結衣「相合傘」(68)


ザーーーーーーーーー


京子「はあ…今日は雨かあ…」

結衣「京子、傘はちゃんと持ってきてる?」

京子「忘れちゃったよ…」

京子「…ごめん、結衣、傘入れてくれる?」

結衣「残念だったな、私も傘、忘れてるんだ」

京子「………」

結衣「い、いや、私も京子が傘持ってたら相合傘してもらおうと思ってたんだよ///」

京子「そういえばさ、部室に置き傘が置いてあったよね…?」

結衣「ああ、掃除の時に見つけたあのばっちいヤツ?」

京子「…あの傘を借りようか」

結衣「うーん、背に腹は代えられないか…仕方ない、借りてこよう」

京子「……私が取りに行ってあげるから、結衣は待ってて」

結衣「ん、ありがとな」

結衣「あ、京子、早かったね」

京子「うん、はやかつたよ」

結衣「うーん、やっぱり、その傘、ポロイなあ」

京子「うん、ぼろいよ」

結衣「ま、仕方ないし、さ、相合傘して、行こう?」

京子「あいあいがさして、いこう」


ザーーーーーーーーーーーーー

結衣「それにしても、酷い雨だね」

京子「うん、ひどいあめだよ」

結衣「京子、もっとこっちに来なよ、濡れちゃうよ?」

京子「うん、ぬれちやうよ」

結衣「京子……?」

京子「うん、ぬれちやうよ」

結衣「京子、どうしたのさ、何か、怒ってる?」

京子「うん、おこつてるよ」

結衣「京子、ど、どうしたの…」

京子「ゆ、ゆゆゆゆ、ゆゆゆゆゆゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆい」

結衣「京子…!?」

京子「にげて」

結衣「京子?」

京子「ん?どうかした?結衣」キョトン

結衣「……はぁ…」

結衣「もう、冗談でああいう事するの、止めてよ」

京子「あははは、ごめんごめん」

結衣「ちょっとビックリしちゃったじゃない」

京子「びつくりしちやつたよ」

結衣「きょ、京子?」

京子「びつくりしちやつたよ」

結衣「おい、止めろよ、もう…」

京子「びつくりしちやつたよ」

結衣「……」ゾクッ

結衣「もう、その冗談には付き合ってられないよ!」タッ

結衣「私は濡れて帰るから、じゃ、また明日!」タッタッタッ

京子「また、あした、びつくりしちやつたの」

京子「びつくりしちやつたの」

結衣(……何なんだよ、京子のヤツ…)

~夜~

~結衣宅~

ピピピピピ

結衣「あれ、電話だ…ちなつちゃん?どうしたんだろう…」

結衣「もしもし、ちなつちゃん?」

ちなつ「ゆ、結衣先輩!助けてください!」

結衣「え、ち、ちなつちゃん、どうしたの?」

ちなつ「い、いま、京子先輩が家に来てるんです…」

結衣「え?」

ちなつ「買い物行った帰りに、京子先輩が一人で道に立ってたので声をかけたんですけど…」

ちなつ「何か、様子がおかしくて…心配で、そのまま家まで連れてきたんです…」

ちなつ「最初は普通に喋ってたんですけど…」ヒック

ちなつ「そ、そのうち、わ、私が喋ったのと同じ事しか返さなくなって…」グスン

ちなつ「私、もう、怖くて…いま、家族もいませんし…!」

結衣「わ、判ったよ!今から行くから、待ってて!」

ちなつ「は、はい…お願いします…!」

結衣(京子のヤツ、ちなつちゃんをあんなに怖がらせて…)

結衣(冗談にしてはやり過ぎだろう…!)

結衣「あ、まだ雨降ってるのか…傘持って行こう…」

~ちなつ宅の前~


ザーーーーーーーーーーーーーー


結衣「ちなつちゃん!」

ちなつ「あ、ゆいせんぱい、どうしたんですか」

ちなつ「そんなにいそいで」

結衣「え、ちなつちゃんから、電話あったから急いできたんだけど…」

結衣(あれ、ちなつちゃんが持ってる傘、京子がさっき持ってきたあのボロい傘と同じ…?)

ちなつ「そ、そうでした!京子先輩が、あまりにも不気味だったから、家から飛び出して来ちゃったんだ…!」

結衣「京子は、中に居るの?」

ちなつ「はい…多分…」

結衣「よし、ちょっと叱ってくるよ、多分、何時もの冗談だろうしさ」

ちなつ「はい、お、お願いします…」

結衣「おい、京子?いるんだろ?」パターン

結衣(うーん、暗くてよく見えない…)

京子「 」

結衣「うわ、京子、返事くらいしてよ」

京子「 」

結衣「京子…?」

ちなつ「ゆいせんぱい」

結衣「うわっ、び、びっくりした…」

結衣(何時の間に後ろに…)

ちなつ「びつくりしちやつた」

結衣「……え?」

ちなつ「びつくりしちやつた」

結衣「ち、ちなつちゃん…や、やめてよ…」

ちなつ「びつくりしちやつた」

結衣(な、なんでさっき京子が言ってた言葉をちなつちゃんが…)

