男「ただいま」 猫「ああ、お邪魔してるぞ」(338)

男「ああそうです・・・か?」

猫「・・・」

男「・・・ええと、どちらさまで?」

猫「いや猫だが」

男「いや猫は喋らないと思いますが」

猫「化け猫だが」

男「・・・化け猫ですか」

男「猫って喋る・・・わけないしなぁ」

猫「現実を見ろ若者よ。現にこうしてコミュニケーション取れているだろうに」

男「いやそうはいっても、猫だし」

猫「猫『さん』だたわけ。目上に対してそれくらいはしろ」

男「目上・・・?」

猫「こう見えて、もう何百年も生きてるからの」

男「妖怪レベルじゃないですか」

猫「だから妖怪なんだというのに」

男「いや妖怪なんてそんな」

猫「バカな、などと抜かすなよ人間。勝手に我々を忘れたのはお前たちの方だ。最近の人間は礼儀を知らん」

男「はぁ・・・?」

猫「ここ数百年の間に随分と我らも忘れられたものよ。やれ雪女だやれ天狗だと騒いでいたあの人間が」

男「ええと、それで、その化け猫さんが、なんで俺の家に?」

猫「戸締りくらいちゃんとしておくんだな。窓が開いておった」

男「ああ、そういえばそうだったかも・・・」

猫「今回は猫で助かったやも知れぬが、次はくせ者かも知れぬ」

男(何で猫に説教されてるんだろ・・・)

猫「まぁ勝手に入った私も褒められたものではないがな」

男「はぁ・・・」

猫「・・・しかしお前、なぜ驚かぬ」

男「は?」

猫「人間の常識的に考えて、猫が喋ったら驚くか気絶するものじゃないのか」

男「いや驚いてますけど・・・。驚きすぎて振り切れてるというか」

猫「ふうむ。存外、人間というのは感情豊かだと思っておったが・・・。そうでもないのやもしれぬな」

男「うーん、どういう状況だろう、これ」

猫「猫に話しかけ続ける人間の図というのは、面白いのかも知れぬな」

男「まぁ・・・他に話相手もいませんし。どうやらホントに喋れるようなので」

猫「む・・・?一人暮らし、というやつか」

男「そうです」

猫「妙な話だ。つい数十年前まで、家族と家を共有するのは当然のことだったのにの」

男「あー、今もそれ割りとメジャーですよ」

猫「ではなぜお前は一人だ」

男「なぜ、といわれても・・・。大学生の一人暮らしなんて、珍しくもないですよ」

猫「大学生・・・。確か、学生の一つの位だったな」

男「ええまぁ。このアパートなんて学生しか住んでませんし」

猫「若者が勉学をすることが出来る環境・・・。いい時代になったものよ」

男「そうですか?」

猫「つい数十年前は、お前のような若者が戦っていたのだ。それもあちこちでな」

男「見てきたようにいいますね」

猫「見てきたさ。そういう若者も、今の若者もな」

男(しかし、夢にしては随分リアルな話だな・・・)

猫「ところで、私は少し小腹が空いたのだが」

男「小腹が」

猫「何か食べ物はないかの。いや、あつかましい願いかも知れぬが、ここ数日、何も食べていないのじゃ」

男「ええと、さすがにキャットフードはないですけど・・・」

猫「あれはどうも好かぬ。なにやら飼いならされている気がしてならん」

男(いやそうなんだと思うけど・・・)

男「ああ、鰹節ならあったかと」

猫「鰹節とな。鰹は好物じゃ」

男「ああ、あと今日食べようと思っていた刺身が少し」

猫「刺身・・・。久しぶりに聞いた言葉じゃ。分けてくれるのか」

男「ええまぁ・・・。どうせ夢だしな・・・」

猫「何か言ったか?」

男「いえ別に」

男「しかし、随分毛艶のいい猫ですね」

猫「褒めているのか?私を誰だと思っておる」

男「猫『さん』」

猫「なにやら納得がいかぬがまぁよいか。神格化を遂げれば、毛並みなど乱れようもない。保たれたままよ」

男「・・・?」

猫「まぁ分からずともよい。しかし、この刺身はなかなかいけるの。まともにこんなものを食べたのはいつ以来だったか」

男「スーパーの安物ですけど」

猫「変わらぬさ。命は命だ」

男(難しいこという猫だな・・・)

猫「馳走になった」

男「いえいえ」

猫「人間に物を捧げてもらうなど、久しいからの。腹も膨れた」

男「そんな大げさな・・・。俺はただ分けただけで」

猫「人間もまだ捨てたものではないということよな。そうでなくては私が報われぬ」

男「?」

猫「なぁ人間。お前は妖怪を信じるか?」

男「さぁ・・・。考えたこともないです」

猫「だろうな。我々も忘れられてしまって久しいからの・・・。他の連中が躍起になるのも分からんでない」

男「・・・」

猫「お前が私のことを夢だと思うのは勝手だぞ」

男「!」

猫「だがそれはお前たちの勝手な理屈だ。忘れるなよ、我々はこうしてまだ生きているのだから」

男「・・・」

猫「なぜ分かった、といいたげな顔をしておるな。分かるさ、人間の考えることだ」

男「・・・」

猫「夢と現実、科学と妖怪。私は何百年も生きて、人間を学んだからな」

男「夢ではない、と」

猫「どう思うかはお前の勝手だ。だが私はしばらくここに居候させてもらう。明日目を覚ましても、喋る猫はここにおるわ」

男「・・・居候」

猫「迷惑かの?それでも構わんさ、だがこちらにも事情がある。追い出されても、この近辺にはい続けるぞ」

翌朝

男「なんだかすごくひどい夢を見ていた気がする」

猫「そうか?随分安らかな寝顔だったと思うが」

男「」

猫「夢ではないといったろうに。現実のギャップに拒絶するのはもう止したらどうだ」

男「あー・・・。おはようございます、ネコさん」

猫「うむ。今日はいい天気だぞ。勉学に励むがいい若者」

大学

男「・・・」悶々

友「随分深刻な顔してるぞ。どうかしたのか」

男「なぁ、猫ってさ、喋るかな」

友「・・・。ああ、喋るんじゃないか?お前の中では」

男「まぁそういう反応だよな普通」

友「どうしたんだよ、また妙な夢でも見たのか?」

男「・・・」

友「なんだっけ?この前は雪女が暴れる話で、次は吸血鬼が血をすう話だったか?メルヘン名夢見るよなお前は」

男(今回のは現実なんだけどな・・・)

男「夏目漱石の読みすぎ、かもな・・・」


女「・・・」

友「ああそう、そういえばチャラ男のやつ、また彼女できたんだってさ」

男「へぇ、じゃああいつ今付き合ってるのか」

友「ああ、でもあいつは遊び人だからな、また女泣かせるに違いない」

男「なんでそんなやつに引っかかるかな」

友「顔はいいし背もでかい。オマケにファッションセンスや髪型も今時だからな。そういうもんだ」

男「ふうん」

友「お前はどうなんだよ、そういう話」

男「皆無だね。そもそも人と話をしないし」

友「寂しい大学生だぜ」

男「お前が言うか」

友「じゃ、俺次講義だから」

男「ああ、じゃあな」

男(彼女ねぇ・・・。いやそれより、あの喋る猫の方が先か・・・)

男(図書館に行けば、そういう文献あるかもしれないな。行ってみるか)


