シンジ「ゼロさん!」 アスカ「ゼロ!」 ウルトラマンゼロ「おう!」完結編 (678)

☆このスレは
ウルトラマンゼロ「お前たち自身で決めるんだ!」シンジ「……!」
シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」ウルトラマンゼロ「……!」
シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」ウルトラマンゼロ「……!」 - SSまとめ速報
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シンジ「ゼロさん!」 アスカ「ゼロ!」 ウルトラマンゼロ「おう!」
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の続編です。


☆このスレはエヴァンゲリオン旧劇場版とウルトラマンゼロのクロスオーバーストーリーです。


☆独自設定、独自解釈などが頻出します。ご了承ください。


☆更新スピードは遅いです。気長にお付き合い下さい。


☆いつもたくさんの応援ありがとうございます。励みになります。
必ず完結いたしますので今回も何卒ご支援ご感想等よろしくお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375543956




これまでのあらすじ


 



第1部「決意の旅立ち」


サードインパクト後の地球。
生き残ったエヴァパイロットの碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーは、微妙な距離感を保ちながら孤独に生活していた。
そんなある日、二人の前に突如人型の怪物出現し、彼らを襲撃した。
なすすべもなく逃げ惑い、死を覚悟した二人の前に、宇宙から偶然通りかかったウルトラマンゼロ率いるウルティメイトフォースゼロ(以下、UFZ)が降臨、怪物を撃退し彼らを救出する。


二人から地球で起こったことを聞かされたUFZは、地球から脱出し、新しい星で暮らすことを二人に提案する。
葛藤の末、二人はそれを承諾。宇宙への旅立ちを決意するのであった。


脱出の間際、リリスと同化した綾波レイの妨害を受ける。
シンジがリリスの体内に取り込まれ、シンジと後を追い突入したゼロはリリスの中で綾波レイと復活した渚カヲルと接触する。
二人はカヲルからシンジとアスカを襲った怪物の正体がかつてのリリン、つまり人類だったことを告げられる。
そしてシンジの説得に綾波は応え、カヲルの協力もあり二人とLCLに溶けたかつての仲間に見送られながら、シンジとアスカは宇宙へと旅立った。


いくつかの星を回り宇宙を旅した末、二人は惑星エスメラルダへと預けられた。
王女エメラナの庇護の下、平穏な生活を送る事になった二人は、ついにお互いの想いを通じ合わせ、深い絆で結ばれることとなった。

 




第2部「輝ける明日」



第1部よりおよそ1年が経過。シンジとアスカは惑星エスメラルダで平和で充実した日々を送っていた。
UFZとの交流も続いており、ときどき7人で宇宙への旅に出かけることもあった。


そんなある日、ウルトラマンゼロに光の国から招集が掛かる。用件は『悪質な宇宙人が超エネルギーを備えた謎の槍を手に入れ暴れている』という情報を伝えることであった。
宇宙警備隊大隊長ウルトラの父は、その槍こそがシンジとアスカの地球に存在した『ロンギヌスの槍』である可能性があるとゼロに告げる。
ゼロは地球に於いて、『ロンギヌスの槍』と『エヴァンゲリオン初号機』があれば地球を復活させられるかもしれない、ということを聞いていた。
地球再興の可能性が生まれたことにより、ゼロはその手段を追求、可能であるなら実行することを決意する。


その頃エスメラルダでは、突如賊による襲撃を受け、シンジとアスカの暮らす町にも被害が及ぶ。
エスメラルダ軍と急行したUFZメンバー・ミラーナイトが奮戦するも、圧倒的数の前に苦戦を強いられる。
崩壊する町と必死に戦う仲間、そして怯える町の人々と愛するアスカ。
現状を前にして己の無力を嘆くシンジの声に応えるかのように、宇宙からエヴァンゲリオン初号機が飛来する。
初号機の暴走により賊のロボットは全滅させられるが、初号機も相討ちとなり、その活動を止めた。


ロンギヌスの槍とエヴァ初号機。かつて渚カヲルから聞かされた地球再興のキーアイテムが揃った。
ゼロは苦悩の末、シンジとアスカに地球を復活させる可能性があることを明かす。それはせっかく手に入れた二人の平穏な日々を奪いかねない通告だった。
やはりシンジとアスカも再び激しい葛藤に悩むが、アスカは常にシンジと一緒にいることを初めから決めていた。
そしてシンジも、自分の中の正直な思いと使命感に突き動かされ、地球に戻ることを決意する。


二人はエメラナを初めとする新しくエスメラルダで得た仲間たちに祝福されながら、UFZと共に最後の旅に出るのであった。

 




第3部「絆、そして」



シンジとアスカ、二人を乗せるUFZメンバー・ジャンボット、そしてウルトラマンゼロの4名は、地球に向かう途中、エヴァ初号機修理のため光の国に立ち寄る。
ヒビノミライことウルトラマンメビウスの歓迎を受けるが、エヴァの修理にはシンジとアスカの記憶を読み取り、審査する必要があるとミライは伝える。
激怒するゼロを抑え、二人は条件を承諾。ウルトラの父、母、宇宙警備隊隊長ゾフィー、そしてゼロの4名に自らの記憶を開示する。


無事エヴァの修理は受け入れられ、宇宙技術科学局にて修復が行われた。
ゼロの父、ウルトラセブンことモロボシ・ダン、ウルトラマンことハヤタ・シンによりその結果が告げられた。
シンジ達の記憶をもとにした装甲の再現、エスメラルダより送られた特製バッテリー、そしてウルトラ6兄弟の祈りにより命が吹き込まれ、LCLが無いことを除き初号機は修復を完了した。
シンジはテストの為初号機に再び乗り込み、エントリ―プラグの中で夢か現か、母親の碇ユイと再会する。


光の国を離れUFZのメンバーと合流、ついに一行は再び地球に到達。
そこに待ち受けていたのは、かつてシンジとアスカが地球で戦った使徒と、『ゼーレ』を名乗るロンギヌスの槍を携えた光の巨人だった。
ゼーレは使徒に転生したリリンの集合体であり、地球上のLCLを吸収、さらにカヲルと綾波を捕食してしまっていた。
激昂しジャンボットで挑みかかるシンジだったが、逆にロンギヌスの槍で刺されそうになったところをアスカとUFZメンバー・ジャンナインに庇われる。
シンジを庇ったアスカはゼーレに捕まり、LCLに還元、吸収されてしまう。


守り抜くと誓ったアスカを守れず、絶望に陥るシンジ。初号機を差し出し自らLCLに還元されようとするシンジ。
その時、ゼーレの体内から綾波レイが出現する。


『NERV本部……セントラルドグマへ……』


綾波からのメッセージ。そしてゼロの檄を受けたシンジは奮起。ゼーレをグレンファイヤーらUFZメンバーに任せ、ゼロと共に一路NERV本部を目指す。


NERV本部で待つものとは。ゼーレの正体とは。そして地球の未来の行方は。


全てに決着をつけるため、碇シンジとウルトラマンゼロは最後の戦いへと向かう―――!!


 

今日はここまで
次回より再開です

 
第1部「決意の旅立ち」
ウルトラマンゼロ「お前たち自身で決めるんだ!」シンジ「……!」

第2部「輝ける明日」
シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」ウルトラマンゼロ「……!」
シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」ウルトラマンゼロ「……!」 - SSまとめ速報
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第3部「絆、そして」
シンジ「ゼロさん!」 アスカ「ゼロ!」 ウルトラマンゼロ「おう!」
シンジ「ゼロさん!」 アスカ「ゼロ!」 ウルトラマンゼロ「おう!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368288662/)



一応貼っておくよ

>>10

あれ?
ごめん>>1にリンク有ったのね
専ブラの調子悪くて>>1が読み込めて無かった

再開


―――日本



シンジ(ここが、日本。中国と光景はほとんど変わらないけど、どこか懐かしく感じる)



ゼロ「シンジ、ネルフってのはどっちにあるんだ?」


ゼロ(……とはいっても、こんな状況で方角なんてわかるわけねえよな……)


シンジ「え、えっと……」オロオロ


シンジ(ここは日本のどの辺なんだろう。多分南の方向にNERV本部はあるんだろうけど定かではない)

シンジ(落ちてる看板の残骸を一つ一つ辿って行くなんて、そんな悠長なことをしてはいられないし)

シンジ(どうしよう、どうしたら……)

ゼロ(さて、どうするか……)




『―――』




ゼロ「!?」




『―――』




シンジ「ゼロさん?」

ゼロ「こっちだ!」ドヒュッ

シンジ「うわっ!?」



       キィィィィィ……ン



シンジ「ど、どうしたんですかゼロさん!? どうして方角が……」

ゼロ「声だ!」

シンジ「声?」

ゼロ「声が聞こえた、俺たちを呼んでる!」

シンジ「僕には聞こえませんでしたけど……」

ゼロ「すごく弱弱しい声だった、恐らくお前に聞こえるまでには届かせられないんだろう」

シンジ「どうして……誰が、誰の声だったんです? 信用できるんですか!?」

ゼロ「当たり前だろ、だって……うお!?」

シンジ「!?」


―――第三新東京市跡・ジオフロント上空



ゼロ「なんだこりゃ、大陸にでっけえ穴が開いてやがる……」

シンジ「この空洞がジオフロント、NERV本部のあるところです」

シンジ(第三新東京市……本当に着いた……)

ゼロ「で、その本部ってのはどこだ?」

シンジ「えっと、この穴を下に降りたところに……」

ゼロ「降りればいいんだな? よし」



       スゥー…



シンジ(一体誰が……?)


―――NERV本部跡前・ジオフロント



ゼロ「穴の下にまた大地か。変なところだな」

シンジ「あ……」

ゼロ「あの三角の建物がそうだな?」

シンジ「はい、そうです」

シンジ(戦自の襲撃で壊れてるけどまだあったのか……五百年も経ってるのに)

ゼロ「あの中に、何かがある。行くぜシンジ」

シンジ「はい……!」





                    ズズ……




ゼロ・シンジ「「!?」」





      ズズズズズズ……



シンジ「何かいる……!」




      ズオオオオ……




ゼロ「……!」

シンジ「あいつは……!」







ゼルエル「オオオオオオオ……」

ゼロ「ったく、どこまでもしつけえ奴らだ」

シンジ「こんなところにまで使徒がいるなんて……!」

ゼロ「……シンジ、分かってるな。ここからはお前一人で行くんだ」

シンジ「!!」

ゼロ「心配すんな、聞こえる声に従っていけばいい。俺もすぐに追いつく」

シンジ「ゼロさん……」

ゼロ「今のお前なら行ける。もうお前は立派な男だ、そうだろ?」

シンジ「……」


シンジ(ミサトさん。僕は今度こそ)


シンジ「はい、一人で行けます!」

ゼロ「良く言った」ニヤッ

ゼロ「じゃあ、建物のところに飛ばすぜ。中は知ってんだろ?」

シンジ「はい、たぶん大丈夫です」


      ズキュオン!


ゼロ「!!」

シンジ「うわ!」


      ドゴァァァァァ……!


ゼルエル「グォォォォォ……!」

ゼロ「へへ、ずいぶんとやる気満々のようだな」

シンジ「気を付けてゼロさん、あいつは……!」

ゼロ「分かってるって。どうやらさっきまでの奴らとは桁違いに強えみてえだな」

シンジ「……」

ゼロ「だが、俺はもっと強え。知ってんだろ?」

シンジ「……はい!」

ゼロ「あんな奴は俺一人でお茶の子さいさい、ってやつだ。だから何も心配すんな、行け!」ヒュパッ


         ヒュィィィィィィ!


 


―――NERV本部・正面口



      フワッ


シンジ「着いた……NERV本部」

シンジ(ゼロさんは……)クルッ



ゼロ「……!」コクッ



シンジ「……!」ペコッ


  クルッ   タタタタタタ……





ゼルエル「オオオオオオォォォォォ!」


ゼロ「さて、待たせたな! オラ行くぜ!」


       ドゴォン!


―――セントラルドグマ内・NERV本部廊下



    ズズゥ……ン       ドド……ン


シンジ(凄い音が響いてる。ゼロさんが戦ってるんだ)


       カツン     カツン     カツン


シンジ(暗い中をエメラナ鉱石の光を頼りに歩いて行く)

シンジ(中はボロボロ。弾痕や崩れたアスファルト、固まったままになってるベークライト)

シンジ(かつての記憶を頼りに、進めそうな道を探して歩いて行く)



      カサッ


シンジ「!」

シンジ(NERV職員の服だったもの、だろうか。風化してただの布きれになっている)

シンジ(これを着ていた人も、今はあのゼーレという生物の中で生きているのだろうか)


       ゾクッ


シンジ(アスカも、父さんもみんな、あいつの中に……!?)

シンジ(そんなの嫌だ! 早く、早く助けなきゃ!)

シンジ(……とはいえ、これからどうしたらいいんだろう)

シンジ(……ゼロさんは『声』が導いてくれると言った。いったい誰の声なんだろうか)




『―――』



シンジ「!」ビクッ




『シンジくん』



シンジ「だ、誰!?」



『こっちだ』



シンジ(この声は、まさか―――!?)




『これに、乗って』



     ウィィィィィ……    ガシャン



シンジ(エレベーター!? 電気が通ってるの!?)







     ガシャン      ウィィィィィ……


シンジ「……」


シンジ(これに乗って、下に、下に)

シンジ(この声の主が、僕を待ってる……!)


―――LCLプラント跡



???「……」


       ウィーン


シンジ「……」ザッ

???「やあ、よく来たね。シンジくん」

シンジ「……!」

???「ここは懐かしいね。僕と君が最初にお別れをしたところだ。もうリリスはいないけれど……」

シンジ「まさか、本当に……!」

???「本当に……戻ってきてしまったんだね」



シンジ「カヲルくん……!」

カヲル「お帰り、シンジくん」

シンジ「カヲルくん! カヲルくんだったんだね! 僕とゼロさんを呼んだのは!」

カヲル「……そうだよ」

シンジ「良かった! 本当に良かった! 無事だったんだね!」

カヲル「……」

シンジ「あの巨人がカヲルくんを食べたって言ってたけど、嘘だったんだ! でも、綾波は……」

カヲル「……いいや」

シンジ「!?」

カヲル「僕とリリス……ファーストは奴に喰われた。僕らは死んだんだ」

シンジ「で、でも今、目の前に……!」

カヲル「この体は死の間際に最後の力を振り絞って生み出した僕の残滓の結晶……幽霊みたいなものさ」

シンジ「幽霊……」

カヲル「この体はそう長くは持たない、今のうちに伝えられることを……」フラッ

シンジ「カヲルくん!?」

カヲル「ゴメン、大丈夫だよ」

シンジ「でも……!?」

カヲル「ここに逃げ込んでずっと眠ってたからね、初めて動かす体にまだ馴染んでないのかな」

シンジ「無理しないで、カヲルくん」

カヲル「大丈夫。それよりも聞いておいてくれ、この体が維持できている間に」

シンジ「……!」

つづく

再開

カヲル「君たちが地球を離れしばらくしたあと、リリンたちは突然食い合いを始めた」

カヲル「それは三百年以上にわたり、僕たち二人はただ眺めるしかなかった」

カヲル「僕らも襲われることもあったけど、そのたびにATフィールドで撃退してきた」

シンジ「……」


『タブリスなどリリスを最後まで庇っておった……元は反発し合う存在だったくせに、不可思議なものよ』


シンジ「カヲルくんは、綾波を……」

カヲル「……彼女から君を奪ったことに関しては僕も同罪だからね。罪滅ぼしのようなものだ、深い意味はないさ」

シンジ「……」

カヲル「……そして長い時が過ぎ、ついにリリンは一つになった」

シンジ「それが、ゼーレ……!」ギリッ

カヲル「そうか……彼は『ゼーレ』を名乗っているのか」

シンジ「カヲルくんはゼーレを知ってるの!? 確か組織の名前って聞いたけど……」

カヲル「SEELEとは簡単に言うと人類補完計画を実行することを目的とした巨大組織だ。NERVすらも裏から操り、君のお父様と繋がっていた」

シンジ「父さんと……!?」

カヲル「そう、そして僕をNERVに送り込んだのも、SEELEだ」

シンジ「……! それも、人類補完計画のため、だったんだね」

カヲル「そういうこと、さ」

シンジ「昔のことは……もういいよ。じゃあ、カヲルくんは人間だったころのあいつを知ってるんだね?」

カヲル「……分からない」

シンジ「え?」

カヲル「キール議長を初めとするSEELEの幹部の何人かは僕も顔を知ってる……でも、僕たちを襲ったあの男のことは知らない……思い出せないんだ」

シンジ「そう……」

カヲル「それでも奴の目的は変わらない、人類補完計画の完遂のはずだ。だから僕たちを襲った……!」

シンジ「!」

カヲル「驚いたよ。理性もなくただの獣と化していたリリンが、突如意志を持って僕たちを執拗に狙い続けたんだ」

カヲル「奴はゼーレの残党を名乗っていた。もちろん僕たちがアダムとリリスであることを知っていた」

カヲル「二人で逃げ続けたんだけど……ダメだったよ」ギュッ

シンジ「カヲルくん……」

カヲル「そして奴は完全な生命体になるため、君の持つ初号機を狙っている。フォースインパクトの発生がその転生の儀式となるんだ」

シンジ「!」ドキッ

カヲル「君たちがここに戻ってきたのも、同じ目的なんだね」

シンジ「……そうだよ」

シンジ「ここでもう一度フォースインパクトを起こして、皆と暮らせる世界を取り戻すんだ」

シンジ「そのために戻ってきたんだ! ゼロさんたちと、一緒に」

シンジ「それに、アスカもあいつに取り込まれちゃったんだ! 何としても助けなくちゃ!」

カヲル「……」

シンジ「……でも、槍はゼーレが持ってる。アダムとリリスも……ゼーレの中にあるんだよね」

カヲル「……そうだね」

シンジ「こっちにあるのは動かせない初号機だけ……僕はどうしたらいい? カヲルくん」

カヲル「初号機はどこにあるんだい?」

シンジ「うん、ここに……」ゴソゴソ

カヲル「? このカプセルかい?」

シンジ「そうだよ。ゼロさんの星の技術で、この中に入れてもらってるんだ」

カヲル「へえ、すごいね」

シンジ「稼働には問題ないように修復はしてもらってるんだけど、LCLが無いんだ」

カヲル「……」

シンジ「ねえカヲルくん、これから僕は……」



???「ほう、初号機はそこにあったのか」



シンジ・カヲル「「!!?」」


―――ジオフロント



     ドゴォォオオン!!


ゼロ「ぐあっ!!」ドドォッ

ゼルエル「ガァァァァ……!」


    バラバラバラ……       シャッ!


ゼロ「!」


      ギュルルルルル!

             
ゼロ「ぐっ……!」ギリリッ

ゼロ(絞め殺すつもりか……!)

ゼルエル「ハァァァァ……」

ゼロ「ッ……!」ギチチッ


   ピコン    ピコン    ピコン


ゼロ(ちぃ……さすがにこの地球に来てちょっと飛ばし過ぎちまったか……)

ゼルエル「グルルルルルル……」ギュッ

ゼロ「う……」ガクッ


   ピコン    ピコン    ピコン



『あんたバカァ!?』



ゼロ(アスカ……)



『んで?私らをどこへ連れてこーってのよ人さらいエイリアン!いいとこ連れて行かないと承知しないわよ!』


『あんたたちには宇宙を守る他に私たちのガイドって仕事があるんだから』


『何よ! 英雄のくせにケチケチしたこと言わないでよ! だいたいあんたは初号機運んでるんだから食べる暇ないでしょ!』


『ゼロ!』



ゼロ(……アスカ、すまねえ)

ゼロ(俺たちはお前を守ってやれなかった、約束を守れなかった)

ゼロ(だが、あの野郎の中でまだ生きてるんだとしたら、必ずお前をシンジと助けに行く!)



『ごめんゼロ、みんな。その意気地なしのこと、もう少しだけよろしくね』



ゼロ(俺には聞こえた! お前からシンジを俺たちに託したその声が!)

ゼロ(すまん、もう少し待っててくれ! アスカ!)



『まだだ。まだ終わりじゃない』


ゼロ(まだ、守るべきものがある)


『僕たちはまだ、守れるんだ!』


ゼロ(まだ、俺は戦える!)


ゼロ(ダイナ……コスモス……!!)


ゼロ(俺に……力を貸してくれ!!!)



     ギュァァァァァァァァァァァ!!



ゼルエル「!!?」




ゼロ「ストロングコロナ! ゼロ!!」ギャーン!


     ガシッ

ゼルエル「!?」

ゼロ「うおおおおおおおおおおお!!!」


   ブチッ   ブチブチブチィ!


ゼルエル「ギャアアアアアア!」

ゼロ「決めさせてもらうぜ!」ザッ


    ピコン  ピコン  ピコン

ゼロ「ガァァァルネイトォ……」ズズズ……


ゼルエル「!!」カッ!



ドッガァァァァ・・・・・・ン!!



ゼルエル「……」






       キラン


ゼロ「バスタァァァァァァ!!」



      ズババババババ!



ゼルエル「!!」



      ズドガガガァァァァァァァァン!!

ゼルエル「ガ……」バチバチッ


     
      ズドォォォォ……!


ゼロ「ハァッ……! ハァッ……!」


      キュウウウウ……ン


ゼロ(人間体)「はぁ、疲れた……しばらくは変身は無理だな……」フゥ

ゼロ「さて、っと」

ゼロ(さっき聞こえた声……)


『ウルトラマンゼロ、こっちだ』


ゼロ(シンジ、カヲルには会えたか?)

ゼロ「シンジ……! 今行くぜ……!」ザッ


―――LCLプラント跡



シンジ「だ、誰!?」


     カツン   カツン


???「私からは逃げられん、この地球のどこへ行ってもな」


シンジ「この声は……!」

カヲル「……!」

シンジ「ゼーレ……いや、違う!?」


     カツン

カヲル?「貴様もしぶといな、タブリス」



シンジ「カ、カヲルくんが、もう一人……!?」

カヲル?「私はタブリスだが、そこのタブリスではない」

カヲル「お前はゼーレだな……!」

シンジ「ど、どういうこと!?」

タブリス「私は全ての使徒を生み出せるといったはずだ。タブリスとて例外ではない」

タブリス「もっとも、意志は私自身のものであるがな」

シンジ「カヲルくん、タブリスって……」

カヲル「使徒としての僕の名だよ」

タブリス「さて、初号機だが……」

シンジ「!!」ビクッ

カヲル「……!」

タブリス「……ふん。仲間を失い只のガキとなったサードと消えかけの幽霊、今となってはどうとでもなる」

シンジ「……」

タブリス「何より、私の本体が来ねば話にならんからな」

カヲル「……」

シンジ「……お前は」

タブリス「?」

シンジ「お前は一体、何者なんだ……?」

タブリス「ふ……ふっふっふっふ……」

シンジ「!?」

カヲル「……」

タブリス「本体の来るまでの余興だ。エヴァパイロットの貴様には教えておいてやろう」

シンジ「……!」

タブリス「私の悲願を、な」

つづく

再開

タブリス「そも、SEELEとは『人類補完計画』の推進を目指していた組織だ」

タブリス「そして『人類補完計画』の真髄は『全ての生命を統合し、新たな生命体として生まれ変わること』」


シンジ(人類補完計画……カヲルくんも、地球を脱出する日に同じことを言ってたな)


タブリス「貴様の父、碇ゲンドウは私欲のために人類補完計画を利用しようとしたそうだが、最後にリリスに裏切られたようだな。哀れな奴だ」

シンジ「!」

タブリス「そしてSEELEの思惑通りサードインパクトは引き起こされた。結果的には貴様のせいで失敗に終わったがな。ともあれ、SEELEは目的を果たしたのだ」

カヲル「……」

タブリス「……だが、それはあくまで組織の目的の話だ」

シンジ「ど、どういう意味?」

タブリス「私には私個人の目的があったということだ」

カヲル「それは……」

タブリス「諸君、考えても見ろ。新たな生命体として生まれ変わる? 何だそれは?」

タブリス「その新たな生命体とは何者なのか? どういった存在なのか?」


シンジ(確かに……話を聞いた限りではSEELEの目的は漠然としすぎている)


タブリス「それを突き詰めようともせず、キールたち上席どもは狂った宗教観で死海文書を妄信し計画を強引に推し進めた」

タブリス「そこで私は考えたのだ」ニヤリ

タブリス「私だよ。私こそがその新たな生命体として生まれ変わり、世を支配してやろう、とな」

シンジ「……!」

タブリス「私が人類補完計画のことを知った時、私はSEELEの中でも下の下の存在だった」

タブリス「人類補完計画のより中心に位置せんがため、そこから死に物狂いで幹部の席を目指した」

カヲル「そうすれば人類補完計画の内容に干渉できると思ったのかい?」

タブリス「人類補完計画の全容を把握する必要もあった。私が新たな生命体になるための情報が足りな過ぎたのだ」

タブリス「だが、私がやっと幹部として席を並べられるようになる頃には、人類補完計画もすでに終盤だった」

タブリス「そこのタブリス……いや、便宜上フィフスと呼ぼうか。フィフスをNERVに送り込む段階となっていた」

シンジ「あの時……」

シンジ(アスカが苦しんでて、綾波も死んで、僕も何もできなかった。みんなバラバラだったあの頃……)

カヲル「そうか、お前はあの湖のモノリスの一つにいたのか……」

タブリス「貴様は私の顔すら知るまい。私自身キールとも数回会ったくらいのものなのだからな」

カヲル「SEELEは相当焦っていたようだね。やけにモノリスが増えていておかしいと思っていたよ」

タブリス「貴様をNERVに送り込むのも苦肉の策だった。だがやはりこれも失敗に終わる」

タブリス「サードチルドレン。覚えているか? その手でそこにいるフィフスを握りつぶした日を」

シンジ「!!」ギクッ

カヲル「シンジくん、彼の言うことに耳を貸してはいけない」

シンジ「う、うん……」

タブリス「……ふん」

タブリス「どうしてもサードインパクトを起こしたいSEELEはついに強硬手段に出た」

シンジ「戦略自衛隊の、攻撃……!」

タブリス「そうだ。遂にキールたちは上席だけであの攻撃を日本政府に命令、決行した」

カヲル「上席だけ?」

タブリス「私は最後の席に呼ばれることもなく、結局何もできずにLCLに溶かされた」

タブリス「あの時私はキールの前にいた……だが奴は」



 


――――――五百年前・サードインパクト時



―――SEELE本部




      ダダダダダ


   ガチャ    バァン!



