御坂「……?(誰よアイツ……見ない顔ね……)」 (92)

スレ立て代行です。ではどうぞ。

スレ立て代行を依頼したものです
・禁書のSSです
・オリキャラメインです。勝手に設定した能 力者が出ます。
・原作は読んでません。細かい設定はよくわ かりません。
・アニメのレールガンまでは見ました。禁書 の2期は視聴中です。 ・キャラが崩壊してるかも知れませんがご容 赦を

以上です。始めます

(学園都市 とある公園)

??「いやー、ここが学園都市か。やっと着 いたぜ」

自動販売機(バチッ!、ジーガー…、ゴトン)

??「ってーと、とりあえずどこ行きゃいい のかね…お?なんか自販機にケリ入れてる人 が…」

御坂「…」

??「あの人は確か…。おーい!!」

御坂「…?(誰よアイツ…見ない顔ね…)」

??「いやいや、そこにいらっしゃるのは学 園三位の能力者、(超電磁砲:レールガン) こと御坂美琴さんではないでしょうか?」

御坂「だったら何よ…サインならお断りよ」

??「いやいや、おれも運がいい。学園に来 ていきなり会えるとはねえ…」

御坂「(何よ、ファンか何か?シカトするに 限るわね…こういうのは)」

??「いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希 (ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしく なー」

御坂「(はいはい無視無視。相手するとロク な事無いわ)」

詠矢「あ、おいおい、どこ行くんだ!(っ て…会えたはいいがどうするかね…あ、そう だ!)…ちょいと御坂さん」

御坂「…」

詠矢「それ犯罪だろ?」

御坂「…」

詠矢「電流を操作して自動販売機を誤作動さ せ、金を払わずに商品を手に入れる。普通に 窃盗だよな?」

御坂「…」

詠矢「いいのかねえ、学園第三位の能力者と あろう人が、小銭ケチって窃盗なんて」

御坂「…」

詠矢「あんたは強くて、その振る舞いを周囲 が容認してるのかも知れないが、こう公然 と…」

御坂「うっさいわねぇ!!どうせもいいで しょそんな事!」

詠矢「いや、よくないっしょ。刑法的に」

御坂「だいたい、アンタに何の関係があるの よ!!」

詠矢「俺が関係してようがいまいが、それが 犯罪であることは事実」

御坂「(ビキッ…)何よ、喧嘩売ってるワケ? (バチッ)」

詠矢「…まあ、そんな感じかな」

御坂「…いい度胸ねぇ…。じゃあ、お望み通 り私の電撃で躍らせてあげるわ(バチッ)」

詠矢「ちょちょ!ちょっと待って!」

詠矢「いや、違う。ちょっと離れただけ。5 メートルも有れば十分かな」

御坂「?何言ってんの?私の能力知らない の?」

詠矢「いや、知ってる知ってる。ちゃんと調 べてきた。超強力な発電能力だよな?」

御坂「知ってるなら、無駄だってわからな い?…もういいわ、死んでなさい!!(バチバ チッ)」」

詠矢「大丈夫、空気は絶縁体だ。ここまでは 届かない」

御坂「…?(あれ、おかしい、電撃が飛ばな い)」

詠矢「ごく近い距離なら、空気中でも放電現 象が起こる場合は有るけど、これぐらい離れ てればまず大丈夫」

御坂「…!?(あれ、あれ、何度やっても飛 ばない!!…電気はちゃんと起きてるの に!)」

詠矢「(お、効果アリ…かな?)」

御坂「…アンタ…なんかやったわね…」

詠矢「多分…ね」

御坂「能力…者…」

詠矢「そうなるかな」

御坂「…なんか、アンタ嫌な雰囲気ね。その 軽口、後悔させてあげるわ!!…!!(最大 級の電撃を!)」

詠矢「お…電圧を上げてるのかな?それはい い判断だ。空気の絶縁限界を超える約300万 V/mが有れば空気中でも電子雪崩が起こって 雷を起こすことが出来る。但し!!」

御坂「さっきからゴチャゴチャうるさいわ ね!!でも…これでっ!!(バチッ!…バリバリ!)

詠矢「空気中に放電された電気は、一番近く にある電気抵抗の少ない物質に向かって流れ る。この状況では、恐らく…」

自動販売機「(バチッ!!…ガガ…。プツン)」

御坂「えっ!?電撃が…」

詠矢「窃盗に器物破損が追加…か」

御坂「なによ…これ…どういうこと!?アン タ何したのよ!!」

詠矢「いや…もういいんだ、十分使えること わかったし」

御坂「はあ?」

詠矢「ご協力ありがとうございました。そん じゃまた」

御坂「ちょっと、アンタみたいな得体のしれ ない奴、このまま逃がすとでも思ってん の?」

詠矢「あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせ たのは謝るからさ…」

御坂「うるさいっ!!電撃が飛ばないならこ れよ!!(チャキ)」

詠矢「おっと、そのコインはレールガンです な!。えーっと、どうだっけかな(ポチポチ)」

御坂「…ナニ携帯なんか見てるのよ…」

詠矢「いや、うろ覚えなもんで…。と、電気 伝導体の二本のレールの間にこれまた伝道物 質を配置し、回路を形成して荷電すること よってローレンツ力を発生させて打ち出 す…。てことは…レールはどこにあるん だ?」

