まどか「最悪で最高のクリスマス」 (117)

まどマギの百合物です。2回か3回くらいに分けて投下する予定です

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まどか「……」

まどか「……」

まどか「……はぁ」

まどか「どうして…こうなっちゃったんだろう……」

まどか「わたしが…悪かったのかな……」

まどか「ほむらちゃん…結局来てくれなかったし……。ほむら…ちゃん……」

まどか「ほむらちゃん…どうしてるのかな……」

コンコン

詢子『まどかー、まだ起きてるかー?』

まどか「あ…うん、何?」

詢子『もういい時間だからな。明日から冬休みとは言え、夜更かしは感心しないからね』

まどか「うん…もうちょっとしたら寝るよ」

詢子『そうしとけ。なんせ今日はクリスマスイブだ。いい子にしてないとサンタさんは来てくれないぞ?』

まどか「も、もう!そんなの……」

詢子『ホントのことはNGだぞ、まだタツヤは小さいからな。……んじゃ、アタシはもう休むよ。おやすみ、まどか』

まどか「うん…おやすみ、ママ」

まどか「……サンタさんに、クリスマス、か……」

まどか「今日は…今までで最高のクリスマスイブにするつもり…だったんだけどな……」

まどか「だけど…何もかも、全部…無駄になっちゃった……」

まどか「……ううん、それはもういいや。でも……」

まどか「わたし、ほむらちゃんに…嫌われちゃったのかな……」

まどか「……嫌だよ、そんなの。わたし、ほむらちゃんが…好きなのに……」

まどか「わたしのせい…だったのかもしれない。でも…そんなの……」

――数日前――

ほむら「まどか、帰りましょう」

まどか「あ、ほむらちゃん。うん、ちょっと待ってね」

さやか「何よ、あたしには声かけてくれないの?」

ほむら「あなたは予定があるんじゃないの?男の取り合いが……」

さやか「取り合い言うな。……今日は予定なしだよ」

ほむら「そう…じゃあ、あなたもどうかしら」

さやか「遠慮しとくよ。それとは別の予定もあるし」

ほむら「……なら、別に構わないじゃない」

さやか「それでも一応声かけるもんでしょ……」

ほむら「そうね…次からは善処するわ」

まどか「お待たせ、ほむらちゃん。それじゃ、帰ろっか」

ほむら「えぇ。じゃあさやか、また」

まどか「さやかちゃん、また明日」

さやか「2人とも、またねー」

まどか「うー…寒いなー」

ほむら「そうね…雪はないけど、こうも冷えると堪えるわ」

まどか「えー、でもほむらちゃん、平気そうな顔してるよ」

ほむら「……まどかといるときは、あんまり情けない顔はできないから」

まどか「わたしは別に気にしないのに」

ほむら「いいのよ、私が自分でそう思ってるだけのことだから」

ほむら「それに…もう随分と長い間、冬の寒さを感じてなかったから……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「でもまたこうして冬の寒さを感じられて…嬉しいわ」

まどか「……そう言えば、もうすぐクリスマスだね」

ほむら「クリスマス…あぁ、そう言われるとそうだったわね。サンタクロースが……」

まどか「ほ、ほむらちゃん?もしかして……」

ほむら「冗談よ。サンタの正体くらい知ってるわ」

まどか「だ、だよね…びっくりした」

ほむら「ただ、あまり思い出はないわね。ずっと入院していたわけだし」

まどか「あ…そっか、そうだったね……」

まどか「……そうだ、ショッピングモールに行ってみようよ」

ほむら「構わないけど…急にどうしたの?」

まどか「クリスマスも近いし、何かやってないかなって。それに……」

ほむら「それに?」

まどか「……ほ、ほむらちゃんと一緒だから…まっすぐ帰るのがもったいないなって思って」

ほむら「……ありがとう…嬉しいわ」

まどか「そ、それじゃ行ってみよう」

ほむら「えぇ、そうね」

――ショッピングモール――

まどか「……うーん、特に何かをやってはなさそうだけど」

ほむら「でも…何となく楽しい気分になってくるわね」

まどか「そうだね。あっちもこっちもクリスマスの飾りつけになってるし」

ほむら「せっかく来たのだから、どこか見ていきましょう」

まどか「え?えーと…あ、あの雑貨屋さんとかどうかな」

ほむら「まどかが選んだのなら、どこでも構わないわ。それじゃ、少し入ってみましょうか」

まどか「……予想はしてたけど、パーティー用の小道具とかプレゼント用のものが多いね」

ほむら「そうね……」

まどか「……あ、あのね、ほむらちゃん……」

ほむら「何?」

まどか「ほ、ほむらちゃんは…クリスマスはどうするの?」

ほむら「そうね…今のところは予定はないわ。まどかは家族と過ごすのでしょう?」

まどか「う、うん。そのつもりだけど……」

まどか「……え、えっと…もしよかったら、ほむらちゃんも一緒に…どうかな……?」

ほむら「……ありがとう。でも、私に気を遣う必要はないわ」

まどか「で、でも……」

ほむら「最悪、同じくひとりで寂しくしてるマミや杏子とでも楽しくやるわ。さやかは家族か例の彼のどちらかでしょうし」

まどか「そっか……」

ほむら「それよりも、向こうの方も見てみましょう」

まどか「……うん」

まどか(うー…そういうことじゃないんだけど……)

ほむら「……最近の雑貨屋ってぬいぐるみも売ってるのね」

まどか(ほむらちゃんのことだから、家族と一緒なんて言ったら断るような気はしてたけど……)

ほむら「こ、この微妙なぬいぐるみは誰が買うのかしら……」

まどか(だからって、まさか2人きりがいいな、なんて言えるわけないし……)

ほむら「せっかくだから、何か買って……」

まどか(うー…どうしたらいいんだろう……。さやかちゃんたちに…相談してみようかなぁ……)

ほむら「……まどか?」

まどか「……え、何?」

ほむら「どうかしたの?何だかぼーっとしてたみたいだから」

まどか「あ…その、ごめんね。何でもないよ」

ほむら「そう?それよりも、何か買って行こうと思うのだけど、何がいいかしら」

まどか「え?ぬいぐるみを?」

ほむら「えぇ、まどかはぬいぐるみをたくさん持ってるから、参考にさせてほしいの」

まどか「えっと、そうだね…あ、あの黒猫のぬいぐるみとかどうかな」

ほむら「あの黒猫の……?」

まどか「うん。ほむらちゃんって、何だか黒猫みたいな感じがするから」

ほむら「そうかしら…自分じゃよくわからないけど」

まどか「ふ、深く考えなくていいよ。あくまでわたしのイメージだから」

ほむら「それもそうね。……じゃああのぬいぐるみ、買って来るわ」

まどか「うん。わたし、外で待ってるよ」

ほむら「えぇ。なるべく早く済ませるわ」

まどか「……ふぅ」

まどか(やっぱり…そうなのかなぁ……)

まどか(わたし…ほむらちゃんが好き…なのかもしれない……)

