リーネ「買い物するならブリタニアデパートで。屋上遊園地もあるよ」 (99)

―宮藤の部屋―

芳佳「うーん……」

リーネ「芳佳ちゃん、そろそろ訓練の時間だけど」

芳佳「あ、うん。すぐに行くよ」

リーネ「どうかしたの? 悩んでたみたいだけど」

芳佳「そろそろ色々と買い揃えないとなぁって思ってたの。着替えもないし。いつまでも坂本さんやバルクホルンさんにズボンの替えを借りるわけにもいかないし」

リーネ「そっか。ごめんね、芳佳ちゃん。買い物できるところに案内するって最初に約束してたのに……」

芳佳「いいの、いいの。毎日訓練ばっかりで大変だったし」

リーネ「芳佳ちゃん。今度のお休みの日に買い物行こうよっ。近くに大きなデパートもあるんだよ」

芳佳「デパート?」

リーネ「衣服や食料、雑貨、ラジオなんかの機器もあるし、屋上には遊園地もあるの」

芳佳「遊園地!? すごい!! 行ってみたい!!」

―滑走路―

美緒「買い物?」

芳佳「はいっ! 今度のお休みに外出許可をください!!」

美緒「どこまでいくつもりだ?」

リーネ「ブリタニアデパートです」

美緒「あそこか。構わないぞ」

芳佳「ぃやったぁ!」

リーネ「ありがとうございます」

美緒「我々もよく利用するしな」

芳佳「そうなんですか?」

美緒「特にルッキーニとエイラは暇さえあれば足を運んでいるようだが」

芳佳「ルッキーニちゃんとエイラさんが……」

リーネ「芳佳ちゃん、折角だからたくさん買い物しようね」

芳佳「うんっ」

美緒「さ、訓練だ、訓練。走れっ」

―食堂―

リーネ「これが広告だよ」

芳佳「わぁぁ……。いっぱいあるんだねぇ。扶桑にも似たようなところはあるけど、ここまで大きいのはないよぉ」

リーネ「そうなんだ」

芳佳「目移りするぅ」

シャーリー「あー。ハラへったぁ」

リーネ「シャーリーさん。今、用意しますね」

シャーリー「いいよ。自分でやるから。宮藤と話してろって」

リーネ「そ、そうですか?」

シャーリー「ふんふーん」

芳佳「リーネちゃん、リーネちゃん。台所用品なんかもあるよね?」

リーネ「勿論だよ。無いモノがないって言ったほうがいいかも」

芳佳「すごーい。今からたのしみぃー」

シャーリー「何が楽しみなんだ?」

芳佳「今度のお休みにデパートにいくことになったんですよー」

シャーリー「ブリタニアデパートか?」

リーネ「はい。芳佳ちゃんはまだ行ったことがないんで、私が案内をすることになったんです」

シャーリー「そうかぁ。あそこはいいぞぉ、宮藤ぃ?」

芳佳「どんなふうにですか?」

シャーリー「そうだなぁ。一言でいうなら飽きない。一日中遊べる」

芳佳「へぇぇ……」

シャーリー「まぁ、私の場合は工具と部品が売っている階を練り歩くだけなんだけどね」

芳佳「洋服とか見ないんですか?」

シャーリー「それはルッキーニと一緒に行ったときぐらいかな。服を買う場所は決めてるから」

芳佳「シャーリーさん、お洒落そうですもんね」

シャーリー「あそこはいい物もあるから、買ってもいいんだけどね」

リーネ「そういえばルッキーニちゃんもよく行っているって坂本少佐が言ってましたけど、シャーリーさんはいつも一緒ってわけじゃないんですか?」

シャーリー「最初のうちはよく行ってたね。一時期、ルッキーニは屋上の遊園地に病み付きになってたから。ブレーキ役がいないと帰ってこなかったぐらいにね」

芳佳「そ、そんなに楽しいところなんですか?」

シャーリー「宮藤も気をつけろよ?」

芳佳「もし帰れなくなったら……どうしよう……」

リーネ「その心配はないと思うけど、不安なら遊園地は行かないほうがいいかも」

芳佳「そ、それはそれで……」

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳「リーネちゃん、もし私に万が一のことがあったら止めてくれる?」

