マヤ「妊娠検査薬パターン青!!間違いありません!おめでたです!」(301)

アスカ「……」モジモジ

ミサト「おめでとう」

リツコ「おめでとう」

ゲンドウ「おめでとう」

冬月「おめでとう」

青葉「おめでとう」

日向「おめでとう」

マヤ「おめでとう」

レイ「おめでとう」

シンジ「逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……」

かわいい

~数週間前~

アスカ「んー」

ミサト「アスカ、どうしたの?」

アスカ「え?いや……」

ミサト「何?ちゃんといいなさい。私がアスカのトータルケアを任されてるんだから」

アスカ「使いかた間違ってない?」

ミサト「で、どうしたの?」

アスカ「実は……アレが来ないの……」

ミサト「アレって……アレのこと?」

アスカ「う、うん……」

ミサト「まあ、エヴァに乗ってるし、ストレスが原因ってこともあるだろうから、気にしなくていいんじゃないの?」

アスカ「そ、そう?」

ミサト「心配ならメディカルチェックとか受けてみたら?私から頼んでおいてもいいけど?」

アスカ「あ、いいから……」

ミサト「どうして?」

アスカ「来ないなら来ないで楽だし」

ミサト「そう?」

アスカ「うん。じゃあ、もう寝るわ」

ミサト「おやすみー」

ミサト(なーんか様子が変ね……)

アスカ「はぁ……」

アスカ「もしかして……」

アスカ「いや、そんなこと……」

アスカ「……」

アスカ「でも、もしそうなら……はぁ……」

アスカ「こんなことでエヴァを降りたくないし……かといって……このまま放置もできないし……」

アスカ「はぁ……」

アスカ「寝ようかな……」

アスカ「……」

アスカ「はぁ……どうしよう……」

翌日 学校

アスカ「はぁ……」

ヒカリ「アスカ、元気ないね。どうかした?」

アスカ「え?ううん、なんでもないわ」

ヒカリ「そう……?」

アスカ「……ね、ねえ、ヒカリ?」

ヒカリ「なに?」

アスカ「もしもの話なんだけど……」

ヒカリ「うんうん」

アスカ「け、結婚する前に子どもができちゃったら、どうする?」

ヒカリ「えー、なにそれー?」

アスカ「いいから答えて」

ヒカリ「んー、やっぱり相手の男性と結婚することになるのかな……」

アスカ「き、嫌いな相手でも?」

ヒカリ「嫌いな相手とそういうことしないと思うんだけど」

アスカ「ああ……まぁね……」

ヒカリ「え、アスカ、もしかして……」

アスカ「な、なんでもないわよ!!もしも!!もしもの話じゃない!!」

ヒカリ「そうよね。ビックリした」

アスカ「そうよ!!もう変な勘違いはやめてよね」

ヒカリ「ごめんごめん」

アスカ「……」

ヒカリ「アスカ?」

アスカ「え?」

ヒカリ「もしかして……」

アスカ「ないない!!」

ヒカリ「そうだよね。無いよね」

ドラッグストア

「いらっしゃいませー」

アスカ「……」キョロキョロ

アスカ「あった」

アスカ「妊娠……検査……」

アスカ「……」

アスカ「はぁ……」

レイ「何してるの?」

アスカ「きゃぁ!!」

レイ「……?」

アスカ「あ、あんたこそ、なによ?!」

レイ「買い置きの絆創膏が無くなったから買いに来たの」

アスカ「絆創膏なら向こうでしょ!!」

レイ「それ……買うの?」

アスカ「か、買わないわよ!!失礼ね!!」

葛城宅

アスカ「うーん」ガサゴソ

アスカ「やっぱり無いか……」

アスカ「ミサトは女を捨ててるところあるものね……」

アスカ「ミサトが持ってるわけないか」

アスカ「……」

アスカ「シンジに言うべき……?」

アスカ「そうよね……シンジにはいわないと……」

アスカ「……」

アスカ「バ、バカシンジ~?」

シンジ「ごめん!!今、ちょっと手が離せないんだ!!」

アスカ「じゃあ、あとででいいわ」

シンジ「うん」

シンジ「ごめん、アスカ。おまたせ」

アスカ「うん……もういいの?」

シンジ「洗濯は終わったよ?」

アスカ「そ、そう……ご苦労様……」

シンジ「あ、ありがとう……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「はぁ……」

シンジ「アスカ……?何か話があるんじゃ……?」

アスカ「あのね……もう随分来てないの……」

シンジ「何が?」

アスカ「アレよ……アレ……」

シンジ「アレじゃわからないよ。なに?」

アスカ「女でアレが来ないって言ってたアレしかないでしょ!?」

シンジ「な、なんだよ。わからないよ、アスカ」

アスカ「本当に分からないわけ……?」

シンジ「う、うん……」

アスカ「……い……よ」

シンジ「え?」

アスカ「だから……せ……よ……」

シンジ「ごめん。もう一回、言って」

アスカ「だから……せ……ぃ……り……」

シンジ「よく聞こえない」

アスカ「せ……い……り」

シンジ「声が小さいよ、アスカ」

アスカ「生理よ!!!生理!!!生理!!生理!!!」

シンジ「……」

アスカ「はぁ……はぁ……はぁ……」

シンジ「ご、ごめん……」

アスカ「あ、謝られても……困るけど……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……それで?」

アスカ「それでって……」

シンジ「いや……ソレが来ないのは分かったけど……僕はどうしたらいいの?」

アスカ「なんですってぇ……?アンタ……これがどういうことか分かってるの?!」

シンジ「どういうことなの?」

アスカ「に、妊娠してるかも……しれないのよ……?」モジモジ

シンジ「え……」

アスカ「ど、どうするのよ……?」

シンジ「ちょっと、待ってよ!!アスカ!!」

アスカ「な、なによ……?」

シンジ「どうしてそんなこと言うんだよ!?」

アスカ「いや……アンタしか可能性ないから……」

シンジ「そんな……!!」

シンジ(まさか……寝ている間にアスカに悪戯したのが……原因……?)

