キミ子「隣の席だからっていい気にならないで」(114)

姫子「えっ?」

キミ子「たまたま席が隣ってだけで有利だと思ったら大間違いだよ」

姫子「えっと、何の話?」

キミ子「とぼけたって駄目」

姫子「怒ってる?」

キミ子「怒ってない」

キミ子「宣戦布告だよ」

姫子「宣戦布告ってどういう事?」

キミ子「いつまでとぼけるの」

姫子「だって覚えが無いから」

キミ子「いい加減にして」

姫子「席が隣って何の・・・」

姫子「あ、唯の事?」

キミ子「・・・そう」

姫子「え?唯がどうしたの?」

キミ子なんていたっけ…

キミ子「姫子は唯の事どう思ってるの?」

姫子「え?そりゃ良い子だと思ってるけど」

キミ子「そういう事じゃないでしょ、もっとこう」

姫子「可愛いよね、小動物みたいで」

キミ子「好きなの?好きじゃないの?」

姫子「好きだよ」

キミ子「!」

姫子「いや友達としてね」

キミ子「嘘、異性として好きなんでしょ」

姫子「いやいや同姓でしょ」

キミ子「女の子として好きなんでしょ」

姫子「友達として好きなの」

キミ子「もっと言えば性欲を掻き立てられるんでしょ」

姫子「ちょっ、何言ってるのよ!」

キミ子「席が隣だからどうしたって言うの、私は出席番号が隣なんだから」

姫子「もう何が何だか分からないんだけど」

キミ子「とにかく」

とにかく続けて下さい

キミ子「隣の席って事は何のアドバンテージにもならないからね」

姫子「ちょっと落ちついて話そうよ」

キミ子「これが落ちついていられると思う?」

姫子「いいから落ちついて」

キミ子「今日はそれだけ言いに来たの」

キミ子「それじゃ」スタスタ

姫子「行っちゃった・・・」

姫子「わざわざバイト先のコンビニに来てまで何だったんだろう」

姫子「しかも深夜に・・・」

うちの母ちゃんかとおもた

翌日

姫子「あ、おはようキミ子」

キミ子「・・・」

姫子「昨日のあれは何だったの?ちゃんと説明してよ」

キミ子「よくライバルに気軽に話しかけられるね」

姫子「ライバルって」

キミ子「余裕ぶっちゃって」

姫子「はあ」

姫子(らちがあかない)

姫子「あ、今日お昼一緒に食べようか」

キミ子「!?」

姫子「それでちゃんと話そうよ」

キミ子「わかった、覚悟してね」

姫子(何を覚悟すればいいの?)

唯「姫子ちゃんおはよ~」

姫子「おはよう、唯」

姫子(あ、キミ子がこっち見てる)

キミ子(絶対許さない)

キミ子(たまたま席が隣ってだけで調子に乗っちゃって)

姫子(なんか睨まれてるよ・・・)

確認したらキミ子って唯の対角線上のはじっこの席かよ

昼休み

よしみ「姫子、お昼ご飯食べよ」

姫子「ごめんよしみ、ちょっと約束があって」

よしみ「あ、そうなんだ」

姫子「ごめんね!」

よしみ「ううん、気にしないで」

姫子(さてと)

響子「キミ子、お昼」

キミ子「ごめんちょっと用事が」

響子「そっか」

キミ子「ごめんね」

響子「ううん、行ってらっしゃい」

キミ子「うん」

姫子「初めてだね、一緒にご飯食べるの」

キミ子「そうだね」

姫子「それで昨日のは何だったの?」

キミ子「まだとぼけるんだ」

姫子「とぼけるとかじゃなくて、色々理解できないの」

キミ子「何が理解できないの、よ」

キミ子「遊んでそうな顔してるくせに」

姫子「な!何それ!」

キミ子「黙って男と付き合ってればいいのに」

姫子「なななな」

姫子「黙って聞いてればいい気になって!」

キミ子「何、やる気?」

姫子「やる気って」

姫子「キミ子ってそんなキャラだったんだ」

キミ子「恋は人を変えるんだよ」

姫子「恋」

キミ子「そう、恋」

逆裁かと思った

姫子「そっか、キミ子は唯に恋してるんだ」

キミ子「そうだよ」

姫子「女の子同士なのに?」

キミ子「私だってこんな事初めてだからよく分かんない」

姫子「ふうん」

キミ子「姫子も唯に恋してるんでしょ?」

姫子「ええ!?」

キミ子「はいおとぼけ入りました」

姫子「そこでなんで私なの?」

キミ子「見てれば分かるよ」

キミ子「いっつも隣の席でへらへらして」

姫子「してないよ!」

キミ子「はいはい、そうだね」

姫子(何を言っても信じてもらえない)

