八雲みたま「第2回ミラーズカップ開催よ~♪」 (81)


みたま「まずはトーナメント表の発表~」


         優勝
    ┌───┴───┐
 ┌─┴─┐    ┌─┴─┐

┌┴┐ ┌┴┐  ┌┴┐ ┌┴┐
天 見  か 仲  み 大 つ  化
音 滝  も  良  か 東 つ  学
姉 原  れ  し  づ    じ  部
妹           き
             荘



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みたま「続いてルール説明!」

みたま「120m×80mの広いフィールドを用意したわ。サッカーの国際試合と同じくらいの広さよ。はやてちゃんみたいな大魔法が得意な子でも思いっきり戦えるように、全試合このフィールドでやるわよ」

みたま「フィールドの周りにはサイドラインとゴールラインが引いてあるから、そこから場外しちゃった子は、その時点で退場ね」

みたま「それから、直接的な戦闘が苦手な子でも工夫次第で活躍できるように、フラッグ戦の要素も取り込みま~す」

みたま「自陣と敵陣の一番奥に引いてあるゴールライン上の真ん中にフラッグが一本立っているわ。相手のフラッグを取って、センターラインまでフラッグを持ってこられたチームの勝ちよ。もちろん、戦って相手選手を全員場外にしても勝ち。ちなみに、自陣のフラッグに触るのは禁止よ。だから自陣のフラッグを持って逃げ回ったりするのは無しね」

みたま「そして今回は、刺激的なルールも追加するわよ。より激しいぶつかり合いができるように、相手に大怪我させるのを禁止しません! 但し! 頭部や心臓、なによりソウルジェムへの攻撃は絶対禁止よ!」

みたま「試合中、誰かが大怪我した場合は、その時点で審判がホイッスルを鳴らして一旦試合を止めるわ。大怪我した子は場外扱いよ。治癒が得意な子が常に待機しているから、怪我は直ぐに治すからね」

みたま「こういうルールだから、痛覚遮断や出血が苦手な子は参加しないでね~」




みたま「ちなみに、フィールドが広いので審判は三人で勤めるわ」

みたま「主審はこのわたし、みんな大好き調整屋さ~ん♪ わ~ぱちぱち~」

みたま「副審は騎士同盟のお二方にお願いしてるわぁ」

明日香「不肖この竜城明日香っ! 武士道を志すものとして、公平なルールを尊重し審判することを宣誓します!」

ささら「騎士道精神の下、中立かつ誠実に審判することを誓います!」


みたま「お次は気になる優勝賞品のご紹介~」

みたま「優勝したチームにはなんとぉ・・・! 神浜市内で使える5万円分商品券と、超高級ブランド米10㎏のお米券と、調整屋さんの特別調整券と、万々歳さんの割引券をご用意してまーす」

みたま「準優勝チームには、洋食ウォールナッツさんのお食事券がありまーす」


杏子「どういうことだよオイ! 一位より二位の方が賞品が豪華じゃねーか!」

鶴乃「それはどういう意味カナ!?」



みたま「それじゃ、早速最初の試合を始めるわよ」

みたま「最初の試合は天音の双子姉妹ちゃんと見滝原の皆さんよ」

みたま「意気込みを聞いてみましょ~」


~~~チーム 天音姉妹~~~

月咲「この日のために新技を開発してきたよ!」

月夜「かませ犬姉妹だなんて、もう呼ばせないでございます!」


~~~チーム 見滝原~~~

杏子「チーム見滝原って・・・。あたしは風見野出身なんだけど?」

マミ「チーム名はピュエラ・マギ・ホーリー・クインテットで手続きしたんだけど、名前が長くて言いづらくて分かり難いからって勝手に変えられちゃったの・・・。失礼しちゃうわよね・・・」

ほむら「わっわっ・・・。人が、たくさん・・・」オドオド

さやか「なにビビってんのさほむら! マミさんがいる上に杏子が重い腰を上げて参加してくれたんだから怖いものなしだって!」肘ツンッ

まどか「大丈夫だよほむらちゃん、がんばろうねっ!」手ニギッ

ほむら「鹿目さん・・・! うん・・・!」手ニギッ




いろは「まどかちゃんたち、いきなり月夜ちゃんたちと・・・?」

やちよ「神浜の外から来てくれたのに運がいいわね」




みたま「準備はいいかしらぁ♪」

天音姉妹「「はいっ!」」

マミ「いつでも大丈夫です!」

みたま「それじゃ・・・試合開始!」


天音姉妹「「新! 笛花共めi――」」

マミ「ティロ・フィナーレ!」 ドゴォォオオオン!


天音姉妹「「きゃぁあああ!!?」」

明日香「天音月夜さん、月咲さん、場外です!」

みたま「チーム見滝原の、勝利~!」





いろは「やっぱりこうなりましたか~」

やちよ「様式美ね」

鶴乃「様式美ですなあ」




月咲「ううっ! そこっ! 聞こえてるよ!」

月夜「外野は黙ってるでございます!」




ななか「ふむ・・・・」

ななか(巨大な銃に、巨大な魔力の波動、巨大なおっぱい、巨大なくるくるドリルツインテ・・・)

ななか(巴マミさんにはこんな噂があります。見滝原からやってきた最強の魔法少女。調整屋に行ったこともない正真正銘のバケモノ・・・。あんな大技が扱えるのなら、そんな噂もあながち誇張ではないようですね)

ななか(それに佐倉杏子さんも相当な実力者だと聞きます。見滝原の皆さんは一筋縄ではいかないのは確かなようで)





みたま「続いて第二試合目はぁ・・・・」

みたま「類い稀なチームワークを武器に、数多の強敵を退けた彼女らが今宵もやってくる。数の差なんてなんのその・・・! 強さの秘訣は “負けたらチーム解散” 。美しい絆を賭した背水の陣で連覇を狙う! 前回王者・・・チーム かもれー! トライアァァングルゥゥーッ!!」

みたま「意気込みをどうぞ~」


~~~チーム かもれトライアングル~~~

ももこ「連覇するぞ! 前回優勝がまぐれじゃないって証明するんだ!」

レナ「かえで! いつまでもへっぴり腰になってんじゃないわよ! 負けたらチーム解散なんだから! 解散解散!」

かえで「やだよぉ・・・ふゆぅ・・・」


みたま「そうは問屋が卸さない。歯向かった敵は翌日からなぜか行方不明。第一回大会では簡単な回想だけであっさり倒された恨みを糧に、インテリヤクザ集団の復讐劇がここから始まる! かもれに明日はあるのか?! チーム 仲良しななかと愉快な同志たちーっ!」

みたま「意気込みをどうぞ~」


~~~チーム 仲良しななかと愉快な同志たち~~~

美雨「なんネ? このふざけたチーム名は。誰が考えた? かこカ?」

かこ「私じゃないですよ。でもかわいくて素敵な名前だと思いますよ。ヤクザのシノギで出てきそうな名前だなんて思ってません」

あきら「参加の手続きをしたのは確か・・・」

ななか「・・・・・・コホンッ////」


みたま「それじゃ、選手の子たちはフィールドに入ってね~」


ももこ《かえで、レナ。作戦はこうだ》テレパシー

ももこ《試合開始と同時に、まずはレナがかえでに変身する。そしてアタシがダブルかえでに激励の魔法を使って、パワーとスピードを底上げする》


ももこ《そしてダブルかえでが速攻でかこちゃんを落としに行く。それで相手が混乱している間にかえでが他の相手に植物を絡ませて動けなくして、レナが相手フラッグを取りに行く》

かえで《うぅ・・・。かこちゃんにケガさせたくないよぉ・・・》

ももこ《そこがこの作戦の肝だ。相手も同じことを思っているはずだ。かえでを傷つけたくないってな。だからかえでが二人も突っ込んできたら隙ができる》

ももこ《こっちのダブルかえでの内一人はレナだから、そんな情にとらわれず、容赦なく相手の隙を突いてかこちゃんを落とせるって寸法さ》

レナ《ももこが考えたにしちゃあ、ずいぶん無慈悲な作戦よね。まあでも、勝つための作戦としてはいいんじゃない? レナ、全力で当たりに行くから任せてよねっ!》


レナ(・・・・かえでと仲良くしている子とか・・・なんかムカツク! 絶対にレナが倒してやるんだから!)

ももこ(レナのジェラシーもこの作戦の肝だったりするんだよなあ)


かえで《あのぉ・・・。自分たちのフラッグの前に立って、ひたすら守る作戦じゃだめ・・・? 少なくとも負けることはないんと思うんだけどぉ・・・・》

レナ《何弱気になってんのよ! レナたちは前回王者なのよ! そんなみっともない真似できるわけないでしょ! 王者らしく戦って勝てなかったら解散よ解散! 本気でやんなさいよ!》

ももこ《レナの言う通りだ。あんまりコソコソ戦って勝っても、卑怯だのなんだの言われたら癪だからな。大丈夫だってかえで。もし不測の事態が起きても、アタシがフォローすっから》

かえで《ふゆぅ・・・・》


みたま「両チーム準備はいいかしら~」

ももこ「オッケー!」

ななか「いつでもどうぞ」

みたま「それじゃ・・・デュエルスタート!!」




ももこ「かえで! レナ! いっけぇーっっ!」 激励

かえで「ふゆっ・・・!」ダッシュ

かえで[レナ]「ハァッ!」変身 ダッシュ


あきら「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ダダダッ

かこ「やぁあああああああああああああああああああっ!!!」ダダダッ

かえで「ふみゃ?!」

かえで[レナ]「なっ?! 向こうも突っ込んできた?!」

ももこ「ひるむな! そのままいけー!」

かえで[レナ]「分かってるわよ! まずはかこの方を―――」

あきら「ハッァア!!」シュ

かえで[レナ]「なっ?!」

あきら「せりゃああああああああああああああああ!!!」シュ バシュ ヒュ

かえで[レナ]「わっわっ、ちょ・・・!?」フラッ

レナ(強引に押してくる・・・! ダメッ、貧弱なかえでのままじゃ押し負ける・・・!)変身解除


ももこ「あっ! レナのやつ変身解いちゃダメだろ・・・!」

ももこ「仕方ない、アタシがフォローに―――」


                  ....スタタッ >


ももこ「・・・・んっ?!」

ももこ(右サイドギリギリから一人来る・・・! 逃がさない!)

ももこ「行かせるかあ・・・っ!」グワッ!

ななか「んっ!?」バッ

 ガッキーンッ!

ななか「うぁあぁ?!」フラッ....

ももこ「もういっちょおーーー!」グワッ

ななか「ハッ!」 バッ

ももこ「おっと・・・・」

ももこ(後ろに引いたか・・・)


ななか「ふぅ・・・。防御無視の重い一撃・・・。腕がじんじんします。まるで示現流ですね」

ももこ「じげん・・・? なんだそりゃ」

ななか「薩摩に伝わる剣術の一つです。『二の太刀要らず』と言われ、一撃で勝負を決める技です。ももこさんは薩摩のご出身で?」

ももこ「・・・いいや違うけど」

ななか「ではその剣術はももこさんの独学で?」

ももこ「んっまぁ大体はそうかな・・・? あっ、いや・・・。やちよさんには結構世話になったけど」

ななか「なるほど。やちよさんですか。これほど強いお弟子さんがいるのです。やちよさん本人も相当な実力なのでしょう。私たちは決勝でやちよさんと当たりますから、今のうちに対策を考えておかないといけませんわね」

ももこ「へぇ・・・言ってくれるねえ・・・!」

ななか「失礼ながら、私、ももこさん相手には負ける気がしませんわ。その剣術の弱点をもうすでに私は見極めております。先ほどリスクを負って一撃を受けた甲斐がありました」


ももこ「・・・・・・・」

ももこ(・・・あの表情。ハッタリじゃなさそうだな)

ももこ(確かに、ななかさんの二刀流は厄介だ。アタシの剣を掻い潜って、二刀流の手数で攻められたらヤバイかもしれない)

ももこ(だったら、アタシの懐に入られる前に押し勝てばいい話だ・・・!)


ななか「第一回大会では後れを取りましたが、私は一度負けた相手には二度負けたことはありません。怪我をする前に降参されることを進言致しますが?」

ももこ「お気遣いどうも。だけどそれはこっちのセリフだね」

ななか「そうですか。では致し方ありません。参ります・・・!」シャキン

ももこ「ああ、こい!」グッ




かこ「ぽわぁあああああああああああああああああああああああ!!!」ブンブンッ

かえで「わっ、わっ!? かこちゃんさっきからすごい気迫・・・!」

あきら「はりゃああああああああああああああああああああああ!!」シュ シュ バシュ

レナ「うっ・・・ぐっ?!」 ガキン ガンッ

レナ(武器を使った攻撃と違って、拳は回転が速くて次々と攻撃が飛んでくる!)

レナ(それにこんな距離まで潜られたら、レナの槍じゃ柄で受ける防戦しかできない・・・! なんとか距離をとらないと!)


レナ「かえで! いつまでも遊んでないでかこの動きを止めて早くこっちの加勢をして!」

かえで「うぅ・・・! ごめんかこちゃん! やぁああ!」植物ウニョーン

かこ「きゃあ?!」 絡まり

かこ「うぅ・・・! う、動けません・・・」

かえで「レナちゃん!」

レナ「よしっ! いつものコンビネーションでいくわよ!」

かえで「うんっ! せーーーのっ!」植物ウニョウニョ

あきら「うわ?!」 バッ(バックステップ

レナ「離れた! くらえっ!」バシュ

あきら「わっ! ふぅう・・・! はぁああああああああああああああ!!!」サッ サッ

レナ「ああもう! さっきからうるさい! 避けるだけでもなんでそんな大声出す必要あるのよ! もう少し静かに戦えないの!?」

あきら「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

かこ「あきらさん負けないでええええええええええええええええええ!!!!」

レナ「うるさーい!」

かえで「えいっ!」 あきらのかかとに植物ニョキ

あきら「うわっっと?!」コケッ.....

レナ「いっけぇッッ!!」ザシュン

あきら「ぐぅっ?! 負けたっ・・・」 ....パタリ

レナ「いっちょ上がり! このままフラッグを―――」

かえで「レナちゃぁぁん・・・!」

レナ「なに情けない声出してんのよ! ・・・てっ?! ああっ?!」





ももこ「そりゃあ! おりゃあ! チャージ逃して! はぁっ! うぉりゃ! たまるかぁあ!」 ブゥン グワァン グォン

ななか「はっ! よっ! そこっ! 時代はブラストゴリ押し!」サッ サッ

ななか「・・・・くっ、はぁはぁ」ヨロッ....

ももこ「ほらほら! 息上がってんじゃない?! さっきの余裕はどうしたのさ!!」ブゥン

ななか「・・・はぁ、ふぅっ・・・あっ!」 ....フラッ

ももこ「もらったぁ!」 ブゥン!

 ガッキーンッ!

ななか「あぁっ・・・?!」クラッ

ももこ(ガードごと押し潰すつもりで打ったけど・・・これでもまだ倒れないか・・・! でももうななかさんのすぐ後ろはサイドラインだ! 構わずこのまま押し切るっ!!)

ももこ「まだまだっ! もっとぉっ! ラストッ! よろしくぅッ!」ガキン ガキン

ななか「うっ・・・くっ・・・」ヨロヨロ....

ももこ「これで決まりだ! 喧嘩売ったこと後悔しな! ハァァァ・・・・・!」 グググッ....

ももこ「そりゃぁぁッ!!」 ブォォン!

 ドゴォッ!

ななか「ぐッう!?」 ....ズザザッ

ももこ「よっしゃあ! 場外まで押し出したぞ!!」

ななか「ぐぁっ・・・・。はぁはぁ・・・お、お見事・・・! 私の負けです」

ももこ「はぁはぁっ・・・どんなもんだ・・・」

ななか「ですが・・・。 “私たち” の勝ちです」ニコッ

ももこ「はぁはぁっ・・・・はっ?」


  < ピピーッ!


みたま「試合しゅ~りょ~。仲良しななかと愉快な同志たちの勝ち~♪」

みたま「びっくりだわ~。前回チャンピオンがまさかまさかの一回戦敗退!」

みたま「うふふっ♪ でも、何が起きるか分からなくなって面白くなってきたわ~」


ももこ「はっ・・・? はぁっ・・・?! な、なんで・・・!?」

ななか「失礼。あしからず」 チンッ(刀を鞘に納める

ももこ「あっ! あ、あれは・・・!!」


美雨「ふふんっ。蒼海幇たるもの、この程度の隠密行動は朝飯前ネ」 つ[フラッグ] ヒラヒラ


ももこ「そ、そんな・・・。嘘だろ・・・?! いつのまに?!」




かこ「はぅぅ・・・。大声出すの恥ずかしかったです・・・///」

あきら「そう? ボクはいつもより気合が入って結構楽しかったな。押忍!」


ももこ(わざと大声を出してた・・・? ま、まさか・・・)

ももこ(試合開始からいきなりかこちゃんたちが無駄に大声を上げて突っ込んできたのも)

ももこ(ななかさんが挑発してアタシを釘付けにして、アタシがギリギリ競り勝っていたのも・・・)

ももこ(全部全部、フラッグを取りに行ったあの子からアタシらの目を逸らさせるための演出だったってことか・・・?)




葉月(残念ながら、最初っからななかさんの手のひらで踊らされてた・・・って感じかな~・・・。第一回大会の時みたいに、単純な殲滅戦だったらチームワークの優れているももこの方が勝っていたかもしれないけど)

葉月(今回のルールはそんな単純じゃない。ももこは面倒見はいいけど頭はあんまりよくないと聞くし、戦略家のななかさんとはちょーっとばかし相性が悪かったかなー)

葉月(・・・・ほんっと、やっかいだよ。ななかさんって人は。できることなら当たりたくないねぇ)




ももこ「ななかさんに競り勝っていい気になっていたけど・・・。こんな結果じゃ、そんなのただのバカ者じゃないか・・・!」

ももこ「そんなのってあるかよぉ・・・!」

ももこ「クソッ・・・。クソッ、クソッ・・・! チキショー!!」

レナ「ももこ・・・・」

かえで「ももこちゃん・・・・」

ももこ「ハァハァ・・・・。はぁ・・・。ごめんなあ・・・かえで、レナ・・・」

レナ「・・・・・」

かえで「・・・・・・・」

ももこ「ははっ。アタシ、ほんっとカッコ悪いなあ」


かえで「・・・・・」

かえで「・・・・・・あ、あの」

ももこ「・・・ああ、そうだな」

かえで「・・・っ!」

ももこ「アタシはこのチームの形がベストだと思ってた。・・・だけどこんな無様な負け方をしちゃったら・・・・仕方ないよな・・・・」

ももこ「・・・チームは解散だ」

レナ「そんなっ・・・!」

かえで「やだぁ・・・やだよぉ・・・」グスンッ...

ももこ「・・・試合の前に、かえで言ってたよな。フラッグの前で守りを固めたらどうかって」

かえで「・・・う、うん」

ももこ「人数は向こうが上だったし、今思えば、かえでの作戦が一番堅実だったと思う」


ももこ「今回の一番の敗因は、そんなかえでの慎重な意見を無視したアタシとレナだ。前回優勝者だからって気が大きくなりすぎてた。かえでの慎重さが大事だって、アタシらがチームを組んだ時に決めたことなのにできてなかったな・・」

ももこ「だから、今回の失敗を活かして、これからは初心を思い出してやっていこう! やっぱりそれこそが本当のベストなチームの形なんだよ!」

レナ「えっ・・・?!」

かえで「これからって・・・?!」

ももこ「驕り高ぶっていたチームかもれトライアングルは解散だ。そしてこれからは・・・・」

ももこ「冷静さと猛々しさ、そして慎重さを完璧に兼ね備えたチーム・・・。かもれニュートライアングルの結成だ・・・!!!」

レナ「ももこ!」

かえで「ももこちゃん!」

ももこ「ああそうだ! 新生ClariSみたいに今日から再出発するんだ! さあ君たち! アタシの胸に飛び込んで来い!」

レナ「ももこー!」ダキッ (熱い抱擁

かえで「ももこちゃーん!!」ダキッ (熱い抱擁

ももこ「うおーっ!! 愛してるぞぉおお!! 愛してる! 愛してる!」 (号泣




鶴乃「いいお話ですなぁ~」

フェリシア「新生ClariSじゃ中の人変わっちゃうんじゃねーの?」

みたま「うふふっ。細かいことはいいのっ。ごちそうさまで~す♪」


いろは「あ、あの・・・。やちよさん・・・。ももこさんたちが一回戦で負けちゃったら・・・大変なんじゃ・・・」

やちよ「ええ、かなり大変よ・・・。どれくらい大変かというと、カレーをカレー粉無しで作らなきゃならないくらい大変よ・・・・」

いろは「そ、それは・・・結構大変ですね・・・やっぱり・・・」




みたま「どんどんいくわよ~」

みたま「本日三試合目はぁ・・・! チームみかづき荘 VS チーム大東!」

みたま「因縁の東西対決がここに実現! 互いの威信と意地がぶつかり合う! 東のボスと西のボスが子分を引き連れての大抗争! 神浜を支配するのはどっちだ?! 十七夜がんばれ~」

やちよ「ちょっと主審! ちゃんと公平に審判しなさいよっ」

みたま「うふふっ♪ さあ両チームとも意気込みをどうぞ~」


~~~チーム みかづき荘~~~

やちよ「全く・・・。でも、なにがなんでも勝ちに行くわよ! 商品券とお米券! 商品券とお米券! 家計が大助かりになるんだから!」

鶴乃「なはは~。こんなにたくさんの人が万々歳の割引券を巡って争うなんて、照れちゃいますな~/// でもでも! 最強を証明するためにもわたしは勝ちをゆずらないよ! ふんっ! ふんっ!」

フェリシア「おいっ! やちよ! 優勝したら肉をたくさん食わせてくれるって約束だからな!」

いろは「優勝したら高いお菓子食べてもいいよって言われてるの。さなちゃんはなにが食べたい? 私は国産果汁のシロップがたくさん乗ったふあふあのかき氷が食べたいな。一杯800円するやつ」

さな「私もそれが食べたいですっ!」



~~~チーム 大東~~~

十七夜「ほう。因縁の東西対決と来たか。ふむ・・・衆人環視の中で旧敵との戦い・・・か・・・。ついぞ決着のつかなかったいつかの争いを、こうして平和的な形で白黒つけられる日が来るとは・・・。うむっ! 実に心躍るドラマだな!」

れいら「わ~。やっぱり十七夜さんはかっこいいなぁ!」

せいか「お、おおおお、俺たちがが・・・ち、ちち力を合わせればど、どんなか壁だってのりのりのり・・・・!」シドロモドロ

みと「せいか・・・。青春ドラマのセリフで気合入れようとしたけど大勢の人の前で緊張しちゃってうまく言えないんだね。大丈夫~・・・?」

ひみか「商品券とお米券! 商品券とお米券! なんとしても家族みんなの元へ持って帰るんだ!」


みたま「それじゃあ両チーム準備お願いね」


フェリシア「な~。なんか作戦とかあんの?」

やちよ「そうね。とりあえず相手チームの中で一番厄介なのは十七夜よね」

鶴乃「だよね~・・・。やちよししょーと同じくらいの実力だもん・・・。一体どんな作戦なら通用することやら・・・・」

やちよ「私は別に難しい作戦なんて必要ないと思うわ」

鶴乃「どういうこと?」

やちよ「多分十七夜は一人で立ち向かってくる。そしたら私たち五人全員で袋叩きにすればいい。十七夜を落としてしまえばあとはこっちのものよ」

フェリシア「はぁ? 何言ってんだやちよ。いくら強いたって一人対五人で戦おうなんてそんなバカな真似するわけないだろ」

やちよ「どうかしら。試合が始まれば分かるわよ」

フェリシア「そうか~・・・?」


みたま「準備はいいかしらっ?」

十七夜「ああ。いつでも構わん」

やちよ「私たちもいいわ」


みたま「それじゃ・・・状況開始!」


ひみか「あのっ、十七夜さん。わたしたちはどうすれば?」

十七夜「ふむっ・・・。そうだな・・・・。ならば君たち全員でフラッグを守っていてくれないか」

みと「えっ? なぎたんはどうするの?」

十七夜「自分一人であやつら全員を相手する」スタスタ

れいら「ええっ?! 一人で?!」

十七夜「ああ。自分一人で十分だ」スタスタ


やちよ「ほらやっぱり・・・」

フェリシア「はぁ?! あいつ本当に一人で向かってきたぞ?! バカか?!」

十七夜「狂犬。馬鹿かどうかは勝ってから判断してもらおうか。さあ来るなら来いっ!」

フェリシア「なめやがってえ! 言われなくてもそうさせてもらうぜっ!」グッ



フェリシア「うぉりゃあああ!」ブゥン

十七夜「ふむ。やはりハンマーというのは振りが遅いな」 スッ(上体を少し反らせて回避

フェリシア「うわっとと?!」 (空振り


鶴乃「ちゃっらぁああッ!」

十七夜「威勢はいいが足元がお留守だ」 トンッ(軽い足払い

鶴乃「んべっ?!」 (地面とキス


さな「私が動きを止めます! えいっ!」 ジャラー

十七夜「むっ。鎖が体に巻き付いてくるな・・・」

さな「いろはさん! 今です!」

いろは「うんっ! 十七夜さんすいません!」バシュン

十七夜「なに、心配には及ばん。・・・・ふんっ!」 ギギチッ.... バキャーン! バシッ

さな「鎖が砕けて?!」

いろは「私の矢が手ではじかれた?!」

十七夜「どうした? 次の一手はまだか?」

いろは「つ、強い・・・!」

さな「あわわっ・・・全然かないません・・・!」

やちよ「はぁもう・・・。相変わらず無茶苦茶な強さなんだから・・・。いろはと二葉さん。やっぱり二人で透明になってフラッグを狙いに行ってくれるかしら。十七夜は私がなんとかするわ」

いろは「あっ、はい! さなちゃん行こう!」 タタッ

さな「はいっ!」 タタッ

十七夜「むっ、それはいささかまずいな」

やちよ「あら。十七夜は私に背中を向ける気?」

十七夜「ほう・・・。やはり自分の前に立ちはだかるのは七海か」

やちよ「ええ、そうなるわね。どうぞお手柔らかに」

十七夜「すまないがそうもいかないな。今の自分は年甲斐もなく滾ってしまってる。因縁の東西対決などと煽られたからな」

やちよ「もうっ・・・みたまのばかっ・・・」

十七夜「今思えば、大体の揉め事は話し合いで手打ちになっていたからな。こうして直接武器をぶつけ合うことはほとんどなかったな」

やちよ「そうね」

十七夜「だが自分と七海どちらの方が強者なのか。以前から少々気にはなっていた。それを今ならはっきり決められる。それに東の者も大勢見ているから、東を預かる者として醜態を晒す訳にはいかない。本気でやらせてもらおう」グッ...