まどか(さやかちゃんやマミさん、杏子ちゃんとほむらちゃんだと…やっぱり違う気がする……)

まどか(それに…ほむらちゃんと一緒なら、何でもない寄り道がこんなにも楽しくなるし……)

まどか(ほむらちゃんがわたしをどう思ってるかはわからないけど…もしわたしの恋人になってくれたら……)

まどか「……えへへ」

ほむら「待たせてごめんなさい、まどか」

まどか「うぇひっ!?」

ほむら「……ど、どうしたの?」

まどか「ご、ごめん…ちょっとだけ考え事してて……」

ほむら「そ、そう…それじゃ、そろそろ帰りましょうか」

まどか「うん、そうだね。……うぅ、さっきよりもまた寒くなった気がする……」

ほむら「……まどか、手を出して」

まどか「え……?うん」

ほむら「……これなら寒くないでしょう?」ギュ

まどか「あ…ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「気にしないで。……私も…その、嬉しい…から……」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「な、何でもないわ。じゃあ、帰りましょう」

まどか(ほむらちゃんの手…あったかいなぁ……)

まどか(ほむらちゃんとずっと……こうしていられたらって……)

まどか(……うん。よし……)

ほむら「……それじゃ、私はここで」

まどか「うん。ほむらちゃん、また明日」

ほむら「えぇ、また明日」

まどか「……さて、と。ほむらちゃん、行ったよね」

まどか「さやかちゃん、予定あるみたいだったし…大丈夫かな……」ピッ

まどか「……あ、さやかちゃん?今って大丈夫?」

さやか『んー?大丈夫だけど、何?どうしたの?』

まどか「うん、実はね……」

ほむら「……」

ほむら(まどかが選んでくれたぬいぐるみ…大事にしよう……)

ほむら(何かお礼をした方がいいわね…何が……)

ほむら(……そう言えば確か対になる白猫のぬいぐるみが売ってたような)

ほむら(それをお礼に…いえ、まどへのクリスマスプレゼントにしましょう)

ほむら「……そうと決まれば早速買いに戻らないと」

ほむら「まどか…喜んでくれるかしら……」

――――――

ほむら「はぁ……」

ほむら(参ったわね…さっき見たあれが最後のひとつだったなんて……)

ほむら(あのあと誰かが買ってしまったみたいね……)

ほむら(売れてしまったものは仕方ないのだけど…何か悔しいわ)

ほむら「そうなると他に用事は無いし…今日はもう帰ろうかしら」

ほむら「……それにしても、よく見ると色々なお店が並んでるわね」

ほむら「雑貨屋に専門店、本屋、それに喫茶……」

ほむら「……?あれ、まどかとさやか……?」

まどか『……』

さやか『……』

ほむら「どうしてここに…帰ったはずじゃ……?」

ほむら「……何を話しているのかは聞こえないけど、まどかが何か相談をしてる…ように見えるわね」

ほむら「でも何でわざわざ私と別れたあとで…相談事なら私に話してくれてもいいのに……」

ほむら(……何かモヤモヤする。どうしてかしら……)

ほむら(……私が入って行くのも気が引けるし、今日は大人しく帰りましょう)

――翌日 放課後――

ほむら「……」

ほむら(結局…昨日、まどかはさやかと何を話していたのかしら)

ほむら(まどかのこととなると…どんな些細なことも気になる……)

ほむら(でもまさか昨日何を話していたのか、なんて聞くわけにもいかないし……)

まどか「ほ…ほむらちゃん」

ほむら「……え、あ…まどか。何かしら」

まどか「うん…何だか今日、落ち込んでるっていうか、悩んでるっていうか…そんな気がして」

ほむら「……大丈夫よ、大したことではないから」

まどか「そっか…でも、何かあったらわたしでよければ話してほしいな」

ほむら「……」

ほむら(……その言葉はそのままあなたに返したいわ)

まどか「ど、どうしたの……?」

ほむら「……いえ、何でも。それよりも、そろそろ帰りましょうか」

まどか「あ、それなんだけど…今日、さやかちゃんと予定があって……」

ほむら「そう……」

さやか「まどかー、お待たせ。それじゃ……」

さやか「げ、ほむら……」

ほむら「人の顔見てそれはないんじゃないかしら」

さやか「ご、ごめんごめん。じゃ、あたしたちはこれで……」

ほむら「待ちなさい。まどかとどこに行くのかしら」

さやか「うえっ!?え、えっと…相談…そう、相談を聞いてもらうんだ!あたしの!」

ほむら「あなたの……?それなら私も一緒に……」

さやか「い、いやいやいや!ほむらの手を煩わせるほどのことじゃないから!」

まどか「さ、さやかちゃん、そろそろ……」

さやか「わ、わかってるよ!……あ、あたしたち、そろそろ行くよ。また明日!」

ほむら「あ、ちょっと……」

ほむら「……行ってしまったわね」

ほむら(今の…さやかの相談事というのはきっと嘘。昨日の続きでしょうね)

ほむら(何の話かは知らないけど…どうしてまどかは私に何も話してくれないのかしら……)

ほむら(まどか……)

ほむら「……仕方ない。帰りましょう」

――――――

ほむら「ふぅ……」

ほむら(真っ直ぐ家に帰る気にもならなかったからぶらぶらしてみたものの……)

ほむら(まどかのことが気になるばかり……)

ほむら(まどかと一緒じゃなければ、この寒さも鬱陶しいだけ……)

ほむら(……これ以上は気が滅入るだけね。今日は早く帰って寝ようかしら……)

ほむら「あ…あれ、まどかにさやか…それとマミ、杏子……?」

ほむら「どうなってるの……?どうしてあの2人も一緒なのかしら」

ほむら「……まどか?」

まどか「え?……あ、ほむらちゃん……」

さやか「ほ、ほむら……」

マミ「こんにちは、暁美さん」

杏子「おう。奇遇だな」

ほむら「……どうしてマミと杏子がここに?」

マミ「えぇ、実は鹿目さんから相談を……」

さやか「ちょちょちょ、マミさん!」

マミ「え?……あっ」

ほむら「……やっぱりさやかの相談ではなかったのね」

まどか「ほむらちゃん…気付いて……?」

ほむら「えぇ。さやかは嘘が下手だから」

さやか「う……」

ほむら「……まどかがどうして私に話してくれないのかは…聞かないわ」

ほむら「でも…私もまどかの力になりたいと思ってることだけは…覚えておいて」

まどか「あ…うん……」

ほむら「……それじゃ、私はこれで失礼するわ。……また」

まどか「……何だか悪いことしちゃったかな……」

さやか「でも、ほむらに聞かれるわけにもいかない話だし…仕方ないよ」

マミ「それよりも鹿目さん…その気持ち、本当なのね?」

まどか「……はい。間違いないです。……今、ほむらちゃんの顔見ただけで……」

マミ「……そう。それなら私たち、鹿目さんに協力するわ」

杏子「さやかはともかく、アタシとマミが戦力になるかわからんけどな」

まどか「ううん、ありがとう。じゃあ、明日からよろしくね」

ほむら「はぁ……」

ほむら(まさかさやかだけじゃなく、マミや杏子にまで話してたなんて……)

