凛「携帯電話なんて通話できればいいでしょ?」セイバー「ですね」(404)

学校 教室

凛「……」

凛(携帯電話、買ったはいいけど……使い道がないのよね……)

三枝「蒔ちゃん、昨日のメールどういう意味なの?」

蒔寺「え?面白くなかった?」

三枝「いや、だって……『( ゚Д゚)y─┛ゆきっちぃ、フォォ』だもん。意味、分からないよ?」

蒔寺「駄目だな。分かったないなぁ、ゆきっちはよぉ」

三枝「ご、ごめんね?」

氷室「お前のメールほど金の無駄遣いはないな」

蒔寺「へっへーん。しらないのかぁ?メールはただなんだぜ?」

氷室「……まぁいい」

凛(メールか……できれば楽しいのかしら……?)

衛宮邸

凛「ただいまぁ」

大河「おふぇりー」ポチポチ

凛「あら?藤村先生、メールですか?」

大河「うん。学生時代の友達にねー。よし、送信っと」

凛「……」

大河「なに?どうかした?」

凛「メールって楽しいものですか?」

大河「そうね。気軽に連絡取り合えるしね」

凛「ふーん」

大河「遠坂さんもしてみたいの?」

凛「いえ。携帯電話なんて通話できればいいと思いますし」

大河「そう?寂しいと思うけど」

凛「機能過多なんですよ。はっきりいって」

大河「まあ、そうかもね」

凛「……」

凛(とはいっても……電話をかけるのもこれ、結構難しいのよね……)

凛「えっと……番号を押して……」

凛「このボタンをおせば……」ピッ

トゥルルルル

凛「あは、繋がったわ。うん。これぐらいはできるわよ、私だって」

セイバー「もしもし、衛宮ですが」

凛「もしもし?遠坂凛よ」

セイバー「リン?居間に居たのでは?」

凛「ふふー。瞬間移動よ」

セイバー「いつのまにそんな魔術を……」

凛「すごいでしょー」エッヘン

士郎「遠坂、電話代の無駄だからそういうことするな」

凛「え?タダって聞いたけど?」

士郎「誰にだ……」

凛「これお金かかるの?!」

士郎「当然だろ」

凛「あわわ……」

士郎「全く」

セイバー「リン!?もう戻ったのですか!?」

凛「まあね」

セイバー「魔法の域ではありませんか」

凛「ふっ。これぐらいはできないとね」

セイバー「流石ですね」

凛「ふふーん」

士郎「……」

桜「せんぱーい、ただいまー」

士郎「悪いな、買出し頼んで」

桜「いえ。気にしないでください」

ピリリリリ

桜「あ……メールだ」

凛「?!」

士郎「桜、携帯電話買ったのか?」

桜「はい。最近、兄さんがよく夕食に帰ってこないので、思い切って買いました」

士郎「どういうことだ……」

桜「これがあればいつでも兄さんを呼び戻せるんで」

士郎「そ、そうか」

桜「あと部活の連絡なんかもすぐにできるので、便利です」

士郎「ま、そうだろうな。今のメールは?」

桜「美綴先輩からです」

士郎「そっか」

凛「……ねえ、桜?」

桜「はい?」

凛「メール……楽しいの?」

桜「楽しいというか……すぐに連絡できるし……利便性が先行してますね」

凛「ふーん」

桜「あ、返信、返信っと」

セイバー「間桐の者は全員所持しているのですか?」

桜「はい。私と兄さん、ライダーにも」

士郎「ライダーもか?」

桜「ほら、ライダーはアルバイトしているのですぐに連絡をとれるものが欲しかったみたいで」

士郎「なるほどな」

凛「……」

桜「そういえば、姉さんも携帯電話もっているんですよね?」

凛「え、ええ」

桜「交換しませんか?」

凛「いやよ。これは私が買った携帯電話なんだから」

桜「はい?」

凛「なんでわざわざ交換しなきゃいけないの?」

桜「えーと……?」

士郎「遠坂、この場合の交換っていうのは携帯電話の番号とアドレスのことだ」

凛「番号を交換?なにそれ、めちゃくちゃね。まだ、自分の番号だって覚えてないのに」

士郎「違う。互いの番号を教えあうってことだ」

凛「あ、そうなの?」

桜「姉さん……」

凛「わかったわ。じゃあ、ちょっと待ってね」

凛「士郎、紙とペン」

桜「姉さん、赤外線でできますよ?」

凛「赤外線?なによそれ?」

桜「えっとですね……貸して下さい」

凛「……なによ?」

桜「ここを押して……メニュー画面から……ここを選択するんです」

凛「ふーん」

桜「で、ここの部分を合わせれば……はい、完了です」

凛「これで出来たわけ?」

桜「じゃあ、掛けてみますね」ピッ

ピリリリ

凛「わぁ!?」

士郎「なんで驚くんだ?」

凛「こ、これが鳴ったの初めてなのよ……。で、どこを押せばいいわけ……?」オロオロ

桜「……」

凛「え?あ、ここね」ピッ

桜「姉さん、切らないでください」

凛「え?うそ?あ、こっちか」ピッ

凛「もしもーし」

桜「もう遅いですから」

士郎「遠坂……」

凛「な、なによ!!まだ慣れてないんだから仕方ないでしょ!!」

セイバー「……」

凛「はぁ……恥かいたじゃないの……」

セイバー「リン」

凛「ん?」

セイバー「以前、シロウから聞いたのですが、携帯電話は通話とメールのほかにも色々なものが備わっているとか」

凛「どうでもいいわ。緊急連絡用の道具なんだから」

セイバー「しかし、もたらされた能力を100%使わないのは宝の持ち腐れでは?」

凛「……」

セイバー「リンともあろう者がそこを妥協してしまうのですか?」

凛「なに?セイバー、興味あるの?」

セイバー「い、いえ……そういうわけでは……」

凛「隠さなくてもいいわよ。はい、どうぞ」

セイバー「え?触ってもいいのですか?」

凛「壊さないでね?」

セイバー「ど、どうも……えーと……」ポチポチ

凛(ふふ、新しい玩具を与えられた子どもみたいね)