図書館

史書「化け猫についての資料?」

男「ええ、ちょっと調べたいので」

史書「化け猫ねぇ・・・。閉架書庫にあるかもしれない」

男「閉架書庫に・・・?」

史書「古い文献は基本的にあそこにあるから。入場手続きしてみたらいいと思うよ」

図書館B1 閉架書庫

男「古い本ばっかり・・・。妖怪関連の本は・・・随分奥の方にあるな」

男「ここか。埃たまってる、誰も見てないって事か」

ぺら・・・

男「よ、読めない・・・。いつの本だこれ・・・」

本『明治三十六年・・・』

男「ダメだこりゃ」

男 自宅

男「ただいま・・・」

猫「む、帰ったか。ちょうどよかった」

男「ああ、まだいたんですねネコさん」

猫「当然だ。それよりこのテレビとかいうやつを点けてくれ。どうやればつくのか分からぬ」

男「ええと、このリモコンのここを押すんです。チャンネルはここで変わりますから・・・」

猫「なんと、そんな便利なものが・・・。私はてっきり、故障かと思って叩いてしまっていた」

男「・・・画面が肉球のあとだらけなのは、それだからか・・・」

猫「むかし人間の女がばしばし叩いているのを見ておったからてっきり・・・」

男「でもネコさんテレビなんて見て、分かるんですか?」

猫「うむ。人間社会の今が見えるのは楽しいものだぞ。よくもまぁ、こんなに毎日ニュースが絶えないものだ」

男「まぁ、事件とか経済とかの話が大半ですから」

猫「経済ね・・・。何がしたいのかよくわからぬよ私には」

男「そうなんですか?」

猫「そうだろう」

男「・・・?」

猫「ま、そんなことは人間が考えればよい。私には知らぬ」

男「はぁ?」

猫「猫に金は必要ないからの。ほれ、飯はまだかの?」

男「ああ、今日は缶詰を買ってきましたよ。これならネコさんの口に合うかと」

猫「ほう、楽しみだの」

男「ところでネコさん、化け猫ってなんなんですか」

猫「何、とは?」

男「ええと、どういう存在なのかな、って」

猫「見た目は猫、しかし中身は化け物だ。ただそれだけだ」

男「化け物」

猫「そうだろう。まともな猫なら口を利いたり化けたりできぬ」

男「化けれるんですか」

猫「疲れるからやらんがの。人間に化けるくらい造作ない」

男「他には何が出来るんですか」

猫「さぁな。お前は自分の能力、才能を把握しておるのか?それと同じよ、私にだってそんなこと分からぬ」

男「そういうものなんですか」

猫「ああ、口は利ける。化けることも出来る。あとは長寿だ。そのくらいしか知らぬ」

猫「私とて昔は普通の猫だったのだがな。何の因果か、こんな風になってしまった」

男「こんなふう?」

猫「存外退屈なのだよ、この身も。昔は随分祭られたものだが、今はそんなことまったくないしの」

男「祭る?」

猫「ええい、質問ばかりだのお前は。私はテレビに出る人間とは違うのだぞ」

男「はは、そうでしたね」

猫「私からも質問をさせろ。お前、なぜそういう目をしておる」

男「は?」

猫「満たされぬというか、退屈というか。目の奥で、不満がたまっておるぞ」

男「・・・さぁ、何のことでしょう」

猫「閉塞した目をしておる」

男「そう見えますか」

猫「何がそんなに不満なのじゃ」

男「いえ、そんなことないですよ。特に何も思ってませんから」

猫「・・・」

男「さ、出来ましたよ。食べましょうか、今日の晩飯」

猫「・・・うむ」

テレビ『今日午前、X市で身元不明遺体が発見され・・・』

猫「なぁ人間」

男「なんですか」

猫「なぜこういう、暗いニュースしか流れぬのじゃ?さっきから明るいニュースがまったく流れんぞ」

男「明るいニュース・・・?ああ、そういえばないですね」

猫「やれ殺人、やれ背広着た人間同士の揚げ足の取り合い、やれ誘拐事件・・・。嫌な話題しかない」

男「明るいニュースなんてないですよ。あっても、報道されません。誰も気にしませんから」

猫「ほぉ、ならお前は昨日起きた事件など覚えておるのか?それも気にしてないのではないか?」

男「それは・・・」

猫「ま、猫には関係のない話よ。それよりこのカンヅメとやら、なかなかいけるぞ」

男「それはよかった」

猫「刺身もいいが、これもいける。認識を改めねばの」

かりかり・・・

男「?」

猫「む・・・、来たか」

白猫「なー」

男「友達ですか?」

猫「仲間だ。すまぬが少し出てくる。窓を開けておいてくれ」

男「構いませんけど・・・?」

猫「会合があるのだよ。我々にも色々あるのだ。ではの」

白猫「なー」

男「・・・いってらっしゃい」

某所

猫「ふむ、皆集ったの」

猫一同「・・・」

猫「さて、雪女の決起、そして吸血鬼の進入。天狗の一派や狐どもも妙な動きを見せておる」

隻眼の猫「どうされるつもりで?」

猫「どうもせぬ。我らは彼らの決起には関係がない。好きにさせるがいい」

隻眼の猫「しかし、それでは我らの存在が忘れられるばかりではないですか」

猫「かもしれぬな」

トラ猫「ニャーッ!!」

ブチ猫「うにゃあ」

白猫「なー」

隻眼の猫「人間が我らを忘れれば、我らだけでなく妖怪全体が滅びてしまいます」

猫「・・・」

隻眼の猫「神格化を遂げる猫も減少する一方ではないですか」

猫「人間との共存は不可能ではあるまいよ」

隻眼の猫「・・・」

猫「人間が我らを忘れるというのなら、それも仕方のないことじゃ。ここで我らが人間に歯向かうことに意味はない」

猫たち「・・・」

猫「ひっそりと生きるのもまた一つの手だとは思うが」

家猫「・・・うなー」

子猫「?・・・?」

親猫「・・・なー」

隻眼の猫「しかし・・・」

白猫「なー。うなうにゃ。なー」

隻眼の猫「それはそうだが・・・」

猫「シロの言うとおりじゃ。どちらにせよ人間には勝てぬよ。ならうまく生きるのが猫本来のいきかたじゃな」

隻眼の猫「・・・」

猫「マサムネ、確かにお前の言い分も分かるのじゃ。二百年前にお前が神格化してから、化け猫は現れぬ」

白猫「うなぁ・・・」

猫「人間は嫌いか?」

隻眼の猫「・・・いえ」

猫「なら、それでいいだろう」

白猫「・・・」

猫「シロ、マサムネを頼むぞ」

白猫「なー」

隻眼の猫「・・・俺は・・・」

白猫「・・・なー」

隻眼の猫「・・いや、あの方は正しいよ。それは間違いないさ・・・」

猫「ただいま」

男「ああ、おかえりなさい」

猫「少しくたびれたの・・・。すまぬが横にならせてもらうぞ」

男「ああ、どうぞ」

猫「なぁ人間」

男「なんでしょう」

猫「お前は、誰かに忘れられたら嫌かの?」

男「・・・?難しい質問ですね」

男「確かに嫌ですけれど・・・。仕方のないことだと思います」

猫「ふむ?」

男「いつか忘れちゃうものですから、人間なんて」

猫「・・・そうかもしれんな」

男「さて、そろそろ寝ますか」

猫「ああ。おやすみ」

男「はい」

・・・深夜

男「・・・ん?」

猫「zzz」

男(重いと思ったら・・・。俺の上で寝てるし)

翌日 大学

友「そうそう、三丁目にタバコ屋あるじゃん?」

男「あの古くて、片目の無い猫のいる?」

友「そうそう、そこのばあちゃんさ、入院するんだってさ」

男「じゃあタバコ屋は?」

友「息子がやるらしいんだけど、あそこも古いだろ?店畳んじゃうって話だ」

男「そうなのか」

友「昔から世話になってる店だから、残念なんだけどなぁ」

男「ふうん・・・」

男「じゃ、俺講義だから」

友「ああ、またなー」

男「さて、と・・・。この授業人少ないな・・・。初日はすごい人いたんだけど」

女「・・・失礼、この席開いてるか?」

男「え?ああ、開いてますけど・・・?」

男(他の席もがらがらなのになんでわざわざ俺の横に)

男(でも結構美人だからまぁいいか・・・)

女「唐突に妙な話を聞くが、キミは最近妙な夢を見ていないか?」

男「・・・え?」

女「以前キミは、吸血鬼や雪女の夢を見ていたんじゃないか?」

男「なんでそれを・・・?」

女「少し小耳に挟んだだけだ。それで、最近はどうだ?」

男「・・・」

女「・・・ま、唐突にこんなことを訊くのはどうかと私も思うのだが、しかし時間がないのでな」

男「・・・いや、最近はそういう夢は見てない」

女「そうか、ならいいんだ」ガタッ

男「え?ちょっと、あの」

女「気にするな、深く気にしても仕方ないことだ」すたすた・・・

男「誰だったんだ、あれ・・・」

男(それにしても、どことなくネコさんの喋り方に似てたような・・・?)

男「ただいま」

猫「む、帰ったか。早速でスマンが、テレビを点けてくれぬかの」

男「え?点け方なら昨日教えたじゃないですか」

猫「うむ、それは覚えておるのだが、このリモコンとやらのボタンが肉球ではうまく押せぬのだ」

男「ああなるほど・・・」ぽちっ

猫「おお、すまないな、これでニュースが見れる」

男「ニュースを見るんですか」

猫「他に何を見る。他は猫が見ていて楽しいものとは思えぬが」

男「それもそうだ」

男「・・・ところで、ネコさんは人に化けれるんでしたよね」

猫「む?ああ、滅多にやらぬが、不可能ではないぞ」

男「そうですか・・・」

猫「?まぁ、勝手を忘れてしまいそうだがな。最後に化けたのは、何十年も前のことじゃし」

男「最近は化けてないんですか」

猫「化けぬ。理由もないしの」

男(じゃあやっぱり別人か・・・)

男「さて、晩飯にしましょうか」

猫「うむ、至福の時じゃな」

男「今日はマグロの刺身もあります」

猫「なんと。最近見ないから絶滅してしまったのかと思っておった」

男「まさか。これがネコさんの分です」

猫「この匂い・・・。うむ、まさしくマグロよ・・・」

男「いただきます」

・・・

猫「む?」

白猫「なー!」

男「また来ましたね」

猫「なんじゃ、会合なら昨日済んだじゃろうに」

白猫「うなー!!うにゃなー!!」

猫「何・・・?マサムネのところの人間が?」

男「政宗?」

猫「分かった、お前は彼を頼む。ご苦労じゃった」

白猫「にゃ」

猫「・・・」

男「あの。ネコさん?」

猫「ああ、すまぬな。仲間に不幸があったのでな、その連絡じゃ」

男「不幸・・・?」

猫「我々にはな、人間の寿命が見えることがあるのじゃ。死期を悟る、というやつじゃ」

男「はぁ・・・?」

猫「まぁ、仕方のないことじゃよ。我らに比べて、人間の寿命は短いからの」

男「普通の猫なら、逆なんですけどね」

猫「それもそうじゃ」

男「確か、ネコさんは数百年生きているとか?」

猫「数千年、かも知れぬな。もう時間の感覚などとうに狂ってしまった」

男「へぇ・・・」

猫「仕方のないことじゃ、こればかりはの」

男「・・・」

猫「時に人間、こたつはまだ出さぬのか?」

男「は?」

ちょっと飯食ってくる

男「こたつ?」

猫「冬の風物詩じゃろ」

男「あー、まぁそうですね。一人暮らしの必需品かもしれません。そろそろ出しますか」

猫「おお、やはりあるのか!あれがないと辛抱ならぬわ」

男「猫ってコタツ好きですよね」

猫「人間がこたつを好きなのだろ」

男「あーそれもありますね、はい」

保守感謝

猫「はよ出すんじゃ」

男「て、今?」

猫「今やらずしていつやるのじゃ」

男「出来れば明日まで待ってほしいです」

猫「何だと。それでは私の気持ちが落ち着かぬ」

男「いやそうは言いますが。布団出したりなんだりで忙しいじゃないですか。埃たつし」

猫「むぅ・・・。じゃが・・・」

男「明日は出しますから、それで勘弁してくださいよ」

猫「・・・」

男「機嫌悪いですね」

猫「生殺しじゃ」

男「明日には出しますって」

猫「明日って今じゃ」

男「そうむくれないでくださいよ」

猫「・・・」

男「さて、風呂に入って今日は寝ましょうか」

翌日

猫「起きるのじゃたわけ!!」ばしばし

男「う・・・ん?」

猫「コタツの日が来たのじゃ人間、はよ出せ」ばしばし

男「ね、猫パンチをやめてください、顔面は痛いですから!」

猫「ええいはよせい、冬は待ってはくれぬのだぞ」

男「猫も待つことが出来ないようで・・・」

男「ざっとこんなもんかな・・・」

猫 ズササササーッ!!

男「うわ!?早、すごい速さでコタツの中に!」

猫「!」ガバッ

男「出てきた・・・。あの、どんな感じですかね」

猫「電源が入ってないではないか!」

男「あー、失礼。今入れました」ぱちん

猫「しかし温まるまで時間がかかるの・・・」

男「ああ、そういえばこれ。猫じゃらし買いましたよ」

猫「貴様私をなめているのか?仮にも神格化した私に猫じゃらしなど」

男「そうですか、それは残念・・・」ふりふり

猫「う、む。化け猫をな、なめるなよ・・・」

男「・・・ん?」

猫「・・・」

男「・・・」ふりっ

猫「!」ぴくっ

男「・・・ネコさん?」ふりふり

猫「な、なんじゃ」ぴくぴくっ

男「・・・」すーっ(近づけて)

猫「な、何じゃ、なぜそんな玩具を近づける」

男「えい」すっ(離す!)