ほむら(さやかは幼なじみだからまだわかるのだけど…どうしてマミと杏子が……)

ほむら(まどかの悩みが何なのかはわからないけど…私じゃまどかの力になってあげられないのかしら)

ほむら(……どうしてかしら。さやかたちが腹立たしく感じてしまう)

ほむら(まどかの相談事から仲間はずれにされてしまったから…かしら……)

ほむら(まどかの相談事がいつ解決するかわからないけど…早めに解決してもらいたいものね)

ほむら(長引けばそれだけ…まどかと一緒に帰れるのが遅くなってしまうから……)

――――――

まどか「ご、ごめんね、ほむらちゃん。今日も……」

ほむら「そう…わかったわ。まどかの問題が早く解決するよう、祈ってるわ」

まどか「う、うん。ありがとう。……それじゃ、またね」

ほむら「……えぇ。また」

ほむら「……ふぅ」

ほむら(数日経ったけど…まどかの問題が解決した様子はない……)

ほむら(ずっとまどかが側にいないせいかしら…やたらと寂しく感じてしまう)

ほむら(それに…ここ最近、まどかと話すこと自体が減っているような……)

ほむら(私は…どうしたら……)

さやか「ふんふふーん…って、ほむらじゃん。まだ教室にいたんだ」

ほむら「さやか…何か用かしら」

さやか「いや、ちょっと忘れ物取りに来ただけだよ。それよりも……」

ほむら「……まどかなら先に出たわよ」

さやか「そ、そりゃご親切にどうも……」

ほむら「……まどかの相談が何か知らないけど、解決はまだなのかしら」

さやか「あー、いや、そのー…なかなか思うように行かなくてね……」

ほむら「戦力外の私が言うのも何だけど…時間かかりすぎよ。早くしなさい」

さやか「わ、わかってるって。……もしかして、あたしたちにまどか取られたから妬いてんの?」

ほむら「ばっ…馬鹿なこと言ってないでさっさと行きなさい!」

さやか「な、何もそんなムキにならんでもいいじゃない…わかりましたよ、行きますよ」

ほむら「あ……」

ほむら(私は…何をイライラしてるのかしら……。あんなの、さやかのいつもの軽口じゃない……)

ほむら(それなのに…それが必要以上に私の心に波風を立ててくる……)

ほむら(私…どうしてしまったのかしら。ほんの数日、一緒に帰れてないだけじゃない)

ほむら(たったそれだけなのに…まどかと一緒にいるさやかたちが……)

ほむら「まどか……」

さやか「はー……」

まどか「あ、さやかちゃん……?」

さやか「あー…ごめん、待たせちゃって」

まどか「それは別にいいんだけど…どうかした?」

さやか「いやね、忘れ物取りに行ったら教室にまだほむらがいてさ」

さやか「ちょっとからかったらバカなこと言ってないでさっさと行けって怒鳴られちゃって」

まどか「ほむらちゃんが……?」

さやか「まどかとほむら、ずっと帰りは一緒だったでしょ?でも、ここ最近は一緒に帰れてない」

さやか「あたしたちがまどかを取っちゃったって感じて、いじけちゃってるんじゃないかな」

まどか「そう…なのかな」

さやか「んー…自分でそう言っといて何だけど、怒鳴られた理由は別にありそうなんだよね……」

さやか「いつもなら適当に流されるか呆れられるかのどっちかなのに、今日はまたどうして……」

まどか「これ以上待たせるとかわいそうだし…早く決めないと」

さやか「そうだね。……まぁ、最終的にがんばるのはまどかなんだけどさ」

まどか「そ、それは……」

さやか「さて。それじゃ今日もまどかのために頑張りますか」

まどか「さやかちゃん、ありがとう」

さやか「もう少しで全部決まりそうだし、今日明日で終わるといいんだけど……」

まどか「……うん」

――翌日――

ほむら「……これでよし、と」

ほむら「……せっかくの休日だと言うのに黙々と爆弾作成だなんて」

ほむら「他にすることもないし、予想よりも捗ったからいいのだけど……」

ほむら「でも爆弾作成は完了したし…何をするか……」

ほむら「……」

ほむら「……出てくれるかしら」ピッ

Prrrrrrrr

まどか『もしもし、ほむらちゃん?』

ほむら「……よかった、出てくれて」

まどか『そりゃほむらちゃんからだもん。出ないわけないよ』

ほむら「そ、そう言ってくれると嬉しいわ」

まどか『……それで、今日はどうしたの?』

ほむら「え、えぇ…実はまどかとどこかに出かけようと思って電話したのだけど……」

ほむら「……ど、どうかしら」

まどか『あ…ごめんね。今、マミさんの家にいて、それで……』

ほむら「……例の相談事をしていたのかしら」

まどか『う、うん。そうなの……』

ほむら「……私にはその相談事…話してはくれないのかしら」

まどか『……ごめん。もう少しだけ待ってほしいの』

ほむら「まどかが…そう言うなら」

まどか『本当に…ごめんね』

ほむら「……それじゃ、そろそろ切るわね。また学校で」

まどか『あ、うん。ほむらちゃん、またね』

ほむら「……はぁ」

ほむら「全く…さやかたちは解決にいつまでかかってるのかしら」

ほむら「さやかだけならともかく、マミや杏子までいるはずなのに……」

ほむら「……あの3人がまどかの相談事を解決できないせいで、私がこんな目に……」

ほむら「いつまでもダラダラしてるせいで、まどかに土日まで潰させて……」

ほむら「……あぁもう、イライラするわ。どうして私が割を食わなければならないのかしら」

ほむら「……腹を立てていても仕方ないわ。ひとりでショッピングモールにでも行きましょう」

ほむら「多少は気が紛れるでしょうし……」

まどか「……」ピッ

さやか「まどか?ほむら、何だって?」

まどか「あ、えっと…一緒に出かけないかってお誘いだったんだけど」

マミ「よかったの?断って。こっちを明日にしても……」

まどか「いえ、わざわざお休みの日にまで押しかけているのはわたしの方ですから」

杏子「んで、あとは何だったっけか?」

まどか「あとは…2つまで絞った、何を買うかって悩みなんだけど……」

さやか「んじゃその悩んでる2つ、スパっと決めて終わりにしよう」

まどか「うん。マミさん、杏子ちゃん、もう少しだけお願いします」

マミ「えぇ。じゃあ、行きましょうか」

――――――

ほむら「はぁ……」

ほむら(やっぱりひとりで来るものじゃないわね…クリスマスが近いから尚のこと……)

ほむら(まどかと一緒だったときはあんなに楽しかったのに……)

ほむら(……この分だとクリスマス当日もきっと寂しいことになるでしょうね)

