ゆっこ「麻衣ちゃんなんか、大っ嫌い!!!」 (467)

私は東雲なのっていいます。

まず最初に、私はロボットです。

先日、私は初めて、自分からロボットであることを明かしました。
相手は、私の初めての、そして私の大切な友達。


相生祐子さん。


相生さんは、私の正体を知った後も、以前と変わらず、むしろ以前よりも私と親しくしてくださってます。

「なのちゃんの一番大切な秘密を一番最初に知れたんだし、嬉しいじゃん!」とのことです。

さらについ先日、2人目の人にロボットであることを明かしました。

相手は、時定高校に転入して一番最初に話しかけてくれた、私の大切な友達。


長野原みおさん。


長野原さんも、始めは驚いている様子でしたが、すぐに受け入れてくださいました。

「まさかそんなはずはと思ってたけど、何があるか分からないねー。」だそうです。

乙!

そして今日、3人目の人に明かそうと思います。

相手は、初日から自分のペース全開で、私と友達になろうとしてくれた、私の大切な友達。



水上麻衣さん。

これどっかで見た気がする

ゆっこ「いやー、それにしても最近寒いねー」
みお「ほんとだねー」
なの「もうすっかり冬ですね」


ゆっこ「でもさー、もしかしたらさ、麻衣ちゃんもう気づいてるかもね」
みお「あーたしかに、そっちの展開の方が麻衣ちゃんっぽいかも」

なの「それでもいいです、私なりにけじめをつけたいんです」

ゆっこ「おっ、いい覚悟だねー。それなら応援しちゃうよ!」
なの「はい、ありがとうございます!」

みお「でも、肝心の麻衣ちゃんがいないんだよね」
ゆっこ「ホームルーム終わったら一瞬で帰っちゃったしね。何かあるのかな?

どうする?今日はもう帰る?」

なの「そうですね……でも、思い立ったが吉日ともいいますし」
ゆっこ「え?……あ、あー吉日ね!確かにそりゃもう吉日だよ吉日!うん!」

なの「え、えっ?」
みお(絶対意味わかってないな……)


>>5
マジ?

二期やらないかな

ゆっこ「じゃあもうちょっと探してみようか」

なの「すみません、お手数かけます」
ゆっこ「いいのいいの、せっかくなのちゃんがその気になってるんだから。ね、みおちゃん」
みお「そーそー。私たちもしてあげられることはしてあげたいしね」

なの「ありがとうございます」

ゆっこ「あっ、いた!」

みお「えっ、どこ?」

ゆっこ「ほら、道路の向こう側」

みお「あっ、ほんとだ」

なの「何か持ってるみたいですね?」

ゆっこ「何だろうあれ・・・仏像?」

みお「新しい弥勒菩薩像でも貰ったんじゃないの。何か麻衣ちゃんの顔心なしか嬉しそうだし」

ゆっこ「言われてみれば確かに」

麻衣ってたしかゆっこにすげえ依存してる子だよな

麻衣ちゃんがゆっこに好きって言うとこ良かった

ゆっこ「じゃあなのちゃん、準備はいい?」

なの「えっ?」

ゆっこ「今から麻衣ちゃんのとこに行くよ!」グイ

なの「えっ!?あ、いや、ちょっと待って・・・」

みお「ちょっと待ってゆっこ」

ゆっこ「え?」

みお「麻衣ちゃんがこっちに気づいたみたいだよ」

ゆっこ「あ、ホントだこっち見てる」

なの(ほっ)

麻衣「……………」ジー


ゆっこ「麻衣ちゃーん、こっちこっち!」

麻衣「……………」ビシッ


ゆっこ「まさかのクラウチングスタート!」

みお「相変わらず麻衣ペースだなあ………」



ブロロロロ………


みお「え?」

二期希望。

ゆっこ「なのちゃん、心の準備は?」

なの「はい、もう大丈夫………」


みお「麻衣ちゃんストップ!!来ちゃダメ!!」

なの「え?」

ゆっこ「ちょっとみおちゃん、何言って………」



ブロロロロ………


ゆっこ「えっ?」

なの「と、トラック!?」

ゆっこ「麻衣ちゃん!止まって!!」

みお「ダメだよ、聞こえてない!」


麻衣「……………」ダッ


ゆっこ「麻衣ちゃん!!!」


なの「水上さん!!」ダッ

ゆっこ「なのちゃん!?」

麻衣「………?」



ブゥーン……


麻衣「!?」


ゆっこ「麻衣ちゃん、危ない!!!」


なの「水上さぁーん!!!」ダダッ


キキーッ

ガッシャーン

お前はまず腹筋スレへ行くんだ
話はそれからだ

日常とは珍しい

麻衣「……………」


「お、おい!大丈夫か嬢ちゃん!」ドタドタ

麻衣「……ぁ………」ヘタッ


「む、無傷?
そ、そんなはずは、トラックにぶつかって無事な人間がいるはず………え?」



プスプス

ガガ ピピー

なの「…………ぅ……」


「な、何だこいつ!?

と、トラック背中で受け止めて、全身ボロボロで、腕が取れてて………」


なの「……み、水上………さン………」




「ひっ!」

麻衣「あ、ああ………」


なの「ケ………け…ガは……あり……マ…………セん………デ…………s………………」


ブツッ

ドシャア


……カランッ

(´・ω・`)

ゆっこ「なのちゃん!!!!」


「ひぃー、ば、化け物ぉーー!!」ダダダダ


ゆっこ「あっ、待て!!」

みお「ゆっこもうそんなのほっときな!それよりなのちゃんが!!」

ゆっこ「なのちゃん!!なのちゃん大丈夫!?」


なの「」バチバチ


みお「ネジが……貫通して……」

ゆっこ「どうしようみおちゃん、なのちゃんが、なのちゃんがぁ!!」

みお「落ち着いてゆっこ!落ち着いてってば!」

麻衣「きゅ、救急車………」

ゆっこ「そ、それだ!みおちゃん電話!」

みお「なのちゃんに救急車呼んでも意味ないでしょ!」

ゆっこ「じゃあどうするの!?」

みお「だからちょっと待ってってば!

………そうだ、はかせのところだ!」

ゆっこ「それだ!じゃあ早くなのちゃんを!」

みお「どうやって運ぶの!?こんなにボロボロなのに!」

ゆっこ「そ、それは………」

みお「もうはかせに来てもらうしか………」


プップー

ゆっこ「!」


高崎「おい、道路の真ん中で何やってるんだ?危ないぞ?」

ゆっこ「高崎先生!」

みお「先生グッドタイミングです!」

高崎「何?」

ゆっこ「高崎先生、軽トラの荷台借りてもいいですか!?」

高崎「荷台?構わないが、どこへ行くんだ?」

ゆっこ「乗せてから言います!先生も手伝ってください!」

高崎「乗せるって何をだ………!?

こ、これは………!!」


なの「……………」プスプス

ゆっこ「先生!早くしないとなのちゃんが!」

高崎「わ、わかった、話は後で聞く!東雲を乗せればいいんだな!?」

ゆっこ「はい!」


高崎「せーの!」グイッ

みお「の、乗りました!」


高崎「よし!
相生、お前は助手席に乗れ!」

ゆっこ「はい!」

高崎「全員乗ったか!?」

みお「麻衣ちゃん早く!」


麻衣「………………」


みお「麻衣ちゃんってば!!」グイッ

麻衣「あっ…………」


みお「全員乗りました!」

高崎「よし!お前達頭は伏せてろ!
行くぞ!」

高崎「相生、どこへ行けばいいんだ?」

ゆっこ「ここを右に曲がって、あとはしばらくまっすぐで………」

高崎「わかった!」



ゆっこ「………なのちゃん…………」


高崎「…………なあ、相生。」

ゆっこ「?」



高崎「東雲のことなんだが………」


ゆっこ「!」

高崎「東雲のあの姿……あれは………」


ゆっこ「それは…………

……………」ギュッ


高崎「………いや、いい。

答えるのが辛いならこれ以上は聞かん」




ゆっこ「……すみません………」

高崎「謝らなくてもいい。誰にだってそんな質問ぐらいある。」

高崎「ところで、どこまでまっすぐ行けばいいんだ?」

ゆっこ「あっ、次の信号を左で、その先の高架をくぐったらすぐです!」


高崎(……しかし東雲のあの姿……あれじゃあまるで……)



なの「」バチ…バチ…

みお「なのちゃん………」


麻衣「………………」

みお「……麻衣ちゃん」


麻衣「………………」プルプル


みお「………麻衣ちゃんってば」


麻衣「(ビクッ)……………?」



みお「顔、汚れてるよ。はいタオル」


麻衣「……あ、ありがとう………」



キキッ


みお「あ、着いたよ」

ピンポーン

はかせ「はーい。

あれ、ゆっこどうしたの?」


ゆっこ「はかせ………」

はかせ「どうしたの?」


ゆっこ「……なのちゃんが………」

はかせ「なのが?」


ゆっこ「………ぅ……」プルプル

はかせ「ねえゆっこ、何で泣いてるの?」

高崎「俺が中まで背負って行く、降ろすぞ」

みお「はい」


はかせ「なの!?」

みお「あ、はかせ……」

高崎(この子が東雲の………)


はかせ「何でなのが壊れてるの!?ねえ何で!?」

みお「それが、なのちゃんちょっと車とぶつかっちゃって………」


ゆっこ「……はかせ………」

はかせ「?」

ゆっこ「なのちゃん、治る……?」


みお「ゆっこ………」


はかせ「……大丈夫だよ。

はかせに任せなさい!」

ゆっこ「……うん」


はかせ「おじさん!なのこっちにつれてきて!」

高崎「あ、ああ、わかった!」

居間


阪本(何事かと思って来てみれば………

こりゃただ事じゃなさそうだな)


ゆっこ「うぅ…………」

みお「いつまで泣いてんのよ。そもそも何でゆっこが泣いてんの」

ゆっこ「……だって………」

麻衣「……………」


高崎「……まあ、何だ。

あの娘の様子からすると大丈夫そうだし、そう気を落とすな。きっと治るはずだ」
ゆっこ「……はい」

期待

みお「でも、高崎先生が通りかかってよかったです。高崎先生が来なかったら今頃どうなってたか……」

高崎「たまたま用事が早く終わってな。しかし軽トラの荷台に人を乗せるのは本来法律違反なんだが……まあ仕方がなかったということにしておこう」


ビスケット「皆さんお揃いですか?」
ゆっこ「あ、ビスケット君。」

ビスケット「はかせは今手が離せないそうなので、僕が代わりに説明に来ました」

ゆっこ「なのちゃんは?大丈夫なの?」
みお「ゆっこ落ち着きなって」


ビスケット「結論からいうと、大丈夫だそうです」

ゆっこ「………!」
みお「ホントなのビスケット君?」

ビスケット「はい。
ネジが貫通した部分に少し特殊な部品が必要で、その部品が届くまで2日程かかるそうですが、その部品が届けばすぐにでも治せるそうです」


ゆっこ「……よかった………ホントによかった………!」ポロポロ
みお「まーた泣いてる。もう、だから心配しすぎなんだって」
ゆっこ「えへへ……」


ビスケット「ただ………」

全員「?」

高崎「何かあったのか?」


ビスケット「頭部を強く打ったようで、メモリーデータ、つまり記憶媒体の損失が著しいようで……」

みお「え、それってつまり……」
ゆっこ「私たちのこと、忘れちゃったってこと?」


ビスケット「いえ、そういうわけではありません。

媒体の中にあるデータは全て残っているんですが、どうもその状態が極端に不安定なんです」

高崎「というと?」

ビスケット「一応別の媒体にコピーして安定を測ったんですが、それは上手くいかず、今はいつ消えてしまってもおかしくない状態なんです」

ゆっこ「えっと……話がむつかしくて……?」

みお「つまりなのちゃんの記憶が無くなっちゃいそうってこと?」

ビスケット「簡単に言えばそうなります」

ゆっこ「そんな……何とかならないの?」

ビスケット「はかせも手を尽くしたんですが、どうにもデリケートなデータなのでこれ以上いじることもできないそうです……」

ゆっこ「なのちゃんの記憶が……消えちゃったらどうしよう……」

みお「き、きっとはかせが何とかしてくれるよ!ね?」

ゆっこ「……うん、きっとそうだよね。はかせは凄いもんね。」


高崎(さっきからデータだの媒体だの、まさかとは思っていたが……

いや、しかし本人はおそらく知られたくはなかったことだろう……)


ビスケット「そういえば、そちらの男性はなのさんが本当は……」

ゆっこ「あ、ビスケット君!」
ビスケット「え?」

みお「な、何でもないんです!ほんとに気にしないでください!」


高崎「何の話だ?」

全員「え?」


高崎「俺が今日知ったのは、東雲が車とぶつかって大怪我をしたこと、それだけだ。他には何も知っていないぞ?」

ゆっこ「先生………」

モミアゲなかなかイケメンやないか

ビスケット「……そうですか。それでは御三方とも、もう遅いですし、今日はこの辺りで……」

高崎「ああ、わかった」
ゆっこ「なのちゃんが治ったらまた来るね。」
みお「ちょっとの間だけ寂しいけど……


ん?御三方?」

ゆっこ「どうしたのみおちゃん?」



みお「麻衣ちゃんは?」

ゆっこ「え?麻衣ちゃん?


ほんとだ、いない!」

高崎「そういえばさっきから声を聞いてないな……」

みお「ねえビスケット君、もう1人メガネかけた髪の長い子見なかった?」

ビスケット「え?僕が来た時には部屋には御三方だけでしたよ」

みお「え、どういうこと?何で麻衣ちゃんがいないの?」

阪本「にゃー」

ゆっこ「?

あ、阪本いたんだ」

阪本「にゃー」チョイチョイ

ゆっこ「あれ、机の上に何か……手紙かな?」


みお「(……もしかして………

いや、さすがの麻衣ちゃんもそんなことするはず……)

ちょっと見せて」

ゆっこ「あ、うん」


みお「…………!」
ゆっこ「何て書いてある?」

みお「……………」グシャ

ゆっこ「えっ?ちょっとみおちゃん、まだ私読んで……」



みお「……見損なったよ麻衣ちゃん」ボソッ

ゆっこ「……えっ?」


みお「……もう帰るね」ポイ
ゆっこ「あ、ちょっとみおちゃん!」


みお「…………」ステステ

ゆっこ「みおちゃんってば!


帰っちゃった………」

高崎「何だったんだ?
その紙に何が書いてたのか………」
ゆっこ「ちょっと見てみます。

よいしょ、えーと………!」




『帰ります

水上』




ゆっこ「こ、これは……」
高崎「何て書いてあるんだ?」

ゆっこ「あ、いや、何でもないです!

