アニマル大陸 (49)

【とある星】


地球とは遠くはなれた星のお話。

ここでは動物たちが、仲良く暮らしています。

動物たちは高い文明力を持ち、人間のような生活をしています。

そんな世界のお話です。

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【アニマル大陸】


この星には、いくつかの大陸がありますが

そのなかに、「アニマル大陸」という大陸があります。

アニマル大陸には、「たぬき」 「きつね」 「ねこ」 「いぬ」

という四つの種族が暮らしています。

しかし動物たち、はとても「仲が良い」とは言えない状況でした。

その理由は、たぬきの国ときつねの国にあります。

【たぬきの国】


たぬき「きつねの国のやつめ、またこの国に嫌がらせをしてるんだ」

たぬき「こっちだって、負けていられないぞ」


【きつねの国】


きつね「たぬきの国のやつめ、ここのところ軍事に力を入れているらしい」

きつね「いつ戦いになるかもわからないね」

そう、この二つの国はお互いににらみ合っていました。

経済的にも互角と言える二つの国は、ここ10年余り緊張状態にありました。

そしてついに、おそろしい事件が起こってしまいました。

【たぬきの国】


たぬき王「わが国の軍事力は大きな成長を遂げているな」

たぬき大臣「このままいけば、きつねどもを蹴散らすことができましょう」

たぬき王「ああ、そうすればあの膨大な食料はわれわれのものだ」

たぬき大臣「ええ、これで食糧問題に頭を抱える必要もなくなります」

たぬき王「先王は頭を抱えすぎて耳が伏せてしまったからな」

たぬき大臣「おもしろいご冗談を」

たぬき王「さあ、きつねの国を落とそうではないか」

フッハッハと大きな声で笑っているのが

たぬきの国の王様、たぬき王です。

その隣で小さく笑っているのが、その側近であるたぬき大臣。

この二人の策によって、アニマル大陸は危機に陥っていました。

そのころ、お隣のきつねの国では

【きつねの国】


きつね王「たぬき王め、わが国の食料を狙っていると見える」

きつね王子「軍事的にもかなり成長しているようですが」

きつね王「うーむ、ここは同盟であるいぬの国に助けを求めよう」

きつね王子「わかりました、お願いしてきましょう」

きつね王「頼んだぞ」

きつねの国では、親子でたぬきの国に悩まされていました。

そこで、仲の良いいぬの国にお願いして、助けてもらうことにしました。

【いぬの国】


いぬ王「どうやら、きつねの国が困っているらしいね」

いぬ后「たぬきの国のことでしょう、少し力を貸してあげたら?」

いぬ王「きつねの国にはお世話になっているし、そうしよう」

いぬの国は、経済的な力は大きくありませんが

仲良くしているきつねの国を助けてあげることにしました。

そうすると、困ってしまうのはたぬきの国です。

さすがのたぬきの国も、二対一では参ってしまいます。

【たぬきの国】


たぬき大臣「困ったことになりましたぞ」

たぬき王「まさかきつねといぬが協力するとは」

たぬき大臣「これでは負けてしまいます」

たぬき王「よし、ではこちらにも考えがある」

たぬき大臣「なんでしょうか」

たぬき王「わが国が他の国に劣っているものはなんだ」

たぬき大臣「国土と資源でしょうか」

たぬき王「そのとおり、ねこの国に行けばどちらも手に入るだろう」

たぬき大臣「しかし、そうするときつねの国と戦う力がなくなってしまいます」

たぬき王「心配することはない、ねこの国などとるに足らぬ」

たぬき大臣「しかし...」

たぬき王「作戦を説明する、こちらへこい」

たぬき大臣「ふむふむ...王も悪いたぬきですね」

ふたりは笑いあって、早速実行に移しました。

そんなことは知らない猫の国は、いつものように自由に暮らしていました。

【ねこの国】


