兄「人を殺すのは怖いかぁ?ww」弟「なんで兄さんが」 (17)

「襲撃だぁ!!!!」

「なんだあの武器は!? うわぁああああ!!!」

「やめろ……。やめろぉおおおおお!!!」

「村が焼かれるぅうう!!!!」

「助けてくれぇえええええ!!!」

弟「……はぁ。……はぁ……」

——自分の故郷が火の海になっていくのを、俺はただひたすら見ていることしかできなかった。
何が護衛騎士だ。何が正義だ。何も守れなければどんな肩書を手に入れて、どんな権力を持っていても意味がない。

弟「……なんで、身体が動かない……」

——毎日積んできた訓練は何の意味もなく、ひたすら足の震えが止まらない。
数十年も戦争という戦争が起きていなかったこの村で、実戦経験のないガキが戦えるはずがないんだ。
俺は肩書きだけもらって、何を良い気になっていたんだろう。

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「守護騎士様、守護騎士様!!!! 助けてください!!!」

弟「……」

——目の前で村人が助けを乞うているのに、何もすることができない。無力だ。

???「……ここにも村人がいたか」

弟「……敵……。俺も死ぬのか……」

——見覚えのある顔だ。一体誰なんだろう。

兄「戦いもできない雑魚が。貴様らに何を守れる?」

弟「!?!?」

——見間違いか? 5年前に村を出て行った兄さんがなんでここに!? なんで故郷を……。

兄「なぁ弟……」

弟「……?」

兄「人を殺すのは……怖いかぁ?ww」

弟「なんで……。なんで兄さんが……」

ドオオオオオン!!!!

村人「うあああああああああああああ」

兄「お前の隣の村人は死んじまったぞ? お前は何を守ることができる?www」

弟「……やめろ……」

兄「wwwwww」

弟「やめろぉおおおおおおおおおお!!!!」

—————————————————————————

弟「……っは」

——ここ何年か、この夢ばかり見ているような気がする。あの時のトラウマが今でも……。
あの日兄を見たという記憶は、本当のものなのだろうか。

女戦士「やっと起きたんですね。いっつも寝坊するんですから!」

弟「あぁ、女騎士か。準備が早いな」

女騎士「私が早いんじゃないですよ! 弟さんが遅いだけです。もう、宿屋出なきゃですよ。急いでくださいね」

弟「あぁ……」

女騎士「それに……」

弟「?」

女騎士「”神秘”を手に入れる手がかりはすぐに消滅してしまうんですから」

弟「そうだったな。でもまぁその前に色々と知っておきたいこともあるからこの街に来たんだ。会いたい人がいる」

女騎士「会いたい人?」

弟「うん。ちょうど通り道だったからな」

女騎士「わかりました。じゃあその人に会ったらすぐにここから東の方角にある街に早く向かいましょう。いつ移動されてもおかしくないですから」

弟「わかった。すぐに行こう」

女騎士 → 女戦士


コンコン

弟「ごめんください」
女戦士「誰かいますかー?」

ガチャ

男「……君は誰だい?」

弟「俺の名前は”弟”。火炎の村の生き残りだ。聞きたいことがあるんだ」

男「火炎の国……。3年前の戦争で一番ひどい被害を受けた村の……」

弟「”兄”という人物について教えて欲しいんだ。元軍人のあなたなら知ってるだろう? その人物が8年前軍隊に入ったことを」

男「あぁ、もちろん。俺が知っている人物と偶然名前が一緒でない限りは。君が知っているその人はどんな人間だった?」

弟「……家族思いで、優しくて、正義感が強く、優秀な人間だった」

男「……まさか」

弟「?」

男「だったら人違いになるだろうな」

弟「どういうことだ?」

男「彼は”悪魔”と呼ばれるほど非道な人間だったからな」

弟「!?」

女戦士「悪魔……?」

弟「それはどういう……?」

男「彼は世界の全てを知り、とんでもない計画を企てようと——」

ドカアアアアアン!!!!

