ほたる「白菊ほたるは男の子」【モバマス】 (27)

もし白菊ほたるちゃんが男の子だったらというお話

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ほたる(こんにちは、白菊ほたるです)

ほたる(私はとても不運なアイドルとして現在活動しています)

ほたる(今も猛烈な尿意に襲われ、近くのビルに駆け込みましたが、トイレの全てが空いてなく途方に暮れています)

ほたる「うぅ……ツイてない……」

ほたる(こうなったら仕方ありません。私は最終手段として女子トイレに駆け込みます)

ほたる(個室に入りすっきりした私は、股間についているそれを見てため息をつきます)

ほたる(そう私、いや僕、白菊ほたるは……)

ほたる(ついてるんです)

ほたる(僕、白菊ほたるは男であることを隠してアイドルをやっています)

ほたる(ある朝、事務所に着いた僕は事務所の扉に一枚の張り紙が貼ってあるのを見つけました)

ほたる(そこにはただ一行『倒産しました』と書かれていました)

ほたる(まさに寝耳に水、青天の霹靂、突然のことに僕はこれからどうすればいいか分からなくなってしまいました)

ほたる(そんなときです。今のプロデューサーさんに出会ったのは)

ほたる(プロデューサーさんは途方に暮れていた僕をアイドルにスカウトしてくれました)

ほたる(しかし、事務所で説明を受けプロデューサーさんが勘違いしていると気がつきました)

ほたる(プロデューサーさんは僕のことを女の子だと思っていたのでした)

ほたる(すぐに誤解を解いてスカウトを断ろうとしましたが、プロデューサーさんは言いました)

ほたる(君には女性アイドルの才能がある。女装してアイドルしてみないかと)

ほたる(何言ってんだこの人と思いました)

ほたる(でもその人の目は真剣で、もしも本当に、僕にアイドルの才能があるのなら、その可能性を試してみたいと思いました)

ほたる(そこで、いずれ男性アイドルとしてデビューすることを約束して、期間限定で女装して活動することに決めました)

事務所

裕美・千鶴「「おはようございます」」ガチャ

ほたる「あ、おはよう裕美ちゃん千鶴ちゃん」

ほたる(関裕美さんと松尾千鶴さん。同年代のとてもかわいらしいアイドルです。一緒にGALS BE NEXT STEPというユニットを組んでいるため仲良くさせてもらってます)

ほたる(このユニットにはもう1人メンバーがいまして……)

泰葉「おはようございます」ガチャ

裕美「おはよう」

千鶴「おはよう泰葉ちゃん」

ほたる「……」ビクッ

ほたる(岡崎泰葉さん。小さいときから芸能界にいて、無駄に芸歴の長い僕よりもずっと長く芸能界にいるお姉さん)

ほたる(ここで大変、非常に深刻な問題がありまして……)

ほたる(実はずっと前、つまり僕が普通の男として活動してたときに、一度共演したことがあるのです)

ほたる(幸い泰葉さんは共演したことを覚えてないようですが、話すときどうしてもバレてしまわないかビクビクしてしまい……)

ほたる「お、おはよう、泰葉……ちゃん……」

泰葉「……おはよう、ほたるちゃん」

ほたる(どうしても言葉に詰まってしまうのです)

ほたる(心なしか泰葉ちゃんの対応も冷たい気がします。当然ですよね……)

裕美「もう、ほたるちゃん。まだ泰葉ちゃんに対して硬くなってる」

千鶴「まだ慣れないの?」

泰葉「いいよ2人とも。ほたるちゃんのペースで慣れてったらいいからね」

ほたる(他の2人はそんな僕と泰葉さんのことを心配してくれます。良い子過ぎて早く慣れなければと思うのと同時に、みんなをだましているという罪悪感に苛まれてしまいます)

泰葉「……」

別の日

茄子「ほたるちゃん、今日もよろしくお願いしますね」

ほたる「はい、よろしくお願いします」

ほたる(今日は茄子さんとお仕事です)

ほたる(最近は茄子さんとのユニット『ミス・フォーチュン』としての活動が増えてきました)

ほたる(茄子さんはとても幸運で素敵な大人の女性。不幸な僕と色々な意味で逆な人)

ほたる(ただやっぱり問題もありまして……)

ほたる「……くしゅん」

茄子「あら、大丈夫ですか?」

ほたる「実は……今朝、マフラーをひっかけてしまって……」

茄子「それは大変ですね。じゃあ……茄子お姉さんのマフラーを貸してあげましょう。はいはい、じっとしてて」

ほたる(茄子さんはそう言うと僕に自分のマフラーを巻いてくれました)

ほたる「え、あの……その……。ありがとう、ございます……」

茄子「ほたるちゃんを、寒さから守ってあげますからねー」

ほたる(近い近い! 肌白っ、めっちゃ美人! なんかいい匂いがする……!)

