっと置いておけるっていう事は、保存料を入れているってことの裏返しなんです」

雪歩「当然、必ずしもそうではないんですが、理由あってタレを備え付けにおいてないとなると……」

雪歩「この店のタレに拘っていて、保存が利かない故に備え付けで置いてない。そう思ったんです」

P「そ、そうか。すごい洞察力だな……。やるじゃないか雪歩」

雪歩「えへへ。褒められちゃいました///」

P「じゃあ遠慮なくいただくとするか……おっ! 歯ごたえあってすげぇうまい!」 パリパリ

雪歩「そうですよね。長いもも、塩ダレとの相性がバツグンです」 シャキシャキ

P(まさかここまでとは……恐るべし雪歩。でもまだまだこれからよ!)

P「じゃあ今度こそタンを焼いていくか。よいしょー」 ジュー

雪歩「あぁ、この音。なんだか久しぶりに聞きました。とても心地良いですぅ」 ジーン

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P「まずは片面を焼いて……火が通ったら裏返してネギを乗せるっと」 ジュワー

雪歩「なんだか手慣れてますね。裏返しのタイミングとかがお上手です」 パチパチパチ

P「友人と行ってた時は専ら俺が焼き専だったからなぁ。まぁ行ったと言っても、すたみな太郎だけど」

雪歩「確か食べ放題のお店でしたっけ。私行ったことないからどんなお店なのか気になります」

P「ありゃ、そうなのか。じゃあ雪歩って普通はどんな店に行ってるんだ?」

雪歩「こじんまりとした個人経営のお店がほとんどです。でも一度行くと噂になっちゃって……」

P「あぁ、それで焼肉屋めぐりを控えてたのか」

雪歩「穴場探しを兼ねてそういうお店ばかり回ってたので、こんなお店があるなんて気付きませんでした」

P「まぁ、こういう店は基本夜営業だしなー……っと、雪歩。焼けたぞ」 ジュワー

雪歩「あっ。ありがとうございます。じゃあ塩とレモンを絞って……いただきます」 パク

雪歩「ん~。おいしいですぅ~」 ギューッ

P「これがまた、食感がすごくいいんだよ。厚切りでも噛み切れる丁度いい塩梅だ」 ムシャ

雪歩「噛めば噛むほど旨みが溢れてきて……。あぁ、幸せですぅ」 モグモグ

P「あぁ! これで白飯と生中があれば完璧なんだが……。うごご」 ←グレープフルーツジュース

雪歩「うぅん。これで黒烏龍茶さえあれば完璧なのに……。ぽええ」 ←普通の烏龍茶

P「お?」

雪歩「あっ///」

P「何だ。考えることは似たようなものなのか。ちょっとした奇跡だなこりゃ」

雪歩「えへへ。ちょっと恥ずかしいです」

P「さ、次の皿来たけどこれは……俺の頼んだのじゃないな。雪歩か?」

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雪歩「はい。上ハラミですね。予想通り、脂肪が少なく赤が綺麗ないいお肉です」

P「これも厚切りだな。食べ応えがありそうだ」

雪歩「ハラミも食感が売りのお肉ですからね。じゃあ早速焼いていきましょう」 ジューッ

P「そういや確か、いい店を探すにはハラミを見ろ! ってどっかの雑誌に書いてたな」

雪歩「そうですね。上等なハラミは仕入れルートがしっかりしてないと手に入らない部位ですから」

P「なるほどな。上等なハラミがあるってだけで店の格を判断できるのか」

雪歩「はい。それに加えてミノ、カルビを見ていれば大よそのことは分かります。後は……休業日かなぁ」

P「休業日……。あー、月曜がダメってやつか。日曜が屠場休みだからだっけ?」

雪歩「そうですね。赤身自体は熟成期間含めて調節できるので問題はないのですが、内臓肉はそうもいかないですから」

P「検査に一日掛かるんだっけか。そりゃあ月曜は避けたほうがいいわな。しかし、美味そうな匂いだ」

雪歩「もうちょっとで焼けますから……。はい、焼けましたよ。プロデューサーどうぞ」 スッ

P「おぉ~。ありがとう雪歩。じゃあいただきまーす」 ガブリ

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P「うっめぇ~っ! これでモツの一部とか嘘だろう。タレとかほとんど必要ないくらい味が濃いぞ」 ブハー

