~鹿の記憶旅行~ (19)


ドサッ…


男「――……っ!!」ガバッ


男「…………こ、ここは……?」キョロキョロ


男「な、なんだこれ、真っ白な世界……?」


男「空も、地面も……。壁は……ないのか?」


男「………………」


男「……夢か。こんなのあり得ないもんな……」


男「それにしても、こんなはっきりとした夢は初めてかもしれないなぁ……」


男「たしかに地面に立ってるはずなのに、地面がどこにあるのかもよくわからないし……」


男「まぁ、いいか」


男「しかし、どうやったら目覚められるんだろう……」ウーン…




「う~んっ……、まだ無理なのかもねー」ヒョコッ




男「あぁ、そうなのか……――」


男「――って、うわっ!」


「うわぁ!」ビクッ


男「び、ビックリした……。ご、ごめん、まさか人がいるなんて……」


「あははっ、気にしてないよっ。ただまぁ、『人』って言うのはちょっと違うかもしれないけど」


男「えっ?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493558943


男(いきなり出てきた女の子……。俺と同い年ぐらいか?)


男(可愛い……けど、何だろう? どっかで見たことがあるような、なんだか懐かしいような……)


?「まぁ、この世界じゃあまり関係ないけどねー」


男「え、えっと、君はこの世界に詳しいの? ここは夢じゃないの?」


?「夢かぁ……そうだねぇ。正確には、記憶の世界……かな」


男「記憶……?」


?「そう、ここはあなたの記憶の世界」


男「う、うーん……よくわからないけど……。現実の世界では、もちろんないわけだよね?」


?「うん、まぁね」


男「現実世界の俺は、寝てるのかな……」


?「そうみたいだね。すぐに目が覚めるわけでもないみたい」


男「……それじゃ、俺はどうしたらいいんだ? この世界で……」


?「まぁまぁ、そんな思いつめた顔をしないでっ。大丈夫、いつかちゃんと目覚められるはずだよ」


男「……そう? ならいいんだけどさ……」


?「――そうだっ! どうせならさ、目覚めるまでの時間、楽しいことをしようよっ」


男「楽しいことって……。こんな真っ白な世界で何ができるのさ?」


?「さっき言ったでしょ? ここは記憶の世界なんだから」


?「――……それっ!」


パンッ‼


男「――えっ……!? 風景が……!」


男「ここは……」


?「見慣れた場所でしょ? ここは男の家の前」


男「あ、あぁ……。まぁ、さっきの白い世界よりはいいな……」

艦これの好感度メガネとオリのヤンデレ書いてた人か
お久しぶり


男「そっか、記憶の世界だから、俺が見たことのある風景が出るんだ……」


?「そうそうっ! いいねー、やっぱここからだよねー」


男「…………ん?? でも、これが俺の記憶の世界だとするなら……、君も俺の記憶の一部ってこと……?」


?「おぉー、鋭いね。……どう? 私のこと、誰だかわかる?」


男「ぁ……えっと……。ダメだ、ごめん……わからない」


男(でも、なんだこの感覚は……? 俺はこの女の子を知っている……。でも、思いだせない。名前も、思い出も……)


?「むぅっ……! 私の事、忘れちゃったのっ?」


男「えっ!? ……ごめん、なんか頭が変なんだ……」


?「……なーんて。しょうがないよ、私の事をわからなくてもね」


男「な、名前っ! 君の名前はっ? 名前を聞けば、思いだすかも……」


?「私? あぁー、そうだなぁ……」


?「……鹿……」ボソッ


男「えっ?」



鹿子「『鹿子(かこ)』っていうのはどうかな?」



男「どうかな……って。……本当の名前じゃないの?」


鹿子「まぁねーっ。男が思い出すまで内緒っ」


男「そ、そっか……。……それはまぁわかったけど、なんで「鹿子」なの?」


鹿子「えへへっ。『シカでした』ってね!」ニコー


男(なに言ってんだこいつ……)


最初に。
これは完全に自己満足SSです。
書き溜めもありませんし、適当に進めていきます。
たぶん面白くはないと思いますが、旅行が好きな人と某ある番組を好きな方にとっては、もしかしたらおもしろいかもしれません。

