こずえ「いばらのとうのおひめさまー……」 (21)

デレマスなんですよ

今回はあの子とこの子がお話を呼んだり聞いたり

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こずえ「あやー……これー……」クイクイ

アヤ「ん、どうした?」

こずえ「これー……おひめさまのほんー……」

アヤ「いばら姫か、これはあたしも知ってるな……どうしたんだ? これ」

こずえ「あのねー……ふみかがねー……かしてくれたんだよー……」

アヤ「移動図書館かよ……文香は普段から何冊本を持って歩いてるんだ?」

こずえ「あやー……ここにすわってー……すわれー……」

アヤ「はは、わかったわかった」ストン


こずえ「じゃあ……よむよぉー……」

アヤ「え? あ、こずえが読むのか」

こずえ「よむよぉー……こずえよむよぉー……ちゃんときいてねー……」

アヤ「おう」

こずえ「むかしむかしー……あるくにでー……おひめさまがうまれましたー……」


『王さまは国中の人をよんで、祝いの宴を開きます。

 その宴には、十二人の魔女たちも招かれていました』


こずえ「じゅんばんにー……ねー……うしー……とらー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「十二支って魔女だったのか……?」

こずえ「そうだよー……まいとしねー……かわりばんこでおしごとするんだよー……」

アヤ「そ、そうか……ローテーションなんだな……」


こずえ「それじゃー……つづきねぇー……」


『けれどただ一人、十三人目の魔法使いだけは、宴には招かれていませんでした。

 実は、お城には魔女たちの使う食器が、十二組しか無かったのです』


こずえ「そんなときにはぎんのさらー……とどいたおすしでなたーりあもにっこりー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「宅配寿司で良いのか……?」

こずえ「いまならー……ぷれぜんときゃんぺーんちゅうー……」

アヤ「というか魔女の一人はナターリアなんだな」

こずえ「なたーりあー……おすしすきだからー……」

アヤ「寿司が好きだと魔女になれるのか……そうか……」


こずえ「つづきだよー……まほうつかいたちはー……おひめさまにおくりものをささげますー……」


『「誰もが惹かれる美貌をおくります」

 「尽きることのない富をおくりましょう」

 そして最後の魔女が、

 「では私は賢さを……」

 そう言って進み出たとき、城中に恐ろしい声が響きました』


こずえ「あたらしいがちゃがかいさいされましたよー……こんかいのしんとうじょうあいどるはいかのふたりですー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「いや……それは……」

こずえ「あんずもさなもー……ひなもゆりこもー……ぐえってなるよー……」

アヤ「そっとしておいてやれ」

こずえ「がちゃはばくはつするんだってー……ふしぎだねー……」

アヤ「そっとしておいてやれって」


こずえ「つづきだよー……よむよぉー……」


『「よくも私だけを招かなかったな、傲慢な王め。

  祝いの宴に呪いを添えてやろう!」』


こずえ「おまえはー……たんすをみるたびこゆびをぶつけつづけるのだー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「アレだな、現実的で生きていく上でものすごくイヤーな呪いだな」

こずえ「たんすにねー……こつんってするといたいんだよー……」

アヤ「アタシも昨日ぶっけちゃってな……」

こずえ「あやー……いたかったー……? いたいのいたいのー……とんでけー……」サスサス

アヤ「はは、ありがとな」

こずえ「こんどぶつけてもねー……いたくないぐらいねー……いっぱいとんでけーしたよー……えへー」

アヤ「そりゃ頼もしいな」


こずえ「つづきだよー……ひめよー……おまえのうんめいはー……じゅうごのよめいだー……」


『「紡錘に刺されて、床に倒れて、死ぬが良い!」

 ですが十二人目の魔女が歩み出てこう言います

 「いいえ、私があなたの不吉な呪いを退けましょう」』


こずえ「このじゅずをかえばー……だいえっとにせいこうしてー……かのじょもできてー……たからくじでもおおあたりー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「こずえ……ドコでそんな売り文句を覚えてくるんだ?」

こずえ「おんなのこはねー……ひみつのかずだけきれいになるんだよー……」

アヤ「そんなのもドコで覚えてくるんだ……」

こずえ「あのねー……こずえになでなでされるとねー……いいことあるんだよー……こずえのひみつー……」

アヤ「ん……じゃあ頼む」

こずえ「これからー……たくさんいいことあるよぉー……」ナデナデ

アヤ「おかえしにこずえに良いことあるようにって撫でとくか」ナデナデ

こずえ「あやー……ありがとー……えへー」

アヤ「おう、こっちこそありがとな」


こずえ「つづきだよー……しんだとみせてー……しんだいのうえー……ただねむるだけー……」


『十二人目の魔女の機転で呪いは弱まりましたが、王様は心配でたまりません。

 「国中に散らばる紡錘を全て燃やして、二度と作らせるな!」

 命令を受けた人々は、紡錘を集めて火をつけました』


こずえ「そしてー……できあがったのはほかほかのやきいもー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「いや……」

