五十嵐響子「子は鎹」 (33)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

モバP「寝る子は育つ」

の続きです。・・・がこの話だけでも読めるはずです。
地の文があるので苦手な方にはごめんなさい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376272820

イヴ・サンタクロースがアイドルデビューを発表して、約2週間が経った。

彼女の話題性が仕事が仕事を呼び、事務所のアイドルたちは全員多忙の時間を味わっていた。


そして、ようやくお暇がやってきたのだった・・・。


─ 事務所 ─

『今日未明、Zプロダクションの□崎 △雄プロデューサーが未成年のアイドルと不純異性交遊が発覚し、書類送検されました』




モバP(以下P)「わ、わお・・・他人事とは思えない・・・」

千川ちひろ「さ、細心の注意を払ってくださいね!」

現在、三人のアイドルからの告白保留中。その他にも危ない態度を取るのがチラホラ。

プロデューサーの立場ってアイドルたちが「あのクソプロデューサーマジやめてほしいよねーっ☆」みたいな感じで陰口叩かれると正直思ってたけど、予想を反している。

こんな状況になってしまうと違った方面で心が痛くなる。


それはともかく。

P「え?事務所の引越しですか?」

ちひろ「はい!皆さんの頑張りもあり、お金が貯まってやっと女子寮が建てられるってことで・・・」

P「待って、なんで女子寮がこの事務所の引越しと関係が?」

ちひろ「社長がなるべくアイドルたちを管理しやすい状態にしたいと言っていたので、女子寮の近くに事務所を移動するんですよ」

P「なるほど・・・、女子寮に住む予定のアイドルたち全員は知っているんですか?」

ちひろ「ええ、ちゃんと調査済みです。皆、事務所との交通が安全性が高いと喜んでいます」

P「俺や社長がその・・・手を出しやすい範囲だということも理解して・・・ですか?」

ちひろ「熱意に満ちた社長と・・・ネガティブ寄りなアナタが手を出すとは思いたくないですよ」



P「・・・はははっ・・・」

ちひろ「一応、信じているので・・・ね」


二人「はぁ・・・」


この2週間の疲れが顔に出ていた。いきなりの引越しに管理業がメインの二人も動揺が心を攻めている。


楽しみとこれから来る疲れに、理性という天秤が疲れに判定を下した。


ちひろ「それより、Pさんのお腹の傷は大丈夫なのですか?」

相原雪乃の襲った暴漢を止めた時、ナイフで受けた傷だ。

と言っても今ではほぼ完治の状態だ。気にすることではない。

P「大丈夫ですよ。もう動いても大丈夫です」

ラジオ体操でよくやる体を捻る動きをやってみせた。

ちひろ「大丈夫そうですね、なら・・・今日はホテルで泊まってもらえませんか?」

P「え、まさか・・・」

ちひろ「そうです、今夜中に業者が荷物を運ぶようなので」

P「さいですか・・・減給処分はまだ継続中なので手痛いなぁ」


「で、でしたら、私の家に泊まりませんか!」


P「き、響子?」

五十嵐響子「今日は両親もいます!弟もいます!家族全員いるんで大丈夫です!」

P「だ、だけどまた社長に怒られる・・・」

響子「私の両親が直談判します!大丈夫ですよ!」


妙に力をこめた主張だった。その気迫に押され、「可能なら行く」と答えてしまった。

─ 響子サイド ─


響子「あ、お母さん!・・・Pさんの許可は手に入れたよ!」

『やったわね!あとはお母さんに任せなさい!お父さんも応援しているわよ!』

響子「うん!」

『男女の関係に勝つには印象よ。どれだけその人の心の中心に残れるか、よ。』

響子「分かってる、負けたくないもん」

『んじゃ切るわね。幸運を祈ってるわよ』

ケータイの電源を切り、ポケットの中にしまった。



ここの所の忙しさの中で、愛しのPさんとは疎遠だ。