御坂「はい?レール?」

詠矢「うん。安定した加速を行う為には、か なり長いレールが必要となる。コインは恐ら く鉄をクロムメッキしたものだろうから弾丸 としては使えるけど、砲身が無いのが問題だ な」

御坂「…空気中の物質をプラズマ化して、加 速レールとする…簡単な話よ」

詠矢「…え?空気をプラズマ化…いや、それ なら伝導体にはなるけど飛散しちゃうし、空 中に固定する方法がないと…」

御坂「関係ないわよ。今までだってそうやっ て来たし、何も問題ないわ」

詠矢「(ヤベ、居直った。もしかしてヤバ イ?)。いや、だからですね…原理が…」

御坂「うるさいっ!!死っねええええ えぇぇ!!(ビシュゥゥゥゥ…ン!!!)」

詠矢「どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバ イってマジで!」

御坂「へえ…上手く避けたわね…(さすがに 威力は落としたけど、ホントに上手く避け た…)」

詠矢「(撃ちやがった…。論証が弱かった か?。ってーと、別の切り口が必要だ な…)」

御坂「…さあて、アンタの能力、詳しく聞か せてもらいましょうか?それとも…消し炭に なりたい?(チャキ)」

詠矢「そういやあ、そろそろ昼時だけど…御 坂サン、腹減ってないか?」

御坂「…あんたバカじゃないの?何の関係が あるのよそんなこと!!」

詠矢「御坂サンが発電を行っているとして、 電気を発生させてるのは体細胞だ。だとすれ ば、発電のために大量のエネルギーが必要に なる。細胞活動のエネルギーは糖。血中の糖 だ。空腹時は危険だぞ…」

御坂「…(あれ?なんか、体が…)」

詠矢「急激な血糖値の低下は発作を引き起こ す。具体的な症状としては、大量の冷や汗、 動悸、振戦、譫妄!!」

御坂「(冷や汗が止まらない…、何で急に… た、立ってられない!)(ガクッ)」

詠矢「いや、いろいろゴメン。えーっと… さっき盗ってたジュース、あ、あったあっ た。『黒豆サイダー』?。ま、糖度高そうだ からこれ飲めば多分回復するよ」

御坂「ちょ…っと…待ちなさ…」

詠矢「んじゃ、失礼しまっす」

白井「お姉さま!!お姉さま!!」

御坂「く…黒子…っ…」

白井「どうなさいましたの!?真っ青ですわ よ!!」

御坂「ちょっと…それ…取って…」

白井「(缶ジュース?)は、はい、こちらで すの?」

御坂「(プシッ)…(ゴクゴク)」

白井「…(ハラハラ)」

御坂「…ふう、ちょっと落ち着いた…」

白井「どうなされましたの?」

御坂「なんか変な奴に合って…、最初は追っ 払ってやろうと思ったんだけど…」

白井「ま、まさか…お姉さまを退けたと?」

(ジャッジメント177支部) 初春「(ヨメヤ ソラキ)ですか…。在学者 の名簿にはありませんね…(カタカタ)」

白井「しかし、自分から名前を名乗るとは大 胆なお方ですわね」

御坂「聞いてもいないのに勝手に名乗ったの よね…。背格好からして、多分高校生ぐらい かなあ…」

初春「ダメです。中等部、高等部含めて検索 しましたけどヒットしませんね」

白井「能力者なら、学園のバンクに登録があ るはずですのに…まさか偽名?」

御坂「偽名なら、もっと普通の名前にするで しょうし…あ…そういえば」

白井「何か思い出されまして?」

御坂「学園に来ていきなりアタシに会ったっ て言ってた…もしかして…」

白井「学園都市に初めて来たと…初春!転入 者名簿ですわ!」

初春「はい!!(カタカタ)あ、ありました!(詠 矢空希 高等部1年)2日前に転入届が受理 されたばかりです。また正式に生徒名簿には 登録されてなかったみたいですね」