リーネ「うーん……自信ないよ。そうなったら私も一緒に遊んじゃうかも……」

シャーリー「あははは。かわいいなぁ、二人とも」

芳佳「だ、だって……」

シャーリー「なら、誰かに引率を頼めばいいんじゃない? 頼れる年上とかにさ」

芳佳「それなら……」

リーネ「やっぱり、坂本少佐かなぁ?」

芳佳「ミーナ中佐やバルクホルンさんもいいよね」

シャーリー「……」

芳佳「あ、シャーリーさんはどうですか?」

シャーリー「え? 私か? まぁ、頼れる年上っていったら、私になるかな。うん」

ミーナ「宮藤さんとリーネさんの引率?」

美緒「はじめてのおつかいじゃあるまいし」

シャーリー「でも、ほら、道に迷う可能性も」

ミーナ「そのためにリーネさんが案内するんじゃないの?」

リーネ「そうなんですけど……」

芳佳「だけど、坂本さん。私がルッキーニちゃんみたいになったら誰かが傍にいないと大変なことになりますよ」

美緒「ルッキーニ?」

ミーナ「ほら。以前にルッキーニさんが遊びすぎてデパート内に閉じ込められたことあったでしょう?」

美緒「あいつが閉店の時間に気が付かなかったときか。あのときは各所から苦言を呈されたな」

シャーリー「まぁ、そういうわけで、いいですか?」

美緒「宮藤。自制する自信がないということだな」

芳佳「はい」

美緒「……」

ミーナ「こうはっきり言われると、不安になるわね……」

美緒「一考しよう。ルッキーニの二の舞は御免だからな」

―ブリーフィングルーム―

美緒「――というわけで、貴重な時間をお前たちにも割いてもらったわけだが」

エイラ「はいはいはいはい!!!」

ミーナ「エイラさん、どうしたの?」

エイラ「年上でいいなら、私がやるっ」

美緒「お前がこういうことで張り切るとはな」

エイラ「よし。決まりダナ」

サーニャ「エイラ、ただ遊びにいきたいだけじゃ……」

エイラ「ち、ちがうぞ!!」

サーニャ「最新のメダルゲームが設置されたって昨日言ってたし……」

エイラ「あぁ!! それとこれとは関係ないってぇ!!」

美緒「……」

バルクホルン「少佐。私が引き受けても構わないが」

美緒「おぉ。そうか」

バルクホルン「シャーリーに引率させれば大幅に予定が狂うだろうからな」

シャーリー「なんだよ? そんなわけないだろ」

バルクホルン「知らないとでも思っているのか?」

シャーリー「な、何がだよ?」

バルクホルン「ルッキーニにあそこでの遊び方を教えたのは、他ならぬお前だろう。リベリアン」

シャーリー「……っ」

バルクホルン「リーネはともかく、宮藤にとっては未踏の地だ。お前が余計なことを吹聴することも十分に考えられる」

バルクホルン「そうなれば、第二のルッキーニが生まれるだけだ」

シャーリー「だから、そうならないようにだな……!!」

エーリカ「かといって、トゥルーデと一緒じゃ堅苦しすぎて、宮藤とリーネも楽しめないんじゃないのか?」

バルクホルン「買い出しで楽しむ必要があるのか?」

エーリカ「楽しく買い物したいよねぇ? 宮藤ぃ?」

芳佳「あはは……」

バルクホルン「何を言っているんだ、全く。いいか? 私物となるものを買いに行くにしても、軍人として規律ある行動を心がけてだな――」

美緒「バルクホルンに任せるのも、シャーリーに任せるのも一長一短か」

ミーナ「この際、美緒が引率してみたらどうかしら?」

美緒「私か? しかしな……」

ペリーヌ「ダメですわ!! そんなこと!!!」バンッ!!