だからと言って、誰かのせいにするわけにはいかない。


響子「他のPさんを狙っている人は・・・どう出るのかな?」


ここの所、Pさんは皆と会っていない、強いて会ったと言うなら同じ仮眠室で寝泊りしているイヴさんだけだ。

忙しさで仲間との記憶が薄い今なら、Pさんの心に自分を残せるはず・・・。

先日、母と父が喧嘩をした。

原因は私と弟の学費のことだった。今の学費は私が働いて手に入れたお金も含めて払っている。

母はこのままで良いと言うが、父はそろそろ私のお金を使うのは止めて私自身のために使わせるべきだと言っていた。


どちらも正論だった。両親は共に働いているがやや低賃金。

生活は厳しいとは言わないが、自分で出来ることは自分でやるようになった。

家事が得意なのも親を助けるために一所懸命にやっていたからだ。

そんな生活だが、両親は口を揃えて言ってくれた。

『お前が幸せになってくれればいい』

どんなに何度も喧嘩しても、決して離婚なんてしなかった。

だからこそ、親を安心させたかった。
親への恩返しが早くしたかったから

その方法は最初は私が働くことだと思っていた。


・・・でも、もう一つの方法が浮かんだ。



響子「Pさんと・・・結婚する」






親が社長に相談した結果、私の家にPさんが泊まることが決定した。

正直、許可が降りるとは思っていなかった。



今日の午後に私の仕事は入っていない。家で待つことにした。

─ Pサイド ─

P「まさか俺がアイドルの家に泊まるとはな・・・」

P(まだ高校1年生のアイドル、でもご両親がいるから大丈夫と踏んだのかな)

P「だけど、大丈夫じゃないと思うがな」

P(俺は響子に手を出さない、だが響子は俺に手を出すかもしれない)

時間は午後5時、やや早めに仕事が済んだ。

響子の家の前に着き、俺はインターホンを押した。

響子「あ、Pさん!いらっしゃいまs・・・おかえりなさいって言った方がいいかなぁ、なんて」

P「じょ、冗談はよしてくれ」

響子「えへへ、それじゃあお部屋に案内しますね」


響子に連れられ、客室に連れられた。

綺麗整えられている和室だった。寝るには申し分なかった。


P「お母さんはいるかな?ご両親や弟さんが今日はいると聞いていたんだが」

響子「えっと・・・実は」




P「え?カラオケ!?」

なんでも響子1人を置いてカラオケに行ってしまったらしい。

P「さすがに響子を未婚の男と二人にさせるのは親としては・・・」

響子「両親はPさんが来るのはもっと遅いと思ったんですよ!やっぱり今人気の事務所ですし!」

P「そんなもんかなぁ」

響子「そんなもんですよ!」

妙に熱くなっている響子だった、必死というべきか。


P「と、とりあえず夕食作るよ、キッチン借りたいんだが」

響子「いやいや!私が作りますよ、だんな様のために!」

P「だ、だんなさまぁ!?」

響子「あ、いや、忘れてください!・・・えへへ・・・」

P「不安すぎる・・・」

先ほどから口が滑ってばかりじゃないかな?

P「あ、あーん」

恐ろしいことに料理は5品出されるとは思わなかった。

ハンバーグにほうれん草のバター炒め、シチューに白身魚のホイル焼き、それに磯部揚げを代表にさまざまな揚げ物・・・。

子供っぽいと言われるかも知れないが俺の好みだった。

本音を言うならこんなシチュエーションになるなら肉じゃがを食べてみたかったが言いはしなかった。

響子はテーブルの対面で挟むように座るのではなく、真横に座った。

響子「ど、どうですか?」

ぴっちりこちらの横に張り付き、顔を覗き込むように上目遣い。

手でこちらの袖の部分を摘んでいるのがなんとも男心をくすぐる。

P「美味しいよ。響子が全部作ったのか?」

響子「はい!もちろんです!Pさんに食べてもらいたくて・・・」

育ててて何だが、確かに、これは奥さんに貰いたいタイプ・・・!