やちよ「やれやれ・・・。楽はさせてくれなさそうね・・・!」グッ....




かえで(やちよさんと十七夜さんの戦い・・・)

ももこ(東で一番の実力者と、西で一番の実力者がぶつかるんだ・・・。ああやって向かい合って立っているだけで空気が張り詰めてくる・・・!)

レナ(・・・・・すごっ!)






やちよ「いくわよっ・・・・!」タタッ

十七夜「こいっ!」ググッ....

やちよ「セヤッ!」ズパンッ!

十七夜「遅い!」ヒュカ!

やちよ「そっちこそ!」サッ ....パシャン

十七夜「むっ?! ならばこれでっ!」ドガッ(蹴り

やちよ「まだよっ!」ガキンッ

十七夜「こっちもまだまだだっ!」ビュン!

やちよ「そこっ!」シュ ....パシャン

十七夜「ぐっ・・・!? 甘い!」ガッ

やちよ「うっ?!」

十七夜「この隙、もらったぁっ!」ヒュカ!

やちよ「ハァッ!!」バチンッ!




ももこ(パワーは十七夜さんの方が上か? だけどやちよさんの方は持ち前の技の多彩さで危なげなく対処してるって感じだな)

かえで(私、もう目が追い付かない・・・)

レナ(すごっ・・・!)

杏子(やちよか・・・。さすがマミを倒したってだけのことはあるな。戦い方が上手い。だが、なんでだ? かなり魔力を抑えて戦ってやがる。魔法といったら目くらましくらいにしかならない水をばら撒いているだけだ。十七夜相手にまだ手の内を隠しているのか? それとも、もしかして魔法が使えない? 昔のあたしみたいに。いや、例えそうだとしても、フットワークの良さと手数の多さは今のあたしくらいあるし、十分強い)

ななか(十七夜さんの攻撃は一撃一撃全てに必殺の威力が込められているようですが、やちよさんの方はそれほどの圧は感じられない。とにかくけん制するか攻撃をいなすかばかり。・・・もしかして、十七夜さんを倒すのではなく かく乱するのが目的?)




十七夜「ふっ、せやぁあああッ!!」

やちよ「ハッ!」パシャ

十七夜「またかっ! どうした七海!? そんな目くらましばかり! 以前の貴様ならもっと疾さと鋭さがあったぞ!」

やちよ「今は目くらましで十分なのよ!」パシャンッ

十七夜「ぐっ?! 目に水を・・・! だがこの程度では逃さない! そこだっ! ―――むっ!?」...ズルッ

十七夜(足元にも水が・・・!)

やちよ「フェリシア!」


フェリシア「いよっしゃあ! こいつで黙らせてやる!! ぢゃぁああ!!!!」 ウルトラグレートビックハンマー!

十七夜「むっ?!」


ズガンッ!!!!


フェリシア「入った! このまま場外ホームランだっ! ―――あっ・・・ああっ?!」

十七夜「むっ・・・ぐっ・・・ふんっ・・・!」ズズズズズ...... ズンッ.....


フェリシア「なっ・・・!? う、うそだろ?! オレのハンマーを受け止めやがった・・・!」

十七夜「むう。左腕を砕かれたか。だが貴様らを屠るくらい利き腕でなくとも十分だ」

フェリシア「車だってぶっ飛ばすオレのハンマーだぞ! お前体重いくつあるんだよ?!」

十七夜「乙女に体重を尋ねるなど躾のなっていない犬だな。それっ」タタッ ドンッ(体当たり

フェリシア「ふんぎゃ?!」ドタッ...

十七夜「うつ伏せになれ」ドガッ

フェリシア「うわっ?!」ゴロッ

十七夜「それから尻を出せ」ズルンッ

フェリシア「わあ!?/////」生尻プルンッ

十七夜「むっ。これはいかん。なんと聞かん坊精神のあふれる尻だ。月咲君以上だな。さぞや七海も手を焼いていることだろう。今すぐ調教が必要だ。さあ行くぞ」スッ

フェリシア「お、おい?! 何する気だ―――」

 パシーン!

フェリシア「あんぎゃああああ?!」

十七夜「そら、もう一度っ」パシーン

フェリシア「いってっぇえええ?!」

十七夜「喚くな。100回は叩くから覚悟しろ」パシーン

フェリシア「やめろぉぉお!?」


鶴乃「ほぇー」

やちよ「あらあら」


十七夜「ほらっ、 (パシーン) そらっ (パシーン) どんどん叩くぞ (パシーン) 従順で可愛げのあるワンちゃんになるまでお尻ペンペンだからな」 パシーン パシーン

フェリシア「おいっ!! ぐわっ?! やちよっ! ふぐっ?! 鶴乃っ!! うげっ! なに見てんだ!! ぎゃあ?! 早k にゅわっ?! 助けろぉおおお!!」

鶴乃「フェリシアさー。昨日わたしが楽しみにしていた巨峰アイスまた勝手に食べたよね」

やちよ「私、夏休み前に宿題を毎日少しずつやりなさいって言ったのに、結局溜めちゃって昨日慌てて鶴乃といろはに手伝わせてたわよね」

フェリシア「今そんなこと言ってる場合かーっ!!」

十七夜「ふむ。やはり思った通り、相当な聞かん坊のようだな」

十七夜「おい七海。この駄犬を東に預けてみないか? 土地柄同様のスパルタ教育で主従関係を叩き込んでやる。安名が世話になった礼だ」

やちよ「まあっ、それは素敵な提案だわ」

フェリシア「お、おいっ?! ウソだろ!!?」

やちよ「フェリシア。このまま十七夜に負けたら本当にそうするわよ」

フェリシア「冗談じゃねー!! うわーっ!!」ジタバタ ジタバタ ズルッ タタタッ


十七夜「あっ、おい。逃げるな。まだ10回も叩いてないぞ」

フェリシア「倒す! 絶対に倒してやるぅッッ!!」


  < ピピーッ!


みたま「はーい、みんな止まってねー」

十七夜「むっ? どうした八雲」

みたま「さやかちゃーん」

さやか「はいはーい。さやかちゃんが腕を治しちゃいますよー」パァア

十七夜「おおっ、これはすまない。助かる」

みたま「ということで、十七夜は退場ね」

十七夜「むっ!? 何故だ! 自分が何をした?! 正々堂々戦っているだろう!」

みたま「左腕でフェリシアちゃんのハンマーを思いっきり受けちゃったでしょ。普通の人だったらもう立てないくらい痛いからねそれ。つまり、大怪我ってこと」

十七夜「なにっ?! この程度で大怪我判定か?! むうっ、ぬかった・・・。ルールをよく把握していなかったな・・・・」

フェリシア「んっ・・・?! お、おい! ちょっと待てみたま! じゃあなんでその時にすぐに試合を止めなかったんだよ! そのせいでオレこいつに尻叩かれたんだけど!?」

みたま「だって~~~。フェリシアちゃんのかわいいお尻が見たかったから♪ うふふっ♪」

フェリシア「んなっ~!!////」


みと「ねっ、ねえっ! なぎたん!」

十七夜「ああ・・・。すまない。自分はこれ以上戦えないようだ。後を頼む」

れいら「そんなぁ・・・。十七夜さんがいないと勝てないですよぉ・・・」

ひみか「あのっ! せめて何か作戦をください! 私たちだけでもまだ勝てる望みがある作戦を!」

十七夜「ふむ。作戦か。う~む・・・。そうだな・・・・。では、こういうのはどうだろう」


いろは《えーと・・・。私たち、十七夜さんの声が十分に聞こえる位置にいるんですけど・・・。相手の作戦を勝手に聞いちゃっていいんでしょうか・・・?》テレパシー

やちよ《別にいいわよ。どうせ大したことのない作戦だから》

いろは《そうなんですか?》


十七夜「作戦は―――」

みと「作戦は・・・?」

れいら「作戦は・・・?!」

十七夜「作戦は、 “気合でなんとかする” というのはどうだろう」

みと「気合で・・・」

れいら「なんとか・・・」

せいか「する・・・・!!!」

ひみか「はいっ! ありがとうございましたーっ!」




やちよ《ほらね》テレパシー

いろは《あはは・・・・》

いろは《だけど、やちよさん。十七夜さんの考えがよく分かりましたね。最初に十七夜さんが一人で向かってくるっていう予想も当てましたし。やっぱりお付き合いが長いからですか?》

やちよ《ええ、まあ。それもあるけれど・・・》

いろは《?》


やちよ(十七夜と私。東のまとめ役と、西のまとめ役。そしてお互いに、あるとき仲間をみんな失って一人で戦うことになった)

やちよ(十七夜は私と同じような境遇。私たちは似たもの同士だと思う。だから、十七夜の考えはなんとなく分かる)

やちよ(でも、十七夜と私で違うことあるとすれば、それは・・・・・・・・)


みたま「さてさて。もういいかしら~。そろそろ試合再開するわよ」


やちよ「ふー・・・・。ごめんなさいねあなたたち。このまま私たちが勝たせてもらうわ。悪く思わないでね」ヒュンヒュン (槍を振り回す

鶴乃「にっひっひっひ~。十七夜ボスさえいなきゃあとはもうこっちのものだよーっ! ふんふんっ!」

フェリシア「フーーーーッ! 尻を叩かれた恨み、きっちりお前らで晴らさせてもらうからなぁっ!! 覚悟しろーっ!!」


みと「うぁー・・・。怖いよぉ・・・」

れいら「とりあえず、どう動こうっか・・・?」

ひみか《あのっ! 私が突っ走って相手フラッグを気合で取りに行きます! お三方は私たちのフラッグを気合で守ってください!》テレパシー

れいら《えっ? 一人で行くの? 大丈夫・・・?》


みたま「それじゃいくわよー! 試合再開っ!!」


ひみか「りゃりゃりゃあああっ!」タタタタッ


フェリシア「あっ! おいやちよ! 一人オレたちのフラッグを取りに行ったぞ! どうすんだ!?」

やちよ「フェリシア! Go Ahead!」

フェリシア「ガウガウガウ! ガルルルルッ・・・・! アォォオオオンッッッ!!!」ダダダッ

ひみか「発注!!」タタタッ

フェリシア「行かせねーっ! オッラァッ!!」ズガンッ

ひみか「くぅっ?!」 (サヴァイヴ)

フェリシア「ボッコボコだぁっ!」 ドスンッ

ひみか「んぬっ?!」 (サヴァイヴ)

ひみか「なんのぉ・・・!」

フェリシア「おわっ?! お前結構タフだなぁ! だがオレの攻撃はまだまだ終わってねぇぜっ! そーれっっ!!」ドカンッ

ひみか「ぐっ?!」 (サヴァイヴ)

ひみか「これしきぃ・・!」





明日香(フェリシアさんのハンマーを3回も受けた! さすがに無事でいられるはずがありません! これは試合を止めるべき―――・・・んんっ? これは・・・よく見ると・・・)

明日香(ダメージで動きに乱れはあるものの、大きな外傷や骨折はなさそう・・・?)

明日香(なるほどっ! ひみかさんは強靭な肉体と不屈の精神の持ち主というわけですね! だったら試合はまだ止めません!)



フェリシア「ま、まだ倒れないかっ?! クソ・・・! ズドォン!」 ドガッ

ひみか「うぐっ?!」 (サヴァイヴ)

ひみか「商品券とぉ・・・お米券・・・!」

フェリシア「なっ?! まだ立っていられるのかよっ?! いっ、言っとくけどオレは遠慮なんかしねーからな・・・! もう一発!」 ドンッ

ひみか「うぁっ・・・?!」 (サヴァイヴ)

ひみか「絶対に家族の元へぇ・・・!」

フェリシア「お、おい・・・。そろそろ倒れておけよ・・・。じゃないと・・・も、もう一回叩くぞ・・・? い、いいな? 叩くからな? ほら、倒れておくなら今の内だぞ・・・? このままだとバキボコになっちまうぞ・・・?」

ひみか「持って帰るんだぁ・・・!!」ヨロヨロ....

フェリシア「って! 言ってるそばからまだ止まんねぇのかよっ! うぅ・・・。し、仕方ねぇ・・・! ハイヤーッ!」 ボグッ

ひみか「ふぅぁ?!」 (サヴァイヴ)

ひみか「ふぅ・・・ふぅ・・・! 気合でぇ・・・!」

フェリシア「う、うわぁ・・・。お前なにもんだ・・・。ゾンビかよ・・・やべぇ・・・」

ひみか「なんとかするぅ・・・!」




みと「私たちのフラッグは透明人間が狙ってるんでしょ?! どうやって止めるの?!」

せいか「透明だから・・・どこにいるのか分からない・・・。止めろと言われても・・・」

れいら「えーっと、えーっと・・・・。ううっ! 分かった! イチかバチかあれをやる!」

せいか「あれ・・・?」

れいら「説明してる暇なんてないよ! みとっ! 私たちの心を繋げてっ!」

みと「ほいほ~い」

れいら「せいかっ! 私が思う場所に私と一緒に空間転移をしてっ!」

せいか「えっ? でも、私の転移は水がないと・・・」

れいら「大丈夫!」

せいか「あっ・・・! そっか! うんっ! 行くよっ!」




さな《いろはさんっ。フラッグまでもう少しです》テレパシー

いろは《うんっ。周りに相手はいないし、このままフラッグごと透明になれば簡単に持っていけるね》




        < そこだーっ!


いろは《えっ・・・?》

さな「いろはさん危ないっ!」 (かばう

バシ!   ガキンッ!

さな「はぅぅ?!」

いろは「さなちゃん?!」

れいら「やった! 当たった!」

いろは「えっ?! どこから来たの?! それに、ど、どうして場所が分かったの?! 私たち透明なのに!」

せいか「移動は・・・あなたたちのボスの・・・水を、通って・・・・」

いろは「あっ! そうだっ、やちよさんの魔法で出した水があちこちに・・・!」

れいら「場所を当てたのは・・・勘っ!」

いろは「ええっ?! 勘?!」

れいら「ヤァァッ!」バッ

いろは「わあっ?!」

さな「いろはさん!」 (かばう

ガキンッ!

いろは「さなちゃん! ありがとう!」

さな「ここは私が防ぎます・・・! いろはさんはフラッグを!」

いろは「うんっ!」タタッ

れいら「せいかっ! 追って!」

せいか「うん・・・!」


いろは(フラッグはもう目の前! もうちょっと・・・!)タタタッ

いろは「・・・取った!」パシッ

いろは(あとはこれを持ってセンターラインまで走り抜ける!)クルッ

せいか「行かせ・・・ませんっ!」ガシッ

いろは「あうっ?!」

いろは(掴まれた・・・!)


せいか「んんっ・・・・!」

いろは「ううぅ・・・!」

せいか「んぐぅ・・・!!」ググッ....

いろは「わわっ?! ち、力が強い・・・!」

せいか「筋トレ・・・してますから・・・!」

いろは「あっくぅぅ・・・でも負けない・・・!」

せいか「ひるまない・・・! だって・・・こういう時は・・・!」

せいか(熱血番長鬼柄椿も・・・S級ヒーロー金属バットも・・・そして十七夜さんも言っていた・・・!)

せいか「気合で・・・・なんとかぁ・・・・!」グググッ グンッ

いろは「ひゃっふっ?!」 ....フワッ

せいか「するぅぅうう!!!!」ブンッ!

いろは「ふああっ?!」ドシャ

せいか「一本!!」


ささら「環いろは! 場外!」

せいか「よかった・・・勝てた・・・!」

いろは「あぅぅ・・・。でも・・・!」


   みと「せいかーっ! もう一人来てるーっ! フラッグ守ってー!!」


せいか「えっ?」

いろは「鶴乃ちゃーん! お願いー!!」

鶴乃「うんこっち!」パシッ

せいか「あっ!? フラッグが・・・! 行かせません・・・っ!」ガバッ

鶴乃「最強ダッシュ!」バヒュン

せいか「速い・・・!」スカッ


   みと「ここは私の弓! 当たってねっ」パシュ


鶴乃「最強回避!」ピョーン


   みと「はずれたぁ・・・」


れいら「私が追い付いて止めるーっ!」タタタッ

鶴乃「最強加速!」バッヒューン

れいら「速いー! でもぉ・・・!」タタタタッ

鶴乃「あっはっはっは~! 最強の魔法少女はかけっこも最強!」

れいら「気合でなんとかするのー! やぁぁあ!」

鶴乃「最強ラストスパート!」キィーン

れいら「ああっ・・・・。離されるぅ・・・・。せいかぁ・・・・!!」


せいか「私が、私がやらないと!」バッ

鶴乃「ほっ?! ほほーっ!! 転移でわたしの前に立ちはだかったねー!!!! いいよいいよー!!!!! 受けてたーつ!!!!!!!」

せいか「気合で止める・・・!」ググッ....

鶴乃「最強ダーイブッッッッッ!!!!!!!!!!!」ダンッ!

せいか「飛んだ?!」

鶴乃「そしてこのままぁ・・・!」

鶴乃「最強! タァァッチダァァァウンッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」ズンッ!


  < ピピーッ!

みたま「チームみかづき荘の勝利ー!!」


鶴乃「しゃしゃああああああああ!!!!!! さいきょぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




杏子「だぁぁっ! 相変わらずうるせーなあいつの声は!」

ほむら「由比さんからここまで結構離れているのに耳がジンジンします・・・」

マミ「魔法少女なのに優雅さのかけらもないわねぇ・・・」





みたま「それでは勝利者インタビューをしてみましょ~」

みたま「今の感想をお聞かせくださーい」

鶴乃「ファーストキスは地球の味////」ポッ

みたま「以上、みかづき荘さんでした~♪」




フェリシア「お、おい・・・お前・・・・」

ひみか「はぁっはぁっ・・・。もうちょっと・・・もうちょっとでフラッグに手が届く・・・!」ヨロヨロ.....

ひみか「家族のために・・・勝つんだ・・・! 気合で・・・気合でなんとかするぅ・・・!」ヨロヨロ.....