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「まぁ……別にアンタが関係ないっていうなら……いいわ」

シンジ「え?」

アスカ「あたしが……一人で解決するから」

シンジ「アスカ……」

アスカ「じゃあね」

シンジ「あ……」

シンジ「あぁぁ……!!!」

シンジ「そんなぁ……!!どうしたら……!!!」

シンジ「僕……父親になるの?!そんなの考えられないよ!!!」

ミサト「ただいまー、シンちゃん?どうしたの?」

シンジ「ミ、ミサトさん……」

ミサト「ん?」

シンジ(ミサトさんに言うべき……?でも、寝ているアスカに悪戯して妊娠させたなんて言ったら……)

ミサト『シンジくん……出て行きなさい。そんな獣、この家に……いえ、ネルフにはいらないの』

シンジ(ダメだ……いえるわけないよ……)

ミサト「もうー、シンジくん。一人で悩まないの」

シンジ「ミサトさん……」

ミサト「何があったか言ってみて」

シンジ「うっく……ぐすっ……」

ミサト「シンジくん?どうしたの?」

シンジ「ミサトさん……僕は……最低の人間です……」ウルウル

ミサト「え?」

シンジ「もう僕に優しくしないでください!!!」ダダダッ

ミサト「ちょっと!!シンジくーん!!!」

ミサト「もう……なんなの……?」

アスカ「はぁ……シンジ……今頃、困っているかしら……?」

トントン

アスカ「はい?」

シンジ「僕……だけど……」

アスカ「なによ?入ってきたら?」

シンジ「アスカ……あの……」

アスカ「……」

シンジ「本当に妊娠……したの?」

アスカ「まだ……分からないけど……?」

シンジ「調べて……見ようよ」

アスカ「それで陽性だったらどうするのよ?」

シンジ「そのときは……」

アスカ「……」

シンジ「僕が……責任を取るよ……。アスカと……その子を育てる……」

アスカ「……ホント?」

シンジ「う、うん。面倒見るよ……アスカも子どもも」

アスカ「ぜったい?」

シンジ「も、勿論……」

アスカ「言ったわね?」

シンジ「い、言ったよ……」

アスカ「あたし、容赦はしないわよ?」

シンジ「し、知ってる」

アスカ「ふふん……じゃあ、いいわ」

シンジ「え?」

アスカ「明日、調べるわ」

シンジ「分かったよ」

アスカ「じゃあ、もう寝るわ」

シンジ「うん。おやすみ、アスカ」

アスカ「……ありがとう、バカシンジ」

翌日 ドラッグストア

アスカ「……」ゴクッ

アスカ「よ、よし……」

レイ「それ、買うの?」

アスカ「きゃぁ!?」

レイ「どうしたの?」

アスカ「あ、あんたこそ!!なにしてんのよ!!!」

レイ「包帯、無くなったから買いに来たの」

アスカ「あ、あっそ」

レイ「それ、買うのね?」

アスカ「どうでもいいでしょ」

レイ「妊娠したの?」

アスカ「関係ない」

レイ「碇くんの子?」

アスカ「……関係ないって言ってるでしょ!!包帯は向こうよ!!向こうにいけ!!」

レイ「おめでとう」パチパチ

アスカ「まだよ!!変な勘違いしないで!!!」

レイ「でも、それを買うってことは、怪しいってことでしょ?」

アスカ「そ、そうだけど」

レイ「おめでとう」パチパチ

アスカ「やーめーてー!!!」

レイ「どうして?妊娠はおめでたい事だって聞いているわ」

アスカ「と、時と場合によるのよ!!中学生が妊娠なんておめでたくないでしょ?!」

レイ「そうなの?」

アスカ「そうよ」

レイ「じゃあ……今、貴方も碇くんも怖がってるのね」

アスカ「それはそうよ……」

レイ「そう。がんばってね。妊娠していないことを祈るわ」

アスカ「ふん……」

葛城宅

ジャー

アスカ「……」

シンジ「アスカ……どうだったの?」

アスカ「……」

シンジ「アスカ……?」

アスカ「陽性……だった……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「そ、そうなんだ……」フラフラ