キミ子「男だけじゃなく女にも手を出すなんて」

姫子「まず私彼氏とかいないよ?」

キミ子「は?そんな格好して?」

姫子「そんな格好って」

キミ子「どう見たっているでしょ彼氏」

キミ子「頭の悪そうな彼氏が」

姫子「い!な!い!」

キミ子「嘘、絶対いる」

姫子「いないって!」

キミ子「じゃあ百歩譲って今はいないとしても」

姫子「譲らなくてもいないからね」

キミ子「いたことはあるでしょ」

姫子「それもないよ」

キミ子「はい絶対嘘」

キミ子「嘘つき」

姫子「嘘じゃないってば!」

キミ子「100%嘘じゃん」

姫子「ほんとだって!」

キミ子「そんな遊んでそうな格好して、誘ってるんでしょ」

姫子「なんでそんな事言うの」

キミ子「男が良いならわざわざ唯に手出さないでよ」

姫子「酷いよ・・・」

キミ子「・・・」

姫子「・・・」

キミ子「・・・ごめん」

姫子「・・・うん」

キミ子「・・・」

キミ子「じゃあ何?処女なの?」

姫子「なっ」

姫子「・・・そうだけど」

キミ子「そうなんだ」プッ

姫子「何よ」

キミ子「ちょっと見直した」

姫子「あんまり嬉しくないなあ」

姫子「キミ子はどうなのよ」

キミ子「私は純真な乙女だけど」

姫子「へえ」

キミ子「当然でしょ」

姫子「キミ子可愛いのにね」

キミ子「えっ」

キミ子「・・・嫌味?」

姫子「?」

キミ子「姫子の方がどう見ても可愛い」

姫子「えっ」

キミ子「自分より可愛くない子にそんな事言って優越感に浸ってるんだ」

姫子「違うよ、ほんとに可愛いと思ってる」

キミ子「嘘だ嘘だ」

姫子「ほんとだって、ほんとに可愛いよ」

キミ子「自分の方が可愛いと思ってるくせに」

姫子「そんなことない」

姫子「私だって自分の容姿に自信なんかないよ」

キミ子「嘘つき」

姫子「ほんと」

キミ子「・・・そんな事はどうでもいいよ」

姫子「・・・そうだね」

キミ子「唯だよ唯」

姫子「私はほんとに友達としてしか見てないよ」

キミ子「信じられない」

姫子「失礼だけど私だって信じられない」

キミ子「・・・」

姫子「女の子を好きになるなんて」

キミ子「私だって最初は自分の気持ちが信じられなかったよ」

キミ子「でも仕方ないじゃん」

姫子「響子の事とかはどう思ってるの?仲いいよね」

キミ子「響子は友達だよ」

姫子「恋愛感情は無いの?」

キミ子「無い」

姫子「それと同じだよ」

キミ子「・・・」

姫子「私も唯の事は友達として好きってだけ」

キミ子「・・・」

姫子「ほんとにほんとだから」

キミ子「わかった、とりあえず信じてあげる」

姫子「そもそも疑われた事自体が不思議だよ」

キミ子「だっていつも唯にデレデレしてるから」

姫子「してないよ」

キミ子「してる」

姫子「友達として仲良くしてるだけ」

キミ子「・・・まあいいよ、それで」

キミ子「じゃあ唯の事は狙ってないんだね」

姫子「うん」

キミ子「じゃあもし仮に、私と唯が付き合うのに協力してって言ったらどうする?」

姫子「え?」

キミ子「やっぱり自分も狙ってるから出来ない?」

姫子「あ、ああ出来るよ!」

キミ子「それで私と唯が付き合ってもいいの?後悔しない?」

姫子「しないよ」

姫子「女の子同士は不思議な感じだけど、応援するよ」

キミ子「・・・」

キミ子「ほんと?相談役のふりして抜け駆けしたりしない?」

姫子「そんなことしないってば」

キミ子「漫画とかでよくある展開でしょ」

姫子(漫画って)

