まどか「寺生まれのTさん」(201)

昨日は落としたけど今日はちゃんと完走します

とりあえず昨日投下した分から

あれは、私が友人のSとCDショップに行った時のことです。
突然、私の頭に「助けて…助けて…」という声が聞こえてきました。
私とSはその声に釣られてCDショップの裏の方に行きました。

いつの間にか、私達は見たことのない気味の悪い空間にいました。
そして、気付いたら気味の悪い怪物に囲まれていました。
もう駄目だ、そう思った瞬間、

「危なかったな、もう大丈夫だ」

声とともに、気味の悪い生物が蹴散らされました。

寺生まれのTさんだ。
「さて、久々に力を使うなあ…腕がなまってねえといいがな」

「破ァ!」

その瞬間、白い爆発が何度も起こり、たちまち怪物はいなくなりました。

Tさんは生まれつき霊感が強く、今までも何度も悪霊を祓ってきたそうです。
やっぱり寺生まれってすごい、私はそう思いました。

???「あら、確かにこの辺から使い間の気配がしたのだけど…」

T「誰だ?…って、巴じゃないか。ここは危ないぞ?」

マミ「それはこっちの台詞なんだけど…。あなたたち、今妙なやつらに襲われなかった?」

T「ああ、襲われた。奴らのことを何か知ってるのか?」

マミ「襲われたって…。よく無事だったわね」

T「まあ、あんなのは慣れっこだからな」

まどか「あ、あの…あなたは、誰ですか?」

マミ「私は巴マミ。あなたたちと同じ、見滝原中の3年よ」

マミ「そして、魔法少女と呼ばれる存在よ。あなたたちもキュゥべえに選ばれたなら、話しておくべきね」


???(くっ…またまどかと巴マミの接触を許してしまった…。それにあの謎の男は一体…?)

QB「魔法少女が希望から生まれる存在だとしたら、魔女は呪いから生まれる存在だ」

マミ「私達は、なんでも1つ願いをかなえる代わりに、その魔女やその使い間達を倒しているのよ」

さやか「すごい!なんでも願いがかなうなんて!億万長者とか、不老不死とか!?」

マミ「ええ。そして、これが私のソウルジェム」

T(…!?これはっ…まさしく、人間の…)

マミ「?どうしたのT君?」

T「…いや、なんでもない」

T(巴はこのことを知らないようだな。…言うのはタイミングを見た方がいいか)

T(このキュゥべえと名乗る謎の生き物…いったい何者なんだ?)

さやか「魔法少女体験コース?」

マミ「そうよ。実際になる前に何度か私の戦いを見てみない?」

T「おいおい…あんなのに一般人を巻き込むのは危ないんじゃないか?」

マミ「私が守るから大丈夫よ。…まあ、本人たちが嫌って言うなら、もちろん取りやめるけど」

さやか「私は行きますっ!まどかは?」

まどか「うーん、じゃあ、私も行こうかな…」

T(魔法少女と魔女、そしてソウルジェム…なーんか嫌なにおいがするぜ)

???「待ちなさい」

T「ん?誰だい君。こんな時間に出歩くのは危ないよ?」

???「私は暁美ほむら。見滝原中学2年生よ」

ほむら「そして、これが私のソウルジェム」

T「ふーん。君も魔法少女とやらなのか」

T「で、何の用だい?悪霊に悩まされてるなら聞いてやるぜ?」

ほむら「そんなんじゃないわ。…いったいあなたは何者なの?」

ほむら「使い間と戦える人間なんて、普通じゃないわ」

T「俺はT。いたって、普通の人間なんだが…」

T「だいたい、何者だなんて聞きたいのはこっちだぜ」

T「例えば、ソウルジェムの正体とか」

ほむら(…!?)

T(彼女は知ってるみたいだな)

T「もしかして…君たちの魂だったりするんじゃない?」

ほむら「あなた…どうして…」

T「職業柄、こういうのには敏感なんだよ」

ほむら「巴マミには、絶対にこのことは言わないで」

T「分かってるよ。あのキュゥべえってやつは多くを語らないようだな」

ほむら「それから、まどかにもこれ以上関わらないで」

T「別にこれ以上関わる気はないんだが…。巴も自信満々に私が守るなんて言ってたし」

ほむら「…そう。ならいいわ」

そんなこんなで、私とSはMさんの魔法少女体験コースに参加することにしました。
SGを使って魔女の反応を探っていくと、とある廃ビルにたどりつきました。
その時です。

なんと、ビルの屋上から飛び降りようとしている人がいたんです。

「マミさん、あれ!」

「っ!?まずいっ!」

そして、遂にその人は飛び降りてしまいました。

「危ないっ!」

そこに、寺生まれのTさんがやってきました。
Tさんはお札でクッションを作ると、その人を優しくキャッチしました。

「大丈夫ですか?」

「…!?私は、なんであんなことを…!?」

「…あなたは、悪い夢を見てただけです。すぐ忘れてください」

「この辺は昔から自殺の名所だ。できるだけ近づかないようにしてください」

やっぱり寺生まれってすごい。私はそう思いました。

マミ「T君!なんでここに…」

T「別に。ただ、この辺から危ないにおいがしたんでね」

マミ「ここには、おそらく前の使い間達の本体がいるわ。危ないから離れて」

T「2人守れるなら3人守れるだろう?それに、俺なら襲われてもある程度は大丈夫だ」

T「俺もその魔女とやらには興味がある」

マミ「そう…。じゃあ、あなたも私に付いてきて。」

そして、魔女の結界の最深部に私達は着きました。

「うわっ、グロ…」

「これ以上は危ないわ。この結界の中にいてね」

そういうと、Mさんは魔女と戦いを始めました。
最初は一方的かと思いましたが、なんと、Mさんが魔女の触手に捕まってしまいました!!