ひみか「よ、よしっ・・・! やっと、やっと・・・! フラッグを取っ―――」

 にぎっ・・・・

ひみか「あっ、あれ・・・? これは・・・手・・・? 誰の・・・?」


十七夜「いいんだ・・・。もういいんだ、眞尾君・・・・。君はよく頑張った・・・」

ひみか「かな、ぎ、さん・・・・?」

十七夜「すまない・・・・。自分はふがいないお姉さんだな・・・。本当にすまない・・・・」

ひみか「なんで・・・謝っているんですか・・・?」

十七夜「眞尾くん・・・」抱きしめ

ひみか「あっ・・・あっ・・・うぅ・・・そんなぁ・・・! あ゙あ゙あ゙あ゙っ」ポロポロ


やちよ「十七夜っ」

十七夜「七海か・・・」

やちよ「貴女のリーダーとしての振る舞いがあまりにもお粗末だから、文句の一つでも言いたくなって」

十七夜「なんだ、随分な言いようだな・・・」

やちよ「その子も、あの子たちも、貴女のいい加減な作戦だろうと、十七夜の言葉を守れば勝てると信じて、必死になって、その結果こんなにボロボロになってるのよ。分かってる?」

十七夜「そ、それは・・・。承知している・・・」

やちよ「それだけ東の子たちは十七夜のことをよく理解していて、信頼しているの。マギウスから戻ってきた子たちもそうでしょう? だけど逆に貴女はどう? 東の子たちをよく理解している? 信じている?」

十七夜「何を言う! そんなの当たり前だっ!」

やちよ「だったらなんで最初に一人で私たちに立ち向かってきたのよ? なんで仲間と力を合わせて戦おうとしなかったの?」

十七夜「むっ・・・」

やちよ「これが試合だったからまだよかったものの、もし相手が魔女だったり殺意のある魔法少女だったらどうするつもりなの?」

十七夜「・・・・・・・」


やちよ「私ね、正直言うと、魔法少女個々人の強さは、西の子より東の子の方が強いと思ってる。その子みたいに、ものすごく打たれ強い子がいるんだもの」

十七夜(打たれ強いか・・・。確かに、不当な扱いを受け続けて耐え忍んでいる者はそうだろうな・・・)

やちよ「だけど私たちは勝ったわ。五人対五人の数のハンデがない勝負で。それがなんでか十七夜には分かる?」

十七夜「・・・・・・・・」

やちよ「・・・・・・・・」

十七夜「・・・・・・・。先ほど七海と自分が立ち合ったとき、七海は一対一の勝負で雌雄を決しようとする雰囲気があった。それで自分は心が躍った。だか、そこの狂犬が横槍を入れてきて自分は腹立たしく思った」

フェリシア「お、おう・・・。それでオレは尻を叩かれたのか・・・」

十七夜「しかし、そうやって腹立たしく思った時点で既に勝負は決まっていたようだな。チームとはそうやって戦うものだ」

十七夜「自分は一人で戦っている時間が少々長すぎたようだ。そのせいで大切なことを忘れてしまっていた。だからだろうな・・・。眞尾君たちに作戦を求められても、すぐにいい策が思い浮かばなかった・・・」

やちよ「一人で戦っている時間は私も長かったわ。十七夜は私と同じような境遇。私たちは似たもの同士だと思う。・・・でも、私と十七夜で違うことがあるとすればそれは・・・」

十七夜「それは?」

やちよ「・・・・私の方が少しだけ早く、いろはと出会えた事かしら。運がよかったわ、ふふっ」ニコッ

十七夜「・・・・ふむっ、そうか。そうだな。十分に納得のいく理由だ。運も実力の内と言う。潔く負けを認めよう。いいチームを持ったな、七海。うらやましく思う」

やちよ「十七夜にもきっと作れるわよ。いいチーム。その子たちとならね」

十七夜「むっ?」


ひみか「・・・・あのっ! 十七夜さん! 私は気合でなんとかする作戦は間違っていなかったと思います! 毎日気合で生きている私にとっては分かりやすくていい作戦でした!」

れいら「うんっ! だってすごく勇気がもらえたから! 十七夜さんの言うことだから最後まで諦めないで戦えました!」

せいか「・・・! ・・・!」コクッ コクッ

みと「足りなかったのは私たちの実力だよねー・・・・」

やちよ「いいえ、そんなことないと思うわ。だって、この試合は十七夜さえなんとかできれば簡単に勝てると思っていたけど、残ったあなたたちは思った以上に機転は利くし粘り強いんだもの。結構焦らされたわ」

十七夜「自分もそう思う。君たちの素質は十分にある。敗因はやはり全員で強調するチームワークの不足だろう。守りが得意な眞尾君が攻めに行ったり、心を繋げた連携技が得意な伊吹君たちが守りに入ったり・・・今思えば無茶苦茶な戦い方だ・・・」

十七夜「今回の試合で頼りない部分を見せてしまったが・・・。皆・・・今一度自分を信じて付いてきてはくれないだろうか・・・?」

れいら「私は最初からそのつもりですよっ! 十七夜さんが安心して背中を預けられるくらいに強くなりますから!」

みと「なぎたん! 私もっと強くなりたい! なぎたんみたいにかっこよくなりたい! だから色んなこと教えて!」

せいか「わ、わた、私・・・も・・・っ!」

ひみか「はっ! もしかしてこれは新しいビジネスチャンス?! 十七夜さん直伝の戦闘スタイルを身に着けて傭兵で荒稼ぎ・・・とか!」


十七夜「君たち・・・。ああっ・・・!」

十七夜「七海。自分は一から最高のチームを作ろう。その時はまた是非、手合わせを願う・・・!」

やちよ「ええ。楽しみに待っているわ」ニコッ



みたま「・・・・・・・」

みたま(・・・ありがとう、やちよさん)






葉月「あのぉ~・・・? すいませーん、次の試合は・・・?」

みたま「あっ! あらあら、ごめんなさいっ。それじゃあ次行きましょうか!」


みたま「コホンッ・・・・・・。え~っ、それでは次は一回戦最終試合!」

みたま「血はつながっていなくとも、絆は家族以上! その姉妹愛の美しさを例えるならばっ、立てばつつじ! 座ればつつじ! 歩く姿はつつじの花! 三人手と手を取り合い明日への道を切り拓く! アザァァァーレアッ三姉妹っっ!」

みたま「意気込みをどうぞ~」


~~~チーム つつじ~~~

あやめ「人がいっぱい見てるよ! このは! 葉月! あちしらがサイキョーでサイコーのチームだって見せつけなきゃね!」

このは「ふふっ、あやめったらはしゃいじゃって。そうね。がんばりましょう」

葉月「やるからには勝ちたいよね。だって優勝賞品が豪華だからさ。このはが最近家計が苦しいって言ってたし」

このは「ええ。でも、いざとなったらひみかさん直伝の爆安自炊で乗り切るつもりだから」

葉月(げっ?! このは?! そんなこと考えてたの?! やっば~・・・なんとしても勝たないと・・・!)


みたま「対するはぁ・・・!」

みたま「その小さい体を一生懸命使って、おてんばかしまし娘たちの手綱を引く! その姿はまさに白衣の天使、いやっ、白衣の幼女! 萌え萌えの愛くるしい姿に騙されるな! 見た目は子供。頭脳は大人。飽くなき探求心と化学の力で勝利の方程式を解く! チーム かぁぁがくぶぅーっ!」

みたま「意気込みをどうぞ~」


~~~チーム 化学部~~~

ひなの「くぉらぁ~! 誰が小さいだ! 誰が子供だぁ! アタシはみたまより年上だ!」

ひなの「おい! この大会の参加意義はアタシが古株お姉さん魔法少女としての威厳を取り戻すためでもあるんだ! 全力で勝ちに行くからな!」

れん「はっ、はい・・・! が、頑張りっ、ますっ、はいっ!」

梨花「えー、いいよ~れんちゃん真面目に受け取らなくて。それより楽しもうよ! 人がいっぱいいてお祭りみたいで楽しいじゃん!」

衣美里「だよねだよね! テンション上がるわー! あーしこういうドキドキするイベント大好き! でももっとドキドキしたい! ぴっかーん! 閃いた! ねえねえれんぱす! あーしと一緒に水着で参加してみない!? ちょードキドキすっしょ! 水着水着! 夏だし水着着ようよ!」ピース

れん「いいえ」




みたま「それでは両チーム準備お願いね~」


衣美里《ねえねえねえねえみゃーこ先輩!》テレパシー

衣美里《あーしさぁ うっわっ! すっげ! バリヤバ! って思われるような勝ち方したい! そんでハイパー目立ちたいの! なんかパツイチでバーンと勝ちにいける秘策とかないないなーい?》

ひなの《くっふっふっふ・・・。任せておけ。今日のためにとある秘薬を調合してきたんだ。こいつを使えばどんなに強い奴が相手だろうとミジンコでも勝てるってぇ代物サァ・・・くふふふ・・・・》

梨花《うわー・・・なんかヤバそー・・・・。それ警察に見せても大丈夫なやつだよねー・・・?》

衣美里《あれだね! みゃーこ先輩はさぁ・・・なんてったっけあれ・・・えーと・・・あっ! マックサプリメントだっ!》ピース

れん(マッドサイエンティストって言いたいのかな?)


みたま「試合始めてもいいかしら~?」

このは「ええ、どうぞ」

ひなの「ああっ! 始めていいぞ!」

みたま「それでは・・・。レディー・・・ゴーッッ!!」


あやめ「ちょりゃー!」スタタタタタッ


れん「あっ・・・!」ビクッ

梨花「うわうわ?! ヤバイって! いきなり一目散こっちに来てるよ!」

衣美里「ちょおおおおおおっ! みゃーこ先輩! なんとかしてなんとかしてなんとかして!」ユサユサッ

ひなの「揺らすな! 慌てるな! さっきも言っただろう! この秘薬があれば絶対に勝てる!」

衣美里「早く使って早く使って早く使って!」ユサユサッ

ひなの「分かってる分かってる! これは相手にぶつけて使うんだ! 狙いがぶれるから揺らすな!」

ひなの「いくぞっ! それっ」ポイッ


あやめ「んにゃ?」

パシャン

あやめ「へっ・・・?」

あやめ「はれぇ? ふぇえぇぇええぇ? あんにゅぁあなんやぁこれぇきもちぃーふらふぁあちし~」パタリ (スタン)

このは「あやめっ?!」


ひなの「よしっ命中! この薬を浴びると数分間体が自由に動かなくなる! これで相手全員を動けなくして、後は悠々とフラッグを取りに行けばいいってぇ寸法だあ!」

衣美里「すっげすっげ!」


このは「あやめ・・・あやめ・・・。ふぅ、ふーっ・・・! ふーっ・・・! あやめ・・・あやめを・・・! よくもあやめをぉ・・・! 許さないっっ・・・!! 絶対にっ!!!!」 .....ゴゴゴ

葉月「こ、このは~・・・? 落ち着きなって・・・。なんかふにゃふにゃ言ってるから別にあやめは死んじゃいないよ・・・」

このは「ぐぅぅぅぅううう・・・・・・!!!!」 ......ゴゴゴゴゴゴ ゴ ゴ ゴ




れん「ひゃっ・・・」ビクビク

梨花「ね、ねぇ、みゃこ先輩・・・あの人ヤバくない・・・?」

ひなの「あ、ああっ・・・。や、ヤバそうだな・・・・。心なしか地面が揺れてるような・・・」

衣美里「うっわぁー・・・。あれはキメちゃってるわぁー・・・超ド級でヤバイやつだわぁ・・・」


このは「アアアアアアアアッッッッッ!!!!」 ムキムキムキムキムキムキムキンッ! 服バリーッ

葉月「あぁー・・・。アタシもう知ーらないっと・・・・」


ひなの「な、なんだあれはっ?! 急激に全身の筋肉が膨れ上がった?! 魔力で体を強くしたのか・・・?!」

衣美里「シャツがはじけ飛んでおっぱい丸出しだよあれっ! ヤバイよ!」

梨花「ダメだなーっ! 女子としてそれはダメだなーっ! お願いだからせめてなんか羽織ってー!」


このは「フゥゥウウウゥウウゥウウゥッッ!!!!」 ズシッ... ズシン... ズシン....


衣美里「うわうわうわうわこっちこっち来てるって! 足音すげーし! 歩いたところの地面がへこんでるし! ヤバイヤバイヤバイ! あー・・・もしかしてこれウチら死ぬやつかな?」

梨花「死ぬ死ぬ! 死ぬよね?! あたしら死ぬってこのままじゃ! みゃこ先輩! さっきの薬! さっきの薬で動けなくして! 早く早く!」

ひなの「ああっ! 分かってる! そりゃ」ポイッ


パシャン

このは「フウゥウウゥウゥゥゥゥゥウウウッッッ!!!」 ズシン... ズシン.... (スタン無効)


梨花「ええっ?! 効いてない! 効いてないよ薬! みゃこ先輩なにやってんの!?」

ひなの「な、なんだぁ?! 体の周りにオーラみたいなのが出てて、薬が防がれている?!」

衣美里「このままじゃマジ死ぬって! こうなったらあーしも筋肉モリモリマッチョマンの変態になるしかないっしょ! なんかそんな薬ちょーだいみゃーこ先輩! 持ってるでしょ?! 持ってるよね!!」モソモソ

ひなの「お、おい! 勝手に白衣の中をまさぐるな!」

衣美里「あっ! なんかあった! 袖の下になんかあった! この黒真珠みたいな薬が筋肉モリモリ薬だよね?! 食べちゃうよ! あーん、パクッ」

ひなの「バカッ! それは―――」

衣美里「わらび餅! わらび餅だこれ!! タピオカァァァアッッ!!!」

ひなの「それはアタシのおやつだ! 楽しみにしてたのにーっ!」

梨花「これはもうあれだね。命乞いしかないかな?」

れん「許して・・・ください・・・はいっ・・・」


このは「ふぅぅぅうううッッ! これでなにも言わなくなったら許してあげるわッッッ!!!」 バタフライ・テンペスト!!


ひなの「ぬわあ?! なんて巨大な竜巻だ・・・! これは避けられない! おいっ! お前らアタシの背中に隠れろ! 守ってやる!!」

衣美里「いやいやみゃーこ先輩。隠れろって言われてもさー」

梨花「みゃこ先輩の背中ってちっさすぎて隠れるところなくね? つー話」

れん「はいっ・・・・」

ひなの「お~っ ま~っ え~っ るぁ~・・・ッッ!!」


ブワッ!


ひなの・梨花・れん・衣美里「「「「あーっ!!」」」」


ささら「化学部の皆さん、場外です!」

みたま「試合しゅ~りょ~。チームつつじの勝利~♪」




フェリシア「うわー・・・。あやめの母ちゃん怖ぁ・・・」

鶴乃「クリリンが殺されたときの悟空みたいだったねぇ・・・」

かこ(あやめちゃんがフェリシアちゃんと画力対決したときに描いた、銃弾が効かない筋肉モリモリの私って、あのこのはさんが元のモデルだったのかな・・・?)




このは「あやめっ! あやめっ!」ユサユサ

あやめ「ふにゃぁあぁあ~」


葉月「あのー。ひなのさん? 大丈夫ですか?」

ひなの「アイタタタ・・・。ああ、なんとか・・・」

葉月「それはよかった。ところで念のため確認なんですけどー。あの薬って危険なものじゃないですよね?」

ひなの「ああ、もちろん。体が数分間動かしにくくなる以外の害はない。・・・・ただ、一つやっかいな副作用があってな」

葉月「副作用?」

ひなの「ああ、その副作用とは―――」

葉月「その副作用とは・・・?」


あやめ「はれぇぇえぇ~? このはら~」

このは「ええっ! そうよ、私よ! あやめ、大丈夫っ?」

あやめ「このは~~。あちしおっぱいほしー。ちょーらーい」 このはの胸にカプッ

このは「へっ?!//// あっ、ああ、あやめぇっ?!/// ちょ、ちょっとそれは・・・///」

あやめ「ちゅぅうう」

このは「あっ/// んっ//// そ、そんな///」ピクッ


ひなの「その副作用とは、しばらくの間ひどく甘えん坊になってしまうんだ」

葉月「ひ、ひどく甘えん坊に・・・なってしまう・・・」

やちよ「都さん。その薬をとりあえず12ダースほど頂こうかしら」

いろは「やちよさんっ?!」


あやめ「あぇ~? おっぱいでないら~? はむっ、チュゥウウゥウ」

このは「んんんっ//// わ、分かったわあやめ/// 出したことないけど、あやめのために頑張って出すわ////」

葉月「落ち着きなってこのはっ! そろそろ変身しなおして服を着て! みんなこっち見てるから!」

葉月「はぁ・・・」

葉月(まあでも、こうやってこのはがド派手に戦ってくれたおかげで―――)


マミ(なんて強力な魔法なのかしら・・・。私のティロ・フィナーレでも跳ね返せるかどうか・・・)

ななか(このはさんが戦っているところは今まで何度か拝見しましたが、まさかこれほどの実力を秘めていたとは・・・。そして当初から警戒している葉月さんの知略も合わさるとなると・・・。私たちが決勝戦で当たるのは、案外つつじの皆さんかもしれませんね)

やちよ(思った以上ね、このはさんは。さすが1が初めて引いた☆4だけあって贔屓されてるわ。ずるい)


葉月(―――これから当たる実力者たちに、このはの強さを印象付けるには十分なパフォーマンスにはなったよねえ)ニヤッ






れん「梨花ちゃん! 梨花ちゃん! あ、あのっ! 都先輩っ!」

ひなの「れん? どうした?」

れん「梨花ちゃんが目を覚まさなくて・・・!」

ひなの「梨花が? ちょっと見せてくれ」スッ

梨花「・・・・・・」

ひなの「脈と呼吸は安定している。吹き飛ばされたときに軽い脳震盪を起こしただけだろう。魔法少女の体は頑丈だし、しばらく安静にしていれば大丈夫だ。心配するな」

れん「ううぅ・・・・」ウルウル

ひなの「・・・心配するなと言われても心配だよな。分かった。治癒魔法が得意なのを連れてくるからちょっと待っててくれ」

れん「はいっ! お願いします・・・はいっ」

衣美里「だーいじょうぶ だーいじょうぶ。りかっぺはこんなんじゃ死なないって! 落ち着きなよれんぱすっ」

れん「はいっ・・・・」

衣美里「あっ! そうだれんぱすれんぱす! みゃーこ先輩の薬をれんぱすが浴びてみる? 甘えん坊になれば落ち着くっしょ! あーしに甘えてっれんぱすっ!」ピース

れん「いいえ」

衣美里「そっかー。あっ、じゃあさじゃあさ、この薬を今のうちにりかっぺにぶっかけてみない? 目を覚ましたら甘えん坊りかっぺの誕生だし! 見たくね見たくね?」ピース

れん「はい」 パシャン

梨花「ふぇ・・・・」




みたま「激戦の一回戦を勝ち抜き、準決勝進出の4チームが今ここに決まった! ここからは本物の実力と実力がぶつかり合う! 目の離せない戦い! 早速始めるわよー!」

みたま「それでは準決勝一試合目はぁ・・・」

みたま「チーム見滝原 VS チーム仲良しななかと愉快な同志たち!」

みたま「一回戦目では圧倒的な火力で双子ちゃんを吹き飛ばしたチーム見滝原。対するは、前回王者を相手に華麗な戦略で勝利を掴んだチームななか。見滝原のあの超火力をどうやって攻略するのでしょ~。楽しみ~♪」

みたま「さてさて、両チーム準備はどうかしら~」


ななか「全員配置完了です。いつでもどうぞ」

マミ(あらまぁ・・・。広いフィールドをいっぱい使って、4人全員離して配置したのね。確かにあの陣形ならティロ・フィナーレ一発で全員は落とせないわ)

マミ(それに、一回戦を見る限り、ななかさんは戦略で勝負するタイプよね。前に一緒にお茶したときにあきらさんも言っていた。今まで何度もその戦略で勝利に導いてくれたって。だから今も色んな戦略を考えていて私たちをかく乱して勝ちに行くつもりとみるべき・・・)

マミ(となれば、あれをこの準決勝で使うわ。できれば決勝戦まで取って置きたかったのだけど・・・・)

マミ「・・・・・」 パッパッ(ハンドサイン




みたま「マミちゃんチームは準備いい?」

マミ「あっ、はい、大丈夫です」


みたま「それでは~・・・・。プレイッッ!!」


ななか《それでは皆さん。手筈通りに・・・》テレパシー

かこ《はいっ!》

あきら《応!》

美雨《わかたヨ》


美雨「はぃやーッ!」ダッ

マミ「待ってください!」

美雨「うわっ?! なんネ?!」

マミ「勝負はもう付いています!」

美雨「ハァ?! 何言てるネ! そんなくだらないこと言て私を欺くつもりカ!? みともない! お前にはプライドないカっ!?」

マミ「そうじゃないわ。本当にもう私たちの勝ちなの。そうですよね、八雲さん?」

みたま「えっ?」


ほむら「あの・・・これ・・・」 つ[フラッグ]


美雨「はっ・・・? そのフラッグは・・・」

みたま「あらまあ、ほんと、すごいじゃなーい! そうね、チーム見滝原の勝ちー♪」


まどか「わーっ! やったやった! ほむらちゃんすごいよーっ! 決勝戦進出だよー! うぇひひー♪」抱き着き

ほむら「う、うん・・・!///」

さやか「やるじゃんほむらーっ!」肘ツンッ

杏子「なんだいなんだい。一回戦に続いてあたしはまだ何にもやってないんだけど? 神浜の魔法少女ってのはこの程度かい? 情けないねぇ」


美雨「はっ! そうか! お前の魔法でフラッグ取たカ! 暴力団から気が付かれずに武器を盗んだみたいに!」

ほむら「は、はい・・・。私の時間停止の魔法で・・・」

あきら「時間停止?! そんなの有り?!」

美雨「無いアル! 無いアル! おい審判! こんなことされたら勝てるわけ無いアル!」

みたま「あるの~? ないの~? どっち~?」

あきら「無いに決まってる! 納得いかないよ! 卑怯だよ! 時間停止の魔法は無しにして再試合させて!」

マミ「卑怯だなんて言い方はあんまりだわ! 時間停止は暁美さんの立派な固有魔法よ! 固有魔法を使わずに戦えって言う方が卑怯よ!」

あきら「そんなこと言ったって・・・。ねえ! ななかも何とか言ってよ!」

ななか「ふむ・・・。どのような策を弄しようと、時間停止の魔法の前では全くの無力・・・というわけですね・・・」

あきら「ななか・・・?」

ななか「いい勉強になりました。美雨さん、あきらさん。ここは潔く負けを認めましょう」

あきら「ええっ!?」

美雨「ななか!」

ななか「見滝原の皆さん。参りました。私たちの負けです。どうかこの後もご健闘を・・・」ペコリッ


マミ「ええっ、分かったわ、ありがとう」

あきら「そんなぁ・・・」

美雨「くっ・・・」

みたま「はーい。というわけで、改めてチーム見滝原の勝ちー♪」

ななか(ワルプルギスの夜との戦いで、みとさんの魔法で皆さんと心が繋がった時に、ほむらさんはいろはさんと何かやっているというなんとなくの認識はありましたが、まさか時間停止とは・・・)

ななか(使い方次第ではかなり強力な魔法です。例えば、コンビネーションで攻撃力を何倍にも圧縮したりとか)

ななか(が、ほむらさんのことは今後も警戒しなくて大丈夫でしょう。肝心の時間停止を使う本人が、あのように弱気で眼鏡でまな板なのですから、私の敵になることはないでしょう)




いろは「やっぱり強いですね、まどかちゃんたちは・・・」

やちよ「ええ。今回参加者の中でトップクラスの実力を持つ巴さんに佐倉さん、それに時間停止を使う暁美さん。本当に隙のないチームだわ」

いろは「私、勝ち目がないような気がしてきて・・・」

やちよ「勝つのはかなり難しいわね。でも、大丈夫。常盤さんの今までの戦い方を見て、チーム見滝原の突破口が少し見えたわ。やはり優秀な戦略家ね、彼女は」

いろは「えっ? 本当ですか? どうやって?」

やちよ「それについて話すのは次の試合に勝ってからよ。次も簡単には勝てない相手だから」




みたま「それでは次の試合」

みたま「決勝戦進出の最後の一枠を決める大勝負を競うのは・・・!」

みたま「チームみかづき荘 VS チームつつじ!」

みたま「みかづき荘は一回戦、因縁の東西対決で勝利を収め、優勝候補としての実力を見事誇示! このまま真の神浜王者になるべく邁進できるかしら~?!」

みたま「対するチームつつじは、だれも予想しなかった鬼神の如き強さを披露し、化学力を物理でねじ伏せ圧勝! やはりコネクトしやすい分5人チームより3人チームの方が有利なの!? その真偽がこの後明らかに!」


みたま「さてさて、両チームとも準備の方はいかがかしら~」


フェリシア「おいっ! やちよ! オレは初っ端からあやめに突撃するからな! あやめと一対一で戦わせろ! いいな?! 邪魔するなよ!」

やちよ「はいはい分かってる分かってるわよ・・・それはさっきから散々聞いてるから、もう好きになさい・・・」


あやめ「このはっ! あちしはフェリシアと戦いたい! フェリシアだけには絶対負けたくないの! 負けたくないんだー! お願いお願い一対一で戦わせて!」

このは「ダメだと言っても聞かないでしょう? 向こうもその気みたいだし、この際思いっきりやり合ってすっきりしておきなさい」


葉月「そんじゃ、このは、アタシたちは」

このは「分かってるわ」


やちよ(相手の初期位置は・・・。あやめちゃんがフェリシアとセンターラインを挟んでにらみ合っている。このはさんと葉月さんが自陣フラッグの直ぐ傍に陣取っている)

やちよ(五人対三人の数の差だし、私たちが攻めなければいつまでたっても試合が終わらなさそうだし、私たちから攻めるのが筋ね)


やちよ「私たちは準備いいわよ」

このは「こっちもいいわ」

みたま「はいはーい。それじゃあ試合始めるわよ」

フェリシア「ガルルルル・・・・!!」

あやめ「んぬぬぬぬ~・・・・!!」




かこ「ああ・・・。お願いだから二人とも怪我だけはしないで・・・・」

美雨「それは無理な話ネ。二人ともあの気迫。しかも大怪我ありの勝負。どちらかが怪我して倒れるまで終わらないヨ」

かこ「そんなぁ・・・」

あきら「だから二人がいつ怪我してもいいように、かこちゃんがしっかり治癒魔法の準備をしておかなきゃね」

かこ「は、はいっ!」




みたま「コホンッ・・・。はっけよ~い・・・。のこった!」

あやめ「おりゃあ! くらえ! 新技・コアラタックル!」ドッ

フェリシア「おごうえぇぇっ!?」

あやめ「へっへーん! どうだー☆ これはコアラの戦い方からヒントを得た―――」

フェリシア「ごちゃごちゃうっせー! 牛パンチ!」ドガッ

あやめ「んぎゃ?!」

あやめ「やったなー! こんにゃろー!!」

フェリシア「うぜー! オラァッ!!」


鶴乃「ほほー。元気だねーフェリシアは」

やちよ「あの情熱を少しでも勉強や家事手伝いに回してくれると嬉しいんだけど・・・。ま、いいわ。私たちはフラッグを取りに行きましょう」

鶴乃「あいあいさー!」

いろは「さなちゃん」

さな「はいっ!」 ....スゥッ


このは「んっ?」

葉月(おやおや。試合開始いきなりいろはちゃんとさなちゃんが透明になっちゃったよ)