セイバー「あ、リン。こっちを向いてください」

凛「え?なに?」

セイバー「……そのまま動かないでください」

凛「ちょ……なによ!!まさか、ビームでもでるの?!」

セイバー「……」カシャ

凛「……え?」

セイバー「ほら、見てください」

凛「なになに?あ、私だ」

セイバー「写真機の機能ですね」

凛「うそ?電話なのにカメラになるの?なんで?」

セイバー「それはしりませんが……」

凛「私もやりたい!貸して」

セイバー「どうぞ」

凛「えっと……」ポチポチ

凛「んー……?ちょっと、いつもの画面に戻ったわよ?どういうこと?」

セイバー「ああ、メニュー画面を開いてください」

凛「どうやって?」

セイバー「中央のボタンを押してください」

凛「こう?」

セイバー「それはダイヤルボタンの5です」

凛「中央って言ったじゃない」

セイバー「えっと……この上のほうです」

凛「なんだ、初めからそういってよ」

セイバー「申し訳ありません。言葉足らずでした」

凛「はい、押したわよ」

セイバー「それからここを選択するのです」

凛「わかったわ……」グッ

セイバー「リン、この携帯は画面を押さえても選択できませんよ?」

凛「じゃあ、どうやるのよ?」

セイバー「……」イラッ

セイバー「ここを押せば上下左右にカーソルが動きます」

凛「あー、なるほどねー」

セイバー「そのカーソルをカメラと表示されているところに合わせます」

凛「ふんふん」

セイバー「で、真ん中のボタンを押してください」

凛「とう。―――あ、できたわ!!」

セイバー「おめでとうございます」

凛「へー、なるほどねー。セイバー、一枚いいかしら?」

セイバー「どうぞ」

凛「……で、シャッターはどこで切るの?」

セイバー「それも真ん中です」

凛「なるほど。わかってきたわ」カシャ

セイバー「どうですか?」

凛「みてよ!!これ!良く撮れてると思わない?!」

セイバー「ええ。素晴らしいですね」

凛「しろー!!みてみてー!!」

士郎「なんだ?」

凛「これ、私がとったの!どう?どう?」

士郎「ああ、綺麗に撮れてるじゃないか」

凛「そうよねぇ。うんうん」

凛「さくらー」

桜「どうしたんですか?」

凛「みてー、これ、私がとったの」

桜「このよく撮れていますね」

凛「でしょー?ふふん。かなり慣れてきた感じね」

セイバー「随分と嬉しそうですね」

凛「え?そんなことないわ。遠坂は常に優雅たれ、ですもの」

セイバー「そうですか。それより、写真を撮ったら」

凛「現像ね。どうするの?」

セイバー「いえ、保存をしましょう」

凛「保存?どういうこと?」

セイバー「その写真を携帯の中に保存するのです」

凛「へー。すごいのね」

セイバー「ここを押せばできますよ」

凛「ふんふん……保存しました、だって」

セイバー「それで完了ですね」

凛「なるほど。携帯電話も中々、すごいじゃない。見直したわ」

セイバー「他にも色々と機能があるでしょうから自分なりに探ってみるのもいいのでは?」

凛「ええ。そしてみるわ!」

セイバー「……」

凛「ふんふーん」ポチポチ

凛「あ、あれ……?」

凛「なにこれ……ん……?」

凛「あ、れ……?変なのがでてきた……え?着信設定ってなに……なにこれ?故障?」オロオロ

セイバー「リン、貸して下さい」

凛「―――あ、そろそろ家に帰ろうかな」

士郎「なんだ、今日は帰るのか」

凛「うん。ちょっと用事もあるしね」

士郎「わかった。また、明日な」

凛「ええ。それじゃあね」

桜「姉さん、携帯電話に四苦八苦してましたね」

士郎「ま、遠坂だからな」

セイバー「シロウ……」

士郎「ん?」

セイバー「あの……その……」

士郎「どうした?」

セイバー「差し出がましいお願いをしたいのですが……」

士郎「珍しいな。なんだ?」

セイバー「私にも携帯電話なるものを……与えてくれませんか?」

士郎「……なんでさ?」

遠坂邸

凛「ただいまー」

アーチャー「おかえり」

凛「……さてと」

凛「アーチャー。こっちを向きなさい」

アーチャー「なにかな?」

凛「えい」カシャ

アーチャー「……?」

凛「どう?携帯電話のカメラよ。電話にカメラを付加させるなんて発想、頭がいかれてるわね開発者は」

アーチャー「それで?」

凛「みて。―――保存」ピッ

アーチャー「……」

凛「ふふーん」

アーチャー「では、今保存した写真を出してみてくれ」

凛「え?出すって?そんなの写真屋さんじゃないと無理よ。現像するときまでのお楽しみね」

アーチャー「君はあれか。その携帯電話にフィルムでも入っていると思っているのかな?」

凛「そうじゃないの?カメラって基本、そうでしょ?」

アーチャー「……」

凛「な、なによ……?」

アーチャー「いいか?デジタル化された電子データとしてだな」

凛「??????」

アーチャー「もういい。貸せ」

凛「あ……」

アーチャー「いいか?ここのフォルダというところを選択する」

凛「うん」

アーチャー「すると、保存した写真が閲覧できる」

凛「す、すごいじゃない!!」

アーチャー「それぐらい触っていればわかるだろうに」

凛「こ、壊れたら大変じゃないの……!」

アーチャー「携帯電話はそんなに柔ではない」

凛「ふーん……こうやって見るのね……なるほどねー」

ピリリリ

凛「あ、電話。はい、遠坂ですけど?」

凛「あれ?もしもし?もしもーし?」

アーチャー「凛、良く見ろ」

凛「え?押すボタンは間違えてないと思うけど……」

アーチャー「違う。着信ではない。その携帯は今、受信したんだ」

凛「電波を?」

アーチャー「……メールだ」

凛「ふーん。メールね……えっと……どうするのかしら……?」

アーチャー「……」

凛「あれ……ここかしら……?ん?アプリを選択?ここにメールが……?」

アーチャー「……」イラッ

凛「もう!!腹たつわね!!」

アーチャー「もういい!貸してみろ!!見てられん!!」

凛「なによ……えらそうに……」

アーチャー「どうやら桜からメールが届いたようだな。ほら」

凛「んー?」

『姉さん、明日の晩御飯はどうしますか?』

凛「そっか。この程度の連絡を交わすのにメールは適しているわけね」

凛「……」

アーチャー「どうした?」

凛「返事はどうやって返せばいいの?」

アーチャー「そこからか……。返信というところがあるだろ?」

凛「あるわね」ピッ

アーチャー「で、文字を打つ」

凛「……どこで?」

アーチャー「ダイヤルボタンだ。1があ行、2がか行になっているだろう」

凛「連続で押せば文字がかわるのね。ふんふん……」ポチポチ

アーチャー「全く、猫に小判だな」

衛宮邸 桜の部屋

桜「あ、姉さんから帰ってきた」

桜「どれどれ……」

『あしたはわたしがつくるからさくらはかえつてまつてていいわよ』

桜「……」

ライダー「桜?画面を見て硬直していますが、なにか?」

桜「ううん。驚いただけ」

ライダー「そうですか」

桜「えっと……分かりましたっと」ポチポチ

桜「送信」

ライダー「……しかし、桜。私まで携帯電話を頂いてよかったのですか?」

桜「うん。気にしないでいいよ」

ライダー「ありがとうございます」

桜「使いこなしてる?」

ライダー「まぁ、なんとなくは。このお財布ケータイという機能が非常に便利ですね。簡素な買い物ならすぐに済みますし」

居間

士郎「うーん……」