何でも……ない…です……」

高崎「(明らかに何でもない反応じゃないが……まあいい)

そうか、わかった。じゃあ俺はそろそろ帰るが、家まで送るか?」

ゆっこ「あ、大丈夫です。もうちょっとなのちゃんも見ておきたいし」

高崎「わかった。じゃあまた明日、宿題やって来いよ」
ゆっこ「はい、さよならー」


ガラララ



ゆっこ「……………」ヘタッ

阪本「……やっと帰ったか」
ゆっこ「阪本………」

阪本「まあ、話は大体わかった。俺は誰が悪いなんて責めるつもりはねーし、娘が治るならそれで充分だ。

ただあのおさげの娘はそういうわけにもいかなそうだがな」

ゆっこ「……ねえ阪本」
阪本「ん?」

ゆっこ「麻衣ちゃんがいつ帰ったかとか、見てた?」

阪本「ああ、あのメガネの娘か。
あいつはビスケットが来る前にはもう帰ってたぞ」

ゆっこ「そっか………」

みおの夢の中の麻衣ちゃん好き

阪本「……おさげの娘が怒るのもわかる。見たところメガネの娘は普段からあんな素っ頓狂なことばっかしてそうだが、時と場合ってもんがあるわな」

ゆっこ「……そうだね………

……でも、いくら麻衣ちゃんでも、こんな時にこんなボケするなんて、私には信じられないよ」

阪本「まあ、あの娘が帰ったのは単なるボケじゃねーと思うがな」

ゆっこ「え、何で?」

阪本「その紙の裏見てみろ」

ゆっこ「裏?」ピラッ



ゆっこ「…………!!」

ゆっこ「……麻衣ちゃん………」

阪本「……何がどうなったか詳しくは知らねーが、どうもあの娘はうちの娘がぶっ壊れたのは自分のせいだ、とでも思ったるんじゃねーか?」

ゆっこ「……………」

阪本「本当にそうだったんならともかく、ただ単にメガネ娘の勝手な思い込みなら……」

ゆっこ「で、でも!でも……」
阪本「?」


ゆっこ「……た、確かに麻衣ちゃんのせいもあるけど、そうなんだけど……でも、麻衣ちゃんだけが悪いんじゃないっていうか、私たちにも責任はあるっていうか……私たちが麻衣ちゃんのことをちゃんと止められなかったからだっていうか………」


阪本「……俺に言ってどうすんだ」

ゆっこ「……………」

阪本「まあとにかく、お前に思うところがあるってんなら明日にでもあのメガネ娘をフォローしてやれ。そしたらちっとは変わるだろ」

ゆっこ「うん、わかった。
阪本って結構いいこと言うんだね、猫なのに」

阪本「そ、そりゃまあお前らより年上だからな」

ゆっこ「ありがと、明日なんとかしてみるよ。また何か手伝えることあったら教えてね」

阪本「おう、じゃあな」
ビスケット「それではお気をつけて」

ゆっこ「バイバーイ、また来るねー」ガラララ


ビスケット「……お帰りになられましたね」
阪本「だな」

はかせ「さかもとー、あついよぉ~……」

阪本「な、何やってたんだガキ?汗だくじゃねーか」

はかせ「クーラーつけたらなのの部品が悪くなっちゃうんだけど」

阪本「……思ったよりデリケートなもんなんだな

しかしだからってあの窓もない暑苦しい部屋にずっとこもってたのか?死ぬぞお前」

はかせ「はかせは大丈夫だし、早くなのを治してあげたいんだけど」

阪本「わかったから早く風呂入ってこい、風邪ひくぞ」

はかせ「はーい」

ビスケット「何とかなりそうでよかったですね」

阪本「だといいが……」

ビスケット「?」


阪本「何か嫌な予感がするんだよなぁ……」

(´・ω・`)私怨

翌日

ゆっこ「みおちゃんスラマッパギー!」

みお「あ、ゆっこおはよー。
昨日は大変だったね」

ゆっこ「そうだねー……って」

みお「?」


ゆっこ(麻衣ちゃんまだ来てないのかな……?)


みお「ゆっこ、どうかした?」

ゆっこ「あ、ううん。麻衣ちゃんまだなのかなーって思って」


みお「ああ……」

ガラララ


2人「!」

桜井「皆さんおはようございます、ホームルームを始めますよー」

みお「ほら、先生来たよ。早く座らないと怒られるよ」

ゆっこ「あ、うん……」

しえん

ゆっこ「はー、理科室まで行くのめんどくさいなぁ……」

みお「何でわざわざ理科室でしか出来ない実験するんだろうね」


田中「おい相生」

ゆっこ「え?
あ、田中。どしたの?」

田中「今日東雲休みなのか?」

ゆっこ「え?」

田中「今日実験だろ?俺あいつと同じグループなんだけどよ、朝から見てないなーと思ってよ」

ゆっこ「あ、えーと……実は……」

改行が安定しないな

田中「交通事故?」

ゆっこ「うん。昨日の帰りにね」

田中「それで、東雲は大丈夫なのか?」

ゆっこ「うん、命に別状とか、そういうのはないみたい」

田中「そーか、そりゃ不幸中の幸いってやつだな。じゃあ今入院とかしてるのか?」

ゆっこ「うん、そんな感じ」

田中「何だそりゃ?まあいいや、んじゃまあお大事にって言っといてくれ」

ゆっこ「うん、わかったー」



田中(交通事故……ね)

放課後


ゆっこ(結局、麻衣ちゃん来なかったなー……)

みお「どうしたのゆっこ、ボーッとして」

ゆっこ「あ、ううん。


ねえみおちゃん」

みお「?」

ゆっこ「今日麻衣ちゃん家行かない?」

みお「……何で?」

ゆっこ「え?だって昨日元気そうだったのに今日来てなかったから、ちょっと気になっちゃって……ね?だからさ……」

みお「……………」


>>64
すまんな

ゆっこ「……みおちゃん?」

みお「私はいいや」

ゆっこ「え?」


みお「ごめんね、今日ちょっとこの後用事あるんだ。だから今日は行けないや。麻衣ちゃんによろしく言っといてね」

ゆっこ「あ、そう?わかったー。じゃあまた明日ねー」

みお「うん、また明日ー」

みお「……………」トボトボ



……お見舞いくらい行ってもよかったかな……


私が意地になってるのかな……


……ゆっこには悪いけど、私麻衣ちゃんにちょっと、いやかなり引いちゃってる。


そりゃ、麻衣ちゃんがいつもフリーダムに暴れまわってるのは知ってるし、たまには腹が立つこともあったけど、
後になれば笑い話で済むレベルだったし。


でも今回のはちょっとダメだと思う。

自分の不注意で友達が大怪我したっていうのに、いつもの調子で置き手紙置いて、それで帰っちゃうって。


最初は目を疑ったもん。こんなことってあるの?って。


正直、私じゃなくても、ゆっこ以外の人だったら多分同じような気持ちになると思う。


いや、もしかしたらゆっこも心の中で……

……こんな考え方しちゃうとか、私が歪んでるのかもしれない。


でももうダメだ。


ゆっこと面と向かってこんなこと言ったら傷つくと思うから言えないけど……



私はもう、麻衣ちゃんを………



みお「………はぁ」

水上家


ゆっこ「麻衣ちゃーん!」

………


ゆっこ「あれ、いないのかな?よーしもう一回!せーの……」


ガチャ

ゆっこ「ん?あ、麻衣ちゃんのお母さん」

麻衣母「こんばんは、わざわざありがとうね」

ゆっこ「こんばんはー。あの、麻衣ちゃんって今部屋にいますか?」

麻衣母「それが………」

ゆっこ「?」

麻衣母「今あの子、部屋にこもって出てこないの」

ゆっこ「……え?

そ、それって……」

麻衣母「昨日帰ってきたと思ったら、何にも言わずに部屋に入って、それっきりなの」

ゆっこ「そうなんですか……」

麻衣母「呼んでも何も返ってこないし、何かあったのかしら……何か知らない?」

ゆっこ「あ、えっと……

すみません、ちょっとわからないです……」

麻衣母「そう……わかったわ。

せっかく来てもらって悪いけど、今は多分誰にも会わないと思うわ……」

ゆっこ「……わかりました、また来ます。
麻衣ちゃんによろしく言っておいてください」

麻衣母「ええ、ありがとうね」

ゆっこ「麻衣ちゃん、大丈夫なのかな……やっぱり、責任感じてるのかな……」トボトボ

ゆっこ「麻衣ちゃんだけのせいじゃないって、ちゃんと言ってあげたいけど……」

ゆっこ「麻衣ちゃんが部屋から出てこないんじゃなあ……」ハァ


ゆっこ「それに、あの手紙のことも聞きたかったんだけどな……」ゴソゴソ

ゆっこ「……あれ?」ゴソゴソ

ゆっこ「な、無い?麻衣ちゃんの手紙が無い!」バサバサ

ゆっこ「どうしよう、どこかに落としちゃったのかな……」

ゆっこ「……仕方ない、また明日学校で探そう……」

翌日


みお「はぁ~あ……

何か目が覚めちゃったから学校来たけど……流石にこの時間には誰もいないか……あっ、ゴミが落ちてる」ヒョイ

みお「誰だろ、昨日掃除した時は無かったはずなのに……

ん?何か書いてある……」ガサガサ


みお「……!

な、何でこんなものが……」ワナワナ

日常とシリアスって意外と相性良いのよね

ガラララ


ゆっこ「スラマッパギー!

あれ、みおちゃん?早いんだねー」

みお「……………」

ゆっこ「……みおちゃん?」

みお「え?ああ、ゆっこいたの」

ゆっこ「おはよ。何見てたの?」

みお「ああこれ?

……何でもないよ」

ゆっこ「ふーん」

みてるよ

ゆっこ「あ、ところでみおちゃん」

みお「なに?」

ゆっこ「この辺に麻衣ちゃんの手紙落ちてなかった?」

みお「麻衣ちゃんの……?」

ゆっこ「うん、これくらいの大きさの……」

みお「それって……これのこと?」ピラ

ゆっこ「ああうん、それそれ!みおちゃん拾っといてくれたんだ。

ちょうど良かった、みおちゃんその手紙の……」


みお「……」グシャ

ゆっこ「………え?」

支援

ゆっこ「み、みおちゃん、何してるの?」

みお「……ゆっこ、何でこんなの持ってるの?」

ゆっこ「え?」

みお「何でこんなの持ってるのって聞いてんの」

ゆっこ「な、何でって、その手紙に書いてあることを麻衣ちゃんに聞こうと思って……」

みお「聞くも何もないでしょ、その手紙に書いてる通りじゃん!」

ゆっこ「み、みおちゃん?」

みお「だってそうでしょ!?そこに書いてある通りじゃん!帰りますみたいな適当なこと書いて!それで何にも言わずに帰っちゃったじゃん!」

ゆっこ「それは……」

みお「麻衣ちゃんのせいでなのちゃんが大変な目に遭ってるっていうのに!
見捨てて帰っちゃったじゃん!」

ゆっこ「そ、それは違うよ!麻衣ちゃんだけのせいじゃないよ!私達にも……」

みお「そうだとしても!
あの状況で帰るなんてありえないよ!
非常識過ぎるよ!

ゆっこだってほんとはそう思ってるんでしょ!?」

ゆっこ「わ、私は……」

みお「…………!」ハッ

みお(何やってんの私は!そんなこと言っていいわけ……)


ゆっこ「………わかった」

みお「えっ?」

ゆっこ「無理やり誘ったりしてごめんね、みおちゃんがそんな風に思ってるとは知らなくて……」

みお「え、あ、いや……」

ゆっこ「…もう、無理に誘ったりしないからね」


みお「……う、うん……」



安中(な、何かすごく修羅場っぽい……

入りづらい………)

みお「…………」ムスッ

ゆっこ「…………」ボーッ


安中(あの2人、どうしちゃったんだろう……

東雲さんも水上さんもいないし、喧嘩でもしたのかな……?)


キーンコーン……

安中「あっ、もうすぐ昼休み終わっちゃうや。
次の教室行かなきゃ」


2人「………」

安中「2人ともー、次の授業始まっちゃうよー!」

みお「…はっ、ボーッとしてた。

ゆっこ、行こう」

ゆっこ「………うん」

そのペースじゃさるるぞ

放課後


ゆっこ「………」トボトボ

ゆっこ(どうしてこんなことに……)

ゆっこ(なのちゃんも麻衣ちゃんもいなくなったのに……みおちゃんまであんなこと言うなんて……)

ゆっこ(……いや、きっとみおちゃんも気が動転してただけなんだ)

ゆっこ(うん、きっとそうだよ!)

ゆっこ「………」ウルウル

ゆっこ(な、泣いてちゃダメだ!私が泣いたってどうにもならないんだから!)

阪本「おい」

ゆっこ「?
あれ、阪本?ダメだよ人前で喋っちゃ……」

阪本「んなことはいいんだ、ちょっとうちに来てくれ」

ゆっこ「え、どうかしたの?」

阪本「まずいことになった、詳しくはうちで話す」ダッ

ゆっこ「え、ちょっ、阪本!?」ダッ



みお「……ゆっこ?」

面白い支援

支援

みお(あんなに急いで、どこ行くんだろ?)

みお(……また麻衣ちゃんの家かな…)


みお「……はぁ」

みお「昨日からため息しかついてないや……」

みお「どうしてあんなこと言っちゃったんだろ……」

みお「……あんな言い方、ゆっこが傷つくに決まってるのに……」

みお「最低だよ私……友達失格だよ……」

こういうのすき

みお「はぁ……」


ぼすっ

みお「痛っ」

??「ん?」

みお「あ、すいません、よそ見して……」



笹原「何、気にするな」


みお「!!!!」

みお(さ、ささささ笹原先輩……!?)

みお「あ、あの、えっと……」

笹原「?」


みお「……いえ、何でもないです……」

みお(今日は、そんな気分じゃないや……)

笹原「………」

みお「じゃあ、これで……」



笹原「待て」

みお「え?」

焼き鯖だよ!!!

笹原「……以前、自動販売機の前で会ったな」

みお「えっ?

あ、は、はい!

(お、覚えててくれたんだ……)」

笹原「あの時はすまなかったな。改めて礼を言おう」

みお「と、とんでもないです!」

笹原「はは、そうか。

時に貴様」

みお「え?」


笹原「随分と疲れた顔をしているな」

みお「えっ?」

笹原「大方、悩みでもあるのだろう。
それも重大な悩みがな」

みお「な、何でそのことを……」

笹原「貴様の顔を見ればわかる。まるで生気が感じられないぞ」

みお(そんな酷い顔してたんだ……)


笹原「どうだ?私に話してみるといい」

みお「え?そ、そんな煩わしいこと……」

笹原「なに、遠慮をするな。それとも余計なお世話か?」


みお「…じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

みお「……というわけで……」

笹原「ふむ、成程。つまりは心にもないことを友人に言ってしまったということか」

みお(……心にもないってわけじゃ……
いやいや、何考えてんだ私は)

笹原「それて友人を傷つけてしまったと、そういうことだな」

みお「そういうこと…ですね」

笹原「うーむ……

その友人は貴様に何と返したんだ?」

みお「何てというか……表面的には大丈夫みたいな反応だったんですけど……内心は多分……」

笹原「ああ、傷ついているな」

みお「…………」

意外と色々キャラが出てくるとは

笹原「貴様の話から察するに、その友人とやらは随分と他人を大切にするようだな。

そのような人間が事もあろうに友人から罵倒されれば、傷つかぬはずはないだろうな」

みお「……ですよね」

笹原「まあ今回の話は罵倒とも少し違うものかもしれんがな。

だが貴様」

みお「?」


笹原「貴様はその友人との今後の関係はどうしたいのだ?」

みお「え、えっと……」

笹原「今後一切の関係を断絶する、それも一つの選択肢だろう。

だが、それで後悔はないか?」

みお「!」

笹原「ほんの些細な諍いや口論で途切れてしまう繋がりもあるだろう。

私はそれをとても無念に思う」

みお「笹原先輩……」

笹原「もう少し冷静になるといい。何事も思い込みは禁物だ」

みお「……そうですね」

笹原「ああ、その友人を本当に思っているのならな」

みお「ありがとうございました。ちょっとは冷静になれたと思います」

笹原「何、気にするな。心迷える者に導を示してやるのも、年長者としての役目だ」

みお「あはは、そうですね」

笹原「また何かあれば私に相談すればいい。貴様の姉には、幾度となく世話になっているからな」

みお「えっ?」


笹原「それではな、長野原みおよ」ザッ

シャケだー

みお「私の……名前……」

みお「……ありがとうございました」



みお「……まずは、明日ゆっこにちゃんと謝ろう」

みお「それから……麻衣ちゃんと話そう」

みお「……来てたら」

みお「……ちゃんと顔見て話せるかな」

みお「ちょっと不安だな」

みお「……まあ、とにかく明日だ」

さすが笹原先輩

翌日

安中「あ、長野原さん。おはよー」

みお「おはよー。ねえ、ゆっこ見てない?」

安中「相生さん?見てないなー。まだ来てないんじゃないかな?」

みお「そっか、ありがと」


キーンコーン


みお「あっ」

安中「それじゃまたね」

みお「うん」

ガラララ

桜井「皆さんおはようございます、朝のホームルームを始めますよ」


みお(結局ゆっこ来てないや……麻衣ちゃんも相変わらず来てないし、計画狂っちゃったかな)


桜井「あと、相生さんの欠席の理由を知ってる人は私に連絡してくださいね。それじゃあホームルームを終わります」

みお(え?学校に連絡してないの?ただの体調不良じゃないのかな……?)