リーネ「きゃっ!? ど、どうしてですか?」

ペリーヌ「そ、それは……」

美緒「ペリーヌの言うとおりだ。私は買い物のアドバイスなどできないからな」

ミーナ「あら? それはリーネさんの仕事でしょう?」

リーネ「え?」

美緒「私は傍にいるだけでいいということか」

ミーナ「そうよ」

美緒「うむ……」

ルッキーニ「結局、誰が一緒にいってくれりゅのぉ?」

エーリカ「当日、ついていくのは誰だっけ?」

芳佳「私とリーネちゃんです」

エイラ「あと、エイラさんダナ」

ルッキーニ「ルッキーニちゃんもだよぉー」

美緒「……」

エーリカ「ハルトマン中尉も一緒ですよー」

バルクホルン「何を言っている、ハルトマン?」

美緒「……ミーナ」

ミーナ「なに?」

美緒「引率、頼めるか?」

ミーナ「わ、私が? 駄目よ。仕事もあるし」

美緒「いいじゃないか。息抜きだと思えば」

ミーナ「美緒……」

シャーリー「こら、エイラとルッキーニは違うだろ?」

リーネ「そ、そうですよぉ」

エイラ「なんだよぉー。差別すんなぁ」

ルッキーニ「つれていってー!!」

エーリカ「あそこの地下にさぁ、新しいケーキ店が出来たんだって。知ってた?」

芳佳「え!? そうなんですか!?」

美緒「では、宮藤、リーネを引率するのはミーナで決定だ。二人ともミーナの言うことを聞くようにな」

芳佳・リーネ「「了解」」

バルクホルン「……」

シャーリー「あぁー。新しい工具が入ってないか見ておきたかったんだけどなぁ」

芳佳「ありがとうございます、ミーナ中佐」

ミーナ「いいのよ。楽しみましょうね」

リーネ「はいっ」

エイラ「なぁなぁ。私はメダルゲームコーナに行っててもいいよなぁ?」

ルッキーニ「あたしは屋上ー!! にひぃ!!」

エーリカ「やったぁー。ケーキだぁ! おかしだぁ!!」

サーニャ「たのしみ……」

美緒「おい。名前を呼ばれなかった者は全員、待機だぞ」

エイラ「私の魔法させ使えば、開店から閉店までメダルゲームで遊べるんダ」

ルッキーニ「にゃは!! エイラ、メダルちょっとわけてー!!」

美緒「……」

―数日後 食堂―

ミーナ「二人とも朝食を済ませたらすぐに外にきてね。車の用意しておくから」

芳佳「あ、はい!」

リーネ「ありがとうございます」

ミーナ「いいのよ。それじゃ、待っているわね」

芳佳「いそごっ、リーネちゃん! ミーナ中佐を待たせちゃ悪いし!!」

リーネ「う、うん!! はむっ……はむっ……」

エイラ「たのしそうだなぁ……」

ルッキーニ「よしかたちばっかりずりゅいー」

美緒「お前たち。ゲンコツが足りんようだな」

ルッキーニ「あにゃ!?」

エイラ「ジョウダン ニ キマッテルダロ」

美緒「宮藤、くれぐれもミーナには迷惑をかけないようにな」

芳佳「気をつけます」

リーネ「はむっ……はむっ……」

―格納庫―

ペリーヌ「よっと……」

シャーリー「今から訓練か?」

ペリーヌ「ええ。あら、シャーリー大尉はこの時間はまだ……」

シャーリー「ああ。車の整備をしてたんだ。宮藤たちのためにね」

ペリーヌ「そうでしたの。もう出発されたのですか」

シャーリー「今しがたな。本当に楽しそうだったよ。まるでピクニックにでもいくのかってぐらいな」

ペリーヌ「そうでしょうね。宮藤さんなんかはそういったことをしているほうがお似合いですし」

シャーリー「軍人らしくないってことか?」

ペリーヌ「別に」

シャーリー「それを言ったらペリーヌだって、デパートの遊園地で遊んでても違和感がないと思うけどな」

ペリーヌ「わたくしは宮藤さんのようにお子様ではありませんわっ!!」

シャーリー「はいはい」

バルクホルン「シャーリー、ペリーヌ。ハルトマンを見なかったか?」

シャーリー「え? いや、見てないけど?」

―街道 車内―

芳佳「あの、ミーナ中佐。一階から順番に見ていくのって大丈夫ですか?」

ミーナ「そうね。あそこは広いし、ゆっくり見ていたら日が暮れるかもしれないわね」

芳佳「そうですかぁ……」

リーネ「見たいところを重点的に見ていって、あとはついででいいんじゃないかな?」

芳佳「それしかないよね」

ミーナ「うふふ。残念そうね」

芳佳「そういうわけじゃ……」

ミーナ「できるだけゆっくりしても構わないわよ。坂本少佐も時間はかけていいって言っていたでしょう?」

リーネ「それだとミーナ中佐に迷惑を……」

ミーナ「あら、引率を頼んでおいて今更そんなことをいうのかしら?」

芳佳「あ、すいません……」

ミーナ「ふふっ。冗談よ。私も久しぶりに羽を伸ばせるから、出来る限り時間を使いましょう?」

芳佳「は、はい!!」

ミーナ「あら? 通信が……。はい、こちらミーナ。どうかしたの? え? ハルトマン中尉?」

―基地 通信室―

バルクホルン「そうか、わかった。いや、大したことはない。少し姿が見えなくなって、もしやと思っただけだ。ああ、楽しんできてくれ」

美緒「どうだ?」

バルクホルン「一緒ではないようだ」

美緒「そもそもミーナがそんなことを許すはずもないだろうがな」

バルクホルン「ハルトマンのやつ、どこへ消えたんだ。いつもなら惰眠を貪っているはずなのに」

美緒「ふむ……」

シャーリー「ダメだ。どこにもいないよ」

ペリーヌ「お風呂場にもサウナにもいませんでしたわ」

美緒「そうか」

シャーリー「付いていったわけじゃないよな?」

バルクホルン「ミーナに確認をとったが、一緒ではないそうだ」