ライダー「士郎、まだ寝ないのですか?」

士郎「あ、ライダー」

ライダー「それは……携帯電話のカタログですか」

士郎「藤ねえに頼んで持ってきてもらったんだ」

ライダー「どうして?」

士郎「俺も携帯持ったほうがいいかなって」

ライダー「え?」

士郎「実は考えてなかったわけじゃないんだ。ネコさんも持ってくれたほうがありがたいって言ってたし」

ライダー「なるほど。私と同様に仕事のためですか」

士郎「うん。あとセイバーがほしいっていってるから。この際、まとめて加入しようかなって」

ライダー「セイバーにですか?必要ですか、彼女に」

士郎「最近は外出することもあるし、欲しいんだってさ」

ライダー「無駄なようなきもしますが……」

ライダー「それで、どのような機種に?」

士郎「俺はシンプルなのでいいかなって。通話とメールさえできれば文句ないし」

ライダー「ふむ」

士郎「ただ、セイバーはやっぱり最新のタッチパネル式のやつがいいかなって思うんだけど」

ライダー「え……」

士郎「携帯電話って結構するんだな」

ライダー「士郎?」

士郎「なんだ?」

ライダー「セイバーにそんな高機能の物を持たせる意味が……」

士郎「でも、俺と一緒のじゃセイバーは退屈だろうから」

ライダー「……」

士郎「ほら、色々機能があるしセイバーでも暇を潰せるんじゃないかなって」

ライダー「まあ、士郎がそういうなら止めませんが」

士郎「なんか問題でもあるのか?」

ライダー「いえ。なにも」

遠坂邸

凛「ふぅ……もう寝ましょう……」

凛「よっと」パカッ

凛「あ、桜からメールが……」

『わかりました』

凛「……」ポチポチ

凛「うーん……と……」

『じやあそういうことでおやすみさくら』

凛「これでよし。送信っと」

凛「うん。結構いいじゃない、メールも」

凛「他にどんな機能があるのかしら……?」

凛「……」ポチポチ

凛「ふんふーん」

凛「ん?ダイヤルロック?なにかしら……?」ピッ

凛「……あ、あれ?暗証番号?え?ちょっと……なによこれ……」オロオロ

凛「くそ……!!!なによこれ!!!」

凛「あぁぁぁぁ!!!!このやろう!!機械の分際で!!!」ガンガン

アーチャー「なにをしている!!」

凛「……アーチャー……」

アーチャー「どうかしたのか?」

凛「携帯が壊れた……」オロオロ

アーチャー「……」

凛「何もしてないのに……。いきなり言うこと聞かなくなって……」

アーチャー「貸してみろ」

凛「直せる?」

アーチャー「どうせ、ロックでもしたのだろう?」

凛「知らないわよ……」

アーチャー「ふむ……暗証番号はどうせ設定していないのだろうから……1111、1234、9999のどれかだな」

アーチャー「―――ほら、直ったぞ」ポイッ

凛「あ、ありがとう……」

翌日 学校

凛(携帯電話も色々と難しいわね。全く、主人の言うことぐらい聞きないよ)

携帯電話「」

凛(わかってんの、このこの)ツンツン

三枝「……」

氷室「どうした?」

三枝「あ、遠坂さんが携帯電話とお話してるみたいで」

蒔寺「うわ。遠坂ってああいうメルヘンなところがあったのか?」

氷室「うむ。見ようによっては持ち物を大事にしている、と解釈もできるが」

三枝「遠坂さんも可愛いところがあるんだね」

蒔寺「ああいうタイプは家でぬいぐるみと喋ってるのかもなぁ」

氷室「あまり想像したくはないな」

凛「……」ツンツン

凛(私のしたいことをさせてくれればいいんだからね)

美綴(遠坂、悩み事でもあるのか……?)

放課後

ピリリリ

凛「ん?えっと……これは……電話のほうね。―――はい、遠坂ですけど」

桜『姉さん、さっき先輩が夕飯の材料を買って帰るからって言ってました』

凛「あら、そうなの?」

桜『はい。なので姉さんはそのまま先輩の家に直行してください』

凛「わざわざありがとう」

桜『いえ。それでは』

凛「……」ピッ

凛「便利じゃない」

蒔寺「遠坂!!」

凛「あら?なにかしら?」

三枝「あ、あの……よかったら携帯番号とアドレス……おしえてください!!」

凛「え……」

氷室「無理なら構わないが、是非とも教えて欲しい」

凛「いいわ。赤外線ね」

三枝「あ、は、はい!!」アセアセ

凛「そんなに焦らなくてもいいわよ?」

三枝「あ、ああわわ……」

蒔寺「んじゃ、まずはわたしからー!はい、赤外線」

凛「ええ」スッ

蒔寺「……」

凛「……」

蒔寺「あれ?できないぞ?」

凛「え?うそ?」

蒔寺「もっかい」

凛「ええ」

蒔寺「おい。交換する気ないのか?私とは嫌なのか?!」

凛「あるけど……」

氷室「うむ。赤外線通信の画面に切り替わっていないな」

凛「え?ここを合わせるだけでいいんじゃないの?」

蒔寺「え?」

凛「え?」

三枝「あ、あの……遠坂さん。ちょっといいですか?」

凛「ええ」

三枝「よいしょ……」ポチッ

凛「……?」

三枝「えっと、このまま交換してもいいですか?」

凛「ええ。いいわよ」

三枝「ありがとうございます。ほら、蒔ちゃん、鐘ちゃん、携帯だして」

氷室「ああ」

蒔寺「これでいいか?」

三枝「……よし。ごめんなさい。勝手に触ってしまって」

凛「いいのよ。それじゃあ、いつでもメールしてね」

氷室(ふむ……由紀香は本当にできる子だな)

商店街

セイバー「おぉ……これが……タッチパネル式の……!!」

士郎「大事にしてくれると嬉しい」

セイバー「無論です。後生大事に扱います」

士郎「うれしいよ、セイバー」

セイバー「私も嬉しいです。では、早速……」

士郎「どうだ?」

セイバー「シロウ!!見てください、指をこうすると」スッ

士郎「すごいな!画面がうごくぞ!」

セイバー「これは楽しいですね」スッスッ

士郎(セイバーも喜んでるし、買ってよかったな。かなりの出費だけど)

セイバー「おぉ……ふむふむ。シロウの携帯番号が一番最初に登録されていますよ!」

士郎「一緒に加入したからな。入れてくれたんだろう」

セイバー「これならシロウの声がいつでもすぐに聞けますね」

士郎「あ、ああ……確かに」

衛宮邸

士郎「ただいまー」

セイバー「……」スッスッ

凛「おかえり。どこかに行ってたの」

士郎「ちょっと、携帯を買いに」

凛「士郎もついに重い腰をあげたわけね」

士郎「ま、そういうことだ」

凛「ん?」

セイバー「……」スッスッ

凛「ちょっと、セイバーのそれ……」

士郎「今、流行の最新機種だ」

凛「な、なんで?」

士郎「セイバーも遠坂に触発されたんじゃないか?」

凛「……」

セイバー「……」スッスッ

士郎「遠坂、今日は夕飯つくってくれるのか?」

凛「ええ。材料は置いてて」

士郎「わかった。さてと、洗濯物でもいれるか」

セイバー「おぉ……ふむふむ」スッスッ

凛「セイバー?」

セイバー「はい?」

凛「楽しい?」

セイバー「ええ。これは味わったのことのない感覚です」

凛「ふーん。ねね、すこし触らせてよ」

セイバー「はい。どうぞ」

凛「ふーん……」スッ

凛「おぉ……これはなんか面白いわね」

セイバー「ええ。シロウにはいくら感謝してもし尽くせません」

凛「よっと、ほっと……ん?」ガシャ

凛「あれ……?なんか項目がごっそりへった……?」

セイバー「少しばかり贅沢が過ぎるようですね。これが最後の我侭にしなければなりません」

凛「え、ええ……そ、そうね」

凛(あれ……どこいったの……?あれー?)