男「ぐっ……」

弟「なんだ!?」

女戦士「内臓が爆発した…!?」

軍人「軍事機密だぞ、そこの男。軍事機密を一般人に漏洩するような真似をしたら、その場で殺害可能だ」

弟「軍事機密……」

軍人「お前みたいな我が国の軍を裏切った人間を警戒しないわけがないだろう。この街に怪しい旅人が入ったと情報があったからまさかとおもったが……」

女戦士「お前誰だ!?」

軍人「俺はこの”聖なる国”の軍人だ。お前らみたいなコソコソと秘密を解き明かそうとするものを排除する仕事を命じられている。

弟「くそっ」

——面倒くさいことになった。まさか旅の途中から国の軍人に目をつけられていたとはな。

女戦士「どうします?! 弟さん!」

弟「……なぁ女戦士」

女騎士「?」

弟「……どうやら今日から俺らは正式な反逆者になるみたいだ」

女戦士「ということはつまり」

弟「そこの軍人と戦うってことだ!!」

軍人「国家軍に逆らうとは良い度胸じゃねぇかww まぁどっちにしろ秘密を明かそうとしてる重罪人など生かしておくつもりはないけどなぁ!!!」

カチャッ

弟「気を付けろ女戦士!!! そいつが今構えた銃みたいな武器から出る液体に触れると内臓が炸裂するぞ!!」

女騎士「わかりました!」

軍人「そんな小さい片手盾で、この攻撃を防げるとでも?」

パァァン!!!

弟「まずい! 拡散弾だ!!!」

シュンッ

軍人「!? 瞬間移動だと……?」

女騎士「た、たすかりました」

弟「油断するな。この国の国家軍は世界でも指折りの戦闘力を持っている。他国のゲリラのようなやつと一緒にするな!」

女騎士「はい!!」

書き溜め文連投終了
ゆるくやっていきます

弟「なぁお前」

軍人「あ?」

弟「なぜお前は戦う?」

軍人「はぁ?

弟「俺は世界の秘密を解き明かして、神界世紀以前の世界を取り戻すために戦う」

軍人「何わけわかんねぇこと言ってんだ? 神界世紀以前の世界? そんなの存在するわけねぇだろぉが!!!!」

パアァン!!!!

弟「俺の故郷の遺跡にはそう示されていた」

シュンッ

軍人「また瞬間移動…!!!」

弟「殺しはしない」

ドカッッ!!