(これはマズいか…!?)

「マミさんっ!!」

「ふふっ…大丈夫」

そういうと、銃の弾丸から無数のリボンが飛び出し、魔女を拘束しました。
そして、Mさんはリボンを使って魔女の触手から抜け出したのです。

「おしかったわね。でもこれで形勢逆転よ」

「ティロ・フィナーレ!!」

巨大な銃で、魔女を吹き飛ばしてしまいました。

人助けの為に頑張るMさんは、とっても素敵でした。
魔法少女ってすごい、私はそう思いました。
私もあんなふうに人の役に立てるなら、それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。

マミ「これがグリーフシード。魔女を倒すと、運が良ければ落とすのよ」

マミ「ほら、私のソウルジェム、昨日よりちょっと汚れてるでしょ?でも、これを当てると…」

さやか「わあっ!綺麗になった」

T(GS…か…。なんともSGに似た造りだ)

T(おいおい。キュゥべえってやつはそうとうのド外道のようだな)

マミ「まだ1回ぐらいなら使えるわよ?あなたもこれが目当てだったんでしょ?」

さやか「えっ?転校生…。その格好、アンタも魔法少女だったの!?」

ほむら「これはあなたが取ったものよ。あなたが使いなさい」

マミ「…」

ほむら「T。あなたはこれ以上まどかに関わらないでと言ったはずよ」

T「おいおい、俺は魔女の反応を追っていたらたまたま彼女らに会っただけだ」

ほむら「もう魔法少女と関わるのもやめて。あなたが関わっても、損するだけよ」

T「別に損得で動いてるわけじゃないよ。ただ興味があるから関わってるだけだ」

ほむら「…次はないわよ」

ほむら「それから、巴マミ」

ほむら「もう無関係の一般人を巻き込むのはやめて。魔法少女体験コースなんてやめなさい」

マミ「あら、彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ?もう無関係じゃないわ」

ほむら「…でも、危険なのには変わりないわ」

マミ「ライバルが増えるのが怖いのかしら?」

ほむら「そうじゃない。私はただ、彼女たちを不幸にさせたくないだけ」

ほむら「魔法少女なんて、進んでなるものじゃない。それは、あなたも分かっているはずよ」

まどか「消えた…?」

さやか「なーんか感じ悪い奴」

マミ「GSには限りがあるわ。だから、魔法少女同士で争いになることは少なくないの。」

マミ「あの子は、魔法少女が増えることを随分警戒していたようね」

T(…なるほど。暁美の本当の目的はGSなんかじゃない。ただ…)

T(これ以上哀れな犠牲者を増やしたくないだけなんだな)

QB「まずい!GSだ!孵化しかかってる!」

さやか「こんなところで孵化したら…!まどかっ!マミさんを呼んできて!」

まどか「…うん!分かった!」

ほむら「巴マミ。今回の魔女は訳が違うの。あなたは下がってて」

マミ「またあなた?もう会いたくないと言ったはずだけど」

ほむら「お願い。私の言うことを聞いて。…っ!?」

ほむら「ちょっと!こんなことをしてる場合じゃないのっ!!」

マミ「おとなしくしてれば帰りに解いてあげるわ」

まどか「私、魔法少女になれたら、もう願いは叶っちゃうんです!」

マミ「でもせっかくなんだから、願い事は考えておきなさい」

マミ「この戦いは終わるまでに決まらなかったら、キュゥべえに頼んで大きなケーキを出してもらいましょう!」

まどか「ええっ!?私、ケーキで魔法少女になっちゃうんですか!?」

マミ「それが嫌ならちゃんと願いを考えておいて!」

マミ(体が軽い…。こんな気持ちで戦うの、初めて…)

マミ(もう何も恐くない。だって私、もう1人ぼっちじゃないもの!)