凛(ちょっと……なによ!!第二魔法かなにかなの?!)

凛(どこ……どこにいったの……!!)オロオロ

セイバー「それさえあればシロウといつでも言葉を交わすことができる。私は本当に幸せです」

凛「……」オロオロ

セイバー「リン?」

凛「な、なに?!」

セイバー「どうかしたのですか?必死に画面をこすっていますが」

凛「なにもないわ!!これほんとに病みつきになるわー!!」

セイバー「そうですね。私も今日からその機器について学んで行こうと思います」

凛「そ、それがいいわね」

セイバー「では、リン。そろそろ―――」

凛「もうちょっと貸してて!!いやぁーこれすごいわねーここまで技術が発達するなんてーほほほ!!」アセアセ

セイバー「まあ、リンが気に入ったというならいいのですが、そろそろ夕食の準備もしなければ」

凛「あ、そ、そうね!!そうよねー!!」

セイバー「……?」

凛(どうしよう……どうしよう……)ウルウル

凛(やだ……こんなの……やだ……)ウルウル

凛(セイバーは怒るんじゃない……きっと……)


セイバー『そうですか。私には縁がなかったということでしょう……残念です』


凛(だめよ……そんなの……!!!)

凛(なんとかしなきゃ……なんとか……!!)

凛「うぐっ……ぐすっ……」

セイバー「リン……?」

凛「……」スッスッ

セイバー「リン?」

凛「ちょっと黙ってて!!」

セイバー「は、はい……」

凛(どうしよう……どうしたら……!!)