アスカ「これから……本部に行って、詳しい検査もやってもらうことにしたから」

シンジ「アスカ……」

アスカ「一緒に来る?」

シンジ「う、うん……」

アスカ「ありがとう……」

ネルフ本部

リツコ「じゃあ、この台の上で横になって」

アスカ「……」

マヤ「高性能な妊娠検査薬を使います。これでマークのところが青色に変われば、妊娠していることになります」

アスカ「おねがい」

リツコ「妊娠の有無はすぐに判明するわ」

マヤ「ただ、詳しい診断結果は少しばかり時間をもらうことになります」

アスカ「うん」

リツコ「じゃあ、始めましょう」

マヤ「了解しました」カタカタ

リツコ「まさかアスカがねえ……」

マヤ「誰とそのような関係を持ったのでしょうか?」

リツコ「シンジくんじゃないかしら?」

マヤ「可能性としては一番高いですね」

リツコ「まあ、クラスメイトの誰かという線もあるけど」

マヤ「出ました!!パターン青!!間違いありません!!妊娠です!!!」

リツコ「そう……」

アスカ「……」

リツコ「これは一大事ね」

マヤ「ですね」

リツコ「アスカ、心当たりがあるんでしょ?誰の子なの?」

アスカ「……」

マヤ「お願い。こちらにも判明した以上は報告義務があるの」

リツコ「妊娠していると思ったから検査を受けに来たんでしょ?」

アスカ「シンジ……多分……」

リツコ「多分?」

マヤ「えっと……シンジくんと関係を持ったってこと?」

アスカ「うん……」

リツコ「はぁ……ミサト……減給ね……」

マヤ「仕方ありませんね」

ゲンドウ「……」

リツコ「失礼します」

ゲンドウ「どうした?」

リツコ「詳しい検査結果はまだ出ていませんが……これを」

ゲンドウ「ん……?」ペラッ

ゲンドウ「……」

リツコ「弐号機パイロットであるアスカは今現在、妊娠をしている可能性が非常に高いです」

ゲンドウ「相手は誰だ?」

リツコ「本人は碇シンジだと……」

ゲンドウ「……」

リツコ「司令……」

ゲンドウ「……」ウルウル

冬月「碇……しっかりしろ……」

ゲンドウ「……っ」ポロポロ

リツコ「司令……泣いているのですか……?」

ゲンドウ「……そ、うか……」ゴシゴシ

リツコ「は、はい……」

ゲンドウ「もう……おじいちゃんになるのか……」

冬月「早いな」

ゲンドウ「ああ……」

リツコ「……」

ゲンドウ「初産か?」

リツコ「と、当然です!!」

ゲンドウ「そうか……」

冬月「どうする、碇?母体のことを考えれば、もうエヴァには乗せられないぞ」

ゲンドウ「そうだな。現時刻を持って弐号機パイロットの登録を抹消する。パイロットの補充を早急に行え」

冬月「ああ」

リツコ「……」

ゲンドウ「シンジ……よくやったな……」

リツコ「では……これで……」

シンジ「アスカ」

アスカ「シンジ……」

シンジ「どうだったの?」

アスカ「できちゃった」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「な、なによ……」

シンジ「必ず……幸せにするよ……」

アスカ「シンジぃ……」

シンジ「守る……絶対に……僕が……」

アスカ「うん」

シンジ「ミサトさんにも報告しておかないと」

アスカ「そうね……いきましょ」

加持「え?」

ミサト「シ、シンジくん……今、なんて……?」

シンジ「だから……僕、アスカと結婚することにしました」

アスカ「……」モジモジ

加持「結婚は人生の墓場だ。まだ、生き急ぐほど生きていないだろ?」

シンジ「でも、これが男のケジメです」

加持「シンジくん……男の顔になったな」

シンジ「いえ」

ミサト「シンジくん……アスカ……いつ、そんな関係に?」

シンジ「それは……あの……」

アスカ「バカ……」

加持「葛城。そういうことは聞かないほうがいい」

ミサト「いや、でもぉ!!」

加持「葛城、落ち着け」

ミサト「だって!!これ絶対に私の監督責任を問われるじゃない!?」

シンジ「学校のみんなにも言おうか?」

アスカ「それは……流石に……」

シンジ「そ、そうかな」

アスカ「うん……」

シンジ「な、名前とか決めないとね」

アスカ「気が早いわよ」

シンジ「そ、そうかな……ごめん……」

アスカ「もう……しっかりしてよね。パパなんだから」

シンジ「そ、そうだね……ごめん……」

アスカ「謝るのやめて」

シンジ「ごめ―――うん、わかったよ」

アスカ「ふふ……」

シンジ「一緒に帰ろう?」

アスカ「うんっ」

ミサト「あの二人……とんでもなく仲良くなってる……」

数日後

ゲンドウ「届いたか……」

冬月「ああ」

ゲンドウ「ふっ……」

冬月「しかし、碇。まだ時期尚早ではないかな?」

ゲンドウ「時計の刻む速度は一定に見えて、その実、目では追えない早さで動いている」

冬月「そうか……そうかもしれないな」

ゲンドウ「だから……こういうのは……早いほどいい」

冬月「玩具にベッド……おむつまで……」

ゲンドウ「孫は笑ってくれるだろうか……」ガラガラガラガラ

冬月「ユイくんに似ているといいな」

ゲンドウ「ああ……全くだ……」

葛城宅

アスカ「シンジー」

シンジ「どうしたの?!」ダダダッ

アスカ「いや……ちょっとお茶がほしかっただけなんだけど」

シンジ「う、うん。ちょっと待ってて!!」

アスカ「ね、ねえ……シンジ?」

シンジ「なに?」

アスカ「どうしてそんなに優しくしてくれるわけ?」

シンジ「アスカはほら、すぐに怒るからお腹の子に悪影響が」

アスカ「そういう発言であたしは怒るのよ!!分からないの!?」

シンジ「ご、ごめん!!」

アスカ「もう……」

シンジ「アスカ、謝るから機嫌なおして」

アスカ「しらない」

シンジ「アスカ……僕が悪かったよ……」

休憩

ネルフ本部

シンジ「アスカ、家にいていいのに」

アスカ「何いってんのよ。あたしは産休状態だけど、一応エースなんだから、あんたの指導ぐらいはしてあげるわ」

シンジ「アスカ!」

アスカ「な、なによ?」

シンジ「僕はアスカの体を心配して言ってるんだ」

アスカ「分かってるわよ……無理はしないわ」

シンジ「約束だよ?」

アスカ「うん……ありがとう、心配してくれて……」

シンジ「当然じゃないか」

アスカ「シンジ……」

シンジ「アスカ……」

レイ「……おはよう」

シンジ「綾波、おはよう」

レイ「シンクロテストもうすぐだから」

マヤ「先輩」

リツコ「どうしたの?」

マヤ「アスカの検査結果が出ました」

リツコ「そう。見せて」

マヤ「どうぞ」

リツコ「……」ペラッ

マヤ「先輩……あの……」

リツコ「これは……陰性……?」

マヤ「誤診断が出てしまった原因は恐らくLCLではないか、と。まだあの妊娠検査薬、改善の余地があるのかもしれません」

リツコ「つまり、アスカは妊娠していないの?」

マヤ「まだはっきりとは……」

リツコ「そう……引き続き調査してみてくれない?場合によってはまたアスカを呼んで身体検査も行いましょう」

マヤ「分かりました」

リツコ「碇司令に報告しておいたほうがいいわね……」

リツコ「入ります」

冬月「碇……これはどうだ?」

ゲンドウ「男ならシンドウか……」

冬月「碇と息子の名前を合わせたものだ」

ゲンドウ「ああ……問題ない。しかし、苗字のような響きだな……」

冬月「そうか」

ゲンドウ「女の場合は……ユイカだな」

冬月「どういうことだ?」

ゲンドウ「ユイとアスカの名前を組み合わせたものだ」

冬月「語呂が悪くないか?」

ゲンドウ「そうか……」

リツコ(もう名前まで……これじゃあ……妊娠が間違いかもしれないなんて……言えない……)