マミ「大丈夫!?」

さやか「ははっ、何とか」

マミ「…って、あれ?どうしてT君が…」

T「知り合いのお見舞いに来たら、たまたま美樹と会ったんだ」

マミ「あなたもつくづく魔女と縁があるわね…」

QB「マミ!卵が孵るよ!」

今回の魔女は、前回と違って可愛いお人形みたいな魔女でした。
正直、Mさんが負けるわけがないと、私は安心しきっていました。

「今日という今日は速攻で決めさせてもらうわよ!」

Mさんは、リボンで魔女を拘束し、弾丸をどんどん撃ち込んで行きました。

「ティロ…フィナーレ!」

「やったぁ!」

Mさんの必殺技が決まり、魔女はやられたかのように見えました。
その瞬間、魔女は恐ろしい本体を現しました。

「……!?」

口をあんぐりと開け、Mさんに噛みつこうとする黒い影。
私はその瞬間、思わず目をつぶってしまいました。

「ちっ…。見た目で相手を判断したら、痛い目にあうぜ?…って、おいおい、気絶中かよ」

魔女の本体は、遠くに吹っ飛んでいました。
恐らく、Tさんの力によるものでしょう。

「破ァ!!」

Tさんはとびきり大きな光弾を作り、魔女にぶつけました。

「マジかよっ!?これ当てても死なないってか!?」

「…そうか。あっちの小さいのが本体か?」

そう言うやいなや、Tさんは小さめの光弾で人形の方を叩きました。
人形はあっけなく崩れ去りました。

「これでも駄目なら…アレを使うしかねえか!!」

Tさんはもう1度大きい光弾を作り、魔女にぶつけました。
炸裂する魔女の咆哮。魔女は倒れ、空間も元に戻りました。
寺生まれってすごい。私はそう思いました。

ほむら「巴マミっ!!」

T「ん?遅かったじゃないか。魔女ならもういないぞ」

ほむら「っ!またあなたは私達に関わって…」

さやか「ちょっと!そんな言い方はないんじゃない!?」

さやか「Tさんがいなきゃ、マミさんも、私達も死んでたんだよ!?」

マミ「…っ。あれ?私、魔女に食われて…」

まどか「目が覚めました、マミさん?Tさんが助けてくれたんですよ」

ほむら「巴マミっ!!」

T「ん?遅かったじゃないか。魔女ならもういないぞ」

ほむら「っ!またあなたは私達に関わって…」

さやか「ちょっと!そんな言い方はないんじゃない!?」

さやか「Tさんがいなきゃ、マミさんも、私達も死んでたんだよ!?」

マミ「…っ。あれ?私、魔女に食われて…」

まどか「目が覚めました、マミさん?Tさんが助けてくれたんですよ」

ごめんミス

ほむら「よかった…。生きてた…」

さやか「えっ!?ちょ、ちょっと、なんでいきなり泣き出して…」

マミ「ありがとう、T君。私、あなたがいなかったら…」

T「…なあ巴。やっぱりこんなことやめないか」

T「これは生ぬるいゲームじゃない。殺るか殺られるかの戦場だ」

T「遊び感覚で彼女らを連れてくるのは、これで最後にした方がいい」

マミ「…そうね。私、仲間ができるなんて思って、浮かれていたわ」

マミ「鹿目さん、美樹さん。今日は怖い思いをさせちゃったわね」

マミ「魔法少女体験コースは今日で終了よ。きれいさっぱり忘れてちょうだい」

さやか「マミさん…」

マミ「暁美さん。その…今日はごめんなさい」

マミ「でも…どうして私を助けようとしたの?それに、どうして私が今日死にそうになる事が分かったの?」

ほむら(真実を話すのはマズイ…。でも、ここで黙って立ち去るのもせっかくの関係を気付くチャンス無駄にしてしまう)

ほむら「それは、私の願いの力と関係があるわ」

マミ「ワルプルギスの夜…。あの最悪の魔女が、この町にやってくるのね」

ほむら「ええ。私はそいつを倒しこの町を救うため、時間を繰り返している」

ほむら(まずいところはぼかして説明したわ)

マミ「この前はひどいことを言っちゃったわね…。あなたの気持ちも考えずに」

ほむら「分かってくれればいいの。一緒にワルプルギスを倒しましょう」

恭介「もう聞きたくないんだよっ!!引けもしない曲なんて!!」

さやか「恭介!!」

さやか「…あるよ」

さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」

まどか「仁美ちゃんっ!?それは混ぜちゃダメっ!!」

仁美「どうして邪魔しますの…?いけませんわ、まどかさん」

まどか「ひっ…!?」

まどか(誰かっ…助けて!!)

さやか「まどかぁー!!」

まどか「さやかちゃん!?その格好…」

さやか「ふふん。見ててよ、まどか。魔法少女さやかちゃんの実力を!」

まどか「さやかちゃん、魔法少女になったの・・・?」

さやか「まあね。心境の変化ってやつ?」

まどか「そっか…。やっぱり、さやかちゃんは強いね」

まどか「私、この前のマミさんの戦いを見て…。今まで軽い気持ちで魔法少女になろうと思ってたけど」

まどか「これは命がけの戦いなんだって分かって、怖くなっちゃった」

まどか「卑怯だよね…。私、マミさんと約束したのに…」

さやか「まどかは気にしなくていいよ。あんなの見ちゃったら、仕方ないよ」

さやか「この町の平和は、マミさんと私がガンガン守っちゃうんだから!」

T「使い間の反応追ってたら隣町まで来ちまったぜ…。さっさと終わりにするかっ!」

T「破ァ!」

???「ちょっとちょっと、何やってんのさ」

???「そいつ使い間だよ?卵産む前の鶏絞めて…あれ?男?」

???「もしかして、食われてる最中だったか?いや、違うよな?」

T「?よく分からんが本職が来たなら俺の役目はもう終わりだな」

???「アンタ、魔法少女について知ってるのか?」

T「ああ。知っているが」

???「だったらあたしらにはGSが必要ってことも知ってるよな?」

???「使い間ってのは人食わせりゃ成長して魔女になるんだ」

???「ボランティアのつもりか知らねえが、あんまり狩られると困るんだよ」

T「ふーん…。残念だけど、君とは相容れそうにないな」

T「形のない悪から人を守るのが俺の仕事だしな」

???「そーかい。だったら、さっさとこの町から去ってくれ。次は話し合いじゃ済まさねえからな」

???「あたしは佐倉杏子だ。覚えときな」

T(魔法少女にもいろいろ種類があるようだな)

T(ん?この町にはもう1つ気になる反応があるな)

T(魔女ではない…。普通の悪霊でもないようだが…)

T(まあ、今日はもう遅い。明日にでもまた来るとしよう)

