照「嫌い?」淡「でも好き」 (355)


淡「もー! また負けたーー!!」
ガシャーン

菫「こら、牌を投げるな」

淡「もう一回! 次は絶対勝つ!!」

菫「何回目だと思ってる。今日は終わりだ」

淡「やだ! 今日は勝つまでやる!」

菫「はあ…。お前からも何か言ってくれ」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365156065



百合

エロあり

麻雀描写なし

書きためなし



菫「 照 」

照「……」


淡「勝負だよ!宮永照!!」

菫「おい、先輩を呼び捨てにするな」

淡「うるさいなぁ。私は宮永照に言ってるんだよ」

菫「なんだと? いい加減にしろよお前」ガタ

亦野「ま、まあまあ弘世先輩。落ち着いて」ハワワ

渋谷「えっと、とりあえずお茶でも…」

淡「お茶なんていらないよ。そんな事より早く打とうよ」

渋谷「」シュン


菫「ダメだ。今日は終わりだ」

淡「だから部長には言ってないんだって」

菫「……」

亦野「せ、先輩になんてこと言うんだ」


淡「ねえ、黙ってないで早く打とうよ」

照「……今日は終わり」

淡「なっ!? 逃げるの!?」

照「部長が終わりと言ったら終わり」

菫「照……」

淡「……」ワナワナ

ガシャーン!

亦野「わっ! こ、こらっ」

淡「明日は絶対負かしてやるんだから!」

バターン!!


渋谷「ああ…ドアがかわいそう」

亦野「とんでもないじゃじゃ馬ですね」ハァ


菫「照……。アイツの力は認めるよ。とてもこの間まで中学生だったとは思えない雀力だ」

菫「牌に愛された子、だっけ? 未だ底が見えないんだ。恐怖さえ感じる」

菫「アイツは間違いなく虎姫の力になる。それは分かる」

菫「だが………本当にこれでいいのか?」

照「……」


照「このままいく」

菫「……」

照「……」

菫「…そうか。なら仕方ないな」ハァ

照「菫…」


菫「亦野。渋谷」

亦野・渋谷「は、はいっ」

菫「あんなガキんちょに負けてるなよ。プライドを見せろ」

亦野・渋谷「……はい」コクリ


照(大星……大星淡)




淡「くっそー。今日も勝てなかった」

淡(あの支配力……悔しいけどハンパないよ)

淡(それと、初めて打った時に感じた妙な感覚。何だったか未だに分かんないし)

淡(とにかくあの連チャンさえ止められれば何とかなる気はするんだけど)

淡(なにか制約とかないのかな……)

淡「……」


淡「あーー! ムカつく!!」フンガッ



白糸台高校麻雀部部室ーーーーーーー



ガシャーン!

菫「こおらぁー! 大星っ!!」

淡「あああーーー! んがああーーー!!」
ドンガラガッシャーン

渋谷「ああ…牌がかわいそう」

淡「なんでっ、なんで勝てないの!?」

菫「勝ち負けの前に卓をめちゃくちゃにするなっ!」

淡「悔しいっ悔しいーー! 私が負ける訳ないのにーー!!」
ブンッ

亦野「 あいたっ 」ガンッ

菫「投げるなっ!」

淡「もうやだ! もう止める!!」
ブンッ

照「……」ヒョイ


淡「むっ。……えい!」
ブンッ

照「……」ヒョイ

淡「ぐぬ。ていっ!」
ブンッ

照「……」ヒョイ

淡「避けないでよっ!」
ブンッ

照「……」ヒョイ

淡「なんとか言え!」
ブンッ

照「……」ヒョイ

淡「無視するなーー!!」
ブンッブンッ

照「……」ヒョイヒョイ


ブンッ
ヒョイ

ブンッ
ヒョイ


ガンッ

亦野「痛たたた」

渋谷「大丈夫? 誠子ちゃん……かわいそう」

菫「だから投げるなと言っとろーがっ!!」



ゴチャア


亦野「すごい。まさに戦後」

渋谷「拾わなくちゃ」

菫「待て渋谷。大星、お前ひとりで片付けるんだ」

淡「……」ハァハァ

菫「拾ったら一個一個拭くんだぞ。いいな?」

淡「ふんっ」プイ

菫「返事はどうした」

淡「……分かった。拾っとけばいいんでしょ」

菫「分かりましただろ」

淡「避けるのが悪いんだよ」ボソ

菫「この…」ガタ

照「 菫 」

菫「……」


菫「……今日は解散だ。大星、掃除が終わったらちゃんと戸締まりしろよ」

淡「……」プイ

菫「はあ……」


菫「さ、帰ろう。行くぞ照」ツカレタ

照「うん…」

淡「ちょっと!」

照「……」

淡「明日は負けないんだから」

照「……」

照「行こう菫」フイッ

淡「 っ!? 」

菫「あ、ああ」


ガチャ

パタン


淡「……」


淡(なにさ)

淡(私の事なんて眼中にないっての?)

淡(いいよ。今のうちにせいぜい見下しとけばいいよ)

淡(アハハ……頭に来たなぁマジで。………絶対倒す)

淡「何がなんでも絶対倒す」

淡「宮永照………今に見てろ」







ーーーーー次の日



ガチャ

菫「お、ちゃんと片付けたようだな」

照「うん。牌もキレイに拭いてある」

菫「やれば出来るんじゃないか。これに懲りてくれれば良いんだが」

照「どうかな……」

菫「おいおい。私の身にもなってくれ」ハァ


ガチャ

淡「……」

菫「噂をすれば。お疲れ、大星」

淡「…ああ…うん…」

菫(ま、そんな急には変わらんか)

淡「あの……」

菫「なんだ?」


淡「白糸台には虎姫以外にもチームがあるんでしょ?」

菫「あるが。それがどうした?」

淡「他のチームの人達とも打ってみたい。チームじゃなくても2軍でもいいから」

菫「まあ……それは別に構わんが」

淡「出来ればたくさん色んな人達と打ちたい」

菫「ふむ……チームは5人編成だから、数をこなしたいなら2軍と打つのがいいかもな」

菫「いいか? 照」

照「菫がいいと思うなら」

淡「……」


菫「じゃあ淡、2軍部屋へ案内してやる」

淡「うん」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



淡「ツモ。2000、4000」
パラ

モブA「うわ、さすがやるねー。1軍」


淡(やっぱり大した事ないな……でも私に足りないのはたぶん場数)

淡(色んな打ち筋の人と打って、その全てを吸収する)

淡(2軍の全員を倒したら次は…)

モブA「ねえ、大星さんて虎姫なんだよね?」

淡「え? …そうだけど」

モブA「凄いよねー、入学して1ヵ月で虎姫に入るなんて」

淡「そうかな……」

モブB「あの宮永先輩のチームでしょ? ああ〜羨まし過ぎっ」

モブA「だよね〜。いいなぁ宮永先輩とお近づきになれて」

淡「 は? 」


モブA「私達なんてめったに会えないんだから」

モブB「毎日会ってるんでしょ?」

淡「そりゃまあ……会ってるというか打ってるというか」

モブA「いいないいなー! 私も打ちたーい」

淡「止めといた方がいいよ……ヘコむから」

モブA「良いニオイするんだろーなー!」キャー

淡「 ニオイ? 」


淡「いや、別にしないよ良いニオイなんて」

モブB「あの透き通るような綺麗な声でロンされたら悩殺ものだよね」

淡「……透き通ってないよ。冷たくロンって言われるだけだよ」

モブA「牌をツモるあのしなやかな指先……ずっと眺めてたい」ウットリ

淡「全然しなやかじゃないよ。指先どころか腕ギュルギュルいってるよ」


モブA「そういえばさ!」

淡(聞いてない)

モブA「3軍の子が告ったんだってよ!」

淡「 え!? 」

モブB「きゃー、勇気あるう」ヤーン

モブA「手紙渡して逃げるように去っちゃったらしいけど」

モブB「それでも凄いよお。私なんて目の前に立つ勇気もないもん」

モブA「私も〜。大星さんはその点毎日同じ卓で打ってるんだもんね」

モブA・B「羨まし〜〜」

淡「そ、そう……」


モブA「ねえねえ、いつもどんな会話してるの?」

淡「え……」

モブA「え? するでしょ? お話」


淡「……しないよ……話なんて」

モブB「へ? そうなの?」

淡「そうだよ。あの人がペラペラ話してるのなんて見た事ない」

モブA「そうなんだ…」

淡「そうだよ……私が何を言ったって……何も答えないし…何の反応もしない」

モブA「へ、へえ……」

淡「きっと自分以外の人達を見下してるんだよ」

淡「あんなの……インハイチャンプだか何だかしらないけど……」

淡「私は大嫌いっ!」


チーム虎姫部屋ーーーーーーーーー



ガチャ

淡「ただいま…」

菫「お前という奴は」

亦野「弘世先輩、宮永先輩も反省してますから」


淡「? なに…?」

渋谷「お帰りなさい大星さん。これはまぁ、いつもの事だから」

淡「いつもの?」


菫「何度も言ってるだろう! 確かにお前は白糸台のエースさ、だけどな!」

菫「やっていい事と悪い事があるだろ!」

菫「何がIHと言ったらこの人だっ。持ち上げられて何か勘違いしてるんじゃないか!?」


照「勘違いなんてしていない。私は私」

菫「偉そうに。そういう態度が勘違いしてるんじゃないかと言うんだ」


淡(なんか……めっちゃ揉めてる)


照「菫こそ勝手だと思う。それこそ部長の権力振りかざしてる」

菫「なんだと!」ガタッ

亦野「まあまあ落ち着いてお二人共!」バッ


淡「え、こ、これ大丈夫なの? これがいつもの事な訳?」

渋谷「うん。いつもの事」


菫「だいたい照は自分の実力を過信し過ぎなんだよ」

照「過信? よく分からないな」

菫「自覚がないんだ。だから質が悪い」

照「……」プイ

菫「こいつ」ガタッ

亦野「落ち着いてお二人共」バッ


淡(怒ってる部長はよく見るけど……こんなに喋ってる宮永照は初めて見た)

淡(やっぱり名門……なのかな。こうやってチーム内でもぶつかり合って)

照「いくら部長でも私の里帰りを妨害する筋合いはない!」

淡「……は?」


淡「里帰り?」


菫「ああ! 確かに里帰りに文句はないさ! だがな」

菫「なぜ今日なんだ! どうして急に今日なんだ! 平日だぞ、せめて金曜にするのが普通だろ!!」

照「なぜ今日? 愚問だね菫」ハハン

菫「なに?」

照「明日やろうは馬鹿野郎なんだよっ!!」バーン

菫「 ッ!? 」


淡「え、えっとつまりどういう事?」

渋谷「大星さんはまだ知らないか。んっとね」

渋谷「宮永先輩は極度の方向音痴なの。+シスコン」

淡「シスコン? 姉?妹?」

渋谷「妹さん。詳しくは知らないけど、今絶賛ケンカ中らしくて」

渋谷「たまに急に弁解しに行方を眩まそうとするの」

淡「……方向音痴ったって、実家でしょ? さすがに迷わないんじゃ」

渋谷「弘世先輩の必死さから伝わらないかな」

淡「……………なるほど」


菫「とにかくゴールデンウイークまでは待て! そしたら一緒に行ってやるから!」

照「職権乱用」

菫「お前な」


ギャー ギャー

淡(方向音痴? シスコン?)


