千早「我那覇さんの誕生日は10月10日」 (13)

 音無さんの手伝いで書類を整理していたときに見つけたプロフィールカードにそう書いてあった。

 私は初めて聞いたし、ほかのアイドルたちも知らないだろう。

 そもそも、知っていたとしても素直に祝福するだろうか。

 今の我那覇さんは、それくらい事務所に浮いていた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381329562

 我那覇さんと四条さんが事務所にやってきてから3カ月。

 亜美真美と早くから打ち解け、事務所に馴染んでいた四条さんとは裏腹に、我那覇さんは孤立していることが多かった。

 孤立……いや、違う。彼女は、自ら望んで他人から遠ざかっていた。

 『団結』を社訓にする765プロはアイドル同士仲が良く見る人を明るくするような芸風のアイドルが多い。

 端的にいうと「明るく可愛く元気よく」といった感じだろうか。

 我那覇さんは、正直言ってその芸風とは真逆だ。

 ソロではNextLifeやTRIALDANCE、ユニットではオーバーマスター、KisSなどを歌ってきた我那覇さんは「かっこよくクールでスタイリッシュ」というスタイルを売りにしている。

 当然765とは真逆であり、他のアイドルとのトークからボロを出さないために、あえて自分を一人にしている……私は、そう思う。

 正直、自分の芸風を維持するために、そこまでできる彼女に私は好感と敬意を抱いている。

 「我那覇さん、ちょっといいかしら」

 誕生日当日、レッスンが終わった我那覇さんに声をかける。

 「ん? なんだ?」

 誤解している人が多いけど、我那覇さんは別に誰かに声をかけられても無視をするようなことはない。

 以前亜美が無くしたゲームを、夜遅くまで残って探していたのは他でもない我那覇さんだ。

 誰かに褒められるためにやったわけではない。それがわかっていたから、私は誰にもそれを言いふらしたりはしなかった。

 「その……音無さんから聞いたのだけど、我那覇さんは料理がうまいのよね?」

 「……ああ。自分、一人暮らしだからな。ある程度自炊はできる」

 「一つ、頼みたいことがあるのだけど……私に、料理を教えてくれないかしら」

 「……いいよ。千早も一人暮らしだもんな」

 そうして、私はうまく我那覇さんを自分の家に誘い――

 「お茶を出すわ。ちょっと待ってて」

 冷蔵庫からケーキを取り出し。



 「我那覇さん。誕生日おめでとう」






 今の自分にできる最大限の言葉で、我那覇さんを祝福した。

 「千早……その、なんで自分の誕生日のことを」

 「音無さんに掃除を頼まれた時に、たまたま貴女のプロフィールカードを見てね……ごめんなさい。迷惑だった?」

 「そ、そんなことないけど……でも、千早ってそんなことするキャラじゃなかったよね」

 「そうね……」

 確かに私たちは似ているかもしれない。

 不器用で、人に関わるのが怖くて、だから、自分から人を遠ざけてしまう。

 「似てるから、ほっとけないのよ」

 それから、二人でケーキを分け合って食べて、それから今までのことをたくさん話した。

 我那覇さんの故郷のこと、私が今まで765プロでしてきたこと、我那覇さんが961でしてきたこと、優のこと。

 そのうち家が近いことがわかり、我那覇さんはうちに泊っていった。

 そして翌日

 「あー!響ちゃん!そのネックレスかわいい!」
 
 「響、かっこいいのだけじゃなくてかわいいのも似合うなあ……うらやましい」

 「真ちゃんはかっこいいほうが似合うよ!」

 私がプレゼントした羽根の形をしたペンダントを見たみんなが我那覇さんに駆け寄ってきたのを見て、私は心地よい気分を覚えた。

 きっとみんな、私と一緒の時間に来て、親しく話す私たちを見て警戒するのをやめたのだろう。
 
 我那覇さんのほうも観念したのか、今までのような堅い雰囲気はない。

 これから、少しずつ我那覇さんが打ち解けて行ってほしい……みんなの態度が変わったことに驚くプロデューサーを見て、私はそんなことを思った。

 Fin.

短いけど終わり
俺の思う響とひびちはを全部突っ込んだ
響ちゃん誕生日おめでとう!

おつ!

おつおつ!よかった

あぁ^~ノンケになる^~

素晴らしいな
乙!

おつー

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