ほたる「~~~!」

茄子「あら、照れちゃってるんですか? もう、かわいいですね~」

ほたる(そう言ってやさしくほほえむ茄子さん)

ほたる(少し……刺激が強すぎます)

ほたる(今日は茄子さんとバラエティの収録です)

ほたる(その休憩時間、僕は他事務所のアイドルの方に話しかけられました)

ほたる(その方は茄子さんと共演している僕を可哀想と言ってきました)

ほたる(どうやら昔、茄子さんと共演してくじで大当たりを引いたり、選択式クイズで全問正解したりする茄子さんに、撮れ高をほとんど持ってかれたようです)

共演アイドル「対して努力もしてないくせに、持って生まれた『幸運』とかでやりたい放題して……。周囲なんて引き立て役か、よくて見世物扱いでしょう?」

ほたる(きっと精一杯やったのに報われず悔しい思いをしたのでしょう。でも……)

ほたる(僕は、ユニットを組んで一緒にレッスンをして、幸運に驕ることなくひたむきに努力する茄子さんを見てきました)

ほたる(だから対して努力もしてないと聞いて、口を出さずにはいられませんでした)

ほたる「確かに茄子さんは幸運で不運な私は見世物扱いかもしれません」

ほたる「ですがアイドルは、誰かを笑顔にするのがお仕事ですから。私の不運を、誰かに笑ってもらえるのなら、きっとその方がいいんです」

ほたる「それに茄子さんは決して『幸運』だけでアイドルをやっているわけではありません。努力して努力して、今の茄子さんがあるんです。」

ほたる「私はそんな茄子さんが好きで、自分の運に言い訳せず一歩一歩進んでいこうと思ってるんです」

共演アイドル「ふうん……。あなた、強い子なのね。ならごめんなさい。つまらないこと聞かせたわ。そのまま頑張れるよう祈ってるわよ」

ほたる(そう言ってその人は立ち去りました。揉め事にならなくてよかったです……)

ほたる(ですが確かに、今のところ撮れ高は茄子さんよりです。後半はもっと頑張らなければ)

茄子「ほたるちゃん……」

ほたる「か、茄子さん……!? もしかして聞こえてました……?」

茄子「はい、ごめんね」

ほたる「えと、その、今のことは気にしないでください……」

茄子「いいんです。ああいうことは言われ慣れているので……」

茄子「それにしてもさっきのほたるちゃん、かっこよかったです♪」

ほたる「かっかっこいい!?」

茄子「ほたるちゃんが男の子だったら恋人にしたいくらいです♪」

ほたる「おとっ!?」

茄子「うふふ、もう、驚きすぎですよ~」

ほたる「そ、そんな、私が、男の子な訳、なななないじゃないですか」

ほたる(びっくりしたー! てっきりバレたのかと思った……)

ほたる(それにしても、茄子さんの恋人……いやいや、冗談で言ったこと何だから真に受けちゃダメダメ)

ほたる(このように少し刺激的で、でも充実したアイドル生活を過ごしていました)

ほたる(こんな生活がいつまでも続けばなあ)

ほたる(でも、それはあっさりと終わりを迎えてしまったのです)

ほたる(それは、茄子さんと2人でダンスの確認をしているときでした)

レッスン室

茄子「今のいい感じでしたね」

ほたる「はい、もう1回合わせてくれますか?」

茄子「いいけど……ほたるちゃん大丈夫? だいぶ休憩してないけど」

ほたる「はい、今の感覚を忘れないようにしたいんで」

ほたる(このときの僕はダンスレッスンで熱が入り、自分に限界が来ていたことに気がつきませんでした)

ほたる(サビの直前、気づいたときにはもう遅く、足がもつれてしまいます)

ほたる(そして、運が悪いことに茄子さんの方に倒れてしまいした)

茄子「きゃっ」

ドシーン

茄子「いたた……ほたるちゃん大丈夫ですか?」

ほたる「は、はい……すみません……」

茄子「……?」モミモミ

ほたる「んっ……」

ほたる(倒れ込む僕と茄子さん)

ほたる(大変まずいことに茄子さんの手が僕のこ、股間に……!)

