【オリキャラ】パラレル・ダンガンロンパ【安価】 (710)


・原作ネタバレあり
・オリキャラ注意
・舞台は希望ヶ峰学園がベースですが、全く同じではないです

14人の才能決定から始めます。
来た案から良さそうなものを選びますのでよろしくお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474621291

配管工
昆虫学者
スナイパー
番長
新聞局

番長
新聞局(員)
鍵師
声真似
合気道部
美術部
仕立屋
司書
語り部

採用します
残り5枠↓

裏方
お母さん
ツッコミ
陶芸家
遊び人
発明家

あっ、ごめん。交渉人と天才を追加で

指名手配
遊び人
交渉人
発明家

採用します。
残り1枠↓

お母さんとか子役とかそういうのはだめなのかな?超高校級で
お母さんはは雰囲気でと子役は西園寺みたいな見た目ならいけるような気がする
安価下

子役を採用します。

番長
新聞局(員)
鍵師
声真似
合気道部

美術部
仕立屋
司書
語り部
指名手配

遊び人
交渉人
発明家
子役
幸運
???

名前の案を募集します。
才能を指定し名前案をレスしてください。
これも来た中から良さそうなものを選びます。

性別の指定もお願いします
↓以下から

遊び人 樹土友近

>>25は男で

司書
本居 優樹菜 もとおり ゆきな

あ、読みもつけておいてください。
不手際が多くて申し訳ない。

周藤 加奈子(すとう かなこ)女
超高校級の仕立屋

>>25は きづち もとちか

指名手配 シュリー・レイス 男(実は女)

合気道部
吉田 奈都琉(よしだ なっくる)男

幸運
鉄 真衣(くろがね まい)

すいません 32は女で

語り部
影野 継美
かげのつぐみ

鍵師
南錠 京 (なんじょう みやこ) 女

番長 伝法寺 醍醐(でんぽうじ だいご) 男

一人ひとつ?

子役
足立山 福愛(あだちやま ふくあ) 女

???
神崎刹那(かんざきせつな) 男

美術部
一色 どどめ 男

超高校級の発明家
貴手烈川(きてれつかわ) 男


あだ名はもちろん……

交渉人か?あといないのは。アゲ

交渉人 
ラバン・イーグス

交渉人
ビル・ガメッツィーノ 男

>>25
名前変更で来たら
「樹村友近(きむら ともちか)男」

新聞局
おと

新聞局員
沢渡 晃 さわたり あきら

新聞局
女 岡崎 四文(おかざき しもん)

やべぇ、間違えた。
できれば>>25は「遊び人 樹村巴(きむらともえ) 女」で。無理だろうけど。

声真似
丹田美代子(にた みよこ) 女


番長 >>36
??? >>38
遊び人 >>44
交渉人 >>42
美術部 >>39
新聞局員 >>46


司書 >>27
仕立屋 >>29
幸運 >>32
語り部 >>34 
子役 >>37
鍵師 >>35
声真似 >>50
遊び人 >>49

発明家の名前と指名手配犯の名前のみ男で募集し直します。苗字と名前の間にスペースを入れて頂きたいです。

>>53何度も悪いけど遊びには>>44
男女同じにしたかったけど間違えて男の方が多かったと勘違いした

発明家
男 伊賀ノ原 源治(いがのはら げんじ)

指名手配犯
カノン・リドビア 女(男)

指名手配犯
獄門 疾風(ごくもん はやて)


番長 >>36
??? >>38
合気道部 >>31
交渉人 >>42
美術部 >>39
新聞局員 >>46
発明家 >>57
指名手配犯 >>59


司書 >>27
仕立屋 >>29
幸運 >>32
語り部 >>34 
子役 >>37
鍵師 >>35
声真似 >>50
遊び人 >>49

合気道部の漏れ申し訳ないです。
発明家と指名手配犯を男で募集したのでこれで最終決定します。

あれ?ちーたん系はこのスレじゃダメなのか……


-prologue-

私立希望ヶ峰学園。

世界中から超高校級の才能を持つ高校生達を集めた、希望の学園。

生徒達は、この国の……いや、人類の希望の象徴。

卒業した生徒には、成功が約束されているとまで言われている。

……そんな学園の、そんな生徒に、

私、影野継美は、超高校級の語り部として選ばれた。

そして、今日は希望ヶ峰学園の入学式。

昨日は緊張してよく眠れなかったし、

朝は寝坊してご飯を食べられなかったし、

挙げ句お気に入りの髪留めを忘れるし、

もう散々ではあったんだけど、

何とか時間には間に合って、

私は新生活に胸を弾ませて、学園の門を潜った。
 
……そこまでは、良かった。

そこまでは良かったんだけど……



影野「……どこよ、ここ」

気がついたら、教室のような場所にいた。

門を潜った瞬間、目眩がして、頭がぐるぐるして……

……倒れこんだような気が、しなくもないけど……よく覚えていない。

もしそうだとしたら、誰かが倒れた私を運んでくれた?

だとしても、なんで教室?普通、医務室とかじゃ?

……考えても分からないや。まずは情報収集から始めよう。


-教室(?)-

まず、ここを教室と仮定して……

壁の鉄板や、天井の監視カメラは、一体何?

壁の鉄板は、軽く触れてみたけどびくともしなかった。

監視カメラは……あっても不思議じゃないのかな?とは思ったけど

何だか違和感がある設置のされ方なのよね。

これじゃ、座る位置によっては黒板と被って板書が見えないような……。

……あと、机の上に、『にゅうがくあんない』とか書いてある

小学生の落書きみたいなのが置いてあったけど……

まさかここ、希望ヶ峰小学校とかじゃないよね?

私、来る場所間違えてない……よね?

……ダメだ。教室内を調べても何も状況が分からない。

影野「……えっ!?」

不安になってキョロキョロしていると、黒板の上の時計が目に入った。

影野「10……時……!?」

確か、入学式は9時からだったはず。

つまり1時間は遅刻してることに……。

……嫌な汗が体を伝う。

と、とにかく、よく分からないことは後にして、入学式に出ないと!

……本当にここが小学校だったら、もう間に合わないかも……。


-廊下(?)-

きょ、教室を出てみたは良いものの……

影野「どこに行けば良いのか全く分からない……」ウロウロ

相変わらず壁には鉄板だらけだし、

電灯の光の色は不気味だし……

な、なんか怖くなってきたかも……。

影野「……!」

奥に人がいる!

あの人も制服を着てるし、ここが希望ヶ峰学園なのは確か……かな?

と、とりあえず話しかけてみよう。

今のままオロオロしてても良いことないし!



↓2 影野以外の生徒指定


影野「あの、すみません!」

???「……!」

???「わ、私以外にも人がいたんですね……!良かった……!」

???「あの……これは一体、どういった状況なんですか?」

影野「……あれ?」

入学式は始まってる時間だし、てっきり上級生の人かと思ったけど……

口ぶりからして、私と同じ状況に……?

???「あ……申し遅れました。私、本居優樹菜と申します」

本居「超高校級の司書……という才能で入学しました、新入生です。よろしくお願いします」

影野「おーっと……敬語、使わなくていいよ?」

影野「私も、新入生だからさ。名前は影野継美。一応、語り部って才能で入学したよ。よろしくね」

本居「あ……そうなんですか?影野さん……よろしくお願いします」

……敬語じゃなくて良いって言ってるのに。癖なのかな?

いや、今はそんなことよりも……

影野「ねえ、もしかして、貴方も気がついたらここにいたの?」

本居「は、はい……目が覚めたら教室で……入学式の時間が過ぎてて、焦ってしまって……」

本居「……って、影野さんもですか?」

やっぱり、そうなのか。

影野「うん。私も殆ど同じ状況だよ」

本居「な、なるほど……」

本居「……体育館には、もう行きました?」

影野「……?いや、行ってないよ」

影野「そもそも、体育館がどこにあるかすら分からないし……」

本居「……実は私、さっき廊下を彷徨いている時に、偶然体育館を見つけまして……」

本居「入学式の会場だと思い、覗いてみたのですが……」

入学式の会場を既に見つけてる……?

影野「……何で戻ってきたの?会場なら、体育館で合ってた気がするけど」

本居「な、なんか、クマが沢山いて……」

影野「……へ?」

クマ……?

本居「そのクマの一匹に、入学式の準備中だから、後で来てくれって、言われたんですよね……」

影野「…………。」

本居「あっ……やっぱり、信じてくれませんよね……」

影野「い、いや……疑ってるわけじゃないけど……想像できないというか、現実味がないというか……」

本居「いえ……良いんです。何を言ってるのか分からないと思いますが、私にも何が起こったのか分かりませんでしたから……」

影野「恐ろしいものの片鱗を味わったのね……」


クマの件はさておき、気になることは他にもあるのよね。

影野「本居さん、『入学式の準備中』って言われたのは、確かなのよね?」

本居「そこなんですよね……」

やっぱり、本居さんも気にかかってたのね。

本居「入学式の時間は9時からだったはずなのに……どうして10時を過ぎた今、その準備をしているのでしょう?」

影野「……謎、よね。」

壁の鉄板……不自然な監視カメラ……入学式の遅延……

……ダメだ。まだどういうことなのか分からない。

本居「それに、さっきから不気味に思っていたのですが……」

本居「この建物、窓が無いんですよね……」

影野「……あ、そういえば」

確かに、なかった。

教室でも、廊下を出てからも、私は起きてから、1度も窓を見ていない。

影野「……そうか。もしかして、この鉄板って、ただ壁に打ち付けてあるんじゃなくて、窓を塞ぐために……」

本居「そう、なりますよね……。でも……」

何故、窓を塞いでいるの?

当然、その疑問が浮上する。

……理由を想像すると、監禁とか、拉致とか、そんな不穏なワードしか思い浮かばなくて、私は思考を止めた。

影野「と、とにかくさ!じっとしていてもしょうがないし……」

影野「私達の他にも、同じような境遇に立たされている人がいるかもしれないから、もう少し、この建物の中を探索してみない?」

本居「……そうですね。そうしましょう……」


-赤い扉 前-

影野「……あ、また人がいる」

あんな不気味な赤い扉の前で……何やってるんだろう?

本居「は、話しかけてみましょう」



↓1 影野と本居以外の生徒指定


???「くっ……開かない……」

影野「あの、そこの貴方」

???「っ!……な、何?福愛に何の用?」

影野「そ、そんな邪険にしないでよ……」

まあ、警戒するのは分からないでもないけど。

影野「貴方も、この学園の新入生?」

福愛「……そうだけど」

影野「やっぱりね。私達も同じなんだ」

影野「私は影野継美。超高校級の語り部って才能でこの学園に来たの。よろしくね」

そう言って、私は手を差し出す。

彼女はその手を見て、しばらく固まって、

そして、目を背けた。

本居「……私は、本居優樹菜です。認められた才能は『司書』です。よろしくお願い致します。」

???「…………。」

影野「……えっと、貴方の、名前は?」

???「!……ふっ」

???「やっぱり、知らないんだ」

影野「……え?」

???「いいよ。アンタ達とつるむ気、ないから」

そう言って彼女は、私達から離れていく。

影野「あっ、ちょっと!1人で動くと危ないよー?」

……その足は、止まらなかった。

影野「……行っちゃった」

本居「もしかして、あの人……『足立山福愛さん』じゃないですか?」

影野「え?知り合いだったの?」

本居「いえ……ほら、昔子役として活躍してた方ですよ。ご存知ありませんか?」

影野「……ごめん。知らない」

昔から、あんまりテレビとか見なかったしなあ……。

影野「もしかして、それで名前聞いただけで怒っちゃったのかな?」

影野「有名人だから、皆にちやほやされるものだと思ってたら、想像以上に無名だった……みたいな?」

本居「ちょ、ちょっと悪意的に見過ぎな気もしますが……」

本居「でも、それなら、『やっぱり』って部分がおかしくないですか?」

本居「それに福愛さん、子役としては活躍していましたが、最近はあまり……」

……なるほど。何だか複雑そうね。

影野「ま、後で謝れば何とかなるかな。その前に、この扉を……」

『ガタガタガタ』

影野「……開かない。鍵がかかってるね」 

本居「反対側も封鎖されてますし……こっちは行き止まりですかね」

影野「うーん……一旦戻ってみようか」 

↓1 影野・本居・足立山を除く生徒指定


???「あっ!2人いた!」

影野「えっ?」

本居さんと出会った位置に戻る途中で、

教室から出てきた女の子に出会う。

???「いやー、これで16人揃ったよ!ほら、こっち来て!」

強引に手を引かれ、危なく転けそうになる。

影野「ちょちょ、ちょっ……転ける転ける!」

???「あ、ごめん」

ひょいっと手を離され、私はバランスを戻せず……

転倒した。

???「あちゃ、離しちゃダメだったか……」

影野「め、めちゃくちゃするね……貴方……」

???「いやー、ごめんごめん。やっと全員揃ったから、嬉しくなっちゃって」

本居「……その、『揃った』というのは、どういうことですか?」

???「ん?そのまんまの意味さ」

???「あの『クマ』がさー、16人揃わないと入学式始めないって言うもんだから……」

???「なら玄関ホールに全員集めようって話になって、アタシ含む何人かで足りない数人を探し回ってたのよ」

???「で、さっき捕まえた生意気な女の子と、今捕まえたアンタらを合わせて16人。全員揃った、ってわけさ」

……生意気な女の子っていうのは、足立山さんのことよね。

本居「クマ……!」

本居「そ、そのクマって、白と黒の、変な声のクマですか!?」

???「ああ、それそれ」

本居「や、やっぱり幻覚じゃなかったんですね……」

白と黒の、変な声のクマ……。

……パンダみたいな見た目なのかな?

本居さんが体育館で見たって言ってたクマも、それ……?

影野「とにかく、私達が玄関ホールに行って、16人揃えば、入学式が始まるわけね?」

???「そうだよー。だから早く来てよ」

影野「……行こっか、本居さん」

本居「はい、そうしましょう」

???「ところで、アンタら、名前は?」

影野「影野継美よ」

本居「本居優樹菜と申します」

???「ふむふむ、継美ちゃんに、優樹菜ちゃんね。よろしく!」

???「アタシは周藤加奈子。実家で仕立屋やってたら、何でかこの学園に招待されちゃってさー」

超高校級の仕立屋……なのかな。

元気良いなあ、こんな意味分かんない状況で。


-玄関ホール-

影野「ここが玄関ホール……か」

案外近くにあった……どころか、

さっき入り口の前を通った気もするんだけど……

ま、まあ慌ててたし、こういうこともあるかな。

気にしない気にしない。

周藤「アンタらは、まだ皆に自己紹介してないよね?」

周藤「入学式が始まるまでに、挨拶くらいはしておいたら?」

影野「……そうだね」

ここに来るまでの経緯とか、ここに来てからの行動とか

聞きたいことは色々あるけど、まずは皆への挨拶から入るべきよね。

順番に声をかけていこうかな。


影野「そこの3人、ちょっと良いかな?」

3人の女の子は会話を止め、私達の方に視線を向ける。

???「……?」

???「なになにー?貴方達だーれー?」

影野「私は影野継美。ちょっと迷ってて遅れて来ちゃったんだけど、私も皆と同じ新入生なんだ。だから、挨拶をしておこうと思って」

影野「一応、語り部って才能でここに来たんだ。よろしくね」

本居「同じく新入生の、司書の本居優樹菜と申します。よろしくお願い致します」

……本居さん、同級生全員に敬語で接するなんだ。

???「ほほー、なーるほどー」

???「巴はねー、樹村巴だよー」

樹村「超高校級の~遊び人やってまーっす」


???「ああ……そういうことなら、私も自己紹介しとかなあきまへんなぁ」

???「南錠京……鍵師を生業にして、商売させてもらっとります」

南錠「……よろしゅう」


???「『そういうことなら、私も自己紹介しとかなあきまへんなぁ~』」

影野「……えっ!?」

こ、声も話し方も、南錠さんと全く同じ!?

南錠「こら、みっちゃん。その悪趣味な遊び、やめとき言うたやろ」

???「っおい!みっちゃんって呼ぶな、とも言ったよな!」

南錠「……あれ?そうやっけ?まあ、お互い様いうことで……」

???「チッ……。丹田美代子。さっきのは声真似だよ」

丹田「それが私の才能だからさー」

影野「へえ~、凄い才能だね」

丹田「ふふん。でしょ?鍵師なんて地味な才能より、ずっと凄いでしょ?」

丹田「あと遊び人って……ただのニートじゃないの(笑)」

樹村「なぁ~!?巴の遊びを馬鹿にするな~」

丹田「『巴の遊びを馬鹿にするな~』」

樹村「ま、真似するな~!」

丹田「『ま、真似するな~!』」

影野「…………。」

南錠「ね?2人とも、子どもみたいで可愛いやろ?」

影野「そう……かな?」

子どもみたい、なのは同意だけど……。

影野「じゃ、じゃあ、私、他の人にも自己紹介しなきゃだから……」

南錠「ああ、なら、はよう済ましてき」

南錠「後でゆっくり、お話しよね」

影野「うん、また後で」


影野「あの……初めまして」

???「おお、どうしたんスかー?」

???「…………。」

影野「遅れてきた皆の同級生なんだけど、挨拶だけさせてもらっても良いかな?」

???「おお!そういうことなら大歓迎ス!」

???「ナックル君も、良いッスよねー?」

???「…………。」

???「良いらしいス!」

影野「……本当に?」

返答が無かった気がするんだけど……。

???「じゃ、オイラから自己紹介させてもらうスよ!」

???「オイラは沢渡晃!新聞局員やってんスよー。よろしくッス!」

沢渡「そいでそいで、こっちが吉田奈都琉くん!彼は合気道の才能で、この学園に来たらしいッス!」

吉田「…………。」

影野「2人とも、よろしく。私は影野継美。超高校級の語り部だよ」

本居「司書の本居優樹菜と申します。よろしくお願い致します」

沢渡「つぐみんとー、ゆっきー!把握したッス!」

影野「つ、つぐみん……?」

本居「ゆ、ゆっきー……」

沢渡「あれ?嫌ッスかー?個人的には呼びやすいんスけどー」

影野「う、ううん、びっくりしただけ。どんな呼び方でもいいよ」

吉田「…………。」

影野「……で、こっちの……ナックル君?は、なんでずっと黙ってるの?」

吉田「…………。」

沢渡「うーん……あんまり話すのが好きじゃないんスかねー」

沢渡「オイラが自己紹介した時は、ちゃんと答えてくれたんスよ。名前と才能」

沢渡「でも、それ以降はだんまりスね。ひっとことも話さないッス!」

影野「そ、そうなんだ……」 

吉田「…………。」

影野「……よろしくね?ナックル君」

吉田「…………。」

沢渡「ダメみたいスね……」

本居「……でも、そんな吉田さんと、沢渡さんは何を話しておられたのですか?」

沢渡「え?オイラが一方的に話してただけッスよ!身の上話とか!」

沢渡「返事は一切無かったスけど、きっと彼は話の分かる男ッス!」

影野「……貴方も相当な変人ね」

沢渡「なんで!?」

うーん……タイプは違えど、問題児っぽいのが既に数人いるなあ。

仲良くなれると良いんだけど。

影野「じゃあ……私、他の人にも挨拶を済ませたいから」

沢渡「ッス!それじゃあまた!ッスー」

吉田「…………。」

半分以上キャラを出しておいて何ですが、キャラの性格やスキルに関するワードを1つだけ決めておくのを忘れていたので、未登場のキャラについては性格orスキルへの関連ワード、登場済みのキャラについては、性格に関しては「実は○○」等の本性orスキルへの関連ワードを募集します。

例:「残酷」「実は善人」「手癖が悪い」etc.

未登場から決定していきます

↓1 番長

寡黙 決定します

??? ↓1

交渉人 ↓3

美術部 ↓5

発明家 ↓7

指名手配犯 ↓9

幸運 ↓11

全て採用します。
後でまとめておきますね。

既出キャラ

合気道部 ↓1

新聞局員 ↓3

司書 ↓5

仕立て屋 ↓7

子役 ↓9

鍵師 ↓11

声真似 ↓13

遊び人 ↓15

全採用で。
遊び人は下の嘘つきで取ります。


???「それでね、僕が原案、君がビジュアルデザインをすれば……」

???「素晴らしい発明品、且つ素晴らしい芸術品が完成すると思うんだ!ど、どうかな?」

???「……ふむ、面白いことを考える」

影野「……盛り上がってるところ悪いんだけど……ちょっと良いかな?」

影野「私達、ちょっと出遅れちゃってさ、皆に挨拶して回ってる途中なんだ」

???「……今、交渉してる最中だったのに」

???「……伊賀ノ原君、小さいことを言うものではないよ。少しくらい構わないだろう」

影野「ご、ごめんね……」

影野「じゃあ、自己紹介させてもらうね。影野継美です。才能は語り部。今日から皆の同級生になるから、よろしくね」

本居「同じく、本居優樹菜と申します。司書です。よろしくお願い致します」

???「影野君に本居君か。よろしく頼むよ」

???「私の名は一色どどめ」

一色「超高校級の美術部……その方面の才能で、この学園にスカウトされた」



???「僕は伊賀ノ原源治!発明家だよ!」

伊賀ノ原「……えいっ!」

本居「きゃっ!?」

本居「なななななななな何するんですか!?」

伊賀ノ原「何って……」

伊賀ノ原「交渉の邪魔をされたし、代わりにスカートの中でもと思って」

伊賀ノ原「本居さん、意外と可愛いパンツ履いてるね!」

本居「なな、なななななななななな…………!」

影野「……伊賀ノ原君」

伊賀ノ原「はい!」

影野「次やったら、タダじゃ済まないからね」

伊賀ノ原「あ、あはは、そんな怖い顔しないでよ~」

伊賀ノ原「あ!もしかして影野さんもめくって欲しかったの?それなrぐはっ!?」

影野「……次行きましょう、次」



一色「……なかなか鋭い蹴りだったね」

一色「ところで伊賀ノ原君、先ほどの交渉だが……」 

一色「君を材料にするのなら、受けても構わないよ」

伊賀ノ原「……へっ?」

一色「君が君を発言品として改造し……私が君をデザインし直す」 

一色「まさに、超高校級の才能同士が作るに相応しい芸術品が出来上がると思うのだが……」

伊賀ノ原「あっ……えーと……」

伊賀ノ原「や、やっぱり、やめとくよ……」

一色「……む?そうか。残念だ」


???「う~ん……思い出せるような、思い出せないような……曖昧な感じなんですよね……ははは」

???「まあまあ、思い出せないような才能なんて大したこと無さそうだし、気にしなくて良いんじゃない?」

???「いや……言い過ぎな気がしマスが……」

影野「ねえ、そこの3人、自己紹介させてもらっても良いかしら?」

本居「かか、影野さん、さっきの延長で口調がキツくなってますよ……!」

……おっと、いけないいけない。

???「あれ、君、さっきはいなかったね。迷子にでもなってたの?」

影野「まあ、そんなところ。私は影野継美。超高校級の語り部よ。よろしくね」

本居「司書の本居優樹菜と申します。よろしくお願い致します」

???「僕は鉄真衣。幸運って才能でこの学園に入学したんだ」

鉄「2人とも、よろしくね」

???「ワタシはラバン・イーグス」

???「超高校級の交渉人として、腕を磨く為に、この学園に来マシた。」

ラバン「日本についても、日本人についても、沢山学びたいと思っているので、よろしくお願いしマスね」

???「えーっと……神崎刹那です」 

神崎「実は私、ちょっと記憶が曖昧で、才能を忘れておりまして……」

神崎「はは……入学式の日からこんなことになるなんて、先行き不安ではありますが……よろしくお願いします」

影野「鉄さんに、ラバン君に、神崎君ね。3人とも、よろしく」

鉄「それにしても、安心したよ」

鉄「幸運なんて才能、ただの運だからさ、どうしても見劣りするかなって思ってたけど」

鉄「才能を忘れてる人はいるし、学園内で迷子になる人はいるし、案外凡人の集まりなんだね」

影野「……ははは、いきなりキツいねー……」

悪意があるんだか無いんだか……。

ラバン「まあまあ、気にする必要はありマセンよ、神崎サン」

ラバン「きっと、すぐに思い出せマスって!」

神崎「ははは……ありがとうございます。そう言って頂けるだけで、心が軽くなりました」

本居「神崎さんが記憶を失っていることに気づいたのは、やはり眠りから覚めた時なのですか?」

神崎「……そうですね。門を潜ったら急に目眩がして、気がついたらここにいて……その時からです」

ふーん……やっぱり、この辺りは皆同じなのね……。

影野「まあ何にしても、早く思い出せると良いわね」

さて、次が最後かな……。あの2人組の男の子に話しかけよう。


影野「ちょっと良いかな?……会話中でも無さそうだし、良いわよね」

???「……ああ、構ァねェ」

???「初めて見る顔だな。さっきいなかった3人の内の2人……ってところか?」

影野「その通り。色々あって出遅れたんだ」

影野「私は影野継美。語り部って才能でこの学園に来たわ。よろしくね」

本居「司書の本居優樹菜と申します。よろしくお願い致します」

???「伝法寺醍醐。才能は番長」

伝法寺「……よろしく頼む」

影野「ば、番長……?」

本居「す、すごい才能……ですね……」

ちょ、ちょっと怖いかも……。

伝法寺「…………。」 

でも、なんか同じ寡黙でも吉田君とは違う感じがするなあ。

……風格がある、とでも言うのかな。

???「俺は獄門疾風」

獄門「超高校級の……指名手配犯だ。」

影野「し、し、指名手配犯!?」

本居「す、すす、すごい……さ、才能……才能……?」

獄門「はは、まあ、番長で『あの反応』なら、『その反応』になるよなぁ」

獄門「安心しろよ。この学園では、犯罪なんか起こす気はないからさ」

影野「そ、そう言われても……」

し、指名手配犯って……

獄門「考えてみろよ。俺がここで犯罪を起こしたら、退学になって、即逮捕だぜ?」

獄門「逆に、問題さえ起こさなけりゃ、俺は希望ヶ峰学園の保護下……」

獄門「な?ここでの犯罪が如何に俺にとってメリットの無いことか……ここまで言えば分かるだろ?」

影野「……理屈は分かるけど」

本居「す、少し怖くはありますね……。疑うわけではありませんが」

伝法寺「……少し話しただけだが、俺ァこいつが悪人だとは思わなかった」

伝法寺「寧ろ、偏見で距離を置こうとするテメェ等の方が、悪人に見えるくれェだ」

影野「な……っ!?」

獄門「おい伝法寺……庇ってくれるのは有り難いが、当然の反応だろ?俺は別に気にしてないぞ」

伝法寺「…………。」

伝法寺君は目を背ける。

獄門「……ま、そんな感じだから。気にしなくて良いよ。距離を置きたければ、置けば良い」

獄門「でも一応クラスメイトだし、必然的に関わる回数も増えるから……最低限の付き合いだけは、よろしくお願いしたいかな」

本居「…………」

本居「……いえ、私に非がありました。……申し訳ありませんでした」

影野「ま、まあ、伝法寺君の証言もあるし……ちょっと怖がり過ぎたのは謝るわ」

影野「……ごめんね」

獄門「お、そういってくれると嬉しいね。俺も、理想は皆と仲良く学園生活を送ることだしさ」

獄門「んじゃ改めて、これからよろしく」

獄門君に差し出されたその手を、

怖れていることを気取られないように、私は握った。


……ほぼ、その瞬間だった。

『ピーンポーンパーンポーン』

『ええー、マイクテス!マイクテスッ!……聞こえてるよね?』

『オマエラ!お待たせしました!入学式の準備が整いましたよー!』

『至急、体育館に、お集まりください!それでは、また後で会いましょう~』

『ブツッ』

……ようやく、入学式が始まるのね。

結局、全員に挨拶を済ませちゃった。

獄門「やっとか。そいじゃ、行きますか」

……せっかくだし、誰かと話しながら向かおうかな。

↓1 生徒指定


-廊下-

影野「で、伝法寺君」

伝法寺「…………。」

影野「あの……さっきので、気分悪くさせちゃってたらごめんね?」

伝法寺「…………。」

影野「ちょっと話しながら歩きたいんだけど、良いかな」

伝法寺「……好きにしろ」

……良かった。

少なくとも、話してくれないほど嫌われてはいない……かな?



……何について話そう。

1.ここに来るまでの経緯
2.クマ
3.気づいたこと

↓1


挨拶前に引き続いて、情報収集した方が良いかな。

影野「伝法寺君は、どういう経緯でここまで来たの?」

伝法寺「……そこについては、おおよそ全員一致している」

伝法寺「入学式に向かうために、門を潜った瞬間、目眩がして、学園内のどこかで目を覚ました……」

伝法寺「……俺も例外じゃねェ」

影野「ふむふむ……伝法寺君はどこで目を覚ましたの?」

伝法寺「俺含む10人前後は玄関ホールで目を覚ましている」

伝法寺「他は、教室に、廊下……保健室のベッドで目ェ覚ましたっつーヤツもいたな」

……なにその格差。ずるいなあ。

影野「なるほどね……。全員一致で門を潜った途端目眩……か」

影野「……何だか、おかしいよね?」

伝法寺「…………。」

伝法寺「……まァな」

影野「不安じゃ……ない?」

伝法寺「……最初ァ拉致や監禁っつー線を考えてたヤツもいたけどよ」 

伝法寺「この建物が希望ヶ峰学園っつーなら、そんなことが起こるわけもねェ」

伝法寺「学園ごと乗っ取るなんて……出来るわけねェだろ。この短時間で」

影野「……そっか」 

そうか……そのはずなんだよね。  

壁の鉄板、不気味な電灯、不自然な監視カメラ……

すごく不安にはなるけど……

たかが2時間弱で学園を乗っ取るなんて不可能、っていうのは、説得力がある。

だとしたら……学園主催のイベントか何かなのかな。

影野「ありがとう伝法寺君。ちょっと心が軽くなったよ」

伝法寺「…………。」


-体育館-

伝法寺君と話を終えると、すぐに体育館に到着した。

影野「……あれ?」

誰もいない。入学式と言うには、少し寂しい気もする。

獄門「おいおい……一体何の準備をしてたんだ?」

沢渡「ふっつーに体育館スねー。式って感じはしないッス」

丹田「この小さいシートと椅子を並べるだけで、こんなに時間かかってたのー?」

樹村「どーなってるのかな~?おかしいな~」

他の皆も次々と疑問を口にする。

一度は収まりかけた不安感も、また増してくる。

???「はいはい、全く、文句の多い連中だなぁ」

???「不景気とか、経費削減とか、そんなこんなであんな感じだけど、文句言わないの!」

アナウンスでも聞いた、耳をつんざくような声。

そして登場したのは、

私から見て、体の左半分が白、右半分が黒の……『クマ』

片方の眼が赤く光っていて、不気味な、『クマ』だった。

影野「こ、これが皆の言ってたクマ……!?」

吉田「…………。」

周藤「あ、出た。クマ」

鉄「ぬいぐるみでしょ?最近のは高性能だよね」

ラバン「ふ、2人とも冷静過ぎマセンか……」

???「はいはい、静粛に!」

???「とりあえず、ぬいぐるみだってのは否定しておくよ!」

???「ボクはモノクマ!キミ達の、この学園の、学園長なのだー!」

学園……長……!?これが……!?

獄門「おいおい、何なんだこれ……」

南錠「ぬいぐるみが学園長言うのは……きつい冗談やなぁ」

伊賀ノ原「て、ていうかこれ、誰が操作してるの?動いてるけど……」

モノクマ「文句ばっかかよオマエラは……。」

モノクマ「後で聞いてあげるからさ、入学式、始めさせてくれる?」

……その言葉に、一応全員が黙って、

モノクマと名乗るぬいぐるみに視線を集める。

モノクマ「エライエライ、やれば出来るじゃん」

モノクマ「では、これより記念すべき入学式を執り行いたいと思いまーす!」


モノクマ「まず最初に、これから始まるオマエラの学園生活について一言……」

モノクマ「えー、オマエラのような才能溢れる高校生は、”世界の希望”に他なりません!」

世界の希望……か。 

改めて言葉にされると、何だかむず痒いなあ。

モノクマ「そんな素晴らしい希望を保護する為、オマエラには・・・」

モノクマ「この学園内だけで、共同生活を送って頂きます!」

影野「……え?」

この学園内"だけ"……?

モノクマ「みんな仲良く、秩序を守って暮らすようにね!」

モノクマ「えー、そしてですね……その共同生活の期限についてなんですが……期限はありません!」

獄門「期限が……ない?」

本居「そ、それってつまり……?」

モノクマ「つまり?一生ここで暮らしてもらうってことだよ!」

モノクマ「それが、オマエラに課せられた学園生活なの!」

丹田「な、何言ってんの?バカじゃないの?」

足立山「む、無理だよ……こんなところで……一生なんて……!」

モノクマ「あ、安心しなよ。予算が豊富だから、不自由はさせないからさ」

沢渡「……問題はそこじゃないんスけどね」

モノクマ「は?なら、どこに問題があるって言うのさ!」

モノクマ「酸素の心配でもしてるの?安心しなよ!毎日綺麗な空気を作ってるあげるから!」

神崎「うーん……家に帰れないのは困りますね。着替えも持ってきてませんし」

沢渡「問題はそこでもないスよ!?帰りたいっていう点ではあってるっスけど!」

神崎「……あれ?そうでしたか」

モノクマ「はぁ……大体、オマエラは自ら望んでこの学園に来たんでしょ?」

モノクマ「それをすぐに出たい?帰りたい?笑っちゃうよ……」

モノクマ「ま、今さら泣こうが喚こうが暴れようが無駄だけどねー。学園は完全に封鎖してるから」

封鎖……?あ、あの鉄板って、そういう……!?

樹村「じゃあもう出られないの~?それは嫌だ~」

本居「さ、流石に一生ここで暮らすというのは……」

鉄「だ、大体さ、希望を保護するために一生閉じ込めるなんて、本末転倒じゃないの?」

鉄「それって、ラストエリクサーを取って置き過ぎて、結局使わずにクリアしちゃうようなものでしょ?」

モノクマ「その例えはよく分からないけど……とにかく、出たいって声が多いのは分かったよ」



モノクマ「まあ実は、出たいって言うなら、方法はあるんだけどね」




足立山「え?あるの?」

その声を聞いたモノクマは、

ぬいぐるみなのに、そんなことはあり得ないのに、

ニヤリと、笑った気がした。

モノクマ「……あるよ。ありますとも」

モノクマ「学園長であるボクが、この学園からどーしても出たいって人のために、特別ルールを用意しておいたんだ!」

モノクマ「それが、『卒業』さ!」

獄門「卒業……?」

伊賀ノ原「な、何さ、それ」

モノクマ「ま、そういう反応になるよね」

モノクマ「では、この特別ルールについて説明していきましょう!」

モノクマ「オマエラには、学園内での"秩序"を守った共同生活が義務付けられた訳ですが……」

モノクマ「もし、その秩序を破った者が現れた場合、その人物だけは、学園から出て行く事になるのです!」

モノクマ「それが『卒業』というルールなのですっ!」

影野「ち、秩序を破るって……具体的にどういうことよ……」

モノクマ「うぷぷ……それはね」

モノクマ「人が人を殺すことだよ」

衝撃的な言葉に、背筋が凍った。

さっきよりも息が荒くなる。身体が震える。

周藤「こ、殺す……?」

モノクマ「そう、殺すの!殺し方は問わないよ?」

モノクマ「『誰かを殺した生徒だけが、この学園から出ることができる』……それだけの、簡単なルールさ!」

モノクマ「ま、せいぜい頑張ってよ。受け入れるも良し、抗うも良し、さ」

モノクマ「希望の象徴同士が殺し合いを起こしかねない、絶望的なシチュエーション、ゆっくり楽しんでね!」

一色「ほう……」

足立山「い、嫌だ……こんなの嫌だよ……」

丹田「バカだ!こんなの許されるわけないじゃん!」

丹田「すぐ警察が来て、それでお終いだよ!」

モノクマ「そう思うならそう思っとけば~?ボクは嘘はついてないけどね」

モノクマ「断言しても良いよ。助けは来ない。絶対に来ない。」

モノクマ「人を殺さなければ、本当にオマエラは一生ここで暮らすことになるよ」

吉田「…………。」

鉄「……ゆ、夢でも見てるのかな」

樹村「こ、困ったな~」


伝法寺「……なァ」

伝法寺君がモノクマのもとへ歩いていく。

私は、動けない。足が震えて、言うことを聞かない。

モノクマ「……ん?何さ?」

伝法寺「俺も手荒な真似はすきじゃねェんだ……」

伝法寺「悪ふざけも、その辺にしといたらどうだ?」

モノクマ「悪ふざけ……?ここまで聞いて、本気でそう思ってるなら、キミは相当な間抜けだよ?」

伝法寺「……そうかよ」

『ガシッ』

伝法寺君はモノクマを片手で掴み……

伝法寺「なら……悪いが、そんな下らねェ趣味に付き合う気はねェ」

伝法寺「さっさと俺等をここから出せ」

モノクマ「あーあーあー、やってしまいましたなぁ」

モノクマ「これは、大変なことやと思うよ……」

モノクマ「学園長への暴力は、校則違反だってのにさー!」

伝法寺「校則違反……?」

モノクマ『ピッ……ピッ……』

足立山「なにこれ……機械……音……?」

モノクマ『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ』

伝法寺「あァ……?こりゃァ……」

伊賀ノ原「で、伝法寺君!上へ投げて!それは……」

モノクマ『ピッピッピッピッピッピッピッピッ』

伝法寺「爆弾……だな」

ひょい、と伝法寺君がモノクマを空中に投げた。

直後、

『ドォォォォォオオオオン!!!!!』

モノクマは爆発した。


伝法寺「……そういう手で来やがるか」

モノクマ「こういう手で行くんですよ」ヌーン

沢渡「っ!?新しいのが!?」

モノクマ「あ、そうそう、ボクを何体壊したって無駄だよ?」

モノクマ「無限に、とは言わないまでも……」

モノクマ「キミ達が一生かかっても壊し切れないくらいには、用意してあるからさ」 

モノクマ「で、校則のことだけど……違反するとどうなるかはもう分かったよね」

モノクマ「今回は最初だったし、多目に見てやるけどさ、次はないよ!」

伝法寺「…………。」

神崎「しかし……校則が分からなければ、いつまた無自覚に校則を犯してしまうか分かりませんよね」

モノクマ「だよねぇ、怖いよねぇ?そう言うと思って……」

モノクマ「じゃじゃーん!電子生徒手帳~!」

モノクマ「ここに、この学園生活における校則も記されているのです!」

モノクマ「電子生徒手帳は、学園生活に欠かす事の出来ない必需品だから、絶対になくさないようにね!」

モノクマ「それと、起動時に自分の本名が表示されるから、一応間違いがないか確認しておいてね」

モノクマ「単なる手帳以外の使い道もあるからね……うぷぷ」

モノクマ「ちなみに、その電子生徒手帳は完全防水で、水に沈めても壊れない優れ物!」

モノクマ「耐久性も抜群で、10トンくらいの重さなら平気だよ!」

モノクマ「それと、何度も言うけど、校則違反は許さないからね!」

モノクマ「ルールは人を縛りもするけど、守りもするんだ」

モノクマ「社会でも、法律がないと平和は成立しないでしょ?」

影野「い、一緒に、しないでよ!」

影野「こんなルールで、平和が成立するはずないじゃん!」

モノクマ「あーあー、聞こえなーいなー」

モノクマ「ではでは、入学式はこれで終了となります!」

モノクマ「これから始まる学園生活、どうぞ楽しんでください!」

モノクマ「それじゃあ、まったね~!」

そう言って、モノクマは去っていった。

……呆然とする、私達を残して。


-prologue- END
生存人数:16人

To be continued…


-Chapter1-

神崎「ふむ……面倒なことになりましたね」

沢渡「面倒とか、そういう次元の話じゃないっスよー!」

樹村「ふわぁー……、巴、なんだか眠くなってきたかもー」

獄門「それは流石に危機感が薄過ぎるんじゃないか……」

……会話をしている人達は、まだ余裕がある。

本当に精神的に参っている人達は……

話していない中にいる気がする。



……ちょっと、誰かと話そうかな。

↓1 生徒指定


影野「ね、ねえ、南錠さん、この状況って……あれ?南錠さん?」

南錠「……え?」

南錠「ああ、ごめんごめん、ちょっと考え事してたわ……」

影野「い、いや、こっちこそごめんね」

影野「こんな状況になってすぐだもん。1人で考えたいこともあるよね……」

南錠「ううん、そんな深刻なことちゃうさかい、気にせんといて」

南錠「状況の方は……不安になるのは分かるけど、まだ助けが来ないとも限ってないし……」

南錠「とりあえず今は、仲間同士の殺人が起きんように、平穏に過ごして待つしかないかなぁ」

影野「そう……だね……」

影野「南錠さんは、大丈夫?」

南錠「うちは大丈夫や。こんなことでへこたれたりせえへんよ」

南錠「何より、継美はんの真っ青な顔色見てたら、こっちは逆に冷静になってまうわ」

影野「……わ、私、そんな顔色悪いんだ」

確かに、自分自身、他人を気遣う余裕があるのか怪しい。

それでも……何もしないでいて、殺人が起きたりしたら……

南錠「無理しなや。誰かを助けようとして、あんさんが倒れたら、本末転倒なんやから」

影野「うん……ありがとう」

逆に気遣われちゃった……。


獄門「おい、そこの2人」

影野「あ……獄門君、どうしたの?」

獄門疾風君。超高校級の……指名手配犯。

いくら「悪人じゃない」とか

「ここで犯罪は犯さない」とか言われても、

まだ恐怖感は拭い切れない。

しかも、あのクマが設定したふざけたルールのせいで、

このままだと私は、指名手配犯と一生共同生活することに……。

獄門「ここでビビって縮こまってても何も進まないし、皆で学園内の探索をすることになった」

獄門「適当に3~4グループに分けて、分担して探索をする。お前らも加わってくれ」

南錠「なるほど……了解や」

学園内の探索……か。

今となっては、ここが本物の希望ヶ峰学園なのかも怪しいけど……

……それを確かめるためにも、必要なことよね。

さて、私が捜索するグループは……



↓1~3 生徒を1人ずつ指定


沢渡「この4人になったんスねー!よろしくッス!」

吉田「…………。」

鉄「沢渡君、こんな状況でも元気だね」

沢渡「ッス!元気出さないとやってられないッスよ!」

沢渡「もしかしたら、秘密の出口とかあるかもしれないし、割り当てられたところをしっかり探索しよーッス!」

沢渡「ね、吉田君もそう思うっしょ?」

吉田「…………。」

沢渡「……オイラはもう、吉田君の無言は、イコールYesで捉えてるッス!」

影野「どんな関係よ……」

……明るい沢渡君がいるのは助かるかな。

雰囲気が暗いと、余計滅入っちゃいそうだし。

影野「私達は、さっき封鎖されてたエリアの奥の方を任されてたわよね」

影野「早速、向かいましょうか」

沢渡「おーっと、つぐみん!ドント・ストップ!」

影野「……わざと間違えてるでしょ」

沢渡「あ、バレたっすか?ストップ、ストップッス」

沢渡「先に、さっき配られた電子生徒手帳で、校則を確認しておくッスよ」

沢渡「探索の途中で、自覚無しに校則違反~なんて、笑えないスからねー」

影野「……なるほど、それもそうね」

鉄「なるほどね。じゃあ、各々で確認しておこうか」

意外と細かいところに頭が回るタイプなのね……。

……いや、私が冷静さを欠いているだけかな?



『電子生徒手帳を起動した』


影野「えっと……校則はこれかな」ポチッ



─────────────────

-校則-

1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを"夜時間"とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4.希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは"卒業"となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

※なお、校則は順次増えていく場合があります。

─────────────────




影野「……なるほど」

沢渡「とりあえず、探索中の居眠りにだけ気をつければ、他は大丈夫そうスかねー」

影野「監視カメラの破壊についても、近くにカメラがある時は慎重にしなきゃ危ないかな?」

沢渡「うーん……ここまでかなりの数の監視カメラを確認してるッスから、気にし出したらキリがないスけどね……」

鉄「……関係ないけどさ、殺したことが誰かにバレたらダメなんだね」

鉄「バレたらどうなるんだろう?卒業失敗かな?」

影野「……そもそも、殺そうとしなければ良いと思うんだけど」

鉄「え?やだなあ、僕は誰かを殺すつもりなんてないよ?」

鉄「情報は多い方が良いでしょ?あくまで仮定だよ、仮定」

沢渡「ま、そこも今気にすることではないスよ」

沢渡「気になるなら、後でモノクマにでも聞けば良いッス」

沢渡「それじゃ、探索開始するッスよー!」

沢渡「ほら、ナックル君、気合い入れて!ッス!」

吉田「…………。」

>>138での沢渡→吉田への呼称は「ナックル君」に訂正します。


-個室前廊下-

影野「えーっと、南錠さんから建物内の貰った地図によると……」

影野「ここが寄宿舎エリアの1番奥になるのかな」

沢渡「皆の個室があるみたいスね。16人分、ちゃんと部屋があったッス!」

鉄「ただ、まだ開かないみたいだね。後で鍵を貰えるのかな?」

影野「とりあえず、睡眠はこの個室内でのみ許可されてるっていうことは、覚えておかないとね」

吉田「…………。」

沢渡「話は逸れるッスけど、それぞれの個室の扉の隣にあるドット絵、可愛いッスね~」

影野「……ほんとだ。上手に描いてあるね」

沢渡「はっ……もしかして、犯人は絵が上手い……?」

沢渡「つまり、どどめ君……彼が一連の事件の黒幕ッス!」

影野「……本気で言ってる?」

沢渡「1割くらいは!」

鉄「…………。」

吉田「…………。」

沢渡「ほら、ナックル君もオイラの推理に同意してるッス!」

影野「吉田君を都合よく利用するのはやめなさい」

沢渡「……くっ、バレたッス」


-トラッシュルーム-

影野「ここは……ゴミ捨て場かしら?」

沢渡「チッチッチッ……」

沢渡「つぐみん、よりアーバンに言い換えるなら、『トラッシュルーム』ッスよ!」

影野「…………。」

沢渡「……あれ?スルースキル身に付くの早くないッスか?」

鉄「なるほど、ここで共同生活で発生するゴミを燃やすんだね」

鉄「ゴミ捨てが捗りそうで何よりだね、沢渡君」

沢渡「……何故オイラにだけそれを?」

吉田「…………。」

『ガシャガシャガシャ』

吉田君がシャッターを開けようとするが、開かない。

沢渡「あれ?……ナックル君、開かないんスか?」

吉田「…………。」

沢渡君も同じように、シャッターを開けようと試みる。

『ガシャガシャガシャ』

沢渡「なるほど……」

沢渡「……やはり、無言は肯定だったッス!」

影野「開かないのね……」

鉄「誰かが鍵を持ってるのかな?」

誰か、って言っても、どうせモノクマだろうけど……。

まあ、今のところはゴミを燃やす手段は無いってことね。


-倉庫前-

影野「……ん?あれ、なんか揉めてる?」

沢渡「なんスかなんスか?スクープッスか?」



獄門「いや、だからさ、校則違反はしてないだろ?何でダメなんだ?」

モノクマ「な、なんでそういうことするかなぁ!」

モノクマ「校則がどうであろうと、ここはまだ封鎖しておく予定だったの!」

モノクマ「ピッキングとか、ずるくないっすか!?」

獄門「いや、そんなこと言い出したら、選択の余地を与えず こんな生活を強いてるお前の方がずるいだろ」

樹村「わ~正論だ~。ぐーの音も出ない正論だ~」

足立山「て、ていうか……アンタがどうするつもりだったか、とか……問題じゃなくない?」

足立山「結局ここはどうするのよ、開いちゃったけど」

モノクマ「ぐ、ぐぬぬ……」

モノクマ「こ、こうなったら、校則を追加するよ!」


─────────────────

-校則追加-
7.未開放エリアを鍵師の才能を使用し開放することを禁止する

─────────────────


周藤「うわ、ずるいね」

モノクマ「ずるくないもん!オマエラが悪いんだもん!」

獄門「……まあ、校則追加の可能性は予め提示されていたから、文句は言えんが……」

獄門「追加前に既に開放してしまった分には、咎められることは無いよな?」

モノクマ「……ああ、良いですよ!ふんっ!」

モノクマ「獄門クンが開放した倉庫と、南錠クンが開放した保健室は、以後入室・使用可能とします!」

モノクマ「後で、全体にも告知しておくよ!」

獄門「南錠も才能を使っていたか……やるな」

モノクマ「全く……初っぱなから面倒臭いことしてくれたなぁ……」



……ブツブツ言いながら、モノクマは去って行った。


影野「獄門君、何があったの?……って言っても、大体聞いちゃったけど」

獄門「おう、影野の班か。その、大体聞いてた通りだ」

樹村「獄門君は~超高校級の鍵師だったんだよ~」

影野「……え?」

ど、どういうこと……?

獄門君がピッキングしたっていうのは何となく分かったけど……

獄門「はは、その言い方だと語弊があるなぁ」

獄門「ざっくり説明すると、俺は鍵師、幸運、声真似、交渉の才能も持ってるんだ」

獄門「指名手配犯も才能ってことにするなら……5つの超高校級の才能を持ってるってことになるのかな」

周藤「凄かったよ~。鍵穴を暫く眺めただけで、ヘアピンで開けちゃったんだから」

沢渡「は、はえ~、すごいッスね……」

鉄「僕の才能と被ってるのか……」

鉄「……なんか、良い気分はしないなぁ」

獄門「悪いなあ。でも、専門の奴等よりは質が劣ってるんじゃないか?確認はしてないが。」

獄門「あくまで俺は、超高校級の指名手配犯として入学してるしな」

影野「……流石に、指名手配犯としての才能を磨くために入学した……ってわけじゃなかったのね」

獄門「そういうこと。あくまで他のスキルを磨くために来たんだよ」

獄門「そうじゃなきゃ、天下の希望ヶ峰学園が、ただの犯罪者保護施設になるだろう?」

……確かに、ある意味当然か。

獄門「……とはいえ、ここまで同学年と才能が被ってるとは思ってなかったな」

沢渡「切磋琢磨させるために、敢えて被せたのかもしれないスね」

超高校級の才能を5つ持つ……か。

人柄も悪くない(らしい)し、

他に素晴らしい才能も沢山あるのに、

どうして獄門君は指名手配犯なんかに……?



樹村「獄門君~」

樹村「そろそろ~、探索終了の時間だよ~」

獄門「……おっと、早いな。モノクマとの口論が長引いたせいか」

獄門「それじゃ皆、あそこにある食堂に集まって、情報交換をしようか」


-食堂-

獄門「全員揃ったな。それじゃ、学園エリアを探索してた班から、報告を頼む」

南錠「うちらの班は、最初に体育館前のホールを調べたけど……特に面白いもんはあらへんかったわ」

南錠「ただ、ちょっと危ないもんが幾つかあったから……回収が必要かもしらんね」

獄門「危ないもの?」

南錠「模擬刀?って言うんかな?あれは」

南錠「それなりに重みあるし、振り回したら危なそうやで」

獄門「ふむ……まあ、後で確認しておくか」

神崎「体育館から少し歩くと、2Fに繋がると思われる階段がありましたが……」

神崎「シャッターが降りていて、2Fまでは調べられませんでした」

影野「……あれ?」

影野「南錠さんの才能なら、シャッターの鍵も開けられるんじゃないの?」

南錠「……いや、1F側のシャッターは開けてんけどな」

獄門「……?」

本居「そこから更に階段を上がった先も、シャッターが降りていたんですよ」

本居「何となく、鍵を開けるのはルールの穴を突いているという自覚はあったので……」

本居「先に探索範囲内で鍵のかかってる場所を全て確認して、開けてしまおうという話になっていたのですが……」

南錠「そのせいで、1F側のシャッターだけ上げて、保健室に移ってしまったんや」

樹村「それで~保健室を開けたタイミングで~校則追加~!ってこと~?」

丹田「チッ……間抜けかよ。せっかく2Fも捜索できるチャンスがあったってのに」

南錠「そういうわけで、厳密に言うなら1F~2Fの階段は開放できてるけど、2Fは無理やってん」

南錠「これは完全にうちのミスやわ。すまんなぁ」

獄門「……いや、保健室を開放してくれただけでもよくやってくれたよ」

南錠「うちの班は、そんなところかな」

ラバン「では、次は私達の班から報告を」

ラバン「私達も、学園エリア側を探索しマシた」

ラバン「まず、最初にいた玄関ホールの向かいの、購買部が開放されていたので、そこを調べマシた」

ラバン「学園生活を、より豊かにするアイテムが豊富に取り揃えられているようデス」

ラバン「そこでアイテムをGETするには、モノクマメダルというお金代わりのものが必要らしいのデスが……」

ラバン「モノクマから、皆さん用に10枚ずつ預かっているので、お配りしマスね」

『モノクマメダルを10枚手に入れた』

……ただの玩具に見える。

一色「寄宿舎エリアに繋がる廊下の奥には、美しい赤い扉があったのだが……」

一色「生憎、鍵がかかっていてね。中に入ることが出来ず、残念だったよ」

伊賀ノ原「僕達の班からの報告は、以上だよ!」


獄門「それじゃ、次は寄宿舎エリアの探索結果を報告しようか」

樹村「は~い!」

樹村「あのねー、こっちには、食堂があったよー」

丹田「それくらい、今いるんだから分かるっつーの……」

樹村「それとねー、食堂の奥にはねー、厨房があってー、食材も沢山あったよー」

沢渡「なるほど、自分達で調理するシステムなんスね……」

周藤「向かいにはランドリーもあって、洗濯はここで出来るみたいだよ」

鉄「わあ!この状況より着替えのことを気にしてた誰かさんには朗報だね!」

神崎「はは……助かりますね」

周藤「あと、入り口がガッチガチにテープで封鎖されて、しかもモノクマが見張ってる場所があったけど……」

周藤「ありゃ流石に鍵どうこうの話ではないさね」

周藤「現状、侵入は諦めた方が良さそうだ」

獄門「最後に、校則に追加されてた通り、倉庫のことだな」

獄門「まだ詳しくは調べられていないが、どうやら日用品が沢山詰め込まれているらしい」

獄門「生活に不自由させない、って言うだけのことはある。その点で困ることは無さそうだ」

樹村「それと最後にー、これー」

樹村さんが何かを1つずつ皆に配っていく。

鉄「これは……鍵?」

樹村「食堂にねー、まとめて置いてあったの」

獄門「どうやら、個室の鍵みたいだぜ」

南錠「そういえば、個室以外で睡眠を取ると、校則違反になるんやったなぁ」

神崎「ああ、ならこれで、寝場所が確保できましたね」

伊賀ノ原「個室に鍵がついてるのは、安心だね!」

『ルームキーを受け取った。』

獄門「じゃあ次は、沢渡の班、報告してもらえるか?」

沢渡「ッス!自分達は……」

『探索結果を報告した。』


影野「……以上よ」

本居「これで、開放されているエリアの情報は、大体揃ったでしょうか……」

獄門「あくまで大体、ではあるがな」

獄門「ところで、集まったついでに、俺から1つ提案があるんだが……良いか?」

ラバン「提案?何デスか?」

獄門「特殊なルールの下とはいえ……一応これから、俺達の学園生活が始まるわけだろ?」

獄門「親睦を深める目的で、朝と夜の飯くらいは、ここで一緒に食わないか?」

獄門「調理も、別々でやるより、皆の分を一斉に作る方が手間が省けるしさ」

影野「確かに……仲良くなって、損することはないね」

獄門「だろ?」

沢渡「悪くないッスね!暗くなってても、事態は好転しないッスし!」

獄門「ああ、俺も同じ意見だ。こういう時こそ、前を向くべきだよ」

本居「私も賛成です。朝と夜、時間はどうするんですか?」

獄門「それは今から決めるつもりだが……」

獄門「まあとにかく、食事会自体は決まりで良さそうだな。安心したよ」




丹田「は?良いわけないだろ」




影野「……え」

丹田「あのさ~、頭お花畑なヤツだらけなの?」

丹田「食事会で誰かに調理を任せて、毒でも盛られたらどうすんの?」

丹田「この状況で、他人の手が加わる余地がある料理を食うとか、バカなの?」

本居「そ、そんなこと……」

丹田「起こらないって言える?提案者は超高校級の指名手配犯だけど?」 

丹田「そもそも、なんで危険の多い個室の外にノコノコ出ていかなきゃいけないのさ」

丹田「食事なんて、予め保存食を個室に持ち込んどけば済む話だし」

丹田「情報収集と馴れ合いを一緒にすんなってのー」

影野「ちょ、ちょっと、幾らなんでも言い過ぎじゃない?」

足立山「……でも、私も意見的にはソイツに賛成だな」

足立山「今日会ったばっかのアンタ等を信用する気には……ちょっとなれない」

足立山「簡単な食事なら倉庫にもあったし、それを各自で個室で食べたら良くない?」

丹田「ふん、ソイツ呼ばわりは腹立つけど、まともな考えを持ってるヤツもいるみたいで、私は安心したよー」

丹田「それじゃ、私は個室に戻るから!ばいばーい!」

足立山「……福愛も」

そう言って、2人は去っていく。

獄門君は……止めなかった。追いかけなかった。

最も、私も同じく、何も出来なかったんだけど。

周藤「信用してないっていうか……怖いっていうか……」

周藤「正直アタシも、あいつらの言うこと、分からなくはないかな~って」

伊賀ノ原「う……さっき丹田さんが挙げた可能性が怖くないか、って言われると、正直僕も……」

南錠「どっちが安全か、いう話なら、一目瞭然やしなぁ」

一色「……私はもとより、馴れ合いに興味がない」

一色「君達のすることを否定はしないが、肯定もしない。好きにしたまえ」

続いて、更に数人が食堂から去っていく。

吉田「…………。」

沢渡「……え、ナックル君、残らないんスか……」

同じように食堂から去ろうとする吉田君を、沢渡君が止めようとした。

吉田君は立ち止まり、沢渡君を一瞥する。

が、首を振り、また歩みを進め、食堂から去ってしまった。

沢渡「あ……」

沢渡君も、それ以上止めようとはしない。

いや……できない、のか。

皆、内心分かっている。

その危険を否定できないことくらい、皆、分かっているんだ。

それでも……。


獄門「……残ったのは、9人、か」

獄門「こんなもん、なのかな……ははは」

少し寂しそうに、獄門君は笑う。

その瞬間、私の彼への警戒が、ふっと緩みかけた。

その表情が、どうしても、悪事を企む人間のものには見えなかった。

もしかして、この人は、本当に善人なの?

伝法寺君の言う通り、悪人じゃない?

指名手配犯になってしまったのは、相応の理由がある?

それとも、これは全て演技で、

やっぱり私達を陥れるために動いている?

この演技力こそが、超高校級の指名手配犯に認定された理由?