御坂「やっぱり高校生か。えーっとなにな に…レベル0、無能力者。ただし学園での正 式な測定は未実施…」

白井「外部での簡易検査では、能力は検出さ れなかったようですわね…」

御坂「なーんか、ますますよくわかんないわ ね」

白井「なんにせよ、お姉さまに危害を加えた ことは事実。捨て置けませんわ…居場所さえ 分かれば…」

初春「…あの…」

白井「何ですの?」

初春「転入者名簿に顔写真があります。これ を監視カメラの記録と照合すれば…」

白井「足取りが分かりますわ!流石ですわね 初春」

初春「はい!ありがとうございます!では早 速(カタカタ)、第7学区の、170号カメラの記 録と照合できますね…5分前のログです」

白井「そこなら、ここのすぐ近くですわ ね…。私なら一瞬ですわ」

御坂「じゃあ、アタシも一緒に行くわ。この ままじゃ気が済まないし!…って…と…(グ ラッ)」

白井「いけません!お姉さまはまだ本調子で はありませんわ。ここは黒子が…その殿方を ひっ捕らえて、お姉さまの前に引き出して差 し上げますわ!」

初春「それに、これはジャッジメントとして のお仕事でもありますから、御坂さんはどう か休んでて下さい」

御坂「…わかった、今回ばかりはおとなしく しといたほうがよさそうね…」

白井「どうかご自愛下さいませ。では初春、 正確な位置をお願いしますわ!」

初春「はい!」

(第7学区 路地裏) 店主「はーい、かけそばお待ちどう!」

詠矢「うーい、どうもー。(これからいろい ろ物入りだろうし、節約しとかないとなあ) (ズルズル)」

詠矢「(しかしかけそば一杯じゃ腹膨れねえ なあ、おにぎり食っちまうかなあ)(ズルズ ル)」

詠矢「(でもおにぎりまで買っちゃうと牛丼 の方が安いんだよなあ)(ズルズル)」

詠矢「(腹減ってたから勢いで入っちまった けど、やっぱ牛丼屋探せばよかったかなあ) (ズルズル)」

詠矢「ごちそうーさまー」

店主「あい、まいどー」

詠矢「さて…転居申請だっけか。どこ行きゃ いいのかな(ポチポチ)」

白井「ちょっと、そこのお方…」

詠矢「あ、はい?俺のことっすか?」

白井「詠矢空希…ご本人に間違いございませ んこと?」

詠矢「ええ、まあ…間違いございませんが… どちらさん?(お、結構かわいいじゃねえ の。中学生ぐらいかね…)」

白井「ジャッジメントですの!!(ビシッ)」

詠矢「ジャッジメント…えーっと、確か、学 園内の治安維持に努める学生で構成された組 織…だったかな」

白井「お分かりなら話は早い…。ジャッジメ ントの権限にてあなたを拘束します!」

詠矢「でーっ!!て、なんですかいきなり容 疑者ですか!(流石にいろいろマズかったか な、さっきのは…)」

白井「あなたにはいろいろとお伺いしたいこ とがあります。素直に同行して頂けません か?」

詠矢「…」

白井「…お答えなさい!」

詠矢「…俺の容疑は?」

白井「は?」

詠矢「俺が拘束されるのは何の容疑だって聞 いてるんだよ」

白井「…いえ、まだ罪状が確定したわけでは ありませんが…」

詠矢「容疑者じゃなけりゃ、任意同行にすら ならねえだろう。不審者への職質レベルな ら、従う必要はねえよな…」

白井「いえ、あなたにはお姉さまに危害を加 えたという疑いがありますわ!」

詠矢「お姉さま?って…もしかして、えー… あの第三位の人かな」

白井「そうですわ。ご本人の証言から、先ほ どお姉さまと関わったのはあなたであること は明白!」

詠矢「そりゃ関わったかもしれんが、俺はあ の人には指一本触れてない。因果関係が成立 するか?」

白井「何らかの能力を使われたと、ほのめか していませんのこと?」

詠矢「どうだったかなあ…。それに、俺はレ ベル0、無能力者だぜ?

白井「あなた…いろいろと面度なお方ですわ ね」

詠矢「昔から理屈っぽい性格でねえ。友達い ねえんだこれがまた…」

白井「聞いてせんわそんなこと…。いずれに せよ、素直に従わないのはやましいことがあ る証拠!」

詠矢「いやー、権力側の人間っていつもそう 言うんだよねえ」

白井「(イラッ)、では、同行していただけない と?」

詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』 だ」

白井「では、力ずくですわね。やはりあなた を野放しには出来ません!!」(シュン!!)