キミ子「そういう展開が一番傷つくんだよね」

姫子「ほんとにしないってば」

キミ子「ううーん」

キミ子「・・・わかった」

出席番号となりじゃん。

姫子「じゃあこれから頑張って唯の事を口説くんだね」

キミ子「・・・そうだね」

姫子「安心して、ちゃんと協力するから」

キミ子「・・・」

姫子「ほんとに協力するって、頑張って!」

キミ子「・・・ありがと」

姫子「うん」

キミ子「・・・色々言ってごめん」

姫子「・・・うん、いいよ」

キミ子「ありがと」

姫子「二回目」

キミ子「・・・ふん」

姫子「ふふ」

姫子「戻ろっか」

キミ子「うん」

姫子「頑張ろうね」

キミ子「言われなくても頑張る」

姫子「あ、ちょっと元気になった」

キミ子「うるさいなあ」

姫子「とりあえずアドレス交換しようよ」

キミ子「ん」

姫子「赤外線送信!」ピピピ

キミ子「来た」

姫子「よろしくね」

キミ子「こちらこそ」

その夜

キミ子「姫子から電話だ」

キミ子「はい」ピ

姫子『やっほー』

キミ子「・・・」

姫子『・・・んん!』

姫子『とりあえず唯を落とす作戦だけど』

キミ子「うん」

姫子『明日休みだし直接作戦立てよっか』

キミ子「会うの?」

姫子『うん』

キミ子「唯じゃなくて姫子とか・・・」

姫子『何?せっかくキミ子のために』

キミ子「わかった、じゃあ明日ね」

姫子『なんだかなあ』

翌日

姫子「おはよ」

キミ子「うん」

姫子「さて、それじゃご飯でも行こうか」

キミ子「何が悲しくて姫子と出かけなきゃならないんだろう」

姫子「何か言った?」

キミ子「何も」

姫子「何食べる?」

キミ子「なんでもいいよ」

姫子「なんでもいいってのが一番困るんだよね」

姫子「じゃあここにしようか」

キミ子「MAXバーガーだ」

姫子「あんまりおしゃれな店分かんないからさ」

キミ子「私もそういうとこはよく分かんないから良かった」

姫子「じゃあ入ろう」

キミ子「ん」

紬「いらっしゃいませー」

紬「あら?」

姫子「あ、ムギ」

キミ子「ここでバイトしてたんだ」

紬「そうよ~」

紬「二人は何?デート?」キラキラ

姫子「違う違う」

キミ子「なんで姫子と」

姫子「いちいち噛みついてくるねえ」

キミ子「・・・ふふ」

紬(わ~なんか素敵!)