色んな考えが、頭を巡る。

沢渡「い、いや、仕方ないスよ……。オイラは発案自体は悪くなかったと思うッス」

伝法寺「……で?残ったヤツらはお前の計画に賛成みてェだが、どうすんだよ」

伝法寺「9人もいりゃ、上等だろ。過半数だ」

伝法寺君のその言葉は、獄門君への激励にも聞こえた。

獄門「もちろん、賛成してくれる人がこんなにいるんだ。食事会は行う」

獄門「朝は8:00、夜は18:00に食事を始めることにして……」

獄門「調理担当は1日単位で変更。9人なら、3人1グループでどうだ?」

本居「問題無いと思います」

神崎「良いんじゃないですか」

他の面々も、特に異論は無さそうだった。

獄門「なら、決まりだな。早速、明日の朝から始めよう」

獄門「で、調理は……最初だし、発案者の俺は入れるとして……」

獄門「残り2人は、くじでも引くか。用意して来るから、ちょっと待ってろ」


鉄「あれ、ハズレ引いちゃった」

鉄「困るなあ。幸運の名が廃っちゃうよ」

沢渡「まいちゃん!こういうのはアタリだと思うッスよ!」

沢渡「8分の2を引き当てたと思えば、十分幸運ッス!」

獄門「それじゃ、明日はこの3人で決まりで」

獄門「今日は……まだ昼過ぎだけど、皆突然のことで疲れてるだろうし、解散にするか」

獄門「くれぐれも、個室の鍵の閉め忘れは無いようにな」

獄門「誰が変な気を起こすか分からない。一応、警戒はしておけ」

……確かに、今日は色々なことがあり過ぎた。

でも、この学園に来てから、まだ数時間しか経ってないんだよね。

全然そんな風には感じないや……。

……個室に戻って、ゆっくり休もう。


-影野の個室-

個室に戻り、ベッドに寝転ぶと、私はすぐに眠ってしまって……

起きた時には、既に深夜だった。

……お腹空いたなあ。喉もカラカラ。

確か、倉庫に食料があるって、足立山さんが言ってたっけ。

朝まで我慢できないし、調達しに行こうかな。

倉庫から水とパンを調達して個室に戻ると、

モノクマ「やあ!影野さん!」

……ベッドの上に、モノクマがいた。

影野「な、何でこんなところにいるのよ」 

モノクマ「何でって……ボクは、学園長だよ?」

モノクマ「学園長なんだから、学園のどこにでもいる権利があるに決まってるじゃん?」

……この学園に、プライベート空間なんて無かった。

まあ、個室に監視カメラがあった時点で、そんな気はしてたけど。

モノクマ「ま、そんなことはどうでも良いんだよ」

モノクマ「実は、キミに話があって来たんだ」

影野「私に……話……?」

何故だか、嫌な予感しかしない。

モノクマ「単刀直入に、言わせてもらうよ」

モノクマ「影野さん、皆のことを裏切ってくれない?」

影野「……は?」

う、裏切る……ですって……?

モノクマ「このコロシアイ学園生活を運営するにあたって、ボクにも色々と懸念してることがあってさ」

モノクマ「それを解消するために、生徒の中にボクの手下がいてくれると、すごく楽なんだよ」

モノクマ「ね?ボクと組まない?クマだけに!クマー!」

影野「ふ、ふざけないでよ!」

影野「そんなの、私に何のメリットもないじゃない。お断りよ!」

モノクマ「……ふーん。まるでメリットがあれば受け入れるかのような言い草なのは気になるけど……」

モノクマ「そっか、裏切り者になってくれないか……」

モノクマ「うぷぷぷ……でも、こう言ったらどうかな?」

モノクマ「キミが裏切り者にならないなら、ボクは、キミの家族全員をコロすよ」

影野「な……っ!」

影野「こ、殺すって……そんな……!」

モノクマ「そのままの意味だよ。簡単なことでしょ?」

モノクマ「裏切り者になれば、キミは皆を裏切る代わりに、家族を守ることが出来る」

モノクマ「裏切り者になってくれないなら、キミは皆を裏切らなくて良い代わりに、家族を失う」

モノクマ「たった、それだけのことだよ」

モノクマ「別に、ただの脅しだと思うなら、断れば良いんじゃない?」

モノクマ「ボクは本当にキミの家族を殺せるし、断るなら、実際に殺すけどね」

モノクマ「で、どっちにする?5分だけ待ってやるから、決めなよ」

影野「ま……待ってよ!何で私が、そんな選択……」

モノクマ「キミが、選ばれたからさ」

モノクマ「それ以上でも、それ以下でもないよ」

モノクマ「さ、5分だよ。どうでも良いこと言ってないで、考えたら?」

皆を、裏切る……?

ただでさえ脆い結束なのに、

私が裏切り者になんてなったら……。

でも、断れば、私の家族が……。

どう……しよう…… 私は……


[ルート分岐]
1.裏切り者になる
2.断る

↓3までの多数決


影野「……わ、分かったよ」

影野「裏切り者に……なるよ……」

私には、家族を捨てることなんて、選べなかった。

モノクマ「うぷぷ……賢明な判断だね!」

モノクマ「それじゃ、これからよろしくね、影野さん!」

モノクマ「……とはいえ、今のところ特に命じることはないから……」

モノクマ「また、何か頼みごとが出来た時に、個室で話させてもらうよ」

モノクマ「あ!当たり前だけど、このことを誰かに話したら、断ったときと同じく、キミの家族の命は保証しないからね」

モノクマ「そんじゃ、まったね~」

そう言って、モノクマは個室から去っていった。

恐怖と罪悪感に震える私を残して。



取り返しのつかないことをしてしまったかもしれない。

でも、だとしても後戻りなんて出来ない。

それが『取り返しがつかない』ということなのだ。

私はもう……黒幕サイドの人間として、動くしかないんだ。



こうして

どうしようもない無力感

抗うことのできない恐怖感

誰も信用できない不信感

あらゆる負の感情に支配された

最低最悪の学園生活が、幕を開けた。

 

-Day1- END
生存人数:16人


-Day2-

-影野の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』

…………。

あまり、眠れなかった。

……朝食会は、8時からだっけ。

調理当番にも選ばれてないし、時間はある……か。

……憂鬱だな。

既に見捨てた皆と、裏切った皆と、食事会だなんて。

今更、親睦を深めたところで……。

……いや、それでも行かないと。

モノクマの命令に従えないと、

きっとまた家族のことで脅される。

どんな命令が来ても良いように、

行動の自由度は上げておかないといけない。

こんな思考を巡らせて、

改めて、皆を裏切ったんだという実感が沸く。

出会ってたった1日しか経ってないのに、

凄まじい罪悪感が襲ってくる。

影野「……ははは」

涙が出そうになって、

思わず、誰もいない部屋で誤魔化し笑いをしてしまった。

影野「……行こう」

覚悟を決めて、私は個室から出る。


-個室前廊下-

本居「あ……影野さん」

本居「おはようございます」

影野「おはよう、本居さん」

個室を出てすぐに、ばったり本居さんに出会った。

少し元気が無さそうにも見えるけど、殆ど昨日と変わっていない。

三つ網にした黒髪に眼鏡が似合っている。

……変わっていない、はずなのに、

昨日とは本居さんの見え方が違う。

私から見える世界は、大きく変わってしまっていた。

本居「……もしかして、影野さんも8時まで待ちきれなくて出てきたんですか?」

影野「うーん、待ちきれなかったというか……個室にいてもしょうがないからね」

本居「ですよね……。窓がありませんし、朝って感じもしなくて」

本居「ただ何もせず個室に居ると、陰鬱な気分になってしまいます」

影野「うん……せめて、何か気晴らしに出来ることがあれば良いんだけどね」

想像以上に自然に会話が出来る。

昨日よりスムーズかもしれないくらいに。

本居「……ここで立ち話も何ですし、良かったら食堂で話しませんか?」

本居「調理中とはいえ、飲み物くらいは用意できるでしょうし」

影野「ええ、そうしましょう」

-食堂-

沢渡「はい、ご注文のホットコーヒーッスよ~」

影野「ありがとう、沢渡君」

本居「ありがとうございます」

沢渡「いえいえ!朝食はまだ作ってる途中なんで、もう少し待ってくださいッス!」

そう言って、沢渡君はまた厨房に戻って行った。

火傷に気をつけながら、コーヒーを少しだけ口に含む。

影野「温かい……」

本居「朝のコーヒーは良いですね……目が覚めます」

影野「本居さんも、よく飲むの?」

影野「やっぱり本を読む時とか?司書だし」

本居「いえ、本を読んだ後が多いですね」

本居「読んでる途中だと……万が一溢したらと思うと気が気じゃなくなりますから」

影野「ああ、なるほどね……」

影野「私は気にせず読書中にも飲んじゃうなあ」

本居「そういえば、『物語に関連する』という部分は、私達の才能の共通点ですね」

本居「語り部というと、昔話や歴史を語り継ぐ人、というイメージですが……」

本居「でも、影野さんはお若いですし、歴史的事件を体験して、それを語り継いでいる……と言った感じではありませんよね」

本居「もしかして、本の読み聞かせとか、朗読みたいなことをしてるんですか?」

影野「うん、そういうのも、ボランティアでやったりしてたよ」

影野「でも、メインなのは……そのままの意味での語り部の仕事だよ」

影野「体験した歴史だけしか語れないわけではないからね」

本居「……と、言いますと?」

影野「誰かが語り継いで来てくれたことを、私が更に語り継ぐ、ってことだよ」

影野「色んな場所の色んな人を取材して、色んな話を聞いて……」

影野「それを次の世代に伝える、っていうのが、私のしたいこと……なんだ」

夢をかたる。思いをかたる。

涙が出そうになって、悟られないように堪える。

本居「なるほど……素晴らしい志だと思います」

本居「希望ヶ峰学園から招待を受けるのも、納得ですね」

影野「そ、そうかな?なんか照れるなあ」

影野「でも、こんな事件に巻き込まれてちゃ、その夢も叶うか怪しいなあ~」

影野「希望ヶ峰学園なら経費も下りるし、その活動が捗るかなって思ってたのに……。」

本居「……きっと、すぐまた日常に戻れますよ」

本居「必ず助けは来ます。信じましょう」

本居「それに、ここから出たら、この事件も体験談として語り継ぐことが出来ますし……物は考えようですよ」

影野「……そうね」

影野「ウジウジしてても、仕方ないよね」

本居「はい。だから、元気を出しましょう?」

本居さん……こうして話してみると、良い人だなあ。

…………。

……私は、こんな良い人のことも、裏切ってるんだな。


『本居さんとの親密度が少し上がった』


本居「そろそろ8時ですね……」

本居「他の方も、食堂に来る頃でしょうか」

影野「だね。料理を運ぶのくらいは手伝おっか」

本居「そうですね」




影野「……ねえ、ずっと気になってたんだけどさ」

影野「なんで同い年なのに、皆に敬語使ってるの?」

本居「ああ……つい癖で、敬語になってしまうんですよね」

本居「……変ですか?」

影野「変ではないよ……敬語自体は、神崎君も使ってるし」

影野「でも、この食事会、目的は親睦を深めることだし」

影野「昨日も言ったけど、仲良くなって損することはないだろうからさ」

影野「せっかくだし、タメ口で話して欲しいな~、なんて」

本居「そ、そうですか……」

本居「じゃあ……そうしてみ……よう、かな?」

本居「……やっぱり似合わないような……」

影野「慣れだよ、慣れ。最初はぎこちなくても、すぐこっちの方が話しやすくなるって」

本居「うん……じゃあ、頑張ってみるね……継美ちゃん……」

影野「あ、名前で呼んでくれる?」

影野「じゃあ私も、優樹菜ちゃんって呼ぼうかなー。キャラじゃないけど」

本居「な、慣れだよ、慣れ!継美ちゃんが言ったんだよ!」

鉄「聞ーちゃったー、聞ーちゃったー」

声に反応して振り向くと、鉄さんがいた。

影野「あ、鉄さん、おはよう」

鉄「調理してた僕を差し置いて、2人で仲を深めてるなんて、感心しないよー?」

鉄「2人とも、僕とも仲良くしてもらうんだからね!」

影野「あはは、もちろんだよ、真衣ちゃん」



獄門「……よし、これで準備完了だな」

沢渡「あとは全員来るのを待つだけッスね!」


神崎「おはようございます」

伝法寺「…………。」

樹村「おーはーよーーー」

ラバン「おはようございますマス、皆サン」

8時を少し過ぎたあたりで、

食事会参加の意思を示した全員が揃う。



獄門「それじゃ、食べようか」

獄門「皆、手を合わせて……いただきます!」

鉄「あはは、小学生みたいだね!」

神崎「まあまあ、懐かしくて良いじゃないですか」

ラバン「しかし、洋食なのは助かりマスね……」

ラバン「もちろん日本の食事にも興味はありますが……やはり、口に合うのはこちらデス」

樹村「このソーセージ、ぴりぴりするー」

樹村「ねーねー、伝法寺くーん、そっちの辛くないのと、トレードしよー」

伝法寺「…………ほらよ」

樹村「ありがとー!優しいねー」

影野「樹村さん、辛いの苦手なの?」

樹村「うん、巴はねー、甘いのが好きー」

沢渡「なるほど、甘党なんスねー」

本居「皆の好みは、一応メモしておくと良いんじゃないですか?」

獄門「確かに、個人的に配慮も出来るしな……。書いておこう」



『皆で食事を楽しんだ。』


……さて、後片付けは調理班がやってくれるみたいだし……

これから何をして過ごそうかな。

影野「……あ、優樹菜ちゃん、どこ行くの?」

食堂から去ろうとしている優樹菜ちゃんを呼び止める。

本居「えっと……一応、もう一度学園内を探索をしておこうかなと思って」

本居「ほら、どこかに出口があるかもしれないし……」

影野「うーん……そっか……」

なるほど、望みは薄い気がするけれど、

そういう過ごし方もあるのね……。

私はどうしようかな……。



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:10)
4.休憩する

↓1


-購買部-

確か、昨日貰ったモノクマメダルって、ここで使えるんだったよね。

モノクマ「ほほう!影野さんじゃないですか!」

モノクマ「ここに来るなんて、お目が高いですね~」

……無視しよう。

モノクマ「そこのモノモノマーシーンにメダルを入れたら、アイテムが出てくるんだよ!」

モノクマ「中には超レアアイテムもあるから……GET目指して頑張ってね!」

モノクマ「因みに、モノクマメダルは、1日10枚無料で支給しちゃいます!」

モノクマ「ボクったら、太っ腹でしょ~」

モノクマ「……で、なんでさっきから無視なの?酷くない?」

……なるほど、これにコインを入れれば良いのね。

何枚使おうかな……。



↓1 1~10から枚数指定


……全部使っちゃえ。

どうせ、他の使い道なんて無さそうだし。

モノクマ「おおっ、大胆だなあ~」

 

↓1~10 コンマ判定 

56毛虫くん
79水笛
68プロジェクト・ゾンビ
79水笛
94変声機付き蝶ネクタイ
26G-SICK
61黄金のスペースシャトル
23武神の御守り
59アンティークドール
31白兎の耳当て


……ふむ、いくつか面白いものが出てきたわね。

何かに使えるかも。

モノクマ「ご利用ありがとうございました~!」

モノクマ「またのお越しを、お待ちしておりま~す!」



『10個のアイテムを手に入れた』

※購買部は自由行動を消費しません
※購買部を選択できるのは1日1回までです


……さて、まだ時間はあるわね。

何をして過ごそうかな……。



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.休憩する

↓1


私も、自分の目で見ていないところを探索しておこうかな。

昨日貰った生徒手帳にMAPがついてたし、

これを頼りに色んなところを探索してみよう。



-視聴覚室-

ここは、昨日触れられなかったところよね。

何か脱出に繋がる発見があれば良いけど……

……あれ?

影野「……一色君?」

一色「……む、君か」

一色「何の用だい?こんなところに」

影野「私は、探索しようと思って、色んなところを回ってる途中なんだけど……」

影野「一色君こそ、何してるの?」

影野「食事会には反対してたし、個室から出て来ないのかと思ってたよ」

一色「いや、反対などしてないさ」

一色「私はあくまで、中立……端的に言えば、その対立には興味がない」

一色「だから、自由に動かせてもらうし、君達に私の行動を制限される気もないよ」

うーん……

この状況で単独行動を望むのって、一体何が狙いなんだろう……。

デメリットしか無いように思うんだけど。

一色「……それより影野君、君は妙だと思わないか?」

影野「……? 妙って?」

一色「この部屋が開放されていることについてだよ」

視聴覚室が開放されているのが、妙……?

どういうことなんだろう……。

一色「他の解放されている施設について考えてみたまえ」

一色「保健室は怪我人の治療の為、ランドリーは洗濯の為……」

一色「食堂は食事の為、倉庫は日用品の補充の為、トラッシュルームはごみ捨ての為……」

一色「全て、ここでの生活が続けば、必然的に使用する機会が訪れる施設だ」

一色「ところが、ここはどうだ?」

一色「現状、この視聴覚室を、視聴覚室として利用する機会は無さそうだろう」

影野「言われてみれば、確かに……」

今のところ、ビデオやDVDは発見されてないしなあ。

ここだけ利用機会が無さそうなのは、妙と言えば妙なのか。

一色「加えて言うのなら、利用の可能性が高そうな倉庫と保健室は、最初は封鎖の予定だったことも気にかかる」

一色「なぜ、重要性の低そうな視聴覚室は最初から開放しているのに、重要性の高い2つの施設は封鎖しようとしたんだろうね?」

一色「影野君……君には分かるかい?」

影野「えっ、それは……」


1.施設の開放を目的とした殺人を誘発するため
2.実は視聴覚室が重要性の高い役割をするから
3.ただの嫌がらせ

↓1


影野「実は視聴覚室も、重要性の高い役割を持っているから……かな」

一色「良い考察だ。私も同意見だよ」

一色「だからこそ、ここに何かないか部屋中漁ってたのだが……」

一色「……残念ながら、何も無かったね」

影野「無かったんだ……」

一色「だから、今のところ重要性は低いが、これから高まる何かが起こる、と見るのが妥当なところかな」

なるほど……

となると、その『何か』が何なのか、が問題よね……

一色「……話に付き合わせて悪かったね」

一色「御礼に、ほら、この部屋を探索しているときに拾ったものをあげよう」

『モノクマメダルを3枚手に入れた。』

一色「それでは、私はこれで失礼するよ」

そう言うと、一色君は視聴覚室から去っていった。

この部屋が重要性の高い役割を果たす……

もしかしたら、覚えておいた方が良い情報かもね。

……一応、自分でもこの部屋を調べておこうかな。



『視聴覚室の探索を行ったが、特に発見はなかった。』

『一色君との親密度が少し上がった。』


……もうお昼か。

この時間なら、食堂で誰かと一緒に食べられるかな。

誰と食べよう? 



↓1 食事会参加者から指定

↓3 食事会非参加者から会話したい人物を指定


-食堂-

食堂では、食事会参加者の内何人かが昼食をとっていた。

本居「あ、継美ちゃん」

本居「もしかして、継美ちゃんも今からご飯なの?」

影野「うん、そうだよ」

本居「なら、良かったら一緒に食べない?」

本居「パスタを茹でたんだけど、作り過ぎちゃって……多分、食べ切れないから……」

影野「食べる食べるー。お腹空いたー」

『2人で昼食をとった。』



影野「……そういえば、食堂に来てない人達のことなんだけど……」

影野「あの人達は皆、倉庫の保存食とかで食べ繋いでいくつもりなのかな?」

本居「今のところ、そうみたいだね……」

本居「さっき、倉庫から保存食と水を持ち出してる南錠さんと会ったよ」

影野「……保存食と水じゃ、どう考えても健康に悪いよね」

影野「何とかならないのかなぁ」

本居「うーん……食事を用意して持って行っても、食べてくれなさそうだし……」

本居「そもそも、個室を訪ねても出て来てくれそうにないから、話を出来ないんだよね……」

影野「……ん?」

影野「でもさ、倉庫とかランドリーは、非参加者の皆も、利用せざるを得ない施設だよね?」

本居「うん……服は汚れるし、お腹は空くし、人がいなさそうな時間を見計らって、利用するんじゃないかな?」

影野「今まさに、その『人がいなさそうな時間』じゃない?」

影野「昼食をとる為に、個室や食堂にいる人が多いでしょ」

本居「あ……確かに」

影野「ね?せっかくだし、行ってみない?倉庫とランドリー」

本居「そうだね。理想は、全員が食事会に参加することだしね」


-ランドリー-

影野「倉庫には誰もいなかったけど……こっちはどうかな」

影野「……おっ」

ランドリーには、吉田君がいた。

後ろ姿でも、すぐに分かる。

大柄で、昔風の角刈りが特徴的だ。

吉田「…………。」

本居「あ……吉田さん」

影野「洗濯してるの?」

質問すると、吉田君はコクリと頷く。

影野「そっか。洗濯が終わるまで、暇だよね?」

影野「良かったら、ちょっと話さない?」

吉田「…………。」

今度は、少し迷っているようで、頷くことはなかった。

かと言って首を振るわけでもなく、ただ黙っている。

影野「……隣、座るね」

影野「沢渡君が、『ナックル君の無言は肯定だ』って言ってたし……良いんでしょ?」

吉田「…………。」

また、頷くこともなく、首を振ることもない。

拒否はされていないと捉え、

半ば強引に吉田君の隣に座り、話を始める。

影野「聞きたいんだけどさ、吉田君は、何で食事会に来ないの?」

吉田「…………。」

影野「…………。」

本居「……継美ちゃん、YesかNoで答えられる質問にしないと……」

影野「いいの。」

本居「え、えぇ……」

吉田「…………。」

影野「…………。」

吉田「…………。」

影野「…………。」

暫く、無言の時間が続いた後、

吉田君が、息を吸い込む音が聞こえた気がした。

そして彼は、ゆっくりと口を開く。


吉田「……怖い」

想像よりも穏やかな、低い声が聞こえた。

3文字だった。たった3文字だった、けど、

吉田君は、私と話してくれた。

影野「分かるよ、怖いよね」

影野「私も……私達も、怖い」

吉田「…………。」

影野「でも……だからこそ、皆で力を合わせて、支え合っていかなきゃいけないと思うんだ」

きっと、裏切り者の私に、こんなことを言う資格はない。

…………もしかしたら、私は、

罪滅ぼしのつもりで、こんなことをしてるのかもしれないな。

影野「……一度で良いから、食事会に来てみない?」

影野「今朝の朝食会、すごく楽しかったよ」

影野「丹田さんが言ってた、『毒薬が盛られる』なんてことも、なかった」

影野「ね、足を運んでみるだけで良いからさ」

吉田「…………。」

影野「……今、答えは出さなくても良いよ」

影野「夜6時からだからさ、待ってるね。」

影野「……それじゃ。」

私と優樹菜ちゃんは、ランドリーを後にする。

出る直前に、振り返って、こう呟いておいた。

影野「……沢渡君、ちょっと寂しそうにしてたよ」

吉田「…………。」



『吉田君との親密度が少し上がった。』


-個室前廊下-

影野「……吉田君、来てくれるかなあ」

本居「や、やれるだけのことはやったと思うよ!」

本居「凄かったよ、継美ちゃん……」

本居「あんなの、私には絶対真似出来ない」

影野「そ……そうかな?そんな直球で誉められると照れるな……」

本居「これを続けて、いつかは全員食事会に参加できると良いね」 

影野「うん。もちろん、目標はそれだよね」

本居「その為には、継美ちゃんの力が必要だよ」

本居「継美ちゃんが、私達のヒーローになるんだよ!」

影野「お、おお……ヒーローは大袈裟な気がするけど……」

な、なんか優樹菜ちゃん、すごい盛り上がってる……。

本居「ねえ、私も手伝うから……明日からも、これを続けない?」

本居「きっと、悪い方向には転ばないよ」

影野「そうだね……うん、そうしようか」

影野「……でも、こういう説得なら、ラバン君が適任な気もするけど」

影野「彼、超高校級の交渉人でしょ?」

本居「あ……確かにそうだね」

本居「それなら私、この話をラバンさんにしてくるよ」

本居「あの人も参加者側にいるし……きっと手伝ってくれると思う」

影野「そう?じゃあ、お願いしようかな」

本居「それじゃ、また明日の昼ね」



『優樹菜ちゃんと別れた。』

……ヒーロー、か。

仮に、私がそう呼ばれるだけの働きをしたとしても……

いつかは、その評価を覆すようなことをする時が来ちゃうんだよね……。


……さて、食事会まで、また暫く時間が空いちゃうな。

何をして過ごそう?



-自由行動時間2-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.休憩する

↓1


もう少し、学園内の施設を調べておこうかな。



-保健室-

沢渡「い、いててて……」

樹村「ちょっとー、動かないでよー。我慢してよー」

沢渡「ご、ごめんッス!」

影野「……何してるの?」

沢渡「あ、つぐみんじゃないッスかー。ちわッス!」

樹村「ちわすー!」

沢渡「いや実は、朝の調理中に指を切っちまってッスね……」

沢渡「その場は適当に包帯巻いて凌いでたんスが、どうも傷が深いみたいで」

沢渡「包帯の外側まで血が滲んで来ちゃったんで、ともちんに変えてもらってるんスよー」

樹村「そーなんだよー。偉いでしょー」

影野「なるほどね……。沢渡君は、あんまり料理に慣れてないの?」

沢渡「そッスね。作らないとご飯がない状況になっても、大抵外食で済ませてたッス」

沢渡「だから今日の調理も、2人には迷惑かけちまったッスねー」

2人っていうのは、獄門君と真衣ちゃんのことよね。

影野「……あれ?獄門君は料理出来るんだ……」

沢渡「彼は手際良かったッスよー」

沢渡「ここだけの話、まいちゃんより料理慣れしてるッスね、あれは」

樹村「"とーぼーせーかつ"で自炊してたのかなー?」

沢渡「ま、指名手配犯ッスから、そんなところなんスかね」

なるほど、そういうことなのかな。

……ていうか、そもそも獄門君って、一体何の罪を犯したんだろう。


沢渡「……ところで、つぐみんはここに何しに来たんスか?」

樹村「継美ちゃんも怪我ー?」

影野「あ……そうだった。本来の目的を忘れるところだったわ」

影野「ちょっと探索をしてるの。自分の目で確かめられなかった施設もあるし」

影野「何か脱出に繋がる手掛かりが見つかる可能性もあるでしょ?」

沢渡「あー……そういや、ゆっきーもそんなことしてたッスね」

沢渡「…………。」

影野「……?何よ、急に黙って」

沢渡「……え?ああ、いやいや」

沢渡「何も無いッスよ。探索頑張ってッス!」

……あからさまに不自然だったなぁ。

影野「まあいいや。じゃあ、包帯巻いてるとこ悪いけど、ちょっと調べさせてもらうわね」

影野「……あら、保健室って、ベッドがあるのね」

沢渡「そッスよー。校則のせいで、寝られないッスけどね」

……無意味極まりないわね。

影野「棚には……よく見かける応急措置用の医療品しかない、か」

影野「特に使用に危険性のあるような薬も無さそうだし、本当に『学校の保健室』って感じね」

沢渡「ま、実際そうッスからね」

影野「こっちは、身長、体重、視力を測定する為の器具……」

影野「それに……レントゲンを撮るための機械?」

影野「……こんなの、絶対使わないよね」

今回は、あんまり収穫にはならなかったかなあ。

樹村「はい、終わったよー」

沢渡「おっ、ともちんサンキューッス。助かったッスよー」

沢渡「はい、これ、お礼ッス」

『沢渡君が樹村さんにモノクマメダル3枚を譲渡した。』

樹村「わーい!ガチャガチャしてくるー!」

嬉しそうに樹村さんが保健室を出ていく。

影野「……なるほど、そういう使い方もあるのね」

ちょっと勉強になったかも。



『沢渡君と樹村さんとの親密度が少し上がった。』


-影野の個室-

皆も色んなところを探索してるけど……

全く出口や脱出の手がかりが見つかる気配がないわね。

助けも来ないし、本当に一生ここで……

…………。

……あ、そろそろ晩御飯の時間だ。

食堂に行かなきゃ。



-食堂-

食堂に行くと、既にテーブルに料理が並んでいた。

沢渡「あっ!つぐみん!ばんわッスー!」

影野「こんばんは。手は大丈夫なの?」

沢渡「ああ、さっき巻き直してもらったッスから、今は大丈夫……」

沢渡「……じゃなくて!そんなことはどうでもいいッス!」

沢渡「なんと!ナックル君が!食事会に来たッスよー!」

吉田「…………。」

影野「あ……」

影野「来てくれたんだ、吉田君」

沢渡「聞いたッスよ!つぐみんが一役買ってくれたらしいじゃないッスか!」

沢渡「マジ最高ッス!マジ尊敬ッス!」

影野「い、いや……そんな大したことは……」

獄門「そんなに謙遜するなよ」

獄門「この調子で、全員食事会に参加させることを目指すんだろ?」 

獄門「俺も手伝うからさ、頑張ろうぜ」

伝法寺「食事会に来てねェのは残り6人……か」

伝法寺「だがよ、今来てないヤツ等を呼ぶってのは……」

伝法寺「同時に、キケンも増すってことだぞ」

伝法寺「特に、率先して輪を乱した丹田や足立山は、何を企んでやがるか分からねェ」

獄門「……別に、それはここにいる皆にも言えることじゃないか?」

獄門「誰も、他人が腹の中で考えてることなんて分からねぇよ」

獄門「それでも、俺達の食事会は、今のところ順調に運営できている」

獄門「きっと、人が増えても大丈夫だろ」

ラバン「そうデスね」

ラバン「むしろ、キケン人物だからこそ、監視できる範囲に居て頂く方が都合が良いと感じマス」

伝法寺「……まァ、いいけどよ」

鉄「ねえねえ、固い話はその辺にして、そろそろご飯食べよ?」

樹村「おなかすいたー!」

沢渡「そッスね!冷めちまうッス!」

獄門「よし、それじゃあ皆、手を合わせて……」

獄門「いただきます!」

樹村「いただきまーす!」 



『皆と食事を楽しんだ。』


獄門「じゃあ、明日の調理当番は……」

獄門「抽選結果通り、影野、本居、ラバンの3人で頼むぞ」

影野「うん、分かった」

獄門「それじゃ、今日は解散!お疲れ様!」

次の日の調理当番の抽選を終えた後、

獄門君の声と共に、

各自が思い思いの行動を取り始める。

影野「吉田君」

私は解散後、吉田君に声をかけた。

吉田「…………。」

影野「来てくれて嬉しかったよ」

影野「……楽しかった?食事会」

吉田君「…………。」 

吉田君は、ゆっくりと頷く。 

影野「そっか、良かった」

影野「なら、無理にとは言わないけど、明日も来て欲しいな」

影野「皆、全員参加させることを目標にしてるし……」

影野「こんなのでも、一応は共同学園生活なんだから、皆と仲良くしたいし」

影野「だから……よろしくね」

吉田「…………。」

少し間が空いたが、

吉田君は、またゆっくりと頷いてくれた。


-影野の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。』

『ただいまより"夜時間"になります。間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま~す。』

『ではでは、いい夢を。おやすみなさい…。』



……なんだか、すぐに1日が終わっちゃったな。

こうやって個室でぼーっとしているのは、

時間の無駄だとは分かってるんだけど……

何もすることがないし、

そもそも、何かしたいとも思わないや。

……私、本当は不参加者の説得も、

やりたいと思って やってるわけじゃないのかな。

……もう、自分で自分のことが分からない。

コロシアイのことも、裏切り者のことも……

全部……夢だったら良いのに。

全部……無かったことになれば……

良い……のに……。


-NIGHT TIME-

『ピーンポーン』

…………?

こんな時間に……誰か来た……?

『ピーンポーン』

…………。

……寝てたのに。

モノクマは無断で入ってくるし……

生徒の中の誰かだとは思うけど……

…………。

……出てみよう。

『ガチャ』

本居「……あ、継美ちゃん」

本居「ね、寝てた……?……よね」

本居「ごめんね、こんな時間に」

来訪者は、優樹菜ちゃんだった。

影野「……何かあったの?」

本居「うん……この時間も、昼ご飯時と同じく、ランドリーや倉庫に人がいるんじゃないかと思って」

本居「だから、一緒に説得しに行かないかなー……なんて」

影野「…………」

本居「って言っても、話すのは主に継美ちゃんになりそうだけど……」

本居「……ご、ごめん、怒ってる?」

本居「寝てたみたいだし、やっぱり急過ぎたかな……」

影野「いや、それは構わないんだけど」

影野「……優樹菜ちゃん、積極的になったね」

本居「えっ……そ、そう?」

影野「その調子で、私と真衣ちゃん以外相手にも、敬語をやめられると良いんだけどね」

本居「う……痛いところを突いてくるなぁ……」

本居「まだ……特に男の子とは、話しにくくて……」

本居「……でも、これから頑張ってみる」

影野「うん、そうしなよ」

影野「……それじゃ、倉庫とランドリーを見に行ってみようか」

本居「う、うん!」

……今更だけど、

夜時間に出歩くのって、ちょっと怖いな。


-ランドリー-

昨日の昼、ここには吉田君がいた。

夜はどうだろう……?

丹田「……!」

影野「あ、丹田さ……

丹田「動くな!」

そう言うと丹田さんは

金色の模擬刀を私達に向けて構えた。

本居「ぶ、武器……!?」

影野「に、丹田さん、私達は別に襲ったりは……」

丹田「……いいから動くな」

丹田「何か話がしたいなら、この距離からにしろ」

丹田「そこからでも、声は聞こえる」

影野「……うん、分かったよ」

影野「今は、洗濯してるの?」

丹田「そんなの、どうでもいいよね?」

丹田「さっさと本題に入りなよ」

影野「……ピリピリし過ぎじゃない?」

影野「状況が状況だから、分からなくもないけど……」

丹田「お前等の警戒心が薄過ぎるだけだろ」

丹田「……このルール、動き過ぎたヤツから、死ぬよ?」

影野「…………。」

本居「……しょ、食事会に、来て欲しいんだけど」

丹田「断る」

そこには一寸の迷いもなかった。

丹田「それで話が終わりなら、帰ってくれるかな?」

丹田「私もさ、進んで喧嘩したいわけじゃないんだよね」

影野「……どうして、そんなに頑なに拒むの?」

丹田「……はぁ」

丹田さんが、模擬刀を下ろす。

私達に敵意が無いのは分かってくれたらしい。

丹田「あのさー、その説明は、初日の話し合いでもしたでしょ?」

丹田「繰り返すつもりはないよ」

影野「……昨日の夜、吉田君が食事会に参加してくれたんだ」

影野「元々不参加側だったけど、勇気を出して来てくれた」

丹田「ふーん、馬鹿が1人増えたわけねー」

丹田「で、何?勇気を出した?勇気と無謀は別物だけど?」

丹田「……はっきり言っておくよ」

丹田「私を説得しようとしても、無駄だから」

丹田「私は……まだ死ねないんだよ」

丹田「参加人数を増やしたいなら、他の馬鹿でも説得しときな」


影野「でも……

『ピーッ、ピーッ、ピーッ』

丹田「……洗濯終わったから個室に帰りたいんだけど」

丹田「どいてくんない?」

丹田「アンタ等はバカだけど、理解の無いヤツ等ではないよね?」

丹田「この状況だから、分からなくもないって、さっき言ってくれたよね?」

丹田「なら分かってよ。私は警戒してるし、ピリピリしてんの」

影野「……分かった」

私達は、そのまま距離を取って、

丹田さんがランドリーから出ていくのを

ただ固まって見ているしかなかった。


影野「……駄目だったね」

影野「警戒し過ぎだよ……あれは」

影野「多分、説得しても無駄」

本居「うう……怖かった……」

影野「……どうする?倉庫も見に行く?」

影野「夜だから、こういうことがあっても誰も仲裁には来れないだろうし」

影野「安全を求めるなら、昼間の説得のみにした方が良さそうだよ」

本居「う、うーん……」

本居「……でも、一応見に行ってみようかな」

本居「きっと、怖くても前に進まなきゃ、事態は好転しないよ」

影野「……そうね」

……本当に、積極的になったなあ。

まだ、出会ってから たった2日なのに

初対面の時とは別人みたい。


-倉庫-

樹村「あれー?」

樹村「継美ちゃんとー、優樹菜ちゃんだー!」

樹村「こんな時間にー、こんなところにー、何しに来たの?」

倉庫には樹村さんがいた。

何かが入った、小さな袋を手にしている。

彼女は確か、食事会参加側だったよね。

影野「こんばんは、樹村さん」

本居「こんばんは」

樹村「こんばんはー!」

影野「私達は、食事会に参加してない人達を、参加するように説得に回ってるんだ」

影野「ほら、この時間なら、洗濯とか、食料の補充をしてるかもしれないでしょ?」

樹村「ははー、なるほどー」

樹村「巴はねー、お腹が空いたわけではないんだけどー」

樹村「ちょっと食料を個室に貯めておこうと思って、ここに来たのー」

影野「へえ、そうなんだ」

本居「……あれ?」

本居「樹村さんは食事会参加者だから、昼間も個室の外に出てるんだし……」

本居「今必要じゃないなら、わざわざ夜にそんなことしに来なくて良くない……かな?」

……あ。

言われてみれば、確かにその通りだ。

樹村「……あららー」

樹村「ざーんねーん、すぐばれちゃったー」

ばれた……?

樹村「ほんとはねー、今お腹が空いたから来たんだよー」

樹村「ほら!今持ってるこの袋の中は、夜食にぴったりのドーナツでしょー」

樹村さんが、袋の中身を見せてくる。

確かに、幾つかのドーナツが入っていた。

影野「……ちょ、ちょっと待ってくれる?」

影野「今の無意味な嘘は、何だったの?」

影野「なんだか、すごく不自然に見えたんだけど……」

樹村「……へ?」

樹村「嘘をつくのに、理由なんかないよー?」

樹村「あー、でもー、強いて言うならー、騙せてる時が楽しいからかなー?」

影野「そ、そう……なんだ……」

悪質な趣味ね……。

まあ、手に持ってた袋の中身は本当にドーナツみたいだし、

訂正後の、『夜食を取りに来た』

っていうのが本当なんだろうけど……。

樹村「……じゃ、巴はそろそろ個室に戻るねー」

樹村「ばいばーい!また明日~」

影野「うん、また明日ね」

本居「また明日」


-個室前廊下-

本居「ランドリーと倉庫を見たけど……」 

本居「説得って意味では、どっちもハズレだったね……」

本居「わざわざ夜遅くに呼び出したのに、収穫がなくてごめんね」

影野「ううん、丹田さんに関しては、失敗の責任は私にもあるし」

影野「明日はきっと上手くいくよ。めげずに頑張ろ?」

本居「……うん。そうだよね」

影野「それじゃ、明日は調理当番で朝も早いし、そろそろ解散にしよっか」

影野「おやすみ、優樹菜ちゃん」

本居「うん。また明日、頑張ろうね」



Day2-END-
生存人数:16人


-Day3-

-影野の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます! 
朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』



もう7時か……。

あまりよく眠れなかったな。

でも、調理当番だし、すぐ行かないと……。

……あ、机の上に、モノクマメダルが置いてある。

『モノクマメダル×10を手に入れた。』

……よし、行こう。


-厨房-

私が厨房に入ると、

他の2人は既に料理の準備を済ませて待機していた。

材料を見るに、サンドイッチでも作るのかな。

ラバン「おはようございマス、影野サン」

本居「おはよう、継美ちゃん」

少し遅れた私に、特に嫌な顔もせず、2人は挨拶をしてくれる。

影野「2人とも、おはよう」

影野「ごめんね、準備させちゃって」

本居「ううん、そんなに待ってないよ」

ラバン「では、3人揃ったことデスし、調理を始めマショウか」


パンを切る。

具を作る。

具をパンで挟む。

影野「……単純な作業だけど、意外と疲労が溜まるなあ」

ラバン「ハハ、もう少しデスから、頑張りマショウ」

影野「うん……休んでる時間も無いしね」

パンを切る。

具を作る。

具をパンで挟む。

影野「……そういえば、ラバン君、優樹菜ちゃんから説得の話は聞いたよね?」

ラバン「ええ、聞いてマスよ」

ラバン「確か、今日の昼間デシタよね」

影野「うん。ラバン君、超高校級の交渉人だから、こういうのは得意かなって」

ラバン「得意……デスかね」

ラバン「まあ、仕事としてしていることデスので、得意ということになるんデショウか」

影野「得意でしょー。得意じゃなかったら、才能として認められてないよ」

影野「因みにだけど、いつも使っている交渉術って、教えて貰えたりする?」

ラバン「いつも使っている交渉術、デスか……うーん……」

影野「……やっぱり、商売道具みたいなものだし、ダメかな?」

ラバン「いえ、そこは構わないんデスが……」

ラバン「実は私、あまり理論立てて交渉を行っていないんデスよね」

ラバン「感覚で、これなら説得出来そうだ、と思う言葉を選択して、交渉してるだけなんデス」

影野「へー……それが才能ってものなのかな」

ラバン「ただ、基本的な交渉術くらいは頭に入っていますよ」

影野「本当?どんな内容なの?」

ラバン「エット……幾つかありマスが……その多くに共通するのは、最初は本当の狙いを隠すことデス」

ラバン「例えば、最初に狙いよりも大きな要求をシ、その後に本命の要求に譲歩シたり……」

ラバン「ダミーの小さな要求を呑ませていって、徐々に本命の要求に近づけたり、色々方法はありマスよ」

影野「……なるほど」

今まで直球で要求をぶつけてたけど

そういうやり方もあるのね。

ラバン「……さて、これくらいで足りますかね」

話に夢中になっている間に、

大量のサンドイッチが完成していた。

本居「うん、これだけあれば十分じゃないかな」

影野「それじゃ、飲み物の準備をして、テーブルに持っていきましょうか」


-食堂-

ちょうど食事の準備が終わった頃に、

参加者の全員が食堂に揃った。

……良かった。

吉田君、今日も来てくれたんだ。



例のごとく、

獄門君は小学校の給食の時みたいな

『いただきますの挨拶』をして、

樹村さんだけが、それに元気よく答えて、

皆が一斉に食べ始める。

吉田君は話さないのに、

前より少し賑やかになった気がして、楽しい。



……あれ?

私、楽しいんだ……。

……全部が夢になったり、

全部が無かったことになるのは、

ちょっぴり寂しい気もしてきた。

…………。

この空間は、大切にしなきゃいけないな……。



本居「……継美ちゃん?手が止まってるよ?」

沢渡「食欲無いんスかー?」

吉田「…………。」

影野「う、ううん、ちょっと考えことしてただけ」

本居「あ、もしかして、説得のこと?」

本居「ラバン君に、色々教えて貰ってたもんね」

本居「今日もお昼、頑張ろうね」

影野「うん、もちろん!」

影野「その為にも、沢山食べて、体力つけとかないとね!」



『皆と食事を楽しんだ。』

半端なタイミングですが、要望があった生徒の情報をまとめておきます。

〔生徒名簿〕

生徒番号01【超高校級の語り部】
影野 継美(カゲノ ツグミ) 性別:女
身長:162cm 体重:52kg 胸囲:82cm
特徴:茶髪ショート 制服

生徒番号02【超高校級の司書】
本居 優樹菜(モトオリ ユキナ) 性別:女
身長:160cm 体重:49kg 胸囲:79cm
特徴:黒髪三つ編み 眼鏡 制服 聖人

生徒番号03【超高校級の子役】
足立山福愛(アダチヤマ フクア) 性別:女
身長:153cm 体重:45kg 胸囲:79cm
特徴:黒髪ロング 子どもっぽい服装 ツンデレ

生徒番号04【超高校級の仕立屋】
周藤加奈子(ストウ カナコ) 性別:女
身長:166cm 体重:58kg 胸囲:86cm
特徴:赤髪ポニーテール エプロン姿 黄色のバンダナ オタク趣味

生徒番号05【超高校級の遊び人】
樹村巴(キムラ トモエ) 性別:女
身長:145cm 体重:40kg 胸囲:67cm
特徴:金髪ロング オーバーオール 羽付帽子 嘘つき

生徒番号06【超高校級の鍵師】
南錠京(ナンジョウ ミヤコ) 性別:女
身長:170cm 体重:60kg 胸囲:84cm
特徴:深緑髪ショート 狐目 着物 手癖が悪い

生徒番号07【超高校級の声真似師】
丹田美代子(ニタ ミヨコ) 性別:女
身長:164cm 体重:57kg 胸囲:87cm
特徴:薄茶ボブ セーラー服 無自覚メシマズ属性

生徒番号08【超高校級の新聞局員】
沢渡晃(サワタリ アキラ) 性別:男
身長:172cm 体重:71kg 胸囲:82cm
特徴:黒短髪 ジャージ 力持ち

生徒番号09【超高校級の合気道部】
吉田奈都琉(ヨシダ ナックル) 性別:男
身長:192cm 体重:99kg 胸囲:108cm
特徴:黒角刈り 黒学ラン 合気道嫌い

生徒番号10【超高校級の美術部】
一色どどめ(イッシキ -) 性別:男
身長:167cm 体重:55kg 胸囲:77cm
特徴:白長髪 ブレザー 奇妙な柄のシャツ ベレー帽 常人の感覚とのズレ

生徒番号11【超高校級の発明家】
伊賀ノ原源治(イガノハラ ゲンジ) 性別:男
身長:160cm 体重:50kg 胸囲:74cm
特徴:黒癖毛短髪 ゴーグル式眼鏡 自作ヘルメット リュック式発明セット オープンスケベ

生徒番号12【超高校級の幸運】
鉄真衣(クロガネ マイ) 性別:女
身長:163cm 体重:56kg 胸囲:82cm
特徴:茶髪ロング 制服 皮肉屋

生徒番号13【超高校級の交渉人】
ラバン・イーグル(- -) 性別:男
身長:182cm 体重:72kg 胸囲:81cm
特徴:深緑髪 深緑スーツ 日本文化を愛する

生徒番号14【超高校級の???】
神崎刹那(カンザキ セツナ) 性別:男
身長:175cm 体重:60kg 胸囲:78cm
特徴:黒長髪 黒スーツ 笑顔

生徒番号15【超高校級の番長】
伝法寺醍醐(デンポウジ ダイゴ) 性別:男
身長:185cm 体重:88kg 胸囲:90cm
特徴:金短髪 黒学ラン 着崩し 寡黙

生徒番号16【超高校級の指名手配犯】
獄門疾風(ゴクモン ハヤテ) 性別:男
身長:178cm 体重:70kg 胸囲:80cm
特徴:深青短髪 黒学ラン 交渉人・幸運・声真似・鍵師の才能の持ち主


-影野の個室-

……さて、後片付けも終わったし、

お昼までまだ時間があるなぁ。

何をして過ごそう……。



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:13)
4.休憩する

↓1


-食堂-

影野「ラバン君、休憩中?」

ラバン「ああ、影野サン、調理当番、お疲れ様デス」

影野「お疲れ様。……これは、紅茶?」

ラバン「ええ、私の好きなオリジナルブレンドです」

ラバン「よろしければ、影野サンも、お試しになられマスか?」 

影野「いいの?なら、飲んでみたいな」

ラバン「勿論構いマセンよ。では、少々お待ちを……」

影野「やった!それじゃ、私はお菓子か何かを倉庫から持ってくるね」


ラバン「出来ましたよ、どうぞ」

影野「頂きまーす」

影野「……うん、美味しい!」

ラバン「ふふ、お口に合ったなら良かったデス」

影野「フルーティーで、口当たりも良いから、すごく飲みやすいよ」

影野「ラバン君は、紅茶に興味があるの?」

ラバン「紅茶というか……お茶全般ですかね」

ラバン「緑茶や麦茶、烏龍茶等もよく飲みますよ」

ラバン「世界には本当に美味しいお茶が沢山ありマス」

ラバン「当然、日本にも」

影野「へぇ~……良かったらまた、オススメのお茶を教えてね」

ラバン「ええ、いつでも来てくだサイ」

……さて、交渉のことについてもう少し聞いても良いし、

ラバン君の趣味についてもう少し知っても、仲良くはなれそうかな。

何について話そう?


1.交渉について(通信簿)
2.日本について
3.自由安価(内容指定)

↓1


影野「ラバン君は、超高校級の交渉人だよね」

影野「交渉の相手は、どんな人達だったの?」

ラバン「それは、時によって違いましたよ」

ラバン「大企業から、商談を成立させるために雇われたり……」

ラバン「人質を取った犯罪者との交渉を依頼されたり、デスね」

ラバン「危うく死にかけたコトも何度かありマシタが、何とか今まで命は助かっていマスね」

ラバン「ハッハッハッハッハ」

影野「そ、それは、笑えないレベルでシリアスな内容だね……」

すごいな……。

ラバン君の中では、それが仕事として当たり前になってるんだ。

影野「……ラバン君は、怖くないの?」

ラバン「怖い?デスか?」

影野「うん、時にはそういう命懸けの仕事も請け負うんでしょ?怖くならない?」

ラバン「ウーン、全く怖くないと言えばウソになりますが……」

ラバン「たとえばさっき挙げた犯罪者との交渉なんて、人質の方がよっぽど怖い思いをしているでしょう」

ラバン「その人に比べれば、私の抱いている恐怖感なんてちっぽけなものです」

ラバン「それに、やっぱり私はこの仕事が好きなんだと思いマスよ」

ラバン「怖いから辞めようトカ、思ったコトないデスから」

そう言うと、ラバンさんはニッコリと笑った。

影野「優しい人なんだね……ラバン君は」

影野「私にはそんなの、出来ないや」

ラバン「……出来たからエライとか、そういうモノでも無いデショウ」

ラバン「それに、私は影野サンの方が優しい方だと思っていマスよ」

ラバン「この状況での率先した団結を目指す働き……それこそ、私には出来マセンよ」

影野「う……き、急に誉めないでよ」

影野「も、もしかして、こうやって警戒心を解いて、何か交渉してくるつもり?」

ラバン「ハハハ、そうかもしれマセンねぇ」 

ラバン君……掴み所の無いようにも見えるけど、

良い人なのは確かな気がするな……。



『ラバンとの親密度が少し上がった。』

『プレゼントを渡しますか?』

1.渡す(プレゼント選択)
2.渡さない

↓1

プレゼント一覧
毛虫くん
水笛
プロジェクト・ゾンビ
水笛
変声機付き蝶ネクタイ
G-SICK
黄金のスペースシャトル
武神の御守り
アンティークドール
白兎の耳当て


影野「ラバン君、これあげるよ」

ラバン「……ゲームソフト、デスか」

影野「……あれ?気に入らなかった?」

ラバン「いえ、ゲームは嫌いではないデスが」

ラバン「ゲーム機がなければ、プレイできマセンね……」

影野「あ、そっか……」

影野「ゴメン、また入手したらあげるね」

ラバン「いえいえ、そこまでして頂かなくても……」

ラバン「ゲーム機は自力で入手しマショウ。ありがとうございまシタ」



『ラバンとの親密度が少し上がった』

『通信簿1/?
ラバンは超高校級の交渉人。時には命懸けで仕事をこなしてきたようだが、それでも交渉人という職業が好きらしい。』


……そろそろ、お昼かな。 

影野「ラバン君、非参加者の説得に行こうか」

ラバン「ああ、もうそんな時間デシタか」

ラバン「獄門サンも参加することになっていたので、じきに2人とも食堂前に来るデショウね」

ラバン「私達も、移動しマショウ」



-食堂前-

獄門「お、2人共、中にいたのか」

影野「あら、優樹菜ちゃんも獄門君も、もう来てたのね」

ラバン「待たせてしまい、申し訳ないデス」

獄門「そんなに待ってないさ。ともかく、これで全員揃ったな」

本居「それで、どういう作戦で説得に向かうか、だけど……」

本居「私とラバン君、継美ちゃんと獄門君の2グループに分かれて、倉庫とランドリーを調べようって話になってたんだ」

本居「4人一緒に動くと威圧感を与えちゃう気がして……」

……まあ確かに、非参加者側からすれば、1対4は怖いわよね。

影野「私は、それで良いと思うわ」

ラバン「構いマセンよ」

獄門「じゃあ、俺と影野は倉庫、ラバンと本居はランドリーを頼む」

本居「了解だよ」

本居「……役に立てるように、頑張ってくるね」

『ラバン君と本居さんと別れた。』

……はりきってるなあ、優樹菜ちゃん。

影野「それじゃ、私達も行きましょうか」

獄門「おう、誰かいると良いんだがな」 


↓1生徒指定 
(足立山 伊賀ノ原 一色 周藤 南錠から選択)

-倉庫-

倉庫には、伊賀ノ原君がいた。

獄門「よ、伊賀ノ原」

伊賀ノ原「うわっ!?」

伊賀ノ原君は抱えていた段ボール箱の中身を落とす。

零れ落ちたのは、見覚えのあるドーナツだった。

影野「……人気なのかな、これ」

思わず呟いてしまった。

伊賀ノ原「ぼ、僕に何か用?獄門君に、影野さん」

……ラバン君が言うには、

本命の要求を最初に言うのはまずいのよね。

最初は大きな要求をして、その後小さな要求に切り替える

って方法があるんだっけ……。

……よし。

影野「伊賀ノ原君、ちょっと大事な話があるんだ」 

影野「2人きりで話したいから、私の個室に来てくれない?」

伊賀ノ原「えっ……何それ……」

当然、警戒してる伊賀ノ原くんは、難色を示……

伊賀ノ原「僕と……2人きりで……大事な話……」

伊賀ノ原「…………!」

……あれ?

笑顔……?

伊賀ノ原「分かった!行くよ!」

影野「来るの!?」

獄門「……お前、警戒しないのか?部屋に2人だぞ?」

伊賀ノ原「えっ?……だって、女の子に2人きりで話をしたいなんて言われたら……」

伊賀ノ原「男として、行くしかないでしょ!据え膳食わぬは何とやらだよ!」

こ、この人……

バカだ……!

交渉術なんて、要らないかもしれない!

獄門「……そうか」

獄門「実は、食事会参加者の女子には、お前と話したがってる奴が沢山いるぞ」

獄門「そんな女の子達の為に、食事会に来ないか?」

伊賀ノ原「……え、でも、それは、毒が盛られるみたいなこと言われてたしなぁ。男子もいるし」

そこは難色を示すのね……。

影野「これまで3回食事会をしてるけど、そんなこと1度もなかったよ?」

影野「それに、その程度のことで、貴方と話したがってる女子を裏切っていいの?」

影野「……男子として!」

伊賀ノ原「…………!」

伊賀ノ原「分かった!行くよ!」

獄門「……次の食事会は、今夜18時からだ」

伊賀ノ原「了解!それじゃ、僕は準備してくるね!」

何の準備よ……。


伊賀ノ原「……あ!」

伊賀ノ原君が、倉庫を出る直前で立ち止まる。

伊賀ノ原「影野さんも、可愛いパンツ履いてるね!」

影野「はぁ!?いつ確認したのよ!?」

伊賀ノ原「ふふふ……僕の前では、一瞬の隙が命取りだよ……」

伊賀ノ原「なんたって僕は、超高校級のパンツハンターだからさ!」

……やっぱり、伊賀ノ原君だけは来て欲しくないかも!


影野「……成功したのかしら」

獄門「したんじゃないか?あっさりだったが」

影野「結局、私が個室誘ったのも忘れたように出て行ったし……」

獄門「……本命は影野じゃないってことかもな」

影野「パンツまで見といて、それはそれで酷い話ね」

獄門「ははは、俺に言われてもなあ」

獄門「まあ、それはともかく、本居とラバンの方の結果を聞きに行こうぜ」

影野「……そうね」



-食堂前-

本居「あ!継美ちゃん!」 

本居「成功したよ!周藤さん、試しに1回来てくれるって!」

ラバン「これまで3度行っていて、何事も無いというのは、少しは警戒を解く材料になるようデスね」

獄門「お、周藤も参加か」

獄門「これで、参加者は12人だな」

本居「12人?……ってことは……」

獄門「ああ、こっちも成功したぞ。伊賀ノ原が来てくれるってさ」

獄門「ただ、影野のパンツが犠牲になったが」

影野「それは言わなくていいでしょ!」

ラバン「パンツ……?」

ラバン「まあ何であれ、成功したのなら良かったデス」

ラバン「また明日の昼も、試してみましょう」

本居「もちろん!ここまで来たら、全員参加ももうすぐですよ!」

……良かった。

食事会に参加させる企画は、

概ね上手く行っているように見える。

こうやって、団結力を高めていけば、

きっと良い方向に転んでくれるよね。



3日目の昼、まだ助けは来ないけど、

私達は順調に前に進めていると思う。



『獄門君、伊賀ノ原君との親密度が少しは上がった。』


……さて、昼の用事も終わって、

また夜の食事会まで暇になっちゃったな。

何をして過ごそう……。



-自由行動時間2-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:13)
4.休憩する

↓1


そういえば、初日から沢山動き過ぎて、少し疲れちゃったな。

食事会まで、個室で休憩しよう……。







-食堂-

……食事会参加の件は、上手く行ってるなぁ。

良かった良かった。

……でも、私にはもう1つ、越えなきゃいけない課題があるんだよね……。

本居「ラバン君、獄門君、この後は暇なの?」

説得の報告後、勇気を持って2人に話しかけてみる。

大事なのは、継美ちゃんや真衣ちゃんだけじゃなくて、

他の皆とも仲良くなること!