マミ「暁美さん。今日は新しい仲間を紹介するわ」

ほむら「美樹さやか。…なってしまったのね」

さやか「…戦いの運命を受け入れてでも、叶えたい願いがあった。それだけだよ」

ほむら「あなたは…。いや、もういいわ」

ほむら「なってしまったなら仕方ない。この世界で生きてく方法を教えてあげるわよ」

T(さて、昨日気になる反応があったのはこの変だが…)

T(どうやらあの壊れた教会のようだな)

T(これは…この教会の神父だった者か?いったい何があって…)

T「ほう…娘が不思議な力を使って…一家心中しようと火をつけて…」

???「あーっ!?てめえ、今日は何しに来やがった!?」」

T「なんだ、佐倉か」

T「何、俺は仕事をしに来ただけだ」

T「ここにゃ、ちょいと気になる霊がいるんでね」

杏子「え?霊?」

T「破ァ!!」

杏子「うわっ!?」

杏子「え?お…親父!?」

T(成程。この神父は佐倉の父親か。となると不思議な力ってのは…)

T「そいつはこの世に未練があって成仏できずにいたんだ。ちょっと話を聞いてやれ」

父「杏子…まずは謝らせてくれ」

父「お前はただ純粋に願っただけなのに…私は、それを魔女だなんだと罵って…」

父「あげくに、取り返しのつかないことをしてしまった…」

父「こんなバカな父親を…許してくれ…」

杏子「そんな…あれは、ただ私が出しゃばりすぎただけで…」

父「もう、何も言わなくていい…。お前には、辛い思いをさせたな…」

杏子「親父…」

杏子「あたしなら…気にしなくていい。今は、この力使って好き勝手やってるから、それなりに楽しいぜ?」

杏子「あたしは…アンタを恨んだりしてないぜ」

父「そうか…。ならば、最後にもう1つ」

父「もう、あの子とは会ってないのか?」

杏子「え?あの子?」

父「あの金髪の子だよ。彼女とは私は数回しか会ってないが、それでも分かる」

父「彼女は優しい心を持っていた…。彼女と一緒にいれば、お前も寂しくないだろう」

杏子「…マミのことか。もう、あいつとは終わったんだ。ちょっとした意見の食い違いってやつさ」

杏子「今更、どの面下げて会いに行けば…」

父「彼女と居る時のお前は、とても嬉しそうだったぞ?」

杏子「…え?」

父「親として最後のお節介だ。…もうお前に寂しい思いはさせたくないんだ」

父「もう1度…彼女に会いに行って、一緒にいてくれるよう頼め…」

父「じゃあな、杏子」

杏子「…親父!行かないでくれよ!」

父「何言ってるんだ、私はとっくに死んだ人間だ」

父「お前には、もっとふさわしい仲間がいるよ…」

父「有難う。そこの人。あなたがいなければ、私は永久に未練を持ったまま彷徨い、悪霊になっていただろう」

父「最後に娘と話す機会まで与えてくれて…。もう、思い残すことはない…」

杏子「親父ぃー!!」

T(成仏したか…)

T(…さて、帰るとするか)

杏子「待ってくれ」

杏子「あたしからも礼を言わせてくれ。アンタのお陰で、心のつかえが取れたよ」

T「礼はいらねえよ。彷徨える魂を成仏させるのも俺の仕事だ」

T「俺は、ただ仕事をこなしただけだ」

杏子「アンタは礼がいらなくても、あたしの気が済まねえんだよ」

杏子「つっても、たいしたもんはあげられねえが…これ、やるよ」

T「ロッキーか。…ありがたく貰っておくよ」

ほむら(佐倉杏子を探していたけど…どうしてあの男が風見野に?)

ほむら(まあ、いいわ。あの男とも、早めに話をつけておかないと)

ほむら「T。話があるの」

T「…何だい?」

ほむら「私の正体と目的についてよ」

T「へえ。ワルプルギスの夜。か…」

T「でも、それはお前の本当の目的じゃないな?」

ほむら「えっ?」

T「嘘をついてる顔してるぜ。…話してみなよ」

ほむら「……」

ほむら「あなたって、本当に鋭いわ。嫌気が差すくらい」

ほむら「いいわ。あなたには、真実を話す」

ほむら「ワルプルギスを倒せないと、まどかはそこで必ず契約してしまう」

ほむら「…そして、最悪の魔女になって、世界を滅ぼすわ」

T「だから俺に協力を仰いだのか」

ほむら「そうよ。今まで数え切れないほどの時間軸を見てきた。けど、あなたが現れたのは今回が初めて」

ほむら「あなたの力があれば、あいつを倒せる。だから、力を貸して」

T「いいよ。協力しよう。形のない悪から人を守るのが俺だ。それに…」

T「この町が破壊されるのを、黙ってみていられる訳がねえ」

ほむら「感謝するわ」

ほむら(これで…あと1人)

マミ「魔女と使い間が同時に発生してるわね…」

さやか「どうしよう、マミさん」

マミ「…美樹さん。もう1人でも戦えるわよね?」

マミ「二手に分かれましょう。私は魔女を、あなたは使い間をお願いね」

さやか「へへーん、分かりましたよ。もう1人でも大丈夫ってところ、見せてやりますよ!」

さやか「くっ…当たれよっ、このっ!」

さやか(こいつら…小さいくせに、なんてすばしっこいの…!」

さやか「くそぅ…。うわぁっ!?」

さやか(まずっ…!?このままじゃ、やられ)