菫「捜す方の身にもなれ! 少しはインハイチャンプの体裁を保とうとしろ!!」

照「体裁なんかを気にするような小さい大人にはなりたくない」

菫「私のどこがババア声だっ!」ガターン

亦野「落ち着いて先輩! ドムだなんて誰も言ってませんっ!!」ババッ


ギャー ギャー


淡(こんな……)

淡(こんなのが何でモテるの?)


照「菫。菫は少しカルシウムを摂取した方がいい」

菫「魚はしっかり骨まで食べている!」

亦野「そういう事ではないです部長っ!!」


渋谷「そろそろかな。じゃ行ってくるね」

淡「 え? 」


ギャー ギャー

渋谷「皆さん、お茶が入りましたよ」

菫「ん、ああ……悪いな渋谷」

照「私のは」

渋谷「宮永先輩はミルクティー砂糖倍量です」

照「ありがと」

亦野「はい、カントリーマァムですよ」

照「うん」

渋谷「弘世先輩、かっぱえびせんどうぞ」

菫「おお。ありがとう渋谷」


ワイワイ ガヤガヤ



淡(なにこれ。これがインハイ2連覇中の麻雀部なの?)


渋谷「宮永先輩、お代わりいりますか?」

照「いる。ありがと」

菫「照。あまり大量に飲み食いするなよ? まだこれから打つんだから」

照「大丈夫。お腹いっぱいになっても寝たりしない」

菫「ならいい」

淡「……」


渋谷「はい、大星さんもお茶どうぞ」

淡「……」


渋谷「……がっかりした?」

淡「 え? 」

渋谷「インハイを2回も制した白糸台がこんなで」

淡「……」

渋谷「大星さんて正直者だよね」フフ

淡「……私は元々インハイになんて興味ないし」

渋谷「知ってる。ただ強い人と打ちたくて白糸台に入ったんでしょ?」

淡「たまたま……誘われたから……」

淡「インハイチャンプに」チラ


菫「携帯をよこせ。GPS設定してやる」

照「断る。余計な通信費に払うお金はない」

亦野「え、GPSって課金なんですか!?」


淡(初めて宮永照と打った時の衝撃は忘れない)

淡「何かが変わる……あの時はそう思ったのにな…」

渋谷「大星さん……」


渋谷「そういえば2軍との練習はどうだった?」

淡「別に。こんなものかなって………あ」

淡「ねえ、宮永照ってモテるんだね」

渋谷「へ? まぁそれは…うん。宮永先輩を好きな子は沢山いると思うけど」

淡「ふうん……」

渋谷「どうして?」

淡「2軍の子が話してた。告白した子もいるって」

渋谷「告白? 確かにたまに呼び出されたりしてるみたいだね」

淡「信じらんない。あれのどこがいいんだろ。やっぱりチャンピオンだからかな」

渋谷「……大星さんは先輩の事まだよく知らないんだよ」

淡「知りたくないよ……私は。倒せればいいだけ」

渋谷「そっか」

淡「そうだよ。でもホント何がいいんだか」

淡「無愛想で方向音痴でシスコンだなんてモテる要素が見いだせないよ」ブツブツ

渋谷(すごく執着してるのは気づいてないのかな……)


菫「大星も戻って来た事だし、休憩終えたら最後一局打って切り上げよう」

「 はーーい 」


淡(そうだ。宮永照がどんな人間で周りからどう思われてようと関係ない)

淡(倒す! 私がやるべき事はそれだけ!)

照「2軍で打って少しは変わったかな」

淡「 え!? 」ドキ

照「? 何か考えがあったんじゃないの?」

淡「へ、あ、も、勿論っ! アンタを倒す為の秘密特訓だよ!!」

照「そう。楽しみ」

淡(き、急に話し掛けてくんな!驚くじゃん!)ドキドキ

淡(はっ。まさか私を動揺させようとする作戦!?)

淡「絶対負かしてやるんだからっ」キッ

照「 ? 」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



亦野「ポン」カシャ

菫「……」タン

照「……」タン

淡「……」タン


淡(良いニオイなんてやっぱりしないよ)クンクン

淡(……もう少し近ければ分かるのかな)


照「リーチ」ドカ

淡(しなやかじゃないし。声だって普通だし)


照「ツモ。12000」ギュルルッ

淡(ぎゅるぎゅるいってるしーー!)ヒイ





淡(とにかく今は集中しなきゃ)タン

淡(わざわざ2軍全員と打って何も収穫なかったとか思われたくない!)

淡(ちょっとでも)

淡(ほんのちょっとでも、宮永照に私をーー)

照「ロン、1000」パラ

淡「あっ!」

照「……」

淡「……はい」ジャラ


淡(なにやってるんだろ………わたし)







菫「終局だな。お疲れ」ガタ

亦野「お疲れ様でした」

淡「……」

菫(今日はもう一局とかただこねないのか…?)

菫「戸締まりするからみんな帰る準備してさっさと出ろよー」


照「お疲れ様」ガタ

淡「っ……あのっ…」

照「? なに?」

淡「えっ、と」

照「……」

淡「……」


淡(くそうくそうくそう!私いったい何を、何が!)グシ

照「……悪くなかった」

淡「え…?」

照「今の局。いつもより冷静で正確に打てていたように思う」

照「普段、己の力に慢心しているところがあるせいか強引な手が多いけど、今はそんな事もなかったし」

照「自分で色々工夫してるのも分かるから……」

照「…うん、そうだな、今後も期待してる」

淡「……」ポカン

照「? じゃ、また明日」

ガチャ

パタン


淡「……」ポカン




一年生の教室ーーーーーーーーーーーー



淡「……」ポケー


照『そうだな、今後も期待してる』


淡「…………えへ」ニヘラ

モブA「どうしたの?ニヤニヤして」

淡「 わ! 」ビクッ

モブA「なにか良い事でもあったの?」

淡「べ、別に!」アセ

淡(同じクラスだったのかコイツ)


モブA「次移動教室だよ? 行かないの?」

淡「行くよ、行く」ガタ


淡(ふう。なんであんなヤツのこと考えてたんだろ)

淡(宮永照は部活中だけで十分だってーの)

モブA「あ、宮永先輩だ」

淡「 どこ!? 」バッ

モブA「ほらあそこ。木の影に」

淡「どの木!? ちゃんと指差してくんないと分かんないじゃん!」

モブA「……大嫌いなんじゃなかったっけ」

淡「あ! いた!」


淡「……ん? 誰かと一緒にいる」ジー

モブA「ホントだね。誰だろ」


淡「うー、よく見えない」ジー

モブA「麻雀部の子ではないね。一年生でもないから……お友達かな」

淡「友達と木の影で何してる訳?」

モブA「それは分からないけど。あれ?」

淡「ど、どうしたの!?」

モブA「何か手に持ってる……宮永先輩に渡したね」

淡「封書?」

モブA「手紙……かな」

淡「……」

モブA「……」


淡・モブA「 手紙!? 」ガタタッ


淡「 果たし状!? 」ガーン

モブA「違うよ。そこは普通にラブレターだよ」

淡「 ラブレター!? 」ズガーン


モブA「はあ……やっぱりモテるよね、宮永先輩」

淡「ラ、ラブレター。つまりあの子はアイツの事がす、す、す」

モブA「好きなんでしょ?」

淡「………」





ーーーーーーー放課後



菫「照、合宿の件なんだが」

照「うん。あれで大丈夫だと思う」

菫「では当日は少々早めに集合かけて……と」カキカキ

照「今回は1軍2軍の合同合宿で大所帯だから、各チームリーダーとはしっかり連携するようにしよう」

菫「そうだな。ところで照」

照「 なに? 」

菫「なにやらめちゃくちゃ睨まれてるぞお前」

淡「うう〜〜……」ジー


菫「何か怒らせるような事でも言ったのか?」

照「言ってない」


淡(リアルの世界で、木の影でラブレターを渡したり受け取ったりなんて本当にあるんだ)

淡(これが高校生なの!? これが大人の階段ってやつなの!?)

