【咲】和「puppy love」【京太郎】 (34)

京太郎「清澄高校麻雀部黎明」【咲】
京太郎「清澄高校麻雀部黎明」【咲】 - SSまとめ速報
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上記のifみたいな物です。
和編と言っていいものやら

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 彼と出会ったのは偶然なのかも知れません。




 それでも、私はあの日の出会いを運命だと信じたいです。

 中学時代からの親友であるゆーき―――片岡優希―――が、
「タコスを補充してくるからのどちゃんは先に行ってくれ。」
と、私を置いて食堂に向かってしまったので、麻雀部を探すことにしました。


 ですが、中々麻雀部は見つけることができませんでした。
 探している最中に私に声をかけてくる男子生徒しかいませんでした。
 「麻雀部に入ろうと思っているので」と言っても諦めません。

 「まぁまぁ、話しだけでも」と食い下がってきます。

 
 その目は私ではなく、身体を見ている目でした。
 正直な所、中学時代からそういった目で見られることは少なくありません。

 ですが、慣れることでもないので人が来ないような場所、所謂旧校舎付近に逃げることにしたのです。






其処で、王子様と出会ったのです。




 私に声を掛けてきてくれたのは、陽の光を浴びキラキラと輝く黄金色をした髪の毛を持ち、
 身長が程よい高さの何処か幼さをもった男子生徒でした。


 「麻雀部の部室を探してるんだろ?案内するから付いてきてくれ。」

 そう言うと手を差し出しニッコリと素敵な笑顔を浮かべていたのです。

 

 これで恋に落ちない女性はヒトではありませんね。えぇ。
 
 かく言う私も、一目惚れなど幻想だと思っていました。
 する筈がないと思っていましたが。

 誰かが恋は理屈ではないと仰ってましたが、その通りでした。



 「そう言えば自己紹介がマダだったな、俺は須賀京太郎。1-Aだ。宜しくなッ!」

 彼は、元気に自己紹介をしてくれました。

 名前は須賀京太郎というのですね。素晴らしい名前だ。と噛み締めていました。

 「私は、原村和と言います。1-Bに在籍しています。」

 「知ってる。男子の中じゃ有名だしな。可愛いって。」

 「そうですか。一応お礼を言うべきなのでしょうか?」

 「別に良いって。」
 
 「和は麻雀部に入部するのか?」

 「何故それを?」

 「悪気があったわけじゃなかったんだけど、男子に言い寄られてる時に『麻雀部』って聞こえたからさ。」

 「そうなのですか。えぇ、麻雀部に入部しようと思っています。」

 なんということはない会話をする時間が流れます。
 こんなにも時間は速く流れるものなのでしょうか?
 
 楽しい時間はあっという間に過ぎるといいますが、まさにこの事を指すのでしょう。


 会話の途中、偶に胸に視線が行くこともありますが。

  
 それでも、あれほど苦手で慣れなかった視線でしたが、彼からの視線は苦になりませんでした。


 旧校舎のとある一室に到着しました。
 麻雀部という標識はありますが、本当に麻雀部はここにあるのでしょうか?