猫「っ!っ!」ばしんばしん!!

男「じゃれてるじゃないですか」ふりふり

猫「ほ、本能に働きかけるとは卑怯だぞ!」ばしばし

男「猫は猫、ってことじゃないですか」ふりふり

猫「わ、私は化け猫だぞ」ばしばし

男「化け猫もじゃれる、と」ふりふり

猫「っ!!っ!!」ばしばし

男「猫ですねぇ」

・・・

男「何も引っ掻かなくても」

猫(こたつ)『ふん、私で遊んだ罰じゃ。この程度ですんで感謝せい!』

男「むしろ遊んでたのはネコさんじゃ・・・」

猫『!』がりっ

男「いたた、わかりましたもう言いませんから!」

猫『まったく・・・///』

男(化け猫にも恥じらいはあるんだなぁ・・・)

猫『人間』

男「は、はい、何でしょう」

猫『た、たまになら遊んでやっても私は構わないぞ』

男「・・・」

男「はい、よろしくお願いしますね」

猫『///』

男「さて、たまの土曜ですし、少しまったりしますか」

猫『私はすでにまったりだがな』

男「まぁ猫ですしね」

猫『何じゃその、まるで猫が毎日ぐーたらしてるとでも言いたげな発言は』

男「え?」

猫『お前のその発言で全猫を敵に回したぞ』

男「そうでしたかすいません」

猫『いや、概ね当たりじゃよ』

男「・・・やっぱり」

猫『それが猫の仕事じゃ』

男「仕事」

猫『むしろ猫に限った話ではないのじゃがな。人間が動きすぎなのじゃ』

男「そうですか?」

猫『社会じゃ何だとか、面倒じゃないのかの』

男「はぁ」

猫『ま、人間の問題じゃ、私らには関係の無いことじゃが』

男「にしても、ネコさんは難しい話をしますね」

猫『歳は取りたくないの、こういう話しかできなくなってしまったわ』

男「ああ、そういえば」

猫『む?』

男「猫さんて、オスですかメスですか?」

猫『・・・』

ガブッ

男「痛たたた!?噛み付きましたね今!」

猫『やかましい、貴様のようなデリカシーのない人間は犬とでも戯れておるがよい』

男「えぇ?」

猫『ふん』ツーン


男「さて、今日の晩飯は何にしようか・・・」

猫「む」もぞもぞ

男「ああ、出てきたんすか」

猫「ああ、喉が渇いたのでな」

男「水はあそこにあります」

猫「ん。で、何をしておるのじゃ」

男「ああ、テレビゲームですよ。ここでクロックアップを使って・・・」

猫「?よく分からんが、楽しそうじゃの」

男「『1・2・3・ライダー・・・』、あそうだネコさん、今日のご飯ですけど」

猫「ああ、任せるぞ。今晩は冷えそうじゃしの」

男「買い物行ってきますよ。明日の分まで買ってしまえば、明日一日中まったりできるし」

猫「左様か。できればこたつの電源はつけて行ってほしいのじゃが」

男「言うと思いました。電気とかは消しますけど、こたつはつけておきます」

猫「ん。助かる」

男「さて、じゃあ行ってきます。早く行かないと心が折れそうだし」

猫「ああ。気をつけるのじゃぞ」

・・・

猫「さて、私はこたつで一眠りでもしようかの」

猫「・・・」

猫「誰も居ないのなら、少し試してみようかの。勘が鈍ってなければよいが」

買い物帰り
男「寒・・・。こりゃ雪降るかも・・・」

?「なら、その前に私の事情も済ませたいのだが」

男「!」

女「・・・」

男「またあんたか」

女「すまないな、キミに迷惑かけるつもりは無かったのだが、状況が変わってきた」

男「何を?」

女「雪女、それに吸血鬼と来て、次は猫なんだよ。他の連中との争いは終わりつつあるのに、ここに来てだ」

男「!?」

女「猫に何か心当たりでも?」

男「・・・いやないね。先を急ぐから、失礼する」

女「ああ、それは構わないが。一つだけ。『隻眼が蜂起した』とだけ、伝えてくれ」

男「伝える・・・?」

女「ああ。そうしないと取り返しがつかないことになる。頼んだぞ」てくてく・・・

男「お、おい!・・・。何なんだアイツ・・・」

男「ただいまー」

猫「っ!!」がたん!

男「刺身安かったんで買ってきましたよ、うわ部屋真っ暗だ。電気電気・・・」

猫「ち、ちょっとま・・・!」

パチン

男「え、何・・・を・・・?」

猫娘「・・・」

男「・・・」

男「は?」

猫娘「あ、ちがうのじゃ、これは、」

男「・・・あんたは・・・?」

猫娘「ええい、まともな反応で返すなたわけ!私以外に誰がこの部屋におるのじゃ!?」

男「え?・・・ネコさん?」

猫娘「じゃからそうじゃと言っておろうに!!」

男(あの女にそっくりだけど・・・、あの猫耳は・・・)

猫娘「なんと言うタイミングで帰宅するのじゃお前は・・・!変化をとこうと必死じゃというのに!」

男「ええと、すいません。どういうことでしょうか。というか、な、何でTシャツ一枚なんですか!?」

猫娘「ああ、服はお前のを失敬したのじゃが、これは何じゃ?和服とは少し違うようじゃが」

・・・
男「ふ、服着ましたか」

猫娘「着たが・・・なんじゃこれは。動きにくくてかなわぬぞ」

男「和服じゃないんです。下と上は別々な服なんですよ」

猫娘「しかし、なぜ下は二枚も穿くのじゃ?一枚でよかろうに」

男「そういうものなんです!女のものの下着買うのはずかしかったんですから我慢してください」

猫娘「むぅ・・・」

男「で、何でそんな姿なんですか」

猫娘「それが・・・、変化が無事にできて安心したのじゃが、久しぶりなせいか、解き方が分からなくなってしまったのじゃ・・・」

男「え?」

猫娘「放っておいてもあと数時間で変化は切れるのじゃが、それまではこの身体じゃ・・・」

男「そうなんですか?」

猫娘「しかも相変わらず耳と尻尾は隠しきれぬし・・・。どうにも勝手が分からぬ」

男「わざとじゃないんだ」

猫娘「何?」

男「いえなんでも」

男「ともかく、ご飯にしますか・・・?」

猫娘「ふん・・・。こんな身体ではうまく食べることなどできはせぬ・・・」

男「そう・・・かもしれないですね」

猫娘「私の刺身を残しておかなかったら、お前を爪とぎに使うぞ」

男「そこは大丈夫ですよ。俺一人じゃ食いきれません」

猫娘「しかしよく人間はこんな身体で動けるの・・・。私には無理じゃ」

男「・・・あの、その姿は」

猫娘「む?」

男「誰かに似せているんですか?」

猫娘「・・・。さぁて、どうじゃろうな」

男(あの女にすげぇ似てるんだけどなぁ・・・)

男「あ、あの女といえば・・・」

猫娘「女?」

男「ええ、何か妙な女がいて、伝言がどうとか、伝えないと取り返しがつかないとか」

猫娘「伝言?誰にじゃ?」

男「それがよく分からないんです。何のことなのかさっぱり」

猫娘「人違いじゃないのか」

男「今日で会うの二回目ですから、違うと思います。でも何のことなのか・・・」

猫娘「・・・まぁ気にしても仕方あるまい。何かの間違いじゃろう」

男「・・・ですね。隻眼がどうとか、俺には覚えがないし」

猫娘「!!」

男「ネコさん?」

猫娘「その伝言、何だといった?」

男「え?」

猫娘「伝言の中身じゃ、何じゃった?」

男「ええと、確か・・・。『隻眼が蜂起した』だったかな・・・?」

猫娘「なんじゃと!?」

男「え?」

猫娘「隻眼が蜂起!?それは・・・恐らく私への伝言じゃ」

男「!?」

猫娘「しかし一体誰が・・・。いやそれはいい、シロがその後の経過を知らせないのにはそういう事情があったか・・・」

男「シロ?」

猫娘「あの白い猫じゃよ。ともかく、事を確かめねば。少し出てくる、窓を開けておいてくれ」バッ

男「あ、ネコさんダメです!」

ガン!!