???「はあー、だらしねえなーオイ」

さやか「!?」

???「この程度の使い間に苦戦してるんじゃ、生きていけねーぞ?」

???「…ちょいと手本を見せてやるよ」

さやか(すごい…)

杏子「ったく、次はもっと上手くやれよ?」

さやか「あ、えっと…。助けてくれて、ありがとう…」

杏子「礼なんていらねーよ。あたしはただ仕事をこなしただけだ」

マミ「美樹さーん、大丈夫…って、佐倉さん!?」

杏子「マミか。アンタまた新米育成でもしてんのか?」

マミ「佐倉さん、久しぶりね」

さやか「えっ?2人とも、知り合いなの?」

マミ「ええ。昔、いろいろあってね。今日は何の用なの?」

杏子「い、いや、えーっとだな、その…今日は…」

杏子「………ごめん!」

マミ「……え?」

杏子「あ、あの…あのときは、ごめん。…あのときは、ショックで何もかもどうでもよくなってた…」

杏子「この通りだ!あたしと…もう1度コンビを組んでくれ!」

マミ「…もう、何言ってるの?」

マミ「私は、ずっとあなたを待っていたわよ?」

マミ「お帰りなさい。佐倉さん」

杏子「マミ…」

マミ「でも、もうコンビじゃないわよ?」

杏子「えっ?」

マミ「この美樹さんもいるし、もう1人、新しい仲間がいるわ」

マミ「これからは、魔法少女カルテットよ!」

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ほむら「まだ、問題があるの」

T「何だい?」

ほむら「美樹さやかは、どの時間軸でも失恋し、それがきっかけでずるずる絶望して、魔女になる」

ほむら「…そして、それを見た巴マミは発狂して、私達のソウルジェムを砕きだす」

ほむら「どうにかして、美樹さやかの恋に決着をつけてもらわないと…」

T「なるほどね。でも、それは正直俺たちじゃどうしようもないと思うぞ?」

T「恋の悩みってのはデリケートだ。無理に他人が首を突っ込んでも、うまくはいかない」

T「そうだな…。軽く背中を押してやるくらいならいいんじゃねえか?」

仁美「私、ずっと前から、上条恭介君のこと、お慕いしていましたの」

さやか「へえー、仁美がねえー?恭介も隅に置けないなー」

仁美「さやかさんは、どうですの?」

さやか「…え?」

仁美「さやかさんは大切なお友達ですわ。抜け駆けも横取りもしたくない」

仁美「さやかさんは、自分の本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「仁美…」

仁美「私、明日上条君に告白します」

仁美「1日だけお待ちしますわ。…どうすべきか、考えてみてください」

さやか(どうしたらいいんだろう…私…)

まどか「さやかちゃん!」

さやか「まどか…?どうしてここに…」

まどか「えへへ…。ほむらちゃんにさやかちゃんの話を聞いてあげてって言われて…」

さやか「ほむらが…?」

さやか「…」

まどか「さやかちゃん、悩みがあるなら、相談に乗るよ?」

さやか「…ごめん。これは私の問題だから」

さやか「ちょっと、1人で考えさせて」

まどか「さやかちゃん…」

まどか「じゃあ、これだけは言わせて」

さやか「…何?」

まどか「難しく考えずに、素直な気持ちをぶつけてくればいいんだよ!」

まどか「いつものさやかちゃんらしくさ!」

まどか「何もしなかったら…絶対後悔しちゃうよ?」

まどか「じゃあね。がんばって!」

さやか(そうだよね。何もしなかったら、後悔しちゃうよね)

さやか(そうだよ。私あの時誓ったじゃん。後悔だけはしないって)

さやか(当たって砕けろだ!頑張れさやか!)

さやか「まどかー、仁美ー、おはよー!!」

まどか「もう、遅いよさやかちゃん。遅刻しちゃうよ?」

さやか「あはは、ごめんごめん」

仁美「ふふ。随分と嬉しそうですわね。さやかさん」

さやか「え?そ、そんなことないよ?」

仁美「もう…。隠さなくてもいいですよ」

仁美「私は、何も後悔してません」

仁美「さやかさんと上条君が幸せになってくれるなら、私はそれでいいです」

まどか(さやかちゃん、良かったね…)

さやか「仁美…」

さやか「よーし、じゃあ私が仁美の分まで幸せになっちゃうんだから!」

マミ(T君、ここ3日ずっと学校を休んでるわ…)

マミ(家の用事らしいけど、一体何をやってるのかしら…)