詠矢「(消えた…?)…!!(って、いきな り目の前に!)」

白井「はっ!!(ガシッ)せいっ!!」

詠矢「(襟首と袖を!投げる気か…!!) よっと!(ババッ)」

白井「…!(引き手を切った!!体を裁いて 釣り手も!!)…」

詠矢「あぶねえあぶねえ。テレポーターさん か…ちょっと離れさせてもらうぜ」

白井「やりますわね…、わたくしの捕縛術か ら簡単に逃れるとは…」

詠矢「一応心得はあるもんでね。さあ、どう する?いくら瞬間移動が出来ても、拘束する には俺を組み伏せる必要があるぜ?」

白井「他に方法はいくらでもありますわわ! いきますわ…」

詠矢「あーちょっと待ってくれ!!」

白井「…なんですの」

詠矢「テレポーターってさあ、瞬間的に位置 を移動するわけだよな?」

白井「そうですわよ。それが何か?」

詠矢「転移先の物体はどうなるわけ?分子の 重複とか起こらないのかな?」

白井「問題ありませんわ。わたくしの転移 は…!(そういえばお姉さまがおっしゃって ましたわ『ゴチャゴチャうるさい奴』と。ま さか能力と何か関係が…)」

詠矢「えーっと、どう問題ないのかな?」

白井「…答える必要はありませんわ。あなた のご質問には何か別の意図を感じます」

詠矢「(あ、気付かれたか…。ま、しょうが ない)いやあ、単なる好奇心だけどね」

白井「ご質問なら後で支部でゆっくりと。但 し、わたくしの質問に答えて頂くのが先です けど…(シュン)」

詠矢「…(また消えた、今度はどっから来 る!)・・・どあっ!(上かっ!!)」

白井「(よし、倒しましたわ!。後は針で拘 束!)…ふっ!!」

詠矢「(な!針!どっからあんなもん、投げ る気か!)…!!(ゴロゴロ)」

白井「(キイン、タスタスタス)…!(針が地面に! 転がって逃げた…)」

詠矢「…よいしょっと・・・。っとにあぶねえ なあ…。手裏剣か。投げた…訳じゃなさそう だな」

白井「…」

詠矢「投げただけじゃ、金属の針がアスファ ルトに刺さるわけねえ。地面に向かって転移 させた、ってとこか」

白井「あなた…何者ですの…」

詠矢「ただの理屈っぽい高校生ですよ」

白井「なら今のはどうやって避けたと…」

詠矢「いや、偶然あんたの手に針が見えたん でね。投げられるかと思ったんで転がって逃 げた。そんだけさ」

白井「…たったそれだけのきっかけで…」

詠矢「だが、今のでわかった。テレポーター がどうやって転移先を指定しているか」

白井「…」

詠矢「指定先は『座標』だな。物を投げるの と同じ。『どの位置に向けて転移する』と指 定して物体を送り込んでいる。俺が回避行動 を取って針を避けられたのが証拠」

白井「それが…どうかしましたの?」

詠矢「座標なら、対抗する方法はある。要す るに、狙いを定めさせなければいい(ザッ)常 に動きまわってる対象には、当てにくいは ず!(ダッ)」

白井「く…!(どういうことですの!針が当 たらない…。この状態では細部を狙って拘束 するのは無理ですわ!)…仕方ありません! 多少の怪我は覚悟して頂きます!」

詠矢「しかも、銃弾や投擲と違って到達点ま での軌道がない。つまり!!」

白井「(方向転換する瞬間なら、動きが止ま はず。直接体に針を!)…そこっ!!(シュ ン)」

詠矢「相手に近づいても、流れ弾に当たる心 配はねえ!一旦狙いをつけさせれば、距離を 詰めた方が有利!!(ザッ)」

白井「(まさか!いきなりこっちに向かっ て!外したっ!!)…!」

詠矢「どっせい!!上段正拳!!」

白井「…!!(ダメ!演算が間に合わな い!!)」

詠矢「…」

白井「…」

詠矢「あー…」

白井「…え?…(寸止め?)」

詠矢「殴るつもりはなかったんだわ。忘れて た…」

白井「…(ガシッ)…(シュン)」

詠矢「のごあっっ!(なんだ、いきなり頭か ら落ちた!?)」

白井「…(キイン)…(タスタスタス)…ふう、拘束完了で すわ」

詠矢「ひでえなー、転移した対象の方向まで 変えられるのか。受け身とれねえっての…」

白井「手こずらせてくれましたわね…」

詠矢「いやー、ゴメン。悪気はなかったんだ けどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっち まって」

白井「では、おとなしくご同行して頂ける と?」

詠矢「はいはい、転がされて、一張羅の袖口 を縫い付けられて抵抗する気力もございませ ん。どこなりとお連れ下さい」

白井「最初からおとなしくそうおっしゃって いれば…。とりあえず、あなたの能力、手短 にご説明いただけます?」

詠矢「すいません、せめて立って話したいん ですがー」

白井「口まで拘束した覚えはございません。 そのままでどうぞ」

詠矢「うわ地味にひでえ」

白井「で、なんですの?あなたの能力。お姉 さまの言った通り、あなたの言葉を聞いてる と調子が狂いましてよ?」

詠矢「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれまし た!。俺の能力はなあ!『論証を立てること によって、相手の能力を変質させる力』 だ!」

白井「変質?まさそのような能力が…」

詠矢「いや、今日俺は確信に至った。この能 力は間違いなく有る。そして、おれはこの力 をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!」

白井「最低のネーミングセンスですわね…」

詠矢「あ、ダメかな?でも気に入ってるんで 変えねえぞ」

白井「ご自由に…。ですが、もしその力が本 当なら、かなり特殊な能力ですわね。まさ か、パーソナルリアリティに干渉する 力…?」

詠矢「はい?ぱーそなる・・・りありてぃ?

白井「そういえば、学園に来られたばかりで したわね。ご存知無いでしょう。ご心配無く とも、カリキュラムの中で習いますわ」

詠矢「はあ…ソウナンデスカ。楽しみにしと きます…」

白井「では、連行致します。よろしいです の?(ガシッ)」

詠矢「えー、あ、そうか。転移するんです な。接触者と同時転移も可能とは便利ですな あ」

白井「わたくしはレベル4ですのよ。これく らいは朝飯前」

詠矢「あ、でもでもさあ!」

白井「なんですの…行きますわよ…」

詠矢「こうやって、移動するときに、おれだ け上空に転移させられるとさあ」

白井「え?・・・(シュン)」

詠矢「死ぬしかないよなあ…(シュン)」

ジャッジメント177支部) 白井「(シュン)」

初春「あ、おかえりなさい!どうでした か?」

御坂「結構時間かかったわねえ…、て、黒子 1人なの?」

白井「へ?…1人?」

初春「あれ、もしかして取り逃がしちゃった とか…」

白井「あ………」

御坂「…?」

白井「あ…あわあわわわわわわわわ!置いて きてしまいましたわ!!」

初春「置いてきたって…どういうことです か?」

白井「た、確かに接触して転移しましたの! でもわたくしだけが戻ってきたということ は!どこかに…」

御坂「まさか、黒子の能力が暴発したってい うの?…え、じゃあ、置いてきたってどこ に?」

白井「え…、どこと申されましても…あ!上 空ですわ!」

御坂・初春「上空!?」

詠矢「あー、おれ落ちてるなあ…」

詠矢「うわこれどうしょうもなくね?…」

詠矢「…」

詠矢「……つまんねえ人生だったなー……」

おわり

いろいろと申し訳ありませんでした。 次からはSS速報でやります。 お目汚し失礼しました。

暇だから2期以降のどれか再放送

こんばんわ。
短編が書きあがりました。
今回は前後編になります。
まずは前編を投下します。

(ジャッジメント177支部)

