杏「今日のお仕事を教えてください」 (27)

モバマスssです。

完結はしているのでガンガン投下していきます。


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モバP「………………すまん。最近寝てないせいで空耳が聞こえたみたいなんだ。もう一回言ってくれ」

杏「今日の仕事内容を教えて欲しいんです」

杏「あ、それと、どんなお仕事も資本は体ですからね。お体は大事になさってください」

モバP「なん…………………だと………………………!?」

杏「どうしたんですか? プロデューサーさん」

モバP「そんな………………」

杏「?」

モバP「あ、杏。お腹でも痛いのか? それとも熱か?」

杏「いえ、体調は至って良好ですが」

モバP「へ、変な口調だなぁー。なんかのラノベの影響でも受けたんだろ」

杏「私とプロデューサーさんは、少し特殊ですが上司と部下の関係です。敬語を使うのは勿論、私から進んで指示を仰ぐのは当然でしょう」

モバP「」








モバP「」

杏「プロデューサーさん?」

モバP「ハッ! なんだ夢か………………」

モバP「聞いてくれよ杏。今お前の格好をした社会人が出てくる夢を見てな」

杏「私も未熟ですが一社会人ですよ?」

モバP(夢オチじゃない。これは現実なのか)

モバP「杏が自分から事務所に出勤してくるばかりじゃなく、俺相手に敬語だと………………。こんなの絶対おかしいよ」

杏「クスッ。おかしなプロデューサーさんですね」

モバP(よくよく細部を観察するとおかしな点はまだ見つかる)

モバP(髪は綺麗に整えてあるし、服装もいつも着ているノースリーブやらネタTシャツじゃなくてシックにまとめられていて大人っぽさが漂っている)

モバP(極めつけは右手に持たれたタブレットと開かれたスケジュール帳アプリ。あのコンボはスマートに仕事ができる奴じゃないと似合わない。むしろ仕事できない人間がやってしまうとあまりの痛々しさに同僚から笑われてしまう)

モバP(俺も凛に笑われて以来使っていないのに………………。杏には似合っているだと)

モバP(どうしちまったんだよ、杏)

モバP(……………………………そうだ!! まだ俺には希望が残っているじゃないか!!)









モバP「杏」

杏「はい。なんでしょうか?」

モバP「今日は朝早くからの仕事だ。そろそろ欲しくなってくるんじゃないか?」

杏「はぁ………………?」

モバP「ほらほら、飴だよ。今日は老舗から取り寄せた特別品だぞ。欲しいよな? な?」

杏「………………朝ご飯を食べたばかりですよ。子供じゃないんですから」

モバP(やんわりと諭された………………)

モバP「あ、杏。今日は収録をキャンセルしてもいいから病院に行こう。お前、疲れてるんだよ」
 
杏「………………そろそろ出発しないと間に合わなくなりますよ。私の準備は終わってますから、プロデューサーさんも支度をお願いします」

モバP「あぁ」






バラエティー番組の収録スタジオ



モバP(歌番組なら誤魔化せたかもしれない。しかし、バラエティーとなると話は別だ)

モバP(あのグータラキャラを期待されて杏が呼ばれたのに、実際の杏は敬語を使いこなし真面目に振る舞うなんの面白味もない真面目っ娘)

モバP(下手したら週刊誌が騒がしくなるかもしれない。『ニート系アイドル双葉 杏、働かないのはキャラだった!?』とかあることないこと書き連ねられる可能性がある)

モバP(どうなるんだ、いったい)









司会「次の挑戦者は話題沸騰中のアイドル、双葉 杏ちゃんです」

杏「よろしくー」

司会「いやーまさか杏ちゃんに来ていただけるとは」

杏「杏は来たくなかったんだけど、プロデューサーに無理矢理連れてこられた。帰っていい?」

司会「いやいや。来たばっかりなんだから帰ろうとしないで(笑)」

杏「じゃあ芸人さんが私の代わりにチャレンジしてよ」

芸人「無理やってwwwアイドルの代わりなんかできるわけないやろwww」

杏「杏より面白くできるでしょ?」

芸人「しかもしれっとハードル上げよったでwww」

司会「それでは杏ちゃんが帰ってしまわないうちに始めましょう」



楽屋



モバP(収録中の杏は昨日までのだらしない杏だった。もしかしたら仕事をしてしまったショックで元に戻ったのかもしれない。そうだそうに決まっている)