ゲンドウ「どうした?何か用か?」

リツコ「あの……今からエヴァパイロットのシンクロテストを行います……」

ゲンドウ「そうか。始めてくれ」

アスカ「シンジー、シャンとするのよー!!」

シンジ『うん!!頑張るよ!!アスカ!!』

アスカ「終わったら、一緒にお昼にしましょ」

シンジ『うんっ!』

アスカ「ふふ……」

ミサト「レイー?準備はいいー?」

レイ『……』

ミサト「レイー?」

レイ『あ……はい』

ミサト「大丈夫?」

レイ『はい』

ミサト「そう」

マヤ「では、シンクロテスト開始します」

アスカ「シンジー、がんばりなさいよー」

シンジ『分かってるよ!!アスカのためにがんばる!!』

シンジ「はぁ……綾波、お疲れ様」

レイ「ええ」

アスカ「シーンジ」

シンジ「行こうか、アスカ」

アスカ「疲れてない?大丈夫?」

シンジ「平気だよ」

アスカ「そう……まぁ、あ、あたしの旦那になるんなら、これぐらいは余裕でこなしてくれないとね」

シンジ「アスカは厳しいなぁ」

アスカ「あんたが腑抜けなだけよ、バカシンジ」

シンジ「うん。アスカのために強くなるよ」

アスカ「ふ、ふん……期待しないで待ってるわ……」

レイ「……」

ミサト「レイ、お疲れー」

レイ「……」

ミサト「レイ?どうしたの?」

数日後

マヤ「先輩。アスカが妊娠をしている確率は0.0023%という結果になりました」

リツコ「つまり」

マヤ「していません」

リツコ「そう……」

マヤ「よかったですね。弐号機もまたアスカに乗ってもらえますし」

リツコ「ダメよ」

マヤ「え?」

リツコ「碇司令にそんな報告だけはできないわ」

マヤ「ど、どうしてですか?エヴァ二機だけの運用では……」

リツコ「そういっても―――」

ミサト「リツコ!!!」

リツコ「どうしたの?」

ミサト「レイが……レイが……!!」

リツコ「なに?レイがどうしたの?」

アスカ「はい、シンジ」

シンジ「このお弁当、アスカが作ったの?」

アスカ「れ、冷凍食品をぶち込んだだけよ……」

シンジ「アスカ」

アスカ「な、なによ?」

シンジ「ありがとう。嬉しいよ」

アスカ「おっ……」

シンジ「うん……どれも美味しい……」

アスカ「ふ、ふんっ!別にこんなのを褒められても全然嬉しくないんだから!」

シンジ「アスカが僕のために作ってくれたことが嬉しいんだよ」

アスカ「あ、そ……まあ、また、今度……作ってあげるわ……気が向いたらね」

シンジ「無理はダメだからね?」

アスカ「分かってるわよ」

ミサト「―――こっちよ!!」ダダダッ

シンジ「あれ……?ミサトさんだ……どうしたんだろう、あんなに慌てて……」

リツコ「レイ!!!」

レイ「あ……赤木博士」

リツコ「それ……!?」

レイ「ネルフの妊娠検査薬です」

マヤ「ええ!?」

ミサト「いきなり、調べたいっていうから、驚いて渡したんだけど……」

リツコ「結果は……?」

レイ「どうぞ」

マヤ「パ、パターン青!!間違いありません!!!おめでたです!!!」

リツコ「な……」

ミサト「レイ?心辺りはあるの?」

レイ「一人だけ……」

ミサト「誰!?教えなさい!!」

レイ「……い、碇くん……」モジモジ

ミサト「ひゃぁぁぁ……」

ミサト「い、いつ?!どこで?!」

レイ「それは……」

リツコ「レイ。あのね……この検査薬は……」

レイ「これで……碇くん……私にも優しくしてくれるかも……」

リツコ「ちょっと……」

マヤ「レイ、すごく嬉しそうですね。顔が綻んでます」

リツコ「……」

ミサト「レイ、来て」

レイ「はい」

リツコ「ミサト?!」

ミサト「碇司令に報告はしておいたほうがいいでしょ?このままじゃあ、エヴァは初号機だけしか動かせなくなる」

リツコ「いや……」

マヤ「ま、まってください」

ミサト「行くわよ」

レイ「わかりました」

ゲンドウ「今日のベビー用品も多種多様だな」

冬月「おしゃぶりも様々だな」

ゲンドウ「ああ……問題ない」

ミサト「失礼します!!」

ゲンドウ「どうした?」

レイ「……」

ゲンドウ「レイ……?」

ミサト「あ、あの……碇司令……」

ゲンドウ「……」

ミサト「レ、レイにも……妊娠が発覚しました……」

ゲンドウ「な……に……!!!」

冬月「本当かね?!」

ミサト「ネルフの検査薬で調べたので……信用はできるかと……」

ゲンドウ「誰だ……レイを孕ませた男は……!!」ギリッ

ミサト「い、碇……シンジです……」

ゲンドウ「……」

冬月「……」

ミサト「あの……これは、私の監督責任で……ありまして……その……如何なる処分でも……」

ゲンドウ「……レイ」

レイ「はい」

ゲンドウ「今の気持ちは……?」

