響「今日はこれがずっと言いたかったんだ。誕生日おめでとう。雪歩」 (11)

雪歩「響ちゃんから珍しく遊びに誘われたけど……一体どうしたんだろ……」

車掌「次はー、新宿ー、新宿ー」

雪歩「あっ、お、降ります降ります! あ……」

車掌「発射します。閉まるドアにご注意ください」

雪歩「め、メールで連絡しなきゃ!」

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響「雪歩遅いな……遅刻するようなタイプじゃないし……」

響「おっ、メールだ!」ヒトリデハーデキナイコトー

響「考え事をしてたら降り損ねたので遅れます、ごめんなさい」

響「疲れてるのかな? 無理して誘わない方が良かったかな」

雪歩「ひ、響ちゃーん!」

響「おおっ、雪歩! てっ、そんなに走ったら危ない!」

雪歩「えっ? きゃっ!?」グラッ

響「ちょっ!! ……危なかった。自分が受け止めなかったらもうちょっとでこけるとこだったぞ」

雪歩「っ! ……あ、ありがとう、響、ちゃ」

響「春香じゃないんだから何もないところで転ばないでよね……自分、びっくりしたぞ……ま、雪歩が無事でよかったけど……雪歩?」

雪歩「そ、その……顔、近いです。響ちゃん」

響「あっ! ご、ごめん!」


響「いやいや、誘ったのは自分だしこれくらい別に……あ、そうだ」

雪歩「なに?」

響「自分雪歩待ってて身体冷えちゃったからさ」

雪歩「う、うう……それは本当に悪かったよう……」

響「自分の手、雪歩が温めてよ、はい」ニコッ

雪歩「!? お、お手柔らかにお願いします……」ギュッ

雪歩(今日の響ちゃん……髪おろしてるし、大きいブーツ履いてるから背高く見えるしかっこいいな……)

響「雪歩は今でも誰かと手つなぐことある?」

雪歩「う、うーん。もうないかなあ。あ、やよいちゃんの家に行った時に弟さんや妹さんとつなぐことならあるよ。響ちゃんは?」

響「一人暮らしだし、あんまりそういう機会はないなー。だ、だからさ……」

雪歩「だから?」

響「正直、今すごい緊張してる」

雪歩「あ、やっぱり」

響「やっぱりってなんだよ!」

雪歩「響ちゃん、手汗ひどいよ? ふふふっ」

響「いやー楽しかったー!」

雪歩「響ちゃんって何歌ってもうまいよねー。ずるいな……」

響「いやいや、雪歩のさ、なんていうのかな。声と曲調の方向性が重なった時の威力には勝てないさー」

雪歩「そ、そうかな? あ、もう夕方だね。これからどうする?」

響「このままどこかで夕飯、って行きたいんだけど。自分今月ピンチなんだよね。食材は買ってあるからさ。雪歩の分まで作ってあげるから、自分の家でいい?」

雪歩「え、えっと……響ちゃんの家って、犬いなかった……?」

響「実は、こんなこともあろうかと。家族たちは全員伊織の家に預けてあったり」

雪歩「え、えええ!?」

響「? そんなに驚くこと?」

雪歩「さ、流石に段取りが良すぎて……」

響「二人で遊ぶの初めてだし、せっかくだから家に来て欲しくて準備してたんだけど……ダメかな?」

雪歩「お、おじゃまさせていただきます……」

響「じゃあさくっと簡単に作っちゃうね。あ、先に飲み物入れようか」

雪歩「あ、うん。お願いし……え?」

響「え、えっと。別にケーキは飲み物ってわけじゃないぞ?」

雪歩「う、うん」


響「今日はこれがずっと言いたかったんだ。誕生日おめでとう。雪歩」

響「雪歩はさ、自分が移籍したてのころ色々気にかけてくれてたでしょ? 正直見てて怖がってるのはすごくわかったんだけど。それが自分にはすごく嬉しくてさ……いつか、恩を返そうと思ってたんだ」

雪歩「響ちゃん……私、ステージで踊る響ちゃんが、すごく怖かったの。でも、間近で見た響ちゃんはこんなに小さくて、それでも頑張ってて……それ見て、力になりたいなあって思ったんだ」

響「雪歩……」

雪歩「私のほうが年上だしね? 普段は頼りないけど……」

響「そんなことない! 自分、雪歩の言葉にはすごい助けられたんだぞ? だからその、これからまた一年間よろしくというか……」

雪歩(助けられたのはこっちだよ、響ちゃん。私、あなたのことばのおかげで勇気が持てた。だから……)

雪歩「うん。こちらこそ、これからもよろしくね。響ちゃん」

おわり

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