ほむら「……せっかく来たんだし、本か何か買って……」

ほむら「……?あれ…まどか……?」

ほむら「どうしてまどかたちがここに……?マミの家で相談してたはずじゃ……」

ほむら「まどか…そうまでして私に知られたくないの……?どうしてそこまで……」

ほむら「……帰りましょう。鉢合わせしてしまう前に」

まどか「えっと…それじゃ、どうぞ」

マミ「鹿目さん、本当にいいの?」

まどか「はい。わたしの相談を受けてくれたお礼です」

マミ「……わかったわ。それじゃ、今日はご馳走になるわね」

杏子「ありがたくいただくよ」

さやか「まどか、ゴチになります!」

さやか「うーん…この喫茶店のケーキは美味いなぁ……」

杏子「だな。マミ顔負けの味してるよ」

マミ「個人の趣味とお店の商品を比べるのはどうかしら……」

まどか「……」

さやか「……?まどか、どうかした?」

まどか「……え?あ、ううん。何でも……」

さやか「財布の中身確認したらやっぱり足りませんでしたって顔してるよ?」

まどか「どんな顔、それ……。そうじゃなくて、ちょっとほむらちゃんのことで……」

杏子「ほむらの?」

まどか「うん……。最近、みんなと相談してばかりで、ほむらちゃんといる時間がないなって……」

杏子「大丈夫なのか、それ?ほむらが愛想尽かされたとでも思ってたら全部水の泡じゃねぇか」

さやか「大丈夫だと思うよ。何があってもほむらはまどかのこと、好きだろうから」

マミ「その好きがどういう好きかが重要なのよね……」

さやか「……まぁ何にせよ、あとはまどか本人が頑張るだけだね」

まどか「……うん」

マミ「これ以上は何もできないと思うけど…陰ながら応援してるわね」

杏子「アタシらが協力してやったんだ。しくじったら承知しねぇぞ?」

まどか「わかってるよ。さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん。ありがとう」

さやか「んじゃ、今日はまどかの奢りだし…気の済むまで甘いものを楽しむとしますか」

まどか「ほ、ほどほどでお願いします……」

今回はここまで

次回投下は24日夜を予定しています

2回か3回か考えた結果2回に分けることにしました

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――12月24日――

さやか「……やれやれ、やっと終わったー…長いんだよ、終業式……」

まどか「う、うん……」

さやか「……それで、いつほむらに言いに行くのさ」

まどか「う、うん……」

まどか「もうマル秘作戦、全部決めたじゃん。あとは決行するだけでしょ?」

まどか「う、うん……」

さやか「……緊張してんの?」

まどか「だ、だって…もう今日なんだよ?ほむらちゃんを誘って、家で楽しんで、それから……」

まどか「うぅ……」

さやか「今からそんな調子でどうするのさ……」

ほむら「……まどか」

まどか「うぇひっ!?」

さやか「あれ、ほむら。何か用?」

ほむら「……えぇ。まどかと…あなたにも聞いた方がよさそうね」

ほむら「本当はマミと杏子もいた方がよかったのだけど…生憎ここにはいないから」

まどか「わたしたちに……?」

さやか「一体何を聞きたいってのさ?」

ほむら「……決まってるでしょう。まどかの相談事のことよ」

まどか「わたしの相談のこと?」

ほむら「……そうよ。私に嘘をついてまで隠しておきたい、秘密の相談事。いい加減、教えてくれないかしら」

まどか「嘘……?わたしたち、何も嘘なんて言って……」

ほむら「……休みの日、私はあなたに電話したわよね。一緒に出かけないかって」

ほむら「そのとき、あなたはマミの家にいると言った。間違いないわね?」

まどか「うん。間違いないよ」

ほむら「……なら、どうしてショッピングモールの喫茶店にあなたたちがいたのかしら?」

まどか「喫茶店って……」

ほむら「……私、見たのよ。喫茶店にいる、あなたたちを」

ほむら「これでもまだ嘘じゃないと言うの?私が見たのはよく似た別人だったとでも?」

まどか「喫茶店に行ったのは本当だけど…相談はマミさんの家でしてたんだよ」

ほむら「……本当に?」

まどか「本当だよ。ほむらちゃんに嘘を言うわけないよ」

ほむら「……私、あなたに電話したはずじゃない。一緒に出かけないかって」

ほむら「相談が終わって、外に出たのなら…誘ってくれてもよかったじゃない……」

まどか「あ……」

さやか「ま、まぁまぁ。ほんとはまどかの相談の延長で行ってたから……」

ほむら「……少し黙って。私は今、まどかと話しているの。あなたは引っ込んでなさい」

さやか「なっ……」

ほむら「まどか。あなたの相談というのは…そんなにも私に話したくないことなの?私じゃ力になれないと思ってるの?」

まどか「ち、違うよ。ただ、その……」

ほむら「違うというのなら、教えて頂戴。何なの?あなたの相談というのは」

まどか「い、今ここじゃ何というか…場所が適さないというか……」

ほむら「場所が適さない?何を言ってるの。わけがわからないわ」

さやか「……ほむら、その辺で勘弁してやってよ。まどかはほむらのためと思って……」

ほむら「……やかましいわ。黙ってと言ったはずよ」

さやか「ほむら…あんたね……」

ほむら「……そもそも、あなたたちがいつまでもダラダラしてくれたおかげでここまで遅くなったんじゃないのかしら」

さやか「……何だと?」

ほむら「あなただけならともかく、マミや杏子までいてこの有様は何なの?情けないったらないわね」

ほむら「相談を受けることを口実にまどかを連れまわすのはやめて頂戴。それで割を食うのは私なの」

ほむら「大方、あの喫茶店に入ろうと提案したのもあなたたちなのでしょう?」

まどか「ほ、ほむらちゃん、その辺で……」

さやか「……ごめん、まどか」

まどか「えっ……」

さやか「黙って聞いてりゃ言いたい放題……!まどかはあたしたちに相談したの!それわかってんの!?」