レイ「お腹の辺りが……ポカポカします……」

ゲンドウ「そうか……」

ミサト「あの……司令……?」

ゲンドウ「冬月」

冬月「なんだ?」

ゲンドウ「ベビー用品がもう1セット必要だ」

冬月「手配しておこう」

ミサト「司令……あの……」

ゲンドウ「感動で……言葉もでないとは……まさにこのことだな……」

ミサト「いいのですか!?」

ゲンドウ「問題ない」

ミサト「で、でも……碇シンジに対する処分も検討したほうが……」

ゲンドウ「何故だ?」

ミサト「レイの妊娠によって、エヴァの使用が」

ゲンドウ「予備ならばいくらでも手配する。そうだな、冬月?」

冬月「無論だ」

ミサト「え……」

ゲンドウ「どこに問題がある?葛城一尉?」

ミサト「あ、ありません!!」

ゲンドウ「問題があるとすれば、シンジの精神状態だろうな」

冬月「そうだな。まさか、二人も孕ませていたなどとは考えもしてないはずだ。この事実を知れば混乱するだろう」

ゲンドウ「その辺りのフォローは君に一任する」

ミサト「わ、私ですか!?」

ゲンドウ「頼んだぞ」

シンジ「そろそろ訓練が始まるね」

アスカ「ちゃんとモニターで見てるからね。手を抜くんじゃないわよ?」

シンジ「大丈夫だよ」

アスカ「じゃ、行きましょ」

シンジ「うん」

ミサト「あ、シンジくん」

シンジ「ミサトさん?」

ミサト「ちょっと、きて」

シンジ「は、はい」

アスカ「シンジ、あたしは先に行ってるわね」

シンジ「うん!ごめん!」

アスカ「別にいいわよ」

シンジ「ミサトさん、なんですか?」

ミサト「シンジくん……率直に聞くわね。レイに変なことをした覚えは?」

シンジ「え……な、なんですか……いきなり……?」

ミサト「いいから!!」

シンジ「……えっと……綾波の家で……一回だけ……」

ミサト「あちゃぁ~」

シンジ「で、でも、あれは事故みたいなもので!!」

ミサト「シンジくん……よく聞いてね」

シンジ「は、はい」

ミサト「レイが妊娠しているの」

シンジ「え……あ、あや、なみが……?」

ミサト「心当たりは……シンジくんしかいないって」

シンジ「え?!ま、まさか!!そんなことありえませんよ!!!」

ミサト「でも、ちゃんと調査結果も出ているのよ!!」

シンジ「でも……え……?ありえない……そんな……綾波まで……妊娠だ、なんて……」

ミサト「レイがこの先の部屋で待っているわ。話してきなさい」

シンジ「は……はい……いって、きま、す……」

シンジ「……」

レイ「碇くん」

シンジ「あ、綾波……あの……」

レイ「座って」

シンジ「う、うん……」

レイ「……」

シンジ「あの……綾波……?」

レイ「できちゃったわ」

シンジ「……」

レイ「赤ちゃん」

シンジ「ほ、本当なの……?僕の……子……なの……?」

レイ「碇くんのほかに、体を許したことないから」

シンジ「そ、そうなんだ……」

レイ「ええ……」

シンジ「……」

シンジ「あ、の……僕は……アス―――」

レイ「いいの」

シンジ「え……?」

レイ「今、碇くんが大変なのは知っているから……私のことは気にしなくてもいいわ」

シンジ「綾波……」

レイ「一人で育てるから」

シンジ「……」

レイ「でも……できれば……」

シンジ「うん……」

レイ「私にも、少しだけ優しくしてほしい」

シンジ「綾波……」

レイ「それだけなの……。ごめんなさい……」

シンジ「……」

レイ「そろそろ訓練ね。行きましょう」

シンジ「う、うん……」

マヤ「では、訓練を開始します」

ミサト「二人とも……大丈夫?」

シンジ『は、はい』

レイ『問題ありません』

アスカ「シーンジ!」

シンジ『アスカ……』

アスカ「がんばってねっ」

シンジ『……うん』

リツコ「擬似戦闘開始」

ミサト「はぁ……大丈夫かしら……シンジくん……」

マヤ「先輩……」

リツコ「言えないわ……」

マヤ「でも、このままじゃあ、シンジくんがあまりにも可哀相です!!」

リツコ「あんなに嬉しそうな碇司令も見たことがないのよ……!!!無理よ!!!」

マヤ「そんなぁ……」

これってミュンヒハウゼン症候群っぽいな

葛城宅

アスカ「シンジ、ごはんできたわよ」

シンジ「あ、ああ。ありがとう」

アスカ「どうしたの?シンジ?」

シンジ「な、なんでもないよ。ごめん」

アスカ「訓練で疲れたの?」

シンジ「そ、そんなんじゃないんだ」

アスカ「肩ぐらいなら揉んであげられるけど」

シンジ「いいよ。アスカは自分の体のことだけ考えてて」

アスカ「ありがとっ、シンジ」

シンジ「う、うん……」

ミサト「……」

ミサト(明らかにレイのことを考えてるわね……)

ミサト(はぁ……どうしたら……)

ミサト(そうだっ)