淡(好きとか嫌いとか、少女漫画でしか知らない自分が恥ずかしいっ!!)グアア

淡(……モテるって事はやっぱり色々経験してるのかな)

淡「……………」

淡「///」ボンッ


菫「おい、顔真っ赤にさせて頭振り出したぞ。よっぽど怒っているとみた」

照「本当だ」


淡「………ん? 合宿?」ピタ

淡「 ねえ! 」

亦野「な、なんだよ」

淡「合宿があるの?」

亦野「ああ。毎年5月の連休を利用して合宿をするんだ」

亦野「今回は2軍も一緒なんだな。場所は変更なければ今年も温泉…」

淡「 温泉っ!? 」ガターン

亦野「び、びっくりしたなーもう。監督が温泉好きで、毎年温泉旅館で合宿するのが伝統なんだってさ」

亦野「朝から晩まで麻雀漬けだけど、それだけが救いだよホント」

淡(合宿! 温泉!)ワクワク

亦野「最終日の夜は軽く打ち上げもあるし…って聞いてる?」

淡(なんだか分かんないけど! ドキドキして来たーー!!)ワクワク


菫「笑顔になったな」

照「そうだね」


ーーーーーーそんなこんなで合宿



菫「各自部屋に荷物を置いたらロビーに集合だ。貸し切りとはいえ必要以上に騒いだりしないように」

菫「では解散!」


淡「えーと私はっと」

亦野「大星は私と尭深と三人部屋だ」

淡「一応チーム毎なんだね。じゃあアイツは部長とか」

亦野「お前またアイツとか言って……相変わらず敬語使わないし」

淡「ふ〜んだ」プイ

亦野「大星の事は合宿中私に一任されてるんだ。覚悟しとけよ〜?」

淡「えー。めんどいのー」


大広間ーーーーーーー



ガヤガヤ

淡「わあ〜。1軍と2軍が集まるとスゴい人数」キョロキョロ

淡「ま、私はアイツしか眼中にないから関係ないんだけどね」

亦野「こら大星、どこに向かう気だ」

淡「そんなの決まってんじゃん」

亦野「宮永先輩はダメだからな?」

淡「は? なんでさ!」

亦野「さっき監督が言ってただろう。合宿では普段打てないメンバーと打つようにって」

淡「ええ? なにそれ! 私と対等に打てるのなんて宮永照くらいじゃん!」

亦野「宮永・せ・ん・ぱ・い」


亦野「虎姫以外の1軍と打てばいいだろう。いくらお前でもそう簡単には勝てないと思うぞ」

淡「そんな……私はっ」

亦野「とにかく宮永先輩はダメなんだって。先輩と打ちたいのはこの場にいる全員がそうなんだから」

亦野「同じ学校といえどインハイチャンプと打てる機会なんて合宿くらいのもんなんだ」

亦野「ほら見てみろよ。先輩のいる卓」

淡「……たくさん人がいる」

亦野「分かっただろ? 行ったとしても無駄なんだよ」

淡「……」

亦野「まぁお前も相当話題になってるから相手には困らないはずだぞ?」

淡「そんなの……知らないよ…」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



淡「ロン。18000」パラ

淡(……つまんないな。1軍って言っても思った通りの実力。本気を出すまでもないや)

淡(これじゃなんの為の合宿なんだか)ハァ

淡(アイツは……)キョロキョロ


照「ーーーーー」


淡(相変わらずの無表情。相手が誰でも場所がどこでも関係ないんだな……)

淡(……楽しいのかな……あんなんで)


照「ーー」ガタ

淡(あ、こっちへ来る)

淡(も、もしかして私と…)ドキ


菫「おーい照、次こっちだ」

照「分かった」スッ

淡「あ……」

淡(な、なにさ。声くらい掛けてくれたっていいのに)

淡(今日朝から一度も顔合わせてないんだよ!? それでも同じチームの先輩なの!?)

淡(先輩なら少しくらいっ)

淡「…………」


モブC「あの……次大星さんの番…」

淡「分かってるよ!」

モブC「 ひいっ 」ビク


淡(なにが先輩だよ……)


亦野・渋谷・淡の部屋ーーーーーーーー



淡(結局今日一言も話してない)

淡「……別にいいけど」ゴロン

亦野「なんだもう寝るのか大星。子どもだな」アハハ

淡「うるさいっ!」

亦野「な、なんだよ」ビク


淡「……ねえ、夜にチーム毎のミーティングとかないの?」

亦野「ないけど……へえ〜、珍しく真面目に…」

淡「もう寝る」ゴロン

亦野「なんなんだ」シュン


亦野「まったく……よく分からない奴だな」スクッ


亦野「尭深。じゃあちょっと行って来るわ」

渋谷「いってらっしゃい」

淡「? ……どこか行くの?」モゾ

亦野「ああ、今日1日の報告書を弘世先輩に提出しに行くんだ」

淡「えっ!? そ、それ私が持ってくよっ!!」ガバッ

亦野「は? いや自分で行くから寝てろよ」

淡「眠たくないもん! 行くったら行く!」

亦野「……ホントによく分からん奴……」







淡「むふふ〜」ニコニコ

淡「先輩の用事を変わってあげるなんて私ったら後輩の鏡っ」


淡「おっとここか」ピタ

淡「………」

淡「……………」

淡「か、髪おかしくないかな」サッサッ

淡「変じゃない、よね? 大丈夫だよね?」パッパッ

淡「よ、よし。行くぞ」ドキドキ


コンコン


淡「……」ドキドキ


ガチャ

菫「ん? なんだ大星。何かあったのか?」

淡「あの、えっと、これ」ペラ

菫「ああ、報告書を提出しに来てくれたのか。亦野はどうした」

淡「亦野、先輩は眠いって言って……か、変わりに」

菫「なに? アイツ……まぁいい、悪かったなわざわざ」

淡「ううん。だ、大丈夫」チラチラ

菫「ありがとうな」

淡「うん……」チラチラ

菫「 ? 」

淡「……」チラチラ

菫「……部屋を見たいのか? お前たちの部屋と変わらないぞ?」

淡「んっと、その」チラチラ


菫「? 入るか?」

淡「う、うんっ!」パアア

菫(なんだ可愛い顔も出来るんじゃないか)


淡「……」キョロキョロ

菫「同じだろ?」

淡「……宮永照は?」

菫「風呂だが」

淡「」

菫「というかまた先輩を呼び捨てに………大星?」

淡「」

菫「どうしたー。おーい」ブンブン


淡(やっぱり嫌いだ。あんなやつ)



ーーーーー合宿2日目



モブA「大星さーん」タタタ

淡「ああ、お疲れ」

モブA「……もしかしてご機嫌ななめ?」

淡「そんな事ない」ムス

モブA「ははは。分かりやすいね」


淡「……」キョロキョロ

モブA「いないねー、宮永先輩」

淡「べ、別に捜してないしっ!」アセ

モブA「そっか」


モブA「今日こそ先輩と打ちたかったんだけどなー」

淡「……やっぱり難しいの? その、あの人と打つのって」

モブA「そりゃまあね。2軍はこういう時くらいしか近付く事も出来ないから」

淡「ふうん…」

モブA「だから大星さんがうらやましいよ、私は」

淡「……私だって…」ボソ

モブA「え? よく聞こえな」

淡「なんでもない」


モブA「そういえばこの間のラブレターの件はどうなったんだろうね」

淡「」ガタタッ


淡「い、いま気にする事じゃないでしょ! 合宿中はマ、マージャンに集中しなきゃ!」アセアセ

モブA「意外と真面目だね。でもさ、それがそうもいかないんだよー」

淡「どういう事?」

モブA「さっきも話したように、2軍が宮永先輩に近付けるのは合宿くらいなんだよ」

モブA「だからこの機会を待ってた子たちが沢山いるって事」

淡「待ってた……って、まさか」

モブA「年に一度の温泉合宿。告白するには絶好の舞台だよね」

淡「」ガッターン!


淡(油断してた! ここに来てからどうもすれ違ってばかりいる気がしてたけど)

淡(そういう事だったのかっ!!)ガーン

モブA「大丈夫? イスが吹っ飛んだみたいだけど」

淡「だ、大丈夫だよ! って何が!? イス!? パイプイスだから平気!!」

モブA「うん。ホント分かりやすい」ニコ


淡「はっ! もしかして今現在姿が見えないのって!」

モブA「もしかしたら呼び出されてるのかもね」

淡「ッ!? わ、私ちょっとトイレッ!!」ダッ

モブA「いってらっしゃーい」

モブA(頑張ってね。自分の気持ちに正直に、だよ? 大星さん)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



淡(いないなぁ)キョロキョロ

淡(告白されるなら人目に付かない場所だよね)

淡(これだけ捜して見付からないってやっぱり…)

淡「………私ホント何してるんだろ」

淡「アイツがどこで何してようと関係ないのに…」

ガタンッ

淡「え……?」






照「気持ちは嬉しいけど、こういうのは良くない」

2軍選手「だって私にはこんな事しか出来ないから!」

淡(み、見つけたーー!!)


照「もっと自分を大切にして。私なんかよりあなたにはもっと素敵な人がきっと現れる」

2軍選手「私には宮永先輩しか有り得ないんです!」グッ

照「あっ…」

淡( ッ!? )

2軍選手「んっ…ちゅっ……はあ…」チュブ

照「ん、んん……」

チュ チュブ

淡「…………………」



《注意書き》

このssは

ガチ百合
エロあり

となります


苦手な方はここで閉じて下さい


ガタン

照・2軍選手「 !? 」ビク

照「……」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



淡「はあっはあっ」

淡「…」ハァハァ

淡「……ぐす」

淡「ぐすん…ふえ……ふええん…」グズ

淡「うええ〜〜ん、ふえええ〜〜〜ん」ボロボロボロ


照「 淡っ 」

淡「 ふえ? 」グズ


淡「ふえ……ずずっ……え……え?」グズグズ

照「やっぱり淡か。今のは」

淡「馬鹿っっ!!」

照「ッ!?」ビク

淡「アンタなんか嫌い! 大嫌いっ!!」

照「……」

淡「大嫌い! 大嫌い! 大嫌い!」

照「……うん。分かったから」

淡「大嫌い! 大嫌い……っ」

照「 うん 」

淡「んぐ、ふぐっ」ヒック

ダッ


照「……………はぁ」


ガチ有りってことは、いつもの百合シリーズ(?)やってる人かな


ーーーーー合宿最終日



亦野「んあ〜〜〜! 終わったあああーーー!!」

渋谷「終わったね、ふう」


菫「みんなお疲れ様! これで合宿全日程は終了だ!」

菫「今回の合宿で満足のいく結果が得られた者、そうでない者」

菫「各々感じるところはあると思う。だが精一杯やったんであれば無駄な事など一つもない!」

菫「みんな胸を張って己自身を誉めてやってくれ!!」

「「 はいっ 」」


照「菫、お疲れ様」

菫「ああ、お前もな。引っ張りだこで疲れただろ」

照「大丈夫。普段打てない人と打つのは楽しいから」

菫「ふっ、さすがだな。私はしばらく牌を見たくないよ」

照「その気持ちも分かる」ハハ


菫「さて、頑張った自分にご褒美だ。打ち上げでは羽根をのばさせてもらおうかな」

照「そうだね」


大広間、打ち上げ会場ーーーーーーー



ガヤガヤ ガヤガヤ


亦野「大星、お前はとにかく先輩に対して敬意をだなあー」

淡「はいはい。善処しまーす」

渋谷「誠子ちゃんはこう見えて大星さんのこと買ってるんだよ?」

淡「えー、そうは思えなーい」

亦野「私の愛が伝わってないらしいな! よーし、この胸に飛び込んで来ーい!」バッ

淡「わあー、亦野先輩がうざいよー」キャー


キャッ キャッ


照「……」

菫「大星もなんだかんだで虎姫に馴染んで来たみたいだな」

菫「亦野に任せて正確だったようだ。これでもう少し敬語を叩き込めば…」

照「……」

菫「……どうかしたか?」

照「いや、なんでもない」

菫「 ? 」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



モブA「 大星さん 」

淡「おー、お疲れ〜」

モブA「楽しそうだね、虎姫」

淡「んー、まあ……普通」プイ

モブA「ふふふ」


モブA「……」ジッ

淡「……聞きたい事はなんとなく分かるよ」

モブA「そっか」

淡「でもごめん、今はちょっと無理かな」

モブA「…そっか」


1軍選手「お話中ごめんなさいね。アナタが大星さんでしょ?」

淡「 え? 」

モブA(この人……虎姫に負けた1軍の)