ほむら「だからいつまでもまどかを連れまわしてもいいとでも思ってるの……?ふざけるのも大概にして!!」

ほむら「あなたたち三馬鹿が延々とまどかを連れまわすから、私がまどかと過ごせる時間はほとんど無いの!!わかってる!?」

さやか「三馬鹿って…あんたねぇ……!」

ほむら「三馬鹿と呼ばずに何と呼ぶの!?私の邪魔ばかり……!」

さやか「あたしらがいつあんたの邪魔したってのよ!?」

ほむら「あなたたちがまどかといるだけで私の邪魔だと言ってるのよ!!わざと時間かけて私の妨害してるんじゃないの!?」

さやか「そんなことするわけないでしょうが!!あんた、一体あたしたちの何が気に食わないっての!?」

ほむら「何もかもよ!!あなたたちがまどかといることも、まどかに頼られていることも、全て!!」

さやか「あんた…いい加減に……!」

ほむら「あなたたちにわかるはずないでしょう!?まどかが相談している間、ずっとひとりだった私の気持ちを!!」

ほむら「まどかを心配して、それでいて何もできない私の気持ちを!!」

さやか「……っ」

ほむら「何より……!もうこれ以上あなたたち三馬鹿にまどかを取られるのは我慢できないのよ!!」

まどか「ほむら…ちゃん……」

さやか「……?まどかを、取られる……?」

ほむら「……っ!」

さやか「ほむら…あんた……」

ほむら「……これで失礼するわ。……さようなら」

まどか「あ……!ほむらちゃん、待っ……!」

ほむら「……少し頭を冷やさせてほしいの。だから…ひとりにさせて頂戴」

まどか「わたし…ほむらちゃんに伝えたいことが……」

ほむら「……悪いけど、また今度にして。……それじゃ」

さやか「……あのほむらがここまで感情を爆発させるなんて。あ、皆さんお騒がせしてどうもすいません……」

まどか「……きっと、わたしのせいでもあると思うんだ」

さやか「まどか……?」

まどか「わたし…ほむらちゃんを誘ったあとのことばかり考えちゃって…今のほむらちゃんのこと、考えてあげられてなかった……」

まどか「だからきっと…ほむらちゃんに寂しい思いをさせちゃったんだよ……」

さやか「うーん…それもあるんだろうけど、ほむらはどうしてあそこまでキレちゃったんだろ」

まどか「それは…わからないけど……」

さやか「あたしたちの全部が気に食わないらしいけど…まどかと一緒にいるのも、頼られるのも……」

さやか「それに、まどかを取られるって……」

さやか「……もしかして…そういうことなの?」

まどか「さやかちゃん?」

さやか「まどか、早くほむらを追いかけて。雲行きはちょっと怪しいけど…マル秘作戦、決行」

まどか「え…でもほむらちゃん、ひとりにさせてほしいって……」

さやか「いいから。あたしの推測が正しければ、きっと大丈夫だから」

まどか「よ、よくわかんないけど…わたし、行って来る。ほむらちゃんに謝ってから、誘ってみるよ!」

さやか「がんばりなさいよ、まどか!……さて、どう転ぶか……。念のために…っと」ピッ

さやか「……あ、マミさん?実はちょっとややこしいことになっちゃいまして、それでバックアップのお願いを……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん!待って!」

ほむら「……まどか。今日はひとりにしてほしいと言ったはずだけど……」

まどか「えっと、その…ほむらちゃん!ごめんなさい!」

ほむら「……?」

まどか「わたしの相談は…確かに大事なことだった。でも…そのせいでほむらちゃんを…悲しませちゃった……」

まどか「わたし…ほむらちゃんのことを、全然考えてあげられてなかった……。ほむらちゃんがどんな思いでいたか……」

まどか「……本当にごめんなさい、ほむらちゃん」

ほむら「……気にする必要はないわ。私が怒ったのは、まどかが原因じゃないから」

まどか「じゃあ…どうして……?」

ほむら「それは…答えられない。どうしてあんなにも頭にきてしまったのか…私もよくわかってないの」

ほむら「それよりも…どうして私を追いかけてきたのかしら。まさか謝る為だけにわざわざ……?」

まどか「ううん、それだけじゃないよ。……ほむらちゃん、今日…うちのクリスマスパーティーに来てほしいの」

ほむら「……以前、断ったじゃない。家族の方と楽しく過ごすといいわ」

まどか「……ほむらちゃんには…どうしても来てほしいんだ。わたしの相談と…関係があるから」

ほむら「……今ここでそれを話してはくれないのかしら」

まどか「ここじゃ…ダメなの。わたしの家で話さないと…ね」

ほむら「……それでも、行くつもりは…ないわ」

まどか「そんな…どうして……!」

ほむら「今日の私は…色々おかしいから。気が沈んで、それでいて気が高ぶってる。自分でも何が何だかよくわからない……」

ほむら「特に…あなたのこととなると、それが顕著になる」

ほむら「こんな状態の私が行っても…全部台無しにしてしまうだろうから。だから、遠慮させてもらうわ」

まどか「そんなの…そんなの気にしないよ!パパやママだって……」

ほむら「……私が気にするのよ。あなたの前でもうこれ以上…醜態は晒したくないから」

ほむら「……それじゃ、私はこれで」

まどか「あ…ほむらちゃん……」

ほむら「……お願い。ついて来ないで……」

まどか「……っ」

ほむら(これで…よかったはず。よかったはずなのに……)

ほむら(どうしてこんなにもモヤモヤするのかしら……。私は…どうしてしまったの……?)

ほむら(私はただ…まどかと一緒にいたいだけなのに……)

まどか「ごめん…なさい……。ほむらちゃん……」

まどか「ほむらちゃんは優しいから…きっと、わたしに嘘を言ったんだよね……」

まどか「誰だって…放っておかれたら…怒るに決まってるもん……」

まどか「……仕方ないよね。わたし自身のせいだから……」

まどか「……もう…帰ろう。日を改めて…きちんと謝ろう……」

まどか(ほむらちゃん……)

