【モバマスSS】こずえ「みんなのしゃしんをとるよー」 (15)

――事務所

雪美「……こうして、ここを押して……」

こずえ「こうー?」パシャ

こずえ「おー……ぺろのしゃしん、とれたー」

雪美「それで……ここから、こうやって……」ピロン

こずえ「ゆきみのすまほに、ぺろ、きたー」

ガチャ

椿「おはようございます……あ、雪美ちゃん。こずえちゃんに写真の撮り方、教えてるの?」

雪美「うん……スマホで撮る方法、教えてた……」

こずえ「つばき、みてー」

椿「おお……初めてなのに、上手ね。猫ちゃん、しっかり撮れてる」

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こずえ「つばきも、しゃしんのとりかた、おしえてー」

雪美「あ……椿、写真撮るの……スマホ、使わない……」

椿「そうねぇ、いつもはカメラだから……あ、でも、操作じゃなくて、撮り方のコツだったら教えられるかな」

こずえ「おぉー」

椿「まず、さっきの写真、ちょっとだけブレてるよね。だからブレないように、撮るときはちゃんと脇をしめて、左手でちゃんと支えて……」

こずえ「わきをしめてー……ちゃんとささえるのー……?」パシャ

椿「そうそう。こうすると、ほら、猫ちゃんの毛のところ、見て。くっきり写ってるよね」

こずえ「ほんとだー……すごいねー」

椿「あとは、写真を撮るときの向きかな。背景がちゃんと写るときは、まず水平線……タテとヨコをちゃんと合わせるの。ここだったら、あの柱を見ながら……」


ありす(写真の上手な撮り方を調べていたら、向こうでちょうど椿さんの講義が始まりました。すごく分かりやすくて、ついつい耳を傾けてしまいます……)

こずえ「このしゃしん、どうー?」

雪美「私も、ペロ、撮ったよ……」

椿「二人とも、すっごく上手……! コンテストにだって入賞できちゃうかも」

雪美「本当……?」

椿「ええ、雪美ちゃんの写真は、ペロちゃんがすごく良い表情してます。いつもペロちゃんと一緒にいるからかな?」

雪美「ふふ……」

こずえ「こずえはー?」

椿「こずえちゃんの写真も、ペロの動きが出ていて凄いです。本当に、さっきまで写真の撮り方を知らなかったとは思えないくらい……」

ありす(椿さんの反応、あれ、お世辞なのか本気なのか、分かりませんね……でも、こずえさんなら本当に凄い写真を撮っていても、不思議じゃありませんね)

こずえ「しゃしんなのに、うごきー? ……よくわかんないー……けど、ありがとー」

雪美「ペロ、撮りすぎて……カメラロール、真っ黒……」

こずえ「ぺろばっかりー……じゃあー、つぎはねー……つばき、とるー」

椿「あら……なら、お願いしようかしら♪」

こずえ「さいこうのいちまい、とるー……とるよー」

こずえ「わらってー……わらえー……」

椿「うう……やっぱり撮られるの、難しい……」

こずえ「んー」ジー

椿「……どうしたの?」

こずえ「たりないからー……ちょっと、もってくるねー」テテテ

椿「……? 何を持ってくるのかしら……」

こずえ「ありすー……それ、かしてー」

ありす「え? あ、ええ、ちょっとならいいですけど……何に使うんですか?」

こずえ「つばきの、さいこうのいちまい……とるよー」ポチポチ

椿「持ってくる、って、タブレット……?」

こずえ「これ、みてー」

椿「これ、ネットオークション? って、こ、これ、買おうとしていたレンズ……! なんでこれがこんな値段で……ってオークションもうすぐ終わる……! こ、こずえちゃん、ちょっと待っててね……」