士郎「遠坂?夕食の準備はどうした?」

凛「士郎……?!」

士郎「ん……?」

凛「あ……あのね……」オロオロ

士郎「遠坂、携帯鳴ってるぞ」

凛「え……?」

ピリリリ

凛「あ……えと……」ピッ

凛「も、もしもし……?」

アーチャー『やっと出たか。今日は帰らないのか?』

凛「う、うん……」

アーチャー『何かあったのか?』

凛「え……いや、なにも……」

アーチャー『嘘をつくな。声に覇気がなさすぎるぞ』

凛「なにもないわよ」

アーチャー『そうか。衛宮士郎の家にいるのか?』

凛「え、ええ……」

アーチャー『わかった。五分でいく。それまでもたせろ』

凛「え?」

ブツッ

凛「あ、ちょっと!!」

凛「……」

士郎「誰からだ?」

凛「アーチャー、今からくるって」

士郎「なにしに?」

凛「さ、さぁ……」

セイバー「あの……そろそろ携帯を……」

凛「あ、あと五分だけ!!お願い!!」

士郎「遠坂、作る気ないなら俺が作るぞ?」

凛「あ、うん……今日はやっぱり士郎がつくって」

士郎「わかった」

セイバー「リン、よほど気に入ったのですね」

凛「う、うん……まぁね」

ピンポーン

凛「あ、きた」

セイバー「……」スタスタ

セイバー「―――はい?」

アーチャー「私だ」

セイバー「どうぞ、開いています」

ガラッ

アーチャー「ありがとう」

凛「アーチャー!!!」ダダダッ

アーチャー「悩みの種はなんだ?早く出せ」

凛「こ、これ……」

アーチャー「ふむ……」

セイバー「あの……それ、私の携帯なのですが……」

アーチャー「なるほど。アプリが吹っ飛んでいるな。器用に不器用なことをするな、君は」

凛「いや……触ってただけなんだけど……」

アーチャー「……」ピッピッ

凛「……」ソワソワ

セイバー「アーチャー?何をしているのですか?」

アーチャー「―――完了だ。セイバー、返却する」

セイバー「ど、どうも」

凛「アーチャー……」

アーチャー「慣れないものには触るな。これは教訓だな」

凛「うん……ごめん……」

アーチャー「ありがとうの間違いではないかな?」

凛「あ、ありがとう……アーチャー……」

アーチャー「では、失礼する」

セイバー「はい」

凛「うん」

セイバー「なんだったのですか?」

凛「えっと……あいつにも色々と事情があるのよ!」

セイバー「そうですか。あ、そうです。リンの携帯番号とアドレス、教えてもえらますか?」

凛「え、ええ。いいわよ!あ、士郎のやつもついでに教えてくれないかしら?」

セイバー「そうですね。わかりました」

凛「赤外線を……」

セイバー「む……?」

凛「どうかしたの?」

セイバー「いえ。既にリンの番号が登録されています」

凛「え……どうして……?」

セイバー「いつのまに……先ほどまではシロウのものしかなかったのに」

凛「不思議ね」

セイバー「では、私とシロウの物をリンの携帯に移せばいいですね。貸してください」

凛「はい」

セイバー「……」ピッピッ

セイバー「できました」

凛「これで私は登録件数が6人になったわ」

セイバー「もうそんなに?」

凛「今日、クラスメイトに交換をせがまれてね」

セイバー「なるほど。学友が多いことはいいことですね」

凛「まぁね」

セイバー「そうだ、リン。メールをしてみたいのですが」

凛「いいわよ。送ってみて」

セイバー「では……」

セイバー「……よし」

ピリリリ

凛「おお、ちゃんと届いたわね」

『先ほどのアーチャーは一体、何をしにきたのでしょうね?(。-`ω-)ンー 』

凛「……」

セイバー「どうでしょうか。まだ拙い部分もあると思いますが」

凛「セイバー、この末尾にある記号はなに?」

セイバー「顔文字というやつですね」

凛「顔文字?」

セイバー「顔に見せませんか?」

凛「……あ、見えるわ」

セイバー「それを使うことで文字でも心情をより分かりやすく伝えることができると、説明書に書いてありました」

凛「あ、読んだの?」

セイバー「はい。購入した店で流し読み程度ですが」

凛「そう……」

セイバー「リン、返信をお願いします」

凛「おっけー」

凛「んしょ……」ポチポチ

ピリリリ

セイバー「来ました」

凛「ふぅ……」

セイバー「どれどれ……」

『あちやのことはよくわからないけどまあじじようがあるんでしようねきつと』

セイバー「あの」

凛「なに?」

セイバー「これは暗号ですか?」

凛「え?違うけど」

セイバー「一応、確認しますが、なんと打ち込みましたか?」

凛「そのままだけど……『アーチャーのことはよくわからないけど、まあ、事情があるんでしょうね、きっと』よ?」

セイバー「この文章ではそれは伝わりません」

凛「いや、だってほら、どうやってカタカナや漢字にするのかわかんないし」

セイバー「リン……」

凛「なんで哀れむように見るのよ!!いいじゃない!!まだ始めて二日目なんだからぁ!!」

―――夜

士郎「ごはんにするか」

凛「それで……?ここで変換したらいいのね?」

セイバー「そうです」

士郎「もしもーし」

凛「な、なによ!!」

士郎「夕食にしよう」

セイバー「はい」

凛「はぁ……ま、これでなんとか……」

セイバー「そういえば桜がまだのようですが?」

士郎「少し遅くなるから先にどうぞって」

セイバー「では、遠慮なく。いただきます」

ピリリリ

凛「誰かしら……?三枝さんか……なになに……?」

『遠坂さん、突然のメールごめんなさい。試しに送ってみました』

三枝宅

ピリリ

三枝「返信きた……!!」

氷室「内容は?」

『ありがとう。嬉しいわ。これからも気軽に送ってきてくださいね。ムキィィィィイ━━━━━(#`Д´)凸 』

蒔寺「……」

氷室「……」

三枝「……遠坂さんにメールは送らないほうがいいかも」

蒔寺「あ、あれだよ!たまたまだってゆきっち」

氷室「うむ。そうだろう」

三枝「……」シュン

氷室「私たちもメールはなるべく控えたほうが無難だな」

蒔寺「遠坂、マジでこわいな……」

三枝「はぁ……やっぱり、私じゃ遠坂さんとメールもできないんだぁ……」

凛の部屋

凛「うーん……いい感じね。メールもなんとかできるようになったし」

凛「あとは……どんな機能があるのかしらね……」

凛「ん……?」

凛「そういえば着信音を変更ってあるけど、これってなんなのかしら……?」

凛「……」ポチポチ

凛「曲をダウンロードする……?」

凛「なんだろ……」ポチ

凛「へえ……なるほど。これで曲を増やせばいいのね」

凛「試しに10曲ぐらい増やしてみようかなぁ」

凛「ふんふーん」ポチポチ

凛「ダウンロードを開始……っと」

凛「うんうん。こうやって充実させていくのね」

凛「いいじゃないの」

士郎の部屋

士郎「うーん……ふぅ……そろそろ……」

ピリリリ

士郎「セイバーからメールか……」ピッ

『シロウ、今夜は冷えるので十分に暖かくしてください。(*´ェ`*)』

士郎「……ありがとう、そうするよ……」ポチポチ

士郎「セイバー……相当嬉しいんだろうな……」

ピリリリ

士郎「ん……これは桜か」

『せんぱーい、今日はさむいですよ(≧∇≦)キャー♪  風邪にはちゅういですからねヾ(*´・ω・`*)σ[了イ=ノ〒ノレ] 』

士郎「……桜も気をつけるようになっと」ポチポチ

ピリリ

士郎「次は遠坂か……なになに……?」

『カキーン!( `皿´)。/)≡≡≡≡≡≡≡>十○ 』

士郎「……ねよ」

凛『車のエンジンがかからないの…』
セイバー『あらら?バッテリーかな?ライトは点く?』
凛『昨日まではちゃんと動いてたのに。なんでいきなり動かなくなっちゃうんだろう。』
セイバー『トラブルって怖いよね。で、バッテリーかどうか知りたいんだけどライトは点く?』
凛『今日は○○まで行かなきゃならないから車使えないと困るのに』
セイバー『それは困ったね。どう?ライトは点く?』
凛『前に乗ってた車はこんな事無かったのに。こんなのに買い替えなきゃよかった。』
セイバー『…ライトは点く?点かない?』
凛『○時に約束だからまだ時間あるけどこのままじゃ困る。』
セイバー『そうだね。で、ライトはどうかな?点くかな?』
凛『え?ごめんよく聞こえなかった』
セイバー『あ、えーと、、ライトは点くかな?』
凛『何で?』
セイバー『あ、えーと、エンジン掛からないんだよね?バッテリーがあがってるかも知れないから』
凛『何の?』
セイバー『え?』
凛『ん?』
セイバー『車のバッテリーがあがってるかどうか知りたいから、ライト点けてみてくれないかな?』
凛『別にいいけど。でもバッテリーあがってたらライト点かないよね?』
セイバー『いや、だから。それを知りたいからライト点けてみて欲しいんだけど。』
凛『もしかしてちょっと怒ってる?』
セイバー『大丈夫だから。怒ってないから。大丈夫、大丈夫だから』
凛『何が大丈夫なの?』
セイバー『バッテリーの話だったよね?』
凛『車でしょ?』
セイバー『ああそう車の話だった』
凛『ちゃんと聞いてる?』
セイバー『要するに車のエンジンが掛からないんでしょ?』
凛『なんでそんな偉そうなの?』

翌日 学校

凛「おはよう、三枝さん」

三枝「あ、はい。おはようございます」

蒔寺「おっす」

氷室「おはよう」

凛(なんかよそよそしいわね……)

美綴「おっす。遠坂」

凛「どうかした?」

美綴「携帯もってるんでしょ?教えてくれよ」

凛「何に使う気かしら?」

美綴「遠坂のアドレスなんて高値で取引されそうだ」

凛「そういうことはしないでね。知らない番号には応じないようにしているから」

美綴「冗談だって」

凛「えっと……」

美綴「どうせ赤外線のやりかたわかんないんだろ?貸してみ」

昼休み

ピリリリ

凛「お……?」

『屋上に来るか?桜も誘ったけど』

凛「……」ポチポチ

凛「よし……」

凛(これならわざわざ誘いにいく必要がないのね)

凛(持ってて良かったかもね、携帯電話)