雪歩「見た目こそ赤身肉と同じなんですけど。ちょっとそこらへんの分類は分からないですぅ」 ジュー

P「脂が少なめなのに旨みは凝縮されてる感じで……。あぁ、タレつけるの忘れてた」

雪歩「辛口のタレをつけてもすごく美味しいです! でもそこにゴマと豆板醤を加えれば……あぁっ」

P「じゃあ俺は柚子胡椒でもつけてっと……。あぁ、こりゃあいい。上品な味になった」 アムッ

雪歩「内臓肉とは思えないくらい、臭みがありませんからね。ここのハラミは正解でした」 モグモグ

P「と、何だかんだ言ってる間に皿が見事に空になっちゃったな」

雪歩「よく味わって食べているつもりだったのに……。もう一皿あったらなぁ」 チラッ

P「んっんー。残念ながら俺はハラミは注文してないんだな」

雪歩「そうですかぁ……。今更ですけど、1品くらい被ってて欲しいと思ってる自分がいます……」

P「つーことで俺のターン! 必殺の牛のにぎりだぁ!」

雪歩「わぁ……。牛刺握り、初めて見ました。艶があってすごく美味しいそう……」

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P「そりゃあこの店自慢のイチボを使ったにぎりだからな。味も牛トロなんて非じゃないぞ!」

雪歩「イチボを使っているんですか?! すごいです、超高級部位じゃないですか」

P「それでも以前ならもっと手軽に食べられたんだけどなぁ。食品衛生法のお陰で値段が倍以上だ」

雪歩「値段? えっと……わっ。一皿1000円超えてます」

P「専用の機械使うからしゃーないな。まぁ食中毒怖いし、安全を金で買えたと思えばいっか」

雪歩「でも値段を見ちゃうと、心なしか更に美味しそうに見えてきました……」 ゴクッ

P「味わって食えよー。チェーン店や機材の整いにくい個人店じゃあ食えない味だ」

雪歩「では早速。いただきますぅ」 パク

P「俺もいただきまーす」 モグ

雪歩「や、柔らかいですぅ~。脂が口の中でとろけますぅ~」 トローン

P「ふへへ……。頬が緩むな、この味は。やっぱ生肉は最高だぜ」

雪歩「脂を感じるのに、アッサリしているというのも不思議ですぅ」

P「確か木の実とかを食わせてたって聞いたな、ここで出してる牛。きっと脂の質もいいんだろうな」 モグモグ

雪歩「あっ。味わって食べてたつもりなのに本当に溶けちゃいました」

P「ズルいよなぁ。滅茶苦茶美味いのに長く味わえないなんてよ」

雪歩「あうぅ~。何で1皿だけなんですかぁ?」

P「だって一応これご飯ものだし。腹膨れない程度に済ませようと、な」

雪歩「一品ものの欄までメニューを見渡していればよかったです……」 ショボン

P「3皿目は――あぁ、カルビ! ……と、わさび? これって……」

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雪歩「えへへ……。我慢できませんでした」

P「んん。まぁあのシーンは全エピソード屈指の垂涎のシーンだからな。しゃーないか」

雪歩「そうです。しょうがないんです! じゃあ早速わさびを摩り下ろします」 ジョリジョリ

P「ん? ちょっ。雪歩、ちょい待ち。それ貸してみ」

雪歩「ほえっ? えっと……どうぞ」 ハイ

P「ほい。わさびはな、擦り付けるように擦るようじゃダメなんだ。こうやって……」 ジョーリジョーリ

雪歩「あ、綺麗な緑色……。香りもツーンとしない程度に漂ってきますぅ」

P「『の』の字を描くように、ゆっくりとおろすのがコツだ。こうすれば辛味が程よく出て美味しくなるんだ」

雪歩「知りませんでした……。プロデューサー物知りなんですね」

P「にゃあ。これはただのテレビの受け売りだよ。それより雪歩、肉を焼いていてくれないか?」

雪歩「あっ。ハイ。じゃあお肉の方は私が焼いておきますぅ」 ジュー

P「雪歩はやっぱ肉焼くの上手いなぁ。炭火なのに全然火が立ち上らないぞ」

雪歩「そ、そんなことないです。昔、炭火焼きに拘るあまり、何度も上等なお肉を炭にしちゃって……」 ジュー

雪歩「もう炭にしないぞっ! って気持ちで焼き続けていたら、何とか焦がさずに焼けるようになっただけですぅ」 ジュワワー

P「そうなのか……。あ、雪歩。肉そろそろいいんじゃないか?」

雪歩「えっ? あ、本当だ」 ジュワッ

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P「ん、丁度いい焼き具合だ。そいつにこれを付けて食べてみろ」 ホイ