淡「そうだけど、何か用?」

1軍選手「……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



菫「その件は申し訳ないと何度も言ってるだろう」

照「菫、ゴールデンウィークって言った。私、騙された」

菫「人聞きの悪い……。なら夏休みだ。夏休みには本当に一緒に行ってやるから」

照「夏休みって。私はインターハイ前に誤解を解きに行きたいの」

菫「そもそもお前が」

亦野「せ、先輩っ! た、大変です!!」ダダダ

菫「こら走るな。貸し切りとはいえ騒ぐなと」

亦野「 淡がっ!! 」

照「 !? 」

菫「……淡がどうした」






ガヤガヤ ガヤガヤ

菫「おい、何事だ!」

モブA「大星さん、落ち着いて!」

ドンガラガッシャーン!!

菫「な、なんだっ!?」

ドカーン!!

ガッシャーン!!

渋谷「弘世先輩っ!お、大星さんがっ」オロオロ

ドパーン!!

亦野「酒を呑んで暴れてますっ!!」

菫「 は? 」


淡「ふんがあああああーーーーー!!」


キャー キャー




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



淡(うーみーはひろいーな、おーき〜いなー)

淡(うみ? んー、空かなあ〜。ああー空飛んでんだ私〜)


照『 あわい 』


淡(え〜? あーはい、淡ですうー。大きいの大にお星様の星で大星って言いますう〜)


照『 あわい 』


淡(だからー、淡は私ですう〜。あわあわって呼んで下さい〜)


照『 あわい 』


淡(ちょっとしつこいよ〜? だーれ? 私を呼ぶのはー)


照『はあ……あまり私を困らせないで』


淡(悪かったにゃ〜。どうせ私はー…私なんかぁ〜)



淡(私なんか………)


照「……」スッ

ナデナデ

淡(…きもちい。やわらかい)

ナデナデ

淡(あったかい)


照「まったく……目を離すと何するか分からないんだから」


淡(………いいにおい)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



淡「う、うんん……」

亦野「あ! 目を覚ました!」

淡「んんん……亦野先輩?」

渋谷「先輩っ、大星さんが目を覚ましました」

菫「ようやく起きたか」ハァ


亦野「淡っ! 私が分かるか! 淡っ!」ユサユサ

淡「頭に響くう〜…大きい声出さないでぇ」ユサユサ

亦野「しっかりしろ! 淡っ」ユサユサ

淡「揺らさな………おええええ」

亦野「ぎゃああああああああ!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



菫「コップを空にしたかった?」

淡「うん。だって1軍の人が私と打ちたいってしつこくて」

亦野「新しいジュースも〜らおっとか言って逃げようとしたのか」

菫「なるほど。で、近くにあった監督のコップを間違って一気飲みしたと」

淡「そういうこと」

菫「まぁ監督は酔いつぶれてその場にいなかったし、部員達も変に騒ぎ立てる事はしないと思うが」

菫「合宿最終日にしてどっと疲れたな…」ハァー


淡「ねえ、私が寝てる間そばにいてくれたのって亦野先輩?」

亦野「みんないたけど……」

亦野「あ、部屋まで運んでくれたのは宮永先輩だぞ?」

淡「えっ……?」

渋谷「私達は大星さんがめちゃくちゃにした会場を片付けてたから」

亦野「うんうん。大変だったぞ。 打ち上げ会場が幕末?空爆?とにかく凄まじかった」

淡「それで……今どこにいるの?」

菫「各チームリーダーの部屋をまわって事態の収拾中だ」

淡「……」

亦野「やっぱりこういう時に頼れるのってさすがだよな」




照「ありがとう。それじゃ」

バタン


照(よし、これで終わり。笑い話として処理されてるのが気になるけど……)

照(まぁ問題にならなければそれで)

淡「あ、あのっ」

照「淡? もう平気なの?」

淡「……」モジモジ

照「 ? 」


ーーーーー旅館近くの高台



ヒュオオオオオーーーーー


照「すごい星。東京でも星が綺麗な場所ってあるんだな」

淡「……」

照「……まだ具合悪い?」

淡「え、あ、ううん。平気」

照「そう…」

淡「うん…」


ヒュオオオオオーーーーー



淡(ああー、私の馬鹿! へたれ! どうして素直にお礼言えないんだろ!)

淡(一言……たった一言なのにっ)


照「…なんだか懐かしいな」ポツリ

淡「 ふえ? 」

照「こうやって星空を眺めてると長野を思い出す」

淡「長野……」

照「子供の頃、よく妹と星を見に行ったんだよ」

淡「妹……喧嘩中の?」

照「うっ。う、うん、そう、喧嘩中」グサ

淡「本当はゴールデンウィークデーに会いに行くつもりだったんだっけ?」

照「そうだよ。それを菫に妨害されてさ……予定が狂ったよ」

>>145

訂正

ゴールデンウィークデー→ゴールデンウィーク


淡「ふふっ。わざわざ会いに行かなくても電話で謝ればいいのに」

照「そこは何というか……色々あるの。うん」

淡「変なの」クスクス

照「私たち姉妹は長い間すれ違ってばかりでさ」

照「分かってるのにね。お互い素直になればいいだけなんだって……」

淡「素直に……」

淡(そ、そうだ。私も……私も素直に)グ


淡「あ、あのね!」


照「 え? 」

ビュオッーー

淡「ふあっ」


照「寒くなって来たね。そろそろ戻ろうか」

淡「えっ、あ、あの」

照「……」スタスタ


淡(言えなかった。私ってホントどうしようもない)

照「…」ピタ

クルッ

淡「? え……」

ファサ

照「上着。風邪ひくといけないから」

淡「あ、ありがとう」

照「どういたしまして」

淡(あれ……言えた…ありがとうって)


フワッ

淡「あ……このにおい」

淡(…いいにおいだな。そっか、これがこの人のにおいなんだ)クンクン


ーーーーーーー数日後



菫「では次に新堂寺だが」

淡「テーー!ルーー!」ダッ

照「 もがふっ 」

菫「……」


淡「今日はね、テルが好きそうな甘いお弁当作って来たんだよっ」

照「ありがとう淡。でも今はミーティング中だから後でもらうね」

淡「うん、分かった! 楽しみに待っててね!」

イチャ イチャ
イチャ イチャ


菫(どうしてこうなった)


菫(ついこの間まで照に対して敵対心しかないように思っていたのに)


淡「ねえテル、部活が終わったらどっか連れて行って!」

照「今日はチームリーダーの集まりがあるから無理かな」

淡「ええ〜、またあー?」

亦野「よしっ。なら私と遊びに行くか!」

淡「うーん亦野先輩で我慢するかぁ」

亦野「我慢ゆーな!」

渋谷「淡ちゃんお茶飲む?」

淡「飲む! たかみ先輩のお茶美味しいから好き!」

渋谷「ありがと」


菫(……これが若さによる柔軟性というやつなのか)フム


菫(なんにしてもインハイに向けて良い感じに団結してきたな)

菫(この雰囲気なら虎姫を最高の形に仕上げる事が出来そうだ)


淡「テルぅ、テルぅ」スリスリ

照「…最近暖かくなって来たからくっつかれると少し暑い」

淡「テルのにおい好き」クンクン

照「……」

菫(姉妹みたいで微笑ましいな)


照「……はぁ」

菫(……照?)

109のはチュッチュしてたのか乳繰り合ってたのかどっちだ
あわあわは何を見たんだ


>>115

百合シリーズか分かりませんが、百合ssは何本か書いてます


>>160

気になって読み返してみたら確かに乳くり合ってるようにも見えますね。
でもここは一方的にキスされただけという事で

>>161
書いた百合SS教えて下さいだし!

照がくっついてくる淡をどう思ってんのか気になる

>>163

照「付き合って下さい」淡「ごめんなさい」

照「ヤらせて下さい」淡「断る」

照「ナニコレ」淡「チン百景」

照「千里山に転校します」菫「は?」

照「お任せあれ!」玄「もうやだ帰りたい」

照「これに好きな額を書くといい」菫「は?」

以上です…たぶん


三年生の教室ーーーーーーーーーー



菫「照、昼どうする?」

照「私お弁当ある」スッ

菫「また淡に作ってもらったのか。変われば変わるもんだなアイツも」

照「うん……」

菫「……なあ照」

照「なに?」

菫「…………もしかして弁当不味いのか?」

照「 は? 」

菫「いや、後輩からの愛妻弁当なのに表情が優れない気がして」

照「美味しいよ。甘くて」

菫(甘い……それは本当に美味いのだろうか)


菫「しかしまぁ美味いならもう少し嬉しそうな顔したらどうだ」

照「うん…」

菫「?」

照「……ねえ……菫」

菫「なんだ?」

照「淡ってさ……」

菫「ああ」

照「………いや、やっぱりいい」

菫「? そうか」フム


照「はむっ。うん……美味しい」モグモグ

菫(なにかあるのか)