凛「さ、屋上に行きましょうか」スタスタ


士郎「お、遠坂から返信だ」

『了解したわ。行くから待ってて。o(^-^)o ツモ!!囗囗囗固固固圈圈圈囚囚囚圀圀パタリ 』

士郎「……」

士郎「わかった。あいつ顔文字の意味が分かってないんだな」

士郎「教えてやらないと」

わかったー、急ぐね\(^o^)/

とか使いそう

屋上

凛「えー?なによそれー?」

桜「ですから、この顔文字は謝っているものなので、謝罪するときに使うんです」

士郎「こっちは喜びだから、嬉しかったことを報告するときに使うんだ」

凛「ちょっと、いっぺんに言わないで。メモするから」

桜「姉さん……」

ピリリリ

士郎「ん……はい?」

セイバー『シロウ』

士郎「どうした?」

セイバー『いえ。声が聞きたくなりました』

士郎「な……」

セイバー『いいですね。シロウといつでも繋がっているようです』

士郎「あ、そ、そうだな……はは」

凛「……」

セイバー「(笑)…」ピキッ

凛「……」ピッ

桜「姉さん?」

セイバー『シロウが作ってくれた昼食ですが―――』

士郎「うん」

凛「……」

『留守番電話サービスに接続します』

凛「士郎のバーカ」

凛「よし……」ピッ

桜「何をしたんですか?」

セイバー『では、失礼します』

士郎「ああ」

士郎「……ん?なんだ、留守電が……」ピッ

『士郎のバーカ』

士郎「……遠坂?」

凛「桜、この顔文字はどういう意味があるの?」

放課後

凛「……」ポチポチ

凛「あ、この待ち受け画像ってやつ好みの絵ね。ダウンロードしよ」ポチ

凛「うーん……あると便利ね」

凛「少しずつだけど使いこなせるようになってきたし……うん」

凛「……あら?」

イリヤ「……」

凛「どうしたの?珍しいわね」

イリヤ「あ、リン。シロウは?」

凛「まだ、校舎内ね」

イリヤ「ふーん……」

凛「なにか用事?」

セラ「お嬢様、もう帰りましょう」

イリヤ「だめよ。今日はシロウを待つの」

凛「なによ?士郎になにかあるの?」

イリヤ「うん……」

凛「ちょっと待って、今呼んであげるわ」

イリヤ「それ携帯電話?」

凛「ええ」

イリヤ「そう……」

凛「……もしもし?士郎?イリヤが来てるんだけど……うん、そうなの」

イリヤ「……」

凛「30分もかかるの?じゃあ、イリヤをそっちに連れて行っても……うん、わかった。はーい」

凛「イリヤ、士郎はしばらく手が離せないみたいだから連れて行ってあげるわ」

イリヤ「うん」

セラ「はぁ……では、よろしくおねがいします」

凛「貴女は一緒にこないの?」

セラ「流石に衆目を集めたくありませんから」

凛「あ、そう?」

イリヤ「早く行きましょう」

生徒会室

一成「なるほどな。衛宮も携帯電話を」

士郎「一成も持ってみたらどうだ?」

一成「考えよう」

トントン

一成「どうぞ」

凛「こんにちは」

一成「遠坂……」

イリヤ「シロウ!!」

士郎「イリヤ、どうしたんだ?」

イリヤ「最近、会ってなかったでしょ?」

士郎「そうだな」

イリヤ「あとね……これ」

士郎「え?携帯電話……?」

イリヤ「私とシロウ専用の携帯電話よ。通話し放題なんだから」ムフー

凛「な……!?」

一成「そのような携帯電話があるのか……?」

イリヤ「シロウとずっとお話できるよ!嬉しい?」

士郎「でも、基本使用料は無料じゃないだろ?」

イリヤ「そんなの気にしなくてもいいわ」

士郎「そういうわけにも……」

イリヤ「今日はこれを渡したかったの!!」

士郎「イリヤ……」

イリヤ「いいから、うけとって!!」

士郎「わ、わかった」

イリヤ「そ、それじゃあ!!」タタタッ

士郎「あ……」

ピリリリ

士郎「……はい?」

イリヤ『シロウ!大好きだからね!』

凛「なんて?」

士郎「……これからはいつでも話せるねって」

凛「あ、そう」

一成「なるほど。特定の相手となら通話が無料なのか」

凛「そんなのがあったなんて……」

士郎「イリヤも思いきったことするなぁ……」

一成「そういえば宗一郎兄も新しい携帯電話を購入していた」

士郎「葛木先生が?」

凛「どうせ夫婦携帯でしょ?」

一成「その通りだ」

凛「目に浮かぶわね」

士郎「遠坂、これからどうするんだ?」

凛「そうね。帰ろうと思ったけど、士郎の用事が終わるまで待ってようかな」

士郎「わかった」

凛「はやくしてね」

通学路

凛「士郎、みてみてー」

士郎「ん?」

凛「私の携帯電話、色々とカスタマイズされたのよ」

士郎「へえ」

凛「自分の色に染めることができるのね。それがなんだか楽しいわ」

士郎「遠坂もこなれてきたって感じだな」

凛「ま、いつまでも現代文明を忌避するのもあれだしね」

士郎「いい心がけだな」

凛「でも、メールがあまりこないのよね。上達の妨げになってるわ」

士郎「メールか。俺が送ってやろうか?」

凛「え?いいの?」

士郎「遠坂のメール、まだまだ初心者だからな」

凛「ふん……なによ、えらそうに」

士郎「ほんとのことだろ?」

遠坂邸

凛「ただいまー」

アーチャー「遅かったな」

凛「ちょっとねー」

アーチャー「そうだ。私も携帯電話も持つことにした。君の携帯に登録させてくれ」

凛「なんでよ?」

アーチャー「令呪を使って呼び出すよりもエコロジーだ」

凛「とんでもないエコロジーね」

アーチャー「だが、本当のことだ」

凛「はいはい」

アーチャー「―――よし。登録は済んだ。呼び出すときは携帯にかけろ」

凛「わかったわよ」

アーチャー「ふっ。まぁ、私の番号を一発で表示できるか疑問だがね」

凛「べーっだ」

アーチャー「可愛くないマスターだな」

自室

凛「ふんふーん」ポチポチ

凛「メール設定……ふーん……なんか色々あるのね……」

ピリリリ

凛「お?」

『よ、何してるんだ?』

『寝てるだけよー ̄) ニヤッ 』

『また変な顔文字だなおい』

『あれ?これは汎用性が高いと思うんだけど』

『あのなぁ。もっと可愛げのあるやつにしろ。全然、女の子って感じがしないぞ』

『こういの?♪ダーリン♪ヽ( 〃 ̄ω ̄)人( ̄ω ̄〃 )ノ♪ハニー♪ 』

『それは酷いな』

『もう何がいいわけ(TДTバカ〆(°°*)カキカキ 』

『そういうのやめろって』

凛「ふふ……やめないわよー」ポチポチ

セイバー「……?」

セイバー「これは……」


桜「ライダー、姉さんからメールきた?」

ライダー「はい。来ました」


三枝「え?え?なんだろ、これ?」

蒔寺「なんだぁ?」

氷室「うむ……」


美綴「ぶっ……!?これ、なんだ……?」


アーチャー「ん……?」

アーチャー「……!!!」


士郎「……あ?!」

士郎「あいつ……一斉送信にしてる……!!!」

凛「ふんふーん」ポチポチ

『士郎・・・・・・・・・((* ・・*)だいちゅき』

凛「ふふ……あいつ今頃、戸惑ってるでしょうね……」

凛「なんて帰ってくるかしら……」

ピリリリリ!!