猫娘「!!・・・わ、忘れておった・・・。今は人間なのじゃった・・・」ひりひり

男「変化が解けるまで待たないと・・・」

猫娘「ええい、そんな時間があるか。かくなる上は、この身のまま外へ・・・」

男「す、ストップ!!どういうことなんですか、事情を話してくださいよ」

猫娘「そんな時間はないといっておろうに!マサムネを止めねば!」

男「だからその政宗って誰なんですか!?落ち着いてくださいって!」

猫娘「は、離せ人間!これが落ち着いていられるか、あのバカを止めねば!!」

男「ネコさんってば!!」

?「騒がしいな・・・。猫風情がァ、吼えるのは負け犬の仕事だとォ思っておったが・・・?」

猫娘「!!」

男「え?誰?」

猫娘「・・・ただの蝙蝠ならば見逃したのじゃが、やはり違うようじゃな」

?「おちおち寝てもォおれぬわァ・・・。猫がなァにを騒いでおるかァ・・・」

猫娘「天井裏に隠れているような蝙蝠に言われたくはないの」

男「天井裏・・・?」

?「人間・・・。その猫にィ感謝するのだなァ・・・。でなけれぶァ、今頃血をいただいていたわァ・・・」

猫娘「吸血鬼風情が、誰に物を言っておるのじゃ?」

男「吸血鬼?」

男「え、吸血鬼?」

猫娘「ああ、少し前からこの天井裏に潜んでおる」

?「ふん・・・」

男「え、うそ」

猫娘「じゃから私はここに居候したのじゃが、それはもうよい。問題は、なぜ今さらその声をさらした、蝙蝠」

?「言った通りよォ・・・。やかましいからやかましいと言ったまでェ・・・」

猫娘「消されたいのか、手負いの吸血鬼め」

?「ふん・・・。猫の蜂起はァ、まだ先だと伝えるまでだァ・・・」

猫娘「何?」

?「あの隻眼は、今ァ戦力を整えておる・・・。それくらいィ、今の私にも分かるわァ」

猫娘「その根拠は」

?「簡単なことよォ・・・。二日後は満月。貴様ら妖怪がァ、潜在能力のすゥべてを発揮できる日だ・・・。そんなことも分からんのかァ・・・?」

猫娘「マサムネは満月を待つ、と?」

?「待つだろうな・・・。同じ日に、恐らく雪ィ女どもも動く・・・。一斉蜂起する気だろう」

猫娘「雪女どもが?」

男「雪女に、吸血鬼・・・?」

?「ぎゃあぎゃあ喚く前にィ、周りを見るのだなァ猫よ・・・。足元をすくわれるぞォ・・・」

猫娘「・・・なぜそれを私に教える」

?「ふ、ふはは、っぶぁっはははははは!神格化した猫同士の殺し合いィ!見ィ物ではないか!?さぞォ可愛い声で鳴くのだろう!?」

猫娘「ち・・・。薄汚い蝙蝠が・・・」

男「あの、どういう・・・?」

猫娘「・・・ふぅ。簡単に話そう。妖怪と人間は、戦争一歩手前にある」

男「は?」

猫娘「事の発端は、雪女が人間に宣戦布告をしかけたことにある。運よくそれは失敗に終わったが、他の勢力に飛び火した」

男「え?え?」

猫娘「妖怪という存在は日々忘れられてきている。それに焦った妖怪たちは、今一度自分たちの存在を人間に認識させようとしているわけじゃ」

男「・・・なんで?」

猫娘「忘れられるということは、私たちにとって死に等しいことじゃ。それを防ぐために、戦おうとしておる」

男「なんだそりゃ・・・。何で妖怪が人間に・・・」

猫娘「そうする他ない、そういう意見が大勢なんじゃよ。勝手に産み出しておいて、勝手に忘れられてはたまらぬ、と」

男「・・・」

猫娘「妖怪は日本人が生み出したものじゃ。それがいつしか実体を持つようになった。だが今度は、その存在を否定し、忘れようとしておる」

男「だからって・・・」

猫娘「蝙蝠・・・吸血鬼もじゃ。欧州ではもはや吸血鬼などお笑いの種。我ら妖怪も」

ボン

男「あ・・・」

猫「む・・・。時間か」

男「・・・」

猫「・・・そして、化け猫にもそういう意見があった。隻眼の猫マサムネがその筆頭のようじゃ」

猫「恐らく決め手は・・・飼い主の死期が近くなったからじゃろう」

男「あ・・・。あの時の話・・・」

猫「懇意にしてくれた老婆が死ぬ・・・。それが決め手じゃろうな」

男「まさか、タバコ屋のお婆さん・・・?」

猫「・・・知っておったか。そうじゃ、彼女はまもなく死ぬのじゃ。その飼い猫が、マサムネじゃ」

男「それだからって、何で戦争なんて」

猫「自暴自棄、じゃろうな。マサムネはまだ若いからの・・・」

男「でも化け猫が戦争って、どういうことを・・・?」

猫「神格化した猫だ、人間を殺す方法などいくらでもある」

男「マジか・・・」

猫「そして恐らく、やつは他の猫を無理やり神格化させるだろう」

男「その神格化って・・・?」

猫「文字通り、神の座を得ること。ここでいう神は、神道の八百万の神を指す」

男「・・・それで」

猫「正規の方法を辿り神格化するなら良いのじゃが、無理に神格化すれば恐らく祟り神と化す」

男「祟り神・・・。もののけ姫の・・・?」

猫「ようは貧乏神じゃ。神の癖に悪さ、というか人間に害を与える存在と化す」

男「それやばいじゃないですか」

猫「それが行われるのは恐らく満月の夜じゃ。それまでに何とかせねばならん」

男「でもどうするんですか」

猫「・・・まずは腹ごしらえじゃ。お互い腹が減っては戦ができぬ」

男「・・・。そうですね、まずは飯にしましょう」

猫「・・・おい蝙蝠」

?「・・・気ィ安く呼ぶな猫が・・・。殺すぞ」

猫「今回は感謝する。じゃが、人を襲うのを私は許さない」

?「ふん・・・」

猫(マサムネ・・・)

某所

隻眼の猫「・・・」

白猫「・・・」

隻眼の猫「もはや語るまい・・・。我らは我らの成すべきことをなすのみ・・・」

白猫「にゃ・・・」

隻眼の猫「・・・お前も神格化すればわかる。我らの苦しみが・・・。始めろ」

トラ猫「」カチャカチャ

ブチ猫「」カチャカチャ

白猫「にゃぁ・・・」

隻眼の猫「神格化しろシロ・・・。そうすれば、すべてが分かる」

翌日

男「それで、具体的にどうするんです」

猫「満月の晩、つまり明日までに、やつらがどこに居るのか調べる必要がある。そして、明日私がやつらを止める」

男「だから、どういう風にですか」

猫「ええい、私は化け猫だ化け物だ!!そんなのは力ずくでに決まっておろうが」

男「でも・・・」

猫「とにかく時間がない。人間、すまないが力を貸すのじゃ。やつらの居場所を調べる必要がある」

男「しかしどうやって?」

猫「問題はそこなのじゃ・・・」

ぷるる・・・

男「電話・・・?友からだ」

友『おう俺だ、なぁ一つ聞いて良いかよ』

男「なんだ?」

友『うちで飼ってた白猫知らないか?』

男「白猫?いや見てな・・・」

男「ああ!!あの猫どこかで見たと思ったらお前の猫か!!」

友『おお、見たのか、うちのシロ!どこでみた、いつ見た!?』

男「ええと、二日前だかに、家の前で・・・」

友『二日前か・・・。実はさ、シロ二日前に見てから居なくなっちゃってさ・・・』

男「二日前から?」

友『あとチャラ男の彼女の飼ってたトラ猫も居ないらしいんだ。それも二日前から』

男「どういうことだ?二日前から町中の猫が消えたとでもいいたいのか?」

友『そうかもしれない。俺の周りで二日前から猫が消えたって人すごい多いんだ』

猫「マサムネめ・・・。やりおったな」

友『ともかく、こっちでも探してみるわ。何か分かったら連絡くれ』

男「ああ、分かった」ぶちっ

猫「町中から猫が消えた。マサムネの仕業じゃ」

男「聞こえてたんですか」

猫「猫の聴覚を舐めるでないぞ」

男「隻眼の猫がやった、と?」

猫「神格化した猫は特別じゃからの。二百歳そこらでも他の猫に招集をかけるなんて簡単なのじゃよ」

男「二百・・・」

猫「すでに大半の猫が祟り神と化したのはまず・・・間違いないじゃろう」

男「そんな・・・」

猫「これ以上やつを泳がせるワケにはいかぬのじゃが・・・」

男「手がかり・・・」

ピンポーン・・・

男「・・・?来客?はぁい、少し待ってください」

男「・・・?誰だろ、白い服着た知らない女の人が立ってる」

男「どちら様ですか」

白い服の女「すいまセん、、困つテます。助けてください」

男「・・・?」

猫「・・・?」

TV「さて次のニュースですが、がが、ニュー、がががが」

猫「なんじゃ・・・?」

男「どうかしたんですか」

白い女「困ってルんです・・・」

男「何があったんですか」

白い女「・・・」

男「・・・?」

白いオンナ「開ケロ・・・」

男「っ!?」

白いオンナ「アケロ・・・アケロ・・・」ガン・・・ガン・・・!!

男「こいつ・・・!?」

オンナ「アケロアケロアケロアケロアケロアケロ・・・!!」ガンガンガン!!

男「っ」

猫「人間、まずい、こっちだ!!」

TY「がががががががががががががががが」

猫「マサムネ・・・。私を消しにきたか・・・!」

男「ネコさん、これ・・・!?」

猫「化け物を差し向けてきおった、そういうことじゃの・・・!」

オンナ「アケロアケロ!!アケロ!!」

TV「ががががががっががががががががががっがあっがっががgggg」

男「これじゃ心霊現象ですよ!!」

猫「ふん、何を今さら・・・。相手は正真正銘の妖怪だぞ、これしきで何をっ」

ぷるるるるるる

男「電話・・・」

猫「出るな、その必要もない」

電話『発信音の後に、メッセージをお願いします・・・。』ピーッ

電話『・・・ザザ・・・』

電話『・・・ァ・・・オマエ・・・ヲ・・・コロ・・・』

男「!?」

猫「ち、来たか・・・!」

男「な!?」

オンナ「ハァーーーー・・・。ハァーーーーー・・・」

男「そんな、鍵は閉まっていたはずなのに・・・」

オンナ「・・・」ニパァ・・・!

男「!」ぞくっ

猫「祟り神風情が・・・。音量の化け物に成り下がったか」

オンナ「ハァ・・・ハァーーーー・・・」

猫「人間、私の後ろに引っ込んでろ。邪魔じゃ」

男「何を!?」

猫「良いから早くせい、来るぞ!」

オンナ「ハァーーーー・・・・!!!」

男「猫さ・・・!!」

バチィィィッ!!

オンナ「アァァァァァ・・・!!」

猫「ふん・・・。昨日今日で神格化したようなやつは、所詮この程度じゃよ」

男「女が止まって・・・!?」

猫「結界じゃ。ハイカラな言い方じゃとバリアじゃったか」

オンナ「ハァァァァァァァ・・・・」

猫「動きたくとも動けまいに。私の結界はそう甘くはない」

オンナ「ァァァァァァ・・・!!」

男「・・・」ごくっ・・・

猫「さて、恐れを知らずに私に挑むというのはどういう了見じゃ?それとも、心をうしなったのかの」

オンナ「ァァァァ・・・」

猫「・・・!!!」

猫「お前、まさか・・・!!」

オンナ「ァァァァ・・・」ぐぐっ・・・

男「!?女が動き出し・・・!?」

猫「嘘じゃ・・・。こんなことが、許されるはずが・・・!!」

オンナ「ァァァァァ!!」ぐぐぐ・・・!

男「ネコさん、動き出してます!!」

猫「なんという、何という、ことを・・・っ!!」

バリン!!

オンナ「ァァァァァァ!!」グワァッ

男「ネコさん!!」

猫「・・・!!」

ドドドドッ!!

男「!?」

猫「札・・・!?」

オンナ「ギ、ァァァァァッァアアアアア!?」

?「打ち込んだのは手製の札・・・。そう簡単に破れるものではない」

男「!あんた・・・!!」

女「やはり始まってしまったか・・・。なぜ結界を解いた、猫」

猫「・・・お前・・・」

女「まぁいいさ。この祟り神には聞きたいことがある」

猫「ま、待つのじゃ、こいつは、この祟り神は・・・!!」

オンナ「・・・ァァァァァ!!」

女「!こいつまだ・・・!!」

オンナ「ァァァァァッァッァァァッァア!!!!」

女「ち・・・。失せろ化け物!!」

猫「やめろぉぉぉぉっ!!!!」

バチッ!!

オンナ「ァ・・・」ドサァッ!!