ペリーヌ「まぁ、いくらハルトマン中尉でもそのようなことをするとは思えませんわね」

美緒「……シャーリー。ルッキーニは一緒じゃないのか?」

シャーリー「ルッキーニ? さぁ……。どっかで寝てるんじゃないですか?」

―ブリタニアデパート 駐車場―

リーネ「ここだよ、芳佳ちゃん」

芳佳「わぁー!! すごーい!!! おおきいー!!! 本当になんでもありそー!!!」

リーネ「ほら、上を見て」

芳佳「おー!! 観覧車だぁー!!!」

リーネ「結構、大きいでしょ?」

芳佳「うんっ!! 最後に乗ろうね!!」

リーネ「勿論だよ」

芳佳「ぅわぁーい!!」

ミーナ「二人ともあまり騒がないでね。他のお客さんもいるのだから」

芳佳「あ、すいません」

ミーナ「さ、どこから行く?」

芳佳「あの、服を!! 新しいズボンも欲しいんです!!」

ミーナ「分かったわ。行きましょう」

芳佳「わーい。たのしみー」

―衣服売り場―

リーネ「ここがデパートの4階、服を売っているところだよ」

芳佳「いっぱいあるぅー!!」テテテッ

ミーナ「宮藤さん」

芳佳「す、すいません……つい……」

ミーナ「私は向こうのほうを見てくるわね。何かあったら呼んで」

芳佳「え? ミーナ中佐?」

ミーナ「ふんふふーん」

芳佳「……」

リーネ「ミーナ中佐、昨日の夜真剣に広告を読み漁っていたから……」

芳佳「そ、そうなんだ」

リーネ「ミーナ中佐は大丈夫だから。ほら、私たちも行こうよ。ズボンはこっちだよ」

芳佳「うんっ」

リーネ「あ、ちょっと待って。この服かわいい……」

芳佳「ホントだぁ。リーネちゃんに似合いそう」

ミーナ「うーん。こういう服もいいわね。美緒、着てくれるかしら……」

ミーナ「あら、また通信機が……。はい?」

美緒『ミーナ。そちらにハルトマン、ルッキーニ、エイラ、サーニャは居ないか?』

ミーナ「え? いないわよ。何を言っているの?」

美緒『そ、そうか……』

ミーナ「どうしたの?」

美緒『基地から4人が姿を消した……』

ミーナ「なんですって? よく探したの?」

美緒『ああ。基地にいる者たちが総出で探したがどこにもいない』

ミーナ「……」

美緒『……車のトランクは見たか?』

ミーナ「まさか。確認なんてしてないわ」

美緒『ミーナ、もしものときは頼む』

ミーナ「私一人で? そんなの無茶よ……」

美緒『分かっている。すぐに応援を向かわせる。心配するな』

芳佳「リーネちゃん、これなんてどうかなぁ?」

リーネ「うーん……。芳佳ちゃんはもっとフリルのついた服がいいかも」

芳佳「こんなの着た事ないよー」

リーネ「似合うよー。ベルトもしてみる?」

芳佳「えー? 似合うかなー?」

リーネ「芳佳ちゃんは可愛いから何でも似合うよー」

芳佳「じゃあ、着てみるねっ」

リーネ「うん」

芳佳「すいませーん!! この服、試着させてくださーい!!」

リーネ「芳佳ちゃん、わざわざ言わなくても大丈夫だよ!!」

ミーナ「リーネさん」

リーネ「ミーナ中佐?」

ミーナ「すぐに戻ってくるからここにいてね」

リーネ「え? なにかあったんですか?」

ミーナ「車に忘れ物をしたかもしれないのよ。少し見てくるわ」

リーネ「忘れ物って……。お金以外に持ってきたものってあったかな……?」

リーネ「……」

芳佳「――リーネちゃん、どうかな!?」バッ

リーネ「わぁ。素敵っ。やっぱり、芳佳ちゃんは何でも似合うね」

芳佳「えへへ。ありがとう。でも、これ、値段みたら結構するんだね……。買おうか悩む……」

リーネ「芳佳ちゃん、お金そんなに持ってきてないの?」

芳佳「かわいい服をいっぱい買っても、着る機会があまりないでしょ? だから……」

リーネ「そっか。扶桑の制服を着てないといざってとき困るもんね」

芳佳「だから、どうしようかなって。無駄遣いはしたくないし」

リーネ「そっか。でも、気に入ったのがあれば買ってもいいと思うよ。お休みの日や気分を変えたいときに着るのもいいし」

芳佳「そうだね。それじゃ、一着だけ買っちゃおうかな」

リーネ「……ねえ、芳佳ちゃん」

芳佳「どうしたの?」

リーネ「ミーナ中佐、何か荷物になるもの持ってきてたっけ? さっき、忘れ物をしたかもっていって駐車場まで戻ったみたいなんだけど」

芳佳「え? 知らない。何も持ってきてなかったと思うけど……?」

リーネ「様子が変だったんだ、ミーナ中佐の」

芳佳「何かあったのかな?」

リーネ「……そういえばここに来る途中、バルクホルンさんから通信がはいったよね」

芳佳「ハルトマンさんがいないって言ってたね」

リーネ「それと関係してるのかな」

芳佳「どういうこと?」

リーネ「例えば、ハルトマンさんがついてきたとか……」

芳佳「えぇぇ!? そんなこと……」

リーネ「ハルトマンさんならありえそうだけど」

芳佳「それじゃあ、ミーナ中佐はハルトマンさんを探しにいったの?」

リーネ「分からないけど」

芳佳「本当にそうなら大変だよ。リーネちゃん、ミーナ中佐のところに行こう! 私たちも一緒に探そうよ!! バルクホルンさんだって心配してるだろうし!!」

リーネ「でも、買い物……」

芳佳「そんなのあと!! はやくっ!!」

リーネ「あ、芳佳ちゃん!! まってー!!」

ミーナ(結局、トランクの中にもいなかった……)

ミーナ(といっても、私たちが移動してから外に出たのだとしたら、もうこのデパート内に……)

ミーナ「一応、探さないといけないわね……。もう……折角、遊べるとおもったのに……」

ミーナ(まずは二人と合流して――)