雪歩「あ、ありがとうございます。じゃあいただきますぅ」 ハムッ

雪歩「おっ……いしいぃぃぃぃぃ……」 ヘナー

P「俺も食おうっと。……うん、これは旨い! わさびと焼肉の相性ってやっぱ最強だわ」

雪歩「脂にわさびの辛味が溶け込んで、全然鼻にきません! むしろサッパリする分美味しくなってますぅ」

P「カルビ自体もかなり柔らかくて、味も濃い! 正直そのまま食べても旨いんじゃないだろうか」

雪歩「上等なカルビですから、表面を軽く炙って、お刺身感覚でわさび醤油で頂くのもありかもしれません」

P「いいねいいね。ブルーレアくらいでサッといただいてみたいものだわ」

雪歩「とか言ってる間にもう2切れしか無くなっちゃいましたぁ……」

P「わさびは大量に余ってるけど……まぁいいか。次のやつのもわさび相性いいだろうし」

雪歩「? 次の注文品ですか?」

P「はい、サーロイン」

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雪歩「さ、サーロイン?! 焼肉屋さんでサーロイン出るんですかぁ?!」

P「うん。サーロインと言えばステーキハウスの品なんだけど、ここは普通に出してるんだよなー」

雪歩「わぁっ。厚切りですごく美味しそう……。や、焼いても?」 チラッ

P「おう。焼け焼けー。わさびも今の内に摺っておくからさ」 ジョリジョリ

雪歩「では……。わぁ、すごいです! 網の上でも脂が弾けてますぅ!」 ジュー パチパチ

P「普通は牛脂塗ってーの鉄板焼きだもんなぁ。滅多に食えるものじゃねーぞぉ」

雪歩「あ、ちょうどいい具合に焼けましたよ。プロデューサー、どうぞ」

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P「おぉ、ありがてぇ。じゃあ早速わさびを乗せて……っと。いただきまーす」 ガブリ

雪歩「わぁ……。噛めば噛むほど脂と旨みが滲み出て、なのにすごくサッパリしてますぅ」 ハムッ

P「サーロインはジューシーなほど脂が乗ってる部位だからな。わさびとの相性は抜群だぜ」

雪歩「なんだか白いご飯よりも、甘くて柔らかい白パンが一緒にほしくなりますね」

P「赤ワインとの相性もいいんだよ。さすがにここにも置いてはないし、そもそも飲むつもりもないけど」

雪歩「焼肉屋さんで洋風を味わえるとは思いませんでした」

P「真っ向勝負だと分が悪いからな。奇を衒っていくしかないのさ!」

雪歩(あ。やっぱ勝負してることになってるんだ)

雪歩「あ、4皿目がきました。これは……プロデューサーの注文品ですね」

P「おうよ。ホルモンの盛り合わせ。これが俺の最後の切り札よ!」

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雪歩「切り札……ですか? それにしても単品じゃなくてセット物だとは思いませんでした」

P「ん。ここのホルモンは全て絶品だからな。多くの種類食えるこいつがまたいいのさ」

雪歩「確かに……。下処理がいいのか内臓独特の嫌なにおいがありません」

P「新鮮なモツを使ってる証拠だ。滅多にお目にかかれるものじゃないぞー」

雪歩「それじゃあ、焼いていきましょうか」 ジュー

P「あ、その前に雪歩。お前の注文待たなくて網使っても良かったのか?」

雪歩「はい?」 ジュ-

P「いや。ホルモン焼くと網も脂まみれになるし、お前の注文待ってからでも――」

雪歩「大丈夫ですよ。私の注文は網を使いませんから」 ジュー

P「なにっ。そうなのか? じゃあご飯ものや麺類……。それともデザートか?」

雪歩「うふふ。まだ秘密ですよー」

P「うむむ……。何だろうか。何か目玉商品なんて他にあったかなぁ」 パラパラ

雪歩「別に目玉商品だけを頼む訳じゃ有りませんよぅ。欲しいもの、食べたいものを注文するんです」

P「そ、それもそうか。じゃあ今はホルモンに集中するか。焦がしちゃ目も当てられんからな」

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雪歩「そうですよ。脂が多い分、焼くのだって難しいんですから。あ、ハツ焼けましたよ」