BAR

加持「いきなり会おうなんていうから、てっきり結婚でもしてくれるのかと思ったな」

ミサト「んなわけないでしょーが」

加持「そうか。それは残念だな」

ミサト「で、どうしたらいいと思う?」

加持「難しいな。成人しているならまだしも、心も体も未熟な年頃だ。何を言っても逆効果になるだろう」

ミサト「やっぱりそうよね」

加持「葛城」

ミサト「なに?」

加持「実は気になる情報があるんだ」

ミサト「気になるってどんな?」

加持「LCLによる誤診断」

ミサト「は?」

加持「LCLの中に入ることが多いと、よく身体検査の数値等に誤差が発生することが最近分かったらしい」

ミサト「ふんふん……それで?」

加持「おかしいとは思わないか?」

ミサト「え?」

加持「あのシンジくんが、手当たり次第に女の子を襲うなんて」

ミサト「まあ……でも、レイもアスカも可愛いから」

加持「それでもだ。二人同時に孕ませるなんて、どう考えてもシンジくんらしくない」

ミサト「なにが言いたいのよ?」

加持「つまり、あの妊娠検査薬で発覚したことは、誤りなんじゃないかってことだ」

ミサト「それは」

加持「LCLによる体内数値の変化が招いたことならば、説明がつく」

ミサト「じゃあ、レイもアスカも妊娠していないかもしれないってこと?」

加持「その可能性は十分にあるだろうな」

ミサト「だったらリツコが隠すのは変よ。メリットなんてないじゃない」

加持「碇司令が孫の誕生に歓喜しているとするなら……事実を公表しにくい……のかもしれない」

ミサト「そういえば……すごい数のベビー用品が司令室にあったわ」

加持「葛城、悲劇を招く前になんとかしたほうがいい」

葛城宅

シンジ「はぁ……綾波は今頃……」

シンジ「……」

シンジ「確か……綾波の電話番号は……」

シンジ「……」トゥルルル

レイ『―――はい?』

シンジ「あ、綾波?」

レイ『碇くん?どうしたの?』

シンジ「あ、の……なにしてるのかなって……」

レイ『本を読んでいたわ』

シンジ「なんの?」

レイ『子育て』

シンジ「綾波……」

レイ『私がしっかりしないと、お腹の子が可哀相だから』

シンジ「……っ」

レイ『碇くんは、弐号機の人のことを大事にしてあげて』

シンジ「……」

レイ『私のことはたまにでいいから……大事にして』

シンジ「……」

レイ『それじゃあ、おやすみ―――』

シンジ「綾波」

レイ『なに?』

シンジ「決めたよ」

レイ『何を……?』

シンジ「アスカも綾波も……僕が面倒を見る」

レイ『でも……碇くん……』

シンジ「綾波だけに苦労なんてさせたくないんだ。僕の所為で……綾波が苦しむなんて……」

レイ『私は大丈夫だから』

シンジ「綾波……こんなこと言うのは最低だってわかってる……だけど……君も大事にしたいんだ」

レイ『碇くん……』

シンジ「どこまで出来るかなんてわからないけど……やるよ……僕」

レイ『……』

シンジ「綾波を……守らせて」

レイ『……ありがとう』

シンジ「綾波……」

レイ『すごく嬉しい……嬉しい……』

シンジ「綾波……あの……」

レイ『その優しさだけで十分だから……碇くん……さよなら』

シンジ「綾波!!まってよ!!綾波!!」

ツー……ツー……

シンジ「綾波……」

アスカ「シンジ……?」

シンジ「アスカ……」

アスカ「何が……あったの……?」

シンジ「アスカ……話が……あるんだ……」

アスカ「なに?」

シンジ「……みんなに僕たちのことを公表しよう」

アスカ「え……ど、どうしたの?」

シンジ「みんなに知ってもらいたいんだ……」

アスカ「シンジ……」

シンジ「それが……男のケジメだと思うんだ」

アスカ「うん……いつにする?」

シンジ「みんなの都合がつく日にしようって思ってるんだ」

アスカ「そう……うん。分かったわ」

シンジ「ごめん、アスカ」

アスカ「なんで謝るの?」

シンジ「……アスカ」

アスカ「なに?」

シンジ「アスカのこと、大事にするよ」

アスカ「うん……してね?」

シンジ「(ドンッ!)」

アスカ「ひっ!!」

数日後 

ミサト(結局、打開策もないまま……ずるずると日数だけが過ぎていく……)

ミサト(妊娠の結果は完全に陰性。それは掴めたものの……やっぱりネックなのは)

ゲンドウ「……」ガラガラガラガラ

冬月「そのガラガラ、いいな」

ゲンドウ「ああ……これでレイから生まれてく孫と戯れる」

冬月「楽しみだな」

ゲンドウ「ああ……全くだ」

ミサト(司令なのよね……)

マヤ「すいません!!」

ミサト「どうしたの?」

マヤ「シンジくんからどうしてもみなさんに集まってほしいと」

ミサト「え?」

マヤ「なんでも発表したいことがあるって」

ミサト「そ、そうなの……?」

ケンスケ「目隠しでつれてこられたけど……ここは……?」

日向「ここはネルフ本部の一室だよ」

トウジ「ネルフ本部?」

ヒカリ「で、でも、どうして私たちが?」

青葉「君たちはクラスメイト代表だそうだ」

トウジ「なんのこっちゃ?」

リツコ「ここでシンジくんの決意表明があるの?」

マヤ「そう見たいです」

加持「……」

ミサト「どう思う?」

加持「シンジくんが男なら……最悪の結果になるかもしれないな」

ゲンドウ「……」ガラガラガラガラ

冬月「ふむ……一体……」

ペンペン「クェ!」

シンジ「―――遅くなりました。すいません」

トウジ「せんせ、なんやねん、いきなり呼び出して?」

シンジ「みんなに聞いてほしいことがあります」

ケンスケ「なに?」

シンジ「アスカ」

アスカ「う、うん……」モジモジ

ヒカリ「アスカ?」

シンジ「僕とアスカは、結婚します」

トウジ「な、なんやと!?」

レイ「……」

ケンスケ「そ、それ、本当なの!?」

シンジ「うん。もう、アスカのお腹にも僕の子どもがいるんだ」

ヒカリ「アスカ……本当に?」

アスカ「ごめんね、ヒカリ。言えなくて」

ヒカリ「そ、そうなんだ……」

シンジ「突然のことで混乱してると思うけど……みんなには伝えたくて」

トウジ「まあ、シンジが決めたことやから……祝福させてもらうわ」パチパチ

シンジ「みんな……」

ミサト「おめでとう」

レイ「おめでとう」

リツコ「おめでとう」

加持「おめでとう」

ヒカリ「おめでとう」

ケンスケ「めでたいな」

トウジ「おめでとさん」

ペンペン「クエッ!」

日向「おめでとう」

青葉「おめでとう」

マヤ「おめでとう」

冬月「おめでとう」

ゲンドウ「おめでとう」ガラガラガラガラ

アスカ「……」モジモジ

レイ「おめでとう」

ゲンドウ「早く孫の顔が見たいな」

シンジ「逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……」

ケンスケ「シンジ……?

シンジ「―――逃げちゃダメだっ」

アスカ「どうしたのよ?」

シンジ「もう一つ、言わないといけないことがあるんだ」

トウジ「なんやねん?双子でしたーとか、そんなんか?」

加持「シンジくん!!やめるんだ!!」

リツコ「まさか……!!」

マヤ「シンジくん!!」

レイ「碇くん……?」

シンジ「綾波のお腹の中にも僕の子がいるんだ」

アスカ「え……?」

シンジ君の夢精

トウジ「は……?」

ヒカリ「え……綾波さんにも……?」

ミサト「あちゃ……」

ゲンドウ「シンジ……」

レイ「碇くん……」

シンジ「ごめん……綾波。でも、やっぱり綾波のこともちゃんと伝えないといけないって思ったから」

アスカ「なによ……それ……ど、いう……ことなの……?」

シンジ「ごめん……アスカ……」

アスカ「どういうことなのよぉ!!シンジィ!!!」

シンジ「ごめん……」

アスカ「あたしだけを守ってくれるんじゃなかったの?!シンジィ!!!」

シンジ「アスカに……隠し事なんてできないから……」

アスカ「あたしとお腹の子を……裏切ったの……?」

ミサト「アスカ!!」

シンジ「僕は最低だから!!二人を傷つけた!!だから、せめて……僕の手で二人を守りたいんだよ!!!」

アスカ「ふざけないでよ!!」ガンッ!!!