――――――

ほむら「……」

ほむら「……私は何をしてるのかしらね。せっかくのクリスマスだと言うのに爆弾作成だなんて」

ほむら「……それよりも、気がつかないうちに随分といい時間になってしまったわね」

ほむら「そう言えば…夕飯食べてなかったような気がするわ……。どうしたものかしら、今から……」

ピンポーン

ほむら「……こんな時間に誰かしら。私の家に来るのなんてまどかたちくらいのはず」

ほむら「そのまどかというのは考えにくい…となると、あの三馬鹿ね。……放っておけば諦めて帰るでしょう」

ピンポーン

ほむら「夕飯は…今日は無しでいいわ……。もう休むことにしましょう」

ガチャガチャ

ほむら「……?」

ガチャン

ほむら「……は?」

マミ「こんばんは、暁美さん。玄関の鍵は私の魔法で開けさせてもらったわ」

杏子「クリスマスだってのに…相変わらず殺風景な家だな」

ほむら「……三馬鹿が揃って私に何の用?もう休もうと思ってるのだけど」

さやか「……ほむらのことだから、もしかしたらまどかのとこに行ってないんじゃないかって思ってね」

さやか「ほむらは1度思いこむと…酷いからね。梃子でも動かなくなるし」

マミ「美樹さんの言う通り、私たちバックアップが動いて正解だったわね」

ほむら「……誰のせいでこうなってると思ってるの。どこまで私の邪魔をするつもりなの?」

ほむら「もう…しばらく関わらないで。本当に腹立たしい……」

マミ「……どうしてそこまで私たちに腹を立てるの?」

ほむら「……わからない。どうしてここまであなたたちに腹が立つのか」

ほむら「ただ、あなたたちがまどかといると考えると…心がモヤモヤする」

ほむら「あなたたちがまどかに頼られていると思うと…心がかき乱される」

ほむら「結果…まどかを取られてしまったと考えるようになって…あなたたちに無性に腹が立つの」

杏子「つまり…お前はアタシたちに嫉妬してたんじゃないか?まどかと一緒にいたアタシたちを」

マミ「だから鹿目さんと一緒にいた私たちに腹を立ててたのだと思うわ」

さやか「まどかを大切に思ってるからこそ、まどかに頼られたあたしたちを邪魔だと思ったんだよ」

ほむら「私…あなたたちに嫉妬を……?」

さやか「間違いないと思うよ。それで、どうしてあたしたちに嫉妬したのか。心当たりは?」

ほむら「……わからない」

さやか「……ほむらはさ、まどかのことが好きなんだよ。友達としてではなく、特別な意味で」

ほむら「まどかを…好き……?私が……?」

杏子「好きな人をアタシたちに取られる。だからアタシたちが妬ましい」

マミ「妬ましい私たちが鹿目さんと一緒にいるから腹が立つ。そう考えると辻褄は合うと思うわ」

ほむら「まさか…そんな……」

マミ「暁美さん。鹿目さんといると、どう感じる?」

ほむら「まどかと一緒なら…ただの寄り道も、心の底から楽しくなる……」

杏子「今、まどかのことを考えてみな。どう思った?」

ほむら「まどかの顔を思い浮かべただけで…幸せな気持ちになる。さっきまであんなに腹が立ってたのに……」

ほむら「まどかには…もっと私のことを見てほしい。まどかと…一緒にいたい……」

ほむら「……これが…好きって気持ちなの……?」

さやか「ほら、早くまどかのとこ行って、その気持ちを伝えてあげなよ」

ほむら「……何言ってるの。私もまどかも同性なのよ?……それが普通じゃないことくらい、私にだってわかる」

ほむら「……こんなの、伝えたところで迷惑になるだけよ」

さやか「まどかはそんな細かいこと気にする奴じゃないよ。きっと、まどかもきっとほむらを好きだと思ってる」

ほむら「……」

マミ「それに、今日はクリスマスイブ。想いを伝えるのには絶好の日よ」

ほむら「……」

杏子「1度は断られたんだろうけどよ…まどかもお前が来るのを待ってるはずだ。早く行ってやれよ」

ほむら「……さやか。マミ。杏子。ごめんなさい…私……」

さやか「いいって。あたしたち、友達なんだから。ケンカするほど仲が良いって奴?」

ほむら「……ありがとう。それじゃ、留守を頼むわ」

さやか「はいはーい。……えっ?」

ほむら「……まどか、今行くわ!」

さやか「ちょ、待って、ほむら!」

バタン

さやか「……行っちゃった」

杏子「……どうすんだ?アタシは構わないけどよ」

マミ「仕方ないわね。今日は暁美さんの家に泊めさせてもらいましょう」

さやか「……あいつ、今日は帰って来ないんですかね」

杏子「帰って来るにしろ、それまで留守番は必要だろ。勝手に家の鍵漁るワケにもいかねぇと思うが」

さやか「……それにしても、不器用だねぇ。まどかもほむらも。自分の気持ちがわからなかったなんてさ」

杏子「まどかもそうだったのか?」

さやか「最初、相談受けたときにね。まぁ、もしかしたらほむらが好き…かもしれないって半分は自覚してたみたいだけど」

さやか「……それよりも、そのときに告白しろって言ってたらそこで終わってたんじゃないかな、これ」

杏子「蓋を開けてみれば両想いのあいつらがすれ違ってしまったせいでこうなったんだからなぁ」

マミ「でもあの2人が幸せになってくれたら…暁美さんに嫉妬された甲斐があるってものじゃない」

さやか「それもそうですね。……きっと、うまく行きますよね」

マミ「えぇ、きっと。……でもいいわねぇ、私も素敵な恋人がほしいわ……」

さやか「あたしも…何でクリスマスに人の恋路の世話焼いてるんだろう……」

さやか「あたしって…ほんとバカ……」

杏子「あの2人もお前には言われたくないと思ってるんじゃないか?」

さやか「うっさい。……さて、それじゃあたしたちはあたしたちで独り身三馬鹿クリスマスパーティーでもしますか」

マミ「美樹さん、ここ暁美さんの家……」

さやか「そこは気にしない方向で。あたし、お菓子でも買ってきますね」

――――――

ほむら(私…今まで他の人をそういう意味で好きになったことなんて…なかった……)

ほむら(だから…この苛立ちも、モヤモヤも…全部、まどかが好きだからこその気持ちだったなんて…わからなかった……)

ほむら(だけど…そうだと自覚した今ならわかる。私…まどかが好き……!)

ほむら(まどかともっと一緒にいたい。もっと色んなところへ行きたい。もっと私を見ていてほしい……)

ほむら(まどかへの気持ちが…次から次に溢れて来る……。零れてしまう前に…あなたに伝えたい……!)

ほむら(……見えた…まどかの家……!)

ほむら「ハァ…ハァ…まだ、起きてる…みたいね。まどかの部屋、明かりが点いてる……」

ほむら「今…何時かしら……?」ピッ

ほむら「……11時半。玄関でチャイムを鳴らすわけにも…家族の方に迷惑が……」

ほむら「……少し不躾な手段になってしまうけど…ごめんなさい、まどか」

まどか「……」ピッ

まどか「もう…11時半……。そろそろ…寝ないと……」

まどか(もしかしたら…もしかしたら、来てくれるかもしれない。そう思って…料理もケーキも…取っておいたんだけど……)

まどか(それに…どうしてだろう……。ほむらちゃんがいないって思っただけで…料理もケーキもひどく味気ない……)

まどか(思えば…今日は色々あって、いいことなかった……。今年は…最悪のクリスマスイブだった……)

まどか(ほむらちゃんへのプレゼントも…結局、無意味になっちゃったし……)