モバP(それか単純に悪ふざけだったとかな)

モバP「お疲れさま。飲み物を買ってきておいたから」

杏「お疲れさまです。ありがたくいただきますね」

モバP「」

杏「んくっんくっ………プハッ」

杏「…………プロデューサーさん? 変な顔されてますよ?」

モバP「あ、あぁ。すまない」

杏「それで………………あの………………」

モバP「どうした? やっぱりお腹が痛いのか?」

杏「いえ、そうではなくて………………いつもはお仕事が終わったあとに…………」

モバP「そうか! やっと飴が欲しくなったか。今日のは特別製だぞ。朝にも言ったけど老舗の職人が丹誠込めて手作りした逸品なんだ」

杏「それでもなくて………………頑張ったので、いつもみたいにその、誉めて欲しくて」

モバP(え? だれこいつ?)











モバP「あ、杏?」

杏「す、すいません! 先に車まで行ってますね!」

モバP「お、おい………………」

ガチャ、バタン!

モバP「行っちまった………………」

モバP「とにかく追いかけるか」

モバP「荷物は………………」

モバP「ちゃんと片付けてある。足の踏み所がない部屋は作り出す杏はどこに行ったんだ」







杏「………………」

 ガチャ

モバP「待たせたな」

杏「いえ………。私の方こそ先に出てしまってすいません」

モバP(杏が顔を赤くして俯いてる。なんだこれ)

モバP「とりあえず車を出すか。スケジュールの確認は運転しながらで」

杏「そうですね………………」

モバP(なぜ俺的間違いが起こらないランキング一位の杏とこんな雰囲気になってるんだ)





モバP「えー、今日の予定はさっきのバラエティー番組で終了。明日からは旅番組のロケが入っているが天候次第で撮影が延期されるかもしれない。小雨程度なら先方との打ち合わせでロケの決行を判断する」

杏「………………」

モバP「杏には俺から朝一で連絡をいれるから、それまで自宅待機。………………………ちゃんと聞いてるか?」

杏「はい。タブレットにメモも取っています」

モバP「あぁ、それメモ帳を使ってたのね。てっきりゲームでもしてるもんかと………」

杏「仕事中にゲームなんてしませんよ。子供じゃないんですから」

モバP「………………………やばい。吐きそう」

杏「車を運転している人は基本的に酔わないって言われてますけど、迷信なんですかね?」

モバP「どうだろうな。俺のこれは車酔いじゃないから言及できない」

杏「事務所に胃薬がありましたね。戻ったら使われては?」

モバP「そうだな。そうするわ」

モバP「そういえば、これで今日の予定は終わったわけだけど、どうせ暇だし家まで送ろうか?」

杏「いえ、大丈夫ですよ」

モバP「いや、いつもなら………………」

杏「大丈夫ですって…………………。でも、そうですね。せっかくのプロデューサーさんのご好意です。無碍にするのもなんですから、駅までお願いできますか?」

モバP「お、おう」

モバP(やんわりと自宅に来られるのは避けつつ相手の好意に配慮した気遣いを見せるとか、もうほんとに誰だよこれ)