 「部長!入部希望者でっす!」

 「良くやったわ!須賀くん!ご褒美にお姉さんが抱擁してあげるわ。」

 「結構です。其れをダシに使われたくないんで。」

 「何よぅ。素直じゃないわね~。」


 中に居たのは前日、入学式で議会長挨拶を行った3年生の先輩。
 須賀君は、この先輩と仲が宜しいみたいです。

 入部してまだ数日しか経っていないと聞きましたが。
 須賀君だからこそなせる業なのか、眼の前にいる先輩が親しみやすいのでしょうか。
 
 「改めて歓迎するわ。盛大にね。」

 「何もないですけどね。」

 「そこ、煩い。私の顔は覚えているかしら?清澄高校の生徒議会長と麻雀部の部長をしている竹井久よ。これからよろしくね♪」

 「はい。此方こそ宜しくお願いします。1-Bの原村和です。友人がもう1人入部すると思うので揃ってお願いします。」

 「本当に?いや~昨年のミドル覇者が入部してくれるだけじゃなくてもう1人入ってくれるなんて凄いわね~」


 私と部長のやり取りを須賀君は黙って見ています。
 何故か嬉しそうにしていたので、自分もそんな彼を見て思わず笑みが零れてしまいました。




 その日は、後からやってきたゆーきとで宅を囲みました。

 須賀君は麻雀をやったことがないらしいので、部長が教えながら打っていました。

 距離が近すぎるような気がしないでもありません。
 羨ましいです。



 その日の活動は終わり。
 帰路の途中、ゆーきが前触れもなく話題を振ってきました。

「のどちゃんは、京太郎のどこに惚れんたんだじぇ?」

「なっ、何を言ってるんですか!?ゆーき!そんな事は……」

「いやいや、短くない付き合いだからな、何となく今日の様子が可笑しいなぁと思ったんだけど、まさか本当だったとは……」

「カマをかけましたね、ゆーき。」

「いやぁ、京太郎のこと見てるというか、意識してるなぁって思ってたけど。まさか、本当だったとは。」

ケラケラと笑うゆーき。私としては堪ったものではないです、はい。
というか、何故そう思ったのでしょうか?

「なんで分かったのか?って言う顔してるじぇ。のどちゃん。」

顔に出ていたでしょうか?出ていないと思うのですが……

「他の奴なら気付かないかもしれないけど、嫁の表情の変化に気付くじぇ!」

「嫁じゃないです。」

「そこじゃないじょ。まぁ、私にもできるサポートがあったらしてくじぇ。友達だからなッ!」

と、意気込んでるゆーきを尻目に歩を進めます。
転校が多かったので誰かと付き合ったことも、好きになったこともない私です。

恋愛初心者の私ではどうアピールすれば良いのか、アプローチの仕方もわかりません。

ゆーきがサポートしてくれるとは言いますが、あの、ちょっと、アレですし。
不安です。

それから数日は何も発展はありませんでした。


須賀君の周りには誰かしらがいました。
部活中では、まこさんや部長が、麻雀の教養をしていました。


私も教えたいという感情が湧き出てきます。

その時に色々な所が触れても可笑しくはないと思います。

故意ではなく事故なので、何も問題はありません。

えぇ、ありませんとも。



ですがその日は、ゆーきが良いアシストをしてくれました。

タコスを学食まで買ってきて欲しいと須賀君に頼んだのです。


ここが好機だと思い、一緒に買いに行くことを提案しました。

結果は良好でした。ゆーきは笑顔だったかもしれません。



 須賀君の視線が胸に行ってるのが分かります。
 須賀君からの視線は嫌いではありませんが、やはり、私自身を見て貰いたいのです。

「須賀君、女の子は思っているよりも視線に敏感です。気をつけてください。」


「あー。悪い、和。こう、思わずというか、何というか。これからは気をつける。」
「いえ、次から気をつけて頂ければ。」

 冷たかったでしょうか?それとも、強く当たりすぎたでしょうか?

「そういえば、和も優希も麻雀やったことあるんだな。」
「そうですね。ゆーきと出会えたのも麻雀のお陰です。」
「そうなのか?」
「はい。中学二年生の時に此方に引っ越して来まして、その時に仲良くなったのがゆーきと先輩が一人います。」

ゆーきと煌先輩と出会えたことは私の誇りでもあります。
私に話しかけてくれたゆーき。奈良にいた頃の親友の小さかった頃を思い出します。
煌先輩は、諦めない、折れない心を持っていました。尊敬する先輩です。

「へぇー、そうなのか。」
「はい。」
「それにしても、和って麻雀強いよな。家に雀卓あったりするのか」
「えぇ。ありますよ。」

といっても、あまり高いものではありませんが。

「マジか!?やっぱり、必要なのか?家でも勉強するには。」
「そういう訳でもありませんよ。今ではアプリで配信されていたりしますし。」
「そうなのか!和はどれをやってるんだ?」
「それは……」

須賀君との何気ない日常会話でも、楽しく思えるのです。
こんな幸せな時間がもっともっと長く続けばなと思うのは、悪いことなのでしょうか?