あと「かこ」は「かこ」ですが、いま同時進行でやってるSSとは全く関係ないです。

それでは、がんばります。

>>3
その二作は勢いで書いた奴だから、なんか恥ずかしい。
でも>>5にも描いたけど、これには期待しないでね。

期待


鹿子「――さてさてっ! それじゃ、なにしよっか?」


男「うーん、そうだな……。部屋にでも戻って、漫画でも読むとか?」


鹿子「あー、出来ないことはないかもしれないけど、男の記憶にある部分しか見れないと思うよ」


男「……そっか。……じゃあ、どうしよっか」


鹿子「ふふーんっ! 実は私にいい案があるのです!」


男「ほほう。その案とは?」


鹿子「ここは男の記憶でもあるけど、同時に私の記憶でもあるの。だから、私と男の記憶を重ねて、この風景は作り出したってわけ」


鹿子「なら! ってことで、風景と思い出だけで楽しめることをしようっ?」


男「……ほう? とりあえず、鹿子に任せようかな」


鹿子「がってんっ! ……それじゃ、北から行こうかっ」


男「北? 北って……――」


鹿子「――ほいっ!」



パンッ‼




男「……こ、ここは……!」


鹿子「ふふっ、どこだかわかる?」



男「もちろんっ。この風景は、北海道の帯広か」ワーッ



男「……ってことは、これは北海道で旅行した時の記憶なのか……」


鹿子「そうそうっ! いやー、道路がすごい広くて走りやすかったよねっ」


男「そうね、碁盤目みたいになってたから、ちょっと道を間違えても大丈夫だしね」


鹿子「あと、男が好きだったものと言えば、アレかな? 豚丼っ」


男「あー、おいしかったなぁ。帯広の中だけでも色々な豚丼屋さんがあって……」


鹿子「豚丼屋さんではしごしてたもんね」


男「店によって味付けが変わるからさ。でも全部おいしかったよ」


鹿子「あと、食べ物で有名なのと言えば、なんといっても蕎麦!」


男「やっぱり、北海道と言えばね! 帯広じゃあないけど、新得の蕎麦は本当においしかったなぁ……」


鹿子「食べ物はなんでもおいしかったんだよねっ。パンでも、ラーメンでも、それにお寿司もっ」


男「いやぁ、懐かしいなぁ……」


鹿子「ふふっ。……男はほかに、何か思いだしたことはある?」


男「そ、そうだな。食べ物の事ばっか思い出しちゃったし……」


男「うーん……。――あっ、あれは? 世界で唯一の……」


鹿子「――ばんえい競馬だねっ! ……それじゃ、さっそく。……それっ!」



パンッ‼



男「――っと……。……ははっ、そうそう。ここでレースをするんだよね」


鹿子「ふむふむ……。いやー、でっかいねぇ……」


男「体重が一トンぐらいあるらしいからねぇ……。さらにそっから、五百キロとか一トンの重さのソリを引くんだから、力持ちだよねぇ」


鹿子「たしか、男も馬券を買ってみたんだっけ?」


男「そりゃまぁせっかくだからね」


鹿子「結果は……まぁ、聞かなくてもいっか」


男「かすりもしなかったよ」


男「ははっ、やっぱり温厚だなミルキーは……」スッ


スカッ


男「……あっ」


鹿子「記憶だからね。残念ながら触ることはできないんだ」


男「それじゃ、まばらに居る人も……」


鹿子「そう。私と男のイメージで作り出した人たち」


男「……なるほど」


男「――って、待てよ。……俺って、鹿子と二人でここに来てたのか?」


鹿子「まぁ、そういうこと。……わかった?」


男「うー……。思い出せそうな、思いだせなさそうな……」


鹿子「ははっ、まだ時間はあるんだし、焦らなくていいよっ」


鹿子「――さてさてっ! 帯広はこんな感じでいいかな?」


男「温泉とかも魅力なんだけど、まぁこの世界じゃ無理なんでしょ?」


鹿子「そうねー」


男「しかし、風景と思い出だけで楽しめるってのは、たしかにそうだね」


鹿子「でしょっ? ……これは、記憶旅行。……それじゃ、次はどこに行こっか?」


男「……そうだなーっ」


男(たしか、次に俺が行ったところで有名だったのは……)