一年生の教室ーーーーーーーーーーー



淡「ふんふふ〜ん、ふふふ〜ん」イェイェー

モブA「ずいぶんご機嫌だね大星さん」

淡「んー? そう見えるぅ?」

モブA「……宮永先輩がらみ?」

淡「 えっ!? 」ガタッ

モブA「あはは、やっぱり」

淡「ち、ちが違うよー!」アセ

モブA「ふうん。でも最近すっごい仲良いよね」

淡「ま、まあ悪くはないかな〜」アハハ…

モブA「合宿から帰って来てから……何かあったの?」


淡「な、何もないよ?」

モブA「……」ジー

淡「ううっ、そんな目で見られてもホントに何もないんだもん」


淡「あ、でもひとつ。前にアンタが言ってたこと分かったよ」

モブA「なにか言ったっけ」

淡「テルが良いにおいするってやつ」

モブA「 え 」

淡「最初は意味分かんなかったけど、分かるようになった。テルってめちゃくちゃ良いにおいするよね!」

モブA「……」

淡「ずっと嗅いでたくてついついくっついちゃうんだー」エヘヘ


モブA「そっか…。それで……告白はするの?」

淡「告白? 何を告白するの?」

モブA「え? 何をって、好きなんでしょ?」

淡「なにが?」

モブA「宮永先輩」

淡「……………」

モブA「……………」


淡「 ふぁっ!? 」ガターン

モブA「ああーイスがー」





麻雀部部室ーーーーーーーー



菫「……」


渋谷「淡ちゃん、お茶淹れたからみんなにまわしてもらえるかな」

淡「うん。任せて」


淡「はい菫先輩」スッ

菫「ああ、ありがとう」

淡「はい亦野先輩」スッ

亦野「ありがとー」

淡「は、はい! テテテルッ!!」ガタガタガタ

照「あ、ありがとう淡」


菫「……」


淡「ご、ごごごめん。ちょっとこぼれちゃった」アワワ

照「大丈夫。あ、そうだお弁当箱…」

淡「う、うん。えっと、おいしかった?」

照「おいしかったよ」

淡「ふわあ///」カアア

照「淡、顔あかい……風邪?」スッ

淡「ッ!!! な、なんでもないよっ!!!!」ガッターン

照「そ、そう……ごめん」

淡「へ? あ、そうじゃなくて、その」アセアセ

照「いや、うん」

淡「えっと、うん……」

照「うん……」


菫「うん」

イス「うん」


菫(この二人、もはや気のせいとは片付けられん空気だな)


ガチャ

監督「ちょっと失礼するぞ」

菫「お疲れ様です。どうかされましたか」

監督「新しい雀卓が届いてな。各チームから3人ずつ手を借りたいんだ」

菫「分かりました。じゃあ」

菫「……」


菫「私と亦野、渋谷が行きます」

監督「おおそうか、悪いな」

淡「え、あの、わたし行くよ?一応下っ端だし」

菫「いや、淡は照から松庵女学院の牌譜を見せてもらってろ」

淡「で、でも…」

菫「大将の多治比は個人戦でも活躍している選手だ。淡は初めての公式戦だろ。ちゃんと予習しておくんだ」

菫「頼んだぞ照」

照「……分かった」

淡「テ、テル…」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



照「これが松庵女学院のデータ」ガサ

照「そしてこれが淡と当たると予想される大将の…」

照「淡?」

淡「き、聞いてるよっ!」ビクッ

照「そう。……牌譜見える? もう少し寄らないと見えないと思うんだけど」

淡「あ、んっと、そ、そうだね」

淡「……」ススス

ピト

照「……で、この人の特長は」




照「ーーーーーー」

淡「……」

照「ーーーーーー」

淡(ああ……ダメだ私)

照「ーーーーーー」

淡(ドキドキして何も頭に入って来ない///)ドキドキ


淡(モブAが悪いんだよっ。おかしなこと言うから!)ドキドキ

淡(私がテルの事をす、す、す)ドキドキ

淡(そんなんじゃないもんっ! 私はただ…)チラ

照「ーーーーつまりここでーー」

淡「はふ……///」ポケー


淡(ま、まつげ長いよねテル。肌もすべすべしてそう)ポケー


フワ

淡(あっこのにおい)クンクン

淡(テルのにおいだぁ……はあああ〜〜ずっと嗅いでたい)クンクン


淡「……」ハアハア

照「……」

淡「……」ハアハア

照「……あの…」

淡「はぁはぁ……へ?」

照「確かに寄ってとは言ったけど、これだと近すぎて見えないんじゃ」

淡「ッ! ち、ちちちち違うのっ!!」バッ

照「……」ナニガ?


淡「違うんだもん! 私はただテルがすっごく良いにおいするから嗅いでただけなんだもん!!」カアア

照「 におい? 」

淡「そうだよ! だってテルがっ……と、とにかく他に意味なんてないもん! テルがっテルが」アタフタ

照「淡………私のにおい嗅いでたの?」

淡「ホントに意味なんてっ! ただ私はっ!」アタフタ

照「……」

淡「こ、これはそう! 動物の本能として人間であるがゆえの嗅覚を」アタフタ

照「………いいよ」

淡「さかのぼること1万年前の人類が…………え?」

照「いいよ。嗅ぎたいんでしょ? 私のにおい」

淡「え…あ…う…そ、れ…は」

照「……」


ガタ

照「はい。これでいい?」

ギュッ

淡「 っっ!? 」ビクッ


淡「テ、テル。な、なに、を」ドキドキ

照「……」

ギュウ

淡「ぁ……う……///」ドキドキ

照「……なんて」

淡「ふえ?」ドキドキ


スッ

照「菫たちの様子見て来る」

淡「え…ぇ?…あ…え」


ガチャ

バタン

淡「………」ポカン


〜〜〜〜〜〜〜〜


照「………………はあ」


一年生の教室ーーーーーーー



モブA「宮永先輩に抱き締められた!?」ガタッ

淡「しー!しー!声がデカいよ!」

モブA「ど、どういう事? いったい何があってそんなうらやまし…いや恨めし…いや」

淡「何だったんだろー。夢……じゃないよね」ハァ

モブA「前触れとか、あ、きっかけは? 急に? 唐突に? 零距離だよね!? あああああ」

淡「今でも覚えてる。テルのぬくもり、肌が触れ合う感触」ハフ

モブA「おおおおおお」


モブA「でもそっか、ああ〜そっかそっか」

モブA「あの宮永先輩とね。はあー、なるほどそっかあ〜」

モブA「大嫌いとか言ってたのにね、了解、了解です」

モブA「まあ、ね、うん大丈夫。私は大丈夫。ちゃんと言える。友達としてちゃんと言える」

モブA「言わなきゃ駄目。こういうの大事。そう、人としてしっかり、こういうの大事」

モブA「すーー…はあーー…すーー…はあーー…」


モブA「お゛、おめでとう、大星さん」ボロボロボロ

淡「ど、どうしたのモブA!?」ヒイッ


モブA「良かったねこれで晴れて両想いだね」ボロボロボロ

淡「洪水のように涙出てるよ! てか何がおめでとうなのさっ」

モブA「だって抱き締められたんでしょ? つまりそういう事だよね」ボロボロボロ

淡「そういう事って………ち、違うよ! なに勘違いしてんの!?」

モブA「またまたそんなこと言って。いい加減素直になりなよ大星さん」ボロボロボロ

淡「素直に……。と、とりあえず私の事を置いといても、テルが私の事」

淡「す、す、す………なんて、あり得ないよ」カアア

モブA「ならどうして抱き締められたの?」ボロボロボロ

淡「それが分かんないからアンタに相談してんだよっ!」


モブA「こういうのどうかな。もう一度似たような場面を再現してみる」

淡「もう一度?」

モブA「うん。また抱き締められたら確定」

淡「か、確定……」ゴクリ

モブA「さすがに何かの間違いで二度は抱き締めないよ」

淡「う……」

モブA「それに多少なりと好意を持ってないと他人を抱き締めるなんて普通はしない」

淡「好意……」ドキドキ

モブA「……大星さん。今のまま悶々としてるのが嫌なら、行動あるのみ! だよ?」ニコ

淡「…………分かった。立ち止まってるのなんてらしくないし……やってみるよ」

モブA「うん。頑張って!」ボロボロボロ


麻雀部部室ーーーーーーーー



菫「……」

淡「……」チラッ チラッ

照「……」

菫(悪化している。いや、悪化というより…)


淡「あっあの! テル!」ガタ

菫(お。淡が動いた)


照「なに?」

淡「んっとね、す、数学でちょっと分かんないところがあってね」

淡「べ、勉強教えてもらいたいんだけど……だ、駄目、かな」

照「勉強? 教えるのは構わないけどそういうのは部活中にやる事では」

菫「教えてやれ照」

照「 え? 」

菫「赤点なんて取られてインハイに響きでもしたら死活問題だろ」

照「それはそうだけど」

菫「仮眠室なら静かにみっちり勉強に励める。早速行って来い」

淡「あ、ありがとう菫先輩」

照「……」エー


ーーーーーーー仮眠室



照「△ABCにおいて次が成り立つ時、この三角形の最大の角の大きさを求めよ」

照「……これが解けないの?」

淡「う、うん」

淡(適当に開いたページで実はまだ習ってないんだけど)


照「sinA:sinB:sinC=8:7:13か。これはーーー」

照「正弦定理によりa:b:c=8:7:13となるからーーー」

照「そして、余弦定理によりcosC=ー1/2。だから答えは」

照「C=120°になる。分かった?」

淡「分かった」

照「そう、良かった」

淡(はっ! しまった普通に教わってしまった!!)ハッ

淡(数学の予習してどうする私。でも余りにもテルの説明が上手すぎて聞き入ってしまうー!)


淡(…………よし、なら)


淡「X2+Y2=Z2って式に当てはまる数字なんだけど…」

照「……9+16=25かな」

淡「そ、そうだよね。じゃあこの2乗を3にしてみてくれるかな」

照「3乗……」

淡「……」

照「……………」フム

淡「……」

照「………………」ムウ

淡(よし! 長考に入った!)イェイ


淡(この隙に変に思われないように……ちょっとずつ)ススス

ピト

淡(ふあっ///テルあったかぁい)フニャ



フワ

淡(くんくん……はぁー。良いにおい)ニヘラ

照「……」フググ

淡(ああー、真剣な顔してるテルめっちゃ格好いいー///)ポー

淡(……もっと寄り添いたいな…)

淡(におい……首元はもっとにおうのかな……)

スッ

淡「……ん…」スリ

照「 っ!? 」ゾクッ

照「あ、淡?」

淡「ふぇ? ………あ」


照「な、なにしてるの?」

淡「えっ……とー…」ダラダラ

照「あ、もしかしてまた」

淡「うっ」ギク

照「……はあ」

淡「ご、ごめんなさい」シュン

照「謝る事はないけど……どうしてそんなに私のにおいなんて嗅ぎたいの?」

淡「……私にも分かんない」

照「そうなんだ…」


淡「も、もう嗅いだりしないから」ガタ

照「 待って 」

淡「……テル?」


淡(こ、この流れ)

照「淡…」スッ

淡(ま、まさか)ドキ

照「こっちへ…」クイ

淡「う、うん…」ドキドキ

照「……」

淡(あ……テル……近い…)ドキドキ

淡(テルが…す、すご……ちか……え…な、なに)ドキドキ

照「淡…目…瞑って」スッ

淡(キ……キ…ス…さ、され……)バクバク


ガチャ


亦野「お疲れ様でーす。お茶が入ったんで休憩に」

亦野「しようって、菫先輩が……」

亦野「どうかしましたかお二人共」

照「いや、どうもしない」


亦野「今日のおやつは渋谷特製の抹茶ケーキですよ。早く行きましょう」

照「それは楽しみ。行こう淡」

淡「ぅ……ん///」コク



一年生の教室ーーーーーーーー



モブA「キ! キスされそうになったっ!!??」ガッターン!