田中(こりゃ只事じゃないな)

中之条「?田中君何か言った?」

田中「ん?ああ、何でもねーよ。いやホント何でもないあるあるってやつだなコレ」

中之条「あるのかないのかどっちなんだよ……まあなんでもないならいいけど」

田中「おう、気にすんな。それより早く教室移動しようぜ」

昼休み


みお「さて、と。今日はお昼購買に行こっと」

高崎「おい、長野原」

みお「?

あ、高崎先生。何か用ですか?」

高崎「ちょっといいか?」

みお「……?」

しえん

みお「どうしたんですか?そんなに改まって」

高崎「…相生のことなんだが……」

みお「ゆっこがどうかしたんですか?」

高崎「あいつ今日欠席してるだろ?この間あんなことがあったばかりだ、少し気になってな」

みお「はあ」

高崎「だからさっき相生の家に電話したんだが、相生の奴、どうも今東雲の家にいるらしいんだ」


みお「…え?」

高崎「俺も最初は驚いた。学校を休んで何をしてるのやら」

みお「……やっぱり」

高崎「知ってたのか?」

みお「あ、そういうわけじゃ無いんですけど、ただの欠席じゃないんだろうなとは思ってました」

高崎「まあ、俺も正直そんな気はしていた」

面白い
支援

高崎「それでだ、長野原。こんなことを頼むのも何だが、帰りにちょっと東雲の家に寄って様子を見てきてくれないか?」

みお「それくらいならお安い御用ですよ。正直私も気になってましたし」

高崎「そうか、それならよかった。じゃあ頼んだぞ」

みお「了解です」

高崎「ああ、ありがとう。
呼び止めてすまなかったな、5時間目に遅れないようにな」

みお「はーい、わかりました」タタタッ

どえーっ!?

やっと追いついた
>>1さん乙です!

高崎「……他にも聞きたいことはあったんだが、まあいいか。あまり生徒のことに介入するのもよろしくないだろうし……」


「あの~……」

高崎「ん?……さ、桜井先生!?」

桜井「す、すいません、突然声をかけてしまって……」

高崎「いやいやそんなこと、大したことじゃありませんよ!ええありませんとも!
それで、何か御用ですか?」

桜井「その、東雲さん達のことなんですけど……」

高崎「?」

桜井「東雲さんと水上さんと、今日は相生さんも欠席してるんですけど、三人とも何も連絡がなかったんで心配していたんです」

高崎「連絡が無かった?全くあいつら、心配をかけやがって……」

桜井「けど、今の話って…?」

高崎「え?聞かれてたんですか?」

桜井「はい、うちのクラスの人達の名前が出ていたので、少し気になって……少し聞かせてもらえないでしょうか?」

高崎「そうですね…(となると、何から話すべきか……)

実はですね……」

放課後

みお「一ヶ月ぶりくらいかな、なのちゃんの家に行くの」

みお「なのちゃん、もう治ってるといいなあ」

みお「でも、何でゆっこはなのちゃんの家になんかいるんだろう?」

みお「……あんまりいい予感はしないけど、まあいっか」


みお「あっ、着いた」

何か怖い

みお「ごめんくださーい」コンコン


ガラララ


ビスケット「はーい……あ、これはこれは」

みお「こんにちは。ちょっと様子を見にきたよ」

ビスケット「それはどうもありがとうございます。じゃあちょっと上がってください」

みお「おじゃまします」

ビスケット「お茶どうぞ」

みお「あ、お構いなく。

ビスケット君、なのちゃんの様子はどう?」

ビスケット「あー……じつは色々ありまして……」

みお「?」

ビスケット「ちょっとこっちに来てもらってもいいですか?」

みお「あ、うん」

支援

支援

ビスケット「この部屋でなのさんの治療がされてるんですが……」

みお「ここ?今開けてもいいの?」

ビスケット「大丈夫ですよ」

みお「じゃあ、おじゃましまー……」


「うーん、ここがこうして……」カチャカチャ

みお「……ん?今の声って……

入るよー」ガチャ


ゆっこ「あ、みおちゃん」カチャカチャ

みお「……ゆっこ?」

ゆっこ「どうしたのみおちゃん、研究所に来て」

みお「そりゃこっちのセリフだよ、何でゆっこがなのちゃん治してるの?」

ゆっこ「いやーははは、色々あってね。」

みお「高崎先生から聞いたよ。連絡がなかったから先生心配してあんたの家に電話したんだって。そしたらあんたがここにいるって」

ゆっこ「あー、ちょっと悪いことしちゃったかな……」

みお「ところで、はかせはどうしたの?」


ゆっこ「うん、実はね……」

~~前日~~


阪本「着いたぞ」

ゆっこ「はあ、はあ、阪本速いよ……一体どうしたっていうの?」

阪本「まずいことになったって言ったよな、そのことだ」

ゆっこ「それは分かったから、まずいことって何?」


阪本「ガキが倒れた」

ゆっこ「……え?


ええぇー!!?」

ゆっこ「た、倒れたってどういうこと!?何があったの!?」

阪本「恐らく脱水症状の類のもんだ。ずっと暑苦しい部屋にこもって作業してたみたいだが……それが災いしたか」

ゆっこ「は、はかせは大丈夫なの!?」

阪本「今奥の部屋で寝てる。まあ、とりあえず上がれ」

ゆっこ「う、うん」

ビスケット「お茶どうぞ」

ゆっこ「あ、ありがと」グビッ

阪本「走らせたりして悪かったな」

ゆっこ「ううん、大丈夫。

それで、はかせは……」

阪本「んー、娘がいりゃ娘が病院に連れて行くんだが、生憎娘もあんなザマだ。まあ、一週間も寝てりゃ治るだろ」

ゆっこ「よかった……」

阪本「ただ」

ゆっこ「?」


阪本「問題は娘の方だ」

ゆっこ「なのちゃんの?」

阪本「娘の記憶何とかが不安定だって話は聞いたよな?」

ゆっこ「うん。

あっ、それってつまり……」

阪本「ああ、このままガキが寝たまんまだと、



娘の記憶は完全に消えて無くなる」

日常SSなんて久しぶりだな

好き

ゆっこ「そんな……」

阪本「どうやらガキが倒れる寸前に何かしらしたらしい。何とか娘の記憶はあと一週間はもつようになってるそうだ」

ゆっこ「何とかならないの?」

阪本「お前にガキを病院にでも連れて行ってもらいたいもんだが、それで一週間以内に治るとは限らん。だからって放っておいても間に合う見込みはあんまりなさそうだがな」

ゆっこ「……………

ちょっと、はかせのところ行っていい?」

阪本「ん?ああ」

ほすすすす

ゆっこ「はかせ、入るよ」ガララ

はかせ「………」Zzz

ゆっこ「……よく寝てるや。まあそっか、疲れてるだろうし」

はかせ「………ぅ」

ゆっこ「?」


はかせ「………」ポロポロ

ゆっこ「ど、どうしたのはかせ?泣いてるの」

はかせ「………」ポロポロZzz

ゆっこ「寝ながら泣いてる……怖い夢でも見てるのかな」


はかせ「………なの……」

ゆっこ「!」

はかせ「なの……なの……」ポロポロ

ゆっこ「なのちゃんの…夢……?」

はかせ「なの……いっちゃやだ……いなくなっちゃやだぁ………!」ボロボロ


ゆっこ「はかせ……」


阪本「ずっとこの調子だ。娘の記憶やらが消えるのがよっぽど怖いんだろうな」

ゆっこ「……阪本」

ゆっこ「……記憶が無くなったら、もう戻らないの?」

阪本「一応データから復元は出来るらしい。けど、そんな作られた記憶しかない娘を、誰が受け入れられる?お前なんか特にそういうの嫌いだろ」

ゆっこ「それは……」

阪本「まあ、ガキがずっとこの調子だと、最悪そういうことにもなっちまうかもな」


ゆっこ「……そんなの……絶対やだよ………」

不思議と阪本さんはスラスラ脳内で再生されるな

なのが高校通い始めてからどれくらいたつんだろうか

原作でゆっこは坂本しゃべるの知ってるの?

阪本「俺だって嫌さ。けど、最悪の場合も想定しとかねーと……」

ゆっこ「……最悪になんて……」

阪本「ん?」


ゆっこ「そんなこと、絶対させない!!」

阪本「んなこと言ったって、どうするつもりだよ?」


ゆっこ「私がなのちゃんを治す!!」

阪本「……は?」

ゆっこ「設計図でも何でもあるでしょ!私にだってできるはず!」

阪本「いやいや、簡単に言うけどな」

ゆっこ「じゃあ何にもしないで見てろって言うの!?そりゃ私はバカだし、設計図とか見ても意味わかんないかもしれないけど、友達が頑張ってるのに何にもできないなんて、そんなの私には耐えられないよ!」

阪本「そうは言ってもなぁ……」

>>137
わかる
そう考えるとみのるん優秀>>1もしかり

はかせ「………ゆっこ……」ヨロヨロ


ゆっこ「!」

阪本「ガキ?」



ゆっこ「はかせ、寝てなきゃダメだよ、無理しちゃ治らなくなっちゃうよ!」

はかせ「だいじょーぶ……はかせははかせだから……

ゆっこ…こっち来て……」

ゆっこ「?」

はかせ「ここに……」ガサゴソ

ゆっこ「何かあるの?」

はかせ「あった、これ……」

ゆっこ「これは……」


はかせ「なのの設計図……」

ゆっこ「!」

>>139
はかせがゆっこにネタバレしてなかったっけ?
わすれちった

ゆっこ「はかせ……」

阪本「いいのかガキ、こいつに預けちまって?」

はかせ「大丈夫…ゆっこだから……」

阪本「理由になってねー気もするが…まあガキがそう言うなら、俺からも頼む。

何とか、娘を治してやってくれ」

ゆっこ「阪本……

はは、これは責任重大だな

よーし、私に任せて!」


~~~~~

追いついた
支援

>>139
八巻で普通にバラしてたよ

ゆっこ「というわけ」

みお「あんたまた無謀なことを…」

ゆっこ「だってしょうがないじゃん、頭が勝手にピーっと働いたというか」

みお「ま、その辺もすごくゆっこらしいと思うよ」

ゆっこ「そう言ってもらえれば幸いです」

みお「それで、間に合いそうなの?」

ゆっこ「うーん、実は結構ギリギリなんだ」

みお「ちょっと」

ゆっこ「いやー、大見得切ってやってみたはいいけど、思ってたのと比べ物にならないくらい難しくてね……」

みお「まあそりゃそうだろうけど。ちょっとその設計図見せてくれない?」

ゆっこ「はい」

みお「どれどれ……!?

(な、何これ?何が何やら……えーと、ここの部品が…ここ?いやこっち?それで、ここの計算は……何?)

何これ!全然わかんない!」

ゆっこ「ね、難しいでしょ?」

みお「あんた、これ理解できてるの?」

ゆっこ「ん?んー、隅々まで何回も読んで、何とかね」

みお(あのゆっこがそこまでするなんて……)

みお「あんた、もしかすると私なんかよりよっぽど頭いいのかもね」

ゆっこ「え、何で?」

みお「いや、何でもない。

じゃあ私はこの辺でそろそろ」

ゆっこ「あ、来てくれてありがとね、私も……」


グゥ~

ゆっこ「」

みお「……お腹減ってんの?」

ゆっこ「あ、あはは、お恥ずかしい。実は昨日から何にも食べてなくてね」

みお「あんたまさか昨日からぶっ通しでなのちゃん治してたの?」

ゆっこ「そうだよ。だからお風呂も入れてないし、一睡もしてないんだ」

みお「自慢することじゃないよ!ちょっとくらい休憩しないと……」

ゆっこ「でも、そうでもしないと間に合わないよ、私バカだし」

みお「だからって……」

ゆっこ「それに、私が頑張ればなのちゃんが治るんだって思えば、不思議と身体が動くんだ」

>>145
>>148
マジか6巻以降読んでないから知らなかった

みお「……ゆっこのこういうとこには一生敵わないだろうな。

でも流石に休憩しないと、あんたまで倒れたらもうどうしようもなくなるんだから」

ゆっこ「…それもそうかも……」

みお「何か食べ物買ってくるからさ、その間にお風呂でも入っときなよ。何がいい?」

ゆっこ「みおちゃんありがと、じゃあメロンパンお願い」

みお「はいはい了解」ガラララ

ゆっこ「……とは言ったものの」

ゆっこ「着替える服がない」

ゆっこ「……そうだ、なのちゃんのを借りよう」

ゆっこ「えーと……これでいいかな」

ゆっこ「それじゃあ、ちょっと拝借します」

ゆっこ「それから洗濯機は……」


~~~~~


みお「……コンビニでいっか」

おいついた>>1優秀

みお「買って来たよー」ガラララ

ゆっこ「あ、ありがとーみおちゃん」

みお「着替えたの?」

ゆっこ「うん、なのちゃんの服をちょっとね」

みお「へー、ネジの部分こうなってるんだー」

ゆっこ「あ、ほんとだ気づかなかった」

支援

みお「はいメロンパン、ついでにカレーパンと牛乳も」

ゆっこ「うわー、こんなに買って来てくれたの?ありがとー」

みお「それじゃ、私はそろそろ帰るよ」

ゆっこ「わざわざ来てくれてありがとねー、また治ったらなのちゃんと一緒に行くから!」

みお「うん、待ってるよ。


……あの、さ」

ゆっこ「?」


みお「……麻衣ちゃんのことなんだけど」

ゆっこ「麻衣ちゃんの?」

みお「うん」

ゆっこ「……麻衣ちゃんがどうかしたの?」

みお「えっと……

きょ、今日も学校……来てなかったよ……」


ゆっこ「……そうなんだ」

みお「それから……その……何ていうか……」

ゆっこ「…………」


みお「………えっと、その……」

ゆっこ「……はっきり言って」

みお「えっ!?(ビクッ)あ、うん、ごめん……

……ゆっこ、昨日私が言ったこと、覚えてる?」

ゆっこ「……うん」

みお「……あの後、ちょっと冷静になって、思ったんだ。何てこと言っちゃったんだろうって。もう友達失格だって。

だから、そのこと謝っときたくて」

ゆっこ「……いいよそんなこと。そりゃ言われたすぐ後はキツかったけどね。帰りに一人で泣いちゃったもん。

でもそれはもういいんだ、それより……」

みお「?」

ゆっこ「みおちゃんには、私だけじゃなくて麻衣ちゃんとも仲直りしてほしいんだ」

みお「麻衣ちゃんと……」

ゆっこ「うん。

ちょっとこれ見て」ヒラヒラ

みお「これは…こないだの麻衣ちゃんの手紙……」

ゆっこ「そう、みおちゃんがぐちゃぐちゃにしちゃったやつだよ」

みお「……これが、どうかしたの?相変わらず帰りますとしか……」

ゆっこ「裏、見てみて」

みお「裏?」



『ごめんなさい

さよなら』

みお「!……これ……」

ゆっこ「…きっと、麻衣ちゃんもショック受けてるし、どうしていいかわかんなくなってると思うんだ。学校来てないのも、それも原因なんだと思う」

みお「…………」

ゆっこ「だからさ、こんなこと言ってももう遅いかもしれないし、何というか、何て言えばいいかわかんないけど……でも、


麻衣ちゃんのこと、嫌いになってほしくないよ……」

みお「……………」

みお「……ゆっこは優しいね」

ゆっこ「……………」

みお「でも、私は……」

ゆっこ「!」

みお「まだ、ダメかな」

ゆっこ「……そっか……」

みお「だって…」

ゆっこ「?」


みお「何にせよ、麻衣ちゃんから直接聞きたいしね」

昔のアニメの主題歌って、おかしな歌詞ばかりだよね。
ドラゴンボールの主題歌、CHA-LA HEAD-CHA-LA もおかしくて、

「恐竜がいたら♪ たまのりしこ、みたいねー♪」

ってあるんだけど、「たまのりしこ」って何言ってんだろ。
そんなのに似てるって言われても困るわ。

ゆっこ「!」

みお「だから、もしなのちゃんが治っても麻衣ちゃんが家にこもってるようだったら、3人で一緒に行こうよ」

ゆっこ「……うん!」


みお「……それじゃ、またね」ガラララ

ゆっこ「うん、またねー!」

ゆっこ「……これでよし、かな。

よーし、ちょっと休憩して、またとりかかろっと」

みお「………ゆっこ、頑張ってるな……

私も何かしてあげたいな……

私にできること……何かあるかな?

……よし、あれでいこう。どうせあっちのことなんか考えてないんだろうし。

けどゆっこレベルとなると、なかなかのものが必要になるな……

よーし、私も頑張らなきゃ」

スレタイが不穏だ

高崎「成る程、そういうことだったのか」

みお「はい」

高崎「しかし、それなら一つ連絡でもすればよかったものを」

みお「多分そんな余裕なかったんだと思います。かなり切羽詰まってたみたいですし」

高崎「わかった、桜井先生には俺からそれとなく伝えておこう」

みお「ありがとうございます」


田中「…………」ジー

安中「…………」ジー


2人(絶対何かある……!)

安中「……あっ」

田中「お?」

安中「あはは、偶然だね」

田中「そうだな」

安中「……どうしたんだろうね」

田中「何がだ?」

安中「長野原さんたち」

田中「…あー」

田中「東雲と水上がいなくなったと思ったら、いつの間にか相生も消えてたもんな」

安中「長野原さんも何だか様子がおかしいし……」

田中「東雲は交通事故だとか聞いたが、他の2人は何だろうな」

安中「そういえば、私長野原さんと相生さんがケンカしてるとこ見たよ」

田中「ケンカ?前に中之条が吹っ飛ばされたやつみたいな?」

安中「そんなんじゃなくて、長野原さんが一方的に責めてたような……」

田中「じゃあ結構マジな奴か。珍しいなあいつらがそんな風にケンカするなんて」

安中「多分余計なお世話なんだろうけど、何か気になるというか」

田中「野次馬あるあるってやつだな」


中之条「どうしたの2人とも?」

2人「!?」


中之条「こんなところで何してるんだい?」

田中「いやいやいや、何でもねーよ何でもねー、ほら何でもないあるあるってやつだよ」

安中「そ、そうだね、何でもないあるあるってやつだよねコレ」

中之条「またそれかよ、しかも安中さんまで……まあ何でもないならいいけど」スタスタ


2人「………ふぅ」

みお「さて、と」

みお(学校にいる私ができること)

みお(それはゆっこ達がいない間の授業をまとめておくこと!)

みお(ゆっこのことだから、勉強のことなんて全然考えてないだろうし)

みお(もしかして勉強から逃れるために……?)

みお「……そりゃ流石に失礼か。

よし、とりあえず今日の授業の分を……

う、結構量あるなこれ

よーし、私も頑張らなきゃ」

東雲研究所


ゆっこ「あれ?」ガチャガチャ

阪本「どうした?」

ゆっこ「ここの部分のネジが足りないんだ」

阪本「あー、そういやガキが何か言ってたな。部品が足りないとか」

ゆっこ「そうなんだ。でももう頼んでたんじゃなかったっけ?」

阪本「頼んだは頼んだらしいが、到着予定日はとっくに過ぎてるな。多分発注ミスか何かだろ」

ゆっこ「そっか……って、それって大変じゃん!どうしよう!」

阪本「事故があった場所探してきてやろうか?もしかしたらまだ落ちてるかもしれん」

ゆっこ「うーん、じゃあお願いしていいかな?」

阪本「わかった、じゃあちょっと行ってくる……」

ゆっこ「いってらっしゃーい。


……何か、阪本様子おかしいな……」

阪本(バカの娘の話だと……この辺か?)

阪本(何だ、割と通行量多いじゃねーか)

阪本(さて、そんじゃちょっと探して……ん?)

阪本(あれは……


メガネの娘?)


麻衣「…………」ガサガサ


阪本(あいつ、家にこもってるんじゃなかったのか?何やってんだこんなところで)

麻衣「…………」ガサガサ

阪本(見たところ寝巻きのままっぽいし、ますますわからんな)

麻衣「…………」ガサガサ

阪本(……何か探してんのか?)

麻衣「…………」ガサガサ

麻衣「…………」ガサガサ

阪本(あんな必死で植木ん中手突っ込んで、よっぽど大事なもんでも落としたか?)

麻衣「………っ!」

阪本(あっ、手切りやがった)

麻衣「!………」ガサガサ

阪本(おいおい、お構いなしかよ)

麻衣「…………」

阪本(にしても、何探してんだ?)

もうこんな時間か、見入ってしまった

阪本(財布でも落としたか……いや、そんなもん落としたらとっくになくなってるわな)

阪本(何か見られたくない書類でも……しかしそんなもん気にするような奴にも見えねーし)


麻衣「…………」


阪本(……もしかして……娘のネジ探してんのか?)

麻衣「…………」フゥ

阪本(いや、そりゃないか。娘の部品が足りないことなんて、あいつが知るはずもねーしな)

麻衣「…………」スクッ

阪本(お、帰るのか?

って、もうこんな時間じゃねーか!

参ったな、全く探してねーってのに)

麻衣「………また……」

阪本(ん?あいつなんか言ったか?)

麻衣「…………」ステステ

阪本「(……まあいいか。しょーがねー、今日のところは俺も帰ろう。)

……チッ、何やってんだ俺は……」

阪本「帰ったぞ」

ゆっこ「あ、阪本おかえりー」フキフキ

阪本「何だ、風呂入ってたのか」

ゆっこ「昨日入ってなかったからね。ちょっと待ってて、今阪本のご飯用意するからね」

阪本「……あ」

ゆっこ「?」

阪本「……いや、何でもない」

ゆっこ「何それ、変な阪本」

阪本「…………」

ゆっこ「はい、どうぞ」コトン

阪本「ありがとよ」

ゆっこ「どうだった?ネジあった?」

阪本「……いや」

ゆっこ「そっかー……何とか他の部品で代用できないかなー」

阪本「そういや、事故の場所にメガネの娘がいたぞ」

ゆっこ「メガネの娘?……麻衣ちゃん!?」

阪本「ああ、そいつだ」

ゆっこ「どうして麻衣ちゃんが……家にこもってたのに」

阪本「さあな、俺もそう聞いてたから驚いた」

ゆっこ「それで、麻衣ちゃんは何してたの?」

阪本「よくわからんが、何かを必死で探してたぞ。何か大切なもんでも落としたんだろうな」

ゆっこ「そっか……今なら麻衣ちゃんに会えるかな」

阪本「かもな」

ゆっこ「よーし、早い所なのちゃんを治して……あ、あれ?」フラッ

阪本「お、おい」

ゆっこ「うわっ!」ドサッ

阪本「大丈夫か!?」

ゆっこ「えへへ、ごめんごめん、ちょっとめまいがしただけだよ……」フラフラ

阪本「どうみても大丈夫じゃねーだろ、フラフラじゃねーか!」

ゆっこ「気にしないで、私なら大丈夫だから」

阪本「……お前、ここに来てから一度でも寝たか?」

ゆっこ「え?うーん……そう言われれば寝てないや。さっきのお風呂でちょっとウトウトしちゃったけどね」

阪本「よくウトウト程度で済んだもんだ、熟睡してたっておかしくねーってのに」

ゆっこ「まあその辺は…アレかな?」

阪本「頑張ってるお前にこんなこと言うのも何だが、いつお前がぶっ倒れるかと思うと、こっちだって気が気じゃねーんだ」

ゆっこ「……阪本?」

阪本「何と言うかその……頼むから、無理だけは……」

ゆっこ「……ねえ阪本」

阪本「?」

ゆっこ「心配してくれるのは嬉しいんだけどさ、何だか今日の……ううん、帰って来てからの阪本、いつもと違うよ?」

阪本「何だと?」

ゆっこ「何と言うか……落ち着きがないというか、そわそわしてるというか……何かあったの?」

阪本「…………」

ゆっこ「私に何とかできるかどうかわからないけど、何かあるなら話してみてよ」


阪本「………ったく、自分が情けねー。必死で頑張ってる娘にまで余計な心配かけてよ」

ゆっこ「?」

阪本「……いつも偉そうなことばっか言ってる俺だが、所詮は猫だ。お前らと同じようなことなんてほとんど出来ねー」

阪本「それでいてガキの作ったこのスカーフで、なまじ知恵ばっか働いて口ばかり達者になってよ」

阪本「自分が偉くでもなったつもりだったが、今回のことで自分の情けなさを思い知らされたな」

阪本「娘の修理も手伝えねー、ガキの看病も出来ねー、挙句はネジ探しすらまともに出来ねー」

阪本「自分が猫だってことをこれほど恨んだことはねー」

阪本「こんな惨めな思いするんなら、いっそこんなスカーフ……」


ゆっこ「やめなよ」

阪本「……あ?」

ゆっこ「せっかくはかせが作ってくれたスカーフなのに、そんな風に言ったら失礼だよ」

阪本「けどよ……」

ゆっこ「それに喋れるからこそ、普通の猫と違って私達に伝わることもあるんだよ」

阪本「何?」


ゆっこ「阪本が、はかせや私に負けないくらい、なのちゃんのことを思ってるってこと」

阪本「な……」

ゆっこ「阪本ってば、口を開けば娘、娘、娘って。どれだけなのちゃんのこと大切に思ってるか、こっちが思い知らされちゃったよ」

阪本「…………」

ゆっこ「確かに阪本は猫だし、私達と同じようなことをするのは難しいかもしれない」

ゆっこ「でも、それを後ろめたく思うことなんてないよ。阪本の気持ちは、私にもちゃんと伝わってるよ。それだけで充分!」


ゆっこ「だから安心して!私が阪本の分まで頑張って、絶対なのちゃんを治してみせるからね!」

やっと追いついた
俺もこんなSS書きたい……

阪本「……何か、面と向かってそんなこと言われるとすげー小っ恥ずかしいな」

ゆっこ「えへへ、そうかもね。

それじゃ私はもうひと頑張…り……」クラッ

阪本「…は?」

ゆっこ「」バターン

阪本「お、おい!」

ゆっこ「………Zzz」

阪本「…何だ、寝てるだけか…脅かしやがって……」

阪本「………限界なんかとっくに超えてるわな」

阪本「……身体の方も心の方も」



阪本「…………ありがとな」

阪本「……布団でもかけてやるか」ズルズル

ゆっこ「Zzz……」

数日後


みお「あ¨あ¨~……眠い……」フラフラ

みお「流石に毎日全教科はキツイな……」

みお「でもゆっこはもっと頑張ってるんだし……」

みお「妥協は出来な…」

ガッ

みお「あっ!」ドテ

みお「いたたた……」


中之条「大丈夫かい?怪我はない?」

みお「あ、中之条、ありがと……」

とても面白いです

みお「どうにも最近寝不足でね……あはは」

中之条「夜更かしは体に悪いよ、ちゃんと睡眠も適度に取らないと」

みお「うんまあ、いろいろあってね」

中之条「まあ、程々にね。はいノート」

みお「ありがと、それじゃ」


中之条「……何だろう、いつもと違うような……」


田中「お前もそう思ったか中之条」

中之条「あれ、田中君?」

みお「さーてと」

安中「長野原さん、ちょっといい?」

みお「ん?どうしたの安中さん?」

安中「水上さんのことなんだけど……」

みお「麻衣ちゃんがどうかしたの?」

安中「長野原さん、水上さんと仲いいでしょ?だから話とこうと思って」

みお「うん」

安中「まず、最近水上さん学校来てないよね。どうかしたの?」

みお「ん、まあ…ちょっとね」

安中「病気とかじゃない?」

みお「病気…じゃ、ないかな」

安中「だといいんだけど……


実は昨日、水上さんを見かけたんだ」


みお「………えっ?」

みお「ど、どこで?」

安中「えーっと、あの、何だっけ……あ、そうそう、大工文具店の近く」

みお「大工文具店?

(……事故のあったところだ……)

そこで麻衣ちゃんは何してたの?」

安中「遠くからだったからよくわからなかったけど、多分何か探し物してたよ」

みお「探し物?……何だろ?」

安中「本当に探し物かはわからないけど、何だか様子もおかしかったよ。服装もパジャマのままだったし。
しきりに茂みに手を突っ込んだり、しゃがみこんでキョロキョロしたりしてて、何かすごく必死だったよ」

みお(麻衣ちゃんどうしたんだろ……あの日に何か落としたのかな……?)

安中「声かけようかとも思ったけど、しばらくしたら帰っちゃった。何してたんだろうね」

みお「ありがと安中さん。麻衣ちゃんなら大丈夫だし、心配しなくていいよ」

安中「そう?ならよかった」

みお「あっそうだ、安中さん、そのこと先生に言ったりした?」

安中「え?えっと…桜井先生には」

みお「(……まあ、桜井先生なら大丈夫かな)

そっか、ありがと。それじゃ……」


安中「……ね、ねえ長野原さん」

みお「?」

安中「何かあったの?」

みお「え、何が?」

安中「何だか、長野原さんと仲のいい人たちみんな休んでるし、長野原さん本人も元気がないみたいだし」

みお「そ、そうかな」

安中「何もないんならいいんだけど、もし何かあるんだったら、私でいいなら相談に乗るよ」

みお「安中さん……」

安中「あ、えっと……長野原さんとそんなに話したことはないし、力になれるかどうかはわからないけど……それでも、クラスの誰かが困ってるなら、私も何か手伝えないかなー、なんて思って……」

面白い

釘付けだ

みお「……あはは、安中さんは優しいね。

そうだね……今は大丈夫。でもまた、お願いすることがあるかもしれないから、その時はよろしくね」

安中「あ、うん」

みお「それじゃ」タタッ

安中「あっ……」


安中「行っちゃった……」


ポン

安中「?……あれ、田中君?それに中之条君も」

田中「心配すんな、考えてることは多分俺達も同じだ」

安中「え?」

職員室

桜井「あっ、高崎先生!」

高崎「ん?あぁ、桜井先生。どうかされましたか?」

桜井「あの、ちょっとお話いいですか?」

高崎「は、はぁ」

桜井「み、水上さんのことなんですけど……」

高崎「水上?」



中村「………?」

高崎「水上というと、桜井先生のクラスの水上麻衣ですか?」

桜井「はい、その水上さんです」

高崎「その水上がどうかしたんですか?

