雪乃「あなた達、一体何を話しているのかしら？」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

結衣「あ、ゆきのん。どうせ今日誰も相談に来そうにないし、ヒッキーと世間話してたんだけど」

雪乃「いえ、私が気になるのは……その、東山奈央とかいう人のことなんだけど」

結衣「あぁ〜ひょっとしたゆきのんも興味あるの！！ この東山奈央ちゃんって子ね、今すっごい人気あるアイドルなんだよ！」

雪乃「アイドル………そう。それは気の毒ね。私はその東山奈央さんという人になんの興味もないのだけれど、アイドルというのは大変な職業よね。キモオタ谷君のようなどこぞの馬の骨ともわからぬ輩に雑誌越しにでも性的な目で見られるのだから……考えただけで怖気が走るわね」

八幡「おい、俺はただ可愛いなって口にしただけじゃねえかよ。八幡はキモくもねえしオタクでもねえからな！」

雪乃「それで、その東山さんという人はどれ程可愛いのかしら？ 腐った目をした比企谷君が言うならまだしも、由比ヶ浜さんまで可愛いというのならば、それなりに納得のゆく容姿をしているのでしょうね」

結衣「すっごい可愛いよ。ほら、これがその雑誌の写真だよ」っ

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雪乃「まあ……確かに可愛いといえば可愛いわね。私には劣るけど」

八幡「アァンッ！？」ｷﾞﾛｯ

雪乃「ひぃッ！！」ﾋﾞｸ

結衣「わわ、ヒッキーが怒ってゆきのんがびびった！ なんか珍しいし」

八幡「てめぇ…なんて言いやがった！？ "私には劣る"だと……雪ノ下、お前の目の方こそ凍りついて見えなくなっちまってんじゃねえのか」

雪乃「き、聞き捨てならないわね比企谷君。私の目は至って正常よ。あなたのような腐った目と一緒にしないでもらいたいわ」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

八幡「東山奈央ちゃんは戸塚と同じぐらいのレベルの謂わば"天使"だからな！！ お前みたいな毒の吹雪しかねえ雪女と比べんじゃねえよ！！」

雪乃「ゆ、雪女ですって！？」ﾋﾞｸｯ

結衣「ヒッキーの中でもさいちゃんのレベルってそこまで高かったの！？」

雪乃「ｸﾞﾇﾇ………なら、どうして由比ヶ浜さんはこの東山奈央とかいうのを好きなのかしら？」

結衣「え、だって普通に可愛いし人当たりも良さそうだし、なんか同じクラスなら絶対一緒のグループになってたんだろなって感じすんだよね！」

八幡「くッ、そうなると俺は東山奈央ちゃんと仲良くなり辛えじゃねえか」

結衣「別にそんなことないじゃん。そうなればヒッキーとだって同じクラスなんだし、何かのきっかけで仲良くなれるよ」

八幡「そういや、東山奈央ちゃんの声って何処となく由比ヶ浜に似てるよな？」

結衣「え、そそ…そうかな///」ｿﾜｿﾜ

雪乃「由比ヶ浜さん、私を抜きにして勝手にその男と盛り上がらないでくれるかしら」

雪乃「比企谷君、いくらリアルで友人や恋人が出来そうにないからといって、不特定多数から見られる事を仕事にしているアイドルに恋心に似たような感情を持つのはいささかどうかと思うのだけれど……いくらアイドルといえど、あなたのような残念なオタクを憐れむような真似をわざわざしたくはないはずだわ。この東山奈央さんだって、好きでもないファンやおじさん達を相手に作り笑いを浮かべる日々に嫌気をさしているに違いないわ。それなのにあなたのようなゴミに好意を持たれるとは、本当に東山さんの事を思うのならばその狂気染みたふしだらな想いは捨てなさい。きっといつか、東山さんに似た虫があなたの事を好きになってくれるわよ」

八幡「………………うぅぅ」ｳﾙｳﾙ

雪乃「え、ちょっと比企谷君！？」

八幡「うぅぅ……うわあぁぁぁぁぁーーーーーーん！！！」

結衣「わ、ヒッキーが泣き出したしー！」

雪乃「比企谷君、あなた高校生にもなって女子の目の前で泣き出すとは、あなたは人目につくだけで生き恥を晒しているようなものなのに、さらに醜い醜態を私達に見せつけるというのッ！？」

結衣「ムカッ……ちょっとゆきのん！ ゆきのんが酷いこと言うからヒッキー泣いちゃったんだからね！！ 早く謝ってヒッキーのこと泣き止ませなよ！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

雪乃「な、何を言うのよ由比ヶ浜さん。この男が勝手に……」

結衣「もういいし、私がヒッキーのこと泣き止ますし」

雪乃「え、いやちょっと、由比ヶ浜さん！？」

結衣「おーーよしよしヒッキー、泣かないで」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

八幡「うぅぅ……ﾋｯｸ、由比ヶ浜？」

結衣「ゆきのんが言ったことなんて気にしちゃダメだよ。私はヒッキーの味方なんだしね///」

八幡「由比ヶ浜………///」


雪乃「………………」

雪乃「ｺﾎﾝ、このような事であなたに許しを乞おうだなんて不本心ではあるのだけれど、とりあえず謝っておくわ比企谷君。まさか私が正論を言っただけでああも簡単に泣き崩れるだなんて思いもしなかったのよ」