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(カリカリ)」

初春「…(カタカタ)」

白井「…初春、出来ました。入力をお願いしますわ」

初春「あ、はい…わかりました…」

白井は書きあがった書類を初春に手渡す。

詠矢「…忙しそうだ…ねえ…」

スマートフォンの上に指を走らせながら、詠矢はポツリと言った。

白井「そう、ではなくて実際に忙しいのです!」

白井「…詠矢さんも…お忙しそうで…」

当然ながら、その口調には皮肉が込められていた。

詠矢「んー、まあ、調べ物とかね…忙しくはねえけど…」

詠矢「…あ、なんか手伝おうか?」

白井「結構です!!ここには部外者に頼める仕事などありません!!」

詠矢「そっか、そりゃ失礼しました…」

軽く答える詠矢を白井はじとっと睨む。今更ながら、この人物に支部への出入りを許したことを少し後悔していた。

初春「…えっと…、今の書類で今日の分は終わりですから…」

初春「白井さんも少し休憩したらどうですか?」

白井「…そうですわね…では、お言葉に甘えてひと息入れさせていただきますわ…」

初春の助け舟に促され、白井は手を休め、ふうと小さく息を吐いた。

詠矢「…ん、と…食うかい?(ポチポチ)」

指を休めないまま、詠矢は紙袋を差し出す。

白井「…なんですの?」

詠矢「差し入れだよ…シュークリーム…美味しいと思うよ…」

白井「あら…ありがとうございます…。頂きますわ…」

詠矢「初春サンも手が空いたら食べなー」

初春「あ、はい!いつもありがとうございます…」

白井「では早速…(ガサ)…(パク)…」

白井「…(モグ)…美味しいですわね…」

詠矢「そらよかった…(ポチポチ)」

白井「…」

詠矢「…」

白井「…(モグ)」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…」

白井「…はあ…」

思わず大きなため息を付く白井。

詠矢「どした…幸せが逃げるぜー」

白井「…逃げるほどの幸せもござませんわ」

詠矢「そりゃまたお疲れだねえ…」

詠矢「その雰囲気は…仕事疲れ…ってだけでもなさそうだね…」

白井「…その無遠慮な洞察力…相変わらずですわね…」

詠矢「ん、まあ、いろいろと想像は付くからね…」

詠矢「確か…御坂サンと同室なんだっけか…まあ、そりゃ疲れるわな…」

白井「お姉さまが毎日幸せそうなのはよろしいのですが…」

白井「毎度毎度…お二人の話を聞かされるのは…少々…」

詠矢「うわあ…結構すごそうだなあ…それ」

白井「さすがに最近はお姉さまも気を使っていただいて…」

白井「あまりお話はされないのですが…」

白井「全身から発せられるオーラというか…雰囲気がどうも…食傷気味でして…」

詠矢「そりゃ大変だねえ…。俺だと聞かされるのはバイト中ぐらいだからなあ」

詠矢「同じ部屋だと逃げる場所もねえもんな…」

白井「かといって部屋を変わるつもりは毛頭ございませんし…。慣れるしかないのでしょうが…」

詠矢「ま、そのうち二人とも安定してくるだろ。しばらくのガマンさ…」

白井「だとよろしいのですが…」

詠矢「…(ポチポチ)」

白井「…(モグ)」

初春「…(カタカタ)」

初春「…!!」

初春「白井さん!!事件みたいです!!」

白井「…!!どこですの!初春、詳細を!!」

白井は椅子から勢い良く立ち上がると、初春の後ろに回りパソコンのモニターを覗き込む。

初春「えっと…別支部で起こった強盗事件みたいです…犯人は取り逃がしたみたいで…」

初春「逃走中みたいです。応援要請が来てますね…」

白井「こっちに向かって逃げてくる犯人を、先回りして抑えればいいのですわね?」

初春「それがですね…(カタカタ)。相手は監視カメラの死角を選んで移動しています」

初春「かなり地の利があるようですね…」

白井「やっかいですわね…。ですが…逆に…」

白井「移動経路を予測できるかもしれませんわ…初春、お願いできますの?」

初春「はい!やってみます…。えと…犯人は風貌からしてスキルアウトらしいので…」

初春「予想できる目標の場所と…監視カメラの抜け道の情報を組み合わせて…(カタカタ)」

初春「…んでもって…ちょっと加工を…(カタカタカタ)」

初春「出ました!!」

白井「流石ですわね初春…。あら…これは…道が2本…ですの?」

初春「はい…条件を設定して絞り込んでみたんですけど…どうしてもこの2系統が残ります…」

白井「まずいですわね…固法先輩は今別の事件の対応中ですし…」

白井「初春にはここに残ってもらわないといけませんし…」

初春「先回りするにしても…二分の一になっちゃいます…ね…」

詠矢「…」

スマートフォンから目線を外し、詠矢は二人の方に向き直る。

詠矢「手伝おう…か?」

白井「へっ?」

白井「いえ…お気持ちはありがたいですが…お断りします…」

白井「一般人を事件に巻き込むわけにはまいりません!」

詠矢「巻き込まれるのは今に始まったことじゃねえけどな…」

白井「これは既にジャッジメントで対応している事件です。あくまでこちらで対応します!」

