ほたる「白菊ほたるは男の子である」【モバマス】 (31)

もし白菊ほたるちゃんが男の子だったらというお話

前作
ほたる「白菊ほたるは男の子」【モバマス】 - SSまとめ速報
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事務所

愛海「ほたるちゃーん! お山登らせて~!!!」

ほたる(こんにちは、白菊ほたるです。私は現在、不運なアイドルとして活動しています)

ほたる「愛海ちゃん、おはようございます」ヒョイ

愛海「ぐべっ!」

ほたる(床に這いつくばっているのは棟方愛海さん。2つのお団子が特徴のキュートなアイドルですが、女の子のやわらかい部分が大好きなけしからん人です)

愛海「つれないな~、初めて会ったときは受け入れてくれたのに」

ほたる「受け入れてません」

愛海「女の子同士なら普通のことだよ~」

ほたる「でもダメです」

ほたる(そう、ダメなんです。なぜならバレてしまうから……)

ほたる(白菊ほたるが男であると)

茄子「おはようございます」ガチャ

ほたる「茄子さん、おはようございます」

ほたる(鷹富士茄子さん。とても幸運な素敵な女性で、僕が女装していることを知っている唯一のアイドルです)

ほたる(女装がバレたときはこの世の終わりかと思いましたが、茄子さんは女装を受け入れてくれ、なんとバレないよう協力してくれると提案してくれたのです)

愛海「茄子さん聞いてよ~。ほたるちゃんがお山を登らせてくれないの!」

茄子「あらあら、じゃあ愛海ちゃん私のお山を登りますか~」

愛海「わーい、茄子さん大好き!」

ほたる(今もこのように愛海ちゃんの標的を僕からそらしてくれます)

愛海「うーん、ふかふか……」

ほたる(ふかふかなのか……)

茄子「ほたるちゃんも気になりますか?」

ほたる「え! いや……」

愛海「ほたるちゃんも来なよ~」

ほたる「じゃ、じゃあ私も……」

泰葉「何してるんですか?」

ほたる「ひぐっ!」

ほたる(いつの間にか来ていた泰葉さんが後ろから声をかけてきました)

ほたる(岡崎泰葉さん。芸歴の長いお姉さんで、男として活動してたときに共演したことがあります)

ほたる(幸い泰葉さんは共演したことを覚えてないようですが、男とバレないかビクビクしてしまい、結果ちょっと冷たく接されてしまいます。くすん)

ほたる(この事務所で泰葉さんと再開したときはびっくりしたなあ……)

1年前

ほたる(女装アイドルになって1週間が経ちました)

ほたる(まだ挨拶してないアイドルも多く、男とバレないかひやひやしてしまいます)

ほたる「お、おはようございます」ガチャ

泰葉「おはようございます。あ、新しいアイドルの子?」

ほたる「」

ほたる(僕は前からアイドル事務所に所属していましたが、そのほとんどがレッスンで、お仕事の方は片手で数えるほどしかありませんでした)

ほたる(そのため、共演した方々の顔と名前はできる限り覚えるようにしていました)

ほたる(なので目の前にいる女の子が、以前に共演した岡崎泰葉さんであるとすぐに気がついてしまいました)

ほたる「ははは、はじめまして、ししし、白菊ほたるです……」

泰葉「白菊……ほたる……」

ほたる(この反応は……どっちだ?)

ほたる「はじめまして!」

ほたる(追い打ちではじめましてと、初対面であることを強調します)

泰葉「……うん、はじめまして。私は岡崎泰葉です。よろしくね、ほたるちゃん」ニコ

ほたる(ほっ)

ほたる(どうやら泰葉ちゃんは共演したことを覚えてないようです。よかった……)

ほたる(しかし後日、プロデューサーさんは僕と泰葉さんを同じユニット『GALS BE NEXT STEP』通称GBNSのメンバーに入れたのです)

ほたる(泰葉さんと共演したことがあると伝えたのにどういうことかとプロデューサーさんに詰め寄りましたが、彼は『GBNSはこのメンバー以外ありえない』と聞く耳を持ちません)

ほたる(彼にはガシャで天井までピックアップキャラが出ない呪いをかけておきました)

ほたる(今日はそんなGBNSのみんなと茄子さんを加えたメンバーでお仕事です)

ほたる(とあるキャンプ場でのキャンプの様子を撮影するといった企画です)

茄子「ではまず今日のお昼ご飯のカレーを作っていきますよ~。まずは材料が向こうのテントにあるので運びましょう」

GBNS「「「「はい!」」」」

裕美「にんじん!」

千鶴「じゃがいも!」

泰葉「たまねぎ!」

ほたる「お米!」

茄子「お米は重たいので2人で運びましょうね~」

ほたる「あ、いえ、大丈夫です。このくらい」ヒョイ

裕美「わ~」

千鶴「ほたるちゃん、意外と力持ちだね」

ほたる「あ」

ほたる(しまったー! せっかく茄子さんが2人で運ぶように言ってくれたのに、バカバカ!)