『キールッ!! 貴様ァ!!』

キール・ローレンツ(以下、キール)『よく来たな。人類の悲願は無事達成された』

『ふざけるな! 何を勝手な事を! 俺の悲願はそんなことじゃない!』

キール『死海文書に基づいた大いなる意志の結果だ。君個人が何を企もうが取るに足らんことよ』

キール『それは一時はSEELE幹部まで上り詰めた君も重々承知しているのではないのかね?』

『うぐっ……! ……は!』

キール『来たか』




     ウフフフフフフ   
             アハハハハハ



『あああ……! リリス……! く、来るな!』

キール『始まりと終わりは同じところにある』

『……!』

キール『良い。すべてはこれで良い』パシャッ カラン

『ヒッ……! 嫌だ……嫌だぁぁぁぁぁぁ!!』


       パシャッ



――――――現在



タブリス「満足そうに消えおって……結局奴も世のことなど考えておらん、自分の満足する結果であればそれでよかったのだ」


タブリス「だが、ただ他人と同化し永遠に生きるなど私は断じて受け入れられん!」

タブリス「LCLに無理矢理溶かされたあの瞬間も私は最後まで諦めなかった!」

タブリス「私は神になる! その強い執念を持ちつつけたが故、私は使徒として転生し、生存闘争を勝ち抜いてこの自我を取り戻したのだ!」

シンジ「……」

タブリス「私はついに選ばれたのだよ。人類補完計画の果て、唯一の生命体となる権利をな!」

シンジ「そんな……」

タブリス「?」

シンジ「そんなお前たちの身勝手な欲望のために、ずっとみんなを利用していたのか……!」

タブリス「そういうことだな。貴様らエヴァパイロットが必死に使徒と戦っていたのも、全ては死海文書に書かれた筋書き通りだったのだよ」

タブリス「だが結果的に人類はLCLに還元、私の一部となり今も永遠に幸福な時を過ごしている」

タブリス「素晴らしいこととは思わんかね?」

シンジ「……思わない」

タブリス「ほう、それゆえ貴様は依り代に選ばれながら神になれる権利を手放したのだな。所詮は子供、愚かなことを」

タブリス「もっとも、貴様がそれを拒絶してくれたおかげで私は転生できたのだ。感謝するよ。クックック」

シンジ「でも僕は、そのおかげでアスカにまた会えた、ゼロさんたちにも会えた……!」

シンジ「LCLの中なんかよりも、僕は本物のみんなにまた会いたいんだ!」

カヲル「シンジくん……」

タブリス「もういい、どうあっても初号機を渡すつもりは無いというんだな?」

シンジ「そういったはずだ! 僕はもう一度みんなと……」

タブリス「では、貴様は一人で孤独に死ね」チャキッ

シンジ「!!」

シンジ(け……拳銃!?)

タブリス「戦自の落し物だろうな、五百年経っても使えるか試すとしようか」グッ

シンジ「うわっ!」

カヲル「シンジくん!」バッ


       ズドォン!


 




ガキィィィン!


カヲル「ハァ……! ハァ……!」ブゥ…ン

シンジ「カヲルくん!」

タブリス「はっはっは、無理をするなフィフス。今の貴様ではATフィールドを展開するのも辛かろう」

カヲル「シンジくんに……手を出すな……!」

シンジ「カヲルくん……」

カヲル「彼は……最後の希望だ……!」

タブリス「使徒の分際で最後までリリンに肩入れするか。ならばその強がりが後どれだけ持つかな?」カチャッ

カヲル「くっ……!」
      
シンジ「や、やめろ!!」
      

      ズギュン!

 



       ギィン!

タブリス「うぐっ!?」


   カラン     カラカラカラ…


シンジ「!?」

カヲル「あれは……!」


ゼロ(人間体)「そこまでだ!」スチャッ


シンジ「ゼロさん!」

タブリス「貴様……!」

ゼロ「驚いたかシンジ? このウルトラゼロアイは光線銃にもなるんだ」

シンジ「ゼロさん、無事だったんですね!」

ゼロ「へへ、当たり前だろ!」

カヲル「……」

ゼロ「久しぶりだな、カヲル。俺が分かるか?」

カヲル「もちろんだよ、ウルトラマンゼロ。」

タブリス「……」

ゼロ「こんなとこまでいやがったとはな。しかもカヲルの偽者に化けるとは趣味の悪い野郎だ」

タブリス「……ふん」

タブリス「あの連戦の後にまだゼルエルを退ける体力が残っていたとはな、貴様にはほとほと驚かされる」

シンジ「ゼロさん、こいつは」

ゼロ「ああ、だいたい聞こえてた。要はこいつらSEELEって奴らがシンジとアスカをエヴァに乗せて酷い目に合わせてやがったんだな……!」

タブリス「人聞きの悪いことを。それでも彼らが一時期とはいえ使徒の脅威から人類を守っていた『英雄』であったことには変わらんのだぞ?」

ゼロ「冗談じゃねえ! 自分たちの目的のために子供に無理矢理戦わせていた野郎が何を偉そうに言ってやがる!」

タブリス「では誰が使徒の脅威から地球を守った? お前か?来訪者」

ゼロ「……!」

タブリス「エヴァが開発された時……いや、地球にアダムとリリスが漂着したときからこうなる運命だったのだ」

タブリス「少なくとも現状では、倫理観だけでどうにかなる問題ではなかったのだよ」

ゼロ「だからって……!」

タブリス「ところで来訪者よ。貴様の信念とやらもフィフスやリリスの記憶を通じて知っている」

ゼロ「何……?」

タブリス「先の戦闘で私の本体に本気で攻撃しなかったのは、私が地球人だからだろう?」

ゼロ「!!」

シンジ「ゼロさん……」

タブリス「図星だな。私もこの体と力を手に入れたとはいえ元は地球人だ。そこの小僧も地球人。地球人同士の問題に貴様の立ち入る隙がどこにある?」

ゼロ「……」

タブリス「さらにショックなことを聞かせてやろうか?」

タブリス「貴様の倒してきた使徒。あれは私が生み出したものだが、本来使徒はリリンと同じ地球に栄えるはずの生物だった」

シンジ「!?」

タブリス「地球にとっては人類よりも先に生息していたいわば先住民なのだよ」

ゼロ「……!」

シンジ「カ、カヲルくん! それって……!?」

カヲル「……彼の話は本当だよ。使徒とリリンの違いはアダムから生まれたか、リリスから生まれたか。それだけの違いなんだ」

タブリス「使徒と人類の戦いも広く見れば自然界にも起こり得る生存競争のようなものだった」

タブリス「SEELEはその争いを人類補完計画によって幕引きとしたのだ」

ゼロ「……」

タブリス「なあ来訪者よ、君はなぜここにいる? なぜ私と戦う?」

タブリス「君にしても槍を運んだ宇宙人にしても本当に感謝している。槍も初号機も素直に差し出すなら命まで取るつもりは本当になかった」

タブリス「使徒を差し向けたのも初号機を晒させるためだ、初号機が回収できれば使徒もすぐに引き上げさせたさ」

シンジ「今更そんなこと……!」

タブリス「お前は黙っていろ! さあ来訪者、いい加減地球のことに首を突っ込むのはもうやめて宇宙に帰ったらどうだ」

ゼロ「……」

タブリス「それとも、あくまで私と対立するか? 私は地球の神として、地球の秩序を脅かす侵略者と戦わねばならんが……」

ゼロ「……俺は」

ゼロ「俺は、自分の信念に従って戦うだけだ」

タブリス「ほう、それは信念と言えるのか? 身勝手な自己満足ではないのか?」

シンジ「ゼロさんを侮辱するな!」

ゼロ「シンジも、アスカも、俺の大事な仲間だ。仲間のために戦うことの何がおかしい」

タブリス「仲間……? 笑わせる、宇宙人のくせに地球のガキどもと仲間だと?」

ゼロ「そうだ、宇宙を超えた絆ってのが俺たちにはあるんだ!」

シンジ「ゼロさん……!」

タブリス「フン、話にならんな」

ゼロ「……お前にはいねえのかよ? 大事な仲間が」

タブリス「……なに?」ピクッ

ゼロ「何が唯一の生命体だ。そんなのただの一人ぼっちじゃねえか」

タブリス「!」

ゼロ「神になってどうするってんだ。永遠に地球で孤独に生きるつもりか?」

タブリス「……」

ゼロ「お前も地球人だろ! 人と人の繋がりの温かさを知ってるはずだ!」

タブリス「……れ」

ゼロ「孤独の先に何がある! 絆を大事にして生きて行くのが俺の知ってる地球人だろうが!」

タブリス「黙れ」

ゼロ「思い出せ! お前にも家族や仲間が……」

タブリス「黙れェェェェェ!!」


      チャキッ   ズドン!


 

ゼロ「ぐあっ!」ドサッ

タブリス「フーッ!! フーッ!!」

シンジ「ゼロさん!!」

カヲル「!! もう一つ銃を隠していたのか!」

タブリス「何が絆だ、何が仲間だ……! 宇宙人に地球人の何が分かる!」

タブリス「いらない……! 仲間も家族もいらない! 他人など必要ない!」

タブリス「私が絶対なる唯一の存在であればいいのだ!」チャキッ

シンジ「!!」ビクッ

ゼロ「しまっ……!」

タブリス「死ねェェェェェ!!」



      
          ズガァン!



 






シンジ「……?」


       カラン


タブリス「……がはっ」ガクッ

ゼロ「!?」

カヲル「……」チャキッ

シンジ「カヲルくん!?」

タブリス「フィフス……! 貴様……!」

カヲル「油断したな……! 僕にだってこれくらいの備えはあったさ……!」

タブリス「く……」ドサッ

ゼロ「カヲル……」

シンジ「ゼロさん! 大丈夫ですか!?」ダダッ

ゼロ「おう、なんともねえよ」パッパッ

シンジ「で、でも今撃たれたんじゃ……」

ゼロ「平気だって、ほらこの通り」ムキッ

シンジ「そうですか、よかった……」ホッ

ゼロ「心配かけたな、それより……」



タブリス「く……クックック……」



一同「!!?」

タブリス「今更……何をしても意味はない……」

ゼロ「どういう事だ!」

タブリス「もうすでに、私の……本体が……こ、ここに向かっている……!」

シンジ「!!?」

ゼロ「なんだと!?」

タブリス「逃げても無駄だぞ……すでに大気圏を覆うATフィールドは展開してある……地球のどこに逃げても……初号機の居所は感じ取れる……」

タブリス「貴様らまとめて殺してやる……せいぜい……震えて待つんだな……!」

ゼロ「お、俺の仲間はどうした!?」

タブリス「奴らは……予想外に抵抗した……面倒になったので全員……ディラックの海に沈めてやったわ……!!」

シンジ「!!」

ゼロ「てめえ……!」

タブリス「もう謝っても許しはせん……後悔しながら死ぬがいい……! は……はっはっは……!」


       スゥ


シンジ「消えた……!」

つづく

再開

ゼロ「くそっ!! あの野郎、よくも俺の仲間を……!」

カヲル「ウルトラマンゼロ、落ち着いて」

ゼロ「カヲル、だがよ!」

カヲル「ディラックの海は異空間だ、沈められてもただちにどうこうなるということはない」

ゼロ「そ、そうなのか?」

カヲル「君の仲間は異空間に閉じ込められた、というべきだろう」

ゼロ「死んだわけじゃないんだな、よかった……」ホッ

カヲル「ただ、あまりに長時間いると何か影響がないとも言い切れない」

ゼロ「なにぃ!? じゃあ救出する方法は……」

カヲル「今のところは……無い」

シンジ「そんな……!」

ゼロ「待てよ、今のところは、って言ったな? じゃあ何か方法はあるんだな?」

カヲル「……」

シンジ「カヲルくん……?」

カヲル「……ある。ひとつだけ」

ゼロ・シンジ「「!」」

カヲル「ただし、成功する保証はない。失敗したら確実に死ぬだろう」

シンジ「……」


ゼロ(カヲル……シンジに命の危険があるからすぐに言いださなかったのか……)


カヲル「それでも、やるというなら……」

シンジ「今更だよ、カヲルくん」

カヲル「!」

シンジ「僕は絶対にアスカや皆を助ける。そのために戻ってきたんだ。覚悟はもう決めてるよ」

カヲル「……分かったよ、シンジくん。それにウルトラマンゼロ」

ゼロ「おう!」

カヲル「この作戦には君の協力が必要不可欠だ。力を貸してくれるかい?」

ゼロ「当たり前だろ! 何でも言ってくれ!」

シンジ「……」

カヲル「よし、じゃあまずは……」











――――――30分後



―――第三新東京市






 





      ズン   



      ズン      



      ズン!



ゼーレ「飛行能力が無いのは不便でならんな。やはり移動に時間がかかるのが煩わしい」

ゼーレ「だが、完全な生命体になりさえすれば飛行など容易いことだろう」

ゼーレ「もうすぐ、もうすぐ完全体に……む?」

ゼーレ「あ……あれは……!!」

ゼーレ「お…………おおお…………!!!」







初号機「……」







ゼーレ「初号機が……! エヴァンゲリオンが帰ってきた……!!」

ゼーレ「紫の装甲、精悍なる佇まい、まさしく夢にまで見た初号機よ……!!」

ゼーレ「す、素晴らしい! これで完全体になれる……!」

ゼーレ「……が」






ゼーレ「ふ……ふっふっふ……」






ゼーレ「何のつもりか知らんが、私にはわかるぞ……!」







ゼーレ「中にいるのだろう? ……サードチルドレン!!」






シンジ「……!」




 



ゼーレ「貴様が乗りこめているということは……LCLがまだ残っていたのか? タブリスのやつめ」

ゼーレ「だがまあいい。初号機さえ手に入れば、私の悲願は達成される!」

ゼーレ「そして小僧。最後まで私と戦うつもりでいるのだな?」

ゼーレ「逃げずに立ち向かってきた勇気は褒めてやろう。貴様の挑戦を受けてやる!」

ゼーレ「さあ来い! サードチルドレン!!」ジャキッ!









ゼロ『覚悟はいいか、シンジ』

シンジ「……はい」






シンジ(行こう、母さん)






初号機「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!」


 

つづく

すみません、今回の分(>>112->>120)を細部訂正して投稿し直します

ゼロ「くそっ!! あの野郎、よくも俺の仲間を……!」

カヲル「ウルトラマンゼロ、落ち着いて」

ゼロ「カヲル、だがよ!」

カヲル「ディラックの海は異空間だ、沈められてもただちにどうこうなるということはない」

ゼロ「そ、そうなのか?」

カヲル「君の仲間は異空間に閉じ込められた、というべきだろう」

ゼロ「死んだわけじゃないんだな、よかった……」ホッ

カヲル「ただ、あまりに長時間いると何か影響がないとも言い切れない」

ゼロ「なにぃ!? じゃあ救出する方法は……」

カヲル「今のところは……無い」

シンジ「そんな……!」

ゼロ「待てよ、今のところは、って言ったな? じゃあ何か方法はあるんだな?」

カヲル「……」

シンジ「カヲルくん……?」

カヲル「……ある。ひとつだけ」

シンジ「!」

ゼロ「その作戦ってーのは、俺の仲間を救出するだけじゃねえ、全てにケリをつけられるもんなんだろ?」

カヲル「!」

ゼロ「どうなんだ、カヲル」

カヲル「……その通りだ」

シンジ「じゃ、じゃあ……!」

カヲル「これが唯一ゼーレに対抗できる、そしてシンジくんの望む世界を取り戻すための作戦だ」

ゼロ「上等じゃねえか、教えてくれ」

カヲル「ただし、成功する保証はない。失敗したら確実に死ぬだろう」

シンジ「……」


ゼロ(カヲル……シンジに命の危険があるからすぐに言いださなかったのか……)


カヲル「それでも、やるというなら……」

シンジ「今更だよ、カヲルくん」

カヲル「!」

シンジ「僕は絶対にアスカや皆を助ける。そのために戻ってきたんだ。覚悟はもう決めてるよ」

カヲル「……分かったよ、シンジくん。それにウルトラマンゼロ」

ゼロ「おう!」

カヲル「この作戦には君の協力が必要不可欠だ。力を貸してくれるかい?」

ゼロ「当たり前だろ! 何でも言ってくれ!」

シンジ「……」

カヲル「よし、じゃあまずは……」















――――――30分後



―――第三新東京市














      ズン   



      ズン      



      ズン!



ゼーレ「飛行能力が無いのは不便でならんな。やはり移動に時間がかかるのが煩わしい」

ゼーレ「だが、完全な生命体になりさえすれば飛行など容易いことだろう」

ゼーレ「もうすぐ、もうすぐ完全体に……む?」

ゼーレ「あ……あれは……!!」



ゼーレ「お…………おおお…………!!!」







初号機「……」







ゼーレ「初号機が……! エヴァンゲリオンが帰ってきた……!!」

ゼーレ「紫の装甲、精悍なる佇まい、まさしく夢にまで見た初号機よ……!!」

ゼーレ「す、素晴らしい! これで完全体になれる……!」

ゼーレ「……が」



ゼーレ「ふ……ふっふっふ……」






ゼーレ「何のつもりか知らんが、私にはわかるぞ……!」







ゼーレ「中にいるのだろう? ……サードチルドレン!!」






シンジ「……!」

ゼーレ「貴様が乗りこめているということは……LCLがまだ残っていたのか? タブリスのやつめ」

ゼーレ「だがまあいい。初号機さえ手に入れば、私の悲願は達成される!」

ゼーレ「そして小僧。最後まで私と戦うつもりでいるのだな?」

ゼーレ「逃げずに立ち向かってきた勇気は褒めてやろう。貴様の挑戦を受けてやる!」

ゼーレ「さあ来い! サードチルドレン!!」ジャキッ!









ゼロ『覚悟はいいか、シンジ』

シンジ「……はい」






シンジ(行こう、母さん)






初号機「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!」

つづく

続きはまた晩に

再開


――――――30分前



―――NERV本部・メインシャフト



      カチッ    ポイッ


    ヴィィィィィィィィン!


初号機「……」




カヲル「確かに初号機だ」

シンジ「ホ、ホントに出た……!」

ゼロ「何だよ、信じてなかったのか?」

シンジ「いや、さすがに驚きますよ……」

ゼロ「それもそうか」

カヲル「素晴らしいよ、このインターフェース・ヘッドセット。かつてシンジくんが使っていたものが完全に再現されているんだね」

ゼロ「な! カラーリングもいいだろ!」

シンジ「ゼロさんの星で作ってもらったんだ、あのバッテリーはまた違う星で……」

カヲル「エヴァを動かせるのは正直無理だと思っていたけど、これなら格段に作戦の成功率が上がる」

ゼロ「何だよ、エヴァが動かなくても使える作戦だったのか?」

カヲル「最悪の場合はね。動かせるに越したことはないよ」

シンジ「でもカヲルくん、さっきも話したけどLCLが……」

カヲル「心配には及ばない、LCLはあるよ」

シンジ「え!?」

ゼロ「あの野郎が全部吸収しちまったって言ってたじゃねえか」

カヲル「彼だってLCLの全量を把握できているわけじゃないよ」

シンジ「じゃあ、どこに……」

カヲル「メインシャフトのLCLタンクの中さ。丁度エヴァ出撃に必要な一回分を確保してある」

カヲル「彼は地球中のLCLを吸収しつくしたつもりだったようだけれど、これには気づかなかったようだね」

ゼロ「よく用意できたな……あいつに追われながら集めたのか?」

カヲル「……」

シンジ「カヲルくん?」

カヲル「……この基地を直したのは、僕一人じゃない。ファーストも一緒だった」

シンジ「綾波も?」

カヲル「リリンたちから逃れるためにここに逃げ込んだとき、退屈しのぎに直したんだ。二人とも資料とか読んで一から勉強して、いい暇つぶしになったよ」

ゼロ「待てよ、ってことはあのゼーレって奴が現れる前から直してたってことか?」

カヲル「そういうことだね」

シンジ「暇つぶしとはいえ、どうしてそんなことを……」

カヲル「……ファーストがね、言ってたんだ」

シンジ・ゼロ「「?」」

カヲル「もし、もし君たちがここにエヴァとロンギヌスの槍を伴って帰ってきたとき、きっと必要になる」

カヲル「だから、少しでも直せるところは直しておいた方がいい、ってね」

シンジ「……」

カヲル「僕は言ったんだ。彼らは帰ってこない。遠い星で幸せに暮らしているだろう、と」

カヲル「彼女も少し笑って、そうだといい、って答えた。でも、僕たちはここの修理は止めなかった」

カヲル「僕は暇つぶしのつもりだったけど、まるで彼女は本当に君たちが帰ってくると思ってたみたいだった」

カヲル「その様子を見てると、なんだか僕も不思議とそんな気がしちゃってね……」

ゼロ「カヲル……」

カヲル「彼女は最後まで言っていた」

シンジ「……」







――――――数百年前



―――地球のどこか



       ズドォォォン!


カヲル『くっ……!』

ゼーレ『フハハハハ! 逃げられると思うな! 諦めて我が力の一部となれ!』

カヲル『ATフィールドも通用しない、このままじゃ……!』

レイ『聞いて』

カヲル『!?』

レイ『彼らが帰ってきたら、NERVに行くように伝えましょう』

カヲル『レイ、君はまだ……』

レイ『それだけは忘れないで。ここで殺されたとしてもどんな手段を使ってでも伝えるって、約束して。お願い』

カヲル『……!』


       ズガァァン!
 

カヲル『うわっ!』

ゼーレ『ククク……! 追い詰めたぞ!』

カヲル『くそ……!』

レイ『約束、して』

カヲル『……分かったよ、レイ。約束する』

レイ『……!』ニコッ

カヲル『だが君は死なせない』

レイ『え?』

カヲル『シンジくんにそう誓った。僕が勝手に決めたことだけどね』

レイ『カヲルくん……!』

カヲル『ATフィールド、全開!!』



      ギュイイイイイイイン!



カヲル『さあ、今のうちに……!』

ゼーレ『フン、くだらん』グォッ


      ガッシャアアアアアアアン!


カヲル『うああっ!』ドサッ

カヲル『レイ……はっ!』

ゼーレ『くっくっく……まずはリリスからにしようか』ギリッ

レイ『ううっ……!』

カヲル『やめろ! 彼女を離せ!』

ゼーレ『必死だな、タブリス。だがそう寂しがることは無いぞ? 貴様もすぐに私の一部となるのだ』カパァ

カヲル『やめろ……やめてくれ……!』




レイ(カヲルくん)

カヲル(!!)