猫「おい、しっかりしろ!!目を開けるんじゃ!!」

男「ネコさん・・・?」

猫「シロ、お前なんじゃろ!?しっかりせい、シロ!!」

男「!?」

女「・・・」

猫「シロ、シロ!!」

オンナ「ァァ・・・」シュゥゥゥゥ・・・

白猫「・・・う、な・・・」

猫「シロ!!」

白猫「うな、ぁ・・・」

猫「しっかりするのじゃ、死ぬでない!!」

男「シロ・・・。あの白猫、だったのか・・・?あの女が・・・?」

女「・・・」

猫「シロ、ダメじゃ、しっかりするのじゃ!!」

シロ「・・・なー・・・」

猫「・・・なぜじゃ・・・。貴様には分かっておったのじゃろう!?あの女がシロだということがっ!!」

女「・・・シロだか何だかは知らないが・・・。アレが穢れた猫の末路ということは知っていた」

猫「貴様ほどの能力がありながら・・・っ!!」

女「・・・私を知っているかのようないい振りだな」

猫「知っておる・・・。間違えぬよ、千年振りに見たその顔のことはっ!!」

男「千年・・・?」

猫「・・・千年前、こいつと同じ顔をした霊能力者がおった。私の、私の主人じゃ・・・」

猫「じゃが主人は・・・、呪いに敗れて・・・。次の輪廻をくぐる、千年後の最誕を預言し、逝かれたのじゃ」

猫「じゃから私は、私は!!」ボン!!

女「・・・!」

猫娘「自分の姿を、あの方に、あの方に似せてっ・・・!!」

女「・・・千年前に、私の前世か・・・。それは知らなかったな」

男「あんたは・・・?」

女「ただの女子大生だ。千年がどうとかは知らないが、一応心霊探偵ってことで通っている」

猫娘「その能力が証拠じゃ、主人と同じ顔、同じ能力!偶然なはずがないのじゃ!」

男「ネコさん・・・」

猫娘「なぜなんじゃ、他に方法があったはずじゃろう!?千年前のあなたなら、できたことじゃ!!」

女「っ・・・。私にもできる事とできない事がある・・・。妖怪が人に危害を加える可能性があった、だから止めただけのことだ」

猫娘「どうとでも、できたはずじゃ・・・!」

女「・・・私は霊能力者かも知れないが、お前の主人じゃない。それは間違いないことだ」

猫娘「・・・」ガクッ

男「・・・」

猫娘「なぜ、なぜなんじゃ主人・・・。あの時、約束したではないか、約束したではないかっ・・・」

女「・・・」

女「・・・ともかく、連中が本気なのは知れた。止めなければ、多くの人が傷つく」

男「・・・らしいね」

女「私はこの町を探って、連中を止める」

猫娘「!・・・殺すのじゃな。シロと同じように、皆を・・・!!」

女「・・・必要とあれば、天に還す」

猫娘「お前は主人じゃない・・・。あの人ならそんなことはいわない・・・!」

女「・・・。で私は行くぞ。次から、自分の身は自分で守る事だ」

男「え?あ、うん・・・」

女「・・・それから、吸血鬼。次にまた暴れたら、今度は私がお前を消す」

?『ふん、小ォ娘がァ・・・』

女「・・・。では」

猫娘「う、うう・・・」

男「ネコさん、しっかり・・・」

猫娘「私は・・・あの人に会うためだけに・・・こうして生きてきたというのに・・・っ」

男「じゃあネコさんがそうなった理由って・・・」

猫「あの方は、約束したのじゃ・・・。輪廻をくぐったらまた会えると・・・。決して忘れない、と・・・」

男「・・・」

猫「じゃから私は、千年もの間、辛酸を舐めて、今日まで・・・」

男「・・・ネコさん、マサムネを止めないと」

猫「な、に・・・?」

男「皆死んでしまいます。このままじゃみんな不幸になります。だから、俺たちが止めないと」

猫「私は・・・しかし・・・」

男「あの女の人が何者かは問題じゃないです。でも放っておいたら、仲間が死んでしまう」

猫「っ・・・」

?『ふん、言っても無駄だ、人間・・・』

男「吸血鬼・・・?」

?『その猫は今、千年すがったものをなくしたのだァ・・・。簡ンン単にィ立ち上がれると思うかァ・・・?』

男「くっ・・・」

猫娘「・・・」

男「それでも俺は、俺一人でも・・・っ!!」ダッ!!

猫娘「・・・」

?『哀れよなァ・・・。なまじ神格化などォしなければァ・・・、今頃普通の猫としてェ、あの女の近くにいれたやも知れェぬのに』

猫娘「・・・」

?『そうやっていつまでもいるゥがいいさァ・・・』

猫娘「・・・」

ボン

猫「・・・私は・・・しかし吸血鬼・・・。・・・吸血鬼・・・?」

・・・

猫「ふ・・・蝙蝠にすら見捨てられたようじゃの・・・」

猫「なぁシロ・・・。お前はどうだったんじゃ?」

シロ「」

猫「お前、マサムネを好いておったじゃろう・・・」

シロ「」

猫「そのマサムネに、無理やり神格化させられて・・・。お前はそれでよかったのか・・・?」

シロ「」

猫「・・・私は・・・」

男「とはいったものの・・・。猫の居そうな場所ってどこなんだよ・・・!!」

男「くそ、全然分からん!!しかも、・・・寒いしっ」

?「あの、ごめん」

男「え?」

白い肌の女の子「少しいいかな」

男「・・・?何か用?」

白い肌の女の子「ええと、妖怪関連の話があるんだけど・・・」

男「!?」

男「なんの話?」

白い服の女の子「身構えんなよー。お互いに有益な話です、はい」

男「有益?」

白い服の女の子「ええと、ああそうか、申し遅れましたー。雪娘改め、雪女です」

男「あ?」

雪女「雪女です。晴れて雪女です」

男「ええと?」

雪女「ちょ、そういう反応はどうですかねー。雪女ですって、依然変わりなく」

雪女「しかし晴れて雪女とはこれいかに?」

男「いや、しらん」

雪女「ですよねー。それよりそれより、緊急情報ですよプロデューサーさん」

男「は?」

雪女「あーネタが通じないですねー。まーいいです。雪女一味の新人雪女ですから。成り立てですから、ぴちぴちです。ここまでいいですか?」

男「・・・疲れてるのかな、俺」

雪女「はい雪降らせまーす」ビュオオオオオ!!