姫子「じゃあ私はチーズバーガーと・・・」

姫子「さて、じゃあ作戦会議だね」

キミ子「どうアプローチすればいいんだろう」

姫子「やっぱりデートとかじゃない?」

キミ子「うーん」

キミ子「私唯とあんまり話したことないんだよね」

姫子「確かに」

キミ子「どう話しかければいいんだろう」

姫子「唯って誰に対しても懐きやすいって言うか」

姫子「なんて話しかけても優しく接してくれるよ」

キミ子「うん」

キミ子「・・・そんなところが好き」

姫子「はいはい」

姫子「でも一筋縄じゃいかないよ」

キミ子「分かってる」

姫子「女の子同士って色んな障害がありそうだし」

キミ子「分かってる」

姫子「まず唯には女の子同士の恋愛を理解してもらわないと」

キミ子「ふんふん」

姫子「当然唯は現段階ではそんなの分かんないと思う」

キミ子「まあ確かに」

姫子「けいおん部とか和と特に仲良いみたいだけど」

姫子「それはあくまで友達として好きって事だよね」

キミ子「うん」

姫子「いくら仲良くなってもそれじゃ意味無い」

姫子「だからファーストコンタクトが大事だよ」

キミ子「つまりどういうこと?」

姫子「最初の一手が重要だって事」

姫子「その一手で友達として仲良くなっていくか」

姫子「友達としてじゃない、いつもとちょっと違うって思わせるか」

キミ子「?」

姫子「いつもと違えば、友達として以外に何か感情が芽生えるかも知れないでしょ」

姫子「その感情を恋に向かわせるんだよ」

キミ子「なるほど」

姫子「何かしないと女の子の事を恋愛対象としてなんて見ないからね」

キミ子「具体的には?」

姫子「それはちょっと分かんないけど」

キミ子「なにそれ」

姫子「とにかくインパクトだよ」

キミ子「インパクト・・・」

姫子「けいおん部のみんなとか和とは違う事をしてみたらいいんだよ」

キミ子「ふうん」

姫子「頑張ってね」

キミ子「やってみる」

姫子「そう言えばキミ子ってコーヒーブラックで飲むんだね」

キミ子「うん」

姫子「私は無理だな、苦くて」

キミ子「見かけによらずお子様だね」

姫子「そうだよー」

キミ子「純潔守ってるしね」

姫子「そ、それはもう忘れてよ!」

キミ子「ふふ、絶対忘れない」

姫子「キミ子もそうなのに・・・」

キミ子「私は誇りに思ってるもん」

姫子「それじゃまたね」

キミ子「うん、またね」

姫子(なんだかんだで楽しかったな)

キミ子(インパクト、インパクト)

その夜

キミ子「インパクトかあ」

キミ子「どうすればいいのかな」

キミ子「姫子ももうちょっと考えてよ」

キミ子「まったく」

学校

姫子「いい作戦思いついた?」

キミ子「全然」

姫子「うーん」

キミ子「・・・」

姫子「じゃあいきなり抱きついてみようか」

キミ子「えっ」

姫子「インパクト!」

キミ子「変態だよただの」

姫子「いいからいいから」

姫子「唯、ちょっといい?」

唯「なあに?」

姫子「ちょっとこっち来て」

唯「うん!」

キミ子(どうするんだろう)

姫子(キミ子も来て!)

キミ子(来て、って言ってるのかな?)トコトコ

唯(なんだろう)

唯「なあに姫子ちゃん、あとキミ子ちゃん」

姫子「キミ子が話あるんだってさ」

唯「え?キミ子ちゃんが?」

キミ子「う、うん」

唯「なになに~?」

キミ子(うわ、近い)カアアア

姫子(顔赤っ)

キミ子「えーっと」

唯「うん!」

姫子(抱きついちゃえ!)

キミ子「ゆ、唯!」ガバッ

唯「わっ」

キミ子(どうしよ、抱きついちゃった)

姫子(よし!これで唯も・・・)

唯「抱きつかれちゃったよ~」ギュウ

キミ子(唯も抱きついてきた!)

姫子(ぐっ、さすが唯!)

唯「えへへ~」ギュウ

キミ子(どうするの!?)ギュウ

姫子(えっと、どうしよ)

唯「キミ子ちゃんいい匂いだね~」ギュウ

キミ子(うう)カアアア

姫子(唯手ごわ過ぎ!)

キミ子「えっと、唯?」

唯「ん?」

キミ子「あ、あの今度の休み暇?」

唯「うん、多分」

姫子(お、いった)

キミ子「どっか遊びに行かない?」

唯「いいよ!」

姫子(おお!)

唯「姫子ちゃんも?」

姫子「ああ、私は用事があるから無理なの」

キミ子(ナイス姫子!)

唯「そっかあ」

唯「他には誰か行くの?」

キミ子「ふふふ、二人で行かない?」

唯「いいよ!」

姫子(よしっ)

キミ子(やった!)

唯「初めてだね、一緒に出かけるの」

キミ子「うん・・・嫌だった?」

唯「全然!なんか嬉しいな!」

キミ子「よかった・・・」

姫子(良かった良かった)

