夏海「ラジオから」 (42)

卓「…」

小鞠「…」

小鞠「夏海、遅いな」

小鞠「「町に出て買い物してくる」と言ってたけど、ちょっと遅いわね」

小鞠「終電にちゃんと乗れたのかな?」


ガラッ


夏海「ただいま~」

小鞠「夏海、遅いわよ」

夏海「ごめんごめん、町で色々見ていたら終電の時間になっちゃって」アハハ



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小鞠「で、町に行って何を買って来たの?」

夏海「よくぞ聞いてくれました!買った物見る?」

小鞠「私が言わなくても見せる気マンマンだったんでしょ」

夏海「まず、洋服におもちゃに」

夏海「そしてこれっ!」

小鞠「これは!」

夏海「そう、ラジオだよ」

夏海「自分専用の音楽プレーヤーを買おうとしたら高いし、どう使っていいか分からないし」

夏海「だから安くて操作が楽なこれを買って来たのさ」

夏海「これで電池だけで音楽聞き放題だ!」

夏海「最新の音楽も聞けるぞ」

小鞠「最新の音楽!」キラッ

小鞠「夏海、私にも聞かせて」

夏海「えーと、電池を入れて、ダイヤルを回して…」

夏海「次に聞きたい放送局の周波数に合わせるのか」

夏海「周波数ってよく分からないから適当に回そう」

小鞠「あっ、何か聞こえて来た」

マリー『どうも、蕪羅亭魔翌梨威でございます』

マリー『秋が終わり、すっかり季節は冬になり寒くなりました』

マリー『しかし、冬になったとは言え、世の中には真夏のように暑い所もあるようで』

マリー『昨日、寄席が終わった後に駅に行きましたら、カップルたちが駅の柱を使ってあちこちでキスをしまくっていました』

マリー『あまりにも酷い光景でしたので駅員に「何で止めないんですか?」と尋ねたら、「熱過ぎて私たちも近付けません」と言いました』

マリー『仕方ないので今度は消防署に連絡して消防車を呼ぼうとしましたが、「火事よりも熱いので私たちにはどうしようも出来ません」と
消防士もお手上げになっていました』