まどか「……あ、あれ…わたし、泣いて……?」

まどか「……泣いたところで、ほむらちゃんが来るわけないし…もう…寝よう……」

コンコン

まどか「……?今、何か…気のせい…だよね……?」

まどか「きっと…風か何かかな。……雨音は…聞こえないし」

まどか「……さて、もう寝ないと……。明日から冬休み…なのに……」

まどか「気分が…晴れないや……」

コンコン

まどか「あれ…また……?何だろう、鍵、かけてなかったっけ……?」

まどか「でも、カーテンが揺れてるわけでもないし…一体……」シャッ

ほむら『……』

まどか「ほむら…ちゃん……?」

ほむら『……』

まどか「え?ほむらちゃん、何…あ、入れてほしいってことかな……」ガラ

ほむら「……こんばんは、まどか。夜遅くにこんなところからごめんなさい」

ほむら「玄関からだと…家族の方に迷惑がかかると思って……」

まどか「う、うん…わたしは別に構わないんだけど……」

まどか「それよりもほむらちゃん…どうしてここに……?」

ほむら「私、まどかに…あなたに伝えたいことが……」

ほむら「……へくしっ」

まどか「その前に…少し暖まった方がいいよ。ほむらちゃん、この寒いのに上着も着てないし」

ほむら「……いてもたってもいられなくなって…着の身着のまま飛び出して来たから」

まどか「何が何だかよくわからないけど…暖かいココアでも淹れてくるよ」

まどか「寒かったら…わたしの布団、使って」

ほむら「……ありがとう、まどか」

――――――

まどか「はい、どうぞ」

ほむら「……いただくわね」

まどか「どう…かな。パパみたいに上手く淹れられるわけじゃないけど」

ほむら「……えぇ。美味しい」

まどか「よかった……。それで、ほむらちゃん…どうしてわたしの家に?」

ほむら「……私、あなたに伝えたいことがあるの。今日のうちに」

まどか「今日のうちに……?」

ほむら「……私、最近何だか変なの。あなたがさやかたちといると…胸の内がモヤモヤして……」

ほむら「あなたがさやかたちに相談をして…私より彼女たちの方が頼られてるんじゃないかって思って……」

ほむら「次第に…あなたが取られてしまうんじゃないかって、そう考えてしまって…彼女たちに苛立つまでになって……」

ほむら「そして今日…溜まりに溜まった感情が…爆発して、さやかに怒りをぶつけてしまったの……」

まどか「そう…だったんだ……。ごめんね…わたしがほむらちゃんを仲間はずれにしちゃったから……」

ほむら「いえ…それはもういいの。……あなたと別れて家に帰ったあとも…心の中で何かが渦巻いてたの」

ほむら「ずっとそれが何だかわからなかった。でも…ここに来る前、家にさやかたちが押しかけて来て……」

ほむら「鍵をかけてたのに、マミのリボンあたりでしょうね。魔法で開錠して上り込んで来たわ」

まどか「そ、それは……」

ほむら「そこでさやかたちと話して…気付かされたの。私ね…さやかたちに嫉妬してた。妬んでたの」

まどか「嫉妬……?ど、どうして?」

ほむら「それも…彼女たちのおかげでわかったの。私が嫉妬してた理由…それはね……」

ほむら「私は…まどか。あなたのことが…好きだからよ」

まどか「……え?」

ほむら「……、友達としてじゃない。恋愛対象として…あなたが好き」

ほむら「あなたが好きだからこそ、私はさやかたちを邪魔だと思ったり…苛立っていたの……」

ほむら「好きな人と長々と一緒にいたり…好きな人から相談を受けて頼られていると思っていたから…彼女たちに嫉妬した」

ほむら「きっと…そういうことなんだと思うわ……」

まどか「えっと…あの、その……」

ほむら「……もう1度言うわ。私は…あなたのことが好き」

ほむら「まどかともっと一緒にいたい。まどかともっと色んなところへ行ってみたい……」

ほむら「まどかには…私だけを見ていてほしい。……そう、思ってる」

ほむら「……私もまどかも同性だというのは…わかってる。でも…やっと辿り着いた、あなたが好きだという気持ち……」

ほむら「それを…どうしても伝えたかったの……」

まどか「……」

ほむら「……まどか。私みたいな…あなたのこととなると見境が無くなってしまうような…面倒な私でよければ……」

ほむら「……私の…恋人になってほしい……」

まどか「……放課後、ほむらちゃんを誘ったときに言ったよね。わたしの相談のこと…話すって」

まどか「わたしがさやかちゃんたちに相談してたのはね…どうしたらほむらちゃんを…恋人にできるかなって……」

ほむら「え……」

まどか「わたしもね…ほむらちゃんのことが、好き…なんだ。優しくて、かっこよくて、頼りがいがあって……」

まどか「わたしのこと…何より大事に思ってくれる、ほむらちゃんのことが……」

まどか「だからね…わたし、ほむらちゃんと恋人になりたかったの……」

ほむら「まどか……」

まどか「でも、わたしそういうことって初めてで…どうしたらいいか、わからなかった」

まどか「だから…さやかちゃんに相談して、マミさんと杏子ちゃんにもお願いして…一緒に考えてもらったんだ」

まどか「それで…一通りの計画を立てたの。ほむらちゃんに…告白する計画を……」

ほむら「私に……?」

まどか「うん……。ほむらちゃんをクリスマスパーティーに誘って…思いきり楽しんで……」

まどか「そのあと…クリスマスプレゼントを渡して…ほむらちゃんが好きですって…伝えるつもりだった……」

ほむら「そんな……。まどか…ごめんなさい、私……」

まどか「ううん、もう…計画がダメになっちゃったとか、そういうのはどうでもいいの」

まどか「だって…ほむらちゃんがわたしに…告白、してくれたんだから……」

まどか「わたし…嬉しい。すごく嬉しい…はず、なのに……」

まどか「どうして…かな……。涙が…止まらないよ……!」

まどか「ほむらちゃん…ごめん、ごめんね…わたし……!」

まどか「ほむらちゃんが好きなのに…ほむらちゃんのこと…悲しませちゃった……!」

まどか「わたし…怖かった……!ほむらちゃんに…嫌われたんじゃないかって……!」

ほむら「まどか……」ギュウ

ほむら「大丈夫。私は…あなたが好き。大好きだから」

まどか「わたしも……!わたしもほむらちゃんが…大好き……!」

――――――

ほむら「……まどか、もう大丈夫?」

まどか「うん…ありがとう、ほむらちゃん。……えっと、わたしね……」

まどか「わたし、ほむらちゃんのことが好き。友達としてじゃなく、恋愛対象として……」

まどか「ほむらちゃんとずっと一緒にいたい。ほむらちゃんと一緒に色んなところへ行ってみたい。それに……」

まどか「ほむらちゃんの隣で…ずっとほむらちゃんを見ていたい。大好きなほむらちゃんの、色んな姿を。表情を……」

まどか「だから、こんなわたしでよければ…ほむらちゃんの恋人に…してほしいな」

ほむら「……駄目なわけないじゃない。私が好きなのは…あなただけなのだから」

まどか「わたしだって。……ありがとう、ほむらちゃん。わたし…すごく嬉しいよ」

ほむら「そう言えば…いつの間にか日付が変わってる……。12月25日…クリスマスね……」

まどか「……あ、そうだ。ほむらちゃんへのプレゼント…せっかくだから、これ…もらってほしいな」

ほむら「プレゼント…私に?何かしら……?」ガサガサ

ほむら「これは…リボン……?」

まどか「うん。わたしとお揃いの、赤いリボン。ほむらちゃんにも似合うと思って」

ほむら「……ありがとう。プレゼントを貰っておいて言うのも厚かましいけど…もうひとつプレゼントがほしいの」

まどか「もうひとつ?」

ほむら「えぇ。私は…まどか、あなたのキスがほしい。……お願いできないかしら」

まどか「え…えっと、ほっぺたで…いい…かな……?」

ほむら「私とまどかはもう恋人よ。それなら、答えはひとつしかないでしょう?」

まどか「や、やっぱりそうだよね…わ、わたし、その……」

まどか(ほむらちゃんがこう言ってくれるってことは…それだけ、わたしを好きだってこと…だよね……)

まどか(と、当然だけどわたし、そんなキスしたことないし…だけど……)

まどか(きっとこれが…ほむらちゃんへの最高のプレゼントになると思う……。それなら、わたしは……!)