葉月(透明ってのはやっかいだよねぇ。特にいろはちゃんもとなると。どこから射撃が飛んでくるか分からないんだもん)

葉月(そして言わずもがなフラッグごと透明になられたら、この広いフィールドで捕捉するのはもう不可能。だからセンターラインまで持って行かれるまでもなく、フラッグを取られた瞬間にアタシらは負けが決まっちゃうようなもんだ)

葉月(アタシらにはれいらちゃんほどの勘の鋭さはないし、はてさて、どうやって透明人間を攻略するかねぇ・・・)




やちよ「・・・・・・・」スタスタ

鶴乃「ふーんふんっ!」スタスタ


このは《二人歩いてこちらに来るわ。どうする葉月?》テレパシー

葉月《少し離れたところでアタシが鶴乃さんと対峙する。このははそのままその位置でやちよさんを釘付けにしておいて》

このは《分かったわ。鶴乃さんもかなりの実力者よ。気を付けて》

葉月(更紗帆奈と鶴乃さんが戦っているのを近くで見ていたから分かる。鶴乃さんはかなりの実力者だ。やちよさんが信頼しているのも頷ける。真正面から戦ってもアタシじゃ勝ち目はない)

葉月(だけど、戦いってのはなにも武器をぶつけ合うだけじゃないんだ。アタシにはアタシの戦い方がある。だからここは鶴乃さんにアタシの戦い方に付き合ってもらおう・・・)


葉月「やあやあ、こんにちは鶴乃さん」

鶴乃「はいこんにちは! さあ戦おう!」バッ

葉月「まあまあ、そんなに焦らないで」


葉月「あのですねー。このままアタシらが戦うと、少しそちらのチームにとって、よくないと思うんですよ~。それが心配で、おせっかいながら申し上げておこうかなーっと思いまして~」

鶴乃「よくない?」

葉月「向こうでうちのあやめと、そちらのフェリシアちゃんが戦っているじゃないですかー」

鶴乃「ふんふん?」

葉月「もしですよ? もしうちのあやめが勝ってしまうとですね? 今、そちらの陣地がガラ空きじゃないですか。フラッグ大丈夫なのかな~? って思って」

鶴乃「なんだそんなこと! 仮にフェリシアが負けても全然大丈夫だから心配しないで!」

葉月「へえ・・・」


葉月(なるほど。透明人間二人が自陣でフラッグを守っていることをほのめかせる発言だ。でもそうだとはっきりは言わない。透明人間が敵陣にいるのか自陣にいるのか、どこにいるかわからない状態を保って、アタシらの注意を散漫させる腹だろうね。だけどそれは逆に言えば、ここぞという時まで透明人間は場所が割れるようなことはなにもしないってことだ)

葉月(でも、透明人間二人がこの近くにいることをアタシは分かっている。さすがのやちよさんだって一対一でこのはとやり合って勝てるとは思っていないはず。そう思わせるために一回戦でこのはの強さを印象付けたんだから)

葉月(相手の作戦は恐らく、鶴乃さんにアタシを倒させて、四対一でこのはを落とすつもりだろうね)

葉月(だから鶴乃さんがアタシを倒すまで大きな動きはない。そうと分かれば、鶴乃さんを揺さぶる十分な時間が取れる。鶴乃さんを突破口に相手の連携を崩していけばいい)


葉月(アタシがフェリシアちゃんから聞いて鶴乃さんについて知っているのは、猪突猛進、頭の回転が速いが精神年齢が低い、そしてみんなの幸せのために最強の魔法少女になることを目指している、あと声がデカい・・・ってとこか)

葉月(それと、一回戦開始前の意気込みで、最強を証明したいとも言っていた。よしっ、今はこれだけの情報があれば十分揺さぶれる)



葉月「ところで鶴乃さんはどうしてこの大会に参加したんですか?」

鶴乃「それはわたしが最強であることを証明するため!」

葉月「どうして最強になりたいんですか?」

鶴乃「それはみんなの幸せのため! それと由比家再興のため!」

葉月「ふふっ。そうですか。鶴乃さんらしいですね~。ちなみにアタシたちが大会に参加したのは優勝賞品のためなんですよ」

鶴乃「はっ! やっぱり万々歳の割引券が欲しいんだね!」

葉月「あははっ、そうですね。それもあります。それだけアタシたちは生活が苦しい。アタシらに親はいないから、自分たちが生きるためのお金や食べ物は自分たちで揃えないといけない。だから明日生きるために優勝賞品が何としても欲しい」

鶴乃「あっ・・・。そ、そうなんだ・・・」

葉月「結構そういう人いるんじゃないですか? 例えばあなた方が一回戦で負かしたひみかちゃんとか。あんなにボロボロになって泣きじゃくってそれでも優勝賞品が欲しかった」

鶴乃「うっ・・・ま、まあ・・・・」

葉月「鶴乃さんはみんなの幸せのために最強になりたいって言ってましたけど、それって、そういう貧しい人たちの犠牲の上に成り立つんですか?」

鶴乃「違う! 違う・・・違うけど・・・」

葉月「あははっ、ごめんなさいごめんなさい。今は試合中です。アタシらの身の上なんて関係ないですよね。戦いましょうか」

鶴乃「あ、う、うん・・・」

葉月「さて・・・」グッ

鶴乃「うぅ・・・」バッ.....

葉月(気の入ってない構えだ。もう少し、もう少し揺さぶればいける)

葉月「鶴乃さんのチームはすごいですよね。最古参のやちよさんに、最強の鶴乃さん、それに透明人間のさなちゃん。誇張無しに最高のチームだ。まともに戦ったらアタシたちは勝てない」

葉月「でも、先ほど言った通り、アタシらは生きるために負けるわけにはいかない。だから、ある作戦を考えました」

鶴乃「作戦・・・?」

葉月「このはの固有魔法は何か知っていますか? 暗示の魔法です」


鶴乃「えっ?! それって・・・」

葉月「はい。ただ、更紗帆奈程万能ではない。でも、こうやって、存在しない偽物のアタシを本物であると鶴乃さんに暗示をかけ、無駄話をして時間を稼いで、本物のアタシはフラッグを取りに行く・・・そんなことをするくらいには十分機能する」

鶴乃「はっ! まさかっ」

葉月「アタシ最初に言いましたよね? そちらの陣地がガラ空きですけど、いいんですか? って」

鶴乃「いろはちゃぁぁああああああん!!!! フラッグを守りに行ってぇええええええ!!!!!!!!!!!」

葉月(掛かった!)


いろは「えっ?! えっ?」


鶴乃「早くぅぅぅうううううううう!!!!!!!!!!!」


いろは「あっ、う、うん!」タッ

さな「あっ?! いろはさんっ! 手を離したら・・・」

いろは「あっ・・・・」スウッ....


このは(いろはさんが見えた! やっぱり近くにいたわね!)

このは(だけど狙うは透明のさなさんの方! いろはさんの手の位置からして・・・)

このは「そこっ!!」シャリン!

やちよ「させないっ!」シュ

このは「はっ!」バシンッ

やちよ(なっ?! 素手で私の槍がはじかれた?!)

ザシュ

さな「んにゃぁ?!」

いろは「さなちゃん?!」


葉月「よそ見してていいんですかぁ?!」ザシュ

鶴乃「あぎゃんっ?!」

鶴乃「そ、そんな・・・偽物なんじゃ・・・」

葉月「ごめんなさいねー。いわゆる、ハッタリってやつです」

  < ピピーッ!

明日香「全員止まってください! 由比さんと二葉さんは退場です! 治癒班! お二方をお願いします!」

かこ「あっ、私が!」

れいら「私も行きます!」




葉月「ふぅー・・・。さてさて! これで三対三! 数の有利はなくなりましたねー! やちよさん!」

やちよ「・・・・・」




ななか「これはこれは・・・」

ななか(頭の回転は速いが精神年齢が低くて細かいことを考えるのが苦手な鶴乃さんを選び、その鶴乃さんを会話で惑わし、そしてその声のデカさを利用して惑わしをチームに伝搬させる)

ななか(ここまでやってのけるとは・・・。やはり油断なりませんわ、葉月さんというのは・・・・)

ななか(それと、鶴乃さんの大声に惑わされなかったやちよさんの冷静さもお見事。このはさんの妨害には失敗してしまったようですが)




葉月「アタシはこれから思いっきり走ってあなた方のフラッグを取りに行きます! これはハッタリじゃありませんよー!」

やちよ「・・・・・・・」

葉月「アタシを追いかけますかっ? そうするとこのはに背を向けることになりますねっ!」

やちよ「・・・・・・・」

葉月「それともいろはちゃんと協力してこのはを先に落としますっ? でもたった二人だけでこのはを落とせますかーっ?」

やちよ「・・・・・・・」

いろは「やちよさん・・・・」


みたま「うふふっ♪ やちよさんぴーんちっ。面白くなってきたわぁ」

みたま「続きが気になるからそろそろ試合再開するわよ~」


このは《葉月! あんまり煽らないでっ》テレパシー

このは《ハッタリで私を強く見せるのはいいけど限度があるわ。本当に二人で攻められたらさすがの私も持たないわよ。相手はやちよさんよ? この神浜でも随一の実力と経験がある人なのに》

葉月《そうだよな、分かってる。でもやちよさんはきっとこのはの強さにビビってるだろうから、強引には攻め込んでこないはず。その間にアタシが死ぬ気で走ってフラッグを取りに行くからなんとか頑張って!》

このは《仕方ないわね・・・》


いろは《ど、どうしましょうやちよさん・・・。三対三で、相手にはこのはさんが残っているこの状況・・・》テレパシー

やちよ《確かに、今の私じゃこのはさん相手には手も足も出ないわ。さすがに槍を素手で受け止められるほどの力量差があるとは思わなかったわ。でも、焦らないで。イチかバチか試してみたい作戦がまだ残ってる》

いろは《本当ですかっ?》

やちよ《試合が再開したらとりあえずいろはと私でこのはさんを攻めるわ。でも無理に倒そうとしなくていい。このはさんはフラッグの傍からは離れないだろうから、私たちは少し距離を取りながら、強力な反撃だけに気を付けて戦うわ》

やちよ《そして葉月さんが私たちのフラッグを取るその少し前に・・・》


みたま「もういいかしら~?」

みたま「それでは・・・試合再開っ!」


葉月「はっ!」タッ

葉月(さあやちよさん! アタシを追うか? それともこのはと戦う?! どう出る?!)




やちよ「セヤッ!」シュ

いろは「やぁっ!」バシュ

このは「んっ?! はっ!」ガキン バシッ

このは《二人共私に来た! 葉月早く行って!》テレパシー

葉月《オッケー! 頼んだよこのは!》


やちよ「ヤッ!」シュ ヒュパ

このは「まだっ!」ガキン

このは(葉月の言った通りね。やちよさんはなかなか踏み込んでこない。私が慎重さを欠かなければ倒されることなく捌ききれる!)


やちよ「ハァッ!」シュ

いろは「あたって!」バシュン

このは「くっ!」サッ

このは(やちよさんの隙を縫うようにいろはさんが援護射撃をしてくるから、私もやちよさんを倒せない。だけど葉月がフラッグを持ってくるまで耐えられればそれで十分! 葉月早くして!)



葉月(よしっ! もうちょいでフラッグを取れる! このは! なんとか持ちこたえてよっ!)タタッ



やちよ《いろはっ! 葉月さんは今どのあたり?!》テレパシー

いろは《フラッグの手前10mくらいです!》

やちよ《そろそろね・・・! やれるわよねいろはっ?!》

いろは《はいっ! やってみせます!》

やちよ《いい返事ね! 行くわよ!》

いろは《はいっ!》


やちよ「フッ!」バッ

このは「んっ?!」

このは(やちよさんが大げさに後ろに引いた? 何をするつもり?)

いろは「やぁぁっ!」バシュン バシュン

このは「くっ、そこっ!」ガキン ガキン

やちよ「・・・!」タタッ

このは「あっ!」

このは(やちよさんが反対方向に走り出したっ?!)




葉月(よしっ! フラッグを取った! あとは振り返って60m先のセンターラインまで走り抜ければアタシらの勝ちだ!)タタタタッ

葉月(んっ・・・? やちよさんがこっち向いて・・・こっちに走りに来てる?!)

葉月(まさかこのタイミングでアタシの妨害に来た?!)

葉月(やちよさんはアタシがフラッグを取るより早く走り出したみたいだ。このままじゃアタシがセンターラインに着く前に正面からやられる!)

葉月(だけどそんなことはこのはが―――)


このは「―――させないっ! ハッ!」バッ....

いろは「やちよさん行ってぇぇっ!」バシュン バシュン

このは「くっ!? このっ」ガキンッ

このは(やっぱり後ろから撃ってくるわよねいろはさんは。後ろからの射撃を対処しつつ、前を行くやちよさんを止める・・・。言葉にするのは簡単だけどかなり難題よこれは!)

このは(でもやってみせる!)タタッ


いろは(このはさん、なんて器用な人なんだろう! 正確に狙ってるのに私の矢が届かない!)

いろは(私の攻撃でこのはさんが倒れてくれればよかったけど・・・。それができないなら、せめてやちよさんへの攻撃を邪魔するつもりで撃ち込む!)バシュン

このは「まだまだっこの程度っ・・・!」ガキンッ

葉月《このは聞こえる?!》テレパシー

このは《ええ、ここまで近づけば聞こえるわ》

葉月《このままじゃアタシがセンターラインにたどり着く前にやちよさんとアタシがぶつかる》

このは《そうね。どうする?》

葉月《このはがやちよさんの後ろからデカい攻撃をして、やちよさんをあやめたちがいる方に誘導してくれない? そしたらアタシがその反対側を走り抜けるから》

このは《あまり前に意識を向けると後ろから射撃されるけど・・・。でも、ここまでくればやちよさんさえ何とか出来れば私たちの勝ちだものね。分かった、それでいきましょう》

葉月《うん頼むよ!》




このは「やっあああっ!」 ザシュゥウ

やちよ(んっ?! 後ろから大きな魔力! 魔力を刃にして飛ばした?!)

やちよ(これは避けないとやられる!)バッ

葉月(よしっ! 思った方向にやちよさんが避けた! あとはアタシが反対方向に走り抜ければ・・・!)


やちよ(・・・・葉月さんとこのはさんが『もう少しで勝てる』という意識が強くなって注意力が散漫になっている今この時が)

いろは(・・・・最後のチャンス。大丈夫。私たちならきっとできる)

やちよ(・・・・そうよ、いろは。さあやりなさい!)

いろは(―――初めて私がやちよさんと戦った時みたいに、魔力を込めて矢をやちよさんに撃つ!) バシュン

やちよ(―――初めて私がいろはと戦った時みたいに、水の魔法を盾にして矢を受ける!) パシャン


葉月(センターラインを抜けた!!)

  < ピピーッ!

葉月「やった・・・! 勝った! 勝ったぁ!!」

このは「葉月!」

葉月「やったよこのは! 勝った!」

このは「ええっええっ! やったわ! あのやちよさんに勝ったのよ私たち!」

葉月「よっしっ! よっしっ! 勝ちだああ!」


みたま「困ったわぁ・・・。これは・・・。うーん・・・」

みたま「明日香ちゃーん、ささらちゃーん。こっちきてー」

ささら「はいっ! 今行きます!」

明日香「ただいま参ります!」



葉月「やった・・・んっ? な、なに?」

このは「どうしたのかしら?」


みたま「ねえ二人はどう思う?」

ささら「えーと私は―――」

明日香「そうですね、私も同じで―――」




ももこ「ほぼ同時だったなぁ・・・。なあ、どっちが先だったと思う?」

かえで「分かんない・・・。私は途中から目が追い付いてなかったから・・・」

レナ「レナは・・・やちよさんの方が早かったような気がするけど・・・」

十七夜「ああっ、自分も七海の方が一瞬速かったように見えた」




葉月「えっ? えっ? なにこの雰囲気?」

このは「私たちの勝ち・・・よね・・・?」


みたま「うん、そうよね、やっぱり。わかったわ二人ともありがとう」

みたま「は~いっ。それじゃ審議の結果が出たので、今の試合の勝敗を発表しまーす」


葉月「審議? 審議って何? えっ? 何を審議したの?」

このは「葉月がフラッグを持ってセンターラインを走り抜けたわよね? それで私たちの勝ちじゃない」


みたま「勝者は~~・・・・」

みたま「みかづき荘!!」


葉月「はっ・・・・?」

このは「な、なんで・・・?」


やちよ「ふーっ・・・・。紙一重だったわ・・・」

いろは「できてよかったぁ・・・・」

鶴乃「しゃあああああ!! さっすがやちよししょー!!」

さな「はいっ! はいっ! やりました!! いろはさんすごいです!!」


葉月「えっ・・・? なっ・・・?」

このは「なんで・・・。なんでよ・・・!」


令「どーもどーも。シャッターチャンスを逃さない観鳥さんです」

葉月「えっ、な、なに?」

令「今の結果に納得がいかないご様子。勝敗が決した瞬間の写真があるけど、見る?」

このは「写真・・・?」

令「ほら、これこれ。まあ、見てよ」ピッ

葉月「えーとっ・・・? アタシがセンターラインを走り抜ける少し前のところで、やちよさんがいろはちゃんとアルティメットしてるね」

このは「あれっ? 待って、おかしいわ。いろはさんは私の後ろにいたはず。なんで私より前にいてやちいろできるの?」


令「いろはさんの動きを見てなかったの? このはさんがやちよさんを追ったからあなた方のフラッグがフリーになった。それをいろはさんが取った。いろはさんはフラッグを手に持ったまま、自分を矢にしてやちよさんに向けて撃った。それをやちよさんが水の魔法をクッションにして受け止めた」

葉月「自分を矢にして撃った?!」

このは「なっ、なんてこと・・・。そんな技があったなんて・・・」

葉月「・・・・・ふっ、あはっ。あっはっはっは!」

このは「葉月・・・・」

葉月「あはっ・・・あっはっは・・・。参ったねぇ・・・まさかそんな奇策を持っていたなーんてー・・・。さすがにそこまでは予想が付かなかったな~・・・・」

このは「・・・・・・」

葉月「あは・・・はは・・・・。はぁ・・・。悔しいなあ・・・ここまでやったのに・・・」


鶴乃「あ、あの・・・」

葉月「・・・・・あっ、これはすみません、みっともないところ見せてしまって。いやいや、お見事でしたねみかづき荘さん。アタシらの負けです」

葉月「それと、鶴乃さんには不快なハッタリをかけてすみませんでした」ペコリッ

鶴乃「ううんっ! それはいいの! ウソを見抜けなかったわたしが未熟なだけ・・・」

鶴乃「それより・・・良かったらこれ、何かの足しになるかと思って・・・あげるから・・・」

葉月「これは?」

葉月(メモ帳を切り取ったような紙で、何か書いてある? えっと・・・)

葉月「万々歳割引券。・・・ですか?」

鶴乃「本当は優勝賞品だから、これは内緒ね? こんな簡易的な物でも、ちゃんと使えるよう、うちのお父さんにも言っておくから」

鶴乃「参京区に住んでるんだよね? 万々歳も参京区で元気よく営業中だから! 万々歳はひいじいちゃんと、じいちゃんが築いた由比家の誇りだから! でも気軽に来て!」

鶴乃「それに冷やし中華始めましてるから! 今しか食べられない限定だから!」

葉月「・・・ありがとうございます鶴乃さん。アタシが生活が苦しいって言ったの気遣ってくださっているんですね。嬉しいです」


葉月「これほどに優しい鶴乃さんならきっとなれます。みんなを幸せにする最強の魔法少女に」

鶴乃「そ、そう?/// えっへっへぇ///」

葉月「この割引券もありがたく頂戴しますね。特にあやめはラーメンが好きだから。是非万々歳に行きます。常連になっちゃうかも?」

鶴乃「うん! 常連さんは随時募集中だよ!」

葉月(試合には負けちゃったけど・・・。昨日の敵は今日の友、ってね~。これでみかづき荘の人と確かな繋がりが持てた。今回の大会に参加した目的は達成できたかな~)




ななか「これはまた、なんとまぁ・・・・・・」

ななか(なんかいい感じに話がまとまっているようですね)

ななか(人を恨むというができない純粋な鶴乃さんを相手に、あえて卑劣な手を使い、勝ち目のない相手と互角の勝負を演出し、そして後腐れなく終わる・・・)

ななか(更に良好な関係まで構築した。その結果着実に味方を増やしていってる。なんと抜け目がない)

ななか(今はまだ敵ではありませんが、もし敵になるようなことがあれば・・・彼女はかなり危険な存在になる)

ななか(・・・やはり食えない女だ。遊佐葉月は。これからも目を離してはならない。その巧妙な手口と巨大なおっぱいは)ジーッ

あきら(ななか・・・。また大きな人の胸をじっと見てる・・・・)




フェリシア「オラァ・・・! もう逃げられねーぞー・・・! 早くこのまま潰れちまえー・・・!」グググッ...

あやめ「ふんぬ~っ! まだぁ・・・! まだだぁ・・・! いっけぇー!」

右膝兎「 (U`・ × ・′)U 」ガオッー

フェリシア「うおっ?! なんだこいつどっから出てきた!?」

右膝兎「 (U`・ × ・′)U 」ガブッ

フェリシア「イッテェェ?!」ピョンピョン

あやめ「よっしゃ離れた! よくも散々あちしをハンマーでぶん殴ったなーっ! 今から100万倍返しするし!」

フェリシア「んだとぉ!? それはこっちのセリフだぁ!!」

あやめ「にりゃあああっ!!」

フェリシア「ボッコボコにしてやるー!」




やちよ「フェリシア! ステイ!」

このは「あやめ! 待てっ!」

フェリシア「ぐぁん?! やちよ?! なんでだよ!」

あやめ「止めないでよこのはっ!」


やちよ「もう勝負は付いたわ。終わりよ終わり」

フェリシア「はぁぁ?! ぐぬぬぬ・・・。まだだ・・・。まだ勝負は終わってねー! まだあやめに勝ってねー!」

あやめ「あちしだって! まだフェリシアに負けてないかんねー!」

フェリシア「あやめっ! 行くぞーっ! でやーっ!」

やちよ「駄目。フェリシア。ホームよホーム」グイッ

フェリシア「ぐぇっ!?」

このは「あやめ、帰るわよ」グイッ

あやめ「うぅうぅ! やだやだー!」

ズルズル.......