男「……あの、緑の――」




男・鹿子「――まりもっ!」




鹿子「あははっ! それじゃ、次はそこだねっ! ……よいしょー!」



パンッ‼



男「――……ここは、釧路の阿寒だよね」キョロキョロ


鹿子「うんっ。綺麗な湖だよねー」


男「だね。船に乗って天然のまりもを見たんだっけなぁー」


鹿子「世界的にも、こんな大きな球状になるまりもは珍しいんだったっけ?」


男「そうそう。特別天然記念物なんだよね」


鹿子「男もまりも買ってたっけ?」


男「あー、つい買っちゃったなー。でも、ちゃんと毎日水替えてるんだぜ」


鹿子「おっきくなった?」


男「いや、あれはどうなんだろうか……」


鹿子「ははっ。……そのほかにも、結構いろいろ買ってたよね」


男「いや、あれはお土産屋さんの話術がすごかったんだよ……。買わずには出られない雰囲気を作り出されたからね」


鹿子「アイヌコタンってところだっけ。まぁ、悪い買い物じゃなかったでしょ?」


男「まぁね。あの木の感じとか模様とかは結構好きだし」


鹿子「民族衣装も着ればよかったのに」


男「うっ……。さすがにちょっと恥ずかしかったよ……」


鹿子「――さて、ここの思い出はこんなものだっけ?」


男「そう……。――いや、そういえば鹿丼を食べたのはここだったっけなぁ」


鹿子「えっ」


男「いや、鹿に反応するなよ……。しかし、あんなに鹿が美味しいものだとは思わなかったよ」


鹿子「記念品ももらってたよね」


男「あぁ、記念品って言っても大したもんじゃないけどね。ただ『鹿肉を食べましたねっ!』ってやつだから」


鹿子「でも男は喜んでたじゃん」


男「…………まぁね」


鹿子「あははっ、いい思い出だよねー」


鹿子「――……あっ、そうだ! あそこにもいかなきゃねっ」


男「えっ、……どこ?」


鹿子「行けばわかるよっ。……ほいっ!」


パンッ‼


男「――……ここは?」


鹿子「えへへっ、ここはねー……」



鹿子「――オンネトーですっ!」



鹿子「なんと、一日いれば湖の色が四回変わるっていうんだからっ!」


男「あぁー、確かに行ったなー」


鹿子「私たちの時は、雨じゃなくて雪だったよね」


男「……いったい何と比較してるのか知らないけど、そうだな」


鹿子「温泉に人形沈めちゃダメだよ?」


男「やらないよ」


鹿子「ふぅー……。よし、満足した。じゃ、次行きましょーっ!」


男「ちょっ……! 次ってどこ――」



パンッ‼



鹿子「――よしっ……」


男「……網走監獄か」


鹿子「正解。……見どころたくさんだった?」


男「いや、すごかったね……。個人的には、近くに寄る機会があったら見学して損はないと思うけど」


男「当時、ここに収容されていた人たちは、何かしらの犯罪を犯してしまったのかもしれないけど、それにしてもここは厳しかったみたいだし……」


男「でも、その人たちが居たからこそ……っていうのもあるんだろうね」


鹿子「すごく脱獄が難しい所だったんだよね」


男「らしいね。脱獄王が居たんだって」


男「――あぁ『五寸釘の寅吉』って言う人もいたらしいね。脱獄した後に、五寸釘を踏み抜いちゃったんだけど、そのまま十数キロ逃げたんだとか」


鹿子「へぇー、私だったらへたれちゃうね」


男「まぁまぁ……。捕まらないのが一番だよ」


鹿子「わぁーっ、これが舎房なんだねっ!」


男「そうそう、五つの棟が放射状になってるのが特徴なんだよね。これなら、一目で見渡せるから……。――ってあれ? 鹿子はここに来てないのか?」


鹿子「ん? あぁ、そうだよ。私はお留守番だったからねー。だから、ここについての私の記憶はないけど、男の記憶を覗かせてもらってるの」


男「ふーん? ……お留守番って、なんで?」


鹿子「まぁまぁ、なんでもいいでしょ! ――わぁー、これが脱獄王かぁー!」


男「…………?」



――――――


――――


――



鹿子「――あははっ、楽しいなぁー!」


男「ま、まぁ、あんまり『楽しむ』ところじゃないけどな……」


鹿子「あぁ、いやいや! 男と一緒に回れることがってことだよっ」ニコッ


男「…………っ」ドキッ


鹿子「――さーて、次行っちゃう?」


男「も、もうかっ? 少し休んでから行こうぜ……」


鹿子「えー? ……まぁ、それなら少し歩こっか」


男「おう、そうだな」


鹿子「――うぅーん、いい天気だねー」


男「いい天気って言っても……。結局は俺たちが作り出したもんなんだろ?」


鹿子「まぁまぁ、天気がいいのは事実でしょ」


男「いやまぁ、それはそうなんだけど……」


男「――それにしても、ちゃんと道路は再現できるんだな。正直道路まで記憶できてないと思ったけど……」


鹿子「まぁ、二人合わせてだからねー。私が覚えてる道路だったりするかも」


男「そういうもんかぁ……」


男「この走ってる車も、記憶なんだよな?」


鹿子「そうだよ。轢かれても大丈夫だよ」


男「い、いやまぁ、なんか怖いからいいや……」



キキーッ‼