レイ(ありがとう)ニコッ




         バクン



 

カヲル『……!』

ゼーレ『おおお……力が漲る……! これがリリスの力……! ……む?』

カヲル『……』ポロポロ

ゼーレ『ほほう、貴様がそんな表情をするとはな。タブリス』

カヲル『……』

ゼーレ『一丁前にヒトの心でも持ったのか? 使徒の分際でおかしなやつだ』

カヲル『……』






カヲル(なんで僕はこんなに必死になっているんだろう)

カヲル(この感情はなんだろう)

カヲル(もっとシンジくんやレイと話せていたら、もっと人の心が僕にも理解できたのだろうか)

カヲル(どうして、今になって人の心が知りたくなるのだろう)




 

ゼーレ『貴様を喰らえば後はロンギヌスの槍と初号機がここに戻るのを待つのみよ』

カヲル『……』

ゼーレ『何年先になるかは分からんが、初号機も槍も必ずここに来る。使徒が引かれ合ったようにな』

カヲル『……』

ゼーレ『もう答える気力も沸かんか。さて、貴様の持つアダムの力も戴こう』グワッ





カヲル(約束、忘れない)

カヲル(待ってるよ、シンジくん、セカンド)

カヲル(そして、ウルトラマンゼロ)





       バクン




 


――――――現在



カヲル「……」

ゼロ「カヲル、俺を恨んでるか?」

カヲル「!」

シンジ「ゼロさん!?」

ゼロ「遠い星で平和に暮らしてたシンジを、またここに連れてきちまった」

ゼロ「シンジの幸せを願っていたお前にとって、俺は……」

カヲル「恨んでなんかいないよ、ただ……戸惑ってるんだ」

シンジ「戸惑ってる?」

カヲル「僕はシンジくんとセカンドがどこかで幸せに暮らしていくことを心から望んだ」

カヲル「なのに僕はゼーレに襲われた後も、幽霊になってまでここに来て、長い時間をかけてNERV本部を復旧させた」

カヲル「君たちを待っていたんだ。君たちが戻ってくる保証なんて何もないのにね……」

ゼロ「……」

カヲル「なぜ僕たちはそんなことをしたのか……未だによく、分からないんだ……」

シンジ「カヲルくん……」

ゼロ「……それが『信じる』、ってことじゃねえのか?」

カヲル「?」

ゼロ「カヲル、お前らはシンジたちがここに帰ってくることを信じていたから、そういう行動をとったんだ」

カヲル「僕が、シンジくんを……?」

ゼロ「お前や綾波レイがシンジを仲間だと思ってるんなら、それは訳わかんねえことなんかじゃねえ、むしろ当たり前のことだ!」

カヲル「……!」

シンジ「カヲルくん、ありがとう。僕を信じてくれて」

カヲル「シンジくん……」

ゼロ「へへっ」

カヲル「……やっぱりよく分からないよ。リリンというものは」

ゼロ「人間ってのはそういう複雑なもんさ。だからこそ俺たちウルトラマンは人間を愛したんだ!」

カヲル「……ありがとう、ウルトラマンゼロ」


――――――現在



―――第三新東京市



       ガシャン
      


シンジ「……」



ゼーレ(来るか……)ジリッ



       ガシャン



シンジ(綾波、カヲルくん)



シンジ(アスカ)



       ガシャン



 


――――――20分前



―――NERV本部・メインシャフト



カヲル「……これが、作戦だよ」

シンジ「……」

ゼロ「なるほど、確かに一か八かの賭けだな……ミスったら全員お陀仏だ。……だが」

シンジ「やるしか、ない」

ゼロ「!」

シンジ「ですよね? ゼロさん」

ゼロ「ああ、そうだな!」ニッ

カヲル(シンジくん……君は変わったね)

カヲル「さあ、搭乗口に向かってくれ。ここでお別れだ」

シンジ「えっ?」

カヲル「通信回路は回復できなかったんだ。もう話は出来なくなる。テレパシーを使う体力もないからね」

シンジ「あ! じゃあこれ、使って」ゴソゴソ

カヲル「? これは?」

シンジ「通信機だよ。これでエントリープラグ内と話ができるんだ」

ゼロ「あ、それ親父が使ってたやつじゃねえか。いつの間に」

シンジ「地球でも何かに使えるかもしれないから持ってなさい、ってモロボシさんが」

ゼロ「さすが親父だ、抜け目ねえ」

カヲル「ウルトラマンゼロにも家族がいるのかい? 興味深いね」

ゼロ「ま、まあな」

シンジ「全部終わったら宇宙での出来事をたくさん教えてあげるよ! いろいろ話したいことがあるんだ!」

カヲル「……」

シンジ「?」

カヲル「……楽しみに、してるよ」

シンジ「? ……うん!」

カヲル「じゃあ、僕は司令室に行くね」

シンジ「うん、またね、カヲルくん」

カヲル「また……ね」

ゼロ「……」


――――――10分前



―――エントリープラグ内



シンジ「エヴァンゲリオン初号機、起動!」

    
   カチッ    ギュィィィィィィィ……ン


カヲル『電源の起動もそちらでできるのかい?』

シンジ「うん、それもゼロさんの国で手直ししてもらったんだ」

カヲル『ほとほと君たちの技術力には驚かされるよ、ウルトラマンゼロ』

ゼロ『へへっ、まあな!』

シンジ「ゼロさんが直してくれたわけじゃないんだけど……」

ゼロ『おい! 余計なこと言うな!』

シンジ「わわっ、ごめんなさい」

カヲル『……ふふっ』

カヲル『僕が今できることはLCLの注入と、初号機を地上に射出することだけだ』

ゼロ『それだけできれば十分なんだろ?』

カヲル『ああ……』

シンジ「……? どうしたの、カヲルくん」

カヲル『LCLを注入するよ』


    ドポッ   ドポドポドポ


ゼロ『うわっ! これがLCL!? これ溺れたりすんじゃねえのか!?』

シンジ「大丈夫ですよ、ゼロさん。これが無いと呼吸できないんです」

ゼロ『そ、そうなのか……?』

カヲル『あとは射出するだけ……健闘を祈るよ』

シンジ「ありがとう、カヲルくん」

カヲル『……きっと、世界を取り戻してくれ』

シンジ「……うん!」

カヲル『……最後に、聞いてくれないか。シンジくん』

シンジ「最後にって……やめてよ、僕たちは」

カヲル『僕にとって……生と死は、等価値だと思ってた』

カヲル『ファーストと二人で生きていた時も……それは変わらないと思ってた……』

シンジ「大丈夫? 辛そうだよ?」

カヲル『でも……ゼーレに襲われたあの日……僕は初めて死にたくないって……ファーストを死なせたくないって思った……』

カヲル『孤独が嫌だって……もっと君たちと……人と話をしたいと思ったんだ……』

シンジ「しようよ! この戦いに勝てたら……いや、勝つから!」

カヲル『そうだね……君たちの作る新しい世界でも……』

シンジ「……!」


ゼロ(カヲル……)


シンジ「ねえ、カヲ」

カヲル『初号機……射出!』カチッ


    ガシャン   バシュッ!!


シンジ「うわっ!!」


―――NERV本部・司令室



カヲル「はっ……はっ……」

カヲル「もうこの体を維持するのも限界か……」

カヲル「……滅びのときを免れ未来を与えられる生命体は一つしか選ばれない……か」

カヲル「それは彼なんかではない……かといってシンジくん一人でもない……」

カヲル「未来とは、この世に生きる全ての生命体に与えられるべきものだったんだ……」



『それが『信じる』、ってことじゃねえのか?』



カヲル「ははっ……信じる、か」

カヲル「僕は信じるよ。君が、君たちが……きっと新しい未来を掴めると」

カヲル「……そして、もし、もし許されるのなら」

カヲル「君とまた……友達に……」





                        カラン




 


――――――1分前



―――第三新東京市



      ウィィ……ン     ガシャン!  ガコォン!


シンジ「カヲルくん? カヲルくん……?」

『……』

シンジ「……」グッ

ゼロ『……』

シンジ「……ずっと友達だよ、カヲルくん」


    ズズ…ン


シンジ「!」

ゼロ『来やがったな』

シンジ「……」

ゼロ『覚悟はいいか、シンジ』

シンジ「……はい」




 


――――――現在



シンジ(僕はもう、逃げない)

シンジ(皆にもう一度、会うために)

シンジ(できることをする。まっすぐ自分の信じる道を行く)

シンジ(それが―――)









シンジ「うおおおおおおおお!!」


      ガシャン!


ゼーレ「!!」



      ガシャンガシャンガシャンガシャン!



ゼーレ(まっすぐ突っ込んでくる……だと? プログレッシブ・ナイフも持たずに?)




      ガシャンガシャンガシャンガシャン



ゼーレ(……フン、舐められたものだ。何をしてくるかと思えば幼稚な陽動作戦か)

      
ゼーレ(私が奴に気を取られている隙をあの来訪者が攻撃してくる、といったところか)


ゼーレ(ならばわざと隙を見せ、あの来訪者が飛び出してきたところを……)ジャキッ


ゼーレ(このロンギヌスの槍で一撃で貫いてくれる!)



      ガシャンガシャンガシャンガシャン



ゼーレ(さあ、どこからくる!? 宇宙人め!)ジリッ





      ガシャンガシャンガシャンガシャン




ゼーレ「……」




      ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン




ゼーレ「……」


      ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン!


ゼーレ「……な」





シンジ「うあああああああああああああ!!」



     ドゴォォォォン!!





ゼーレ「がはっ……!?」

ゼーレ(タ、タックル……!?)




     ズザザザザザザザ!



ゼーレ「ぐぐっ……!」ガシィ

シンジ「くっ……!」


     シュウウウウウウウウ……


ゼーレ「貴様……! 何のつもりだ!?」

シンジ「……」

ゼーレ「自棄になったか……いや」

ゼーレ「全てを諦め、セカンドどもの待つ我がLCL世界に行きたいというのか?」

シンジ「……」

ゼーレ「よかろう、ならば連れて行ってやる!」

ゼーレ「アンチATフィールド! 展開!!」



     ヴィイイイイイイイン!


 

ゼーレ「……」

シンジ「……」

ゼーレ「……何故だ」

ゼーレ「何故LCLに還らない!?」

ゼーレ「貴様、何をした!!?」

シンジ「……アスカを」

ゼーレ「!?」

シンジ「アスカを、みんなを……返せ……!!」

ゼーレ「……フン!!」

ゼーレ「もういい! 初号機さえ、初号機さえあれば私の悲願は達成されるのだ!」

シンジ「絶対に離すもんか……!」ギギギッ

ゼーレ「ああそうだ、そのまま離すな!」ジャキッ

ゼーレ「このまま初号機ごと私自身をこのロンギヌスの槍で貫く!」

ゼーレ「それだけでフォースインパクトは起こされる! 私は神になれるのだ!」

シンジ「……!」

ゼーレ「貴様はそのエネルギーで消し炭になってしまえ!」


        グワッ


 



ゼーレ「うおおおおおおおおおお!!」


      ドシュッ!


シンジ「がぁっ……!」

ゼーレ「ぐは……」

ゼーレ「……は、はっはっは……!」





        ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……





ゼーレ「おおお……! ガフの扉が開く……! 新たな生命体の誕生だ!」

ゼーレ「やった、やったぞ! これで、私は……!!」





       ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



シンジ「うう……!」



シンジ(負ける……もんか……!)


シンジ(僕は……皆と約束したんだ……!)


シンジ(綾波、カヲルくん)


シンジ(父さん、母さん、ミサトさん、リツコさん、加持さん)


シンジ(トウジ、ケンスケ、委員長、マヤさん、日向さん、青葉さん、副指令)





ゼロ『シンジ!! 今だ!!!』

シンジ「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」






          カッ






シンジ(アスカ)





 

つづく

    ___
 /  /┏))))
`/ / ┃キ┃
/ / /┃タ┃
 \ \┃┃┃∧∧
/ \ ┃┃┃゚∀゚)
/  `┃┃┃ ⌒\

    ┃┃┃/ /
    ((((┛ /
    / ̄  /
_   / /\ \

_  / /_ \ \
  (__ ) > )
⌒ヽ ∴ L/_/ /
  人 ∴ ( イ
Y⌒ヽ⌒ヽ \_)


    ∧∧
キタ━━(゚∀゚)━━!!!
  /   \
ィ⌒ヽi⌒ii⌒iィ⌒ヽ
(_((\ニニニニ/))_)
 _~l|(Θ)|l~_
( _ll ⌒ ll_ )
 \ I|i⌒i|I /
 ⊂ニ∪l l∪ニつ
    i__j  ヴオン

再開


―――???



    ガタン   ゴトン



        ガタン    ゴトン






シンジ「……」

子シンジ「これで良かったの?」

シンジ「……」

子シンジ「エスメラルダで楽しく暮らしていたほうが良かったんじゃないの?」

シンジ「……」

子シンジ「皆を元に戻してもまた君を裏切るかもしれない」

子シンジ「君が信じていた人たちの汚い面をもっともっと見ることになるかもしれない」

子シンジ「その結果、また君を傷つけるかもしれない」

子シンジ「危険を冒してまでここに来て、得られる結果はそんなものかも知れないよ?」

子シンジ「それでも」

シンジ「いいよ」

シンジ「それでも、いい」

シンジ「傷つくことはあるかもしれないけど、他人と生きて行く上でそれは当たり前のことなんだ」

シンジ「そんな当たり前のことから逃げてちゃ、僕はいつまでたっても成長できない」

子シンジ「成長する必要があるの?」

子シンジ「嫌なことからは逃げ出すのが君の生き方なんじゃなかったの?」

シンジ「一人ぼっちならね」

シンジ「一人ぼっちなら、嫌なことから逃げ出しても誰も文句を言わない、咎めもしない。いくらでも楽な方に逃げていける」

シンジ「でも、今の僕にはアスカがいるから」

シンジ「アスカを守っていくためには、僕自身強くならないと」

シンジ「他人から逃げてたら、アスカを守ることなんてできないよ」

子シンジ「……でもそれは」

シンジ「それが簡単なことじゃないってことはわかってる」

シンジ「地球でエヴァに乗って戦ってた時も、ゼロさんたちに宇宙に連れて行ってもらった後も」

シンジ「僕は何度も躓いた。これからもたくさん躓くと思う」

シンジ「でもそのたびに、そばにアスカがいてくれた。ゼロさんたちもいてくれた」

シンジ「周りのみんなが支えてくれたことで、僕はちょっとでも変われたと思うんだ」

シンジ「その大切さは宇宙の旅でようやく分かったんだ。だからこれからは」

シンジ「これからは、地球で家族や仲間と一緒に成長していきたいんだ」

シンジ「たとえ厳しく辛い道だとしても、それが僕たちの人間としての正しい生き方だって、信じてるから」

子シンジ「それで君は、あの『英雄』のようになれると思うの?」

シンジ「!」

子シンジ「ずっと君たちを守っていた、ウルトラマンゼロのように」

シンジ「……」

子シンジ「ウルトラマンゼロのような、神様のような存在に……」




「それは違うぜ」




シンジ「!」




   ガタン ゴトン

          ガタン ゴトン




ゼロ(人間体)「買いかぶりは止めてくれ、俺たちは決して神なんかじゃない」

シンジ「ゼロさん……」

ゼロ「俺たちだって地球人と同じだ。悩み、迷い、間違いを犯す」

ゼロ「恥ずかしい話だが、俺なんて自分の傲慢で故郷を滅ぼしかねないようなことをしようとしたこともある」

シンジ「ゼロさんが!?」

ゼロ「そん時は親父や仲間に止めてもらってさ。その後の厳しい修行の中で俺は、命の大切さ、守ることの大切さを知った」

ゼロ「俺はその時、初めて本当の『ウルトラマン』になったんだ」

シンジ「ウルトラマン……」

ゼロ「へへっ、本当は光の国で話してやるつもりだったんだがよ、あん時話しそびれてたからな」



シンジ(完全無欠の英雄だと思ってたゼロさんにも、そんな過去が……)

ゼロ「ま、何が言いたいかというとだな! この世に完璧な奴なんていねーってことだ!」

ゼロ「誰だって間違える時はあるし、挫折することだってある」

ゼロ「でもそんな時、支えてくれる仲間がいる」

ゼロ「だから俺たちは成長できるんだ」

子シンジ「……」

ゼロ「俺たちはみんな仲間だ。一人なんかじゃねえから安心しろ!」

シンジ「……」

子シンジ「……僕も」

子シンジ「僕も、強くなれるかな?」

ゼロ「なれるさ!」

シンジ「!」

ゼロ「自信を持て! シンジ!」






    ガタタタン    キキィー……






      プシュー…


 

ゼロ「おっ、ここが何所か知らねえが、どうやら着いたみてえだな」

シンジ「……そうですね」

ゼロ「よっしゃ! じゃ、決着付けに行くか!」

シンジ「はい!!」





                       「行ってらっしゃい」





シンジ「……いってきます」























 

つづく


間が空いてすみませんでした

再開


























―――???








シンジ「ここは……」

シンジ「何もない……真っ白な何もない……」






シンジ(いや、前に来たことがある)

シンジ(地球を脱出した日、綾波に取り込まれた時)

シンジ(その時来た場所だ)

シンジ(あの時と違うことといえば)

シンジ(綺麗な髪をした、黄色いワンピースの女の子が倒れてる)

シンジ(あの子は……)













シンジ「アスカ!!」ダダッ

アスカ「……」

シンジ「アスカ大丈夫!? しっかりして! アスカ!」ユサユサ

アスカ「……う」

シンジ(生きてる!)

シンジ「アスカ!」

アスカ「シンジ……?」

シンジ「良かった……! また、会えた……!」

アスカ「シンジ!」ガバッ

シンジ「わっ」

アスカ「今度はちゃんと助けに来てくれたのね……! 嬉しい……!」ギュッ

シンジ「ごめんね、遅くなっちゃって」

アスカ「……もう、このバカ」パシッ

シンジ「あてっ」

アスカ「せっかくかっこよく決まってたのに、何でそこで謝んのよ、ホントバカね」

シンジ「ご、ごめん」

アスカ「そういうとこは変わらないんだから、全く」

シンジ「……ははっ」

アスカ「ふふっ」

アスカ「……それで」

シンジ「……」

アスカ「ここ、どこなの?」

シンジ「……」

アスカ「私たち、どうなっちゃったの? ゼロにジャンナイン、他の皆は……?」

シンジ「それは……」









???「ここは、ガフの部屋」


シンジ・アスカ「「!!?」」

???「全ての終わり、そして全ての始まりとなる中心点だ」

アスカ「な、何? 何なの?」

???「ここに鎮座する唯一の生命体こそが、転生と創世の権利を有する……」


     ザッ


シンジ「いつの間に……!」

アスカ「だ、誰よあんた!」

???「その神聖な空間に、どうやらネズミが2匹紛れ込んだようだな」

シンジ(この声は……!)



SEELEの男(以下、男)「フン、どこまでもしぶといガキ共だ」

アスカ「その声、あんたさっきの巨人ね!? さっきはよくも……!」

男「セカンドチルドレン」

アスカ「!」ビクッ

男「貴様がここに紛れ込んだ理由は想像がつく」

男「貴様をLCLに還元し吸収する瞬間、リリスが邪魔をした」

シンジ「リリス……綾波のことか」

男「他のLCLから貴様だけを隔離し、かつてサードチルドレンを己の体内に取り込んだ要領でここに移したのだ」

男「その際、偶然にも肉体が再構成されたようだな」

アスカ「レイが……私を……?」

男「だが、分からんのは貴様の方だ。サードチルドレン」

シンジ「!!」

男「私のアンチATフィールドの射程内にいながら、貴様はLCLに還元されなかった」

男「そればかりか、あろうことかこの空間に入り込めている」

男「一体何をした?」

シンジ「……」

アスカ「シンジ……?」

男「……答えるつもりはないか。フン、まあよい」

男「貴様らさえいなくなれば、すぐにでも転生を始められる」

アスカ「いなくなればって……!」

男「所詮ファーストのやったことも足掻きにすぎん、貴様らをここで殺してしまえば済む話よ」スッ


     バチッ  バチチチチチチチチィ!


アスカ「な、何!?」

シンジ(あれは……!)








――

―――


レイ『イカセナイ』ピッ

         バリバリバリバリバリバリ!!

ゼロ『!? ぐああああああああっ!!』

シンジ『ゼロさん!?綾波、やめてよ!』


―――

――









シンジ(綾波がゼロさんを攻撃した時の黒い雷!)

男「素晴らしい、これが人間を超越した力! 転生を終えればどうなるものか楽しみだ!」

アスカ「シ、シンジ!」

シンジ「……!」

男「随分と手間を掛けさせてくれたがこれで終わりだ! 死ねぃ!」ブアッ


         ズィバババババ!!


アスカ「いやぁあああ!!!」




        ズドォォォォォン!!



 




男「……」



       ゴゴゴゴゴゴゴ……



男「……!?」










       キラキラキラキラキラキラ



アスカ「え……?」

シンジ「……」

男「なんだそれは……!? ATフィールド!? いや、違う……!」

アスカ「シンジ……?」

シンジ「もう……僕は逃げない……!」スッ



      キュインキュイン



アスカ「そ、それって……!」

男「貴様……! その腕の光はなんだ!?」

シンジ「お前に勝って……皆を、世界を取り戻す!!」ガシッ

アスカ「ゼロの……!」






シンジ「デュワッ!!」チャッ





       ギュィィイイイイイイイイイイイン!!!






アスカ「きゃっ!」

男「くっ!」




ゼロ「……」




アスカ「シンジが……ゼロに……!」

ゼロ「……」

つづく

再開

男「……く」

男「くっくっく……はーっはっはっは!!」

アスカ「!?」

男「そうか……そういうことだったのか……!」

ゼロ「……」

男「来訪者、貴様がサードチルドレンと一体化することにより、内側からアンチATフィールドの浸食を守った!」

男「フォースインパクトの瞬間、貴様が表に出ることでインパクトの超エネルギーも防いだ!」

男「そして以前リリスの体内に突入した時と同じように、このガフの部屋まで強引に介入してきたということか……!」

男「ふふふふふ……はーっはっはっはっはっはっは!!」

ゼロ「……」

男「……それで? どうするつもりだ? 何をしにここへ来た?」

ゼロ「……」

男「せっかくだ、そこの死にぞこないセカンドを連れて帰るがいい」

男「ここに私が一人残れば儀式は始められる、とっとと消え失せろ」

アスカ「でも、それじゃ……」

男「それとも」ギロッ

アスカ「っ!」ビクッ

男「まさか私と戦う、とでも言うつもりか?」

アスカ「決まってるわよ! あんたなんかゼロがブッ飛ばして」

男「それは無理だ」

アスカ「え……?」

男「私は地球人だ。どうあっても貴様に地球人は殺せん。そうだろう?」

ゼロ「……」

アスカ「ど、どうして!?」

男「どうして? 奴が如何ほど地球を愛しているのか、貴様も知ってるはずではないかね?」

アスカ「……あ……!」

男「タブリスを喰らった時に奴の記憶から貴様のことも知った」

男「理由もなく愚かな地球人を守ろうなどと、物好きな宇宙人もいたものだ」

男「使徒が蔓延っていたあの頃のここに貴様が来ていたら、どうなっていたろうな?」

男「散々愛する地球人の汚い一面を見たあげく、貴様も使徒の一つとして処理されていたかもな」

ゼロ「……!」ギリッ

男「今更仲間だの絆だのを言い訳に地球人殺しの汚名を被る覚悟もあるまい」

男「いい加減中途半端に首を突っ込むのはやめて私の地球から」







      ジャキン!



ゼロ「デュワッ!!」ブンッ




    ギュルルルルルルルル!



アスカ「!?」

男「なっ」




     ドシュッ






男「かはっ……!」ガクッ



    シュルルルルルルルルッ


ゼロ「……」パシッ  カシン

アスカ「ゼロ……!」

ゼロ「……」

男「くふふ……くっくっく……」

アスカ「!?」

男「ついに……手を出したな……!」

男「これで貴様の信念とやらもガタガタだ……!」

男「貴様は自己満足のために地球人を攻撃した、ただの侵略宇宙人だ!」




ゼロ「違う!!」




男「!?」

アスカ「え!? シンジの声!?」







ゼロ(シンジ)「今のは、僕の意志だ!! ゼロさんじゃない!!」


ゼロ(シンジ)「僕の、覚悟の一撃だ!!!」













ゼロ『俺はただ、力を貸しただけだ』



 











――――――フォースインパクト・15分前



―――エントリープラグ・搭乗口前






ゼロ(人間体)「……さあ、準備はいいか? これからお前に同化する」

シンジ「……」

ゼロ「変身のタイミングだけ間違うなよ。その後は……俺に任せろ」

シンジ「ゼロさん……」

ゼロ「何だよシンジ、さっきの偽カヲルが言ってたこと気にしてんのか?」

シンジ「……」

ゼロ「……ああ、その通りだ。俺はあいつが地球人だから攻撃を躊躇っちまった」

ゼロ「俺の甘さが出たせいで危ない目に合わせたな。すまねえ」

シンジ「地球人だから……」

ゼロ「お前らにも、そういやカヲルにも話したっけな。俺たちウルトラマンは地球を愛し、ずっと戦い続けてきた」

ゼロ「だが、その一方で地球人の汚い面も何度も目にしてきた。俺はあまり知らねえが、親父やほかの仲間たちから話を聞いたことがある」

ゼロ「時には地球人の作りだしたモノや、地球人そのものと戦わなければならないこともあったんだとさ」

シンジ「……」

ゼロ「それでも、親父も仲間たちも地球のことを見捨てたりなんかはしなかった」

ゼロ「地球人は自らの過ちを認め、やり直す勇気を持った人々だと信じていた」

ゼロ「シンジ、お前のようにな」

シンジ「……!」

ゼロ「だから、今回もきっとお前ら地球人が正しい結果に辿りつけると俺は信じてる!」

ゼロ「そのためには、どんな協力も惜しまねえよ!」ニッ

シンジ「ゼロさん……!」




シンジ(自分の信じた道をまっすぐ進む)


シンジ(僕の憧れたヒーローが、目の前にいる)


シンジ(でも)




ゼロ「だから俺も、覚悟を決めるさ」




シンジ(そうつぶやいたゼロさんの目は、とても悲しそうだった)



ウルトラの父『我々M78星雲人は、地球という星を愛している』



シンジ(地球を、地球人を愛してくれたゼロさん)

シンジ(そのゼロさんが、これから地球人と戦おうとしている)

シンジ(それも、僕たち地球人のために)

シンジ(そんな、そんなこと―――!!)




ゼロ「それじゃあ、行くぜ」

シンジ「ゼロさん! やっぱり、僕は―――」








 


――――――現在



―――ガフの部屋




シンジ(いざ、ゼーレを前にして攻撃できるのか、正直不安だった)

シンジ(でも)



「なれるさ!」

「自信を持て! シンジ!」



シンジ(嫌なことから逃げない。やるべきことをやる。自分の信じる道を行く)

シンジ(僕は、ゼロさんのような男になるんだ)

シンジ(だから、地球人である僕が決着を付けなきゃいけないんだ)




ゼロ(シンジ)「言ったはずだ! ゼロさんを侮辱するな!」

ゼロ(シンジ)「そして地球はお前の物じゃない! みんなの物だ!」ビシッ

男「……ふ、ふふふふふ」スクッ

ゼロ(シンジ)「!?」

男「なるほど……人を殺すのは拳銃自体ではなくその引き金を引く者、というわけか」

男「だが、少し腹を裂いた程度で、今の私が殺せると思ったか?」

アスカ「へ、平気なの!?」

男「当たり前だ、私はすでに人間を超越した存在だと言ったはずだ!」

ゼロ(シンジ)「……!」

男「よかろうサードチルドレン! その力で私と戦うがいい!」

男「ただし、そこのセカンドを庇いながらどこまでやれるかな!?」

アスカ「!!」ドキッ

ゼロ(シンジ)「くっ……!」

男「今度はもっと強力な攻撃をしてやる!」バッ

ゼロ(シンジ)「!!」ササッ

ゼロ『シンジ! 気を付けろ!』

アスカ「シンジ!」

男「くらえぃっ!!」グワッ













アスカ「……?」

ゼロ(シンジ)「……?」

男「何……?」

男「何故だ、何故雷撃が出せない……?」

ゼロ(シンジ)「……?」

ゼロ『どうしたんだ?』

アスカ「あ、見て! あれ!」

ゼロ(シンジ)「え!?」

アスカ「今スラッガーが当たった傷から……光が……!」

男「な、何だこれは……!」キラキラキラ…

ゼロ(シンジ)「あれは……!」






           『会いたい』






 

アスカ「声が……聞こえる……!」




   
    『会いたい』
                『会いたい』
   
『会いたい』

          『会いたい』
  
   『会いたい』
 
                     『会いたい』
       『会いたい』


              『会いたい』            




 

男「なんだこれは……! 一体、何が……!」キラキラ…



???「それは、LCLとなったリリンたちさ」

一同「!?」

綾波レイ(以下、レイ)「碇くんの皆に会いたい、という強い気持ちが、ウルトラマンゼロの攻撃に乗ってあなたの体内のLCLに響いたのよ」



アスカ「ファースト!?」



カヲル「そして、リリンたちもシンジくんと同じように、また皆に会いたいという思いに目覚めたのさ」



シンジ「カヲルくん!!」

男「貴様ら……! なぜここにいる……!」

カヲル「シンジくんの想いに応えて、君の中のリリンたちが一斉に反発しだしたんだ」

レイ「もう私たちもリリンたちも、あなた一人の力では抑えられないわ」

男「そんな……バカな!」



                  『会いたい』
       『会いたい』   
                       『会いたい』

          『会いたい』

   『会いたい』
             『会いたい』
                    『会いたい』




男「貴様ら、止めろ! 何故だ、私の中で永遠に幸福に生きていたというのに! それを捨ててまであの地獄のような世界に戻りたいというのか!」

カヲル「無駄だよ。彼らは新しい世界でまた人となって生きてゆくことを決めたんだ」

レイ「自らの心で自分自身をイメージできれば、誰もが人の形に戻れるわ」

ゼロ(シンジ)(! 母さんも同じことを言ってた……)

カヲル「そしてそれは、君も同じだ。ゼーレ」

男「私も……そんな……!」サラサラサラ…

レイ「あなたもまた、人として生きていかなければならないのよ」

男「ああ・……ああああ……」サラサラサラ…

ゼロ(シンジ)「……!」

アスカ「あいつも、消えてく……!」

男「嫌だ……帰りたくない……!」サラサラ…

男「あの地獄へ……業と欲が支配し……欺瞞と裏切りに満ちたあんな世界へなど……帰りたくない……!」サラサラ…

ゼロ(シンジ)「……」

ゼロ『……』






『奴は使えん。採用したのが間違いだった』



『誰だよ、あいつ誘ったの』



『そんな約束したっけな? 悪いが、忘れちまった』



『あなた、離婚してちょうだい』



『パパ、最低!』







『貴様の願いも叶えられる。それが人類補完計画だ』




 





男「嫌だ……永遠に一人でいたい……! 一人なら誰にも傷つけられることなんてないんだ……!」サラ…




男「誰もいない……俺だけの……! 理想の……世界……!」




男「人間は嫌だ……! あんなつまらない生き物など……! 嫌だ……!」








ゼロ『……』








男「私は……神に……」





      フッ

 

つづく

再開

ゼロ(シンジ)「……」

レイ「……」

カヲル「……」

アスカ「……お……終わったの……?」

カヲル「そのようだね」

アスカ「私たち……勝ったの……?」

レイ「ええ」

アスカ「……はぁ」ペタン

アスカ「勝てたのに……全然万歳ってムードじゃないわね……」

ゼロ(シンジ)「……」



     パァァァァァッ!



アスカ「きゃっ!」

カヲル「!!」

レイ「眩しい……!」




      キュウウウウウウ……ン




シンジ「ゼロさん……」

ゼロ「やったな、シンジ」

アスカ「シンジ! ゼロ!」

ゼロ「よく俺を受け入れてくれたな! すげえやりやすかったぜ!」

シンジ「僕もゼロさんと一つになれて、一緒に戦えて嬉しかったです!」

アスカ「……」

ゼロ「変身もバッチリ決まってたな! どっかのバカとは大違いだ!」

シンジ「? どっかのバカって?」

ゼロ「おっと、こっちの話だ」

アスカ「……」

ゼロ「アスカ! お前も無事でよかったな!」

アスカ「うん、ありがと……」

シンジ「? どうしたの? アスカ」

アスカ「別に……」

レイ「嫉妬、してるの?」

シンジ「ま、まさかアスカ」

アスカ「ち、違う! 違う違う違ーう!」ブンブン

ゼロ「?」

アスカ「だいたいゼロ! あんたそのウルトラマンの姿で等身大だったらなんかヒーローショーみたいでヘンなのよ! 気持ち悪い!」

ゼロ「な、なんだと!?」

アスカ「早くいつもの人間姿に戻りなさいよ!」

ゼロ「いいだろ別に! こっちの方がリラックスできるんだよ!」

シンジ(そうなんだ)

ゼロ「ほら、そんなことより」クイッ

シンジ「あ……」

レイ「碇くん」

シンジ「綾波!」

レイ「……」ニコッ

シンジ「綾波……あの時は……置いて行ったりして、ごめん」

レイ「いいの。二人とも戻ってきてくれたから。とても嬉しい」

シンジ「ありがとう、綾波とカヲルくんのおかげで僕たちは勝てたんだ」

レイ「そんなことないわ」

シンジ「え?」

レイ「あなたたちの想いの強さが、彼に勝てた理由よ」

シンジ「綾波……」

アスカ「……」

シンジ「ほら、アスカも」

アスカ「え!? あ、ゴホン」

レイ「……」

アスカ「お、お久しぶりね! ファースト」

シンジ「ファースト?」

アスカ「う」

ゼロ「何だよファーストって。こいつは綾波レイだろ? ちゃんと呼んでやれよ」

アスカ「うー……あー……」

レイ「……」ジー

アスカ「……ありがとね、レイ。私を守ってくれて」

レイ「!」ニッコリ

カヲル「こうして無事に皆また会えて、本当に何よりだよ」スッ

シンジ「カヲルくん! よかった……また会えたね!」

カヲル「見事な勝利だったよ、シンジくん」

アスカ「あんたがフィフス?」

カヲル「はじめましてだね、セカンド」

アスカ「ふーん……なんか優男って感じ」

シンジ「アスカ、そんな言い方しないでよ」

アスカ「私の弐号機を勝手に動かしたりしてねー」

シンジ「もう、やめてってば!」

カヲル「それについては申し訳ないことをしたね、セカンド」

アスカ「それはもういいんだけど……」ゴニョゴニョ

カヲル「?」ピトッ

シンジ「な、何が気に入らないんだよ?」ピトッ

アスカ「ちょっとシンジに近いのよ! もっと離れなさい!」グイッ

シンジ「わわっ」

レイ「やっぱり嫉妬してるの?」

シンジ「ま、まさかアスカ」

アスカ「違う違う違う違う違ーう!!」ブンブン

ゼロ「?」

カヲル「ふふっ」

ゼロ「あ! そうだ!」

アスカ「わっ、なに?」ビクッ

ゼロ「カヲル! 俺の仲間はどうなったんだ!? 早く助けないと……!」

シンジ「そうだった! カヲルくん!」

アスカ「ど、どうしたの!? ジャンナインたちに何かあったの!?」

シンジ「さっきのあいつに、皆ディラックの海に沈められちゃったんだ!」

アスカ「ディラックの海って、昔あんたが沈んだアレ!? 大変、なんとかしないと……」

カヲル「問題ないよ」

ゼロ「なに!? 問題…………え、ないの?」

カヲル「彼がアダムの力を制御できなくなった瞬間、彼の作った虚数空間も消滅した」

カヲル「きっと今頃、この空間の外にいるはずだよ」

シンジ「そ、そうなの?」

アスカ「みんな無事なのね!?」

ゼロ「なんだ……よかった……!」ホッ

カヲル「君たちにも、改めて礼を言わせてほしい」

レイ「ありがとう、ウルトラマンゼロ」

ゼロ「へへっ、よせよ! 俺はただ、俺のしたいようにやっただけで何も特別なことは……」

レイ「あの時は」

ゼロ「!」

レイ「あなたたちにも……多大な迷惑をかけた……」

シンジ「綾波……」

レイ「本当に、ごめんなさい」シュン

アスカ「ゼロォ?」ジロッ

ゼロ「な、なんだよ!? 俺は何も気にしてねえって!」ワタワタ

ゼロ「いや、むしろ俺がお前からこの2人を引き離しちまったんだよな。寂しい思いさせて、悪かった」ペコ

レイ「いいの、私は寂しくなかったから」チラッ

シンジ「え?」

レイ「……」ニコッ

ゼロ「?」

カヲル「?」ニコニコ

アスカ「……ははーん」

ゼロ「な、なんだよ」

アスカ「内緒!」

ゼロ「で、これからどうすりゃいいんだ?」

シンジ「あいつは、ここから新しい世界が作られる、みたいなこと言ってたけど……」

カヲル「そのとおりだよ。この空間が全ての始まりになる」

レイ「世界を望めば新たな世界が創られ、転生を望めば新たな生命体に生まれ変われる」

カヲル「それが選ばれしものに与えられる特権さ」

アスカ「選ばれしもの……」

シンジ「……」

ゼロ「……」

シンジ「……僕は一度、その権利を与えられたんだね」

レイ「そう。一度すべての生命がLCLに還った後で、あなたは皆との再会を望んだ」

カヲル「結局、中途半端な形でサードインパクトは終わってしまった」

アスカ「それで私とシンジが生き残ったわけね」

シンジ「……」

アスカ「でも、おかげでゼロたちに出会えた!」

ゼロ「おう!」

シンジ「その巡り会わせのおかげで、もう一度こうして、皆に会えた」

カヲル「運命って、分からないものだね」

レイ「そうね」

アスカ「ま、ここにはもう一人執念深いやつが生き残ってたわけだけどね」

ゼロ「ゼーレ……か」

シンジ「……彼は」

一同「?」

シンジ「彼は、かつての僕と同じだったんだ」

ゼロ「どういうことだ?」

シンジ「昔の僕も、自分が傷つけられるのが嫌で、他人を傷つけるのも嫌で、ずっと一人でいたいと思ってた」


『ミサトさんだって、他人のくせに!!』


シンジ「だから皆を拒絶して、結局皆を傷つけて、自分自身も傷ついてた」

アスカ「シンジ……」

レイ「碇くん……」

シンジ「でも、今はこうしてアスカや綾波、カヲルくん、そしてゼロさんたちと一緒に居られることに喜びを感じる」

シンジ「これから生まれる新しい世界では、きっと彼やかつての僕みたいな人でも、他人といる事に喜びを感じられる明るい世界であってほしい」

シンジ「僕は、そういう世界を創りたいんだ」

カヲル「……そう」

アスカ「でも、この空間にいる唯一の生命がその権利を持つって、あいつ言ってたじゃない」

シンジ「そうだったね、じゃあ僕たちどっちか出て行かなきゃならないのかな?」

アスカ「お、置いてかないでよ!」

カヲル「それも問題ないよ」

シンジ「え?」

レイ「願いが同じであれば、この空間に二人いても大丈夫」

ゼロ「なんだそうか、じゃあお邪魔虫は俺ってことだな?」

シンジ「お、お邪魔虫って」

レイ「そういうこと」

ゼロ「……」

アスカ(今のは天然ね)

ゼロ「ま、なんにせよこれでめでたし、一件落着だな! 間違えないようしっかり祈れよ!」

アスカ「変なプレッシャー掛けないでよ!」

ゼロ「……って、待てよ? 二人ともどんな世界にするか、もう話し合ってたのか?」

シンジ「いえ、話し合ってはいませんけど……たぶん、同じです」

ゼロ「……そっか、野暮なこと聞いたな」

アスカ「余計な心配してないで、外で待ってなさい!」

ゼロ「あいよ! 俺もあいつらを迎えに行かないと……」




カヲル「待って!」

シンジ・アスカ・ゼロ「!!!」

シンジ「ど、どうしたの? カヲルくん」

カヲル「新たな世界の創生……それが君たちの願いなんだね」

アスカ「そうよ、何度も言ってるじゃない」

レイ「……」

ゼロ「なんだよ、なにか不都合でもあるのか?」

カヲル「新たな世界の創生、それはLCLに還った全ての生命体を巻き込んで行われる。いわばやり直しの力が働く」

アスカ「よくわかんないけど、それがどうしたのよ?」

カヲル「その強力なエネルギーの中で、全ての世界も生命たちも一から再構築される。君たちはその世界で生きて行くことになる」

レイ「つまり、今までの世界は無かったことにされて、新しい世界が始まるのよ」

ゼロ「無かったこと……?」

シンジ「そ、それって……まさか……」





カヲル「そう。今まで君たちや世界中の人々が体験したことは、全て忘れてしまう、ということなんだ」


 

つづく

長い間お待たせして申し訳ありませんでした





再開

シンジ「え……!?」

アスカ「そんな……!」

ゼロ「……」

シンジ「い、今までって……全部ってこと!?」

アスカ「エヴァに乗ってたことも、学校に通ってたことも、ゼロたちに会って宇宙を旅したことも、全部……!?」

カヲル「君たちが願えばかつての家族や友達と新しい世界で離れ離れになることは無いと思う。でも……」

レイ「エヴァのこと、そしてウルトラマンゼロとのこと。今までの記憶だけは、新しい世界には引き継げないわ」

シンジ「……!」

アスカ「嘘……!」

ゼロ「……」

シンジ(全部?)

アスカ(エヴァで戦ってたあの日々も、ミサトの家で一緒に暮らしてた日々も、初めてキスした日のことも)

シンジ(ゼロさんと宇宙に出たことも、ウルティメイトフォースゼロの皆さんのことも、エメラナ姫やエスメラルダのみんなのことも)

アスカ(宇宙の旅、光の国でのこと、今まで二人で過ごした思い出が全部……!?)

シンジ(そんなの、嫌だ!)

アスカ(嫌! 忘れたくない!)

シンジ(でも)

アスカ(それじゃ地球が……!)





ゼロ「なんだ、そんなことか」

シンジ・アスカ「!!?」

ゼロ「構わねえよ、始めてくれ」

シンジ「ゼロさん!?」

アスカ「あんた、何言ってんのよ!? 話聞いてたの!?」

シンジ「全部忘れちゃうんですよ!? 今までのこと、全部……!」

ゼロ「バカ野郎!!」

シンジ・アスカ「!?」ビクッ

ゼロ「お前たちは何のためにここまで来たんだ!? 今更止める、なんて無責任なことは言わせねえぜ」

シンジ「で、でも……!」

ゼロ「自分のやるべきことをやる。だろ? シンジ」

シンジ「……!」

ゼロ「さて、お邪魔虫はここでおさらばとするかな」クルッ

アスカ「ちょ、ちょっと!」

ゼロ「悪いな、湿っぽい別れは嫌いでよ」

シンジ「ゼロさん……?」




      パァァァァ……




ゼロ「外であいつらも待ってるだろうしな……」

シンジ(ゼロさんが……消えてく……!)

シンジ「ま、待ってください! ゼロさん!」

アスカ「私たち、ちゃんとお礼も言えてないのに……!」

ゼロ「はは、もう十分だよ。こっちこそありがとな」キラキラキラ……

シンジ「そんな……!」

ゼロ「心配すんなって。お前らが忘れちまっても、俺たちはお前らのことは決して忘れない」キラキラ…

アスカ「ゼロ……」グスッ

ゼロ「空に煌めく星のように、いつまでもお前らのことを宇宙から見守っててやるからよ」キラキラ…

シンジ「ゼロさん……!」






 








『俺の名はウルトラマンゼロ!宇宙を旅するウルトラマンだ!』




『今君たちが乗っているこの飛行機が私ジャンボットだ、この形態はジャンバードともいうがな』




『ミラーナイトです。よろしく、お二人さん』




『ジャンナイン。いかついは余計だ』




『熱く燃えるマグマの戦士!グレンファイヤー様たぁ俺のことよ!』


 




『俺たちとともにこの地球を脱出するんだ!』



『お前たち自身で決めるんだ!』



『ひ、人さらいエイリアンってお前人聞きの悪い』



『さて困りましたねぇ、私たち誘拐犯になってしまいました』



『シンジ、アスカ。キエテ コシ キレキレテ だ』



『ナンデヤネン!』



『うむ!体が軽い、スムーズに動ける!!アスカ、なかなかやるな!』



『シンジ、君の操縦もなかなかのものだな』


 




『初めまして、エメラナと申します』



『アスカちゃん! これ持ってって! シンちゃん! シンジスペシャル、お願いね!』



『包丁はこう握れ』



『ほっほ、では教科書を開きましょう』



『なあ、今日学校の帰りになんか食ってかねえ?』



『私も行く!』



『へっぴり腰だなシンジ! つるはしってのはこう振るんだ!』



『アスカちゃぁぁああ~~~ん!!』


 




『始めまして、地球の皆さん。案内役のヒビノ・ミライです』



『私たちはあなた方を信頼しているからこそエヴァンゲリオンを受け入れ、ここにお通ししているのですよ』



『我々M78星雲人は、地球という星を愛している』



『ねえ、マグマがなんだって?』



『始めまして、地球の子供たち。私はウルトラマン。地球での名は、ハヤタだ』



『モロボシ・ダンだ。ゼロが世話になっているようだな』



『そいつを持て余していたこちらとしては、外で代わりに見張ってくれるものができて大助かりだ。はっはっは』



『忘れないで。君たちは一人じゃない。いつだって仲間がそばにいる』


 




『俺たちを……ウルトラマンを信じろ!』






ゼロ「    シンジ   、   アスカ   」



ゼロ「  お前たちは、   お前たちの  いる べき  世界を    取り戻せ   たんだ   」





シンジ「ゼロさん!!!」

アスカ「ゼロォ!!!」






ゼロ「 お め で と う 」




       フワッ



 

シンジ「ううっ……」ガクッ

アスカ「こんな……こんなのって……」シクシク

カヲル「……」

レイ「……」






シンジ(ゼロさん)

アスカ(ゼロ)






(ありがとう、そして)




(さようなら)






カヲル「……さあ、始めよう。彼の想いを無駄にしてはいけない」

レイ「この空間も、いつまでも維持できるものではないわ」

シンジ「……うん」ゴシゴシ

アスカ「やらなきゃいけないことを、やらなきゃ」スクッ

カヲル「二人とも、目を閉じて……」

レイ「あなたたちが想い描く世界を、強くイメージするの」

シンジ「……」スッ

アスカ「……」スッ



        フワァァァァァ……



シンジ「! 風が……!」

アスカ「暖かい、そして、優しい……」

カヲル「これがリビドーのエネルギーさ」

レイ「そのまま、ずっとイメージを続けて」

アスカ「シンジ、手」スッ

シンジ「うん」ギュッ





カヲル「素晴らしいね。君たち二人の願いは完全にシンクロしているということだ」

レイ「新しい世界で、また会いましょう」







シンジ(暖かい、暖かい風が、僕たちを包んでいく)

シンジ(あの時とは違う、優しい風が――)



アスカ「気持ちいい……」



シンジ(アスカも、満足そうだ)




シンジ(目を開けてみると、もう綾波もカヲルくんもいなかった)



シンジ(金色の穏やかな光が、僕たちを中心に廻っている)



シンジ(きっと新しい世界でも、彼らとは友達になれるだろう)



シンジ(父さんや母さん、ミサトさんやトウジやケンスケたち、あの日共に生きた皆とも、また会える)



シンジ(心残りがあるとすれば―――)







シンジ「……そうだ」


アスカ「?」

シンジ「ねえ、アスカ」


アスカ「ん?」


シンジ「ちょっとさ、お願いがあるんだけど」


アスカ「なによ、こんなときに」


シンジ「あのね……」ゴニョゴニョ

アスカ「えぇーっ!? あんた本気ィ!?」


シンジ「うん、本気だよ」


アスカ「はー……ま、あんたらしいというかなんというか……」


シンジ「どうかな?」


アスカ「ま、いいわよ。特別に許可してあげる」


シンジ「ホント!? ありがとう!」


アスカ「ただし!」


シンジ「た、ただし?」

アスカ「私も一緒! それが条件よ!」


シンジ「ええっ? そ、それは……」


アスカ「文句あんの!?」


シンジ「う、うん、わかったよ」


アスカ「そ! それでいいのよ!」


シンジ「は、はは……」


アスカ「じゃ、続けましょ」スッ


シンジ「うん……」スッ






シンジ(やがて、目も開けられないほど光が強くなっていく)


シンジ(でも、握った手は離さない)


シンジ(次第に握る手が強くなっていく。でも大丈夫。絶対に、ずっと離さない)





アスカ「ねえ、シンジ」


シンジ「ん?」


アスカ「クイズ。今、私が考えてること、分かる?」


シンジ「……」




アスカ「ね、どう?」



シンジ「……わかるよ」



アスカ「言ってみて」



シンジ「本当に、今までのことを全て忘れてしまったとしても」



シンジ「僕は一生、アスカのそばを離れないから」



アスカ「……正解よ、バカシンジ」














 

















シンジ(……?)






シンジ(何だろう? 暖かい、何か……)






シンジ(大きな手のひらのようなものに包まれていく、そんな感覚がする)






シンジ(これは、誰?)








シンジ(もしかして、初号機?)










シンジ(いや……アダム? 違う……リリス?)










シンジ(それとも……)






















シンジ(ウルトラマン……?)







 


















イメージソング・甘き死よ、来たれ
http://www.youtube.com/watch?v=ITnZVgrZvak













 

























ピピピピピ  ピピピピピ


 

つづく

再開






 
ピピピピピ ピピピピピ








 
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ カチャ





      ムクッ




アスカ「……」




   スタスタ   ガラッ

惣流・キョウコ・ツェッペリン(以下、キョウコ)「おはよう。アスカちゃん」

アスカ「……」

キョウコ「ご飯、出来てるわよ」

アスカ「……うん、おはよ。ママ」

キョウコ「今日もお隣のシンジくん迎えに行くんでしょ?」

アスカ「もちろん! あいつは私がいないとダメなんだから」モグモグ

キョウコ「あらぁ、そうなの? うふふ」ニコニコ

アスカ「ママは今日も仕事?」

キョウコ「そうね~、遅くなっちゃったらごめんね?」

アスカ「……パパは?」

キョウコ「何言ってるの、パパは今仕事でドイツでしょ?」

アスカ「あー……そうだったわ」

キョウコ「あら? アメリカだったかしら? イギリスだったかしら?」

アスカ「ドイツで合ってるわよ」

キョウコ「もう、分かってるのに聞かないでよ、アスカちゃんの意地悪」

アスカ「ごめんごめん、ごちそうさま」

キョウコ「はい、仕度してらっしゃい」

アスカ「うん……」



アスカ「行ってくるね、ママ」

キョウコ「行ってらっしゃい」


     ガチャッ


アスカ「……」



     トコトコトコ



アスカ「……」


     ピンポーン


 



   ガチャッ


碇ユイ(以下、ユイ)「あら、アスカちゃん! おはよう」

アスカ「おはようございます!」

ユイ「いつも悪いわねえ、あの子のために」

アスカ「いえ、これも幼なじみの務めですから」

ユイ「助かるわ、上がって」

アスカ「はい、お邪魔します!」

碇ゲンドウ(以下、ゲンドウ)「おはよう、アスカくん」

アスカ「おはようございます、おじさま!」

ゲンドウ「いつも悪いな、あいつにも見習わせてやりたいよ」

アスカ「えへへ」テレテレ

ユイ「あなたも! 普段からもう少し早く起きられたらいかがです?」

ゲンドウ「む……」

ユイ「じゃ、アスカちゃん。お願いね」

アスカ「はい! 起こしてきまーす!」



      ガチャ


アスカ「……」



シンジ「……」スヤスヤ



アスカ「シンジ……」

シンジ「……」グー

アスカ「……」スゥゥゥゥ




アスカ「こらー!! バカシンジ! 起きなさぁーい!!」

シンジ「う、うわっ!?」ガバッ

アスカ「早く起きないと遅刻するわよ!」

シンジ「ア、アスカ……!?」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……ほら、起きて。おじさまとおばさまが待ってるわよ」

シンジ「……うん」

アスカ「あんた昨日出てた宿題ちゃんとやったの!?」

シンジ「うるさいな、ちゃんとやったよ」

アスカ「うるさいとは何よ!」


    ギャーギャー    ヤイヤイ




ユイ「朝から元気ね、あの子たちは」

ゲンドウ「ああ」



    ガチャ


ユイ「おはよう、シンジ」

ゲンドウ「おはよう」

シンジ「……」

ユイ「ほら、早く食べなさい。腹ペコのまま学校に行っちゃだめだからね」

シンジ「……うん、すぐ食べるよ」

ユイ「アスカちゃん、コーヒー飲む?」

アスカ「いただきます!」

ゲンドウ「私ももらおう」

アスカ「忘れ物無い?」

シンジ「無いって、いちいちうるさいんだからアスカは」

アスカ「あーっ! また言った!」バシッ

シンジ「ったいなー! もー」

アスカ「ふん!」プイッ

ユイ「二人とも、道を歩くときは車に気を付けるのよ?」

アスカ「はい! 行ってきます!」

シンジ「じゃ、行ってきます」

ゲンドウ「ああ」

ユイ「行ってらっしゃい!」


      バタン


ユイ「さて、私たちも仕度しましょう」

ゲンドウ「ああ」


―――通学路



シンジ「……」テクテク

アスカ「……」トコトコ



シンジ「あのさ、アスカ」
アスカ「ねえ、シンジ」



シンジ「な、なんだよ」

アスカ「あんたこそ、何よ」

シンジ「アスカからどうぞ」

アスカ「嫌! あんたから言いなさい!」

シンジ「えー……」

アスカ「ほら!」

シンジ「……あのさ」

アスカ「……うん」

シンジ「僕たち」

鈴原トウジ(以下、トウジ)「いよーっす! お二人さん!」

相田ケンスケ(以下、ケンスケ)「おはよう! 碇、惣流!」

シンジ「トウジ! ケンスケ!」

アスカ「げ、朝から3バカトリオ勢揃いね」

シンジ「おはよう! 昨日のビッグファイター見た!?」

ケンスケ「当然! まさかあそこでシルバーロボが助けに来るとは意外だったな!」

トウジ「ワイはあのボルケーノマスターの活躍が一番良かったな!」

ケンスケ「トウジはあの決め台詞大好きだもんな!」

トウジ「おうよ! あの必殺技を決める時の掛け声! 何回聞いても痺れるわ~!」

アスカ「ほんっと、男子っていつまでたってもガキよねぇ~」

洞木ヒカリ(以下、ヒカリ)「おはよ、アスカ」

アスカ「ヒカリ!」

シンジ「おはよう」

トウジ「なんや、委員長か」

ヒカリ「なんやとはなによ! あんたたちちゃんと昨日の宿題やったの?」

トウジ「宿題? そないなもん出とったっけか?」

ケンスケ「やっべえ! 碇、やってるか!?」

シンジ「い、一応は」

トウジ「頼む! 後生やから教室で見せてくれ!」

ケンスケ「俺たち友達だろ!?」

シンジ「えぇー!?」

アスカ「バカばっかり」ハァ

ヒカリ「こら、鈴原! 相田! 宿題は自分たちの力でやらなきゃ意味無いでしょ!」

トウジ「やかましい、女が男の友情に口挟むなや!」

ヒカリ「何が友情よ、バッカじゃないの!?」

シンジ「あ、あはは……」





アスカ「ねえ、シンジ」

シンジ「ん?」

アスカ「……何でもない」

シンジ「……」


―――学校・教室



トウジ「すまんなセンセ、助かるわ~」

ケンスケ「今度メシおごってやるからな」

シンジ「ホント?」

ヒカリ「碇くん、あんまり二人を甘やかさないでよ。バカがうつったら大変よ」

トウジ「なんやと!?」

アスカ「ご心配なく! シンジも十分バカよ」

シンジ「むっ」

ケンスケ「そうだ、知ってるか? 明日、ウチのクラスに転校生が来るらしいぜ!」

トウジ「ホンマか!? 男か、女か?」

ケンスケ「いや、性別まではまだわかんないんだ」

トウジ「なんや~、かわええ女の子やとええなぁ、センセ?」ニヤニヤ

シンジ「そ、そうだね」

アスカ「むーっ!」

ヒカリ「鈴原!」



      ガラッ



カヲル「おはよう、みんな」

レイ「おはよう」

シンジ「綾波! カヲルくん!」ガタッ

ヒカリ「きゃっ」

トウジ「ど、どしたんやセンセ!? 普通に綾波と渚が登校してきただけやないか」

シンジ「え? ……そ、そうだね、どうしたんだろ僕」

ケンスケ「変な碇」

アスカ「……」

カヲル「僕も、また君に会えて嬉しいよ、シンジくん」

トウジ「コラ! 渚も誤解されるような言い方止めんかい!」ビシッ

レイ「……」

ケンスケ「お前らも知ってたか? 転校生の話」

カヲル「いや、初耳だね」

アスカ「レイは?」

レイ「知らなかった」

シンジ「楽しみだね、仲良くなれるといいね」

カヲル「そうだね」



    ガラッ



葛城ミサト(以下、ミサト)「はーい皆ー! 席についてー!」

トウジ「おっと、ミサト先生や」

ミサト「ホームルーム始めるわよー!」

アスカ「ミサトせんせー! 明日転校生が来るってホント!?」

ミサト「あら、耳が早いわね。その通りよ」

トウジ「男でっか? 女でっか?」

ミサト「それは明日までの秘密! その方が楽しいでしょ?」

ケンスケ「……あれ? 先生、その十字のネックレスは?」

ミサト「これ? ふっふ~ん、昨日お父さんからもらったのよ!」チャリッ

アスカ「隣のクラスの加持先生じゃなくって?」

ミサト「なっ! あ、あいつは関係ないわよ!」バンッ!



     あははははははははははははは!



シンジ「……」


――――――放課後



トウジ「せや、駅前に新しいハンバーガー屋出来たらしいで」

ケンスケ「皆で今日行ってみないか?」

シンジ「いいね、行こうか」

ヒカリ「下校中の買い食いはよくないわよ」

アスカ「いいじゃない、ヒカリも行こうよ!」

ヒカリ「え、でも……」

ミサト「ほどほどに、ね? じゃね~」フリフリ

トウジ・ケンスケ「「さよ~なら~」」

アスカ「ほら、担任公認!」

ヒカリ「葛城先生~……」

ケンスケ「渚と綾波もどうだ?」

カヲル「ごめんね、せっかくのお誘いだけど僕たちは行くところがあるんだ」

レイ「また誘って」

トウジ「さよか、そらしゃーないな」

カヲル「それじゃ皆、また明日」

トウジ「おう、ほなな」

ヒカリ「さようなら」

シンジ「じゃあね」

レイ「碇くん」

シンジ「ん?」

レイ「あの……」

シンジ「?」

レイ「……ごめんなさい、何でもないの」

シンジ「そう? 綾波も、また明日ね」

レイ「……」コクリ

カヲル「……行こうか」

レイ「ええ」

シンジ「……」

アスカ「……」

トウジ「……なんやなんや、あの二人、いつの間にあんな関係に!?」

ヒカリ「やめなさいよ、たまたま同じ用事があるのかもしれないじゃない」

ケンスケ「それにしても今朝も一緒に来てたしな……あの二人ってそんな仲良かったかな?」

トウジ「分からんもんやなあ、綾波はてっきりセンセ狙いやと思うとったのに」

シンジ「ま、まさかぁ」

アスカ「そうよ! そんな訳ないじゃない!」バンッ!

トウジ「なんや惣流、むきになって」ニヤニヤ

ケンスケ「朝と言えばお前ら今日も二人一緒に来てたよな?」ニヤニヤ

シンジ「……」

アスカ「……」

ヒカリ「二人は幼なじみなんだから当然でしょ!?」

トウジ「そないなこというてー」ニヤニヤ

ケンスケ「なー?」ニヤニヤ

トウジ「ええ加減納まったらどないやー?」










シンジ「待ってよ、そんなことあるわけないよ」

アスカ「そうよ、なんで私がこんな奴と」


 

トウジ「ま、ほならそろそろ行こか!」

ケンスケ「よーし、じゃあ校門最後にくぐった人は全員にジュースおごりな!」ダッ

トウジ「あ! ずるいでケンスケ!」ダッ

ケンスケ「へへっ、悪いな!」ダダダダ…

トウジ「負けへんで! ファイヤーーーー……!!」ダダダダ…

ヒカリ「こらー! 廊下を走るなー!」

アスカ「やっぱりガキね、あいつらは」

シンジ「ケンスケ、今朝の宿題の礼のこともう忘れてるな……」

ヒカリ「捕まえてちゃんと言っとくから、二人はゆっくり来ていいからね」タタッ

シンジ「あ、うん。悪いね、委員長」

ヒカリ「じゃ、アスカ、碇くんをよろしくね?」コソッ

アスカ「もう、ヒカリまで……」

ヒカリ「鈴原ー! 相田ー! 待ちなさーい!」タッ

アスカ「結局ヒカリも走っちゃってるじゃない」

シンジ「あはは、そうだね……僕らも、行こうか」

アスカ「うん……」



     スタスタ   テクテク


シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……あのさアスカ、朝言ってたことだけど」

アスカ「うん」

シンジ「僕たち、なんか忘れてることないかな?」

アスカ「シンジも? 私も朝からなーんか大事なこと忘れてるような気がして……」

シンジ「そうなんだよね……とても、とても大事なこと……」

アスカ「……ま、そのうち思い出すでしょ」

シンジ「そうかな?」

アスカ「思い出せないようなどうでもいいことなら、ずっとこのまま忘れたままでいいじゃない」

シンジ「……そっか、そうだよね」

アスカ「ほら、勝手に走ってったとはいえ、あまり皆を待たせちゃ悪いわ。急ぎましょ」

シンジ「あ、うん」


       タタッ







シンジ「……」

アスカ「……」

つづく





















――――――同時刻


 









―――月










ミラーナイト(以下、ミラー)「素晴らしい……清らかに青い、美しい星ですね」

ジャンボット(以下、ボット)「これが地球の本来の姿なのだな」

ジャンナイン(以下、ナイン)「全ての有機生命体がこの地球に帰ってきた」

グレンファイヤー(以下、グレン)「そして、シンジとアスカも……な」

ボット「我々は無事、任務を達成できたようだな」

ミラー「ええ、地球の再生は実現されました」

グレン「地球に生きる人間も動物もみーんな戻ってきたってわけだ」

ナイン「シンジとアスカも、きっとこの地球のどこかで、元気に生きている事だろう」

グレン「かぁ~、せめて一目会いてぇな~」

ミラー「それは……叶わないでしょうね……」

ナイン「ああ……」

ボット「ゼロの話では、我々のことは彼らの記憶から消えてしまったらしい」

ミラー「切ないですが、これからここで平和に暮らしていけるのなら、それで良かったのかも知れません」

グレン「つってもよぉ……そんな寂しい話あるかよ……」

ナイン「グレン……」

ミラー「……今、ゼロが結果を見届けに地球に行っています」

ボット「ゼロが戻ったら、我々も行くとしよう」

グレン「そーだな……」

ナイン「僕もこの風穴の空いた腹部を早く直してもらいたい」 バチバチッ

グレン「お前それ大丈夫なのかよ」

ナイン「駆動には問題ないが、落ち着かない」

グレン「うん、だろうね」

ミラー「では、一度エスメラルダに帰りますか?」

ボット「そうだな、姫様も二人のことを心配なされている事だろう」

ミラー「ゼロが戻りましたら提案してみましょう」

グレン「じゃあ地球もこれで見納めだな……」

ミラー「寂しいですが、彼らへの別れは、心の中で済ませましょう」

ボット「ああ……」

グレン「……」

ナイン「……」

ミラー「……」

ボット「……」

グレン「あ~おい地球にたくさんいっのっち♪」

ボット「何だそれは?」

グレン「いや、場を和まそうと」

ミラー「以前も歌ってましたがその歌は一体なんなんです?」

グレン「いやー、どっかのなんかで聞いたんだよな……なんだったかな……?」

















―――地球

 








―――市街・喫茶店







テレビ『あ~かいき○ねと緑のたっ○っき♪』







ゼロ(人間体)「ん?」

カヲル「どうかしたかい?」

ゼロ「いや、今なんかどっかで聞いたことあるようなフレーズが……」

店員「お待たせしました、コーヒーお二つとオレンジジュースでございます」

ゼロ「おっ、すまねえな!」

レイ「コーヒー、飲めないの?」

ゼロ「るせーやい」チュー

カヲル「よく僕たちが記憶を引き継げているって分かったね」

ゼロ「分かってたわけじゃねえよ、なんとなくそんな気がしたから会ってみただけさ」

カヲル「そうなのかい? 今朝突然僕らの前に現れたからびっくりしたよ」

レイ「私たちもあなたたちのことを覚えていたから、驚いた」

カヲル「僕たちは使徒だったからリリンたちと同じように転生できるか分からなかったけど、こういう形になるとはね」

ゼロ「どうやらお前たちも本物の人間になれたようだな!」

カヲル「そのようなんだ。もうATフィールドも張れないし、空も飛べない」

レイ「碇くんとアスカが望んでくれたから、私たちも人間としてこの世界で生きていられるのね」

ゼロ「あいつらがお前らのことを見捨てたりするわけねえだろ? 友達なんだからよ」

ゼロ「結局よ、地球の再生は上手くいったんだろ?」

カヲル「そうだね。この世界は紛れもなく彼らの願いの下に生まれた世界のはずだ」

ゼロ「そうか、そりゃすげえな」チュー

カヲル「とはいっても、この世界も完璧じゃない。例えば、彼らが『平和な世界』を望んだとしても、犯罪や戦争は避けられない」




テレビ『続いてのニュースです。昨夜、○○県△△市のコンビニエンスストアに二人組の強盗が押し入り、現金20万円を奪って逃走しました』

テレビ『犯人は依然逃走中、○○県警は引き続き二人組の捜索を―――』




カヲル「なぜなら人間の欲から起こる混沌は、フォースインパクトの力を持ってしても抑えることはできない」

レイ「完全な世界の創生、それは人間が不完全だから不可能なのね」

カヲル「この世界の国家も法律も言語も、大昔の賢人たちの知恵の下に、作るべきものが作り、なるべくしてなった世界だ」

レイ「二人の願いは、その歴史の過程の『下地』になったと思われるわ」

ゼロ「はあ……? よく分かんねえけどよ、あいつらはどんな世界を望んだんだ?」

カヲル「さあ、聞いてないから分からないや」ニッコリ

ゼロ「はっ?」ガクッ

レイ「二人ももう忘れてしまっているから、願いの内容は誰にも分からないわ」

ゼロ「あっそう……でもまあ、見たとこ普通の地球の姿だ。あいつらはただ『普通』の世界ってのを願ったのかもな」

カヲル「ただ」

ゼロ「?」

カヲル「この世界には『あの時』LCLと化していた人間が全て転生しているはずだ」

カヲル「ゼーレを名乗っていたあの男も、例外じゃない」

ゼロ「……ゼーレ、か」

カヲル「彼は、この世界を忌み嫌い、地球で唯一の存在になることを望んだ」

カヲル「彼以外にも、この世界を良しとしないリリンはいたかもしれないね」

レイ「……」

ゼロ「……」




『何が絆だ、何が仲間だ……! 宇宙人に地球人の何が分かる!』

『いらない……! 仲間も家族もいらない! 他人など必要ない!』

『私が絶対なる唯一の存在であればいいのだ!』




ゼロ「……」

レイ「……でも、それは」

ゼロ「確かにそうだ」

レイ「!」

ゼロ「いくらシンジがフィニッシュを決めたとはいえ、俺たちがいなきゃこの世界は生まれなかった」

ゼロ「シンジもアスカも、『あの世界』で死んでただろうしな」

レイ「……」

ゼロ「俺たちは神様なんかじゃねえ、全ての人々を掛け隔てなく平等に救えるなんて思っちゃいねえよ」

ゼロ「俺たちがいくら頑張ったって、助けられない命や、届かない思いもあるんだ」

カヲル「ウルトラマンゼロ……」

ゼロ「俺たちはやりたいようにやった。そこに悔いはねえ」

ゼロ「ただ、結局俺たちがやったことがこの地球にとって本当に正しかったのか、と言われたら、それは―――」

レイ「私は」

ゼロ・カヲル「?」

レイ「私は、これで良かった、と思う」

ゼロ「……」

レイ「また碇くんに会えて、嬉しかった。アスカとも、学校のみんなとも」

レイ「この世界での記憶が混在してるからじゃない。今日、あなたに会えた時も嬉しいと思った」

レイ「人との出会いに嬉しいと思える、それが人間の正しい在り方だと、私は思う」

カヲル「……」

レイ「だから……少なくとも私は、これで良かったと思う。だからそんなこと、言わないで」

ゼロ「綾波レイ……」

カヲル「僕も同じだよ、ウルトラマンゼロ。君たちがいてくれたおかげで、この地球の人々は本来あるべき存在に戻れたんだと、僕も思うよ」

ゼロ「……ありがとな、お前ら」

レイ「それに、あの時碇くんは言ってた」



『これから生まれる新しい世界では、きっと彼やかつての僕みたいな人でも、他人といる事に喜びを感じられる明るい世界であってほしい』

『僕は、そういう世界を創りたいんだ』



ゼロ「……!」

レイ「この世界が碇くんの願いどおりになっているなら、きっとあの人も、この世界で生きる喜びを見つけられるかもしれない」

ゼロ「ははっ、そうだといいよな」

カヲル「うん、きっとそうなれるとおもうよ」

ゼロ「それと……あのよ」

カヲル「ん?」

ゼロ「俺たちが戦ったあの生物……使徒だったな。あいつらは……どうなったんだ?」

レイ「? どうして?」

ゼロ「ほら、あいつらも元々地球にいた生き物だって言ってたから、その……」

カヲル「フフッ」

ゼロ「な、なんだよ」

カヲル「僕たちも元使徒さ。でもこうして人間として生まれ変われている」

カヲル「もしかしたら、この世界のどこかで生きているかも知れないよ?」

ゼロ「……そっか、なら、いいんだ」

レイ「優しいのね」

ゼロ「るせーやい」ズズズッ

カヲル「そういえば、一つ君に聞いてみたいことがあったんだ」

ゼロ「なんだ?」

カヲル「君は前に、地球人を助けるのに理由なんていらない、って言ってたよね?」

ゼロ「ああ、言ったな」

カヲル「せっかく助けた地球人が犯罪や戦争を起こしても、君たちは地球人に失望したりしないのかい?」

ゼロ「……!」

カヲル「君が助けた人々の中に、ゼーレのような人間がいたとしても」

レイ「……」

ゼロ「どんな種族にだって、自分の欲に負け、間違いを犯してしまう奴はいるもんさ」

ゼロ「俺たちウルトラマンでも、な」

カヲル「……」

ゼロ「でもな、地球人に限ったことじゃねえけど、地球にはいい奴がいっぱいいるだろ?」

ゼロ「少ない悪人のために、大勢のいい奴を見捨てるわけにはいかねえのさ」

ゼロ「これは俺の先輩の言葉だ。この人も地球が大好きなんだ」

ゼロ「別の地球だが、何度も地球のために戦ったんだ」

レイ「……!」

ゼロ「シンジにもいつか話したっけな。地球人だってバカじゃねえ、自分たちの間違いを認め、やり直せる力を持ってる」

ゼロ「俺たちはそんな勇気を持った人々をこれからも守っていく! それが俺たちの使命だからだ!」

ゼロ「なぜ俺たちがそんなことするのかって言うと……結局、理由なんて必要ねえのさ」

カヲル「なるほど……」

ゼロ「さっきも言ったように俺たちは俺たちのやったことに後悔はしねえ、いつだって誇りを持ってるんだ!」

ゼロ「なんたって俺は」



レイ「ウルトラマン、だから?」



ゼロ「へっ?」ズルッ

カヲル「……ぷっ」

ゼロ「は、はっはっはっはっは!」

レイ「ふふっ」クスクス





テレビ『続いてのニュースです。国際宇宙開発機構アメリカ支部が、地球とよく似た環境を持つ惑星を発見したと発表しました』

テレビ『将来的には、地球人が移住できる可能性もあるとして調査が進められており、日本支部も研究に参加する予定とのことです』

テレビ『この惑星を発見した科学者は、この惑星を先日誕生したお孫の名前と同じ「サキエル」と命名し―――』





 

つづく



続きは明日

再開



店員「ありがとうございましたー」


    カラン カラン


ゼロ「お前らはこれからどうするんだ?」

レイ「まだ、はっきりとはわからないわ」

カヲル「僕たちももうただのリリン……いや、人間になったからね。あと百年も生きられないだろう」

カヲル「だから僕たちも、まずは人間として精一杯生きるためにこれからの目的を探すことにするよ」

レイ「碇くんやアスカ、この地球に生きる皆と同じように」

ゼロ「そっか、頑張れよ。お前らならきっと見つかるさ! なんたってもう五百年生きてるんだからな! そこらの奴より大人だろ!」

カヲル「フフッ、そうだね」

レイ「あなたは、どうするの?」

ゼロ「俺か? 俺たちはもう行くさ。この宇宙のどこかで誰かが俺たちを待ってるだろうからな」

レイ「あの二人には会っていかないの?」

ゼロ「だって、もう覚えてねえんだろ?」

レイ「……ええ」

カヲル「さすがに今日は意識の混濁があったようだけど、すぐに『この世界』の記憶に馴染んでいくよ」

ゼロ「そっか、そんならいいさ」

レイ「でも」

ゼロ「気にすんな。地球を戻すためには避けらんねえことだったんだ。しょうがねえさ」

カヲル「彼らにも少しズレが生じているようだね。今日の様子を見たところ、彼らはこの世界では恋仲ではないようだった」

カヲル「でも、きっとまた以前のような仲になってくれると思うよ」

ゼロ「ん~……まあ惚れた腫れたの話はよくわかんねえけどよ、あいつらがこれからも仲良くやってくれるならそれに越したことはないさ」

カヲル「今日も、とても仲良しだったよ」

ゼロ「そうか、良かった。あいつらのこと、よろしくな」

カヲル「ああ。君も、元気で」スッ

ゼロ「おっ、握手か? へへ」ギュッ

カヲル「本当にありがとう。ウルトラマンゼロ」

ゼロ「達者でな、カヲル!」

レイ「……私も」スッ

ゼロ「おう!」ギュッ

レイ「……あったかい……ポカポカする」

ゼロ「あったけえだろ? これが命の温かさって奴なんだな」

レイ「命……私たちは、生きてるのね……」

ゼロ「ああ、俺たちは生きてる! 体に気を付けろよな、綾波レイ!」

レイ「あ……」

ゼロ「?」

レイ「ありがとう」ニコッ

ゼロ「へへっ」ニッ

カヲル「彼らも、きっと幸せに生きていくことだろう」

ゼロ「えっ?」

カヲル「向こうの通り、ごらんよ」クイッ

ゼロ「!!」





ヒカリ「さっきの賭け、無効だからね!」

トウジ「わかっとるがな、悪かったて」

ケンスケ「ちぇっ、委員長がいるの忘れてたなぁ……」

アスカ「罰としてあんたたちが全員分出しなさい!」

シンジ「アスカ、それじゃ本末転倒だよ」

アスカ「あんたは黙ってなさい!」

トウジ「ケッ、オニババめ」

アスカ「なんですってぇ~!!」

シンジ「道、こっちで合ってるの?」

ケンスケ「ああ、たぶんな」





ゼロ「シンジ、アスカ―――!」

ゼロ「……ははっ、楽しそうで何よりだ」

カヲル「きっと彼らの未来は明るい、そんな気がするよ」

ゼロ「おいおい、それを言うなら僕らの、だろ?」

カヲル「!」

ゼロ「もうお前らも一人の人間なんだ。お前ら自身の幸せも見つけなきゃな!」

レイ「私たち自身の……幸せ……」

ゼロ「ま、これからはあんまり気負わず楽しくやれよ、な?」ポン

カヲル「……そうだったね」

レイ「……」ニコッ




カヲル「じゃあ、ウルトラマンゼロ。さよなら」

レイ「さようなら」

ゼロ「ああ、じゃあな」










ゼロ(友達と通りを歩いて行くシンジとアスカの姿を見て、俺はやっと安心した気持ちになった)



ゼロ(あいつらも、今俺の前から去りゆくカヲルと綾波レイのように、これからは普通の子供として生きて行けるだろう)



ゼロ(それでいいんだ。それで、いい)
 




ゼロ(……寂しくないっていったら嘘だ。あいつらは俺たちの大事な仲間だ)



ゼロ(共に冒険して、戦って。短いながらも一緒に過ごした時間は掛け替えのないものだ)



ゼロ(でも、これから平和な世界を生きて行けるのなら、俺たちのような荒っぽい連中が生きる世界のことは忘れた方がいい)



ゼロ(やっと厳しい戦いの日々から離れられるんだから、それでいいんだ)



ゼロ(あいつらが忘れちまっても、俺たちが忘れなければ、絆は途切れやしない。それで、いい)


 




「ゼロさん!」





ゼロ(シンジ、たくましく生きろよ)



ゼロ(一度は俺と同化したんだ。そのことを忘れたとしても、お前の心には俺と同じウルトラ魂が根付いてるはずだからな)



ゼロ(戦う力を無くしたって、お前のその勇敢な魂さえあれば、これからもアスカを守って行けるさ)



ゼロ(お前は立派な男になったんだぜ、シンジ)

 




「ゼロ!」





ゼロ(アスカ、あんまり無茶すんなよ)



ゼロ(活発なお前だ、これからもシンジをグイグイ引っ張っていくんだろうけど、たまには無理せずシンジを頼れよ)



ゼロ(お前の本当の良さは、キツイ態度の裏にある誰よりも暖かい優しい心なんだからな)



ゼロ(ウルトラマンダイナのように強く、ウルトラマンコスモスのように優しくあってくれ。アスカ)

 




「ゼロさん!!」

「ゼロ!!」





ゼロ(エメラナや光の国にも、お前らのことはちゃんと知らせておくよ)



ゼロ(俺たちだけじゃない。遠く離れた星からも、たくさんの仲間がお前らの幸せを願っている)



ゼロ(だからお前らも―――)



















「ちょっとゼロってば!! 無視しないでよ!!」




ゼロ「んだよ!! さっきからうるっせー……な……?」クルッ







アスカ「う、うるせーなとは何よ! せっかくまた会えたのに……!」ハァ ハァ


シンジ「よかった……! もう宇宙に帰っちゃったかと……!」ゼェ ゼェ





ゼロ「お、お前ら……!!」





 

ゼロ「お前ら、どうして……! どうして俺が分かるんだよ……!」フルフル

シンジ「どうしてって……ねえ……」

アスカ「そうよ、地球の街中でそんないかにもな服着てたら目立つわよ」

ゼロ「え? そうか? 結構このカッコ気に入ってんだけどなあ……」



参考画像:http://nullpo.vip2ch.com/ga0952.jpg



ゼロ「……ってそうじゃねえよ! なんで俺のこと覚えてるんだよ!?」

シンジ「そ、それが……」

アスカ「ああーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ゼロ「うおっ!?」

シンジ「ど、どうしたのアスカ?」

アスカ「思い出したのよ! 大切なこと!」

ゼロ「な、何だよ」

アスカ「エスメラルダで皆からもらったお土産!!」

シンジ「えっ、あ、ああっ!!」

ゼロ「ああ……アレか。そういえばあったなそんなの」

アスカ「やだ、なんでこんな大事なこと忘れちゃってたんだろ!?」

シンジ「どうしよう、ずっとジャンボットさんの中に置いたまんまだった!」

アスカ「ゼロ! ジャンボットは!?」

ゼロ「え。ああ、地球の外にいると思うけど……」

アスカ「おーーーい!! ジャンボットーーーーー!!!」ブンブン

シンジ「ア、アスカ!」

アスカ「ねえーーー!! いるんでしょーーーーー!!? ちょっとーーーーー!!」

ゼロ「お、おいおい」

アスカ「聞こえるーーーー!? 帰ってきてーーーーーーーー!!! おねがーーーーーい!!」ブンブン

シンジ「アスカってば!!」

アスカ「何よ!!」

シンジ「まずいよ!」

アスカ「えっ……あ」



       ザワザワ


                 ヒソヒソ



「なんだ、あの子? 急に空に向かって叫びだして」

「なんかのパフォーマンスか?」

「あっちの男の服ダサくね?」



ゼロ「……」

アスカ「あ、あははは……」

シンジ「ば、場所替えましょ!? ね!?」

アスカ「そ、そうね」

ゼロ「おし! それなら俺に任せろ!!」

シンジ「え」

ゼロ「はっ!」キュイーン

アスカ「ちょ、ちょっ」



       シュパァァァァァァァァァァ……



「え!? 消えたぞ!?」「新手の誘拐か?」
「何だったんだ一体……」


      ザワザワ    

            ドヨドヨ



 

つづく

遅くなってすみません

再開











――――――数時間前




シンジ(その日は、不思議な朝だった)


シンジ(昨日までと同じ、また新しい一日が始まる朝のはずだった)


シンジ(なのになぜだろう、心にぽっかりと隙間ができたような喪失感があった)


シンジ(何か大事な、とても大事なことを、忘れてしまった気がしていた―――)



 



シンジ(何を忘れたんだろう?)


シンジ(昨日の宿題? いや、ちゃんと夕食後に済ませたはずだ)


シンジ(トウジやケンスケに頼まれごと? いや、特に何も聞いてないはず)


シンジ(それとも、今目の前にいるアスカと何か約束を―――)



シンジ「……」

アスカ「……」



シンジ(アスカも、どこか釈然としない顔をしていた)



アスカ「……ほら、起きて。おじさまとおばさまが待ってるわよ」

シンジ「……うん」



シンジ(何があるでもなく、いつもと変わらない今日は始まる)



 




シンジ(父さんと母さんに会った時も不思議な感覚があった)


シンジ(毎日顔を合わせているはずなのに、何故だかすごく懐かしいような――)


シンジ(トウジやケンスケ、委員長やミサト先生に会っても同じような違和感があった)



シンジ「……」

アスカ「……」



シンジ(綾波とカヲルくんに会った時は、皆とは違う……会えて嬉しい……みたいな)


シンジ(でも二人もみんなも様子はいつもと変わらない。たぶん僕の気のせいなんだろう。そう思うことにした)



 




シンジ(そして、今日もいつもと変わらない一日が終わる)


シンジ(放課後、皆とハンバーガーショップに行くことになった)


シンジ(皆と喋りながら町を歩く、いつも通りの楽しい日常)


シンジ(そのころには今朝感じた『何か』なんてとっくに忘れて―――)






「―――」






シンジ(?)


シンジ(誰かに、呼ばれた?)


 




シンジ(振り向いた。アスカも同時だった)


シンジ(道路を挟んだ向こう側に、変わった服を着た背の高い男の人の後ろ姿が見えた)


シンジ(そしてふいに口を衝いて出た、その名)





シンジ「ゼロ……さん……?」

アスカ「ゼロ……?」









シンジ(その瞬間、『昨日までの記憶』が混ざり合い、強烈な目眩がした)



 

シンジ「……ごめん皆。先、行ってて」

ケンスケ「え?」

トウジ「何や、どしたんや?」

シンジ「アスカ!」ダッ

アスカ「うん!」ダッ

ヒカリ「え、ちょっと!」





シンジ(アスカの手をとって走り出す)


シンジ(思い出したんだ。全部、今までの全部を)



シンジ(エヴァのこと。NERVのこと。サードインパクトのこと)


シンジ(『あの頃』の地球のこと。エスメラルダのこと。光の国のこと)


シンジ(そして、なにより)




シンジ「ゼロさん!」




シンジ(言いたいことはたくさんあるけれど、なによりも)




アスカ「ゼロ!」




シンジ(僕たち二人が心から信頼し、憧れ、追いかけたあの背中に)




シンジ「ゼロさん!!」

アスカ「ゼロ!!」






シンジ(もう一度、会いたい)


――――――現在



―――芦ノ湖・湖畔



     ヒュパァァァァァァァ…




ゼロ「よっと! へへ、ここなら誰もいないだろ!」

シンジ「……」

アスカ「……」

ゼロ「このブレスの力があれば、お前らを運ぶくらい訳もねえのよ!」

シンジ「……」

アスカ「あ……あ……」プルプル

ゼロ「おいおいアスカ、これくらいのことにいちいち御礼なんて」






アスカ「あんたバカァ!!!?」

ゼロ「うおっ」ビクッ

アスカ「なに街中で超能力使ってくれちゃってんのよ! ここは宇宙じゃないのよ!? 目立っちゃうじゃないの!!」

ゼロ「あっ」

アスカ「大勢の人に見られちゃったじゃない!! 突然消えた変な子供って噂になったらどーしてくれんのよ!!」

シンジ「学校の友達とかに見られてたらどうしよう……」トホホ

ゼロ「まぁまぁ……大丈夫だって、たぶん」

アスカ「なぁにがたぶんよ! 責任とってよ!!」

ゼロ「じゃ、じゃあ街の人間の記憶を一人残らず……」

アスカ「そんなことさせるわけないでしょーが!!」

ゼロ「冗談だから、冗談……」ナハハ

ゼロ「そ、それよりほら! この袋だろ!?」

アスカ「あ! これよこれ!」

シンジ「ゼロさん、いつの間に?」

ゼロ「今のワープの間に取り寄せたんだ、それもブレスの力で……」

アスカ「ブレスレット自慢はもういいわよ!」

シンジ「じゃあ、ジャンボットさんたちは……」

ゼロ「おう! ブレスを通して話できるぜ!」キュイン

アスカ「ホント!?」

グレン『シンジ! アスカ! はははー!!』

ミラー『お二人とも、私たちを覚えていてくださったんですね!』

ボット『シンジ、アスカ、よく頑張った! おめでとう!』

ナイン『ああ、見事だった』

シンジ「皆さんも、ご無事だったんですね!」

グレン『たりめーよ! 俺らが簡単にやられるわけねえだろ!』

アスカ「みんな……ありがとう……!」グスッ

グレン『あれあれ? アスカちゃん泣いちゃう?』

アスカ「う、うるっさいわね!!」ゴシゴシ

ミラー『グレン、止しなさい』

ナイン『アスカにも涙があったのか』

アスカ「どういう意味よ!」

シンジ「あはは……」

ゼロ「それにしても不思議だ……」

シンジ「!」

ゼロ「カヲルや綾波レイはお前らは何も覚えてないって言ってたのによ」

シンジ「カヲルくんと綾波に会ったんですか?」

アスカ「二人にも記憶が残ってたのね……」

ゼロ「結局よ、なんで俺らのこと思い出せたんだ?」

シンジ「それがですね、さっき街でゼロさんの背中を見かけて……」

アスカ「それでなーんか? そういえば?みたいな感じで急にフッと」

ゼロ「そんな昔聞いた豆知識みたいな思い出し方なのかよ……」

アスカ「あ、それと!」

ゼロ「お! 何か思い当たることあったか!?」

アスカ「この世界ができる前……そう、あのガフの部屋で祈ってた時、大きな手に包まれる感覚があったわ!」

シンジ「うん……それ、僕も覚えてる」

アスカ「ゼロ、あんたがなんかしてくれたんじゃないの?」

ゼロ「や、俺はなにも……」

アスカ「あ、そう。でも、あれが関係あることはたぶん間違いないわね!」

ゼロ「大きな手、か……」

シンジ「……あ」

ゼロ「なんだシンジ、お前もなんか思い出したか?」

シンジ「光の国で、ハヤタさんとモロボシさんがこう言ってました」

ゼロ「親父が?」

シンジ「はい……」




ハヤタ『おっと、君たちが気にすることはない。私たちはただ祈っただけだ』

アスカ『祈った……?』

ハヤタ『そうだ。君たちの未来に光があるように』

ダン『そして、君たちがゼロたちや宇宙の仲間との絆を忘れないように、ね』

シンジ『絆……』




アスカ「あ……!」

シンジ「何かこう……モロボシさんたちの不思議な力が初号機に宿ったんじゃないかって……」

アスカ「そう……! きっとそうよ!」

ゼロ「……」

シンジ「……? ゼロさん?」

ゼロ「……そうか……そういうことだったのか……!」

アスカ「何よ、どういうことだったのよ?」

ゼロ「起こったんだよ! ウルトラの奇跡ってやつが!」

シンジ「ウルトラの……?」

アスカ「奇跡……?」

ゼロ「はははっ! お前らよお!!」ガバッ

シンジ「わっ!?」

アスカ「ちょ、ちょっと!?」

ゼロ「最高だ! 最高だぜお前ら!!」ガシガシ

シンジ「ゼ、ゼロさん! ははっ」

アスカ「もう、ゼロったら……!」






シンジ(僕も、アスカも、ゼロさんも)


シンジ(泣いてるのか笑ってるのか、よく分からない顔をしていた)


シンジ(ブレス越しにウルティメイトフォースゼロの皆さんに冷やかされたけど、たぶんグレンさんも泣いてた)


シンジ(皆、また会えた奇跡を、ただひたすらに喜び合っていた)





シンジ(ありがとう。ウルトラの奇跡―――)


 










グレン『この世界じゃ、もう気軽に宇宙旅行へも連れてってやれねえな』

ミラー『残念ながら、この星の文明はまだそのレベルに達していないようですからね』

ゼロ「心配すんなって! いつかまた、顔を見に来てやるからよ」

シンジ「僕たちも……」ボソッ

ゼロ「?」

シンジ「いえ、またここに遊びに来てください」

アスカ「今度はちゃんとした服着てきなさいよ?」

ゼロ「よぉーし! 今度は光の国で最先端のシャレた服着てきてやっからな!」

アスカ「ええ、楽しみにしてるわ!」

ゼロ「だからお前らも……その……なんだ……」

アスカ「なによ、歯切れ悪いわね」

ゼロ「湿っぽい別れは嫌いだって言っただろが!」

アスカ「バカね、湿っぽくなる必要なんてないじゃない」

シンジ「そうですよ。きっとまた、会えますから」

ゼロ「ああ、そうだったな」


シンジ(……僕たちも、待ってるだけじゃないですから)


ゼロ「忘れるなよ、シンジ! アスカ!」

ゼロ「離れ離れになってもお前らはずっと! ウルティメイトフォースゼロのメンバーだ!!」

シンジ「はい!」

アスカ「うん!」



ミラー『さようなら、二人とも』

グレン『楽しくやれよ!』

ボット『元気でな』

ナイン『さらばだ、友よ』


アスカ「あんたたちも、元気でね」

シンジ「ありがとうございました!」

ゼロ「じゃあな!」サッ


       キュインキュイン


ゼロ「デュワッ!!」



       ギュイイイイイイイイイイン!



 




    ズズゥン!



ゼロ「……」チラッ




シンジ「……さようなら、ゼロさん」

アスカ「バイバイ」




ゼロ「……デュワッ!!」ビュッ





シンジ(こうして僕らは、ゼロさんたちと別れた)


シンジ(夕焼け空の中、5つの光が宇宙へ飛んでいくのを、僕らは見えなくなるまで見送っていた)

 



シンジ(やけにあっさりしたお別れだったけど、僕たちはこれでいいと思う)

シンジ(だって)




アスカ「また、会えるわよね」

シンジ「うん」




シンジ(そう、信じているから)

 

つづく


マスター「生徒会長の父親というのが、市議会の議員でしてね……
     もう、何度も息子の不祥事を、揉み消しているようです」

友「政治家か……市議ってのは、そんなに権力があるモンなのかよ」

マスター「実際に手を下すのは、部下の秘書という人物のようですね。イケメンさんが海に転落した日も
      現場近くの監視カメラに、走り去る秘書の車が映っていました」

幼馴染「じゃあ、やっぱり……」

マスター「ええ、始末された……と、いうことでしょう」

男「それで、あくまでも『事故』って事で処理させようってか……」

友「コレじゃ、イケメンが浮かばれねーぜクソッ!」


すいません。誤爆しましたm(_ _)m

再開




シンジ「……」

アスカ「……」




シンジ(そうだ。僕たちは帰ってきたんだ!)


シンジ(父さん、母さん。そして皆と暮らせる、この地球へ)


シンジ(そして、なによりも大切なアスカと、これからも―――)




シンジ「ねえ、アスカ! 僕たち―――」

アスカ「ス、ストップ!! ストォーーップ!!」バッ

シンジ「……え?」ピタ

アスカ「その前にやること、あるでしょ」

シンジ「……ああ、エスメラルダのお土産を」

アスカ「違う! そーじゃない!」

シンジ「え、えっと……じゃあ、何、かな?」

アスカ「……」ジロッ

シンジ「うっ」

シンジ(な、何か怒らせるようなことしたかな?)

アスカ「あんた! さっき教室でなんて言ってた!?」

シンジ「教室?」

アスカ「私と付き合うなんてことあるわけないって言ったじゃないの!」

シンジ「あ、ああっ!」

アスカ「信じられない! サイッテー!」

シンジ「だ、だってそれは記憶が消えてたんだからしょうがないじゃないか!」

アスカ「記憶が無いにしても私傷ついたのよ!」

シンジ「それならアスカだってなんでこんな奴とって言ったじゃないか!」

アスカ「記憶が消えてたんだからしょうがないじゃない!」

シンジ「そ、そんなぁ……」

アスカ「とにかく! 昨日までの『この世界』での私たちは何でもないただの幼馴染ってことになってるのよ!」

シンジ「うん……そうみたいだね」

アスカ「だから! この世界でも私と一緒に生きていきたいなら……」ゴニョゴニョ

シンジ「え?」

アスカ「もう、全部言わせる気!? もう一度ちゃんと言いなさいってことよ!」プイッ

シンジ「ちゃんとって……」

アスカ「ほら、早く! 日が暮れちゃうわ!」

シンジ「う、うん」

シンジ「あ、あの……」ドキドキ

アスカ「……」ドキドキ

シンジ「アスカ……あっ」

アスカ「な、何よ?」

シンジ「ちょっと待ってて」ゴソゴソ

アスカ「あ! 何してんのよ! お土産はまだ早いって……」

シンジ「はいアスカ、これ」スッ

アスカ「何? この箱」

シンジ「開けてみて」

アスカ「?」


    パカッ

 

アスカ「―――!」

シンジ「それが、僕がエスメラルダでもらったお土産だよ」

アスカ「これ……指輪……!?」

シンジ「そう。ちゃんと石もついてるでしょ?」

アスカ「この石ってもしかして……エメラル鉱石?」

シンジ「それはね、工夫の皆さんに鉱山に連れて行ってもらった時、初めて僕が掘り当てたエメラル鉱石の一部なんだって」

アスカ「……!」

シンジ「僕が将来アスカに結婚を申し込むときの為に、作ってくれてたそうなんだ」

アスカ「で、でもあんた……! 結婚はまだ早すぎるって前に……」

シンジ「ホントはね、自力でちゃんとした指輪を買えたらすぐに申し込むつもりだったんだよ!」

シンジ「でもアスカ、服とか色々買っちゃうからお金貯められなかったし、皆がこれを用意してくれてるなんて知らなかったし……」

アスカ「……」

シンジ「ア、アスカのせいって言いたいんじゃないよ! ただその、僕もちゃんと考えてたんだ」

シンジ「アスカと、一生一緒にいたいって」

アスカ「……」

シンジ「だから今こそ、ちゃんと言うね」

アスカ「……うん」

シンジ「……」ドキドキ

アスカ「……」ドキドキ

シンジ「ア、アスカ!」

アスカ「は、はい!」

シンジ「ぼ、ぼ、僕と……その……この地球で……」

アスカ「……」

シンジ「い、一生、一生守っていく! 絶対幸せにする! だから……」





シンジ「僕と、結婚してください!!」




 

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……だ……駄目……かな……?」

アスカ「……アンタ……バカ……?」

シンジ「?」

アスカ「駄目なわけ……ないじゃない……!」

アスカ「あんたとじゃなきゃ……嫌!」

アスカ「私はあんたさえいれば……他に何もいらない!」ガバッ

シンジ「うわっ!?」グラッ




      ドサッ




アスカ「シンジ! 大好き!!」ギュッ

シンジ「僕も大好きだよ、アスカ」ギュッ




    ヒラ


            ヒラ



       ヒラリ



アスカ「あ、写真……」カサ

シンジ「皆、元気かな?」

アスカ「きっとまた……会えるわよ」

シンジ「うん、会いに行こう。いつか、きっと」









シンジ「ところで、アスカはお土産何貰ったの?」

アスカ「えー? 内緒!」

シンジ「ええっ!? ず、ずるいよ!!」

アスカ「もうちょっと大人になったら、教えてあげるわよ!」


 

















―――惑星エスメラルダ


 


―――王宮



   コンコン


メイド「失礼します姫様、お部屋の掃除に……」ガチャ

エメラナ「そうですか! よかった……ええ、……はい」

メイド「!」

エメラナ「何と!それは大変です……わかりました、用意してお待ちしています」

メイド「……」

エメラナ「はい、それでは」ピッ

メイド「失礼しました姫様、お電話されているとは知らずに……」

エメラナ「いえ、構いません」

メイド「何のお電話だったのですか?」

エメラナ「良い知らせです。シンジさんとアスカさんが無事、故郷に帰りつけたとのことです」

メイド「まあ! 例の地球の方々ですね! それはよかったです!」

エメラナ「街の皆さんにもお知らせしましょう! きっと心配されています」

メイド「それはよいことです……あら?この時計は……」

エメラナ「その時計は、シンジさんとアスカさんから頂いたものです」

メイド「ですがこの時計は、エスメラルダの物ではありませんが……」

エメラナ「いいのです。遠く離れても、同じ時を生きているという大切なお友達の証ですから」

メイド「そうでしたか……」

エメラナ「それと、お掃除の前に技術局の方々にお声掛けをお願いします。ジャンボットとジャンナインを修理してあげねばなりませんので」

メイド「わかりました、直ちに」パタパタ





エメラナ(シンジさん、アスカさん。末永く、お幸せに)

エメラナ(いつかまた、お会いしましょう)

 

















―――ゼロ食堂

 

女将「はい! アスカちゃんスープ、おまちどう!」ガチャン

おっさん「ああ……アスカちゃん元気かなぁ……」ズズ…

おっさん「このスープもうめえけど、あの日のアスカちゃんの味には及ばねえなぁ……」ズズ…

女将「コラ、聞こえてるよ! 文句があるなら……」

おっさん「うへえ、冗談冗談! いただきやーす!」

女将「……ま、あの日のあの子の味に及ばないのは事実さね」

主人「免許皆伝、だな」

女将「はい! アスカちゃんスープ、おまちどう!」ガチャン

おっさん「ああ……アスカちゃん元気かなぁ……」ズズ…

おっさん「このスープもうめえけど、あの日のアスカちゃんの味には及ばねえなぁ……」ズズ…

女将「コラ、聞こえてるよ! 文句があるなら……」

おっさん「うへえ、冗談冗談! いただきやーす!」

女将「……ま、あの日のあの子の味に及ばないのは事実さね」

旦那「免許皆伝、だな」

ベテランおっさん「やっぱり寂しいな」

新人おっさん「そっすねぇ……」

ベテランおっさん「まあ、昔に戻っただけなんだが、あの二人も歳だ。後継ぎがいねえとまずいな」

新人おっさん「後継ぎか……俺、なろうかな」

ベテランおっさん「馬鹿言え、おにぎりも握れねえくせによ」

新人おっさん「いや、こないだできた彼女がね、料理上手いんですよ」

ベテランおっさん「なにぃーっ!? こなくそ、俺より先に女作るとはどういう訳だ!」ギュー

新人おっさん「ぐぇぇっ! ギブギブ!」バンバン

女将「コラ、ケンカなら外でやんな!」



     ガラッ


「……」

新人おっさん「せ、先輩! 他のお客さんの邪魔になりますから! ね!?」

ベテランおっさん「おお、すまねえな若いの……?」

新人おっさん「先輩?」

「……」

ベテランおっさん「お、おめえは……!」

女将「はいはい! いらっしゃ……」


      カシャーン





「ただいま、母さん」

女将「あ……あんた……あんたーーーっ!!」バタバタバタ…


―――惑星エスメラルダ・市街



    チャラッ

ピコ「お父さん、お母さん! 行ってきまーす!」タタッ

パナ「キャンキャン!」テテッ



ピコ母「全くピコったら、どこへ行くにもあの十字のネックレス付けて行っちゃって」

ピコ父「恩人にもらったものなんだ、当然さ」






ピコ「お兄ちゃーん!! お姉ちゃーん!!」

ピコ「私ずっと待ってるから、いつか遊びに来てねーーーー!!!」

パナ「わおーん!!」





 

















―――光の国

 



         キランッ


ウルトラセブン(以下、セブン)「!」

ゾフィー「ゼロからのウルトラサインだ!」

エース「地球、再生成功……!」

タロウ「子供たち、帰還せり……か!」

ジャック「おお! やったんだな!」

ウルトラの母「ゼロ……お見事です!」

ウルトラの父「うむ、よくやった! ゼロ!」

ウルトラマン(以下、マン)「セブン、ゼロがまた、一つの世界を救ったぞ」

セブン「ああ、そのようだな」

メビウス「セブン兄さん! やりましたね!」

レオ「さすがは、あなたの子です」

マン「メビウス! それにレオも」

セブン「……いいや」

メビウス「?」

セブン「あいつは良い師と良い先輩を持った。そのおかげだよ」

セブン「あいつに代わって礼を言わせてくれ。ありがとう」ペコッ

レオ「……!」

メビウス「セブン兄さん……!」

マン「ふふっ」

















―――地球・第三新東京市・市街

 

カヲル「……さて、彼にああは言ったけど、これからどうしようか?」

レイ「……」

カヲル「ま、まずはやりたいことを探そうかな。残りの人生は100年もないけど、焦ることはないよね」

カヲル「君はどうだい? なにかやりたいことはあるのかい?」

レイ「やりたいこと……とは言えないかも知れないけど……一つだけ」

カヲル「へえ、よければ、教えてくれないか?」

レイ「私は……みんなと、生きていきたい」

カヲル「生きる?」

レイ「ええ、碇くんやアスカ、碇司令、学校のみんなと」

レイ「人間らしく、皆と、一緒に生きていきたい」

カヲル「そう……素敵なことだとおもうよ」

レイ「でも、一番大切なことがある」

カヲル「なんだい?」

レイ「あなたと、生きていきたい」

カヲル「……?」

レイ「あなたは、碇くんとアスカが地球を離れた後も、ずっと私のそばにいてくれた」

レイ「私がまた、寂しい気持ちにならないように、数百年一緒にいてくれた。ゼーレからも守ってくれた」

レイ「私はそれがとても、心地良かった」

カヲル「……」

レイ「私とあなたは、同じじゃない。一人一人の違う人間」

レイ「だから私たちも、お互いを支え合って生きて行く必要があると思うわ」

レイ「碇くんと、アスカのように」

カヲル「ファースト……」

レイ「だから、人として生きれる最後の時まで、あなたに一緒にいてほしい」

レイ「あなたさえ、良ければだけど……」

カヲル「……僕は」

レイ「?」

カヲル「僕は、悪かったと思ってたんだ」

カヲル「ウルトラマンゼロも言っていたように、僕も君とシンジくんを引き離した要因だからね」

カヲル「だから、君を一人にさせないことが、君に対する贖罪だと思った」

カヲル「勝手だね。君に恨まれてるか、疎まれてるとずっと思ってたよ」

レイ「そんなこと、ない」

カヲル「……もし僕が、今後も君にとってシンジくんの代わりが務まるのなら、それでも――」

レイ「碇くんの代わりなんかじゃない。あなたは、あなた」

カヲル「!」

レイ「私にはあなたが必要、あなたが大切。だから一緒に生きていきたいの」

カヲル「ファースト……」

レイ「名前で呼んで。あの時みたいに」

カヲル「……わかったよ、レイ。僕で良ければ、最後まで一緒にいさせてくれないか?」

レイ「ええ、ありがとう。カヲルくん」

カヲル「……弱ったな。この気持ちはなんだろう? どんな顔をすればいいのか分からないや」

レイ「私も同じ気持ち。心がポカポカしてる。こんなときは……」

カヲル「こんなときは?」

レイ「笑えばいい、と思うわ」

カヲル「……!」ニコッ

レイ「少しずつ、人間らしくなりましょう。一緒に」

カヲル「……ああ」

レイ「……手、繋いでいい?」スッ

カヲル「ああ」ギュッ

レイ「……あったかい」

カヲル「ああ、あったかいね」

レイ「これが……命の温かさ……」

カヲル「……行こう」ニコッ

レイ「ええ」ニコッ




 

つづく

年内の更新は今日が最後です
皆さん良いお年を

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします


再開


―――シンジとアスカのマンション



アスカ「全くゼロの奴! 置いてけぼりにするなら帰りのバス賃くらい寄越していきなさいよね!」プンプン

シンジ「明日は学校の皆にも説明しなきゃいけないね」

アスカ「そういやそうだったわ……あ」

シンジ「ここだね、僕らの家」

アスカ「うん……」

シンジ「じゃあ、また明日」

アスカ「……」

シンジ「……? どうしたの?」

アスカ「いや……いままでずっと同じベッドで寝てたのになって……」

シンジ「そういえば……昨日までそれぞれこの家にいたはずなのに、なんか変な感じだね」

アスカ「ちょっと……寂しいかも」

シンジ「アスカ……」

アスカ「……なーんてね! じゃね!」

シンジ「アスカ!」

アスカ「ん?」

シンジ「またいつか……一緒に暮らそう」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……約束よ」

シンジ「もちろん」

アスカ「お休み」

シンジ「うん、お休み」



    ガチャ


キョウコ「あら、アスカちゃんお帰りなさい」

アスカ「ママ……!」

キョウコ「仕事が早く終わってね、ご飯作って待ってたのよ」

アスカ「ママ!」ガバッ

キョウコ「あらあら、どうしたのアスカちゃん? 急に甘えんぼさんになっちゃって」

アスカ「なんでもない! ただいま、ママ!」ギュッ

キョウコ「ええ、おかえり……あら? この袋はなぁに?」

アスカ「これ? これはね、大事な友達にもらったのよ! 見せてあげる!」



 



    ガチャ


シンジ「ただいま」

ユイ「おかえり、シンジ」

ゲンドウ「遅かったな」

シンジ「……」

ユイ「どうしたの? 早く手を洗っていらっしゃい」

ゲンドウ「腹減っただろう、すぐ夕食にしよう」

シンジ「うん」パタパタ



    ザァー


シンジ「……」ザブザブ

シンジ(父さんがいる。母さんがいる)

シンジ(僕が夢見た当たり前の家庭が、ここにあるんだ)



シンジ「おまたせ」

ユイ「シンジ? どうしたの、泣いてるの?」

シンジ「え!? ち、違うよ! 顔も洗ったんだ」ゴシゴシ

ユイ「そう? 帰って顔洗うなんて、変な子ねえ」

ゲンドウ「シンジ、この袋に入ってる本はなんだ? 外国の本か?」

シンジ「あ、ああ。それは、えっと――」






 




シンジ(僕たちは生きて行く)


シンジ(グレンファイヤーさん、ミラーナイトさん)


シンジ(ジャンボットさん、ジャンナインさん)


シンジ(エメラナ姫、女将さん、旦那さん、ピコちゃん、先生、学校のみんな、鉱山の皆さん)


シンジ(ミライさん、モロボシさん、ハヤタさん、光の国の皆さん)


シンジ(そして、ウルトラマンゼロさん)


シンジ(宇宙で得た仲間と共に掴んだ、この世界で)



 


―――シンジの部屋


シンジ「……」


   ガラッ    ヒュウウウウウウ…


シンジ(気持ちいい風が吹いている。空には満天の星が輝いている)


シンジ(ゼロさんたちは今、この広い宇宙のどこを飛んでいるんだろう)


シンジ(これからもまたケンカしたり、トラブルに巻き込まれたりするんだろうか)


シンジ(そしてその先には、きっと新たな強敵との戦いも待っているのだろう)





 




















―――???

 





???「…………ハァァ…………」



???「おお、すげえ! ついに成功だ!」

???「陛下の魂がアーマードダークネスに無事憑依された!」

???「これで一時的とはいえ、陛下は現世に甦られたということですな!」

???「陛下、ご気分は」



???「けっ、最悪だ」

 

魔導のスライ(以下、スライ)「ですが、これが計画の終わりではありません」

極悪のヴィラニアス「スライ、奴らはどうした?」

スライ「すでに本拠地はつきとめました。人質の目処もついています」

氷結のグロッケン「へっへっへ、グラシエの野郎、良い死に土産を残してくれたぜ」

地獄のジャタール「この計画ならば、我々の勝利に間違いはない」

炎上のデスローグ「グォォ……」

スライ「陛下、宇宙で最強の肉体を手に入れるため……いえ」

スライ「陛下の悲願を果たされるため、参りましょう」





ウルトラマンベリアル(以下、ベリアル)「上等だ……今度こそ全宇宙を俺の物にしてやる!」


ベリアル「待っていろ!! ゼロ!! ふははははははは……!!」

 





シンジ(でもゼロさんたちなら、どんな時でもきっと大丈夫だろう)


シンジ(いつでも変わらない、『信念』があるから)


シンジ(……なんて、僕なんかが心配するようなことじゃないんだろうけどね)



 







―――宇宙



ゼロ「……」

グレン「なんだゼロ、まだ感傷に浸ってんのか?」

ミラー「寂しがることは無いでしょう、きっとまたいつか、会えるでしょうから」

ゼロ「分かってるよ! ジャンナイン、腹は大丈夫か!?」

ナイン「問題ない」バチバチッ

ボット「見た目は痛々しいが我々は頑丈だ、上半身と下半身が千切れない限りは大丈夫だろう」

グレン「何サラッとグロいこと言ってんだよ」

ナイン「僕がそんな不覚を取るわけがないだろう」

ミラー「ゼーレに異空間に閉じ込められた時は少し焦りましたね」

ナイン「どこまでいっても真っ白な世界とは初めての経験だった」

グレン「死んだわけじゃなし、楽勝よ!」

ゼロ「いや楽勝じゃあなかっただろ、閉じ込められてんだから」

グレン「いいじゃん、いつの間にか出られたんだから」

ナイン「あれ以上酷い目に合うのはしばらく御免だな」

ボット「エスメラルダでしばらく休息を取ろう」

ミラー「賛成です」

グレン「いいねぇ! 久しぶりにエスメラルダの飯をたらふく食いてえな~♪」

ゼロ「おいおい、俺たちは宇宙の悪をブッ飛ばす役目があるんだ。休んでばっかいらんねえぞ!?」

グレン「えぇ~」

ゼロ「ビビってんのか!?」

グレン「ビビってねえよ!」

ボット「ジャンナインの修繕が終わるまでの間だけだ」

ミラー「姫様に今回の事の次第を報告せねばなりませんしね」

ゼロ「ったく、しょうがねえな」

グレン「ゼロ、お前の考えてること、分かるぜ?」

ゼロ「え?」ドキッ

ミラー「シンジくんとアスカさんに示しがつくよう、これからも一層宇宙の平和に頑張ろうと思ってるのでしょう?」

ゼロ「うっ」ギクッ

ボット「我々は我々のできること、やるべきことを少しずつやっていくだけだ」

ナイン「僕らのその姿勢は、二人の心にきっと残っている。大丈夫だ、焦ることはない」

ゼロ「……へへっ、そうだな!」

ゼロ「俺たちは俺たちの道を、突き進むだけだ!! ちょっと休憩挟みながらな!」

ゼロ「行くぜお前ら! 目指すはエスメラルダだ!」

一同「おう!!!」


     ギュイイイィィィィィ……ン


 




ゼロ(シンジ、アスカ。俺たちはやるぜ)


ゼロ(皆が平和に暮らせる宇宙を創るため、俺たちは進み続ける!)


ゼロ(お前たちも信念を持って、強く生きてくれよ!)






シンジ(ゼロさん。僕たちもあなたのように、信念を持って精いっぱい生きていきます)


シンジ(ウルティメイトフォースゼロの一員として、恥ずかしくないように)


シンジ(皆さんも頑張ってくださいね。お体に気を付けて)


 










ミラー「そういえばゼロ、彼らは結局どういう世界を願ったのでしょうか?」

ゼロ「ああ……そういやそのこと忘れちまってたな」

ゼロ「……ま、いちいち聞くってのも野暮だろ? 俺たちにはもう関係ないことだ」

ゼロ「それに俺はあいつらのこと信じてる。きっと、良い世界を作ってくれたさ! 綾波レイもそう言ってたしな!」

ミラー「……ですね、彼らなら心配ないでしょう」


――――――翌日



―――学校


    ガラッ


シンジ「おはよう」

アスカ「おはよー!」

トウジ「いよっ! お二人さん!」ニヤニヤ

ヒカリ「ちょ、ちょっと鈴原!」

シンジ「おはよう、トウジ」

アスカ「何よジャージ、朝から気持ち悪いニヤケ顔して」

トウジ「昨日は二人でお楽しみやったんやないの? んー?」ニヤニヤ

ヒカリ「気にしないでいいからね! こいつも相田もあれからそればっかりで」

シンジ「いや、別にいいよ」

アスカ「なぁんだ、ガキねぇ」

トウジ「なんやと! ほなら昨日二人で抜け出して何してたんか言うてみい!」

ヒカリ「いい加減にしなさいよ鈴原!」

シンジ「それは……」



    ガラッ


ケンスケ「おい聞いたか!? 大ニュースだ!」

トウジ「なんやケンスケ騒々しいな、今容疑者を取り調べしとんねん」

シンジ「容疑者って……」

ケンスケ「それよりもさ、今日来る転校生って女の子らしいぞ!」

トウジ「ホンマか!?」

ケンスケ「ああ、霧島マナっていって、すっげえカワイイ子らしいぞ!」

シンジ「へえ、そうなんだ!」

アスカ「むっ!」

アスカ「ちょっとシンジ! 何鼻の下伸ばしてんのよ!」

シンジ「え! そ、そういう訳じゃ」

アスカ「もう浮気するつもり!? サイテーよ!」

シンジ「そんなんじゃないよ、ただどんな子なのかなって」

アスカ「やっぱ興味持ってんじゃない!」

シンジ「いいだろ興味持ったって、転校生なんだから!」

アスカ「いーや! カワイイってとこに興味持ってた!」

ヒカリ「……」

ケンスケ「待て待て待て待て待て」

トウジ「何やその会話、自白か?」

アスカ「は?」

ケンスケ「だって今の、完全にカップルの痴話喧嘩だろ」

アスカ「だってこいつが!」

ヒカリ「待ってアスカ、そこ否定しないの?」

アスカ「否定って?」

トウジ「ふ、二人はその……つ、付き合い始めたんかっちゅうこっちゃ!」

アスカ「聞いといて何照れてんのよ」

ケンスケ「ほ、本当にそうなのか!?」

シンジ「うん、そうだよ」

トウジ「え……えぇーーー!!!」ガーン

ケンスケ「昨日は全然そんな素振り見せなかったのに……!」ガガーン

トウジ・ケンスケ「「碇の裏切りもーん!!」」

シンジ「あ、あはは……」ポリポリ

ヒカリ「おめでとう! 昨日から?」

シンジ「うーん……昨日からっていうか……」

アスカ「この世界ができる前から……かな?」

ヒカリ「……?」

ケンスケ「は……?」

トウジ「何言うてんねや……おっ」


カヲル「……」

レイ「……」


トウジ「見てみい! お前らが朝から訳わからんこと言いよるから渚と綾波が固まってもうとるやないか!」

アスカ「!」ニヤッ

シンジ「おはよう、綾波、カヲルくん」

アスカ「ファースト! フィフス! 何やってんの! 早くこっち来なさいよ!」ブンブン

レイ「!」

カヲル「これは……驚いたね……!」

トウジ「ふぁーすと……?」

ケンスケ「ふぃふす……?」

ヒカリ「何それ? あだ名?」

シンジ「ま、まあそんな感じかな」

トウジ「センスのかけらもあらへんわ」

レイ「名前で呼んで」

アスカ「分かってるわよ、レイ!」

カヲル「シンジくん、もしかして……」

シンジ「奇跡、だよ」ニコッ





シンジ(そして、時は流れて行く)




 

つづく

再開




~♪



トウジ「うまっ! なんやこのスープ!」ズズッ

ヒカリ「すごい! これ本当にアスカが作ったの!?」

アスカ「ふっふーん♪ 見直したでしょ?」

ケンスケ「惣流って料理下手じゃなかったか?」

アスカ「失礼ね! 私には最高の師匠がいるのよ!」

レイ「おかわり、ある?」

シンジ「あるよ」

カヲル「僕もいいかな?」

ヒカリ「料理の先生に習ったの? 私もその先生に教えてもらいたいな!」

アスカ「え? うーん……それは難しいかも……」

ケンスケ「なんで?」

アスカ「遠くに住んでるから、簡単には会えないのよ」

トウジ「なんや、外人さんなんか?」

アスカ「まあ、そんなとこね」

ヒカリ「確かに、日本には無い味付けだわ」

レイ「おかわり、ある?」

シンジ「まだあるよ」

カヲル「僕もいいかな?」

ヒカリ「他には? どんな料理教わったの?」

アスカ「……目玉焼きとか……」

トウジ「焼くだけやないか」

アスカ「う、うっさいわね! 私にはこのスープがあるもん!」

レイ「おかわり」

アスカ「あんた何杯目よ!?」

レイ「6」

アスカ「の、飲み過ぎじゃないの!?」

レイ「美味しいから」

アスカ「ふ、ふーん……なら、たーんと飲みなさい! まだまだたっくさんあるわよ!」

カヲル「僕もいいかな?」

トウジ「ワシも!」

シンジ「はいはい、お皿貸して」




~♪



トウジ「うほー! キレーな星空やのー!」

ヒカリ「鈴原は普段星空なんて見ないから感動も人一倍でしょ」

トウジ「や、やかましわ!」

加持リョウジ(以下、加持)「相田君、天体観測にちょうどいい場所を教えてくれてありがとうな」

ケンスケ「お安いご用ですよ、加持先生」

加持「でもなんでお前までついてくるんだ、葛城? お前の担当は現国だろ?」

ミサト「あんたがこの子たちに変な遊び教えないか監視するためよ!」

アスカ「監視の割にはしっかりお化粧してるじゃない」

ミサト「し、しーっ!」

シンジ(バレバレですよ、ミサト先生)

加持「なんだかんだ言って、お前もやっぱり星が好きなんだな」ハハ

ミサト「悪い?」ツン

加持「いいや、嬉しいさ」

トウジ「お! 流れ星や! 願い事願い事……」

ヒカリ「え!? どこどこ!?」キョロキョロ

トウジ「あっ、消えてもた! 邪魔すんなや委員長!」

ヒカリ「な、何よ! 私のせいにする気!?」

加持「はっはっは、慌てるな。今夜は流星群が観測できる、願い事なんざいくらでもできるさ」

ケンスケ「葛城先生はやっぱり結婚をお祈りするんですか?」ニヤニヤ

ミサト「そんなに内申下げてほしいの? あ・い・だ・くん?」ギロッ

ケンスケ「ひいっ! なんでもありません!」ビクッ

アスカ「ねえ加持先生!」

加持「どした、アスカ」

アスカ「エスメラルダって星はどっちの方角にあるの?」

加持「エスメラルダ……? すまんが、そんな名前の星は知らないな」

アスカ「なーんだ……」ショボン

シンジ「じゃあ加持先生、M78星雲はどっちですか?」

加持「M78星雲ってオリオン座のか? よくそんなマイナーな星雲知ってるな」

シンジ「はい、ちょっと」

加持「勉強熱心で感心だなシンジくん。ほら、こっちの方角だ」

アスカ「どれどれ……」

加持「この望遠鏡でも十分見えるはずだ」

シンジ「アスカ、見える?」

アスカ「もうちょっと……」

カヲル「シンジくん、M78星雲って?」

シンジ「実は……」コソコソ

カヲル「へえ、それは興味あるなぁ」

レイ「私にも見せて」

アスカ「もうちょっと!」

シンジ「……」ジーッ

カヲル「どうだい? シンジくん」

ミサト「あんたたち変わってるわね、もっと月とか北極星とか見ればいいのに」

加持「宇宙に興味持ってもらえるのは嬉しいことじゃないか。なあ? 葛城」

ミサト「……そうね」

シンジ「うーん……もしかしたらって思ったんだけど」

アスカ「手を振ってくれるかも、って?」コソッ

シンジ「少しね」コソッ

ミサト「?」

ケンスケ「新しいプラモデル新しいプラモデルあたら……あーっ!」

トウジ「無くした財布出てきますように無くした……あーっ!」

ヒカリ「なんて情けない願い事なの……」




~♪



トウジ「実はその……ワシら、な」

ヒカリ「お、お付き合いすることに……なりました」

アスカ「よかったじゃん、ヒカリ!」

シンジ「おめでとう」パチパチパチ

カヲル「おめでとう」パチパチパチ

レイ「おめでとう」パチパチパチ

ヒカリ「ありがとう!」

ケンスケ「はいはいはいおめでたいですねー、っと」

トウジ「な、なんやケンスケ! 素直に祝福してくれへんのか!?」

ケンスケ「できるか! これで仲間内で独り身は俺だけだ! あーあ!」

アスカ「あら、あんたこないだ街で霧島さんと二人で歩いてたじゃない」

トウジ「な、なんやと!?」

ケンスケ「へっ?」ギクッ

シンジ「僕も見たよ、二人で買い物してたのかな?」

ケンスケ「ち、違うんだ! たまたまミリタリーに興味があるってマナが言うから……」

レイ「名前で呼んでるのね」

ケンスケ「はっ!」

トウジ「お前っ! ワシらに黙って独り身気取っとったんか! なんちゅう薄情な奴や!」

ケンスケ「だから違うんだって! まだ……」

アスカ「まだ?」

ヒカリ「まだ付き合ってない、ってことね?」

ケンスケ「うっ」ギクッ

アスカ「そういうことなら私たちに任せなさい! あんたの恋をバックアップしてあげる!」ドーン

ケンスケ「や、止めろ! そういって面白がるつもりだろ!」

アスカ「人の好意は素直に受け取るもんよ、相田!」

ケンスケ「碇! 何とかしてくれ!」ガシッ

シンジ「ごめんケンスケ、もう火が付いちゃったから無理だよ」

ケンスケ「そ、そんなぁ……」

アスカ「よーし! そうと決まれば相田マナ爆誕作戦を皆で考えるわよー!」

トウジ・ヒカリ「「おおー!!」」

ケンスケ「とほほ……」シクシク

シンジ「ま、まあなるようになるって」

カヲル「……ところで、皆の認識では僕たちもお付き合いしてることになってるようだね、レイ」

レイ「迷惑?」

カヲル「とんでもない、光栄だよ」




シンジ(たくさん笑って、泣いて、怒って、また笑って)


シンジ(いろんな思い出を、仲間と作った)


シンジ(たくさんの時間を、仲間と共有した)


シンジ(当たり前の毎日が、どうしようもなく幸せだった)










シンジ(でも)


シンジ(あれから、ゼロさんたちがまた、僕たちの前に姿を現すことは、無かった)

 


――――――数か月後



―――学校





トウジ「はぁ~あ、もうすぐ卒業やなぁ」

カヲル「寂しくなるね」

ケンスケ「お前らもう高校決めたか?」

トウジ「まだや、いまだにフワフワしとったらまたミサト先生にどやされるで」

ケンスケ「碇、お前は?」

シンジ「ううん、僕もまだ」

トウジ「どーせセンセは惣流と同じ学校行くんやろ?」ニヒヒ

シンジ「そ、そういうトウジだって」

トウジ「……ワシの学力やと……ヒカリの志望校に届かへんかもしれんのや……」ガクッ

ケンスケ「それは……お気の毒に……」

ヒカリ「何言ってんの! だから毎日勉強教えてあげてるんじゃない!」

トウジ「ヒカリ!」

ヒカリ「ホラ! 今日もウチでやるわよ! 皆またね!」グイッ

トウジ「あたたっ、引っ張んなや!」

ケンスケ「羨ましいね、ヒューヒュー!」

シンジ「頑張ってね、トウジ」

トウジ「お、おう!」


    ガラッ

 

ケンスケ「渚と綾波はやっぱり例の進学校に行くんだろ?」

カヲル「そうだね。やりたいことがあるから」

ケンスケ「目標があるっていいよな、俺もなんか探さなきゃ」

カヲル「焦ることはないよ。人生は長いんだから、目標なんてゆっくり探せばいい」

シンジ(説得力あるなあ)

ケンスケ「ま、そうだな! さて、俺もいい加減帰って受験生らしく勉強するかな」ガタッ

シンジ「またね」

カヲル「また明日」

ケンスケ「おう! じゃあな」


    ガラッ

 





シンジ(僕たちも、それぞれの道を歩き出す時が来た)




シンジ「カヲルくん、やりたいこと見つかったんだね」

カヲル「まだぼんやりとだけどね、この夢のためにレイと一緒に頑張っていきたいと思うんだ」

シンジ「綾波も?」

カヲル「やっと生きる目標を持てた。『彼』にも、胸を張って報告できるよ」

シンジ「彼……」

カヲル「今頃、どこで何をしているんだろうね」

シンジ「うん……」

カヲル「会いたくはないのかい?」

シンジ「忙しいんだよ、きっと」



    ガラッ


レイ「カヲルくん、終わったわ」

カヲル「ああ、行こうか」ガタッ

シンジ「二人もやっぱりこれから勉強?」

カヲル「うん、受験に絶対は無いからね」

シンジ(学年1位と2位なのに、さすがだなあ)

レイ「碇くん、また明日」

カヲル「じゃあね」

シンジ「うん、またね」




シンジ(皆、それぞれの道を歩く時がきた)


シンジ(そして、僕たちも)




    ガラッ


アスカ「次、シンジよ」

シンジ「うん」ガタッ

シンジ「ねえ、どうだった?」ボソッ

アスカ「……上手く、いってるみたいよ」

シンジ「本当!?」

アスカ「後は多分、私たち次第ってことね」

シンジ「僕たち次第……か」

アスカ「あんた、あの時のこと、忘れてないでしょうね」

シンジ「もちろん」

アスカ「本気なのね」

シンジ「もちろん」

アスカ「なら、私も一緒よ。いいわね?」

シンジ「……うん」

ミサト「おーいシンジくーん! どしたのー? 早く来なさーい!」

シンジ「はーい! 今行きます!」

アスカ「じゃ、また後でね」

シンジ「うん」



シンジ(僕たちも、未来へ進んでいく)


シンジ(約束を、誓いを守るために)



シンジ「よろしくお願いします」

ミサト「はいよろしくー」

シンジ「あの……ミサト先生」

ミサト「シンジくんあのさ、ちょっち話があるんだけど――」



 


―――シンジの家



ユイ「どうしたの? シンジ」

シンジ「父さん、母さん。話があるんだけど」

ゲンドウ「……話してみろ」

シンジ「うん。僕ね―――」






 


―――芦ノ湖・湖畔



アスカ「で、どうだった?」

シンジ「OKだったよ。そっちは?」

アスカ「こっちもよ。頑張ってって言ってくれたわ」

シンジ「よかった。じゃあ後は頑張るだけだね」

アスカ「……後悔、しない?」

シンジ「しないよ。僕なりに考えたけじめなんだ」

シンジ「ゼロさんは怒るかもしれないけど、きっと、応援してくれるよね」

アスカ「……たぶんね」

アスカ「……忘れないでよ」

シンジ「うん」

アスカ「どうなろうと、私たちはいつまでも一緒よ」

シンジ「うん」

アスカ「勝手にいなくなったりしないでよ。まだ式も挙げてないんだから」

シンジ「あはは……」




シンジ(僕たちは生きる。未来へと向かって)

シンジ(どんなときも、二人一緒に、手を取り合って)



 

シンジ「心配しないで。僕はあの時の約束通り、一生アスカを守り続けるから」

アスカ「うん。私もシンジのこと、これからも助けてあげる! 感謝しなさい!」

シンジ「ありがとう」





シンジ(僕たちはもう、一人じゃない)





 









アスカ「好きよ、シンジ」

シンジ「僕もだよ。アスカ」







  













ウルトラマンゼロ外伝 エヴァンゲリオンサーガ





第3部「絆、そして」  完





イメージソング:星のように…
http://www.youtube.com/watch?v=Fpr0vaSg0Jc










 




























――――――数年後

 

つづく






次回、最終回

今週末更新予定

再開

※少し長めです




シンジ(今でも、たまに思うことがある)


シンジ(こうして、家族や友達、アスカと楽しく毎日を過ごしている日々が、本当は夢なんじゃないかって)


シンジ(ふと目を覚ませば、あの赤い海の地球が現実として目の前にあるんじゃないかって)



アスカ「不安なの?」

シンジ「少しね」



シンジ(そしてこの世界すら、いつ無くなるかわからない脆い平和で成り立っているんじゃないかって)


シンジ(かつてエヴァパイロットとして戦った身としては、その不安はどうしても拭えなかった)



アスカ「あんたバカ……っていいたいけど、その気持ち分かるわ」


 

シンジ(僕たちが望んだ世界は、『使徒のいない、平和な世界』)


シンジ(誰も憎み合わないとか、恨み合わないとか、理想で固めたような世界じゃない。皆が人間らしく、生きていける世界)


シンジ(例え辛いことや悲しいことがあっても、僕たちは逃げちゃダメなんだ)


シンジ(ゼロさんの言うとおり、僕たち人間はそれらを乗り越えて行くことで成長していくのだから)


シンジ(だから、あくまで使徒がいないだけの『普通の世界』を選んだつもりだ)



シンジ「だから、ね?」

アスカ「いいわよ、そのくらい」



シンジ(でも二つだけ、僕たちの我が儘を混ぜさせてもらった)


 






―――???



    ビー!     ビー!