ほたる「あ、あ~やっぱり重いな~。茄子さん手伝ってくれますか」

茄子「は、はい。無理しちゃいけませんよ」

ほたる(哀れむような目で見てくる茄子さん。そんな目で見ないでください……)

茄子「それでは手を合わせて……いただきます!」

GBNS「「「「いただきます」」」」

ほたる(いろいろありましたが、なんとかカレーが完成しました)

ほたる(みんなと作ったカレーの味は格別で、あっという間になくなってしまいます)

ほたる「おかわ……」

裕美「ふぅ……もうおなかいっぱい……」

千鶴「おいしいけど、たくさん作り過ぎちゃったね」

ほたる「……おかわりはまた今度にしよう」

ほたる(そんな午後の撮影の途中、僕はとてつもない空腹感に襲われていました)

ほたる「お、おなかすいた……」

ほたる(カレーは本当においしかったのですが……量が少なかったのです)

ほたる(でも他のみんなは満足そうで……女の子は小食なんだなあと感じさせられます)

裕美「ほたるちゃん、大丈夫?」

ほたる「だ、大丈夫です」

ほたる(おなかはすいていますが、仕事に支障をきしてはいけません)

ほたる(気合いで空腹感を抑えながら、なんとか撮影を乗り切りました)

ほたる(休憩時間、僕は茄子さんに手招きされ人目のない木陰にやってきました)

ほたる「どうしたんですか、茄子さん」

茄子「ほたるちゃん、おなかすいてるでしょ」

ほたる「ば、バレちゃってましたか……」

茄子「男の子だから足りませんでしたよね。ということで……はい、どうぞ」

ほたる(そう言って茄子さんはホットドックを差し出してくれました。女神かな?)

ほたる「ありがとうございます!」

茄子「はい、あーん」

ほたる「へ?」

茄子「あーんですよ、あーん」

ほたる「あ、あーん」

ほたる(戸惑いながら開けた口に茄子さんがホットドッグを突っ込みます)

茄子「おいしいですか?」

ほたる「フガフガ」コクコク

泰葉「ほたるちゃん?」

ほたる「フガッ!?」

ほたる(いつの間にかやってきた泰葉ちゃんが怪訝そうな声を出します)

ほたる「……ゴクン。泰葉ちゃん、どうしたの?」

泰葉「ほたるちゃんがこそこそと移動するのが見えたからなにしてるのかなって」

ほたる「えっと、おなかがすいちゃって隠れてパンを食べてました……」

茄子「ほたるちゃん朝ご飯食べてなくて、お昼ご飯じゃ足りなかったみたいなんです」

泰葉「そう、ちゃんと朝ご飯食べなきゃダメだよ」

ほたる「はい……」

茄子「あれ、泰葉ちゃんもパン持ってきてたんですか?」

泰葉「あ、えっと、これは……」

ほたる「泰葉ちゃんもおなかすいたの?」

泰葉「違うから! もう!」

ほたる(怒った泰葉ちゃんはぷりぷりしながら撮影場所に戻ってしまいました)

茄子「も~ほたるちゃん。デリカシーがないですよ」

ほたる(女心というのは難しいです)

ほたる(撮影の後半は、カヌーで遊んでいる風景を撮影するというものでした)

ほたる(僕は茄子さんと組もうとしましたが、裕美ちゃんと千鶴ちゃんと茄子さんが真っ先にペアを組んでしまったため、必然的に僕と泰葉さんがペアになってしまいました)

泰葉「みんなに気を使わせちゃったね」

ほたる「そうですね……」

ほたる(きっと僕と泰葉さんが仲良くなるように気を使ったんでしょう)

ほたる(僕としてもこのままではよくないと思っていたので、いい機会なのかもしれません)

ほたる「あぁ!」

ほたる(そのときです。湖を飛んでいたカモメがカヌーに取り付けてあったビデオカメラを咥えて飛んでいってしまいました)

ほたる「とほほ……これじゃあ撮影にならないね……」

泰葉「ま、まあこれはこれである意味おいしいかも……。それに好都合だし」

ほたる「え、泰葉さん……きゃっ!」

ほたる(突然泰葉さんが僕の胸元のピンマイクをとり、なんと電源を切ってしまいました。これでは映像どころか、音さえ拾えません)

