一方「うっし! 大吉だぜ三下ァッ!」上条「お、俺もだッ!」 (32)

一方「あー、正月ボケかァ? いくら壊滅的にオツムが足りてねえっつったって凶と吉とじゃ見間違えようが」

上条「新年早々失礼だなテメエ! なんならその目かっぽじってよく見て見ろ!」バッ

一方「オウ、どれどれ? ……あ゛ー、なンだァ、このオミクジ途端に胡散くせェ」チッ

上条「何が言いたいのか薄々わかっけどでもその手のひら返しはあんまりだ!」

一方「あァ、そうか謎が解けたぞ三下。誰かが大凶に線を足して」

上条「どうやったって大吉には出来ねえよ!」

一方「ンなら、被害に遭ったのは末吉サンだな。修正液で手を加えた跡が、あるンじゃねえのか」

上条「……はは、まさか、そんな手の込んだこと」チラ

一方「……オイオイ、こんな冗談真に受けちまうとか、のっけからもの悲しい気持ちにしてくれンなよ」ヤレヤレ

上条「俺かよ! 俺が悪いのかよ!」

一方「ンま、今年一年、自分の幸運を疑わずにってことだな。アバヨ」

上条「……強引にまとめやがって。はぁ、初詣も終わったしそろそろ」


――ムギュッ!

上条「……とっぉ!?」フラ

御坂「なんだぁ、アンタも来てんじゃなぁい」スリスリ

ほほう

上条「み、御坂? な、何やってんだお前」

御坂「何って、振袖見ればわかるでしょ。初詣よ、初詣」ギュウ

上条「……そ、そんなに抱きついたりしてっと、着くずれすんぞ?」

御坂「いいわよ、ずれたらアンタに直してもらうからぁ」

上条「……み、御坂サン? その、どうしちゃったんですかね?」

御坂「えへへー、元旦からアンタに会えるなんて、今年は最っ高の一年になりそー」

上条「……あれだお前、熱でもあるのかあるんだよな?」ピト

御坂「あー、アンタの手、冷たくて気持ちいいー」ボー

上条(……あれ、ない。にしては、顔が赤い……もしかして)

