JJ「Not I,Not I,But…」 (27)

とあるゲームの絵師さんと運営さんのおはなし

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運営「またか…」

暗い部屋のなかデスクに向かい一人残業を続けている者がいた

とあるブラウザゲームのイラスト依頼を仕事とする運営だった

彼の元にはアウトともセーフともとれる幼い女児の画像が届けられていた

この手の画像はだいたい誰が描いてきたものなのかすぐにわかる

そう、JJだ

JJは初期からこのゲームの絵師をしていたわけではないがそのこだわりのある絵から多くのファンがいる

そんなJJから画像が届いたのだ

だがこの画像は運営にとって喜ばしいものではなかった

運営「なんで…なんで発注してないのに届くんだ!しかも未実装キャラや担当キャラの中でも危険度が高い娘ばかり!」

JJはよく言えば仕事熱心で、またそれは自分の欲望を満たすためともとれた

イラストにはJJからの一言も添えてあった

JJ『運営さん!期間限定グラなんですけど!どうですか!』

どうですかもなにもアウトすれすれである

JJには悪いが今回もこの案はお蔵入りとさせてもらった

運営はひとつ大きな溜め息をついて仕事場をあとにした

帰宅した運営はくつろぎながらのんびりとネットを見ながらくつろいでいた

カンコーン!

ラインだ

急ぎの仕事かと慌ててスマホをとり確認すると相手はJJだった

JJ『クチクカン…カキタイ…』

運営『駄目です』

お約束となりつつあるやり取りだ

運営『それよりJJさん今日はもう描いて送ってきたじゃないですか』

JJ『いや…ついうっかり…』

この人はついうっかりでやけにこだわったイラストを瞬く間に送りつけてくる

運営『とにかく、他のところもしっかり仕事してくださいね?最近溜めてるらしいじゃないですか』

JJ『うぅ…痛いところを…』

それからしばらくの間他愛もないチャットを少し続ける

明日もまた新作が届くのだろうと思いながらそのまま寝落ちした

このとき運営は気づいていなかった

昨日はJJからイラストが届いていなかったのだ

イラストは毎日は届かないのが基本であり毎日届くのが異常なのであるがそれによりむしろ運営は違和感を覚えていた

そして不幸にもここからまた仕事が非常に忙しくなり始めた

JJ(運営さん…今日も返事なかったな…)

JJはここ毎日駆逐艦を描きたい旨を運営に伝えているがそれが運営に届くのはありえない

運営は忙しさのあまりラインもツイッターも確認していなかった

JJ(無反応はgoサインってどっかできいたもんねしかたないね)

数日間の無反応はJJの本能を揺さぶった

運営「…はっ!」

朝である

運営はもう十数日こんな調子だ

だがそれも今日までで今日さえ乗り越えればようやく仕事が一段落つくのだ

運営は冴えない頭で仕事が終わる喜びにだけ動かされ、また仕事を始めた

運営「終わった…」

ようやく仕事を終えた運営だったが時を同じくしてもう一人一仕事終えた者がいた

運営はなんとも言えない寒気を感じ早々に仕事場をあとにした

運営(胸騒ぎがする…なにかがヤバイ…)

家に着いた運営は長らく放置していたラインを確認する

運営「な…なんだこれは…」

運営の目に飛び込んできたもの、それは百を越える新着通知であった

運営(しかもすべてJJさんからだと…?)

運営は戸惑いながらJJとの会話を開いた

『クチクカン…』

『アッアッ…』

『クチクカン…カキタイ…』

『ウンエイサン…クチクヲ…』

『ヌヌヌ』

『アアアアー…』

運営「…」

運営はなにも言わずスマホの電源を落とした

運営は知っていた

JJは時々暴走するのだ

いつもこうではないのだ

今日はしばらくトークしてなかったからこんなにも恐ろしく感じたのだ

自分にそう言い聞かせ再び電源を入れ起動を待つ

運営「JJさんには悪いことしてしまったな…」

こういうときにはとりあえず駆逐艦を実装させてあげるのが一番だと感じた運営は起動してから一番にその旨を伝えた

運営『申し訳ありませんJJさん…ここ数日仕事が立て込んでまして連絡を怠っていました』

運営『お詫びと言ってはなんですが駆逐艦をひとつ実装させたり限定グラにしたり上と掛け合ってみます』

一瞬だった

JJ『え!ほんとですか!?言いましたね!?やったぁ!!!!』

いったいどうすれば書き込んだ瞬間に返答が来るのかわからないがとにかく無事そうだったのには運営も安堵した

そこからはまた以前のように少しくだらない会話をし、運営は泥のように深い眠りに就いた

翌朝

運営「なんだ…これは…」

運営の元には十を越えるイラストが届いていた

そのどれもが青少年のなにかに関わるなにかであった

『ウンエイサン…クチクカイテイイッテイッタ…ダカラカイタ…』

添付されていた文章は半角のみで綴られていていかにもJJらしかった

運営(描いていいとはいったもののここまで描くとは…JJ、侮りがたし…)

とりあえずJJからのイラストについて考えるのをやめ相談することとした


運営はいつものようにJJと連絡を取り始める

運営『JJさんなんですかあの量は…常識的に考えても二三枚が限度ですよこういうのは…』

JJ『エッ!ヤダッ!ソンナニオオイ?』

運営『多いです!多すぎです!ということで絞りましょう』

JJ『えぇ…』

運営『まずこれとこれとこれとこれはアウトですね…これは季節感が…』

運営『…うーん、まずこれくらいですかね』

運営が選んだのはもっとも危険要素の少ない二枚だった

JJ『そんなぁ…あんなに描いたのに…』

運営『これでも多い方ですよ?普段は危険すぎて採用してないですもん』

JJ『ですよね…とにかく感謝です』

運営『では実装するまでお待ちください』

JJ『楽しみにしてますね!』

こうしてJJのぎりぎりを攻めたイラストが実装された

後日

運営「ひとついいですか?」

JJ「はぁ、なんでしょうか」

運営「なんでJJさんはあんなに大量に魂込めたイラストをお描きになるんです?」

JJ「あぁそのことでしたか…実は僕もよくわからなくて」

運営「はい?」

JJ「Not I, not I, but the wind that blows through me…」

運営「ロレンスですか」

JJ「そうです…私がこれを描くのではありません」

JJ「私のなかを吹き抜けるあの風が描いたのです」

JJ「「あの風」が、私の絵を描く身体を通過していきました…」

JJ「そのとき身体に残された痕跡があれです」

JJ「作品を描いたのはあの風なんです…」

運営「…」

JJ「私の描いたイラストが誰かに価値を見いだされているのなら…」

運営「JJさん…あなたって人は…なんて!」

JJ「ということでもっと描きたいです」

運営「…台無しですよ」

JJ「いやぁ~!湿っぽいのは苦手でして!」

運営「らしいっちゃらしいですけどね」

JJ「ですが風がってのもあながち間違いじゃないんですよ」

運営「といいますと?」

JJ「最初に担当させていただいたのがまさしく風でしたからね」

JJ「最初に担当した娘のおかげで今こうしていられるのかもしれないですね…」

運営「まぁいつまでもあんなの描かせるのは不味いですから今後は別ベクトルの依頼を増やしますか」

JJ「そんなぁ…殺生な…」

運営「別ベクトルでも人気高いですよ?」

JJ「慰めになってないですよ…(そんな依頼されてもこっちのスタイルに寄せてってやる!)」

運営「嫌な予感がしましたけどお仕事頑張ってくださいね!」

JJ「えぇ、こちらこそ」

運営「ではまた」

南西の風ってなんかすごそう

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