ミーナ「……あら?」

ミーナ(宮藤さんとリーネさんはここで試着していたはず……)キョロキョロ

ミーナ「……いない」

ミーナ「宮藤さーん、リーネさーん」

ミーナ「うそ……」

美緒『――ミーナ。応答してくれ』

ミーナ「は、はい!!」ビクッ

美緒『今、そちらにバルクホルンとペリーヌが向かった。合流してくれ』

ミーナ「あ、あの……美緒……」

美緒『どうした? 声が震えているぞ?』

ミーナ「宮藤さんと……リーネさんも……いなくなったのだけど……」

―駐車場―

芳佳「ミーナ中佐、いないねー」

リーネ「入れ違いになったのかなぁ」

芳佳「戻ろうよ」

リーネ「うん」

ペリーヌ「お二人とも!!」

芳佳「あ、ペリーヌさんとバルクホルンさん」

バルクホルン「ミーナはどうした?」

リーネ「それが逸れちゃったみたいで……」

ペリーヌ「はぁ!? 貴方たち何をしていますの!?」

芳佳「ご、ごめんなさい!!」

バルクホルン「ミーナが迷子になったのか?」

芳佳「それは……」

リーネ「どっちだろうね?」

ペリーヌ「まぁ、いいですわ。とにかく行きましょう。ここに4人がいる可能性が高いのですから」

―1階 食料品売り場―

芳佳「えぇぇ!? ハルトマンさんたちがいないんですか!?」

リーネ「やっぱり……」

バルクホルン「少佐も私もお前たちに付いていったと見ている。ミーナにもそれは伝えている」

芳佳「それじゃあミーナ中佐は今、デパート内を捜索しているんですか?」

バルクホルン「恐らくな」

ペリーヌ「さてと、ルッキーニさんはこういう場所にいるはず……」

芳佳「私たちも探します!!」

バルクホルン「いや、お前たちはミーナと合流しろ。もしかしたらミーナも二人のことを優先して探しているかもしれないからな」

リーネ「そ、そうですね」

芳佳「リーネちゃん、4階に戻ろう!!」

リーネ「うんっ」

バルクホルン「私は暫くここにいるからミーナとともに戻ってきてくれ」

芳佳「わかりました!!」

ペリーヌ「ルッキーニさーん。どこですのー? お菓子なら一つだけ買ってもよろしいですわよー」

―4階 衣服売り場―

芳佳「ミーナ中佐ー!!!」

リーネ「芳佳ちゃん、しーっ。他のお客さんが見てるから」

芳佳「あ、ごめん」

リーネ「でも、いないみたいだね」

芳佳「どうしよう?」

リーネ「こういうときは同じ場所に留まるほうがいいっていうけど」

芳佳「そっか。ここで待っていればミーナ中佐も見つけてくれるよね」

リーネ「うん」

芳佳「……」

リーネ「……」

芳佳「服を見てても怒られないよね?」

リーネ「うん、それぐらいなら……」

芳佳「えっと、それじゃあ――」

ミーナ「いたっ!! 宮藤さん!! リーネさん!!」

芳佳「あ!! ミーナ――」

ミーナ「心配したでしょう!?」ギュッ

リーネ「むぐっ……!?」

芳佳「ミ、ミーナ中佐……」

ミーナ「ここに居なさいっていったのに……!!」

リーネ「ご、ごめんなさい」

芳佳「あの、何かあったんじゃないかって思って……それで……」

ミーナ「……もう。でも、よかったわ。さ、行きましょう」

芳佳「どこに行くんですか?」

ミーナ「買い物の続きよ。まだ何も買っていないでしょう?」

リーネ「でも、バルクホルンさんとペリーヌさんが合流してほしいって」

ミーナ「もう着たの? ああ、そうね。丁度、それぐらいよね」

芳佳「買い物よりもハルトマンさんたちを探しましょうよ」

リーネ「はいっ」

ミーナ「そうね。それじゃあ、早く見つけて買い物を再開させましょう。――魔法を使うわ」

―7階 遊戯場―

エイラ「……ここだ」ピッ

ルッキーニ「おぉぉ!! いっぱいでてきたぁー!!!」

エイラ「ダロ?」ジャラジャラジャラ

ルッキーニ「エイラ、メダルわけてー!!」

エイラ「もってけもってけ。いっぱいあるからな」

ルッキーニ「にゃはははー!!」

エイラ「億万長者ダー」

ルッキーニ「さいこー!!!」

ミーナ「私にも分けてくれるかしら?」