ねこ「おひさまが気持ちいいにゃ」

ねこ「...にゃ?」

たぬき軍「動くな、この畑はわれわれが占拠した」

ねこ「にゃにゃっ...そんな」

ねこ「困ったにゃ、おうさまに教えてあげないと」

ねこの国の国民は、みんな「またたび教」という宗教を信仰していました。

またたび教の教えには大事なことがみっつありました。

一つは、自由に生きること。

二つは、またたび様を崇め、毎日お祈りをすること。

そして三つ目が、ネコジャラシという植物を神聖なものとし、大切にすることでした。

たぬきに奪われてしまったのは、そのネコジャラシ畑でした。

【ねこの国】


ねこ王「こまったにゃ、これじゃあネコジャラシ栽培に影響がでてしまうにゃ」

ねこの民「王様、どうするんですか!」

ねこの民「おうさまー!」

ねこ王「たぬきの国は資源と領土を渡せといってるにゃ、それは困るにゃ」

ねこの民「でも、でも」

ねこ王「にゃうう...しかたない、ここはひとつしたがっておくにゃ」

ねこの民「おうさま...」

ねこ王「大丈夫、きっとなんとかなるにゃ」

これによって、アニマル大陸は二つに分断されてしまいました。

たぬき軍 対 きつね軍 という構図が完成してしまったのです。

アニマル大陸はどうなってしまうのでしょうか。

【たぬきの国】


たぬき「おい、みんな聞いたか?」

たぬき「ああ、遂に戦争が始まるんだって」

たぬき「それに、ねこの国のネコジャラシ畑を占領したらしいんだ!」

たぬき「そんな、ねこの国がかわいそうじゃないか!」

たぬき「たぬきの国は本当に正しいことをしているのか?」

実はたぬきの国の王は、国民であるたぬきたちを、だましていましたのです。

きつねの国は悪い国だ、これは正義のための戦いだ。と嘘をついていたのです。

それをすっかり信じていたたぬきたちでしたが、ねこの国のことを聞いて、国に疑いを持ち始めました。

何匹かのたぬきが、お城に忍び込んだところ

国の「たくらみ」はすぐにばれてしまいました。

国民はみな一斉に国を非難しました。

すぐに新しい勢力が出来上がり、心優しいたぬきがその指導者に選ばれました。

ついにはお城のたぬきたちも王を信じなくなってしまいました。

そしてついに、たぬきの国の王様は、打ち倒されてしまいました。

【たぬきの国】


たぬき王「ぐぬう...こんなことをしてただで済むと思うなよ!」

たぬき大臣「たぬき王...」

たぬき新王「さあ、すぐに立ち去れ!」

たぬき王「覚えておれ!」

そういって、悪いたぬきの王様は、国を追い出されてしまいました。

新しい王様はすぐに他の国に使者を送りました。

初めに、ねこの国には謝罪と大量のネコジャラシの贈り物を届けました。

次に、きつねの国といぬの国には事情を説明し、戦争の意思がないことを示しました。

きつねの国といぬの国は納得し、国際会議の準備を始めました。

4カ国が加盟する動物連合では、次の日に緊急的な会議が開かれることが決定しました。

【動物連合-国際会議】


たぬき新王「このたびは、本当にごめんなさい」

きつね王「アニマル大陸が大変なことにならなくて良かったよ、君のおかげだ」

きつね王「わが国ととたぬきの国も、数十年前までは仲良くしていたんだ、また仲良くできるさ」

ねこ王「国民は贈り物をとても喜んでたにゃ、これからもっと仲良くできることを願ってるにゃ」

いぬ王「それじゃあ、なるべく早くアニマル平和条約を結ぶためにも、力を合わせてがんばろう!」

そういって、動物たちは自分の国に帰っていきました。

その言葉通り、それぞれが自分にできることの最善を尽くし

ついに平和条約を結ぶことができました。

これが、この星でおよそ30年前の出来事です。

今でも、動物たちは仲良く暮らしています。

少しかけ足になってしまいましたが、この話はこれでおしまい。

このあと、アニマル大陸がどうなってしまうかは、また別のお話...


