キャンディアイランドのたぶん毒にも薬にもならないおしゃべり (17)

・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります



----事務所----

ガチャ
かな子「お疲れ様です……」トボトボ

智絵里「……お疲れ様です……」トボトボ

杏「おつかれー……」トボトボ

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かな子「……」

智絵里「……」

杏「……」

三人「はぁぁ……」

かな子「次のテレビのお仕事が、『アイドル大運動会』だなんて……」

智絵里「ど、どうしましょう……?」

杏「んぅ……由々しき事態だよ、これは……」

かな子「私たち三人とも、あまりスポーツは得意じゃないもんね……」

杏「せいぜい、マシュマロキャッチぐらいだよね」

智絵里「あと、バンジージャンプも……」

杏「うーん、圧倒的バラエティ力……」

かな子「さ、さすがに運動会でバンジージャンプは無いと思うけど……」

かな子「あれはスポーツの括りじゃあない……よね?」

智絵里「罰ゲームの括り、ですよね……」

杏「……運動会の結果負けたチームに、罰ゲームでバンジー……とかなら、やりかねないけどね」

智絵里「ひえぇ……」

かな子「だ、だとしたら、なんとか頑張らなきゃ……!」

杏「えー……?」

杏「杏達が多少頑張ったところで、運動神経良い組に勝てる気がしないんだけど……」

かな子「うーん、それはそうかもしれないけど……」

智絵里「未央ちゃんや美波さん、すごく楽しみにしてたしね」

杏「きらりもね……」

杏「きらりが本気を出したら、杏なんてきっと一瞬でぺしゃんこにされちゃうよ」

智絵里「お、押し花じゃないんだから……」

かな子「あと凛ちゃんも、『得意ってわけじゃないけど、やるからには全力でいくよ』って言ってた」

杏「あ、それガチで本気のやつだ」

かな子「凛ちゃん、雰囲気はクールだけど、意外と熱血なところもあるよね」

智絵里「うん。ストイックというか……カッコいいよね」

杏「頼むよ智絵里ちゃん。キャンディアイランドの命運は、智絵里ちゃんにかかってるんだから」

智絵里「ええぇっ!? わっ、私なの!?」

智絵里「私も、運動はあまり自信無いんだけど……」

杏「それでも、三人の中では一番アウトドア派じゃん?」

智絵里「そ、そうかな……?」

杏「杏の趣味はゲームとかで、かな子ちゃんはお菓子作り。で、智絵里ちゃんは四つ葉のクローバー探しでしょ?」

杏「ほら、智絵里ちゃんだけアウトドアじゃん」

かな子「い、言われてみればそうだね……!」コクコク

智絵里「た、確かに一応野外でやることではあるけど……」

智絵里「クローバーを探すのって、スポーツとは全然違うんじゃないかな……?」

杏「あと、『緒方』って苗字、なんとなく運動できそうな感あるし」

智絵里「そんなぁ、いくらなんでも無茶だよぉ」

かな子「……杏ちゃん、それはさすがに適当すぎない?」

杏「失礼だなぁ。杏はいつでもテキトーだよ」

智絵里「な、なんでやねん!」ビシ

杏「あう」

かな子「うーん……どうしよう? 収録までまだ期間はあるし、練習しないといけないよね……?」

杏「えー……? ただでさえ普段のレッスンで杏の体力は風前の灯火なのにさ」

杏「それ以上運動するなんて、辛すぎる……」

かな子「辛いのは私も同じだけど……せっかくのお仕事だもん! やれるだけのことはやってみようよ!」

智絵里「そうですね……! 私も、頑張ります! ……やっぱり少し、不安ですけど」

杏「うへぇー……二人ともマジ?」

智絵里「ま、マジですっ」フンス

かな子「杏ちゃんも一緒に、ね? 練習の後には、ちゃんと毎日お菓子用意するからっ」

杏「……飴は?」

かな子「も、もちろん! 飴もたくさん持ってくるよ!」

かな子「そうだ! 今なら飴に加えて、智絵里ちゃんの応援も付けちゃう!」

智絵里「ふぇぇ!? か、かな子ちゃん!?」

杏「何それ超期待」

智絵里「お、応援って……えと……」

智絵里「……杏ちゃん! ふぁ、ファイトっ! ……ですっ」グッ

智絵里「……ぁぅ」カァァ

かな子「どう、杏ちゃん?」

杏「……うん。これは効いたよ。ボディにきた。ズシンと」

智絵里「うぅ、恥ずかしいです……」

杏「いやぁ、照れることないよ智絵里ちゃん。なんせ今ので、杏のなけなしのヤル気がほんのちょびーっとだけパワーアップしたんだからさ」