凛「な、なに……?!なんかいっぱいメールが……」

セイバー『リン、これは私に対する宣戦布告ですか?ムキャー!! ヾ(`Д´*)ノ』

桜『姉さん、先輩と仲がいいんですね』

美綴『ごちそうさまー』

蒔寺『やっぱりそういう関係だったのかよー』

士郎『遠坂、うっかりだよな?わざとじゃないんだな?』

凛「な、なに……?どういうこと……?」オロオロ

アーチャー「凛」

凛「アーチャー……」

アーチャー「君は面白いな。顔文字の使い方が微妙にずれている」

凛「な、なんのこと……?」

アーチャー「君は教訓を活かせないのか?また下手に設定を弄ったのだろう?」

凛「え?え?」

アーチャー「君が衛宮士郎に送った文章は全員に知れ渡っているぞ」

凛「な、なんでよ!!!」

アーチャー「一斉送信になっている」

凛「え?」

アーチャー「まぁ、何を言っても手遅れだがな」

凛「……もしかして……ここに登録されている人全員に……私……メールを……?」

アーチャー「そうだ」

凛「……」

アーチャー「……」

凛「アーチャー……助けて……」

アーチャー「すまないが今回ばかりはどうにもならない」

凛「……」

凛「アーチャー……どうしたら……いいの?」

アーチャー「どうにもできない」

凛「なにかあるでしょ?消す方法……メールを消す方法……」

アーチャー「もう送信してしまっているから各携帯電話に残っている」

凛「……」

アーチャー「手遅れだ、凛」

凛「ふ……ふふ……いいえ……大丈夫よ……」フラフラ

アーチャー「お、おい……」

凛「ぶっこわせば……いいだけじゃない……」

アーチャー「まて、凛」

凛「宝石も全部使ってやるわ……」ガバッ

アーチャー「まてというに!!」

凛「……まだ間に合うわよ……」

凛「全員の携帯電話を破壊しちゃば……ふふふふ……!!」

アーチャー「おい!!」

凛「そうだ……手始めに私の携帯電話を破壊しなきゃ……」

アーチャー「凛!!しっかりするんだ!!」

凛「なによ!!」

アーチャー「君が可笑しな顔文字を送ったことは携帯にも人の記憶にも深く刻み込まれただろう」

凛「……っ!!」

アーチャー「何をしてももう遅い」

凛「そんな……これから……私……どうしたら……」ヘナヘナ

アーチャー「……」

凛「こんな……ことって……うぅ……ぐすっ……」ウルウル

アーチャー「……少し出かけてくる。変な気だけは起こすな」

凛「うぇ……ぇぇ……」ポロポロ

凛「うぅ……ぅ……」

凛「もう……学校にいけない……じゃないのぉ……」

凛「うわぁぁぁん……」ポロポロ

ピリリリリ

凛「うっく……ひっ……ぅ……はぃ……?」

士郎『遠坂、大丈夫か?』

凛「士郎ぉ……」

士郎『えっと……セイバーも桜もライダーも事情は把握してくれたから、大丈夫だ』

士郎『飽く迄、メールの練習をしていただけってことにしてある』

凛「うぅ……」

士郎『恥ずかしいのは分かるけど、あまり気にしないほうが。ほら、ただの遊びとか使用人が勝手に送ったとかにすれば』

凛「使用人なんていなぃ……」

士郎『そうか』

凛「どうしよ……もう外に出れない……」

士郎『そんなこと……』

凛「あの……美綴綾子にまで知られたんじゃ……おわりよぉ……」

士郎『遠坂……』

凛「きっと明日の朝には噂に尾ひれや羽、ジェットエンジンまでついて学校を席巻するのよぉ……」

夜 遠坂邸

凛「……」

ピリリリ

凛「……」

『姉さん、明日は先輩の家に来ますか?』

凛「……」ポチポチ

『行く』

凛「はぁ……」

ピリリリ

凛「……はい?」

アーチャー『夕食はどうする?』

凛「いらない」

アーチャー『そうか。わかった。食べたくなったら温めて食べてくれ』

凛「んー」

アーチャー『また、明日な。おやすみ、凛』

翌日

アーチャー「おはよう」

凛「……」

アーチャー「学校には行くのか?」

凛「行くわよ」

アーチャー「そうか」

ピリリリリ

アーチャー「失礼。―――もしもし?」

凛「はぁ……」

凛「気が重い……」

アーチャー「そうか……わかった……ああ。いや、協力感謝するよ」

凛「……」

アーチャー「分かっている。必ず手配する。ああ、それではな」

凛「誰?」

アーチャー「ん?すぐにわかるさ。さ、早く準備をするんだな」

学校

凛「……」

ライダー「……」ダダダッ

凛「……?」

キャスター「……」スタスタ

凛「あ……?」

ランサー「……」シュッ

凛「な、なに?え……?」

凛「なにしてるんだろう……」

士郎「おはよう。遠坂」

凛「あ……うん……」

士郎「……なんだ?」

凛「どうしたの?」

士郎「いや……なんか結界があるような……ないような……」

凛「はい?」

教室

凛「……」

三枝「おはようございます」

凛「あ、う、うん……」

蒔寺「うっす!」

氷室「おはよう」

凛「え、ええ……」

凛「……?」

美綴「遠坂!!」

凛「ひっ!?」

美綴「どうした?」

凛「なに……?」

美綴「いや、おはようのかわりだったんだけど」

凛「そう……」

凛(誰もメールに触れてこない……どういこと……?)

屋上

キャスター「記憶の操作、完了したわ」

ランサー「下手な結界でも、一部分の抹消ならどうってこないな」

ライダー「……」

アーチャー「すまないね。色々と」

ランサー「ふん……」

キャスター「では、約束通りセイバーを一日貸してね」

アーチャー「ああ。約束する」

ライダー「しかし、どうして火消しなんて。貴方にとっては別に気にすることでもないでしょう」

アーチャー「そうもいかない。マスターがあれだと張り合いがないのでね」

アーチャー「あとは泣かれると、困るんだ」

ランサー「お前が俺にまで頭を下げた理由か」

アーチャー「その通りだ。凛のために額を地面につけつ覚悟ぐらいはあった」

ランサー「はんっ。殊勝なこったな」

アーチャー「ふっ。ま、そこまでしなくても協力してくれることは分かっていたがね。皆、無駄にお人好しだからな」

放課後

凛「結局、何も言われなかった……」

凛「もしかして……アーチャーが……?」

士郎「遠坂、帰りか?」

凛「ええ」

士郎「じゃあ、一緒に帰るか」

凛「うん」

ピリリリ

士郎「ごめん。―――はい?」

イリヤ『しろー!!』

士郎「……」

イリヤ「……」ブンブン

士郎「見えてるぞ」

イリヤ『はやくきてよ!!』

士郎「はいはい」

校庭

ランサー「んじゃ……最後の仕上げだな」

ランサー「おーい」

蒔寺「お!!いつぞやのお兄さんじゃん!!」

三枝「どうかされたんですか?」

氷室「なにか御用ですか?」

ランサー「ああ、ちょっとな。あの時は聞きそびれたから、携帯番号を聞きたいと思ってよ」

蒔寺「お、いいですよ。どうぞどうぞ」

ランサー「悪いな」

ランサー「よっと」ザッ

三枝「あれ……?」

氷室「む……?」

ランサー「三人ともかわいい携帯電話だな」ピッピッ

ランサー(これか……消去っと)

蒔寺「あ、こら!!乙女のデータバンクにふれるんじゃねえ!!」

ランサー(よし……メールは削除できたな)