もしかして、この間の東雲の事故のことですか?」

桜井「それに近いですね……」


中村「東雲が事故!?」

高崎「えっ!?」

桜井「あ、中村先生」

田中のくせに

中村「あ、いや、その……

(最近見ないとは思っていたが……まさか事故に遭っていたとは……)」

桜井「中村先生も何か知っていらっしゃるんですか?」

中村「いや、私は特に……

それより、東雲の事故というのは……」

高崎「ああ、そのことですか。

実は……」

「……………」ガザガサ

「……………」ガザガサ


「……………」フゥ


キラッ

「……?」ガザガサ

「…………!!」


「あった……!」パアァ


ガサガサガサガサ

ヒョイ


「…………」

みお「はー今日も終わったー。

さてと、帰ろうかな……」


みお「……安中さん、外で麻衣ちゃんのこと見かけたって言ってたよね……

……今行けば、会えるのかな」

みお「……麻衣ちゃんの家行こう。

でもその前になのちゃんの家に寄って、ゆっこ誘ってこう」

みお「そういえば、なのちゃんのタイムリミット、今日あたりだったような……」

みお「ゆっこ、間に合ったのかな?とりあえず行こう」

研究所

ゆっこ「……………」


なの「」


ゆっこ「……………」

阪本「……………」

ビスケット「……………」


ピンポーン

「ごめんくださーい」

阪本「ん?」

ゆっこ「この声は………」

さるよけ

ビスケット「僕が出て……」

ゆっこ「あ、私が出るよ」

ビスケット「そ、そうですか?」

ゆっこ「はーいただいまー!」


ゆっこ「はいはーい」ガロッ

みお「やっ」

ゆっこ「あはは、やっぱりみおちゃんだったよ」

みお「え、わかってたの?」

ゆっこ「うん、聞き慣れてる声だったからね」

ゆっこ「それで、今日はどうしたの?」

みお「うん実はね、安中さんから聞いたんだけど、麻衣ちゃんが最近家から出てるらしいんだ」

ゆっこ「あ、それなら私も知ってるよ、事故現場の近くでしょ」

みお「え、何で知ってるの?」

ゆっこ「ちょっと聞いたんだ。いやーそれ聞いたときはビックリしたよ」

みお「それでなんだけどさ、今から麻衣ちゃんの家行かない?」

ゆっこ「え?」

みお「麻衣ちゃんも外に出てるんだし、今行けば会えるかもしれないなと思ってね」

ゆっこ「そっかー、それもそうだね」

みお「無理にとは言わないよ、なのちゃんのこともあるし。

そういえばなのちゃんはどうなったの?もう治った?」

ゆっこ「……うん、もうちょっとだよ」

みお「そっか、それなら間に合いそうだね。よかったー」

ゆっこ「……………」

ゆっこ「……それでももうちょっとかかりそうなんだ。せっかく誘ってくれたんだけど、先に行っといて」

みお「先に?」

ゆっこ「私はなのちゃんを完璧に治してから一緒に行くよ。だから先行ってて」

みお「そっか、じゃあ麻衣ちゃんの家で待ってるよー!」タタッ

ゆっこ「バイバーイ!」



ゆっこ「……………ふぁ」フラッ

ヘタッ

阪本「……大丈夫か」

ゆっこ「………あはは……」

阪本「……………」


ゆっこ「もう、全然わかんないや。

あとちょっとのところまで来てるのはわかるんだけど、そこから先が全然わかんない」

ゆっこ「何度も設計図を見直したし、どこか間違えてるんじゃないかって、いろんなところを確かめたけど、結局ダメ」

ゆっこ「記憶のデータだって、あと2時間持つかどうかだし」


ゆっこ「もう、どうしたらいいかわかんないよ」

阪本「……………」

ゆっこ「ダメだなあ、私は。友達一人も救えないなんて」

阪本「……何言ってんだよ」

ゆっこ「ごめんね阪本、私がバカなせいで……」

阪本「……やめろよ」

ゆっこ「それから、ごめんねみおちゃん。なのちゃんと一緒になんて行けそうにないや」

阪本「やめろって」

ゆっこ「ごめんねなのちゃん、私がバカなのに……出しゃばっちゃったから……」

阪本「やめろ!」

ゆっこ「それもこれも、みーんな私が悪いんだ……」

阪本「やめろって言ってんだろ!!」

ゆっこ「……阪本?」

阪本「あ、いや……なんつーか……

頼むから、お前が自分を責めるなよ」

阪本「確かに娘の記憶はもうすぐ消えちまうかもしれねーし、お前だって間に合わねーかもしれねー」

阪本「けど、娘を治す為にお前がどれだけ頑張っていたか……」

阪本「俺は知ってるし、ちゃんと見てた。だから俺はお前を責めねーし、お前を責めるような奴は許さねー!」

阪本「お前自身がお前を責めるのも許さねー!だからそんな暗い顔やめろ!」


ゆっこ「………ほあ」

阪本「……あ、ま、まあその……そういうことだ」

ゆっこ「あはは、何それ。変な阪本」

阪本「うるせーな」

ゆっこ「……でも」

阪本「ん?」


ゆっこ「ありがと。そう言ってくれる人がいてくれるだけで、私は……」

阪本「………」

ゆっこ「と言っても阪本は猫だけど」

阪本「余計なこと言わなくていいんだよ」

ほしゅあ

ゆっこ「さて、じゃあもうちょっとしか時間ないけど、あと少し頑張ろう」

阪本「立てるか?」

ゆっこ「うん、大丈夫」スッ

阪本「そうか」


ガララッ

ゆっこ「えっ?」



中村「東雲!?無事なのか!?」


ゆっこ「な、中村先生!?」

阪本(中村!?)

中村先生キター

阪本(クソッ、何で中村がうちに来るんだよ!)ピュン

ゆっこ「あっ阪本?何で逃げて……」

中村「相生!」

ゆっこ「はっはい!」

中村「東雲はどこだ?」

ゆっこ「え、なのちゃんですか?」

中村「そうだ東雲だ!今この家にいるのか?」

ゆっこ「なのちゃんだったら、あの部屋にいますけど……」

中村「そうか!」ダッ

ゆっこ「ちょっ、中村先生!?」

回路ショート君の出番か

中村先生!!

中村「東雲!」ガチャ


なの「……………」

中村「……?」

ゆっこ「どうしたんですか?」

中村「いや、東雲が事故にあったと聞いて飛んできたんだが……思ったよりもずっときれいな体をしているじゃないか」

ゆっこ「はい?」

中村「誰が修理したんだ?」

ゆっこ「えっ?しゅ、修理って何のことで……」

中村「何を言っている、東雲はロボットだろう?」

ゆっこ「!」

ゆっこ「し、知ってたんですか……?」

中村「知っているも何も、見ればわかるだろう。あれだけ大きなネジをつけて、ロボット以外あるまい」

ゆっこ「…そうだったんだ……」

中村「ほぼ完璧に修理されているじゃないか……ん?これは?」ヒョイ

ゆっこ「あ、それはその……なのちゃんの設計図です」

中村「設計図だと?

(これはいいものを見つけた!こっそり持ち帰ってやろうか……)」

中村「ん?しかし、設計図があったところで、誰が東雲を修理したんだ?見たところここに住んでいるあの子供の博士もいないようだが……」

ゆっこ「はかせは今ちょっと病気で、違う部屋で寝てるんです」

中村「そうなのか……ということは、もしやお前が東雲を?」

ゆっこ「はい、まだ終わってませんけど……」

中村「そうか……」ペラ

中村(この設計図、一端の高校生レベルじゃ到底手に負える物じゃないな……今の最先端技術の遥か先を進んでいる……やはりあの子供、只者じゃないな……)

中村(しかし相生の奴、この設計図を見ながらここまで東雲を修理したというのか……成績は芳しくない生徒だと聞いていたが……
なかなか見所があるじゃないか。今のうちに囲い込んで、将来は私の助手にでも……)

ゆっこ「……あ、あの」

中村「ん?どうした?」

ゆっこ「その設計図の、ふせんついてるところ見てもらってもいいですか?」

中村「ふせん?……ああこれか」ペラ

中村「ここがどうかしたのか?」

ゆっこ「私、何とかそこまでは出来たんですけど、そこから先が全然わからなくて……」

中村「ほう……」ジーッ

中村(確かに、ここから先は難解さが更に跳ね上がっているな。この域ともなれば、世界規模で見ても理解出来る奴はそういないだろうな)

ゆっこ「…………」

中村「……なるほど」


ゆっこ「え?」

中村「大方、もう手に負えなくなっていたんだろう。ここから先はもうそこらの学者でもお手上げのレベルだ」

ゆっこ「そうなんですか……」

中村「ああ、しかしお前も大したものだ。ここまでの過程だって、決して簡単な物ではない。並みの高校生ではまずここまでも辿り着けない」

ゆっこ「…………」

中村「どうだ、ここから先は私に任せてみないか」

支援

ゆっこ「……えっ?」

中村「私なら何とか出来る。見たところお前も心身共にかなり疲労しているようだ。家に帰るなりなんなりして休むといい」

ゆっこ「……でも………」

中村「そうだ、そういえばさっきそこで長野原とすれ違ったぞ」

ゆっこ「えっ?」

中村「方向からしてこの家にでも寄ってたのかと思っていたが、もしかしてお前に用があったんじゃないのか?」

ゆっこ「それは……」

中村「東雲のことなら安心しろ、私が責任を持って直してやる」

ゆっこ「…………」

中村「だからお前は行ってくればいい。今から追いかければ、まだ間に合うかもしれないぞ」

ゆっこ「…………っ」ピクッ

中村「?」

ゆっこ「……じゃあ…お願い……します……」プルプル

中村「あ、相生?」


ゆっこ「なのちゃんのこと……よろじぐおねがいじまず………!!」ポロッ

中村「お、おい相生、何故泣いて……」

ゆっこ「……っ!!」ダッ

中村「あっ、相生!」


中村「……行ってしまった。まあそれは悔しかろうが、あそこまで号泣するほどのことか……?」

中村「まあいい。これで心置きなく……」

中村「東雲を研究できるぞ…!」ニヤリ


阪本(……どういう風の吹き回しかと思ったが……やっぱりそんなこったろうな)

まず袋開けた時のハーブの芳醇な芳香(かおり)で感じたね

「アッ、コレ、チキンの歴史かえちゃった…」ってね。

阪本(前もうちに来てたらしいが、多分そん時も娘が狙いだったんだろう)

阪本(大方、娘がどんな造りしてるのかとか、その辺を探りに来たんだろうな)

阪本(俺を飼う前からかどうかは知らんが、どうもこいつはうちのガキと似たようなところがあるからな)

阪本(まあしかし、こいつが変な気を起こして余計なことされたらたまったもんじゃないな……)

阪本(仕方ねぇ、ここは……)


中村「ふ~む、まずはどこから調べてやろうか……」

阪本「おい」

中村「ん?」

中村「何だ?今男の声が……」

阪本「こっちだ、俺だよ」

中村「何?……た、大将じゃないか!なぜここにいる!?」

阪本「お前の家から出たあと、ここに拾われたんだよ」

中村「そ、そうだったのか……ん?大将、もしかして今喋ったのか?」

阪本「ああ。このスカーフはガキの発明品でな、動物が喋れるようになるなんて代物だ」

中村「そうなのか……何だか妙な感じだな」

中村ェ・・・

阪本「で、だ」

中村「?」

阪本「お前のことだ、どうせ娘が事故にあったと聞いから今のうちに調べてやろうと目論んでうちに来た、とかそんなもんだろ」

中村「な、なぜわかった」

阪本「顔に書いてるよ」

中村「クッ……」

阪本「別にそれを止めるつもりはねーよ」

中村「そ、そうか?」

阪本「曲がりなりにもお前が娘を治すって話だろ?そうしてくれるんなら今は俺は目を瞑っておく。あとで娘がどう言うかは知らんがな」

中村「ようし、それなら……」

阪本「ただ、頼みがある」

中村「?」


阪本「先に娘を完全に治してやってくれ」

続きが気になって寝れない

このSS面白くて好きだ、支援!

中村「何?」

阪本「机の上にディスクみたいなのがあるだろ?」

中村「ディスク……これか」

阪本「その中に娘の記憶が全部入ってんだ」

中村「記憶……(成る程、メモリーデータといったところか)

それで、東雲の記憶がどうかしたのか」

阪本「その記憶なんだが、今かなり不安定な状態らしい」

こんなに真剣に最後までみたいSS初めてだ

中村「不安定?」

阪本「娘の記憶装置から離れたとかどうとか、難しいことはよくわからねーが、結論から言うとその中にあるデータはあと1時間もすれば跡形もなく消えちまう」

中村「ほう」

阪本「ガキなら消えた記憶をそっくりそのまま作り直すこともできるかもしれねーが、そんな作られた記憶でこれから過ごすのはあんまりにも酷だと俺は思ってる」

中村「成る程」

阪本「全部とは言わねえ、せめて記憶装置だけでも先に治してやってくれ。その後なら何をしようと俺は口を出さねえ。この通りだ」フカブカ

中村「ふーむ……」

中村(東雲の記憶が消えるか……私としてはそのほうが都合がいいし、ロボットの記憶を複製することが何がいけないのかが正直わからないが……)


ゆっこ『なのちゃんのごど……よろじぐおねがいじまず………!!』ボロボロ

中村(相生も仮にも教え子だ。あれ程必死で頼まれた以上、無碍にするのは流石に気が引けるな……)


中村「……仕方ないな、先に記憶装置の修理に取り掛かろう」

阪本「本当か!?恩に着るぞ中村!」

中村「大袈裟だ大袈裟」

中村(しかし驚いたな大将の奴、突然いなくなったと思ったらまさかここにいるとは……)


ガチャ

はかせ「あれ?なののせんせいだ」

中村「!?」

タッタッタッ

ゆっこ「みおちゃ~ん!」

みお「あっ、ゆっこ。間に合ったんだね」

ゆっこ「何とかね」

みお「なのちゃんは?」

ゆっこ「あ、えーっと……今ははかせと一緒にいるよ」

みお「そうなの?ということははかせも治ったんだー、よかった」

ゆっこ「……ま、まあね」

みお「?……あ、もう着くよ」

ゆっこ「あ、うん」

ピンポーン

みお「麻衣ちゃんいるかな」

ゆっこ「どうだろうね」


ガチャ

麻衣母「はーい……あら、こんにちは」

ゆっこ「こんにちは、麻衣ちゃんいますか?」

麻衣母「ああ、あの子なら今ちょっと出かけててね……」

みお(今日も事故の所に行ってるのかな)

ゆっこ「どこに行ったんですか?」

麻衣母「行き先も言わずにふらっと出て行くんだけど……行き先はわからないわ、聞いても教えてくれないし」

ゆっこ「そうですか……」

みお(多分事故の所だよ)

ゆっこ(私もそうだと思う)

ゆっこ「あの、それじゃあちょっと待たせてもらってもいいですか?」

麻衣母「いいわよ、多分もう少ししたら帰ってくると思うし」

ゆっこ「ありがとうございます」

はかせ「できた?」

中村「ちょっと待て、ここをこう…こうして……」ガチャン

中村「よし、完成だ!」

はかせ「じゃあこっちのデータをうつして……これで……よし!」

中村「どうだ?」

はかせ「ちょっとまって……うん、これでよし!ちゃんとデータものこってるし、大成功だよ!」

中村「そうか!」

阪本「間に合ったか!よかった……」

さるよけ対策が完璧だな
支援

またまた支援

はかせ「ふぅ~」

阪本「ガキ、もう病気はいいのか?」

はかせ「うん、ずっと寝てたから治っちゃった」

阪本「そうか、そいつはよかった」

はかせ「ゆっこはどこいったの?」

中村「相生なら私が帰した。酷く疲れ切っていたようだからな」

はかせ「そうなんだ」

阪本「ところで、娘の記憶が消えるのは止められたが、肝心の娘はまだ治ってないのか?」

はかせ「そうだった!ちょっと中を見てみて……あれ?ほとんどなおってる?」

中村「記憶装置以外は私が来た時には殆ど直っていたぞ。相生がやっていたんだろう」

はかせ「そうなんだ……あれ、ここのネジがない!」

中村「ネジ?」

阪本「ああ、一番大事だとか言ってたやつか」

はかせ「あのネジがないとなのはうごかないんだけど!」

中村「他ので代用はできないのか?」

はかせ「あのネジははかせの特製なんだからムリかもしれない」

中村「ものは試しだ、やるだけやってみよう」

中村「……ダメだ、うんともすんとも言わない」

はかせ「やっぱりダメなんだけど」

阪本「そういや、お前が注文してた部品はどうなったんだろうな?まだ来てないようだが」

はかせ「え!?まだ来てないの!?」

阪本「お、おう」

はかせ「おそすぎるんだけど!」

阪本「俺に言うなよ」

中村「注文し直したら……」


ピンポーン

中村「ん?」

ね、眠れないぞ

中村「はいはい」ガラララ


シーン……

中村「……誰もいないじゃないか。

何だイタズラか、この面倒なタイミングで……」

阪本「いや、ちょっと待て」

中村「?」

阪本「そこの塀の上、何か置いてねーか?」

中村「何?