かこ「ほっ・・・。よかったぁ・・・。二人とも怪我する前に終わって・・・」




みたま「それでは・・・次の試合は決勝戦・・・・!」

みたま「・・・の前に~。お昼た~いむ♪」

みたま「今日はみんなが喜ぶお昼を用意したわよ~」


鶴乃「・・・・んっ?! またみたまが用意したの?!」

十七夜「むっ・・・。これは不覚・・・。さすがに昼食のことまで気を回していなかったな・・・」

ももこ「おいおい冗談きついよ! 死人が出るっての!」

かえで「あそこに大量の箱があるけど・・・。まさかまたバニラエッセンスが入っていたり・・・?」

レナ「レナ帰る」

やちよ「はぁ・・・。全員腹痛で決勝戦は中止かしら・・・」

マミ「八雲さんのお料理・・・」

杏子「ああ・・・彩りに絵具を使うようなやつの料理だぞ・・・・」


みたま「うふふっ♪ みんな調整屋さんの手料理を楽しみにしてくれてうれしいわぁ~♪」

みたま「だけどごめんねぇ・・・」

みたま「月咲ちゃんの後輩がやっているお店の宣伝をしてあげたいっていう、月咲ちゃんの強い要望があったので~」


十七夜(むっ? 月咲君の後輩といったら)

みたま「今回は~。そのお店のお弁当を用意したわ~。千秋屋さんのご提供でーす♪」

月咲「ふふんっ♪」ドヤ顔


フェリシア「弁当屋の弁当?! やるじゃねーかピーヒョロ妹!」

月咲「その言い方やめてっ!」

ももこ「ちゃんと食えるご飯が食えるのか! やったな!」

かえで「あそこ大量の箱はお弁当が入ってたんだね。よかった~・・・」

レナ「レナ帰らない」


理子「こんにちはー! 千秋屋でーす! 今からお弁当をお配りしまーす!」

理子「はいどうぞっ」

杏子「サンキュ! おおっなんてうまそうな弁当なんだ! ぱくっ! んんっ! 見た目通り味もいいな!」

マミ「こら佐倉さん。ちゃんといただきますをしてから召し上がりなさい。でも本当においしそうなお弁当だわ。彩りがよくて」

やちよ「ええ、本当においしそうなお弁当だわ。・・・あっ、そういえばあなたは」

理子「あっ! この前のお姉さん! お久しぶりです! あの時は助けてくれてありがとうございます! わたしは千秋理子って言います!」

やちよ「ええっ、お久しぶり。私は七海やちよよ。理子ちゃんが元気そうでよかったわ。このお弁当は理子ちゃんが作ったの?」

理子「はいっ! ・・・あっ、でも、わたしがやったのは盛り付けだけです・・・。包丁はまだ使っちゃだめってお母さんに言われてて・・・」

やちよ「ううん。盛り付けも食事の味を決める重要な要素よ。それをここまでできるなんて、とても良い料理の才能があるわ」

理子「えへへっ/// そうですかぁ・・・?///」テレッ

やちよ「私も料理は上手な方よ。包丁の使い方なら私が教えてあげるわ。まずは手をこのような形にして」 理子の後ろに回って手を取る

理子「あっ、わっ、は、はいっ」

やちよ「こうやって手を動かすのよ」 理子の手をサワサワ

理子「なるほどです!」

やちよ「私の事はやちよお姉さんって呼んでいいのよ」理子の手をサワサワ

理子「はいっ! やちよお姉さんありがとうございます!」


やちよ「ふふっ。かわいい子ね。この後私の家に来ない? じっくりお料理の仕方を教えてあげるわ」 理子の頭をナデナデ

いろは「やちよさん! またそうやって小さい子を口説いてる!」

いろは「ところで理子ちゃんはお煮しめって好き? 私のおすすめのレシピがあるんだけど。あっ、私の名前はいろはだから、いろはお姉ちゃんて呼んでいいよ」 理子の頭ナデナデ

うい「お姉ちゃん!?」

このは「料理なら私も得意よ。最近作ったのはあやめアイスっていう料理でね。難しいけどおいしいわよ。ちなみに私の事はこのはお姉さんと呼んで構わないわ」 理子の左腕を抱き寄せ

ももこ「がっつり食べられる料理も喜ばれるよ! ももこお姉さんと一緒に料理しない?」 理子の右腕を抱き寄せ

ななか「ところで理子さんは花に興味はありませんか? このななかお姉さんと華道を通じて身も心も美しくしなりませんか?」 一輪の花を捧げる仕草

月夜「月夜お姉さんと一緒に笛を吹くでございます」 ピーヒョロ~

鶴乃「いやいやここは鶴乃お姉さんと! えっとえっと・・・いろんなことしよう!!」

理子「えっ?! あ、あの・・・?」オロオロ




衣美里「うわー。ちょっとちょっとヤバイってあれは! ねえねえ黙って見てていいのみゃーこ先輩!?」

ひなの「モグモグ・・・。んっ? なにが?」

衣美里「みゃーこ先輩の妹ポジションがあの子に取られそうだって! ヤバイっしょ!」ピース

ひなの「くぉらぁあ!! だぁれが妹ポジションだぁあ! アタシはお姉さんポジションだろうが!!」




十七夜「おい! 何をしている貴様ら! 散れ! うつけ共! 千秋君、こっちに来なさい」グイッ

理子「あっ、十七夜お姉さん!」

やちよ「なにするのよ十七夜?!」

十七夜「なにもどうもあるか。この不埒者が。千秋君が困っているだろう。全く・・・これだから西の者は・・・」 理子の頭ナデナデ


月咲「理子ちゃん、あっちの怖いお姉さんたちに何もされなかった?」 理子に目線を合わせて手をニギニギ 頬サワサワ

理子「怖いなんてそんな! どのお姉さんも優しい方ですから!」ニコッ

十七夜「そうか。それならよかった。だがあやつらは油断ならん。困ったことがあったらすぐにこの十七夜お姉さんに言うのだぞ」 理子の腰に手を回して抱き寄せ


  みと「ねえねえ。あのお姉さんたちはロリコンなの?」

  れいら「しっ! 見ちゃいけません!」

  レナ「キモイ」

  かえで「しーっ! レナちゃん、しーっ! 思ってても言っちゃダメ!」


お姉さん魔法少女一同(・・・・・・っ)グサッ




やちよ「・・・・・と、ところで理子ちゃん。これだけのお弁当を用意するのは大変じゃなかった? お金とか本当にいいのかしら?」

理子「あっ、はいっ! それは大丈夫ですよ! 実際に持ってきたお弁当は一つだけですから!」

いろは「一つだけ? どういうこと?」

理子「ここにお弁当を持ってきて鏡に当てれば勝手に増えるよって、みたまお姉さんに教えてもらいました!」

やちよ「えっ・・・。このお弁当、コピーで増やしたものなの・・・?」

いろは(うっ・・・。私もう食べちゃった・・・。大丈夫かな・・・)







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お昼休憩後
第2回ミラーズカップ決勝戦


みたま「誰かがこう噂した。彼女こそが最強の実力を持つ魔法少女であると」

みたま「それを裏付けるように、彼女は聖女となって神浜の因果をかき乱し、神浜きっての策士を瞬殺し、そして今は正真正銘最強の称号に王手を掛けている」

みたま「彼女こそが最強の魔法少女という噂。なんの皮肉か、噂が実現するこの神浜で、その噂を本当に実現すべく、彼女ははるばる見滝原よりはらからを連れてやってきた・・・・」

みたま「それでは入場して頂きましょ~・・・・」

みたま「チームッッ! みぃぃぃたきはらぁぁああッッッ!!!」




\\おおおおおおおおおおっ!//

\\まどかさーん! がんばってくださいー!//

\\レッツゴー! ホムラー! ゴー・ファイト・ウィン!//

\\マミちゃーんカッコいー! 今なら楽勝で彼氏作れるっしょー!//

\\私がこの試合に花を添えさせてもらいまーす! 佐倉さーん! 応援してまーす!//

\\美樹さーん!! 夏が終わる前にかのこ’s夏の新作水着のモデルになってくださーいッッ!!!!!!!!//




杏子「お、おお・・・。結構応援されてるな・・・。もっとアウェーな雰囲気になるかと思ってたのに。な、なんか照れるな・・・///」

マミ「まあ・・・! 導き手になっていたことを言われたらブーンイングくらいされるかと思ったけど、こんなに声援がもらえるなんてっ。神浜の子たちは暖かいのね」

さやか「う、うわわ・・・。さ、さすがに決勝ともなると盛り上がりがすごいっスね~・・・。な、なあ、ほむら、び、ビビるんじゃないよ・・・!」肘ツンッ

ほむら「わっわっ、す、すごい・・・。で、でもすごくドキドキというかワクワクとういか、そういうのがあって//// いつも見るだけのスポーツ大会に選手として出ているみたい//// 楽しいです/// こんなの初めて/////」

まどか「うぇひひ♪ わたしもドキドキしてるっ。これで優勝したらどうなっちゃうかな? ここまできたら勝ちたいよねっ!」




みたま「これは神浜では常識だ。彼女こそが最長の経験を持つ魔法少女であると」

みたま「神浜に在来する名のあるつわもの共が、次々と見滝原から来た外来種たちの毒牙にかかる。このまま神浜が不毛の地になるのを彼女は座して見ているのか・・・」

みたま「答えは否! 我らが長老が皆の期待に応え、そして愛する故郷を守るため今立ち上がる! 選ばれし勇者とともに在来種代表として外来種の駆逐に命を懸ける!」

みたま「フードファイト王者、ダンスゲーム王者、羽根つき王者、フィッシング王者等々、数々のタイトルを総ナメにしてきた彼女は、今度はミラーズカップ王者を目指す!」

みたま「それでは入場して頂きましょ~・・・・」

みたま「チームッッ! みぃぃぃかづきそぉぉおおおッッッ!!!」








\\わああああああっ!//

\\お姉ちゃんがんばれー!!//

\\フェリシアー! 負けたらあちしが許さないかんなー!!//

\\さなさーん! 勝ったらお昼のお弁当一品増やしますよー!!//

\\七海ー!! 神浜は長老の貴様に任せたー! 外来種などに遅れを取るなー!!//




やちよ「あのねぇ・・・! 最古参はまだ我慢するけど長老って何よ長老って! いい加減本当に怒るわよ!」

フェリシア「おお・・・。おおっ・・・! すげー・・・すげーよ! この歓声・・・オレ、ヒーローになったみたい! ゼッテー優勝したい!」

鶴乃「中華飯店万々歳は参京区で営業中です! 中華飯店万々歳は参京区で営業中でぇっすっっ!!! どうぞご贔屓にーっ!!!」

さな「はわっ/// はわわっ/// 透明の私がこんなにも注目されるなんてっ/////」

いろは(あれ? もしかして私も外来種かな?)


みたま「それでは両チーム。準備をお願いねー」


マミ《みんな。作戦会議よ》テレパシー

マミ《やはり一番のポイントは、七海さんをどうするかよね・・・。彼女は別格だから・・・》

さやか《そんなに強いんスか・・・? マミさんがやちよさんに負けたって話は聞きましたけど、あたし、やっぱりマミさんが誰かに負けるところなんて想像できないんですけど・・・》

マミ《悔しいけど、私が七海さんに負けたのは事実よ。しかもその時は、私はウワサの魔力を上乗せした状態だった。それで負けたのよ? 今の私たちじゃ、全員で束になってかかっても勝てるかどうか・・・》

さやか《そ、それはシャレにならないっスね・・・》

まどか《でもほむらちゃんの時間停止でフラッグを取っちゃえば、やちよさんと戦わなくても勝てますよね?》

マミ《ええ、試合開始と同時に時間停止を使うつもりよ。でも、その作戦はさっきの準決勝で見せてしまったし、それに暁美さんは、二葉さんと環さんと一緒に時間を止めたことがあるって言うし》

ほむら《はい・・・。ウワサやワルプルギスの夜と戦う時に、一緒に時間を止めました》

マミ《その時に暁美さん本人でも気が付いていない時間停止の弱点を知られている可能性があるわ。だって相手の七海さんは7年の経験がある大ベテランだもの。私たちが想像も付かない作戦で時間停止が破られることを想定すべきだわ》

マミ《そうなるとやはり、なんとか七海さんを足止めして、隙をついて相手のフラッグを取りに行くのが妥当よね。問題は、その間私たちのフラッグをどうやって守るか・・・》

さやか《あっ、だったら杏子の鎖の結界であたしらのフラッグを守ってしまうのはどう?》

杏子《縛鎖結界のことかい? あれはダメだ。あれを維持するのはかなりの集中力と魔力が必要なんだよ。さやかみたいな雑魚を相手にしながらだったらいいが、やちよみたいなのが来られたら肝心の本体のあたしがやられちまう。そうなったら本末転倒だ》

さやか《そっかそっかー、さやかちゃんみたいな雑魚だったら・・・・って! それはどういう意味?!》

マミ《同じ理由で私の絶対領域も無理よ。七海さん相手では大量のリボンを出して戦うのは返って不利になるわね》

杏子《・・・・・なあ、マミ。えらくやちよのことを警戒しているが、それだけじゃあたしはダメだと思うぞ。確かにやちよは強い。あたしは直接戦ったことはないが、近くで見りゃその強さは大体分かる。だけどそんなやちよ以外にも向こうにはあいつがいる》

マミ《あいつ?》

杏子《さなだ》


マミ《二葉さんが? 私はむしろ、一番警戒しなくていいと思っていたのだけど。確かに透明はやっかいよ。だけど二葉さんはその透明化を活かして今まで目立った活躍はできていない。それに二葉さんはあの見た目の通りにディフェンスタイプだから攻撃が苦手なようだし》

マミ《私たちの透明の対策は、さっき話したオペレーション・リチェルカーレで十分だと思うし》

杏子《そういうことを言ってんじゃねえ。・・・なんというか、あたしも上手く言えないんだが》

マミ《?》

杏子《あいつとはマギウスのアジトでしばらく一緒に戦ってた。だから分かるんだ。さなはあの見かけによらず、信じられねえ程に肝が据わってやがる。あたしは正直言うと、ああいうのを敵に回すのは苦手なんだ。追い詰められると何をするかわからねえからな。窮鼠猫を噛むって言うだろ》

マミ《・・・・分かったわ。佐倉さんの直感を信じる。みんな、二葉さんにはくれぐれも警戒して》

マミ《それじゃあ、大まかの作戦はこうしましょう。まずは、この試合は時間停止が破られる前提で動くわ。いつも練習しているみんなの連携で相手の攻撃を耐え、オペレーション・リチェルカーレが発動できるチャンスが巡ってきたら、その混乱に乗じて動ける誰かが相手のフラッグを取りに行く。それでどうかしら?》

杏子《ああ・・・。別にいいんじゃねーか、それで》

まどか《はい!》

さやか《あたしもいいと思います!》

ほむら《分かりました!》

マミ《ありがとう! それで行くわよ!》


みたま「さあ、両者準備はいいかしら?」

マミ「はい、準備いいです」

やちよ「私たちもいいわ。全員配置についた」


マミ(七海さんチームの陣形は・・・。由比さんと深月さんがセンターラインすぐ手前に二人並んで立っている。七海さんは、自陣のほぼ真ん中。環さんと二葉さんが一番奥のフラッグの近く)

マミ(常盤さんの陣形と似ている。やっぱりいきなりのティロ・フィナーレで全員を落としにいかせてくれないわね)

マミ(それより気になるのは、由比さんと深月さんを最前衛にするのは分かるけど、二葉さんをあんなに奥に配置したのは何故? ただのゴールキーパーにしてしまうの? 透明になって私たちのフラッグを狙うのでは・・・?)

マミ(それと、由比さんが扇を二つ構えて目をつむって意味ありげに立っているけど、あれは何・・・?)

マミ(嫌な予感がするわ・・・)



みたま「最強の実力と最長の経験・・・。それは無双の矛と無敵の盾がぶつかり合うかの如し・・・。勝敗は誰にも分らない・・・。だから今はこれ以上語る必要はない・・・。これから刻まれる新たな歴史の一ページを、わたしたちが見届け生き証人となって語り継ぎましょう・・・」

みたま「そろそろ試合開始よ。いいかしら?」

やちよ「ええっ・・・・!」グッ

マミ「はいっ・・・!」グッ


鶴乃「説明しよう・・・・・・・」

鶴乃「これはお店の宣伝のために編み出したのだが・・・」

鶴乃「近所迷惑になるから封印した幻の技なのである・・・・」

マミ(・・・・・はい?)

鶴乃「秘技 ~拡声乱舞~ ・・・・!」

鶴乃「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・」


みたま「それでは・・・・・・・・・・」

みたま「始めっっ!!!」


ほむら(よしっ、すぐに時間停止しなきゃ・・・!) シリィィン....

フェリシア「おっしゃいっけぇぇぇえええッッ!!! 鶴乃大砲発射ぁぁぁあッッッ!!!!!」 ブォォンッ!

杏子「な、なんだっ?!」

マミ「深月さんが由比さんを投げた?! ヘリポートで翼の壁を空けた時みたいに・・・! 行先は・・・暁美さん?!」

マミ(あっ、そういうことね! 暁美さんは盾の機構を動かして中の砂を止めるまでに若干タイムラグがある! それを狙った?!)

マミ(でも大丈夫・・・! あの速度ならぶつかる前に間に合うはず―――)

鶴乃「あぁぁぁぁぁああああああああああああああッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

マミ「あぐっ?!」

マミ(な、なんて大きな声?! 耳が痛い・・・! 暁美さん! 早く時間を・・・!)チラッ

ほむら「あっ・・・うっ・・・耳が・・・」フラッ.....

マミ(そんなっ?! 暁美さんの集中が大声で乱されてる・・・!)


マミ(私の銃で由比さんを撃ち落とすっ・・・あっ、ダメッ、間に合わない・・・・!)

鶴乃「万々歳はぁぁぁああああ!!!!!! 参京区でぇぇぇぇええええええ!!!!!!!! 営業中でぇぇぇぇぇっすぅぅぅぅッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

杏子「うるせーーーーっ!!」ダンッ

鶴乃「ほっ?! ほりゃああ!!!」バシンッ

杏子「クソッ?!」

杏子(あたしの槍が弾かれた! こいつ思ったより手練れだ!)

杏子(だが軌道は逸らした!)

杏子「ほむらーっ! 早く時間止めろーっ!!」

ほむら「・・・あっ! はいっ! えいっ」 シリィィン....

マミ(佐倉さん! さすがだわ! まさかこんな奇策で時間停止を封じようだなんて・・・びっくりしたけれど。だけど佐倉さんが防いだ! これで時間が止められる! 私たちの勝ち―――)

ほむら「・・・これでっ、止まります!」 シリィィン....カッ

バシンッ!!

ほむら「きゃ?!」フラッ

ほむら(えっ・・・? な、なに・・・? 前から何か当たった・・・?)

バシンッ!!

ほむら「痛いっ?!」ヨロッ....

まどか「ダメッ! ほむらちゃん! それ以上さがったら・・・!」

ほむら「あっ・・・・・」

バシンッ!

ほむら「きゃあ?!」ズザッ.....

明日香「暁美ほむらさん! 場外です!」

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「えっ・・・? えっ・・・? な、なにが起きたの・・・・?」

杏子「なっ・・・?!」

さやか「ウソでしょ?!」

マミ「やられたわっ!」

マミ(私ははっきり見えた・・・。魔力の矢が暁美さんに当たるのを・・・。あれは間違いなく環さんのもの・・・)


マミ(遠距離から暁美さんへの射撃に警戒していなかったわけじゃない。だから少しでも距離を稼ぐためにこちらのフラッグのすぐ傍に暁美さんを配置した。だけどそれが仇になったわ・・・ゴールラインまでのわずかな距離を押し出された・・・)

マミ(環さんも同じく自陣フラッグの近くにいたから、その距離は100m以上・・・。スコープ付きの銃や鹿目さんの追尾矢ならともかく、環さんのあの小回り重視の小さいクロスボウでまさかこの距離を、しかも正確に複数発当てるなんて思わないわよ・・・)

マミ(それでも念のためにと、環さんと暁美さんの射線上には実力のある佐倉さんを配置した・・・けどそれも、囮の由比さんにどかされるなんて・・・!)




ななか「なんとまあ、これはこれは」

ななか(最初の味方の配置で初撃大技は効果が薄いと思わせ、そしてわざと大声を出して相手をかく乱する・・・)

ななか(どこかで見たような戦略ですわねえ)

ななか(うふふっ。でもこのやり方で、私たちを負かした時間停止を破って頂いて、なんだか気分いいですわぁ)

あきら「すごい・・・時間停止を突破した・・・」

美雨「フム。勝てるわけが無いなどと言てた自分が恥ずかしいネ」


やちよ(鶴乃の頭に響く不快な声と常盤さんの作戦を拝借して混ぜ合わせ・・・)

やちよ(うまく行ったわ! 時間停止は攻略した!)


さな「やりました! やりましたよいろはさん! すごいです! この距離を全部当てるなんて!」

いろは「うんっ! さなちゃんのおかげだよ! この距離を当てようと思ったら、誰かに体を支えてもらいつつ、魔力の質が似ている子から魔力を借りないとできないから」

さな「私がいろはさんと似ているなんて・・・うれしい・・・です///」

いろは「前からさなちゃんと私は似たもの同士だと思ってたの。一緒にいるとほっとするし。魔力の元って感情だから、似たもの同士のさなちゃんの魔力だから借りられたの」

さな「はい/// お役に立てて良かった・・・///」




まどか「そんなっ・・・。ほむらちゃんが・・・」

さやか「えーっと、えーっと、どうすりゃいいんだぁ・・・?」

マミ「みんな! 慌てないで! 時間停止が破られるのは想定済みなんだから!」

さやか「あっ! そうだった、ここはみんなで連携して耐える―――」

フェリシア「ドッスーン!」グワッ

さやか「―――うあっ!? しまっ?!」

まどか「あたれっ!」バシュン

フェリシア「んあっ?!」フラッ

さやか「あっぶ・・・! サンキューまどか!」

フェリシア「くっそー・・・弓か! 遠くから攻撃するとかうぜー!」

さやか「ほらほら! ここからさやかちゃんの猛反撃がはじまっちゃいますよー!」

フェリシア「こいやーっ!」






鶴乃「しゃらぁーっ!」タタタッ

マミ(由比さんが私の方に来た?! ここは冷静に、いつも通りにリボンで拘束して遠くから銃撃する!)

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」 シュルシュル!

鶴乃「そんなんじゃ止めらんないよっ!」ズバッ ズバッ ズバッ

マミ(回転が速い二つの扇でリボンが切られるっ。でもひるんじゃだめ! とにかく銃撃で対処するっ!)

マミ「ティロ・ボレー!」 バンッ バンッ バンッ

鶴乃「はぎゃっ! あがっ?! のわわっ?! うぅぅ・・・・!  そらそらそらそらーっ!!」タタタッ

マミ(被弾を恐れず向かってくるのね・・・。一番苦手なタイプだわ)




やちよ「セアアッ!!」 ズバンッ

杏子「おっと!」ガキンッ

杏子「へえ・・・。あたしの相手はアンタかい?」ギギッ.....

やちよ「ええっ、そうよ。同じ槍使い同士、思いっきりやりあいましょう。・・・ “やり” だけにねっ、うふふっ」ギギッ....

杏子「せっかくはるばる風見野から来たってのに、あたしは今日まだなーんにもしちゃいないんだ。少しくらいは楽しましてくれよぉ・・・!」ギギッ.... バンッ


杏子(全員束になってかからないと勝てないとか、マミはこいつのことをえらく警戒しているみたいだが・・・。舐めんじゃないよ! あたしだったら最初から全力を出してソッコーでぶっ飛ばしてやる!)

杏子「始めるかっ!」ビシュン!

やちよ「んっ!」グンッ...

杏子「そーっら!」ザシュッ!

やちよ「ハッ」パシッ...

杏子「ぶっ潰す!」ドシュン!

やちよ「フッ!」シリンッ....

杏子「なっ?! こいつっ・・・!」

杏子(あたしの槍をいなすのが抜群にうめぇ! いくら打ち込んでも手応えがない! まるで無意味に槍を水に突っ込んでるみてーだ・・・)

杏子(それにあたしは槍にありったけの魔力を込めて、こいつの腹に風穴を空けるつもりで打ち込んでいるが、こいつにはそんな圧がない。十七夜と戦っている時もそうだ。なにを考えてやがる・・・?)

杏子(7年も魔法少女やってりゃ、相当な魔力を蓄えこんでいるはずなのに・・・)

やちよ「うふふっ・・・・」

杏子(澄ました顔しやがって・・・! なんだその余裕は・・・!)

杏子(だからこそ変な不気味さがある・・・。クソッ・・・手札がまるで見えねぇ・・・!)


やちよ「あらあら。戦いの最中に考え事? おめでたいわね!」シュア!(水の魔法で杏子の足元を絡める

杏子「なっ・・・?!」フラッ

やちよ「はい、おしまい」ヒュパ!

杏子「・・・・ははっ!」

やちよ(笑ってる・・・?)

 ....シュルシュル!

やちよ「あっ・・・!」 (空振り

やちよ(リボンで佐倉さんを引っ張った・・・。巴さん、鶴乃と戦いながらなのに味方をサポートするなんて・・・器用なのね・・・・・)


杏子「おめでたいのはテメーだぁ! くらえっ!」

杏子(よしっ! やちよは空振りしてバランスが崩れてる! 今度こそこの一撃は対処できねーぞ! もらったあ!)

やちよ「・・・・・ふふっ」

杏子(まだ笑ってやがる?! 何か隠し玉があるのか?! 一旦槍を引っ込めるか・・・? いや、ダメだもう止められねえ! このまま全力で突っ込む!)

杏子「はーあっ!!」ドシュン!