T「暁美、話がある」

ほむら「あなたの方から話なんて、珍しいわね。何かしら?」

T「今日、みんなに魔法少女の真実を話そうと思う」

ほむら「!?何を言ってるのあなた!?」

T「どうせ一生付きまとう問題なんだ。だったらさっさと言っちまった方がいい」

T「今なら信頼関係も築けてるんだ。信じてくれるさ」

ほむら「でも…!それを話したら、特に巴マミのショックが激しい!」

ほむら「美樹さやかも!ようやく難題を解決したのに、また逆戻りだわ!」

T「大丈夫だ。何の策もなしにこのことを話そうって言ってる訳じゃない」

T「こいつを見ろ」

ほむら「何?この古ぼけた紙は…」

T「こいつは俺が家の掃除をしたら見つけた紙だ。3日もかけて解読した」

T「それには、魔法少女を人間に戻す方法が書いてある」

ほむら「ちょっと、それは本当なの!?」

T「ああ、本当だ」

T「こいつは俺の親父が10年かけて練り上げた結界だ。魔法少女になった者の魂を元に戻すためのな」

T「その代わり、もう魔法少女としての力は使えなくなる」

T「…実はな、俺のお袋は、元魔法少女だったらしい」

ほむら「元…?」

T「そうだ。でも、今はソウルジェムはどこにもない。だから効果は保障する。ただ…」

ほむら「ただ?」

T「…これには、5種類の野草をすり潰して作る特殊な粉末が必要なんだが…」

T「もう、材料の5種類のうち3種類は絶滅しているんだ」

T「そして、家には材料が3人分しかない」

ほむら「そんな!!」

ほむら「……」

ほむら「…そう。分かったわ」

ほむら「じゃあ、私以外の3人を戻しなさい」

T「…悪いな。今の俺の力じゃ、これが精一杯なんだ。本当にごめん」

ほむら「いいわ。私はこの力にそこそこ感謝もしている」

ほむら「この力が無ければ、私は今も病弱なままでしょうし」

ほむら「…」

T「いつかお前も、絶対に戻す方法を見つけてやるからな」

ほむら「今日集まってもらったのは他でもないわ」

ほむら「魔法少女の…真実を伝えようにきたの」

さやか「魔法少女の真実?何それ?」

ほむら「まずはソウルジェムについて」

ほむら「さあ、話しなさいキュゥべえ」

ほむら「魔法少女の…真実を伝えようにきたの」

伝えように→伝えに

QB「暁美ほむら。いったいいつから、どこまで知っているんだい?」

ほむら「いいから話しなさい。あなたは嘘だけはつかないはずよね?」

QB「分かったよ。ソウルジェムは君たちの魂そのものだ」

ほむら「そして体を制御できるのはせいぜい半径100メートルほど。そうよね?」

さやか「ちょ…ちょっと!どういうことよそれ!?」

マミ「もう…暁美さんとキュゥべえ、組んで私達を騙してるのね?嫌な嘘はやめてよ…」

QB「嘘じゃないよマミ」

ほむら「その証拠に…私のソウルジェムを使って、見せてあげるわ」

ほむら「ソウルジェムと体が離れるとどうなるか。…T。お願い」

T「OK」

T「…これで信じてくれたかな?」

さやか「嘘でしょ…!?」

杏子「ふざけんな!!これじゃあたしたち、ゾンビにされたようなもんじゃねーか!?」

まどか「ひどいよ…こんなの、あんまりだよ…!」

マミ「私達を…騙していたのね…キュゥべえ…」

QB「騙す?聞かれなかったから答えなかっただけさ」

杏子「うるせえ!!そういうのを騙すって言うんだよ!!」

QB「全く…。人間は、真実を告げると決まって同じ反応をする」

QB「どうして人はそんなに魂のありかを気にするんだい?」

QB「わけがわからないよ」

さやか「うるさいっ!!早く…あたし達を戻しなさいよ!!」

QB「はあ…。僕としては親切でやってあげたんだけどなあ」

まどか「親切の…つもり…?何言ってるの…!」」

QB「魔女と戦うには人間の体は脆すぎる」

QB「その点、これなら心臓をつぶされても、体中の血を抜かれても、SGが無事なら元通りだ」

QB「便利だろう?」

まどか「そんな理由で…みんなをゾンビにしたって言うの!?」

ほむら「もう1つあるでしょう?私たちから魂を抜きとった理由が」

ほむら(T。手筈通り巴マミを抑えて)

T(OK。とびきり強力な結界でかこってあるから、大丈夫だ)