……これは、ネジ?」

はかせ「あっ、なののネジ!!」

追いついた
支援

はかせが一々可愛いすぎて辛い

中村「何、これが最後の部品なのか?」

はかせ「ちょっとかして!」パシッ

中村「あっ、おい!」

はかせ「なのー!」タタタッ

中村「待て!私にも見せろ!」


阪本「……ふう、やっと何とかなりそうだな。

しかし、誰が一体ネジなんか……?」


タタタッ

阪本「?まだいるのか?」ピョン



麻衣「……………」スタスタ


阪本「あれは……」

水上家


麻衣「……ただいま」

麻衣母「あらお帰り。今日は友だちが来てるわよ」


麻衣「……!?」

麻衣「たしか…相生さんって子と、長野原さんって子」

麻衣「……どこに?」

麻衣母「今麻衣の部屋にいるわ」


麻衣「………!」ダダダッ

麻衣(あの2人が……来てる……!?)

麻衣(どうして……!)


ガチャッ


ゆっこ「あはは、そうなん……あっ」

みお「それでさ……えっ?」


麻衣「……………」

ゆっこ「麻衣ちゃん!」

みお「……久しぶりだね」

ゆっこ「いやー、ほんとに久しぶりだね!ここのところずっと学校に来てなかったからどうしたんだろうと思ってたところだよー」

みお「あんたも学校来てなかったじゃん」

ゆっこ「あ、そっか」

みお「まったく。でも元気そうで良かったよ」

ゆっこ「ほんとだね、ガンにでもなってたらどうしようかと」

みお「そんなもんになってたら普通連絡あるでしょーが」

ゆっこ「それもそうか」

麻衣「………どうして」

ゆっこ「…え?」


麻衣「…どうしてここに」

ゆっこ「どうしてって、麻衣ちゃんに会いに来たに決まってるじゃん!連れないなー」

みお「そういうこと」

麻衣「……………」


ゆっこ「ほんとは私、前にも一回きたんだよ?その時は麻衣ちゃんが部屋から出てこないって言われて、仕方なく帰っちゃったけど」

ゆっこ「でも、ここ何日か麻衣ちゃんが昼間何処かに出かけてるって聞いたから、今なら会えるかもしれないって思って来たわけですよ」

みお「私もそんな感じかな。久しぶりに麻衣ちゃんの顔も見たかったしね」

麻衣「……………」

ナジェゴンナジカンダイニエジュエジュヲ!?

ゆっこ「にしてもあれだね、麻衣ちゃんてば全然変わってないね」

みお「そんな一週間かそこらで変わるような麻衣ちゃんじゃないよ」

ゆっこ「でもさ、すっごく久しぶりな気がするし、もしかしたら背とか伸びてるんじゃないかなーとか」

みお「成長期もう終わってるよ!もう伸びないでしょ流石に」

ゆっこ「いや、麻衣ちゃんなら伸びるかも!」

みお「あんた麻衣ちゃんを何だと思ってるの」


麻衣「………どうして」

ゆっこ「え?だから麻衣ちゃんに会いに……」


麻衣「どうして会いに来たりしたの……?」

ゆっこ「………え?」

みお「な、何言って……」


麻衣「………私は……」

麻衣「私は……許されないことを……」

麻衣「あろうことか、友だちを……」

ゆっこ「で、でも、あれは事故だし」


麻衣「その事故の原因は私……」

麻衣「私のせいで、なのちゃんは」


麻衣「…………なのちゃんは」

ほっしゅ

みお「ま、麻衣ちゃん……?」

ゆっこ「ど、どうしたの麻衣ちゃん、らしくないよそんなこと言って」

麻衣「どうしたもこうしたも……」

麻衣「私は許されないことをした」

麻衣「だからあなた達に会う資格がない」

麻衣「それだけのこと……」


ゆっこ「何言ってるの!そんなことないよ!」


麻衣「例えあなた達がそう思っていても!!」

ゆっこ「!?」

麻衣「……私は…もう………」

面白い
追いついたぜ

麻衣「……こんなことなら、部屋から出なければよかった」

みお「……………」

麻衣「部屋にずっと篭っていれば、もう会うこともなかった」

麻衣「二度と会うつもりはなかった、会うのが怖かった……」

麻衣「会えば何を言われるか、どれだけ罵られるか」

ゆっこ「だから何も言ってないってば!私は麻衣ちゃんの悪口言ったり……」

麻衣「でも心の奥では!!」

ゆっこ「麻衣ちゃん!!」

ゆっこ「ちょっと落ち着いて!誰がそんなことするっていうの!」

麻衣「誰がしないという保証もない……」

ゆっこ「そんなの会ってみなくちゃわかんないじゃん!」

麻衣「わかる……!誰も彼もが私を蔑視して、嘲りながら罵る……!」

ゆっこ「麻衣ちゃんいい加減にして!!ちゃんとこっち見て話して!!」

麻衣「……もういい」

ゆっこ「………え?」



麻衣「……………帰って」

ゆっこ「

   
      
                                 
        
               
     
      
                                 
        
                  
      
                                 
        
               
     
      っ」プツン

みお「ちょっと麻衣ちゃん、そんな言い方はないんじゃないの?」

麻衣「帰って……早く帰って……!あなた達の視線が怖いの……!」

みお「呆れた。こんなこと言われるなんて、わざわざ来て損したよ」

麻衣(これでいい、これで……)

みお「ゆっこ、帰るよ。

………ゆっこ?」


ゆっこ「……………っ」バッ

ガッ

みお「えっ」

麻衣「!」


バシィン!!

麻衣「っ……!」ドサッ

みお「ちょ、ゆっこ!?」

ゆっこ「………何で……

何でそんなこと言うの!!?

私は!!私はぁ……!!」ボロボロ

みお「……………」

麻衣「……………」

ゆっこ「ひぐっ……ま、麻衣ちゃんの……ばかぁ…ううっ……ひどいよ……何で…何でぇ……

…ぐすっ………もう……麻衣ちゃんなんか……知らない………!!」



ゆっこ「麻衣ちゃんなんか、大っ嫌い!!!」ダッ

タイトル回収した

やっとタイトル回収か……

麻衣「………!!」

みお「あ、ちょっとゆっこ!?どこ行くの!?」

麻衣「……………」

みお「お、追いかけないと!」

麻衣「……………」

みお「…………」クルッ


麻衣「……………」


みお「…………はぁ。

ゆっこー!待ちなってー!」タタッ


麻衣「……………」

いいね!

~~~~~


「……………」


「これで……どうだ?」


「………ん」パチッ

「やった、成功だ!」

「やったー!!なのー!!」


「………はかせ……?中村先生……」

「気分はどうだ、娘」


「阪本さん………

私、一体……?」

書き溜めてるのか……凄いな

部屋に篭ってたら会うことなかった辺りの流れどっかで見たような気がするけど思い出せない

………どうしてだろう……

何だか、身体が暖かい……

包み込むような……春の陽気みたいな……

とても素敵な……

特に、胸の部分が……

ぽかぽかと……身体中に染み渡るような……


とても、優しい暖かさ……

なのなのなのなのなの

なのののの

……あれ?

プログラムには無いのに、何か情報が伝わってくる……

これは……相生さん?

相生さんの身に……何かが……


「!!!」

「なの?」

「はかせ!ちょっと来てください!」ダダッ

「あっ、なの!」

「お、おい東雲!ちょっと待て!」


~~~~~

むしろ数多のssスレ見てきていつも思ってるのはなんで書き溜めないのってことだ
>>1が用事で保守以外ないスレとか見てるとイラつく

みお「ゆっこー!!どこ行ったのー!!」

みお「参ったな……あの様子じゃどこに行くってわけでもなさそうだし……」

みお「……あっ、もしかしたらなのちゃんの家に?」

みお「うーん、いる気はあんまりしないけど……行ってみる価値はあるかも」

みお「よし、なのちゃん家に行こう」

ピンポーン

みお「ごめんくださーい!」


ガラララ

中村「何だ……長野原じゃないか」

みお「えっ、中村先生?何でなのちゃんの家に?」

中村「ん、あー……私用だ」

みお「(何だそりゃ……)あ、そうだ。ここにゆっこ来てませんか?」

中村「相生?来てないぞ」

みお「そうですか……」

中村「お前こそ、東雲を見ていないか?」

みお「え?」

中村「ついさっき修理が終わったんだが、何を思ったのか直った途端にあの子供の博士と一緒に何処かへ行ってしまったんだ」

みお「うーん、ちょっと見てないですね……というか、中村先生がなのちゃんを?」

中村「ああ、殆ど相生が終わらせていたがな。最後の一層難しい部分だけ私が請け負って、相生はお前を追いかけて行ったはずだぞ」

みお「(だからちょっと様子がおかしかったのか……)

わかりました、ありがとうございます」

中村「ああ」

みお「どうしよう、いよいよわからなくなった………」

みお「学校なんかゆっこが行くはずもないし……」

みお「かと言って他に心当たりも……」

みお「ん¨ん¨~……」


「スキあり!」ポカッ

みお「あいたっ!……あ、お姉」

よしの「こんなところで何してるの?」

みお「うん、ちょっとね」

お姉~!

みお「あっそうだ、お姉ゆっこ見てない?」

よしの「ゆっこって、みおの友だちのメガネの子?」

みお「そっちじゃなくて、茶髪のやたら元気な」

よしの「ああ、こないだ漫画手伝いに来てた」

みお「そうそう」

よしの「探してるの?」

みお「ちょっとね」

よしの「それって……あの子じゃないの?」

みお「え?……あっ」

~~~~~


こんなの、こんなのってないよ

わたしは、ただともだちでいたかっただけなのに

どうしてさけるの?どうしてとおざけるの?
ねえどうして?
どうして?
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして?

まいちゃんなんか

まいちゃんなんか


ゆっこ「うわあぁあぁぁああぁああああぁああぁぁぁあああぁああぁああぁぁああああああ!!!!!」

ガッ

ゆっこ「あっ!!」

ズザアァ……

ゆっこ「うぅっ……!」

ゆっこ「うぅ…痛い………!


麻衣ちゃん……ひどいよ……ひどいよぉ……

どうして……どうしてぇ……ううっ…ううう…うあ……


うわあああああああああああん!!ああああああああああああん!!うああああああああああああん!!」

ゆっこ「……うぅ……うえぇ……」グスッ

ゆっこ(走り続けていたら、何だか見たこともないようなところに来てしまった)

ゆっこ(見える景色からすると、ちょっと小高い丘みたいなところかな)

ゆっこ(こんなところ知らないや、どこまで走ってきたんだろう)


ゆっこ(どうでもいいや)

ゆっこ(それより、身体がすごく重い。最近全然寝てなかったからかな)

ゆっこ(誰もいないし、もうなんでもいいし)

ゆっこ(この辺でちょっと…寝ちゃお……)ヘタッ

ゆっこは馬鹿だからなぁ

ゆっこ…

………!

………~!

(………ん?)

(何か聞いたことある声が……)

あ……さ……!

………こ…!


(何だろう、誰だろう)

(誰かを探してるみたいな……)


あいお……さ……

(!

今の……私の名前……?しかも今の声って……!)

(でもそんなはず……いや、もしかして本当に……!)


なの「相生さ~ん!!」

はかせ「ゆっこ~!!」

ゆっこ「そ……そんな……まさか……」


「こっちじゃない?」

「そっちかもしれないです!」


はかせ「あっ、いた!」


ゆっこ「はかせ……?」

はかせ「こっちこっち!」

「ちょっと待ってくださいー!」


ゆっこ「え?え……?」




なの「あっ、相生さん!」

ゆっこ「…なの……ちゃん………?」


なの「相生さん、大丈夫ですか?」

ゆっこ「なのちゃん……なのちゃあああああん!!」ガバァ

なの「えっ!?」

ゆっこ「なのちゃあああああああん!!!うあああああああああああ!!!」ボロボロ

なの「相生さん……


大丈夫ですよ、もうどこにも行きませんから」ニコッ

ゆっこ「うわああああああああああああん!!ああああああああああああああん!!!」

なの「ふふ……」

相生さん!

なのちゃん!

ゆっこ「うぅん……Zzz……」

なの「疲れて寝ちゃったみたいですね」

はかせ「ゆっこはずっとがんばってたから」

なの「本当にありがたい限りです。どれほどお礼を言えば……」

はかせ「どうするの?」

なの「そうですね……

はかせ、今の間だけネジ外してもらえませんか?」

はかせ「えー、なんで?」

なの「相生さんを、おぶっていきたいからです」


~~~~~

なのちゃんの母性愛

みお「……………」ポカーン



はかせ「なの~、今日の晩ごはんなに?」

なの「ええ?何も用意してないですよ~」

はかせ「え~」



みお「………あは」

よしの「仲よしだねー」

みお「そうだね」

みお(なのちゃん見るの、何だかすごく久しぶりに感じるなあ……)

素晴らしい

よかったねなのちゃん

よしの「あ、あのおんぶしてる方の子ってもしかして」

みお「え?」

よしの「こないだいたネジのついた女の子じゃない?」

みお「え、あ、そうだね」

よしの「………声かけなくていいの?」

みお「え?うーん……今はいいや」

よしの「そっか」

みお「……………」

よしの「みおー」

みお「?」

支援

よしの『人を頼ることは、時に人を盲目にする』


みお「………はい?」

よしの「って言葉が本に書いてあったんだけど、どう思う?」

みお「いや、どうと言われても……ていうか、何て本?」

よしの「『青い彫刻』って本だよ。ほら、桜井はじめの新刊の」

みお「え、桜井はじめってあの牛乳の雪とか書いた人?えー新刊出てたんだー、今度読ませてよ」

よしの「はい」ポン

みお「えっ」

支援!

麻衣ちゃん…

よしの「私もう読んじゃったから」

みお「はやっ」

よしの「ちなみにさっきのセリフは192ページに載ってるよ」

みお「覚えてんの!?」

よしの「内容は大体」

みお(やっぱこのお姉チートだわ)

よしの「じゃあそろそろ帰ろっか」

みお「あ、うん」

部屋


みお「ふ~ん……」ペラペラ

みお(……人を頼ることは、時に人を盲目にする……か)

みお(確かにそうなのかもしれない)

みお(麻衣ちゃんの家にゆっこと一緒に行こうと思ったのも)

みお(実は1人で麻衣ちゃんと喋れる自信がなかったからなんだよね)

みお(まあ麻衣ちゃんがあんなこと言うのは予想外だったけど)

みお(にしてもゆっこもまともな精神状態じゃなかっただろうしなぁ)

みお(あんな結果になるのは実は決まってたのかもしれないな)

みお「ん?ここのフレーズ……」


『人を頼りにするのが弱いのではない。本当に弱いのは、人を頼りにし過ぎる者と、全てを自分一人で抱え込んでしまう者だ』

みお「何かさっきのと矛盾してる気もするけど……」

みお(この最後の……全てを自分一人で抱え込んでしまう者って、何か麻衣ちゃんみたいだな)

みお(麻衣ちゃん、不器用なところあるからなあ……)

みお(今日のだって、麻衣ちゃんも相当思い詰めてたのかもしれないし)

みお(麻衣ちゃんだって私たちと同じ高校生なんだし、わけわかんなくなっちゃうこともあるよね)

みお(それなのに私も気が立ってて、ひどいこと言っちゃったかなあ……)

みお(それに……)


みお(一番逃げてたの、私じゃん)


みお(難しいこと全部ゆっこに任せて)


みお(麻衣ちゃんとは向き合おうともせずに)


みお(…………ズルいだけじゃん)


よしの「みおー、ご飯だよー」

みお「今行くー」



みお(……これは、私が落とし前つけなきゃな)