【続く】

呼んでくれた方ありがとうございました。
今日はお話の続きは書きませんが、もう少しお付き合いください。


【アニマル大陸-地図】


【たぬきの国】【きつねの国】
     アニマル湖     
【ねこの国】 【いぬの国】


【各国データ】


-たぬきの国-

国民の数:2000万

面積:20万k㎢

国内総生産(GDP):8000億円

工業国家


-きつねの国-

国民の数:2000万

面積:25万k㎢

国内総生産(GDP):8000億円

農業国家


-ねこの国-

国民の数:1500万

面積:30万k㎢

国内総生産(GDP):3000億円

発展途上であり、国土の多くが鉱山とネコジャラシ畑


-いぬの国-

国民の数:2500万

面積:25万k㎢

国内総生産(GDP):4000億円

発展途上であり、森林を多く有する


【現状-今回のお話】


動物暦1000年の出来事。

アニマル大陸で、4カ国全てを巻き込んだ大きな戦争に発展しそうになるも

大事には至らず、同年に終結。

その後しばらくは平和が訪れる。

それでは、おやすみなさい

【たぬきの国】


たぬき王「まさか、ここまで酷くなるとは」

たぬき側近「どうしましょう、このままでは」

たぬき王「たぬきの国は滅んでしまうかもしれない...」

たぬき側近「そんな...」

たぬき王「こうなると他の国も心配だね」

アニマル大陸を騒がせた事件も終わり、30年の時が経ちました。

たぬき新王は、今では立派に仕事をこなしています。

平和が続いていたアニマル大陸でしたが

たぬきの国に大きな問題が起きてしまったのです、それは。

【たぬきの国】


子たぬき「喉が渇いたよぉ...」

母たぬき「うぅ...」

父たぬき「なにか食べるものを...」

そう、たぬきの国は大変な水不足に悩まされていました。

突然、たぬきの国の地下水が枯れてしまったのです。

それによって、国の水道はほぼストップし、食料の生産もままならなくなってしまいました。

このままでは、たぬきの国の民はみな死んでしまいます。

そこで、動物連合で緊急会議を開くことを、急いで決定しました。

【動物連合-国際会議】


たぬき王「というわけなのです」

きつね王「それは大変なことになってしまったな」

ねこ王「でも、なんでそんにゃことに?」

いぬ王「わが国の水源は、問題なさそうだよ」

たぬき王「しかし、異常が起きていることに違いはありません」

きつね王「そのとおり。それぞれに、いつ同じことが起こってもおかしくない。すぐに動物連の調査チームを送ろう」

きつねの王様は、一番の年長者で、王様としての経験も豊富でした。

きつねの王様の指示で、調査チームがすぐにたぬきの国に送られました。

その結果、とんでもないことが判明しました。

【アニマル湖】


Dr.ねこ「これは...」

Dr.きつね「アニマル湖の水量が減少し始めている?」

Dr.たぬき「そんな...でも一体どうして」

Dr.いぬ「おそらくここ最近の工業化のせいじゃないですか?」

Dr.たぬき「確かに、たぬきの国は水を使いすぎたかもしれないな」

Dr.きつね「きつねの国の対規模農業も大量の水を使っているしな」

Dr.ねこ「なにはともあれ、さっそく報告しにゃいと!」

たぬきの国を詳しく調べているうちに、原因はアニマル湖にあることがわかりました。

アニマル湖は、四つの国の中心にあり、その全ての国に水を供給しています。

たぬきの国は工業化によって大量の水を

きつねの国は大規模な農業によって大量の水を

ねこの国はネコジャラシの栽培に大量の水を

いぬの国は水源である森林を少しずつ開発していました。

これはまずいと思った四カ国は、再び会議を開くことにしました。

【動物連合-国際会議】


きつね王「これはまずいことになったな」

たぬき王「このままでは他の国にまでも影響が出てしまいますね」