エイラ「いいぞ、いいぞ」

芳佳「わー。メダルが取り出し口にあふれてますよぉー」

エイラ「私が魔法を使えばこれぐらい余裕だかんな」

ミーナ「本当に凄いわね。エイラさん?」

エイラ「ダロー? あははは――」

リーネ「こっちです」

ペリーヌ「もう見つかりましたの?」

バルクホルン「ペリーヌの予想に反して上階に来ていたのか」

ペリーヌ「申し訳ありません……」

リーネ「いえ。ミーナ中佐がいうにはルッキーニちゃんとエイラさんだけみたいで――」

「うぇぇぇぇぇぇん!!!!!」

ペリーヌ「あら、迷子かしら?」キョロキョロ

バルクホルン「この声は……ルッキーニだ」

リーネ「あっちです!!」

ルッキーニ「ごめんなざぁぁぁぁい!!!!」

エイラ「やめてくれぇ……もうゆるしてくれぇぇ……ぐすっ……わるかったぁ……」

ミーナ「顔をあげなさい」

芳佳「あの、ミーナ中佐……そのへんで……」オロオロ

バルクホルン「ミーナ!!」

ペリーヌ「こ、これは……お、おぞましい……」

リーネ「あぁぁ……」

ルッキーニ「うえぇぇぇん!!!」

ミーナ「静かにしなさい。他のお客さんに迷惑でしょう?」

ルッキーニ「うじゅっ」ビクッ

ミーナ「……」

バルクホルン「ミーナ。もういいだろう」

ミーナ「よくありません。貴方たち、坂本少佐やバルクホルン大尉を心配させて楽しいの?」

エイラ「……」

ルッキーニ「ごめっ……なさ……」

ミーナ「それに今日は――」

サーニャ「エイラー、メダルわけて」テテテッ

芳佳「サーニャちゃん……!?」

サーニャ「あ……」

ミーナ「……ここでは目立つわね。三人とも人目につかないところに行きましょうか?」

サーニャ「……」

芳佳「バ、バルクホルンさん、止めてください……」

バルクホルン「無理だ。完全にスイッチが入っている」

リーネ「そ、そんな……」

ペリーヌ「自業自得ですわ。まぁ、少し可哀相ですけど。それよりも残るは……」

バルクホルン「ハルトマンだけだな。こうなったら、奴もここにいるはずだ」

ペリーヌ「この階にはいないようですが……」

バルクホルン「神出鬼没だからな、あいつは」

芳佳「そういえばハルトマンさん、地下のケーキ店がどうのって言っていた気がしますけど」

バルクホルン「地下か。ペリーヌ、いくぞ」

ペリーヌ「はい」

リーネ「……でも、サーニャちゃんまで一緒なんてどうしたんだろう」

芳佳「誘われたのかな……」

リーネ「誰に?」

芳佳「ハルトマンさんかエイラさんに。サーニャちゃん、断りきれなくて……とか」

リーネ「……」

ミーナ「――お待たせ、二人とも」

芳佳「ミーナ中佐!! あの、みんなは……?」

ミーナ「みんな聞き分けが良いから、分かってくれたわ」

リーネ「そ、そうですか」

芳佳「あの、どうしてみんなは付いてきちゃったんですか?」

ミーナ「……ルッキーニさんとエイラさんはどうしても遊びたかったそうよ。最近、ここへは来てなかったから」

リーネ「サーニャちゃんは?」

ミーナ「サーニャさんは宮藤さんと一緒で一度も来た事がなかったから、つい一緒に来てしまったみたいね」

芳佳「それじゃあ、ずっと前から……私が来る前から行きたかったってことですか?」

ミーナ「そういうことね」

芳佳「……」

バルクホルン『ミーナ。応答してくれ』

ミーナ「どうしたの?」

バルクホルン『地下1階でハルトマンを拿捕した。新しくオープンしたケーキ店に来たかったそうだ』

ミーナ「すぐに行くわ。逃がさないようにね」

―駐車場―

ミーナ「それではバルクホルン大尉、4人の護送は任せます」

バルクルン「了解。この車両を使わせてもらうが構わないか?」

ミーナ「そうね。3時間後に迎えにきてもらえれば」

バルクホルン「よし。行くぞ、お前たち」

ルッキーニ「うじゅぅぅ……」

エイラ「ごめんな、サーニャ……わたしのせいで……」

サーニャ「いいえ。覚悟の上だったから」

エーリカ「……」

ペリーヌ(中尉……表情に生気が感じられませんわ……)