獄門「ん?まあ、することはないな。こんな状況だし」

ラバン「私も、時間はありマスよ」

本居「な、なら、良かったら、一緒にお菓子でも作らない?」

本居「ちょうど、暫くしたらおやつの時間だし」

本居「たまには、手作りのお菓子も良いかな、なんて」

本居「……それに、1人で作ると、毒の混入とか、まだ心配する人もいるかもしれないでしょ?」

ラバン「それは良い提案デスね」

ラバン「お茶にぴったりなお菓子が欲しいと思っていたところデス」

獄門「……おいおい、そういうのは女子でやれば良いんじゃないのか?」

獄門「俺、そんなに料理できないぜ?」

本居「嘘!昨日の夜の食事会で、沢渡君や真衣ちゃんが、獄門君の腕を誉めてたじゃない!」

獄門「ぐ……よく覚えてんなぁ」

獄門「……いいよ。折角のお誘いだし、断るのも野暮だ」

本居「やった!じゃ、早速作ろう!」


-厨房-

ラバン「こっちは紅茶風味にしてみマスかね……」

ラバン「ああ、うっかりしてマシタ。抹茶風味も欠かせません」

ラバン「ん、ちょっと変わり種で、スパイスを入れたクッキーも良いかもしれマセンね……」

ラバン「……迷いマス!」

本居「ふふ、朝より楽しんでるね、ラバン君」

獄門「お茶が好きって言ってたからなあ。こういうのも好きなんだろう」

獄門「まあ、材料は腐るほどあるし、好きなだけ作れば良いんじゃないか?」

ラバン「そうデスね!せっかくデスし、私のおすすめのお茶の風味のクッキーも……」

獄門「……なあ、本居」

本居「ん?どうしたの?」

獄門「お前、最初に使ってたみたいな敬語、やめたんだな」

本居「……ああ……」

本居「やっぱり、変……かな?」

獄門「いいや?そんなことねぇよ」

獄門「むしろ、俺は今の方が話しやすくて助かる」

本居「そ、そう?良かった……」

獄門「……きっと、そうやって皆に歩み寄ろうとする努力は、報われるからさ」

獄門「その調子で良いぞってことを、言いたかっただけだ」

本居「……ありがとう。そうだと良いよね」

本居「食事会のことにしても、継美ちゃんも、獄門君も、ラバン君も、すごく頑張ってくれてるし……」

本居「沢渡君は、いつも皆を盛り上げようとしてくれてたり、吉田君は、勇気を出して食事会に参加してくれたり……」

本居「私だけじゃなくて、そういう皆の歩み寄りが全部報われるなら……本当に嬉しいな」

獄門「……そうだな」

ラバン「獄門サン!本居サン!」

ラバン「50種類ほどクッキーを作ることになりそうなんですが、材料は足りマスか!?」

獄門「……それは流石にもう少し減らせよ」

ラバン「くっ……それは難しい要求デスね……50でも随分厳選しマシタが……」

本居「ははは……」

その後、出来上がったクッキーを、食堂にいた皆に振る舞った。

全体的に好評だったし、皆と話すきっかけも作れたし、

今回は、成功だった、かな。

この調子で、ドンドン皆と仲良くなっていけたらいいな。



『食事会参加者の親密度が少し上がった。』


-影野の個室-

…………

ん…………

もう、こんな時間か……。

……起きよう。

夜の食事会の準備に行かないと、よね……。

それにしても、沢山休めたからか、

ちょっとだけ身体が軽くなったかも。

たまには、昼寝も良いな。

……さて、休んだ後は、しっかり働かないと。


-厨房-

本居「……あれ?継美ちゃん、寝てたの?」

影野「うん、何で分かるの?」

本居「ちょっとだけ、髪が乱れてるよ」

本居「ほら、ここ」 

優樹菜ちゃんが指で直してくれる。

影野「ありがと。気づいてなかったや」

影野「……ところで、何だか甘い匂いがしない?何か作ってたの?」

本居「ああ、分かる?」

本居「15時頃まで、おやつを作るのにここを使ってたんだ」

本居「継美ちゃんにも食べてもらいたかったけど、いなかったから……」

影野「そうなんだ。惜しいことしちゃったなあ」

ラバン「遅れてスミマセン、2人とも」 

影野「ああ、ラバン君……と、周藤さん?」

ラバン「ええ、調理を監視していた方が、より安心できるかと思い、呼んだんデスよ」

ラバン「日本では、百聞は一見にしかず、とも言いマスしね」

周藤「……別に、そんなに疑ってるわけじゃないけど」

周藤「まあ、保険みたいなもんさ」

少しだけばつが悪そうに、周藤さんが言った。

ラバン「さあ、それでは早速作り始めましょう」

ラバン「周藤サン、何かメニューの希望は?」

周藤「良いのかい?じゃあ……」

周藤「……カボチャの煮付けが食べたいかな」

影野「良いね。圧力鍋もあるし、きっと短時間でも美味しいのが出来るよ」

本居「なら、今回は和食で揃えた方が良いよね……他のメニューは……」


『皆と楽しんで調理をした。』


-食堂-

獄門「それじゃ皆、作ってくれた3人に感謝して美味しく食べよう!」

獄門「いただきます!」

樹村「いただきまーす!」

周藤「……いただきます」

調理を監視していた周藤さんが、夕食に手をつける。

純粋に交流を目的としていることは分かってくれたみたいだ。

樹村「ところでー、なんで今日は席が決められてたのー?」

鉄「あ、それは僕も気になったな」

鉄「しかも、なぜか女子全員で伊賀ノ原君を囲む形になってるし」

……2人の言う通り、説得に使った口実の影響で、

伊賀ノ原君の周りの5席を女子全員で埋めることになってしまった。

影野「き、今日くらい、こういうのもいいでしょ?」

影野「せっかく食事会に来てくれたんだし、皆伊賀ノ原君と話したいかと思ってさ!」 

鉄「うーん……したくないってわけじゃないけどさー」

樹村「まあ~、巴はご飯が美味しければ何でも良いよ~」

伊賀ノ原「素晴らしいよ……!」

伊賀ノ原「僕は、こういう学園生活を送りたくて、希望ヶ峰学園に来たんだ!」

伊賀ノ原「これが……これこそが、『希望』なんだね!影野さん!」

影野「う、うん……そうだね……」

苦笑いしか出来なかった。



『皆と食事を楽しんだ。』


周藤「継美ちゃん」

食事後、周藤さんに声をかけられた。

影野「ん?どうしたの?」

周藤「いや、アンタが不参加組の説得を始めたって、優樹菜ちゃんに聞いてさ」

周藤「それでまあ、一言だけ入れておこうかと思って。」

周藤「……悪かったよ、疑って。……ごめんね」

周藤さんは、深々と頭を下げる。

影野「ちょ、ちょっと!やめてよ、頭下げるなんて」

影野「私も皆も、参加したくない人の気持ちは理解してるし、気にしてないよ?」

周藤「いや……アンタ含め、積極的に開催していた人間を疑ったのは、謝らないといけないさ」

影野「……気持ちだけで嬉しいよ」

影野「でも、もし今日の食事会で、この集まりが安全だってことが分かってくれたなら……」

影野「是非、明日からも来て欲しいな」

周藤「…………。」

周藤「……ゴメンね。それとこれとは話が別だと思ってる」

影野「……え?」

想定外の返答だった。

影野「ど、どういうこと?」

周藤「今まで何も起こらなかったからって、これからも起こらないってわけじゃないからね」 

周藤「今のところ安全に進んでいて、健全な目的で行われてることは理解したけどさ」

影野「……そっか」

まだ、警戒は解けてないんだ。

妥当な懸念ではあると思うけど……。

周藤「気をつけなよ。誰か1人の悪意が混じるだけで、この『安全な食事会』は破綻するんだ」

周藤「警戒を緩めたら、終わるよ」

多分、好意で言ってくれている。

私を心配してくれているんだ。

影野「ありがとう。ちゃんと気は配っておくね」

影野「周藤さんの考えは分かったけど、本当に気が向いたらで良いから、また来てくれたら嬉しいな」

影野「……本当に、良い人ばかりだからさ、皆」

周藤「……まあ、考えておくよ」

周藤「それじゃ、またね」

影野「うん、また」

『周藤さんと別れた。』

……さて、後片付けをしないと。


-厨房-

本居「よし、これで全部洗えたかな?」

ラバン「はい。多かったデスね」

本居「人数が増えてくると、どうしてもね……」

影野「まあまあ。嬉しい悲鳴、ってやつじゃないの?」

影野「……あ、ところで、優樹菜ちゃん、今夜も倉庫とランドリーの確認はするの?」

本居「ああ、うん。しようと思ってるよ」

ラバン「倉庫とランドリーの確認……?」

ラバン「もしかして、昼にやったことを、夜にもやっているんデスか?」

影野「うん、人の少なさを重視するなら、不参加組は夜に動く方が安全だからね」

影野「洗濯とか食事の補給とかは、その時間にもしてるかなって」

ラバン「なるほど……。しかし、夜はキケンですよ」 

ラバン「個室には防音設備がありマスし、何かあっても助けを呼べマセンから」

影野「それは分かってるけど……2人なら大丈夫かなって」

影野「それに、じっとしていても落ち着かないし……」

ラバン「そうデスか……」

ラバン「ならば、無理に止めはしませんが、十分に気をつけてクダサイね。」

影野「うん、ありがとう」

……それじゃ、仕事も終わったし、一旦個室で休もうかな。


-影野の個室-

モノクマ「やあ!影野さん!」

影野「……!何の用よ!」

個室に戻ると、モノクマがいた。

それを認識した途端、気持ちが昂ぶる。

モノクマ「ちょっとちょっと……会って早々当たりが強いなあ」

モノクマ「仲間である影野さんに危害を加えたりはしないからさ、もう少し警戒を解いてよ」

影野「仲間だなんて言わないで!」

影野「私は……貴方に脅されて、仕方なく裏切り者になっただけよ!」

モノクマ「ふうん?まあ、そう思いたいなら、そういうことにしても良いけどね」

モノクマ「それじゃ、仕方なく裏切り者になった影野さんに、簡潔にこれからの予定を伝えるよ」

モノクマ「まず明日、皆に動機を提示することにしたよ」

影野「動機……?」

モノクマ「もう3日目も終わるっていうのに、何も起こらないでしょ?」

モノクマ「これ以上黙って待ってても、殺人は起こりにくそうだし……」

モノクマ「不安と殺意を加速させる為に、テコ入れってところかな」

こいつ……何が何でも事件を起こさせる気で……

モノクマ「あ、影野さんには用意してないから、安心してね」

モノクマ「キミには勝手に動かれたら困るし、変に動揺させたりはしたくないからさ」

ありがたいようで、全くありがたくない。

影野「……私達は、そんな小細工に屈しないわ」

モノクマ「ん?いやいや、その場合は……」

モノクマ「……これはまだいいか」

モノクマ「ということで、明日は皆と同じように動揺してるフリはしてね」

モノクマ「そんじゃ、ばいばーい」

言いたいことだけ言って、モノクマは去っていった。

……疲れた。

少し休むだけのつもりが、もう動きたく無くなった。

夜時間まで暫く時間があるし、もう一度寝ようかな……。


『ピーンポーン』

……あ。

優樹菜ちゃんが来たのかな……。

出ないと……。

何故か寝る前よりも重く感じる身体を起こして、個室の扉を開ける。

『ガチャ』

本居「こんばんは、継美ちゃん」

本居「……もしかして、また寝てた?」

影野「……もしかして、また寝癖ついてる?」

本居「うん。直してあげるね。」

優樹菜ちゃんが笑いながら指で直してくれる。

本居「何か髪を纏めるもの、持ってないの?」

影野「うん……家に忘れて来ちゃって」

本居「個室に幾つか置いてるから、後で貸してあげるよ」

影野「ありがと。なんかお世話になってばかりな気がするなあ」

本居「そんなことないよ……本当に」

優樹菜ちゃんは、また笑う。

寝起きじゃなかったら、私は泣いてたと思う。

本居「それじゃ、行こうか」

影野「……うん」



↓1 足立山、一色、南錠から生徒指定


-ランドリー-

一色「む、影野君じゃないか」

一色「その様子だと、私を殺しにでも来たのかな?」

影野「……どんな様子に見えてるのよ」

一色「はは、冗談さ」

よくそんな冗談言えるなあ……。

一色「ところで影野君、今日もよく働いていたようだね」

影野「……?今日、会ってないよね?なんで知ってるの?」

一色「2日目にあれほど精力的に働いていた君が、今日になって急に動きを止めるとは思えないからね」

一色「見ていなくても、それくらいは分かるさ」

一色「ところで、先に言っておくが、いくら頼まれても食事会に行く気はないよ」

読まれてたか……。

影野「……なんでそこまで頑なに参加しようとしないの?」

一色「何度も言うように、興味がないのだ」

一色「食事会にも、君達にも……今のところは、な」

一色「興味がないことに付き合わされるのは、苦痛でしかないのでね……」

本居「……じゃあ、何になら興味があるのかな?」

一色「ふむ、君は確か、本居君だったか。良い質問だ」

興味がないって言う割に、名前は覚えてるのね。

一色「今のところは、このコロシアイ学園生活の行方だな」

一色「影野君には前にも言ったが、まだモノクマは何かを隠している」

一色「このまま黒幕からの干渉なく進むとは、到底思えない」

モノクマからの、動機の提示についての報告を思い出す。

一色君の言うことは、概ね当たっている。

一色「その干渉の結果、どうなるのか……まずはそこからか」

一色「黒幕が、このゲームを如何にして美しく仕立てあげるのか……非常に興味深い」

本居「……変わった人だね」

一色「ふっ、よく言われるよ」 

『ピーッピーッピーッ』

一色「……おっと、洗濯が終わったか」

一色「それでは、失礼するよ」

一色「食事会は……そうだな。興味を持てば行くとするよ」

一色君は、言い捨てるようにして、ランドリーを去っていった。


影野「……狙いを察されて、交渉どころじゃなかったね」

本居「うん……話し方や態度は柔らかいけど、何だかあんまり説得が通じる気はしないかなあ」

人間に興味がなければ、馴れ合いに興味もない。

そんなスタンスの人間を、

人間が動かすのは難しいかもしれない。

影野「これで断られたのは2人目……丹田さんと一色君は、後回しだね」

本居「全員参加の為には2人の参加も不可欠だし諦めるわけにはいかないけど……」

本居「先に足立山さんと南條さんに声をかけてからの方が効率が良さそうかな」

影野「それじゃ、次は倉庫を見に行ってみましょうか」



↓1生徒指定(足立山 南條から指定)


-倉庫-

南錠「あら、継美はんに優樹菜はん」

南錠「こんな時間にこんなところに、何しに来はったん?」

倉庫には、ドーナツの入った袋を提げた南錠さんがいた。

……本当に大人気だなあ、これ。

影野「こんばんは、南錠さん。なんだか久しぶりな気がするね」

南錠「せやなぁ、初日ぶりやったかな」

影野「実は、ちょっと頼みごとがあって

南錠「嫌や♡」

影野「……即答だね」

南錠「だって、この状況で頼みごとなんて、ろくなことあらへんの分かってるからなあ」

ダメだ。想像以上に交渉術以前の問題になっちゃう。

南錠「どうしても、言うなら、対価をくれなあかんわなあ」

南錠「たとえば、この髪留めとか」

影野「……え?」

南錠さんが手にしていたのは、

私が家に忘れて来たはずの髪留めだった。


影野「そ、それ!どこで手にいれたの!?」

南錠「どこって……あんさんの制服の内ポケットに入っとったけど?」

制服の……内ポケット……!?

そんなはずない。

だって、確かに持ってくるのを忘れたはずだ。

電車で制服のポケットの中も確認して、

その上で忘れたって気づいたはずだ。

なのに……なんで……?

電車を降りて、学園について、門を潜って、それで……

影野「っていうか、何で盗ってるのよ。返して」

南錠「ああ、はいはい。まあ髪留め貰うって言うんは冗談や」

南錠「これ、つい手癖が悪うてやってまうんよ」

南錠「今のところは殆ど他人と接してへんから、あんさんらが初めての被害者やけどね」

南錠「……ほら、返すで。なんか継美はんの顔怖いし」

本居「大丈夫?継美ちゃん。本当に顔怖いよ?」

影野「……うん。気にしないで」

校門を潜ったときの目眩を思い出しそうになったけど、

何とか心を落ち着けようとする。

倉庫は比較的ひんやりしているのに、汗ばむ。

南錠「なんや知らんけど……うちには関係なさそうやし、退散しよかな」

南錠「それじゃあ、お二人さん、無理はせんと、平和に過ごしてな」

本居「ちょっと待って」

南錠さんが立ち去ろうとしたのを、優樹菜ちゃんが止める。

本居「南錠さん、食事会に来ない?」

本居「親睦を深めるためにも全員に参加して欲しいんだ」

本居「試しに、1回でも良いから……」

南錠「うーん……食事会なあ」

南錠「あんまり、メリットを感じんのやけどなあ……」

南錠「まあ、お誘いは嬉しいし、前向きに検討させてもらうわ」

南錠「ほな……」

南錠さんは会釈して倉庫を去って行った。


-影野の個室-

優樹菜ちゃんと別れて、個室に戻ってからも、

髪留めのことが気にかかって眠れなかった。

もちろん、仮眠を2回取ったのも原因だと思うけど。

無いはずのものが、確かにここにある。

私が目眩を起こして、起きるまでの間に何かあった?

あったとしたら、何が?

お母さんがわざわざ髪留めを届けに来るとは思えないし……

……分からない。

ここでは、本当に分からないことだらけだ。

明日は何が起こる?

動機が提示されて、誰かが誰かを殺す?

殺さなかったら、どうなる?

またモノクマが違う手を打ってくる?

だとしたら、それは一体どんな手?

分からない。

何も分からない。

それが不気味で、堪らなく不安になると共に、

同じことを楽しみにしていた一色君のことが、少し怖くなった。



-Day3-END
生存人数:16人


-Day4-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』



……今日は調理当番じゃないのに、早く起きちゃった。

かと言って、眠気も疲れも取れたわけではない。

……もう一度寝ると寝坊しちゃいそうだし

眠気覚ましに、食堂に行ってコーヒーでも飲もうかな。


-食堂-

神崎「おや、影野さん、おはようございます」

影野「おはよう、神崎君」

食堂では、神崎君がテーブルを拭いていて

それ以外には誰もいなかった。

今日は、最初にいた9人の内、

まだ調理をしていなかった3人が担当だから……

伝法寺君と樹村さんが、厨房で調理しているのかな。

神崎「何か飲み物でもお出ししまょうか?」

影野「お願いしていいの?」

神崎「もちろんですよ。その為の調理班でしょう」

影野「なら、ホットコーヒーをお願い」

神崎「かしこまりました」

神崎君が厨房に向かう。

食堂には私1人になる。

静かだ。

この学園に来てから、何度も味わった不気味な静けさ。

それが今は、心地よく感じた。


神崎「お待たせ致しました」

少しして、神崎君がコーヒーを持ってきてくれる。

影野「……良い香り」

影野「ありがとう、神崎君」

神崎「御礼なんて必要ありませんってば」

神崎「それでは、私は調理の続きをして参りますので」

また神崎君は厨房に戻っていった。

……そういえば、神崎君は、まだ才能を思い出せてないのかな。

超高校級の才能が入学条件であるこの学園で、

自分の才能が分からないって、辛いだろうなあ。



コーヒーを啜りながら、

半ば他人事のようにそんなことを考えていると、

少しずつ参加者が食堂に集まってきた。

樹村「おーはーよーうー!」

本居「おはよう、継美ちゃん」

影野「2人共、おはよう」

樹村「継美ちゃんだー!朝早いねー!」

影野「うん……放送で目が覚めちゃって」

影野「そう言う樹村さんは、今日も元気だね」

樹村「うん!元気があればー何でもできるー!だよ~」

本当に元気だなあ……。

超高校級の遊び人ともなると、

こんな状況すら楽しんでいたりするんだろうか。



獄門「おはよう、皆」

沢渡「おはようッスー!」

吉田「…………。」

次に、男子3人が食堂に入ってきた。

沢渡「お、もう良い匂いがしてるッスねー!」

沢渡「今日の朝食は何だろな~っと!」

吉田「…………。」

沢渡君と吉田君は、大体行動を共にしてる気がする。

対照的な2人にも見えるけど、通じ合うものがあるのかな。


……ん?

よく考えたら、当番のはずの樹村さんが、何で今ここに来てるんだろう。

影野「ねぇ、樹村さん、今日当番じゃなかったの?」

樹村「え~?そうなの~?」

樹村「巴、今日当番だって聞かされてないよ~?」

影野「……あれ、そうなんだ」

でも、それ以外の参加者は一度調理してるし、

吉田君も今来たばかりだし、他に候補がいない気が……

獄門「今日の調理班なら、伝法寺と神崎と、周藤だぞ?」

影野「え?周藤さん?」

昨日あんな会話をしたから、心底意外だった。

影野「彼女は警戒心が高かったし、昨日の1回きりなんじゃないかと思ったけど……」

獄門「要するに、アイツは自分が調理を監視さえ出来れば安心なんだろ?」

獄門「なら、調理班にすれば問題無いかと思って、昨日の深夜に声をかけておいたんだよ」

影野「な、なるほど。そうすれば良かったんだね……」

自分には調理班を決める権利は無いし、盲点だった。

獄門「伊賀ノ原は女子を周りに置いとけば満足みたいだし……」

獄門「これであとは、足立山、一色、南錠、丹田の4人だな」

獄門君は、嬉しそうに笑う。

……やっぱり、どう見ても悪人に見えないなあ。

大体、そんな会話をした直後だった。







「キャーーーーーーーーッ!」







突如、食堂の外から叫び声が聞こえる。

樹村「おろろ~?」

沢渡「ん!?何スか!?」

伝法寺「んだァ、うるせェぞ朝から」

周藤「騒がしいね。何事だい?」

調理班も、何人か様子を見に来る。

今の声は……

影野「……真衣ちゃんの声だった気がするけど」

本居「割とすぐ近くで聞こえたよね?」

獄門「とにかく、何が起きたか確認しに行こう!」

沢渡「りょーかいッス!」


-ランドリー前-

伊賀ノ原「た、助けて!誰かー!」

鉄「誰が助けるか!自業自得だよ!」

影野「……何これ」

ランドリー前付近には、

半泣きで座り込む真衣ちゃんと

ワイヤーのようなもので縛られている伊賀ノ原君がいた。

沢渡「えーっと……どういう状況ッスか?」

鉄「こ、こいつが!そのワイヤーみたいなやつで!私のスカートを捲ったの!」

伊賀ノ原「ワイヤーじゃない!これは僕の発明品!」

伊賀ノ原「名付けて!『伸びーるハンド』だ!」

伊賀ノ原「ほら、この腕の部分が伸縮自在でね、手の部分も自由に動かせて……」

伊賀ノ原君が、自分に巻きついている発明品を指差して解説する。

シュールだ。

伊賀ノ原「これを操作することで、遠くからでもスカートを捲れるという、超便利グッズなんだ!」

沢渡「使用用途が1つしか見当たらないッスよ!?」

鉄「その発明品が何だろうが知らないよ!ていうかネーミングセンスださいし!」

伊賀ノ原「ダサ……!?」

獄門「……で、何故そこから伊賀ノ原が縛られる状況になったんだ?」

伊賀ノ原「伸びーるハンドが急に故障して、僕を襲ったんだよ~!今までこんなこと無かったのに!」

伊賀ノ原「うひっ……あひゃひゃ!ちょっ、これ誰か早く解いて……っ!」

伊賀ノ原「あひゃひゃひゃひゃひゃ!こしょばい!やめてー!」

どんな故障の仕方してるのよ……。

影野「……吉田君、やってあげてくれるかな」

吉田「…………。」

吉田君が、ワイヤーを引きちぎって、伊賀ノ原君を解放する。

伊賀ノ原「ぶはーっ!死ぬかと思った!」

鉄「これに懲りたら、僕を襲おうなんて思わないことだね!」

伊賀ノ原「くぅぅ……!やるなと言われるとやりたくなるというのに……」

伝法寺「全く懲りる気配がねェな……」


本居「ま、まあ、とりあえず食堂で朝御飯にしよっか?」

本居「ほら、あと15分くらいで8時だし、きっともうすぐ出来るよ」

樹村「そうしよー!ご飯ー!」

周藤「……いや、今日の食事会は中止だね」

影野「え……?」

獄門「どうしてだ?周藤」

周藤「分からないのかい?」

周藤「アタシ達がこっちに気を取られてるってのに、神崎は1人で厨房に残っている」

……そういえば、神崎君は、こっちに来ていない。

獄門「だから、何だって言うんだ?」

周藤「どう考えてもおかしいだろう。こんな騒ぎがあったってのに、調理を優先するなんて」

周藤「誰もいない間に、食事に何か混ぜ混んでいる可能性がある。それを口には出来ないよ」

獄門「……ふむ」

獄門「まあ、あいつはどこかズレてるところがあるからな」

獄門「残ったのも、別に深い意味は無いだろう。俺は戻って食うぞ」

そう言って、獄門君は食堂へ向かう。

確かに、初日から着替えの心配をしていたり、変人臭はしてたっけ。

影野「私も、そうしようかな。大丈夫な気がする」

樹村「巴もー!ご飯食べるー!」

沢渡「ま、心配要らないッスよね」

鉄「全くもう……無駄に疲れちゃったよ……ご飯ご飯」

周藤「ちょ……アンタら、正気かい……!?」

その声に獄門が反応し、振り向く。

獄門「ああ、正気だよ」

獄門「寧ろ、お前はこの年まで、自分の食う飯に毒が入ってないか心配しながら過ごしてきたのか?」

獄門「正気じゃ無くなってるのは、お前の方なんじゃないか?」

周藤「!……それとこれとは、話が別だろう……」

獄門「同じさ。いつも通り過ごせば良いんだよ。こんな状況でも、な」

周藤「そ、そんなの……無理さ……信じられる……わけ……」

周藤さんの声が、か細くなっていく。

獄門「……なら、食事してるところを見ておけば良い」

獄門「絶対に、誰にも何も起こらないからさ。な?」

周藤「…………。」

周藤「……知らないよ、どうなっても」


-食堂-

神崎「ああ、皆さん、お帰りなさい」

神崎「何事も無かったようで、良かったですよ」

神崎「準備は終わりましたので、席について食べましょうか」

周藤「…………。」

獄門「神崎、俺達が食堂を離れている間、何をしていた?」

神崎「え?食事の準備ですが……」

神崎「調理の途中でしたし、帰ってきたらすぐ食べられるようにしておいた方が良いかな、と」

神崎「……もしかして、駄目でしたか?」

獄門「……いや、そんなことねぇよ。ありがとな」

本居「ある意味、信頼の表れなんじゃないかな?」

本居「自分が行くまでもなく、他の皆が解決してくれるだろう、っていう……」

影野「……変人であることに変わりはないけどね」

獄門「ほらほら、皆席につけよ。さっさと朝飯食おうぜ?」

獄門「……よし。それじゃ、作ってくれた3人と食材に感謝して」

獄門「いただきます!」

樹村「いただきまーす!」



『皆で食事を楽しんだ。』


特に何事もなく、食事が終わる。

強いて何か起こったと言うなら、

ラバン君が珍しく食事に遅刻してきたことくらいだ。

食事後、周藤さんと獄門君の会話を、

優樹菜ちゃんと話すふりをしながら盗み聞きした。

周藤「本当に……何も起こらないのかい……」

獄門「だから、そう言ったろ?」

周藤「……はっきり言って、不気味だよ」

周藤「たった数日で、何でそんなに信頼し合えてるのさ……」

ラバン「あ、周藤サン、朝食をお食べになってませんデシタよね」

事情を知らないラバン君が、周藤さんに話しかける。

ラバン「食欲が無くても、少しは食べた方が良いデスよ」

ラバン「よろしければ、後で果物でも剥きマショウか?」 

周藤「いや……食欲が無かったわけじゃないんだ。結構だよ」

ラバン「そうデスか……。では、元気の出る紅茶などはいかがデス?」

ラバン「美味しい作り方をお教えしマスよ」

周藤「……そうかい。ありがとう。後でアタシから聞きに行くよ」

ラバン「分かりました。個室でお待ちしていますね。」

そう言って、ラバン君は食堂から去っていく。

その後ろ姿を、周藤さんはボーッと見つめていた。


周藤「はぁ……」

周藤「アタシが、間違ってたのかね……」

確かに、結局周藤さんの推理は、全て外れていた。

獄門「間違ってはないぜ?身を守るという点では、警戒して損はないからな」

獄門「ただ……より正解なのが、仲間を信じることだったってだけさ」

獄門「夜も食事会に来いよ、周藤」

周藤「……考えとくよ」

周藤「……あと、ずっと気になってたんだけどさ……」 

獄門「俺のことがか?」

周藤「違う!……アンタのブレザーのボタンだよ。外れかけてるだろう?」

獄門「ん?……あれ、本当だ」

獄門「買ったばかりのはずなんだが、どこかに引っ掛けたかな」

周藤「貸しなよ……直してやるから」

獄門「お、タダで頼んで良いのか?超高校級の仕立て屋に」

周藤「頼んで良いから貸しなって言ってるんだろ!」

獄門「まあまあ、怒るなって」

獄門「罪滅ぼしのつもりだってなら、ありがたく頼んでおくよ」

周藤「っ……!あー、もう!」

周藤「アンタは、そういう野暮なことを、いちいち口に出さないと気が済まないのかい!?」

獄門「はっはっは、悪かった悪かった」

獄門「ほら、じゃあ、頼むよ」

獄門君が周藤さんにブレザーを渡す。

獄門「直し終わったら、食事会の時にでも返してくれ」

周藤「アタシが来る前提かよ……」

獄門「? だって、来るだろ?」

周藤「……もういい!」

周藤さんは半分怒ったような、

もう半分は照れたような表情で、

食堂を去っていった。


……今朝は色々あったけど、

獄門君の力もあって、何事もなく終わって良かった。

周藤さんも、少しずつ心を開いて来てくれてるし。



さて、また時間を持て余しちゃうな……。

何をして過ごそう?



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:13)
4.休憩する

↓1


-体育館-

伝法寺「……。」

影野「伝法寺君」

床と舞台の段差を背もたれにして座っている伝法寺君に、声をかける。

伝法寺「……テメェか」

伝法寺「こんなトコロに何の用だよ」

影野「特別な用が無いと、来ちゃダメかな?」

影野「強いて言うなら、伝法寺君と話す為に来たんだけど」

伝法寺「……よく分かんねェヤツだな、テメェは」

影野「じゃあ、もっと私のことを知る為にも、沢山話そうよ」

伝法寺「…………。」

嫌がってはいないみたいだ……多分。



何について話そうかな。

1.超高校級の番長とは(通信簿埋め)
2.助けについて
3.獄門について

↓1


影野「伝法寺君の才能、超高校級の番長って……具体的にどんなことをしてたの?」

影野「個人的な感覚だと、不良グループのボスって感じなんだけど……」

伝法寺「…………。」

影野「あ、偏見を含んでるのは自覚してるから、気を悪くしたならゴメンね?」

伝法寺「……いや、おおよそ間違ってねェよ」

間違ってないんだ……。

伝法寺「……俺の通ってた高校は、県内でも有数の不良高校でな」

伝法寺「平たく言やァ、落ちこぼれの集まりみたいなトコだった」

伝法寺「毎日のように他校相手に問題を起こして、授業どころじゃなくてよ」

伝法寺「そんな中で番長に君臨し、幾つもの不良グループをまとめあげ……」

伝法寺「校内を荒らし、周辺地域にも昼夜を問わずに迷惑をかけまくってたのが……」

影野「伝法寺君……なの……?」

だとしたら、恐ろし過ぎるんだけど……。

伝法寺「いや、俺が入学したばかりの頃に校内で権力を握ってた、2つ上の男だ」

……あれ?

伝法寺「俺ァ、そいつのやり方が気に入らなくてな……」

伝法寺「入学して1ヶ月経った頃、俺が番長に成り代わって、やり方を変えさせた」

伝法寺「更正したッつーと言い過ぎだが……まァ、節度を弁えるようにはなった」

伝法寺「俺の高校の不良どもは、『良い不良』になったのさ」

影野「……なんか、字面の矛盾感が半端じゃないね」

……でも、悪い人では無いような気がしてきた。

悪人扱いされそうになった獄門君を庇ったりもしてたし、

根は優しい人なんじゃないかな……。

影野「因みに、番長に成り代わるって、具体的にどんな方法を使ったの?」

伝法寺「あ?……拳以外にねェだろ。」

……訂正。やっぱりちょっと怖い。



プレゼントを渡しますか?
1.渡す
2.渡さない

↓1


プレゼント一覧
毛虫くん
水笛
水笛
変声機付き蝶ネクタイ
G-SICK
黄金のスペースシャトル
武神の御守り
アンティークドール
白兎の耳当て


影野「伝法寺君、これあげるよ」

影野「この学園で手にいれたものだけど……はい」

伝法寺「……御守りか」

影野「うん、武芸の神様の名前が書かれてる御守りらしいよ」

伝法寺「……武芸の神ねェ」

伝法寺「喧嘩に明け暮れるはみ出し者には、勿体ねェ気がするがな」

伝法寺「……まァ、受け取っておいてやるよ」

まあまあ喜んでくれたみたいだ。



『伝法寺君との親密度が少し上がった。』

『通信簿 1/?
伝法寺は入学から1ヶ月にして不良高校の番長に君臨し、教員や近隣の住民に迷惑をかける不良達を指導し直していたらしい。目的を達成する手段として暴力を振るうこともしばしば。』

昼間は、不参加者が個室の外にいないか、

いつものようにランドリーと倉庫を調べることにした。

私は、今日は優樹菜ちゃんと倉庫に向かうことになった。


-倉庫-

影野「あ……」

足立山「……!」

足立山「な、何?福愛……わ、私に何か用なわけ?」

子役の頃の名残なのか、彼女は時折自分の名前を一人称として使う。

影野「なんか、久しぶりだね。……肌、荒れてるけど、ちゃんとご飯食べてる?」

足立山「は、はぁ?私が何を食べようと、アンタ達にどうこう言われる筋合い無いじゃない!」

本居「同じ学園の生徒の、クラスメイトでしょ」

足立山「だから何よ。クラスメイトだから仲良くしないといけないの?」

影野「……初日からだけど、妙に私達に対して辛辣だよね」

影野「私達に何か原因があるなら、言ってくれないかな?」

足立山「……別に、原因なんて無い」

足立山「ただ、苦手なだけ」

足立山「アンタ達みたいな、"普通の女子高生"が」

私と優樹菜ちゃんのことを、足立山さんは"普通の女子高生"と言う。

子役の世界で幼少期を過ごした彼女からすると、

そういう捉え方になるのだろうか。

足立山「私とは、住んでた世界が違うんだ」

足立山「だから……関わらないでよ」

足立山「分かってるんだよ……。仲良くなんてなれないって」

影野「そんなの、仲良くなろうとしてみなきゃ分からないじゃない」

影野「ねぇ、足立山さん、1度でも良いから……」

足立山「仲良くなろうとしなくても……福愛には分かるの!」

足立山「何度も……何度も何度も何度も何度も!」

足立山「福愛が1番!それを実感してきたんだから!」

影野「あ……ちょっと!」

涙目になりながら、

足立山さんは走って倉庫から出て行ってしまった。

影野「……自分から距離を置くほど、嫌悪感を示すことなのかな」

本居「嫌悪感……は、無いんじゃないかな」

本居「私には、本当は仲良くなりたいように見えたよ」

本居「何か仲良くなれないと思ってしまった原因があるんじゃないかな……」

影野「……そうなのかな」

影野「なら、足立山さんとは、もう少し積極的に関わりに行った方が良いのかもね」

影野「……ところで、彼女が抱えていた紙袋から、ドーナツが落ちたけど……」

影野「これ、人気なの?」

本居「うん、美味しいよ。今度、おやつに一緒に食べる?」

影野「……そうする」

ここまで倉庫に来る人みんながドーナツを持って行ってると、流石に気になるし……。


倉庫を出た直後のことだった。



『ピーンポーンパーンポーン』

『えー、オマエラ!こんにちは!元気してる?』

『さて、学園生活が始まって4日目になり、オマエラもここでの生活に慣れてきたことかと思いますが……』

『学園長たるボクとしては、なーんか物足りないんだよねー』

『ということで、オマエラにスペシャルなプレゼントを用意しました!』

『お渡ししますので、至急、体育館まで起こしください!……全員だよ?欠席は許さないからね!』

『それじゃ、体育館で待ってるね~』



スペシャルなプレゼント……

きっと、昨日言ってた動機のことだ。

本居「ど、どうしよう……継美ちゃん」

本居「行くしか……無いのかな……?」

影野「全員参加って言われてるし……行かないと何されるか分からないわ」

影野「……行きましょう」


-体育館-

私達が体育館に着いてから暫くして、

16人全員が体育館に集合した。

全員が同じ場所に集まるのは、初日以来だ。

丹田「で?何の用なの?」

丹田「もう全員集まってるんだし、さっさと済ませてくれないかなー」

丹田さんは目に見えてイライラしている。

モノクマ「そうカリカリしないの!怒ってるなら、ほら……深呼吸、深呼吸」

モノクマ「全く……最近の若者は、すぐキレるから怖いよね……」

モノクマ「ま、いいよ。お望み通り、本題に入りましょうか!」

モノクマ「改めましてオマエラ!こんにちは!久しぶり……って言って良いのかな?」

今までの3日間と少しの間、

最初を除いて、モノクマは全体には殆ど干渉して来なかった。

私を除けば、久しぶりだと感じる人が多いのかもしれない。

モノクマ「学園生活も4日目に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか?」

モノクマ「ボクはというと……放送でも言った通り、物足りない思いをしていますよ!とっても!」

モノクマ「何が足りないって……コロシアイだよ!そう!コロシアイがまだ起こらなーい!」

モノクマ「これは、由々しき事態だよ。ボクは実に悲しい!シクシク……」

沢渡「当然ッス!ここから出るためとはいえ、殺人を犯す人なんていないッスよ!」

モノクマ「そうなんだよねぇ。ボクも、そうかもしれないと思い始めたんだ」

モノクマ「ただしそれは、今のままなら、の話だよね」

伝法寺「……どういう意味だよ」

モノクマ「コロシアイを起こる為に、足りてない要素が何かって話だよ」

モノクマ「そう、それは、殺人を犯すことにおいて、最も重要な"原因"となるもの……」

モノクマ「すなわち、"動機"さ」

周藤「動機……だって……?」

モノクマ「現状の、『ここから出るため』という動機では、弱いということが分かってしまったからね!」

モノクマ「ならば!より『ここから出たい』と思わせるしかないでしょ!」

モノクマ「というわけで、オマエラに、このプレゼントを差し上げまーす!」

そう言って、モノクマは壇上に段ボール箱を持ってくる。

置いたときの音を聴くかぎりでは、

それほど重いものではなさそうだ。

モノクマ「ここに、オマエラ全員分の動機が入っています!」

モノクマ「中身はDVDです。是非、視聴覚室で視聴してください!」

鉄「うわぁ、露骨に怪しいよ……」

獄門「……これを見なければ、校則違反と同じ扱いにする……とでも言うのか?」

モノクマ「……いいや?強制はしないよ」 

モノクマ「ただ、1つだけ伝えておくけど……このDVDには、オマエラがとーっても気になっている、"外の世界"の様子が収録されているんだ」

モノクマ「おかしいと思わない?4日経っても、だーれも助けに来ないなんて」

本居「それは……確かに違和感だけど……」

モノクマ「このDVDは、オマエラの脱出意欲を煽るものであると同時に、重要な情報が詰まっている資料でもあるんだよ」

モノクマ「本当に『コロシアイなんて起こらない』と思っている人なら……躊躇なく視聴できるはずだよねぇ?」


獄門「…………。」

獄門「なら、俺は観よう。」

影野「……!獄門君、罠かもしれないんだよ?」

いや、実際のところ、罠でしかないだろう。

獄門「だとしても……」

獄門「全員で脱出する為に、重要な情報が入っている可能性があるなら、俺は観るべきだと思う」

獄門「……それに、仮に罠だったとしても、俺はコロシアイなんて起こらないと信じている」

獄門「少なくとも、俺は起こさない。だから見る」

丹田「……まあ、情報が入っているってなら、受け取っといて損はないよねー」

丹田「勿論、すぐに観るかどうかは別だけどさ」

南錠「確かに……現状助けが来る気配が無いっていうんは気になるところやしなあ」

一色「黒幕が観ることを勧めると言うのならば……良いだろう。乗ってやる」

本居「……あくまで、情報収集の一貫だと思えば良いんだよね」

皆が次々と壇上へ向かい、

段ボール箱の中からDVDを取り出す。

私は強く止めることが出来ない。

裏切り者だから、止めてはいけない。

もし止めようものなら、私の家族が……。

モノクマ「……さて、影野さん以外はDVDを取得したみたいだけど、キミはどうするの?」

葛藤している間に、私以外の全員がDVDを取得してしまった。

モノクマのこの言葉は、『全体から浮くことがないよう取得しろ』ということだろう。

当然、従うしかない。

影野「……受け取るわ」

モノクマ「……うぷぷ。全員優秀な生徒で、ボクは嬉しいよ」

モノクマ「それじゃ、ボクはこれで失礼するよ!まったねー!」

機嫌良く、モノクマは舞台裏に去って行った。


モノクマがいなくなった体育館は、静まり返る。

まるで、誰もいないみたいに。

丹田「……さて、私は個室に戻ろっと」

そう丹田さんが切り出し、沈黙が破られた。

丹田「どーせアンタらの中の何人かは、そのDVD観るんでしょ?」

丹田「なら、明日どんな内容だったか聞かせてよー」

丹田「散々来いって言われてる食事会にも、明日は行ってやるからさ」

丹田「そんじゃねー」

笑顔で体育館から去っていく丹田さんを、誰も止めない。

初日や説得の時は余裕が無かったように見えたけど、

それに比べると、今日は幾分か余裕そうだった。

また暫く沈黙が続いた後、 

獄門君が手を叩いて注目を集め、話し始めた。

獄門「……これを観れるのは、視聴覚室だったか」

獄門「俺は今すぐ見に行くことにする。理由はさっき言った通りだ」

獄門「他の皆はどうだ?」

樹村「一緒に見に行くー!」

目立って反応したのは樹村さんくらいだったが、

獄門君が動き出すと、殆ど全員がそれに続いた。

唯一、一色君だけは集団行動を好まないようで、

「他の者が今から観るのであれば後で観る」

と言って、個室に向かって行った。


-視聴覚室-

獄門「……それじゃ、それぞれ適当な席に分かれて観るか」

視聴覚室は席ごとでDVDを視聴出来るシステムとなっているので、

全員適度に離れた席に座り、自分のDVDの視聴を始めた。

私も同じようにして、

『影野継美』と書かれたラベルが貼ってあるDVDの視聴を始める。

モノクマは、私の分の動機は用意していないと言っていた。

恐らく内容は他の皆のものとは大きく違うのだろうけど、

同じように視聴している動きはしておかなければならない。

備え付けのヘッドフォンを装着し、再生ボタンを押す。

モノクマ『うぷぷぷぷ……ヤッホー!影野さん!』

画面に映ったのは、モノクマの姿だった。

モノクマ『既に言ってあると思うけど、キミには動機は用意してないよ!』

モノクマ『その代わり、他の連絡をしておくね!』

モノクマ『影野さん以外には、それぞれのご家族やお友達を撮影したDVDを渡しているよ!』

モノクマ『これは、学園が入学を祝って用意した、サプライズのメッセージビデオなんだよね!』

モノクマ『ただ、その後に、家族や親友の安否を心配させて、不安を煽るような内容を加えてあるから……』

モノクマ『きっと、皆動揺すると思うんだ!可哀想に……うぷぷ』

家族や親友の安否を心配させるような内容って……

まさか、私の家族も、何かしら酷い目にあってるんじゃ……

モノクマ『あ、一応言っておいてあげるけど、影野さんの家族は無事だよ?安心してね?』

思考を読んだかのような一言が加えられ、ドキッとする。

モノクマ『で、そんな感じだからさ、影野さんは、余計なことはしないでね』

モノクマ『間違っても、動揺している生徒をなだめたりしちゃ駄目だよ!動機の意味が無くなっちゃうから!』

モノクマ『もし逆らったら……この後は、言わなくても分かってるよね?』

……これにも、従うしかない。

モノクマ『ま、このDVDを観終えたら、大人しく個室に戻るのが無難なんじゃないかな』

モノクマ『それじゃ、そんな感じで上手く動いてね。よろしくー!』

『ブツッ』

そこでDVDは終わった。

ヘッドフォンを外し、DVDをカバーに戻す。

辺りを見渡すと、皆の動揺の声が聞こえて来る。

伝法寺「クソが……」

鉄「なに……これ……」

本居「こんな……こんなの……作り物だよね……?」

獄門「皆、一旦落ち着いてくれ」

獄門「どんな内容だったかまでは聞かないが、全てを真に受けることはない」

既に獄門君が空気を察知して、声を掛けに動いていた。

そんな彼と、ふと目が合う。

たぶん、私が冷静さを保っているように見えたのだろう。

獄門君は私に向けて、手伝って欲しいという風にジェスチャーを送った。

私は、それを無視して、視聴覚室から去るしかなかった。


-影野の個室-

個室に戻って時間を確認すると、まだ14時だった。

今夜も食事会はあるのだろうか。

視聴覚室での皆の動揺ぶりを見ていると、流石に中止になるかもしれない。

仮にあったとしても、今日は行かない方が良いように思った。

DVDを観て数時間では、来ている人も動揺が収まってないだろう。

その場にいると、そういう人達を落ち着かせるように動いてしまいそうだ。

食堂に行くのは、明日の朝にしよう。

明日になれば少しは皆も落ち着いているだろうし、

丹田さんが言っていたように、情報交換も出来るかもしれない。

影野「……はぁ」

ベッドで横になる。

最近、現実から逃げるように、すぐに眠ってしまう。

この時も同様で、横になって間も無く眠りについてしまった。


夢を見た。



家のベッドで、遅刻ギリギリの時間に目を覚ます。

急いで準備を終え、家族に挨拶し、パンをくわえて家を出る。

パンを食べながら小走りで駅まで向かい、電車に乗る。

そんなこんなで校門前に到着した頃、

何とか始業には間に合いそうで、安堵する。

教室に入るとクラスメイトの皆は既に揃っていて、

私は窓際の、優樹菜ちゃんの隣の席に座る。

何人かに遅刻ギリギリであることを茶化され、皆で笑い合う。



……夢なのに、現実みたいだった。

でも、現実なはずがない。

これは私の理想であり、幻想なんだ。

こんな学校生活を夢見ていたのに。

なのに、どうして。

どうしてこんなことになっちゃったんだろう。

どうして……


モノクマ「影野さん!」

モノクマ「ねぇ、影野さんったら!」

影野「……っ」

目を覚ますと、私は泣いていた。

枕がぐっしょりと濡れている。

モノクマ「もう夜時間だよ?いつまで寝てるのさ」

泣いていることを気にもかけず、モノクマは言う。

影野「……何の用」

目を擦りながら、ぶっきらぼうに言葉を放つ。

モノクマ「大事な連絡をしに来たんだよ」

きっと嫌なことだ。

そう思っていたから、次の言葉には驚いた。

モノクマ「現状、誰もコロシアイに動いてないんだ」

影野「えっ……?」

モノクマ「あんな動機を提示したのに、驚きだよねぇ」

獄門君が、余程上手く立ち回ったんだろうか。

驚きと共に、少し安心する。

モノクマ「まだもう少し様子は見るけど……明日の正午までに誰も動く気配が無ければ、この動機によるコロシアイは諦めるよ」

コロシアイを……諦める……?

まさか開放してくれるのか、と一瞬喜びかけたが、

コイツに限ってそんなはずはない、と思い直す。

影野「新しい動機を用意するってこと?」

モノクマ「いいや?違うよ」

違う?

なら一体、どうすると言うんだろう。

モノクマ「影野さんに動いてもらうんだ」

影野「……え?」







モノクマ「明日の正午までに誰も動かなければ、影野さんに誰かを殺してもらうよ」







モノクマは、平然と言い放つ。

あまりの衝撃に言葉は出ず、固まってしまう。

人を……殺す……?

私が……?

モノクマ「対象は……うーん……」

モノクマ「まあ、いいか。誰でも良いや」

モノクマ「"影野さんが、殺しても最も罪悪感を覚えない人"を対象にすれば良いと思うよ」

モノクマ「はい、これ、無味無臭の毒薬」

モノクマに、固くて厚いプラスチック製の小瓶を手渡される。

中には透明の液体が入っていた。

毒薬に関する説明がラベルに書いてあるようにも見えるが、

涙でボヤけてよく見えない。

そこで、自分がまた泣いていることに気が付く。

モノクマ「倉庫の奥に用意してたものなんだけどね。瓶の中身を全部飲ませたら、相手はすぐ死ぬよ」

モノクマ「殺人が起こらなかった場合、明日の正午、ボク主催で夕食会を開くからさ」

モノクマ「それには生徒全員を参加させるから、飲み物にでも毒薬を混ぜて、誰かを殺しちゃって」

あまり、話が頭に入ってこない。

内容の理解は出来るが、飲み込めない。

モノクマ「……それでね、キミには先に簡単な説明をしておくけど」

モノクマ「人を殺したら、学級裁判っていう、犯人探しの場を設けるんだ」

モノクマ「キミはキミなりに、クロとして、犯人だとバレないように立ち回ってくれたら良いよ」

モノクマ「逃げ切れたらキミはここから出られる。そして他の全員を処刑する」

モノクマ「ダメだったら、その時はキミが処刑されて、他の全員は引き続き学園での生活を続ける」

モノクマ「それが、学級裁判のルールだよ」

影野「ちょっと……待ってよ……何よ、それ……」

モノクマは淡々と説明を続ける。

逃げ切れなかったら、私が死ぬ……?

逃げ切れても、他の全員が処刑される……?

酷い。あまりにも、酷い。

後出しでそれを言ってくる辺りが、更に残酷さを際立てる。

他の皆は、このルールを知らない。

モノクマ「とにかく、そこに関してはボクは干渉しないからさ」

モノクマ「すぐに犯人だとバレないようにさえしてくれたら、何でも良いよ」

モノクマ「それじゃ、よろしく頼むよ、影野さん」

モノクマ「説明し忘れたことがあったら、また言いに来るから」

モノクマは去って行った。


その夜は、眠れなかった。

何もせず、何も出来ず、

ただ、ベッドの上で座っているだけで、夜を明かしてしまった。

人を、殺す。

命令に従わなければ、私の家族は殺される。

そして、人を殺して、私が犯人だとバレたら

そこに待っているのは、私自身の"死"。

もう、何も考えられない。

もう、どうしようもない。

私は……ただ、命令に従うしか、ない。



-Day4-END
生存人数:16人


-Day5-

-影野の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』



朝の放送で、我に返る。

流石に、朝の食事会には出た方が良いだろう。

昨日の昼以降のことを、何も把握していない。

平常心を保てるか不安ではあるけど、行くしかない。

立ち上がり、顔を洗い、ドアに向かって歩く。

その時、一瞬だけ、コロシアイが起こっていれば良いのに、と思ってしまった。

自分の黒い部分を目の当たりにして、絶望した。


-食堂-

食堂には、最初の参加者である8人が集まっていた。

優樹菜ちゃん、真衣ちゃん、樹村さん、

獄門君、伝法寺君、神崎君、沢渡君、ラバン君の8人だ。

もう、『いつものメンバー』と言っても良いかもしれない。

獄門「お、影野じゃないか」

獄門「おはよう」

影野「……おはよう、獄門君」

笑顔は作れているだろうか。

たぶん、作れていない。

沢渡「つぐみん、おはよッスー!」

沢渡「……って、なんか目腫れてるッスよ!?大丈夫ッスか!?」

影野「うん……大丈夫。ちょっと、昨日のことで動揺しちゃって」

本居「無理しないでね……継美ちゃんも」

ラバン「後で、リラックス作用のあるお茶を紹介しマス。是非お試しを」

皆、私なんかのことを心配してくれる。

……優しいなあ。

影野「……今日は、朝食は作ってないの?」

獄門「動機のこともあるしな……昨日からは、各自で自由に作って食べるって方式にしている」

獄門「周藤にあんな風に言った手前、この措置は不適切な気もするが……皆が参加しなくなるよりはマシだからな」

獄門「ただ食べるタイミングくらいはある程度合わせたいし、今は待機中って感じだ」

影野「……昨日、食事会あったんだ」

無かったと思っていた風に見せかける方が良いと感じ、そんな表現をする。

獄門「ああ。もっとも、昨日はもっと少なかったぞ」

獄門「俺と、沢渡と、伝法寺と、神崎しか来なかったからな」

影野「……4人来ただけでも、凄いと思うけど」

獄門「かもな」

獄門君はニカッと笑う。動揺の色は見えない。

……ここまで来ると、返って怪しい。

なんて、裏切り者の私が言えることじゃないか。


丹田「おはよー、馬鹿ども」

丹田「昨日あのDVDを観て、今日これだけ集まってるなら、大した内容じゃなかったのかな?」

丹田さんが食堂に入ってくる。

皆とは少し離れた席に腰を下ろし、話し始める。

丹田「で、どんな内容だったわけ?」

獄門「お前も自分のDVDを観たら良いんじゃないか?」

丹田「やだ」

獄門「怖いのか?」

丹田「そういうことで良いよ。私はこの選択が正しいと思ってるからさー」

獄門「……そうか」

獄門は少し間を置いて、話を始める。

獄門「俺のDVDの内容は、家族からのビデオレターだった」

獄門「家族からの入学祝いのメッセージの後に、映像が変わって、さっきまで家族がいた場所が焼け跡になっていた」

獄門「最後に、真相を知りたければコロシアイを起こせ、という煽りがあって、DVDは終わりだ」

獄門「……不安を煽るための捏造と見て良いだろうな」

丹田「ふーん……なるほどね」

丹田「他も、大体同じ内容だったの?」

皆が小さく頷く。

私も合わせて、頷いておく。

丹田「……そう」

丹田「情報どーも。それじゃ、私はこれで」

丹田さんは長居しようとはせず、すぐに去ろうとする。

獄門「せっかくだし、飯くらい食っていけよ」

丹田「何でアンタらと食べなきゃいけないの?」

丹田「1人の方が安全だし安心だし、わざわざ危険な選択はしないよ」

丹田さんは振り向かずに答え、歩みを止めずに食堂から出て行った。

獄門「……相変わらずだな、アイツも」

伝法寺「現状だと、その方が安心出来るけどな」

その後、それ以上食堂に人が集まることはなく、

最初にいた私を含む9人で食事を済ませ、その朝は解散になった。


-影野の個室-

その後は、個室で1人で過ごした。

気を抜くと他の誰かが人を殺す可能性について考えてしまって、

その度にまた自分に嫌気が差した。



……そして

影野「……12時だ」

正午になる。

コロシアイは起こっただろうか。

起こっていなければ、私は……

『ピーンポーンパーンポーン』

影野「!」

突然の放送に、思わず身体が反応する。

『オマエラ!こんにちは!ボクだよ!学園長の、モノクマだよ!』

『昨日に引き続き、またまた悲しい事実が発覚しました!』

『それは何かというとね……』

『同じ学園の生徒なのに、オマエラ、仲良くしなさ過ぎ!』

『あろうことか、個室に引きこもる生徒が複数……学園長として、これほど悲しいことはありません!』

『ということで、今夜はボク主催で、全員参加のパーティーを開きますよ!』 

『安全な高級食材を16時に厨房に用意しておくから、それを調理して皆で食べてよ!』

『これに関しては強制だよ!全員参加だからね!』

『そんじゃ、そういうことで~』

放送は終わった。

……誰も、殺人に動かなかったんだ。

16時に、食堂に行けば良いだろうか。

それまでに、モノクマからの命令を再確認して、準備をしないと……。

身体が震えていた。

全てから逃げ出したかった。

そんな気持ちを振り払って、

16時までの間、私は殺人計画を編んだ。


16時になって、私は食堂に向かった。

殺害対象は、もう決めた。

あとは……ただ、実行するだけだ。



-食堂前-

南錠「……あら、継美はん」

樹村「継美はーん!」

影野「あ、ふ、2人とも、パーティーの準備に来たの?」

南錠「せや。食材がこの時間に届く言うてたし……準備も今からやと思てなあ」

南錠「……それにしても、どういう風の吹き回しなんやろね」

樹村「突然、全員参加のパーティーだもんねー」

影野「確かに、不審ではあるけど……強制だし、逃げるわけにも行かないよね」

自分に言い聞かせるように、そんな台詞を口にする。

南錠「ま、そうやな」

樹村「……それよりー、継美ちゃん、顔色悪いよー?大丈夫ー?」

影野「そう?だ、大丈夫だよ。ありがとう」

南錠「言われてみたら何か血の気ない顔しとるなぁ」

既に異変を悟られていることに驚く。

殺害実行まではバレないよう気をつけないと。

未遂に終わってしまって、

命令に従わなかったと見なされては敵わない。

気を引き締め直し、2人と一緒に食堂に入った。


-食堂-

獄門「おう、影野」

獄門「……なんか顔青いな。大丈夫か」

同じようなことを言われてしまった。

影野「あはは、さっき樹村さんと南錠さんにも同じことを言われたよ」

影野「私は大丈夫だから、安心して」

獄門「そうか、無理はするなよ」

獄門「調理のことなんだが、基本的に最初から食事会に参加していた9人で回すことにした」

獄門「他のやつに全く手伝わせないわけではないが……やっぱり信用できるのは、そのメンバーだからな」

獄門「それと、本人の希望で、周藤が厨房の監視役をすることになってる」

獄門「何か問題はあるか?」

影野「な、無いんじゃないかな」

厨房に監視役……か。

毒薬を盛る時は、バレないようにしないとな……。


-厨房-

調理の準備のために、厨房に入る。

ラバン「影野さんも来マシたか」

本居「ちょうど、今から調理を始めようとしてたんだ」

周藤「…………。」

周藤さんは食堂の隅に椅子を用意して座り、

黙って私達を見つめていた。

1度は心を開きかけたかと思ったのに、

それは いとも簡単に閉ざされてしまった。



用意された食材からメニューを考え、

分担して作業を始める。

メニューは殆どラバン君が決めてくれた。

少し経つと沢渡君と伝法寺君も調理に加わってくれて、

調理のスピードは大幅に上がった。



17時30分ごろ、殆ど調理は終わった。

結局1時間と少し、厨房に籠りっきりで、

調理も忙しく、殺人計画のことなんて考える暇もなかった。

この時間になると、食器の用意等の為に、

最初は食事会不参加者側だった7人も厨房に出入りを始める。

足立山「……ちょっと、そこどいて」

足立山「その上にある、お皿取りたいから」

本居「あ、うん……ごめんね」

相変わらず、足立山さんは私と優樹菜ちゃんへの当たりが強い。

伊賀ノ原「コップって、16人分で良いのかな?」

沢渡「?……16人なんだから、当然ッスよ」

伊賀ノ原「いや、モノクマの分もいるのかな……と思って」

伝法寺「要らねェだろ……あんな奴の分なんて」

沢渡「そ、そもそも、機械ッスから、飲み物なんて飲めない気が……」

伊賀ノ原「いや、機械は友達さ!人間とそう変わらないよ!発明家的には!」

沢渡「アイツを友達って言えるなら、君は相当な精神力の持ち主ッスね……」

伊賀ノ原「…………友達は言い過ぎたかも!」

普段なら、思わず笑ってしまいそうな会話も聞こえてくる。

この間も周藤さんは見張りを続けていたし、

恐らく不参加者に不審な動きは無かったんだろう。


南錠「継美はん、これ」

南錠さんに声を掛けられ、紙を渡される。

南錠「全員の飲み物の希望や」

南錠「獄門はん曰く、ある程度それぞれの好みに合わせて食事を出してるらしいやん?」

南錠「だから、何種類かの中から聞いといたで。その通りに用意しといて」

影野「分かった。わざわざありがとう、南錠さん」

毒薬を盛りやすい飲み物の用意を私が担当できたのは、

幸運なんだろうか、不運なんだろうか。

そんなことを考えながら、

伊賀ノ原君が用意してくれたコップに、

それぞれの希望の飲み物を注ぐ。

その途中、制服の内ポケットに手を伸ばす。

周藤さんは、不参加者の動きに注目している。

調理開始から時間も経っているし、

今、私への警戒は薄くなっているはずだ。

内ポケットから毒薬の小瓶を取り出し、その蓋を開ける。

見つからないようにこっそり、殺害対象の飲み物に、毒薬を加える。

……バレていない。

成功だ。

またこっそり、小瓶を内ポケットに戻す。



御盆に乗せた16人分のコップを、食堂のテーブルに運ぶ。

全員分の飲み物をそれぞれの席に配り終える。

心臓が高鳴る。大粒の汗が流れる。

これで、終わった。

この飲み物を飲み終えた時、






獄門君は、死ぬ。






18時になる頃、全ての準備が終わり、皆が席につく。

獄門「皆、お疲れ様!」

獄門「せっかくのパーティーだし、乾杯くらいしとくか!」

丹田「モノクマが仕組んだことなのに、随分余裕だねー」

丹田「私、この料理全然食べたくないんだけど」

モノクマ「食べなきゃダメだよ!」

突然、モノクマが登場する。

モノクマ「食べて、飲んで、騒いで、食べて、飲んで、騒いで」

モノクマ「そうやってオマエラは、仲良くならなきゃいけないんだから!これも強制!」

モノクマ「……ところで、ボクの分の料理は?」

沢渡「そんなものはないッス!」

丹田「厚かましいなコイツ……」

モノクマ「な、何という薄情な生徒達……ショボーン……」

分かりやすく拗ねてしまった。

獄門「まあ、モノクマのことは無視するとして……」

獄門「調理中は監視役もいたし、これまでの食事会も無事に終えているし、変な心配はしなくて良いぜ?」

毒薬を盛った側からこんな言葉を聞くと、心が痛い。

獄門「それじゃ、改めて、皆!調理お疲れ様!」

獄門「乾杯!」

樹村「かんぱーい!」

例のごとく、目立って答えるのは樹村さんくらいだった。

……そういえば、ずっと厨房で調理していたし、喉がカラカラだ。

暫く飲み物を飲んでいないことに気づくと、

より喉の乾きが気になった。

自分で用意した甘い紅茶を、私は一気に飲み干してしまう。

獄門「ぷはーっ!うまい!」

獄門君も飲み干してしまったみたいだ。

私は次の状況に備えて、覚悟した。

この後、獄門君が倒れることを、私だけが知っている。

また鼓動が激しくなる。

頭も痛くなり、息が苦しい。


次の瞬間、ドッ、と音を立て、床に倒れ込んだ。



「っ……ぐ……!」

「げほっ!な……これ……!」



吉田「……!?」

獄門「!……か、影野!?」

沢渡「どうしたッスか!?つぐみん!」

そう。倒れたのは、私だ。

目の前の床が赤い。血を吐いたのか。

なんで?どうして、私が?