まどか「……ほむらちゃん。目、閉じて」

ほむら「……えぇ」

まどか(ほむらちゃんがわたしの恋人になってくれたなんて…夢を見てるみたい。……でも、これは夢なんかじゃない)

まどか(わたしからほむらちゃんへの最高のプレゼント。同時に、ほむらちゃんからわたしへの最高の贈り物)

まどか(……ほむらちゃん、ありがとう。わたしに告白してくれて。わたしを好きだと言ってくれて)

まどか(ほむらちゃん…大好きだよ……)

まどか「ん……」

ほむら「ふ…ぅ……」

ほむら(私は当然…まどかもきっと…初めて…よね……。キスというよりは押し付け合ってるって感じ……)

ほむら(でも…今はそれで構わない……。触れてる…まどかの唇…凄く、柔らかい……)

まどか「ぷぁ…っ…わ、わたし、こんなこと初めてで……」

ほむら「……それは私だって同じよ。少し不格好でもいいじゃない、初めてなんだから」

ほむら「……ありがとう、まどか。私の我儘、聞いてくれて……」

まどか「……ううん。わたしも…嬉しかったから」

ほむら「これで…私とまどかは恋人に…なれたのかしら」

まどか「うん。だって…わたしもほむらちゃんも、お互いのことが大好きなんだから」

ほむら「……そうね。私…こんな素敵で…最高のクリスマスになるなんて…思ってなかった」

まどか「わたしだって…クリスマスイブは…色々あって、最悪のクリスマスイブだった……」

まどか「でも、今日は…ほむらちゃんと両想いになれて、恋人になれた……。だから、今までで最高の…クリスマスだよ」

ほむら「そう…よかった……」

まどか「……あ…ほむらちゃん。外、見てよ」

ほむら「え?……雪が……」

まどか「綺麗だね……」

ほむら「……えぇ。とても…素敵ね」

まどか「……ありがとう、ほむらちゃん。わたしの…恋人になってくれて」

ほむら「私の方こそ…でもどうしよう、まどかが恋人になると…私、何かある度に嫉妬してしまう気が……」

まどか「そのときはそのときだよ。……それに、もうほむらちゃんにそんな思い…させないから」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「えへへ……」

ほむら「……ふぁ」

まどか「……そう言えば真夜中だったね、今。そろそろ…寝ようかな」

ほむら「そうしなさい。……伝えたいことも伝えたし、私はこれで……」

まどか「待って。せっかくだから…ほむらちゃん、泊まって行ってよ」

ほむら「え?でも……」

まどか「もう真夜中だし、雪も降ってるし…今から帰ることないよ」

まどか「それに…今までほむらちゃんと離れてた分、今は少しでも長く一緒にいたいんだ……」

ほむら「それはいいのだけど…泊まるにしたって、私はどこで寝たら……」

まどか「一応予備の布団はあるんだけど…こんな時間にゴソゴソしてたらみんな起こしちゃうし……」

まどか「……そうだ。わたしと一緒に寝たらいいんだよ」

ほむら「え?」

まどか「ほら、わたしのベッド大きいから。わたしとほむらちゃん、2人一緒でも十分だよ」

ほむら「……無理に私を泊めようとしなくてもいいのよ?」

まどか「ううん、無理なんてしてないよ。むしろ、そうしてほしいって思ってるくらいだよ」

ほむら「……なら、その好意に甘えることにするわ。恋人のお願いを断るわけにもいかないし」

まどか「……それじゃ、電気消すね」パチン

ほむら「……まどか、大丈夫?狭くないかしら」

まどか「大丈夫だよ。言ったでしょ、2人でも十分だって」

ほむら「それならいいのだけど……」

まどか「……」ギュウ

ほむら「まどか……?」

まどか「自分で提案したことだけど…わたし、今日は眠れないかも」

まどか「だって、ほむらちゃんが…こんなにも近くにいるんだもん。眠れるわけ…ないよ」

まどか「……えへへ、どうしよう」

ほむら「……それは私だって同じよ。まどかに抱きつかれて…平静でいられるわけ、ないわ」

ほむら「自分の心臓の音がうるさくて…とてもじゃないけど寝付けない」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん。ありがとう、わたしに最高のプレゼントをくれて」

ほむら「プレゼント……?私は何もあげた覚えは……」

まどか「ううん、確かにほむらちゃんはくれたよ。……今、こうしていられる幸せ。ほむらちゃんは…わたしに幸せをくれた」

ほむら「まどかだって…リボンもキスもとても嬉しかった。でも…あなたは私に恋人をくれた。何よりも愛しい人を……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「まどか…ありがとう。それと…メリークリスマス」

まどか「……うん。メリークリスマス…ほむらちゃん……」

――翌日――

詢子「なー、タツヤ。これ、何だろうなー?」

タツヤ「あー!サンタ、サンタ!」

詢子「よかったなー、サンタさん来てくれて」

タツヤ「えへー。サンタさん、あいがとー!」

詢子「……それよりも、まどかはまだ起きて来てないのか?」

知久「まだみたいだね。今日から冬休みだから構わないと言えば構わないんだけど」

詢子「さては夜更かししたな?……昨日寝る前に言っておいたのに」

知久「いつも起こしてもらってるんだし、たまには起こしに行ってあげたらどうだい?」

詢子「そうだね…んじゃ、たまにはアタシが起こしてやるとするか」

コンコン

詢子「おーい、まどかー?まだ寝てるのかー?」

詢子「……返事がないな」

コンコン

詢子「まどかー?起きないと部屋入るぞー?」

詢子「……返事なし。仕方ない、部屋入るか」ガチャ

詢子「おーい、まどか。いつまで寝て……」

まどか「ん…ぅ……」

ほむら「……」Zzz

詢子「……あれ。何でほむらちゃんがいるんだ……?」

詢子「昨日、アタシたちが寝た後に来た…んだろうね、きっと」

詢子「……ま、何にせよ…今日は大目に見てやるかな」

詢子「こんな幸せそうな2人…起こしたら恨まれそうだからね」

詢子「さて…それじゃ起きちまう前に戻るとするかね……」

詢子「……何があったかはわからないけど、2人にとって最高のクリスマスになったんだろうね」

詢子「メリークリスマス…まどか、ほむらちゃん」

バタン

ほむら「ん…まどかぁ……」

まどか「えへ…ほむらちゃん、だいすき……」


Fin

これで完結です
最後まで読んでいただき、ありがとうございました

読んで下さった方、感想頂けた方、本当にありがとうございました

・次回予告

ほむら「まどかと過ごす1日」 短編

ほむら「あなたを守りたい私と私を守りたいあなた」 長編

まどか「深夜のメール」 短編


他にも年越しの季節ネタの書いてるけど間に合うか不明。間に合うように頑張ってます…
またどこかで見かけたらよろしくお願いします

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