軍人「ぐあっ!!!」

ドサッ

女戦士「弟さん! なぜこんな奴に手加減を!!」

弟「俺は無駄に人を殺さない。俺は力で世界を制圧しようなどということは考えていない」

女戦士「で、でもこいつは私たちの命を…!!」

弟「違うだろ女戦士」

女戦士「……」

弟「俺らが戦う理由はなんだ? お前が戦う理由はなんだ?」

女戦士「世界の平和を取り戻すため……。平穏な生活を手に入れるため……」

弟「そうだろ。それは欲か? 邪なものなのか?」

女戦士「……違います。心から願うことです」

弟「……だったら、感情に左右されて目的を失うな。憎しみが世界を救うんじゃない。本当に世界を救おうと願うもだけが救うんだ」

女戦士「……はい」

----その夜-----

弟「一旦今日の旅はここまでにして睡眠を取っておこう。暗くなってきたし、モンスターが出現してもおかしくない」

女戦士「モンスター……?」

弟「あぁ。女戦士は知らないのか。3年前の戦争で投じられた戦力。人間とは違う身体の構造をしていて、生命力が人間と段違いな生き物のことだ」

女戦士「そうなんですか……」

弟「戦争に本格的に巻き込まれた村の人間は知っている。あいつらの殺人衝動の狂気さと異常なまでの生命力を」

女戦士「弟さんはそれに立ち向かったから今ここに----」

弟「いや、俺は何もすることができなかった」

女戦士「??」

弟「俺は何もできず、この神器を持っているのにもかかわらず腰が抜けてしまっていた。そして彼らと国の軍隊によって村は滅ぼされた」

女騎士「そう……だったのですね。……ん?」

弟「どうした」

女戦士「国の軍隊がなぜ自国の村を滅したのですか!?」

弟「おそらく、他国に対するトラップだ」

女戦士「トラップ……?」

弟「工作をするためだ。他国に攻められた、という理由づけをするために自作自演をしたんだろう。聖なる国は領土を広げたがっていたからな。他国と隣り合わせていた俺らの村をわざわざ燃やしたんだろう」

女戦士「そんなことって……」

弟「俺も信じたくはない。だからこうして真実を求めている。その推測も俺の私情が入っているものだからな。……しかし、軍隊に加入していた俺の兄について"悪魔"という単語が出たのには驚いたが……」

女戦士「それってつまり……」

弟「……さぁ。俺にはまだわからない。人間の噂は時に事実とはことなることがあるからな。俺は自分の目で真相を確かめるまで確信はしない。自分の記憶でさえも疑うべきだと思っている」

女戦士「そうですか……」

弟「明日は東の街に到着するだろう。神秘の秘密について知っている人間が逃げないうちにできるだけ早く訪れよう」

女戦士「……はい」

弟「……」

----女戦士は、俺と旅をし始めてから数ヶ月、何を思っているのだろう。俺は兄さんのことを、世界の理のことを知りたい。そして世界を平和に導きたい。それだけだ。彼女は今何を考えているのだろう。

弟「なぁ女戦士」

女戦士「はい?」

弟「俺と共に旅をしている数ヶ月間、何か心境の変化はあったか? 最初の頃とは違う気持ちになっていたりするのか?」

女戦士「いえ、そういうことはありません。今でも世界を救いたいという気持ちは変わりませんし、私が存在する意味を証明したいという気持ちは変わりません」

弟「そうか」

女戦士「弟さんは私を間違った自治体の圧迫から開放し、私が本当に望んでいることを目指していました。あの時に助けていただけなければ今の私はありません」

弟「……ふっ。自ら命を断とうとしていたあのころの女戦士からは想像もつかない発言だな。今の君の目には光が宿っている」

女戦士「そうでしょうか。そうだとすれば弟さんのおかげです」

弟「そんな大層なことをしたつもりはない。ただ、俺と女戦士ののぞみがかなうように努めているだけだ」

女戦士「……ありがとうございます」

----朝----

弟「ふぁあーーあ。おはよう女戦…士……」

----!? 女戦士がいない!? まさか連れ去られた…!?

弟「女戦士!!! どこにいった!?」

女戦士「あ、弟さーん!!」

弟「お、女戦士……」

----なんだ。連れ去られたわけじゃないのか。

黒い男「……」

弟「……?」

----誰だあいつは。

弟「女戦士!! そいつは誰だ!?」

女戦士「あ、なんか道に迷ったみたいで……」

弟「おいお前、何者だ?」

黒い男「道に迷ってしまって……」

弟「道に迷った……? お前どこからきたんだ」

黒い男「……東の街から」

女戦士「困っているみたいですよ」

弟「……今すぐそいつから離れろ!!!!」

女戦士「!?!?」

バッ!!

黒い男「……ッチ」

弟「ありえねぇんだよそんなことは」

女戦士「ど、どういうことですか?!」

弟「とっさにそいつ東の街からきたっていったけど、ありえねぇ。なぜなら、東の街は"世界の地図を司る民族"の街だからだ」

女戦士「!?」

弟「そんなことも知らないのか黒ずくめ。情報収集が足りないようだな。彼らの街に行けば地図が手に入る。それで迷うなんてことはありえないんだよ。……お前どこからきたんだ」

黒い男「……勘の良いガキだ。……俺は暗黒の天界から来た男だ」

弟「暗黒の……天界?」

今日はここまでにしておきます

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