男「信じました!!今信じました寒いっ!!」

雪女「はいー。で、相談です」

男「寒・・・。なんだよ、相談て」

雪女「猫止めてください。いいえ猫バスじゃありません。化け猫どもです」

男「・・・。それは勿論だけど、なんで雪女が?」

雪女「明日、猫が蜂起してこの町を血祭りに上げた後で雪女が蜂起する手立てになってます、はい」

男「そういえばそんな話を聞いたような・・・」

雪女「なのでー。この町の猫を止めないと、非常にやばいんです。女王が死んだ雛見沢並みです」

男「つまり、猫を止めれば雪女も止まるって?」

雪女「正解者に拍手!よくデキマシター。よくデキマシター」

男「じゃあ尚のこと急がないとじゃ・・・」

雪女「いえす、ふぉーりんらぶ。でもあたしはあの人一筋。雪女なのにアツイです」

男「・・・しかしお前うざいなぁ」

雪女「えー」

男「でも猫の居場所なんてどうやって探したら・・・」

雪女「さー。雪女の捜し方なら知ってるけどー。ほら、私猫じゃないし」

男「イラッ」

雪女「ともかく、ここは任せますよー。大体の事情は月島さんから聞いてるんでー」

男「月島?」

雪女「あれ、知らない?遅れてる?」

男「イラッ」

雪女「霊能力者のお姉さんだよー。会ったでしょ?」

男「あの女か・・・」

雪女「ではでは、私はそろそろあっち戻るわー辛いわー。雪女食い止めるのマジ辛いわー」

男「ああそう・・・」

雪女「んじゃまた会おう勇者よ。・・・いや、むしろ賢者?」

男「てめぇ」

男「なんだったんだあのアホの娘・・・」

男「でも、やっぱり猫止めないといけないんだな、それは分かった」

男「くそ、どこをさがせば良いんだよ」


猫「ふうううう・・・」

猫「なぁシロ、私はまだ大丈夫みたいじゃよ」

シロ「」

猫「だから、今はお前を置いて行く。じゃが、必ず、ハッピーエンドにして見せるぞ」

シロ「」

猫「じゃから、そこで少し、眠っていてくれ・・・」

男「魚屋もダメ、空き地もダメ、か・・・」

男「後はどこを探せばいいんだ」

猫「む、ここに居たか人間」

男「―――!!ね、ネコさん!!」

猫「話は後じゃ、この空き地も外れか」

男「ネコさん、雪女の話じゃ、ここの猫を食い止めれば、雪女の勢力は蜂起を中止するって・・・!!」

猫「雪女・・・?ああ、噂で聞いたの、他の雪女を裏切った酔狂な雪女が一人おると・・・」

男「アホの娘だったけど・・・」

猫「ともかく、マサムネを止めるぞ。これ以上シロのような仲間を増やすわけにはいかぬ」

男「はい!!」



猫「いいか人間、マサムネが決行するのは明日の今頃じゃ」

男「それを過ぎたら、人間が犠牲になるか、」

猫「あの女に皆殺されてしまう」

男「タイムリミットまでの勝負、ってことですか」

猫「そうじゃ。恐らく明日の晩、ちょうど九時くらいに進軍すると考えられる」

男「九時・・・」

猫「よいか、今日の捜索で連中のおおよその隠れ家が知れた」

男「知れたんですか」

猫「ああ。広場でも空き地でもないとすれば、残るは一箇所だけじゃ」

男「それは・・・?」

猫「郊外にある、空き家じゃ」

男「空き家」

猫「文字通りの猫屋敷じゃ。何十年も前から人が住んでおらぬ」

男「そこに、マサムネとか言う猫が・・・」

猫「そうじゃ。敵は曲がりなりにも信仰を集める神じゃ。人間では歯が立たぬ」

男「じゃあ俺はどうすれば・・・?」

猫「お前は来るでない」

男「・・・は?」

猫「連中は化け物じゃ。お前ではどう頑張っても立ち向かえぬ。じゃから、身を隠すのじゃ」

男「そんな、ここまできてそれは・・・」

猫「死にたくないじゃろう?私もお前を殺させたくないのじゃ。じゃから来るでない」

男「・・・」

男「それは、出来ない」

猫「にゃんじゃと?」

男「ここまで来て引き下がれませんよ。最後の最後で俺だけ除外なんて、ひどい話です」

猫「じゃが、お前は・・・」

男「シロは、俺の親友の猫でした。俺にとっても、仇は同じです」

猫「しかし」

男「それに、俺の先輩が言ってました。『化け物にも立ち向かえば勝てるんだ』って」

猫「先輩・・・?」

男「先輩の彼女が、呪いだかにかかった事があったそうなんです。けど、それを先輩と彼女の妹が解決したって」

猫「・・・」

男「だから俺は行きますよ。ネコさんと一緒に」

夜 男自宅
男「とりあえず、吹き飛ばされたドアは仕方ないんで、あのままにするしかないですね」

猫「あの女、随分強引に進入してきたようじゃな」

男「布団被って寝れば、何とかなりますよ」

猫「・・・なぁ、私も入って構わぬか?」

男「布団にですか?」

猫「うむ。さすがに今晩の寒さは堪えるのじゃ」

男「ええ、構いませんよ」

猫「すまないの」

猫「・・・不思議な感覚じゃ。人間と共に寝るなど、いつ以来かの・・・」

男「俺の上には乗ってましたよね」

猫「・・・あれはカウントせぬ。というか、気がついておったのか」

男「重かったですし」

猫「おも・・・」

男「あんまり気になりませんでしたけど」

猫「ふん・・・」

・・・

猫「人間」

男「何でしょう」

猫「明日は恐らく死闘になる。・・・いいか、絶対に死ぬのではないぞ」

男「ネコさんこそ」

猫「む・・・。お前私を誰だと思っておるのじゃ」

男「はは、失礼しました」

男「・・・そういえば、吸血鬼は・・・?」

猫「去ったよ。どこへ消えたのかは、私にも分からぬ」

男「何者だったんです、彼は」

猫「最強の吸血鬼にして最『凶』の吸血鬼、じゃったかな。通り名はいくらでもある。じゃが、数週間前に深手を負ったそうじゃ」

男「それで身を隠していた、と?」

猫「いくらやつでも、心臓の回復には時間がかかるのじゃよ」

男「・・・」

猫「さてもう休むぞ。明日は決戦じゃ」

男「・・・はい。おやすみなさい、ネコさん」

猫「いい夢をな、人間」

ちょっと休憩する

酉に関しては、立てたときにつけ忘れちまったのよ
混乱させてスマヌ

深夜
男「zzz」

猫「・・・」

猫(そううまくいくはずもない)

猫(仮にも相手は神だ。人間が立ち向かえる相手ではない)

猫(・・・といっても、聞かぬのじゃろうなこのアホは)

ボン

猫娘「お前のような者が、もっと早く現れていてくれればな・・・」

猫娘「じゃが、それも過ぎた願いやも知れぬ。この妖の身にはの・・・」

猫娘「じゃがせめて、今夜だけは、暖かいところで寝かせてくれ・・・」

翌日 午前

男「む・・・」

猫「起きたかの?」

男「ああ、お早うございます」

猫「うむ。身体の調子はどうじゃ」

男「ええ、快調です」

猫「何よりじゃ。それで、どういう装備で乗り込む気じゃ?」

男「え?ええと・・・あ、木刀と竹刀が一本ずつ、それにガスガンがあります」

猫「・・・。それで神に立ち向かうと?」

男「・・・はい」

猫「・・・まぁ無いよりマシか。さて朝飯にしよう。力をつけねばの」

ちょっと風呂入ってくるわ

雪女「風呂くらいいいじゃんかよー」

男「まて、その理屈はお前が言うとおかしい」

ただいま 再開しますわ

男「でも実際、マサムネにそれと昨日のシロみたいなやつがわんさか居るんでしょ?」

猫「恐らくじゃが。仲間が全員ああいう状態だと考えると、それなりに厳しい戦いになると想定できるの」

男「ガスガンじゃ豆鉄砲程度か・・・」

猫「じゃろうな」

男「でも他に武器なんて」がさがさ

男「・・・ん?」

猫「なんじゃ?」

男「・・・妙案が浮かびましたよ。ちょっと買い物に行ってきます」

猫「??」

決戦の日 午後

男「ただいま」

猫「・・・んむ?ああ、帰ったのか、随分遅かったの」

男「寝てたんですか。ええ、ちょっと遠出になってしまいましたから」

猫「それで、何をこしらえてきた?」

男「ふふ、ネコさんにも内緒ですよ」

猫「何じゃと」

男「大丈夫です、絶対に効きますから。でも、ネコさんにも効いてしまいますので」

猫「・・・?」

EX 同じ頃

女「あそこか・・・、猫の本拠地は」

?「関ァ心しないな、お譲ちゃん、抜けェ駆けは禁止だろうにィ・・・」

女「・・・貴様か。この真昼間に蝙蝠傘とは、何の冗談だ?」

?「吸ゥ血鬼はァ、本来闇の生き物だァ・・・。それを無ィ理やり動かすとなればァ、こうもなるねェ・・・」

女「何の用だ吸血鬼」

?「この国での名前はァ凶だァ・・・。覚えておくがいい、月島ァ夕葵ィ・・・」

月島「・・・」

凶「簡ン単なァ話よ・・・。一匹のォ猫が今夜ァ、ここに襲撃をかけるゥ・・・。それまでここに手を出すなァ・・・」

月島「何だと」

凶「それがァ一番いい戦いになるゥ・・・。邪魔はさせェん。どうしてもというならばァ・・・私が相手だァ、小ォ娘・・・」

月島「・・・ふん、手負いの吸血鬼風情が、大きく出たものだ―――っ!!」

決戦の日 午後
男「これがそうだ・・・」

友「すまんな、わざわざ」

男「いや。こっちこそすまん。もう少し早く見つけられていればな・・・」

友「いや良いんだ。見つかっただけでも、十分さ。わざわざ布にまで包ませて、悪い」

男「・・・」

友「さて、こいつの墓を作ってやらないとな。大事な友達だったんだし」

男「・・・そうだな。じゃあ、俺はもう行くよ」

友「なんだよ、上がっていかないのか?」

男「ああ。すまんがこのあと用事があるんでね」

友「そうか、じゃあ仕方ないな。彼女でも待たせてんのか?」

男「まさか。じゃ、また学校で」

友「おお、またな!!」

・・・

友「何でだよ・・・。何で死んじまったんだお前・・・」

友「この前まで、あんなに、元気だったじゃねぇかよ・・・!!」

友「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

男「・・・」

猫「行こう。そっとしておいてやるんじゃ」

男「・・・ですね」

猫「シロは幸せ者じゃ。良い飼い主にめぐり合った」

男「アイツ、根はいいやつですから」

猫「私は死後の世界には興味がないが、私が死んだ後、どれだけの者が喪に服してくれるかが気になる」

男「そうなんですか」

猫「もっとも、知り合いや友人など、ほとんどいないのじゃがの」

男「・・・」

猫「しかも、半分は死んでおるようなものじゃな。化け猫じゃし」

男「ネコさん・・・」

猫「この千年間は主人を思い続けて生きてきた。では、次の千年はどう生きようかの・・・」

男「・・・」

猫「ふむ、しかしまずは、目先の問題、じゃな」

男「・・・ですね」

同日 夕方 男自宅

猫「準備はどうじゃ?」

男「ええ、何とかなりそうです。武器は全部持ちました」

猫「ならそろそろ出かけよう。ここから空き家まで、距離がある」

男「車を出します」

猫「ん。それと、私のための服を用意してくれ」

男「服?変化する気ですか」

猫「うむ。車とよやらに乗るのにも都合がよいしの。下着はどこじゃったか」

男「ええと、箪笥のかなに一式入ってます。ブラの着け方は覚えましたか?」

猫「慣れぬのう、手伝いがいるやも知れぬ」

男「練習しててくださいっていったじゃないですか・・・」

猫娘「な、なんとか着れたぞ」

男「服着るだけでどうしてそんなにボロボロになるんですか」

猫娘「仕方あるまい、勝手が違うのじゃ」

男「やれやれ・・・。じゃ行きましょうか。帽子被ってください」

猫娘「耳が潰れてこそばゆい」

男「耳を隠すためのものですからね、それは」

猫娘「ん―――」

男「・・・ネコさん?」

猫娘「不思議なものじゃ。最初は蝙蝠をけん制するつもりじゃったのに、今はここが我が家じゃと思えてならぬ」

男「・・・」

猫娘「わずか数日じゃが、濃い数日じゃった」

男「そう、ですね」

猫娘「この戦いが終わったら、またここに戻ろう。ダメかの、人間」

男「良いに決まってますよ」

猫娘「車というのはどうにも慣れぬ。嫌いじゃ」

男「我慢してください。竹刀だの木刀持って電車乗るわけにはいかないんですから」

猫娘「じゃがの」

男「では、行きましょう」

猫娘「うむ、参ろうぞ」

・・・

隻眼の猫「・・・今日だ」

トラ猫「」

ブチ猫「」

子猫「」

親猫「」

隻眼の猫「人間に我らの存在を知らしめる狼煙を上げろ。我らはここにある、と!!」

隻眼の猫「月はすでに登った。共に行こう、同志達よ!!」

同日 夜 猫屋敷手前
男「この辺ですね」

猫娘「うむ。車を止めるんじゃ」

・・・

男「ここからは歩きですか」

猫娘「うむ。車内に閉じ込められたり、爆破されたらかなわぬ。ここからは行進じゃ」

男「・・・行きましょう」

猫娘「気を抜くな。すでにやつらには知られていると思った方がよい」

男「奇襲もある、と?」

猫娘「大いに考えられる」

男「・・・」ごくり

EX 同じ頃 ここでないどこか

雪女「いやー案の定やつら進軍始めましたねー」

?「・・・随分気楽ですね」

雪女「そうでもないなー。割と焦ってます、実際」

?「猫の方はどうなんです?」

雪女「あっちは何とかしてくれそうでしたよー。月島さんもいますしー」

?「投げやりじゃないですか」

雪女「ぶー。吸血鬼さんは細かすぎるんですよー」

娘「あんまり適当なこと言ってますと、血吸いますよ」

雪女「ひぃ、赤ワインでも飲んでてください、それかトマトジュース!!」

娘「はぁ・・・。その話はもう終わりましたよ」

雪女「え?」

男「・・・猫屋敷は」

猫娘「あと五百メートルってところじゃ」

男「敵は?」

猫娘「今のところは気配がにゃい」

男「緊張しますね・・・」

猫娘「じゃろうな。が、それでいいんじゃよ」

男「・・・」

がさっ

男「!」びくっ!!

猫娘「む、お前たち・・・」

家猫「」

トラ猫「」

猫娘「ちぃ、やはりそういう常態か!人間、来るぞ!!」

男「えぇ!?」

家猫「」バキバキ!!