モバP「」


凛「ねぇ幸子」

幸子「どうかしましたか、凛さん」

凛「あれ、対応したほうがいいかな?」

幸子「対応するべきかどうかで言えば、対応するべきなんじゃないですか」

凛「うん。だよね。ここはプロデューサーと一番付き合いの長い私が声をかけてあげるのが得策だよね」

幸子「凛さんじゃ力不足ですよ。ここはカワイイボクに任せてください」

凛「いやいや、あんな風に構ってちゃんになったプロデューサーは誰かさんみたいに面倒くさいから、ここは私に任せてよ」

幸子「なっ! ボクはカワイイから全然めんどくさくないです! 黙って人のジャケットの臭いを嗅ぐ人の方がどうかと思いますよ」

凛「あ、あれはプロデューサーが営業先で汗臭いとか思われないかのチェックだから」

幸子「ボ、ボクだってプロデューサーがちゃんとボクのカワイサを分かっているのか毎日チェックしないといけませんから」

凛「………………二人で行こっか」

幸子「そうですね。モタツいてるとまゆさんが来ちゃいますし」






凛「プロデューサー」
幸子「プロデューサーさん」

モバP「………………あぁ凛に幸子。お疲れさま」

凛「お疲れさま。いつにも増して疲れてるみたいだけど大丈夫?」

幸子「そうですよ! カワイイボクがせっかく事務所に来てるのに声もかけないなんてプロデューサー失格ですね」

モバP「ははは。幸子の言う通りだ。俺はプロデューサー失格なのかもな」

凛・幸子「!?」

凛「(さ、幸子!! あんた何やってるの!? 今のプロデューサーには滅多なこと言っちゃダメ!!)」

幸子「(そ、そんなの分かるわけないじゃないですか)」

凛「(とにかくここは私に任せて)」

幸子「(うぅ。了解しました)」

凛「はいはい。自虐はいいから何があったか話してみれば? アイドルのことなら私たちもアドバイスできると思う」

モバP「………………あいつがな」

幸子「へ?」

モバP「………………敬語使って、あまつさえ気まで遣われた」

凛「ん?」

モバP「………………挙げ句の果てには自主的に事務所に出勤してきたんだ」

幸子「………………………何かおかしいところがありますか? ボクだって敬語ですし」

凛「私はプロデューサーにタメ口だけど、幸子と違って気は遣うよね」

幸子「なっ! カワイイボクは気遣いだって完璧ですよ!」

凛「うん。そーだね」

幸子「こっちを見て返事をしてください!!」

凛「暇ができたら、ね」





凛(………………………プロデューサーが何で悩んでるのかいまいち検討がつかないなぁ。そもそも昨日まで元気だったんだから)

凛(昨日まで元気だったということは、何かあったのは今日の午前中?)

凛(プロデューサーの午前中のスケジュールは………………………………あぁ、確かに真面目になったら真っ先に頭を心配する人だ)