……ああ。

きっと、罰が当たったんだ。

皆を裏切った、罰が。

妙に納得してしまい、笑みさえ零れる。

もうすぐ死ぬことは感覚的に分かるが、

不思議とそこまで辛くない。

もう、身体は動かない。

最後の力を振り絞り、私は目を閉じた。




さようなら、私の家族。

さようなら、皆。

さようなら……希望ヶ峰学園。





-Chapter1- 『さよなら絶望学園』
(非)日常編



非日常編

生存人数:15人

以後、捜査パートは安価なし、最短ルートで自動進行にしようと思います。

学級裁判パートは開始日時を告知し、安価進行します。ルールの詳細はまた後ほど掲載します。


-Chapter1- 非日常編

目の前の光景を、まだ飲み込むことが出来ない。

継美ちゃんが、目の前で、倒れて、血を吐いて

……そして、動かなくなった。

本居「継美ちゃん!!!」

自分でも殆ど無意識に、継美ちゃんに駆け寄った。

伝法寺「動くな!」

が、伝法寺君に制止される。

伝法寺「全員そこから動くんじゃねェぞ!影野と距離が近い奴も、身体に触れるな!」

実際、彼の判断は正しかったんだと思う。

想像以上に、状況を冷静に見極められる人だ。



『ピーンポーンパーンポーン!』

『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』



本居「し、死体……?」

沢渡「えええええええええ!?つ、つぐみん、死んじゃってるんスか!?」

丹田「騒ぐなよ!急に血吐いて倒れて動かねぇんだから、それくらい見りゃ分かるだろ!」

丹田「それより……何だよ、捜査時間の後、学級裁判を開くって……!」

捜査時間?学級裁判?

他にも理解出来ないことはあるけど、

まだ、継美ちゃんが死んだなんて信じられないでいる。

でも、さっきからずっと継美ちゃんは動かない。

血を吐いて、少しの間身体を震わせた後は、

目を閉じたまま、全く動かなくなってしまった。

私は目眩に襲われて、その場に座り込んでしまう。

ラバン「……大丈夫デスか、本居サン」

本居「…………。」

言葉が出て来ない。話せない。

暫く全員動きを止められた状況が続いた後、

モノクマがテーブルの上に現れ話し始めた。

モノクマ「さてと!そろそろ、ルールの説明をしておこうかな!」

獄門「ルール……だと?」

モノクマ「そう!ルール!皆に話してなかった、新ルールについてだよ!」

足立山「な、何それ……また何か校則が増えるってこと……?」

モノクマ「察しが良いね!そういうこと!」

モノクマ「ま、色々言いたいことはあるだろうけど、まずは電子生徒手帳で、校則を確認してみてよ!」


─────────────────

-校則-

1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを"夜時間"とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4.希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。

6.仲間の誰かを殺したクロは"卒業"となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

7.未開放エリアを鍵師の才能を使用し開放することを禁止する

8.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

9.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

10.学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。


※なお、校則は順次増えていく場合があります。

─────────────────


伝法寺「ンだよ……これ……」

伊賀ノ原「しょ、しょ、処刑!?」

南錠「何や、このルール……聞いてないで……」

鉄「継美ちゃんは誰かに殺されてて……僕達も犯人を見つけないと処刑されちゃうの……!?」

沢渡「な、なんスかこれ……どのみち、学級裁判で誰かしらが処刑されるルールじゃないッスか!」

周藤「いくら順次追加する可能性があるったって……こんな重要な校則を隠しとくかい……!」

吉田「…………。」

神崎「新ルール……ですか。これは困りましたね……」

樹村「ほへー、難しいルールだなぁー……」

ラバン「何故……こんな惨いことを強いるんデスか……」

獄門「……くそっ!俺が……俺が甘かったのか……!」

足立山「なんで……なんでよぉ!なんで福愛がこんな目に合わなきゃいけないの!?」

丹田「セッコい後付けルールだな……面倒くせぇ……」

困惑、動揺……怒り、憎しみ……

様々な負の感情が、声に出て表れる。

その中で、ただ1人違う反応をした人がいた。

一色「くくっ……くはははははははは……!」

一色「面白い……!面白いぞモノクマ……!」

一色「私は、これが見たかったのだ……!」

一色「人間という理性を持つ動物の、意思と意思がぶつかり合う瞬間……!」

一色「これを形に出来れば……素晴らしい芸術作品が完成するに違いないぞ!」

本居「な……何……言って……!」

継美ちゃんの死を、面白いなんて言われて、黙っていられない。

が、反論しようとしても、まだ声に力が入らない。

その時、吉田君が一色君の方へ向かって行った。

いや、詰め寄って行ったという表現が正しいのだろうか。

吉田「…………。」

一色「……なんだね?何か言いたいことがあるのなら言いたまえ」

吉田「撤回しろ」

怒っていた。声色で初めて分かった。

吉田君は……継美ちゃんの為に怒っているんだ。

一色「……はは、しないさ」

一色「私の発言で不快になったなら謝るが……それは感性の違いであって、歩み寄りで埋められるものではない」

一色「故に、撤回はしない。私の正直な感想だからね。」

一色「この状況は、面白い」

吉田「お前……!」

吉田君が一色君の胸ぐらを掴む。

獄門「待て2人共!争ってる場合じゃないだろ!」

が、そこで制止が入った。

獄門「この校則が本当なら……俺達は犯人を見つけないと死んじまうんだ」

獄門「吉田は一旦落ち着け……お前も一色もシロなら、責めるのは後からでも間に合うだろ」

吉田「…………。」


モノクマ「あらあら、この程度で分裂の危機なんて、オマエラの団結力って脆いんだねぇ」

モノクマ「ま、ルールは大体分かってくれたよね。今から捜査時間を設けて、その後、犯人探しの為の学級裁判だよ」

モノクマ「せいぜい、犯人を間違えないように頑張って頂戴な」

モノクマ「それじゃ、最後にこれを渡して……ボクは退散させてもらうね」

そう言ってモノクマは、全員に黒いファイルを配る。

モノクマ「そこには、ある程度の事件についての情報を書いておいてあげているから、参考にしてよ」

モノクマ「では、また学級裁判で会いましょう。うぷぷぷぷ……」


伊賀ノ原「はぁ……何なんだよこれぇ……」

周藤「……理不尽だけど、動かないわけにはいかないだろうさ」

周藤「黙って待ってたら……犯人を見つけられずに死ぬだけだ」

……そうだ。

何もしなかったら、処刑されて死んでしまう。

動くしか……ないんだ……。

継美ちゃんの敵を討つためにも……。

本居「……そう、だね」

本居「捜査しないと。継美ちゃんが何故死んだのか……絶対に突き止めないといけない」

ゆっくりと、私は立ち上がる。

まだ足は震えているけれど、何とか1人で立つことが出来た。

獄門「……だな」

獄門「失ったものは取り戻せないが……まだ失っていないものもある」

獄門「それを守る為に、力を合わせよう」

……とりあえず、さっき貰ったファイルの内容は記録しておこう。


[モノクマファイル1]> コトダマGET!!
『被害者は超高校級の語り部、影野継美。死亡推定時刻は18時頃。死体の発見現場は食堂』


本居「……本当に基本的な情報しか無いんだなぁ」

足立山「それで……この後はどうするのよ……?」

足立山「全員バラバラで、自由に捜査で良いわけ?」

鉄「いや……死体の近くは、見張りを置いといた方が良いんじゃないかな」

鉄「犯人に証拠隠滅されたり、現場を荒らされたりしたら困るし……」

沢渡「賛成ッス。出来れば2人以上で見張って欲しいッスね」

沢渡「個人的には、大柄な吉田君と伝法寺君を推すッスけど、他の皆はどうッスか?」

南錠「……いや、片方は捜査に回してもええんちゃう?」

南錠「捜査にも、力仕事が必要な場面はあるかもしれへんし……」

南錠「うち、見張り役やってもええで」

丹田「ハッ、死体の前で突っ立っとく役とか、よく出来るねー」

神崎「……ですが、耐性のある人に任せた方が良いのは事実でしょうね」

伝法寺「なら、俺と、立候補した南錠が担当で良いだろ」

伝法寺「俺も、特に見張り役に抵抗はねェよ」

周藤「……決まりだね。その2人は見張りで、他の13人で捜査しようか」

樹村「りょーかい!行ってくるー!」

樹村さんが先陣を切り、他の皆もそれぞれ分かれて捜査を始める。

……私も、動かないと。

時間は限られてる。出来るだけ沢山の情報を仕入れよう。


-捜査開始-

さて、皆散り散りになっちゃったけど……

やっぱり1番気になるのは、死体だよね……。

……見たくないなぁ。

でも、捜査しないといけないよね。

他の皆だって好きでやってるわけじゃないんだ。

私も……。



勇気を出して、継美ちゃんの死体に近づく。

本居「継美……ちゃん……」

吐いた血が少しだけ死体の周りの床に付着している。

踏まないようにして、継美ちゃんの遺体の隣に座り込む。

頬に触れると、まだ少し温もりが残っていた。

涙が出そうになるが、ぐっと堪える。

伊賀ノ原「うーん……確か、あの紅茶を飲み干して、血を吐いて倒れてたよね……」

伊賀ノ原「やっぱり、毒殺なのかなあ?」

隣で同じく死体を調べていた伊賀ノ原君が言う。

本居「確かに……その可能性が、かなり高いよね」

伊賀ノ原「本居さん、一応身体を調べて、他の死因の可能性が無いか確認してみてよ」

本居「……自分で触りたがったりしないんだね」

伊賀ノ原「いや、僕も流石にそこまで不謹慎じゃないよ……」

話しながら、指示に従って身体をくまなく探ってみるが、やはり外傷は無い。

本居「やっぱり、毒殺で断定して良さそうかな……ん?」

継美ちゃんの制服の裏に、何か固いものが入っている。

本居「内ポケットかな……何だろう」

取り出すと、プラスチック製の小瓶が出てきた。

中身は空だ。

ラベルには……

本居「ど、毒薬!?」

伊賀ノ原「ええ!?」

本居「小瓶1本の量で死に至る速効性の毒薬……無味無臭、無色透明なので、違和感も抱かれず安心……」

本居「……趣味の悪い説明書きだなあ」

伊賀ノ原「影野さんの死体から毒薬の小瓶が出てくるって……どういうことなの……?」

本居「確かに……継美ちゃんは、誰かに殺された……はずだよね?」

……結論を出すには、まだ早いかな。

ともかく、この情報は記録しておかないと。



[死体の状況]> コトダマGET!!
『影野の死体に外傷は無く、口から血を吐いているのみだった。毒殺かと思われる』

[空の小瓶]> コトダマGET!!
『影野の制服の内ポケットに入っていた厚いプラスチック製の小瓶。中身は空。瓶のラベルには毒薬と書いており、毒薬は即効性で無味無臭、無色透明な液体だったらしい』


もう1つ、毒殺となると気になるのは……

本居「やっぱり、この紅茶かな」

毒の体内への侵入経路を考えても、

この紅茶に毒が入っていたとしか考えられないよね……。

でも、確か飲み物を用意したのも継美ちゃんだ。

じゃあ、自分で飲み物を用意して、自分で自分の紅茶に毒を……?

いや、継美ちゃんに限って、そんなことをするとは……

南錠「継美はんは、甘い紅茶を選んだみたいやね」

ティーカップを見つめる私に気づいて、南錠さんが話しかけてくる。

本居「……そういえば、南錠さんは開始前に飲み物の希望を聞いて回っていたっけ」

南錠「うん、獄門君に言われてね。食事会ではそういうルールなんやろ?」

確かに、初日以来ある程度それぞれの好みに合わせるという話はしていた。

本居「良かったら、誰がどんな飲み物を選んだのか、聞かせてくれる?」

南錠「もちろんええよ」

南錠「メモした紙は継美ちゃんから返して貰ってたから、そのままこれを渡しとくわ」

本居「ありがとう」

お礼を言って、紙に書かれた内容を確認する。


『甘い紅茶 
足立山、伊賀ノ原、影野、丹田、本居

スパイシーな紅茶
一色、樹村、周藤、南錠

緑茶
獄門、伝法寺、吉田

烏龍茶
神崎、鉄、沢渡、ラバン』


……なるほど。これは記録しておこう。



[用意されたお茶]> コトダマGET!!
『食事の為に用意されたお茶は、皆の好みに合わせられていた。

・甘い紅茶:足立山、伊賀ノ原、影野、丹田、本居
・スパイシーな紅茶:一色、樹村、周藤、南錠
・緑茶:獄門、伝法寺、吉田
・烏龍茶:神崎、鉄、沢渡、ラバン』


-厨房-

周藤「…………。」

厨房に捜査に来ると、周藤さんがいた。

本居「周藤さん、何か見つかった?」

周藤「……アンタか」

周藤「何も見つかってないよ、厨房には特に証拠はない」

周藤「……悪かったね、優樹菜ちゃん」

本居「……え?何が?」

突然の謝罪に、戸惑う。

周藤「……毒が盛られたとなると、アタシの監視が甘かったんだろう」

周藤「アタシがもうちょっと、皆に目を配っていれば……」

本居「そんな、周藤さんは悪くないよ……」

さっきは気丈に振る舞って、皆に捜査するよう促していたけど……

周藤さんも、責任を感じて、後悔していたんだ……。

本居「そもそも毒だって、厨房で盛られたとはまだ決まっていないし」

本居「もしかしたら、継美ちゃんが食堂に飲み物を運んだあとに、誰かがこっそり毒を盛ったのかもしれないよ」

周藤「だとしても……だ」

周藤「継美ちゃんの内ポケットにあった毒薬の小瓶はアンタも見ただろう」

周藤「継美ちゃんが毒薬の小瓶を所持していて、そしてその小瓶の中身が空になっていたのは事実だ」

周藤「この時点で……使用の余地を与えてる時点で、アタシの監視が甘かったのさ……」

本居「……仮に周藤さんの監視が甘かったとしても、悪いのは、黒幕と、犯人だよ」

本居「周藤さんは……悪くない」

本居「だから、あまり気負わないで……ね?」

周藤「……ありがとう。恩に着るよ」

周藤さんは、力無く笑った。

皆、こんな事件を目の当たりにして傷付いている。

犯人のことも、黒幕のことも、私は、許せない。

例えその人物が、仲間の中にいるとしても……。


-影野の個室-

他に捜査する場所があるとしたら、やっぱりここだよね。

被害者の継美ちゃんについての情報は、出来るだけ集めないと……。

鍵は開いていた。中に入ると、丹田さんが捜査をしていた。

丹田「……お前か」

本居「捜査お疲れ様。個室は、元々開いてたの?」

丹田「開いてたよ。モノクマが、被害者の個室は捜査範囲と見なして開放する、ってさ」

へぇ、そんなルールがあったんだ。

丹田「……それより、これ見ろよ」

丹田さんは、ベッドの横にあるメモを持って、そう言う。

近づいて、その紙束を受け取る。

それは、継美ちゃんが書いたと思われる日記だった。

1日目からのことを振り替えって、詳細に書かれている。

初日の朝、私と出会って、皆と出会って、

コロシアイ学園生活が始まって……

『1日目夜
この日の夜、モノクマから裏切り者になるよう脅迫された。断ることも出来たと思うけど……家族の命を引き合いに出され、私は結局断れなかった。ごめんなさい』

……え!?

本居「何……これ……!?」

丹田「裏切り者だったんだよ、影野は」

丹田「アイツは脅迫されて、黒幕側に寝返ってたんだ」

動揺しながらも、読み進めていく。

『3日目夜
動機提示について事前に説明を受ける。私の分の動機は用意されていないらしい。上手く立ち回ることを命令されると共に、誰かを慰めたり励ましたりという動きを禁止された』

『4日目夜
モノクマから、もしもの場合は殺人に動くよう指令を受けた。その後に、学級裁判という犯人探しも行われるらしい……今更、悩んだって仕方がない。家族の為に、私はもう……やるしかない。』

『5日目昼
結局、私が殺人に動くことになってしまった。モノクマから毒薬も受け取った。元々倉庫にあったものらしい。悩んだけど、標的は獄門君に決めた。あまり悪い人には見えなかったけど……指名手配犯という肩書きを持つ彼を殺すのが、1番罪悪感を感じなくて済む気がした。

私はもうすぐ、人を殺す為に食堂へ向かう。私自信、この後どうなるか分からないから、初日からあったことをここにメモしておきました。』

本居「こんな……こと……」

継美ちゃんが、私達を、裏切っていた。

しかも、人を殺そうとしていた。

信じられないけど……事実なんだ……。


本居「…………。」

丹田「……何ショック受けてんの?」

本居「だって……こんなの……許せないよ……」

本居「友達だと……思ってたのに……」

丹田「……はぁ?よく考えろよ?」

丹田「4日目の部分を見る限り、影野は学級裁判について知っていた上で、このメモを残してんだから」

丹田「他人に向けたメモを残すってことは、アイツは学級裁判に持ち込んだとしても、負けるつもりだったってことだろ」

本居「……!」

丹田「事実上、裏切り者だったことは確かだけど、最後にアイツは私達の生存を優先する選択もしていた」

丹田「しかも、裏切り者になったのも、脅されてたからだろ。許せない理由あんの?」

丹田「むしろ、同情の余地しか無いんじゃねぇの。お前からすれば」

……そうか。

丹田さんのお陰で、恨む相手を間違えなくて済んだ。

確かに、このメモが存在する以上、

継美ちゃんは、私達を生存させようとしていたことになる。

本居「そうだね……。ありがとう、丹田さん」

丹田「……私は私の生存の為に協力してるだけ。勘違いはすんなよ」

一旦、落ち着く。

もう一度メモに目を通して、情報を確認する。

本居「殺そうとしていたのは、獄門君なんだ……」

丹田「だが獄門は死んでない。それをどう見るか、だな」

本居「…………。」

丹田「まあ、それも大体の検討はつくけど……私はもう一度死体を調べに行く。ついてくんなよ」

本居「……あ、うん。本当にありがとね、丹田さん」

丹田「…………。」

丹田さんは振り向かず、個室を出て行った。



[影野のメモ]> コトダマGET!!
『影野の個室には、自分が裏切り者であり、獄門を殺す計画を立てていることを記述したメモがあった』


-倉庫-

次に私は倉庫に向かった。

継美ちゃんのメモには、毒の出所はここだって書いてたけど……。

樹村「あ!継美ちゃんだー!」

倉庫には樹村さんがいた。

こんな状況でも彼女だけは、動揺こそしても落ち込む様子はない。

本居「樹村さん、何か見つかった?」

樹村「うん!ここの奥にね、毒薬があったよ!」

樹村「継美ちゃんはー、あの様子だと、毒殺っぽいよねー?」

樹村「ここの毒が使われたんじゃないかなー?減ってるしー」

継美ちゃんのメモとも一致している。

そう見て間違いは無さそうだ。

自分でも、毒薬の位置を確認してみる。

毒薬の小瓶が、倉庫の奥の棚に横向きに積み上げられていた。

瓶事態は、継美ちゃんが持っていたものと同じで間違いない。

本居「……随分、雑な保管のされ方だね……」

プラスチックの小瓶だし、床に落ちても割れたりはしなさそうだけど……。

樹村「小瓶は、巴が来たときからこんな感じだったよー?」

樹村「っていうかー、2日目から、こんな感じだったはずー!」

2日目……?

本居「樹村さんは、以前から小瓶の存在を知ってたの?」

樹村「うん、2日目の午前中に調べてた時に、偶然ねー」

本居「なんで報告しなかったの?放置してたら危ないじゃない」

樹村「違うよー、小瓶の存在は知ってたけど、ラベルまでは見なかったのー」

樹村「毒薬であることは、さっき知ったんだよー」

そうなんだ……。なら仕方ないのか……。

本居「それで、小瓶の本数は……8本なのね。随分中途半端だなあ」

樹村「そう?ピノも6個入りだよー?」

本居「……突っ込みどころの多過ぎる発言はしないで」

本居「8本ならともかく、犯行に使用されたものを含めると9本になるはずなの」

本居「9本あるなら、10本目もありそう、だなんて思っちゃわない?」

樹村「うーん、言われてみたら、そうかなー」


その時、足下にある箱に気がついた。

本居「これは……?」

中を開けると、板に10個の穴が空いてあり、

ちょうど小瓶を差し込めるようになっていた。

試しに、積まれていた毒薬の小瓶を差し込む。

本居「あれ、ぴったりだ」

……元は、ここに入ってあったのかな?

だとしても、わざわざ取り出して棚に置く意味を感じないけど。

でも、小瓶が10本あったのは確定的に思える……。

10本目はどこに消えたんだろう?

……一応、ここまでのことは記録しておこう。



[倉庫の小瓶]> コトダマGET!!
『倉庫の奥の棚には、毒薬入りの小瓶8つが、むき出しのまま横にして並べられていた。小瓶は全てプラスチック製』

[樹村の証言]> コトダマGET!!
『倉庫にあった毒薬の小瓶は、2日目の朝にはむき出しの状態で棚に置かれていたらしい』

[倉庫の箱]> コトダマGET!!
『倉庫の奥にあった箱には差し込み口があり、ちょうど小瓶が10本入るようになっていた。元々は小瓶が入っていたと思われる』


本居「……あれ」

もう1つ、違和感を覚える。

毒薬と同じく奥の棚に、1本だけミネラルウォーターが入ったペットボトルがあった。

ミネラルウォーターの保管場所はもっと手前にあるのに、なんでこんなところに……?

本居「しかも、ちょっとだけ減ってるし……飲みかけをこんなところに置かないで欲しいなあ」

樹村「あ!それねー、さっき巴が持ってきて、飲んじゃったの!」

樹村「もう、喉がカラカラでさー、困った困ったー!」

本居「そうなんだ。それなら納得……」

本居「……いや、ちょっと待って」

本居「さっき食事会が始まった時、樹村さんも選んだお茶を飲んだはずだよね?」

開始前、全員モノクマに飲食の拒否を禁止されていたし、それは確実なはずだ。

本居「だとしたら、まだ喉がカラカラになるほど、時間は経ってなくないかな?」

樹村「……あー、ばれちゃったかー」

ばれちゃった……?

樹村「ほんとはね、巴は何もしてないよ。さっき来たらあったの」

本居「な、なんでそんな無意味な嘘を……?」

樹村「なんでー?って言われたらー、なんとなくー?」

本居「……この状況でそんなことされたら、巴ちゃんが怪しく見えちゃうよ。やめてね」

樹村「えへへー、めんごめんごー」

まるで反省の色が見えない。

そういえば、前にも倉庫でこんなことがあったような気がするな……。

あの時は、継美ちゃんも一緒だったっけ……。

…………。

今は、思い出に浸っている場合じゃない、ね。

本居「……ところで、このペットボトルは、樹村さんが2日目にここを調べた時にはあったの?」

樹村「んー、分かんない!そこまで見てないよー」

小瓶のラベルも確認しなかったくらいだし、そんなものか。

本居「一応、記録しておこうかな。小瓶の近くにあったものだし」



[飲みかけの水]> コトダマGET!!
『倉庫の奥の棚で発見された、飲みかけのミネラルウォーター。ペットボトルに入っている。事件との関連性は不明』


『ピーンポーンパーンポーン』

放送だ。

『オマエラ、学級裁判の準備が整いましたよ!』

『捜査時間はそこまでにして、今すぐ、赤い扉の部屋に集合してくださーい!』

『無視して捜査を続けた人にはオシオキが待ってるから、逆らわないようにね!』

『それじゃ、ボクは、その部屋で待ってるねーん!』



本居「もう捜査は終わり……なんだ」

思っていたよりも短い時間だったな。

調べ直したいところもあったけど、残念ながら無理みたい。

樹村「赤い扉の部屋かー」

樹村「確かー、学園エリアに入ってすぐのところにあったよねー」

樹村「行こっか!優樹菜ちゃん!」

樹村さんが、笑顔で私の手を取る。

それに素直に従って、私達は倉庫を出た。


-赤い扉の部屋-

15人が集まってから、暫く空気が張り詰めたまま時間が流れた。

そして、モノクマが現れる。

待っていると言った割に、来たのは1番最後だった。

モノクマ「よっと!全員、集まりましたね!」

モノクマ「……いや、正しくは、影野さんを除いて、かな?」

モノクマ「うぷぷぷぷぷ……」

馬鹿にしたように、モノクマは笑う。

本居「貴方のしたことは……絶対に許さない」

モノクマ「んー?何のことですかね?」

しらを切るつもりか。

継美ちゃんを追い込んで、無理矢理裏切り者にして、

殺人まで強要して……結果的に、死に追いやって。

モノクマ「ま、各々調べて分かったことはあるだろうけど、全ては学級裁判で明らかにしてくださいよ」

モノクマ「それじゃ、オマエラ!奥のエレベーターに、乗ってください!」

樹村「はーい!」

獄門「……行くか」

神崎「行くしかないでしょうね」

丹田「ほんっと……趣味の悪いゲームだよね」

足立山「もう……早く終わってよ、こんなの……」

吉田「…………。」

沢渡「やるしか、無いッスもんね……」

伝法寺「チッ……胸糞悪ィな……」

周藤「はあ……」

南錠「もう、覚悟決めるしかあらへんな……」

鉄「僕は幸運、僕は幸運、僕は幸運……」

ラバン「……私達は、貴方の手のひらの上で転がされたまま終わりはしマセンよ」

一色「さて……面白いものを見せてくれたまえよ」

伊賀ノ原「……よし」

本居「…………。」



これから、命がけの学級裁判が、始まる。

10本目の毒薬の小瓶は見つからなかった。

でも、その存在の可能性や、個室のメモを考慮すると

やっぱり継美ちゃんは、自殺なんかじゃないはずだ。

継美ちゃん……見ててね。

貴方の無念を、皆と一緒に、晴らすから。

必ず犯人を突き止めて……生きて帰ってくるから!

本日22時より学級裁判編を開始します。書き溜めてあるのでサクサク進むはずです。

基本安価進行しますが、テンポが悪くならないよう、多少ルールは付け加え、開始前に告知します。(同じ間違え方をした場合は採用しない、意図的に誤答を選択し続けていると判断した場合は採用しない等)


-コトダマリスト-

[モノクマファイル1]>
『被害者は超高校級の語り部、影野継美。死亡推定時刻は18時頃。死体の発見現場は食堂』

[死体の状況]> 
『影野の死体に外傷は無く、口から血を吐いているのみだった。毒殺かと思われる』

[空の小瓶]> 
『影野の制服の内ポケットに入っていた厚いプラスチック製の小瓶。中身は空。瓶のラベルには毒薬と書いており、毒薬は即効性で無味無臭、無色透明な液体だったらしい』

[用意されたお茶]>
『食事の為に用意されたお茶は、皆の好みに合わせられていた。

・甘い紅茶:足立山、伊賀ノ原、影野、丹田、本居
・スパイシーな紅茶:一色、樹村、周藤、南錠
・緑茶:獄門、伝法寺、吉田
・烏龍茶:神崎、鉄、沢渡、ラバン』

[影野のメモ]> 
『影野の個室には、自分が裏切り者であり、獄門を殺す計画を立てていることを記述したメモがあった』

[倉庫の小瓶]> 
『倉庫の奥の棚には、毒薬入りの小瓶8つが、むき出しのまま横にして並べられていた。小瓶は全てプラスチック製』

[樹村の証言]> 
『倉庫にあった毒薬の小瓶は、2日目の朝にはむき出しの状態で棚に置かれていたらしい』

[倉庫の箱]> 
『倉庫の奥にあった箱には差し込み口があり、ちょうど小瓶が10本入るようになっていた。元々は小瓶が入っていたと思われる』

[飲みかけの水]> 
『倉庫の奥の棚で発見された、飲みかけのミネラルウォーター。ペットボトルに入っている。事件との関連性は不明』




学級裁判について

・基本安価進行

・【】←カッコの中の発言に異議を唱える
《》←カッコの中の発言に同意する

・【】、《》内の言葉を抽出してコトダマとすることも可 

・コトダマ(証拠)リストは>>356

・同じ間違え方をした場合は安価下

・意図的に、意味も無く誤答を選択し続けていると見なした場合(証言というヒントが出ているのにそれ以外からコトダマを選択する等)は安価下

ダンガンロンパとしてのストーリーの進行を過度に妨げられ続けない為のルールを作っているだけなので、それを面倒だと感じられ、参加者がいなくなるということが無い限りは安価進行したいと思っています。


学 級 裁 判 、 開 廷 !


モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう!」

モノクマ「学級裁判の結果は、オマエラの投票により、決定されます!」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがお仕置き。だけど、もし間違った人物をクロとした場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員がお仕置きされ、皆を欺いたクロだけが、晴れて卒業となりまーす!」

伝法寺「……始める前に確認しときたいんだがよ……」

伝法寺「本当に、この中に犯人がいるんだろうな?」

モノクマ「当然です」

モノクマ「超高校級の語り部、影野継美さんを殺した犯人は、間違いなく、この中にいます」

周藤「あ……ついでにもう1つ聞きたいんだけど」

周藤「あそこの……趣味の悪い写真は何なのさ……?」

裁判場の空席、

恐らく、継美ちゃんの席になる予定だった場所には、

周藤さんの言う通り趣味の悪い、遺影紛いのものが設置されていた。

写真には、血のような色のペンキで、×印が描かれている。

モノクマ「……殺されたからって、議論に参加させないのは可哀想じゃん?」

モノクマ「ただ、それだけの話だよ」

モノクマ「……さて、もう質問はない?……無ければ……」

モノクマ「とっとと、議論を始めやがってくださーい!」

南錠「議論、言うてもなぁ……」

南錠「何から始めたらええんやら、分からんわ」

樹村「じゃあー、犯人の人はー、手ー挙げてくーださーい!」

伝法寺「んなもんで犯人が手ェ挙げるわけねェだろうが……」


伊賀ノ原「ぼ、僕含め、動揺してる人が多いだろうし」

伊賀ノ原「ま、まずは、基本的な情報を整理するのが良いんじゃない?」

沢渡「ああ、それは良いッスね」

沢渡「議論の軸になるような情報は、全員が把握しておくべきッス」

獄門「確かに……そこで勘違いが起こっていたら、議論のテンポも悪くなるしな」

基本的な情報の整理……か。

確かにそれは、必要なことかもしれない。

ラバン「こういう場に慣れていない人もいるでしょうし、私も賛成しマスよ」

足立山「……今の、慣れてる側の発言に聞こえるんだけど」

ラバン「……?確かに、ある程度慣れてはいマスが……」

鉄「うわぁ……なんだか、ラバン君がハードボイルドなキャラに見えてきたよ……」

周藤「一体、過去にどんな体験をしたって言うんだい……」

ラバン「ま、まあ、それは今は置いておきマショウ」

ラバン「何せ、命が掛かっているんデスから。ふざけたり、無駄話をしている暇はありマセンよ」

丹田「……あのさー」

丹田「全員いる場で起こった殺人だし、このファイルもあるし……」

丹田「しかも、ラバンの言う通り命が懸かってるのに、基本的な情報を把握出来てないヤツなんかいないんじゃないのー?」

丹田「個人的に、さっさと本題に入りたいんだけど?」

神崎「まあまあ……だからこそ、『念には念を』ですよ」

丹田「チッ……面倒くせぇな」

獄門「……それじゃあ、今回の事件について分かってることを、おさらいしようか」

……最初の議論が、始まる。

議論が間違った方向に誘導されないように、

思ったことは積極的に発言していかないと……。

……継美ちゃんを殺した犯人を見つける為にも、

そして、私達が生き残る為にも、

こんなところで躓くわけには、いかない!


ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
)[モノクマファイル1]>




獄門「【被害者は影野継美……】」

獄門「【超高校級の語り部だったな】」

神崎「【殺されたのは食事会が始まった直後……】」

神崎「用意されていた紅茶を飲み干した途端、【血を吐いて倒れた】んでした」

足立山「死亡推定時刻とも一致してるし……」

足立山「そこは間違いないはずよね……」

樹村「【死亡推定時刻ってー、確か19時だったっけー?】」

伝法寺「……話聞いてんのか、コイツは」

丹田「はぁ……頭痛ぇ……」

樹村「……あれれ?間違った?」


↓2


[モノクマファイル1]>
→【死亡推定時刻ってー、確か19時だったっけー】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!



本居「いや……死亡推定時刻は、18時頃になっていたはずだよ」

本居「モノクマファイルを、もう一度確認しよう?」 

樹村「あららー、ほんとだー」

樹村「いやー、めんごめんごー」

獄門「そう、18時頃……これは食事会開始時間と一致している」

周藤「あの時間に継美ちゃんが死んだのは、間違いないみたいさね」

丹田「ったく……その程度のことも頭に入ってないなんて、アンタは捜査時間中何してたわけ?」

鉄「ま、まあまあ、注意された先から、無駄な喧嘩はやめとくとして……」

鉄「問題はさ、継美ちゃんの死因が、ファイルからは分からないことじゃないかな?」

伊賀ノ原「そういえば、その点はモノクマファイルに記述がなかったね……」

南錠「ほんまやね……他の情報は書いてあるのに」

南錠「モノクマ、これはどういうことなん?」

モノクマ「……モノクマファイルには、何でもかんでも書いてあるわけじゃないからね」

モノクマ「ボクはあくまで中立の立場だから、教えても問題がないと判断した情報しか開示しないよ」

一色「……ふっ。つまり、逆に言えば……」

一色「モノクマファイルに書いていない情報は、事件の解決に繋がる、重要性の高いものだということになるな」

一色「影野君の死因……突き止めるべきなのではないかい?」

獄門「確かに、一色の言う通りだ」
 
獄門「次は、影野の死因について考えていこうか」

モノクマが、意図的に書き漏らした情報……

継美ちゃんの死因……

犯人とどう関係してるんだろう?


ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
)[モノクマファイル1]>

)[  死体の状況  ]>
)[  樹村の証言  ]>


伊賀ノ原「これも確認事項に近いことだろうけど……」

伊賀ノ原「影野さんの死因は何だったんだっけ?」

樹村「《ロープか何かで首を絞められた》んじゃなーい?」

樹村「継美ちゃん、血を吐いてたしー」

神崎「《後ろから包丁で刺された可能性もありますね……》」

神崎「遺体の背中がどうなっていたか、どなたか調べました?」

丹田「テメーら、マジで言ってんのかよ……」

丹田「どー考えても、《毒殺以外にねーだろーが!》」

↓2


[死体の状況]>
→《毒殺以外にねーだろーが!》

正解!

本居「それに賛成だよ!」同意!



本居「丹田さんの言う通り……継美ちゃんは毒殺されたんだよ」

本居「死体に外傷はなかったし……継美ちゃんの死体のポケットから、毒薬の小瓶も見つかってる」

丹田「はいはい、わざわざ代弁してくれてありがとー」

丹田「せっかくだし、美代子ちゃんって呼ぶ権利でもあげよっか?☆」

南錠「……あれ?でもちょっと待ってや」

南錠「継美はんの遺体から毒薬の小瓶が見つかったってことは……」

南錠「毒薬を使うたんは、継美はんってことなん?」

そう……なるんだよね……。

ラバン「影野サンが使用した毒薬により、影野サンが死に至った……」

ラバン「素直に捉えると、『自殺』ということになりマスが……」

周藤「自殺……だって……!?」

足立山「この生活に耐え切れなくて……ってこと?」

丹田「わぁ、単細胞ばっかりだー!」

鉄「メイ探偵がいっぱいだね!」

沢渡「あ、ああ……早くも真衣ちゃんまでそっち側に……」

獄門「……落ち着いて、1つずつ整理していこう」

獄門「まず、毒が入っていたのはどこだ?」

獄門「どこから毒を接種して、影野は死に至った?」

獄門「……本居、お前には分かるか?」

本居「……え、私?」

毒がどこに仕込まれていたのか……

それは勿論……




-閃きアナグラム-

 ひ      ゃ

     る      こ

      ち

ら       う


○○○○(4文字)

↓2


[こうちゃ]

本居「読めた!」解!

COMPLETE‼


本居「……毒は液体だったみたいだし、紅茶に混ぜられてたって考えるのが自然だよね」

本居「継美ちゃんが倒れたのは、食事会が始まってすぐ、紅茶を飲み干した直後だし……」

本居「他のものを口に入れるタイミングなんて、無かったと思うよ」





神崎「果たしてそうでしょうか?」反論!





神崎「毒薬は紅茶に混ぜられていた……」 

神崎「それは正しいんですかね……?」

本居「……どういうこと?神崎君」

神崎「おや……聞いてくれるんですか?私なんかの話を」

何か穴があるって言うなら、

聞かないわけにはいかないよね……。


-反論ショーダウン- 

<コトノハ>
+[死体の状況]>
+[ 空の小瓶 ]>
+[倉庫の小瓶]>


神崎「紅茶に毒が混入されていた……」

神崎「果たしてそうでしょうか?」 

神崎「だって、流石に自分の飲み物くらい」

神崎「【飲む前に確認しますよね?】」

神崎「その時に、【色や臭いで違和感を覚える】はずなのでは?」

神崎「影野さんがそれを安易に口に含んでしまうとは、到底思えないんですが……」



矛盾する点があれば指摘
なければ「無し」と回答

↓2


+[空の小瓶]>
→【色や臭いで違和感を覚える】

正解!

本居「その言葉、斬らせてもらうよ!」斬!



本居「色や臭い……?」

本居「神崎君、それはおかしいよ」

神崎「おかしい……?」

本居「継美ちゃんのポケットに入っていた小瓶のラベルに、毒薬についての説明が書いてあったの」

本居「これを見てくれる?」

神崎「ええ、見せてください」

神崎「何々……毒薬は即効性で、無味無臭の透明な液体……?」

神崎「……なるほど」

神崎「これなら、影野さんに気づかれることなく、毒を口にさせることが出来るというわけですか……」

獄門「……疑問が晴れたようなら、続けようか」

獄門「毒は紅茶に含まれていた……それは良い」

獄門「次の疑問は、なぜ影野が用意した毒薬が、影野の紅茶に入っていたのか、だ」

丹田「影野の紅茶に入っていたのが、影野の用意した毒薬だとは限らないと思うけどねー」

獄門「……勿論、その可能性も大いにあるな」

獄門「なら、その可能性も含めて、検討していこうじゃないか」

丹田「……面倒くさ」

丹田「ま、いいよ。どうせ多数決制度だし」

丹田「続けなよ。口挟んで悪かったねー」

伊賀ノ原「えっと……さっき、自殺っていう説が出てたよね……」

伊賀ノ原「細かい複雑な事情はあるにせよ、その線じゃないの?」

継美ちゃんが自殺した……か。

やっぱり、そう考えちゃう人はいるよね。

本居「……いや、それはあり得ないんだ」

伊賀ノ原「……え?」

…………。

これを提出すると、

きっと皆の継美ちゃんへ印象は最悪になる。

……でも、提出しないわけにはいかない。

真実を……暴くためにも。



【コトダマを提示しろ!】

↓2

【影野のメモ】

正解!

本居「これよ!」解!


本居「これ……継美ちゃんの個室にあったメモなんだけど」

本居「この部分……見て、もらえるかな」


『1日目夜
この日の夜、モノクマから裏切り者になるよう脅迫された。断ることも出来たと思うけど……家族の命を引き合いに出され、私は結局断れなかった。ごめんなさい』

『3日目夜
動機提示について事前に説明を受ける。私の分の動機は用意されていないらしい。上手く立ち回ることを命令されると共に、誰かを慰めたり励ましたりという動きを禁止された』

『4日目夜
モノクマから、もしもの場合は殺人に動くよう指令を受けた。その後に、学級裁判という犯人探しも行われるらしい……今更、悩んだって仕方がない。家族の為に、私はもう……やるしかない。』

『5日目昼
結局、私が殺人に動くことになってしまった。モノクマから毒薬も受け取った。元々倉庫にあったものらしい。悩んだけど、標的は獄門君に決めた。あまり悪い人には見えなかったけど……指名手配犯という肩書きを持つ彼を殺すのが、1番罪悪感を感じなくて済む気がした。

私はもうすぐ、人を殺す為に食堂へ向かう。私自信、この後どうなるか分からないから、初日からあったことをここにメモしておきました。』


伝法寺「裏切り者……モノクマから殺人の指令……だァ?」

獄門「…………。」

丹田「……ふん。趣味悪いよねー」

丹田「モノクマ、これってさ、家族を脅迫材料にして、アンタが殺人を迫ったってことで良いんでしょ?」

モノクマ「……さあ?どうでしょうねえ」

ラバン「下劣な……」

一色「へぇ……こんなものが……」

一色「残念だよ……。全く美しくない。がっかりだ……」

伊賀ノ原「こ、こんなの……!」

伊賀ノ原「こんなの、最初と言ってたことと違うじゃないか!」

伊賀ノ原「出たいなら人を殺せっていう話だったんじゃなかったの!?」 

足立山「そ、そうだよ!」

足立山「これじゃ、アイツは、ここから出る為じゃなく……」

足立山「あんたに脅されて、仕方なく獄門を殺そうとしたってことになるじゃん!」

次々と、非難の声が上がる。

モノクマ「……あのさ」 

モノクマ「今、そんなことは、どうだっていいでしょ?」

周藤「な……!?」

モノクマ「大事なのは、影野さんを殺したクロは誰なのか……」

モノクマ「影野さんがどういう事情を抱えてようと、関係ないじゃーん!」

南錠「血も涙もないんか……こいつには……!」

鉄「……でも、先にクロを見つけないと、僕達全員が処刑されちゃうのは確かだよね」

鉄「なら、先に犯人を見つけて……」

鉄「その後に……徹底的に問い詰めようよ」

沢渡「……そッスね」

一色「そうすべきだろうな……」

一色「黒幕自ら手を引くなど、実につまらない事件だ。さっさと終わらせてしまおうではないか」

……一色君の言い方は相変わらず気に入らないけど

確かに、今は継美ちゃんを殺したクロを特定することが先決……。

そうしないと、私達は、ここで……終わってしまうんだから……。


沢渡「つぐみんは獄門君を殺そうとしていた……」

沢渡「でも、実際に死んだのはつぐみんッス」

沢渡「意図的な自殺の線はなくなったにしても……」

沢渡「一体、どこで手違いが起こったんスかね?」

足立山「……それはさ、簡単なことなんじゃないの?」

周藤「……え?」

簡単なこと……?

神崎「足立山さん、その話、詳しく聞かせてもらっても良いですか?」 

殺されるはずだった獄門君が生存し、

殺す側になるはずだった継美ちゃんが殺された理由……

足立山さんには分かってるのかな?


ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
)[ 樹村の証言 ]>
)[ 倉庫の小瓶 ]>
)[用意されたお茶]>



神崎「足立山さんには、手違いの原因が分かるんですか?」

足立山「……簡単なことでしょ?」

足立山「【確か獄門は、超高校級の幸運も持ち合わせてる】のよね?」

足立山「なら、【自分に降りかかる災難を退けるくらいのことは出来る】んじゃないの?」

足立山「獄門は、【幸運によって、毒の入った紅茶を回避して……】」

足立山「その結果、【影野の飲む紅茶が、毒入りのものになった】」

足立山「……どこか、変なとこある?」 

鉄「……因みにだけど、その場合……」

鉄「《クロは獄門君になる》のかな?」

鉄「それとも《継美ちゃんになる》のかな?」

沢渡「うーん……微妙なところッスね……」


↓2


[用意されたお茶]>
→【幸運によって、毒の入った紅茶を回避して……】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!



本居「足立山さん……それはおかしいよ」

足立山「え……?」

本居「そもそも獄門君は、紅茶を飲んでないんだ」

本居「そうだよね?獄門君」

獄門「……ああ」

獄門「食事会では、皆の好みに合わせて料理や飲み物を出していたからな」

獄門「俺は緑茶を頼んだし、実際に緑茶を出された」

丹田「当然、口にしたのも緑茶よねー?」

獄門「勿論だ」

丹田「そんじゃ、影野は緑茶に毒薬を入れて、獄門の席に置いたわけだ」

鉄「……あっ、そうか」

鉄「確か継美ちゃんは、甘い紅茶を選んでたよね」

本居「そう……いくら獄門君が幸運で、毒を回避できたとしても……」

本居「それが継美ちゃんの席に回ることは、あり得ないよ」

本居「そもそも、2人は選んでいる飲み物が違うんだから!」

足立山「……!」

足立山「……その通りね……」

鉄「仮に起こったとしても、それこそ色や臭いで違和感を覚えるはずだよねぇ?」

神崎「……ですね」

獄門「実際、影野が飲んだのは、甘い紅茶で間違いなかったはずだ」

獄門「俺を殺すために、緑茶に毒を入れたとしても……」

獄門「影野がその毒を口にして死んだ、なんて可能性は消えるな」

周藤「……あれ?ちょっと待ちなよ」

周藤「それじゃあ、獄門に盛られた毒は、どこに行っちまったんだい?」

周藤「緑茶を選んだ人達も全員、モノクマに言われて、飲み物には手をつけてた筈だろう?」

周藤「致死量を摂取していなかったとしても、誰にも何の異常も無いのは不自然に思えるけど」

獄門「ああ、俺は間違いなく緑茶を飲んだ」

獄門「でも、死んでない。何故だろうな?」

獄門君が、緑茶を飲んでも死ななかった理由……か。

本居「……分かるかもしれない」

樹村「えー?ほんとー?」

樹村「聞かせて聞かせてー優樹菜ちゃーん」

獄門「へぇ、折角だし、また答えてもらおうか?」

獄門「影野は毒を盛ったのに、俺が死ななかったのは何故だ?」



1.そもそも盛られたのは毒ではなかった
2.緑茶によって解毒された
3.誰かが毒を取り除いた

↓2


不正解!

本居「(……いや、一度盛られた毒を取り除くとなると、飲み物を全て捨てることになる)」

本居「(その為には、厨房に戻って、用意された飲み物を捨てて、また淹れ直すという作業が必要……)」

本居「(こっそり毒を盛ることとはワケが違う。準備時間の厨房の状況を考えると、これはあり得るのかな……?)」

獄門「……どうした?分からないのか?」

本居「い、いや、ちょっと考え直してただけ……」

本居「(となると、可能性は1つだよね……!)」



発言力
☆☆☆☆☆→☆☆☆☆

↓1


【1.そもそも毒なんて盛られていなかった】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「継美ちゃんは毒なんて盛っていなかった……」

本居「そうとしか、考えられないよ」

南錠「ええ……ここに来て、そこから否定するん?」

周藤「い、今までの議論って、継美ちゃんが殺人に動いたって前提で進めてきたよね?」

周藤「それを否定するとなると、ここまでの議論が殆どパァに……」

本居「いや、継美ちゃん自身は、きっと毒を盛ったつもりだったんだよ」

本居「ただ、実際に小瓶に入っていたのは、毒じゃなかったってこと」

一色「……なるほどね」

一色「しかし、クロが緑茶から毒を取り除いた上で、犯行に及んだ、という可能性はどうだ?」

一色「この場合、毒が盛られていても、犯行は成立するように思うが」

本居「……いや、毒を盛るのは、皆の目を盗んで、こっそり毒を入れるだけで済むけど……」

本居「盛られた毒を抜くには、一旦厨房に行って、お茶を全部捨てて、もう一度お茶を淹れて、食堂のテーブルに戻す必要があるよね」

本居「厨房内は周藤さんが監視していたし、急にお茶を捨てに来て淹れ直すなんて不自然な動きをしたら、流石に目に入るよ。」

本居「食堂のテーブルに持ってくるまでの間は、飲み物の用意を頼まれた継美ちゃんが管理してただろうから、手の出しようがないしね」

本居「……それに、継美ちゃんの持っていた小瓶に、別の液体が入っていた可能性を示す証拠もあるんだ」

一色「……ほう?それは何だね?」

毒薬は、無味無臭で、透明の液体……

代わりに入っていて違和感の無いものとなると……

……シンプルに考えれば、分かるはず!



【コトダマを提示しろ!】

↓2


【飲みかけの水】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「多分……代わりに入っていたのは、水だよ」

周藤「み、水……?」

本居「毒薬は、無味無臭で透明……」

本居「代わりに入っていておかしくないのは、水くらいしかないよね?」

一色「……その通りだな」

沢渡「えっと……毒薬は確か、倉庫にあったっスよね?」

沢渡「っつーことは、誰かが事件前に毒薬の存在に気づいていて……」

沢渡「毒薬の中身を全部、水に変えておいたってことッスか?」

丹田「はぁ……」

丹田「あのさあ、事前に中身が全部変わってたなら、どうやって影野が毒殺されるんだよ!」

沢渡「ひっ!み、みっちゃん怖過ぎッス……」

南錠「全くもう……みっちゃん、ちょっと落ち着きんさい」

丹田「しつけーな!みっちゃんって呼ぶなっつってんだろタコ!」

本居「ちょ、ちょっと、丹田さん、落ち着いて……」

本居「丹田さんの言う通り、全部の毒薬が水に変わってた、っていうのはないと思うよ」

本居「ペットボトルの水もそんなに沢山減ってないし……時間もかかり過ぎる」

本居「実際は多分、継美ちゃんが持ってた小瓶の中身だけ、水に変えられたんだよ」

伊賀ノ原「それは、偶然……ではなさそうだよね」

本居「うん……勿論、偶然じゃない」

本居「誰かの手によって意図的に、継美ちゃんの持つ小瓶の中身が、水に変えられたんだ」

足立山「影野が毒を取得する前に、取得する小瓶を予知して中身を変えるなんて出来っこないし……」

足立山「取得した時は毒薬だったものが、使う時には水に変わってたってこと?」

足立山「そんな魔法みたいなこと、どうやって……」

伊賀ノ原「……いや、ちょっと待って」

伊賀ノ原「超高校級の幸運なら、小瓶を取得する前に1つだけ中身を入れ替えてても……」

伊賀ノ原「影野さんに水の小瓶を掴ませることが出来たんじゃないの?」

鉄「いや……超高校級の幸運って、そんなに都合の良いものじゃないんだけど……」

獄門「鉄の言う通りだ」

獄門「そもそも、俺達のどちらかでも、他人の動きを操作できる程の幸運を自由に操れるなら……」

獄門「今ごろ、全員この学園を脱出できているだろう」

獄門「偶然黒幕が死んで、偶然出口を発見するように幸運を操作すれば済む話なんだからな」

ラバン「そう言われると……幸運の才能を使用した線で考えるのは、現実味が無いような気がしますね」

伊賀ノ原「む……そっか、確かに……」


神崎「……ところで、1つ気になることがあるのですが、よろしいですか?」

伝法寺「あ?何だよ」

神崎「もちろん毒を水に入れ替えた方法も気になりますが……個人的には、理由も気になるんですよね」

周藤「理由……?」

神崎「ええ。犯人が、影野さんの犯行を止めた理由です」

神崎「犯人にとって、影野さんが獄門さんを殺すことに、デメリットはあったのでしょうか?」

一色「……学級裁判のルールが告知されたのは、事件の後だ」

一色「それまでは、誰にもバレず人を殺せば出られる、としか伝達されていない」

一色「影野君の犯行を見過ごした場合に、先に影野君による殺人が成立してしまうことを懸念したのではないか?」

沢渡「『卒業』出来る人数に関しては、記述がなかったッスけど……」

沢渡「逆に言えばそれは、先着1名のみという可能性も含んでるってことッスからね」

本居「そもそも、今回の事件は、継美ちゃんの自殺に見せかけようとした側面もあると思うよ」

本居「一見そう見せかける為にも、継美ちゃん以外に被害者が出ると、犯人にとって不都合だったんじゃないかな」

神崎「……なるほど」

神崎「納得しました。つまらないことで口を挟んでしまい、申し訳ありません」


伝法寺「……他に疑問がねェなら、話を戻すぞ」

伝法寺「問題なのァ、影野が持ってた毒薬が、どうやって水に変えられたのか……なんだろ?」

そう……問題はそこ……

獄門「……難しく考える必要は無いんじゃないか?」

獄門「想像以上に単純な方法だと思うぞ、俺は」

本居「想像以上に、単純……?」

獄門「ああ、ここにおいて、小難しいトリックなんてもんは無いと思うけどね」

つまり……

素直に考えれば、答えは出る……?

ちょっと、考えてみよう。

難しく考えず……単純に……。





-ロジカルダイブ-

Q1.小瓶の中身が水に変えられたのはいつ?

1.影野が小瓶を取得する前
2.影野が小瓶を取得した後


Q2.犯人は、毒の小瓶の中身をどこで水に入れ替えた?

1.食堂
2.厨房
3.倉庫


Q3.犯人は、影野の小瓶をどうやって入手した?

1.貰った
2.盗んだ
3.入手していない


↓2


不正解!

本居「(……あれ、上手く行かなかった……)」

本居「(小瓶の中身を水に入れ替えるなんて作業、人目につくところでは出来ないはず)」

本居「(そもそも、ラベルに毒薬って書いてあるんだもんね)」

本居「(よく考えると、その水自体があった場所こそ、食事会準備前は人目につかない場所だったかもしれない……)」

本居「(継美ちゃん以外の人間が小瓶の中身を入れ替える為には、小瓶を取得するしかないし……)」

本居「(継美ちゃんは本気で獄門君を殺そうとしてたし、家族について脅されてたのに逆らうなんてこと考えにくいよね……)」

本居「(……もう一度、今のをまとめて考え直してみよう)」



発言力☆☆☆☆→☆☆☆

↓1


【2-3-2】

正解!

本居「読めた!」解!

COMPLETE‼



本居「そうか……単純な方法って……」

本居「犯人は、継美ちゃんから小瓶を『盗んだ』ってこと……!?」

周藤「ぬ、盗む……?」

周藤「さ、流石に、それは難しい気がするけど……」

樹村「超高校級の盗人でもいるなら別だけどー」

樹村「この中にはー、そんな人いないしねー」

丹田「……まあ、それでも私は本居と同じ見解だよ」

丹田「ようやく、スタート地点だねー?」

丹田「つまり、この学級裁判は……」

丹田「この中にいる、高い盗みのスキルを持つヤツを探し当てるゲームなんだよ」

高い……盗みのスキル……

……あれ?そう言えば……

本居「待って、丹田さん……」

本居「私、それが誰か、分かるかもしれない」

丹田「……は?知ってんのかよ?」

獄門「本当か?本居」

本居「要するに、盗みの上手い人を指摘すれば良いんだよね?」 

樹村「優樹菜ちゃんにはー、分かるのー?」

沢渡「そ、それって誰なんスか?」

この中にいる、盗みの上手い人って……

私の知ってる限りでは、あの人しか……



【怪しい人物を指摘しろ!】

↓2


【南錠京】

正解!

本居「貴方しか……いない!」解!



本居「南錠さん……」

本居「貴方は確か、手癖が悪くて困ってるって、前に言ってたよね?」

本居「この前、倉庫で継美ちゃんにバレずに内ポケットから髪留めを盗むなんて荒業もやってのけていたし……」

南錠「…………」

本居「貴方なら、継美ちゃんの毒薬を、水に入れ替えられたんじゃない?」

本居「いつもの手癖の悪さで小瓶を盗んでしまって、貴方は中身が毒薬であることから、継美ちゃんの殺意を知った」

本居「そこから、小瓶の中身を入れ替えて、また継美ちゃんのポケットに戻せば……」

本居「あたかも継美ちゃんが自殺したかのように見せた上で、殺人を成立させることが出来るはずだよね?」

南錠「…………」

丹田「……へぇ、そこの女が、ねぇ」

沢渡「みやちゃんが、つぐみんの計画を乗っ取った……ってコトなんスか?」

獄門「……本居はこう言っているが、どうなんだ?南錠」

疑いの目が、南錠さんに向けられる。

南錠さんは、暫く黙った後……

南錠「……ふふっ」

ふてぶてしく、笑った。

南錠「おもろいこと言わはるんやなぁ、優樹菜はん」 

南錠「生憎……うちは、そんなスキル持ってへんで?」

……え?

南錠「でも、これでハッキリしたわぁ……」

南錠「優樹菜はん、うちを嵌めようとしてるんやね」

南錠「うちに罪を着せて、ここから脱出しようと……。」

南錠「……つまり、あんさんが盗みのスキルを持ってるんやろ?」

……ああ。

そうか。

そうだったのか……。

理屈で答えに辿り着いていても

いまいち確信が持てていなかった。

でも、今、はっきりと分かった。

この人が、継美ちゃんを……





……殺したんだ。





───────────学級裁判、中断!


 学 級 裁 判 、再 開!


獄門「……2人の主張が食い違った、か」

丹田「この場合さー、ほぼ、どっちかがクロだと見て間違いないよね?」

一色「このルールで、他者を庇うことにメリットはない」

一色「人を殺すことが脱出条件である以上、共犯の場合、実行しない共犯者にはメリットは無いのだからな」

伝法寺「……勘違いさえなけりゃァ、南錠か本居がクロになんのか」

丹田「じゃ、どうせ南錠だろ?胡散臭ぇし」

鉄「それに賛成だよ!」

南錠「……酷いなあ」

南錠「まあ、うちは素でこんな感じやから……」

南錠「だからこそ、罪を着せる相手に選ばれたんちゃうかな」

本居「……確認だけど、私以外に、南錠さんの手癖の悪さについて知ってる人はいないの?」

「…………」

…………。

いない……のか……。

じゃあ、本当に、あの時の私と継美ちゃんだけにしか……。

足立山「……い、命が懸かってる選択で、そんな勘みたいなのは無しにしてさ」

足立山「2人のどっちがクロか、見分ける方法はないわけ?」

樹村「……あ!巴、いいこと思いついたー」

樹村「ここでー、スリの実演してもらえばー?」

樹村「きっとー、上手かった方が犯人だよー!」

伝法寺「ンなもん、犯人の方が下手くそなフリすりゃ分かんねェだろうが」

伊賀ノ原「……あれ?まさか、手詰まりじゃないよね?」

本居「……正直、更に追い詰める証拠って言われると……」

……何か無い?

何か……

南錠さんの犯行を証明するもの……

本居「……あ」

本居「そう言えば、南錠さんは初日、学園内のMAPを持ってきたよね」

本居「あれは、モノクマから盗んだものなんじゃないの?」

南錠「……いや?あれは玄関ホールの隅っこに置いてあったよ」

南錠「そこは、初日一緒におった、みっちゃんと、巴はんが証言してくれるはずやで」

丹田「……まあ、そこはソイツの主張が正しいよ」

丹田「あの地図は普通に置いてあっただけで、盗み云々とは無関係」

本居「そ、そうなんだ……」

と、なると、本格的に何も無い気が……。


鉄「……証拠がないなら、作れば良いよ」

本居「……え?」

鉄「お互いの主張について、まとめてみない?」

鉄「議論を続ければ、犯人は必ずボロを出すって」

鉄「それを見逃さないようにすれば……必ず真相は暴けるよ」

真衣ちゃんは、私の方を見て、そう言った。

……そうだ。

まだ、諦めるには早過ぎる。

継美ちゃんの為に、

皆の為に、

自分の為に、

……必ず、南錠さんの犯行を証明する!