ねこ王「しかし、一体どうすれば...」

いぬ王「ここはひとつ、他の大陸に助けを求めるというのはどうだろう」

きつね王「うーむ、確かにこのままでは埒が明かない。そうしよう」

アニマル大陸の隣には、サバナ大陸という大陸がありました。

サバナ大陸には、「ぞう」 「らいおん」 「とら」

の三つの種族が暮らしています。

動物連合は、三カ国が加盟する、「強国連合」に助けを求めることにしました。

強国連合からは、ぞうの国の大臣が代表としてやってきました。

対規模農業 → 大規模農業

昼に書き溜めてあった分を放出して今日は寝たいと思います。

コメントとっても励みになります、どうもありがとう。

【動物連合-国際会議】


ぞう大臣「水の供給地の湖が、水量を減らしているんですね?」

きつね王「そうなんだ、一体どうしたらいいだろうか」

ねこ王「このままじゃネコジャラシ栽培に影響が出てしまうにゃ」

ぞう大臣「水が減ったというのならば、使用量を減らしてみては?」

たぬき王「しかし、制限にも限界がありますので」

きつね王「できる限りは減らすが、みな水が必要なのだ」

ぞう大臣「それで助けを求められたのですね」

いぬ王「そうなんです」

ぞう大臣「なるほど、ではひとつ提案があります」

ぞうの国の大臣の提案により

飲み水などは、強国連合から一時的に支援してもらうことになりました。

その代わりに、アニマル大陸の各国から、一部の商品を安く輸出することにしました。

また、4カ国は、できるだけ水の使用量を減らそうという政策をとり始めました。

まず、いぬの国では、森林の開発をストップしようという動きが盛んになりました。

他の三カ国も、できるだけ水の使用を抑えました。

アニマル大陸は、ひとまず危機を逃れたのです。

そして、細かい取り決めを行うため、各国の代表が集められました。

【二連合-国際会議】


きつね王「今回の件。本当に、ありがとうございます」

ぞう大統領「いえ、困ったときはお互い様ですよ」

ねこ王「お礼に、わが国からはカリカリを安く輸出するにゃ」

らいおん首相「おお、あれは実に美味しい食べ物ですよ」

とら王「私も一度食べてみたいと思っていたんですよ」

ぞう大統領「私は...遠慮しておきます」

水量が戻るのにはもう少し時間がかかりそうですが

これをきっかけに、二つの大陸の関係が親密になったのでした。


【続く】

続きはできれば今夜中に投下します
今はもう少しお付き合いください


【各国データ】


-たぬきの国-

国民の数:3200万

面積:20万㎢

国内総生産(GDP):1兆円

工業国家


-きつねの国-

国民の数:3300万

面積:25万㎢

国内総生産(GDP):1兆円

農業国家


-ねこの国-

国民の数:2600万

面積:30万㎢

国内総生産(GDP):5000億円

発展途上であり、国土の多くが鉱山とネコジャラシ畑


-いぬの国-

国民の数:3000万

面積:25万㎢

国内総生産(GDP):8000億円

発展途上であり、森林を多く有する


-ぞうの国-

国民の数:2億5000万

面積:87万㎢

国内総生産(GDP):12兆円

世界屈指の経済大国


-らいおんの国-

国民の数:1億8000万

面積:70万㎢

国内総生産(GDP):8兆円

ぞうの国と並ぶ大国で、観光客も多く訪れる


-とらの国-

国民の数:9000万

面積:50万㎢

国内総生産(GDP):3兆円

治安が悪く、麻薬密売人と性犯罪者が横行している

【現状-今回のお話】


動物暦1030年の出来事。

30年がたち、動物連合の経済力も大きく発展した。

しかし、たぬきの国の水不足問題から

アニマル湖の水量が減少していることが発覚し

隣の強国連合に助けを求めた。

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