結衣「もう、ゆきのん素直じゃない！ 全然謝ってないし」

八幡「いや、いいんだ由比ヶ浜。その代わり、俺はお前の優しさに気付くことが出来たからな///」

結衣「ヒ、ヒッキー………////」

雪乃「………………」

雪乃「話を変えましょう。確か東山奈央という子が好きだという話よね。そうね……なら、こっちのページに載っている早見沙織という人もなかなか良いのではないのかしら？」

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結衣「あ、はやみんか。まあ確かに声も綺麗だし演技も上手いし、でもねぇ………」

八幡「どっちかと言えば可愛いというより、美人とか大人っぽいとかっていう括りだろうな」

雪乃「美人で大人びていて声も綺麗、まるで私のようね」ﾄﾞﾔｯ

結衣「確かに嫌いじゃないけどさぁ〜〜やっぱり私は東山奈央ちゃんの方が好きかな」

八幡「ああ、俺も同意だな」

雪乃「なッ！！」ﾋﾞｸｯ

雪乃「よく考えなさい二人とも！ 東山奈央のような如何にもオタクから支持されそうなアイドルらしいあざといぶりっ子キャラなんて何時までも続かないし、結局は極一部のマニアック層からしか相手にされないわよ」

結衣「ちょっとゆきのん、言っていいことと悪いことがあるよ！ 東山奈央ちゃんバカにすんなしーーー！！」

八幡「東山奈央と戸塚は"天使"なんだよ！ ぶりっ子でもねえしあざとくもねえ。ぶりっ子であざといと言えば一色がいんだろッーー！」

雪乃「必死な戯言ね。それにこの早見沙織さんの方が誰かに媚びない分きっと長くこの世界で食っていけるはずだわ」

結衣「そんなことないし！ はやみんにだってキモオタいるもん」

八幡「ああ、杉田とかな」

雪乃「………杉田？」



杉田智和『はやみんprpr』

雪乃「と、とにかく、この際だからあなた達も東山奈央さんから早見沙織さんに乗り換えたらよろしいのではないのかしらね？」

八幡「イヤだ、俺は何があっても奈央ぼう推しであり続けるぞ！！」

結衣「わ、私だって……東山奈央ちゃんの方が可愛いし好きだもんね！！」

雪乃「……………チッ」ｲﾗｲﾗ

八幡「おい、こいつ堂々と舌打ちしたぞ」

雪乃「東山谷君、あなたのような盲目的な人がアイドルのイベントへ行って何か揉め事を起こすのよ。そんなこと、東山奈央さんだって望んではいないわ。さあ、ここは身も心も清らかで広い早見沙織さんへ乗り換えましょう………ね？」

八幡「何が"ね？"だよ。奈央ぼうだって小柄だけど心は海のように広いからな！」

結衣「それにゆきのん、知らないの？」

雪乃「知らないとは一体何のことかしら？」

結衣「はやみんはね、今でこそ人気者だけど、昔は結構ヤバかったんだよ」

雪乃「ヤバかったとは、全然売れなかったということかしら？ そんなの当たり前じゃない。誰だって最初は鳴かず飛ばずで無名だったはずよ。今人気者と呼ばれるアイドルや役者達も、そうした苦労を経て地位を築き上げたのではないかしら。それは早見沙織だけではなく、あなた達が推す東山奈央さんも同じことよ」

八幡「いや、多分由比ヶ浜が言うヤバイってそういう意味じゃねえよ。これ見てみよろ」
ｶﾁｶﾁ、ﾎﾟﾁ

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雪乃「な、なによこれはッ！？ これが以前の早見沙織だと言うの！！？」

八幡「ああ、正真正銘のはやみんだぞ」

雪乃「こ、ここ……こんなのただのブ____」

結衣「ゆきのんストォォォォーーーープ！！ それ以上はダメェーー！！」
ｱｾｱｾ

八幡「それは絶対に言っちゃダメだ！！大きいお友達は怒らせると厄介なんだぞ、ねちっこくてシカトしてもグチグチ言いやがる面倒くせえ連中なんだしよ」

雪乃「そんな………はやみんが、親近感を覚えていたはやみんが………うぅぅぅ」ｼｸｼｸ

結衣「ヒッキー、今度はゆきのんが泣き出しちゃったんだけど」

八幡「そのうち何時もの雪ノ下に戻るだろうからほっとけよ。それより、今日はもう誰も来なさそうだし、少し早いけどもう部活は終わりにしようぜ」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

一色いろは「あっ、せんぱぁ〜〜〜い！！」

八幡「せっかく帰ろうと思ったのに面倒なのが来たな」

いろは「なァ！？ 面倒なのがとはなんですかぁーーーー！？ せっかく可愛い後輩がわざわざ会いにやって来たんですよぉ〜」

八幡「もう奉仕部の本日の活動はお終いだ。さ、早く生徒会室へ戻れ」ｼｯｼｯ

結衣「まあまあヒッキー、やっはろーーいろはちゃん。何か用事？」

いろは「やっはろーです結衣先輩！ 相談ってわけじゃないんですけど、ちょっと奉仕部の皆さんに聞きたいことがあって来ちゃいましたっ！」

八幡「なんだよ聞きたいことって………まあいい、手短に言え」

雪乃「そうね……今日はもう誰かの依頼や悩みに耳を傾けるだけの余裕がなさそうだわ……」ﾖﾛﾖﾛ

結衣「あ、ゆきのん復活した！ 」

いろは「この間男子から、女芸人の佐倉綾音って人に似てるねって言われて軽くショックだったんですけど、そんなに似てますか！？」

ｶﾁｶﾁ…ﾎﾟﾁ！

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いろは「私芸人じゃないし、似てませんよねぇ〜？」
















八幡結衣雪乃「いや、そっくりだと思う！！！」

いろは「えぇぇーーーーーー！！？」

END