御坂「……んー」フラフラ

上条「お、おいっ」グイッ

御坂「あんっ、っとと、さんきゅーさんきゅー!」バシバシ

上条「ててっ! 千鳥足と、この力加減のなさは、間違いなさそうだな……」

上条「ほら、ここで少し酔いを醒まそう」

御坂「ふぁーい。ご休憩ですかー、泊まりですねー!」

――ざわざわ

上条「た、頼むからこの人出で勘違いされるようなこと言わないでくれ。胃に悪い」キリキリ

御坂「そうよー、男なら少しくらい強引に引っ張ってくれたっていいじゃないのよー」

上条「もはや言ってることが支離滅裂だぞ、御坂」

御坂「……前々から思ってたんだけど」マジ

上条「お、おう?」

御坂「知り合って大分立つんだし、もうそろそろ名前で呼んでくれても、いいんじゃないの?」

上条「……え、いや、あの」

御坂「私だって、あの白いのみたいにとうまぁーって呼びたいのー。呼びたいし、美琴って呼ばれたいのー!」ブンブン

上条「……あ、あのなぁ御坂」

御坂「違うー、美琴だって言ってるでしょー」ブー

上条「これが世にいう絡み酒か、ほんと性質悪い……可愛いけど」

未成年の酒は避けよう

美琴「えへへー、膝枕ー、膝枕ー」ゴロンゴロン

上条「お、おいコラ、あんまり動くと落ちちまうぞ」

御坂「ねぇ、見て見てー、アンタの顔がこんなに近いー」

上条「この状況じゃどうやっても見れねえよ」

御坂「それもそっかー、あははー」

上条「……ほんと、今日のお前はよく笑うよな」フッ

御坂「当たり前でしょー、あのアンタがこんなに優しくしてくれてんのよー」

上条「……へ」

御坂「意中の人と一緒にいるときに仏頂面する女? ないわー、男がかわいそうだわ―」

上条「……意中の人って」

御坂「……にぶーい、あんたってばほんとにっぶーい!」ブー

上条「……いや、ええと、その///」

御坂「あははー、何よそれー! 新しい芸風か!? あのアンタがデレるとか、百パーないわー!」

御坂「……すぅ……すぅ」

上条「言いたいことだけ言って寝ちまうとか、ガキかお前」プニ

御坂「……んぅ……むにゃ」

上条「どんな幸せな夢見てんだか……こっちは正月早々」

御坂「…………カ」

上条「あ? テメ、バカっつったか? つか、起きてるのか?」

御坂「……して、……いつも」

上条「おい、御坂?」

御坂「……つも、無茶……ばかり……」

上条「――――」

御坂「……ないで……置いて……かないでよぉ」ツゥ

上条「……、俺はここにいるってぇの」ギュ

御坂「……ど……して……どこ……も……いな……い」ポロポロ

上条(………………そっか……ベツレヘムの)

御坂「……あ……れ」

御坂(……空が、紅い)

上条「おぅ、起きたか」

御坂「……なに、これ」ファサ

上条「ああ、冷えてきたんで、風除けに俺のコートをな」

御坂「……な、なな、何、この体勢」カチンコチン

上条「膝枕だよ。知らねえのか?」

御坂「い、いや、知ってるけど! な、なななんでそれをアンタがわたしに!?」

上条「俺がそうしたかったから」

御坂「……、」

上条「にしても、お前ってお酒に弱いんだな。飲んだの、一般に振る舞われてる甘酒だろ?」

御坂「……あ、も、もしかして、迷惑かけた?」

上条「いや、いい年初めだったよ。ほら、起きれるか?」スッ

御坂「……う、うん///」

御坂(お、おかしい。な、なんでこいつ、今日に限ってこんなに優しいのよ///)ドギマギ

俺「うへへ」

御坂「……あ、あの」

上条「うん?」

御坂「あ……、その、明けましておめでと」ボソ

上条「ぶっはっ!」

御坂「な、なんで笑うのよっ!」

上条「い、いや、悪い。今さらかよって思ったら、つい」

御坂「……し、仕方ないじゃない! あんたと会った記憶が、ほとんどないんだもの」

上条「わかってるよ。だから謝ったろ」

御坂「……なら、いいけど」ブス

上条「何はともあれ、今年もよろしくな。美琴」

御坂「ああ、うん、よろしく――――って」

御坂(……こ、こいつ、今、なんて)バッ

上条「大分暗くなってるし、寮まで送ってくよ」

御坂(……き、聞き間違いじゃないわよね。確かに、美琴って)

上条「どうした? 行こうぜ」

御坂「あ、その、別にそこまで気を遣わなくても。常盤台のエースがその辺のやつにどうこうされるわけ」

上条「だとしても、年頃の女の子だ」

御坂(だから今そういうこと真顔で言うな頼むからっ///)

