いろは「……ういが帰ってきたら、ういに焼いてあげたかったので」

やちよ「帰ってきた家族のために焼いてあげたかったから」

いろは「はい」

やちよ「……成る程」

やちよ「そういう理由があったのね」

いろは「はい」

やちよ「でもちょっと待って」

いろは「はい」

やちよ「帰ってきた家族のために焼いてあげたいという気持ちはわかるわ」

いろは「はい」

やちよ「でもそうしたら、私達だって同じ屋根の下で暮らして大分経つでしょう？」

いろは「はい」

やちよ「これだけ長い期間、寝食を共にして、且つ魔法少女同士という特別な関係を持っているのだし」

やちよ「これはもう、もう一つの家族と言っても良いんじゃないかしら」

いろは「どうでしょう」

やちよ「もう一つの家族なんだから、私にチョコケーキぐらい焼いてくれても良いと思うんだけど」

いろは「えっと……」

やちよ「どう？」

いろは「あの……」

やちよ「どう？」

いろは「その……」

やちよ「どう？」

いろは「……」

やちよ「……」

いろは「……やちよさんにチョコケーキを焼くとなると、さなちゃんやフェリシアちゃん、鶴乃ちゃんにも焼かないといけなくて」

いろは「やちよさんだけ特別扱いする訳にはいかないですし、流石にその人数分を焼くのは大変なので」

やちよ「私だけ特別扱いする訳にはいかないから」

いろは「はい」

やちよ「……成る程」

やちよ「そういう理由があったのね」

いろは「はい」

やちよ「でもちょっと待って」

いろは「はい」

やちよ「私だけを特別扱いしちゃいけないという気持ちはわかるわ」

いろは「はい」

やちよ「でも『マギアレコード』のOPムービーを見てもらえる？」

いろは「はい」

やちよ「OPムービーには鶴乃もフェリシアも二葉さんも映っているわね」

いろは「はい」

やちよ「でもOPムービーの最後で、いろはは私とだけ手を繋いでいるわね」

いろは「はい」

やちよ「鶴乃もフェリシアも二葉さんもいるのに、私とだけ手を繋いでいるということは」

やちよ「これはもう、私にだけ特別な感情を抱いているとと言っても良いんじゃないかしら」

いろは「どうでしょう」

やちよ「私にだけ特別な感情を抱いているんだから、私にだけチョコケーキぐらい焼いてくれても良いと思うんだけど」

いろは「えっと……」

やちよ「どう？」

いろは「あの……」

やちよ「どう？」

いろは「その……」

やちよ「どう？」

いろは「……」

やちよ「……」

いろは「……あの、聞いても良いですか？」

やちよ「何かしら」

いろは「その……やちよさんは、欲しいんですか？」

やちよ「何を？」

いろは「チョコケーキ」

やちよ「誰の？」

いろは「私の」

やちよ「……」

いろは「……」

やちよ「……答える必要はないわ」

いろは「えぇ……」

やちよ「……逆に聞いてもいいかしら」

いろは「何ですか？」

やちよ「いろははあげたくないの？」

いろは「何をですか？」

やちよ「チョコケーキ」

いろは「誰にですか？」

やちよ「私に」

いろは「……」

やちよ「……」

いろは「えっと……それは、その……」

やちよ「……そう……」ｼｭﾝ

いろは「あっ」

いいぞ、もっとやれ