P「響子は花嫁系アイドルとして売り出して正解だったなー」

響子(いますぐお嫁に貰ってもいいんですよー・・・なんて」

P「今何か言ったか?」

響子「いえいえ、そういえばご飯食べたら何します?ゲームとか?」

P「部屋で書類作業しているよ」

響子「じゃあ、その間にお風呂洗っておきますね!」




─ 客間 ─

P「ぬおおおおおおおおおおおおおおお!!」

一瞬でも「新婚生活ってこんなんだろうなぁ」とプラス思考になってしまった。

2人っきりなのが、余計に自分を混乱させてくる。

いつになったら親御さんたちは帰ってくるのだろうか。

このままでは・・・俺が持つ響子への警戒心が薄れ、いずれ・・・。


P「いかん、無心になれ。仕事を終わらせるんだ」


もし・・・もし、俺が響子に手を出して、そこに親が帰ってきたとするならば、死で償いきれないものが俺に襲い掛かってくるだろう。

これから響子に誘惑されたら、我慢できるか、いや無理だろう。

一瞬の幸せを手に入れ、一生の罪に問われていく、そうして俺の人生は終わる・・・。



P「くそ、俺が響子に手を出すビジョンしか見えない!」


ネガティブに考えるな、簡単に考えられるだろう・・・。

心を無にし、響子を心の中にいれなければいいんだ・・・。


響子「Pさーん、お風呂沸きあがりましたよー」


P「お、おーう!」




湯船に浸かっている間に、響子の襲撃は無かった。

俺の考えすぎだろうか。それならそれでよかった。




部屋に戻ると、すでに布団が敷かれていた。旅館に来たような感覚を覚える。

枕はビーズのタイプ。俺の好みだった。

P「ずっと考えすぎだよ、俺。普段のネガティブを忘れるんだ」

ただお客をもてなしをしているだけなんだ。

時刻は午後10時前を指していたが、もう寝てしまおう。

P「よーし、睡眠導入剤で買ってきたカルーアミルクでも飲むかー」


─ 響子サイド ─


時刻は11時を指し、確認したらPさんはすでに熟睡モードに入っていた。

ピンチはチャンス!チャンスはピンチ!

Pさんが寝てしまえば、寝ている最中に襲い掛かれば万事解決。

でも寝てしまっていると、証拠が皆無になってしまう。

変な葛藤が頭の中で渦巻いている。

私を活気立てているのは両親の言葉のみだった。


私は質問したことがある。なぜ両親は離れることなく生活できているのか?と。


その答えは一言で返答された。



響子「子は鎹(かすがい)・・・」

鎹・・・木と木を繋げる金具。

子供の存在は夫婦の縁を繋ぎ続けると言う。


すなわち、私とPさんの間に子供が居れば一生Pさんと結ばれる事も可能ということだ。

もう私は高校生、子供はやれば出来る年齢だ。

自分を有利にする言い訳だって用意している。

先日あった誕生日の祝いをもらってないとか、約束だったとか。

そうでなくても普段プレッシャーや責任という言葉に弱いPさんだ。勝てる。



響子「失礼しまーす・・・」

Pさんの寝る部屋にこっそり入りこみ、そーっと近付く。

万が一起きても、男性を誘惑できる寝巻きにしている。ネグリジェというやつだ。

P「ぐー・・・ぐー・・・」


Pさんは先ほどのチェックから同様、ぐっすりと寝ている。

仰向けに寝ているので、これはチャンスだと思って、またがった。


無防備に寝ていたので、まずは唇を唇にそっと当てた。

響子「・・・ん───っ」

初めての感触に感嘆で口から声が漏れる。

響子(これだけで満足できそう・・・体全身が沸騰するような熱さが回ってる・・・)

ファーストキスは終わった。次のステップだ。

四肢が消し飛びそうなくらいの心臓の鼓動。

響子「・・・子は鎹・・・子は鎹、子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹」


呪文のように言い聞かせ、この次のステップへと進める・・・後戻りはできない。

私はPさんの服を脱がそうと手を伸ばした。

響子「子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹子は鎹」

P「う、うーん・・・」

起きない程度に耳元で囁く。この単語がいかに重要か、今後を左右するか。

起きたらこのことわざを忘れてほしくない、そう思って言い続けた。


P「・・・ガー・・・イガー・・・」

響子「・・・な、なんですか!?」


そうしたら、Pさんが掛け声のようなものを呟きはじめた。

なんでしょうか?