結衣「あ、あの、ちなつちゃん?もしかして、京子と一緒になって」

結衣「私をからかってる?」

ちなつ「ゆゆいゆいゆいゆいゆいゆいゆゆゆいゆいゆいゆいいいせんぱい」

結衣「ひっ…!」ビクッ

ちなつ「にげて」

結衣「……」ゾクッ

ちなつ「結衣先輩?どうしたんです?」

結衣「ち、ちなつちゃん…?大丈夫なの?」

ちなつ「え、私は平気ですけど…そ、そんな事より、京子先輩は…!」

結衣「あ、あれ、いない…」

ちなつ「そ、そんな…さっきまで居たはずなのに…」

結衣「まだこの辺に居ると思う、様子が…変だった…」

結衣「ちなつちゃん、ごめん、探すの手伝ってくれる?」

ちなつ「はい!判りました!」

ちなつ「結衣先輩、まだ雨降ってますから、この傘使ってください!」

結衣「いや、私は自分の傘を持ってきてるから…」


ブン


結衣「…え?」


ガシ

ベリ

ギグ

ちなつ「はい、この傘、使ってください!」

結衣(ち、ちなつちゃん、私の、傘を、潰して…)

ちなつ「このかさ、つかつてください」

結衣「ち、ちなつちゃん…」

ちなつ「このかさ、つかつてください」

結衣「や、止めてよ」

ちなつ「このかさ、つかつてください」

結衣「止めてったら…!」ドンッ


グギッ

ちなつ「……」

結衣「ち、ちなつ…ちゃん?」

ちなつ「……」

結衣「ちなつちゃん…!」ユサユサ

ちなつ「……」

結衣「あ、あはは、ちなつちゃん、身体の力が抜けて、壊れた傘みたいに、なっちゃった…」

結衣「ど、どうして、こんな…」ヒック

結衣「ちなつちゃん、ごめん…ごめんよお…」グスン

ちなつ「……」

結衣「……あ、あれ」ゴシゴシ

結衣「ちなつちゃんが持ってた、傘、無くなってる…」

結衣(京子も、あの傘を差してから様子がおかしくなった…)

結衣(も、もしかして、あの傘が原因…なんじゃ…)


プルルルルル


結衣「……!」ビクッ

結衣「電話…あかり?」ピッ

結衣「もしもし、あかり?」

あかり「もしもし、あかりだよ」

あかり「いま、きようこちゃんと、いつしよにいるんだけど」

あかり「ゆいちやんも、こない?」

結衣「京子が…京子がそこにいるのか!?」

あかり「うん、いるよ、あかりのいえに、いるよ」

結衣「あかり!京子は、傘持ってる!?」

あかり「かさ、もつてるよ、きようこちやん、かさ、もつてるよ」

結衣「わ、わかった!あかり!すぐ行くから待ってて!」

結衣「あと、京子が持ってる傘に触っちゃだめだよ!」

~あかり宅~

ザーーーーーーーーーーーーーー


結衣「はあ…はあ…はあ…」

結衣(ち、ちなつちゃん、置いて来ちゃったけど、今は…)ハァハァ

結衣(今は、京子を見つける方が…先…)ハァハァ

あかり「あ、ゆいちやん、どうしたの」

あかり「そんなにいそいで」

結衣「あ、あかり…その、その傘…」

結衣(ま、まさか、あかりまで…あの傘を…)

あかり「ゆいちやん、かさもささないで、どうしたの」

あかり「このかさ、つかつてよ」

あかり「ゆいちやん」

結衣(そ、そうだ、あの傘だ…あの傘が悪いんだ…)

結衣(あの傘を壊せば…きっと…!)

結衣「そ、そうだね、あかり、丁度、傘がなくて困ってたんだ」

結衣「だから、その傘、貸してよ、ね?」

あかり「うん、かさかしてあげるよ」

あかり「はい、ゆいちやん」

結衣「あかり、傘貸してくれて、ありがとう」

結衣「大丈夫、今助けてあげるからね…」

あかり「結衣ちゃん?どうかしたの?」

結衣「あかり、かさかしてくれて、ありがとう」

あかり「傘って、え?結衣ちゃんは最初から持ってたよぉ?」

京子「あ、あかり!駄目!結衣に近づいちゃ!」

あかり「京子ちゃん?」

結衣「だいじようぶ、いまたすけて、あげるからね」

京子「あかり!逃げて!」

ガキ


グキ


ボキ


京子「あ、あかり…あかりまで…傘みたいに、ボロボロに、なっちゃった…」

結衣「きようこ」

京子「ひっ」

京子「ゆ、結衣、もう、もう正気に戻ってよ、お願い…」

結衣「おねがい」

結衣「びつくりした」

結衣「びつくりしちやつた」

結衣「びつくりしちやつた」

結衣「びつくりしちやつた」

結衣「びつくりしちやつた」

綾乃「はー、まだ雨やんでないわね…」

千歳「傘、持ってきてないん?」

綾乃「残念ながら…」

千歳「うちもなんや…どうしよか」

綾乃「あ、そういえばさ、生徒会室に古い傘があったよね」

千歳「ああ、掃除の時に出てきたヤツやね」

綾乃「ポロいけど…あれを使おうっか?」

千歳「せやね、背に腹はかえられへんし」

綾乃「じやあ、わたしが、とりにいつてくるね」





京子「あかりが飼ってる蟻の巣に水を注ぎ込もう」 なら私が書きましてー

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