ミーナ「――宮藤さん、リーネさんっ。買い物を続けましょうか」

芳佳「……あのぉ。帰ります」

ミーナ「え……?」

バルクホルン「宮藤、何を言っている? 今日はお前のためにこうして……」

芳佳「私、自分のことしか考えてませんでした。私がずっと楽しそうにしてたから、ルッキーニちゃんたちは堪え切れなくなって……こんなことを……」

リーネ「芳佳ちゃん!?」

ミーナ「宮藤さんが責任を感じることなんてないのよ?」

芳佳「責任とかそういうんじゃなくて……。私だけが楽しんでも、楽しくないっていうか……」

ペリーヌ「貴女はただ買い物に来ただけでしょう? 何を言っていますの?」

芳佳「私は楽しく買い物がしたいです」

バルクホルン「宮藤。あのな……」

芳佳「わ、わかってます。これは私の我侭です。でも、もう買い物をする気にはなれないんです……すいません……」

ミーナ「……」

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳「ごめんなさい。ミーナ中佐。ごめんね、リーネちゃん」

ペリーヌ「貴方たちの所為ですわよ?」

エイラ「うぐっ……」

サーニャ「すいません」

ルッキーニ「ごめぇぇぇん……よしゅかぁぁ……」

芳佳「いいの。また今度のお休みに来るから。さ、帰ろうよ。ルッキーニちゃん」

バルクホルン「……仕方ない。だが、車は定員オーバーだ。どちらにせよ宮藤たちは待っていろ」

芳佳「はいっ」

バルクホルン「ハルトマン。運転を頼むぞ」

エーリカ「はい……」

ペリーヌ「ほら、お乗りなさい」

エイラ「あぅ……」

バルクホルン「すぐに戻ってくる。待っていてくれ」

ミーナ「ええ」

バルクホルン「全員、乗ったか? さ、いけっ」

エーリカ「りょうかぁい……」

芳佳「……」

リーネ「芳佳ちゃん、気にすることなんてないのに」

芳佳「ごめんね。観覧車はまた次の機会に乗ろうね」

リーネ「……うんっ」

ミーナ「はぁ……」

―基地 格納庫―

バルクホルン「ほら、しっかり歩け」ドンッ

エーリカ「うぁぁ……」ヨロヨロ

美緒「戻ったか。随分とやられたようだな」

バルクホルン「仕方ないだろう」

シャーリー「ルッキーニっ」

ルッキーニ「シャーリー……」

シャーリー「せめて私に一言告げてからじゃないと擁護できないだろ」

美緒「そういう問題ではない」

バルクホルン「シャーリー。宮藤たちを迎えにいってくれ」

シャーリー「は? まだ買い物の時間だろ? もう終わったのか?」

バルクホルン「宮藤がハルトマンたちを気の毒に思ったらしくてな。もう買い物はいいと」

美緒「……困った奴だな」

エイラ「反省してる」

美緒「お前ではない。宮藤だ。――シャーリー、車を回せ。私も運転する」

―ブリタニアデパート 駐車場―

芳佳「……」

ミーナ「宮藤さん? 屋上が気になるならせめて遊んでからでも……」

芳佳「え? そんな!! いいですよぉ!!」

ミーナ「我慢しなくても……」

芳佳「我慢なんてしてません。ここならいつでも来れますし」

ミーナ「そうだけど」

リーネ「あ、来たよ!」

ミーナ「あら……? どうして二台も……?」

芳佳「……?」

美緒「――みやふじー!!!」

芳佳「坂本さん!?」

ミーナ「美緒!? どうしたの!?」

美緒「迎えにきただけだ。全員でな」

リーネ「全員でって……」

シャーリー「よー。宮藤、リーネ。買い物まだなんだろ? なら、行ってきなよ」

芳佳「で、でも……もう……」

美緒「全員がここで遊べればお前も満足だろう?」

芳佳「えぇぇ!?」

ミーナ「美緒!! 何を言っているの!? いつネウロイの襲撃があるのかわからないのに!」

美緒「心配するな。万が一のために後ろの車両にはストライカーユニットを積んである」

ミーナ「何もそこまで……」

美緒「二度はしないさ。だから今回は特例として許してくれ。私も新しい服が欲しいと思っていたところだったんだ。はっはっはっは」

ミーナ「知っているわ。だから、私が買っていこうと……思って……」

美緒「宮藤。服はどこに売っている?」

芳佳「え? え? あのー!?」

美緒「リーネもいくぞ!! はっはっはっは!!!」

リーネ「ま、まってー!!!」

ミーナ「あ……」

シャーリー「中佐も一緒にどうぞ。こっちの引率は私とバルクホルンでやりますから」

―衣服売り場―

美緒「ここかぁ。私にぴったりの服はどこにあるんだ、宮藤?」

芳佳「坂本さん……」

美緒「どうした?」

芳佳「私のためだけにこんなことしなくても」

美緒「自惚れるな」

芳佳「え?」

美緒「お前一人のためだけに全員が基地を離れるものか」

リーネ「坂本少佐、それって……」

美緒「なぁ、ミーナ? 我々はそんなに甘くはないな?」

ミーナ「え、ええ……」

美緒「話し合った結果だ。全員がここに来たいと申し出た。ならば、一回ぐらいはいいだろうと私が判断した。お前のためではない」

芳佳「……」

リーネ「芳佳ちゃん。選ぼうよっ。私も一緒に探すから」

美緒「できれば私のも見繕ってくれ」

リーネ「芳佳ちゃーん!! これどうかなー!?」

芳佳「こ、これ……? ドレスみたいだけど……」

リーネ「着るだけ着るだけ」

芳佳「あぁ、リーネちゃん。おさないで」

美緒「うーむ……」

ミーナ「美緒。これなんてどうかしら?」

美緒「おいおい、ミーナ。私にこんな服は無理だ。ルッキーニに勧めてやれ」

ミーナ「あら? そうかしら? 私は似合うと思うけど?」

美緒「腹が丸見えになるぞ」

ミーナ「それがいいんじゃない」