トラ猫「」バキボキ!!

男「せ、生物学的にまずい音がしてますよ!?」

猫娘「やはりシロと同じか・・・。マサムネめ・・・」

禍々しい虎「ぐるる・・・」

目が虚ろな男「ハァァァァ・・・」

男「と、虎っ!?」

猫娘「そういう神格化もあるということじゃ。人間、私から離れるにゃ!」

禍々しい虎「グォォォッ!!」

目が虚ろな男「ハァァァァァァ・・・!!」

バチッ!!

猫娘「ふん、もう油断はせぬよ」

男「確か、結界・・・?」

猫娘「このくらいなら造作ない。人間、その木刀を貸せ」

男「あ、はい・・・」

猫娘「・・・。スマンな、お前たち。少し痛いが、許せ」

禍々しい虎「グルルル!!」

目が虚ろな男「ァァァァ・・・」

猫娘「ふぅぅぅぅ・・・。・・・セイッ!!」

ドカバキッ!!

禍々しい虎「!」

目が虚ろな男「ゴホッ!」

ドサドサッ!

男「おお・・・」

猫娘「・・・ふぅ・・・」

トラ猫「・・・」

家猫「・・・」

男「気絶、ですか」

猫娘「そんなところじゃ。朝には起きれるじゃろ。すまぬが、道に端においてやってくれ。轢かれては元も子もない」

男「あ、ああはい」す・・・

猫娘(しかし・・・このペースで数十匹、か・・・)

猫娘(もてばよいが・・・)

男「OKです」

猫娘「・・・よし、進むぞ」

猫屋敷
隻眼の猫「来たか、彼女が・・・」

隻眼の猫「全員でまとめてかかるぞ。数に物を言わせるのだ。俺も出るぞ」

ブチ猫「・・・」バキバキ!!

子猫「・・・」ブチバキッ!!

野良猫「・・・」メキョッ!!

隻眼の猫「行くぞ、全軍・・・出撃」

猫屋敷手前 広場
猫娘「・・・!」ピタッ

男「な、何ですか。何か出ましたか」

猫娘「・・・この気配は・・・主人、いや、あの女と蝙蝠の・・・?ここで二人が戦った・・・?」

男「え?」

猫娘「・・・いや、なんでもないのじゃ。進もうぞ」

?「ここまでです」

男「!?」

猫娘「その声は・・・マサムネか」

隻眼の猫「はい。残念ですが、あなたたちはここまでです」

猫娘「何じゃと?」

男「ネコさん!!」

猫娘「む・・・!」

隻眼の猫「そういうことです。すでに、あなたたちは包囲されています」

「キシャァァァァァ・・・」
「ハァァァァァァ・・・」
「グルル・・・」
「ゾル、ゾル・・・」

男「ぜ、全方位が化け物・・・」

猫娘「ち、気配を消す術を教えたのじゃな・・・」

隻眼の猫「そういうことです。すでに勝負はつきました。いかに貴方でも、この戦力差は厳しいでしょう。ましてや、人間を護りながらなど」

男「ぐ・・・」

猫娘「なぜじゃマサムネ・・・。なぜこんなことをした。なぜ、シロをあんな目にあわせたのじゃ」

隻眼の猫「・・・あいつが望んだことです。そして、私はそれに応えた」

猫娘「答えになっておらぬ」

隻眼の猫「人間は確かに優しい。けど、それでいて弱い。その癖、我らを忘れんとしている」

男「・・・」

隻眼の猫「人類は贖罪せねばなりません。我々に、そしてこの自然に。超自然的な力から生じた我々に」

猫娘「お前は人間を、あの老婆を愛していただろう」

隻眼の猫「違うのです。私が好いていたのはあの老婆の優しさだったのです。彼女の息子は、私や彼女の愛したものを全て奪い取った」

隻眼の猫「そして、私は聞いた。あの男が、私を保健所に送ろうとしていたことを」

男「保健所・・・」

隻眼の猫「そうだ、今日も何十匹という仲間が、人間のエゴのせいで殺された。信じていた人間に」

隻眼の猫「人間は殺しています。仲間を、そしてこの自然を。我々妖怪を、仲間を」

隻眼の猫「それは貴方にも分かっていたはずだ。そんな相手と共存など、できるはずがない」

男「それは、」

猫娘「言いたいことはそれだけか、マサムネ・・・」

隻眼の猫「!」びくっ

ボン・・・

猫「人間は確かに身勝手かも知れぬ。じゃが、だからといって貴様の身勝手な言い分を通して良い道理もない」

隻眼の猫「しかし・・・」

猫「ここで争って何になるのじゃ?人間に宣戦を布告する?我らの存在を知らしめる?それで何を得るのじゃ?」

男「・・・」

猫「現にお前は、お前を一番想っていた猫を殺し、仲間を化け物に変えた。それで何を得たのじゃ?何を得るんじゃ!?」

隻眼の猫「・・・!」

猫「人間が正しい、などとは言わぬ。むしろ人間は正しいことなどほとんどありはしない、自分勝手な生き物じゃ」

男「っ・・・」

猫「じゃが、貴様のしたことは過ちでしかない。人間のクズよりもさらに下の、最悪最低の行いじゃ!!」

隻眼の猫「・・・どうやら、言葉は通じないようですな。なら、」

猫「・・・」

隻眼の猫「力ずくで、俺の理論を通してみせよう・・・。そして、貴方を超えてみせる」バキバキッ!!

男「・・・うわ」

猫「・・・」

隻眼の大ライオン「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!」

猫「大した本性、本体じゃな」

隻眼の大ライオン「満月の力を得た私に勝てるものなどない!しかも、貴方の周りは敵だらけだ。ここまでですね、我が師よ」

猫「若いの・・・。まだまだ若いんじゃよお前は」

隻眼の大ライオン「ふ・・・。かかれ、全軍!!」

「キシャァァァァァァ!!」
「ハァァァァァァァァァ!!」
「グォォォォォッッッ!!」
「ゾルゾルゾルッ!!」

男「こんの・・・!」

猫「!?人間!?」

隻眼の大ライオン「ほぉ、何を・・・?」

男「食らえ、マタタビ爆弾!!」

猫「な、」
隻眼の大ライオン「に!?」

「キシャァァァァ・・・」
「ハァァァァァァァァァァァァ・・・」
「グォォォォォッッッ・・・」
「ゾルゾルゾルッ・・・」

隻眼の大ライオン「貴様何を!?」

男「マタタビエキスをたっぷりしみこませた布のボールだ。マタタビの匂いはするわ、転がってじゃれるわで忙しいだろ」

猫「妙案とは、それか!!」

隻眼の大ライオン「おのれ小癪な・・・!!」

男「おおっと、さらにこっちの連中にはこれをプレゼントだ」ポイッ

猫「あ、あれは・・・」

男「そう、マタタビの木の枝そのまんまと、高級猫の餌!さらに自動で逃げ回る鼠玩具耐久性アップ版!!」

隻眼の大ライオン「貴様・・・!!」

猫「人間・・・!!」

男「さ、これで一対一ですよネコさんに化け物ライオン!!」

隻眼の大ライオン「く・・・。舐めるな、月の力を得た俺は、すでにこいつを越えているっ!!」

猫「残念じゃな・・・よい才能なのじゃが。潰さねばなるまいて」

隻眼の大ライオン「!?」

猫「人間・・・願わくばこの姿は・・・見てくれるな」バキバキバキッ!!

男「!!」

隻眼の大ライオン「ば、かな、そんな・・・」

男「ぁ・・・!」

猫「月の力が自分のものだとでも思ったのか?」バキバキバキ!!
猫「変化ができるのは自分だけだと?」バキバキバキ!!!!
猫「化け物が、自分が最強だと本気で思ったのか?」バキバキバキ!!

隻眼の大ライオン「あ・・・ぁ・・・」

男「―――――」


白金の大虎「―――だから、お前は若いんじゃ」

隻眼の大ライオン「ぁ・・・」

白金の大虎「ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!」

月島「!」

凶「ほぅ・・・。言うだけのォことはあってェ・・・。禍々しいぞォ、猫めがァ・・・」

月島「・・・」

凶「なぜェ戦意を喪失させた小娘ェ・・・?」

月島「お前と戦う理由が無くなった。そしてこれでハッピーエバーアフターだ」

凶「ほォ・・・。私をォ倒ォさずとも、ハッピーエンドだとォ・・・?」

月島「・・・お前は最初から私を殺す気なんてなかっただろう。そしてそれは私も同じだ」

凶「何・・・?」

月島「奴らがもぎ取った結末なら、私も言うことはないさ。それに、少し疲れたんだ」

凶「・・・」

月島「お前も、身を休めた方が良い。心臓の傷、まだ塞がっていないのだろう?」

凶「・・・勝負はァ預けたぞ小ォ娘・・・。次は殺す」

月島「やってみろ、化け物」

隻眼の大ライオン「ばかな、こんな、こんなに差があるのか!?」

白金の大虎「何に驚く?なぜ驚く?超自然的な力とやらから生じた貴様が、自然の道理にしたがって敗れようとしているのに。即ち―――」

隻眼の大ライオン「ひ・・・!」

白金の大虎「―――弱肉強食。塵に過ぎない妖怪は、塵に還るのだな」

隻眼の大ライオン「ふざけるな、俺は、俺も神格化している!!つまり力は互角!!互いをぶつければ、対消滅が基本のはず!!」

白金の大虎「ならば試してみるがよい。神とはどういうものか、貴様には永遠に知れないだろうがな」

隻眼の大ライオン「黙れ!!そして死ねェェェェェッッ!!」

白金の大虎「―――」

ガブッッッ!!

男「あ・・・!!」

隻眼の大ライオン「どうだ!?」

白金の大虎「・・・失せろ」

ゴッ!!