淡「あーイスがー」

モブA「なっなっなっ」

淡「まぁとりあえず落ち着いてー。座った座った」

モブA「ひっひっふーー!」

モブA「オーケー落ち着いた。そ、それで何がどう転んでそんなイベントが発生したの?」

淡「分かんない」

モブA「うぐ……んんん〜。じゃあ一から状況を聞かせて」

淡「うん。あのね、テルに勉強をーーーー」






淡「ーーーーで、目瞑ってってテルが」

モブA「……」ポカーン

淡「あれ、大丈夫? 口開いてるよ?」

モブA「うーんと、ちなみに手、手は? 宮永先輩の手はどこにあった?」

淡「テルの手? 手は……その」モジ

モブA「……どこ?」

淡「わ、私のほっぺたに…こう…///」ポ

モブA「ば く は つ し ろ」

淡「 え 」


モブA「ところで何で大星さんはそんなに冷静でいられるの?」

淡「………夢だったんじゃないかって思って」

モブA「……」

淡「あのテルがさ、私を抱き締めたりキ、キスしようとしたりする?」

淡「とてもじゃないけど現実の出来事とは思えないんだよ」


モブA「ま、なんにしてもこれで確定だね」アーア

淡「確定……」


淡(もしあの時、亦野先輩が来なかったら私)

淡(テルと……してたんだよね……キ、キス)カア

淡(キスがどういう行為かっつーのは私でも分かる//)

淡(抱き締められた上にキスまで……つ、つまりテルは私の事がす、す、好きな訳で//)

淡「………」モンモンモン


淡「むふああああああーーー!!///」ブハッ



淡(どっどうしよー! 私ったらテルに好かれてたーー!!)ガンガン

淡(テルが! あのテルが! 私の! 事を!)バンバン

淡(そういう! 目で! 見てたとかーー!!)バシバシ

淡(キ、キスとは。愛する2人が唇と唇を合わせ愛を確かめ合う行為をいう)キリッ

淡「いやあああああーーーーーん!!」ブヒー!


モブA「あ、そういえばさ」

淡「え〜〜? なに〜〜?」ニタニタ

モブA「宮永先輩、合宿の時に2軍の子とキスしてたよね」

淡「」ピシッ


淡「そ、そんなこともあったね」ガクガク

モブA「思ったんだけどさ、あれだけじゃないと思うの」

淡「な、なにが?」

モブA「あの合宿で告白した子。私もっといると思う」

淡「 !? 」ガタ

モブA「私の知る限り、2軍で宮永先輩を本気で好きな子はかなり存在してる」

モブA「それが泊まりだよ?普段見れない浴衣姿の宮永先輩やらお風呂あがりの宮永先輩やら」

モブA「そんな視覚を刺激されて黙ってられなくなった子がきっといると思うの」

淡「すごい説得力」ブルッ

モブA(こんな大人しい私でさえ、使用済み割り箸の回収やら色々大忙しだったんだから)


淡(そうだ、あの合宿中テルとはずっとすれ違ってばかりだったんだ)

淡(最終日に少し話した程度で、それ以外の自由時間にテルが何してたかなんて知らない)

淡(もしかしたらあの子の他にも告白されてキスしてたり…)


淡「テルにとって抱き合ったりキスしたりって簡単な事なのかな」ズキ

モブA「え、いやさすがにそれは考え過ぎだと思うけど」

淡「でも……」

モブA「……ねえ大星さん」ハァ


モブA「宮永先輩がどうとかより、一番大切なのは大星さんの気持ちじゃないのかな」

淡「私の気持ち………私がテルの事をどう思ってるか……」

モブA「うん。ずっと否定してるけど、そろそろちゃんとしなきゃ駄目だよ?」

淡「テルの事……私は……」

モブA「まだ大嫌い?」

淡「ううん」フルフル

モブA「ふふ。ならその気持ち、宮永先輩に伝えなきゃ」ニコ

淡「えっ、む、無理だよそれは!」

モブA「そっかあ〜。宮永先輩が誰かに取られちゃってもいいんだー大星さんはー」

淡「 やだっ! 」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



モブA(やっと行ったかー、ホントやれやれだなぁ大星さんは)フゥ

モブA(初めてあなたの麻雀を見た時、とても同い年とは思えない力にすっごく嫉妬しちゃったんだよ?)

モブA(天真爛漫で、私の大好きな宮永先輩によく喧嘩ふっかけてたよね)

モブA(嫌いとか言いつつ、話す事といったら先輩の事ばかり)

モブA(きっと最初から好きだったんだろうね)


モブA「……はあーあ」フッ


モブA(大星さん。大星さんだから許すんだからね?)

モブA(私の大好きな宮永先輩とちゃんと幸せにならないと許さないんだから)

モブA(え、私はそれでいいのかって?)

モブA(いいんだよ)


モブA「だって私は」

モブA「 脇役だから 」ニコ


三年生の教室ーーーーーーーー



菫「さてと、今日も部活動に励むとするか」ガタ

照「……」

菫「? 行くぞ照」

照「……菫、今日は私…」

クラスメート「宮永さーん。お客さんよ〜」

照「え?」

菫(ほう、向こうに先手を取られたか)


菫「照、お前は今日も仮眠室な」

照「……それは困る」

菫「そろそろ何かしらのけじめは必要だと思うぞ、私は」

照「菫……」


菫「お前が何を悩んでいるのか分からないし聞くつもりもない」

菫「だが私は照の友人として、麻雀部の部長として……淡の先輩として、お前ら2人が良い方向へ向かって欲しいって思ってる」

菫「照も淡も良い奴だって知ってるからな」

照「……」


菫「もう行け。アイツはアイツでいっぱいいっぱいだろうから」

照「菫……私は……私は菫が思ってるほど…」ボソ

菫「ん?なんだって?」

照「いや、なんでもない」




仮眠室ーーーーーーー



淡「……」

照「………勉強…しようか」

淡「……」

照「淡、勉強…」

淡「今日はっ。…その、違くてっ」

照「……」

淡「勉強じゃ、なくて」

照「うん…」

淡「テ、テルに、聞いて欲しい事が…あって」

照「なに?」

淡「あの……私……」グッ


淡「私……」ドキドキ

照「……」

淡「テルが」ドキドキ

照「……」

淡「テルの事、ね」ドキドキ

照「……」

淡(大丈夫!いけっ!私っ!!)

淡「 すっ 」

照「 す? 」

淡「す、す、す」

照「す……?」


淡「 すき焼き! 」

照「 え? 」


照「すき焼き?」

淡(お約束っ……もう馬鹿……私のへっぽこ!)プルプル

照「淡、お腹すいてるの?」

淡「ごめん。今の忘れて」

照「分かった」


淡「……すうーー……はあーー……」

淡(今度こそ!)グッ

淡「あ、あのね」
照「私も淡に話したい事がある」

淡「 へ!? 」

照「先に私からでいいかな」

淡「え、あ、うん」


淡(テルが私に話したい事? そ、それって)ドキ

淡「……」ドキドキ


照「最近、淡変わったと思う」

淡「そ、そう?」

淡(それはテルのせいだよ)ドキドキ

照「雰囲気がやわらかくなって、以前あったトゲトゲしさがなくなった」

淡「ふうん」ドキドキ

照「虎姫のみんなとの連携も取れて来たし、チーム外との雰囲気も悪くない」

淡「ま、まあ適応力はある方かな!」フフン

照「少し敬語が話せるようになったと菫は喜んでた」

淡「へー菫先輩が?そうなんだ!」エヘヘ

照「……淡自身が変わって、打つ麻雀も変わった」

淡「そうかもね!」

照「残念だよ淡」

淡「………え?」


淡「ざ、ざん…ね…ん?」ズキ

照「良く言えば上手くなった」

淡「上手くなったなら何の問題もないんじゃ」ズキズキ

照「悪く言えば……つまらなくなった」

淡「つ、つま」ズキズキ

照「つまらない麻雀を打つようになった」

淡「なにそれ……麻雀の打ち方につまらないもなにも」ズキズキ

照「ある」

淡「……」ズキズキ


照「はっきり言う。今の淡が打つ麻雀は小賢しい」

淡「 っ!? 」ズキッ


照「出会った時の淡はこんなんじゃなかったはず」

淡「そんなの知らない……忘れたよ」

照「なら思い出して。私と初めて対峙した時のあの自分を」

淡「……」

照「あと数ヶ月でインハイ予選。そしてすぐに全国」

照「このままでは優勝どころか決勝までも勝ち進めない。淡はインハイをナメてる」

淡「そんな事……ない…」

照「ならもっと麻雀に集中して」

淡「……麻雀に集中?」ピク

照「そう。菫の言う事も分かるけど、今はこんな事をしてる場合じゃない」

淡「……」

照「淡にはもっと麻雀と向き合って欲しい」

淡「………」


照「まず場数が圧倒的に足りてない。とにかくひたすら打たなければいけない」

照「また2軍と打つのもいいし、今度は1軍チームにお願いするのもありだと思う」

照「今現在淡の麻雀は未完成。更にレベルアップが必要」

照「全国大会の牌譜を見て研究したりやる事は沢山ある」

照「淡、時間はあるようでないんだよ。だからもっと麻雀に」

淡「」ガタッ

照「……」


淡「麻雀麻雀麻雀麻雀麻雀麻雀麻雀」プルプル

淡「麻雀麻雀麻雀麻雀麻雀麻雀………」プルプル

照「……」

淡「麻雀麻雀麻雀麻雀うるさあああああーーーーーい!!」ガシャーン!