ヒカリ「アスカ!!落ち着いて!!」

マヤ「ひぃ……」

アスカ「なによなによなによぉぉ!!!!都合のいいことばかり言って!!!サイテー!!!しんじらんない!!!」

シンジ「ごめん……」

アスカ「あたしを守る?はっ、そういいながらも、別の女のことを考えていたなんてね……」

レイ「あの……」

アスカ「なによ!!!あんたの台詞でいちいち喜んでたあたしがバカみたいじゃないの!!!」

ゲンドウ「……」ガラガラガラガラ

アスカ「返してよ……」

シンジ「……」

アスカ「あたしの幸せだった気持ちを返しなさいよぉぉぉ!!!!」

シンジ「ごめん……アスカ……」

アスカ「なんで……あんたは……そう……!!!」

レイ「やめて」

アスカ「……」

レイ「碇くんだって……いっぱい悩んだと思う」

アスカ「そんなの……しるか……」

レイ「碇くん……」

シンジ「僕が愛しているのは……アスカだけだ」

アスカ「また、そうやって調子のいいことばかり……もういいわよ!!」

シンジ「本当だから!!」

アスカ「……っ」

シンジ「大好きなアスカに嘘を吐き吐き続けることなんて絶対にできなかったんだ!!!」

アスカ「……」

シンジ「ごめん……許してもらえるなんて……思ってない……だけど……」

シンジ「僕はアスカが一番……好きなんだ……それだけは信じてほしい……」

アスカ「……」

ゲンドウ「シンジ……」ガラガラガラガラ

リツコ(ここで事実を言ったら……どうなるのかしら……)オロオロ



シンジ「大好きなアスカに嘘を吐き吐き続けることなんて絶対にできなかったんだ!!!」

シンジ「大好きなアスカに嘘を吐き続けることなんて絶対にできなかったんだ!!!」

レイ「私は一人で育てるって決めているから。二人の邪魔なんてしないわ」

アスカ「そういう問題じゃないのよ……」

トウジ「なんやねん!!シンジは男をみせたやろうが!!」

アスカ「あ?」

トウジ「ひぃ」

ヒカリ「アスカ……確かに碇くんのしたことは、女から言わせたら最低最悪の下劣極まりない行為だけど……」

シンジ「……」

ヒカリ「でも、碇くんはアスカのことを本当に大切に想っているからこそ、こういう風に告白したんじゃない?」

アスカ「それは……」

ヒカリ「そこは……認めてあげてもいいと思う……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「シンジ……一つだけ……聞かせて」