詠矢「まあ…正論…だけどね…大丈夫かい?」

白井「お気になさらず…なんとかしてみますわ」

初春「…」

初春『白井さん白井さん…』

白井『なんですの!』

初春『せっかくだからお願いしちゃいましょうよ!』

白井『何をバカな事を!この程度の事件、部外者の力を借りなくても…』

初春『でも今の状況じゃ完全に賭けになっちゃいますよ?』

白井『う…それは…』

詠矢「…(なんか揉めてるねえ)」

白井『ですが、状況的にはかなり危険です。もし何かあったら…』

初春『その辺は、ほら、大丈夫じゃないですか?』

初春『なんだかんだいって、詠矢さん、お強いですし…』

白井『それとこれとは…話が別です!』

初春『うーん…じゃあ、ですね…』

初春『危なくない範囲で、協力してもらえれば…いいんじゃないでしょうか…』

白井『…』

白井「そうですわね…」

白井「詠矢さん…では、ご協力いただけますか?」

詠矢「ういよ…喜んで!」

詠矢は立ち上がると、やる気をアピールするかのように首を回し腕を回す。

詠矢「んで、何やればいい?」

白井「見張り、ですわ」

白井「逃走経路の一方に待機していただき、犯人が通過するかどうかを確認してください」

白井「わたくしは別の経路を確認します」

詠矢「…んで、見つけたらどうすりゃいい?」

白井「こちらに連絡頂ければ結構です」

白井「更に先回りして、犯人を確保します」

詠矢「なるほど…白井サンなら、追いつくのは簡単だもんな」

白井「間違っても、ご自分で犯人と対峙しないように…」

詠矢「わかってる…その辺はわきまえてるさ…」

白井「約束ですわよ?」

白井「では、参ります!」

白井が詠矢の腕を掴むと同時に、二人の姿は掻き消えた。

(とある路地 廃屋)

二人は、朽ちた室内に現れる。

白井「…ここですわ」

詠矢「っと…なるほど…張り込みのポイントか…」

白井「この前の路地が、予想される逃走経路の一つです」

白井「詠矢さんは、ここを対象が通過するか確認してください」

詠矢「わかった…んで、見かけたら白井サンに連絡すればいいわけだね?」

白井「ええ、その通りです」

白井「対象の風体に関しては、初春から詠矢さんの携帯にデータが送られて来ます」

白井「そちらで確認してくださいまし」

詠矢「うい。で、いつまで張ってりゃいいのかな?」


白井「撤収するタイミングはこちらで指示します。それまではよろしくお願いします」

詠矢「了解。逆にこっちが発見されるとマズイだろうから…」

詠矢「隠れながら監視できるポイントでも探しとくか…」

白井「あと、しつこいようですが…」

詠矢「わかってるっての…出過ぎたマネはしねえよ…」

白井「なら結構ですわ…」

白井「わたくしも移動します」

詠矢「おう、んじゃ頑張って…」

白井「…では(シュン)」

詠矢「ってと…」

詠矢は辺りを見回しつつ張り込むポイントを探す。

詠矢「(おあつらえ向きに壁のトタンは穴だらけだな)」

詠矢「(覗き込むには苦労しねえが、相手から発見される可能性も高いな)」

詠矢「(ま…進行方向は向こうみたいだから…この辺…かね)」

適当な場所を見つけると、詠矢は静かに腰を下ろした。

詠矢「(ブブブ)…(お、メール来た…添付写真をっと…)」

詠矢「(…下品なツラしてやがんなあ…なんでこの手の奴って)」

詠矢「(判で押したような悪人面なのかね…)」

詠矢「(ま、確認しやすくていいがね…)」

詠矢「(…さて…)」

詠矢「(…暇なもんだな…)」

詠矢「(当たり前か…)」

詠矢「…」

詠矢「…お?」

五分とかからず変化が起こった。

足音と思われる、地面を蹴り上げるような音が近づいてくる。

強盗犯「ハアッ…ハアッ…」

息を切らせ、男が走ってくる。先ほどの悪人面の主である。

詠矢「…(来たか…こっちが当たりとはね…)」

詠矢「…(さて…集中しますか…)」

足音はあっという間に大きくなる。そして、それが最大音量となったとき。

詠矢のいる廃屋の前を通過した…。

強盗犯「ハアッ…ハア…」

詠矢「…!」

詠矢は息を潜め、走り抜ける男の顔を確認する。

詠矢「…(間違いねえ…コイツだ…!)」

送られてきた写真と対象を再度確認すると、すばやく詠矢はスマートフォンを操作する。

詠矢「(対象が目の前を通過。容貌から犯人であることを確認)…(約一分前に通過…っと)」

必要最小限の情報を入力すると、詠矢はすぐさまメールを送信した。

詠矢「…」

詠矢「…(こんで、仕事終わりかな?)」

詠矢「…(ブブブ)…(お、返信か…)」

詠矢「…『ご苦労様です。後はこちらで対処します。撤収願います』…か…」

詠矢「本格的に終わりだね…さて…」

詠矢「もう行っちまった…よな?」

路地に人の気配が無いことを確認すると、詠矢は人の通れる場所を探して外に出た。

詠矢「もう、白井サンが先回りしてるんだよな…」

詠矢「んじゃ、大人しく帰りますかね…」
詠矢「…」

詠矢は、犯人が走り抜けていった路地の先をなんとなく見る。

詠矢「なんか…やな予感するなあ…」

詠矢「…どうするか…ねえ」

(とある路地 空き地)