日曜日


みお「麻衣ちゃんいるかな」


ピンポーン


みお「………」

ガチャ


みお「!」

麻衣母「あら、こんにちは」

みお「こんにちは」

麻衣母「麻衣に会いに来たの?」

みお「えーっと、はい」

頑張れちゃんみお

麻衣「……………」


コンコン

麻衣「……?」


みお「入るよ」

麻衣「!」


ガチャ


みお「や、麻衣ちゃん」

麻衣「……………」

みお「真っ暗だね」

麻衣「……………」

みお「ちょっと電気つけるよ」


パチッ


みお「……一昨日のままだね」

麻衣「………」


みお「麻衣ちゃん、今日何で私が来たかわかる?」

麻衣「……………」

しえしえ

しえん

みお「私も、ちゃんとはっきりした理由があってきたわけじゃないんだけどさ」

みお「いろいろ言いたいことがあるからね」

みお「だからこうやって来たんだ」

みお「何から言おうかな……」


麻衣「……………」ピクッ

みお「あ、今帰ってって言おうとしたでしょ」

麻衣「!?」

みお「先に言っとくけど、今日は帰らないよ」


みお「ちゃんと、麻衣ちゃんと向き合って話がしたいから」

みお「まあ何というか、こないだはごめんね」

麻衣「?」

みお「来て損したとか、見損なったとか、いろいろ私もひどいこと言っちゃったし」

麻衣「……………」

みお「しばらく会ってなかったのに、いきなり押しかけて来て何様だーって、そんな感じでしょ」

麻衣「………」ブンブン

みお「あれ、否定されちゃった

まあいっか。今日のメインは私の話じゃないしね」

麻衣「……?」

みお「麻衣ちゃん。


こないだゆっこにあんなこと言ったのはなんで?」

麻衣「………!」

みお「そりゃ私は、ろくに麻衣ちゃんとも会ってなかったし、何言われたって文句は言えないよ」

みお「けどゆっこにあの言い方はないよ」

麻衣「……………」

みお「麻衣ちゃんの家にだって何回も行ってたみたいだし、私にも口を開けば麻衣ちゃん麻衣ちゃんだったし」

麻衣「……………」

みお「今だから言っちゃうけど、私こないだ会うまで、正直麻衣ちゃんの顔も見たくないくらい嫌いになってた」

麻衣「……………」

みお「なのちゃんの事故の時に、前に私の漫画手伝ってくれた時みたいに手紙だけ置いて帰っちゃったでしょ」

みお「ちょっと考えればそんなわけないってわかりそうなもんだけど、その時私はろくに考えもせずに『またいつものボケか、こんな時まで』とかって思っちゃってさ」

みお「そう考えると無性に腹が立ってきてね。もう絶交だとか、そこまで思っちゃってた」

麻衣「……………」

みお「そんな風に考えてた私を必死で説得して、
一生懸命一日も早く元の日常に戻そうとして、
私のことも麻衣ちゃんのことも、
そしてなのちゃんのことも1人で全部抱え込んで、
それでもまだ頑張って頑張って頑張れる」


みお「それがゆっこなんだよ」

麻衣「……………」

みお「一昨日来たのも、誘ったのこそ私だけど、ゆっこを麻衣ちゃんに会わせてあげたかったのが大きいかな」

みお「ゆっこってば、麻衣ちゃんに会えるってすごく喜んでたなー」

麻衣「……………」プルプル


みお「そのゆっこに、あんなこと言っちゃうのは、ちょっと酷だよね」

麻衣「……………」

みお「流石のゆっこも堪えたみたいだね。今日も一緒に行こうか誘ったんだけど、別にいいって断られちゃった」

麻衣「………私は……」

みお「?」


麻衣「私は……何てことを………」ブルブル


みお「………麻衣ちゃん」

麻衣「…………?」ピタッ

みお「さっきから、自分の無能さを棚に上げて、麻衣ちゃんを虐めるようなことばっかり言ってるけど」


みお「それでもちゃんと聞いてほしいんだ」

麻衣「………え?」


みお「麻衣ちゃんにはちゃんと、自分のやったことと向き合って」


みお「ゆっこと仲直りして欲しいから」

麻衣「……………」

みお「きっと簡単なことじゃないよ、あれだけひどいこと言ったんだし」

みお「でもね」


みお「きっと出来るよ。

ううん、絶対」

麻衣「……………」

みお「そりゃ、一回や二回顔を合わせただけじゃどうにもならないと思うよ」

みお「どうすればいいかなんて私にはわからないし、麻衣ちゃんも、下手すればゆっこもわかってないと思う」

みお「でも、麻衣ちゃんがほんとにゆっことずっと友達でいたいと思ってるんなら、できるはずだよ」

麻衣「……………」

ねかせてよおおおおおおおおおおお!!

明日朝早いのに寝れない

みお「それからもう一つ」

麻衣「?」


みお「なのちゃん、ちゃんと治ったよ」

麻衣「!!」

みお「詳しいことはわからないけど、はかせとゆっこと中村が頑張ったんだよ。何で中村が入ってきたのかはわかんないけどね」

麻衣「……………」

みお「謝るならなのちゃんにも謝っとかないとね。麻衣ちゃんが車に轢かれそうになったところを助けて事故にあったんだから」

麻衣「………………」

みお「でもよかったね、ちゃんと治って。治ってなかったらお礼も謝罪もできないよ」

寝落ちまでしえん

麻衣「……………」プルプル

みお「ん?」

麻衣「…………」ポロッ

みお「おっと、泣くのはまだ早いよ」

麻衣「?」

みお「まだ一番大事なことが終わってないじゃん。先に決着つけなきゃね」

みお「まあ、何というかとりあえず……」


みお「明日、学校来なよ」ニコッ

麻衣「……………」

みお「……みんな、待ってるよ」

麻衣「………」

みお「今日のところは言いたいことはそれだけ。それじゃあそろそろ帰るね」

麻衣「………」

みお「気が向いたらまた明日ね、多分ゆっこも来てるし」

麻衣「…………」

みお「それじゃ、またね」


麻衣「……………みおちゃん」

みお「え?」



麻衣「………ありがとう」ニコッ


みお「……どういたしまして」ニッ

翌日


ガララッ

ゆっこ「スラマッパギー!」

みお「あ、ゆっこおはよー」

ゆっこ「みおちゃ~ん、スラマッパギーって返してよー」ショボン

みお「だからそれ何語なのよ……」

ゆっこ「あっそーだ、昨日までなのちゃん家泊まってたんだけど、なのちゃんは今日はお休みだって」

みお「え、まだ治ってないの?」

ゆっこ「そういうわけじゃないけど、寝てた間の用事が山積みなんだって」

みお「なるほど」

田中「おう相生、久しぶりだなー」

ゆっこ「あっ田中!久しぶりー」

田中「お前ずっと休んで一体何してたんだよー、これでも心配したんだぜ?」

ゆっこ「あちゃー、心配かけちゃったかー

でもやってたことは企業秘密なので言えませんと」

田中「何だよそりゃー」

ゆっこ「でもご心配なく、この通りいたって健康だよ!」

田中「そいつはよかった、これでまた教室が賑やかに……」


ガラッ

田中「ん?」


麻衣「……………」

みお「あっ」

ゆっこ「麻衣……ちゃん……」


麻衣「……………」


田中「何だなんだ、水上も来たのか!お前も久しぶりだなー!なあ相生!」


ゆっこ「………うぅ……」

田中「……相生?」


ゆっこ「…………フンだ」プイッ

麻衣「……………」


田中(え、何この状況)

寝れないよおおおおおおお
うわあああああああああああああ

ゆっこ「……………」ツーン

麻衣「……………」


田中「おいおいどうしたんだお前ら、何かおかしい………」

グイッ

田中「うおっ」


みお(空気読みなよ田中!どう見たって普通じゃないでしょうが!)

田中(何だよ、何があったんだよ?ケンカでもしたのか?)

みお(ケンカ……みたいなもんかな。とりあえずこっち来て)グイグイ

田中(お、おう)

見てるぞ

田中「……なるほどなー。何かあるとは思ってたが、思ったよりずっと複雑だったんだな」

みお「顔合わせれば何か変わるかもと思ったんだけど、あんまり効果はなかったみたい……」

田中「まあそう上手くはいかねーだろ。

んーそうだな……俺が思うに、仲直りのカギは東雲だな」

みお「なのちゃん?」

田中「そうだよ。水上と相生が一緒に東雲の家に行く、みたいなシチュエーションとかいいんじゃねーかな」

みお「それは良さげだけど……どうやってそこまで持っていくかが問題なんだよね」

田中「そうだな……よし、俺たちに任せろ」

寝れぬぅ!

面白い

みお「え?」

田中「お前安中に声かけられてただろ?何かできることはないかって」

みお「そうだけど、何で田中が?」

田中「俺と中之条も見てたんだよ。そんで俺と中之条と同じこと考えてたんだ」

みお「そうだったんだ……」

田中「ま、クラスメートが仲悪いようじゃいいクラスになんかなれっこないからな。ましてや相生みたいな奴なら尚更影響はでかいしな。
俺だってお前らの漫才が見れねーと面白くねーしよ」