かな子「智絵里ちゃん。よかったら、チアガールの衣装も着てみる? 前にアーニャちゃんがやってたみたいに」

杏「いやいや、敢えてギャップ狙いで学ランに鉢巻なんてのもいいかも」

智絵里「き、着ませんよっ!」

智絵里「運動会だからって、応援合戦みたいなものがあるわけじゃないんだから……」

かな子「あっ。そういえば、運動会の話だったね」

杏「かな子ちゃんが言い出したのに……」

智絵里「それで、ひとくちに練習っていっても、どんなトレーニングをすればいいのかな?」

かな子「そうだね……体力作りで、ランニング……とか?」

杏「えー、今から外出るの? もう少ししたら暗くなってくるよ?」

智絵里「それなら、どこか室内で筋トレ、かな」

かな子「えぇと、今使えそうなレッスンルームは……」

智絵里「……全部予定が埋まっちゃってますね」

杏「……」

杏「……明日からにしようか」

智絵里「……そうする?」

かな子「……そう、しようか?」

杏「だねー。明日出来ることは明日に回そう」

かな子「あっ、じゃあ明日の英気を養うために、みんなで甘い物でも食べようよ!」

かな子「昨日、家でたくさんトリュフチョコを作ってきたんだ! よかったら、二人もどうぞ♪」

智絵里「わぁ……! なんだか可愛いですねっ」

杏「……すご。何これ、ひとつひとつの模様というか、かかってるものが違うじゃん」

かな子「うん! これがココアパウダーをまぶしたので、こっちがホワイトチョコで覆ったの、それからそっちが粉砂糖で……」

杏「凝ってるなぁ」

智絵里「食べちゃうのがもったいないね」

かな子「ふふっ♪ そう言ってもらえるのは嬉しいけど、やっぱりお菓子は美味しくいただかなきゃっ」パク

杏「そりゃそうだ。いただきまーす」パク

智絵里「わ、私もっ」パク

杏「うん。見た目も綺麗で、しかも美味しい。言うこと無しだね」

智絵里「花より団子って言うけど、かな子ちゃんは花と団子を両立してて、素敵だよね」

杏「おお、言い得て妙だね」

かな子「ありがとう、智絵里ちゃん♪」

杏「……そんな話してたら、お団子食べたくなってきたな。みたらし」

かな子「えぇと、それはリクエストってことでいいのかな、杏ちゃん?」

智絵里「みたらし団子、作れるの?」

かな子「うん、美味しいから大丈夫だよ!」

智絵里「……作る時にも適用されるんだね、それ……」

かな子「お団子は作ったことがあるから、あとはタレのレシピを調べれば……」

杏「おー。さすがかな子ちゃんだ」

智絵里「すごいなぁ、かな子ちゃん……。尊敬します」

かな子「尊敬だなんて、私はただ、好きなことをやってるだけだし……」

杏「またまたぁ。謙遜しちゃって」

智絵里「このトリュフチョコもそうだけど、かな子ちゃんは本当にすごいと思うよ?」

杏「そうそう。もっと自慢しちゃえばいいんだよ。ドヤ顔でさ」

智絵里「かな子ちゃんが自慢しないなら、私達が自慢しちゃいますよっ」

かな子「え、えぇっ……!? どうしてそうなっちゃうの?」

杏「別にいいじゃん。お菓子の自慢って、要はプロダクションのみんなにお菓子を配り歩くだけだよ。かな子ちゃんはこんな美味しいの作れるんだぞー、って」

かな子「そ、それなら……」

杏「……で、お菓子あげる代わりに、運動会では手加減してもらうよう、みんなに交渉をだね……」

智絵里「ええっ」

かな子「ちょっと、お菓子を賄賂に使うのはやめない?」

杏「昔からあるでしょ? 山吹色のお菓子ってね」

智絵里「あっ、時代劇でよくあるパターンだよね」

杏「くっくっく……三村屋、お主もワルよのぉ」

智絵里「いえいえ、お代官様ほどでは」

かな子「トリュフチョコを手作りする悪役って、イメージ的にどうかと思うよ……?」

杏「えー? じゃあ、かな子ちゃんが悪役やるとして……」




ガチャ
卯月「お疲れ様ですっ!」



杏「いったい、何を作るの?」

かな子「えぇと……あ、毒入りのお団子、とか?」

卯月「かな子ちゃん!? そ、そんなの作っちゃダメですっ!」



おわり


ついに毒が生まれてしまった……



お付き合いありがとうございました。

前作
キャンディアイランドの懲りずに毒にも薬にもならないおしゃべり

も、よろしければどうぞ。

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