ほたる「な、なにを……」

泰葉「ちょっと聞かれたくないことがあってね」

ほたる「だ、大胆な……」

泰葉「ほたるちゃん、アイドル楽しい?」

ほたる「え?」

ほたる(どんなことを聞かれるのだろうと思いましたが、思ってたより普通のことで拍子抜けしてしまいました)

ほたる「もちろん、楽しいですよ」

泰葉「一生懸命やっても機材トラブルや悪天候で仕事が上手くいかなくても?」

ほたる「はい。アイドルになっていろんな人を笑顔にするのが私の夢ですから。トラブルなんかに負けません」

ほたる(泰葉さんが真剣な雰囲気で聞くので僕も本心で答えます)

泰葉「そう……」

ほたる(考え込むような仕草をする泰葉さん。泰葉さんの満足いく回答ができたらいいんだけど……)

泰葉「よかった」

ほたる「ほっ」

ほたる(にっこりと笑う泰葉さん。どうやら満足してくれたみたいです)

泰葉「昔から変わってなくて安心したな、ほたる君」

ほたる「え……」

ほたる(その後、全ての撮影が終わり、本日泊まる旅館に戻ります)

ほたる(ね、眠れない……)

ほたる(みんなでおしゃべりをして寝静まった深夜。僕はまったく眠れないでいました)

ほたる(腕に絡みついて寝ている茄子さんも原因のひとつですが、一番の原因はカヌーでの泰葉さんとの会話)

ほたる「泰葉さんは……僕が男だって気づいていた?」

ほたる(聞きたいことが色々ありましたが、泰葉さんがピンマイクのスイッチを入れてしまったため聞き出せず、その後も2人で話す機会が得られないでいました)

ほたる(……?)

ほたる(そのときです。誰かが起き上がる音がしました)

ほたる(薄目で見てみると、それは泰葉さんで、そのまま部屋を出てしまいました)

ほたる「トイレかな……?」

ほたる(しかし、しばらくすると外で足音がして、窓から覗くとなんと泰葉さんの姿がありました)

ほたる(え、え? 泰葉さん……!?)

ほたる(いくら日本とはいえ深夜に1人で外出は危険です。どうしようか迷った末、僕は泰葉さんを追いかけることにしました)

ほたる(泰葉さんは撮影があった湖のほとりでぴたりと止まりました)

ほたる(何してるんだろう?)

ほたる(忘れ物かなと思ったそのとき、足下をよく見てなく、小枝を踏んづけてしまいました)

泰葉「誰……?」

ほたる「あ」

ほたる(音に気づいた泰葉さんが振り向き、木から覗いてた僕と目が合いました)

泰葉「ほたるちゃん?」

ほたる「こ、こんばんはー……」

泰葉「どうしたの、こんな時間に」

ほたる「泰葉ちゃんが外に出てるのが見えて……」

泰葉「ああ、なるほどね……」

ほたる「何をしてたんですか?」

泰葉「星を見ようとしてたの」

ほたる「星?」

ほたる(上を見て空を見上げますが、分厚い雲に覆われて星どころか夜空さえ見えません)

泰葉「ここ、綺麗な星空が見えることで有名なの。でも見ての通りあいにくの天気でね。夜の散歩を楽しんでたの」

ほたる「私が言うのもあれですけど、危険ですよ」

泰葉「ふふっ、そうだね」

ほたる(ふとここで、今泰葉さんと二人きりであることに気がつきました)

ほたる「あの、泰葉さん……」

ポツポツ……

ほたる「あ」

泰葉「雨……だね」

ザアアアア

ほたる「わわ、強くなってきました」

泰葉「一旦雨宿りできるところに避難しよう!」

ほたる(泰葉さんと僕は近くのプレハブ小屋に駆け込みました)

泰葉「ふう、まさかこんな嵐が来るなんて……天気予報ではなにもなかったんだけどなぁ」

ほたる「うぅ……ツイてないです……」

泰葉「ついてるくせに」

ほたる「タ、タオルとかないか探してきますね」

ほたる「はい、泰葉さん」

泰葉「ありがとう」

ほたる(泰葉さんはタオルを受け取ると、なんとその場で服を脱ぎ始めました)

ほたる「わわわ!」

泰葉「……あんまりこっち見ないでくれる?」

ほたる「そ、そうですよね、ごめんなさい」

ほたる(僕はあわてて後ろを向き、服を脱いで濡れた体を拭きます)