コトダマリスト >>356


ノンストップ議論-HEAT UP!-

【コトダマ】
)[ 空の小瓶 ]>
)[倉庫の小瓶]>
)[樹村の証言]>



獄門「お互いの主張を聞こうじゃないか」

獄門「さっき本居の主張は聞いたし、次は南錠に聞くが、本居はどういう流れで犯行に及んだと見ている?」

南錠「そんなん、至って単純やろ」

南錠「まず、【手癖の悪い優樹菜はん】は、【食事会の準備中に、継美はんの持つ小瓶を盗んだ】」

南錠「【それが毒薬であることに気づいた】優樹菜はんは、倉庫に行って……」

南錠「隅っこにでも中身を捨てて、【小瓶に水を詰めた】んや」

南錠「その際に、【箱の中から、もう1本毒薬の小瓶を取り出して、】持っていった」

南錠「あとは、【もう一度継美はんに接触して、】【水の小瓶を戻して……】」

南錠「飲み物がそれぞれの席に置かれた後、皆の目を盗んで、【こっそり継美はんの紅茶に毒を入れた】」

南錠「これで、犯行は成立や」

南錠「盗人だけに、皆の目を盗むのも上手いとは、恐れ入るわぁ」

獄門「……どうだ?本居」

獄門「これについて、何か反論はあるか?」


↓2


[樹村の証言]>
→【箱の中から、もう1本毒薬の小瓶を取り出して、】

正解!

本居「その矛盾、撃ち抜くっ!」論破!

BREAK!!



本居「箱の中から、もう1本毒薬を取り出した……?」

本居「それは、樹村さんの証言と矛盾してるよ!」

南錠「……え?そんなはずは……」

獄門「それは確か、俺も聞いたな……」

獄門「樹村の証言によると、事件当日には、既に毒薬は箱の外にあったんだったか」

樹村「えへへー、そーだよー」

本居「そう、その証言が正しいなら……」

本居「犯人が箱の中から毒薬の小瓶を取得したなんて、あり得ないんだよ!」

本居「南錠さん、どうして、『箱の中から』なんて言ったのかな?」

南錠「……うーんと、それはやね……」

南錠「ほ、ほら、毒薬の近くには、箱があったやろ?」

南錠「つい、そこに入ってたもんやと思ってしもたんよ」

丹田「……ふーん?露骨に怪しいけどねー」

丹田「大体、アンタは死体の見張りをしてたでしょ?」

丹田「ここまでの議論で、犯行に使われた毒薬があった、倉庫の様子の話なんて出てなかったけど……」

丹田「どうして、その辺りの情報を知ってるのー?」

……確かに、ここまでの議論で、

倉庫の様子までは話題に上がっていなかったよね……。

南錠「ど、どうやったかなぁ……うちも記憶が曖昧で」

南錠「たぶん、捜査中に、誰かが事件のことについて話してるのを聞いたんかな?」

丹田「ずいぶん歯切れが悪いね~」

南錠「う、うちかて、こんな事件が起こって動揺してるんや……」

南錠「記憶が多少曖昧なくらいで、言いがかりは止して欲しいわ」

鉄「多少、ねぇ……」


一色「……まあ、何故知っていたか、については、記憶が曖昧だと本人が言う以上、追及しても仕方がないだろう」

一色「それよりも、本居君の主張の方に、疑問が残る」

一色「そもそも、南錠君が犯人なら、どうしてこのような間違いをしたんだろうね?」

一色「犯人は、毒薬の所在について、最もよく知る人物のはず……」

一色「うっかり事実を言ってしまうことはあれど、事実と違うことを言うのは、不自然に思うが」

南錠「……あら、うちが犯人の前提?」

一色「いや、本居君の肩を持つわけではないよ」

一色「逆に考えたまえ。本居君に この説明が出来ないなら、南錠君の疑いは晴れることになるのだよ」

南錠「……なるほどな。ほな、ええか」

……確かに、

実際に箱から取り出すことなく、

棚にあった毒薬を取得したなら、

『箱から取り出して……』

なんて言うのはおかしい。

だとしたら……

本居「……可能性は1つしかないよ」

一色「その可能性とは?」

考えにくいことではあるけど……

"素直に"考えれば、こうなるはず!



1.実際は棚から毒薬を取得した
2.実際は箱から毒薬を取得した
3.実際は毒薬を取得していない

↓1


【2.実際は箱から毒薬を取得した】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「南錠さんは、実際に箱から毒薬を取得したんだよ」

本居「だから、それを正直に言ってしまった……」

沢渡「え……」

沢渡「そ、それは、ちょっと苦しくないッスか?」

足立山「その場合、樹村はどうして嘘をついてるのさ」

本居「……それは、分からないけど」

本居「強いて言うなら、樹村さんは超高校級の遊び人だよ」

本居「この状況でも……遊んでるんじゃないの?」

樹村「…………。」

南錠「ふふ、これで、うちの無実が分かったやろ?」

南錠「優樹菜はんの主張は、どう考えても苦し……

樹村「優樹菜ちゃん、すごいねー!」

樹村「どうして、嘘をついてるって分かったのー?」

沢渡「……え」

周藤「え?今……」

伝法寺「テメェ……嘘の証言をしてたってェのか?」

樹村「そーだよー」

樹村「そっちの方がー、面白そうだったんだもーん!」

樹村「あの倉庫の毒薬はねー、捜査が始まって1番最初に、巴が見つけたの!」

樹村「だからー、残っていた小瓶を箱から取り出して、棚に並べておいたんだよー」

樹村「その上でー、あんな証言をしておけばー」

樹村「バカな犯人さんが、引っ掛かってくれるかもしれないでしょー?」

やっぱり……そうだったんだ。

沢渡「な、なるほど……」

沢渡「ともちん、見かけによらず策士ッスね……」

樹村「えっへーん!すごいでしょ!」

鉄「……でも、これではっきりしたね」

鉄「毒薬は、事件当時箱に入っていた」

鉄「京ちゃんは、間違った証言があるにも関わらず、それを言い当てた」


南錠「あら……」

南錠「あらあらあら……」

南錠「ふふ、おもろいなあ、皆騙されて」

伊賀ノ原「騙されて……?」

南錠「まさに今、巴はんが嘘ついて遊んでるんやで?」

南錠「さっきまで本当のことを言ってたけど、優樹菜はんに言われて、乗っかって嘘ついとるだけや」 

本居「な……!」

本居「そ、そんな言いがかり、通用するわけ……!」

伊賀ノ原「……ん?そう言われると、確かに……」

周藤「どちらにでも見える感じはしてくる……ね……」

周藤「あくまで、2人の怪しさを考慮せず、巴ちゃん単体を見ての感想ではあるが」

本居「……っ!」

南錠「……どうやら、言いがかりではなかったみたいやね?」

樹村「えー?」

樹村「巴はー、今は本当のこと言ってるよー?」

こんな……

こんな言いがかりが、通用するなんて……!

……いや、落ち着いて考えれば分かるはず。

今、樹村さんは、本当のことを言ってるって

皆に……証拠で示せば良いんだ!

本居「皆、聞いて」

本居「今、巴ちゃんが本当のことを言ってるってことを示す、証拠があるの」

一色「……ほう?」

一色「面白い。聞かせてもらおうか」

本居「そもそも、樹村さんの嘘には、ある程度法則性があるんだ」

足立山「法則性……?」

証拠からも見えている、樹村さんの"もう1つの嘘"を提示すれば……

皆も、分かってくれるはず……!


【コトダマを提示しろ!】

↓1


不正解!

本居「(いや……2日目の発見時にラベルを見ていなかったっていう証言は、小瓶が箱にあったことが判明した今、既に崩れている)」

本居「(空の小瓶じゃ、樹村さんの"もう1つの嘘"とまで言い切れるものは示せない)」

本居「(もっとはっきり……樹村さんは明らかに不自然な"選択"をしていたはずだ)」

本居「(それを示せば……自ずと法則性も見えてくる……!)」



発言力
☆☆☆→☆☆

↓1


不正解!

本居「(飲みかけの水についての話は、確かに樹村さんの嘘を含んではいたけれど……)」

本居「(これは証拠にはならない。私と樹村さんの、2人しか証言できないことだ)」

本居「(樹村さんが嘘をついている可能性を疑われている以上、物証か、私達以外からも証言をしてもらえることである必要がある……)」

本居「(初日からの樹村さんの発言……よく見直してみると、ヒントがあるかもしれないな)」

本居「(もう一度、考え直してみよう)」



発言力
☆☆→☆

※発言力が無くなるとモノクマメダルで自動回復します

↓1


【用意されたお茶】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「この、用意されたお茶をまとめた証拠を見て」

伊賀ノ原「またこれ?」

伊賀ノ原「影野さんと獄門君が別のお茶を選んでたのは、さっき見たけど……」

本居「今度は、樹村さんが選んだお茶を見て欲しいんだ」

足立山「……スパイスの入った紅茶みたいだけど、それが何なの?」

伝法寺「……!」

伝法寺「樹村ァ、テメェ……」

樹村「えへへ~、またバレちゃった~」

伊賀ノ原「……??何がどうなってるのか全く分からないんだけど……」

獄門「最初の食事会のことだからな……この中の半数は分からないだろう」

獄門「樹村は俺達に、甘いものが好きで、辛いのが苦手だと言ってたんだよ」

獄門「でも、今回の飲み物はスパイシーな紅茶を選択した」

本居「しかも、モノクマの飲食拒否の禁止もあって、それを飲んでたはずだよね」

樹村「うん!本当は苦手じゃないしねー」

本居「苦手だと言ってたものが、実は苦手じゃなかった」

本居「箱の外にあったと言ってたものが、実は箱の中にあった」

南錠「……なるほどなぁ」

本居「その他にも、樹村さんの今回の裁判中での間違った発言は……」

本居「全部、最初に間違いを言って、後から訂正するって順番なんだよ!」

丹田「その法則を信じるなら、やっぱり南錠は、知ってるはずのない事実を知ってた、ってことになるねー」

本居「さあ、南錠さん、そろそろ認めてくれるかな?」

本居「貴方が、継美ちゃんを殺した犯人なんでしょう?」

南錠「うーん……せやなぁ」

南錠「……しゃーないな。認めるわ」

丹田「お、ようやく……」

南錠「継美はんの毒薬の中身を、水に変えたことだけ、な」

丹田「……は?」

南錠「確かにうちは手癖が悪くて、今回の事件でも継美はんの毒薬を盗んだわ」

南錠「そして、その中身を水に入れ替えたのも認める……」

南錠「でも、それだけや」

南錠「うちは、殺人自体には、何も関係しとらんよ」

丹田「……お前、なかなか胆据わってんな……」

獄門「毒の入れ替えと、殺人が別件という主張……」

獄門「筋が通るのか、議論し直す必要があるな」

南錠さんは、継美ちゃんの殺人を止めただけ……

これで筋が通るなら、南錠さんは犯人じゃない?

……ここは、しっかり見極めないといけないな。


ノンストップ議論
-HOPE vs Despair-

【コトダマ】
)[モノクマファイル1]>
)[ 用意されたお茶 ]>
)[  倉庫の小瓶  ]>



南錠「うちは、毒薬の中身を水に入れ替えただけや」

南錠「それ以外のことは何もしてへん」

獄門「どうして今まで嘘をついていたんだ?」

南錠「そら、言うたら疑われるからに決まってるやん」

丹田「毒の入れ替えと、影野の殺人が別件、ねえ……」

丹田「私は、それは【おかしい】と思うけどなー」

丹田「ちょっとさぁ、あんたの事件までの行動を、正直に話してみてよ」

南錠「……ええよ」

南錠「まず、【食堂に来たばっかりの継美ちゃんと接触して、】ポケットの中のもんを盗った」

南錠「で、盗ったもん見てみたら、毒薬やったから……」 

南錠「慌てて倉庫に行って、中身を捨てて、【替わりに水を詰めたんや】」

南錠「その時、毒薬を捨てる為に、倉庫の奥の方に行ったんやけど……」

南錠「偶然、毒薬が入った箱を見つけてしまったんよね」

南錠「毒薬が箱に入ってたのを知ってたのは、このせいやな」

南錠「で、【それを継美ちゃんのポケットに戻して……】」

南錠「後は、食事会が始まるまで、食堂で待ってただけやで」

南錠「どう?おかしいとこなんかないやろ?」


↓2


不正解!

南錠「……それのどこがおかしいん?」

南錠「水を詰めたことは紛れもない事実……その行動と、倉庫の小瓶は別に矛盾してないよね?」

本居「(……あれ、違ったみたいだ)」


発言力
☆→

モノクマメダル30→29

 →☆☆☆☆☆



本居「(南錠さんの発言には、必ず【おかしい】ところがあるはずだ)」

本居「(継美ちゃんの犯行を止めるだけなのであれば、必要ない行動や、不自然な行動は無かった……?)」

本居「(もし、止める為じゃなく、継美ちゃんの犯行を乗っ取るための動きをしている部分があれば……)」

本居「(きっとそれが……答えになるはず……!)」


↓2


[おかしい]>
→【それを継美ちゃんのポケットに戻して……】

正解!

本居「その矛盾、撃ち抜く!」論破!

BREAK!!



やっぱり……

毒の入れ替えと、今回の事件は、

分けて考えられるものじゃない!

犯人は……南錠さんだ!

本居「南錠さん、それはおかしいよ」

本居「だって、今回継美ちゃんのポケットに小瓶が入ってたのって」

本居「継美ちゃんの自殺に見せかける為の、偽装工作だったはずだよ?」

南錠「……!」

本居「南錠さんが、本当に継美ちゃんの犯行を阻止する為だけに動いたっていうなら……」

本居「毒薬を盗った時点で、目的を達成してるじゃない!」

南錠「そ、それは……」

南錠「ちょ、ちょっとした工夫やんか、そんなん」

南錠「わざわざ盗んだことをバラして、うちを恨ませるようなことしたくなかってん」

南錠「それよりも、実は中身は毒薬じゃなかった、って見せかける方が……」

南錠「うちの為にもなるし、継美はんの計画を折る為にも良いやろ」

本居「……まだ、逃げようとするんだね」

丹田「だんだん苦しくなってきたみたいだけどね~」

南錠「逃げる?苦しい?何を言うてはるん?」

南錠「うちは、事実を話してるだけやで」

一色「事実……か」

一色「だが、南錠君」

一色「君の主張には、もう1つ決定的に破綻している箇所があるよ」

南錠「……え?」

南錠「な、なんや?どこがおかしいって言うん?」

一色「……先ほどの証言にも含まれていたことだ」

一色「ここまで来たら、最後まで本居君に回答してもらおうか」

本居「!……うん、分かった」

さっきの南錠さんの証言の中には、

もう一つおかしい部分があった……?

もう一度、ちゃんと見直してみよう。

そして、今度こそ南錠さんを追い詰める……!


ノンストップ議論
-HOPE vs Despair-

【コトダマ】
)[モノクマファイル1]>
)[ 用意されたお茶 ]>
)[  倉庫の小瓶  ]>



南錠「うちは、【毒薬の中身を水に入れ替えた】だけや」

南錠「【それ以外のことは何もしてへん】」

獄門「どうして今まで嘘をついていたんだ?」

南錠「そら、言うたら疑われるからに決まってるやん」

丹田「毒の入れ替えと、影野の殺人が別件、ねえ……」

丹田「私は、それは【おかしい】と思うけどなー」

丹田「ちょっとさぁ、あんたの事件までの行動を、正直に話してみてよ」

南錠「……ええよ」

南錠「まず、食堂な来たばっかりの継美ちゃんと接触して、【ポケットの中のもんを盗った】」

南錠「で、盗ったもん見てみたら、毒薬やったから……」

南錠「【慌てて倉庫に行って、中身を捨てて、】替わりに水を詰めたんや」

南錠「その時、毒薬を捨てる為に、倉庫の奥の方に行ったんやけど……」

南錠「偶然、毒薬が入った箱を見つけてしまったんや」

南錠「【毒薬が箱に入ってたのを知ってたのは、このせいやな】」

南錠「で、それを継美ちゃんのポケットに戻して……」

南錠「後は、食事会が始まるまで、食堂で待ってただけやで」

南錠「どう?おかしいとこなんかないやろ?」


↓2


不正解!

南錠「……?うちが毒薬の箱を偶然見つけて、その存在を知るのが、なんでおかしいん?」

南錠「偶然見つけたもんをおかしい言われても、それは破綻とは言えんよ、優樹菜はん」

本居「(間違えたみたいだ……)」



発言力
☆☆☆☆☆→☆☆☆☆ 



本居「(そもそも、南錠さんが犯人じゃないとして、毒薬が箱にあるのを知るまでは問題ない)」

本居「(南錠さん以外が犯人の場合、犯人は毒薬を盗めなかったことになる。つまり、継美ちゃんの計画を知り得なかったんだ)」

本居「(その場合、今回の事件は突発的なものでない……突発的なものであれば原因が必要だけど、南錠さん以外が犯人の場合には、それがない)」

本居「(……そういえば、南錠さんが主張通りの手順で箱を発見したとき、箱の中に毒薬の小瓶は何本残ってたんだろう……)」

本居「(それを考慮して、もう一度考え直そう)」


↓1


【おかしい】→【それ以外のことは何もしてへん】

正解!

本居「その矛盾、撃ち抜く!」論破!

BREAK!!


本居「それ以外のことは何もしてない……?」

本居「……南錠さん、それは本当?」

南錠「もちろん、ほんまやで」

南錠「何度も言う通り、うちは殺人には関係してへん」

本居「……それは絶対おかしいよ」

本居「1つ、聞いても良い?」

本居「南錠さんは、毒薬の中身を入れ替える為に倉庫に行った時……」

本居「偶然、毒薬の入った箱を見つけたんだよね?」

南錠「ああ、そうや」

南錠「わざわざ個室に戻ってたら、継美はんに盗ったのを気づかれるかもしらんし……」

南錠「かと言って、毒薬を倉庫の扉の前に捨てたりなんか出来へんからね」

南錠「奥の方に行って中身を捨てようとしたときに、偶然見つけたんや」

本居「その時、箱の中に、毒薬の小瓶は幾つあったの?」

南錠「……!」

南錠「そ、それは……」

南錠「どう……やったかな……」


本居「この事件……南錠さんが犯人だったら、継美ちゃんの計画に気づいて、それを逆に利用しようとした突発的な犯行だけど……」 

本居「南錠さんが犯人じゃないなら、同時に、犯人が突発的に殺人を起こした可能性も消えるんだよ」

本居「だって、継美ちゃんの計画を事前に知ってたのは、南錠さんだけなんだから」

本居「となると、南錠さんからすれば、犯人は計画的に殺人を犯したことになる」

本居「継美ちゃんの計画と被ったのは、あくまで偶然、って主張になるよね」

丹田「全く、不自然なまでに"偶然"が多い主張だよね~」

本居「計画的な犯行なら、食事会が始まる少し前の段階で、犯人は既に毒薬を取得しているはずだと思うけど……」

本居「南錠さんは、毒薬が足りていないことに気づいてたのに、『何もしなかった』って言うの?」

南錠「ぐ……」

本居「そう、この場合、南錠さんは、食べ物や飲み物に毒薬が入ってる可能性を頭に入れてて、黙ってたっていうことになるんだよ」

本居「もし毒薬が盗んだものと合計で10本あったって言うなら、いつ犯人は毒薬を取得したの?」

本居「時間的に、南錠さんと鉢合わせしてもおかしくないはずなのに。」

本居「それに、そんなにギリギリに毒薬を取得したなら、突発的な動機が必要だと思うけど」

本居「南錠さんは、その動機を提示できるのかな?」

南錠「ぐぐ…………」

本居「さあ、南錠さん、まだ犯人じゃないって主張するなら」

本居「この違和感に、すべて説明をつけてみてよ!」

南錠「ぐぐぐ…………」 

南錠「……み、皆……騙されたらあかんよ……?」

南錠「結局、優樹菜はんの主張は、盗みが出来たから犯人や、ってだけ……」

南錠「そんなん言い出したら、包丁使える子は全員殺人鬼やで!」

獄門「いや、それは違うだろ……」

周藤「今回の犯行は盗みが上手い人にしか出来ないんだから……」

周藤「盗みが出来たから犯人、で合ってるんじゃないのかい?」

南錠「……な、なら、うちの身体を調べてみたら?」

南錠「犯人が使った毒薬の小瓶は、見つかってないんやろ?」

南錠「うちは事件発生から、ずっと死体の見張りをしとった」

南錠「うちが犯人なら、凶器は処分出来てないはずやろ?」

南錠「ほら……調べてみ」

丹田「はいはーい!私が調べるー!」

鉄「……一応、私も立ち会うよ」


丹田「……ふん、見つからないね」

鉄「え……」

本居「み、見つからない……?」

南錠「だ、だから、言うたやろ?うちは犯人じゃないもん……」

南錠「確かに、うちが怪しい動きをしたんは悪かったわ」

南錠「毒薬を盗むだけじゃなく、不必要な行動をして……」

南錠「毒薬が減ってるのを知ってたのに、それを黙ってて……」

南錠「皆が怪しむのも、無理ないわ」

南錠「……でもな、あくまでこれらは違和感であって、決定的証拠ではない」

南錠「むしろ、今うちが小瓶を持ってないことこそ……」

南錠「うちが白やっていう、決定的な証拠や!」

本居「そ、そんなの……嘘だよ!」

本居「丹田さん、本当に何も持ってなかったの?」

丹田「無いね~。全身くまなく触ったけど」

南錠「それはもう……あんなところやこんなところまで、調べられたよ」

南錠「でも、小瓶は無かった……それが真実や」

南錠「対して優樹菜はんは、捜査中に動き回ってたし……」

南錠「毒薬の小瓶を既にどこかに処分していたとしても、違和感ないわなぁ?」

伊賀ノ原「そう……なるのかな?」

伝法寺「……なーんかクセェけどなァ」

足立山「で、でも、処分する時間が無かったのに小瓶を持ってないなら、白ってことに……」

丹田「……どーせ適当なとこに捨てたんじゃないの?」

南錠「でも、うちは食堂から出てないんやから……」

南錠「その範囲内で捨てたなら、誰かに発見されてるはずやん?」

南錠「それが、見つかってない……となると」

南錠「犯人は、小瓶を個室にでも隠した、って言うんが妥当ちゃう?」

南錠「それが出来たんは、うちじゃない……優樹菜はんや」

……どういうこと?

南錠さんは、凶器をどこに隠したの?

このままじゃ、私が犯人にされてしまう……。

考えて……答えはきっとどこかにある……。

南錠さんが小瓶を処分した方法を、暴く!


-パニックトークアクション-

南錠「うちは嵌められたんや」

南錠「冤罪や!」

南錠「優樹菜はんが犯人なんやろ?」

南錠「うちは無実やもん……」

南錠「どうしても、うちを犯人にしたいなら……」





南錠「【うちの凶器の処分方法を、皆に証明してみいや!】」



1.ント 2.撮影
3.ゲン 4.レ

↓2


【レントゲン撮影】

本居「フィナーレよ!」

COMPLETE‼



本居「……確か、保健室にレントゲンを撮影する機械があったよね」

丹田「……は?何それ。そんなのあんの?」

沢渡「あ……!あるッスよ!指の治療をしに行ったときに、つぐみんが言ってたッス!」


────────────────────


影野「棚には……よく見かける応急措置用の医療品しかない、か」

影野「特に使用に危険性のあるような薬も無さそうだし、本当に『学校の保健室』って感じね」

沢渡「ま、実際そうッスからね」

影野「こっちは、身長、体重、視力を測定する為の器具……」

影野「それに……レントゲンを撮るための機械?」

影野「……こんなの、絶対使わないよね」

────────────────────


沢渡「沢山探索してたゆっきーと、引きこもってたみっちゃんの差が出たんスね……!」

丹田「……そ、そもそも、最初の探索の時に保健室についての報告が薄かったのが悪いだろうがよ」

本居「まあ、そんなわけだから、学園内で撮影出来るんだ。」

本居「南錠さん、撮ってみようか」

南錠「……え?」

南錠「な、なんでそんなことせなあかんの?」

本居「なんでって……無実を証明したいんでしょ?」

本居「プラスチック製の小瓶は、レントゲンに写るから……」

本居「それで南錠さんを取れば、隠し持ってる可能性も、"飲み込んだ可能性"も、ケアすることが出来るよ?」

南錠「……!」

足立山「飲み……込んだ……!?」

足立山「錠剤どころの大きさじゃないものを、丸呑みしたって言うの……!?」

本居「可能性としてはあり得るよ。所詮、内ポケットに収まる程度の大きさの小瓶。呑み込めないことはない」

本居「ねえ南錠さん、無実を証明したいんだよね?」

南錠「なっ……そんな……」

一色「飲み込んだ可能性……か」

一色「なるほどね。悪くない着眼点だ」

獄門「……モノクマ、レントゲン撮影の準備をしてくれるか」

モノクマ「えー、めんどっちぃなあ……」

モノクマ「ま、いいけどね。ちょっと待ってて~」

南錠「え……ちょっと待ちいや!」

南錠「裁判中に場外の物持ってくるとか、許されてるんか!?」

モノクマ「ちゃんとした根拠と目的があるなら、全ての要求を拒否するわけじゃないよ?」

モノクマ「その辺は、フレキシブルに対応していきます!」

南錠「そ……そんな……!」

モノクマ「それじゃ、少々お待ちをー!」


南錠「っ…………」

南錠「…………はぁ」

南錠「盗みと違って……慣れへんことしても、上手くいかんもんやなぁ……」

南錠「やった直後は、上手くクロやってバレずに、自殺に見せかけれたと思ってんけど……」

一色「……その発言は、自白と取って良いんだね」

伊賀ノ原「認めるって……こと……?」

南錠「……うん、もう認めるよ。疲れたしな」

南錠「レントゲン撮影の必要は、ないわ」

南錠「……うちが、やったんや」

南錠「うちが、継美ちゃんを……殺したんや」





本居「……貴方に言いたいことは沢山ある」

本居「でも、まずはこの事件の流れを振り返った後、投票をして」

本居「終わらせよう……この事件と、学級裁判を」


-クライマックス推理-

Act.1
事件は1日目から既に始まっていたと言って良い。その日の夜、( A )は裏切り者になるよう脅迫され、それに従い、黒幕側に寝返っていた。

Act.2
話は飛んで5日目昼、黒幕から人を殺すように命じられた( A )は、( B )にあった( C )を受け取り、それを使って殺人を実行する計画を立てていた。

Act.3
( A )が食堂に向かう頃、犯人は( A )に接触した。それが偶然かどうかは分からないけど、ともかく犯人は癖で盗みを働き、( A )が所持していた( C )を確認して、( A )の殺意を知ったんだ。

Act.4
その後隙を見て( B )に向かった犯人は、( C )の中身を( D )に入れ換え、まずば( A )の犯行を阻止した。その上で、それを利用しようとしたんだ。犯人は( E )からもう1つ( C )を取り出して、食堂に戻った。結果的に、これは犯人しか知り得ない事実になって、犯人は( F )の嘘によって、その事実を漏らしてしまってたね。

Act.5
そして犯人は、もう一度( A )と接触して、中身を入れ替えた( C )を彼女の内ポケットに戻した。このせいで、( A )が殺害を企んでいた( G )が死なないという結果になったんだ。その後、( A )が食堂に飲み物を運んだ後、( A )の飲む甘い紅茶に隙を見て毒を盛って、犯行は成立。開始前は食事会不参加者も慌ただしく動き回ってたし、食堂からいなくなったりさえしなければ、個人の動きにはそこまで目を配れていなかったから目を盗むことは難しくなかっただろうね。盗みのスキルを持つ人なら、尚更。

Act.6
その後、学級裁判のルールが告知されてから、敢えて凶器を処分しづらい役割を請け負ったりして、どうにかして犯人だとバレないよう工作した。クロだとバレてはいけないって校則は元々あったけど、これ以降は犯人が即座に機転を効かせて動いたんだろうね。お陰で、危うく私がクロにされかけた。


そして……これらの犯行を実行した今回の事件の犯人は……( H )!貴方だよ!


A:人名
B:場所
C:死因に関連
D:液体
E:Cの所在は?
F~H:人名

回答のみカウントし↓3までに正解があれば進行


-クライマックス推理-

Act.1
事件は1日目から既に始まっていたと言って良い。その日の夜、継美ちゃんは裏切り者になるよう脅迫され、それに従い、黒幕側に寝返っていた。

Act.2
話は飛んで5日目昼、黒幕から人を殺すように命じられた継美ちゃんは、倉庫にあった毒薬の小瓶を受け取り、それを使って殺人を実行する計画を立てていた。

Act.3
継美ちゃんが食堂に向かう頃、犯人は継美ちゃんに接触した。それが偶然かどうかは分からないけど、ともかく犯人は癖で盗みを働き、継美ちゃんが所持していた毒薬の小瓶を確認して、継美ちゃんの殺意を知ったんだ。

Act.4
その後隙を見て倉庫に向かった犯人は、毒薬の小瓶の中身をミネラルウォーターに入れ換え、まずば継美ちゃんの犯行を阻止した。その上で、それを利用しようとしたんだ。犯人は倉庫の箱からもう1つ毒薬の小瓶を取り出して、食堂に戻った。結果的に、これは犯人しか知り得ない事実になって、犯人は樹村さんの嘘によって、その事実を漏らしてしまってたね。

Act.5
そして犯人は、もう一度継美ちゃんと接触して、中身を入れ替えた毒薬の小瓶を彼女の内ポケットに戻した。このせいで、継美ちゃんが殺害を企んでいた獄門君が死なないという結果になったんだ。その後、継美ちゃんが食堂に飲み物を運んだ後、継美ちゃんの飲む甘い紅茶に隙を見て毒を盛って、犯行は成立。開始前は食事会不参加者も慌ただしく動き回ってたし、食堂からいなくなったりさえしなければ、個人の動きにはそこまで目を配れていなかったから目を盗むことは難しくなかっただろうね。盗みのスキルを持つ人なら、尚更。

Act.6
その後、学級裁判のルールが告知されてから、敢えて凶器を処分しづらい役割を請け負ったりして、どうにかして犯人だとバレないよう工作した。クロだとバレてはいけないって校則は元々あったけど、これ以降は犯人が即座に機転を効かせて動いたんだろうね。お陰で、危うく私がクロにされかけた。


そして……これらの犯行を実行した今回の事件の犯人は……南錠京さん!貴方だよ!


COMPLETE!!


モノクマ「議論の結論が出たようですね!」

モノクマ「それでは、投票タイムに移るとしましょうか!」

モノクマ「果たして、投票の結果クロとなるのは誰なのか!」

モノクマ「そしてそれは、正解なのか、不正解なのか!」

モノクマ「それでは参りましょう!運命の!投票ターイム!」





|────MONO KUMA────|
    VOTE
||ナンジョウ||ナンジョウ||ナンジョウ||テテー♪





───────学級裁判、閉廷!

本日はここまでです。明日chapter1完結まで投下できると思います。参加してくださった方はありがとうございました。


モノクマ「ピーンポーン!だーいせーいかーい!」

モノクマ「超高校級の語り部、影野継美さんを殺したクロは……」

モノクマ「超高校級の鍵師、南錠京さんなのでした!」

沢渡「正解……スか……」

足立山「助かった……」

獄門「南錠……」

獄門「どうして……こんなことをする必要があったんだよ」

獄門「あんな動機……罠だって分かってたはずじゃないか……」

南錠「……うちから言うことは、何もないで」

南錠「理屈で出た結論を、誰もが信じられるわけじゃなかった……」

南錠「ただ、それだけのことやろ?」

鉄「……だとしても、もっと他に方法はあったはずじゃない」

モノクマ「あらあら、南錠さんが言わないってなら、ボクが言い当ててあげましょうか?」

モノクマ「キミが、影野さんを殺した理由……」

モノクマ「それはズバリ、何代も続いてきた鍵屋の存続を何よりも大切なことだと思っているから……だよね」

モノクマ「ただ、映像を見て、家族の安否が心配になって、ここにいることに耐えきれなくなった……」

南錠「ああ……そうや」

モノクマ「というわけではなく……」

南錠「……え?」

樹村「わけではなくー?」

周藤「あの時渡されたDVDは、動機じゃないって言うのかい……?」

モノクマ「正確には、一要素ではあっただろうけど、それだけじゃないってことだね!」

モノクマ「だって、それだけじゃ、影野さんを殺す理由になってないじゃーん!」

モノクマ「南錠さんもすっとぼけちゃって!嫌だなぁ~」

モノクマ「キミは、気付いちゃったんでしょ?」

モノクマ「あの髪留めに施された細工にさー!」

南錠「……!」

南錠「な……なんでそんなとこまで知ってるんや……!」

髪留めに施された……細工……?

一体、何の話を……。


モノクマ「うぷぷ、ボクは、この学園の、学園長だよ?」

モノクマ「生徒の気持ちくらい、当然理解してますよ!」

伝法寺「……何なんだよ。その髪留めに関する動機ってェのは……」

モノクマ「実は、影野さんが持っていた髪留めにはね……」

モノクマ「簡単に言うと、ピンの部分に、万能ピッキング機能が搭載されていたんだよね」

モノクマ「そこに、南錠家で代々受け継いできた、秘伝の技術と同じものが使われてるってわけ!」

モノクマ「他の鍵師には使うことが出来ないはずの、生命線となる技術が使われた髪留めを発見……」

モノクマ「そして、影野さんが、慌てて鍵師である自分からそれを取り戻そうとした!」

モノクマ「それを見た南錠さんは、きっとこう思ったんだよね」

モノクマ「影野さんも鍵師の才能を持っていて、尚且つ自分と同じ技術を持ってるんじゃないか……って」

モノクマ「超高校級の鍵師である南錠さんに見られたら、その技術は一目で分かる」

モノクマ「影野さんも、同じく自分の技術を守る為に、髪留めの存在を自分に知られないようにしてたんじゃないか……」

南錠「…………。」

本居「……それが、南錠さんが継美ちゃんを殺した理由だって言いたいの?」

丹田「その技術によって、商売敵になりそうな相手を潰したかった……ってか?」

モノクマ「少なくとも、良い気はしてなかっただろうね」

モノクマ「そしてその感情が、影野さんの犯行を乗っ取る計画を立て、実行する原因になったのは、確かなはずだよ」

モノクマ「何としても、同じ技術を持つ影野さんを、自分より先に外に出したくなかったんだもんね?」

獄門「……その理屈だと、俺がその技術を持ってる可能性もあったわけだし、俺も殺意を向ける対象にならないか?」

モノクマ「アハハ!指名手配犯の獄門君は、商売目的で鍵師の才能を使えないじゃん!」

モノクマ「南錠さんの懸念は、技術を持っているということ以上に、それを広めて儲けられることだよ?」

モノクマ「それで自分の客が消えていけば、鍵師として生きていくのが、難しくなっちゃうからね!」

南錠「な、何やねん……そんなことをバラして、何がしたいんや、自分は」

南錠「今更やろ、全部……もうええやんか……」

モノクマ「やだなぁ、冥土の土産に、大事なことを教えてあげようと思っただけなのに」

モノクマ「なんだか南錠さん、勘違いしてるみたいだしねぇ」

南錠「勘……違い……?」












モノクマ「あの影野さんの髪留め、1度壊れたのを作り直したのは、南錠さんだよ?」











本居「え……!?」

耳を疑った。

というか、何を言っているのか理解が追いつかなかった。

南錠「は……?」

南錠「何を……言うとるんや……うちは、そんなことしてないし……」

モノクマ「どれだけ信じられなかろうと、それが真実だよ」

モノクマ「南錠さんにとっても、1番納得出来る答えでしょ?」

モノクマ「決して漏洩するはずのない技術が漏洩している?」

モノクマ「秘伝と見なされるレベルの技術と、偶然同じものを持っている人がいる?」

モノクマ「いやいや、そんな答えより、キミにとっては、1番受け入れやすいはずだよね」

南錠「いや、だってそんなん……あり得へんやんか!」

南錠「うちは……そんなことした覚えないし……」

南錠「そんなん……あり得へん……」

南錠「あり得へん……はず……やんか……」

南錠さんは露骨に動揺する。

1番納得がいく答えだというのは、図星なのだろうか。

モノクマ「うぷぷ……さて、いい感じに南錠さんの絶望を見られたところで……」

モノクマ「ワックワク!ドッキドキ!オッシオキターイムだよー!」

足立山「オシオキ……タイム……?」

モノクマ「ん?校則にも書いてたでしょ?」

モノクマ「『9.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。』」

モノクマ「当然、南錠さんを、処刑しますよ!それが、オシオキタイムです!」

モノクマ「人にやったことは、自分もやられて当然だよね!」

伊賀ノ原「い、いや……反省してるなら、そこまでする必要はないんじゃ……」

沢渡「ま、まあ、みやちゃんは許せないことをしたッスけど、普通なら死刑にはならないことッスもんね……」

モノクマ「ダメです!ルールはルール!オシオキは執行します!」

南錠「な……待って……待ってえや……」

南錠「処刑は……諦めるから……」

南錠「せめて……何でうちが作り直したなんてことになってるんか……真実を教えてえや……」

モノクマ「やーだよーん!ここまで教えただけでも大出血サービスなのに!」

モノクマ「もう、影野さんが吐いた血の量なんて目じゃないくらいの大出血だよ!」

南錠「そ……そんな……」

モノクマ「はい、それじゃ、いっきまーす!」 

南錠「な、なあ……!誰でもええから教えてえや……!」

モノクマ「記念すべき、第1回目の!」

南錠「うちは……間違ってたんか……!?」

モノクマ「ワクワクドキドキ!」

南錠「全部……うちの勘違いで……」

モノクマ「オッシオッキターイム!」

南錠「継美ちゃんが……死んだのは……全部……」

南錠「全部……うちの……」


GAMEOVER

ナンジョウさんがクロにきまりました。

オシオキを開始します。
 
───────────────────

───────────────

─────────

『開かずの扉~触れた禁忌は~』


南錠さんが学級裁判場から無理矢理連れて行かれた先は

鍵の掛かった扉が幾つもある、狭い通路でした。

南錠さんの立つ場所には、STARTと書いてあります。

暫くして、少しずつ南錠さんの後ろの壁が迫ってきました。

南錠さんは意味を理解し、走り始めます。

次々と目の前の扉の鍵を開け、壁に間隔を詰めさせません。

そして、数え切れないほどの扉を開けた先、

南錠さんの目には、GOALの文字が見えていました。

しかし、その前に、最後の扉が南錠さんの行く手を阻みます。

扉に描かれていたのは、影野さんの似顔絵でした。

南錠さんは、何度も何度も開けようと試みますが、

鍵は開きません。

超高校級の技術を持ってしても、その鍵は開かないのです。

そして─────────




グシャリ




とうとう南錠さんは、壁と扉に挟まれて潰されてしまいました。




……あーあ、惜しかったのにね。

最後の扉を開くのに、鍵師の"才能"なんて必要無かったんだよ。

影野さんは、髪留めを隠そうともしていなければ、

鍵師の才能を持ってもいなかった……。

悲劇を防ぐ為に、南錠さんに必要だったのは、

心の扉に掛かった鍵を開ける"努力"だったんじゃない?

うぷぷぷぷぷぷ…………

すみません、少し忙しくなって時間が取れていませんが、明後日から再開する予定です。よろしくお願いします。

鉄「な、なな、なによ今の……!」

鉄「こんなの……幾ら何でも、やり過ぎだよ!」

樹村「おわー……」

足立山「いやぁぁぁぁあ!なんでこんな映像見せんのよ!」

伊賀ノ原「い、今……潰される時、グシャって……」

周藤「いちいち言わなくて良いんだよ!そんなこと!」

一色「ふむ……」

一色「まあ、これは悪くないな。その調子で改良を続けてくれたまえ」

本居「…………」

本居「ひどい……」

犯人を、憎んでいたはずなのに

絶対に許せないと、思っていたのに、

口をついて、そんな言葉が出た。

……きっと、私は憎む相手を間違えていたんだ。

今になって、ようやく分かった。

継美ちゃんは勿論、南錠さんも被害者で、

本当に憎むべきは、黒幕だったんだ。

モノクマ「ヒャッホー!エクストリーム!」

モノクマ「いやぁ、極悪人裁いた後ってのは、清々しいですなあ!」

快活に、モノクマはそう言う。

私達で、遊んでいる。私達を、弄んでいる。

獄門「……絶対に許さん」

獄門「黒幕……どこにいるのか知らんが、覚えておけよ」

獄門「いつか必ず……影野と南錠の仇を取りに行くからな」

モノクマ「おろろ?随分と筋違いなことを言うんだなあ」

モノクマ「食事会なんて始めて、皆の警戒を解いて、コロシアイが起きやすい状況を作ったのは、獄門クンでしょ?」

獄門「……っ!」

ラバン「いえ、それは違いマス」

ラバン「今回の事件は、全て貴方が仕組んだ物でしょう、モノクマ」

ラバン「事の発端になった影野サンの行動は、貴方からの命令によるもの」

ラバン「加えて、強制参加のパーティーという場を用意したのも、貴方デス」

ラバン「責任を間違った方向に押しつけようとしても、そうはいきマセンよ」

ラバン君の言葉に、モノクマはムッとしたように見えた。

もちろん、表情なんて読めるはず無いんだけど。

モノクマ「……ふん。どう考えようが自由だけどさ、行動したのは、間違いなく影野さんと南錠さんなんだからね」

モノクマ「ボクのせいだと思うなら、そうやって楽観していれば良いよ」

モノクマ「断言できるよ。またコロシアイは起きる。オマエラがどれだけボクを原因だと思い込もうが、無駄だよ」

モノクマ「責任転嫁してるのがどっちなのかは、いずれハッキリするさ」

モノクマ「……それじゃ、ボクも眠いし、オマエラもさっさとエレベーターに乗って部屋に戻りなよ」

モノクマ「勝者に与えられた生を存分に味わって、今夜はグッスリ眠ってくださいな」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷ……」

モノクマは去っていった。

私達14人は、その場に取り残される。


獄門「…………。」

本居「獄門君、私も気にすることないと思うよ」

獄門「……いや……」

獄門「……すまん、明日にしてくれないか」

伊賀ノ原「……うん、今日はもう、解散で良いんじゃないかな……」

伊賀ノ原「あんな映像を観た後で話しても、何もまとまらないだろうし……」

神崎「そうですね……。もうじき夜時間にもなりますし、また明日の朝、食堂で今後について話せば良いでしょう」

丹田「……だからさ、個室に居るのが1番安全なんだっつーの」

丹田「食事会とか集会とか、顔を合わせる機会を作る必要なんてねぇんだって」

沢渡「……でも、みやちゃんを追い詰めたのは、個室の外で沢山探索していたゆっきーの知識だったッスよ?」

丹田「あ……あんなもん、投票制度なんだから、過半数に票合わせさえさせりゃあ、いちいち証明する必要なんかねぇだろ」

周藤「……まあ、そういうのも含めて話し合うってなら、明日の朝くらいは食堂で話し合いをしても良いんじゃないかい」

足立山「も、もう……やだよ……ここから出してよぉ……」

伝法寺「……とにかく、ここに長居して得することなんて微塵もねェ」

伝法寺「全員、さっさと出るぞ」

本居「……そうだね」

足立山「……!ち、ちょっと!本居!」

エレベーターに向かおうとして、足立山さんに呼び止められる。

本居「……どうしたの?足立山さん」

足立山「た、立てないのよ。肩貸しなさいよ……!」

以前仲良くなれないなんて言われた手前、

頼るにしても私は無いんじゃないかと思っていたけど、

意外なところで救援を頼まれてしまった。

本居「……いいよ。ほら、掴まって」

足立山「うう……」

足立山「か、勘違いしないでよね……」

足立山「他のヤツ等よりは、安全そうってだけなんだから……」

足立山「ひぐっ……もう本当にやだ……」

個室に戻る途中、足立山さんはずっと同じような言葉を繰り返していた。

「嫌だ」とか

「帰りたい」とか

「ここから出して」とか

「もう無理」とか

「こんなのおかしい」とか

私も何度となく心の中で言ったような言葉を、絶え間なく発し続けていた。

個室の前に着くと、足立山さんは逃げるように個室に入って行った。

彼女から漏れる言葉を、ただ聞くことしか出来なかった自分を責めた。


-NIGHT TIME-

-影野の個室-

個室に戻っても眠れなくて、継美ちゃんの個室を訪ねた。

捜査時と同じように、鍵は開いていた。

ベッドの上には、継美ちゃんの衣服と、髪留めが置いてあった。

……もう、継美ちゃんはいない。

それを改めて感じさせる光景だった。



食事会の提案の時だっただろうか。

継美ちゃんは言った。

「仲良くなって損することなんてない」

あの言葉が、なぜだか急に頭に浮かんできた。

本居「…………」 

本居「継美ちゃん……」

本居「あったよ……損すること……」

私が変わることが出来たのも、

他の皆と仲良くなることが出来たのも、

殆ど継美ちゃんのお陰だと言っていいと思う。

たった5日間だったけど、

継美ちゃんは私にとって大切な人になっていた。



ひとしきり泣いた後、私はゆっくりと立ち上がった。

継美ちゃんの髪留めを手に取る。

それで髪を留めて、私は別れの挨拶をして、個室を出る。

本居「またね……継美ちゃん」

髪留めに付いていた白い熊の飾りが、

私と一緒に前を向いてくれた。





-Chapter1- 『さよなら絶望学園』END

生存人数:14人

To be continued…


-Chapter2-

-Day6-

-本居の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』



悪夢のような1日が終わり、夜が明ける。

目を覚ますと、視界が眩しい。

陽の光か、なんて、ほんの一瞬だけ思ったけど、そんなはずはない。

昨日、結局遅くまで眠れなくて、個室の電気を消しそびれただけだった。

本居「ふあぁ……」

大きく背伸びをした後、食堂に向かう準備を整える。

今朝は、今後について話し合うという予定になっていたはず。

食事会を今まで通り続けるかどうか。

皆の行動を制限するべきかどうか。

二度とあんなことが起こらないように、どうするべきかを、

しっかりと話し合っておかないといけない。

本居「……あ。今日はここだ」

裁縫セットの中から、モノクマメダルを回収する。

1日10枚配布されるモノクマメダルは、

日によって個室内の異なる場所に出現する。

私は1日分未回収の状態で、未だにどこに隠されているのか分からない。

まあ、必須アイテムってわけでもないし、そこまで気にしてはいないんだけど。

きっと、他の皆も同じように軽く捉えているだろう。

そんなことを考えながら、個室を出た。




そういう認識でいられたのは、

『今朝まで』の話だったということを、

私はこの後、知ることになる。


-食堂-

本居「おはよう、皆……」

本居「……あれ?」

食堂には既に何人かが集まっていたが、
 
それよりも先に目につくものがあった。

本居「何で厨房が封鎖されてるの?」

伝法寺「……さァな」

伝法寺「俺達は、まだ何の説明も受けてねェよ」

ラバン「兵糧攻め……というところデスかね」

ラバン「飯にありつきたければ、殺人を犯せ……とか」

鉄「ええ……そんなのが許されたら、何でもアリじゃん……」

沢渡「実際、さっき調べたら、倉庫も閉まってたッスし……」

沢渡「そういう攻めかたをしてくる可能性は考えられるッスね」

樹村「ふわぁあー、お腹すいたよー」

2人の死を悲しむ間もなく、

新たな異変が起こり始めていた。

……ほぼ、モノクマの仕業で間違いないだろうけど

一体どういうつもりなんだろう?


暫くして、食堂に14人が揃う。

元々不参加組だった人達も、

昨日の呼び掛けもあってか、わざわざ呼びにいくこともなく集まってくれた。

そして、(丹田さんを中心に)一通り文句を言い合った後……

モノクマ「やっほー!オマエラ、おはようございます!」

モノクマが登場した。

伝法寺「チッ……ようやく説明しに来やがったか」

獄門「……皆困っている。どういうことなのか、説明をしてくれ」

モノクマ「まあまあ、そう急かしなさんな」

モノクマ「前回の事件のこともあって、オマエラが食事への毒の混入を心配するかと思ってさ」

モノクマ「思いきって、食事をオーダー制に変更にしたんだよ!」

モノクマ「これからは、食堂で料理を注文してもらって、ボクが自ら安全な料理を運んできて、オマエラに提供する、ってシステムにするよ!」

周藤「……ふぅん。それだけ聞いたら、悪くないシステムに思えるが……」

ラバン「モノクマが、ただ我々にメリットがあるだけの提案をしてくるとは思えない……。何かウラがありそうですね」

モノクマ「いやいや、裏というほどの裏はないよ?ただ……」

モノクマ「"1食につき、モノクマメダルを5枚徴収する"ってだけだよ」

本居「モノクマメダルを……?」

モノクマ「別に、難しい話じゃないでしょ?」

モノクマ「今まで散々配布してきたんだし、使う機会を設けただけのことさ!」

モノクマ「ついでに、モノクマメダルの配布は、今日で一旦ストップするから!」

樹村「……!!」

鉄「そ、それじゃあ、今までメダルを温存してこなかった人は、食事を貰えないってこと……!?」

モノクマ「そこは、オマエラの大好きな"助け合い"で、数日間乗り切ってくださいな」

モノクマ「沢山持ってる人が、あまり持ってない人に、メダルを分け与えてあげれば良い話でしょ?」

モノクマ「ただ、配布の再開日は未定だけとね」

モノクマ「……さて、連絡事項はそれだけだよ」

モノクマ「……あ!学園内の探索は、改めてしておいた方が良いかもね?」

モノクマ「そんじゃーね!快適な学園ライフを!」

例のごとく、言いたいことだけ言って、

モノクマは足早に去っていった。


丹田「……ふーん、まあ別に問題はないか」

樹村「も、問題あるよー!」

樹村「巴、メダル持ってなーい!」

周藤「も、持ってない……?今日の分はとうしたんだい」

樹村「さ、さっきガチャガチャで使っちゃったよ……」

たぶん、モノモノマシーンのことだろう。

沢渡「まったく……貰っては使ってばかりいるから、そういうことになるんスよ」

樹村「ご、ごめんなさい……」

樹村「……おなかすいたよー……」

神崎「流石に、1枚も持っていないのは可哀想ですね」

神崎「どなたか、所持メダルの数に余裕のある方はいますか?」 

「…………。」

今、私の持っているメダルは、39枚……

どうしよう?樹村さんに分けてあげようかな?




[ルート分岐]
1.分けてあげる
2.様子を見る

↓3までで多数決


本居「私、少し余裕があるし、あげるよ」

『樹村さんにモノクマメダルを10枚譲渡した』

樹村「ゆ、優樹菜ちゃん……」

樹村「ありがとー……助かったー……」

涙目になりながら、樹村さんはお礼を言う。

伊賀ノ原「僕も、少しだけなら分けてあげられるよ」

獄門「俺もだ。少しだが、渡しておこう」

周藤「はぁ……無駄遣いするんじゃないよ?」

伝法寺「……これァ貸しだからな」

吉田「…………。」

他に何人かも、少しずつ樹村さんに援助してあげていた。

樹村「み、みんなー……」

丹田「ホント、お人好しが多くて良いことだねー」

丹田「1番のお人好しが、つい昨日、最初の犠牲者になったのも全く気にしてないんだから、すごいすごい」

一色「……そういえば」

一色「その影野君と、南錠君が所持していたメダルは、どうなっているんだろうね?」

一色「学級裁判での『死者を参加させる』というスタンスを見る限りでは、その分のメダルが消失しているのであれば、不自然にも思えるが」

一色「我々は当然、死者である彼女達からも『受け取る』権利があるのではないかい?」

一色「彼女達も、この制度の対象者なのだからね」

周藤「……確かに、2人共そんなにメダルを浪費するタイプには見えないし、個室を探せばメダルが見つかるかもしれないね」

伝法寺「探すと言やあ、モノクマが、学園内の探索を改めてしとけって言ってたよな……」

伝法寺「ソイツらの個室も範囲に入れて、改めて探索をしておくか?獄門」

獄門「……ん?……ああ、それで良いんじゃないか」

沢渡「あ!さっき食堂の向かいにある部屋の封鎖が解かれてたの、皆気づいたッスか?」

沢渡「もしかしたら、新しく行けるエリアが増えてるってことかもしれないッスよ!」

沢渡「寄宿舎エリアの、倉庫の近くにある階段は、さっきは開いてなかったッスけど……」

沢渡「学園エリアの方の階段は、要チェックッスね!」

新しく解放されたエリア、か……。

探索の価値は十分にあると思う。

少しでも、ここから出る為の手がかりを手に入れないと。



……誰と探索しようかな?

↓3まで1名ずつ生徒を指定


沢渡「そいじゃ、この4グループに分かれて、探索とメダル探しをするッスよー!」

本居「この班は、新しく解放されたエリアの探索だね」

鉄「……うん」

獄門「だな」

周藤「そうさね」

本居「……く、暗くないかな、全体的に……」

周藤「まあ……昨日の今日ってのもあるしね」

周藤「無理に明るく振る舞ってる方が危ういってもんさ。これくらいがちょうど良いよ」

周藤「まずは……食堂の向かいにある部屋が解放されてたって話だったし、そこから行こうか」

本居「うん、そうしよう」


-大浴場 脱衣所-

鉄「あ……」

鉄「お風呂の匂いがするね、なんだか懐かしいなぁ」

周藤「大浴場……ってところか」

周藤「ここに来てから湯船に浸かることは出来なかったし……これはありがたいね」

本居「新しく開放されてるのは、こういう生活面で便利な施設なのかな?」

周藤「……今のところ、その可能性が高いだろうね」

鉄「生活を充実させたければ、事件を起こせ……ってこと?」

周藤「いや……事件を起こしたら、ここから出るか、処刑されるかなんだ。それは動機にはならないよ」

周藤「ただ、このために、コロシアイを煽るヤツはいるかもしれないね」

本居「便利な生活を送りたいだけの為に、そこまでのことをする人がいるかな?」

周藤「普通ならいないだろう。でも……」

周藤「普通じゃない状況下に、普通じゃない奴等が集められたら、話は別じゃないかい?」

……用心するに越したことはない……か。

獄門「……なあ、この大浴場、なんだか違和感がないか?」

会話している間も、部屋を見渡していた獄門君が、そう切り出す。

本居「違和感……?」

そう言われると、ある気もする。

それは……



1.監視カメラがない
2.脱衣所も浴場も、男女で分かれていない
3.サウナがある

↓1


本居「監視カメラがない……よね」

そう。この施設だけは、この学園に来てから、ずっと私達を監視していたカメラが無い。

部屋のどこを見ても、それらしきものが見つからない。

周藤「あ……本当だ」

鉄「……どこかに隠されてる、とかじゃなくて?」

獄門「だとしても、そんなんじゃ死角が出てくるはずだ」

獄門「今までの厳重な監視体制と違って、ここだけは何故か甘い」

獄門「ここを話し合いの場として使っても良いが……都合が良過ぎる気もする」

周藤「罠かもしれない、ってことかい?」

周藤「なら、ひとまずは、探索結果として報告して、そこからは話し合って決める方が良いかもしれないね」

罠……か。

モノクマなら、やりかねない。

第一、個室やトイレ、シャワールームにさえ監視カメラがあるのに、

脱衣所だけは監視カメラを取り付けない、なんて、おかしな話だ。

本居「とりあえずは保留だね。大浴場の探索はここまでにして、他を回ってみようか」

鉄「うん、そうしよう」

-学園エリア 2F-

本居「ここも、新しく開放されたんだね」

周藤「2Fか……幾ら上に上がっても、屋上にでも出ない限りは、出口があるとは思えないが……」

鉄「念のため、探索の手は抜かないようにしないとだよね」

獄門「まずは、すぐそこにある施設を調べるか」


-水練場 更衣室前-

本居「ここは……?」

水練場と書かれた看板のある扉を潜ると、

目の前に2つの扉が見える部屋に繋がっていた。

鉄「水練場ってことは、奥にプールがあるんじゃないの?」

鉄「その為の更衣室が、男女別で分かれてるみたいだね」

周藤「ふむ……なら、獄門は男子更衣室、それ以外は女子更衣室を捜査しようか」

獄門「ああ、それで良さそうだな」 

『ガチャガチャ』

本居「……あれ?」

本居「開かないよ、ここ」

周藤「開かない?今はまだ入れない……ってことかい?」

獄門「いや、ここから入れなくするなら、水練場の扉をロックしておいた方が良い気がするが……」

確かにその通りだと思い、また開けようと試みるが、扉はびくともしない。

モノクマ「お困りのようですね!」

鉄「うわっ、出たよ……」

モノクマ「こら!学園長に向かって、そんな言い草はないでしょ!」

モノクマ「更衣室のシステムについて説明するために、わざわざ出てきてやったってのにさ!」

本居「更衣室のシステム……?」

周藤「封鎖されてるわけではない、ってことかい?」

モノクマ「イエース!この奥も、開放されたエリアに含まれてますよ!」

モノクマ「実は、その扉は、扉の横にあるセンサーに、電子生徒手帳をかざすことで、ロックが解除される仕組みなんだよ!」

モノクマ「試しに、自分の電子生徒手帳をかざしてみてよ!」

言われた通りに電子生徒手帳を取り出し、かざして見る。

『ピーッ』

本居「……今ので、開いたの?」

モノクマ「そういうこと!これで中に入れるよ!」

モノクマ「因みに、異性の更衣室に自分の電子生徒手帳をかざすと……」

モノクマ「あそこにある、ガトリングで身体中を蜂の巣にされるから、気をつけてね!」

そういって、モノクマは天井の方を指差す。

……いかにも、といった感じの武器が、銃口をこちらに向けていた。

獄門「異性の更衣室への侵入を防ぐという意味では、少し甘いんじゃないか?」

獄門「電子生徒手帳の貸し借りが起こったり、南錠のように盗みの上手い奴がいた場合、この対策は無意味になるだろう」

モノクマ「……後者は結果論的に無くなったから良いけど、前者は確かにその通りだね」

モノクマ「良いでしょう!校則を追加しておきます!後で確認してください!」


モノクマ「……それじゃ、ボクはその準備をしてくるから!」

モノクマ「引き続き、探索頑張ってね~!」


-女子更衣室-

モノクマが去った後、私達は予定通り、男女に分かれて更衣室を調べた。

鉄「何も問題なく更衣室だね」

鉄「少し変わってるのは、トレーニング器具があることくらいかな」

周藤「……2人共、気にならないかい?」

本居「気になる?」

周藤「……いや、気にならないなら別に良いんだが……」

周藤さんには、何か気になることがあるのかな……?

そう思って、改めて更衣室を見渡す。

特に気になるところは無いんだけど……

……!

……もしかして、アレが気になるのかな?



1.防音設備が整っているか
2.男子更衣室から覗かれないか
3.男子更衣室を覗けるか
4.さっきのモノクマの発言

↓1


本居「周藤さん……分かるよ」

周藤「……流石だね。優樹菜ちゃんは気づいたかい」

本居「男子更衣室を覗けるかが、気になっちゃうんだね!」

周藤「…………。」

本居「…………。」

鉄「……え?」

本居「……あれ?」

間違えた……かな?

周藤「……そうか」

周藤「アンタ、ここに来てから、ずっと我慢してきたんだろう」

周藤「色々と溜め込み過ぎて、欲求不満になっちまう、なんてことは、よくあることだよ」

周藤「ここで聞いたことは全部無かったことにしてやるから……アタシに話したいことを話すと良い」

鉄「そっか……。優樹菜ちゃん……ごめんね」

鉄「僕、自分の中でばっかり考え込んじゃってて……優樹菜ちゃんが"そんなこと"になってるなんて、全く気付かなかったよ」

鉄「これじゃ……友達失格だよね……」

ど、どういうことなんだろう……

周藤さん、男子の着替えが見たいわけじゃなかったの……?