ほむら「SGが濁りきるとどうなるのか、答えなさい」

QB「やれやれ…やはりそれも知っていたか」

QB「SGが濁りきると、魔法少女は魔女になるんだ」

杏子「はあっ!?」

マミ「……」

QB「君たちはエントロピーという言葉を知ってるかい?」

QB「エネルギーには限りがある。今宇宙は破滅に向かってるんだ」

QB「それを覆すために、僕たちは熱力学にとらわれない、新しいエネルギーの研究をしてきた」

QB「そこで目を付けたのが感情だ」

QB「希望が絶望に変わる時、感情は莫大なエネルギーを放出する」

QB「それを回収するのが僕の役目だ」

QB「あいにく僕たちは感情を持っていなかったから、僕たちは人間に目を付けたんだ」

まどか「ふざけないでっ!!そんな気の遠くなる未来の為に、私たち人間を食い物にしてるって言うの!?」

QB「僕たちはこれでもかなり譲歩してるんだけどなあ」

QB「曲がりなりにも君たちを知的生命体と認めたうえで交渉してるのに」

ほむら「まどか。こいつらに人間の常識は通用しないの」

ほむら「何を言っても、奇跡の正当な対価だと言い張るだけよ」

杏子「おいマミ。なんでいきなり変身して」

マミ「ソウルジェムが魔女を産むなら…」

マミ「みんな死ぬしかないじゃない!!」

さやか「マミさんっ!!何を」

T「破ァ!!」

マミ「きゃあっ!」

マミ「何するのっ!離して!」

T「早まるな、巴。悪いのは全てこいつだ。お前らが死ぬ必要なんて、どこにもない」

マミ「でもっ!!私達はここで死ななきゃ魔女になって、多くの人を殺すのよ!?」

T「いつかは、今じゃない」

T「最後の瞬間まで戦って、それ以上に人を救えばいい」

T「それに、こっちにゃ秘策がある」

ほむら「そうよ。私達は、普通の人間に戻れるのよ」

さやか「…えっ!?」

杏子「おいっ、それは本当かっ!?」

ほむら「ええ。そこにいるTの力でね」

T「ああ。だけど、今すぐって訳にゃいかない」

T「詳しい説明は省くが、こっちにもいろいろ準備がいる」

T「それに、戻ったら、もちろん魔法少女の力は使えなくなる」

マミ「それじゃあ…」

T「ワルプルギスを倒せるものは、いなくなる」

QB「不可能だ。魔法少女を人間に戻すのは、僕らの技術でも無理だ」

QB「君たち人間の力で」

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「お前はもう…黙ってなさい!」

QB「やれやれ。無闇につぶさないでくれるかな。かわりはいくらでもいるけど、勿体ないじゃないか」

T「こいつの言うことは気にするな。俺の力は本当だ」

T「俺のお袋もこれを使って人間に戻ったらしい」

さやか「Tさんのお母さんって…魔法少女だったの…?」

T「ああ。親父が言っていた」

T「あの人はいつもふざけてばかりだが、嘘だけは言わない人だった」

T「だからさ、ワルプルギスはラスボスだ」

T「あいつを倒したらパーティだ。飲んで騒いで思いっきり楽しんで」

T「そしたら、みんなで普通の女の子に戻るんだ」

T「よくできた話だろう?」

杏子「…そうだな」

さやか「杏子?」

杏子「あたしが子供のころ見た魔法少女モノは、希望に満ち溢れてて」

杏子「最後に愛と勇気が勝つストーリーだった」

杏子「だったら、あたしたちも悪の組織に負けないで、勝利を掴み取ってやろうじゃん!」

さやか「ぷっ。アンタにも、そういう可愛いとこあるんだね」

杏子「なっ!?こっ、子供の頃の話だよ!」

さやか「今だって子供じゃん」

杏子「何をー!!」

T「少しは、落ち着いたか?」

マミ「ええ。さっきはごめんなさい」

T「ったく。命は自分だけのものじゃないんだぞ?簡単に死ぬだのなんだの言うんじゃない」

T「それに、自殺者ってのは不思議でな。例外なく自殺したことを後悔する。自分から死んだはずなのにな」

T「そして、未練たらたらでこの世を彷徨い、悪霊になるんだ」

T「だから、死ぬなら絶望に打ちひしがれながらじゃなくて…」

T「希望で満ち溢れてないといけないんだ」

マミ「T…君…」

T「もうすぐ感動のエンディング。魔法少女は、晴れて普通の女の子に戻れるんだ」

T「そしたら、友情も恋愛も好きなだけやって、幸せな人生を過ごせ」

マミ「…うん」

ほむら「…さあ、みんな。まだ全然安心はできないわ」

ほむら「ラスボスを倒さないと、感動のエンディングなんて見れないわよ?」

マミ「そうね。暁美さんの言う通りよ」

マミ「私達の力で、未来を勝ち取りましょう!」

さやか「はいっ!」

杏子「幸せな未来…か…」

まどか「ねえ、ほむらちゃん。魔法少女から人間に戻れるなら、私も…」

ほむら「駄目っ!!それは絶対駄目!!」

まどか「えっ!?どっ、どうして…」

ほむら「それは…」

まどか「そんな…!?ほむらちゃんはそれでいいの!?」

ほむら「私はいいの」

ほむら「話の続きだけど…魔法少女が魔女になった時の強さは、素質の高さで決まるの」

ほむら「そして、あなたが魔女になったら…この地球の全人類を滅ぼすほどの魔女になる」

まどか「っ!?」

ほむら「だからっ…あなたは絶対に契約しては駄目。例え…私達が負けてしまっても」

まどか「ほむら…ちゃん…」

杏子「来たな…」

マミ「ええ。これが私達の最後の戦いよ」

さやか「この町の平和は、あたし達が守る!!」

⑤  ④  ②  ①



「行くわよみんなっ!!」 「はいっ!」 「おう!」

まどか「キュゥべえ…みんなはワルプルギスに勝てるかな…?」

QB「まあ、無理だろうね」

まどか「そんなっ!?」

QB「残念ながら、奴の力は桁違いだ。4人程度じゃまだ足りない」

QB「まあ、君が契約してくれれば1人で十二分なんだが」

まどか「その手には乗らないよ」

まどか「私が契約したら…世界が破滅しちゃうってほむらちゃんが言ってたもん」

まどか「それに…みんなは、絶対勝って戻ってくるって!私信じてるもん!」

QB「ふう。そこまで言うなら、現実を見てみるかい?」

まどか「えっ?」

私が見たのは、ワルプルギスと戦っている…、いや、とても戦いとは言えない、
一方的な虐殺でした。

「まだよっ…みんなまだやれるわよね…」

「当たり…前だっ…!」 「こんなところで…倒れてられませんもん…!」

「暁美さんが来るまで…絶対に持ちこたえる…!」

「契約しないのかい?早くしないと、3人とも死んでしまうよ」

「私は…ほむらちゃんとTさんを信じてるもん…」

「待たせたわね」

その時でした。
5機の戦闘機が、機銃を掃射しながら突っ込んでいくのを見ました。
そして、その一機からHとTさんが降りてきたのです!!