ほたる(濡れた服をハンガーにかけ、少しでも乾くのを待ちます)

泰葉「寒いね」

ほたる「はい……」

ほたる(最近あたたかくなってきたとはいえ、夜の雨の日はまだ肌寒いです)

泰葉「ほたるちゃん、毛布があったからこれ使って」

ほたる「あ、ありがとうございます」

ほたる(僕は毛布を受け取ろうとしましたが、毛布が1つしかないことに気がつきました)

ほたる「その、泰葉さんの分は」

泰葉「私はいいよ。年上だし」

ほたる「だ、ダメですよそんな」

泰葉「じゃあ一緒に使おう」

ほたる「へ?」

ほたる(そういうと泰葉さんは僕の隣に座り、毛布をかけます)

泰葉「こうやってくっつくと温かいね」

ほたる「そそそ、そうですね」

ほたる(確かに温かいけど……下着姿の泰葉さんが密着して非常にまずいです)

泰葉「そういえば、前にもこんなことがあったなぁ」

ほたる「え?」

泰葉「ずっと前、私がアイドルになる前にね、こんなことがあったの」

ほたる(そういうと泰葉さんはポツポツと語り始めました)

4年前

泰葉「本日はよろしくお願いします」

スタッフ「はい、泰葉ちゃんよろしくね」

泰葉(今日は公園で子役の子と写真撮影)

泰葉(共演する子役の子の事務所はあまりいい噂を聞きません)

泰葉(でも関係ありません。私は与えられた仕事を完璧にこなすだけです)

泰葉(撮影は淡々と進んでいきました)

泰葉(しかし途中、急に天候が変わり私たちは大雨に降られ、慌てて雨宿りできるスペースに移動します)

泰葉(マネージャーさんからタオルと毛布をもらったので、濡れた体を拭き毛布にくるまりながら撮影再開を待ちます)

泰葉(ふと辺りを見回すと、共演した男の子が濡れたまま寒そうに立っているのが見えました。確か名前は……白菊ほたる君だったかな)

泰葉「キミ、風邪引いちゃうよ」

ほたる「ごめんなさい……タオル持ってなくて……」

泰葉(なぜだかほたる君はタオルをもらっていないようでした)

泰葉「私が使っちゃったタオルだけど、これ使って」

ほたる「ありがとう、お姉ちゃん!」

泰葉(か、かわいい!)

泰葉(雨はしばらく続きそうで、私とほたる君は毛布にくるまりながら撮影再開を待ちます)

ほたる「すみません、僕のせいで……」

泰葉「ん? どういうこと?」

泰葉(ほたる君の話によると、ほたる君がお仕事をするときは必ずと言っていい程トラブルが起こるそうです。今回も多分自分のせいで、事務所の人に迷惑がられていると話してくれました)

泰葉(ほたる君は確かに不幸体質なのかもしれませんが、機材トラブルも悪天候も事前チェックを怠ったスタッフ側の問題だと思います)

泰葉(それをこんな小さな男の子のせいにするほたる君の事務所は、噂通りあまり良いところではないのかもしれません)

泰葉「ほたる君はどうしてこの仕事を続けてるの?」

泰葉(純粋に疑問を持ちました。そんな環境でどうして芸能界に居続けるかを)

ほたる「お母さんや友達が笑顔になるから! たくさんの人を笑顔にするのが夢なんです!」

泰葉(そう話すほたる君はキラキラと輝いていて、私にはとてもまぶしいものでした)

泰葉(私はふと、自分のことを考えます)

泰葉(私は何でモデルを始めたんだっけ。自分からやりたいって言ったのかもしれないし、親に入れさせられたからかもしれない)

泰葉(ただ、きっかけはどうであれ、続けていたのはモデルのお仕事が楽しかったからだ)

泰葉(でも時が経つにつれ、芸能界が華やかなだけの場所でないと理解して、完璧であるために、笑顔を『作る』ようになっていった)

泰葉「ほたる君、この先どんなことあっても、その気持ちを忘れないでね」

ほたる「うん!」

泰葉(うなずくほたる君は私とは違う自然な笑顔で、この笑顔を守りたい。私はそう思いました)

ほたる(泰葉さんの話は、僕と泰葉さんが共演したときの出来事でした)