マリー『そのカップルたちがキスをしまくっていた駅の名前が「吉原」だったので、これを「吉原大炎上」と名付けました』

夏海「…」

小鞠「…」

夏海「何か面白い話をしているようだけど…」

小鞠「どこが面白いのかよく分からない…」

夏海「お客さんは笑っているけど」

小鞠「何で笑っているのか分からない…」


マリー『お後がよろしいようで』


夏海「別の所に回そうか」

小鞠「うん」

夏海「上に回してみようか」

小鞠「あっ、また何か聞こえて来たよ」


『お後がまたウザくって』

『お先も前もウザくって』

『ウ・ザ・ウザンヌ、ウ・ザ・ウザンヌ』

ウザンヌ『みんなー、元気ーーーーー!!!』キラッ

『渋谷ミュージックアワー、今夜のゲストは落語家でありながらアイドル活動もしている
今注目の「ラクドル」の宇座亭ウザンヌさんです』

ウザンヌ『ラジオを聞いている皆さんに感謝の投げキッス!』チュッ

夏海「ウザッ!」

小鞠「ウザッ!」

夏海「ウザ過ぎて腹が立ってくるな」

小鞠「何か声がこのみにそっくりだったね」

夏海「今度はダイヤルを下に…」

夏海「あれ?」

夏海「何、このスイッチは?」

夏海「あっ、上下に動く」

夏海「そして何、この「FM」というのは?」

小鞠「それを上下に動かす事でAMとFMを切り替える事が出来るって」

夏海「「FM」って何だろう」

夏海「とりあえず切り替えてみよう」


ザー


小鞠「ザーしか聞こえないよ」

夏海「またダイヤルを回せば聞こえるんじゃね」

夏海「少し上に回してみよう」

夏海「あっ」

小鞠「何か聞こえて来たよ」

『お掛けしました曲はLORDEで「Royals」でした』


夏海「ロード?姉ちゃん知ってる?」

小鞠「知らない?道の事?」


『この曲は現在、アメリカのチャートでずっと1位を続けていて全世界が注目しております』


小鞠「アメリカのチャートで1位!!」

小鞠「これが最新の流行なのか」キラキラ

夏海「姉ちゃんの目の色が変わってる…」

夏海「アメリカのチャートの力すげぇ…」

夏海「いや、ラジオの力すげぇ…」

『続きまして3曲まとめて流したいと思います』


小鞠「」ワクワク


『お掛けしますのは1曲目がLADY GAGAで「Applause」、2曲目がKATY PERRYで「Roar」、
3曲目がADELEで「Rolling in the Deep」です。いずれも全世界で絶大な人気を集めている女性歌手のナンバーです。
まとめてどうぞ!』


小鞠「世界で絶大な人気!」

小鞠「」ワクワク

夏海「姉ちゃん、凄い楽しそうな顔をしているな」

2分後


小鞠「…」

夏海「あれ?さっきから無言になっている」

小鞠「…」ウルッ

夏海「おい、姉ちゃん、どうしたんだよ!」

小鞠「夏海…」


「何と歌っているのか分からない…」

小鞠「加賀さんが何と歌っているのか分からないよ…」ポロポロ

夏海「うーん…」

夏海「(私も何と歌っているのか分からない…)」

夏海「多分、「この作品は第3章まで続きます。モンスターを倒しながら続いて行きます」と歌っているんだよ」

小鞠「へぇ~」

夏海「(何とか誤魔化せたかな)」

小鞠「じゃあ、今流れているドアという曲は?」

夏海「ああ、これは…」

夏海「(今チャンピオンと言ってたな)」

夏海「こ、これはね、ドア修理の王者だという事を歌っているんだよ」

小鞠「変わった事を歌っているんだね」

夏海「多分、ドアを修理する職人さんに感動して作ったんだよ」

小鞠「へぇ~」

夏海「(何とか誤魔化せたかな)」

小鞠「このローリング何とかという曲は?」

夏海「…」

夏海「(ヤバい… 単語1つも分からない…)」

小鞠「もしかして夏海…」

夏海「いや、分かるよ…」

小鞠「じゃあ、何と歌っているの?」

夏海「それは…」

夏海「これはボーリングでガーターになった瞬間の悲しみを歌っているんだよ」

小鞠「そういえば、曲も歌い方も何か重苦しくて悲しそうだね」

夏海「だから、その瞬間があまりにも悲しいから歌ったんだよ」

小鞠「これを作った人はボーリングが好きなんだね」

小鞠「夏海、英語も全然ダメなのによく知っているね」

夏海「夏海ちゃんは何でも知っているさ」エッヘン!

夏海「(本当は全部適当に思いついたのを言っているだけだけど)」


『それでは番組も終わりの時間が近付いて来ました』


夏海「えー、もう終わりの時間かよ」


『最後は一撃必殺パーティーチューンを一気に8曲もノンストップでお届けします』


夏海「おっ、これは楽しそうだ」


『お掛けしますのは前半4曲がLMFAOで「Party Rock Anthem」、Chris Brownで「Yeah 3×」、
BRUNO MARSで「Locked Out Of Heaven」、AVICIIで「WAKE ME UP!」』

『そして後半4曲がHot Chelle Reaで「Tonight Tonight」、T.Iで「Live Your Life」、
ROBIN THICKEで「Blurred Lines」、そしてトリは先ごろ来日して素晴らしいパフォーマンスを日本のファンに見せたONE DIRECTIONで「Best Song Ever」です。
では、皆さん、最後までたっぷり踊りましょう』


