アムロ「気づいたらティターンズに所属していた」(178)

バスク「貴公の働きは知っている」

バスク「一年戦争でガンダムに搭乗し、多大なる戦果を上げたそうじゃないか」

アムロ「ガンダムあっての功績だと思っている。増長するつもりはないさ」

アムロ(俺のことを危険分子扱いするのが惜しくなったか。ティターンズらしい)

バスク「なんにせよ連邦という組織に関わったからには貴公には行き着くところまで従事してもらおう」

ジャマイカン「精々、ティターンズのために働くんだな、アムロ大尉」

アムロ「了解」

バスク「しかし、気に食わんな。そんな貴公がMK-IIのテストパイロットの任務を放棄するとは」

アムロ「そんなおかしいことではないと思うが」

ジャマイカン「一年戦争時に搭乗経験があればMK-IIに乗るのも道理だろうが!」

アムロ「MK-IIはMK-IIだよ。一年戦争で乗ったガンダムとは別物さ」

アムロ「それに罪滅ぼしとしてこうやってテストパイロットたちの指導にグリプスまで出向いているのだから」

ジャマイカン「フンッ。これで罪滅ぼしのつもりか」

バスク「まあ、そういうことにしておいてやろう」

ジェリド「アムロ大尉、ガンダム3機の整備全て終了しました」

ジェリド「いつでも試運転可能とのことです」

アムロ「そうか。あとは動かすパイロットたちをお出迎えするだけということか」

ジェリド「もうじき空港に到着する時刻のはずです」

アムロ「よし、なら行こう」

ジェリド「はっ!」

アムロ「確かジェリド中尉だったな」

アムロ「君はなぜティターンズに?」

ジェリド「それを聞いて大尉に一体何になると」

アムロ「まあ、そうだな。忘れてくれ」

ジェリド「……」

ジェリド「俺だっていつまでも一兵卒のままでいいなんて思っちゃいない」

ジェリド「いつかはティターンズをこの手にしたいと思っている」

アムロ「ほう。しかし、中尉。過ぎた野心は身を滅ぼす。それだけは忘れない方がいい」

ジェリド「さすがは一年戦争の英雄さん。立派なお言葉だことで」

空港

ジェリド「カクリコンじゃないか」

カクリコン「おお、ジェリドか。久しいな」

ジェリド「ティターンズらしくなってよく来てくれた」

エマ「失礼ですが、アムロ・レイ大尉ではないですか?」

アムロ「君は確か、地球で」

エマ「はい、エマです。覚えててくれたのですね。まさかティターンズに入っていたとは」

アムロ「まあ、なりゆきでね。しかし、君がMk-IIのテストパイロットの一人だったとは世の中も狭いもんだな」

アムロ(ん? なんだこの感覚は)ピキーン

エマ「どうかされましたか? 大尉」

アムロ「いや、なんでもない」

ファ「カミーユ!」

カミーユ「うるさいなぁ」

ジェリド「ん? 女の名前なのに、なんだ男か」

カミーユ「!」

カミーユ「なめるなぁ!」
バキッ
ジェリド「ぐああ……!」

アムロ「な、なんだ? どうしたというんだ中尉」

ジェリド「ててて、くそっ。こ、このガキが急に!」

カクリコン「こいつ、俺たちをティターンズと知ってちょっかいを出してきたのか」

カミーユ「言っていいことと悪いことがある。俺は男だよ!」

カクリコン「なんだと、てめぇ!」

ティターンズ兵「やっちまえ!」

アムロ「よすんだ! こんなこと一士官のすることじゃあない」

ジェリド「しかし!」

アムロ「中尉も冷静になるんだ。感情だけで動いていてはそれこそ一兵卒で終わってしまうぞ」

ジェリド「……くっ。そんなことわかっています」

カミーユ「……」

アムロ「カミーユ君だったな。君の行為も感心しないな」

アムロ「男の子がわんぱくなのは結構だが場を弁えてほしい」

アムロ(俺はなぜこの子の名前を知っているんだ?)