P「ハツか。コリッコリして旨いよなぁ。ホルモンじゃあ最も好きな部類だわ」 コリコリ

雪歩「私はミノですね。痛みやすい部位ですけど、その分当たりを引いたときの感動は一入ですぅ」 サクッ

P「ヒモもいいよな。脂の部分を炙った際のあの柔らかさと甘さは本当に感動ものだわ」 パクパク

雪歩「レバーも美味しいですぅ。血の嫌な臭いが全然しないで、ふっくらした食感が堪りません!」 ハフハフ

P「得てしてホルモンは顎が疲れるっていうけど、柔らかいもの続きだったし、丁度いいな」

雪歩「面白い食感のものが多いですからね。焼肉をホルモンだけで済ませる人も多いそうですよ」

P「ま、ホルモンを食べるのならビールがどうしても欲しくなっちゃうんだけどな」

雪歩「別に……少しなら頼んでもよかったんじゃないですか? 歩きなんですし」

P「いいのいいの。それに、お前らの前でそういう姿を見せるわけにはいかないしな」

雪歩「そう……ですか。ちょっと残念です……」

雪歩「あっ。私の注文の品が着たみたいですぅ」

P「さーて。雪歩はどんなモンを頼んだのかなっと。……なんだ? スープか?」

雪歩「はい。わかめスープです」

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P「これまた意外なのを選んだなぁ。この店何回か通ってるが、一度も頼んだことないやつだぞ」

雪歩「具はシンプルにネギ、ゴマ、わかめだけですね。卵は入ってないみたい」

P「だが口の中に残った脂をさっと流せるような、そんなスープだな。どれ、飲んでみるか」 ズズ...

雪歩「そうですね。じゃあいただきます」 ズ...

P「っかぁ~っ! なんだこれ。すっげぇ旨いぞ!」 プハァ

雪歩「はぁ……。確かにそうですね。サッパリしてて胃も体も温まりますぅ」 フゥ-

P「優しい味ってこんな味を指すんだろうなぁ……。ゴマがいい味出してる」

雪歩「普通の中華スープかと思いましたけど、おダシを取ってるんでしょうか? スープが美味しいです」

P「ホタテは入ってるな……。若干しじみの風味もあるし、魚介ベースなんだろうか」

雪歩「スープ一つとっても、本当に絶品ですぅ……。あぁ、美味しかった。ご馳走様でした」 フゥ...

P「俺もごちそうさま。……しかし驚いたな。てっきり冷麺とかデザートとかを頼むのかと思ってた」

雪歩「えっと、最後はプロデューサーの注文に合わせてみたんです。その方がいいかなって」

P「俺の注文に合わせる?」

雪歩「はい。プロデューサーは焼肉の基本を抑えてたし、きっと最後はホルモン系を頼むんだと思ったんです」

雪歩「だとすれば何か口の中の脂分を流せるような、そして締めに丁度良い品がいいと思って……」

雪歩「おなかの具合もそろそろ良い頃合ですし、おなかの膨れないスープを選びました」

P「そこまで考えてたのか……。あぁ、完敗だ。確かにホルモンを食った後のこのスープは完璧だった」 ガックシ

雪歩「えっと……? と、とにかく、喜んでもらえたのなら嬉しいですぅ」

雪歩「でも、本当に久しぶりの焼肉でした。美味しかったですぅ」 ハフゥ...

P「この店、気に入ったのかい?」

雪歩「はい。とっても!」

P「そいつぁ良かった。ここの店は一人用の個室もあるからな。焼肉好きとしては結構重宝するぜ」

雪歩「えっ。このお店って一人用の個室もあるんですか?!」

P「おう。だから気が向いたら、その時は遠慮せず楽しめば良い。変装は必須だろうけどな」

雪歩「ぽえ!? 遠慮せずって……」

P「んー? だって雪歩ってさ。今日、味噌系タレ、醤油系のタレ避けてたろう? 注文にしろ、漬けダレにしろ」

P「あれ、にんにくとかニラとかの臭いを気にしてたんじゃないか?」

雪歩「えっ!? そ、それはそのぅ……」

P「図星か。本当は頼んでみたかったメニューもまだまだあるんだろう?」

雪歩「ぁぅぅ……///」

P「別ににんにく程度、俺なんかに遠慮しなくても良かったんだがな。……あ、メール」

雪歩「うぅ……。プロデューサーだから遠慮したんですよぅ」 ボソッ

P「ん? あ、スマン。メール見てて聞き逃した。何だって?」

雪歩「……もういいです。何でもありません」

P「そうか? ならいいが……」

雪歩(よくないですぅ) プクー

P「あぁ、しかし負けた上に遠慮させてたんじゃあ引き下がれないな……。なあ雪歩、この後まだ時間あるか?」

雪歩「はい? えっと、まだ大丈夫ですけども……」

P「じゃあもう1軒だけ付き合ってくれないか? お前を連れて行きたい店があるんだ」

雪歩「私を連れて行きたいお店? なんだろう……?」

P「着いたぞ、雪歩。ここがそうだよ」

雪歩「? なんだかお茶のいい香りがします……」 クンクン

P「ご明察。ここは緑茶専門のティーハウス。文字通りのお茶所だ」

雪歩「お茶所……。こんな夜にやってるなんて」

P「焼肉の締めでスープを飲んだけど、やっぱお茶で一息つきたいだろ?」

P「ここは屋台舟を模した茶所でな。丁度川沿いで月を見るのが乙なんだよ」

P「さ、寒いから中に入ろうか」 ガチャ


        カラン カラン

           イラッシャイマセー

.