美緒「しかし……」

ミーナ「ほら、試着してみて」

美緒「分かったから、ひっぱるな」

シャーリー「……バルクホルンはいいのか? 見ていかなくて」

バルクホルン「問題ない。いくぞ」

―遊戯場―

シャーリー「ほら、好きなだけ遊んで来い。ここにいるから」

エイラ「……」

シャーリー「どうした? 基地を抜け出してまで遊びたかったんだろ?」

エイラ「無理にきまってるだろー!! 怒られたばっかだぞ!!」

シャーリー「あははは。だろうなぁ。だから、基地にいろって言ったのにさ」

エイラ「そうすると宮藤とリーネが帰ってくるだろ。凄く楽しみにしてたのに」

シャーリー「中佐も熱心に広告みてたからなぁ」

エイラ「……」

シャーリー「こうなること、少し考えれば分かるはずだろ?」

エイラ「すぐに帰るつもりだったんだ」

シャーリー「はいはい」

エイラ「……宮藤とリーネのところに行ってくる」

シャーリー「おぉ。そっか。おーい、バルクホルン。エイラも宮藤たちと一緒に行動したいってさ」

バルクホルン「ルッキーニとサーニャも同意見のようだ。ハルトマンは……勝手についてくるだろう」

芳佳「――どうかな?」モジモジ

リーネ「うんっ。こういう大人っぽい服もいいねっ」

芳佳「ありがとう。でも、ペリーヌさんには笑われそう……」

ペリーヌ「では、お望み通りに笑ってさしあげますわ。おーほほほ。まるで似合いませんわ。馬子にも衣装ともいえませんわねぇ」

芳佳「なぁ……!?」

リーネ「ペ、ペリーヌさん!! 芳佳ちゃんに失礼ですよ!!!」

ペリーヌ「リーネさんのコーディネートもそれなりではありますが、ここはわたくしの選んだ服を――」

芳佳「ペリーヌさん!!!」

ペリーヌ「な、なんです!?」

芳佳「リーネちゃんに謝ってください!!! この服、リーネちゃんが一生懸命選んでくれたんですよ!!!!」

ペリーヌ「ちょっと……」

リーネ「芳佳ちゃんに謝ってください!!!」

芳佳「リーネちゃんに謝って!! ペリーヌさん!!!」

ペリーヌ「あぁ……あの……もうしわけありません……」

芳佳「もう!!」

シャーリー「おいおいー。静かになー。注目の的だぞー」

芳佳「シャーリーさん。すいません」

ルッキーニ「よっしかぁー!! この服はどうどうー!?」

芳佳「え? これ? こんな水着みたいな服はちょっと……」

エイラ「じゃあ、こっちだ。私も同じ奴もってるんだ」

芳佳「エイラさんまで!?」

サーニャ「芳佳ちゃん、これどう? ナイトウィッチが好んで着るんだけど……」

芳佳「こんな透けてるの無理だよー!!!」

リーネ「あ、あの!! みんな!! 順番に……」

エイラ「リーネもこれどうだ? 胸が強調されるぞ?」

リーネ「い、いやです!!」

エイラ「着るだけ着るだけ」

リーネ「やめてぇー!!」

ペリーヌ「……わたくしの選んだ服……」

シャーリー「少佐たちはどこかなーっと」

美緒「うーむ……。やはり、腹が冷えそうだな」

ミーナ「そんなこと言わないの」

美緒「背中も見えているしなぁ……」

ミーナ「そこがかわいいのよ」

美緒「分からん。これが流行なのか?」

バルクホルン「私もそういうのはよく分からない。ハルトマンはどう思う?」

エーリカ「ん? まぁ、いいんじゃない?」

シャーリー「お。いたいたー。バルクホルン、向こうが大騒ぎだから頼むよ」

バルクホルン「なに? 何を騒いでいるんだ、あいつらは……」

シャーリー「たのむなー」

美緒「シャーリー、この服装はやはり似合わないだろう?」

シャーリー「いや、いいんじゃないですか? 少佐ならお腹をだそうが、背中を出そうが着こなせてますよ。やっぱり、容姿がかっこいいって大きいですよ」

美緒「シャーリーがそういうなら、真に受けてみるか」

ミーナ「やった。それなら、こっちもどうかしら?」

美緒「ミーナ、待て。私を着せ替え人形にするな」

―雑貨売り場―

芳佳「私専用の包丁が欲しかったんだぁ」

リーネ「そういえば、お鍋も欲しいって言ってたよね」

芳佳「それは基地にあるので十分だけど、包丁はしっくり来るのがなくて」

ルッキーニ「にゃはー。マグカップ買っちゃおうかなー?」

ペリーヌ「まだありますでしょう?」

ルッキーニ「あれには飽きたのー」

エイラ「勿体ないなぁ。壊れるまで使えよ」

サーニャ「エイラ。その枕、買うの?」

シャーリー「あぁー……バルクホルーン……」

バルクホルン「どうした?」

シャーリー「工具、いいのがなかった……」

バルクホルン「そうか」

美緒「ほう? 夫婦茶碗まで置いているのは知らなかったな」

ミーナ「それ、買う?」

芳佳「買えましたー」テテテッ

美緒「よし。では、そろそろ帰るか。いつまでも基地を留守にするわけには行かないからな」

芳佳「はいっ! 今日は楽しかったです!!」

エイラ「色々とわるかったな、宮藤」

芳佳「そんな。エイラさんが選んでくれた服を買えて、私嬉しいですよ? 感謝するのは私のほうですよぉ」

エイラ「そ、そうか?」

ルッキーニ「リーネもあれ着るのぉ?」

リーネ「サーニャちゃんのオススメだから、買ってはみたけど……勇気が……」

エーリカ「もう終わり?」

バルクホルン「十分だろう。早く帰投するぞ」

リーネ「あ、あの!!」

シャーリー「どうした?」

芳佳「リーネちゃん?」

リーネ「う、うえ……に行きませんか……なんて……」

美緒「上? 7階にある遊技場か?」

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