穂乃果「海未ちゃんと会話しなくなって一週間」 (34)

穂乃果「あ!ポイントカードたまった!」
海未「ついに、この時がきましたか……!」

練習帰りに立ち寄ったワクドナルト。
「その大きさ、ギネス級」と一部で話題になるほど超ビッグサイズな
ワクドナルト特製ポイントカードをついに全て埋めた……!

穂乃果「やったね海未ちゃんっ」
海未「やりましたね!穂乃果っ」

パンっ
レジの前で小さくハイタッチ。

海未「コツコツポイントを貯めた甲斐がありました」
穂乃果「かなーり、長いこと通ってたもんねーこのお店」

海未「そういえば……そうですねぇ……」ニヤニヤ

穂乃果「うわっ、どしたのいきなり!ニタニタ笑い出して!」

海未「ニ、ニタニタなんて笑ってません!精々ニヤニヤです!」

穂乃果「変わらなくない?」

海未「なくなくないです!」

穂乃果「そんなに無料ドーナツが嬉しかったんだねー……
海未ちゃん、ひもじかったんだねぇ……」
ヨヨッ…と顔を伏せて泣く穂乃果

海未「ち、ちがいますっ!」

穂乃果「あれ、そうなの?」
泣き真似から一転、穂乃果はけろっとした表情で顔をあげた




海未「ここのお店に来るようになったのって
丁度私達がアイドルを始めた頃からじゃないですか」

穂乃果「そうだっけ?」

海未「そうですよ!………だから、『ポイントが満タンになるくらい穂乃果と一緒にいたんだー』
と思ったらなんだか嬉しくなっちゃって……」

「んー?」とコーラをストローで飲みながら軽く首を傾げる穂乃果。

穂乃果「えー、なんか今更じゃない?
私たち小さい頃からいつも一緒にいるんだよ?
ポイントカードにしたら1000枚分くらい一緒だったと思うけどなぁ」

海未「確かにそうですけど……でもここ数年は違いました」

穂乃果「………あー、そうだったね」

海未「……私が弓道部に入ってからは二人で会う機会がなんとなく減ってしまいましたから……」

穂乃果「そうだったねぇ……」

海未「私が弓道部に入ることを決めた時、穂乃果すごく寂しそうでしたよね」

穂乃果「そりゃーそうだよ!
だって海未ちゃん遅くまで学校に残るから全然遊べないんだもん!」

海未「……でも今は穂乃果と同じスクールアイドルです」

穂乃果「……うんっ!だから今はいつでもいっしょっ」(ぎゅー!

海未「ちょっ!ひ、人前であんまりひっつかないでくださいっ」

穂乃果「……はぁぁ………海未ちゃんの体すごく良い匂い………
……なんかフワフワするぅ………♪」

海未「へ、変態っ!」

穂乃果「えっ!!!ひどっ!!」

???「あら……?」
海未「穂乃果、おやつ感覚でガムシロップを舐めるのは絶対やめた方がいいです」

穂乃果「えーだって美味しいんだもん」ペロペロ」


??「あれは……」
海未「……45kカロリー……90kカロリー……135kカロリー……
……あと1カップであんみつ1個ぶーん……」(ボソッ

穂乃果「ちょ!やめてよ海未ちゃん!」

??「ふふっ、相変わらず楽しそうね」

海未「穂乃果には……太って欲しくないんです」

穂乃果「私の体調を心配してくれるのは嬉しいけどさー、もっと言い方がー……」

海未「いえ、そういう心配はしてないです」

穂乃果「えっ」

海未「穂乃果は体重が増えはじめると、
いつも私を妙なダイエットに巻き込むじゃないですか……
穂乃果とはもう絶対にダイエットしたくないんです!」

穂乃果「海未ちゃんが冷たいーっ」

海未「……忘れたとは言わせませんよ?
……去年の大福ダイエットのことを……」

穂乃果「うっ……!あ、あれは……」

海未「まだ許していませんからね……あの地獄のような大福地獄……」

穂乃果「……ねぇ、大福ダイエットの話はやめよ?
穂乃果的には既に忘れた過去だからさ?」

海未「………朝起きて大福。昼休みに大福。夕飯も大福。次の日も大福………
それを三週間毎日……飲み物はあんこジュースのみ……」

穂乃果「………逆に体重がものすごい増えちゃったんだよねぇ…
………うわあああぁぁ………」

海未「わたしはやりたくない、って言ったのに……
穂乃果が……ほのかがぁ……」

???「隣、いいかしら?」

海未「……え?!」
穂乃果「あ!」

絵里「隣座ってもいい?」

海未「絵里!奇遇ですね!」

穂乃果「絵里ちゃんだー!大歓迎だよ~。座って座って!」
(グイグイっ!)

絵里「ちょ、ちょっと穂乃果っ、
あんまり腕を引っ張らないで!座るからっ、もう!」

海未(はっっっ!そこは穂乃果の隣の席!)