茄子「え……えっ?」

ほたる(まずいまずいまずいまずい! 触られた絶対バレた! どどど、どうしよう!)


茄子「ほたる……ちゃんって……」

茄子「男の子……なんですか?」

ほたる(ああ、終わった)

ほたる(積み上げてきたものが一瞬で崩壊していくのを感じる)

ほたる(もう僕はアイドルをやっていけない)

ほたる(いや、そんなことより)

ほたる(今までこんな僕に優しく接してくれたみんな)

ほたる(そんなみんなをだまして、裏切り、悲しませてしまった)

ほたる(そのことが何よりも、辛い)

ほたる「グズッ、ごべんなさい……ごめんなさい……」

茄子「ほたるちゃん……」

ほたる(泣く資格なんてないのに……僕は茄子さんに謝り続けた)

茄子「ほたるちゃん、落ち着いて。顔、上げてください」

ほたる「はい……」

茄子「えっと、まず確認したいんですけど……ほたるちゃんは、男の子なんですか?」

ほたる「はい……」

茄子「ついてる?」

ほたる「ついてます……」

茄子「ツイてないのに?」

ほたる「ごめんなさい……」

茄子「なんで女装してアイドルしてるのか……聞かせてくれますか?」

ほたる「はい……」

ほたる(僕は話し始めました。前の事務所が倒産したこと。プロデューサーさんに女装アイドルとしてスカウトされたこと。アイドルを続けたいがためにスカウトを受けたこと)

ほたる(茄子さんは黙って僕の話を最後まで聞いてくれました)

茄子「そんなことがあったんですか……」

ほたる「はい……」

茄子「ほたるちゃんはこれからどうするつもりですか?」

ほたる「みんなに正直に話して、自首しようと思います」

茄子「じ、自首ですか……」

ほたる「はい……」

茄子「アイドルを続ける気はないんですか?」

ほたる「はい。そんな資格……僕にはありません」

茄子「でも本当にそれでいいんでしょうか?」

ほたる「え?」

茄子「もしこのままほたるちゃんが男の子だと世間にバレたらどうなるでしょう?」

ほたる「えっと……炎上して、家の窓を割られたり、塀に落書きされたりとか……?」

茄子「それもあるかもしれませんが、事務所にも避難が殺到することでしょう。もしかしたら最悪の場合……」

ほたる「倒産……!?」

茄子「あくまで、可能性ですよ」

ほたる「そ、そんな……僕、どうしたら……」

茄子「このまま隠し通せばいいんですよ」

ほたる「え?」

茄子「いままで通り女の子としてアイドルをしていけば、誰も傷つかないし、平和じゃないですか?」

ほたる「でも、茄子さんにバレちゃいましたし……」

茄子「ほたるちゃんが私の言うことを聞いてくれるのでしたら、今日あったこと誰にも言いませんよ」

ほたる「本当ですか! 僕、何でもします!」

茄子「本当に? 何でもしてくれるの?」

ほたる「は、はい……!」

茄子「じゃあ、今からウチ来てくれますか?」

ほたる「へ? それだけですか?」

茄子「もう、ほたるちゃん。何言われると思ったんですか?」

ほたる「ご、ごめんなさい。てっきりもっと大変なこと要求されるのかと……」

茄子「そんなことしませんよ。ただ、これからのことをじっくり話そうと思っただけですよ」

ほたる「そ、そうですよね、ごめんなさい……」

茄子「あとプロデューサーさんにはバレたことは秘密にしておいてください」

ほたる「え、何でですか?」

茄子「女装を続けるのは難しいと判断してほたるちゃんのお仕事が激減、その後いろいろあって、最悪倒産します」

ほたる「な、なるほど。さすが茄子さんです」

茄子「それほどでも~」

ほたる「で、では寮に帰りが遅くなるかもしれないと連絡を……」

茄子「寮の方には私から連絡しておきますね」

ほたる「え、あ、ありがとうございます。何から何まで……」

茄子「いえいえ♪ では行きましょうか」

ほたる(女装がバレてしまったときは何もかも終わったと思ったけど……)

ほたる(バレたのが茄子さんで運が良かった)

ほたる(僕はそう思うのでした)

終わりです。ありがとうございました
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この後

茄子「食べちゃった」ペロッ

ほたる「シクシクシクシク(ry

ってなるのですな

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