夏海「姉ちゃん、一緒に踊ろうぜ」

小鞠「うんっ」

卓「…」


「イエー、イエー、イエー!」


卓「…」


「ウォー、ウォー、ウォー、ウォー、イエー、イエー、イエー、イエー」


卓「…」


「マイヤヒー、マイヤフー、マイヤホー!マイヤハッハー!」


卓「…」

番組が終わって


夏海「いやー、楽しかった~」

小鞠「最新の洋楽がこんなに楽しい物だなんて思わなかったよ」

小鞠「もう1回ラジオを付けようよ。また踊りたくなるような音楽が流れているかも」


カチッ


♪チャーンチャーンチャチャン チャーチャチャーン チャーチャチャーン
チャーチャーチャチャン チャーチャー チャーチャチャーン


夏海「こ…」

小鞠「この曲は…」

雪子「あんた達…」ゴゴゴゴ

夏海「げっ…」

小鞠「角が生えてる…」

雪子「夜中に何騒いでいるのよ」ゴゴゴゴ

小鞠「ひぃっ」

雪子「ちょっとこっちに来なさい!」ゴゴゴゴ

こまなつ「ひぇー」


『ただ今の曲はスターウォーズの「帝国のマーチ」でした』

夏海の部屋


小鞠「ったく、夏海のせいで私までお母さんの雷を食らってしまったよ」

夏海「いやーゴメンゴメン」

夏海「って、何で私の布団の中に一緒に入ってるの!?」

小鞠「今日は夏海と一緒に寝たいの」

夏海「そうか」

小鞠「ねぇ、二人一緒に同じ夢の世界に入れないのかな?」

夏海「姉ちゃん、どうしたんだよ?」

小鞠「夢の中でさっきの続きを楽しみたい」

夏海「ああ、私も楽しみたいな。まだ踊り足りないし」

小鞠「でも、どうしたら二人一緒に同じ夢の世界に行けるんだろう?」

夏海「うーん…」


「寝る前にキスすれば行けるかも」

小鞠「キスかぁ…」


チュッ


小鞠「あっ」

夏海「じゃあ、私はもう寝るね」

夏海「…zzz」

小鞠「寝るの早いな」

小鞠「でも、これで恥ずかしがる事なくやれる」

小鞠「夏海…」


「今日はありがとう」


チュッ

卓「…」


卓「…」グッ!

夢の中


夏海「ヘイヘイヘイ!」

夏海「あー、踊るの楽しい」

夏海「それにしても姉ちゃん遅いな」

小鞠「夏海ーー」

夏海「姉ちゃん、遅いぞ」

小鞠「ごめんーー」

夏海「でも、2人とも同じ夢の中に来れたな」

小鞠「じゃあ、次の曲からは私も一緒に踊るよ」

夏海「踊る前にここでもアレをやろう」

小鞠「うんっ」

チュッ


(何故か二人の夢の中に入ってきた)卓「…」コソッ


卓「…」

翌朝


夏海「はよー」

れんげ「にゃんぱすー」

れんげ「なっつん、何かいつもと違うのん」

夏海「うんっ、楽しい事をしてきたから」

小鞠「おはよー」

れんげ「こまっちゃんもいつもと違うのん」

小鞠「大人の階段を少し登ったからね」

れんげ「大人の階段?」

夏海「れんちょんもいつか登る物だよ」

れんげ「ふーん」

蛍「おはようございます」

夏海「はよー」

れんげ「にゃんぱすー」

小鞠「おはよー」

放課後


小鞠「誰もいないよね」

夏海「みんな帰ったし、外も暗いから誰にも気付かれないさ」

小鞠「終バスの時間が迫っているから早めにやろうよ」

夏海「うん、行くよ」

夏海「ラジオからここまでに至るなんて思わなかったけど」

「姉ちゃん、今日のキスだよ」


チュッ


「私からも夏海にお返しするよ」


チュッ


卓「…」コソッ

卓「…」

一穂「2人とも盛んだね~」

れんげ「これが大人の階段なのん」

このみ「ああ、あんな大胆な事までやってる///」

楓「中学生って凄いね」

ひかげ「都会の中学生よりも凄いかも…」///

卓「…」


おしまい

「ほたこま」ばかりなので、「なつこま」を書いてみました。
夢と学校で二人が何をしたかは皆さんの想像にお任せいたします。

作中で使われた曲と歌詞、曲の本当の意味はようつべや洋楽の情報サイトなどで調べてください。

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