こずえ「あやはー……おいもきらいー……?」

アヤ「割とすきだな。そんないっぱい食べる訳じゃないけど」

こずえ「こずえもねー……おいもすきだよー……」

アヤ「さつまいもは美容にもいいとか聞いたし、食べすぎなきゃ体に良いかもな」

こずえ「ほんとー……こずえー……かわいくなるー……?」

アヤ「……今もかわいいぞ」

こずえ「えへー……あやー……かおまっかー……」

アヤ「い、いいって! ほら続き続き!」


こずえ「えへー……じゃあつづきねー……なんどもあさとよるをくりかえしー……ついにじゅうごさいのたんじょうびをむかえましたー……」


『ある日、お姫さまは部屋を抜け出し城内を探検に出かけてしまいます。

 塔を渦巻く螺旋階段を登った先に見つけたのは小さな扉』


こずえ「とびらをあけるとー……そこはゆきぐにだったー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー……」

アヤ「部屋の中で雪が……いやそれよりもよく知ってたな……」

こずえ「あのねー……こずえねー……ゆきあそびすきだよー……」

アヤ「前も楽しそうにソリ乗ってたもんな」

こずえ「だからぷろでゅーさーにねー……じむしょにゆきおいてっていったんだよー……」

アヤ「あっはは、そりゃ無理だ。もし出来たらホントに扉を開けると雪国だったけどな」

こずえ「ん……」

アヤ「そんな残念そうな顔するなって。機会があったら一緒に遊ぼうな」

こずえ「うんー……あそぶぅー……あそんであげるぅー……」

アヤ「はは、よろしくな」


こずえ「つづきよむよぉー……なかにいたのはー……みおぼえのないろうばー……」


『お姫様は興味津々でたずねます。

 「こんにちは、お婆さん。ここで何してるの?」

 「糸を取っておりますのじゃ」

 「じゃあ、それはなぁに? 面白そうに、ぐるぐる跳ね回っている物!」』


こずえ「そういってゆびさしたのはまにぐるまー……おひめさまはばたーになってしまいましたー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「いや、えーっと……あー、ドコから突っ込むか……マニ車なんかどこで」

こずえ「ぷろでゅーさーのつくえにいっぱいはえてるよー……」

アヤ「ああ、光当てると回るやつ5本も6本も乗ってたな。ヘレンのお土産だっけか」

こずえ「まわるとねー……いいことあるんだってー……」

アヤ「そうか……あると良いよな……で、なんでバターなんだ」

こずえ「ぐるぐるまわるとばたーになるんだよー……ぐるぐるー」

アヤ「ああ、あれか……なんだっけ、コマンド・サンボみたいなやつ」

こずえ「ばたーになるのはー……いいことー……?」

アヤ「うーん、どうだろうな」


こずえ「それじゃあねー……つづきだよー……なにもしらないおひめさまはー……つむにてをのばしますー……」


『そのとたん、紡ぎ車の紡錘がお姫さまの手を刺してしまったのです。

 たちまちお姫さまは倒れこんでしまいます。

 「ひっひっひっひっひ……うまくいった」

 老婆に化けた十三人目の魔女は、笑い声とともにどこかに消えてしまいました。

 お姫様が呪いによって死んでしまおうかというその時、十二人目の魔女の魔法が始まり光が広がります』


こずえ「おひめさまはなんときょだいかー……ひかりのきょじんになったおひめさまはー……おうこくのまわりをりあすかいがんにー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「……デカくなるのか」

こずえ「そうだよー……ひかりのきょじんはおっきいよー……」

アヤ「そうか……いやそれよりもなんでリアス海岸なんだ……」

こずえ「あのねー……りあすかいがんはねー……ぎざぎざなんだよー……」

アヤ「そ、そうか……ギザギザか……」


こずえ「つづきだよー……まほうのひかりにつつまれたおひめさまはー……しんだようにねむってしまいましたー……」


『そして、魔法の光はお姫様だけでなく、お城全体を包んでいきます。

 その途端、お城の時計の針は進むことをやめてしまいました。

 時計だけではありません。鼠を追い回す猫も、昼食の用意をする料理番も、鍋を温める火ですらも。

 あらゆるものが動きを止めてしまいます』


こずえ「そしてこえがひびきますー……これはあそびではないー……われわれのー……せいぎのためにー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「何なんだ一体……」