カミーユ「アムロ……アムロ・レイ」

カミーユ「もしかしてあなたホワイトベースのアムロ・レイさんですか!?」

アムロ「あ、ああ」

カミーユ「なぜあなたのような方がティターンズなんかに!?」

アムロ「そ、それは」

カミーユ「あなたなら知っているはずです」

カミーユ「ティターンズはジオンの残党狩りを名目とする裏で」

カミーユ「スペースノイドを残らず弾圧して地球を汚染している悪魔の集団だということを」

カミーユ「なのにどうしてです!?」

アムロ「……」

ジェリド「貴様ぁ、言わせておけば!」

ファ「カミーユ、もうよしましょう!」

カミーユ「もしそのことがわかっていながらティターンズにいるというなら」

カミーユ「僕はあなたのことを軽蔑します。では失礼します」
タッタッタッタ

カクリコン「貴様、逃げるのか!」

アムロ「これ以上はもうよすんだ」

ジェリド「大尉はあんな子供なんかにああまで言われてなんとも思わないのですか」

アムロ「いい訳がない」

アムロ「しかし今は子供に付き合っていられるほど我々も暇ではないはずだ」

アムロ「テストパイロットの中尉たち三人は先にMk-IIの格納庫へ向かっててくれ」

アムロ「俺も後から急いで行く」

エマ「了解しました、アムロ大尉」

カクリコン「やれやれ。宇宙に上がったっていうのに早速かよ」

ジェリド「そうぼやくなよ」



アムロ「このテンプテーションの船長はどこだい?」

乗組員「あちらです」

ブライト「おお。アムロ・レイ」

アムロ「ブライトじゃないか。相変わらずだな」

ブライト「噂に聞いてはいたがまさか本当にティターンズに入っていたとはな」

アムロ「その顔、どうやら祝福されてないようだな」

ブライト「そりゃあな」

アムロ「さっき、見ず知らずの子供にもあなたと同じような顔をされたよ」

ブライト「ティターンズに対するグリーンノア市民の不信感も日に日に高まっている」

アムロ「自分たちの住む場所で基地化を進めたりすればそうなるだろう」

ブライト「面白半分に首を突っ込むべき組織ではないことは確かだ。なのにどうして?」

アムロ「ティターンズという体制をこの目で確かめたくなったんだよ」

アムロ「それに連邦にも多少の義理もある」

ブライト「お前にしては釈然としないな」

アムロ「とりあえず今はそういうことにしておいてくれないか」

アムロ「いつかすべてを話せるときがくる」

ブライト「ところでMk-IIには乗るつもりなのか」

アムロ「断ったよ。今の俺にはガンダムは荷が重過ぎる」

ブライト「それがいいのかもな」

ブライト「黒いガンダムに乗ったアムロ・レイなどあまり想像できん」

アムロ「茶化すのはよしてくれ」

ブライト「それよりこんな所で油を売っていていいのか」

アムロ「そうだったな。やはり軍人というものはどうも慣れん」

ブライト「こちらも本部に報告がある」

アムロ「ブライト。バスク・オムは危険な男だ」

アムロ「くれぐれも気を付けるんだ」

ブライト「ああ。わかっている」

格納庫

アムロ「遅れた。すまない」

アムロ「まずは三号機から始めよう。ジェリド中尉」

ジェリド「はっ!」

アムロ「最初は飛行訓練からだ」

アムロ「何としても民間地区への侵入は避けるようにな」

ジェリド「わかっています。俺だって始末書はごめんだからな」

アムロ「中尉! 訓練といえどある程度の緊張感は持ってくれ」

アムロ(実戦を経験したことのない者に言っても無駄か)

ジェリド「見ていてくれ、カクリコン」

ジェリド「この中でベストスコアをたたき出してやる」

カクリコン「言ったな。負けたら酒でも奢れよ」

アムロ「中尉いい加減にしろ!」

ジェリド「へいへい」

ジェリド「ジェリド・メサ中尉、発進する」

ビュオオオン

ジェリド「感度良好」

アムロ「この加速。マイナーチェンジとはいえさすがに」

アムロ「一年戦争時のとは段違いだ」

クワトロ「アムロなぜお前がティターンズにいる!」


カミーユ「そうだ!どうしてあなたほどの人がティターンズなんかに……」


アムロ「いやだってこっちの方が給料いいし…」

アムロ「さて寝るか」

クワトロ「おやすみー」

シロッコ「またね」

Fin

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