唯「じゃあ連絡先交換しよ~」

キミ子「う、うん」

一人くらいロムってると信じる
晩御飯食べに行く

あ、はい

見てるから早く

落ちる

落ちる

落ちる

再開します

映画のライブの時一度も笑顔にならなかったキミ子ちゃんマジかわいい

全然レスがついてないってことは、分かるよな>>1

唯「それじゃ決まったら教えてね」

キミ子「うん」

唯「じゃあ私は戻るね~」

キミ子「・・・」

姫子「やったじゃん」

キミ子「・・・うん」

姫子「どうしたの?」

キミ子「インパクト足りなかったよね?」

姫子「・・・」

キミ子「このままだと友達として・・・」

姫子「ここからが本番だって」

キミ子「そうだといいけど」

律「お、唯どこ行ってたんだ?」

唯「姫子ちゃんとキミ子ちゃんのとこだよ」

澪「なんか珍しい組み合わせだな」

紬(まあ、やっぱり姫子ちゃんとキミ子ちゃんって・・・)ドキドキ

唯「いいでしょ!」

律「いや何がいいんだ」

澪「でもちょっと楽しそう」

唯「えへへ」



キミ子「唯になんて連絡しよう」

キミ子「とりあえず姫子に電話しよっかな」ピピピ

姫子『はい』

キミ子「唯になんて言えばいいのかな?」

姫子『普通でいいと思うけど』

キミ子「普通じゃ友達になっちゃうよ」

姫子『そっか』

姫子『とりあえずデートの日時だけ伝えなよ』

キミ子「唯はデートだって思ってくれてるのかな」

姫子『大丈夫だって、そのうち恋が芽生えるよ』

キミ子「・・・めんどくさくて早く電話終わらせようとしてるでしょ」

姫子『・・・そんな事ないよ』

キミ子「ほんと?」

姫子『ただ、今深夜2:00なんだって事は分かってほしいな』

キミ子「うん」

姫子『今唯に電話とかしちゃダメだからね』

キミ子「当然でしょ」

姫子『・・・』

学校

姫子「どうなったの?」

キミ子「とりあえず日曜日に一緒に買い物に行くことになったよ」

姫子「良かったね」

キミ子「うん、それで練習したいから一緒に来て」

姫子「練習?」

キミ子「ぶっつけ本番は怖いから」

キミ子「姫子で練習させてよ」

姫子「ええ~」

キミ子「協力してくれるんでしょ?」

姫子「そうだけど」

キミ子「じゃあ決まりだね」

姫子「強引だね」

キミ子「まあね」

姫子「その強引さを唯の時も発揮すればいい感じなのに」

キミ子「そんなことしたら嫌われちゃうかも」

姫子「私には嫌われてもいいの?」

キミ子「え」

キミ子「・・・」

姫子「冗談だよ」

キミ子「・・・うん」

姫子「ごめんごめん」

姫子「え、えっと練習だっけ?いつにする?」

キミ子「・・・」

姫子「嫌いになんかならないってば、ね?」

キミ子「・・・うん」

姫子「ほら練習するんでしょ?」

キミ子「する」

姫子「じゃあほら、元気出して」

キミ子「今日これから行く」

姫子「今日?」

キミ子「行くよ」

姫子「あ、ちょっと」

商店街

キミ子「今から予定してるデートコース回るから」

姫子「うん」

キミ子「ちゃんと着いてきてね」

姫子「はいはい」

キミ子「いろいろ意見聞くからね」

姫子「うん」

キミ子「じゃあまずは服屋さんから」

姫子「キミ子ちょっと休もうよ」

キミ子「駄目、次は雑貨屋さん」

姫子「も~こんなに連れまわされたら疲れちゃうよ」

姫子「唯もきっと疲れると思うよ?」

キミ子「・・・そうかな?」

姫子「そうだよ、もっと相手の事も考えなきゃ」

キミ子「相手の事」

姫子「唯の事楽しませようとしてるのは分かるけどさ」

姫子「空回りしちゃうこともあるよ」

キミ子「・・・」

姫子「キミ子は唯の事好きだって言ってたけど」

姫子「だったらちゃんと唯の事見て、唯の事考えないと」

キミ子「・・・」

姫子「キミ子は唯を通して自分を見てるんじゃないかな」

キミ子「どういうこと?」

姫子「きっと初めての女の子への恋で、自分の事ばっかり考えちゃってるんだよ」

キミ子「自分の事・・・」

姫子「自分がしてあげたい事を押しつけるんじゃなくて、相手が望む事をしてあげなきゃ」

キミ子「難しいよ」

姫子「私もよく分かんないや、これも何かの受け売りだし」

姫子「誰かと付き合ったこともないし」

キミ子「自分の気持ちがよく分からなくなってきた」

姫子「恋ってそんなもんだよ、きっと」

キミ子「姫子のくせに」

姫子「何さ」

キミ子「・・・一応参考になった」