強盗犯「ハアッ…ハアッ…ここまで…逃げれば…」

かなりの距離を走り続けた男は、周囲の静かさに安心したのか、その足を緩めた。

強盗犯「ハアッ…さすがに…ハア…追ってこねえ…だろ…」

膝の上に手を置き、息を整えようとした直後。

(キイン タスタスタス)

強盗犯「…!!何だ!!」

突然、男の足元に金属の矢が突き立った。

白井「そこまでですわ!!」

強盗犯「…テメエ…」

白井「ジャッジメントですの!」

白井は腕章を見せ、自分の立場を誇示した。

白井「ずいぶんとお疲れのようですわね?そろそろ終わりにしてはいかがでしょう?」

白井「鉄格子の向こうで、ゆっくり休んで頂けますわ」

強盗犯「野郎…ナメやがって…」

白井「あなたのような小物に、時間をかけるわけに参りません」

白井「とっとと終わらせていただきます(シュン)」

白井は消えた、得意の転移ドロップキックだ。

強盗犯「ぐわっ!!」

突如、後頭部を襲う攻撃など避けられるわけもなく、男は簡単に地に伏した。

白井「終わりです!」

拘束するための鉄矢を手に取った瞬間、白井は勝利を確信していた。

だが、男は突然身を翻す。

強盗犯「けっ!!これでも食らえ!!」

男は台詞の直後に目を閉じる、そして。

白井「…!!!」

白井の目の前に突然強い閃光が発生する。

その視界が真っ白に塗りつぶされた。

白井「し…まっ…!!」

強盗犯「うるあぁ!!」

上体を起こしながら、男は白井の胴体に拳を放った。

白井「ぐはっ!!!」

たまらず膝が落ちる白井。

強盗犯「まだまだあぁ!!」

男は完全に立ち上がると、前のめりになった白井の腹部を力任せに蹴り上げた。

浮き上がった白井の体は宙を舞い、落下し地面に叩きつけられた。

白井「ゲフッ…ん…ぐ…」

白井「…あなた…能力…者…」

強盗犯「ヘっ…爆裂閃光(フラッシュボム)ってな…空間に光を発生させるだけの」

強盗犯「チンケな能力だがなあ…」

強盗犯「使い方によっちゃあ…刺さるだろ!?」

言葉と同時に男は白井の背中を踏みつける。

白井「…ぐ…ぎっ!!」

強盗犯「さあて…どうしてやろうかねえ…」

強盗犯「アジトに連れ込んで…イジメ倒してやろうか…?ええ!!」

白井「…こ…の…!!」

強盗犯「まあ、どっちにしろ、もう少し弱らせてから…だなあ!」

(ザッ)