雪美「椿……スマホの操作……速い……」

ありす「こずえさん、どうやってそんなの見つけたんですか……」

椿「ギリギリ間に合った……早く……早く……」

ありす「オークションの終わる間際って、みんなこうなるんでしょうか。文香さんで見ました」

雪美「千秋も……やってた……」

椿「…………やったぁ!」

雪美「椿の、こんな笑顔……見たの、初めて……」

パシャ

こずえ「さいこうのいちまい、とれたー……みてー」

椿「あ、こずえちゃん、今撮ったの? って……凄い、私こんな表情してたんだ……」

椿「カメラのレンズのオークション教えてくれて、更にこんな写真まで撮ってくれて……こずえちゃん、本当にありがとう♪」

こずえ「しゃしんおしえてくれた、おれいだよー……ゆきみも、おれいに、とるー」

雪美「ふふ……こずえ、お願い……」

こずえ「んー……」ジー

雪美「……?」

こずえ「……やっぱりあとでー……ゆきみのさいこうのいちまいはねー……まだとれないのー……あとでとってあげるー、やくそくねー」

雪美「……うん、約束……」

ありす「まだ撮れない……って、ペロがいるのに……?」

こずえ「ありすー……たぶれっとのおれい、するよー……とってあげるー」

ありす「え、私ですか? タブレットのお礼って、貸したの、たった10秒だけですが……」

こずえ「とらせろー」

ありす「あ、ええ……お願いします」ニコ

こずえ「ふわぁ…………」

ありす「……あ、あれ? まだ撮らないんですか……?」

ピロン

こずえ「ありすー……たぶれっと、つうちきたよー」

ありす「え? あ、フレデリカさんからメッセージですね……って、また変な写真撮ってる……もう、この人は……ふふっ♪」

パシャ

こずえ「ありすのさいこうのいちまい、とれたよー」

ありす「えっ?」

椿「一瞬のシャッターチャンスを逃さないの、凄い……ありすちゃんの微笑む姿、とても可愛らしいですね」

雪美「うん……ありす、可愛い……」

ありす「も、もう、そんな場面を撮るなんて……それに、撮るなら撮るって言って……」

椿「撮るって言っちゃったら意識しちゃうでしょ? こずえちゃん、カメラマンの才能ありますね」

こずえ「ほんとー? ……じゃあ、こずえ、もっとしゃしんとるー」

――廊下

こずえ「しゃしんー……だれかとらせろー……」

歌鈴「あ、こずえちゃん、おはようございます!」

こずえ「あ、かりんー……しゃしん、とるねー」

歌鈴「こずえちゃん、写真にハマってるの? いいですよ、はいっ、チーズ♪」

こずえ「それ、こずえのせりふー」

歌鈴「あっ、そ、そうでした~……」

こずえ「ふふー……」

歌鈴「え、えへへ……」

パシャ

歌鈴「え……?」

こずえ「かりんのさいこうのいちまい、とれたよー……みてー」

歌鈴「こ、これが私のベストショット……? あ、これ、前にスタッフさんに褒められたことある表情!」

こずえ「しゃしんとらせてくれて、ありがとー……しゃしん、あとであげるねー……こずえ、あっちいくねー」

歌鈴「こずえちゃん、こちらこそありがとうございます! じゃあ私も楽屋にぃいっ!!」ドンガラガッシャーン

パシャ

こずえ「ころぶところも、かりんのべすとしょっとだよー……ふわぁ……」

――中庭

こずえ「ふわぁ…………ぽかぽかー、いいてんきー……」

智絵里「四葉のクローバー、今日はなかなか見つからないなぁ……」

こずえ「おー……ちえりー、しゃしんとらせろー」

智絵里「あ、こずえちゃん……って、写真……? そういえば、デレぽで言っていたような……」

こずえ「みんなのさいこうのいちまい、とるのー……わらってー……」

智絵里「え、えへへ……」

こずえ「もっとわらえー」

智絵里「え、ええと……ごめんなさい、その、ずっと四葉のクローバー探してたんだけど、見つからなくて、ちょっと落ち込んでて……」

こずえ「ふぅーん……くろーばー、こずえもさがすねー……くろーばー、でてこいー……」

智絵里「え、こずえちゃんは写真、撮ってるんだよね? なのにそんな……」

こずえ「ちえりー、みてー……ここにたくさんあるよー」

智絵里「……え? あ、本当……! こんなたくさんあるなんて、凄い!」

パシャ

こずえ「ちえりのさいこうのいちまい、とれたよー……みてー」

智絵里「凄い……クローバーと私が写って……あれ、私、落ち込んでたはずなのに……」

こずえ「わらってるとねー……くろーばーと、あうんだよー」

智絵里「クローバーと合う……遭う……? ふふっ、こずえちゃん、ありがとうございます!」

――公園

パシャパシャ

こずえ「ここ、みんなとれるー……たのしいー……」

渚「お、これ私か? って、ガッツポーズしてる瞬間なんて、いつ撮ったんだ!?」

晴「お、これ、さっきのオーバーヘッドシュートが決まったところじゃん! 写真、送ってくれよ!」

こずえ「いいよー……ふたりとも、あとであげるよー……」