御坂「そ、そそそれ以前に、介抱で時間を潰させちゃってるし」

上条「あー、もしかして、迷惑だったり?」ポリポリ

御坂「と、とと、とんでもない!」ブンブン

上条「よかった。なら、送らせてくれよ」

御坂「う、うん、あ、ありがとう。……嬉しい」ポショ

御坂(し、信じられない。コイツがこんな、どういう心境の変化なんだろ)チラ

御坂「ね、ねえ」クイクイ

上条「ん、どうした?」

御坂「その、さっきアンタ、わたしのこと、名前で呼んだわよね」

上条「ああ、嫌だったか?」

御坂「う、ううん! なことないっていうか! むしろばっちこいこのやろーっていうか!」

上条「…………」

御坂「あは、あははは! 何言ってるんだろ、あたしったら」

上条「ところで、お前もいい加減さ」

御坂「あ、う、うん、なに?」

上条「アンタとかじゃなくて、普通に俺のこと呼べないか? 名字とか、名前とか」

御坂「そ、そそ、そうね! アンタ一応、年上だもんね! 見方によっては、不敬よね!」

上条「いや、目上とか礼儀とかって話じゃなくて」

御坂「わ、わかってるわよ。わかってるってば。な、なら、試しに呼んでみようかしら!」

御坂「さ、先に言っとくけど、笑わないでよ?」

上条「笑わねえよ」スタスタ

御坂「か、上条さん」

上条「……んー」

御坂「うん、アンタに確認するまでもなくしっくりこなかったわ」

上条「もっと気安い関係だしな」

御坂「う、うん。なら、これはどうかな。……上条先輩」

上条「…………」

御坂「別に、変じゃないわよね。学園都市の先輩後輩には違いないわけだし」

上条「……なんだかなぁ。学力でも能力でも先輩面できねえからな」

御坂「これもだめか。なら、……おい上条」

上条「いきなり上から目線になった!?」

御坂「意外と、難しいもんね。呼び名って」

上条「……名字は外れか」

御坂「いっそ能力の代名詞で呼ぶのもありかしら」

上条「超電磁砲とか幻想殺しとか? 少年マンガじゃあるまいし」

御坂「なら、うん、消去法で名前しかなさそうね」

上条「そうだな」

御坂「……よ、呼んでいい?」

上条「い、いちいち聞くなよ」

御坂「わ、わかった。じゃあ……と」

上条「…………」ジー

御坂「と、とう……とう、とうま…………とうまさん///」ボシュ

上条「い、いや、そんな顔赤らめられるとだな///」

御坂「しょ、しょーがないじゃない! 呼び慣れていないんだから!///」

俺「うへへへへ」

上条「んー、お前の普段の口調がタメ口だしな」

御坂「や、やっぱり違和感あるかな? どうしよ、タメ口を何とか矯正して」

上条「いや、今さら大幅にキャラ変えられてもこっちが戸惑うだけっつうか」

御坂「ちゅ、注文が多いわねぇ。だったらどうしろっていうのよ」

上条「だったら、普通に呼び捨てでいいんじゃねえか?」

御坂「……アンタがそれでいいってんなら、わたしは構わないけど」

上条「んじゃ、それでいいな。俺は美琴。お前は当麻」

御坂「……と、とうま。当麻、ね」

上条「っと、駄弁ってると着くの早いな」ピタ

御坂「え……きゃっ!?」グラ

上条「ちょ、危ねえ!」バッ

――グイッ!

御坂「……ッ!」ドサッ

上条「ふぅ、ぎりぎり」ギュム

御坂「ご、ごめん! この履物、履物が悪いのよ! 歩き慣れてなくって!」ワタワタ

上条「いいよ、怪我なかったんだし」ポンポン

御坂「う、うん、ありがと///」スク

御坂(寮の前まで来てたんだ。はぁ、全然気がつかなかった)

上条「こっちこそ、さんきゅな。おかげで楽しい年初めだった」

御坂「ほ、ほんとに? ……ならよかった、かな。えへ、えへへへへ」

上条「んじゃ、またな……っと、あー、――美琴」

御坂「」ドキン

御坂「あ、う、うん。アンタも……じゃなかったっ!」

上条「ははは、お互い簡単には慣れなそうだな」

御坂「……頑張って慣れるから。気をつけてね……と、と、とうま///」

上条「……お、おぅ///」


上条(……こんな一日だったわけだが、大吉に値したかな?) ――end

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月09日 (金) 05:38:46   ID: 4hLw_YpT

俺「ぐへへ」

2 :  SS好きの774さん   2014年12月07日 (日) 01:13:47   ID: sEJnDx4f

うへへ

3 :  SS好きの774さん   2014年12月16日 (火) 19:25:36   ID: Ros6GJAx

タイトル詐欺

4 :  通りすがりの人   2015年04月06日 (月) 17:27:13   ID: ZoBps13q

グヘヘ言うなwウヘヘも言うなw

5 :  SS好きの774さん   2016年01月16日 (土) 00:30:57   ID: LXbz-erq

いろいろとカオス

6 :  SS好きの774さん   2016年05月10日 (火) 23:13:06   ID: B2Z_Zord

5に同感

7 :  SS好きの774さん   2016年09月18日 (日) 20:39:53   ID: nlP2Y9xO

俺は嫌な思いしてないから

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