姫子「そ、お役に立てて嬉しい」

キミ子「まあ今日はそのための練習だしね」

キミ子「予定してたとこ全部回るから」

姫子「ええ~・・・」

キミ子「ほら行くよ」

姫子「はいはい」

そして日曜日

キミ子「どうかなこの服」

姫子「うん、可愛いよ」

キミ子「ドキドキしてきた」

姫子「大丈夫だって、三回も練習しに行ったでしょ」

キミ子「うん」

姫子「ほんと感謝してほしい」

キミ子「してる」

姫子「えっ、あ、そう」

キミ子「じゃあ行ってくるね」

姫子「頑張ってね」

キミ子「うん」

姫子「・・・」

姫子「頑張って、キミ子」

唯「あ、キミ子ちゃん」

キミ子「おはよう、唯」

唯「今日はどこ行くの?」

キミ子「えっとえっと、とりあえず可愛い服置いてる店があるから」

唯「ほんと?それじゃ行こう!」

キミ子「うん」

キミ子(緊張するよ~)

キミ子(どうしよ姫子・・・)

キミ子(っていないんだった)

服屋

唯「この服可愛いね!」

キミ子「似合うよ唯」

唯「キミ子ちゃんはこれとか似合うよ」

キミ子「ちょっと子供っぽくないかな」

唯「全然!着てみてよ」

キミ子「え~恥ずかしいよ~」

唯「いいからいいから」

雑貨屋

唯「これどうかな?」

キミ子「可愛いよ」

唯「こっちは?」

キミ子「唯に似合う」

唯「これとか!」

キミ子「うんうん」

キミ子(唯に合わせ過ぎかな?どうなんだろう)

キミ子(ああ分かんないよ~)

楽器屋

唯「このお店ムギちゃんのお家が経営してるんだって」

キミ子「えっ!?そうなの?」

唯「すごいよね~」

キミ子「す、すごいね」

キミ子(やっぱりムギってお嬢様なんだ)

唯「ここでギー太買ったんだよ~」

キミ子「そうだったんだ」

唯「色々お世話になってるんだ」

キミ子「へえ」

ファミレス

唯「いちごパフェおいしい~」

キミ子「おいしそうだね」

キミ子(唯可愛いなあ)

唯「キミ子ちゃんも食べる?」

キミ子「え?」

唯「はい、あ~ん」

キミ子「ええ!?」

キミ子(間接キス・・・!いいの!?)

キミ子「あ、あ~ん」

唯「はい」

キミ子「・・・」モグモグ

唯「おいしい?」

キミ子「うん」ドキドキ

キミ子(幸せ・・・)

唯「は~楽しかった!」

キミ子「うん」

唯「今日はいっぱい遊んだね!」

キミ子「そうだね」

唯「初めてキミ子ちゃんと遊んだけど、すごく面白かったよ!」

キミ子「そうかな?」

唯「うん、今日はありがとうね誘ってくれて」

キミ子「そんなこと、こっちこそ来てくれてありがとう」

唯「いやいやこちらこそ」

唯「それじゃそろそろ帰ろっか」

キミ子「え?」

キミ子(どうしよう、このまま帰っていいの?)

唯「どうしたの?まだ行くとこあるの?」

キミ子「えっと」

キミ子(どうしようどうしよう)

キミ子(インパクトがないと意識してもらえない)

キミ子(実際今日のデートで唯には完全に友達だと思われた)

キミ子(それじゃいつまで経っても友達のまま)

キミ子(何か手を打たないと)

唯「キミ子ちゃん?」

キミ子「あ、えっと!」

キミ子「唯は彼氏とかいるの?」

キミ子(そうじゃなくて!)

唯「彼氏?」

唯「いないよ?」

キミ子「そ、そっか」

キミ子(まあ彼氏がいたらそこで終わりだからね、これはこれで)

キミ子「じゃあ彼氏とかほしいと思う?」

唯「え~どうしたのいきなり」

キミ子「え?いやどうなのかな~って思って」

唯「う~ん」

唯「とりあえず今はいらないや」

キミ子「今は?」

唯「うん、今は」

キミ子「なんで?」

唯「えっとね」

唯「けいおん部の皆とか和ちゃんとか」

唯「クラスの皆とかキミ子ちゃんとか」

唯「女の子同士の方が楽しいからかな!」

キミ子「女の子同士」

唯「うん、だから今は彼氏とかはいらないや」

キミ子「そっか・・・」

キミ子「じゃあ女の子と恋愛しないの?」

唯「ええ!?」

キミ子(あ・・・)

great

唯「今は彼氏とかいらないけど、大きくなったら男の人と付き合うんじゃないかな?」

唯「普通に結婚して、お母さんになって」

唯「だから恋愛って男の人とするものでしょ?」

キミ子「・・・」

唯「どうして女の子と恋愛するの?」

キミ子「・・・」

唯「びっくりしたよ、も~キミ子ちゃんてば」

キミ子「・・・」

唯「キミ子ちゃん?」

キミ子(やっぱり駄目だったか・・・)