淡「私の麻雀がつまんない?小賢しい?そんなの…」プルプル

淡「悔しいけど分かってるよ!」

照「……」

淡「場数とか経験とかみんなに比べて少ないのも知ってるもん!」

淡「未完成だって、言われなくても……自分が一番分かってる!」

淡「でもだからお家で、嫌だけど牌譜見たりお休みの日に2軍の子に練習付き合ってもらったり」

淡「…私だって…私だってちゃんと考えてる! インハイのこと考えてる!」

淡「私なりに麻雀に向き合ってるんだもんっ!!」

淡「……でも確かに最近は……」

照「……」


淡「麻雀に……集中出来てなかった」

淡「……」

照「……」


淡「でも……」グッ

淡「でもそれはテルのせいじゃんっ!!」

淡「テルが私の中に入って来るから! 私の頭をテルでいっぱいにするから!!」

淡「麻雀よりテルの方が大切になっちゃったんだもん! ずっと好きだった麻雀よりテルの事が!」

淡「テルの事が好きでたまんなくなっちゃったんだもんっ!!」

淡「それなのにっ」

照「……」

淡「何でそんなこと言うのぉ」グス


淡「なんで………あんな事っ…」グスッ

照「……」

淡「テルがあんな事するから……私……」グスッ

淡「勝手に勘違いして……ドキドキして……ぐすっ。舞い上がっちゃって…」ズズッ

照「………ごめん」

淡「謝るくらいならあんな事しないでよっ!!」

淡「テルの馬鹿っ! アホ!! テルなんかっ! テルなんかあっ」

淡「 大嫌いっ!! 」






バターン!!

菫「 うおっ 」

ダダダッーーー


菫「な、なんだ? 今の淡か?」

菫「照、どういう事だ? どうして淡が」

菫「……」


菫「…今日は全部話せよ。でないと殴る」

照「ん……ごめん……菫……」

菫「馬鹿…」ハァ






コト

菫「渋谷のようにはいかないが」

照「……ありがとう」

菫「落ち着いたようだな」

照「ん……ごめん」

菫「それはもういいから」ハァ

照「うん……」

菫「……」



照「……淡に初めて会った時のこと覚えてる?」

菫「あぁもちろん。あの時の衝撃は忘れられないよ」

菫「卓についた瞬間感じた。そして確信した。コイツがいれば全国が取れる。3連覇、そして世界」

菫「なんの根拠もないのに、そんな未来の事まで私には見えた。あの一瞬で」

菫「そのくらいの圧巻だった。恐らく一緒にいた監督も私と同じ事を感じ取っていたと思うよ」

照「……」

菫「お前だってそうだろう? アイツを見つけたのはお前なんだから」

照「私は……私はあの時、菫と監督が淡に見たものと、別のものを淡に見ていた」

菫「別のもの?」

照「そう。私は淡を………淡とは見ていなかった……」


照「淡があまりにも………似ていたから」



菫「似ていた? 誰か知り合いにでも似てたのか?」

照「………長野の」

菫「へえ。他人の空似ってやつか」

照「似ていたのは外見だけで、その子は麻雀はさほど強くなかったけど」

照「元気で明るくて……笑顔の眩しい子だった。いつも私にくっついて来て……夏は少し困った」

菫「最近の淡みたいだな」

菫「あ……」ハッ

照「……」

菫「なるほど。お前その子と」

照「たぶん菫の思った関係ではない。でも……」

照「……うん、大切な子だった」


菫(だった?過去形か)

照「……」

菫(……照のこんな顔……初めて見たな……)ズキ


コンコン

ガチャ

監督「おっとすまんな取り込み中に」

菫「いえ、どうかされましたか」

監督「いやな、今大星の親御さんから電話が来て、アイツが帰ってないと言うもんで」

菫「え? あ、確かに部活終了時間よりだいぶ経ってますね」

監督「あそこの親が厳しいの知ってるだろ? スカウトで半ば強引に引っ張った手前、な」

菫「携帯には?」

監督「出ない。まったくどこをふらふらしてるんだ大星は」ハァ


照「……」ガタ

菫「 照? 」

照「探さないと」

菫「まあ、そうだな。て、おい大丈夫か顔色が悪いぞ」

監督「なんだ風邪か?いかんなこの大事な時期に」

照「大丈夫です。それより早く淡を」

菫「子供じゃないんだ、淡ならそんなに心配しなくても…。帰宅していないと言ってもまだ7時過ぎだぞ」

照「私の……私のせいだ……」ブツブツ

菫「え……?」

監督「おいおい、どうしたんだ宮永。お前はもういいから帰れ」

照「私はもう……あんな思いはしたくない……」ブツブツ

菫「照……」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



菫「いないな。駅の方まで行ってみるかそれとも…」キョロキョロ

菫「照、どこか心当たりはないのか?」

照「ない…。こんな時淡が行く場所なんて……私には分からない」

照「淡の事……私は何も知らないんだっ…」

菫「……」

照「淡……淡……」

菫「照。少しは落ち着け」

照「淡……く……っ…」

菫「 照っ! 」

照「っ…!」ビク

菫「落ち着け」

照「菫……」


ビュウーーッーー

菫「う……。もうすぐ夏だってのに風が冷たいな」ブル

菫「……あ……」




淡「さむっ」ブル

淡「あ〜あ、私なにやってんだろ。フラれて橋の上で黄昏るなんて青春ドラマかっつーの」

淡「はは……こんな事ならもっと少女漫画読んで勉強しとくんだった」

淡「つらいなー。なにこれ、失恋てこんなにつらいのー」

淡「ていうか私、恋だと気付いてからフラれるまで早くない……?」ハッ

淡「………ぐす……また泣けてきた」ズズ

淡「あああーーもーーー! テルの馬鹿ーーーーーー!!」

淡「テルのー! 馬鹿あああああーーーーーー!!」



バカーーーー テルノバカーーー
シンジャエエエーーー


照「どうしよう菫。わたし死んだ方がいいのかな」ズーン

菫「自業自得だ」


淡「馬鹿あああーーー! テルの」

菫「その辺にしておいてやれ」

淡「ば……………へ?」

菫「よお。えーとな、それ以上叫ばれると近所迷惑だし、なによりここから飛び降りかねない奴がいるんだ」

淡「菫先輩……え、なに、なんでここに」

淡「飛び降りる?いやさすがに飛び降りたりはしないよ?」

菫「あー、うん。お前じゃなくて」チラ

淡「 え? 」チラ

照「……」ズーン

淡「……」

照「……」

淡「……」

照「……」

淡「」ダッ

照「に、逃げ」グサ

菫「さ、追うぞ照」グイ




ヒュオオオオーーーー


淡「な、なんで追いかけて来るのよー!」ハァハァ

照「淡が逃げるから」ハァハァ

淡「そうじゃなくて、今さら私に何の用があるのって!」ハァハァ

照「聞いて欲しい話が、あるから」ハァハァ

淡「やだやだ絶対聞かない! どーせまた麻雀でしょ! 私の事なんてどーでもいいんでしょ!!」ハァハァ

照「違う、私の」ハァハァ

淡「わーー!わーー!聞こえないもーん!」ハァハァ

照「私のきも」

淡「わーー!わーー!」


ダカダカダカダカダカ


菫(若いって素敵な事だが時に過酷だな)ゼーゼー



照「っ淡」バッ

パシッ

淡「あっ…」

照「はあっはあっ………捕まえた」ハァハァ

淡「う、ううう」ジワ

照「淡、聞いて。私…」ハァハァ

淡「馬鹿! 聞かない! テルの話なんて聞きたくない!!」ポロポロ

照「淡……」

淡「嫌いっ!嫌いっ!大嫌いっ!!」ポロポロ

照「……」

淡「嫌いっ……ぐす……テルなんて…ぐすっ……嫌いっ」ポロポロ

照「うん……」

淡「ホントにホントに…んぐっ……嫌いなんだからっ」ポロポロ

淡「嫌いなんだもん……ふぐっ…大嫌いい…っ…」ポロポロ

照「……」


淡「………………でも好き」ポロポロ

照「……」

淡「嫌いだけど………好き」グスン

照「うん……」


淡「ふぐっ……ひっく」ボロボロ

照「淡……」スッ

キュ

淡「も、もう止めてよ。これ以上勘違い、させないでよっ…」グスッ

照「……」

ギュウ

淡「テ、テル……だ、だから、その///」

照「……っ」

ギュウウ

淡「ふあっ!?あ、あの」ドキドキ

照「淡っ……淡……」


ーーーポタポタ

淡「え…?テル?」

照「んぐ……あわいっ……ぐすっ」ポタポタ

淡「ど、どうしたの!? テル泣いて…」アタフタ

照「……泣いてない…」フルフル

淡「え、ええ? な、何で、どうしたら」アタフタ

照「あわいい…」ギュウ

淡「よ、よしよし。泣き止んで? ね? 大丈夫だよ?」ナデナデ


照「ごめん……淡っ…本当にごめん…」ギュウ

淡「うんうん、大丈夫だからねテル。いったい何を謝られてるのか分かんないけど」ナデナデ

照「淡……淡…っ…」ギュウウ

淡「テル…テルぅ……好き」ナデナデ

菫「おーい、私の存在忘れてないか?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



淡「んーと、私とその子を重ねて見てたって事?」

照「いや、重ねて見ないようにって思ってた。あの子はあの子、淡は淡……」

照「でも、当たり前で単純な事なのに、淡との距離が縮まれば縮まるほど不安になっていた」

照「いつか淡に彼女の面影を探してしまうんじゃないか……って」

淡「……」


照「……怖かったんだと思う……」

照「…あの子がいた過去は大切なもので、絶対に忘れてはいけない記憶」

照「でもそれは大切な思い出と同時に、乗り越えなければいけない思い出でもあるんだ」

淡「テル……」

照「淡、菫。何て謝ったらいいか分からない……私が弱かったばっかりに振り回してしまって本当にごめん」ペコリ

菫「馬鹿。お前が思いのほか不器用だってくらい知ってるよ」

照「菫……」


淡「……私は……」

照「うん…」


淡「仮眠室で……その…あの時って…」

照「あ、あれはっ」

淡「テルは否定してるけど、無意識に……とかあると思うし……やっぱり私にその子を見て…」

照「違う。あれは……我慢出来なくなって……ごにょごにょ」

淡「? えっと、なんて?」…ドキ

照「だから、あの時は思わず……というか、自制がきかなくなって…」

淡「……ちゃんと聞きたい」ドキドキ

照「淡……」ドキドキ

淡「テル……」ドキドキ


菫「おーい。そういうのは私がいなくなってからにしてくれー」


菫「監督には私が連絡しておく。淡は今すぐ家に電話しろ」

淡「あ、そうだよね。監督に迷惑かけちゃったな…」

菫「照は責任持って淡を送り届けろよ」

照「任せて。菫、今日は本当にありがとう」

菫「気にするな。お前の泣き顔写真を待ち受けにする事でoffsetさ」フッ



淡「電話したよー。テル帰ろっ」

淡「……なにしてるの2人して。カバディ?」

菫「人には負ける事の許されない戦いが人生に三回あるという。今が私の一回目だ」ハァハァ

照「淡。菫を抑えてくれる?」ニコ

淡「うん分かったよテル///」ガシ

菫「うおっ!離せ淡っ」ジタバタ

ハナセーー!





ブロロローーー


照「お母さん怒ってた?」

淡「んー、ママは平気なんだけどパパがちょっと」

照「そう…」

照(着いたら謝らないと)フム

淡「あ、ここを右ね。で次の信号を左」

照「へえ。淡の家もこっちの方なの…」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


淡「この角を左に曲がって到着だよっ」

照「分かった」

トコトコ
ピタ

照「……」


照「淡……私知らなかった。淡の家がウチのお隣だったなんて」


照「あれ、でも表札は違うね。2世帯?」

淡「……」モジモジ

照「? どうしたのもじもじして」

淡「ちゃんとパパには先輩のお宅だから安心してってお話したから」モジモジ

照「 え? 」

淡「……」モジモジ

照「……」

淡「……///」モジモジ

照「………………あ」

照「えっと、ごめんね気が付かなくて」

淡「ううん。そういう鈍いとこも好き///」


照の部屋ーーーーーー



淡「わはぁ…テルの部屋!」キラキラ

淡「テルのベッド!テルの枕!」キラキラ

バフッ

淡「むふうーーー!」


ガチャ

照「淡、着替え大丈夫だった?………なにしてるの?」

淡「んふ〜、テルの枕もふもふしてたぁ」モフモフ

照「そ、そう」

淡「テルのにおいがする……」クンクン

照「……」


ゴロン

淡「あ、お布団にくるまるとテルに包まれてるみたい」


淡「えへへ、なんてね」

照「……」

淡「ん? どうかした?テル」

照「なんでもない」フイ

淡「んー?」


照「……遊んでないでそろそろ寝よう」

淡「え……」

照「明日学校は休みだけど部活はあるから。もう寝た方がいい」

淡「あ、あの」

照「ベッドで寝たいならそのまま使ってもらって構わない。私はこっちの布団で大丈夫だから」

淡「……」

照「じゃ、おやすみ淡」モゾ

淡「……テル?」

照「……なに」


淡「本当に寝ちゃうの?」

照「夜更かしはよくない」

淡「うん……そうだね…」

照「……おやすみ」モゾ


淡「ごめんねテル。私来ない方が良かったかな…?」

照「っそ、そんな事はない」ガバッ

淡「でも……」ウル

照「ち、違う。そうじゃなくて」

淡「なにが違うの? なんだかテル素っ気ないもん」ジワ

照「それは……」

淡「……そっちにいってもいい?」

照「ダメ」

淡「な、なんで?」


照「なんでも。ダメなものはダメ」

淡「意味分かんない……。ねえテル、テルは私がどうして泊まりに来たと思う?」

照「……」

淡「私の気持ちはテルに伝えたけど、テルの気持ちはまだ聞いてないから」

淡「言ってくれるかなって思って……来ちゃったんだよ」

照「私の……気持ち」

淡「もちろん、その、なんとなくは伝わってるけど///」カア

淡「勘違いでなければ」チラ

照「……伝わってるならそれでいいじゃない。これ以上なにを」

淡「ちゃんと聞きたいの!」

照「淡……」


淡「ううん、言葉だけじゃ足りない」スッ

照「淡、ダメだって」

淡「どうして? 私こんなんじゃ不安だよ。テルとの何か……何か欲しいよっ」ギュッ

照「あ、あわい」

淡「何で逃げるの!? 私はもうすれ違ったりしたくないの! テルの気持ち知りたい!」ギュウ

照「私はっ…」

淡「うん、聞かせて?」


照「……………私は怖い」

淡「怖い…? 私は私だよ? いくら似ててもその子じゃない。テルだってそう…」

照「違う。失うのが怖いんだよ」

淡「え…?」

照「また大切な人を失うのが怖いんだっ」


照「ずっと変わらないと思ってた。ずっと一緒だと思ってた。当たり前の日常だと思ってた」

照「でも違ったんだよっ。当たり前な事なんて無かった!」

照「私は何も気付かず何も考えないで全てを無駄にっ……あの子に何もしてあげられなかった!!」

淡「テル…」

照「……淡が私の中で大きくなればなるほど……私は怖い……」

淡「……私はいなくならないよ? ずっとテルのそばにいるよ?」

照「……」


淡「私さ、最初テルのこと大嫌いだったんだ。なにコイツって感じ。無愛想だし、何より麻雀で勝てなかったから」

淡「でもね、嫌いなはずなのに何でかいつも頭の中テルでいっぱいだったんだよね」


淡「私それ、嫌いだからだと思ってたけど……たぶん、きっとね……最初から好きだったんだ」

淡「誰かを好きになった事なんてなかったから気付くまで時間かかっちゃった」エヘ

淡「好きだって気付いてからも大変だったよ。テルには何度泣かされたか…」

照「ごめん……」

淡「でも……それでも好きだったな。変わらずずっと好きだった」

照「……」


スッ

淡「好き。私テルが好き。大好きだよ」ギュッ

照「淡……」

淡「こんなに好きなんだもん。テルをひとりになんて絶対しない。………ずっとそばにいる」ギュウウ


照「……」

淡「テルぅ…」プルプル

ギュウ

照(……苦しい……でも……ああ…あったかいな)

照(誰かに抱き締められるのってこんなにあたたかくて安らぐものなんだ。忘れてた……)

照(私もう……いいのかな。ねえ、どう思う?)ポロ

淡「……テルまた泣いてる。意外と泣き虫なんだ」フフッ

照「泣いてない」グシグシ


照「淡、わたし淡が好きだよ」

淡「えっ…」

照「私も……ずっと好きだった」

照「ずっと淡が好きでした」


淡「……」ポカン

照「淡?」

淡「はっ!あ、え、やっ//」カアッ

淡「いや、あの、その、まさかテルにす、すす好きってそんなハッキリ//」アセアセ

淡「言わ、い、言ってもらえると思ってなかったから//」アセアセ

照「……」


淡「だ、だから、私っ私」アセアセ

照「ねえ淡」

淡「な、なに? テ、んむ!?」

チュウ

照「ん……ぷは」

淡「っぷはあ!はあっはあっはあっ…ふえぇ?」ドキドキ

照「ごめんキスしちゃった」

淡「キスしちゃった……って、そんな、可愛く、言われても」ドキドキ

照「もう一回する」スッ

淡「っ!? ちょ、ちょっと待ったあああ!!」ババッ


照「なに?」

淡「あ、その顔可愛い。じゃなくて!」

淡「急っ! 急すぎる! 加速し過ぎ! 無茶な! そんな無茶なっ!!」ムハー

照「無茶? よく分からないけど嫌だったって事?」

淡「嫌な訳ないよおおお!違うのおおおお!ワンクッション欲しかっただけなのおおおお!!」

照「……今まで我慢してたから。でもそうか、うん、ごめんね」

淡「あ、ああテルそんなシュンとしないで……私頑張る! 頑張るよ!」

照「そう? なら貰ってもいい?」

淡「ん? なにを?」

照「 淡 」

淡「ぐはああっ」ブシュ

照「わあ。大丈夫? 鼻血が噴水のようだ」ティッシュティッシュ



淡(薄れゆく意識の中……私は気付いた)

淡(レディースコミックによる情操教育の大切さを)



ーーーーーー冬



淡「さっむー!」ブルッ

モブA「今夜降るかもだってー、雪」

淡「ふーん。じゃあホワイトクリスマスになるかもかぁ」

モブA「大星さんはやっぱりイブはデートだよね?」

淡「へっ!? ど、どどどどどうかなー」アセアセ

モブA「純粋で可愛いなあ」

淡「むうー。そ、そっちこそどうなの? うまくいってるわけ?」

モブA「おかげさまで。すごく優しくしてもらってるよ」

淡「そっか。ま、あの先輩なら大丈夫かー。麻雀部次期部長だしね」


モブA「白糸台麻雀部の部長だなんてきっと大変だと思うからさ、私も頑張んなくちゃ」

淡「あんたなら大丈夫! ちゃんと支えてあげられると思うよ」

モブA「大星さん…」

淡「えへへ。…あ、いたいたテルー!」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



淡(なんだかんだの末、テルと両想いになれて晴れてお付き合いする事になり今に至りますです)

淡(それがまあ〜色々悩みは尽きない訳で)

淡(何が大変かって、テルはやっぱりテルだーって感じ。なんて言えばいいのか、口ではうまく伝えらんないなぁ)

淡(あ、もちろん毎日ラブラブチュッチュッなのは否定の余地皆無だけど!)テレ


淡「あれ、テルそれ何?」

照「これ? ああ、さっき後輩の子にもらって。中に手紙も入ってるらしい」

淡「 は 」ピシ

照「う、なんか悪寒が。風邪かもしれない早く帰ろう」ゾク

淡「そうだね……早く帰ろうテル……」ゴゴゴ

照「んんん、今度は殺気を感じる。悪寒に殺気……嫌な予感しかしない。何故」ゾクゾク

淡「気のせい気のせい」ゴゴゴゴゴ






終わり



終わりです。

照淡好き過ぎて長くなってしまいました。
最初から最後まで読んでくれた方ありがとうございます。

携帯で書きためせず投下しているため、長くなると書くのが大変です。

ですので、おまけを書くにあたって、あらためてスレを立てようと思います。

ではお疲れ様でした。


あ、書き忘れていました。

注意事項で、「エロあり」と掲げていたにも関わらずエロを抜いたのは、雰囲気的な判断です。
次スレのおまけではエロ描写書きますのであしからず。

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