ガキンッ

杏子「ぐっ?! な、なんだっ!? やちよの手前で槍が弾かれた・・・? あっ、さなか!!」

やちよ「ええ、そうよ。ということで、今度はこっちの番。ヤァッ!」ヒュ

杏子「くっ・・・・」

杏子(リボンはまだ繋がってる! ここはマミにもう一度引っ張ってもらってこの攻撃を一旦かわす。打撃は通らねえから、今度は多関節の槍で動きを拘束する!)

 .....シュルシュル

杏子「よしっ! こいつでどうだぁ!」ガシャガシャ ジャラ....

やちよ「私たちの隙を付こうなんて、甘い考えよ」

 バシュン  ・・・・・ブチッ

杏子「うわっ?! なんだ!? リボンが切れて・・・っ!」

ドタッ

杏子「アタッ!?」

杏子「チッ・・・。いろはの矢か・・・。ヒラヒラ動く細長いリボンを撃ち抜くとか、一体どういう腕してんだよ・・・」

やちよ「そういうあなたたちもなかなかの連係プレーをするのね。息があっているというか、お互いの癖がわかってないとできないわ。まるでおしどり夫婦ね。アツアツでうらやましいわ~。うふふっ」

杏子「なっ?!/// なんだテメェなに言ってやがる!!//// チョーシ乗ってんじゃねえぞ!」

やちよ「あらあら。照れちゃって。可愛らしいわ杏子ちゃんっ。いい子いい子してあげたい」ニコニコ

杏子「っ~~//////」

杏子(なんだコイツっ! どこまであたしの自尊心を傷つけやがる! イライラするっ!)

杏子(いっ、いや待て待て・・・。戦いは熱くなった方の負けだ・・・。こいつに乗せられるな・・・落ち着け・・・落ち着け・・・)

杏子(クソッ・・・。認めたくないが、マミが言ってた通りだ。やちよはかなり強い。戦いの慣れ方が半端じゃない。7年の経験は伊達じゃないってか・・・。こいつを正面から倒そうと思ったら本当に全員が束になってかからないと無理かもしれない)

杏子(ずっと余裕綽々で挑発までしてくるし、おまけに魔力を使わない戦い方で手の内を見せない。それでいてあたしと互角に渡り合う上に、しかも透明盾の防御と、透明射撃まであるときた・・・)

杏子(ヤバイな・・・。やっぱ強引に攻めるのはなしだ。そんなことしたら確実にやられるぞ・・・。やちよの手札が見えるまでマミの力を借りて慎重にいかないと・・・!)





いろは《や、やちよさん・・・大丈夫ですか・・・?》テレパシー

やちよ《そんなわけないでしょ・・・。佐倉さんの攻撃、思ったよりかなり重い・・・。十七夜以上よはっきり言って・・・。いなすだけで腕がもげそう・・・》

いろは《そ、そんな・・・。これじゃあ私とさなちゃんがここから離れられません・・・。やっぱり三人で杏子ちゃんと戦いましょうか・・・・?》

やちよ《・・・・いいえ。佐倉さんは巴さんとの連携が上手いから仮にこのまま三人で相手しても埒が明かないわ。いろはは最初の作戦通り二葉さんとフラッグを狙いに行って》

いろは《それだとやちよさんが・・・》

やちよ《なんとか余裕の態度は保っているから、私はそう簡単に倒せないという印象は与えられたと思う。だからこれからは攻め方が慎重になるはず。私のハッタリがバレる前に、フラッグを取りに行くなら今しかないわ。いろは早く行って!》

いろは《は、はいっ!》

やちよ(ふー・・・・。ここからが本番ね)




フェリシア「それそれーっ!」ガンッ ドガンッ

さやか「わっ、うわっ?! だ、だめだっ! ハンマーに剣じゃ相性悪すぎるー! 捌ききれないー!」

杏子(さやバカ! 振りの速い剣の方が有利に決まってるだろうが! お前が弱すぎるだけだ!)

マミ《焦らないで美樹さん! 鹿目さんと協力していつもの特訓通り戦ってみて!》テレパシー

さやか「あっ、はい! おっしいくよっ! スクワルタトーレ!!」ヒュン ヒュン ヒュン

フェリシア「うわっ?! なんだこれっ?! くそっ?!」

まどか「これで終わりだよ! スプレットアロー!」バシューン!

フェリシア「にゃっ! たん! ・・・うぐぐぐっ! ウガーーー!! 効かねぇぇ!!!」

さやか「げっ、ウソでしょ!? そんなのアリッ!?」

フェリシア「ぢゃぁぁあありゃああああ!!!」 ドゴンッ

さやか「うぁあっ!?」

マミ(そんなっ・・・。深月さん、由比さんと同じだわ。被弾を恐れず向かってくるなんて・・・。これは本当に厄介だわ・・・)






杏子「ハァッ・・・ハァッ・・・」

やちよ「あなた、結構粘るのね。だけどいつまで持つのかしら?」ヒュンヒュン

杏子(こいつ・・・息一つ切らしてない・・・。まだ余裕があるってのか・・・。勝ち筋が見えねえ・・・)

杏子(それに依然全然魔法を使ってこない。まさか本当に昔のあたしみたいに魔法が使えないのか? だったらやっぱりここはゴリ押しすれば勝てるか・・・?)

杏子(いや、まて。そう思わせる作戦なのかもしれない。下手に仕掛けたら土壇場になって大技で勝負をひっくり返される。マミだって最初の内は銃が使えなかったのに、一年かそこらで今の派手な魔法を極めたんだ。後発のあたしも幻惑魔法が使えなくなってから訓練して新しい魔法を身に着けたんだ。だが、やちよは7年だ。7年も魔法少女として生き延びているやつなんだ。とんでもねえ魔法がたくさん使えるに決まってる)

杏子(でも実際、こいつは一回戦二回戦と自分一人で相手を倒したことがない。本当にそんな大技を使えるのか・・・? ってことはやっぱり魔法が使えないと考えるべきか・・・?)

杏子(いや、やっぱり決勝戦まで手の内を隠していたのかもしれねえ。7年も魔法少女やってりゃあ、あたしが思いつかないほどの駆け引きや戦術を持っていてもおかしくない)

杏子(しかし・・・・今までの戦いぶりを見るにそれほどの余裕のある勝ち方をしているようには見えなかったが・・・。いや・・・余裕がないと思わせる演技だったか・・・? そういやこいつ、十七夜やこのはが相手でも接戦しつつも一回も攻撃をくらってなかった気がするし・・・)

杏子(実際どうなんだ? やっぱり・・・いやっ、しかし・・・)

杏子(ああっ! クソッ! どれが本当なんだ! 頭がこんがらがってくる!)

杏子(まさか・・・こうやってあたしを混乱させるのもやちよの作戦の内か・・・? んっ・・・? 仮にそうだとして、なんでそんな面倒なことをする必要がある? なんで一気に勝負を決めようとしない? 無駄にあたしと槍をぶつけ合っているようにしか思えない・・・)

杏子(それになんで透明射撃であたしの背中を撃たない? 一発二発程度なら防げると思うが、正面のやちよを相手にしつつ後ろから連発されたらさすがにあたしも持たない。射撃は場所が割れるからあんまりしたくないのか?)

杏子(それにさなの透明盾も・・・。透明・・・・。あれ? そういや、さっきからこいつ一人で戦ってないか・・・? さなたちはどうした・・・?)

杏子(・・・・あっ! そうかっ! やちよの狙いは時間稼ぎか!)


杏子《おいっ! マミ! さやか! さなの援護はあるかっ?!》テレパシー

さやか《なに急に!? あたしはこのハンマーを凌ぐのが手いっぱいでそんなの気にしてられないよ!》

マミ《私はずっと由比さんと一対一で戦っていると思うけど・・・。あっ! そういうことね!》

マミ《鹿目さん! 相手の透明援護がなくなってきたみたい! そろそろよ! フラッグに注意して!》

まどか《あっ、は、はいっ!》


やちよ(やっぱ苦しいわね・・・激しい運動をしながら細い呼吸を続けるのは・・・。脳の酸素が足りなくて頭がクラクラする・・・。今すぐ大口を開けてゼーハーしたい・・・。欲を言うなら酸素ボンベが欲しい・・・)

やちよ(でもそんなことしたら私に余裕がないと見抜かれる。今は耐えないと・・・。鶴乃みたいに普段からもっと鍛錬しておくべきだったかしら・・・・)

やちよ(だけど十分な時間は稼げたはず・・・! 二葉さん後は頼んだわよ!)






ななか(ふむ・・・。やはりやちよさんの狙いは懲りずに透明さなさんを使ってフラッグを取りに行くことのようですね。一回戦二回戦と失敗しているその作戦ですが、はたして今回は吉と出るか凶と出るか・・・)

葉月(さっきからずっと混戦状態だ。会話で相手を惑わすなんてできない。一旦フラッグごと透明になってしまえば、この広いフィールドで透明さなちゃんを捕捉するのは不可能。そうなればもうみかづき荘の勝ちだと思うけど・・・)

ななか(もし私が今のやちよさんの立場だったらもっと慎重になりますね。二度も見られ、しかも破られた作戦に頼るのは危うすぎる。それにこの場の空気・・・さっきから妙な胸騒ぎがします・・・)




まどか(さやかちゃんへの援護射撃をしつつ・・・わたしたちのフラッグからは目を離さない! 今これができるのはわたしだけだから!)チラッ

 ・・・・・フッ

まどか「っ?! 消えたっ! マミさん! フラッグが消えました!」

マミ「そう・・・ついに来たのね・・・この時が・・・」

マミ「さあ、勝ちましょう・・・。優雅に・・・。華麗に・・・。私たち、魔法少女ですもの・・・!」



 ~~~ BGM マミさんのテーマ ~~~



やちよ(な、なに・・・?! 空気が変わった・・・?! なにか来る・・・!)

マミ(フラッグが消えたこの瞬間は、二葉さんたちはフラッグを持って走るのに精一杯だから、七海さんたちへの援護射撃やかばうができない位置にいるのは間違いない)

マミ(だから仕掛けるならこのタイミングしかない・・・!)


マミ「みんな! オペレーション・リチェルカーレ発動よ!」バッ

さやか「待ってました!」バッ

まどか「はいっ!」バッ

杏子「オラーッ! テメーら離れろーっ!!」ブゥゥン

やちよ「くっ?!」

鶴乃「ほぁっ!?」

フェリシア「な、なんだ?!」

マミ「ハァアア・・・!!」 タンッ.....



マミ「無限の魔弾よ・・・私に道を拓いて・・・!」

さやか「あたしの剣はどこにでも届く! 逃げたって無駄なんだから!」

まどか「降り注げ・・・天上の矢・・・! どこに居たって逃がさないんだから!」



フェリシア(なんだなんだ?! こいつら何をしようとしてんだ・・・!?)

鶴乃(分からないけど・・・?!)

やちよ(尋常じゃないことは確か! いろはと二葉さんがフラッグを取った今、後は逃げ切れば私たちの勝ち・・・。だけどここは念のため・・・!)

やちよ「鶴乃! フェリシア! こっちに来て! 密集陣形で備えるわ!!」

鶴乃「あいさーっ!」タタッ

フェリシア「い、いやっ! オレはこいつを・・・!」グッ....

やちよ「フェリシア!! 早く来なさい!」

マミ(どこに逃げても無駄よ・・・これから降り注ぐ弾丸の雨からは決して逃れられないのだから・・・!)




 ~~~ BGM マミさんのテーマ (サビの辺り) ~~~



マミ「ヴァロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!」

さやか「スプラッシュスティンガー!」

まどか「やっつけたれ!」



     ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



鶴乃「うわーっ?!?!」

やちよ「大丈夫よ鶴乃! 耐えて!!」

フェリシア「うぐぐぐぐっ・・・・」



十七夜「なっ、なんだ、これは?! 無数の弾丸と、無数の剣と、無数の矢が一斉に雨あられの如く降り注ぐ・・・! なっ、なんと凄まじい・・・!」

みと「だ、大丈夫なの・・・? な、なんかフィールド全体が壊れそう・・・!」

せいか「あっくっ・・・! 爆ぜる音がすごくてお腹に響く・・・! 花火が目の前で爆発してるみたい・・・!」

れいら「わっ! わっ! す、すごい・・・! でも、それでいてどこか優雅で・・・なんだか綺麗・・・」

ももこ(綺麗・・・。確かにそうだ。三人滅茶苦茶に撃ち込んでいるようで、お互いの攻撃を殺さないようちゃんと一発一発に連携を取って、隙間を極限まで狭めた弾幕になっている・・・! ド派手に見えて針に糸を通すような繊細さを兼ね備えているってことだ! やっぱバケモノだな見滝原の魔法少女は・・・)

かえで(ふ、ふゆぅ・・・。別次元の戦いだよぉ・・・)

レナ(すごっ!)

ななか(なんて出鱈目な広範囲の遠距離攻撃なんでしょう・・・。しかし、音と光は派手ですが、一発一発の威力は控えめなような気がします。急所を攻撃してはならないルールがあるから、慎重になっているのかもしれません。本気でやったらもっとすごいのでしょうね。恐ろしい)

ななか(でもそのおかげか、やちよさんと鶴乃さんは力を合わせてなんとか凌いでいます。フェリシアさんもハンマーを傘にして耐えています。あれで耐えられてしまったらマミさんのこの大技は失敗・・・?)

ななか(・・・・あっ、いえ! これだけの広範囲なら当然、透明のさなさんにも当たる! ということはこの大技の目的は・・・!)

葉月(これで透明さなちゃんの位置を割り出すつもり?! フィールド上のどこにいるのか分からなければフィールド全体を攻撃すればいいってこと?! なんて強引な力技・・・! でも確実な方法だ!)





マミ(さあ、姿を現しなさい、二葉さん・・・! 貴女はどこにいるの?!) キョロキョロ

  .....カンッ .......キンッ

マミ「・・・!」

マミ(あそこね! 何もない場所なのに弾丸や矢が弾かれている! あそこで盾で攻撃を防いでいる!)

マミ(透明人間を仕留めるこのチャンスはもう巡ってこない! 生半可な攻撃で取り逃がしたりしないようティロ・フィナーレで一気に決めるわ!) シュルシュル!

マミ(無限の魔弾を止めてリボンで大砲を形作るのに数秒はかかる。その間に二葉さんはどう動く? これは絶対に外せないから居場所を正確に捕捉しないと)

マミ(二葉さんはあの見た目からして気が弱そうだから、この大きな音と光でしばらくは恐怖と驚きで身動きができずその場にとどまっているとみるのが妥当かしら―――)

マミ(―――・・・・あっ、いえ、待って。・・・そういえば佐倉さんが)


~~~~~~~~~~~~~~~~

杏子『さなはあの見かけによらず、信じられねえ程に肝が据わってやがる』

~~~~~~~~~~~~~~~~


マミ(・・・・そうね。ありがとう佐倉さん。教えてくれて)

マミ(二葉さんは弾丸で撃たれようが私に位置を知られようが、構わず一直線にセンターラインに向かって走っている!)

マミ(走る速度を考慮して・・・・狙うはそこっ!!)


マミ「ティロ・フィナーレ!!」 ドゴォォオオオン!

さな「ふにゃぁあ?!」

マミ「捉えた!!」

さな「んっぐぅ・・・ううぅ・・・・!!」ズズッ...

マミ「えっ!?」

マミ(嘘っ?! 私のティロ・フィナーレを受け止めてる?! なんて頑丈な盾なの!!)

マミ(ダメッ・・・このままやり過ごされたらもう私たちに勝ち目はない! 何としても吹き飛ばす! 最大出力でいくわよ・・・!!)

マミ「ハァァッ! ボンバルダメント!!!!」 ドッゴァァァアアアア!!!

さな「ふぅうっ!」ズズズッ...

いろは(すごい威力・・・! これだけの攻撃ができる人が相手じゃ普通に戦っても勝ち目なんてない! ここは何としても耐え抜いてフラッグを持って行かないと!!)

いろは「さなちゃん堪えて! 私の魔力全部使っていいから!」

さな「はっ・・・いっ・・・! いろは・・・さんの・・・ためなら・・・っ!!!!」グググッ

マミ(そんなっ・・・。二人掛かりで持ちこたえられてる・・・。吹き飛ばすどころか少し押し出すことしかできないなんて・・・!)

マミ(くっ・・・ここまで・・・かしらっ・・・?)



ほむら「巴さん! がんばってーっ!!」

マミ「暁美さん・・・?」

まどか「マミさん! わたしたちが一緒ならマミさんが一番強い魔法少女だから! あきらめないで!」

さやか「そうですよ! みんなで力を合わせて勝つんです! だってマミさんはあたしにとって―――」

フェリシア「・・・よそ見してんじゃ、ねーぞー! ドカーーーーン!!」

さやか「あっぐぁ?! くっそー! 最後まで言わせろー!」 (吹っ飛ばされ

ささら「美樹さやか、場外!」

杏子「よそ見してんのは・・・! テメーだぁ!!!」ゴゴゴ....

やちよ「フェリシア! 避けてっ!」

杏子「ハーァ゙ァ゙ッ!! くあたし!!!」 ドゴォォォォ

フェリシア「にゅあああーーーっ?!」 (吹っ飛ばされ

明日香「フェリシアさん! 場外です!」

やちよ「くっ・・・」

やちよ(ごめんなさいフェリシア・・・。佐倉さんの動きは見えていたけど、今の私じゃあの大きな槍は止められないわ・・・)


マミ(みんな・・・! そうよね。私だって負けたくない! みんなで力を合わせて戦っているんだもの! 今の私は一人で戦っていた時とも、先輩風を吹かしていた時とも違う! 仲間のみんなが私を支えてくれているんだから! 私はまだまだやれる!)

マミ「ハァッ! もう一発! ボンバルダメント・ドッピエッタ!!!」 ドガァァァァァ!!!

さな「あっ・・・あっ・・・うぅ・・・・」ズズズズッ.....

いろは「さなちゃん・・・!」

さな「限界・・・かも・・・・・・・・」ズサッ......

ささら「二葉さな! 環いろは! 場外!」




ななか(ほう・・・・!)

葉月(さなちゃんがフラッグを取った時点でもう勝負あったかと思ったけど)

ななか(あのような強引な戦略でさなさんの居場所を割り出し、更には大技につぐ大技を繰り返して周りを圧倒し、勝負をひっくり返す・・・・。まさに最強の名にふさわしい戦い方ですわね。やはりマミさんには是非とも我が同盟に加わって頂きたい)

葉月(けた外れの強さだねえ見滝原の皆さんは・・・・。こりゃあ、アタシらが勝ち上がってても、優勝はなかったかなあ・・・)






マミ「はっ、ふぅ・・・・」

マミ「うっ・・・」クラッ

マミ(レガーレ・ヴァスタアリア、無限の魔弾、ティロ・フィナーレ、ボンバルダメント二連発・・・・。さすがに無理しすぎたわ・・・・)

マミ《佐倉さん! お願い、こっちに来て!》テレパシー

杏子《ああん? なんでだよ?》

マミ《消耗しすぎたみたい・・・。せめて体力だけでも回復させたいからその間守ってほしいの。数秒でいいから》

杏子《チッ・・・さなにやられやがったな。だから最初に言っただろうが》

マミ《面目ないわ・・・》

杏子《しょーがねー。分かった。今そっちに行く》タッ


まどか(あっ、そうだっ!)

まどか(マミさんが言ってた! 混乱に乗じてフラッグを取りに行くって! 色んなことがあって混乱している今なら行けるかな?!)

まどか(それに一瞬で相手のフラッグまでたどり着くには私のあの技しかない!)

まどか「すぅぅぅぅ」プクー

まどか「行くよっ! パニエロケット!」 ばひゅ~ん


やちよ「鶴乃」

鶴乃「うん分かってる! 鶴乃アンテナは見逃さない!」


マミ「あっ・・・! ダメッ鹿目さん! 今はダメッ! 読まれてる!!」

杏子(無理だもう遅い。まどかはまだまだヒヨッ子だな。戦況を正しく掴めてない)


鶴乃「逃がさないよー! 鶴乃THAAD!!」 ズババーン(扇投げ飛ばし

まどか「・・・あっ! きゃああああ?!」プスー.....

ほむら「鹿目さん!?」

まどか「はぅっ?!」ドシャン


  < ピピーッ!

みたま「はいっ! みんな止まってー!」

ほむら「鹿目さん! 鹿目さんっ!!!」タタタッ

みたま「大丈夫よ落ち着いて。治癒が得意な子がちゃんといるから」

鶴乃「おりょりょ? ちゃんと峰打ちにしたけど・・・」

やちよ「あの高度から撃ち落とされたら無事じゃすまないわよ」



杏子《全員止まれだとさ。今のうちにしっかり休んでおけマミ》テレパシー

マミ《ええ、そうね・・・。鹿目さんには悪いけど、今の私にはありがたいわ・・・》


杏子(・・・・・それにしても、やちよのやつ、本当に隙がねえな)

杏子(マミは消耗しているからリボンで助けに行けなかったのは仕方ないにしても、あたしも一歩も動けなかった)

杏子(やちよはまどかの突然の珍妙な技に一切目もくれないでこっちから目を離さなかった)

杏子(全く隙がねえ・・・。それにあんなにじっくりこっちを観察されちゃあ、マミがもう虫の息だってバレてるだろうし・・・。どうする・・・? どうやったらやちよに勝てる・・・?)

杏子(やちよだけじゃない。手練れの鶴乃もいる。それに対して残ったのは、あたしとマミだけ・・・・)

杏子(あたしとマミ・・・か・・・。そういえばまだあの技が残っていたな。もしかしたらあの技なら、あるいは・・・)


みたま「やっぱりすごいわー。みかづき荘と見滝原は。息をつく暇もない激しい戦いなんだもの」

みたま「そんな中残ったのは、やちよさんと鶴乃ちゃん。マミちゃんと杏子ちゃんね」

みたま「やちよさんと鶴乃ちゃんが師弟関係なのは公然の事実だとして、マミちゃんたちもそうなのよね?」

杏子「あっ? なんでみたまがそんなつまらないこと知ってんだよ。ああ・・・調整の時に見やがったな・・・。昔の話だっての・・・」

みたま「うふふっ♪ 実力はどっちもほぼ同じ。それならこの戦いは、より師弟愛の深い方が勝つわね~きっと♪」

鶴乃「ほほーっ! だったらわたしたちが勝ったも同然だねやちよししょー! ふんふ~ん♪」ダキッ スリスリ チュッチュッ

やちよ「ああもう鬱陶しい。止まれって言われてるんだからおとなしくしてなさい。あと鼻息と一緒に鼻水が混ざってんのよ。ばっちい」フキフキ

みたま「あら~。いいのよ~。みたまお姉さんそういうの大好きっ♪」

やちよ「えっ? 鼻水が大好きなの?」

みたま「でもでも、ここはやっぱり興奮さめやらないうちに、早く決着が見たいわぁ。だからそろそろ試合再開していいかしらっ?」


杏子《マミ。どうすんだ? まだ何か策はあるか?》テレパシー

マミ《残念ながらもうないわ。この状況じゃもうフラッグは関係ないし、一人が一人を相手して競り勝つしかないと思う》

杏子《どっちがどっちの相手をすんだ?》

マミ《佐倉さんが引き続き七海さんの相手をしてくれないかしら。多分、今の私じゃどうあがいても七海さんには勝てないもの・・・》


杏子(チッ・・・。厄介ごとをあたしに押し付けやがって・・・。やちよの手札は未だに全部見えねえ。だからあたしだってやちよとやり合うのは勘弁願いたいんだが・・・)

杏子(しかしマミのやつ、試合前からそうだが、やけにやちよのことを怖がってやがる。不自然なほどにだ。まるで蛇に睨まれたカエルだ。命を狙われているわけでもねえのに。確かにやちよは強いが、何故そこまで恐れる・・・?)