ランサー「ほらよ」

三枝「わわ……」

氷室「なにかしたのですか?」

ランサー「いや。余分なものを取り除いただけだ」

蒔寺「はい?」

ランサー「じゃ、またお茶でもしようぜ」

三枝「あ……いっちゃった……」


ライダー「綾子……」

美綴「ひぃぃ!!!!」

ライダー「携帯を……」

美綴「どどどどど、どうぞ……!!!!」

ライダー「どうも……」ピッピッ

美綴「ひぃぃ……」

ライダー「どうも。ご協力、感謝します。では、またの機会に。ふふふ……」

通学路

凛「……」

イリヤ「それでねーセラがねー」

士郎「そっか」

イリヤ「リン?どうかしたの?」

凛「え?」

イリヤ「なんか上の空だけど」

凛「別に……」

イリヤ「そう?」

士郎「何か気になることでもあるのか?」

凛「えっと……ちょっとね」

士郎「……?」

凛「士郎、先に帰ってて。私、ちょっと寄るとこあるから」

士郎「あ、ああ」

イリヤ「変なリンね」

凛「……」

凛「もしもし?」

アーチャー『なにかな?』

凛「今、どこ?」

アーチャー『どこだろうな』

凛「まあいいわ。貴方、何かした?」

アーチャー『なにか、とは?』

凛「誰かの記憶を弄ったりとか」

アーチャー『残念ながら私にそのような高等技術はないよ』

凛「そうね」

アーチャー『それだけかな?』

凛「……ありがとう」

アーチャー『……』

凛「それが言いたかったの」

アーチャー『メールでいいことをわざわざ声で伝えるか。なるほど、顔文字よりも心はこもっているな』

凛「バーカ」

アーチャー『可愛げがないな……』

凛「……感謝しているわ。アーチャー」

アーチャー『ふっ。では、こちらは忙しいのでね。失礼する』

セイバー『アーチャー!!!どこにつれていくのですか―――』

ブツッ

凛「……」

凛「さてとー!!帰りますか!」

凛「やっぱり、携帯電話は通話ができればそれでいいわね」

凛「メールはもう怖くてできないわ」

凛「うーん……」

凛「セイバー、五体満足で帰ってこれるかしらねぇ……」

ギル「」

ギル「セイバーを一日レンタルできると聞いて」

あれだろ、ギルが持ってるのはケータイの原型だろ?

柳洞寺

キャスター「きゃーセイバー!!!」

セイバー「アーチャー!!どういうことですか?!」

アーチャー「許せ。仕方ないのだ」

セイバー「せめて理由を!!!」

アーチャー「凛のためだよ」

セイバー「納得できません!!!」

キャスター「さぁ……セイバー……このネコ耳から……」ハァハァ

セイバー「くっ……!!」

アーチャー「抵抗はするな」ガッ

セイバー「おぉ?!」

キャスター「うふふふふ……!!!」

セイバー「やめ―――!!!」

アーチャー(セイバー……ごめん……)

セイバー「ぁぁぁあぁああ!!!」

>>325
ショルダーバックワロタ

衛宮邸

士郎「イリヤ、ごはん食べてくか?」

イリヤ「うん!」

士郎「よし。すこし待ってろ」

ピリリリリ

凛「あら?」

イリヤ「シロウの携帯ね。―――はい、もしもし?」

セイバー『シロウ!!シロウ!!!』

イリヤ「セイバー?」

セイバー『たすけてください!!尻尾をつけられる!!!』

イリヤ「え?」

セイバー『あぁぁぁ―――!!』

ブツッ

イリヤ「……切れちゃった」

イリヤ「ま、いっか。セイバーだし」

ピリリリリ

イリヤ「まただわ」

凛「今度はメールみたいね」

凛「どれどれ……なにこれ?添付ファイル?」

イリヤ「ああ、中央のボタンを押せば画像が表示されるのよ」

凛「ふーん」ポチッ

イリヤ「……」

凛「……」

士郎「どうしたー?」

凛「な、なんでもない!!」

士郎「そうか」

イリヤ「こんなセイバーをシロウが見たら卒倒しかけねないわ」

凛「ええ。これは消去しときましょう」

イリヤ「あ、画像だけ私の携帯にコピーしておきたい」

凛「え?そんなことできるの?!じゃあ、私も……」



セイバー「……」スッスッ

士郎「セイバー?大丈夫か?」

桜「ずっと部屋のすみで膝を抱えて携帯を弄ってますね……」

ライダー「何かあったのでしょう」

大河「心配ね……」

凛「……ふふ」

桜「姉さん?」

凛「え?なんでもないわよ」

凛(こういう写真が保存できて、人目にもつかない)

凛(携帯電話……最高じゃないの)

凛「ふふふ……セイバー可愛い……」

セイバー「……」スッスッ

セイバー「……あ、このアプリいいですね」

セイバー「ダウンロードしましょう……」ブツブツ

一ヵ月後 衛宮邸

士郎「……」

桜「先輩?どうかしたんですか?そんなところで呆けて……。あれ、これは……」ペラッ

桜「ひっ……!?!こ、これ……一ヶ月の使用料金ですか……?!」

士郎「あぁ……」

桜「セイバー……さんですよね……」

士郎「ああ……」

桜「15万って……何に使えば……」

士郎「……解約する」

桜「え?」

士郎「セイバー!!」

セイバー「は、はい……?」

士郎「来月も同じ額なら解約するからな……!!」

セイバー「は、はい!」

士郎「何に使ったんだ……セイバー……」

遠坂邸

アーチャー「凛、携帯使用料の明細だ」

凛「見せて」

アーチャー「そのまえに呼吸を整えろ」

凛「なんで?」

アーチャー「いいから」

凛「すーはー……はい」

アーチャー「ほら」

凛「さ、いくらかしらね……」

凛「……」

凛「……」ゴシゴシ

凛「……!?」

アーチャー「20万越えとはやってくれるな、凛」

凛「え……?え……?」

アーチャー「ちなみに私は6000円だ」

凛「な、なんで……」

アーチャー「色々なものを手当たり次第にダウンロードしていればこうなる」

凛「ま、まって……あれ……タダじゃないの……?」

アーチャー「そんなわけあるまい。利用契約を読まなかったのか?」

凛「だって……なんかめんどくさそうだったし……」

アーチャー「自業自得だな」

凛「……うわぁぁ!!!」バキュン!!

アーチャー「これからは気をつければいい」

凛「こんな金食い虫……いるかぁぁぁ!!!」ドゴォ!!

アーチャー「?!」

バキィィィン!!!!

凛「はぁ……はぁ……」

凛「月20万とかメイドを雇うわよ!!」

アーチャー「凛……」

凛「通話以外に変な機能つけるんじゃないわよぉぉぉ!!!」

一ヵ月後 衛宮邸

凛「とまあ、携帯電話がなくてもなんとかなるし、別にいらなかったわね」

桜「そ、そうですか」

凛「私には過ぎた物だったのよ」

桜「はぁ」

士郎「……」

凛「士郎?どうかしたの?」

桜「これを」

凛「ん……先月分の使用料金ね……20万……?」

セイバー「あの……シロウ……」オロオロ

士郎「なにに使ったんだ?」

セイバー「わ、わかりません……」

桜「セイバーさんの携帯、山のようにアプリケーションがありまね」スッスッ

士郎「……解約だな」

セイバー「そ、そんな……!!」

凛「当然ね」

セイバー「うぅ……そんな……」

セイバー「私はただ……シロウの声をいつでも聞いていたいだけなのに……」

セイバー「くそぉ!!!」バキィィ!!

バリィィィン!!

桜「携帯が……真っ二つに……!!!」

士郎「……」

ピリリリ

士郎「もしもし」

イリヤ『やっほ!シロウ!!』

士郎「ああ、イリヤが一番だ……」

イリヤ『なにが?』

凛「ね?セイバー、携帯電話なんて通話できればいいでしょ?」

セイバー「ですね」

凛「私たちに近代機器は似合わないのよ……」
                              おしまい。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom