高垣楓「責任の取り方……ですか」 (6)

――居酒屋


P「ええ。俺も、もうそろそろ真剣に向き合わないと……」


楓(お酒で赤くしながら、プロデューサーはそう言った)

楓(ネクタイをとって、ボタンを外しているから、胸元が少しだけ見えちゃってる)



P「……みんな、アイドルとしての道を順調に……真っ直ぐに、歩んでくれています」

楓「ええ……あなたの、お陰で」

P「いえ、みんなの努力ですよ……とまぁ、兎に角お仕事は順調なわけで、幾らか余裕も出来てきました」

楓「はい」

P「そんなわけでして、俺も色々と考えまして」

楓「はい」

P「そろそろ、振り返らないといけないと思ったんです……俺たちの、関係を」

楓「……はい」

P「プロデューサーとアイドル……ただ、それだけじゃいけないと思って」

楓「はい」

P「責任を、取らないと……と、思いまして。見直しましょう、俺たちの関係を」

楓「……はいっ」




P「俺と――加蓮の、関係を」

楓「……はい?」

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楓(……ここで、加蓮ちゃん? 聞き間違い、かしら……)


店員「お待たせしましたー。鱚の天ぷらと梅酒のロックですー」

P「あ、ありがとうございます」

楓「ありがとうございます」



P「さて……」シャクシャク

楓「ふぅ………」グビッ


P「それで、加蓮のことですが」

楓(ああ、聞き間違いじゃなかった……)


P「本当に、よくやってくれてます。よく成長してくれたと思います」

楓「事務所に来たばっかりの頃はちょっとスレてましたからねぇ……」


楓「アンタがあたしをアイドルにしてくれるの?」

楓「でも期待はしないから。ま、よろしく……って」


P「モノマネ、上手いですね」

楓「よく、一緒にいましたからね……思い返すと、私も結構長い付き合いでした」


楓(プロデューサーの、次に)

P「初めてライブを大成功させた時の笑顔……」

『最っ高にキラキラのあたし、見せられた?』

楓「あの後の打ち上げも、この居酒屋でしたね……加蓮ちゃんはジュースでしたけど」



P「風邪で休んだ時も、俺に心配かけないように……」

『大丈夫。ちょっと疲れただけだよ』

楓「玉子酒を作ったけど未成年だったので……優しい味わいでした」



P「ブライダルの時なんか、不覚にも涙腺にきて……」

『アイドルにウェディングドレス……次は、どんな夢が一緒に見られるのかな』

楓「あの会場のシャンパン……また、飲みたいですね」



P「CDデビューの時も、もっと上を目指そうって、手を取り合って……」

『私、もっと上を目指したいなっ!』

楓「あの後の打ち上げも、ここでしたっけ。梅酒が美味しいです」



P「もうすっかり体力もついて、身体も丈夫になって」

楓「今じゃ立派なアイドル、ですね」

P「ええ。この前なんて、一緒に行った遊園地ではしゃぎっぱなしでしたよ」

楓「……あら」

P「辛いポテトが好き、みたいですね」

楓「……」



楓「それは、知りませんでした」

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