杏子(・・・・・ああ、そうか分かった。マミは銃が扱えるようになってからは一回も負けていなかったからだ。魔女相手にも魔法少女相手にも)

杏子(こいつはリボンで相手を拘束して遠くから大量の銃で撃ちまくる戦法に絶対の自信があった。だがそれをやちよに破られた。それがトラウマになってんだな・・・)

杏子(一回負けたくらいであのマミが・・・。情けねえ・・・)



マミ《厄介ごとを押し付けてごめんなさい・・・・》テレパシー

杏子《あっ・・・。あ、ああ・・・別に・・・》

マミ《私がなんとか由比さんを場外に飛ばすから、そうしたら二人で七海さんと戦いましょう。私、今なら佐倉さんと協力すれば、七海さんに勝てる気がするの。私たちのあの技なら》

杏子《お、おい、あの技って・・・。もしかして・・・》

マミ《そうよ。合わせるのは久しぶりだけど、きっとできるわ! 私たちのコンビネーションマジック――― †ティロ・ランツィア† なら!》

杏子《・・・・ふんっ。ああ、そうかい。好きにしな》

マミ《ええっ! お互いできるかぎり連携してなんとか持ちこたえるわよ!》


杏子(・・・・クソッ。ムカツク。腹が立つ。まさかこのあたしがマミと同じこと考えていたなんざ)

杏子(でも、マミはやっぱりマミだったな・・・!)グッ


杏子「あたしは準備いいよ! いつでも来なっ!」ジャキン

やちよ(情けないことに、この戦いははっきり言って鶴乃頼みね。でも、二葉さんが踏ん張ってくれたおかげで巴さんもかなり消耗している。私が細かい攻撃をいなして相手の隙を作って、鶴乃の強力な一撃をお見舞いすればまだ勝ち目はある・・・!)シャキン


鶴乃「ほっほーう。まだマミがわたしの相手をするんだねっ?」

マミ「ええっ。どうぞお手柔らかに」カーテシー

鶴乃「ところでさー。ちょっと聞きたいんだけどー」

マミ「はい?」

鶴乃「このわたしを差し置いて、最強を名乗っている魔法少女がいるらしいの。それが誰だかマミはなにか知らない? 聞いた話によるとその人は銃やリボンで戦うらしいんだあ・・・!」

マミ「さあ。残念ながら存じ上げませんわ。ただ、一つ言えることは」

鶴乃「ほっ?」

マミ「少なくとも私に勝たないと、由比さんは最強じゃないってことよっ・・・!」


みたま「それでは・・・・・試合再開!」


鶴乃「ちゃあああああッ!!」バッ

マミ「トッカ!」シュルシュルッ

鶴乃「く、くーッ?! まだまだぁっ! 最強は伊達じゃない!」

マミ(やはり銃撃やリボンは通用しない。それでも私はしつこくリボンと銃を使うわ! そして由比さんに、私にはこれしかできないと思わせたところで、意表を突く近接技でチェックメイトよ!)


杏子「ァアッ!!」ドシュン!

やちよ「ハッ!」シリン....

杏子(クソッ! また綺麗にいなしてきやがる! あたしだってそれなりに修羅場をくぐって生き抜いてきたってのに、そんな中やっと身に着けた槍が通じないなんて・・・)

杏子(・・・・・仕方ねえ! まっすぐの槍が通じないのならっ! 槍の形を変えて変則的に攻める!)

杏子「こいつならどうだぁ!」ジャラ

やちよ「セヤッ!」シュ

杏子「おわっ?!」ガキンッ

杏子(こいつっ! さっきまでずっと防戦一方だったのにいきなり反撃してきやがった! しかもかなり鋭い突き! だめだっ、ちゃんとした槍の形にしておかないとやちよの突きは受けられねえ!)

杏子「・・・・・あっ? あれっ? いない?」

マミ「佐倉さん! 後ろっ!!」

杏子「うわっ?!」ガキンッ

やちよ「ふっ、さすがいい反応ね」

杏子(あっぶねー・・・。いつの間に後ろに回り込んでやがった・・・)

杏子(こんな技まで使えるなんて、どんだけ引き出しを持ち合わせてんだ・・・。魔法無しでこの強さ・・・。一体何者なんだよこいつは・・・。槍の達人か?)

マミ《佐倉さん! お願い少しだけ手を貸して!》テレパシー



マミ「トッカ・スピラーレ!」シュルルルン

鶴乃「無駄だよーっ! リボンは完全に見切った! ふんふーんっ!」バシッバシッ

杏子「チョーシに乗んな! 拘束魔法が使えるのはマミだけじゃねーぞ!」ビィィン

鶴乃「あがっ?!」 (拘束

マミ「今度こそっ!」チャキ

やちよ「鶴乃っ!」パキンッ (拘束解除

杏子「はあっ?!」

マミ(対応が早い! 佐倉さんの拘束魔法が見抜かれてた?! なんで?!)

やちよ(見事なチームワークね、佐倉さんと巴さんは。でも私たちだって負けてないわよ! 伊達に長いこと寝食を共にしていないんだからっ!!)

やちよ「行きなさいっ!」ブンッ

鶴乃「ほぉぉりゃあああ!!!」ズババババ

マミ(やちよさん、佐倉さんの鎖を切った勢いをそのまま使って由比さんをコマのように回しながらこっちに投げてきたっ)

マミ「ティーロ!」バンッバンッ

 キンッ... チュイン.....

マミ(銃弾も弾かれる! このままじゃ二人ともやられる! でもっ―――)

マミ(マスケット銃を突き立て―――)

杏子(槍を突き立て―――)

マミ杏「「止めるっ!!」」

 ガキャン!

鶴乃「ぬぁっ?!」フラッ

やちよ(すかさず鶴乃の隙を埋めるっ!)シュ

マミ杏「「ハッ!」」トンッ サッ

やちよ(・・・・二人で手を押し合って、その反発で左右にはけて私の槍を避けたわね。嫉妬したくなるほどに息があっている。この二人は脳神経でもつながってるのかしら)


マミ《佐倉さん助かったわ! このまま七海さんを引き付けて!》テレパシー

杏子《あ、ああ・・・》



杏子(引き付けてって言われても、どーすりゃいいんだ・・・。やちよには下手に攻めたら逆にやられる)

杏子(一直線に貫きにいこうが、変則的に攻めようが、こいつには通用しない・・・・)

杏子(マミが負けた理由がよくわかった。マミが怖がる理由もよくわかった。あたしもやちよが怖くなってきた)

杏子(だが、あたしはやちよに負けるわけにはいかない・・・・!)

杏子(他に、他に・・・。あたしにまだできる手はないか・・・? だまし討ちとかか・・・? だまし討ち・・・フェイント・・・フェイク・・・・)

杏子(・・・・そうだっ、フェイク! 今のあたしの槍は本当の槍じゃない。後から身に着けた付け焼刃のフェイクなんだ)

杏子(本当のあたしは幻惑魔法で戦うんだ。幻惑で生み出したフェイクで敵を惑わす。それがあたし本来の戦い方)

杏子(でもその幻惑魔法は、あたしが家族を壊したときに一緒に失っちまった)

杏子(だから今のあたしに幻惑魔法は使えない・・・)

杏子(あたしにはもう家族はいないから・・・。家族は・・・)

杏子(家族・・・・・・・・・。いやっ、あたしにとっての家族は―――)



~~~~~~~~~~~~~~~~

『先輩のやり方にケチをつけるのねぇ~?』

『ああっ! いやっ! そのっ、そういうわけじゃ!』

『もう怒った。あなたがそういう反抗的な態度を取るなら、こっちも考えがあるわ。罰として、次の戦いで、あなたに必殺技の名前を叫んでもらいますっ!』

『ええっ?! まじ~っ?!』

~~~~~~~~~~~~~~~~



杏子「―――・・・・・・・・・・・」

杏子「ふー・・・・・」パシッ

やちよ「・・・?」

やちよ(佐倉さん? 槍を縦に構えて、目をつむって集中している・・・?)


マミ「あっ・・・!!」

マミ(佐倉さんっ?! その構えはまさかっ、あの技?! あの技は使えなくなったはずじゃ?! 能力が戻っているの?!)

やちよ(何をするつもりか分からないけど、邪魔させてもらうわ)シュ

マミ「させないっ! レガーレ!!」シュルー

やちよ「くっ?!」シュパ

マミ「今よ佐倉さん! やって!」

杏子「・・・・・・」



~~~~~~~~~~~~~~~~

『一回叫んだんだからもう許してくれるよねっ?』

『許しませんっ♪』

『な~んでー? なんでそんなにこだわるのさ~?』

『怯えながら戦うよりずっといいと思わない? 私たちはいつも命がけで魔女と殺し合いをしているでしょ? でも、ふと思ったの。子供の頃夢見た魔法少女って、希望に満ちていて、怖がったりしなかった。それに、必殺技の名前もカッコよく叫んでいたなって』

~~~~~~~~~~~~~~~~



杏子(やちよは確かに強い。そんな強いやつを相手にするのは怖い。だが、迷うな、怯えるな、惑わされるな。そして、恐れるな。その方法をマミはあたしに教えてくれた。その方法であたしは今日まで生き延びてきた)

杏子(だが、今あたしの目の前にいるこいつは、そんなマミを倒したことがあるっていう。それが心底気に食わねえ。気に食わねえんだよ!)

杏子(だから・・・! あたしはやちよに負けるわけにはいかないんだ!!)

杏子(やちよ! マミと一緒に磨き上げたこの無敵の技でテメーをぶっ飛ばす!)

杏子「いくよっ! ハッァァアアア・・・・!」


杏子「必殺! ロッソ・ファンタズマ!」


やちよ「っ?!」

鶴乃「ほわっ?!」ビクッ

杏子(クソッ・・・。3人しか出なかったか・・・。だが今はこれで十分だ!)

杏子1「ほらほらこっちこっちー!」

杏子2「チャラチャラ踊ってんじゃねーよウスノロ!」

杏子3「終わりだよ!」

鶴乃「くぅ・・・! ふんっ!」ズバッ

マミ「残念、そっちはニセモノ!」グググッ....

鶴乃「ふんっ・・・?!」

マミ「 † ティロ・ホームラン † 」カッキーン (マスケット銃フルスイング

鶴乃「あっっっっぎゃごほぅぇえええがっはぁっ?!?!?!」ボグワシャァ

ささら「由比鶴乃っ、場外!」

杏子(よしっ! マミが鶴乃を場外までぶっ飛ばした! この調子でやちよも―――)

やちよ「・・・・・・・・・・・」

杏子(なんだ・・・? やちよのやつ、目をつむって突っ立ってやがる・・・)

杏子(・・・・? ハッ?! まさか集中して迷いを断ち切ってるのか?! まずい! あたしの幻惑魔法が見切られてる!)

やちよ「・・・・・!」タッ

杏子(真っすぐに本体のあたしに向かってきた?! 一旦飛び退いて距離を取らないとやられるっ!)トンッ


やちよ「・・・・ごめんなさい」スパ...

杏子「だっ・・・く・・・」

杏子(チッ・・・。ちょいと脚を切られたか・・・。だがこの程度ならまだまだだ! あたしが地面に着地した瞬間に分身を使ってやちよの動きを封じてやる!)

 スタッ 

杏子「あ、あれ・・・? なんだっ・・・?」クラッ

杏子(脚に、力が入らない―――)

 ドタンッ

杏子「アタッ?! なっ、なんなんだ?! 立てねえ?!」

明日香「むっ?!」

  < ピピーッ!

明日香「全員止まってください!」

マミ「えっ?」

明日香「佐倉さん、脚を見せてください」

杏子「お、おい・・・」

明日香「これは、やはり・・・。脚の筋が切られています。これでは立てないのは当然。よって、佐倉杏子さんは退場です!」

杏子「なっ!?」

マミ「えっ?! そ、そんなっ・・・」

やちよ(ふー・・・。危なかった・・・。紙一重のその半分の半分って感じ・・・)

明日香「治癒班! お願いします!」

このは「ええ、任せて」


杏子「クソッ・・・! 久しぶりすぎて本当の魔法の方が付け焼刃になっちまってたな・・・」

このは「はい、脚出して。治癒するから」

杏子「あ、ああ・・・・。すまねえ・・・・頼む・・・」

このは「・・・・」パァァ


マミ「・・・・・・・」

マミ(ど、どうしよう・・・。私が七海さんと一対一で戦うの・・・? 最後の望みの技、ティロ・ランツィアは私一人では使えない・・・)

マミ(無理よっ・・・。ウワサの魔力を上乗せしてもかなわなかった七海さんに、今の私が太刀打ちできるわけがない・・・)

マミ(私はまた負けるの・・・? 『一人で背負わなくていい』、私に鹿目さんたちはそう言ってくれたけど・・・。でも不安よ・・・)

マミ(こんな大勢の前で、私が無様に負ける姿を晒したら、みんなになんて言われるか・・・なんて思われるか・・・。また信頼を失いそう・・・。怖い・・・怖いわ・・・)

マミ「ハァッ・・・・ハァッ・・・・」 .....フルフル

杏子(・・・・・マミのやつ・・・完全にビビッてやがる。あれじゃ勝てるもんも勝てない)






鶴乃「くっ・・・負けたっ・・・。でもっ・・・ふんふんっふーんッッ・・・!」

鶴乃「ししょーっ!!! やちよししょーっ!!!! 勝ってーっ!!!!! 勝ってやちよししょーが真の最強師匠だって証明してぇええええええッッッ!!!!!!!!!!!!!!」




やちよ「・・・・・・・・」スッ (無言で手を挙げて鶴乃に応える

マミ「・・・・・」

マミ「・・・・・・・・ね、ねえ、佐倉さん」

杏子「・・・あんだよ」

マミ「っ・・・。わ、私・・・ね・・・。恥ずかしいけど、今とても不安で怖いの・・・。カッコ悪いわよね・・・情けないわよね・・・」

杏子「・・・・・・」

マミ「私、七海さんがうらやましい・・・。由比さんにあんな大きな声で応援されて・・・」

杏子「・・・・・・」

マミ「だから・・・お願い・・・。佐倉さんも、由比さんみたいにとまでは言わないから、私を応援してくれないかしら・・・? 少しでいいの・・・。せめて少し、それだけで、私、勇気を取り戻せそうだから・・・」

杏子「・・・メンドクせえ。なんであたしがそんなことしなきゃならない」

マミ「なんでって・・・。七海さん由比さんと同じで、佐倉さんにとって私は、仲間よね?」

杏子「・・・・・・甘ったれるな。そんなに怖いなら、ケガする前にさっさと降参しちまえっ」

マミ「っ・・・。そ、そう・・・そうよね・・・。そうしようかしら・・・」

杏子「・・・・・・」

マミ「・・・・・・」 ....シュン


杏子「・・・・・・」

杏子(仲間、先輩、師匠、友達・・・。どれもなんか違う。そういうのとはなんかちょっと違うんだよ・・・。あたしにとってマミは・・・うまく言えない・・・というか・・・言いたくないというか・・・なんというか・・・・)

杏子(・・・ふんっ、別にどうでもいいか、今となっちゃそんなこと)


このは「・・・・・」パァァ

このは「ねえ、あなたたち」

杏子「?」

このは「あなたたちは、とても仲の良い姉妹みたいね」

マミ「えっ?」

杏子「っ!?」ドキッ

このは「だってそうでしょ。ついさっきまで信じられないくらい息の合ったコンビネーションを披露しておきながら、今はどうでもいいくだらない意地を張って喧嘩しているから」

杏子「な、なに言ってんだお前? 別に意地なんか張ってな―――」

このは「ちょっと垣間見える相手のカッコ悪いところが、一緒に過す時間が長いから、しょっちゅう見えてしまって、それがだんだんと腹立たしくなっちゃう。でも心の底では大切に思っているから、無茶する姿を見せられたら心配で心配でしょうがない」


杏子「い、いやっ、心配なんかしちゃいない」

このは「ケガする前に降参しろって言ったのも、本当に心配しているからなんでしょ? 最近の世間では、そういうのは ツンデレ って言うらしいわよ。かわいいわよね」

杏子「違うって!」

このは「私ね、昔はある施設に預けられて育ったの。その中であなたたちみたいな子はたくさん見てきたわ。血は繋がっていなくとも、本当の兄弟姉妹みたいに固い絆で結ばれている子」

杏子「だからっ―――」

マミ「えっ? 心配してくれているの? 佐倉さんが? 私を?」

杏子「してねえっ!」

このは「そんなこと言われても説得力無いわよねぇ? 顔を真っ赤にしちゃって」

杏子「はっ?! はぁっ?!//// バッ、ホントにちがっ/////」カァア

マミ(あら・・・やっぱり本当にそうなんだ。佐倉さんが私の事を想って心配してくれている)

マミ(それに、私と佐倉さんが姉妹みたいって)

マミ(そんなっ、やだっ・・・私ったら・・・顔がにやけちゃって止まらないっ)ニコニコ

杏子「クソッ!//// クソッ!///// おいっなに笑ってんだマミ! クソッたれ! マミなんか負けちまえっ!!」

マミ「まあっ! そんなっ、うふふっ。負けちまえなんて、今の私にそれは最高の応援だわっ! ありがとう!」

杏子「っっ~~~//// 知るかもうっ!! バカッ勝手にしろっ!!!」クルッ スタスタ

このは「それだけ歩けるなら脚のケガはもうよさそうね」

杏子「ああっ!!」スタスタ

マミ「そっか・・・。ふふっ、佐倉さんがそんなに私のことを・・・うふふっ・・・//// それに、姉妹、かぁ・・・////」テレテレ ニコニコ 




ほむら「巴さ~~んっ! ファイトですーっ!」ブンブン

さやか「あたしらはもう手は出せないけどっ、声だけはしっかり出していきますんでー!」ブンブン

まどか「だからマミさーんっ! わたしたちみんなで勝ちましょー!!」




マミ「・・・・みんなっ」

マミ「ええっ!」

マミ(怖いことが何もないわけじゃないけれど。私は一人じゃない。だから大丈夫。最後まで精いっぱいやってみせるわ!)


やちよ「・・・・・・・」

やちよ(巴さんの目に迷いがなくなった。・・・これは・・・この状況は本当に―――)