幸子「こずえちゃん、ここでしたか!」

こずえ「?」

幸子「ウワサは聞きましたよ! なんでも、先ほどから皆のベストショットを量産しているらしいじゃないですか!」

こずえ「みんなのしゃしん……たくさんとってるよー」

幸子「じゃあ、このカワイイボクの最高の一枚も、撮ってください!」

こずえ「いいよー」

幸子「フフ、ボクのベストショットを撮れるなんて、こずえちゃんのスマホも幸せですねぇ!」

こずえ「ふわぁー……」ポチポチ

幸子「あ、あれ……? 撮らないんですか……?」

こずえ「しゃったーちゃんす、まだなのー……」

幸子「ボクはいつでもカワイイので、いつでもシャッターチャンスですよ!」

こずえ「もうそろそろ、いちばんいいの、とれるよー」

幸子「え、もうそろそろ、って、どういう……」

P「ん? 幸子とこずえじゃないか、何やってるんだ?」

幸子「あ、プロデューサーさん、おはようございます! 見てわかりませんか? 今、こずえちゃんに写真を撮ってもらってるんです!」

P「おお。どれ、どんなのが撮れたんだ?」

幸子「それが、まだ撮れてないんですよ。せっかくこんなにカワイく決めているのに……」

P「ああ、今日もカワイイぞ、幸子」

幸子「そ、そうですよね! やっぱりプロデューサーさんは見る目がありますね! フフーン!」

パシャ

こずえ「さいこうにかわいいの、とれたよー……みてー……」

幸子「え、ボク、何もポーズ決めてない……」

P「お、本当だ。一番いい表情、撮れてるじゃないか。こずえは凄いな」

幸子「え? た、確かに、今までカメラマンさんに撮ってもらったのより、良い表情かも……」

こずえ「さちこはねー……ぷろでゅーさーに、ほめてもらってるときが……」

幸子「す、ストップ! なにか恥ずかしいこと言おうとしてませんか!?」

こずえ「ぷろでゅーさーも、しゃしん、とるー」

P「俺も? じゃあお願いしようかな」

こずえ「さいこうのいちまい、とるよー」

幸子「こずえさん、プロデューサーさんの最高の一枚って、どんなシチュエーションを撮るんですか?」

こずえ「ここじゃとれないからねー……じむしょにもどるのー」

P「事務所か? 今戻る最中だったし、いいけど……」

幸子「ボクも着いて行きますね。……プロデューサーさんの最高の一枚、何かに使えるかもしれませんし」


――事務所

こずえ「ぷろでゅーさー、すわってー……すわれー……」

P「おう」

こずえ「そうしたらー……こずえも、すわるよー……」ポフッ

幸子「え? なんでプロデューサーさんの膝に座るんですか?」

P「写真を撮るんじゃなかったのか?」

幸子「……あ! まさか、こずえちゃん……!」

こずえ「うちかめらにしてー……」

パシャ

P「って、これじゃツーショットだけど……ああ、ひょっとして……」

こずえ「ぷろでゅーさーはねー、こずえといっしょにいるときが、いちばんいいんだよー……」

P「まあ、アイドルのプロデューサーだしな。確かに、一番サマになってるかも」

幸子「こずえちゃん、それはズルいですよ! ボクもプロデューサーさんと一緒に撮ります! ほら、膝貸してください!」

こずえ「さちこー、まだだめー……さきにとらなきゃいけないのが、あるのー……」

P「先に撮らなきゃいけないの……?」

こずえ「うんー……やくそく、してたからねー……」

ガチャ

雪美「こずえ……写真、撮る、って……?」

こずえ「うんー、こっちきてー……ぺろもこいー……」ヒョイ

ペロ「ンギャア」

幸子「な、なんで雪美ちゃんを先に……?」

こずえ「ゆきみはねー……しゃしんのとりかた、おしえてくれたのー……さいこうのいちまい……やくそくしたー」

幸子「それなら仕方ないですが……でも、後で撮ってくださいよ!」

こずえ「いいよー……ゆきみー……ぷろでゅーさーのひざにすわってー……」

雪美「……あ……うん……分かった……」ポスッ

P「俺の膝はフォトスタジオじゃないぞ……まあいいけどな」

こずえ「それからー……ぺろもだよー」ポスッ

雪美「プロデューサーと、ペロの……雪美サンドイッチ……ふふっ……」

パシャ

雪美「こずえ……ありがとう……」

雪美「……ふぁ……」

こずえ「ねむくなってきたねー……ぷろでゅーさー……こずえものるー……」ポフ

幸子「え、ちょっと、こずえちゃん!?」

雪美・こずえ「「……すぅ……」」

P「もう寝てる……って、二人と一匹を膝にのせて仕事するの、大変なんだけど……」

幸子「こずえちゃん、起きてぇ……ボクもプロデューサーさんと一緒に撮ってぇ……」


30分後、幸子は無事写真は撮ってもらえた。


おわり

あぁ可愛い……(小並感)

こずえ 今
「さいこうのいちまいができたよー、かくにんしろー」

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