凛「プロデューサー………………本当なの?」

モバP「あぁ。恐ろしいことに仕事中は元に戻っていた。完全なプロだ」

凛「そんな、そんなのって………………」

幸子「ちょ、ちょっと待ってください。二人だけで話を進めてボクを置き去りにしないでください」

凛「さっきプロデューサーが言ってたのは………………杏のことなんだ」

幸子「え?」

モバP「認めたくないのは分かる。俺も今の今になるまで現実だと認識できなかったんだ」

凛「実は、私もプロデューサーを疑ってる。働きすぎて幻覚を見たんじゃない」

モバP「幻覚ならどんなに良かったか………………」




幸子「あのー」

凛「なに?」

幸子「それってなにか悪いことがあるんですか?」

モバP・凛「えっ」

幸子「いや、ボクほどじゃないですけど元からすごい杏さんがやる気になってくれたんですよね? いいことじゃないかと思うんですけど」

モバP「え、いや、でも、だからってそんな」

凛「………………言われてみれば悪くないかも」

モバP「り、凛!?」

凛「プロデューサーも前から杏がやる気になってくれればなぁってぼやいてたよね」

幸子「望み通りですよね」

モバP「………………………い、いやだ。俺は認めないぞ。真面目に仕事をして年上に敬語を使う杏なんて、俺は絶対に認めない!!」ジワァ

凛「う、うん。私も杏は少しくらいなまけてる方が似合うと思うから」

幸子「(凛さん!! プロデューサーの意見に同調してどうするんですか!)」

凛「(だってプロデューサーが泣きそうなんだよ。本当は抱きしめて撫でてあげたい位なのに。これ以上は私には無理………………)」

幸子「(………………母親ですかあなたは。仕方ないですね。ここはカワイイボクに任せてください)」





幸子「プロデューサーさん」

モバP「………………あんだよ」

幸子「杏さんに働き者が似合うかは一旦置いておいて、先に杏さんが変わってしまった原因を考えましょう」

凛「プロデューサーには心当たりとかないの?」

モバP「心当たりか………………あっ」

幸子「あるんですね?」

モバP「昨日のことなんだが………………」




昨日



杏「あーやっと着いた」ゴロン

モバP「ソファーに寝転がるな。次はインタビューだぞ。記者の方がわざわざ事務所に来てくださってるんだから、待たせたら失礼になるだろう」

杏「もうここですればいいじゃん」

モバP「アホか。なんのために応接室があると思ってるんだ」

杏「杏にとってあそこは昼寝場所候補の一つだし」

モバP「とにかく、無理言って事務所でのインタビューにしてもらったんだから遅れるわけにもいかないだろう。ほら、起きろ」

杏「分かったから腕を引っ張らないでくれー。あと、飴くれー」

モバP「お前はインタビュー中に飴を舐めるつもりか。ご褒美は仕事を全部終わらせてからだ」

杏「えー。今日は充分働いたじゃん」

杏「あめあめあめあめー」

モバP「ったく」




ちひろ「プロデューサーさん」ニコニコ

モバP「………………杏。さっさと行くぞ」

杏「無視していいの?」

モバP「なんのことだ? ここには俺と杏しかいない。誰を無視する余地があるんだ」

杏「ならいいけど」

ちひろ「よくありませんよ!」

モバP「ほら」

杏「はーい」

ちひろ「杏ちゃんも急に素直にならないで! プロデューサーさんも私の扱いが雑すぎますって」

モバP「隙あらばドリンクやら高級食品を売りつけてくる同僚には相応の対処をしますよ。俺も聖人君子じゃないんで」

ちひろ「ふっふっふ。そうですか。そんな対応をしてしまうんですね。後から後悔しても………………」

モバP「杏。いい加減起きろ」

杏「めんどいからおぶって」

モバP「仕方ないな」

ちひろ「………………最近、プロデューサーさんが私のことを幸子ちゃんと同類扱いする件について」




モバP「で、ご用件は?」

ちひろ「え?」

モバP「業務連絡だった場合は受けないわけにいかないでしょう」

ちひろ「あー、そうですね」

ちひろ(どうしましょう……………めっちゃ私用です)

ちひろ「あの、ですね。実はスタドリの成分を調整して固まらせたアイスキャンディーを開発してみたんですけど………………」

モバP「………………いくらですか?」

ちひろ「お、お金は取りませんよ。試供品ですから」

モバP「杏に食べさせても大丈夫ですかね?」

ちひろ「基本成分はスタドリですし、杏ちゃんが食べても問題はないと思いますよ」

モバP「だそうだ。食べてみるか? 一応、キャンディーだぞ」

杏「うーん。もうアイスでいっか」

モバP「だそうです。一つもらえますか?」

ちひろ「どうぞ」

杏「ありがと」

杏「んぐ。ちめたい」

モバP「感想はあとでメールしますんで」

ちひろ「お願いします。杏ちゃんもインタビュー頑張ってね」

杏「ほーい」




杏「うあー」ポトッ

モバP「ひゃっ!? おい! うなじにアイスを落とすな!」

杏「プロデューサーが揺らしたせいじゃん」

杏「だいたいこのアイスが溶け易すぎ。成分調整をミスってるとしか思えないくらい甘いし」

モバP「…………………まぁ、ドリンクとは勝手が違うんだろ。あとでメールをしとくよ」

杏「プロデューサーは律儀だねぇ」

杏(それにしても口の中が甘い)

杏「そーだ」

 ペロッ

モバP「うひゃっ!?」

杏「ん……………ちゅるちゅる………………レロレロ」

モバP「お、おいぃ。ほんとに、首筋はやめろ………………っていうか、なにやってんだ!?」

杏「うん。ちょうどいい感じにしょっぱい」




モバP「っていうことがあったんだが」

幸子「ははっ、そうですか」

幸子(さ、最後のはどう考えても蛇足でしょう。ボクは怖くて横が向けないですよ)チラッ

凛「いいなぁ。私もプロデューサーの首を舐めたいなぁ。というか、顔を埋めてクンクンしたい………………」▽・ww・▽

幸子(散歩をねだる飼い犬の表情じゃないですか………………)