シンジ「なに?」

アスカ「私のこと……大事にしてくれるの?」

シンジ「勿論だよ。誰よりも大事にしたい。そう思ってる……今も……昔も……ずっと……ずっと……」

アスカ「シンジ……その言葉に嘘はないわね?」

シンジ「ない」

アスカ「何があってもあたしが最優先よ?」

シンジ「うん」

アスカ「呼んだらすぐにあたしの傍まで来るのよ?」

シンジ「行くよ。エヴァを使ってでも」

ミサト「やめて」

アスカ「あたしが寂しいって言ったら、全力で甘やかすのよ?」

シンジ「なんでもするよ」

アスカ「料理の文句は言わないでよ?」

シンジ「言うもんか」

アスカ「アイロンがけが少し雑でも怒るんじゃないわよ?」

シンジ「少しずつ上手くなっていけばいいじゃないか」

アスカ「シンジ……好きっ」ギュッ

シンジ「アスカ……」ギュッ

ミサト「おめでとう」

レイ「おめでとう」

リツコ「おめでとう」

加持「おめでとう」

ヒカリ「おめでとう」

ケンスケ「めでたいな」

トウジ「おめでとさん」

ペンペン「クエッ!」

日向「おめでとう」

青葉「おめでとう」

マヤ「おめでとう」

冬月「おめでとう」

ゲンドウ「おめでとう」ガラガラガラガラ

アスカ「あ、ありがとう……」

シンジ「碇シンジは!!アスカを幸せにします!!綾波も!!!産まれてくる子供も!!みんなを幸せにします!!!」

(;ω;)
レイ…。

レイ「碇くん……」

シンジ「綾波……」

レイ「私も碇くんのことは好き……」

シンジ「え……」

レイ「だけど……もう、ダメね」

シンジ「ごめん……」

レイ「ううん……気にしないで」

ゲンドウ「元気な孫を見せてくれ、レイ」

レイ「はい、がんばります」

マヤ「先輩……」

リツコ「で、でも……」

ミサト「リツコ!!今、言っておかないと大変なことになるわよ!?」

リツコ「今言ったら、火事場に爆弾を放り込むのと一緒よ!?」

加持「その火事を一棟全焼で食い止めるか、延焼を許し山一つが燃え尽きるまで指を咥えているのか、どっちがマシだと思う?」

リツコ「それは……でも……」オロオロ

ミサト「リツコ!お願い!!」

リツコ「……あの」

シンジ「え?」

アスカ「なに?」

リツコ「私から……お話があります……」

レイ「……?」

ゲンドウ「どうした?」

トウジ「なんや。もうアレ以上のサプライズはないやろー」

ケンスケ「うん。ないない」

ヒカリ「ねー?」

リツコ「実は……妊娠なんて……」

冬月「妊娠なんて……?」

リツコ「だ、誰も妊娠なんてしていません……レイのお腹の中もアスカのお腹の中も、空っぽ……です……司令……」

ゲンドウ「……」ガラガラガラガラ

リツコ「報告が遅れて……申し訳ありませんでした……」

シンジ「え……それって……」

レイ「でも……妊娠検査薬で」

アスカ「そ、そうよ……」

リツコ「誤診だったのよ。LCLの所為で誤った数値が出てしまったの」

レイ「……」

アスカ「……」

ゲンドウ「……赤木博士」ガラガラガラガラ

リツコ「は、はい」

ゲンドウ「良く分からないな。どういう意味だ?」ガラガラガラガラ

リツコ「レイもアスカも身篭ってはいなかった、ということになります」

ゲンドウ「いや。何を言っている?」ガラガラガラガラ

リツコ「レイとアスカに妊娠の事実はありません。誤診でした」

ゲンドウ「その理屈はおかしい……ならば、このガラガラの行方はどうなる?」ガラガラガラガラ

リツコ「まだ……当分先では……ないでしょうか……」

ゲンドウ「そうか……当分……それは再来年ぐらいということか……?」ガラガラガラガラ

ゲンドウ「その理屈はおかしい
(;ω;)
なんかキュンとした。

冬月「碇……落ち着け」

ゲンドウ「冬月先生……これはどういうことですか?」

冬月「……ぬか喜びだった……ということになる……」

ゲンドウ「バカ……な……」ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ

リツコ「司令……」

シンジ「えーと……」

レイ「……」モジモジ

アスカ「あ……えっと……」モジモジ

シンジ「だ、だよね!!そうだよね!!だって、僕!!二人に子どもができるようなことしたことないもんね!!」

レイ「え、ええ……」

アスカ「な、なによ!!寝ている間になんかしてたんでしょ!!エッチ!!!」

シンジ「し、してないよ!!ちょっと……その……寝ているアスカの胸を触ったぐらいで……」

アスカ「さいてー!!!!ド変態!!!!」

シンジ「でも、あれはアスカが悪いんだよ!!寝ぼけて僕の部屋に来るから!!!」

アスカ「そんなの知らないわよ!!!変態!!!エロシンジー!!!!」

トウジ「なんやねん……どういうことや?」

ケンスケ「みんなが勘違いしたってだけ?」

ヒカリ「はぁ……でも、よかったぁ……中学生で出産とか危ないもん」

レイ「でも……これで全部白紙になったってこと?」

シンジ「え?」

レイ「結婚とか」

シンジ「あ……」

アスカ「だ、誰がこんな奴と結婚なんてするもんですか!!!」

シンジ「なんだよ……アスカ……」

レイ「碇くん」

シンジ「な、なに?」

レイ「碇司令も楽しみにしていたみたいだし……ここは私と一緒に……」

シンジ「あ、綾波……」

アスカ「なにやってんのよ!!勝手なことすんな!!!」

レイ「でも、貴方は今、結婚なんてしないって言ったわ。なら、私でも碇くんと結婚していいはず」

アスカ「ちょっと!!離れなさいよ!!」

レイ「貴方に命令できる権限なんてないわ」

アスカ「ぬぁんですってぇ!!!」

レイ「碇くん……」

シンジ「いや……あの……」

アスカ「やめろ!!!」

ゲンドウ「シンジ」

シンジ「な、なに……父さん……?」

ゲンドウ「やるならやれ」ガラガラガラガラ

シンジ「できるわけないよ!!」

ゲンドウ「お前には絶大な期待を寄せている……」

シンジ「勝手なことばかりいわないでよ!!」

ゲンドウ「レイ」

レイ「はい」

ゲンドウ「しっかりな」ガラガラガラガラ

ミサト「まあ、あとは若いもんでどうぞ」

シンジ「そんなぁ!!ミサトさん!!」

トウジ「シンジはモテモテでええのー」

ケンスケ「これがハーレムってやつかぁ……」

ヒカリ「碇くん。女の子を泣かしちゃ、ダメよ?」

シンジ「待って……!!!」

青葉「さーてと、午後の仕事は……」

日向「そうだ。あの報告書まだだったな」

マヤ「シンジくん……がんばって」

シンジ「いやだぁ!!!」

加持「シンジくん。男なら一人の女性に縛られることなく、その人生を謳歌すべきだ」

シンジ「加持さん!!!」

リツコ「精力剤ぐらいなら処方してあげるわ」

冬月「腰には気をつけろ」

シンジ「待ってよ!!どうしてだよ!!!大人はずるいよ!!!」

シンジ「あぁ……」

レイ「碇くん……司令の許可も出たし……私と……」

シンジ「綾波……でも……」

アスカ「待ちなさいよ」

シンジ「アスカ?」

アスカ「あ、あんた、私をずっと大事にするってい、言ったじゃない……あれはどうなのよ!?」

レイ「それは貴方を妊娠させてしまったという負い目があったからに過ぎないわ」

アスカ「言ってくれるじゃいの……」

レイ「そうとしか考えられないわ」

シンジ「や、やめてよ……」

アスカ「シンジ?」

レイ「碇くん?」

シンジ「なに……?」

アスカ・レイ「「どっち?」」

シンジ「……」

なんかもう少しで暗転して「 fly to the moon 」が聞こえてくる気がする…。
懐かしい。

数日後 葛城宅

ミサト「ふぁぁ……おはよう」

アスカ「シンジー!!今日はあたしが朝ごはん作る当番だったわよね!?」

レイ「明日が貴方だったはずだけど」

アスカ「違うわよ!!」

シンジ「やめてよ……朝から……」

ミサト「レイも熱心ねー。毎朝、こうして家に来るなんて」

シンジ「ミサトさん!!」

ミサト「シンちゃんが悪いんでしょ。さっさと、子作り相手、決めちゃいなさいよ。いい加減にしないと司令室がベビー用品で埋まっちゃうわよ?」

シンジ「知りませんよ……」

アスカ「ねーシンジー?どっちなのよー?」

レイ「碇くん、私だと思うんだけど」

シンジ「もう……やめてよ……」

アスカ・レイ「「どっちなの?」」

シンジ「知らないよ!!」
                  おしまい。

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