「暁美…さん…!」 「ったく…来るのが…おせーんだよ…!」 「やっちゃって…ほむら…Tさん…!」

これは後から聞いた話ですが、TさんはHと一緒にお父さんを探していたようです。

「結局親父は見つからなかったが…俺と暁美だけでも、十分だ!!」

そこから先はまさに死闘でした。
銃器と光弾、黒い槍が飛び交い、槍、剣、銃弾が使い間達を蹴散らし。

「もう私の弾はない…。T、頼んだわよ」

「任せておけ」

Tさんの周りに光が集中し始めました。

「お前も…成仏させてやるよ…」

「破ァ!!」

莫大な閃光が迸り、何も見えなくなりました。
そして…

「!!!そんな…」 「あんなの食らって生きてるなんて…。やっぱり無理だったんだ…」

ワルプルギスの夜は、生きていました。
相も変わらず、気味の悪い笑い声と、破壊をまきちらしながら。

「っ!みんな!まだ諦めちゃ駄目よ!」

「そうだぜ。…誰が一発で済ますと言った!?」

Tさんは、もう1度力を集中させ、5発、10発と光弾を撃ち込みました。

「お前が圧倒的な呪いを背負ってるなら…俺が、全部解き放ってやる!!」

「破ァ!!!」

爆発が収まり、ワルプルギスも消え去っていました。
そう、戦いは終わったかに見えました…。

「やっと、終わったのね…。!?がはっ!!」

「!?暁美!?ぐあっ!?」

それでも、ワルプルギスは生きていたのです。

「…ははっ。今度こそ…終わりだな…」

「すまねえな…。俺の力じゃ…お前らを…救えなかった…」

誰もが絶望した、その瞬間。

「情けねえな。それでも俺の息子か?」

「!?親父っ…!?一体どこほっつき歩いてやがった…」

「ちょいと準備をな。世界中の秘境を回って、こいつに力を集めてた」

そういうとTさんのお父さんと名乗るその人は、1枚のお札を取りだしました。

「その程度じゃ、俺の後継ぐなんて100年早え」

「さあ、ワルプルギス…。10年越しの決着を、着けてやろうか!」




「破ァ!!」


日本全土を覆うほどの大爆発が、起こりました。
閃光が日本を覆った時間はほんの5秒ほどでしたが、歴史の教科書を塗り替える程の大事件になりました。

空は晴れ、もちろんワルプルギスの姿など欠片もありません。
今度こそ、戦いは終わったのです。

「家を継ぐ気なら、あと100倍は修業を積むんだな」

寺生まれってすごい、私はそう思いました。

その日はマミさんの家で夜通しパーティです。

でも、Tさんは完全に力を使い果たしていたようで、家に着いたらすぐ寝てしまいました。

お父さんも、すぐ帰ってしまいました。

そして、次の日…。

さやか「本当に、これで人間に戻れるの?」

T「ああ、そうだ。みんな、準備はいいか?」

マミ「ええ。大丈夫よ」

杏子「おい、ほむらはどうしたんだ?あいつも早く戻してやらねえと」

まどか「…。それは無理なんだよ…杏子ちゃん…」

T「っ!?バカ、言うな!」

さやか「えっ?なんで無理なの?」

マミ「そうよ。暁美さんだってずっと苦しんできたんだもの。早く戻してあげきゃ」

T「ちっ。もう隠すわけにゃいかねえな。実はな…」

マミ「そんなっ…!」

杏子「あの馬鹿野郎…!!おい、儀式は中止だ!中止!」

さやか「みんなでほむらに殴り込みに行かないと!」

T「ははっ。こうなるだろうと思ったぜ…」

まどか「えっ?えっ?ど、どうしたのみんな?」

さやか「ほむらぁー!!!」

ほむら「何よ。朝からうるさいわねごふぅ!?」

さやか「このバカっ!バカっ!大バカっ!どうしてこんな大事なこと黙ってたのよ!?」

杏子「てめぇなあ!?こんなことされたって、あたしたちは何も嬉しくねえよ!!」

マミ「そうよ暁美さん!?私達は魔法少女カルテットよ!?やめるときだって一緒に決まってるでしょ!?」

ほむら「みん…な…」

ほむら「もうっ…!バカはあなたたちよ…せっかくのチャンスを棒に振って…!」

マミ「あなたを残して魔法少女やめるぐらいなら、死んだ方がマシよ!」

さやか「そうだそうだ!アンタはいつもっ!自分1人で何でもかんでも背負い込んで!」

杏子「あたしたちは仲間だろう?もうちょい仲間を頼ってくれよ!」

ほむら「う…うう…うわあぁーん!!」

マミ「もう…すぐ強がるのはあなたのくせよ?さあ、思いっきり泣きなさい…」

杏子「これはっ…!?超レアなほむらの泣き顔ゲットだぜー!」

さやか「携帯!携帯はどこっ!?」

T「はあ…。やってくれたなあ。鹿目」

まどか「すみません…。私、あの時のほむらちゃんの悲しそうな顔、忘れられなくて」

T「ま…なんだかんだであいつらは嬉しそうだし、まあいいか」

魔法少女は世界中に星の数ほどいます。

Tさんの行動だって、QBから見れば指の先のような出来事かもしれません。

でも、確かにTさんは、4人の魔法少女を絶望の淵から救いあげたのです。

寺生まれってすごいなあ、私はそう思いました。



Fin

こんな長編SS書いたのは初めてだからすげえ疲れた
見てくれた人本当にサンクス

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