泰葉「覚えてる? ……ほたる君」

ほたる「……はい」

泰葉「よかった」

ほたる「いつ……」

泰葉「ん?」

ほたる「いつ……思い出したんですか、僕が男であること」

泰葉「事務所で初めて会ったときからだよ」

ほたる「え? でもそんな風には見えませんでしたけど……」

泰葉「だってほたる君女装してたんだもん。何か深い事情があると思って初対面の振りをしてたんだよ」

ほたる「な、なるほど」

泰葉「久しぶりの再会で私うれしかったのに、ほたる君私と話すときだけビクビクしちゃうし。傷ついたな~」

ほたる「ご、ごめんなさい」

泰葉「ほたる君ってば、女装しているのをいいことに茄子さんと仲良くしちゃって」

ほたる「あ、あれは茄子さんの方から……」

泰葉「ん? この間ほたる君の方から茄子さんをワキワキしようとしてた風に見えたけど」

ほたる「ごめんなさい」

泰葉「まあいいけど。それじゃあ、聞かせてくれる? なんで女装してアイドルしてるのか」

ほたる「はい……」

ほたる(前の事務所が倒産したこと、プロデューサーさんに拾われたこと、茄子さんにバレたこと、僕は一つずつ説明しました)

泰葉「茄子さん知ってたの!?」

ほたる「はい」

泰葉「知ってて茄子さんあんなことしてたんだ……」

ほたる「あの、泰葉さん……」

泰葉「なに?」

ほたる「その、これからも秘密にしてもらえますか? 僕が男であること」

泰葉「うーん、どうしようかなー」

ほたる「お願いします、何でもしますから!」

泰葉「何でもか~、じゃあ考えておくね」

ほたる「あ、雨やみましたね」

泰葉「本当だ。いつのまに」

ほたる(気がつくと外から雨の音がしなくなっていました)

ほたる(僕と泰葉さんはまだ乾ききってない服を着直して外に出ます)

泰葉「わあ、ほたる君、空見て!」

ほたる「空……わあ……!」

ほたる(強風が雲を飛ばしてくれたのでしょうか。空にはたくさんの星が輝いていました)

ほたる(そして湖に、その星空が綺麗に反射して幻想的な景色を創り出しています)

泰葉「綺麗……」

ほたる「こんな景色を見れるなんて……泰葉さんを追いかけてよかったです」

泰葉「呼び方」

ほたる「え?」

泰葉「呼び方。さん付け禁止、あと敬語もダメね」

ほたる「いや、でも、やっぱりお世話になった先輩ですし……」

泰葉「何でもしてくれるんでしょ?」

ほたる「は、はい……泰葉ちゃん」

泰葉「うん、じゃあ早く宿に戻ろう」

ほたる(泰葉さんは手をこちらに差し出します。握手かな?)

ほたる「えっと、これからもよろしくお願いします?」

泰葉「それもあるけど違うよ。こんな暗い夜道を女の子1人で歩かせるつもり? ほたる君エスコートしてね」

ほたる(泰葉ちゃん1人でここまで来たのに……)

ほたる(そんなこと言うとまた怒られそうなので、僕は黙って泰葉ちゃんの手を取り宿に戻るのでした)

別の日 事務所

ほたる「おはようございます……」

茄子「あら、ほたるちゃん。疲れてますか?」

ほたる「はい。実は昨日遅くまで宿題をやっていまして……」

茄子「あらあら、じゃあ少し横になってはどうです?」

ほたる「そうしますかね……」

茄子「ではどうぞ♪」

ほたる「へ?」

ほたる(茄子さんは正座になって自分のふとももをポンポンたたきます。これはもしや……)

茄子「ひざまくらですよ~」

ほたる(茄子さんのひざまくら、色々御利益がありそうで大変魅力的です。僕は言われるがまま茄子さんのもとへ行き……)

泰葉「ほたるちゃん?」

ほたる「ぴぃ!」

ほたる(泰葉ちゃんに止められてしまいました)

泰葉「もう茄子さん。ほたるちゃんに変なことしないでください」

茄子「ほたるちゃんが眠そうだからひざまくらしてあげようと思っただけですよ~」

泰葉「そうなの?」

ほたる「はい……」

泰葉「じゃあ、お姉ちゃんがひざまくらしてあげるね」

ほたる「ほ?」

ほたる(そういうと泰葉さんは正座し、ふとももに僕の頭を乗っけます)

茄子「あ、ずるいですよ~。私に変わってください!」

泰葉「茄子さんから邪な気配がするのでダメです。ほたるちゃんはお姉ちゃんが守ります」

茄子「お姉ちゃんってどういうことですか~!」

ほたる(なんか茄子さんと泰葉ちゃんの間で火花が散っているような……)

ほたる(そんなことを考えながら、僕は眠りにつくのでした)

終わりです。ありがとうございました
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