―――頑張ってね

キミ子(いや、もうちょっと頑張ってみようかな)

キミ子「でもそういうのもあると思うよ?女の子同士で結婚する国もあるし」

唯「私はそうは思わないな~」

唯「やっぱり普通に恋愛すると思うけど」

キミ子(どうすればいいのよ)

キミ子(助けて姫子)

唯「どうしたの?具合でも悪いの?」

キミ子「唯」

唯「ん?」

キミ子「・・・」

キミ子「私は唯が好きなの」

唯「私も好きだよ~」

キミ子「そうじゃなくて!」

唯「え?好きじゃないの?」

キミ子「そうでもなくて!」

キミ子「女の子同士の恋愛って意味で好きなの!」

唯「・・・ええ!?」

キミ子「だから私と付き合って!」

唯「そ、そんな事言われても・・・」

キミ子「やっぱりおかしい?こんなの」

唯「えっと」

キミ子「気持ち悪い?」

唯「あのね、気持ち悪いとかおかしいとかじゃないんだけど」

唯「私はそういう風には思えないっていうか」

唯「女の子同士の恋愛は私には出来ないって言うか・・・」

キミ子「・・・」

dkdk

唯「キミ子ちゃんの考え方をあれこれ言う気はないけど」

唯「私にはちょっと無理かも・・・」

キミ子(駄目だった)

キミ子(やっぱり駄目だったよ)

キミ子(私の恋もここまでか・・・)

キミ子(・・・)

キミ子(あ、私今)

キミ子(自分の事ばっかり考えてる)

キミ子(姫子が言ってたっけ、自分の事じゃなくて相手の事を考えろって)

キミ子(私は今、自分の思いを一方的に伝えた)

キミ子(そして振られて勝手に落ち込んでる)

キミ子(じゃあ唯は?唯はどう?)

キミ子(女の子同士の恋愛を理解できないのにいきなり告白されて)

キミ子(断るのだってきっと勇気がいるし、嫌な気持ちにもなる)

キミ子(せっかく仲良くなれたクラスメイトとこんな事になって)

キミ子(唯だってきっとつらいよね)

キミ子(ううん、今日覚悟してきた私より、いきなりこんな事になった唯の方がずっとつらいよ)

唯「だからあのね・・・」

キミ子「・・・なんちゃって」

唯「え?」

キミ子「どっきりでした!」

唯「え?どっきり?」

キミ子「そ!唯っていつもふわふわしてるからさ、ちょっとからかってやろうと思って」

唯「え、え?」

キミ子「こうでもしないと唯の真剣な顔見れないと思ってさ!ごめんね!」

唯「な、なんだそうだったんだ」

キミ子「うん!迫真の演技だったでしょ!」

唯「ほんとだよ~びっくりした~」

キミ子「ごめんね、ちょっといたずらの度が過ぎたよ」

唯「もう、どうしようかと思ったよ」

キミ子「じゃあ今日は解散にしよっか!」

唯「そうだね、キミ子ちゃんって意外とお茶目だって分かって良かったよ」

キミ子「そっか」

唯「それじゃあまたね~」

キミ子「うん、ばいばーい」

キミ子「・・・」

キミ子「・・・」ボロボロ

キミ子「・・・」ボロボロ

キミ子「・・・帰ろっかな」ボロボロ

キミ子「・・・」ボロボロ

キミ子「唯に・・・」

キミ子「唯に嫌な思いさせないで済んで良かった・・・」

キミ子「・・・」

キミ子「・・・」トボトボ

姫子「や」

キミ子「姫子・・・」

姫子「うん」

キミ子「なんでここにいるの」

姫子「ちょうど帰りかなって思ってね」

キミ子「・・・」

姫子「駄目だった・・・みたいだね」

キミ子「・・・」

姫子「話してよ、楽になるよ?」

キミ子「・・・」

紫煙

キミ子「・・・って訳で」

姫子「そっか」

キミ子「なに?何なの?」

姫子「キミ子」

キミ子「何」

姫子「よく頑張ったよ」ギュ

キミ子「な、なに」

姫子「・・・」ギュウ

キミ子「・・・」

姫子「よく頑張ったよ、偉い」ギュウ

キミ子「ちょっとやめてよ」

姫子「やめていいの?」ギュウ

キミ子「・・・」

キミ子「・・・」ギュ

キミ子(こんな)