こずえ「あんずのうただよぉー…」

アヤ「まぁ……」

こずえ「あんずのうたのねー……あんずのうただよぉー……」

アヤ「そうか……だいぶ大規模なストライキなんだな……」

こずえ「でもねー……こずえははたらくよぉー……たのしいからあいどるするよぉー……あやはー……?」

アヤ「おう、アタシも楽しいぜ」

こずえ「よかったー……えへー」


こずえ「つづきよむよぉー……こうしておしろのじかんはねむってしまいましたー……」


『そうしてお城が長い長い眠りについているあいだ、茨が伸びてお城を覆っていきます。

 そして、周りは一度入れば二度と出られないとまで言われる茨の森になってしまいました。

 人々はいつしかお城を避けられるようになりました』


こずえ「そしてー……ごみがすてられてもりはごみだらけー……おしろもごみやしきにー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「そんな富士の樹海みたいなことになってるのか……」

こずえ「そうだよー……わるいひとがすてちゃうんだよー……」

アヤ「そうだな、決められたところに捨てないのは悪いことだよな」

こずえ「わるいひとはねー……こずえがやっつけちゃうよー……」

アヤ「ははは、偉いなこずえ」


こずえ「つづきだよー……ながいつきひがながれー……うわさをきいたおうじさまがやってきますー……」

アヤ「……」

こずえ「……」ジーッ

アヤ「……え? あ、アタシが読むのか」

こずえ「うんー……おうじのせりふよんでー……」

アヤ「あー……茨に囲まれた城、その中に眠る姫君が居るという……」


『「この言い伝えを聞いたことこそ運命、彼女こそがきっと僕の探していた女性だ!」

 王子は茨の森の中へと進んでいきます』


こずえ「みどりのとんねるをぬけるとー……そこはゆきぐにだったー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「そうか……また雪国なのか」

こずえ「そうだよー……てんどんだよー……」

アヤ「ん、よく知ってるな」

こずえ「あのねー……きゃしーとえりかがねー……はなしてたのー……」

アヤ「なるほどな、あの二人ならそういうの好きそうだ」

こずえ「こずえもねー……おいしいからてんどんすきだよー……」

アヤ「確かに美味しいよな」


こずえ「つづきだよー……よむよぉー……」


『王子が足を踏み入れると迷いの森の霧は晴れてゆき、茨の生け垣は道を示すように口を開けます。

 「まるで、僕を彼女の元へ案内してくれているようだ」

 王子は茨が示した道へと歩きだします』


こずえ「そしておうじはおとしあなにー……どっきりだいせいこうー……」

アヤ「えっ」


こずえ「あやー……どうしたのー」

アヤ「そうか……そんなバラエティみたいな話だったのか」

こずえ「そうだよー……こなでまっしろになっちゃうよー……」

アヤ「せっかくお姫様の噂聞いて駆けつけたのに随分かわいそうな目にあったな」

こずえ「そうだねー……かわいそうだからあわせてあげよー……」


こずえ「つづきだよぉー……そしておくへおくへとすすみましたー……」


『やがて、王子は茨に覆われた白い塔の前へとたどり着きました。

 塔を渦巻く螺旋階段を登った先に見つけたのは小さな扉、その部屋の中には美しいお姫様が眠っていました。

 「ああ、なんて美しい人だろう」

 王子が姫にキスをした途端、光とともにお城の時計の針は再び動き出し、お姫様がゆっくりと目を覚ましました。

 そしてお姫様と王子様は結ばれ、幸せにくらしましたとさ』


こずえ「めでたしめでたしー……」

アヤ パチパチ

こずえ「あやー……こずえじょうずによめたー……?」

アヤ「おう、上手だったぞ。なんか予想外に上手だった」

こずえ「びっくりー……? びっくりしたー……?」

アヤ「上手でびっくりした」ナデナデ

こずえ「えへー……もっとなでなでしてもいいよー……」

アヤ「ん」ナデナデ

こずえ「えへー……」


アヤ「と、こんな時間か。そろそろレッスンだな……さ、こずえ、行くか」

こずえ「んー……」ポフッ

アヤ「寝っ転がってどうした? 眠いのか?」

こずえ「んーん……」

アヤ「まさか具合でも悪くなっちゃったか?」

こずえ「んーん……あのねー……」

アヤ「?」

こずえ「おひめさまはねー……おうじさまのきすでめがさめるんだよー……」

アヤ「……」

こずえ「きすでねー……めがさめるのー……」

アヤ「~~~~ッあーもう……ん」


こずえ「えへー……」ニコニコ

アヤ「……」

こずえ「おでこにちゅー……えへー」ニコニコ

アヤ「……ほら」

こずえ「あやー……ほっぺまっかー……」

アヤ「ほら、行くぞこずえ!」

こずえ「うんー……おててつないでいくー……いくよー」

アヤ「ん」ギュッ

こずえ「えへー……」ニギニギ



パタン

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