海未「……穂乃果。急に腕を引っ張るのは危ないです。怪我をしてしまいます」

穂乃果「あっ!ご、ごめんね絵里ちゃん!痛くなかった?」

絵里「全然痛くなかったから大丈夫よ?」

海未「偶然の出会いに喜ぶ気持ちはわかりますが
相手のことを考えない行動は良くないですよ?気をつけましょうね」

穂乃果「うん……わかった……ほのか気をつける……」

海未「さ、絵里はこちらの席にどうぞ」

絵里「え?うん、わかったわ」

海未「絵里は一人でここに?」

絵里「さっきまでは希といたんだけどね。いなくなっちゃった」

穂乃果「?今はいないの?」

絵里「えぇ………
『あれは、、、アニマスピリチュアアアァァ!!!』
って急に叫び出したかと思ったら
そのまま外に飛び出して行っちゃった」

海未「……ちょっと意味がわかりませんね」
穂乃果「スピリチュアルやわぁ」

穂乃果「のぞみちゃんっていつもそんな感じなの?」

絵里「たまーー……にあるくらいね。基本てきには常識人よ」

海未「常識のある人はわしわししないと思います」

絵里「あははっ、それもそうね」

絵里「あ、そうだそうだ……」
カバンをガサゴソあさり出す絵里

絵里が鞄からテーブルに広げたのは……CD?
海未「これは……soldier gameのCDですね」

穂乃果「海未ちゃん達のCDだ!」

絵里「ご明~答~っ。
それでね、このCDの楽曲『soldier game』がすごく評判良いのよね
ミューズの名曲ベスト5に入るくらい人気があるんですって」

海未「そうなんですか!?……よかったぁら……」(ホッ

穂乃果「へぇー!三人ともすごいね!」

絵里「このCDに限らず、他のチームのCDもみんなすごく評判が良くってね。
………それで一つ相談なんだけど」

穂乃果「?」
海未「?」

穂乃果と二人の帰り道
夕日をバックに小石を蹴りながら帰る穂乃果。
道路に穂乃果のシルエットが伸びる

……夕日の演出でなかなか様になってるんだけど、
小石蹴りなんて絶対女子高生のやることじゃない……
私は友人として止めるべきなんでしょうか……

そんなどうでもいい逡巡をしていると、
私に背を向けたまま穂乃果が間延びした声で話しかける

穂乃果「うみちゃーん」(小石コツーン
海未「はーい!なんでしょーっ」
少し声を張り上げる。
小石を蹴るせいなのか、穂乃果の歩調がいつもより早い。

二人の間に2、3mの距離を置いたまま。

後ろの私に声が届くように、
元気4割増しな大声で穂乃果が私に話しかける

穂乃果「トリオでCD出す話、オッケーするのーっ?!」

海未「そうですねー……」

……先ほどの絵里の相談というのは、
『またミニユニットで歌ってみない?』
というような内容だった。

返事はまた明日、とその時私は答えを保留したが、
内心ではその話を聞いた時点ですでに気持ちを決めていた

海未「それがミューズのためになるのなら、
喜んでお受けするつもりですー!」

新企画の第一弾CDは私達「うみえりまき」のトリオシングル。
soldier gameを喜んでくれた人がいるのなら、身を砕いてでも頑張りたい

穂乃果「………そっかー!わかったー!」

……………?
なんとなく、穂乃果の反応に釈然としないものを感じる。
歩調を早めて隣まで走り寄り、穂乃果の横顔をじーっと見つめる

海未「…………」
穂乃果「ん?どしたの?」

……いつも通り、ですよね??
海未「いえ、なんでも……」
気のせい、でしょうか。
でも今何か……。

海未「……あ!もしかして嫉妬してますか?」
思いついたことをそのまま口に出し、すぐさま後悔する

海未(女の子相手に何を言ってるんですかこの女っ……!
いや私のことなんですけどっ……)

頬がどんどん上気して行くのを感じる……。
自滅にもほどがある……なにをやっているんでしょう私は……

穂乃果「うーん……」
ぼんやりと視線を夕日に向ける穂乃果
その横顔を見つめる私。

穂乃果「………」
海未「………」

何かを憂いてるようにも見えるし、
今日の晩御飯何かなーとか考えてそうな能天気さも垣間見える表情。

……要するに、私にはほのかの表情から何一つ感情を読み取ることがてきなかったのだ

穂乃果研究の第一人者である私でも、
そこにどんな感情が渦巻いてるのか、全くわからなかった

海未「ほ、ほのか?大丈夫ですか?」
その表情からただ一つわかること――――危うい。
何か取り返しのつかないことをしてしまったような気がした

穂乃果「え?何がかな?」
飄々と答える穂乃果。いつも通り。いつも通りなんだけれど……

海未「ほのか、」
穂乃果「あ、うみちゃん小石そっち行っちゃった。とってとってー」
海未「え?え?あっ!……フンっぬっ!!」

今まで一度も回ってこなかったパスが、急に私の方へと回ってくる

咄嗟のことに動揺した私は、
イナズマシュートばりのキック力で相手のゴールへシュウウウトオオオオ!!!!

………ぽちゃん

海未「あ」
穂乃果「あ」

おわりです

SS難しいですね。もっと精進してから出直します

またチャレンジしたいのでなんかアドバイスください

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