キミ子(ちょっと抱きしめられたからって何どきどきしてんだろ)

キミ子(姫子だよ?)

キミ子(姫子なのに・・・)

姫子「キミ子・・・」ギュウ

キミ子「う・・・うええん・・・」ギュウウ

姫子「よしよし」ギュウウ

キミ子「うえええええん・・・」ギュウウウ

姫子「唯の事は残念だったけどさ」

姫子「キミ子はこんなに良い子なんだから大丈夫」

姫子「きっと素敵な恋愛が出来るよ」

キミ子「・・・馬鹿」

姫子「元気出た?」

キミ子「ちょっとだけ」

姫子「そっか」

キミ子(私って節操ないなあ)

キミ子(唯に振られて、ちょっと優しくされたからって)

キミ子(なんで姫子の事ちょっと好きになってるんだろ)

姫子「そのうちまた好きな人が出来るって」

キミ子「・・・」

キミ子(姫子・・・)

キミ子(考えてみると)

キミ子(誤解なのにあんな喧嘩腰の私の話を聞いてくれて)

キミ子(いつも私に付き合ってくれて)

キミ子(今だって私の事待ってた)

キミ子(失恋した愚痴聞いて、慰めてくれて)

キミ子(抱きしめられて・・・)

キミ子(ちょっとどころじゃない、もう姫子の事こんなに好きになってる)

キミ子(とんだ尻軽女だよ)

キミ子「ねえ姫子」

姫子「ん?」

キミ子「恋愛は最初のインパクトが大事なんだよね」

姫子「あ、そうだね」

キミ子「抱きしめるくらいじゃ弱かったわけだけど」

姫子「うーん、どのくらいの事すれば」

姫子「ん!?」チュ

キミ子「・・・」チュ

姫子「!?」

キミ子「・・・このくらいでどうかな」

姫子「え?キミ子?」

キミ子「今度は」

キミ子「今度こそ、成功させてみせるから」

キミ子「この恋は絶対諦めないよ!」タタタ

姫子「・・・」ドキドキ

姫子「なんなのよ・・・」ドキドキ

・・・・・・・・・

学校

キミ子「おはよう姫子」

姫子「あ、おはよ」

キミ子「どうしたの?目逸らして」

姫子「だ、だって」

姫子「本気なの・・・?」

キミ子「本気だよ、今度こそ落としてみせるから」

姫子「馬鹿じゃないの・・・」ドキドキ

キミ子(相談役に恋する事ってあるんだね、やっぱり)

キミ子「ほら行くよ」

姫子「あ、待ってよ」

唯「おはよ~」

キミ子「唯、おはよう」

唯「昨日は楽しかったね!」

キミ子「うん!」

唯「あ、姫子ちゃんもおはよう!」

姫子「おはよ」

キミ子「あ、唯」

唯「ん?」

キミ子「隣の席だからっていい気にならないでよ」

唯「え?」

姫子「え?」

キミ子「姫子は私のものなんだから!」

おしまい

巻上キミ子
自分へのコンプレックスが強く、色が白くて足が細い人の隣にはなるべく行かないようにしている。

立花姫子
ソフトボール部所属。今時の女子高生らしい挙動だが、礼儀正しく人情に厚い。
コンビニでアルバイトをしている。隣の席の唯がなついている。


これスレタイが全く人を寄せ付けないな
基本的に元ネタ知らないSSスレって開かないし

キミコSSは初めて見た乙

しかもキミ子だからな
せめて姫子とかがスレタイに入ってればけいおんSSだって分かるのに

寝る前に良いものを見ました


これがけいおんSSだと分かる奴がどれだけいるのだろうか

スレタイからにじみ出る媚びない姿勢

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