P「貴音、ラッパーになるんだ」貴音「・・・は?」 (30)

P「ミステリアスなお姫様路線じゃもうダメだ。心機一転フィメールラッパーとして再デビューしよう!」

貴音「で、ですが・・・その、らっぷというものを私はやったことないのですが・・・」

P「それを今から特訓するんだろうが!やる前からできないなんて言わないよな?」

貴音「・・・・・・」

P「よしやよい、お前の曲であったろ、手本みせてやってくれ」

ζ*'ヮ')ζ「とうきょとっきょきょかきょくきょかきゅかどちか♪かみさまののさまお・ね・がい!」

貴音「・・・・・・」

真美「~やぼう・きぼう・れいんぼーおっ♪」

P「どうだ、わかったか」

貴音「・・・りずむにのせて、おなじような母音の歌詞を、しゃべるように歌えばいいのですか?」

P「そうだ。困ったときはイェーイェーワンツーチェケラッチョって仕切り直せば良い」

貴音「はぁ・・・」

P「・・・なんだ、あんまり乗り気じゃないみたいだな」

貴音「・・・・・・」

P「そもそもお前の仕事先やプライベートでの大食漢っぷりが当初のミステリアスお姫様イメージに泥を塗って
アイドルとしての仕事がさっぱり無くなったって自覚はあるんだよな?」

貴音「・・・・・・申し訳、ございません」

P「その無駄なハングリー精神を己のマインドにして這い上がるんだ!パッと見高貴な、しかし泥臭く強くこの世を生きる!
今のお前の表現手段はヒップホップがうってつけなんだよ!!!」

貴音「そ、そうですか・・・まだ色々とひっぷほっぷというものに対して勉強不足なのですが、プロデューサーがそこまで強くおっしゃることでしたら、
全力でひっぷほっぷを表現してみせます・・・!」

P「よし、じゃあまずは詞を書いて来い」

貴音「?!お、お言葉ですが そういったものは今までのように楽曲を用意していただけるものとは違うのですか」

P「は?ヒップホップの歌詞を歌う本人以外が書かなくてどうすんだよ。それっぽいの自分で考えて書け。
ヒップホップなめんなよ」

貴音「し、しかしいきなり書けと言われても・・・」

P「じゃあテーマは俺が決めてやる・・・うーん、そうだな・・・・!!『メーンYO!』でどうだ?!
お前の口癖をサンプリングインスパイアしてやったぞ!名案だべコレ?wwwwwww」

貴音「・・・・??」

貴音「さきほどから聞きなれない横文字が多くてついていけないのですが・・・」

P「サンプリングとかインスパイアは平たく言うとモノマネ的なパクりだ」

貴音「それは・・・許されるのですか?」

P「ヒップホップてのはな、言ったもん勝ちな世界だ。『元々はお前の発案したものかもしんないけど、俺がさらに上手く料理してやったぜむしろ感謝しろ^^』
っていう表現が許される世界だ。そうやって競って発展していったんだからな」

貴音「はぁ」

貴音「その、『めーんよー』というのはどんな意味があるのですか?」

P「『よぉ、お前ら!』って意味で大体あってる。お前ら、つまり大衆を振り向かせてあとは貴音の主張したいことをラップにして
歌い上げるんだ。なんでもいい。できれば攻撃的な内容がいいな」

貴音「はぁ・・・」

P「アニマスはクソだ!とか、なんなら同じ事務所の春香とかに対して批判中傷した歌でもいい」

貴音「そ、それは・・・」

P「お前は悔しくないのか!!?」

貴音「?!」

P「お前はアイドルとしては失格、ペケ、不合格、脱線者ゾーンに弾き飛ばされたウンコそのものなんだぞ!!」

貴音「・・・・・・ッ・・・・・・」

P「しかし一方で春香たちは手厚く育成されキラキラとしたステージに立ち続けてられているんだぞ?!
ついこないだまで同じ釜の飯食ってきた仲なのに!」

貴音「・・・・・・・・・・・・」

長年連れ添った仲の良い老夫婦がいて
「片方が先に死んだら、さみしくないように壁に埋めよう」
と言い交わしていた。
しばらくして、婆さんが先に死んだ。
爺さんは悲しみ、約束通り婆さんの死骸を壁に埋めた。
すると、ことある事に壁の中から「じいさん、じいさん…」と婆さんの呼ぶ声がする
爺さんはその声に「はいはい、爺さんはここにいるよ」と答えていたが。
ある日、どうしても用事で出なくてはいけなくなったので村の若い男に、留守番を頼んだ。
男が留守番をしていると、壁の中から婆さんの声がする

「じいさん、じいさん…」
男は答えた。
「はいはい、じいさんはここにいるよ」
最初のうちは答えていた。
けれどしかし、婆さんの声はなんどもなんども呼んでくる。
「じいさん、じいさん…」
やがて、男は耐えきれなくなって叫んだ。
「うっせえ! じいさんはいねーよ!」
すると、壁の中から鬼の形相をした老婆が現れ、「じいさんはどこだあ!」と叫んだ。
すると突然、まばゆいばかりのスポットライトが飛び出したばあさんを映し出す
「JI-I-SA-Nは」「どこだ!」ステージにばあさんの声が響く
詰め掛けたオーディエンスはばあさんの久々のステージに期待で爆発しそうだ
今晩も伝説のリリックが聴ける。ストリート生まれヒップホップ育ち。本物のラップが聴けるのだ
キャップを斜めに被りオーバーサイズのTシャツをきたじいさんがターンテーブルをいじりながら目でばあさんに合図する
重たいサウンドがスピーカーから響く。ショウの始まりだ
「 ここでTOUJO! わしがONRYO! 鬼のGYOUSO! ばあさんSANJYO! 
 違法なMAISO! じいさんTOUSO! 壁からわしが呼ぶGENCHO!
 (ドゥ~ン ドゥンドゥンドゥ~ン キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)
 年金減少! 医療費上昇! ボケてて大変! 食事の時間!
 冷たい世間を生き抜き! パークゴルフで息抜き!
どこだJI-I-SA-N老人MONDAI! そんな毎日リアルなSONZAI!
 SAY HO!(HO!) SAY HO HO HO HO!」
じいさんのプレイも好調だ。オーディエンスの熱狂はこわいくらいだ
まだ俺らの時代は始まったばかりだ、そんなメッセージがマシンガンのようにばあさんの口から飛び出していく
本物のヒップホップ。それがここにあるのだ

貴音「・・・わかりました・・・私なりに書かせていただきます」

P「おう、おまえのトップオブザヘッド、しかと聞かせてくれ」

それから貴音は何も飲まず食わずのまま、極限の空腹状態のままがむしゃらに歌詞を書き続けた

Pに添削してもらいながら、己のヒップホップイデオロギーを構築しながら模索し続けた――

そして完成した再デビューシングル「メーンYO!」。同じ事務所の春香や響を名指しで攻撃した衝撃作をリリース


そこに救いはあるのか、ないのか――




といったところでまた次回 おやすみなさい

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