再び男が背中を踏みつけようとした瞬間。誰かが走りこんできた。

詠矢「ハアッ…ハア…」

強盗犯「なんだ…テメエは…!?」

詠矢「なんか、ヤバそうだったんで…急いで追っかけてきてみたんだが…」

詠矢「間に合った…いや、合わなかったのかな?」

強盗犯「仲間…か?」

詠矢「仲間ってのは間違いないが…通りすがりの一般人だよ…」

白井「…!(この声は…詠矢さん!)」

白井「詠矢さん、逃げてください!!。あたなたが関わることではありません!!」

詠矢「お小言なら後で聞くよ」

詠矢「そんな状態の白井サンを置いて、逃げれるわけねえっしょ…」

白井「…っ!!」

強盗犯「テメエもナメた野郎だなあ…。コイツは、使いたくなかったが…」

男は腰のベルトからバタフライナイフを取り出した。

詠矢「おーおー…定番だねえ…」

詠矢「そういうもの出せばビビると思ってんのならお生憎様」

詠矢「こちとら結構見慣れててね…」

強盗犯「なんだ…やるってのか…?」

詠矢「逃がすつもりなら追って来ねえいっての…」

白井「詠矢さん!コイツは光を使います!!気つけてください!」

詠矢「ああ…こっちに向かってるときに…なんか光が見えたんだが…能力者だったのか…」

強盗犯「…このアマ…」

強盗犯「余計なこと口走ってんじゃねえ!!」

男は力の限り白井の背中を踏みつける。

白井「が…っ…は…!!」

詠矢「…!」

いつもゆるいの詠矢の表情が、一気に鋭くなる。

ぎりっと奥歯を噛み締めると、静かに相手の距離を詰める。

詠矢「来い…相手してやるよ…」

強盗犯「…ナニ余裕かましてんだテメエェェ!!死んどけやあぁあ!!」

男は躊躇無く顔面を突いてくる。

詠矢「…!」

上体を反らし、詠矢はそれをギリギリでかわす。頬に浅い切創が浮かび、血がにじむ。

詠矢「…!!」

すぐさま詠矢は男の手首を取り、ひねり上げようとするが…。

強盗犯「(今だ!!)」

詠矢「…っ!!」

詠矢の目の前に強い閃光が発生する。と同時に、しばし両者の動きが止まる。

強盗犯「ケッ…チョロイもんだ…」

勝ち誇った男は目を開ける。だが、その視界に移ったのは…

正面から自分の顔面に向かってくる、相手の拳だった。

強盗犯「なっ…!!ガフッ!!」

詠矢の拳は、男の鼻筋に正確に命中した。

だが、腕をとられたまま倒れることも出来ない。

詠矢「ナントカに刃物って奴だな…。とりあえず大人しくしてもらおうか?」

詠矢は取った腕をひねり上げると、相手の体をうつぶせに倒し、そのままのしかかって肩と肘を極める。

強盗犯「い…いでででで!!…てめえ…目は…」

詠矢「あ?アホかてめえは?」

詠矢「まぶしいのはお前も同じなんだろ?能力を使う前に目を閉じないと、自爆するわけだ」

詠矢「同じタイミングでこっちも目を閉じれば、影響なんぞ受けるわけねえだろ…」

詠矢「初見ならともかく…わかってて引っかかるような能力じゃねえな」

強盗犯「…く…っそ…て…めえ!!」

詠矢「はいはい、暴れると余計痛いよ…」

極めた腕を詠矢は更に締め上げる。

強盗犯「いぎぎぎぎぎぎぎいい!!」

詠矢「白井サン!無事かい!!」

詠矢「動けるんなら!コイツの拘束を頼む!」

白井「…はい…なんと…か…」

よろよろと立ち上がる白井。視界はどうにか回復したようだ。

白井「…んっ!!」

鉄矢が転移され、男の上着の数箇所を地面に縫い付けた。

強盗犯「なっ!!」

詠矢「これで動けんな…」

強盗犯「…く…っそ…おぉぉぉお!!」

詠矢「ま、観念しな…」

強盗犯「…おい、テメエ!」

詠矢「何だよ…」

強盗犯「いつまでのしかかかってんだよ!もういいだろうがよ!」

詠矢「…まあ…そうだな」

強盗犯「ならとっととどけよ!!」

詠矢「…」

詠矢「…あ、手が滑った…(ゴキャッ)」

強盗犯「へっ?…ガ…ギィャアアアアァァァァアアア!!!」

強盗犯「…(ガクッ)」

肩関節を外された痛みで、男は気を失った。

詠矢「やれやれ…静かになったな…」

詠矢「白井サン!大丈夫か!!」

まだおぼつかない足取りの白井の傍に詠矢は駆け寄る

白井「はい…この程度…なんてこと…(ゴホッ)」

詠矢「無理すんなって…ほら…」

詠矢は白井の腕を抱えて体を支える。

白井「詠矢さんこそ…血が…」

詠矢「まあ、この程度カスリ傷さ…白井サンに比べればね…」

詠矢「とにかく、容疑者は確保した。応援を呼んで、早いこと医者行こう!」

白井「ええ…その方が…よろしいですわ…ね…」

(常盤台中学女子寮 御坂と白井の自室)

白井「ということがありまして…」

御坂「アンタも大変ねえ…こんなに生傷増やして…」

胸に巻いた包帯を取り替えつつ、御坂は後輩の体の傷を確認しながら呟いた。

白井「職務上仕方ありませんわ…覚悟の上です…」

御坂「そんなこと言って…アンタも女の子でしょ?…まったく…」

御坂「はい、これでいい?」

白井「ありがとうございます…お姉さま」

御坂「なに水臭いこと言ってんのよ。これぐらいお安い御用よ」

包帯と、湿布の交換を終え、御坂はねぎらうように白井の肩をぽんぽんと叩いた。

白井「しかし…今回ばかりは詠矢さんに助けられました」

白井「あの方が居なかったらどうなっていたことか…」

御坂「まあ…意外と頼りになるもんね…あの人…」

御坂「…」

御坂「黒子…さあ…」

白井「なんでしょう?」

御坂「最近…詠矢さんの話…多いわよね?」

白井「へっ…?」

白井「それは…まあ…三日と開けずに支部に来ていれば…」

白井「自然と話題も多くなりますわ」

御坂「…へえ…そう…なんだ…」

白井「…なんですの…その妙な勘ぐりは…」

白井「絶賛恋愛脳のお姉さまの基準で判断されては困りますわよ!?」

御坂「ああ…ゴメン…そういう意味じゃないんだけど…さ」

御坂「黒子から、そんな風に誰かを評価する話って」

御坂「あんまり聞いたことが無かったから…さ」

白井「…まあ…確かに…」

白井「一部高い能力をお持ちであることは…認めざるを得ませんが…」

御坂「普通の高校生のレベルは、逸脱しちゃってるわね…」

白井「…おねえさま…ずいぶんとあの方に肩入れしますのね…」

御坂「え?…あれ?…いや、そうかな?」

白井「お姉さまは上条さんのこともあって、印象は良いのかもしれませんけど…」

白井「わたくしからすれば、詠矢さんはお二人を結びつけた憎き人物なのです!」

白井「そうです、忘れていましたわ…最初からお姉さまに攻撃をしかけたり…」

白井「やはり、あの方相容れる人物ではございませんわ!」

御坂「…」

御坂「…でもさあ…。そこまで悪く言うことも無いと思わない?」

御坂「詠矢さんなりに、いろいろ頑張ってるみたいだし…

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