-茶店 店内 窓際の席-

P「どうだ? ここの茶菓子とお茶の味は」

雪歩「煎じ方も淹れ方も完璧なんでしょうね。香貴くてすっごく美味しいですぅ」

P「そいつは良かった。……何とか挽回できたか」 ホッ

雪歩「羊羹の方もお芋がとっても甘くて、なめらかで……とにかく最高です!」

http://i.imgur.com/54iJDEk.jpg

P「渋めの淹れてる茶に合うように、やや甘みの強い風味にしてるんだろうな」

雪歩「あぁ、なんだかとっても幸せな気分……」

P「こうやってのんびりするのもいいもんだな」

雪歩「……」 ズズ...

P「……」 モグ...

雪歩「あっ。プロデューサー見てください。あそこに月が水面に映ってますよ」

P「本当だ。ちょうど今日は満月だったか」

雪歩「なんだか水面にゆれる月って、幻想的で素敵だなぁ……」

P「知ってるか? 平安の昔、貴族たちは月を見上げずに水面や杯に映った月を眺めて楽しんだそうだ」

雪歩「そうなんですか? プロデューサー物知りなんですね」

P「どっかで見た本の受け売りだけどな」

雪歩「あぁ……。でも今日のように冬の晴れた日の夜空って」

P「うん。本当に、月が綺麗だな」 ズズー

雪歩「……」 ピクッ

P「ん? どうした雪歩。こっちなんか見て。月はあっちだぞ」

雪歩「……あの、プロデューサー」 ゴクッ

P「なんだ?」

雪歩「その……今とっても幸せで……」 ドキ...

雪歩「『私、もう死んでもいいです』……って伝えたら、どう応えてくれますか?」 ドキン ドキン

P「んー? 死ぬほど幸せってか? それなら――」

雪歩「……」

P「そうだな。『まだまだこれからお前が幸せになれる舞台が待ち構えている。だから』――」

雪歩「ぷっ……くすくす」

P「――って、なんだよ雪歩。真面目に応えたのに笑うなんて、酷いなー」

雪歩「いえ、ゴメンなさい。でも今のでハッキリわかっちゃいました。もうオッケーです」 クスクス

P「なんだなんだ。何が分かったんだよ。変な奴だなぁ」

雪歩「別にいいじゃないですか。ほら、お茶でも飲みましょう」 クスクス

P「なんだかなぁ……っと、お茶がきれちまった。ちょっとお茶の変えを頼みに行ってくるよ」

雪歩「そうですか? じゃあ、お願いしますね」 フフッ

P「了解」 テクテク

雪歩「……」

雪歩「今は……今はその返事だけで十分ですよ。プロデューサー……」

雪歩「これは片恋。私はアーシャ。でもいつかきっと――」

-とある日 車の中にて-

亜美「兄ちゃん、まだ動かないの→?」

真美「もうすぐ7時なるけど、事務所まであとどれくらいなのさ→?」

P「落ち着けって。……参ったな。渋滞で思った以上に進みが悪い」

真美「兄ちゃん。真美おなかすいたYO→」

亜美「亜美もおなかすいた→。それに退屈→」

P「むぅ。仕方ないなぁ。最悪どっかで食べて帰らせるか……」

亜美「あっ! 何か見っけ! ねぇ兄ちゃんこれPSP?」 ガサゴソ

真美「ラッキー! ねぇねぇ兄ちゃん、これで遊んでてい→い?」

P「あー、コラコラ。車で画面見てると酔うって」

真美「平気だYO。どうせ渋滞でほとんど動かないんでしょ?」

亜美「あれ、でもこれゲーム何が入ってるんだろ」

P「それは個人的に好きなドラマを入れてるだけだ。ゲームには興味ないしな」

亜美「なんだよそれ→! BooBoo→!」

真美「ちぇ→、つまんないの。でもないよりかはマシだし、とりあえずドラマ見てみよっか→」 カチャカチャ

P「あー……。それも個人的にはオススメできないな。特にこの状況では」

真美「? どゆことさ」

亜美「あ、真美。始まったみたい。タイトルは――」


終わり

ご清聴ありがとうございます
こんな深夜までお付き合いいただいてありがとうございました
明日起きられるかな……

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