その後、必死に弁明を試みたけど、

ひたすら憐れみの目を向けられるだけで、

2人の誤解は解けないままだった。


-プール-

話が一段落したところで、奥の扉を開けると、

真依ちゃんの予想通り、プールがあった。

先にここで探索を始めていたらしい獄門君が私達に気付く。

獄門「ずいぶん遅かったな。何かあったのか?」

鉄「いや……ちょっとね」

周藤「アンタが深入りする話じゃないさ……アタシ達に任せときな」

獄門「??……よく分からんが、分かった」

会話に混ざると更にややこしくなりそうだったので、

特にコメントせずにプール全体を見渡してみる。

本居「うーん……プールだね」

獄門「ああ、よくあるプールだと思うぞ」

獄門「奥のロッカーを調べたが、掃除用のモップや雑巾が入っていただけだった」

獄門「そういうところも含めて、ごく普通のプールだな」

鉄「なんだか、こうも普通のプールだと、拍子抜けだなあ」

鉄「天下の希望ヶ峰学園なんだから、あっ!と驚くプールを作れないものなのかな」

本居「今まで見てきたプールと代わり映えが無さすぎて、この点に関しては何の感動も無いのは確かだね」

周藤「……アンタ達はプールに何を求めてるんだい」

周藤「プールプールって連呼してても、豪華なプールに変化するわけじゃないんだ。……さっさと次行くよ」

鉄「はぁーい」


-図書室-

本居「図書室だ……!」

見渡す限り、本、本、本。

この学園に、こんな幸せな空間があっ
たなんて……!

鉄「わあ、優樹菜ちゃんの住み処だね」

鉄「あ!あそこに受付らしきところがあるよ」

鉄「ね!優樹菜ちゃんの特等席だよ!座って座って!」

何故か私より興奮している真衣ちゃんに押されて、

私は図書室の受付に座る。

最後に地元の図書館を訪れてから1週間も経っていないはずなのに、

不思議なくらい懐かしくて、心が安らいだ。

本居「……ん?」

ふと、机の上を見ると、封筒がある。

本居「"希望ヶ峰学園 事務局"……?」

封筒には、確かにそう書いてある。

鉄「んー?何それ?」

本居「いや、この受付の机の上にあったんだけど……」

周藤さんと獄門君もこちらに興味を示し、皆が受付に集まる。

私はゆっくりと封筒を開き、中の紙を取り出した。

そして、随分古いもののように見える紙に書かれていた文章を読み上げる。


『希望ヶ峰学園事務局からのお知らせ。

希望ヶ峰学園は長きに渡り、世界に通じる人材の育成に専念してきました。長い歴史を刻む中で、本校は、政府特別認可の伝統ある教育機関として、数多くの卒業生を社会に送り出し、今や各界で、多数の卒業生が活躍しております。

ですが、この度、我が希望ヶ峰学園は、その栄光の歴史にいったん幕を下ろす事となりました。

苦渋の決断ではありましたが、深刻な問題の発生により、これを余儀なくされました。

しかし、希望ヶ峰学園は、これで終わりではありません。近い将来、先に述べた問題が改善され次第、すぐにでも活動を再会させる所存です。

最後となりましたが、長年に渡りご支援、ご協力を賜りました関係者のみなさまに心より感謝を申し上げます。

なお、希望ヶ峰学園の廃止は、政府当該機関の認可を待って行われる事を申し添えます。』


周藤「希望ヶ峰学園の……廃止だって……?」

獄門「どういうことだ?何でこんなものが……」

鉄「廃止が決まってる学校への入学が決まるわけないんだし、偽物なんじゃないの?」

鉄「僕達はちゃんと、希望ヶ峰学園に生徒としてスカウトされて、入学したでしょ?」

周藤「……ああ、そのはずだね」

周藤「だが、その結果が今の状況だ」

周藤「黒幕が廃校を乗っ取って、アタシ達を監禁してるって線も、あるんじゃないかい?」

本居「でも、希望ヶ峰学園の廃止なんて、聞いたことないよ」

本居「こんな世界的に有名な学園が無くなったら、一大ニュースになってるはずじゃないかな?」

獄門「……だが、俺達はそんなニュースを聞いたことはない」

獄門「つまり、冷静に考えれば、これは偽物なんだが……それにしては手が込み過ぎているとも思う」

獄門「この紙や、インクの滲み、それに、封筒に積もっていた埃……」

獄門「偽物にしても、かなり前からここに用意していないと、こうはならない」

獄門「だとすると、誰も図書室に出入りしないまま、長い間この書類はここに放置され続けてきたということになる」

鉄「僕達を監禁して、コロシアイをさせるために、そんなに前から学園を乗っ取って、準備をしてたってこと?」

鉄「そんなことが起きてたら、僕達の入学前から、事件になってるはずじゃない?」

鉄「学園が乗っ取られてる状況で、スカウトなんて来るはずないよ」

獄門「ああ。確かに、その通りだ」

獄門「……もう少し、考えさせてくれ」

図書室に放置されていた、この封筒……

本物にしても、偽物にしても、

どちらにせよ、何か手懸かりになりそうな気がする。

後で他の皆にも報告しよう。


獄門君が封筒を眺めて考え込んでいる間、

他の3人で図書室の探索を再開した。

まず、受付の机に、もう1つ気になるものが置いてある。

本居「これ……パソコンだよね?」

周藤「へえ?動くのかい?」

そう言われて電源を入れようとしてみるが、動く気配はない。

本居「いや、壊れてるのかな。動かないみたい」

周藤「ふうん……まあ、今は動かなくても、修理出来れば動く可能性はあるだろうね」

鉄「それでもしインターネットが使えたら……直接助けも呼べるし、外の状況も知ることができるんじゃない?」

本居「だよね。そこまで上手くいくかは分からないけど、脱出の為に利用できそうな道具だとは思う」

問題は、誰に修理を頼むかだけど……

誰か、直せそうな人はいるかな……?



1.伊賀ノ原源治
2.獄門疾風
3.神崎刹那

↓1


本居「色んな才能を持ってる獄門君なら、こういうのも直せたりして」

周藤「ふむ、あり得ない話じゃないね」

周藤「今は何やら考え込んでるみたいだし……後で依頼してみるとしようか」

『図書室にあったパソコンを回収した。』



本居「……さて、まだ調べてないのは……」

本居「図書室の奥にある、この部屋かな」

鉄「2Fの施設は水練場と図書室だけみたいで、3Fへの階段は封鎖されてたから……」

鉄「この部屋を調べたら、探索は終わりだね」


-書庫-

本居「うわぁ……」

図書室以上に埃っぽくて、独特の匂いのする場所だった。

鉄「書庫……なのかな?色んなファイルとか書類もあるみたいだけど」

周藤「棚に収まりきらずに床にまで積み上げられているし、こりゃ整理が必要だね……ん?」

周藤さんが、何かを見つけたみたいだ。

足元から、1冊の黒いファイルを拾い上げる。

周藤「『指名手配犯 獄門疾風に関する極秘ファイル』……?」

本居「……!獄門君について書いてあるファイルなの?」

鉄「もしかして、何をしでかして指名手配犯になったとかも、書いてあるんじゃ?」

周藤「ふ、2人共、大きな声は出すんじゃないよ?隣の部屋には本人もいるんだから……」

そう言って、周藤さんはゆっくりとファイルを開く。

周藤「…………」

神妙な面持ちで、周藤さんはファイルの中身を読み進めていく。

私と真衣ちゃんは、ファイルを覗かない。

なぜだか覗く気にはなれなかった。



……暫くして、周藤さんはファイルを閉じて顔を上げる。

周藤「……窃盗、強盗、強盗殺人の件数が圧倒的に多い。獄門が犯した犯罪の殆どを占めている」

窃盗、強盗、強盗殺人。

その意味を、すぐには呑み込めない。

周藤「起こした事件の数は、ゆうに3桁を越えている……。よくもまあ捕まらないもんだよ」

周藤「幸運、声真似、鍵師の才能を最大限に活用して、今まで逃げ切ってきたってことかね……」


鉄「な、なんだ……やっぱり、悪人なんじゃん……!」

鉄「今も、僕達を欺いて、誰かを殺す機会を窺ってるんじゃないの……!?」

本居「で、でも、そのファイルが本物だとは限らないよね?」

本居「もしかしたら、根も葉もないことが書かれているのかも……」

周藤「いや……これもあの封筒と同じで、偽物にしては出来過ぎだよ。」

周藤「被害者の個人情報から犯行現場の写真まで、何もかも詳細に書かれている……。アンタらは見ない方が良い」

周藤「……加えて、他にも驚くことがある」

本居「……それって?」

聞くのが怖いが、聞かないわけにはいかない。

周藤「……獄門の犯行の流れとしては、主に金品を狙って空き巣や強盗に入って、犯行を目撃された場合はソイツを殺すってパターンらしいんだが……」

周藤「このファイルによると、金品の他にも、必ずと言って良いほど獄門が盗むものがあるらしくてね」

ここで、周藤さんが言葉を詰まらせる。

少しの間、無言が続く。

鉄「……何を盗むの?」

真衣ちゃんの催促に応えて、周藤さんは大きく息を吐き、言葉を発する。

周藤「……女子小学生の衣類、らしい」

本居「えっ……」

鉄「え……ちょっと待って……それは……」

周藤「いや……どういうことかは本人に聞かなきゃ分からないけど……」

周藤「ただ、金持ちの家ってよりは、その歳の女の子がいる家庭が狙われてたらしくて……」

本居「…………」

鉄「…………」

周藤「…………」

獄門「ふぅ……おい、3人共、そろそろ探索を切り上げて……ん?」


丁度その時、まさに最悪のタイミングで

獄門君が書庫に入って来てしまった。

獄門君が、周藤さんが持っているファイルに目を向ける。

獄門「あ……おい、それ……」

獄門「……見たのか」

周藤「あ、いや……別に探して読んだわけじゃなく、偶然で……」

獄門「……気は遣わなくていい。いつかは話さないといけないことだと思っていた」

獄門「ただ、生きるために仕方なかったってことだけは信じて欲しいが……そうもいかないか」

鉄「……獄門君は、生きるために女子小学生の衣類が必要なの?」

本居「ちょ、ちょっと、真衣ちゃん、直球過ぎるよ!」

獄門「女子小学生の衣類……?」

獄門「!……お、おい!待て!そのファイル、どこまで書いてあるんだよ!」

獄門「違うぞ!どこから話せば良いか分からんが、俺の個人的な趣味でそんなものを盗んだわけじゃない!」

鉄「じゃあ、どういうことなの?」

真衣ちゃんは、私の制止を無視して質問を続ける。

獄門「……分かった。話す、話すよ」

獄門君は観念したように、胸に手を当てて動揺を静め、話し始める。

獄門「俺には妹が2人いて……両親との5人家族で暮らしてたんだが……」

獄門「ある日、両親が逃げちまって……突然親が帰って来なくなったんだ。俺が中学に、妹2人は小学校に入ったばかりの頃だったかな」

獄門「両親が突然いなくなった理由までは分からんが、何かしら事情があったんだろう。今も連絡は取れていない」

獄門「ともかく、他に身寄りもいなくて、その日から俺は妹2人と暮らしていかなきゃいけなくなった。当然、子どもの俺に働き口なんて無くて……」

獄門「それで……盗みから始めた。妹達を食わせていくために。最初は何故か全然バレなくて、盗んだもので暮らしていけた」

バレなかったのは、やはり才能のお陰なのだろうか。

獄門「ただ、次第に目撃されることも多くなってきてな、目撃されたことに気付けるだけ幸運だったのかもしれんが、見られたもんはどうにも出来なかった」

獄門「捕まるわけにもいかなかったし、俺の犯行を奴は片っ端から殺すしかなかった。最初は躊躇したが、次第にそれも無くなっていった」

獄門「で……その女子小学生の衣類ってのは、察しはつくと思うが、妹達の為に、サイズの合う似合いそうなやつを拝借してたんだよ」

獄門「髪留めみたいなアクセサリーとか、靴も何度か盗んだ。とにかく2人に不自由をさせないように、大量に仕入れた」

獄門「それから数年間はそういう悪事を働いてたから……勿論成長に合わせて着る服も変わってくるし、ほぼ毎回少しずつ盗んでいたことになるんだろうな、その記述通り」

獄門「とにかく、これが、その女子小学生の衣類を盗んでたって記述の真相だ」

鉄「……よくできた話だね。本当にしても、嘘にしても」

本居「妹さん達は、今は?」

獄門「希望ヶ峰学園が保護してくれている。それが、入学の条件でもあったんだ」

獄門「だから、ここに来て最初に言った通り、俺にはここで事件を起こす理由が無いんだよ」

獄門「もう妹達は、何も不自由なく、安全な場所で、幸せに暮らしていけるはずだから、さ」

周藤「……事実だとしても同情は出来ないね。アンタの被害に遭った人達のことを思うと」

獄門「勿論だ。俺のやったことを正当化するつもりはない」

獄門「ただ、誤解はして欲しくなかったから……分かるだろ?」

鉄「……僕は別に、その話を信じたわけじゃないけど」

鉄「でもまあ、これも皆に報告してから、かな。僕1人の感想で決まるわけじゃないし」

獄門「ああ、そうしてくれ。……どう捉えるかは、皆に任せるよ」

時間が押していたこともあって、

ひとまず、書庫で分かった内容は他の皆にも報告するということに決め、私達は図書室を出た。


-図書室前-

鉄「……ねえ、加奈子ちゃんと獄門君は、先に食堂に戻っててくれないかな?」

鉄「ちょっと、優樹菜ちゃんと話したいことがあるんだ」

図書室を出てすぐに、真衣ちゃんはそう切り出した。

周藤「……構わないよ。ただ、出来るだけ早くね」

周藤「皆も、もう食堂に集まってるだろうしさ」

鉄「うん、分かってる。ありがとね」

鉄「それじゃ優樹菜ちゃん、行こっか」

そう言って真衣ちゃんは、私の手を引いて、

周藤さん達とは逆方面、

つまり、3Fに上がる階段の方に向かって歩き出した。



……話って、一体何だろう?

脱字の訂正をしておきます。

>>505
×獄門「捕まるわけにもいかなかったし、俺の犯行を奴は片っ端から~」
○獄門「捕まるわけにもいかなかったし、俺の犯行を目撃した奴は片っ端から~」

今日はここまでです。
明日も恐らく更新する時間を取れると思います。


-2F 上り階段前-

本居「真衣ちゃん、話って?」

鉄「あのね、その髪留め、使えないかな?」 

そう言って、真衣ちゃんは私が付けている髪留めを指差す。

最初の事件の犠牲者となってしまった、継美ちゃんが付けていたものだ。

鉄「それについて、学級裁判の最後に、モノクマが触れていたよね」


─────────────────────


モノクマ「実は、影野さんが持っていた髪留めにはね……」

モノクマ「簡単に言うと、ピンの部分に、万能ピッキング機能が搭載されていたんだよね」

モノクマ「そこに、南錠家で代々受け継いできた、秘伝の技術と同じものが使われてるってわけ!」


─────────────────────


鉄「その、万能ピッキング機能とやら……3Fへのシャッターを開けるのにも使える気がするんだ」

確かに、もしかしたら使えるかもしれない。

でも……

本居「勝手に封鎖された扉の鍵を開けるのは、校則違反じゃ無かったっけ?」 

鉄「ううん、それは、鍵師の才能を使った場合の話だったはずだよ」

鉄「鍵師の才能を持ってない僕達がこれを使っても、何の問題も無いと思う」

本居「あ、そっか……。さすが真衣ちゃん」

鉄「ふふん、誉めても何も出ないって」

鉄「じゃあ早速……ほら、試してみてよ」

真衣ちゃんに促されて、私は髪留めの先端を鍵穴に差し込む。

先端部分は思いの外柔軟で、すんなりと鍵穴に差すことができた。

『ガチャガチャガチャ』

本居「うーん……?いまいち勝手が……」

『ガチャガチャガチャガチャ』

開かない。鍵穴にフィットはしてるんだけど、何故だか上手く回らない。

鉄「あれ?……万能じゃ無かったってこと?」

本居「いや、差し込みはスムーズだったし、後は開けるだけだと思うけど……上手くいかないんだ」

あくまで鍵師の才能を持つものにとっての万能器具なんだろうか?

だとしたら、それを持ってた継美ちゃんには、鍵師の才能があったってこと?

そんな話、少なくとも私は聞いたことがないけれど……。

……それに、この髪留めを南條さんが作ったというモノクマの発言も気になる。

ここに来る以前から、2人には接点があったの……?

鉄「……うーん、不発か。粘ってみたいけど、モノクマに見られたら絶対止められるしなあ」

鉄「一旦は止めて、また今度試そう」

最後は真衣ちゃんが諦めて、私達は少し遅れて食堂へ向かった。


食堂へ向かう途中、ふと疑問が浮かび、真衣ちゃんに話しかける。

本居「ねえ真衣ちゃん、話っていうのが、さっきの鍵のことなんだとしたら、2人に聞かせなかった理由って何なの?」

鉄「……1つは、獄門君があまり信用ならないから」

鉄「もし髪留めのことを忘れてるなら、思い出させない方が良いかと思った」

鉄「もう1つは……本当にしたかった話は、これからするから、かな」

本居「……え?」

真衣ちゃんがしたかった話は、鍵のことじゃなかったってこと……?

鉄「誰にも話さないでおこうかと思ったんだけど……優樹菜ちゃんなら信用出来るし、大事なことだから、言っておくよ」

私は黙って、真衣ちゃんの次の言葉を待つ。

鉄「実は、今まで黙ってたんだけど……」

鉄「僕は、あの食事のルールにおいて、モノクマメダルを必要としないんだよね」

鉄「だから……皆の為を思うと、このメダル、他の皆で分けてもらうべきだと思うんだ」 


本居「モノクマメダルが……必要じゃない?」

彼女が切り出したのは、想像もしていなかったような話だった。

本居「……それはどうしてなの?メダルが無くても、食糧は確保できるってこと?」

鉄「……やっぱり、メダルをあげるってなると、そこを話さないといけないよね……」

鉄「正確には、死なない程度には食糧は僕の前に出てくると思う、って感じかな」

思う……?

鉄「……これは、僕の幸運の性質に関わる話なんだけど……」

鉄「僕の幸運は、『僕が危機を感じた時に、それを回避できる』っていう性質なんだよ」

鉄「だから、メダルが無くても、お腹が空くことによって僕が危機を感じたら……」

鉄「何かしらの形でそれを回避できる。つまり、食糧かモノクマメダルを、手に入れることが出来るはずなんだ」

本居「……それ、本当に大丈夫なの?いざという時に発動しないなんてことはない?」

鉄「勿論。この学園に来てからも、1度発動してるしね」

鉄「ほら、伊賀ノ原君に悪戯された時。優樹菜ちゃんも覚えてるでしょ?」

そういえば……


─────────────────────

沢渡「えーっと……どういう状況ッスか?」

鉄「こ、こいつが!そのワイヤーみたいなやつで!私のスカートを捲ったの!」

伊賀ノ原「ワイヤーじゃない!これは僕の発明品!」

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

伊賀ノ原「伸びーるハンドが急に故障して、僕を襲ったんだよ~!今までこんなこと無かったのに!」

伊賀ノ原「うひっ……あひゃひゃ!ちょっ、これ誰か早く解いて……っ!」

伊賀ノ原「あひゃひゃひゃひゃひゃ!こしょばい!やめてー!」

─────────────────────


本居「あれは、真衣ちゃんが悪戯に対して危機を感じたから、幸運が発動して、伊賀ノ原君の発明品が故障した、ってこと?」

鉄「そういうこと。それ以外にも、この学園に来る前から危機回避は何度も経験してるし、そこに間違いは無いはずなんだ」

鉄「そう、そっちは心配していない。むしろ、僕の懸念は……」

鉄「メダルの譲渡を行うと、皆に僕の幸運の性質を伝えないといけないこと、なんだ」

本居「……何か問題があるの?」

鉄「か、考えたくはないけど……もしかしたら、僕を殺そうとする人が、この先出てくるかもしれない」

鉄「何も伝えなければ、僕に危機を察知させる形で襲いに来る可能性もあるけど……」

鉄「教えてしまったら、話は変わる。僕を殺そうとする人は、僕に危険を察知させないよう、不意打ちで殺そうとするでしょ?」

鉄「それが……怖いんだ」

"怖い"

ここに来て、何度聞いた言葉だろう。

鉄「かと言って、メダルが枯渇したら皆の命に関わる状況で、僕がメダルを持ってても勿体無いし……」

鉄「……ねえ、優樹菜ちゃん、どうしよう?」

鉄「才能の詳細……皆に伝えても大丈夫かな?」


真衣ちゃんは、獄門君を信用出来ないと言っていた。

それでも、こんなことを全員に伝える危険を犯そうか迷っている。

私は、どうするべきだと言えば良いんだろう……?



1.伝えても大丈夫
2.今は伝えない方が良い 
3.何もアドバイスしない

↓1


本居「少なくとも、今は言わない方が良い気がするな」

本居「判断を焦る必要は無いと思うんだ。最低でも2日くらいは、皆のメダルは保ちそうだし」

本居「その時にまた、考えてみても良いんじゃないかな?」

本居「私で良ければ、相談なら、いつでも乗るし」

鉄「……そっか。そうだね」

鉄「ありがと、優樹菜ちゃん。ちょっとだけ、心が軽くなったよ」

鉄「……よし、切り替え切り替え!皆待たせてるだろうし、急ごっか!」




『真衣ちゃんとの親密度が上がった。』


食堂に戻って、私達は探索の報告会を開いた。

個室捜索の班の報告によると、

継美ちゃんと南錠さんの個室を捜索した結果、

かなりの量のモノクマメダルを入手することが出来たとのことだった。

更に、それを分け合い、全員が最低でも40枚のメダルを持っている状況を作ることが出来た。

『モノクマメダルの所持数が40枚になった。』



そして、私達の班の報告の番がやってくる。

伝えるだけで済むことはさっさと伝えてしまい、

議論しておかなければいけないことに話を移す。

まずは、書庫で分かった、獄門君が犯した罪についてだ。

これに関しては、獄門君が自ら、私達に話した時と同じように説明した。

獄門「……ということだ。更に詳しく知りたければ、2Fの書庫に、俺について書かれたファイルがある」

沢渡「ふむ……オイラは、事実だとしたら、情状酌量の余地はあると思うッスけど……」

ラバン「その話が真実だとは、証明出来ない……と。それでは、不安を抱く人がいるのも無理はありマセンね」

伊賀ノ原「まあ、女の子はちょっと不安になる内容だよね……。僕は興奮するけど……」

鉄「…………。」

伊賀ノ原「……鉄さんの軽蔑の眼差しが痛いよ」

吉田「……最初の動機のDVD」

珍しく、吉田君が口を挟む。

吉田「獄門の、最初の動機のDVDの内容は何だったんだ」

獄門「……?何で今そんなことを……」

獄門「!……そうか。確か、俺の動機のDVDは、妹達の安否を心配させる内容になっていた……」

そういえば、そうだ。

最初の動機は、自分にとって大切な人の安否を心配させる内容だった。

獄門君の話が本当なら、彼のDVDには、話に出ていた妹さん達が映っていておかしくない。

獄門「なら、疑う人にはアレを見てもらえば、その歳の妹達がいることは信じてもらえるな」

丹田「……ロリコン疑惑が晴れそうで喜んでるみたいだけどさー」

丹田「根本的に、アンタが自分の生存の為に殺人を犯す男だって部分は覆って無いんだから、それじゃ誰も心を許さないと思うけどね」

獄門「……ああ、それに関しては否定の仕様もない事実だし、そう考える人に対する提案も用意している」

獄門「ひとまず、あらぬ誤解が解けそうなだけでも良かったよ。」

伝法寺「……で、その提案っつーのは?」

獄門「……そうだな。他の報告も残っている中で、時間を取らせるのも申し訳ないし……」

獄門「また夕食の時に、全員ここに集まってくれないか?その時に言うよ」

神崎「今日決まったルールだと、皆さん強制的に食堂でご飯を食べることになりますから……」

神崎「夜も全員揃うでしょうし、獄門さんがそう仰るなら、後回しにして良いと思います」

丹田「……メダルの枚数云々より、そこがダルいな、このルール」

こうして、獄門に関する件は、一旦は穏やかにまとまったのだった。


-大浴場 脱衣所-

その後、私達は脱衣所に場所を移し、まずは監視カメラの件を報告した。

伊賀ノ原「へぇ……ここにだけ監視カメラが無いのかあ」

足立山「本来なら当たり前のことよ……。個室のカメラも取り外して欲しいくらい」

神崎「ここなら、黒幕にバレずに話し合いや作業が出来るというわけですか」

ラバン「わざわざここに場所を移したということは……何か重要な手がかりを見つけマシタか?」

周藤「ああ、これなんだけどね……」

そう言って、周藤さんは皆に壊れたPCを見せる。

樹村「わー、パソコンだー!」

樹村「ゲームできるのー?ゲーム!」

沢渡「いや、大事なのはそこじゃないッスよ……。外との連絡は取れるんスか?」

本居「それが、壊れてるみたいで……電源が入らないんだよね」

丹田「……超高校級の才能様の集まりなんだから、修理出来るヤツの1人や2人いるんじゃねーの?」

一色「確かに、伊賀ノ原君始め、その方面に明るそうな者は何人かいるね」

一色「……残念ながら、私はサッパリだが」

本居「因みに、さっき話し合った限りでは、獄門君に修理を任せようかなと思ってたんだけど……」

本居「獄門君に関するファイルを見つける前に決めたことだから、決め直す余地もあるかなと思って。意見を聞きたいんだ」

伊賀ノ原「うーん……僕がやると、うっかりPCを改造しちゃったり、うっかりPCを発明品のパーツにしちゃったりしそうだしなあ」

鉄「どんなうっかりよ……」

沢渡「信用を取り戻すチャンスを与えるって意味でも、獄門君主導で進めることに異論は無いッスけどね」

沢渡「全任せはせずに、定期的に皆で進捗を確認すれば良い話ッスし」

樹村「獄門君、別に悪い人には見えないし~、良いんじゃな~い?」

樹村「さっき、巴にメダルくれたよ!」

伝法寺「……ラバンあたりが無難な気はするが……オレァ獄門でも問題はねェと思うぜ」

ラバン「いえ、私も自信があるわけではありマセンので……獄門サンに出来るなら、その方が良いかと」

獄門「……そうか。皆がそう言うなら、修理の担当をさせてもらおう」

丹田「ちゃんと直さなかったら殺すぞ。分かってんな?」

沢渡「みっちゃんの指名手配犯に殺害予告できる度胸、尊敬するッス……」


……さて、夕食の時間に獄門君から話があるらしいけど、

それまで暇な時間が出来ちゃったな。

まずは、探索を終えた上で、誰かに話を聞いてみるのも良いかもしれないけど……

……どうしよう?



1.話を聞く(生徒指定)
2.自由行動時間に移る
(-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:40)
4.休憩する)

↓1


本居「神崎君、探索お疲れ様」

神崎「ああ、本居さん、お疲れ様です」

神崎「予想はしていましたが、やはり出口は見つかりませんでしたね……」

本居「うん……でも、幾つか気になることは見つかったよね」

神崎「最も気になるのは、希望ヶ峰学園の廃止云々の話ですが……」

神崎「……もしかして、私って本当にただの一般人なのでは?」

本居「……え?」

神崎「もし、これが廃校となった希望ヶ峰学園を乗っ取った大規模な誘拐事件で……」

神崎「廃校前に入学予定だった人達が集められているとしたら……」

神崎「私、人違いで誘拐された可能性もありますよね?」

神崎「皆さんの同級生に、私のそっくりさんがいたんじゃないでしょうか?」

本居「うーん……どうだろう?そこまでは分からないけど……」

本居「でも、少なくとも私は、入学前に廃校の話なんて聞いたことないよ?」

本居「さっきの報告会でも皆そういう話を知ってた様子は無かったし、デマの可能性が高いんじゃないかな」

神崎「だと良いんですが……」

神崎「……あ、いや、良くはありませんかね」

神崎「廃校してない場合の方が、これって大規模な事件になるわけですし」

神崎「……すみません。自分の才能が気になるあまり、つい」

本居「ううん、他の皆の才能がハッキリしてる分、不安なるのは分かるよ。」

本居「ゆっくり思い出せば良いんじゃないかな?焦らなくても」

神崎「……そうですね。ありがとうございます」




『神崎との友好度が上がった』


……さて、夕食まではまだまだ時間がある。

じっとしていても仕方ないし……

何をして過ごそうかな?



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:40)
4.休憩する

↓1


-図書室-

やっぱり時間を無駄には出来ない。

皆やれることをやってるんだし……。

さて、探索するなら……

本居「やっぱり、図書室しかないよね!」

色んな本を調べていく内に、

脱出の手懸かりも見つかるかもしれないし。

何より、司書として、図書室は詳しく調べとかないと。

吉田「…………。」

向かった先の図書室には、吉田君がいた。

どうやら本を読んでいたみたいだが、

私が入ってきたことに気付き、こちらに近づいて来る。

……大柄だからか、

こちらに歩みを進めるだけで迫力を感じる。

本居「吉田君も、ここにいたんだね。何してるの?」

吉田「……この本を借りたい」

吉田君が、先ほどまで読んでいた本を、私に差し出す。

なになに……

『料理入門!基本のおかずの作り方』

……意外だ。吉田君、こんな本を読むんだ。

本居「へ~、吉田君、料理するんだ?」

吉田「いや……殆どしたことはないが……」

吉田「この機会に、学んでおこうかと思ってな」

吉田「厨房が開放されるまでに知識は入れておこうか、と」

本居「そうなんだ。確かに、ここじゃ大した楽しみも無いし……」

本居「せめて自分の好きなものを食べたい!とは思うよね」

本居「私も、今度吉田君に作ってもらおうかな~」

吉田「……うむ……人に振る舞えるほどになれば、いずれ、な」

本居「あ、それと、本の貸し借りだけど……」

本居「私は別に、司書だからって、この図書室の管理をするわけじゃないんだ」

本居「だから、勝手に持って行って構わないと思うよ」

吉田「……そうだったか。ならば、個室で読ませて貰うとしよう。」

そう言って、吉田君と別れた後、

私は図書室の探索を始めた。

……が、本の整理をしている間に、 

気になった本を読み込んでしまい、あまり捗らなかった……。



『吉田君との友好度が少し上がった』


-食堂-

夕食の時間になり、食堂に14人が集まる。

皆、モノクマに食事を頼み、

好きなテーブルで夕食を摂り始めていた。

もちろん私も、その中の1人だ。

『モノクマメダルが5枚減少した』



獄門「……さて、皆聞いてくれ」

獄門「夕食までの間に、俺の動機DVDを見てくれた奴は分かってると思うが……」

獄門「俺が今日告白したことは、全て真実だ」

数人が頷く。

どうやら、DVDの内容は本当だったらしい。

獄門「……しかし、だからこそ不安だという者も多いだろう」

獄門「俺が殺人を犯したことも、紛れもない事実だったわけだからな」

獄門「だから……今日から、俺の監視役を設けようと思う」

獄門「俺を信用できないと思う奴こそ、監視役に立候補して欲しい」

獄門「……そして、その日の監視役が誰かは、全員に通達する」

獄門「これで、俺が監視役を殺しても、すぐに犯人だとバレるはずだ」

獄門「客観的に見ても十分な抑止力になると考えているが……異論のある奴はいるか?」

丹田「好きにすりゃ良いけど……その言い方だと、付いてる監視役は1人?」

丹田「わざわざ1人しか付けない意味って何なのかなー?」

丹田「本当に安全ってことをアピールするなら、大勢での監視の方が、無難なんじゃねーのー?」

獄門「勿論、監視役に大勢が立候補してくれればそうするが……」

獄門「いくら理屈で安全と言っても、常に俺の近くにいるってのは不安だろう?」

獄門「そう沢山は来ないと思っている。丹田だって、嫌だろ?」

丹田「当然。拒否」


鉄「……疑う人こそって話なら、僕はやってあげても良いよ」

鉄「正直、さっきよりは疑いは薄まってるけど……」

鉄「獄門の肩を持つ立場の人間に監視させても、意味ないもんね」 

周藤「それは確かに……ちゃんと中立な立場から監視しないことにはね」

周藤「アタシも監視役になるよ。いざという時の大声には自信があるしね」

周藤「家の1階のリビングから、3階のベランダにいるお袋に、声が届くくらいだよ!」

沢渡「いや、たとえが微妙過ぎるッスよ……」

ラバン「私で良ければ、いつでもお力添え致しマスよ」

真衣ちゃんには幸運があるし、

ラバンさんや周藤さんもしっかり者だから、大丈夫だろう。

吉田「……人手が足りないなら、俺も協力する」

吉田「今のところ、俺はあまり皆の役に立てていない、ということもあるしな」

足立山「……福愛もやる」

足立山「福愛、昨日のことがあって、色々考えたんだ……」

足立山「影野がやろうとしてたこと……もっと理解してあげたら良かったなって」

足立山「皆で仲良くとか、苦手だけど……正直、面倒臭いし……」

足立山「で、でも、監視役するだけで、役に立てるなら、やってあげなくもない!」

少し意外な人達も名乗りを挙げる。

……私は、どうしよう?


1.名乗りをあげる
2.見送る

↓1


本居「私も、監視役くらいならやるよ」

本居「人数は多い方が良いだろうし……特に断る理由もないしね」

沢渡「ふむ……それだけいたら十分ッスかね。」

沢渡「なら、オイラは今回は見送らせてもらうッス」

沢渡「獄門君を信用してないわけじゃないッスけど、敢えて危険なところに身を置く必要も無いッスし」

伊賀ノ原「僕も……いざという時、獄門君に太刀打ち出来ないし」

伊賀ノ原「あ、でも別の形で協力はするよ。主に、゙アレ"に関する面で」

パソコンの修理のことだろう。

その辺りに疎い人間からすれば、伊賀ノ原君は貴重な人材だよね。

神崎「私も、監視時間ずっと拘束されるのは辛いですし、人数が足りそうならパスさせて頂きます」

伝法寺「……まァ、オレァ獄門の肩を持ってると思われるだろうからな……」

伝法寺「今回の条件には、見合わねェだろ」

樹村「遊ぶ時間が無くなるからやだー!」

一色「興味がない」

丹田「さっき言った通り」

参加人数や状況を見て退いた人や、

例のごとく非協力的な人は様子見の姿勢を取る。

本居「なら、監視役は、私、真衣ちゃん、周藤さん、ラバン君、吉田君、足立山さんの、6人だね」

獄門「ああ、まず今の俺の持ち物検査や、個室に怪しい物が無いかの捜索を行ってくれ」

獄門「そこから、今夜から、誰か1人俺の監視に付いて欲しい」

獄門「今日は朝まで゛アレ"に取りかかる予定だから、徹夜出来そうな奴がいいな」

周藤「そういうことなら、今日はアタシがやろう」

周藤「こう見えて徹夜には慣れてるんだ。安心して任せときな」

本居「なら、今日は周藤さんに任せようかな」

とりあえず、話はそれでまとまり、

その後、私達6人は獄門君と彼の個室の検査を行った。

結果、特に怪しいものは見つからず、

念のためということで周藤さんが工具セットを没収した程度だった。


-本居の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります。間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま~す。ではでは、いい夢を。おやすみなさい…。』


本居「もう22時、か……」

本居「新エリアの探索に加えて、獄門君の件もあって、今日は疲れたな……」

今日はもう休んで、また明日頑張ろう。

希望はなかなか見えてこないけど、

諦めることだけは、絶対にしちゃ駄目だよね。

そう言い聞かせて、私はベッドに潜った。

疲れもあり、眠りに落ちるのに、そう時間を要することは無かった。


-NIGHT TIME-

-大浴場 脱衣所-

『カタカタカタカタカタ』

部屋には、獄門がキーボードを叩く音だけが響き渡る。

こいつの腕は大したもので、修理自体は殆ど終わり、

今はパソコンの中にあるデータをどうにかしているらしい。

機械に疎いアタシには何を言っているのか全く分からなかったが。

まあ、怪しいことをしていれば、伊賀ノ原が気付くだろうし、

その点に関して心配は要らないだろう。

獄門「ふー……疲れた」

周藤「お疲れさん。倉庫も空いてないし、何も出してやれないけど」

獄門「構わんさ。ただ、少し休憩だけさせてもらうぞ」

そう言って、獄門は一旦パソコンを閉じる。

……そうだ。

この機会に、コイツの真意を確かめておこうか。

周藤「なあ獄門、ここだけの話、アンタはどういう意図で動いてるんだい?」

周藤「別に、何を考えていようと、もう軽蔑はしないしさ」

周藤「罪についても告白したなら、洗いざらい白状したらどうだい?」

獄門「どういう意図って……ここでの生活において、か?」

獄門「別に、深い意味なんて無いぜ。俺は俺の最善を尽くしてるだけだ」

獄門「何度も言うように、俺には、ここで罪を犯す理由がない。」

獄門「空回りもしてはいるが……俺の学園生活での提案や行動は、全て良かれと思ってやってることだよ」

周藤「……本当かね」

獄門「もっとも、裏に意図があったとしても、同じ答えを返すことは否定しないぜ」

獄門「俺を信じるか信じないかは、皆それぞれで決めると良い……」

獄門「そうすることで、俺にも、お前らがどういう奴かってのが、見えてくるんだよ」

獄門「……あ、そういえば、この前のブレザーの修繕、サンキューな」

獄門「何だか前より着心地も良くなった気がするんだが、これもお前の才能なのか?」

さりげなく、話を逸らされた気がする。

周藤「……さあね。アタシは最低限のことしかしてないよ」

獄門「ふーん、本当か?」

獄門「人に本音を聞くなら、お前も本音でぶつかって来ないと、だぜ?」

周藤「……煩いな。それとこれとは話が別だろ」

やっぱりアタシじゃ、こいつの真意は読めない。

案外浅いように見えて、まだ底は見せていないような……

気がするだけで、本当に大して考えは無いような気もする。

獄門「……さて、休憩終わり。もう一踏ん張りするか」

周藤「おう、働け働け」

何にせよ、敵と決めつけるには早すぎるのは、確かみたいだ。


-食堂-

食堂には、すでに私を含め12人が集まっていた。

来ていないのは……

沢渡「みっちゃんと、一色君スね」

沢渡「まあ、あの2人の辞書に゙協調"って言葉はないッスから、仕方ないッスけど」

鉄「むしろ、揃って12人も、この時間に食べに来てるのが凄いんじゃない?」 

鉄「足立山さんも来てくれてるし、ね?」

足立山「か、監視役として、次の当番かもしれないから来ただけよ」

足立山「……た、たまには早起きも悪くないってのもあるしね」

鉄「もー、ツンツンしちゃって!福愛ちゃんって呼んじゃうぞ!」

鉄「それともふーちゃん?ふくちゃん?あーちゃん?好きなの選んで良いよ!」

足立山「……好きに呼べば良いでしょ!はしゃぐな!」

足立山さんも、何だかんだで馴染めているみたいだし、本当に良かった。

……継美ちゃん

貴方がしてきたことは、決して無駄なんかじゃなかったよ。




その後、少し待っても残りの2人が来る気配が無かったので、

昨日と同様、モノクマメダルを支払い、集まった皆で食事を摂った。

『モノクマメダルが5枚減少した』


食事後の話し合いで、今日の昼時間の監視はラバン君が務めることになった。

丹田さんと一色君に関しても、

夕食の時間には食堂に来るだろうということで、

特別呼びに行くこともしなくて良いという話でまとまった。

獄門「それじゃ、ラバン、俺は個室で寝るから」

獄門「お前は個室の前で俺が出てこないか見張っとく、ってことで良いか?」

獄門「別に俺は、個室の中に入って来られても疚しいことはないが」

ラバン「いえ、前回の検査で不審物は見つかっていマセンし、個室の外で見張りをさせて頂きマス」

ラバン「ただし、念のため、起床後に身体検査と、個室の確認はさせて下サイね」

獄門「抜かりねえな。構わないぜ」

そんな会話をしながら、ラバン君と獄門君は食堂から出て行った。

……うん、やっぱりラバン君なら、任せていて安心だ。

周藤「……アタシも流石に、今日は寝ておくとするかね」

周藤「別に、まだ起きてはいられるが……特に仕事もないのに、無理する必要は無さそうだし」

周藤さんも、個室に戻る旨を告げ、食堂から出ていく。

今日は、この3人と一緒に過ごすと、邪魔しちゃうかな……。



……さて、暇な時間が出来てしまった。

どうしようか?



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:30)
4.休憩する

↓1


樹村さんを探して学園中を見回ったが、なかなか見つからない。

そして……

-書庫-

本居「あ、樹村さん。こんなところにいたの」

積み上げられた本の中から、樹村さんの顔だけが見えている。

樹村「! 優樹菜ちゃんだー!やっほー!」

本居「……何してるの?」

樹村「ここにある重要資料に埋もれる遊びだよー」

……流石、超高校級。理解不能だ。



樹村さんと何をして過ごそう?

1.遊び人とは(通信簿)
2.食事について
3.獄門について

↓1


本居「樹村さん、超高校級の遊び人って、どういう才能なの?」

樹村「えー?知らなーい」

知らない……?

樹村「巴はー、好きなことして良いって言われたから、来ただけだもーん」

樹村「希望ヶ峰学園に入学したらー」

樹村「好きなことをするために必要な時間もお金も、ぜーんぶ偉い人がくれるんだってー」

樹村「天国だよねー」

満面の笑みで、樹村さんはそう言う。

今のところ、その約束が果たされてはいないわけだけど。

樹村「巴はねー?好きなことして遊んでたら、お家では怒られることが多かったからー」

樹村「この学園からの招待は、とっても嬉しかったんだよー」

樹村「でも、こんなことになっちゃって……」

樹村「今は、こうやって本に埋もれて遊ぶくらいしか楽しみが無いんだ……」

樹村「モノクマメダルも、節約しないといけないしねー……」

本居「そ、そっか……」

本居「でも、少しでも楽しみがあるだけ、まだ良いんじゃない?」

樹村「うん!巴はね、したいこと以外は、したくないからねー」

樹村「だからねー、皆でご飯とかも、今は巴がしたいからしてるけどー」

樹村「したくなくなったら、やめちゃうかもー」

本居「……そっか」

本居「なら、樹村さんがいつまでも来たくなるように、楽しい食事会にしないとね」

樹村「おー!がーんばってー!」



『通信簿 1/5
樹村は、自分自身、遊び人という才能について詳しく理解していないらしい。好きな時に好きなことが出来るという約束で、この学園に来たと言う』


プレゼントを渡しますか?

1.渡す
2.渡さない

↓1


プレゼント一覧
毛虫くん
水笛
水笛
変声機付き蝶ネクタイ
G-SICK
黄金のスペースシャトル
アンティークドール
白兎の耳当て


本居「樹村さん、これ、遊び道具にならないかな?」

本居「丹田さんには絶対必要ないし、他の人にあげようかなと思ってたところなんだ」

樹村「わー!なにこれー?コ○ンみたいー!」

本居「そ、その例えはお構い無し過ぎると思うよ!」

本居「で、でも……その作品のそれと殆ど同じような物だと思うんだ」

本居「ほら、このダイヤルで、自由に声を変えられて……」

樹村「あー、あー、あー?」

樹村(南錠)「優樹菜はん、久しぶりやなあ」

樹村(南錠)「あんさんに邪魔されたこと、うち、地獄でずーっと恨み続けてるからな……」

樹村「おおー!すごいー!」

……悪意が無い分、心に刺さる。

樹村「ありがとー、優樹菜ちゃん!大切にするね!」



ともかく、すごく喜んでくれたみたいだ。

『樹村さんとの親密度がすごく上がった』


お昼ご飯はメダル節約の為に我慢するとして……

夕食までは、まだ時間があるな。

……何をして過ごそう?



-自由行動時間2-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:30)
4.休憩する

↓1


-体育館-

伝法寺「…………。」

本居「伝法寺君は、体育館が好きなの?」

伝法寺「……別に、そういうわけじゃねェよ」

伝法寺「初日のことを思い出してただけだ」

伝法寺「あの時は、影野も、南錠もいて……」

本居「伝法寺君……」

ぶっきらぼうに見えるけど、

彼なりに、亡くなった2人のことを想っているんだ。

伝法寺「……それに、伊賀ノ原がいなきゃ、オレァ爆発に巻き込まれて死んでたかもしれねェ」

伝法寺「良い奴だったよな……伊賀ノ原」

本居「伊賀ノ原君は生きてるよ!?」



……さて、伝法寺君と何を話して過ごそう?

1.伝法寺の信念(通信簿埋め)
2.食事について
3.獄門について

↓1


伝法寺君の話は、前に継美ちゃんから少し聞いたことがある。

何でも、高校の不良を全てまとめあげて、

人に迷惑をかけないよう更生させたとか……。

失礼かもしれないけど、私の中の番長のイメージとはかけ離れている。

本居「伝法寺君は、どうして高校の不良の人達を、更生させたの?」

伝法寺「……影野から何か話を聞いたのか」

伝法寺「別に……更生させたなんてつもりはねェよ」

伝法寺「オレが気に入らなかったから、止めさせた」

伝法寺「……それだけの話だ」

本居「うーん……私の中で、番長って言うと……」

本居「悪い人を束ねて、悪いことををするイメージなんだよね」

本居「でも、話を聞いてると、伝法寺君はそうじゃないでしょ?」

本居「やっぱり、何か他の番長と違う理由があるんじゃないかなって、思うんだけど……」

伝法寺「…………。」

伝法寺「そうだな……今でも、守るようにしてる約束はある」

伝法寺「オレを育ててくれた、婆ちゃんとの、約束だ」

本居「約束……?」

伝法寺「゙他人様に迷惑はかけるな"」

……伝法寺君が不良達に命じたことと、殆ど同じだ。

伝法寺「オレァ、その約束だけは守るようにしている」

伝法寺「もちろん、完璧に出来てるとは言えねェがな」

伝法寺「ここに来てからもそうだ」

伝法寺「さっきも言った通り、伊賀ノ原がいなきゃ、オレァ今ごろ生きてねェ」

本居「その、お婆さんとの約束って、どういう経緯でしたの?」

本居「そこまで大切にする約束ってことは、何かあったんじゃ……」

伝法寺「…………。」

伝法寺「また、話す機会があれば話そう」

あ……

ちょっとだけ、踏み込み過ぎちゃったかな。



『通信簿 2/5
伝法寺が不良達を教育し直した背景には、彼の祖母との約束があるようだ。何でも、他人に迷惑をかけないように、という約束をしたらしく、今でも守るようにしているらしい』


プレゼントを渡しますか?

1.渡す
2.渡さない

↓1


プレゼント一覧
毛虫くん
水笛
水笛
G-SICK
黄金のスペースシャトル
アンティークドール
白兎の耳当て


『伝法寺君との親密度が少し上がった』



-食堂-

18時頃、夕食を摂る為に、皆が集まる。

朝はいなかった一色君や丹田さんも、来てくれていた。

丹田「はぁ……せめて倉庫だけでも開放しろよ」

一色「今日で、ここに来て1週間か……」

一色「さっさとコロシアイが起きないと、退屈だね」

一色「不要になった動機DVDを集めて、視聴覚室で鑑賞会でも始めようかな?」

2人とも、元気そうで何よりだ。

獄門「ふあぁ……よく寝た」

周藤「完全に昼夜逆転するね、これ」

ラバン「こんばんは、皆サン」

監視関連の仕事をしていた人達も、顔を出している。

事件以来、食事の時間は定めていないのに、

何となく皆、決まった時間に食事を摂る。

一部、渋々の人はいるものの、良い傾向だろう。



しかし、この学園生活で、良いことばかりが続くはずは無かった。

全員が集まり、食事を摂り始めた、その直後だった。

モノクマ「やっほー!皆さん、お揃いで!」

伊賀ノ原「うわっ、モノクマ!」

周藤「……何しに来たんだい」

足立山「ど、どうせまた、何か良くないことでしょ!」

モノクマ「うんうん、ボクが登場した時の反応も、板について来ましたね」

モノクマ「ただ、安心してよ。今回は良い報告だからさ」

良い報告……?

モノクマ「オマエラ、お待たせしました!」

モノクマ「封鎖していた倉庫を、再度開放しましたよ!」

モノクマ「是非、リニューアルされた倉庫を、見に行ってみてくださいな」

ここで、倉庫だけ開放?

モノクマからしてみれば、食事をメダルによって制限しても、

倉庫の食料が開放されるなら意味がないような……。

本居「……ともかく、確認しに行こうか」


-倉庫-

本居「何これ……!?」

一色「……リニューアル、ね」

丹田「期待はしてなかったよ。こんなことだろうと思った」

リニューアルされた倉庫は、倉庫と言うよりは、

本居「……゙武器庫"みたい」

食料以外の日用品も備わってはいるものの、

ナイフ、槍、木刀、模擬刀、スタンガン、ハンマー、金属バット……

銃の類いのものは無いように見えるが、

見渡す限り、凶器になりそうなもので埋まっている。

モノクマ「どーうですかー?気に入ってくれた?」

モノクマ「これで、凶器を入手しやすくなったから」

モノクマ「殺意を抱いても、困ることなんて無くなったでしょー!」

モノクマ「いやー、学園長として、良いことしたなあ!」

足立山「こんなもの用意しても……」

足立山「福愛達はもう、コロシアイなんか起こさないから!」

足立山「福愛は……そう決めたんだもん……」

足立山「徹底的に、黒幕に抵抗してやる!」

ラバン「足立山サンの言う通りデス」

ラバン「こんなものに動じる必要は無い……。それこそ、黒幕の思う壺デスよ」

ラバン「これによって、誰かが殺意を抱くかどうか、を考えがちデスが、大事なのはそこではありマセン」

ラバン「疑心暗鬼にならないこと、デス」

鉄「た、確かにそうだよね!」

鉄「こんなのでギスギスしてちゃ、やってられないよ!」

獄門「……とはいえ、ここは立ち入り禁止にすべきだろうな」

獄門「もう用はないだろう。皆、食堂に戻って、食事の続きにしよう」

本居「そうだね。必要な日用品は、後で複数人でまとめて取りに行けば良いし」

モノクマ「えー、つまんないのー。もっと物色していかないのー?」

モノクマ「不真面目な生徒ばかりで、先生は悲しいですよ……」ショボーン

モノクマの寂しそうな声を背に、私達は全員、食堂に戻る。



モノクマ「……まあ、昼時間は、オマエラも本音は見せてくれないよね」

モノクマ「夜時間、次のクロが、ここに来てくれるのを楽しみにしてるよ」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷ……」


-食堂-

食堂に戻り、食事を終えた後、また獄門君の監視役を決める。

その間、皆リニューアルされた倉庫についての話題は出さなかった。

「最初はグー!」

「じゃん、けん、ぽん!」

本居「あ……負けた。私が夜時間の監視役だね」

鉄「やったねー。やっぱり夜は寝たいし、昼に当たりたいよ」

足立山「ま、何でも良いけど……、負けた人が監視役って」

足立山「なんか罰ゲームみたいで、獄門が可哀想じゃない?」

獄門「ははは、俺は気にしてないぜ」

獄門「実際、半日間ぶっ通しで監視なんて、罰ゲームみたいなもんだろうし」

獄門「……でも、ありがとな。お前が変わりつつあるのは嬉しいよ、足立山」

足立山「……うるさい」

鉄「うんうん!罰ゲームみたいで良いんだよ!」

鉄「運任せの決め方の方が、僕の思うように事が動く気がするし!」

今回の決め方を提案した真衣ちゃんが、そう言う。

実際は、真衣ちゃんの幸運の性質上、

そんなことはあり得ないはずだけど……

皆には言わないことにしてあるし、ツッコむところじゃないよね。

獄門「そんじゃ、本居は仮眠でもとってきたらどうだ?」

獄門「夜時間までは少し時間があるし……徹夜って結構キツいしな」

本居「うん、そうさせてもらうよ」

本居「獄門君は、今夜も脱衣所にいるつもりなの?」

獄門「おう、朝までな」

獄門「あの空間、落ち着くし、昔通ってた銭湯の匂いに近い気がするんだよな」

獄門「何だかんだで気に入ってるんだよ。個室より落ち着く」

獄門「お前もそう思わないか?ラバン」

ラバン「……私は、日本の銭湯に関しては、初めて見た時の衝撃が、未だに忘れられマセンね……」

ラバン「祖国には、存在しない文化デシタから」

ラバン「しかし、その良さも是非学びたいデス。獄門サンが銭湯に詳しいのであれば、是非教えてくだサイ」

カメラを意識しての発言も忘れずに残し、

獄門君とラバン君は脱衣所に向かって行った。

……さて、私は言われた通り、素直に仮眠をとろうかな。


『キーンコーンカーンコーン』

『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。』

『ただいまより“夜時間”になります。』

『間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま~す。』

『ではでは、いい夢を。おやすみなさい…。』



-NIGHT TIME-

-大浴場 脱衣所-

時間になって、私は約束通り、監視役を交代する。

本居「こんばんは、交代に来たよ」

ラバン「本居サン、こんばんは」

獄門「ん、来たか。そんじゃ、ラバンは監視終了だな。長時間お疲れ」

ラバン「いえいえ、疲れるなんてとんでもない」

ラバン「色々な話を聞けて、非常に楽しく過ごさせて頂きマシタよ」

ラバン「それでは、お2人とも、また明日」

本居「また明日」

獄門「おう、また明日な」

ラバン君が去っていって、大浴場は私と獄門君の2人になる。

本居「……獄門君、パソコンの修理の進捗はどう?」

獄門「今の時点で、パソコン自体の修理は終わってるよ」

獄門「残念ながら、インターネットには繋がらねえみたいだな」

獄門「こいつを通じて外部と交信するのも、今のところ厳しい」

……ダメ、か。

予想はしていたけど、残念だ。

本居「……やっぱり、黒幕が、外部と連絡が取れないように徹底してるってことなのかな?」

獄門「もちろん、そうだろうな」 

獄門「……ただ、詰めが甘いところもあるみたいだぞ」

本居「どういうこと?」

獄門「ロックの掛かったデータファイルが、パソコンの中に残されていたんだ」

獄門「かなりの容量だが、時間さえかければ解けなくもないロックだ。罠の可能性もあるが……」

獄門「図書室の埃を被った状況からして、俺達の探索前に細工をしておいた、という感じはしないんだよな」

獄門「パソコンも封筒も、もっと前から、あそこに放置されていたように感じるんだ」

本居「つまり、黒幕が消し忘れた情報が、見れるかもしれないの?」

獄門「解析を終えないことには何とも言えんが、その可能性が高いと見ている」

本居「……良かった。なら、まだ希望は残ってるんだね」

本居「頑張って、獄門君!話し相手くらいにしかなれないけど、朝まで付き合うよ」

獄門「ああ。と言っても、まだ数日掛かりそうなんだけどな……」

会話中も獄門君は、キーボードを叩き続ける。



『作業をする獄門君と、雑談をしながら過ごした。』

『獄門君との親密度が少し上がった。』


伝法寺「……オッス」

0時を回ったくらいだっただろうか。

思わぬ来客が訪れた。

本居「こんばんは、伝法寺君」

獄門「お、伝法寺。どうした?」

伝法寺「……獄門、ちッと汗流そうぜ」

伝法寺「四六時中そのガラクタと向き合いっぱなしじゃァ、気が滅入るだろ」

獄門「へえ、お前から誘って来るなんて、珍しいな」

獄門「俺は構わんが……ただ、男子更衣室でトレーニングは出来ないぞ?」

獄門「今日の監視役は本居だから、女子は男子更衣室には入れないだろ」

伝法寺「いいや……そっちじゃねェよ」

伝法寺「すぐそこに、汗を流せる場所があるじゃねェか」

そう言って、伝法寺君は、大浴場内を指差す。

伝法寺「……サウナだ」

獄門「ああ……そういえば、あったな、サウナ」

獄門「いいぜ。ちょうど休憩したいところだったし、気分転換に入るか」

そう言って、獄門君が立ち上がる。

本居「……って、ちょっと!ここで脱ぎ始めないでよ!?」

獄門「え?……あ、それもそうだな」

獄門「しかし、かと言って、本居の監視を外れる時間を作るのも考えものだな……」

獄門「……いっそ、服を着たまま入るか」

獄門「その方が、汗も早く流せるし」

伝法寺「……構わねェぜ。着替えなら、倉庫にジャージが何着もあったはずだ」

伝法寺「食料以外が取り除かれてねェなら、今もあるはずだろ」

本居「で、でも、倉庫は立ち入り禁止にしてるんじゃなかった?」

伝法寺「3人で、お互いが監視し合える状況で利用するなら、問題無いだろ」

伝法寺「なァ?獄門」

獄門「まあ、そうだな。目的は、凶器の取得防止だし」

獄門「それじゃ、3人でジャージを取りに行って、サウナに入るか」

獄門「……本居、伝法寺が怪しい動きをないか、ちゃんと見とけよ?」

伝法寺「……バカ言え。誰がモノクマのあんな手に乗せられるかよ」


その後、無事ジャージを取得し、私達3人は、大浴場内に戻ってきた。

ずっと目を光らせていたけど、2人とも、全く怪しい動きはしなかったし、

出てきた後に持ち物検査をしても、

怪しい物は何も持っていなかった。



-大浴場 サウナ前-

伝法寺「よし……せっかくだし、どれだけ我慢できるか、勝負してみるか?」

獄門「身体に悪いぞ、やめとけ」

伝法寺「……チッ、張り合いねェなァ」

そんな会話を交わしつつ、2人はサウナの中に入っていく。

私はというと、持ち物検査もしたことだし、

サウナの中に長時間いるなんて耐えられないから、

サウナの外から獄門君を監視することにした。

しかし、2人がサウナに入った直後、思わぬ邪魔が入ることになる。

モノクマ「ストーップ!オマエラ、何やってんのさ!」

……モノクマだ。

本居「……あ、あれ、監視カメラは無いのに、どうして?」

幸い、パソコンは大浴場のロッカーに入れて、鍵も閉めて来た。

だから、バレていないとは思うんだけど、少し慌ててしまう。

モノクマ「いやいや、確かに、脱衣所からは見えてないけどさ」

モノクマ「着衣したままサウナに入る話をしながら、倉庫からジャージを持って行くオマエラは見えてるんだよ!」

モノクマの声に、他の2人も反応し、サウナから出てくる。

獄門「……どうした?何か用か?」

モノクマ「あのね、これは基本的なことだけど、サウナに服を着たまま入るのは禁止!」

モノクマ「どう考えても暑すぎるし、オマエラの健康を害する元になり兼ねないでしょ!」

モノクマ「そんなつまないことで倒れられたり、風邪でも引かれたりして……」

モノクマ「コロシアイが停滞しちゃったら、どう責任取ってくれるんすか!?」

伝法寺「……監視対象が大人しくなって、コロシアイも起きないなら、願ったり叶ったりじゃねェか」

獄門「いや、なんで俺だけが倒れる前提なんだよ。お前も同じ条件だろ」

獄門「……おっと。バカは風邪引かないか」

伝法寺「あァ?何だと?」

モノクマ「ちょっ……ボクを差し置いて喧嘩すんなって!」

モノクマ「ただでさえ、こんな湿度が高くて曇るところ、来たくないんだからさ、さっさと話を済まさせてよ!」

モノクマ「とりあえず、こんなつまんないこと、校則に追加まではしないけど……」

モノクマ「着衣したままのサウナ入室は、禁止するから!破ったら、何かしら罰を与えるよ!」

モノクマ「それと、汗拭き用に、タオルを最低1枚持って入ること!いいね!?」

伝法寺「面倒くせェな……好きにさせろよ……」

モノクマ「ぐ……素直じゃないなあ……!」

モノクマ「きょ、今日のところは、ボクの目が曇ってるから許してあげるけど……」

モノクマ「次そんな態度だったら、伝法寺君の個室に、大量のボクを派遣する嫌がらせをするからね!」

モノクマ「それじゃ、おやすみ!サウナも良いけど、さっさと寝ろよ!」

そう言い残して、心なしかいつもより重い足取りで、

モノクマは大浴場から去っていった。


伝法寺「……チッ」

獄門「サウナでの着衣禁止ねえ……。そんなに意味あるのか?」

獄門「……とはいえ、脱いで入るとなると、さっき話題になった通り面倒だし……」

獄門「今度、男子が監視役の時に、仕切り直さないか?伝法寺」

伝法寺「……そうするか」

本居「……ごめんね、2人とも」

本居「ラバン君か吉田君が当番なら、問題無く入れたと思うんだけど……」

伝法寺「気にすンな……。お前のせいじゃねェよ」

結局、伝法寺君の提案は流れてしまい、

伝法寺君は個室に戻り、獄門君は作業を再開した。

私も、途中何度か寝そうになりながらも、

何とか朝まで監視を続けて……





『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』

『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』



本居「終わった~!」

獄門「ふう……。よし、朝飯食いに行くか」

獄門「本居、よく付き合ってくれたな」

本居「ううん、私から望んだことだし、良いんだよ」

……でも、読書以外での徹夜って、こんなに辛いんだね……。

初めて知ったよ……。



こうして、私の監視の番は何事もなく終わった。

サウナに入る時と同じく、パソコンをロッカーに隠した後……

次の監視役に引き継ぐまで、獄門君から目を離さないように意識して、私達は食堂へ向かった。


-Day8-

-食堂-

食堂には、昨日と同じく12人が集まっていた。

そして、これも昨日と同様、

各々モノクマメダルを支払い、食事を始める。

『モノクマメダルが5枚減少した。』

樹村「むー、どうしよー」

樹村「このままじゃー、あと何日かでメダルが尽きちゃうよー」

吉田「…………。」

神崎「……しかし、どうすることも出来ないのも事実ですからね」

神崎「最悪の場合は、力づくでも厨房を開けさせるしか無いのでしょうが……」

獄門「本当に最悪の場合だな、それは」

周藤「校則で禁止されてるのは監視カメラとモノクマの破壊のみだが……」

周藤「実際、アイツは割と好き勝手に校則を加えてくるからね」

周藤「そういう意味では、食料の為の強行も、危険には違いない」

伝法寺「好き勝手なルール追加といえば……サウナについて、新しくルールが通達されたぜ」

本居「そうそう、着衣したままのサウナ入室が禁止されて……」

本居「タオルも1枚、持っていかないといけないんだったね」

樹村「ふーーーん。使わないから、巴には関係ないやー」

足立山「私も、サウナに関しては、正直どうでも良いけどさ……」

足立山「この調子で、どんどん行動が制限されてくなら、それは面倒よね」

その後も、食事をしながら議論を重ねるが、

特に解決策が浮かぶわけでもなく……。



沢渡「……結局、節約しつつ、様子見を続けるしかないッスね」

沢渡「モノクマの目的がコロシアイ誘発なら、オイラ達を餓死させるまではしないと思うんスけど……」

神崎「そう願うしかありませんね。食事を断たれちゃ、何も出来ませんし」

獄門「昨日のルール追加の時のモノクマの言い分を聞いても、コロシアイを目的にしてるのは間違いない」

獄門「このまま停滞していたら、またアイツは動いて来るだろう」

獄門「……が、どう動いて来るか分からん以上、対策のしようもないからな……」

獄門「今日のところは、これ以上無理に話し合う必要は無いんじゃないか。」

獄門「……ごちそうさん。ところで、今日の俺の監視役は決まってるのか?」

獄門「昨日と同じように、また少し寝てから、作業を再会するつもりだが」

鉄「よーし、またじゃんけんだー!」



……そして、じゃんけんの結果、吉田君が負け、

今日の昼時間は彼が獄門君の監視を務めることになった。


……さて、また暇な時間が出来たな。

昨日は夜時間前に少し寝たし、

少し眠いけど、特に問題無く昼間も活動出来そうだ。

……何をして過ごそうかな?



-自由行動時間1-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:20)
4.休憩する

↓1


-プール-

新エリアで、あまり見回っていないのはここだけど……

本居「……まさか、皆で遊んでるとは思ってなかったよ」

本居「誘ってくれたら良かったのに……えいっ!」

鉄「きゃっ!あ、危なっ!顔に掛かるところだったじゃん!」

あ、避けられた。

今のも、幸運が発動したのかな。

樹村「ぶくぶく!ぶくぶくぶくぶくぶく!」

本居「ご、ごめん、何を言ってるのか分からないよ……」

……っていうか、アレ溺れてないよね?

周藤「ぷはぁっ!……おや、眠らなくて大丈夫なのかい?」

周藤「アンタは、昨夜監視役だったから、誘わなかったんだがね」

本居「うん、大丈夫だよ。少し眠い程度」

足立山「でも、疲れを溜めない為にも、激しい運動はやめておいた方が良いんじゃない?」

足立山「せめて、足を浸ける程度にしておいたら」

……確かに、その方が良いかも。

大人しく足立山さんの忠告に従って、

他の女子達がプールで遊ぶの見守った。


周藤「……たまには、学生らしいこともしないとね」

休憩しに来たのか、周藤さんが、私の隣に座る。

周藤「本当、何もしてないと気が滅入っちまうからさ……」

周藤「こういうのも、良いかと思ったんだ」

本居「……そうだね」

本居「せっかくなら、獄門君も含めて、男子も誘ってあげたら良かったかな?」

周藤「……確かに、特に獄門は、明るく振る舞ってるように見えて、色々思い悩んでるからね」

周藤「未だに、継美ちゃんの事件が、食事会の中で起こったことを、気に病んでるみたいだ」

……やっぱり、そうなんだ。

今は、メダル支払い制になったから、うやむやになってるけど……

この制度が終わったら、獄門君は、食事会を止めるつもりなのかな……。

周藤「……ただ、ほら、伊賀ノ原とか、誘ったらロクなことにならない奴もいるからね」

周藤「その辺、男子を誘うにしても、メンバーは考えなくちゃね」

本居「あはは、そうだね」 

樹村「ぶくぶくー!ぶくぶくぶくぶく!?」

周藤「ああ!今戻るよ!」

周藤「……優樹菜ちゃん、アンタも、考え過ぎないようにね」

周藤「困ったことがあったら、相談するんだよ」

周藤「……アタシも、この前の事件から、色々考えたけど」

周藤「もう少し、他人を信用してみようかな、なんて、考えてるんだ」

周藤「だからって、アンタもアタシを信用してくれ、とは言えないけど……」

周藤「せっかく、同じ学園に入学した同期生なんだ」

周藤「仲良くしてくれたら、嬉しいよ」

そう言って、周藤さんは、またプールの中に戻って行った。

本居「ありがとう、周藤さん。……本当に」

やっぱり、彼女は頼りになる人だ。

こんな状況でも、少しずつ、距離を縮めていけたら良いな。




『周藤さんとの新密度が少し上がった』


……さて、まだ時間があるみたい。

じっとしていても仕方ないし……

……何をして過ごそうかな?



-自由行動時間2-

1.誰かと話す(生徒指定)
2.探索する
3.購買部へ行く(メダル:20)
4.休憩する

↓1


-食堂-

もう少し、学園内を探索してみよう。

案外、盲点なのはここかもしれない。

ここに来てから、大して詳しく調べもせずに、

食事をする場所として利用している気がする。

見た目的にも何かを隠せる場所が少ないから、

こういうところに、何か手掛かりがあったりするものなんじゃ……。

今の時間なら誰も利用していないだろうし、探索には最適だろう。

本居「……あれ?」


食堂では、丹田さんが食事をしていた。

もう昼も過ぎてるけど、この時間に食事してるんだ。

丹田「……ちっ」

いや、舌打ちされても……。

本居「丹田さん、今からご飯なんだ?」

丹田「……見りゃ分かるだろ」

本居「最近は、朝7時半~8時くらいに集まって、皆で一緒に食べてるよ?」

本居「どうせここで食べるなら、丹田さんも一緒に食べたら良いのに」

丹田「嫌だ。何でわざわざ早起きして、死ぬ確率を上げなきゃいけないんだよ」

丹田「むしろ、夕食を共にしてやってるだけでも、有り難く思って欲しいね」

丹田「本当なら、24時間個室に籠っていたいくらいなのに」

本居「でも、それじゃあ気が滅入らない?身体に悪いよ」

机の裏や、食堂の隅の観葉植物を調べながら、丹田さんに返答する。

丹田「……それでも、死ぬよりはマシだろ」

丹田さんも、食事の手を止めることなく、独り言のように話す。

丹田「大体、お前は動き過ぎなんだよ」

丹田「今も、何だかワケの分かんねえことしてるしよ」

丹田「むやみやたらに動いても、狙われる可能性が増すだけだぞ」

本居「……もし、誰かを殺そうって思ってる人がいるなら、そうかもしれないね」

単独行動をしている人を狙われやすいというのは、違いない。

本居「でも、丹田さんがそんなことを言ってくれるなんて意外だな」

本居「……心配してくれてるの?」

丹田「はあ?思い上がるなよ」

丹田「ただ……お前にだって、無駄死にしたら悲しんでくれる奴くらいいるだろ」

丹田「そういう奴のことも考えてやれよ、って話」

丹田「お前が死んだら、お前が影野が死んだ時に抱いた感情を、そいつらに抱かせるってことなんだからな」

本居「…………。」

本居「確かに、私を大切に思ってくれる人達のことも、考えなきゃいけないとは思うよ」

本居「お父さんも、お母さんも、友達も、皆大好きだから」

本居「でも、それ以上に……私は、後悔しないように生きたいんだ」

本居「……今出来ることをせずに、何もしないで時間が過ぎるのを待つなんて、私を応援してくれる人に失礼だと思うし」

本居「だから……丹田さんが何と言おうと、私はやり方を変えないよ」

本居「……もちろん、丹田さんの過ごし方も完全に否定は……あれ?」

妙な静けさを感じて振り向くと、

丹田さんはもう、そこにはいなかった。

……いつから独り言になってたんだろう。

一応会話をしてたんだから、

立ち去る時に一言くらいくれても良いのに……。



『丹田さんとの新密度が少し上がった』


そのまま食堂で過ごして、17時30分になった。

もうすぐ、皆が夕食を摂りに集まる時間だ。

私は、皆と夕食の時間を揃える為に、食堂で待機していた。

前回同様、忌まわしい゙その時"は、突然やって来る。



『ぴんぽんぱんぽーん!』

『えー、オマエラ!こんにちは!』

『さて、食事の制度にも、幾らか慣れてきたことかと思いますが……』

『なーんか刺激が足りないんだよね。つまんなーい』

『ということで、臆病なオマエラの背中を押すために、またまたボクから、プレゼントを用意しました!』

『生徒の皆さんは、至急、体育館にお集まりください!』

『あ、強制だからね。逃げるなんて許さないよ』



……嫌な予感しかしない。

口振りからして、また、゙動機"なのではないだろうか。

……どのみち、強制なんだ。行くしかない。

たとえ罠でも、私達は立ち向かうしかないんだ。


-体育館-

モノクマ「全員揃ったようですね!」

モノクマ「オマエラ!まだコロシアイを渋ってるの!?意気地無しだなあ!」

ラバン「渋ってるも何も……もうコロシアイなど起きマセンよ」

足立山「そうだよ……!」

足立山「あんな事件があって、起こそうとする奴なんて、いるわけないじゃん!」

モノクマ「はてさて、この゙動機"を見ても、その威勢の良さも保っていられるかな?」

伝法寺「やっぱり……動機なのかよ……」

周藤「でも、前のDVDみたいに、観なければ良い話なんだ」

伊賀ノ原「確かに、動機を観た結果が、南錠さんだもんね……」

伊賀ノ原「あれを見てなければ、彼女も……」

モノクマ「あー、なんか勘違いしてるところ悪いけど……」

モノクマ「今回の動機、そういうのじゃないから!」

そういうのじゃない……?

モノクマ「ということで、気になる今回の動機発表です!」

モノクマ「じゃじゃーん!」

そう言って、モノクマが取り出したのは、

14枚の、封筒だった。


一色「封筒……?」

モノクマ「そうだよ!正確には、この中に書いてあることが、今回の動機!」

モノクマ「そこには、オマエラの、ばらされたくない秘密が記載されています!」

モノクマ「そして、今から24時間以内に、コロシアイが起こらなければ……」

モノクマ「その内容を、ここにいる全員に、暴露しちゃうよー!」

神崎「な……!?」

獄門「バラされたくない秘密……か」

本居「み、皆、中を見ちゃダメだよ!」

本居「こんなの、罠に決まってるんだから!」

本居「前回で、モノクマの動機には、もう懲りたはずでしょ!」

神崎「でも、破り捨てたとしても、コロシアイが起こらなければ、その内容はバラされるわけですよね」

神崎「だったら、自分だけ先に確認しておいても、問題無いのでは?」

本居「……え?」

神崎「だって……本当に聞かれたくない内容だった時のことを考えてみてください」

神崎「バラされる時に、皆さんに耳を塞いでもらうことも出来ないじゃないですか」

周藤「それはそうだが……そんなの、全員分聞かなきゃ済む話だろ」

周藤「アタシも、この動機は見ない方が良いと思うよ」

獄門「……同感だ。が、没収することも出来ないし、結局は皆の判断を信頼するしかないな」

神崎「だったら……絶対に動機を見ないと言える人は、ここで封筒を破り捨てると良い」

神崎「出来るはずですよね?そこまで言うなら」

……何だろう、この違和感は。

神崎君って、こんな人だったっけ……?

元々、つかみ所のない人ではあったけど……。


ともかく、提案者として、ここは行動で示さないといけない。

本居「……もちろん、出来るよ」

周藤「渋る理由が無いね」

獄門「ま、俺はもう隠してることなんて無いしなあ」

獄門「中身が何であろうと、どうでも良いよ」

モノクマ「あわわわわ……!」

モノクマ「せっかく心を込めて作った動機を、そんな風にするなんて……!」

モノクマ「ひどい!ひどすぎるよ!この不良生徒!」

私と周藤さんと獄門君、中身を確認することなく、封筒を破り捨てる。

……が、他の11人が、封筒を破り捨てることはなかった。

神崎「……ほら、これが、大半の意見みたいですよ」

丹田「……勘違いすんなよ」

丹田「全員が全員、気になるから、なんてアホな理由で持ってるワケじゃねえぞ」

丹田「どんな内容でもコロシアイを起こさない自信がある奴は、中身を確認しておいて損はねぇってだけだ」

丹田「黒幕が、私達についてどの程度の情報を得ているのか、知ることが出来るわけだからな」

ラバン「……その通りデスね」

ラバン「バラされて殺人を犯すレベルの秘密を、本当に入手できているのか」

ラバン「確かめておいても構わないデショウ」

神崎「……なるほど」

神崎「そういう名目にしておきたいなら、それでも構いませんよ」

神崎「……それでは、私はこれで」

引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、

神崎君は1番に体育館から去っていく。

モノクマ「あ、まだ解散してないのに……しょうがないなあ」

モノクマ「それじゃ、今から24時間だからね。ちゃんと計っておくよ」

モノクマ「クロの勇気ある決断を、ボクは期待してるからね」

モノクマ「うぷぷぷぷぷ……」

モノクマも去り、体育館には13人が残される。

……誰も、話を切り出さない。



……動機を踏まえて、誰かに話しかけてみようかな……?

↓1 神崎を除く生徒指定


本居「……伊賀ノ原君、大丈夫?」

彼に近寄って初めて分かったけど、少し震えている。

伊賀ノ原「もももももも本居さん、だだだだだだ大丈夫に決まってるよ」

伊賀ノ原「でも、パンツを見せてくれたら、もっと大丈夫になるかな!」キリッ

本居「あ、大丈夫みたいだね。震えも止まったみたいだし」

話しかける人を間違えた。他の人と話しに行こう。

伊賀ノ原「待って!冗談だよ!もっと心配して!」

伊賀ノ原「真面目な話……僕はバラされて困ることなんて、殆どないんだ」

伊賀ノ原「常習的に女子にセクハラしてる以外、やましいことなんてないし」

本居「……そうなんだ」

伊賀ノ原「反応が冷たいよ!ツッコんでよ!」

伊賀ノ原「確かに僕は、今のところは色んな意味でピンピンしてるけど」

伊賀ノ原「たまには構ってくれないと、拗ねちゃうんだからね!?」

本居「……はぁ、しょうがないなあ。分かったよ」

本居「もう少し、迷惑な発言を減らしてくれたら、こっちも話しやすいんだけどね」

伊賀ノ原「努力はするよ!」

伊賀ノ原「……あ、でも、今回の動機に関しては、不可抗力なところがあるから……」

伊賀ノ原「僕に同級生のパンツをコレクションする趣味があるのがバラされても、軽蔑しないでね!」

本居「……いや、それは軽蔑するよ、普通に」

……そういえば、最初に震えてたのは演技だったのかな。

私が話しかけてから、妙にピッタリと止まったけど……

かと言って、誰に見られてるわけでも無いのに

震える演技をしてるのもおかしな感じがする。

……本当は、あんな彼でも、少しは無理をしてるのかな?



『伊賀ノ原君との新密度が少し上がった』


伊賀ノ原君と会話を終えて辺りを見ると、

殆どの生徒が体育館から姿を消していた。

残っているのは、獄門君、ラバン君、周藤さん、

そして、さっきまで会話していた、私と伊賀ノ原君だけだ。



獄門「……この動機で、また良からぬことを企む奴が出てこなきゃいいが……」

ラバン「その点に関しては、皆さんを信じるしかありマセンね」

ラバン「他人が干渉できる部分には、限界がありマス」

ラバン「無論、助けられる範囲では、手を差しのべたいと考えていマスが」

周藤「ま、踏み込み過ぎて逆上させても洒落にならないし……」

周藤「ラバンの言う通り、それくらいのスタンスが無難なんだろうね」



伊賀ノ原「……この人達は凄いなあ」

本居「……え?」

伊賀ノ原「皆が自分のことで精一杯な中で、仲間のことまで考えてるんだから……」

伊賀ノ原「本当、超人だと思うよ。僕には出来ない」

伊賀ノ原「いくら発明の才能があっても、こういう時に何も出来ないとなあ……」

そう語る伊賀ノ原君は、どこかずっと遠くを見ているようで、

同じ体育館の、目と鼻の先にいる彼らを見ているようには思えなかった。

伊賀ノ原「……おっと!せっかく下ネタで締めたのに、しんみりしちゃった!」

伊賀ノ原「それじゃ、僕もそろそろ個室に戻るね」

伊賀ノ原「本居さん、おやすみパンツ!」

本居「……無理矢理そんな方向に持っていかなくていいのに……」

伊賀ノ原君、もしかして根は普通の男の子なのかな?

さっき震えてたのも、本当に怖がってたのかも。

普段のキャラは、そういう本性を隠す為のものだったりして……

……だとしたら、なんだか損してる気がするなあ。


伊賀ノ原君と別れた後、私も3人の会話に混ざりに行く。

本居「そういえば獄門君、今日の監視はどうするの?」

本居「まだ監視役をしていない、真衣ちゃんと足立山さんは、個室に戻っちゃったけど……」

獄門「……あ、しまった。忘れてたな」

獄門「うーん……あの動機の後だし、その2人をわざわざ呼び出しに行くのもなあ……」

獄門「……悪いが、お前らの中から、誰かもう1回やってくれないか?」

本居「そうなると思った。私、やるよ」

ラバン「……いや、本居サンは昨日の夜したばかりでしょう?」

ラバン「それに、日中も大して寝ていマセンでしたし、無理をしてはいけマセン」

ラバン「周藤サンも、前回の監視は夜時間で、徹夜デシタし……」

ラバン「ここは前回昼時間を担当した、私が適任デショウ」

ラバン「体力的にも、問題ありマセンよ」

周藤「ラバンは紳士だねえ。他の男子にも見習ってもらいたいよ」

周藤「お言葉に甘えて、ラバンに任せようかな」

本居「……なら、お願い。ありがとう、ラバン君」

ラバン「お礼には及びマセン。合理的な判断デスよ」

ラバン「それでは獄門サン。行きましょうか」

獄門「おう、一日の疲れを癒すために、風呂に入るとしようぜ」

『獄門君、ラバン君と別れた。』

周藤「……それじゃ、アタシ達は個室に戻って休もうか」

本居「うん。今日は、あんまり夜遅くまで個室外にいるべきじゃないよね」

『周藤さんと一緒に個室まで戻った。』


-本居の個室-

『キーンコーンカーンコーン』

『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。』

『ただいまより“夜時間”になります。』

『間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま~す。』

『ではでは、いい夢を。おやすみなさい…。』



結局、動機発表の後は個室で過ごして、夜時間になった。

……明日まで、何も起こらないと良いけど。

でも、私には祈ることしか出来ない。

さっき3人が話してたように、

干渉し過ぎるのは良くない。

それは確かだ。

……そう、何も゙出来ない"んだ。

…………。

……。


Day8-END-

-親密度一覧-
足立山  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
伊賀ノ原 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
一色   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
影野継美 【DEAD】
神崎   ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
樹村   ★★★☆☆☆☆☆☆☆
鉄    ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
獄門   ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
沢渡   ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
周藤   ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
伝法寺  ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
南錠   【DEAD】
丹田   ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
吉田   ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ラバン  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


-所持プレゼント一覧-
毛虫くん
水笛
水笛
G-SICK
黄金のスペースシャトル
アンティークドール
白兎の耳当て



To be continued……


-Day9-

『キーンコーンカーンコーン』

『オマエラ、おはようございます! 
朝です、7時になりました!』

『……えーっと、あと何だっけ』

『ずっと録音の音声使ってたから、忘れちゃったよ』

『まあいいや!そんなことはどうでも良くて……』

『話は変わって、皆さんに嬉しいお知らせです!』

『昨日の動機の期限ですが、18時じゃキリも悪いので、今日の22時まで延長にします!』

『夜時間のチャイムが鳴ったらタイムアップ!分かりやすいでしょ?』

『ということで、動き出そうって人は、まだまだチャンスがあるからね!』

『んじゃ、オマエラの健闘を祈ってるよ!』

『うぷぷぷぷ……』



……なんだかグダグダした放送だったな。

動機の延長……って、迷惑でしかないけど、

昨日あれだけ時間を測るって強調してたのに、

すぐに変更する意図は何なんだろう?

……そのあたりは、食堂で皆と話し合うべきかな。

……皆、集まってくれてると良いけど……。


-食堂-

本居「……あれ?」

食堂には、想像以上に人が集まっていた。

いつも通り、丹田さんと一色君を除く12人が、そこにいた。

神崎「…………。」

……しれっと神崎君も来てるんだな。

昨日は、随分私達と対立してたけど……。

まあ、動機に踊らされるなんてバカらしいし、気にしないでおこう。

獄門「本居も来たか。いつも通りだな」

沢渡「……こういうことは言いたくないッスけど」

沢渡「念のため、来てない2人の安否確認はしておくべきッスかね?」

足立山「その必要は無いでしょ」

沢渡「……?何でッスか?」

足立山「今朝のアナウンスを聞かなかった?動機の期限延長ってヤツ」

足立山「あんなの、コロシアイが起こってたら、するわけないじゃん」

足立山「起こってないからこそ、コロシアイを煽る為に延長したんでしょ」

伝法寺「確かに、足立山の言う通りだな……」

伝法寺「24時間以内にコロシアイが起こらなきゃバラす、って動機なんだ」

伝法寺「コロシアイが起こってりゃ、期限云々の話は出ねェはずだ」

足立山「ついでに言うなら、まだコロシアイに動いてる奴すらいないんじゃない?」

足立山「案外、焦ってるのはモノクマの方だったりしてね」

なるほど。確かに、そうも思えてくる。

鉄「ともかく、気を緩めて良いわけじゃないと思うけど、ひとまず安心っぽいね」

鉄「それじゃ、僕は朝御飯食べよーっと」

鉄「安心したら、空腹感が増してくるよねー」

樹村「巴もー!ご飯ご飯!」

……私も、朝食を済ませてしまおう。

昨日は動機の件もあって食べられなかったし、

確かにお腹は空いていた。

『モノクマメダルが5枚減少した。』


食事を終えて、いつも通り監視役の決定に移る。

鉄「あ、そういえば、監視役の話、昨日忘れてたなあ」

鉄「僕も動機で動揺してたから……ごめんね」

足立山「ああ……そういえばまだ福愛はしてなかったっけ」

足立山「鉄、どうする?正直福愛は昼でも夜でも良いけど」

鉄「うーん……なら、楽に昼時間の担当をさせてもらうよ」

鉄「夜はちょっと怖いしね」

足立山「はいはい。なら、夜時間は福愛ね」

獄門「悪いな。こんな時にまで」

獄門「゙アレ"の方もいよいよ終わりが見えてきてるから、もう少し待ってくれ」

確かに、パソコンが無事修理できて、中のデータ解析も終えられれば、

獄門君の信頼も少しは快復するだろう。

ここから出る手掛かりも含まれてるかもしれないし、

獄門君には頑張ってもらわないと。





……さて、私は暇な時間が出来たけど……。

動機のこともあって、ぴりぴりしてる人もいるよね。

どうせ、動機の影響は今日が終わるまでの辛抱なわけだし……

……今日くらいは、個室で休んでいようかな。


『昼寝も挟みつつ、個室で暇な時間を過ごした。』



本居「……あ、もう少しで18時か」

本居「あと約4時間……まだ何も起こってないんだよね」

不安ではあるけど、このままいけば皆で乗り切れるはず。

きっと……このままいけば……

…………。

……なのに、なんで私は震えてるんだろう。

上手くいってるはずなのに……どうして?

本居「……だめだめ、ネガティブになっちゃ」

本居「前に進まないと。そう、約束したもんね」

髪留めに少し触れて、勇気を貰って、私は個室を出た。


-食堂-

食堂には、なんと今度は14人全員が揃っていた。

……ほら、やっぱり何も起こっていない。

丹田「へー……こりゃすげぇな」

丹田「飯を食わなきゃいけねぇとはいえ、このタイミングで14人勢揃いかよ」

沢渡「いつも来てないみっちゃんが言うと重みが違うッスね」

丹田「……お前、いい加減その呼び方やめろよ」

一色「しかし、せっかくの動機が効いていないというのは、つまらないね」

一色「ここにいるのは、後ろめたいことのない聖人ばかりなのかな?」

樹村「えー?巴まだ大人じゃないよー?」

沢渡「……セイジン違いッスよ、ともちん」

獄門「まあ、何にせよ、何も起こってないのは良いことだ」

獄門「皆、念のため、夕食後も単独行動は控えてな」

丹田「監視されてる奴に言われてもねー」

動機のこともあって、いつもより微妙に距離はあったものの、

普段集まっていない2人が思いの外話してくれた為、

不自然に無言が続くことなく、食事を終えることが出来た。



『モノクマメダルが5枚減少した。』


-本居の個室-

食事後は、殆どの人間が個室に戻って行ったようだった。

もちろん、全員の行動を監視できていたわけではないけど。

それに、獄門君と真衣ちゃんは脱衣所にいるだろう。

私はというと、個室に戻った殆どの人間の中の1人で、

また暇な時間を過ごしていた。



……しかし、それは長くは続かなかった。
 


『ピーンポーン……ピ-ンポーン』

……?

『ピーンポーンピンポーンピーンポーンピンポーン』

何だろう?すごい連打してるような……

…………。

……緊急の用事かもしれないし、出るしかないよね。

恐る恐る扉に向かい、鍵を明ける。

『ガチャ』

鉄「ゆゆゆゆゆゆゆゆ優樹菜ちゃん!!!」

本居「真衣ちゃん……?どうしたの?」

鉄「大変なの!来て!早く!」

本居「な、何かあったの?」

鉄「いいから!早く!大浴場に来て!」

鉄「ぼ、僕は他の人も呼んでくるから!」

大浴場……?

獄門君と真衣ちゃんが作業してた場所だよね?

一体、何が……

パソコンのデータ解析が済んだとか……?

……ではなさそうな雰囲気だよね。

…………。

私は、ネガティブな推測を懸命に振り払い、大浴場に走った。


-大浴場 脱衣所-

本居「……誰もいない」

獄門君もいない。

緊急事態なら、彼も誰かの呼び出しに回ってる……?

……真衣ちゃんは、大浴場って言ってたよね。

本居「……中、か」

扉に手を掛けて、そこで、手が止まる。

……怖かった。

大丈夫だって、信じてるはずなのに。

真衣ちゃんの取り乱し方から、嫌な予感が頭から消えなかった。

本居「……そんなわけない!絶対、ない!」

私は、そう叫ぶことで自分を奮い立たせて、

大浴場内へ繋がる扉を勢い良く開けた。


-大浴場-

……最初は、何も起こっていないように見えた。

でも、歩みを進めるにつれ、分かってしまう。



ああ。

また、なんだ。

あの時みたいな、最悪の時間が始まるんだ。

それが……今日だったんだ。

大浴場の奥、水風呂の中に、彼はいた。

内心、信じられなかった。

あんなに多才で、このコロシアイにおいて

誰よりもアドバンテージを持っているように見えた彼が、

その本性を謎にしたまま、息絶えていたのだから。



【超高校級の指名手配犯】獄門疾風君は、

水風呂の中に、うつ伏せで身体を沈められた状態で、そこにいた。




-Chapter2-『収監ゼツボウプリズン』
(非)日常編



非日常編


本居「獄門……君……」

ほんの数時間前まで元気だった彼の無惨な姿を前に、

暫く立ち尽くすことしか出来なかった。

そうこうしているうちに、他の皆も駆けつけ始める。

伊賀ノ原「ええええ!?獄門君!?なんで!?」

樹村「うわー……うおー……」

吉田「……ッ!」

周藤「ご、獄門……!?」

ラバン「これは……どういうことデス……?」

ラバン「事件が起こる状況ではなかったはずでは……」



『ピーンポーンパーンポーン』

『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』



少し遅れて、アナウンスも鳴る。

これで全員に、事件が告知されるはずだ。

神崎「呼ばれて来てみたら……何ですか、これは」

丹田「……なんだこれ。鉄は何してたんだよ」

水風呂を囲んで、皆の視線が獄門君に釘付けになる。

沢渡「も、もう誰が亡くなったかは聞いて来たッスけど……」

沢渡「……なんでこうなるッスか」

沢渡「……ん?ていうか、このへん汗臭っ!ッス!」

伝法寺「オレだよ。悪かったな」

伝法寺「ハァ……ハァ……どういうこったよこれァ……」

沢渡「あ、伝法寺君。ジャージまで汗ビショじゃないッスか」

沢渡「一体、今まで何してたんスか?」

伝法寺「男子更衣室でトレーニングだ。落ち着かなくてな」

一色「……ふむ。なかなか面白い状況だな」

鉄「ね、ねえ、伝法寺君と足立山さんと一色君が個室にいなかったんだけど……」

呼び出しを終えた真衣ちゃんもやって来る。

鉄「あ、一色君と伝法寺君は来てたんだね」

鉄「残りは、足立山さんが、どこにもいないみたいなんだ」

鉄「個室で寝てるのかな……?」

丹田「待ってられる状況でもねーだろ。捜査を始めるぞ」

伊賀ノ原「……ていうか、モノクマは?出てこないね?」

神崎「監視カメラのない場所ですから、対応が遅れてるのかもしれませんね」

沢渡「……あの、ちょっと良いッスか」

沢渡「なんか……獄門君の死体の下に……でかい影が見えるんスけど……」

吉田「影……?」

沢渡君の指摘を受け、

吉田君が、獄門君の死体を水風呂から持ち上げる。


そこには……

今回の事件の凶悪さを、

十分に理解出来るだけの光景が待っていた。


゙彼女"は、あられもない姿で、

獄門君の死体の下に隠れていた。



【超高校級の子役】足立山福愛さん。

犠牲者は、1人なんかじゃなかった。

彼女もまた、今回の事件の犠牲者として、そこで息絶えていたんだ。





本居「きゃああぁぁぁぁぁあああ!!!」

身構えていない状況での死体発見に、思わず叫び声をあげてしまう。

吉田「な……っ!?」

沢渡「うわっ!?ほ、ほら!言った通りッス!」

樹村「ふ、2人ー!?」

鉄「わ、わ、わ……!や、やっぱり……!」

周藤「何だいこれは……どうなってるんだい!」

丹田「……は?」

伝法寺「クソが……!何でこうなンだよ……!」

伊賀ノ原「あばばばばばばばばば」

一色「ほう……?」

神崎「足立山さんまで……!?これは一体……」



『ピーンポーンパーンポーン!』 

『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判が開きまーす!』



モノクマ「はーい!事件発生でーす!」

モノクマ「しかも゙連続殺人"だなんて!しびれるねぇ!」

ラバン「連続殺人……デスって……?」

周藤「なんで……そんなこと……!」

周藤「ここから出る為や、動機の為なら、1人で良かったはずだろ!」

モノクマ「知らないよ、そんなの。クロに聞いておくんなまし」

モノクマ「でも、監視カメラの無い場所で起こされるのは、ボクも困るなあ!」

モノクマ「大浴場の隅っこでセットしてたボクが、湿気でぶっ壊れそうだったよ!」

モノクマ「ま、面白い事件にしてくれりゃ良いんだけどさ」

モノクマ「ということで、事件発生を記念して、ボクからのプレゼント、どーぞ!」

モノクマ「モノクマファーイル2!」

モノクマ「全員分、忘れずに取得してくださいね」

モノクマ「それじゃ、流れは前回と同じだから、オマエラ、捜査頑張ってね~」


コトダマGET!![モノクマファイル1]>
『被害者は、超高校級の指名手配犯、獄門疾風と、超高校級の子役、足立山福愛。死亡推定時刻は共に19時頃。発見現場は、同じく共に大浴場の水風呂。』


また……起きてしまったんだ。

また……やらなきゃいけないんだ。

また……立ち向かわなきゃいけないんだ。

辛い、苦しい……でも

亡くなった仲間の為にも……もちろん自分達の為にも

私は、まだ負けるわけにはいかない!




-捜査開始-




捜査が始まってすぐ、モノクマからの放送が響く。



『えー、校内放送、校内放送』

『新しい校則を追加します!よく聞いてください!』

『1人のクロが殺せる人数は、2人まで、です』

『捜査中含め、3人以上殺してしまった場合、校則違反となりますので、ご注意ください!』

『ではでは、引き続き捜査頑張ってね~』



1人のクロが殺すことが出来るのは2人まで……。

今それを、わざわざ全体へ告知するってことは……

……一応、これは記録しておこう。


コトダマGET!![追加された校則]> 
『追加された校則によると、1人のクロが殺すことが出来るのは2人までだという』


……まず、死体だね。

獄門君の方から……

既に水風呂からあげられているけど、

やっぱり身体は冷たいな。

……あの時の、継美ちゃんの感触と同じだ。

…………。

……捜査、しないと。

いつも通りの制服の服装のまま、彼は亡くなっている。

外傷は……

……!

首の後ろに、傷痕がある。

でも、血が出たりはしてないな……。 
一色「スタンガン痕だろうね」

本居「……え?」

一色君は、私の隣に座り、獄門君の傷痕に触れながら続ける。

一色「水風呂の中から、スタンガンが見つかったよ」

一色「倉庫にあったものだ。説明書によると……」

一色「あくまで護身用で、相手を気絶させる効果しかなく、死には至らない、そうだ」

一色「しかし、逆に言えば、一撃で気絶までは確実にさせられる、ということ」

一色「強力には違いないだろうね」

本居「……なるほど。スタンガンか……」

メモしておいた方が良いよね。



コトダマGET!![獄門の死体の状況]> 
『獄門の死体には、首の後ろに傷痕があり、スタンガンによるものと思われる』

コトダマGET!![スタンガン]> 
『水風呂の中で発見されたスタンガンは、倉庫にあった護身用のもの。相手を一撃で気絶させることが出来るらしいが、一撃で死に至らせるほどの威力は無いという。』



本居「因みに、これって水の中でも使えるのかな?」

一色「使えるには使えるようだが、スタンガンが打たれた水風呂に入ることで感電する、なんてことは無いね」

一色「詳しい説明は面倒だから、試してみるかい?」

本居「い、いや、遠慮するよ……」

一色「……まとめると、水中での使用の場合に、効果があるのは……」

一色「水中で、相手の身体にスタンガンを当てて打つ、という動作のみだね」

本居「だったら、敢えて水中で使う意味なんてないよね……」

犯人は、水中にスタンガンを捨てた……

って線の方が強いのかな……?


足立山さんの死体も調べないと。

足立山さんは衣服をまとっていない。

発見時は、辛うじてタオルを巻いていた程度だった。

今は、皆の配慮で更に何枚かタオルを被せられているけど……

入浴中に殺されたってこと……?

でも、獄門君は服を着てるんだよね……。

……それに、脱衣所には真衣ちゃんもいたはず……。

……考えれば考えるほど、分からない。

どうして……こんなことに……?



……あ、彼女にも、獄門君と同じ傷痕がある。

でも、少し位置が違うな……。

獄門君は首の後ろだったけど、

足立山さんの傷痕は、首の横の辺りだ。

……これも、メモしておこう。



コトダマGET!![足立山の死体の状況]>
『足立山の死体は、獄門の身体の下に隠れるような位置にあった。首の横に傷痕があり、スタンガンによるものと思われる。発見時、獄門と違い、服は着ていなかった』



……2人とも、他に外傷や、気になることはないみたい。

やっぱり、死体だけ調べていても、状況が分からない。

次は、゙あの人"に話を聞いてみよう。


本居「真衣ちゃん、話を聞かせてもらえるかな」

獄門君の監視をしていた彼女が、無関係なはずはない。

しっかり話を聞いておかないと。

鉄「……うん、他の人にもざっくりは話したんだけど、優樹菜ちゃんにも説明しておくね」

鉄「僕と獄門君は、夕食後、脱衣所で作業をしていたんだけど……」

鉄「その途中、足立山さんが、お風呂に入りに来たんだ」

鉄「夜時間の監視もあるから、今のうちに入っておくって言ってて……」

鉄「で、まあそれ自体は別に変でも何でもないと思ったから」

鉄「僕も獄門君も、彼女が着替えてるのは見ないようにして、作業を続けてたの」

鉄「そのあと、足立山さんが大浴場に入って、暫くしてからかな……彼女の叫び声が聞こえて」

鉄「ただならぬ雰囲気で……僕、怖くて、動けなくなって……」

鉄「それで、獄門君が中の様子を見に行ってくれたんだ……。」

鉄「その後も、僕は暫く動けなかったんだけど……」

鉄「ふとした瞬間、動けるようになって、そしたら、大浴場の中が異様に静かなのに気づいて……」

鉄「中に入ったら……獄門君の死体があって……」

鉄「足立山さんが消えたのは気になってたけど、それどころじゃないくらいパニックになっちゃって、慌てて出てきて」

鉄「それで……優樹菜ちゃんの個室を、最初に訪ねたよ」

そこからは私も知ってる通り……か。

本居「……ってことは、全部真衣ちゃんが脱衣所にいる間に起こってるんだ」

鉄「そ、そうなるね……」

本居「……死体を発見した時、他に人はいた?」

鉄「パッと見はいなかったと思うけど……」

鉄「獄門君の死体の下に足立山さんの死体があったみたいに、見落としはあったかなあ……」

鉄「さっきも言った通り、パニックになってたから……」

……なるほど。大体分かった。

メモしておこう。


コトダマGET!![鉄の証言]>
『鉄によると、夕食後から、脱衣所で獄門の監視をしていたところ、足立山が入浴をする為に訪れたらしい。そして、暫くすると、大浴場の中から足立山の悲鳴が聞こえてきたという。鉄が動けなかった為、獄門が大浴場の様子を見に行ったが、暫くして無音になった。その後、追って鉄も大浴場の様子を見に行ったところ、死体発見に到ったらしい。』



鉄「……それとね、ここだけの話だけど」

鉄「僕が動けなくなったのって、幸運のせいだと思うんだ」

鉄「性質は……覚えてるよね?」

本居「危機を感じたら、それを回避する効果があるんだっけ」

本居「確かに、真衣ちゃんは犯行現場に入れないようになったわけだし、そうみたいだね」

鉄「あんまり皆に言いたくないけど、必要なことかもしれないから……」

鉄「……優樹菜ちゃんにだけ教えておくよ」

本居「うん、ありがとう。」


コトダマGET!![鉄の幸運の性質]> 
『鉄の幸運は、自身が危機を感じた時に発動するらしい』



今の話を踏まえて、改めて大浴場を捜査しよう。

犯人の侵入経路や脱出経路……

その手掛かりが見つかるかもしれない。

……ん?

本居「樹村さん、何してるの?」

樹村「排水口ー見てるのー」

排水口……?

樹村「小さいねー排水口ー」

本居「いや、それくらいの大きさが普通だと思うけど……」

樹村「人が通れる大きさではないよねー」

本居「う、うん……」

何を言ってるんだろう……。

でも、前回の裁判でも、樹村さんは侮れないところがあったし……

一応メモしておこうかな……?


コトダマGET!![大浴場の排水口]> 
『大浴場には幾つか排水口が存在するが、どれも人が通れるような大きさではない』


それと、気になるのはここかな。

大浴場の奥の、サウナ。

扉で大浴場とは分断されてるし……

窓もないから、中は扉から覗き込まないと見えないんだよね。

……この構造は、重要な気がするな。


コトダマGET!![大浴場のサウナ]>
『大浴場の奥にあるサウナは、大浴場とは扉で分断されており、窓はない。サウナの様子は、扉から除き込みでもしなければ分からなかった』



それと、この前聞いたサウナのルールもおさらいしておこう。



───────────────────

モノクマ「とりあえず、こんなつまんないこと、校則に追加まではしないけど……」

モノクマ「着衣したままのサウナ入室は、禁止するから!破ったら、何かしら罰を与えるよ!」

モノクマ「それと、汗拭き用に、タオルを最低1枚持って入ること!いいね!?」

───────────────────


……メモしておこう。


コトダマGET!![サウナのルール]>
『大浴場のサウナは、着衣したまま入ることが禁止されていた。加えて、タオルを1枚持ち込むことも必須であったという。校則には追加されていないものの、破れば処罰が下るらしい』


-大浴場 脱衣所-

脱衣所に戻ると、丹田さんとモノクマが話していた。

丹田「だから確認だよ。確認は何回したって良いでしょ?」

モノクマ「いや、それ自体は良いけどさ……」

モノクマ「監視カメラの無いとこに、何度も足を運ばせないで欲しいんだよね」

丹田「……すぐ終わるって」

丹田「最初の事件でも話は出てたが、共犯者の存在についてだ」

丹田「共犯者がいる場合、殺人を犯してない共犯者に、メリットはあるか?」

モノクマ「基本的には、ないよ。人を殺すのが、卒業の条件だからね」

丹田「基本的には、ってのは?」

モノクマ「共犯者の個人的な感情までは、ボクも知らないからね」

モノクマ「相手に協力することに喜びを覚える、なんて人がいたら、それは例外でしょ」

丹田「……なるほど。」

……ふむ、つい立ち聞きしちゃったけど、

推理の大事な要素になるかもしれないな。

これもメモしておこう。


コトダマGET!![共犯者の存在]>
『モノクマによると、クロに共犯者がいた場合でも、卒業できるのはクロのみであり、基本的には共犯者側にメリットはない』



その後、現場の捜査もほどほどに、

私は皆の夕食後のアリバイを確認して回った。

真衣ちゃんが脱衣所にいたのは当然として、

伝法寺君は男子更衣室、一色君は倉庫、

その他の皆は自分の個室にいたと供述しており、

私を含め、誰一人、アリバイのある人間はいなかった。



そして……


『ピーンポーンパーンポーン』

『オマエラ、学級裁判の準備が完了しました!』

『前回同様、赤い扉の部屋に集合して頂戴な!』

『捜査はもう終了だからね!すぐ集まってよ!』

『ボクの予定が狂うのは、いっつもオマエラの自由な行動のせいなんだからさ!』

『特に二色クンだか七色クンだかは、四六時中校内を徘徊する癖を何とかするように!』

『……おっと、愚直っぽくなっちゃった。いけない、いけない……』


捜査は終わり……か。

出来るだけのことは調べた……はずだよね。

……よし、あの部屋に向かおう。

一旦ここまでで。

学級裁判編は2/15(水)22時から開始します
前回同様、安価で進めるつもりなので
お時間のある方は参加して頂けると助かります。

コトダマのまとめや、学級裁判のルールは、開始までにまとめておきます。


-赤い扉の部屋- 

部屋に入った瞬間、前に来た時のことを思い出して、

それだけで色々な感情が溢れそうになる。

……私達は、これから戦わなきゃいけないんだ。

気合いを入れ直そう。



モノクマ「うぷぷ、全員揃ったみたいですね!」

モノクマ「それにしても、2度目のコロシアイにしで連続殺人"なんて……テンション上がりますなあ」

ラバン「貴方だけデスよ。そんな趣味の悪いことで喜べるのは」

モノクマ「どうだろうね?皆、心の中では分かんないよ」

モノクマ「それじゃ、雑談もほどほどに、オマエラ、奥のエレベーターにお乗り込みください!」

モノクマ「うぷぷぷぷ!待ちに待った2回目の学級裁判が、はっじまーるよー!」

前回同様、全員がエレベーターに乗り込む。



……超高校級の指名手配犯、獄門疾風君。

昔の罪を告白した上で、皆に信頼してもらおうと、努力していた。

彼の本性は最後まで分からなかったけど、

その努力だけは確かに認められるものだった。

ここに来てすぐに、食事会を企画して、
 
皆を打ち解けさせようとしてくれたのも、彼だ。

そんな皆の為に動いてくれていた彼の人生が……

こんなところで終わって良かったはずない。

超高校級の子役、足立山福愛さんだってそうだ。

最初の事件を乗り越えて、彼女は成長した。

最初は嫌っていた私達と一緒に、前に進もうとしていた。

……まだ、途中だったのに。

これから、彼女と仲良くなれると思ってたのに。

それなのに、彼女は、こんなところで命を絶たれてしまった。



そして……2人を殺した犯人は、この中にいるんだ。

認めて良いわけない。

許して良いわけない。

死んだ皆の為にも、私は、負けられない。


-コトダマリスト-

[モノクマファイル1]>
『被害者は、超高校級の指名手配犯、獄門疾風と、超高校級の子役、足立山福愛。死亡推定時刻は共に19時頃。発見現場は、同じく共に大浴場の水風呂。』

[追加された校則]> 
『追加された校則によると、1人のクロが殺すことが出来るのは2人までだという』

[獄門の死体の状況]> 
『獄門の死体には、首の後ろに傷痕があり、スタンガンによるものと思われる』

[スタンガン]> 
『水風呂の中で発見されたスタンガンは、倉庫にあった護身用のもの。相手を一撃で気絶させることが出来るらしいが、一撃で死に至らせるほどの威力は無いという。』

[足立山の死体の状況]>
『足立山の死体は、獄門の身体の下に隠れるような位置にあった。首の横に傷痕があり、スタンガンによるものと思われる。発見時、獄門と違い、服は着ていなかった』

[鉄の証言]>
『鉄によると、夕食後から、脱衣所で獄門の監視をしていたところ、足立山が入浴をする為に訪れたらしい。そして、暫くすると、大浴場の中から足立山の悲鳴が聞こえてきたという。鉄が動けなかった為、獄門が大浴場の様子を見に行ったが、暫くして無音になった。その後、追って鉄も大浴場の様子を見に行ったところ、死体発見に到ったらしい。』

[鉄の幸運の性質]> 
『鉄の幸運は、自身が危機を感じた時に発動するらしい』

[大浴場の排水口]> 
『大浴場には幾つか排水口が存在するが、どれも人が通れるような大きさではない』

[大浴場のサウナ]>
『大浴場の奥にあるサウナは、大浴場とは扉で分断されており、窓はない。サウナの様子は、扉から覗き込みでもしなければ分からなかった』

[サウナのルール]>
『大浴場のサウナは、着衣したまま入ることが禁止されていた。加えて、タオルを1枚持ち込むことも必須であったという。校則には追加されていないものの、破れば処罰が下るらしい』

[共犯者の存在]>
『モノクマによると、クロに共犯者がいた場合でも、卒業できるのはクロのみであり、基本的には共犯者側にメリットはない』


学級裁判について

・基本安価進行

・【】←カッコの中の発言に異議を唱える
《》←カッコの中の発言に同意する

・【】、《》内の言葉を抽出してコトダマとすることも可 

・コトダマ(証拠)リストは>>604

・同じ間違え方をした場合は安価下

・意図的に、意味も無く誤答を選択し続けていると見なした場合(証言というヒントが出ているのにそれ以外からコトダマを選択する等)は安価下


学 級 裁 判 、 開 廷 !


モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう!」

モノクマ「学級裁判の結果は、オマエラの投票により、決定されます!」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがお仕置き。だけど、もし間違った人物をクロとした場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員がお仕置きされ、皆を欺いたクロだけが、晴れて卒業となりまーす!」

モノクマ「それでは、議論を始めてください!」



神崎「しかし、連続殺人ともなると、何から話して良いか分かりませんね……」

伊賀ノ原「そもそも、2人を殺した犯人が別々だった場合……」

伊賀ノ原「僕達は一体、どっちを殺した犯人を指名すれば良いのさ!」

モノクマ「その場合は、投票を2回に分けて行うよ」

モノクマ「先に殺された方の投票を最初に行うから、もし犯人が別々の場合は……」

モノクマ「後に殺人を犯した方のクロは、最初の殺人を犯したクロを当てた上で、その次の投票で、間違った選択をさせないといけないってことだね」

沢渡「な、なんか、ややこしいッスね……」

吉田「……ともかく……議論を始めないことにはクロも見つからないだろう……」

吉田「まずは、前回と同じように、事件の内容の整理からするべきではないか?」

樹村「わー!吉田くんが沢山喋ったー!」

吉田「…………」

樹村「あ……黙っちゃったー……」

沢渡「……ナックル君を珍獣か何かみたいに扱うのはやめてあげて欲しいッス」

事件の内容の整理……

やっぱり、これは大切なことだよね。

足立山さんと獄門君を殺したクロの指名……

絶対に間違えないように、基本的な部分はちゃんと抑えておかないと。



ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
[モノクマファイル2]>
[スタンガン]>
[鉄の証言]>



沢渡「死体の第一発見者はまいちゃんだったッスね」

ラバン「獄門サンが足立山サンの様子を見に大浴場に入っていった後……」

ラバン「暫く無音になってしまったから、中の様子を確認した……と」

周藤「そもそも、《最初から獄門じゃなくて鉄が様子を見に行くべき》だった気もするけどね……」

鉄「しょ、しょうがないじゃん!」

鉄「【あの時は怖くて動けなかったんだよ!】」

伝法寺「……ともかく、獄門が入ッてから、鉄が入るまでの間に……」

伝法寺「【2人ァスタンガンで殺されちまった】って話だな」


↓1


[スタンガン]>→【2人ァスタンガンで殺されちまった】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!


本居「伝法寺君……2人はスタンガンで殺されたわけじゃないよ」

伝法寺「……あ?」

丹田「そこのスタンガンは、一撃じゃ死に至らないらしいからねー」

丹田(南錠)「伝法寺はん、もっとよう考えなあかんよ?」

ラバン「……南錠サンの声真似デスか。笑えマセンよ」

丹田「ケッ、そうカリカリすんなよ」

丹田「それより、議論を続けろって」

丹田「結局、スタンガンが死因と関係ないなら、2人の死因は何なのか。今はその話だろ」

伝法寺「……おい、スタンガンが凶器の可能性が無くなったみてェに言ってるけどよォ……」

伝法寺「そのスタンガンで死に至らないのは、あくまで一撃まで、だろ?」 

伝法寺「だったら、まだスタンガンが凶器の可能性は切れねェんじゃねェのか」

……?

伝法寺君、やけにスタンガンに拘るんだな……。

本居「ううん、それでも、スタンガンは凶器じゃないと思うよ」

伝法寺「……理由を聞かせろ」

確かに、何度もスタンガンで攻撃すれば、

死に至る可能性はあるのかもしれないけど……

それでも、スタンガンが凶器でないと言える理由は……



1.何発打っても死なないスタンガンだったから
2.何発打たれても死なない2人だったから
3.傷痕が1つずつしかないから

↓1


【3】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「2人の死体には、それぞれ1つずつしか、傷痕がなかったんだ」

本居「つまり、スタンガンを打たれたのは1発ずつ……死に至らないはずなんだよ」

伝法寺「……へェ。なるほど」 

沢渡「となるとー、2人の死因って何だったんスかね?」

樹村「2人とも同じ死因かどうかもー分からないけどねー」

2人の死因……

他に外傷も無いわけだし、

現場の状況を見れば、

スタンガン以外の原因は1つしかない。

きっと……



1.溺死
2.感電死
3.2人は別々の死因

↓1


【1】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「溺死……だろうね」

丹田「まあ、水風呂に沈んでたしな」

吉田「つまり、犯人はスタンガンで2人を気絶させた後……」

吉田「水風呂に沈めて、溺死させた、ということか」

丹田「その可能性が高いだろうね」

鉄「……丹田さん、なんだか今日は穏やかだね」

沢渡「あ、それすごく分かるッス!」

沢渡「いつもと同じようで、なんか真面目に議論に参加してるッスよねー」

丹田「……別に、前回も議論参加はしてただろ」

丹田「ただ今回は……基本的なところから確認しておきたいってだけだよ」

丹田「現場の状況が状況だからな」

現場の状況……か。

鉄さんの証言によると、

大浴場からは誰も出てきてはいないはずなのに……

彼女が死体を発見したときには、

犯人の姿はそこには無かったんだよね……。

周藤「やっぱり、大事なのは、犯人がどうやって大浴場に侵入したか……」

周藤「それと、どうやって脱出したか、だよね」

周藤「それを突き止めないことには、真相には近づけなさそうだよ」

ラバン「今回の事件では、全員のアリバイがありマセンからね……」

ラバン「それを突き止めることで、犯人像が見えてくると、信じるしかないデショウ」

樹村「えー?そうなのー?」 

樹村「でも巴~、なんとなーく犯人っぽーい人分かってるよー?」

……え?

伝法寺「何……?」

一色「面白いじゃないか……聞かせてくれたまえ」

丹田「この段階で犯人指名する奴って大抵外してるけどな……」

丹田「しかも樹村だし……アテになんねえ……」

神崎「ま、まあまあ、とりあえずは聞いてみましょうよ……」

樹村さんの推理……か。

情報が少ない中だもんね。

耳を傾ける価値は、あるかもしれない。


ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
[モノクマファイル2]>
[大浴場の排水口]>
[大浴場のサウナ]>



樹村「《犯人は伊賀ノ原くん》だよー!」

伊賀ノ原「ええ!?突然の告発!?なんで!?」

周藤「伊賀ノ原が犯人だって……?」

樹村「伊賀ノ原くんは、個室のシャワールームの排水口に入って……」

ラバン「は、排水口に入る……?」

樹村「【大浴場の排水口から出てきたんだよー!】」

樹村「そして、2人を殺した後、もう一度排水口に入って……」

樹村「【また自分の個室のシャワールームに戻ってきたんだー】」

伊賀ノ原「僕そんなことしたの!?」

樹村「これがこの事件の真実だよー!」

伊賀ノ原「し、真実なのー!?」

一色「……伊賀ノ原君、樹村君の真面目な推理をからかってはいけないよ」


↓1


[大浴場の排水口]>→【大浴場の排水口から出てきたんだよー!】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!



本居「樹村さん、その推理は、少し無理があると思うよ」

樹村「ほえー?」

本居「大浴場の排水口だけどね、あれは、人が通れるほどの大きさでは無いんだよ」

丹田「……基本的に、どこにある排水口でもそうだろ」

伊賀ノ原「だよね!僕がそんなことしちゃったのかと思ってびっくりしたよ!」

伊賀ノ原「大体、そんなことが出来るなら、殺人のトリックなんかじゃなくて、女の子のお風呂を覗




樹村「まだまだ遊び足りないよー!」反論!




樹村「もちろん、巴も排水口の大きさの話は知ってるよー」

樹村「普通なら、優樹菜ちゃんの言う通りだけどー」

樹村「でもねー、伊賀ノ原君だけは違ったんだよー!」

伊賀ノ原「ちょっと!何割り込んで来て……」

伊賀ノ原「……え!?」

本居「ど、どういうこと……?」

本居「樹村さんはこれでも、伊賀ノ原君が犯人だって言うの……?」

樹村「もちろんだよー!根拠だって、ちゃんとあるんだからねー!」



-反論ショーダウン-

<コトノハ>
+[大浴場のサウナ]>
+[共犯者の存在]>
+[追加された校則]>



樹村「伊賀ノ原くんならー」

樹村「さっき言った犯行が可能だったはずだよー!」

樹村「だってー伊賀ノ原くんはー」

樹村「【超高校級の発明家】でしょー?」

樹村「一見、不可能に見えるようなことでもー」

樹村「【伊賀ノ原くんならやってのける】はずだよー」



矛盾する点があれば指摘
なければ「無し」でお願いします

↓1


-発展!-

本居「具体的にどういう方法か、見当はついているのかな?」



樹村「うん!ついてるよー!」

樹村「きっと、スモールライトとビッグライトを1つずつ作ったんだよー!」

樹村「伊賀ノ原くんはー、【スモールライトで自分の身体を小さくしてー……】」

樹村「【排水口を潜り抜ける為の道具もー、発明家の才能でどうにか作ってー】」

樹村「そして、【さっき言ったような手順で犯行に及んだ】んだよー」




本居「(樹村さんの主張は色々とんでもないけど……そんなものが無いって言える証拠はない)」

本居「(一旦は、それがあると仮定して考えるしかない……かな)」

本居「(樹村さんの言う手順で犯行を進めたとして、犯人1人で手は足りてるのかな……?)」

↓1


不正解!

樹村「なんでー!スモールライトがあれば、小さくなるのはできるでしょー!」


間違えちゃったみたいだ……。

発言力☆☆☆☆☆→☆☆☆☆



整理しよう。問題なのは、どこだろう。

小さくなって、大浴場に移動して……

大浴場で、小さくしたビッグライトを使って大きくなって……

その時に、最初に使ったスモールライトは

個室のシャワールームにあることになるんだよね……。

だとしたら、否定するのは手順の部分か……。

……それにしても樹村さんの推理、自由すぎるよ……。



↓1


+[共犯者の存在]>→【さっき言ったような手順で犯行に及んだ】

正解!

本居「その言葉、斬らせてもらうよ!」斬!