みお「けどどうやるの?下手打って逆効果なんてことになったらそれこそ目も当てられないよ」

田中「そうだな……超ベタな作戦なら今頭の中に浮かんでるんだが……ちょっと中之条と安中と相談するか。お前も来いよ」

みお「うん」

安中「そうだったんだ……」

中之条「なるほど、だから皆いなかったのか」

みお「で、田中、作戦てどんななの?」

田中「俺の考えてる作戦だと、俺たち4人の他に誰か先生も必要なんだよな。まあそれは置いとくとして……」


~~~~~


田中「………てな感じだ。どうだ?」

中之条「即興にしてはよくできてると思うよ、ベタだけど」

安中「私もいいと思う!ベタだけど」

みお「ベタだけど」

田中「そんなにベタベタ言わなくていいだろ

まあ、反対もなさそうだしとりあえずこの作戦でいいか?」

三人「意義なし」

田中「で、だ。重要なのはこの作戦をどっちに仕掛けるかだ。長野原、どっちの方がいい?」

みお「うーん、この作戦だと麻衣ちゃんの方がいいかな。ゆっこはあれでかなり頑固なとこあるから、これだとノって来ないかもしれないし」

田中「よし、じゃあ水上に仕掛けよう。あとは先生を誰にするかだけど……」


「わ、私がやります!」

四人「え?」

みお「あ、桜井先生!」

桜井「話は聞いていました、私も皆さんには仲良くしてもらいたいので、私にできることを」

中之条「それじゃあ、お願いします」

田中「よし、これで準備完了だ。決行は昼休み、皆ぬかるなよ!」

全員「オー!」

昼休み


ゆっこ「あーお昼だー!」

みお「あ、ゆっこちょっといい?」

ゆっこ「うん?」

みお「今日お昼屋上で食べない?」

ゆっこ「おーいーねー、たまにはそういうのもいいんじゃない?」

みお「じゃあオッケーだね。私ちょっと先生のところ寄って行くから先行ってて」

ゆっこ「うんわかったー」ステステ


みお「………よし、これでこっちは完了」

麻衣「……………」テクテク


安中(水上さんが来たよ!)

田中(よし、配置につけ!)


麻衣「…………」テクテク

田中「……はぁー」

麻衣「………?」

田中「……ん?ああ水上かー、気にしなくていいぞー」

麻衣「………」コクン


田中「………はぁー」

破ァー!

桜井「田中くん、元気がないですよ?どうかしたんですか?」

田中「あー先生ー」


麻衣「…………」

田中「いやー、ちょっと中之条とケンカしちゃってー」

桜井「まあ」

田中「そんなつもりは無かったんスけど、ついカッとなって酷いこと言っちまったっつーか」


麻衣「…………」

田中「俺が酷いこと言ったのはわかってるんスけど、そっから目も合わせてくれないんスよねー、はあ」

はあーーー

田中「目も合わせてくれないのはちょっと辛いっスね」

桜井「まあ、田中くんでもそんなことがあるんですね」

田中「センセー、どうしたらいいですかね?どうすれば仲直りできますかね………」

桜井「そうですね……」


麻衣「……………」


桜井「私なら、まず第一に謝りますね」

麻衣「!」

田中「やっぱそーですよね。でもただ謝っただけで許してくれますかね?」

桜井「それはわかりません。だけど……」

桜井「あれこれ取り繕うよりも、誠心誠意を込めた普通の謝罪の方が、私は効果があると思います」

田中「そうなんスかねー……」

桜井「もちろん、一回で許してもらえないこともあると思います。でもそれで諦めてるようでは、関係は元どおりにはならないと思いますよ」

田中「うーん……」

桜井「本当に相手と関係を続けたいのなら、一度や二度で諦めるのではなく、本当の自分の気持ちが伝わるまで。そうすればきっと……」

田中「……そっスよね。やっぱ逃げてちゃダメっスよね!

よっしゃ、じゃあちょっと中之条に謝って来ます!中之条ー!」タタタッ

桜井「………」ニコリ


麻衣「……………」

安中「どうだと思う?」

麻衣「?」

安中「今の桜井先生の言ってたこと。

私は、その通りだと思うな」

麻衣「……………」

安中「高級なお詫びの品とかもいいけど、やっぱりまずはちゃんと謝らないとね。まあ水上さんがどう思うかは、私にはわからないけど」


麻衣「………私は……」


みお「あ、麻衣ちゃんいた」

麻衣「?」

みお「麻衣ちゃん、ゆっこ見てない?」

麻衣「……ううん」

なるほど、ベタだな

ベタベタだな

みお「そっか、どこ行ったんだろ……」

中之条「相生さんなら、さっき屋上に上がって行くのを見たよ」


麻衣「……!」

みお「ほんと?ありがと中之条。

屋上かー、じゃああとでいいかな」

安中「あ、そうだ長野原さん、こないだ言ってたマンガ持って来たよ」

みお「ほんと!?ちょっと読ませてもらっていい?」

安中「いいよ、じゃあこっちに来て」ステステ

ベタだ

田中「おーい中之条ー!」

中之条「ん?」

田中「中之条ー!ちょっと来てくれー!」

中之条「……田中くんか。まだ腹の虫は治まってないけど……」

田中「中之条ー!俺が悪かったー!どこだー!」

中之条「あれだけ必死で呼んでるんなら、何か大事な用でもあるんだろうな。

行ってあげようかな……」スタスタ


麻衣「……………」


中之条(相生さんなら、屋上に上がって行くのを見たよ)



麻衣「………っ!」ダッ

五人「……………」

みお「……とりあえず、成功かな」

中之条「はあ、怒ったふりをするのも疲れるよ」

田中「ナイス演技だったぜ中之条!それに他の皆も!」

安中「でも、私たちがコソコソできるのはここまでなんだよね」

桜井「後は二人の問題ですね」

中之条「本当に上手くいくのかなあ?」

田中「ま、なるようになるだろ。なあ長野原?」


みお「……うん、きっと」

友情っていいねえ

ベッタベタ

屋上


ゆっこ「みおちゃん遅いなあ……」

ゆっこ「というか、私もみおちゃんと一緒に行けばよかったんじゃ」

ゆっこ「どうしようかな、みおちゃん迎えに行こうかな」

ゆっこ「でもそれで入れ違いになるのも嫌だし」

ゆっこ「……お腹空いたな」


ガチャ


ゆっこ「あ!みおちゃんやっと……」


麻衣「……………」ハァハァ


ゆっこ「……麻衣ちゃん………」

これ見届けておれはねるんだ

眠い、けどねれない

あとどんくらいだー?

がんばれ

最後に一枚絵があったら完璧た

ゆっこ「………何か用」

麻衣「……………」

ゆっこ「……………」

麻衣「………っ」

ゆっこ「…………黙ってちゃわかんないよ」

麻衣「っ………

ゆっこ………」


麻衣「ごめんなさい」

ゆっこ「……………」

麻衣「……………」

ゆっこ「………それだけ?」

麻衣「!

……えっと………」

麻衣「ゆっこ……怒ってる……?」

ゆっこ「…………」コクン

麻衣「私が……酷いこと言ったから……」


ゆっこ「……違うよ」


麻衣「……えっ?」


みお達(えっ)

みお(ち、違う?違うって……)

田中(おい長野原、話が違うじゃねーか!)

みお(あれ、おかしいなあそんなはずは……)

安中(ああ、なんだか険悪に……!)

中之条(ね、ねえ、もうやめない?こんなことバレたら……)


麻衣「……違う…の?」

ゆっこ「……全然違うってわけじゃないけど、私が一番怒ってるのはそこじゃない」

麻衣「……じゃあ、どうして……?」


ゆっこ「…………」プイッ

えっ

おお

えっ

ゆっこ「…………」スタスタ

麻衣「ま、待って」タタッ


ゆっこ「…………」ピタッ

麻衣「……………」ハァ


ゆっこ「………何」

麻衣「っ………

……私が何をしたのか、ゆっこが何故怒ってるのか、私にはもうわからないけど……」

麻衣「私がゆっこに酷いことを言ったのは、変えようのない事実……」

ゆっこ「……………」

麻衣「皆の視線が……どれだけ罵倒されるかが……恐ろしかったから……」

麻衣「でも今は!」

バッ

ゆっこ「……………」

麻衣「罵倒されるよりも蔑視されるよりも何よりも!

あなたに嫌われるのが怖い……!」ポロッ

麻衣「何もわかってない私が言うのは我儘なのかもしれない……」

麻衣「それでも私は!ゆっこに嫌われるのが………」


ギュッ

麻衣「………えっ……?」


ゆっこ「………麻衣ちゃん」


ゆっこ「やっと………」



ゆっこ「………やっと、私の目見てくれたね」ニコッ


麻衣「…………!!」

ゆっこ「えへへ……」ニコニコ

ギュウゥ……

麻衣「……?………?」


みお(え、何コレ何コレ)

田中(急にどうした?)

中之条(仲直り……出来たのかな?)

安中(……………)ハァハァ


麻衣「……どうして……?」

ゆっこ「……私が一番ショックだったのはね」


ゆっこ「麻衣ちゃんが私と目も合わせてくれないことだったんだ」

ほう

( ;∀;)イイハナシダナー

なるほど

安中さん・・・

麻衣「……………」

ゆっこ「あんなことがあった後だし、ちょっとぐらいは酷いこと言われることも覚悟してたよ」

ゆっこ「まああそこまで言われたのはちょっと予想外だったけどね」

麻衣「……………」


ゆっこ「だけどね、目も合わせてくれないのは、ちょっとこたえたかなあ」

ゆっこ「何言っても届いてない気がするというか……」

ゆっこ「……何だか、麻衣ちゃんの中から私が消えちゃったみたいで」

早くしてくれ充電が持たん

麻衣「………ごめん」

ゆっこ「ううん、もう怒ってないよ」

麻衣「……許して…くれる……?」

ゆっこ「うん、もちろん」ニコニコ

麻衣「……!」パアァ


みお(あーダメだ、コレはオチる

麻衣ちゃんじゃなくてもここでその笑顔はオチる)

安中(イイ……この関係イイよ……)タラー

田中(おい安中鼻血出てるぞ)

安中(えっ)

中之条(僕ティッシュ持ってるから、はい)

安中(あ、ありがと……)

みお(……安中さんは百合派か)

パアアッってなるまいちゃん見てみたいな

麻衣「……ありがとう」

ゆっこ「えっへへー、やっと笑ったね」


麻衣「………ゆっこ」

ゆっこ「うん?」

麻衣「今日の放課後……一緒になのちゃん家に……」

ゆっこ「なのちゃん家?ああそうか、今日はなのちゃん来てないもんね。

いいよ、一緒に行こ」

麻衣「……………」

ゆっこ「そういえば、みおちゃんとお弁当食べよって話してたんだけどな……みおちゃんまだかな?

麻衣ちゃん、一緒に探しに……」


ギュ

ちゃんみおが違う目線で見だしたぞ

麻衣「……………」

ゆっこ「………あれ」

ゆっこ「どうしたの麻衣ちゃん?手なんか握って」


麻衣「………このままがいい」


安中(ハァハァ)

田中(な、なんか安中の呼吸が荒いぞ)


ゆっこ「……もー、しょうがないなー」

ンギュ


麻衣「…………!」カアァ



ガタン

安中「ホイキタアアアアアアアアアアアア!!!!」ドバー

キマシタワー

安中さん……

プラトニックな百合は好きです

麻衣「!?」

ゆっこ「えぇ!?」


田中「おいバカ何やってんだ!」グイッ

安中「アアアアアアアアアアアアアアアアアアア」ドクドク

中之条「か、完全に気づかれたよ!」ピュー

田中「ずらかるぞ!」ピュー

みお「あ、ちょっと!」


ワァワァキャアキャア


ゆっこ「……な、何なの」

麻衣「………?」

おい、安中

うわぁ…

安中さんはえっちだねぇ

ゆっこ「あ、もしかして!」

麻衣「?」


みお「ちょ、置いてかないでよ!」

ゆっこ「みおちゃん!」

みお「え?」


ゆっこ「ありがと!」


みお「……へ?」

ゆっこ「ほら、一緒にご飯食べようよ!」

みお「あ、え?あ、うん……」

ゆっこ「麻衣ちゃんも一緒に!私の分けてあげるから!」


麻衣「………うん」

放課後

ゆっこ「じゃあ行こっか」

麻衣「うん」


田中「お前大丈夫か?絶対貧血ぐらい出てただろ」

中之条「無理してついてこなくても……」

安中「……多分大丈夫……」

みお「……………」

ゆっこ「麻衣ちゃん、なのちゃんなんだけどね」

麻衣「?」

ゆっこ「麻衣ちゃんが来るかもしれないって言ったら、違うところで待ってるって言ってたんだ。

だから今なのちゃん家にはいないよ」

麻衣「……え」

ゆっこ「だからさ、なのちゃん家じゃなくて、なのちゃんのいるところに行くよ」

麻衣「……うん」


みお「……あれ?そっちなのちゃん家じゃないよ?」

安中「どこ行くんだろう……」

支援

しぇん

百合支援

ゆっこ「……私もね、実は麻衣ちゃんのこと嫌いになりかけてたんだ」

麻衣「……………」

ゆっこ「あんなこと言う麻衣ちゃんなんて嫌いだーって」

ゆっこ「実際言っちゃったもんね、大嫌いとか」


ゆっこ「……でもね、何だかね」

ゆっこ「どうやっても麻衣ちゃんのこと、嫌いになれなかったんだ」

ゆっこ「いろいろ考えてみたんだけど」


ゆっこ「麻衣ちゃんのいない日常なんて、考えられなかったよ」

ゆっこォー!

タイトルの使い方上手いなあ

麻衣「……………」

ゆっこ「……でも、やっぱり許せないのは許せなくて」

ゆっこ「何だかもうわけわかんなくなっちゃって」

ゆっこ「今日だって麻衣ちゃんにどう接したらいいかわかんなくて」

ゆっこ「だからキツく当たっちゃったんだよね……」


麻衣「……………」

ゆっこ「あはは……

でも、麻衣ちゃんが謝ってくれたからかな、何かもやもやしてたのが一気に消えていって……」

ゆっこ「……何だろ、よくわかんないや」

寝れねえぜ

みお「……………」


田中「………なあ」

中之条「………そうだね」

安中「………うん」

みお「?」

田中「……なあ長野原」

みお「え?」

喧嘩ってそんなもんだよな

田中「やっぱ俺ら帰るわ」

みお「え、何で?」

中之条「これ以上は野次馬根性で見ていいものではないというか……」

安中「長野原さんだけ行ってきなよ、私たちが邪魔しちゃ悪いよね」


みお「そ、そうかな……」

田中「んじゃな、また明日」

みお「あ、うん……」

みお「……………」

胸が痛い

安中「……とは言ったものの」

田中「やっぱ見てえよなー」

中之条「でもここは大人しく帰った方が……あっ」

田中「ん?」


桜井「……………」ソローリ

高崎「……………」ソローリ

中村「……………」ソローリ


田中「何してんスか?」

三人「!?」ビクゥ

ゆっこ「………あ、着いたよ」

麻衣「ここは?」

ゆっこ「ここはね、私が麻衣ちゃん家から飛び出した後に来たところ」

ゆっこ「どうやって来たのかも覚えてないけど、ここで倒れてたところをなのちゃんに連れて帰ってもらったんだ」

ゆっこ「ほら、見て!」

麻衣「?」

ゆっこ「ここからの景色、すっごく綺麗でしょ?なのちゃん、ここで麻衣ちゃんと会いたかったんだって」

麻衣「……………」



「水上さん。」

麻衣「?

……あ………」


なの「…水上さん、お久しぶりです」

ゆっこ「……なのちゃん」


みお(……いろいろあったけど、元はと言えばなのちゃんが麻衣ちゃんをかばって事故にあったのが発端なんだよね……)

みお(……なのちゃんは、何て言うんだろう)


麻衣「あ……えっと………」

なの「………水上さん」

麻衣「………?」



なの「ありがとうございます」ペコリ

麻衣「………え?」

みお(えっ)

その他(えええええ!?)


なの「……ふふ」ニコニコ

ゆっこ「ふふーん」ニヤリ


麻衣「な、何で……」

なの「?」

麻衣「私が余計なことして、なのちゃんが事故に……」

なの「ああ、そんなことですか。

あれは私が勝手に動いただけで、水上さんに責任なんてありませんよ。それよりも水上さんが無事でよかったです」

麻衣「…………………」

なの「それより、水上さん」

麻衣「?」


なの「私の大切な部品、水上さんが探してくださったんですね」

麻衣「……あ………」


なの「あのネジは私の身体の中で一番大切な部品で、あれがないと私は動けないんです。それもはかせの特製で、同じものはなかなか手に入らないとか」

なの「事故で吹き飛んだなんて、普通ならどうしようもなさそうなものですけど……さすがは水上さんですね」

麻衣「………どうしてそのことを……」

なの「阪本さんに聞きました。玄関の門の上にネジが置いてあって、メガネの娘が走って行くのが見えたって」

麻衣「……………」

なの「……目が覚めた時、身体中がほんのりと暖かかったんです。誰かに包まれてるみたいに」

なの「それで、そのネジの部分が特に暖かかったんです。大事な部品だということもあると思いますけど、きっとそれだけじゃないと思います」

麻衣「……………」


なの「……今更だと思いますけど、私、ロボットなんです。もう、水上さんなら気づいていたかもしれませんけど………」

なの「でも、私はもうそんなこと気にしません」

なの「気づいたんです」

なの「ロボットだろうとなかろうと、本当の友達には関係ないんだって」ニコッ

麻衣「……………どうして」

なの「え?」

麻衣「どうして……みんなはそんなに優しくできるの……?」プルプル


ゆっこ「難しい質問するね麻衣ちゃん。

どうしてもこうしても、友達だからじゃん!ね、なのちゃん?」

なの「もちろんです。大切な友達だからこそ……」


はかせ「はかせもそーおもう!」ガサッ

ゆっこ「あっ、はかせいたんだ」

はかせ「ひふふ、びっくりした?」

ゆっこ「おーびっくりー!ぜんぜん気づかなかったよー!」

なの「ふふふ……?」

麻衣「……………」


なの「……水上さん。」

麻衣「………?」


なの「何があろうとなかろうと、水上さんは私の大切な友達です。」

麻衣「………!」

なの「だから………」


なの「これからも、よろしくお願いしますね」ニコリ

なのちゃん天使だわ

麻衣「……………」

なの「……水上さん?」


麻衣「……………」プルプル

ゆっこ「……麻衣ちゃん?」


麻衣「……………っ」ポロッ


ゆっこ(あ、もしかして)



麻衣「……っ………ぅぇぇ……!」ボロボロ

なにこれいい

ゆっこ「あは、麻衣ちゃん泣いちゃった」

なの「水上さんが泣いてるのって、初めて見た気がします」

ゆっこ「実は私もなんだ……あれ?」

なの「?」

ゆっこ「あ、あれ?あれ?」ポロポロ

なの「あー、相生さんも泣いてますね」

ゆっこ「あれれ?お、おかしーなー、泣くつもりなんてなかったのに……」

麻衣「っ……ひぐぅ………うぅ……!」ボロボロ

はかせ「あはー、ゆっこもまいも泣いてるー!」

みお(………これにて一件落着、かな)

みお(………あれ?)ホロリ

みお(な、何で私まで泣いてんのよ……)

みお(……どうしよう、止まらないよ……)


ポン

みお「?」

田中(お前も行ってこいよ)

みお(田中?それに中之条に安中さんも……帰ったんじゃ……)

田中(んなこといいからさ、ほら早く)ドンッ

みお(あ、ちょ、押さないで)


ガサッ

長い

麻衣「?」

みお「……あ、えっと……」


ゆっこ「みおちゃん……来てたんだね」

なの「あ、長野原さんも泣いてますね」

みお「こ、これはその……」

ゆっこ「照れない照れない!ほらこっちおいでよ!」グイッ

みお「わ、ちょっ」


麻衣「」ギュ

みお「わっ!」

アフロのくせに

大天使なのちゃん

安中「……………」ホロリ

田中「お前さっきとリアクション違うじゃねーか」

安中「何か感動しちゃって……」グスッ

中之条「気持ちはわかるよ」ズズッ

田中「お前も泣いてんのかよ!」


桜井「皆さん、仲直り出来てよかったです……」グスッ

高崎「フフ、例え宇宙人だろうと幽霊だろうとロボットだろうと、俺の教え子である限り差別も贔屓も絶対にさせんぞ。覚悟しておけ、東雲」

中村「結局あの設計図は難解過ぎて理解出来なかったが……いつか一からお前を作り出してやるぞ!東雲!!」



なの「…………皆さん来てたみたいですね」

はかせ「だね」

イケメンだぞ

ゆっこ「……じゃあそろそろ帰ろっか」

みお「そうだね」

麻衣「…………」ギュウ

ゆっこ「あはは、ずっと麻衣ちゃんに手を握られてるよ」

麻衣「…………」カアァ

みお(あーこれ麻衣ちゃん完全にホの字だわ)ニヤニヤ

ゆっこ「みおちゃん何ニヤニヤしてるの?」

みお「え!?いやこれは……」アセアセ

ゆっこ「あははーへんなのー!」ケラケラ



なの「………はかせ」

はかせ「んー?」

なの「こんなに素敵な街で、こんなに素敵な人たちに恵まれて………」

高崎先生イケメン杉

なの「私、この街で生まれてよかったです。」



はかせ「はかせもそーおもう!」




中村先生かわいい

マジで乙だった!

劇場版かな?乙

SS二作目
一作目の反省を活かして書き溜めにしのうと思ったらアホほど長くなりました
読んでいただいた・保守してくださった皆様、ありがとうございました
お粗末様でした

おれもそーおもう

面白かった

すごく面白かった、乙
久々にSSで暖かい気持ちになったわ

かかった時間半端ねえけど乙

日常アニメだけどまた見返そうかな

じょーじょーゆーじょー

お疲れ様でした!久しぶりにいいSSを見ることができて嬉しかったです!
次回作も期待してます(ニヤリ

面白かった!乙


リアルタイムでほっこりするSSが見れて良かった!また書きに来てね

これはよいものだ




よいものだ


乙!

>>1
おもしろかったー

本当に面白かった!
次の作品が出来て偶然見られたら嬉しい

乙つむり

日常見返そう

堪能しました最高でしたありがとう乙

乙ー

面白かった乙

めっちゃおもしろかった乙

一回寝てから最後まで読み切ったぜ乙

原作だと最初からロボだってバレてんだよなー
なのはバレてないつもりだったんだけど

こんなSS書いてみたい!
乙~

焼きそばだよ!!!!!

くっそ最後まで読んじまった
いちおつ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月02日 (水) 13:18:50   ID: JbVmsjAJ

めっちゃ感動した

2 :  SS好きの774さん   2015年11月06日 (金) 18:45:36   ID: oiq_iMKN

おつ
なんかいろいろ完成度すごい

3 :  SS好きの774さん   2016年03月05日 (土) 09:48:28   ID: Y8gPz6lU

安中さん最高

4 :  SS好きの774さん   2016年11月08日 (火) 06:44:26   ID: N_uZXuku

1作目って麻衣ちゃんいじめられ病みエンドのやつかな?感動したけどこの作者どんだけ麻衣ちゃんいじめたいんだああ...

5 :  SS好きの774さん   2017年03月12日 (日) 09:21:27   ID: JQnbIcSz

安中さん…www すごく感動しました!百合な感じもあったし、田中がなんかイケメンだし、すごく良かったです!

6 :  SS好きの774さん   2017年03月23日 (木) 20:13:24   ID: rXXFSejy

マジで、感動しました
(´;Д;`)

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