幸子「それにしても、成分調整に失敗したスタドリですか………………。考えるだに恐ろしい代物ですね」

凛「そうだね。プロデューサーの見通しが甘かったと言わざるをえないね」キリッ

幸子「あ、復活した」

凛「あんな惚気話だったら脳内散歩三周でなんとかなるよ」

幸子「…………………………詳細は聞かないですよ」





脳内散歩参考画像



モバP「マジであの犬どうしてやろうか………………」

凛「えっ」ドキドキ

幸子「おそらく凛さんのことじゃないですから期待しない方がいいですよ」

凛「期待とかしてないから!! わ、私だって初めては」

幸子「わーわー。聞こえませーん」

モバP「あれ? そういえば駄犬がいないな」

幸子「ちひろさんならトレーナーさんたちとの打ち合わせがあるって出かけちゃいましたけど」

モバP「そうか………………」

 タンタンタン

幸子「ほら噂をすれば影が差しました」

ちひろ「ただいま戻りま—————」

モバP「ちひろオォォォォォォ!! 貴様!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ちひろ「きゃあ!?」




モバP「貴様のせいで杏がぁ!!」

ちひろ「えっ? えっ?」

幸子「お、落ち着いてください!」

凛「ちひろさんも下がって! というか、ここに隠れてて!」バン

ちひろ「えっ」in掃除用具ロッカー

モバP「止めるな! 男には戦わねばならないときがあるんじゃあ!!」

幸子「あったとしてもそれは今じゃないですよ!! だいたい杏さんは前に山のようなスタドリをもらってたじゃないですか」

凛「さすがのちひろさんでも法に触れるようなことはしないって」

モバP「だけど………………………」

ちひろ(状況が全く掴めません。なんで事務所に帰ってきた途端にプロデューサーさんにキレられて、掃除用具ロッカーに叩き込まれたんでしょうか)




凛「ちひろさーん。もう出てきても大丈夫だよ」

ちひろ「いったいなにが起きた————」

モバP「………」クワァッ

ちひろ「ひっ」

凛「こら、睨まないの」

幸子「ちひろさんも怯えてないでこっちに来てください。話が進まないです」

ちひろ「本当にどうしたんですか?」

凛「杏かおかしくなったんだって」

ちひろ「杏ちゃんが………?」

凛「そう。自主的に出勤してきたり、プロデューサーに敬語で話しかけたり、オンとオフを簡単に切り替えたり」

ちひろ「それは………………ゾッとしませんね」

幸子「ちひろさんもそんな反応なんですか」

凛「幸子は杏と一緒に仕事したことないからね」

ちひろ「杏ちゃんがおかしくなったのは分かりましたけど、私が理不尽にキレられた理由が思いつきません………………。また何かしましたっけ?」

モバP「とぼけるな! とっくにネタは上がってんだよ!」バンッ

ちひろ・幸子「ひっ」

凛「プロデューサー。いい加減にして」

モバP「………………………すまん」

幸子「そ、そうですよ。ちひろさんが怖がってるじゃないですか」

ちひろ「さ、幸子ちゃんこそ」




幸子「一旦、時系列に沿って状況を整理しましょう」

幸子「昨日まで杏さんは普通だった。この場合の普通とは、杏さんにとっての普通、つまり仕事をサボりがちな不真面目人間だったという意味です」

幸子「今のところ原因だと考えられる出来事が起きたのは昨日の夕方。雑誌のインタビューを受ける前にちひろさんからスタドリ味のアイスを貰い、それを食べてしまった」

幸子「因果関係は今時点では不明ですが、今朝、プロデューサーさんが会った杏さんは性格が様変わりしていた。具体的には真面目に仕事をしていたなどなど」

幸子「………………こんなところでしょうか」

凛「うん。それでいいと思うよ」

凛「でも、意外だね。幸子はまとめるとか細かいことが苦手なイメージがあったんだけど」

幸子「ふふん。凛さんはボクのカワイイ特技を忘れたんですか?」

凛「ごめん。忘れる以前に知らないかな」

幸子「え? ぶ、プロデューサーさん!」

モバP「すまん。なんだったっけ?」

幸子「ちひ——」

ちひろ「………………」サッ

幸子「黙って顔を逸らされた………」

幸子「もう! ボクはノートの清書が得意なんです! 覚えててください!」

凛「えっ」

凛(ノートの清書? それって…………。なんでプロデューサーとちひろさんはスルーしてるの?)


りんわんわん

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