???「大気圏外より、高エネルギー体が接近中! パターン青、生命反応有りです!」

???「MAGIの予測によれば、98%の確率で第3新東京市付近に落下します!」

???「戦自の対応はどうなってるの!?」

???「突如の事態に、未だ出撃配備が整っていない模様です」

???「内閣からの出撃許可も、まだ下りていないとのことです」


   ウィーン


???「葛城課長!」

ミサト「まったく、頭の固い連中ねぇ……地球外生命体は本当にフィクションでしかないと思ってたのかしら」

 

日向マコト(以下、日向)「やはり実際目にするまでは、信じることはできなかったんでしょうかね」

青葉シゲル(以下、青葉)「なんだかんだ言って初めての実戦だ、手間取りもするだろうよ」

伊吹マヤ(以下、マヤ)「カメラで目標を確認、モニターに出力します!」カチッ


       ブォン


ミサト「この青い光球が……?」

赤木リツコ(以下、リツコ)「いよいよ来たわね」

冬月コウゾウ(以下、冬月)「これまで仮説の中でしか存在し得なかった地球外生命体。やはり実在していたのだな」

ゲンドウ「ああ。だが、人類にとっては歓迎されるべき現実だ」

冬月「どうかな」






―――第3新東京市


             フィィィィィイイイイイ……ン



               「お、おい! なんだあれは!?」

      「隕石か!?」

                       「こっちに落ちてくるぞ!」

             「に、逃げろ!」

   「キャー!」




             ズガガァン!






ベムラー「ギャーーーーオオオオオ!!」



 


―――国際宇宙開発機構・NERV 日本本部



青葉「怪獣出現! 市街地に侵攻してきます!」

ミサト「日頃の訓練の成果を今こそ見せる時でしょ! 市民の避難誘導だけは完遂させなさい!」

戦自通信『了解!』ガチャ

リツコ「見た目も声も可愛くは無いわね」

マヤ「目標の口部に高エネルギー反応!」



ベムラー『ギャオオオオオオ!』 ボウッ!


      ドガァァァァァァァン!!      



日向「放射熱線です! 街に被害が及んでいます!」

冬月「最悪のファーストコンタクトとなってしまったな」

ゲンドウ「想定内だ」クイッ



シンジ(一つはこの、国際宇宙開発機構・NERV。本部は日本で、総司令はやっぱり父さんだ)


シンジ(『宇宙開発が進んでいる世界』……だったらいいな、っていう僕たち願いの表れだ)


シンジ(どうしてもこれだけは外せなかった。なぜなら、『いつかまた、エスメラルダのみんなに会う』、って約束があるから)


シンジ(今度はゼロさんたちに連れて行ってもらうんじゃない。自分たち地球人の力で宇宙へ行きたいんだ。それも、なるべく僕らが生きてる内に)


シンジ(新しい世界への影響は大きいけど、これくらいの我が儘なら許されるかな?)


シンジ(それにしても、まさかNERVがそのままその役割を持つ組織として生まれ変わるとは思わなかったけどね)

 



シンジ(ミサト先生はもともと、大学時代加持先生やリツコさんと宇宙学を専攻していた(ことになっている)そうだ)


シンジ(NERVの採用試験に落ち、いろいろあって教師の道に進んだそうだけど、僕たちの卒業を機に加持先生と一緒に転職した)


シンジ(もちろん、僕とアスカから父さんにちょっとした口添えがあったことは内緒だ)


シンジ(念願のNERVに就職したミサト先生はすぐに頭角を現し、今では総合作戦局の第一課課長だ)


シンジ(他の皆さんも、以前のNERVと同じように活動している。母さんやキョウコさんもここに所属している)


シンジ(前と違うところと言えば、毎年家族参加型の新年会や運動会などが開かれたりと、組織の風通しが良くなってることだろうか)

 

冬月「アレを出すのか?」

ゲンドウ「そのための国際宇宙開発機構・NERVだ」

ゲンドウ「シンジの……いや、人類の悲願『人類宇宙進出計画』の為には、敵性地球外生命体との接触は避けられん」

リツコ「最初の実戦投入は、やはり地球であるべきと考えられます。不謹慎ですが、今日はいい機会かもしれません」

冬月「上手くいくかな。心配でならんだろう、碇」

ゲンドウ「……」

ユイ「あなた、冬月先生。準備は出来ております」

冬月「見ろ、ユイくんのほうがよっぽど肝が据わっているぞ」

ゲンドウ「……わかった」

ゲンドウ「総員、第一種戦闘配置!」







シンジ(そして、もう一つ)


シンジ(僕とアスカは、ゼロさんと一緒に宇宙を飛び回り、いろんな星を見た)


シンジ(それのどれもが魅力的であり、父さんや母さんにも見せてあげたいものだった)


シンジ(でも、その旅の中で一つ分かったことがある)


シンジ(それは)




ゼロ『地球という星はそれだけ、他の宇宙人からの憧れの対象でもあったんだ』




シンジ(地球は狙われる星である、ということ)


 




シンジ(以前の僕たちの地球に宇宙からの侵略が無かったのはたまたまかも知れないし、使徒がいたから寄りつかなかったのかも知れない)


シンジ(そして平和な地球になった今、新たに宇宙からこの星を狙う何者かが襲って来るかも知れない)


シンジ(もし、万が一そうなったらその時は)





ミサト「二人とも、準備はいい?」


『はい、行けます!』

『いつでもいいわよ!』


 

ゲンドウ「頼んだぞ、シンジ」

ユイ「気を付けてね」


シンジ『ありがとう。父さん、母さん』


キョウコ「がんばって! アスカちゃん」


アスカ『任せて! ママ!』






ミサト「未開惑星探索 兼 地球防衛用ヒト型活動機」

ミサト「エヴァンゲリオン、発進!」






シンジ(僕が、この地球を守らなければならない)


シンジ(いや、『僕たちがこの地球を守りたい』)


シンジ(それが、一度この地球を壊した僕の『責任』だと思うから)


シンジ(僕はその責任を果たすべく、この使命を負うことを『願った』)


 


―――第3新東京市

                 キランッ


ベムラー「ギ!?」


弐号機『アスカキィィーック!!』グオッ


    ドガァァン!!


ベムラー「ギギィ!」 ズズゥン

弐号機『あーもー! 動き辛いったらないわ! 反応が鈍い!』プンスカ

初号機『仕方ないよ、操縦法は似てるけど今度のエヴァは完全なロボットなんだから。前のような感覚じゃ動けないよ』

弐号機『分かってるわよ! あーあ、思う様に動けたジャンナインのコクピットが恋しいわ』

初号機『一生懸命再現してくれた二人に感謝しなきゃダメだよアスカ。このために頑張って訓練したんだし』

弐号機『分かってるっちゅーの! うおりゃあっ!!』ダッ


―――NERV本部



初号機『アスカ! バルカンを!』

弐号機『おっけー!』


   ズババババババ!   ダダダダダダッ



リツコ「二人とも良い動きだわ」

マヤ「先輩が作ったエヴァンゲリオン、順調に作動していますね!」

ミサト「どうリツコ? 研究の賜物が躍動する光景は?」

リツコ「バカね、私一人で作ったんじゃないわ。ユイさんや母さんの助けもあったし、それにあなたの元教え子が良く尽くしてくれたおかげよ」

ミサト「えへへー、そう?」ニコニコ

リツコ「あなたを褒めた訳じゃないんだけど……」

ユイ「その通りね。あなたたちがいなかったら、エヴァは完成していないわ。本当にありがとう」




カヲル「いえ、僕たちだって大したことはしていません」

レイ「私たちも、まだまだ勉強が足りませんから」


 

ユイ「あらあら、謙遜しちゃって」

キョウコ「エントリープラグシステムはあなたたちの提案よ? 他にもいろいろ手助けしてくれたわ」

リツコ「エヴァンゲリオンは宇宙空間やマグマの中でも耐えられる、これからの惑星開拓における希望よ」

ミサト「昔からあんたたち成績良かったもんねー。先生鼻が高いわ!」エッヘン

リツコ「だからなぜあなたが威張るの?」

レイ「葛城先生のおかげです」ペコ

ミサト「ほらー! もーっ、かわいいんだからレイはー!」ヨシヨシ

カヲル「はは……でも、まだまだこれからですよ。葛城先生」

ミサト「それにしても不思議ねー」

リツコ「何が?」

ミサト「あの子たちよ。初めての実戦にしては、なんか動き良すぎない?」

日向「二人とも訓練を頑張っていましたから、その成果が出ているんじゃないですか?」

ミサト「それにしては戦い慣れているような……エヴァにも初めて乗ったんじゃないような……」

リツコ「何言ってるの。そんなこと、ありえないわ」

ミサト「だよねー、ごみんごみん」テヘ

レイ「……」

カヲル「フフッ」ニコニコ




レイ(頑張って。碇くん、アスカ)

カヲル(今度は僕たちも、君たちと共に地球を守らせてくれ)

レイ(そして皆で、宇宙へ行きましょう)

カヲル(それが、僕たちの夢だから)


 



シンジ(綾波とカヲルくんにこのことを話したのは、高校に入ってからだった)


シンジ(二人とも驚いてた。綾波は少し怒ってたかな)


シンジ(でも最後には、二人も応援してくれるようになった)




弐号機『シンジ! 回り込んで!』ズガガガッ

初号機『うん!』ドキュウン! ドキュウン!




シンジ(ゼロさん。きっとあなたも『お前たちがそこまでする必要ねえんだよ!』って怒るかもしれませんね)


シンジ(でも、これは僕たちが自分で決めたことです)


シンジ(皆の未来を守るため、皆との約束を果たすため、僕たちは戦い続けることを選んだんです)


シンジ(後悔はありません)


シンジ(いつかまた、宇宙で会いましょう)

 

初号機『やあっ!』ガァン!

弐号機『見たぁ!? 私の超ファインプレー!』

ベムラー「ギ……ギギ……」フラフラ

弐号機『よぉーしっ! これでとどめよ!』チャキッ



                          キラン


初号機『!!?』

初号機『アスカ!! 危ない!!』ドンッ

弐号機『きゃっ!?』


        ズォビビビビビビビビ!


初号機『うああっ!』 ドガァン!

弐号機『シンジ!!』

ミサト「シンジくん!?」

リツコ「光線!? どこから!?」

マヤ「上空に新たなエネルギー反応! パターン青、宇宙生命体です!」

日向「数が一つではありません! 三つです!」

冬月「新手か!?」

ゲンドウ「……!」

ユイ「シンジ……!」

キョウコ「アスカちゃん……!」

青葉「新たな目標三体、第3新東京市に接近!」

初号機『うっ……!』ググッ

弐号機『シンジ! 大丈夫!?』

初号機『うん、平気だよ』



      ズズゥン!



カタン星人A「おのれおのれぃ! 地球人ごときがここまでやるとは!」

カタンB「せっかく苦労して捕まえたベムラーをやらせるわけにはいかん!」

カタンC「この星を新たなカタン盗賊団のアジトにしてやる! 我々が相手だ!」




弐号機『あいつら……どこかで……?』

リツコ「4対2!? まずいわ!」

ミサト「戦自の援護はまだなの!?」

ユイ「あれは怪獣とは違う……宇宙人?」

冬月「なんてことだ……いきなり本格的な侵略を受けるとは」

ゲンドウ「……」

冬月「碇、奴らがユイくんの言うとおりあの怪獣とは違う知的生命体なら、シンジくんの開発したアレが通じるかもしれん。流してみるか?」

ゲンドウ「いや、奴らは弐号機にいきなり攻撃を仕掛けてきた。残念ながら敵性と判断せざるを得まい」

キョウコ「お友達には、なれそうにありませんねぇ」

レイ「葛城先生、赤木博士」

ミサト・リツコ「「!!」」

レイ「私が零号機で二人を援護します」

カヲル「僕も出ます。参号機か四号機が使えれば……」

ミサト「ダメよ! 零号機はテスト用機体で戦闘には向かないのよ!」

リツコ「参号機も四号機もまだ稼働実験すら済んでないの、戦闘には出せないわ」

レイ「でも、このままじゃ二人が……」


弐号機『ちょっとちょっとー! 何勝手にもうダメだ、みたいな雰囲気になっちゃってんのよ!!』


一同「!!?」

初号機『僕らはまだ、負けてません!』ジャキン

ミサト「シンジくん……!」

ゲンドウ「シンジ……」

弐号機『当然! 本当の戦いはここからよ!』ジャキッ



カタンC「なあ、あの紫のロボット、前にどっかで似たようなの見た覚えないか?」

カタンA「やめろ! 俺も一瞬頭に過って忘れようとしてるところだ!」

カタンB「トラウマに負けてるようでは盗賊団の再興など夢のまた夢、行くぞ!」

ベムラー「ギィィーーーヤオオオオオ!!」



シンジ「行くよ、アスカ」

アスカ「ええ」



初号機『うおおおおおおおおおおお!!』
弐号機『だあああああああああああ!!』














        ズバビビビビビビビビ!!



 

初号機『!?』

弐号機『な、何!?』

カタンA「くっ!?」

カタンB「光線!?」



        バチチチチチィ!!





ベムラー「……ギ……」グラッ





       ドガァァァァ……ン!


カタンC「べ、ベムラーが!」

初号機・弐号機『……!』

マヤ「じょ、上空にまた新たなエネルギー反応! すごいエネルギーです!」

ミサト「もー次から次へと!! 今度はなんなの!?」

日向「パターンは……不明!……いや、これは!?」

ミサト「どうしたの、日向くん!?」

日向「この反応は数年前、芦ノ湖周辺で瞬間的に観測された超エネルギーと同一です!」

リツコ「何!? 一体何が来たの!?」

青葉「正体不明の生命体、第3新東京市上空に接近! モニターに出します!」


      ブォン


ミサト「これは……巨人……?」

 

ゲンドウ「!!」ガタッ

キョウコ「碇司令?」

ゲンドウ「冬月先生、例の音声を流してください」

冬月「シンジくんの開発したアレをか? なら、あの宇宙人は……」

ユイ「すぐに手配します」




レイ「カヲルくん……!」

カヲル「ああ、奇跡が起きたよ。レイ」






スピーカー『ジジ……ジ……』


スピーカー『キエ………コ………レキ……テ』


 








初号機『あ……あ……!!』








「よう、相変わらずだな。お前ら」








弐号機『もう……相変わらずなのはどっちよ……』






 



ミサト『シンジくん、アスカ! その宇宙人は……』

シンジ「大丈夫ですよ、ミサトさん」

アスカ「彼は、敵じゃないわ」

ミサト『え……?』



カタンA「き、貴様!」

カタンB「どうしてここが……!」



スピーカー『キエテ コシ キレキレテ』


スピーカー『キエテ コシ キレキレテ』






シンジ「だって、あの人は……」



 




        ズズン!



シンジ「ゼロさん!」




アスカ「ゼロ!」







           デュワッ!!














                        終劇

一年間ありがとうございました。




           おまけ






     その後のエヴァンゲリオンサーガ






―――NERV本部



リツコ「今日から入所する新人の調査員を紹介します」

モロボシ・ラン(以下、ラン)「よう! 俺の名はモロボシ・ランだ! よろしくな!」ビシッ

ミサト「彼は筆記試験はいまいちだったけど、抜群の身体能力が評価されて合格となりました」

ゲンドウ「これからの活躍に期待する。よろしく、モロボシくん」スッ

ラン「おいおい、モロボシくんはやめてくれ! 気軽にランって呼んでくれよなおっちゃん!」ギュッ

ゲンドウ「おっちゃん……?」

ミサト「こら! 碇司令と呼びなさい!」

シンジ「……」ポカーン

アスカ「……」アングリ

リツコ「あなたはNERVに泊まり込みで勤務してもらうわ、いいわね?」

ラン「おお! 住むとこ貸してくれんのか!? サンキューオバちゃん!」

リツコ「オバ……!?」ピキッ

カヲル「僕たちと同じだね、モロボシさん」

レイ「よろしく」

ラン「カヲル! 綾波レイ! ひさしぶ……」

アスカ「あんたちょっとこっち来なさい!!」グイッ

ラン「おおっ!?」ズルズル


   ウィーン



ゲンドウ「……」

リツコ「……」

ミサト「……」

シンジ「な、何やってるんですかゼロさん!?」

ラン「いや、お前ら元気にしてるかなーって」

アスカ「ちょっと顔見せればいいじゃない、NERVに入って来るってどういうつもりよ!?」

ラン「親父やメビウスもよ、地球の防衛チームに所属してた時期があったんだってよ」

ラン「だから俺も良い体験になるしせっかくだから、と思って……」

レイ「インターンシップね」

カヲル「歓迎するよ」

シンジ「他のみんなはどうしたんですか?」

ラン「ちゃんと了解得て来てるから、気にすんなって」ヘラヘラ

アスカ「あんたねぇ、モロボシさんやミライさんは地球にいたとき自分の正体明かしてたと思う?」

ラン「それをうまく隠しながら地球に溶け込めるかってのも経験の一つで……」

アスカ「あんたバカァ!? 全然隠せてないわよ!」

ラン「えっ」

カヲル「僕たちは初対面ってことにしなくちゃまずいと思うよ」

ラン「あっ」

レイ「世界的に有名な司令にあの呼び方もまずいと思うわ」

ラン「へっ」

シンジ「あとリツコさんをオバちゃん呼ばわりしたのも……」



      ウィーン


リツコ「お話はそのくらいでいいかしら?」

一同「!!」ギクーッ!

リツコ「さあいらっしゃいランくん? 楽しい訓練が待ってるわよ?」ニッコリ

ラン「お、おう! 今行くぜ!」

ラン「じゃあお前ら、後でな」ボソッ


      ウィーン


シンジ「ああっ……」

レイ「……」

アスカ「死ぬわね」

カヲル「やれやれ」



~♪



―――松代



日向「これが宇宙から降ってきた2機のロボットですか……」

マヤ「なぜ地球に落ちてきたんでしょう?」

青葉「単に不時着した、という可能性も考えられるな」

冬月「赤木博士、調査のほどは」

リツコ「お任せください、順調に進められておりますわ」

キョウコ「わぁ~、中は広いんですねぇ~」

ユイ「ほんと、生活できそうなスペースまであるわね」

ミサト「あの二人、いつの間に入り込んだの?」

リツコ「さあ……?」

日向「名前、決めませんか? キングジョー1号2号っていうのはどうですか? 強そうだし」

青葉「もっとかっこいい名前にしろよ。ガメロットⅠ・Ⅱとかさ」

マヤ「えーっ、もっとかわいい名前がいいなぁ……ビルガモとか、イゴマスとか」

リツコ「もう、遊びでやってるんじゃないのよ。名前はもう決まってるわ」

マヤ「ホントですか、先輩!」

リツコ「その名も、マウンテンガリバー1号2号よ!」

一同「おぉ~……」










ボット「……」ドキドキ

ナイン「……」ソワソワ



 

アスカ「ちょっと! 変な名前つけられてるわよ!」ヒソヒソ

シンジ「どうするんですかゼロさん! このままじゃリツコさんに変な改造施されちゃうんじゃ……」コソコソ

ラン「な、なこと言われたって、あいつらがどうしても地球に行きたいって言うから……」ボソボソ











―――宇宙



グレン「あいつら、上手くやりやがったな」ゴゴゴゴゴ

ミラー「我々も考えねばなりませんね……」ゴゴゴゴゴ


 



~♪


―――NERV本部



ラン「くっ……騙し騙しやってきたが……もう限界かも知れねえ……!」


   ガチャッ


ラン「マヤ……」

マヤ「ランくん? どうして健康診断をサボったりしたの?」

ラン「……」

マヤ「ねえ、答えて。ランくん」

ラン「マヤ! 俺は、俺はな、人間じゃねえんだ! M78星雲から来た、ウルトラマンゼロなんだ!」

マヤ「……!」

ラン「……ビックリさせちまったな」

マヤ「……ううん、全然」

ラン「……へっ?」


   ガチャッ


リツコ「最初からあなたの正体は分かっていたわ」

ラン「オバ……赤木博士!?」

ミサト「じゃなきゃ素性も分からないあなたをNERVに入れるわけないじゃない」

ラン「えっ」

リツコ「あなたをここに寝泊まりさせたのも、あなたを外に逃がさないためよ」

ラン「うそーん」

リツコ「今日は健康診断の名のもとにいろいろ調べさせてもらうわ」ジリッ

ラン「マ、マヤ!」

マヤ「人間であろうと宇宙人であろうと、ランくんには変わりないわ。だから大丈夫よ、たぶん」

ラン「たぶんって、おい」

ミサト「もう逃がさないわよ、研究室にいらっしゃい」

ラン「診察室じゃなくて!?」

リツコ「さあ!」ジリッ

ミサト「さあ!」ジリッ

ラン「……うおおおおおおおおお!」ダッ

ミサト「逃げたわ! 追いかけなさい!」




ラン「ちきしょー! これが親父の愛した地球人かー!?」ドドドドド

リツコ「待ちなさーい! ウルトラマンゼロー!」ドドドドドド







アスカ「2週間でバレたわね」

カヲル「無理もない、任務の途中で良く抜け出しては変身してたしね」

レイ「ボロが出過ぎてたわ」

シンジ「のんきなこと言ってないで早く助けなきゃ!」

 



~♪



ゲンドウ「ガッツ星人に囚われたウルトラマンゼロを救出する!」

マヤ「ランくんは死んじゃったんですか!?」

ユイ「解析の結果、ウルトラマンゼロはエネルギー切れになったところをあの十字架に閉じ込められているようね」

キョウコ「彼を甦らせるほどの高エネルギーが必要ね。でも……」

リツコ「日本全土の電力を集中させたとしても、彼を甦らせるには足りないわ」

アスカ「そんな! じゃあゼロはどうなっちゃうのよ!」

カヲル「日本全土の電力を超えるエネルギー体……それさえあれば」

レイ「でもそんなもの、地球には……」

シンジ「……あ」

ミサト「凄いわ! これなら彼を助けるには十分なエネルギーよ!」

アスカ「壊さないでね! 壊さないでよ!」

日向「ガッツ星人は現在新潟で戦略自衛隊のロボ、ジェットアローンと交戦中! 今がチャンスです!」

アスカ「壊したら殺すわよ!」

シンジ「アスカ静かにしててよ、リツコさんが集中できないじゃないか」

アスカ「あんた何落ち着いてんのよ! あれがどれだけ大切な物かわかってるでしょ!?」

シンジ「リツコさんを信じてよ! ゼロさんがピンチなんだよ!」

リツコ「ああもううるさい! 手元が狂うじゃないの!」

ミサト「それにしてもシンジくんったら、いつの間にこんなもの用意したのかしら?」

アスカ「私の結婚指輪~!!」



~♪


     「シェアアッ!!」


青葉「あれは……別個体のウルトラマン!?」

冬月「彼は味方か、それとも敵か」

ゲンドウ「彼もおそらく、我々と接触を図ってくるだろう。丁重にもてなせ」

キョウコ「コーヒー、お好きかしら?」コポコポ





ミライ「久しぶりだね! シンジくん、アスカさん」

シンジ「ミライさん!」

アスカ「ようこそ地球へ!」

ラン「何しに来たんだよメビウス」

アスカ「あんたまた先輩に向かって……」

ミライ「君たちの様子が気になってね、それともう一つ……」

シンジ「?」

ミライ「この地球に、かつてない危機が迫ろうとしている。それを伝えに来たんだ」

シンジ・アスカ「ええっ!?」

ラン「へえ、おもしれえ」ニヤッ



~♪



日向「初号機、弐号機、共に火星近辺で反応ロスト! ウルトラマンゼロも消失!」

リツコ「あれが……ウルトラゾーン!?」

カヲル「別次元への入り口……3人はその中に取り込まれたのでしょうか」

ミサト「シンジくん! アスカ!」

マヤ「ダメです! 応答ありません!」

冬月「なんたることだ……!」


    ガタッ


冬月「碇?」

ゲンドウ「冬月先生……少し、外します」スタスタ

冬月「やはり我が子が心配か。お前も人の親で安心したよ」

冬月「至急、ドイツにいるユイくんとキョウコくんに連絡を取れ! 3人の救出作戦を展開する!」


―――NERV本部・テラス



ゲンドウ「シンジ……アスカくん……!」

ゲンドウ「……どうすれば……!」



???「やはり、いくつになっても子は心配ですかな? 碇司令」



ゲンドウ「……?」

???「彼らはまだ死んではいません。助け出す方法は必ずあります」

ゲンドウ「だが、相手は未知の空間ウルトラゾーン。どうやって助ければ……」

???「私が力を貸しましょう。私もやはり、子が心配でね」

ゲンドウ「……? あなたは、一体……?」

???「私はただの……風来坊ですよ」




~♪



リツコ「今度は碇司令が宇宙で迷子!?」

マヤ「オオシマ彗星、地球に接近! MAGIの予測によれば、99.999%で地球に衝突します!」

青葉「宇宙より謎の信号をキャッチしました!」

日向「解析完了! モニターに出します!」カタカタ



『地球の諸君、私はゼットン星人である! 地球は我々が貰い受ける!』



冬月「碇、大丈夫か? 今どこにいる? 何が見える?」

ゲンドウ『星が見える……』

ユイ「世話の焼ける人ねえ」



『おい、我々を無視するな!』



ミサト「まずいわやばいわピンチの連続! どーすんのよ!!」

アスカ「諦めないで、ミサト!」

ミサト「アスカ!?」

カヲル「エヴァンゲリオン初号機、弐号機ともにスタンバイ完了しているよ」

レイ「いつでもいけるわ。頑張って」

シンジ「ありがとう! 綾波、カヲルくん!」

ミサト「分かったわ! エヴァンゲリオン、発進!」

ラン「よおしっ! お前ら行くぜ!」

シンジ「はい!」

アスカ「ええ!」





ウルトラマンゼロ「俺たちのビッグバンはもう、止められないぜ!!」



 





            完







     だが、人類の冒険はまだ続く!




 

読まなくてもいいおまけでした
これで本当に終わりです
ご愛読ありがとうございました

もし管理人様の許可が下りましたら、このSSを同人誌としてリファインしたいと考えております。
その暁には、このSSに挿絵をつけて頂ける方を募集いたします。

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