いろは(―――・・・・・・最悪だっ)









~~~~~~~~~~~~~~~~
今大会前日のみかづき荘


いろは「フェリシアちゃんの夏休みの宿題なんとか終わりましたよ。そしていよいよ明日はミラーズカップですね、やちよさん」

やちよ「そうね。私たちはなんとしても勝たないといけない」

いろは「今回は優勝賞品がすごく豪華らしいですからね」

やちよ「優勝賞品もそうだけど。それだけじゃない。私はもっと大きな目的のために勝たないといけないと思ってる。西側の魔法少女たちの治安維持という目的のために」

いろは「治安維持、ですか・・・?」

やちよ「神浜では以前から色んな事件が起きているのよ。誰彼構わず決闘を申し込んで人を傷つけようとする魔法少女、間違った正義感を振りかざして他人のグリーフシードを盗む魔法少女、コピーの魔法少女を街に解き放って混乱を招く魔女、そしてウワサ・・・」

いろは「はい、そうですね・・・・」

やちよ「魔法少女たちの中には力のない子もいる。だからそういった子たちのためにも、何か事件があったときに、事態を解決できるだけの実力を持った精神的支柱になれる人物が、各地区ごとに必要なの」

いろは「東の十七夜さん、南のひなのさん。そして、西のやちよさん、みたいにですよね?」

やちよ「ええ、その通り。東と南は引き続き十七夜と都さんがまとめ役をするとして、問題はこの西側。知っての通り、私はワルプルギスの夜との戦いで力を使い果たしてしまった。みふゆと同じように、これからは衰える一方。はっきり言って、今の私に西側をまとめるだけの力はないわ」

いろは「そ、それは・・・・・は、はい・・・・」

やちよ「この現状はまずいのよ。力の無い者がまとめ役をやっているってのは、拳銃も警棒も持ってない警察が駐在しているようなもの」

やちよ「神浜マギアユニオンを結成して、ある程度神浜全体の結束は固められたけど、魔法少女全員がこの集団に所属しているわけではない。それにこれから魔法少女になる子、そして神浜の噂を聞きつけて市外からやってくる魔法少女もいるはず。だからこれからの神浜はさらに混沌とする可能性があるわ」

いろは「そうですね・・・。それに、私は神浜のみんなで一緒に助け合っていきたいって思っていますけど、それでも西側のまとめ役はやちよさんだから何かあったらやちよさんを頼ろうって思っている人は未だに多いですよね」

やちよ「そう。だけどそれは仕方ないのよ。長いことそうしていたから。人の印象ってそう簡単には変わらない。だから神浜にはまだまだ力のあるまとめ役が必要なの。だけど私にその役は勤まらない」

やちよ「もし次に何か有事があって、私が駆り出されて、何かしくじりでもしたら、七海やちよは弱いということが周知の事実になる。そんなことになったら、それこそ混乱の種になる」

やちよ「そこでこのミラーズカップよ。この大会には、参加者はもちろん、見物だけに来る子もたくさんいるはず。ここでみかづき荘が優勝すれば、『西のまとめ役は七海やちよ』という世間の印象が、『西のまとめ役はみかづき荘』という具合になって、私の印象を薄くできる。そして徐々に世代交代をしたい。私はそれを狙っている」

いろは「なるほど。治安維持のためって、そういうことでしたか。だったら何としても優勝しないとですねっ」

やちよ「それだけに、第1回ミラーズカップの時に、ももこたちに負かされた時は焦ったわよ」

いろは「あはは・・・。本当に隙を付かれたって感じでしたもんね」

やちよ「でもよく考えたら、ももこに西側のまとめ役を任せてもいいのよね。実力は十分あるし、私が聖女の巴さんと戦っているときに、多くの魔法少女を引き連れてきただけの統率力もあるし、なにより面倒見がいい」

やちよ「・・・ただ、ももこはもうちょっと知恵を付けてくれたらいいのにとは思うけれど。まあ、それは追々でもいいわ。とにかく、明日の大会は西側の治安維持のためにみかづき荘かチームももこのどちらかがが優勝しないといけない」

いろは「あっ、それじゃあ、治安維持っていう大事な目的があるんだから、みたまさんに協力をお願いしてみかづき荘かももこさんが勝てるようにしてもらうのはダメですか?」

やちよ「そんな八百長みたいな真似は絶対にダメよ。もし誰かにバレたら一気に信頼を失うわ。特に十七夜辺りに知られたら、私たちタダじゃすまないわよ」

いろは「うっ・・・・。そ、そうですね・・・・・ごめんなさい・・・・」

やちよ「だから正々堂々戦って勝たないといけない。でも、私の力が衰えている事実はどうしようもない。私は実力者と戦ったら勝てない」

やちよ「だから、もしよ? もし、チームももこが途中で負けて、かつ、ある試合でみかづき荘が苦戦して運悪く私だけが残ってしまって、名のある実力者と私が戦わないといけない状況に陥ってしまったら、それは・・・・・最悪よ」

やちよ「未だ西側の精神的支柱になってしまっている私が無様に負ける姿を晒してしまうようなことが起きたら、西側の治安が一気に崩れる可能性がある」

いろは「は、はい・・・それは 最悪 ですね・・・」

やちよ「そうならないよう、チームみかづき荘はチームワークを目いっぱい活用して勝ち進み、優勝する」

やちよ「そうしたら私は晴れて前線のお役目御免ってわけね。ゆくゆくの私は、家にこもっておまんじゅうを食べながら、ただ指示を出すだけの役に徹するようにしたいわ。だからいろは、明日は頼むわよ」

いろは「分かりました! 私がんばりますっ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~





いろは(―――・・・・・・・・・・なんてっ、私はいい返事だけはしたけど、現実はこうなってしまった・・・不甲斐ないですね、私・・・・)

いろは(悔やんでも仕方ない。今はなんとしてもやちよさんが勝たないといけない)

いろは(だけど・・・・。やちよさんは聖女の巴さんに勝ったって言っていたけど、それは力が衰える前の話。今のやちよさんが巴さんに勝てるなんて、到底思えない・・・・)

いろは(でもなんとかしないといけない・・・。何ができる? 今の私になにが・・・)


鶴乃「ししょーっ!! 勝ってぇええええ!!!!! しゃああああああ!!!!!!」


いろは(鶴乃ちゃん・・・・。そうだよね。悔しいけど、私にはもう応援することしかできない。悔しくても、できることを精いっぱいやらないと!)

いろは「すぅぅぅ・・・・!」

いろは「やちよさーんっ!! 負けないでくださいーっっ!!!」




マミ「七海さんも仲間たちに慕われているのね」

やちよ「ええ、お陰様で」


みたま「大盛況の第2回ミラーズカップも、いよいよ華々しいフィナーレね」

みたま「ここにいる人たちはみんなこう思っているんじゃないかしら。『やはりこの二人が残ったか』って」

みたま「だからもう御託は要らないわ。さあ、二人とも、そろそろいいかしら?」


マミ「・・・・少しだけ言わせてください」

マミ「七海さん。私からウワサを剥がしてくれたこと、今でも本当に心の底から感謝しています」

マミ「でも今は、私たちのチームが最高だって証明したい。一緒に戦っている仲間たちにそう思ってほしい。だからどうしても私は勝ちたい。でも、それはきっと七海さんも同じよね。ならばここは、リーダー同士、死力を尽くすつもりで決着を付けましょう!」

やちよ「分かったわ。感謝しているからって手心を加える必要は全くないわよ。・・・ただ、これだけは言わせてもらうわ。巴さん。貴女は一つ勘違いをしている」

マミ「勘違い?」

やちよ「チームみかづき荘のリーダーは私じゃない」

マミ「そうなの? では、誰がリーダーなのかしら?」

やちよ「いろはよ。私はあくまで経験に基づくアドバイスをするだけの立場。それを以ってどう行動するかの判断はいろはがする。私はいろはリーダーの命令にただ従うだけ」

マミ「へえ・・・・」

やちよ「そしてそのいろははたった今私にこう命令したわ」

やちよ「 “負けるな” と」

やちよ「私はいろはの命令を破ったことはない。だから、巴さんはここまでよ。覚悟して」シャキン...

マミ「・・・・・・」

マミ(すごい圧だわ・・・。今までずっと冷静に戦っていた七海さんとは別人みたい)

マミ(昔の私ならもうこの時点で降参していたでしょうけど。でも今の私はこの程度では呑まれない! 私には仲間がいるのだから!)

マミ「残念ながら、今日は七海さんが環さんの命令を守れなかった記念すべき初めての日になるわ」チャキ....


やちよ「・・・・・・!」グッ

マミ「・・・・・・!」グッ



みたま「・・・・・・ゴクリッ」

みたま(す、すごい気迫・・・。傍にいるだけで体が震えてくるわ・・・)

みたま「コホンッ・・・・・。りょ、両者準備いいわね・・・?」

みたま「そ、それでは・・・・っ。試合っ、再開っ!!」


やちよ「ハッ!!」タッ

マミ「ヤッ!!」トンッ


やちよ(私の魔力はもうほとんど残っていない。遠距離から槍を投げ飛ばすなんて芸当はできない。だから体力を使って走って何とか距離を詰めて、近距離で競り合う型に持ち込まないと絶対に勝てないっ)タタタッ

マミ(近距離で競り合う型になったら、普段から槍で戦っている七海さんには絶対に勝てないっ。魔力で脚力を強化したバックステップを繰り返しながらの引き撃ちで戦うっ!)バンッ バンッ


やちよ(銃撃で手足を撃ち抜かれたらその時点で私の負けっ。残り少ない魔力で最小限の水の盾を生成して銃弾を無力化する。だけど、なんとか後2~3発以内に、『これ以上撃っても無意味』と思わせないとっ。それができなければ本当に魔力が尽きるっ)パシャン パシャン

マミ(やはりとんでもなく魔力の扱いに慣れているわ、七海さんは・・・。せめてティロ・フィナーレ一発分くらいの魔力は残しておきたい。そうしないとアブソリュート・レインを撃たれたら対処できないっ。念のためこれ以上の無駄撃ちはやめないとっ)


やちよ(銃撃が止んだ。次の一手が巴さんの決定打とみた。距離が取れなければ銃撃以外の決定打はさっき鶴乃にぶち込んだマスケット銃のフルスイングしかない―――)

マミ(銃撃は効かない。だから次の一手が私の決定打よ。距離が取れなければ銃撃以外の決定打はさっき由比さんにぶち込んだマスケット銃のフルスイングしかない―――)


やちよ(―――と、巴さんは私に思わせようとしている! だけどそれはありあえないわ。普段から槍で戦っている私に近距離では絶対に勝てないと、巴さんは根本で思っているはず!)

マミ(―――と、七海さんは思っているはず! だから私は敢えてその挙動を取って、マスケット銃を七海さんの槍で受けさせる!)


マミ「ヤァァッ!」ブゥゥン (マスケット銃フルスイング


やちよ(読みが当たった! 一打で良いっ、一打だけでいいから打撃技を私の槍で受けさえすればあの技で返せるっ・・・!)スッ

マミ(読みが当たった! 私の一打をその槍で受けてくれさえすればあの技でチェックメイトよっ!)ブゥゥン


ガキンッ!



やちよ・マミ((よしっ! マスケット銃を槍で受けたっ!!))

マミ(このまま七海さんの槍をマスケット銃で封じる! そして私の格闘技 †黄金の美脚† で七海さんを場外まで蹴り飛ばす―――)グッ.....

やちよ「・・・・・ハァァッ!」シリンッ シリンッ

マミ(―――えっ? な、なにこの動きはっ?!)

やちよ「ハーッ!!」シリンッ! .....パキンッ

マミ「あっ!?」スポッ

マミ(私のマスケット銃が槍に絡め取られて飛ばされた・・・?!)

マミ(いけないっ・・・! これじゃ私の正面が全くの無防備に―――)

やちよ「イァッ!」クルッ......  ドッ

マミ「かはっ?!」

マミ(体を一回転させて・・・その勢いを使って・・・私のみぞおちに槍の石突きを打たれた・・・。息がっ・・・できないっ・・・)

マミ「うっ・・・ぐぅ・・・・」ヨロヨロッ.....

やちよ「セァッ!」クルッ......  ドゴッ

マミ「ぐっ?!」

マミ(更に体をもう一回転させて、後ろ蹴り・・・・。ダメッ体を支えきれない・・・倒れっ―――)

マミ「あっ・・・うっ・・・」ドシャ

やちよ「ハッ」シャキン (マミの眼前に槍を突き付け

マミ「カヒュー・・・・ カヒュー・・・・・・・・まっ」

やちよ「・・・・・・・・」

マミ「カヒュー・・・・まっ・・・・いった・・・・・・・・・・・」

  < ピピーッ!!!

みたま「そこまでっ! 勝者はみかづき荘!」

みたま「したがって、第2回ミラーズカップの優勝は・・・・」

みたま「チームッ、みかづき荘ッッ!!!」

やちよ「ふー・・・・・・」




\\わあああああー!!//

\\うおおおおおー!!//

\\みかづき荘ぉーッ!!//




ななか(素晴らしい戦術ですわ・・・! 特に最後のあの読み合いは、一瞬の出来事ながらもまるで詰将棋でも見ているかのようでした・・・!)

明日香(感動でまだ震えが止まりません! あれは剣道で稀に見られる技、巻き上げ! それを槍で、しかもあそこまで綺麗にやってのけるとは! やちよさんっ、是非我が道場にお越し頂きたい!)

あきら(綺麗な後ろ蹴りだった・・・! しかも手足が長いからリーチも威力もかなり高い! やちよさんっ、是非ボクとお手合わせ願いたいっ! 押忍っ!)





いろは「やちよさーんっ!」タタッ

やちよ「・・・・・・・・」

いろは「やりましたっ! 勝ちました! すごいです! すごいですよ! やちよさんっ!」ピョンピョン

やちよ「・・・・・・・・」

いろは「・・・・あれ? あ、あの? やちよさん?」

やちよ「・・・・・・・・・・・イロハッ」 抱きしめ

いろは「ひゃわぁっ?!/////」 抱きしめられ


  みたま「きゃ~♪ 見て見て~っ。やちいろよ~♪」

  うい「アルティメット写真撮らなきゃ」パシャパシャ


やちよ「・・・・・・・・」

いろは「えと/// あ、あの・・・?/////」ドキドキ

やちよ《ごめんなさい・・・・》テレパシー

いろは「えっ・・・?」

やちよ《魔力も体力も使い切って、もう自分の力じゃ立っていられないの・・・・》

いろは《あっ、は、はい!》

やちよ《でも、西のまとめ役として他の人にみっともない姿は見せられないから、しばらくこうさせて・・・》

いろは《分かりました大丈夫です! 今すぐ治癒魔法をかけますね。これで少しは良くなるはずです》パァァ

やちよ《ありがとう・・・。それからグリーフシードもお願い・・・。今にもドッペルが出てきそう・・・》

いろは《わわっ?! 大変! ソウルジェム真っ黒ですよ! 今すぐグリーフシード使いますっ!》チンッ シュゥゥゥ....

やちよ《はー・・・ふー・・・・。ありがとう・・・助かったわ・・・・》

いろは《はいっ!》


やちよ「・・・・・・・・」 抱きしめ

いろは「・・・・・・・」 抱きしめられ


やちよ「・・・・・・・・」 抱きしめ

いろは「・・・・・・・」 抱きしめられ


やちよ「・・・・・・・・」 抱きしめ

いろは「・・・・・え、えと? あ、あの?///」 抱きしめられ


やちよ「なに?」ギュウ

いろは「え、えと・・・/// ま、まだどこか体に悪いところありましたか・・・?」ドキドキ

やちよ「別にないけど」ギュウ

いろは「そ、そうですか・・・////」ドキドキ

やちよ「ええ」ギュウ


やちよ「・・・・・・・・」 抱きしめ

いろは「・・・・・・////」 抱きしめられ


いろは「えっと・・・/// や、やちよさん?////」ドキドキ

やちよ「なに?」ギュウ

いろは「まだ体の支えが必要ですか?///」ドキドキ

やちよ「別に必要ないけど」

いろは「へっ? そ、それじゃ、えっと・・・ど、どうして・・・?」

やちよ「なんなの? いろはは私に抱きしめられるのが嫌なの?」ギュウ

いろは「そんな滅相もありません!」

やちよ「だったらもう少しこうさせてよ。私ものすごく頑張ったのよ? これくらいのご褒美があっても罰は当たらないでしょ」ギュウ

いろは「ご、ご褒美・・・な、なんですか・・・?////」テレッ

やちよ「ええ、そうよ」ギュウ

いろは「は、はぅ・・・・//////」ドキドキ


いろは「・・・・それと、あの、やちよさん」

やちよ「んっ?」

いろは「結局最後はやちよさんに頼ってしまってすいませんでした・・・。これじゃあ、まとめ役はやちよさんだっていう印象を薄めることはできませんでしたよね・・・」

やちよ「いいのよ。負けて醜態を晒すよりかは遥かにマシだわ。世代交代のやり方はまた考えるわ」

いろは「はいっ・・・」


フェリシア「おーい、やちよー」

さな「いろはさーん」

鶴乃「しーしょー」


いろは「あっ、みんな」

フェリシア「優勝賞品もらってきたぞ! ほらっ商品券!」

さな「お米券もです!」

鶴乃「そしてそしてなんとっ! 皆さんご所望の万々歳割引k―――」

フェリシア「これでいっぱい肉食わしてくれるんだよなっ?」

やちよ「そうね。約束だものね。帰りにお肉屋さんに寄っていいお肉を買いに行きましょうか」

フェリシア「おっしゃー!」

鶴乃「コホンッ。ここはこの王者の証である万々歳の割引券を使って、今日は中華に―――」

さな「あのっ! かき氷! 食べてもいいんですよね! 800円のやつ!」

いろは「うんっ、もちろん。一緒に食べに行こうねっ」

さな「わぁぁ! はいっ! はいっ!」ニコニコ


鶴乃「中華料理は炎の料理! 私のハートはいつでもファイヤー! ・・・って行きたいけど、たまーにしゅんとなって弱火になっちゃうんだよねー・・・」ドヨーン....

いろは「あ、あのっ、鶴乃ちゃん・・・えっと、そのね・・・? 私たち結構普段から万々歳で食事しているから、ちょっと新鮮味がないだけであって、別に嬉しくないとかじゃ・・・な、ないんだよ・・・?」

鶴乃「そーだよねー・・・。せっかくみたまにしがみついて優勝賞品にこの割引券を入れてもらったけど、こうやって自分の元に帰ってくるとなんだかむなしーねー・・・・」ドヨーン....

いろは「しがみついてって・・・そ、そんなことまでしたの?」

鶴乃「うん・・・。その代わりにウォールナッツのお食事券を提供してもらうよう交渉に行くお使いに出される屈辱を味わったよ・・・」ドヨーン....

いろは「えーっと・・・あっ、それじゃあ、その割引券を持って今から宣伝してきたらどうかな? せっかくたくさんの魔法少女が今ここにはいるし、特に東の人とかは万々歳の事をよく知らないと思うし、それに優勝チームの鶴乃ちゃんが言うことならみんな興味を持ってもらえると思うし。ど、どうかな・・・?」

鶴乃「それはいい考えだ! 行ってくるねっ!!!」バヒューン

いろは「切り替えが早い・・・!」




さやか「どうですかマミさん。良くなってきましたか?」パァァ

マミ「ええ、もう大丈夫よ。ありがとう美樹さん」

まどか「ほっ、よかったぁ・・・・」

マミ「ごめんなさいね、みんな・・・。負けた上にみっともないところを見せてしまって・・・」

さやか「みっともないなんてことないっスよっ! めちゃカッコよかったですよ! もうイケメンっスよ! イケメン! もっと胸張ってください!」

ほむら「あのっ・・・。巴さん・・・。私、応援してたのに、こんなこと言ったら変かもですけど・・・。巴さんが倒れた時に思ってしまったんです・・・。無茶しすぎだなって・・・。これは試合だからよかったけど、もっと体を大切にしてください・・・」

マミ「そう、よね・・・。ごめんなさい。やっぱり私、どうしても見栄っ張りな性格がまだ治ってないみたい・・・」

さやか「あーまあ、そういうのは誰にでもあると思いますよ。ほむらがいつまで経っても弱気で眼鏡でまな板なのと一緒ですなあ!」肘ツンッ

ほむら「ええっ・・・?///」オドオド

まどか「マミさん」 手にぎっ

マミ「鹿目さん?」

まどか「約束しましたもんね。辛い時はこうやって側にいさせてくださいって。負けたからって自分を責めないでくださいね。マミさん、本当にお疲れさまでしたっ」ニコッ

マミ「みんな・・・・」

マミ(ああ・・・。私のことをこんなに想ってくれている・・・。それに、みっともない姿を晒しても恥ずかしくないって思えている自分がいる。やっぱりこの子たちと私は対等の仲間なんだ・・・。すごく嬉しい・・・)

杏子「・・・・・・」




杏子「・・・・・・・・おい、やちよ」

やちよ「佐倉さん? なにかしら」

杏子「教えてくれ。どうしてあたしのロッソ・ファンタズマを初見で見切れた?」

マミ「あっ、それは私も気になるわ。ロッソ・ファンタズマ以外にも、私たちの動きが事前に見抜かれていると思うことがたくさんあったし」

さやか「あー、あたしもっ。まどかと協力したのに、なんか全然思うように戦えなかったんだよねー。なんでっスかね?」

やちよ「うーん・・・そうねえ・・・。ものすごく大雑把に言ってしまうと、7年間の魔法少女生命で培われた経験と、それによる 勘 かしら」

さやか「えー・・・・」

杏子「そんなのは分かってる。もっとなにか、具体的に何かないのかよっ」

やちよ「幻惑魔法を使われたのはさすがに私も焦ったわ。全然予想していなかったもの。だけど、私の仲間に幻惑魔法が使える子がたまたまいて、それで対処法を知っていたから助かったわ」

杏子「なんだっ、そんなことか・・・。ついてねーな・・・。まあ、それも長年の経験がなせる業ってやつか」


やちよ「それと、私が逆にちょっと聞きたいのだけれど、あなたたちにとっての師匠はだれなのかしら?」

マミ「私はほとんど自力かしら」

さやか「あたしはマミさんっスね」

まどか「わたしもマミさん」

ほむら「私もです」

杏子「・・・・半分マミで、半分自力だ」

やちよ「やっぱりね。だからみんな巴さんと同じような戦い方になるのよ」

マミ「あっ・・・・」


やちよ「とにかく大量の武器を出して手数で攻める戦い方」

~~~~~~~~~~~~~~~~
さやか『おっしいくよっ! スクワルタトーレ!!』ヒュン ヒュン ヒュン
~~~~~~~~~~~~~~~~


やちよ「相手を拘束して動きを封じる戦い方」

~~~~~~~~~~~~~~~~
杏子『チョーシに乗んな! 拘束魔法が使えるのはマミだけじゃねーぞ!』ビィィン
~~~~~~~~~~~~~~~~


やちよ「大技を使う前に、技の名前を叫ぶ戦い方」

~~~~~~~~~~~~~~~~
まどか『やっつけたれ!』
~~~~~~~~~~~~~~~~



やちよ「私は以前巴さんと戦ったことがあるから、あなたたちがどのような戦い方をしてくるか、大体予想ができていたわ」

やちよ「だから私は事前に鶴乃とフェリシアにはこう言った。『とにかく相手は拘束や手数で攻めて来るだろうけどひるまずに突撃しなさい』、と」

マミ「そういうことだったの・・・。確かに理にかなっているわ。強引に突撃されるのが私にとって一番苦手なタイプだから・・・」

さやか「なるほど。道理で戦いにくいわけだ・・・」

杏子「なんだよっ。マミのせいで負けたようなもんじゃねーか」

マミ「そうよね・・・ごめんなさい・・・・・」

杏子「チッ・・・・」

杏子(さっきから謝りすぎだろうが。そう簡単に謝るんじゃねーよ。あたしはアンタのそういうところが大っ嫌いなんだ)


やちよ「別に巴さんの戦法が間違っているだなんて私は思わないわ。相手を拘束して、手数で攻めるっていうのは、実戦においてはかなり強力だと思う。突撃してくる相手なんて、本来ならば急所や足回りを一度撃ち抜いてしまえば終わりだもの」

やちよ「だけど今回は急所への攻撃はルール上禁止されているから、射撃も慎重になるだろうと踏んで、私は鶴乃とフェリシアに突撃しなさいと言えた」

やちよ「ルールを盾にしているようで、ちょっと私たちの方が卑怯だったかしらね。そんな訳だから、これからも巴さんたちは今の戦い方を極めていったらいいと、私は思うわ」

さやか「聞きましたかマミさん! 経験7年の大ベテランがこう言うんですよっ! あたしはこれからもマミさんに付いていきますっ!」

マミ「ええ。なんだかちょっと照れるわね・・・///」

まどか「マミさん! これからもお世話になりますっ!」

ほむら「私もっ!」

杏子「・・・・・・」

さやか「ちょっとちょっとー。杏子はどうなのさー?」肘ツンッ

杏子「うるせー」


みたま「お話し中ごめんなさいねー。準優勝賞品、受け取ってもらえるかしら~?」

杏子「あっ! そうだ忘れてた! この大会の賞品は一位より二位の方が豪華だったんだ! やりーっ! ウォールナッツの飯が食える!」

みたま「うふふっ。喜んでくれて嬉しいわぁ。それじゃ5人分のウォールナッツのお食事券ね。はいっ、リーダーのマミちゃんにあげる」

マミ「はいっ、ありがとうございます!」

杏子「よっしゃぁ! おいマミっ! 早く1枚あたしにくれよっ! 今すぐ食いに行くからっ!」

マミ「ええっ? まだお夕飯には早くないかしら?」

杏子「そんなこと構うもんか! 今すぐ食いたいんだ!」

マミ「うーん、どうしようかしらー」

杏子「おいおい何をもったいぶってんだよっ! 早くくれって!」

マミ「あっ、そうだ。せっかく神浜まで来たのだから、みんなでちょっと観光して行かない? それでいい時間になってからウォールナッツでお食事するのはどう?」

さやか「ああっ、いいっスねーそれっ! 行きましょうよ!」

まどか「うんっ! 私も神浜には何度か来ているけど、いつも慌ただしく動き回ってるから、いつかゆっくり見たいなーって思ってたんだっ」

ほむら「あっ、それなら水名区に行くのはどうかな? 観光地らしいので」

マミ「ナイスよ暁美さんっ。そこで決定! さっ、みんな行くわよ~」

杏子「はぁっ? 観光?! なんだよそりゃ?! そんなのいいって! 早くあたしの分のお食事券寄越せっての!」

マミ「もうっ、佐倉さんったら、せっかちさん。そんなに今すぐこのお食事券が欲しいのなら」

杏子「欲しいのなら・・・? な、なんだよ・・・?」


マミ「私のことを “マミお姉ちゃん” と呼んで頂戴」

杏子「はっ?! はぁっ?!//// 何言ってやがんだテメー!/////」

マミ「何を怒ってるの? 別に難しいことじゃないでしょ。例えば私の事マミお姉ちゃんって呼べる? さやかっ?」

さやか「うんっ、全然呼べる! マミお姉ちゃん♪ まどかはどう?」

まどか「マミお姉ちゃん! ほむらちゃんは?」

ほむら「ま、マミお、おね、おねえ、チャン・・・・/////」カァ

杏子「ば、バカかお前ら!/////」

さやか「おやおやー? まだ一人、マミお姉ちゃん♪ って呼んでない子がいるぞー? どこの誰かなー? なんならさやかちゃんのことを、さや母さんって呼んでも許してやるぞー?」肘ツンツンッ

杏子「うるせー! ぶっ飛ばす!!」ボカッ

さやか「あたーっ?! 何すんのよっ!!」

杏子「あたしはそんなおままごとなんかにゃ付き合わないからなっ!」

マミ「残念だわ。つまり、お食事券はいらないのね?」

杏子「それはいるっ!」

マミ「それじゃあ、今すぐ私のことをお姉ちゃん、って呼んで?」

杏子「くっ//// このっ・・・・/////」

マミ「ん~? 聞こえないわぁ。どうしたのかしらぁ、 “杏子”?」

杏子「っ?!/////」ドキンッ


杏子「・・・・マっ/// マミ・・・・お//// お、おねえ―――」

マミ「はい時間切れー。それじゃみんな水名区に行くわよー」

杏子「えっ、ちょ」

さやか「はいはーい。行きましょ行きましょー」

まどか「行こうほむらちゃんっ」

ほむら「うんっ!」

杏子「くっそー! まてコラーッ!」







----------------------------------------
後日 調整屋



やちよ「それで」

やちよ「優勝賞品の一つ、[調整屋さんの特別調整券] とやらを使いに来たんだけど。何をどう特別に調整してくれるの?」

みたま「うふふっ~。百聞は一見にしかず。特別な調整は既にいろはちゃんに施したわぁ」

みたま「いろはちゃーん。いらっしゃーい」


いろは「あっ、はい」トテトテ


やちよ「・・・?」

やちよ「何か変わってるの? いつものいろはにしか見えないんだけど」

いろは「はい・・・私にも何が何だか・・・。実感も何もなくて・・・」

みたま「まあまあ。変身すればすぐに分かるわよ」

いろは「変身ですか。分かりました。やってみます。えいっ」


 パァア.。.:* ☆


いろは[バニーガル]「・・・・・・」

いろは[バニーガル]「・・・・・えっ?!」

いろは[バニーガル]「はっ、きゃ?!/// きゃぁあああ?!/// ななな、なんですかこの格好?!/////」バッ (腕で体の前隠し

みたま「うっふふ~♪ どうかしらー。うさみみセクシーバニーガール魔法少女のいろはちゃんでーす☆ ご指名ありがとうございま~す♪」

やちよ「はぁ・・・。あのねぇ、みたま・・・・」

みたま「なーに? やちよさん」

やちよ「・・・・・・・」

みたま「・・・・・・・」


やちよ「・・・・分かってるじゃないのっ!!」ガシッ (熱い握手

みたま「でしょ~♪」ガシッ (熱い握手


いろは[バニーガル]「分かりませんーッ!//// 早く戻してくださぃぃいいッッ!!!///////」

うい「あっ、ちょっと待ってお姉ちゃん。とりあえず前隠さないでよ。みたまさんのバズーカカメラでちゃんと撮るのっ」パシャパシャ

いろは[バニーガル]「撮っちゃだめーッッ!!/////////」

やちよ「苦労して優勝した甲斐があったわ」 ホッコリ






おわり


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