あの幸せな時間を過ごせた日から数日。

宮永さんという、幼馴染―――休み時間近くにいた―――の女子生徒を須賀君が麻雀部に連れてきました。

三連続±0には驚かされましたが、麻雀が好きじゃない発言等、好きに成れそうにありません。


あと、休み時間毎に須賀君の近くに居すぎです。




「まだ、雨が止みそうにないですねぇ。」

外はまだ、雨模様です。部長やゆーきは置き傘が無いかを探し出てしまいました。

部活は此処までのようです。


「そうだなぁ。和は傘、あるのか?」

「いえ。持ってきてません。」

「そうなのか。」


持ってきていたら、相合傘が出来たかもしれません。

何故、今日に限って持ってこなかったのでしょうか。

原村和一生の不覚です。


「なら、一緒に入ってくか?和を濡らして返すわけには行かないしな。」

私の聞き間違いでしょうか。そのような事を提案されるとは思ってもいませんでした。

この絶好の機会を逃すわけにはいきません。

「そういうことでしたら、お願いしても宜しいでしょうか?」

「任されました。」



生憎の空模様ですが、私としてはこれ以上に喜ばしいことはありません。

大好きな彼―――須賀京太郎君―――と、一緒に帰れるのですから。

それも、一つ同じ傘の下で。


ですが、最近気づいた事があります。

「須賀君。」

「ん、どうかしたか、和? 肩とか濡れちゃったか? 」

「いえ、濡れていません。」

えぇ、濡れていませんとも。貴男が注意して濡らさないようにしているのですから。

「それではなく、須賀くんは……」





「部長が好きなのでしょうですか?」




そう。須賀君を注視して気づいたことがありました。

彼は、よく部長―――竹井久先輩―――を目で追いかけています。
好き……なのでしょうか?

「は?」

須賀君が驚きの表情をしています。それすら愛しく思えてしまいます。

「いや、どうなんだろうな。好きなのかな?」

得も言われぬ答えが帰ってきました。

「どうなのでしょう?須賀君は良く部長のことを見ているので。てっきりそうなのかと。」

「そんなに見てるかな?俺、部長のこと。」

うーん。と首をひねっている須賀君。

「いやーいやいや。ないない。部長に恋愛感情は無いと思う。うん。」

「そういうことにしておきましょう。」

「しておきましょうって……」

勘弁してくれよという須賀君。

無自覚なのでしょうか?

「それでは、今日連れてきた宮永さんは?」

「咲?無いって。只の幼馴染だしな。目は離せない存在だけどな。」


その答えに胸が引き裂かれそうになります。
宮永さんは目が離せないのですか。

「そう……なのですか。」

自分でも驚くほどに冷たい声が出てしまいました。

「あぁ、何やらしてもダメダメでさ。目を離すと迷子になってたりするからなぁ。」

あぁ、なるほど。保護者みたいな感じでしょうか。

「そうなんですか。宮永さんも可愛らしい所があるのですね。」

そう言うと、彼は面倒を見る方は堪ったものじゃない、と零しています。



「ねぇ、須賀君。知ってますか?」


「何を?」


「私って、結構負けず嫌いなんですよ。」


「へー、だとは思ってたけど。」


「だから、負けたくないんですよね。」


「おー。頑張ってくれ、できることは手伝うし応援してるから。」


「はいっ!ありがとうございます。」


えぇ。負けられませんとも。



恋も麻雀も。


幼馴染の宮永さんにも。


無意識に目で追いかけている部長にも。



決して負けません。





「須賀君。私からも目を離さないでくださいね?」





  カンッ!



以上で終わりです。

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