P「・・・イガー・・・タイガー・・・」

響子「タイガー?」

P「・・・タイガータイガー・・・」

響子「え?・・・あれ?なんでしたっけ、それ・・・」

聞き覚えがある。懐かしいドラマのワンシーンだったような。


P「タイガー・・・タイガー・・・むにゃむにゃ」

響子「う、うーん、思い出せない・・・」

P「タイガー・・・」

響子「・・・えっと、あ、思い出した!」

P「タイガー・・・タイガー・・・」



響子「じれったいがー!」



思い出しました!感無量!

P「うるへーっ・・・むにゃ」

響子「き、きゃー!」

し、刺激しすぎてしまいました!

ただでさえ体を密着させていたので、いとも簡単に抱きしめられる。

響子「P、Pさん!抱き枕にしちゃダメですっ・・・!」

腕が容易に動かせないほど、強い力で抱きしめられ、彼との距離は0に。

足も絡められ、まったく体を動かせません・・・。

響子「も、もう・・・せっかくの作戦が台無しですよ」

変なこと言って、ちょっと興が冷めてしまいましたし。

でも、Pさんがこんなに近くに感じられているなんて、と考えるとこれはこれでいいかも。


・・・朝までずっとキスしてても怒られませんよね・・・?






─ 翌日・新事務所 ─

P「俺の!俺の!俺の話をきけぇ~♪」

ちひろ「調子よさそうですね、響子ちゃんとの愛の巣にいたおかげですか?」

P「愛の巣ってなんですか。いや~、俺の大好きなドラマの最終回がずっと頭から離れないんですヨ!」

ちひろ「(珍しくテンション高い・・・)タイ○ー&ドラ○ンですか。でもなんで?」

P「なーんか、頭の中に「子は鎹」って単語ががこびり付いてしまって・・・最終回のサブタイトルも「子は鎹」なんですよ」

ちひろ「そういえばそうだったような・・・。でも、もう7、8年前のドラマですよ?何覚えてます?」

P「いやー、小虎が刑務所から出所して、時代が変わったんだなぁって思ったシーンが印象的でしたよ」

ちひろ「私は観客が「子別れだねぇ」って言った時に小虎が噺を置いて1から説明するシーンですね」

P「わかってますねぇ・・・」


ちひろ「ふふふっ、タイガータイガー?」




P「じれっ・・・「じれったいがー!」」




P「き、響子?」

響子「ふふっ、子は鎹ですよ!Pさんっ!」

P「お、お、お、おう」

響子はスキップして去って行った。そういえば妙に顔がテカテカしてた気もする。


ちひろ「響子ちゃんの覚えてる年のドラマでしたっけ?」


P「当時8歳なんで・・・たぶん・・・」




響子(今回の収穫はキス4時間21分という結果だけでしたが・・・いつかはアナタとの鎹を・・・)



終わり

以上です。読んでくれた方はありがとうございます。

響子の誕生日に間に合わなかったのは手痛いけど、ちゃんと完成できてよかった。

今回は少し懐かしいドラマのネタを使ったので、分からない人もいるかもしれませんが、今回出ているネタは大体wikiに載っているのでそちらを参照。
ダビング済みのディスクの中にタイ○ー&ドラ○ン全話が残っていて見ていたら思わずネタに使いたくなってしまいました。

改めて響子ちゃん誕生日おめでとう!

では、また。

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