男「――んっ? あの車……、すごいフラフラしてないか?」


鹿子「………………っ!」


男「……まさか飲酒運転とかか? ……そんなのまで再現されてるのか」


鹿子「……ダメだよ?」


男「は?」


鹿子「そんなことしたら、許さないから」


男「しないよ……。どうしたんだ、急に?」


鹿子「……いや、なんでもない」


鹿子「――さてとっ! もういいかな? まっ、ダメって言っても行くけど」スッ


男「お、おう……――」



パンッ‼



男「――おっ、ここは……」


鹿子「ここは、本土の最北端。宗谷岬だよっ!」


男「ははっ、いい景色だなぁー」


鹿子「私たちが来たときは、天気も良くて樺太がちゃんと見えたんだよねっ」


男「日本最北端のガソリンスタンドも寄ったなぁー」


鹿子「そこでも記念品もらえるんだよねっ」


男「そうそう。稚内市で温泉にはいったなぁー」


鹿子「ふふっ。標識にはロシア語も一緒に書かれてるんだよね」


男「やっぱり近いからかなー」


鹿子「さてさて、それじゃどんどん行っちゃうよー!」




パンッ‼




鹿子「――じゃーんっ! ここは旭川市、旭山動物園ですっ!」


男「わぁーっ! 懐かしいなぁ!」


鹿子「男はここに来るのを楽しみにしてたよね」


男「そりゃ、北海道の楽しみの一つだったからなー」


鹿子「……ふーん、いっぱい動物居るんだねぇー」


男「居るんだねー……って、鹿子は入ってないのか?」


鹿子「うん、まぁね~」


男「……なんでだ? 俺と一緒に居たんだよな?」


鹿子「……居たけど、居なかったんだよ」


男「…………?」


鹿子「――おぉっ! これがオオカミの森かぁー、いっぱいオオカミがいるー!」キャッキャッ


男「………………」


男「――……俺は、俺はいったい何を忘れてるんだ……?」


――――――


――――


――

トラじゃない?



シカでした


――――――


鹿子「――ふふーん、これがクラーク博士だね!」ビシッ


男「ははっ。……そうだ、確かここには『大志の誓い』ってのがあるんだよな」


鹿子「うんうんっ! 夢とか希望を書いて、クラーク博士の銅像の台座のところにいれるんだよね!」


男「この施設の人が保存しておいてくれるから、将来またここに来たときに言えば見せてくれるんだよな」


鹿子「男も書いてたよねー? ……なんて書いたのかなー?」


男「さ、さぁ……? 忘れたなぁ……」


鹿子「……私は覚えてるけどね? 教えてあげようか?」


男「いや、やめてくださいお願いします」


鹿子「あははっ! しょうがないから許してあげようっ。……よーっし、それじゃ次は北海道と言えば、あの場所っ!」


男「…………あっ、もしかして」


鹿子「――ほいっ!」



パンッ‼



男「――やっぱり……」


鹿子「札幌市時計台ですっ!」


男「ここはよくがっかりスポットとか言われるけど、俺はそんなことなかったなぁ。いいところだよね」


鹿子「うんうんっ! 絵葉書にもなってるくらいだしね!」


男「ただ、やっぱりおっきいビルに囲まれてるから、すこしイメージが崩れちゃうのかな?」


鹿子「そうかもねー。……なんとかインチキできんのかっ? って感じだね」


男「あぁでも最近は、そんな観光客への怒りとしてホーンテッド時計GUYってのが居るらしいね」


鹿子「はぁー、全てがわからんっ」


男「お、おう……」



――

――――

――――――


鹿子「――よーっし、北の大地はこんなものかなっ!」


男「魅力的なところはまだまだあるけどねー」


鹿子「函館の、ソフトクリームが美味しい所もいいよねー」


男「モカとバニラとミックスの奴が食べたいねー。……ただ、食欲が特にないんだよなー」


鹿子「記憶の世界だからね。……ソフトクリームを落とすなんて、もったいないことしちゃダメだよ?」


男「走ったりでもしない限り落とさないだろ……」


鹿子「まぁね。ソフトクリーム3つだけで、8万3,000ポイントっ! ってことになるからね」


男「北海道はおっきいねぇー……」


鹿子「よしよしっ、そいじゃ、少し南へ行きましょーっ!」



パンッ‼




男「――……少し南ってことは、ここは青森?」


鹿子「そうだよー!」


男「あー、フェリーに乗ったときは酔ったなぁー……。あの時は、函館~大間だからよかったけど、もうちょっと長かったらやらかしてたね」


鹿子「エアーウルフだね」


男「ちょっと意味が分からない」


鹿子「まぁ青森と言えば、リンゴだよねっ!」


男「衝撃的だったのはアップルクーヘンだね。リンゴをまるまるバームクーヘンで包んでるやつ」


鹿子「馬鹿野郎、2個も食えるかっ! ってやつだね」


男「ちょくちょく鹿子は、よくわからないことを挟むね……」


鹿子「よーっし、青森の思い出終わりっ! お次は岩手ですっ!」



パンッ‼


大wwwwリバースですwwwwwwwww

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