本居「スモールライトやビッグライトとか、どうにかしたとか……」

本居「他にも、突っ込みどころは沢山あるけど……」

本居「仮にそれらが全て出来たとしても、伊賀ノ原君には、その犯行は不可能だよ」

樹村「えー?そうなのー?どうしてー?」

本居「だって、伊賀ノ原君がその方法を使ったとしたら……」

本居「大浴場で大きくなった後、もう一度小さくなることが出来ないんだ」

伊賀ノ原「ぼ、僕が大浴場で何を大きくするって!?」

伊賀ノ原「本居さん!変な言いがかりはよしてよ!」

周藤「少し黙ってな……耳障りだ」

樹村「……うーん?」

樹村「優樹菜ちゃんの言ってる意味が、よく分からないよー」

一色「……樹村君の推理だと、スモールライトで自分とビッグライトを小さくして、大浴場に向かうまでは良いんだが……」

伊賀ノ原「いや、全然良くないけどね。僕はそんなもの作ってないし」

一色「大浴場でビッグライトを使って、元の大きさに戻り、殺害を終えた後……」

一色「もう一度、小さくなることが出来ないのだよ」

一色「1つのスモールライトでは、そのスモールライトを小さくすることは出来ないからな」

神崎「共犯者でもいない限りは不可能……ということですか」

本居「でも、共犯者を用意しようとしても、ルール上、共犯者側にメリットがないんだよ」

本居「だから、さっきの樹村さんの推理は、ほぼあり得ないと言って良いと思う」

樹村「あー!そっかー!」

樹村「なら、どっちのライトも沢山作れば良いんだねー!」

鉄「……真面目に突っ込むなら、そんなものを作れるなら、先にすることがあると思うよ」

伊賀ノ原「そうだよ!玄関ホールの鉄板を小さくすれば、殺人なんてしなくてもここから出られるわけだし!」

周藤「そもそも、いくら超高校級の発明家とはいっても」

周藤「そんな某猫型ロボットの秘密道具みたいなもの、作れるとは思えないしねえ」

伊賀ノ原「それに関しては、作れないとは言わないけどね!」

伊賀ノ原「今のところは作ってないだけさ!」

鉄「本当に作ってくれたら、こんなコロシアイなんて無視して、学園から脱出するんだけどね……」


沢渡「えっと……話を戻すッスけど……」

沢渡「結局、ともちんの推理は間違っていたってことで……」

樹村「むー、ざんねーん」

沢渡「まだ、犯人はどこから入って、どこから出たのか、謎のままッスよね?」

一色「……少なくとも、入った方法くらいは分かりそうなものだがね」

一色「鉄君は、脱衣所にいたのだったね?侵入経路に心当たりは?」

鉄「えっと……僕と獄門君は、夕食後から脱衣所で……」

鉄「……その、作業をし始めてたけど……」

モノクマ「…………。」

鉄「そ、それより後に来たのは、足立山さんだけだったよ」

一色「ふむ……ならば、犯人の侵入方法は1つしかないね」

一色「そうだろう?本居君」

大浴場には、正面の出入り口以外に

外と繋がっている扉はない……。

だとしたら……

本居「……そうだね。あのタイミングしか、あり得ない」

本居「犯人が、2人の殺害のために、大浴場に侵入したタイミングは……」



1.鉄達が作業を始める前
2.足立山が大浴場に入った後
3.鉄が死体を発見した後

↓1


【1】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「鉄さん達が作業を始める前だね」

周藤「……そうなるのか」

吉田「鉄の証言がある以上、確かに、それ以前のタイミングしか考えられないな」

伝法寺「つーことァ……犯人は来る宛もねェ対象を狙って、ずっと大浴場で待ってたってことかよ?」

伊賀ノ原「まあ、誰も大浴場の方でお風呂に入らなかったら、殺しようがないもんね……」

そう、確かに、その辺りは気にかかる……。

足立山さんが、大浴場でお風呂に入ることを、

誰かに漏らしていたわけでもないだろうし……。

丹田「……もう少し、この推理が妥当なのかどうか、議論してみても良いかもな」

神崎「計画的犯行だとするなら……少々不確定要素が大き過ぎますからね……」

樹村「うんうんー!議論ー!議論ー!」


ノンストップ議論-BREAK-

【コトダマ】
[獄門の死体の状況]>
[スタンガン]>
[大浴場のサウナ]>



伝法寺「犯人が鉄達より前から大浴場にいたとしてよ……」

伝法寺「一体、狙いは何だったんだ?」

伊賀ノ原「《単純にお風呂に入りたかった》とか?」

周藤「単純にお風呂に入りたいだけの奴が、スタンガンを用意するかね……」

神崎「《お風呂の掃除をしようとした》のかもしれませんよ」

沢渡「掃除しなきゃいけないほど汚れてたッスかね?」

ラバン「そもそも潜伏していたのがどんな理由であれ……」

ラバン「【大浴場には隠れられる場所がありません】」

ラバン「入ってきた人達に、すぐに見つかってしまうのでは?」

樹村「んんー、結局どういうことなのー?」


↓1


[大浴場のサウナ]>→【大浴場には隠れられる場所がありません】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!



本居「いや……隠れられる場所なら、あったと思う」

ラバン「……え?一体、どこデスか?」

ラバン「大浴場の中にある、あの大きな柱のことなら、身を隠すには不十分だと思いマスが……」

本居「ううん、もっと簡単に、確実に隠れられる場所がある」

本居「大浴場の奥にある、サウナだよ」

神崎「サウナ……ですって……!?」

沢渡「あんな暑くて湿気だらけの所に、犯人がいたんスか!?」

本居「だって、ラバン君も言った通り、サウナ以外の場所は、身を隠すには不十分過ぎるんだよ」

本居「だったら、考えられるのは、サウナの中くらいしかないよね?」

周藤「た、確かに、そうかもしれないけど……」

周藤「来る宛もない殺害対象を、あんな暑苦しい中で待ち続けるって」

周藤「流石に無理があるんじゃないかい?」

一色「……だからこそ犯人は、その方法を選んだのではないかな」

一色「このゲームでは、クロは犯人だと思われないことが重要なんだ」

一色「考えにくい行動をすることによって、犯行が暴かれにくくなるのであれば……」

一色「十分に、計画に組み込む理由になると思うがね」

伊賀ノ原「なるほど……一理あるね」

沢渡「……あれ、でもでも、仮にそうだとするとッスよ?」

沢渡「この中で1人、怪しい人物が浮上するんじゃないッスか……?」

この中から浮上する怪しい人物……?

沢渡君が言ってるのって、もしかして……



【怪しい人物を指摘しろ!】

↓2

↓1で


【伝法寺醍醐】

正解!

本居「この人かな……?」決定!



本居「沢渡君、それって、伝法寺君のこと?」 

伝法寺「……あ?」

沢渡「そうッス!だって、死体発見の時、伝法寺君って……」


────────────────────

沢渡「……ん?ていうか、このへん汗臭っ!ッス!」

伝法寺「オレだよ。悪かったな」

伝法寺「ハァ……ハァ……どういうこったよこれァ……」

沢渡「あ、伝法寺君。ジャージまで汗ビショじゃないッスか」

沢渡「一体、今まで何してたんスか?」

伝法寺「男子更衣室でトレーニングだ。落ち着かなくてな」

───────────────────


樹村「あー!すっごい汗だったねー!」

伝法寺「いや……その理由に関しては言ってあるだろ」

伝法寺「オレァ夕食後、男子更衣室でトレーニングしてたんだよ」

伝法寺「汗まみれだったのァ、その影響だ」

伊賀ノ原「んー……でも、それを証言してくれる人はいないんだよね?」

伝法寺「……まァ、そりゃァな」

伝法寺「今回、事件当時のアリバイは、誰にもねェんだろ?」

伝法寺「……それァ、オレも同じだよ」

鉄「だったら……伝法寺君が犯人である可能性は、大いに残ってるってことだね」

周藤「死体の発見時、汗まみれだったのって、伝法寺だけだもんねぇ……」

伝法寺「……あァ?なんだよ、この流れ……」

伝法寺君が犯人である可能性……か。

皆が彼を疑ってるって言うなら、

しっかり検討する必要があるのかもしれない。




ノンストップ議論-HEAT UP!-

【コトダマ】
[大浴場のサウナ]>
[サウナのルール]>
[鉄の証言]>



伝法寺「オレァ犯人なんかじゃねェぞ……」

伝法寺「本当に男子更衣室でトレーニングしてただけだ」

伊賀ノ原「でも、その証拠は無いんでしょ?」

伝法寺「……そりゃそうだけどよ」

周藤「犯人は食事後、【スタンガンを持って、大浴場のサウナに侵入して……】」

周藤「標的が来るまで待機していた」

ラバン「そして足立山サンの入浴中、犯人は犯行を開始……」

ラバン「犯人に気づいた足立山サンが、悲鳴をあげたわけデスね」

樹村「それでー、福愛ちゃんをスタンガンで気絶させてー」

樹村「悲鳴を聞いて駆けつけた獄門くんにも、スタンガンを使ったんだー!」

沢渡「そして【2人を水風呂に沈めて溺死させた】後、犯人はもう一度サウナに戻って……」

沢渡「死体発見後、皆が死体に釘付けになってる間に……」

沢渡「さりげなくサウナから出てきて、皆と合流したんスかね」

神崎「なるほど、それなら……」

神崎「【犯人が汗臭くなるのも当然】ですね」

伊賀ノ原「だから、犯人は、死体発見時に汗の臭いを漂わせていた……」

伊賀ノ原「伝法寺君!君で決まりだよ!」


↓1


[サウナのルール]>→【犯人が汗臭くなるのも当然】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!


本居「待って、皆。その推理はおかしいよ」

周藤「む、優樹菜ちゃん、またアンタか」

伊賀ノ原「本居さん、おかしいって、一体どこが?」

伊賀ノ原「今の推理の中でおかしかったのは、僕の性癖くらいだったと思うんだけど……」

丹田「いつお前の性癖の話が出て来たんだよ……」

本居「あのね、皆は、サウナ使用時のルールについて知ってる?」

神崎「ほう?そんなものがあるのですか?」

本居「うん。実はね、サウナには、服を着て入ることが出来ないんだよ」

本居「それに、タオルを1枚持って入るのも、義務付けられているんだ」

周藤「ふむ……それで?」

周藤「別に着ておかなくても、持ち込んでおけば、出てきた時はジャージ姿になるだろう」

周藤「タオルだって、ジャージのポケットにでも突っ込んでおけたはずだよ」

本居「勿論そうだけど、その場合、伝法寺君が汗臭くなることなんてあり得るのかな?」

本居「だって、さっきの推理が事実なら、犯人は待機中にタオルで汗を拭けたし……」

本居「持ち込んだジャージも、着ていなければ、湿気を帯びることはあっても、汗が染みることはないんだよ?」

本居「その状況から犯人が出てきたとして、露骨に汗臭くなっているのって、おかしいんじゃない?」

周藤「あ……」

伊賀ノ原「ん……確かに、そうかも」

伊賀ノ原「意図的に汗を拭かないでいる理由なんて無いし……」

伊賀ノ原「普通は、サウナにいたことがバレないように、汗はこまめに拭き取るか」

本居「うん、そうするはずだよ」

本居「だって、汗を拭かなきゃ、サウナに隠れていたっていう推理をされた場合に、真っ先に疑われちゃうんだから」

本居「だから、汗を拭く手段を持っていたはずの犯人が、それを敢えてしないなんて、考えにくいんだよ」

本居「現に、私が口を挟まなければ、獄門君がクロ扱いされそうだったでしょ?」

伝法寺「……まァ、そういうこったな」

神崎「ならば、伝法寺さんが汗臭かったのは……」

神崎「彼がアナウンスを聞いて、急いで現場に駆けつけたことの表れ……と考えられるのですね」

周藤「そうか……。疑って悪かったね、伝法寺」

伊賀ノ原「僕もゴメン!早とちりだったよ!」

沢渡「あ、オイラも疑っちゃって……

伝法寺「もういいだろ。犯人を見つける為に疑わざるを得ないのが、この裁判なんだからよ」



本居「現に、私が口を挟まなければ、【獄門】君がクロ扱いされそうだったでしょ?」



本居「現に、私が口を挟まなければ、伝法寺君がクロ扱いされそうだったでしょ?」


鉄「えっと……じゃあ、また考え直すとして……」

鉄「結局、伝法寺君以外の中に、さっきの推理通りに犯行を行った人がいるってことだよね?」

丹田「いや、それはどうだろうねー」

丹田「そもそも、さっきの推理には……」

丹田「伝法寺以外を犯人に当てはめても、無理のある部分があるよ」

丹田「なあ?本居」

本居「……また私?」

丹田「またお前だよ。獄門もいなくなって、頼れそうなのが少ないからな」

沢渡「ま、確かに、ゆっきーはみっちゃんよりは頼れるッスからね!」

沢渡「さあ答えてくださいッスゆっきー!もちろん証拠付きで!」

皆の推理の中で無理のある部分……。

もう一度、さっきの議論を見直してみると分かるかもしれない……。

特に、犯人が被害者2人を襲う時の状況に着目すると

あの推理が難しいと言える証拠は……



【コトダマを提示しろ!】

↓1


【獄門の死体の状況】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「さっきの推理では、獄門君の殺害についての部分が、かなり曖昧だったよね」

本居「獄門君のスタンガン痕は首の後ろにあるわけだけど……」

本居「獄門君から見て、どう見ても犯人が足立山さんを殺したようにしか見えない状況で」

本居「犯人に背後を取らせるなんてこと、ちょっと考えにくい気がするな」

一色「……獄門君の大浴場への侵入は、悲鳴の直後だったね」

一色「だとすると、足立山君の殺害を終え切ってない状況で、犯人は獄門君と会ったことになる」

神崎「あ……そう考えると、確かに不自然ですね」

丹田「超高校級の脱獄犯が警戒している状況で、この中の誰なら背後を捉えられるってんだよ」

丹田「助けを呼ばれたら詰んじまうんだから、手荒な真似も出来ねえ」

丹田「……不可能って言っても過言じゃねえぞ」

周藤「……確かに、その通りか」

伊賀ノ原「えっと……っていうことは、つまり……」

伊賀ノ原「もう一度、犯人の侵入経路から、全部考え直しってことなのかな?」

本居「…………。」

認めたくないけど、そういうことだ。

一色「無論、そうなるね」

一色「結局これまでの議論では、被害者の死因しか分かっていないということだ」

沢渡「そ、それってピンチじゃないッスか?時間が無限にあるわけでもないッスし……」

伝法寺「……何か、見落としてるんだろうな」

伝法寺「まだオレ達ァ、犯人の罠の中なんだろうよ」

見落とし……か。

きっと、伝法寺君の言う通りなんだろう。

どこかで、何かを見落としているんだ。

何を見落としているのか、どうにかして探し当てないと……

私達は、ここで……




全滅してしまう。





────────学級裁判、中断!!

キリが良いので本日はここまでで。
参加して頂いた方、ありがとうございました。

明日の22時から、学級裁判後編を開始します。
またお時間のある方は参加して頂けると助かります。


 学 級 裁 判 、 再 開 !



モノクマ「さてさて、学級裁判も中盤を越えたところですが……」

モノクマ「え!?まだ何も分かってないの!?まずくない!?」ハァハァ

モノクマ「これは史上初の、クロ大勝利の快挙が見えてきたかもしれませんねえ」

モノクマ「うぷぷぷぷ、シロの皆は、こんなところで死なないように、精一杯足掻いてよ?」

モノクマ「それでは、お待ちかねの後半戦、スタートですっ!」



伝法寺「ここまでの議論で、何1つ犯人に繋がる手掛かりを得てねェってのはマズイな……」

周藤「疲労だけが無駄に溜まったって感じだね」

伊賀ノ原「ちょっと皆!あ、諦めるのはまだ早いよ!」

伊賀ノ原「もう一度、基本的な部分から、見直しをしてみようよ!」

神崎「……と言っても、特に見直したい点が無いんですよね」

丹田「基本的な部分……」

丹田「……なるほど、基本的な部分か」

丹田「ふん、たまには良いこと言うじゃねえか、伊賀ノ原」

伊賀ノ原「えっ!?珍しく誉められた!」

伊賀ノ原「あの、出来れば、美少女の声真似でもう1回お願い出来るかな!」

沢渡「……それ、さりげなくみっちゃんに失礼ッスよ」

丹田「そもそも、今回の事件で、犯行手口の見当が全くつかないのってよ……」

丹田「たった1つの証拠が原因だよな?」

丹田「なら、そこを見直すことから考えた方が良いのかもしれねぇってことだよ」

犯行手口が見えてこない理由……

それは、入り口からの侵入と脱出が

状況的に不可能だった時間が長いからだよね。

となると、それを示してる証拠は……



【コトダマを提示しろ!】

↓1


【鉄の証言】

正解!

本居「読めた!」解!



本居「丹田さん、それって、真衣ちゃんの証言のこと……かな?」

丹田「ああ、そういうことだ」

丹田「今回の事件は、鉄の証言によって、犯人の侵入経路と脱出経路の特定が難しくなっている」

鉄「……何が言いたいの?」

丹田「もし、それが全部嘘だったら?ってことだよ」

ラバン「え……!?」

本居「……真衣ちゃんが犯人だって言いたいの?」

丹田「決めつけてるわけじゃねーよ」

丹田「ただ、検討しておいた方が良いことではあるだろ?」

丹田「鉄が犯人なら、今回の事件は、至って単純になるんだからよ」

鉄「…………。」

そんな……

そんなはずない。

真衣ちゃんが犯人なんて、あり得るはずが……。



ノンストップ議論-HEAT UP!!-

【コトダマ】
[モノクマファイル2]>
[鉄の証言]>
[鉄の幸運の性質]>
[獄門の死体の状況]>
[足立山の死体の状況]>



周藤「真衣ちゃんが犯人の可能性か……」

周藤「検討する価値はあるかもしれないね」

鉄「【僕はやってないよ!】」

伊賀ノ原「でも、鉄さんが犯人だとすると……」

伊賀ノ原「侵入経路も脱出経路も、【簡単に説明がつく】んだよね」

神崎「隙を見て殺した後、第一発見者として振る舞えば良いわけですしね」

伝法寺「大体、【怖くて動けなかったッつーのも嘘臭ェ】しなァ」

樹村「【監視役だった真衣ちゃん】ならー」

樹村「獄門くんの背後を取るのも簡単だったかもー!」

ラバン「ふむ……」

ラバン「鉄サンが犯人だとすると、面白いほどどの謎にも説明がつくんデスね」


↓1

[鉄の幸運の性質]>→【怖くて動けなかったッつーのも嘘臭ェ】

正解!

本居「それは違うよ!」論破!

BREAK!!


本居「いや……きっと、怖くて動けなかったっていうのは、本当なはずだよ!」

周藤「……なんだって?」

丹田「へぇ、根拠は?」

本居「これは、本当はあんまり言いたくなかったんだけど……」

本居「真衣ちゃん、やむをえない状況だし、良いよね?」

鉄「…………。」

鉄「う、うん……」

沢渡「何スか?何か隠し事があったんスか?」

本居「真衣ちゃんの、幸運の性質の話だよ」

本居「彼女の幸運は、自分が危機を感じた時に発動するんだ」

本居「これまでの学園生活で、実際に発動したこともあるはず」

本居「そうだよね?伊賀ノ原君」

伊賀ノ原「え?僕?」

伊賀ノ原「……ああ!もしかして、あの伸びーるハンドの故障の話!?」

伊賀ノ原「機械に不具合があったわけじゃないし、ずっと不可解だったんだけど……」

伊賀ノ原「あれって、鉄さんの幸運のせいだったんだ!?」

神崎「ああ、そんな事件もありましたね……」

吉田「……ということは、そのタイミングで鉄が動けなくなったのは」

吉田「事件現場である大浴場内に、鉄を近づけないよう、幸運が発動した為だったということか」

本居「うん、そういうことだよ」

本居「あの時、犯人が獄門君と足立山さんを殺害している最中だったなら」

本居「真衣ちゃんがそれを目撃してしまえば、ついでに殺され兼ねなかったはず」

ラバン「……待ってください」

ラバン「たしか、1人のクロが殺せるのは2人まで、という校則がありマシタよね?」

ラバン「であれば、鉄サンが目撃しても、殺されることはないのでは?」

鉄「それが追加されたのは事件後だよ。事件発生中は、適用されてない」

ラバン「……ああ、そういえば、そうデシタか。失礼致しました」

本居「ともかく、これで証明できたよね?」

本居「まず、真衣ちゃんが危機を感じたことによって、幸運が発動したこと」

本居「そして、その幸運のせいで、事件に巻き込まれないように、真衣ちゃんは本当に動けなくなっていたってこと」

本居「だから、真衣ちゃんは犯人じゃないんだよ!」



周藤「アタシ達は真実の糸を紡ぐ!」反論!



周藤「優樹菜ちゃん、言いにくいけど……」

周藤「それじゃあ、真衣ちゃんの無実は証明出来ないよ」

本居「え……!?」

周藤「アンタが真衣ちゃんを庇いたい気持ちはわかるけど……」

周藤「それでも、アタシ達は真実と向き合わなきゃいけないんだ……!」



-反論ショーダウン-

<コトノハ>
+[鉄の幸運の性質]>
+[共犯者の存在]>
+[鉄の証言]>



周藤「確かに真衣ちゃんの幸運の性質について」

周藤「嘘は無いみたいだけどさ」

周藤「それはやっぱり、あくまで証言が正しいとした場合の話だろ?」

周藤「まだ、真衣ちゃんが犯人なら」

周藤「【捏造が可能だと言える範囲内】だよ」




矛盾する点があれば指摘
なければ「無し」でお願いします

↓1



-発展!-

本居「捏造が可能な範囲内……?」

本居「それって、どういう意味?」



周藤「だって、【その幸運が発動したって証拠はない】だろう?」

周藤「アンタの出した証拠は」

周藤「幸運が発動していた場合を前提として」

周藤「動けなかったという証言に間違いはないってことしか証明してない」

周藤「もし真衣ちゃんが犯人なら、証言は殆ど嘘だと考えられるんだから」

周藤「それはつまり、幸運が発動する機会があったのかも不確かだってこと」

周藤「だったら結局、【真衣ちゃんのシロ証明にはなってない】んだよ!」



矛盾する点があれば指摘
なければ「無し」でお願いします

↓1

「無し」→「無し」

正解!

周藤「これがアタシの答えだ!」



本居「……確かに、真衣ちゃんが犯人でないことを証明できる証拠はない」

周藤「ああ、そうだろう」

周藤「そして、真衣ちゃん以外が犯人の場合の侵入経路や脱出経路に関しても、十分に議論した」

周藤「答えは、「無い」だ。」

神崎「皮肉なことに……鉄さん自身の証言が、鉄さんが犯人であると証明しているわけですね」

本居「で、でも、待ってよ!それって、おかしくない?」

本居「真衣ちゃんが犯人なら、自由に事件当時の証言を変えられたはずなのに」

本居「わざわざ、真衣ちゃん以外が犯人になり得ない証言をする必要が、どこにあるの?」

周藤「それは分からないが……監視役という立場上、突拍子のないことを言えないのも確かだろう?」

周藤「犯人が侵入する隙を作ったってことは、すなわち鉄の監視が甘かったってことなんだから」

伝法寺「まァ……監視していた獄門が殺されている以上」

伝法寺「鉄がそこから目を離している時間が長いと、違和感があるな」

沢渡「じゃあ……本当に真衣ちゃんが犯人なんスか?」

鉄「い、いや……なんでそうなるの……?」

鉄「ぼ、僕、やってないよ……」

鉄「本当のことを証言しただけなのに……」

鉄「なんで……犯人扱いされないといけないの……?」

鉄「本当に、他の誰かが入ることが出来た可能性は無いの……?」

周藤「……逆に、アンタが犯人じゃないって言うなら、その可能性を提示するべきだ」

周藤「それが出来ないなら……それは、アンタが犯人ってことなんだよ」

鉄「そ、そんな……」

鉄「12人で議論して見つかってない答えが、1人で見つかるわけないじゃん……」

伊賀ノ原「……投票タイムで、良さそうだね」

そんな…… 

本当に……?

本当に、真衣ちゃんが犯人なの……?

考えたくない。

だって、真衣ちゃんは、私のことを信じてくれてたじゃない。

だから、才能の性質についても、私を信頼して話してくれた。

そんな人を……私は、疑いたくない。

これまでの議論で、真衣ちゃん以外の人が犯人の場合について

十分議論してきたのも確かだとは思う。

でも、やっぱりどこか違和感が……。

…………。

私は……

私は、どうすれば……



1.鉄を信じる
2.鉄を信じない

↓1



【1】

正解!

本居「これが私の答えだよ!」解!




本居「待って!まだ投票タイムに移るわけにはいかないよ!」

周藤「……真衣ちゃん以外が犯人の可能性を考えついたのかい?」

本居「うん。それを、もう少しで、形に出来そうなの」

落ち着いて考えて……

真衣ちゃんが犯人じゃないなら……

まだ、それを証明する方法はあるはず……!

鉄「ゆ、優樹菜ちゃん……」




-ロジカルダイブ-

Q1.鉄の幸運の性質は?

1.確率で発動する
2.本人が危機を感じると発動する
3.本人が眠気を感じると発動する


Q2.鉄が犯人でない場合に幸運が発動し、犯人である場合に幸運が発動しない方法は?

1.鉄に投票させる
2.本居に投票させる


Q3.この方法に必要な条件は?

1.本居が鉄は犯人だと信じていること
2.皆が鉄は犯人だと信じていること
3.鉄が本居が犯人でないと信じていること


↓1


不正解!

発言力 ☆☆☆☆→☆☆☆



いや……

それだと、真衣ちゃんがクロの場合でも

発動条件を満たしてしまうはずだ。

自分に投票されるとまずいのは、

シロでもクロでも同じこと……。

上手く、そこを差別化した方法を考えないと!



↓1

【2-2-3】

正解!

本居「推理は繋がったよ!」

COMPLETE!!


もう……この方法しかない……。

真衣ちゃんは、私を信じて、

幸運の性質について話してくれたんだ。

だったら……

私も、真衣ちゃんを信じる……!

本居「ごめん、皆……もう耐えられないから言うね」

本居「犯人は、私なんだ」

鉄「え……!?」

伝法寺「テメェが犯人だァ……?」

丹田「……ふーん」

周藤「……このタイミングでの自白、なーんか釈然としないね」

伊賀ノ原「確かに……本居さんなら、もうすぐ逃げ切れるところだったのに……」

本居「……うん、でもやっぱり無理」

本居「私には……皆を犠牲にすることなんて出来ないよ」

本居「動機については後で話すからさ、ほら、投票タイムにしよう?」

鉄「ゆ、優樹菜ちゃん……?嘘だよね……?」

本居「……嘘じゃないよ」

本居「でも、仮に嘘だとしても……これはきっと、真実に繋がるはずだよ」

本居「……信じて、くれるかな?」

鉄「…………!」

鉄「そういう……ことか……」

鉄「……うん、優樹菜ちゃんがそういうなら、信じるよ」

鉄「僕は、優樹菜ちゃんに投票する!」

樹村「そーしよっかー。優樹菜ちゃんが犯人なんてびっくりだけどー」

伝法寺「待て、どう考えてもタイミングが不自然だろうが」

沢渡「そうッスよね……なんか、ゆっきーがまいちゃんを庇ってるような……」

吉田「……いや、俺達の命を犠牲に出来ないと名乗り出たことは信用に値すると思うが」

丹田「自白してるんだし、信じてやれば良いんじゃないの?」

一色「……ふっ。そうだね。特に疑うことも無いように思うよ」

ラバン「そうデショウか?まだ議論の余地はあるのでは?」

神崎「しておいて損はありませんよね。急ぐ必要はないかと」



モノクマ「真実は2つに1つ!」意見対立!



モノクマ「どうやら、意見が真っぷたつに分かれたようですね!」

モノクマ「このままじゃ埒が開かない……でも大丈夫!」

モノクマ「その為の、この新機能なのさ!」

モノクマ「満を持して、お披露目といきましょうか!」

モノクマ「名付けて、変形裁判場!いっきまーす!」

一応、議論スクラムについてざっくりと説明します。

まず、議論参加者が、ある議題について、2つの意見に分かれます。

やって頂くこととしては、

①相手の意見からキーワードを拾い、
②自分と同じ意見を持つ人の中から、そのキーワードについての反論を持つ人を選択する

という流れです。
まあとりあえず始めてみますね。



-議論スクラム-

Q.本居は犯人か?

[犯人じゃない!]>
周藤
ラバン
伝法寺
沢渡
伊賀ノ原
神崎

<[犯人だ!]
1.本居[クロ]
2.鉄 [証言]
3.丹田[共犯]
4.一色[偽証]
5.吉田[自白]
6.樹村[投票]



伝法寺「どう考えても自白のタイミングが不自然に見えるけどなァ?」

【???】


神崎「2人が共犯関係で、本居さんが鉄さんを庇っている可能性はありませんか?」

【???】


伊賀ノ原「そもそも鉄さんの証言では、本居さんに現場に侵入する余地なんて無かったよね?」

【???】


周藤「どっちがクロの場合でも、シロがクロを庇ってるんなら、真衣ちゃんが犯人の可能性も切れないだろう」

【???】


沢渡「ゆっきーがクロだとしても、まいちゃんは偽証してまでゆっきーを救おうとしてたんスから、その言い分は通らないッスよ」

【???】


ラバン「どちらにせよ、投票を急ぐ理由はないように思うのですが……」

【???】


↓1
上から順に番号を指定しろ!


【5-3-2-1-4-6】
正解!



伝法寺「どう考えても自白のタイミングが不自然に見えるけどなァ?」

【吉田君!】

吉田「皆の命を犠牲に出来ないと考えているなら、自白のタイミングとしては妥当だろう」
 


神崎「2人が共犯関係で、本居さんが鉄さんを庇っている可能性はありませんか?」

【丹田さん!】

丹田「共犯にメリットが無いってのは散々言われてる話だろ?」



伊賀ノ原「そもそも鉄さんの証言では、本居さんに現場に侵入する余地なんて無かったよね?」

【真衣ちゃん!】

鉄「証言については、僕が優樹菜ちゃんを庇って、偽装した部分があるんだよ」



周藤「どっちがクロの場合でも、シロがクロを庇ってるんなら、真衣ちゃんが犯人の可能性も切れないだろう」

【私が!】

本居「真衣ちゃんがクロで、私が彼女を庇うにしても、皆の命まで巻き込んだりしないよ!」



沢渡「ゆっきーがクロだとしても、まいちゃんは偽証してまでゆっきーを救おうとしてたんスから、その言い分は通らないッスよ」

【一色君!】

一色「鉄君は事件に至るまでの経緯こそ偽証したが、自分が犯人であることは否定していたじゃないか」



ラバン「どちらにせよ、投票を急ぐ理由はないように思うのですが……」

【樹村さん!】

樹村「反論することがないならー、もう投票タイムにしても問題ないでしょー?」



COMPLETE!!

本居「これが私達の答えだよ!」
鉄「これが僕達の答えだよ!」
一色「これが私の答えだよ」
丹田「これが私の答えだ!」
吉田「これが俺達の答えだ!」
樹村「これが巴達の答えだよー」

全論破!


本居「もういいでしょ?私が犯人だって、信じてよ!」

本居「私に投票してくれないと、私が勝ち抜けちゃうんだって!」

ラバン「……本当にこれで良いのデショウか?」

伊賀ノ原「でも、鉄さんが犯人だとして、本居さんがここまでするのも、変な感じはしてきたんだよね……」

周藤「確かに……」

周藤「優樹菜ちゃんが皆の命を犠牲にしてまで真衣ちゃんを庇うのはおかしいのは事実、か……」

沢渡「……ゆっきーを信じてあげるべきなんスかね」

沢渡「正直、ゆっきーが犯人なんて、信じられないって気持ちもあるんスけど」

神崎「当の本人が、投票を促しているという、へんてこな状況ですからね……」

伝法寺「じゃァ……マジなのかよ……」

伝法寺「本当にこいつが……獄門と足立山を殺したッてのかよ……!」

本居「……それぞれ言いたいことはあると思うけど、後で聞かせてもらうね」

本居「先に、この事件を終わらせよう」

本居「……いや、皆の手で……終わらせてください」

鉄「…………。」

モノクマ「議論の結論が出たようですね!」

モノクマ「それでは、投票タイムに移るとしましょうか!」

モノクマ「果たして、投票の結果クロとなるのは誰なのか!」

モノクマ「そしてそれは、正解なのか、不正解なのか!」

モノクマ「それでは参りましょう!運命の!投票ターイム!」



…………

………………

……………………



モノクマ「……あれ?どうなってんの?」

モノクマが、慌て始める。

伝法寺「……オイ、投票ボタンを押しても反応しねェぞ」

沢渡「故障……ッスかね……?」

モノクマ「う、うーん、そんなはずはないんだけどなあ」

モノクマ「オ、オマエラ、もうちょっと議論してていいよ」

モノクマ「ボクは、原因を調べてくるからさ」

そう言って、モノクマは動かなくなった。

鉄「……はぁ、良かった!発動したよ!」

本居「ね?これで分かったでしょう?」

本居「真衣ちゃんは、犯人じゃないってことが!」

周藤「……え?」

神崎「もしや……この故障は、鉄さんの幸運によるものだと?」

鉄「うん、そうだよ」

鉄「仕組んで発動させるのは初めてだから、上手くいくか心配だったけど……」

鉄「僕は優樹菜ちゃんは犯人じゃないって信じてたから……」

鉄「だから、投票を阻止するために、幸運が発動したんだよ」

鉄「優樹菜ちゃんに投票されたら、クロが勝ち抜けちゃうからね」

鉄「僕からすれば、大ピンチだったってわけ」

丹田「逆に、鉄がクロなら、本居に投票が集まるのは都合が良いはずだ」

樹村「そっかー。その場合、真衣ちゃんは逃げ切れるわけだもんねー」

丹田「だからこの幸運の発動は、鉄がシロだからこそ起こったってことになる……」

伊賀ノ原「た、確かに、鉄さんの十分なシロ証明になるね……」

吉田「理屈は分かったが……ならば、犯人は誰なんだ?」

周藤「そうだよ……。もう、十分に議論したじゃないか」

周藤「真衣ちゃんの証言が正しいなら、他の誰かが現場に入る余地なんて無かったって」

犯人……

もう、何となく検討がついてるんだよね。

今までの議論をまとめると、出てくる結論は1つなはず……。

本居「……きっと、私達は、大きな勘違いをしていたんだよ」

神崎「勘違い……?」

本居「うん、その勘違いの正体は……」

今なら……導き出せるはず!


-ロジカルダイブ-

Q1.鉄は犯人?

1.犯人
2.犯人ではない


Q2.鉄以外の生存者に現場に侵入する余地はあった?

1.あった
2.なかった


Q3.本居達がしていた、大きな勘違いとは?

1.犯人は人間だということ
2.被害者が大浴場で亡くなったということ
3.犯人が生存者の中にいるということ


↓1

【2-2-3】

正解!

本居「推理は繋がったよ!」

COMPLETE!!



本居「私達は……大きな勘違いをしていたんだ」

本居「犯人はこの中に……生きてる人の中にいるっていう、大きな勘違いを」

丹田「……それも視野には入れ始めていたが……マジでかよ」

一色「……つまり、本居君は、こう言いたいのだね?」

一色「゙クロは、被害者2人のどちらかにいる"」

伊賀ノ原「いやいやいや!流石にそれはないでしょ!」

神崎「私も、そのケースは考えにくいように思うのですが……」

本居「うん。私達は、それが無いと思うように、誘導されていたんだよ」

本居「この事件は、゙連続殺人"だって、何度も繰り返されて、ね」


───────────────────

モノクマ「はーい!事件発生でーす!」

モノクマ「しかも゙連続殺人"だなんて!しびれるねぇ!」

ラバン「連続殺人……デスって……?」

──

『新しい校則を追加します!よく聞いてください!』

『1人のクロが殺せる人数は、2人まで、です』

──

モノクマ「うぷぷ、全員揃ったみたいですね!」

モノクマ「それにしても、2度目のコロシアイにしで連続殺人"なんて……テンション上がりますなあ」

───────────────────


鉄「モノクマ!またお前か!」

モノクマ「…………」

モノクマ「……はい!なになに!?こっちは修理で忙しいんだけど!?」

鉄「またお前が裏で意図を引いてたのかって言ったんだよ!」

鉄「連続殺人なんて、嘘ついてさ!」

モノクマ「ま、またって何だよ!またって!」

モノクマ「大体、嘘はついてないよ!」

モノクマ「自殺だって、立派な殺人なんだから、その場合も連続殺人だよ!」

吉田「……だが、待て。」

吉田「……その場合、どちらかがどちらかを殺す、までは良いとして」

吉田「その後、残った方は、自殺したということになるんだろう?」

吉田「……犯人の目的が、分からなくならないか」

沢渡「そうッスよ!犯人の目的は、この学園からの脱出っしょ!?」

……犯人の目的、か。

普通なら、沢渡君の言うとおりだけど……

今回は、違ったのかもしれない。

……犯人の狙いは……


-閃きアナグラム-

ぞ  ん   つ  む

 め  か  せ   ぜ

ん  ゃ  れ  し

 か  い   の  い


○○○○○○○○○○○○(11文字)


↓1


【生存者の全滅】

正解!

本居「読めた!」解!

COMPLETE!!



本居「……果たして、それが狙いだったのか……」

本居「それとも、どうなっても良いって、自暴自棄になったのかは分からないけど……」

本居「少なくとも、犯人の中で、生存者の全滅は、視野に入ってたと思うよ」

周藤「……!」

周藤「そんな……悪意の塊みたいなこと、なんで……」

ラバン「……確かに気になりマスが、動機を考えるよりも……」

ラバン「その線を追うのであれば、他に明らかにしなければならないことがありマス」

ラバン「すなわち、クロは獄門サンなのか、足立山サンなのか……」

丹田「……まあ、それが分からねえと、私達が生き残ることは出来ねえしな」

丹田「おい、言い出しっぺ、答えてやれよ」

神崎「……そうですね」

神崎「本居さんが言い出したことですから、本居さんに答えて頂きましょう」

本居「……うん、分かったよ」

被害者2人を気絶させたスタンガン……

現場の状況や、それまでの2人の状態から考えても……

持ち込めたのは、あの人しかいない!



-黒指名-

【怪しい人物を指摘しろ!】


↓1


【足立山福愛】

正解!

本居「この人しか……いない!」



本居「犯人は……足立山さん、だよ」

本居「獄門君が監視されているという状況から考えても……」

本居「現場にスタンガンを持ち込めたのは、彼女しかいない」

神崎「……そういうことになりますね」

沢渡「でも……仮にそうだとして、なんでこんなことしたんスかね……?」

樹村「そうだよー。福愛ちゃんはー」

樹村「頑張ってー、この状況に立ち向かおうとしてたよー?」

周藤「……信じられないね」

周藤「……信じられない、けど……」

周藤「他の可能性については、もう嫌というほど議論した」

周藤「これが……真実なのかもしれない」

本居「うん。今となっては、足立山さんから真相を聞くことは出来ないけど……」

本居「彼女がこの事件を起こしたのは、確かなはずだよ」

伝法寺「……待てよ」

……え?

伝法寺「スタンガンを持ち込んだのが足立山だとしても……」

伝法寺「獄門が犯人の可能性だッてあるんじゃねェのか」

伝法寺「悲鳴を聴いて駆けつけた獄門が、自分を殺そうとする足立山に気づいて……」

伝法寺「スタンガンを奪い取って……足立山を……殺した……」

伝法寺「その可能性だって、まだ残ッてんじゃねェのかよ……?」

本居「……可能性は0ではないよ。でも……」

本居「スタンガンの傷は、どう考えても獄門君の方が自分の手の届きにくい位置にあるんだ」

本居「犯人が自殺したなら、足立山さんが獄門君の背後を取ってスタンガンを打って……」

本居「その後、自分で自分にスタンガンを打ったって方が、しっくりこない?」

伝法寺「今回の犯人は俺達の全滅が狙いなんだろ?」

伝法寺「だったら……それだけの理由なら、獄門の犯行の可能性も残るはずだ」

本居「……なんでそこまで獄門君を疑うの?」

本居「伝法寺君は、獄門君は良い人だって言ってたじゃない」

本居「自分を監視させるって状況だって、獄門君自ら作ったんだよ?」

本居「それに……幸運がそんなに都合の良いものじゃないとも、獄門君は言ってた」

本居「獄門君がクロなら、皆の全滅を狙っているのに、凶器を取得できない状況を自分で作って」

本居「事件の夜、偶然殺意を抱いて、凶器を持った足立山さんと遭遇できて……」

本居「しかも偶然それに気付けて、上手くスタンガンを奪い取って、犯行に至ったってことだよ?」

本居「そんなの……幾らなんでも、考え難すぎるよ」

一色「そもそも、足立山さんが全滅を狙っていなかったなら……」

一色「どう考えても自分がクロだとバレる状況で、獄門君を殺そうとしたことになるじゃないか」

一色「犯人が全滅を狙っていたという前提なら、クロは明白だと思うがね」

本居「伝法寺君、私も……彼を疑ったことが全くないとは言わないけど……」

本居「でも……最後くらい信じてあげようよ」

本居「獄門君はそんなことする人じゃないって……信じてあげようよ……!」

伝法寺「…………。」

伝法寺「……オレだって……」

伝法寺「オレだって……信じてェよ……」

伝法寺「でも、ならテメェは、足立山のことは信じてやらなくて良いと思ッてんのかよ!?」

伝法寺「アイツだって……頑張ってただろ……!」

伝法寺「最初の事件の後から、変わろうと努力してたじゃねェか!」

伝法寺「テメェは、その気持ちは信じねェのか……!?」

伝法寺「アイツらのやってたことに、差なんて付けられンのかよ!?」

声を荒げる伝法寺君を見て、理解する。

……ああ   ……そうか。

辛いのは、皆同じなんだ。

それでも……

それでも、私達は真実と向き合わなきゃいけない。

真実と……

本居「伝法寺君、もう、終わりにしよう」

本居「辛いけど……私達の手で、この学級裁判を、終わらせないといけないんだよ!」



-パニックトークアクション-


伝法寺「テメェは獄門のことは信じて……」

伝法寺「足立山のことは信じてやらねェのかよ!?」

伝法寺「アイツらの行動に差なんて付けられるのか?」

伝法寺「アイツらの気持ちに差なんて付けられるのか!?」

伝法寺「本音ならどっちのことも信じてやりてェけどよ……」

伝法寺「どっちかが犯人だなんて言われたら、感情なんて捨てるしかねェじゃねェか!」






伝法寺「【テメェが足立山のことを信じてやらねェ理由は何なんだよ!】」


1.役 2.校級 3.の子 4.超高

↓1

【超高校級の子役】

正解!

本居「これで……終わりだよ」

COMPLETE!!



本居「私達は、騙されてたんだよ」

本居「彼女の……超高校級の演技に」

伝法寺「……!」

本居「あんな事件があって……帰りに、あれだけ泣き崩れて……」

本居「その次の日に、突然立ち直るなんて……不自然だって、気づくべきだったんだ」

本居「皆が皆、あんな風に整理をつけられるわけじゃない」 

本居「そんな簡単じゃ無いって、気づいてあげるべきだったんだよ……」

本居「あの日、足立山さんは……きっと、何かを諦めちゃったんだ……」

鉄「……そうだよね」

鉄「僕達が、他の人の配慮まで出来ていたら……」

鉄「もしかしたら、この事件は防げたかもしれない……」

伊賀ノ原「……。」

できない、じゃダメだったんだ。

するべきだった。

動くべきだった。

ただ、前向きでいるだけじゃダメだったんだ。

継美ちゃんなら……

きっと、彼女に手を差しのべていた。

なのに、私は……

丹田「……獄門は今まで行った犯行で、目撃者の存在を見逃したことがないって言ってたよな」

丹田「そういう意味では、獄門が今回、足立山の殺意に気づかなかったのは、足立山の才能のせいなのかもしれない」

伊賀ノ原「……足立山さんが、獄門君を完全に欺き切った……ってことになるの?」

本居「……伝法寺君、私も、足立山さんのことは信じてるよ」

本居「彼女の裁判後の態度と……彼女の才能を、信じてる」

本居「だから……」

本居「私は、自分の罪と向き合うために」

本居「足立山さんに投票するよ」

伝法寺「……クソッ!」

伝法寺「何か……他に方法は無かったのかよ……!」

周藤「…………。」

周藤「いや……方法を考えるのは、アタシ達の方だったんだよ」

周藤「結局コロシアイに怯えて……関わることを避けて……」

周藤「苦しんでる仲間を、゙また"救えなかった」

本居「……うん。その通りだと思う」

本居「だから、今から事件を振り返って、皆で納得できたら……」

本居「一緒に、本当の足立山さんと、向き合ってあげよう」

本居「今までの分も、彼女を理解してあげる努力をしよう」

本居「全員で、じゃないと……彼女もきっと、寂しいと思うからさ」


-クライマックス推理-

Act.1
まず、事件の始まりは、最初の学級裁判の次の日の夜。超高校級の( A )である犯人は、何らかの理由で、自分の本音を偽装をすることを始めたんだ。でも、その時点では恐らく誰も気づいて無かっただろうね。

Act.2
そして犯人は、事件当日の夜までの間に、どこかのタイミングで、開放された倉庫から( B )を取得したんだ。皆に目撃されない時間となると、夜時間が濃厚かな。

Act.3
そして今日の夕食後、犯人は( C )に向かった。入浴するという名目で、( B )を隠し持って中に入ったんだろうね。その場にいた2人も、着替えるところなんて注視できないし、それ事態は容易なことだったと思う。

Act.4
大浴場に入ってからしばらくして、犯人は、叫び声をあげたんだったよね。これは( D )の証言でも明らかになってる。それを聞いて( D )は動けなくなって、代わりに( E )が駆けつけたんだ。

Act.5
( E )を上手く誘き寄せた犯人は、水風呂に死体があるとでも言って、背後を取れるような態勢を整えたんじゃないかな。そして、用意していた( B )を使用して、( E )を気絶させ、水風呂の中に沈めた。結局自殺するのに( E )を殺害したのは、( F )という印象付けを行って、犯人は被害者2人以外にいるって思わせる為だろうね。

Act.6
その後、自分も水風呂に入って、( E )が浮いている下に潜り込み、自分の首筋に( B )を打った。こうして、発見時のような状況が出来上がったんだ。



……そして、

これらを実行出来た今回の事件の犯人は……

( G )!彼女しかいないよ!



-ヒント-
A:才能
B:武器
C:場所
D:人物
E:人物
F:モノクマも生存者に印象付けようとしていたこと
G:人物


↓3までに正解があれば進行


-クライマックス推理-

Act.1
まず、事件の始まりは、最初の学級裁判の次の日の夜。超高校級の子役である犯人は、何らかの理由で、自分の本音を偽装をすることを始めたんだ。でも、その時点では恐らく誰も気づいて無かっただろうね。

Act.2
そして犯人は、事件当日の夜までの間に、どこかのタイミングで、開放された倉庫からスタンガンを取得したんだ。皆に目撃されない時間となると、夜時間が濃厚かな。

Act.3
そして今日の夕食後、犯人は大浴場に向かった。入浴するという名目で、スタンガンを隠し持って中に入ったんだろうね。その場にいた2人も、着替えるところなんて注視できないし、それ事態は容易なことだったと思う。

Act.4
大浴場に入ってからしばらくして、犯人は、叫び声をあげたんだったよね。これは真衣ちゃんの証言でも明らかになってる。それを聞いて真衣ちゃんは動けなくなって、代わりに獄門君が駆けつけたんだ。

Act.5
獄門君を上手く誘き寄せた犯人は、水風呂に死体があるとでも言って、背後を取れるような態勢を整えたんじゃないかな。そして、用意していたスタンガンを使用して、獄門君を気絶させ、水風呂の中に沈めた。結局自殺するのに獄門君を殺害したのは、連続殺人という印象付けを行って、犯人は被害者2人以外にいるって思わせる為だろうね。

Act.6
その後、自分も水風呂に入って、獄門君が浮いている下に潜り込み、自分の首筋にスタンガンを打った。こうして、発見時のような状況が出来上がったんだ。



……そして、

これらを実行出来た今回の事件の犯人は……

超高校級の子役、足立山福愛さん!彼女しかいないよ!



COMPLETE!!



モノクマ「よっこいせっと……はい、修理は終わりましたよ!」

モノクマ「鉄さんは、以後、むやみに幸運を発動させないように!」

モノクマ「……さて、今度こそ、議論の結論が出たようですね!」

モノクマ「それでは、投票タイムに移るとしましょうか!」

モノクマ「果たして、投票の結果クロとなるのは誰なのか!」

モノクマ「そしてそれは、正解なのか、不正解なのか!」

モノクマ「それでは参りましょう!運命の!投票ターイム!」








|────MONO KUMA────|
    VOTE
||アダチヤマ||アダチヤマ||アダチヤマ||テテー♪





───────学級裁判、閉廷!

本日はここまでで。
2日間に渡りお付き合い頂きありがとうございました。
次回の更新は土曜日の夜を予定しています。


モノクマ「うぷぷ、またまた大正解!」

周藤「…………。」

モノクマ「超高校級の指名手配犯、獄門疾風クンと……」

伝法寺「…………。」

モノクマ「超高校級の子役、足立山福愛さんを殺したクロは……」

沢渡「…………。」

モノクマ「なんと!超高校級の子役、足立山福愛さんなのでしたっ!」

鉄「…………。」

モノクマ「……み、皆テンション低すぎない!?」ハァハァ

モノクマ「正解したんだから、もっと盛り上がってよ!」

神崎「……正解、なんですか」

神崎「辛い……真実ですね……」

伝法寺「なんで……なんで、こんなことしちまッたんだよ……!」

伝法寺「死んじまッたら……何もかも終わりだろうが……!」

周藤「今となっては、彼女の本音を知ることはできないけど……」

周藤「……悔やまれるね」

モノクマ「ん?ちょっと待ってよ」

モノクマ「彼女の本音を知ることができない?」

モノクマ「いやいや、そんなことはありませんよ」

モノクマ「彼女の代わりに、ボクが説明することが出来るからね」

神崎「……え?」


ラバン「気にせず、放っておきマショウ」

ラバン「どうせ、出鱈目言うだけデスよ……」

モノクマ「出鱈目じゃないよー」

モノクマ「ボクには、ちゃーんと分かってるんだから」

モノクマ「あのね、足立山さんは、オマエラとの壁で悩んでたんだよ」

モノクマ「幼い頃から芸能界で生きてきた彼女は、『一般人』や『普通の人』に憧れて、嫉妬して……」

モノクマ「自分で作ってしまった壁を壊せずに、悩んでたんだ」

モノクマ「……ここに来てからも、ずっと、ね」

……確かに、彼女はそうだった。

初めて会った時から、どこか私達に敵意があったような……。

モノクマ「子役って年齢も過ぎて、女優としてはイマイチ売れなくて」

モノクマ「芸能界でもパッとしないのに、普通の人にも馴染めない……」

モノクマ「足立山さんには、居場所が無かったのさ」

鉄「……僕達が、その居場所を作るべきだったんだ」

鉄「なのに……」

一色「……そして、この状況と孤独に耐えられなくなった彼女は」

一色「自暴自棄になった結果、今回の凶行に至った、ということか」

一色「ふふふ……美しい死に様だったね……」

モノクマ「ま、そういうこと」

モノクマ「犯行を決めたキッカケは、皆が樹村さんにメダルを分けてあげてるのを見たことみたいだけどね」

樹村「ほえー?」

モノクマ「オマエラみたいな凡人共が助け合う姿を見て、余計に孤立感を煽られたんじゃないかな」

モノクマ「窮地に陥ったのが自分だったら、こいつらは助けてくれるんだろうか……ってね」

伊賀ノ原「助けたよ……助けたに決まってる……!」

伊賀ノ原「足立山さんだって、仲間の1人なんだから、助けないわけないじゃないか!」

モノクマ「足立山さんは、そうは思わなかった、ってことだよ。」

モノクマ「ま、ボクの言ってることにも、間違いがある可能性はあるけどね」

モノクマ「ボクだって、監視カメラに映されてること以上のことは、推測するしかないんだからさ」

モノクマ「さて、と……それじゃ、死んでしまったクロの気持ちを代弁するのは、これくらいにして……」

モノクマ「オシオキターイム!いっちゃいましょうか!」

伝法寺「オシオキ……だァ?」

沢渡「いやいやいや、今回のクロは、もう死んじゃってるんスよ!?」

沢渡「一体、誰をオシオキするって言うんスか!?」

モノクマ「もちろん、足立山さんに決まってるじゃん」

モノクマ「死んだからって、罪を償ったことにはならないからね」

吉田「遺体に……更に傷を付けようと言うのか……!」

モノクマ「そんなの、関係ないよ」

モノクマ「むしろ、足立山さんの家族や親戚に手を出そうとしないだけ、優しい選択だと思って欲しいね」

モノクマ「それじゃ、張り切って参りましょう!」

モノクマ「ワクワクで!ドキドキの
!」

モノクマ「オシオキターイム!」


GAMEOVER

アダチヤマさんがクロにきまりました。

オシオキを開始します。
 
───────────────────

───────────────

─────────

~足立山福愛、最期の主演ドラマ~



ライトアップされた撮影現場で、

ぐったりと倒れ込んでいる足立山さん。

しかし、彼女には最後の仕事が残っています。

ここで力尽きてもらっては困るのです。

大量のモノクマ達が足立山さんにヒモを結びつけ、

操り人形のようにして彼女を動かします。

そして遂に、子役時代の輝きを思い出させるかのような迫真の演技を、

最期に映像として残すことに成功しました!

さて、世間のモノクマからの評判は……

……あらあら、主演の足立山さんへのバッシングだらけ。

挙げ句、過激派のモノクマが現場に乱入し、

足立山さんの死体をズタズタに荒らしていく始末。

……そして、一波乱起こった後、

台風が過ぎた後のように、現場は静かになりました。

残ったのは足立山さんの死体と、1体のモノクマだけ。

あーあ……最期まで、女優として人気にはなれなかったね。

芸能人として本当に怖いのって

嫌われてる時じゃなくて、興味を持たれなくなった時って言うけど、

足立山さんも、最期はそうなっちゃったよね。

誰からも気にかけてもらえない

誰からも愛されない

誰からも嫌われない

誰からも必要とされない

可哀想な足立山さん……。



モノクマ「うーん、やっぱり死体をオシオキしても盛り上がらないか……」ショボーン

モノクマ「逆に盛り下がっちゃった気さえするよ……ハァ……」

モノクマ「やっぱり、処刑するなら売れっ子アイドルが良かったなー」

吉田「悪趣味な……」

鉄「も、もう亡くなってる人なのに……」

鉄「こんなこと……しなくて良いじゃん……」

鉄「もう終わったんだから……休ませてあげようよ……」

ラバン「……仲間が、こんな残酷な仕打ちに遇っているのに」

ラバン「私は……何も出来ないのデスね……」

ラバン「スミマセン……皆サン……!」

モノクマ「はいはい、お得意のボクへの責任転嫁はもういいから……」

モノクマ「さっさと帰って、次のコロシアイの計画でも立てといてよー……」

モノクマ「あー……なんか萎えちゃったー……」

本居「……私は、絶対に忘れない」

本居「継美ちゃんも、南錠さんも」

本居「獄門君も、足立山さんも!」

本居「皆、貴方に弄ばれて殺されたんだ!」

本居「足立山さんの救いになれなかった私達にも原因はあった……でも!」

本居「根本的に、こんな状況に私達を追い詰めてる、貴方のやったことは」

本居「絶対に許されないんだから!」

本居「絶対に……許さないんだから……!」

モノクマ「ふーん、あっそ。まあ、頑張って」

モノクマ「んじゃ、おやすみー」

私の言葉なんて意に介さず、モノクマが去っていく。

瞬間、私はその場に崩れ落ちてしまった。

本居「まだ……続くの……?こんな地獄が……」

伊賀ノ原「本居さん……立ちなよ」

伊賀ノ原「……ちょっと、荒い言い方になっちゃうかもしれないけど」

伊賀ノ原「死んだ人間のことに振り回されて、生きてる人間が壊れちゃったら、本末転倒だよ」

伊賀ノ原「足立山さんのことは、反省するべきことだけど……」

伊賀ノ原「でも、それはそれとして、心の整理をしてさ」

伊賀ノ原「思い詰めるんじゃなくて、前を向いて、繰り返さないようにしよう」


伝法寺「……そうだな」

伝法寺「今回のことを教訓に、これ以上の犠牲者を出さないようにしてこそ……」

伝法寺「死んだ奴等も、浮かばれるってもんだ」

ラバン「私も協力しマス」

ラバン「もう……こんなことは起こしてはいけマセン」

ラバン「絶対に……起こしてはいけないんデス」

周藤「……だね」

周藤「後悔ばっかりしてても、前には進めない、か」

鉄「うん……そうだね……」

鉄「もう一回、皆で団結し直そう!」

鉄「ほら、獄門君が企画してた、食事会!」

鉄「あれを、ちゃんとした形で復活させようよ!」

丹田「世話のかかるヤツだな……」

丹田「……ま、私の安全が保証される限りでは、協力してやらなくもねーよ」

丹田「……危険だと思ったらすぐ逃げるけどな」

沢渡「うーん、流石みっちゃん!」

沢渡「優しい言葉に見えて、最高に卑怯ッスね!」

丹田「うるせーよ……。あとみっちゃんって呼ぶなっつってんだろ」

吉田「……無論、俺も出来ることはしよう」

樹村「そうだよー。元気出してよー」

樹村「またー、巴と一緒に遊ぼー?」

一色「ふふふ……こんなに美しい光景を見て、落ち込むなんて、どうかしてるよ」

一色「本居君、もう一度、今日起こったことを思い起こしてみたまえ」

一色「最高に……心が震える1日だったじゃないか……」

神崎「はは……一色さんは、ブレませんね……」

神崎「しかし、もう一度団結し直す、というのは、賛成です」

神崎「縛り過ぎず、かと言って放置し過ぎず、がベストかと思いますよ」

伊賀ノ原「……ね?皆もこう言ってるし、さ」


……ああ、そうか。

私には、仲間がいるんだ。

仲間がいる限り、何度でもやり直せるんだ。

何度でも、また前を向けるんだ。

本居「……ありがとう、皆」

お礼を言って、私は立ち上がる。




伊賀ノ原「あ!ちょっと!立ち上がり過ぎだよ!」




本居「……え?」

伊賀ノ原「あともうちょっと、膝を曲げて屈んで!」

伊賀ノ原「良い具合にパンツが見える角度まで、もう少しだから!」

……感動は一瞬にして吹き飛び、

次の瞬間、崩れ落ちているのは伊賀ノ原君に代わっていた。





-Chapter2-『収監ゼツボウプリズン』 END

生存人数:12人

To be continued……


12人が去った後、

誰もいなくなった学級裁判場で

片付けに戻って来たモノクマが呟く。

モノクマ「……あ、そういえば」

モノクマ「足立山さんに与えられた、今回の動機について、皆に言うのを忘れちゃってたな」

モノクマ「あれは確か、゙彼女が生きてきた世界の闇"を象徴するような事実だった気がするけど……」

モノクマ「ま、そこそこ面白い事件にしてくれた御礼に、バラすのはやめておいてあげようか」

モノクマ「うぷぷ。ボクだって、たまには優しい一面もあるでしょ」



モノクマ「……はあ、それにしても、片付け面倒だな」

モノクマ「次回からは、゙もう一人の裏切り者"さんに、手伝ってもらおーっと」


キリが良いので一旦切ります。

このスレでchapter3を開始すると半端なところでスレ移行になる可能性があるので、chapter3は次スレで開始します。

これからもよろしくお願い致します。

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