隻眼の大ライオン「うおっ!?か、風!?」

白金の大虎「なぜ驚く?でいだらぼっちと化した互いの身で、なぜお前はこんなことすらできぬのだ?」

隻眼の大ライオン「うぐっ・・・」

白金の大虎「いいだろう、貴様と対消滅するというのなら、試してやろう」

隻眼の大ライオン「ぐ・・・くそぉぉぉぉぉ!!」

隻眼の大ライオン「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッ!!」
白金の大虎「後ァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!」

男「うわぁぁぁぁぁぁァッッ!?」

・・・
雪女「連中、諦めたようですねー」

娘「ということは、猫が収まったということですか・・・」

雪女「ほーれみろ、やっぱり平気だったじゃないですかー」

娘「・・・。今回は、何とか、でしょう」ピキピキ

雪女「世の中結果が全てです。過程や方法など、どうでもいいのだァーッ!」

娘「はぁ・・・。しかし、最後は神同士の戦いですか。正直、危なかったですよ」

雪女「それも事実ですねー。でも、神同士が戦った時点でこの結果は見えてるんだなーこれが」

娘「え?」

雪女「昔っから、神と神が戦ったら両者引き分けで対消滅って決まってるんですよー。どんなに力の差があっても、ねー」

娘「そう、なんですか」

雪女「さて、そろそろ愛しのダーリン達が戻ってきますよ。ふふ、戦地は大変だったでしょうけど」

娘「・・・くすっ。そうですね」

男「う・・・?」

月島「目が覚めたか」

男「あんたは・・・。ここは?」

月島「猫屋敷の前の広場だ。倒れたまま動かないから、死んだかと思った」

男「っ!そうだ、ネコさんにあのライオンは!?それに他の猫たちは!?」

月島「・・・。無事な猫たちはもう自分の家に着く頃だ。キミは一晩中そうして倒れていたのだから」

男「一晩中・・・?そういえば、空が明るく・・・?」

月島「見ろ、ちょうど日が昇る。ようやく、全ての戦いが終わった。戦争は起きなかった」

男「・・・っ」

月島「希望の光、というのは陳腐なセリフだ。おい、無理に動くな。生きてるのが奇跡なんだから」

男「そう、なのか?」

月島「当たり前だ。あんな至近距離で神さま同士の戦いを見ていたんだ。何かすごい力に救われたとしか思えないな」

男(ネコさん・・・)

月島「・・・キミがあの猫とどういう関係だったのかは知らない。だが、これだけは伝えないとならない」

男「・・・なん、だ?」

月島「神と神が戦ったら、勝者はいない。両方とも消えてしまう」

男「・・・あ?」

月島「神のルールのようなものだ。あの二匹は、それを承知で戦っていた」

男「オイ待てよ・・・。それじゃ、ネコさんもあのマサムネって猫も・・・」

月島「・・・」

男「嘘だろ・・・。そんな、そんなのって・・・」

月島「あの隻眼は、己の一族を護るために。そしてあの猫は、キミを、そして他の一族を護るために戦った。お互いに引くことなく。譲ることなく」

男「・・・」

月島「そして、彼らは・・・。仲間を、キミを守り抜いた。神がそうするかのごとく、キミらを守った」

男「嘘だ・・・」

月島「方向性は違えども、彼らはまさしく神そのものだった・・・。そういうことだ」

男「」

月島「客観的な方向は以上だ。・・・私個人としては、残念。もし彼女の言うとおり千年前に私の前世がいたのなら・・・。もう少し話をしたかった」

男「」

月島「・・・もう会うこともないだろうが。キミに幸があることを祈る」ザッ・・・ザッ・・・

男「」


「それから・・・しばらくして。俺は車に、戻っていた。
どう戻ったのか、まるで覚えていないが・・・。気がついたら運転席にいた。
それでも、助手席に誰もいないのが妙に気になった。
ミラー越しに自分を見ると、死人のような姿をしてた。
閉塞された目。ネコさんはそういった。
今ならわかる。俺は一人だった。あの喋る猫が現れるまで。
けどその後は一人じゃなかった。楽しい日々だった。
そして今は、また一人だった、


「雪女も止まったのだろう。ラジオのニュースは昨日までと同じニュースを流す。
当然のように流れる日々。ネコさんのいう通りだ、昨日神さま同士が戦ったなんて、誰も気にしてなかった。
ひどく時間をかけて、俺はようやく家の駐車場まで戻った。
途中、あちこちで猫がじっと俺を見つめているのが分かった。
だがそれだけだ。喋る猫はいなかった」

月島「・・・久しぶりだな、ここも・・・」

杏奈「・・・妹ちゃん!?」

月島「・・・久しぶりですね、姉さまそれに、・・・兄さま」

・・・

雪女「私だってがんばったんですよー。もう働きたくないでござるー」

娘「はいはい、お互い休暇が必要ですね。私もそろそろ小腹が空きました」

雪女「吸われる!?」

娘「吸いません。―――あ、」

雪女「あー!!帰ってきました!!」

エリス「お姉さん驚いたわよ?あなたがあんなふうな行動とるなんて」

凶「ふん・・・。何のォことだかわからんなァ・・・」

エリス「ふふっ・・・。変わらないのね、そういうところは昔から」

凶「過去に意ィ味など、ないィ・・・」

エリス「あら、昔の女は捨てる主義だったかしら?あたしのこと噛んでおいて?」

凶「時間の無駄だァ、失礼するッ!」

エリス「あらら、照れちゃって・・・。ふふっ」

and...

男「ネコさん・・・」

男「でも、楽しかったですよね」

男「俺もまだ、頑張れそうです」

男「・・・ただいま」






猫「ああ、お邪魔してるぞ。勝手にな」
fin

過去作読まないと分からん箇所についてはすまん
最後だからと思って全部やってしまった

ここまで長かった・・・。お付き合い&保守感謝

障子開けたら縁台で日向ぼっこしつつ寝てた猫さんがいて
しばらく見てたら気がついたらしく、ビクってして
猛ダッシュで逃げ出してワロタ

ところで、>>1の話の猫さんは尻尾何本?

>>1の過去作品読みあさったが、月島ちゃんファンとしてはやっぱり肝試しの結末が気になって仕方ない

>>294
ネコさんの尻尾、というか見た目は普通の猫のつもり

変化後は尻尾が二股のイメージだった

>>296
それなんだけど、あれはもう謎のままの方が返って面白い気がするんだよw
一応オチはあるんだけど、言っちゃったら「えー」ってなるかもだし

前スレは>>212であってるよな
見落としてないか?

>>300
前スレは合ってる
女「ねぇ、天秤座今日何位?」男「十二位」
男「そろそろ冬だな」雪娘「そろそろ本気出すね」
娘「お腹がすいたので噛ませて下さい」男「赤ワインでも飲んでろ」
の順です

>>301
サンクス他にもss書いてなかったっけ
なんか乗っ取りで?

一個目の話が書いてて一番楽しかったし、書きやすかったからなーw
ちなみに真犯人(?)については確か推理でいけるはず
元々肝試しの話は書くきなくて、一個目に全部入れちゃうつもりだったから

さてオマケでも書きますか。。

>>303
ええと、
姉「最近妹分がが足りない」的なやつと
あかり「京子ちゃん、私もミラクるんの同人誌買ったよ!」
は覚えてる
あとは忘れたけどあっても二個くらいしかないはず

after

友「・・・はぁ」

男「元気出せよ、いいことあるって」

友「だといいんだけどな」

男「あ、タバコ屋のお婆ちゃん、助かったらしいぞ」

友「へぇ・・・。それはいいニュースだ。そうか、だからタバコ屋にあの片目ない猫が嬉しそうにしてたわけか」

男「・・・それはよかった」

友「あー・・・。うらやましいぜ・・・」

男「・・・じゃ、俺講義だから」

友「ああ、俺は帰るわ・・・」

友 自宅
友「ただいま・・・って言っても、誰もいないか」

友「・・・」

友「シロの墓参りしよう」

同 庭の隅

友「なぁシロ・・・。俺ダメになっちゃったわ・・・。はぁ・・・」

がさがさ・・・

友「・・・ん?」

真っ白な子猫「なー」

友「うわ!?ね、ねこ!?」

真っ白な子猫「なー」

友「白い・・・子猫・・・。シロ、お前まさか・・・。」

友「あ、ははは、ははははは!!あははははははは!!」

友「よーし、家上がれ、名前を考えてやらないとな!」

真っ白い子猫「なー♪」

after 2
婆「なぁマサムネ・・・。お前なんだろ?私をこの世に引きもどしてくれたのは」

隻眼の猫「・・・」

婆「暗闇に沈んでいく夢を見たんだよ。けどね、大きな片目のないライオンが、私を背に乗せて力強く飛んだんだ」

隻眼の猫「・・・」

婆「できがついたらベッドの上さ。夢だったのかねぇ、アレは・・・」

隻眼の猫「・・・ニャ」

婆「もう少し、あんたと一緒にいたいからねぇ・・・。老い先は、長くはないんだろうけれど」

隻眼の猫「・・・」

婆「私が死んだらね、マサムネ。自由に生きるんだよ。世界は無限なんだから、きっと神さまだってどこかにいるんだよ」

隻眼の猫「・・・ニャ」

after 3
男「ニュースですかネコさん」

猫「他に見るものもないからな」

TV『次は特集です。先日、仙台市郊外で謎の大型の動物のようなものが二匹、満月に吼える姿が多数の人に目撃され・・・』

男「あ」

猫「にゃんと」

TV『・・・大学教授によると、光の屈折と大気中の湿気でそう見えたのではないかということです』

猫「・・・私は光の屈折と大気の湿気でできておるそうじゃ」

男「あ、ははは・・・」

after EX
杏奈「で、どうして急に帰ってきたの妹ちゃん」

?「連絡くらいいれておけよ」

夕葵「すいません、少し気になることがありまして」

?「なんだ?」

夕葵「例の、誰が撮ったのか不明の写真ですが」

?「ああ・・・アレか」

夕葵「警察が押収したものだと思っていましたが、そんなはずがないんですよ」

夕葵「あの子が今まさに死のうとしている様を、警察が見ているはずがないんです」

?「!」

杏奈「じゃあ・・・」

?「はい。・・・彼女が自ら死んだとき、そこにはそれを撮影していた、何者かが・・・いたということになります」

end!

俺も仙台住みだものw

after EX 訂正版
杏奈「で、どうして急に帰ってきたの妹ちゃん」

?「連絡くらいいれておけよ」

夕葵「すいません、少し気になることがありまして」

?「なんだ?」

夕葵「例の、誰が撮ったのか不明の写真ですが」

?「ああ・・・アレか」

夕葵「警察が押収したものだと思っていましたが、そんなはずがないんですよ」

夕葵「あの子が今まさに死のうとしている様を、警察が見ているはずがないんです」

?「!」

杏奈「じゃあ・・・」

月島「はい。・・・彼女が自ら死んだとき、そこにはそれを撮影していた、何者かが・・・いたということになります」

最後の最後ミスったw
end!

>>307
その二個を思い出せんかね
すごく読みたいんだが

>>1ありがとう
お礼にあんたが立てたスレ見つけるたびに支援するわ

>>321
すまん書いたということしか覚えてないんだ

>>323
近いうちにまた別なの書くわw多分姉妹もので

そいじゃお休み、今日も平日ガンバロー

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